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第2 不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方

1 不当な差別的取扱い

(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方

 関係事業者は、法第8条第1項の規定のとおり、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

  • ア 法が禁止する障害者の権利利益の侵害とは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付すことなどによる権利利益の侵害である。
     なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、法第8条第1項に規定する不当な差別的取扱い(以下単に「不当な差別的取扱い」という。)ではない。
  • イ したがって、障害者を障害者でない者より優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)や、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、関係事業者の行う事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

(2)正当な理由の判断の視点

 正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ない場合である。関係事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、関係事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)の観点から、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
 関係事業者は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

(3)不当な差別的取扱いの具体例

 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は別紙1のとおりである。
 なお、1(2)で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、別紙1に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮

(1)合理的配慮の基本的な考え方

 関係事業者は、法第8条第2項の規定のとおり、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をするように努めなければならない。

  • ア 権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。
     法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、事業者に対し、その事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮に努めなければならないとしている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものという、いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。
     合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること及び事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。
  • イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、2(2)で示す過重な負担の基本的な考え方に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
     なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる可能性がある点は重要であることから、環境の整備に取り組むことを積極的に検討することが望ましい。
  • ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示、身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
     また、意思の表明には、障害者からの意思の表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
     なお、意思の表明が困難な障害者が家族、介助者等を伴っておらず、本人の意思の表明も支援者が本人を補佐して行う意思の表明も困難であることなどにより、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑み、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。
  • エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者や日常生活・学習活動などの支援を行う支援員等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
  • オ 介助者や支援員等の人的支援に関しては、障害者本人と介助者や支援員等の人間関係や信頼関係の構築・維持が重要であるため、これらの関係も考慮した支援のための環境整備にも留意することが望ましい。また、支援機器の活用により、 障害者と関係事業者双方の負担が軽減されることも多くあることから、支援機器の適切な活用についても配慮することが望ましい。
  • カ 同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合には、事業の類似性を踏まえつつ、事業主体の違いも考慮した上での対応に努めることが望ましい。

 さらに、文部科学省所管事業分野のうち学校教育分野については、障害者との関係性が長期にわたるなど固有の特徴を有することから、また、スポーツ分野についてはスポーツ基本法(平成23年法律第78号)等を踏まえて、文化芸術分野については文化芸術振興基本法(平成13年法律第148号)等を踏まえて、各分野の特に留意すべき点を別紙2のとおり示す。

(2)過重な負担の基本的な考え方

 過重な負担については、関係事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。関係事業者は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

  1. 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
  2. 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
  3. 費用・負担の程度
  4. 事務・事業規模
  5. 財政・財務状況

(3)合理的配慮の具体例

 合理的配慮の具体例は別紙1のとおりである。
 なお、2(1)イで示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、掲載した具体例については、

  • 前提として、2(2)で示した過重な負担が存在しないこと
  • 事業者に強制する性格のものではないこと
  • これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではないこと

 に留意する必要がある。関係事業者においては、これらの合理的配慮の具体例を含む本指針の内容を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年11月 --