基本的方向性1:社会を生き抜く力の養成

平成26年度の主な取組と今後の方向性

成果目標1(「生きる力」の確実な育成)

基本施策1 確かな学力を身に付けるための教育内容・方法の充実

*1-1 新学習指導要領の着実な実施とファローアップ等(言語活動、理数教育、外国語教育、情報教育等の充実)

○ 改正教育基本法等における「生きる力」の理念を踏まえ、現行学習指導要領では、基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度などの確かな学力の育成を目指しており、この趣旨の実現に向けて、以下の施策等を実施。

  • 学習指導要領の趣旨の徹底や、教育課程編成・実施上の課題や優れた実践の共有等のための説明会・協議会の実施。
    (教育課程地方説明会の参加実績:平成25年度16万3,308人)
  • 思考力・判断力・表現力等の効果的な育成に向け、各教科等を通じた言語活動の充実のための取組を推進。
    (平成26年度:言語活動の充実に関する実践研究の実施)
  • 確かな学力の育成に係る実践的調査研究の実施(学力定着に課題を抱える学校の重点的・包括的支援に関する調査研究等)。
  • 平成25年度に実施した情報活用能力に関する調査の結果を分析し、小・中学生の情報活用能力状況や課題取りまとめ、指導事例集を作成するとともに、高校生を対象とした情報活用能力調査の平成27年度の実施に向けて、その在り方を検討。
    (・理数教育の充実に係る取組を実施(基本施策14-2を参照))
    (・外国語教育の充実に係る取組を実施(基本施策16を参照))

○ 児童生徒の学力や学習状況を把握し、全ての教育委員会や学校において教育施策や指導の充実・改善に活用するため、全国学力・学習状況調査を継続的に悉皆で実施するとともに、調査結果等から明らかになった課題の改善等のため、教育委員会や学校における取組に対する支援等を実施。

○ 平成26年11月に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」中央教育審議会に諮問。教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在り方を一体として捉えた、新しい時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方(いわゆる「アクティブ・ラーニング」の充実を含む)等について検討。

○ 子供たちに、土曜日における充実した学習機会を提供する方策の一つとして土曜授業を捉え、設置者の判断により、土曜授業を行うことが可能であることを明確化するため、学校教育法施行規則を改正(平成25年11月29日施行)。

○ 平成26年度には、質の高い土曜授業の実施のための支援策や企業・団体等の外部人材を活用して地域における多様な学習、文化やスポーツ、体験活動など様々な活動を促進するための支援を実施。平成27年度予算においては、地域の要望等を踏まえ、プログラムの内容を充実するとともに実施校数の拡充を図ることによって、子供たちにとってより豊かで有意義な土曜日を実現するための予算(16億円)を計上した。

○ より教育基本法の趣旨に則ったバランスの取れた教科書で子供たちが学ぶことができるよう、「教科書改革実行プラン」に沿って教科書の編集・検定・採択の各段階において必要な制度改善を実施。具体的には、平成26年1月に教科書検定基準を改正するとともに、同年4月には教科書採択制度の改善を図るため教科書無償措置法の改正などを実施。

→ 引き続き、上記の取組を推進するとともに、課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(アクティブ・ラーニング)の充実を図る。

*1-2 ICTの活用等による新たな学びの推進

○ クラウド等の最先端技術を利用しながら、学校間、学校・家庭が連携した新しい学びを推進するための指導方法の開発、教材や指導事例等の共有など、先導的な教育体制の構築に資する実証研究を実施。

○ ICTを活用した教育の推進を図るため、ICTを活用した教育効果の検証方法やICTの活用が最適な指導方法、教員のICT活用指導力向上方法の開発を行うための実証研究を実施。

○ 多様な情報端末においてデジタル教材等を利用可能とするとともに、デジタル教材等による学習の過程や成果を記録して、それらを活用した学習活動を可能とするための技術的条件の検討を実施。

○ 独立行政法人教員研修センターにおいて実施している、各地域で情報教育を推進する中核的な役割を担う指導主事等を対象とした教員研修等を通じて、教員のICT活用指導力の向上に努めているところ。「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」では、「授業中にICTを活用して指導する能力」は、平成26年3月現在、69.4%(平成25年3月:67.5%)となっており、年々向上が図られている。
(○ 言語活動の充実に係る取組を実施(基本施策1-1を参照))

→ ICTを活用した教育の推進を図るため、デジタル教材等の標準化のための取組や、各地域において、学校間、学校・家庭が連携した新しい学びを推進するための研究を実施するほか、ICT活用指導力の向上やICTを活用した授業実践を行う体制構築を支援するとともに、過疎地や離島などの人口過少地域において、ICTを活用して遠隔地間をつないだ学校教育及び社会教育に関する実証研究を実施する。

1-3 高等学校教育の改善・充実

○ 高等学校教育の質の確保・向上に向け、中央教育審議会では、高等学校教育部会において平成26年6月に「審議まとめ」を取りまとめた。また、高大接続特別部会での審議を経て、平成26年12月に答申を取りまとめ、これに基づき、平成27年1月に高大接続改革実行プランを策定。これらを踏まえ、全ての高校生について、身に付けるべき資質・能力を確実に育み、生徒の学習意欲の喚起、学習の改善を図ることができるよう、高等学校段階の基礎学力を評価する新テスト「高等学校基礎学力テスト(仮称)」導入や、高等学校の教育内容や学習・指導方法、評価方法等の見直しを開始。

○ 高等学校における遠隔教育の導入について、平成26年7月から有識者会議において検討を進め、同年12月に報告を取りまとめ。省令を改正し、これまで原則として認められていなかった全日制・定時制課程の高等学校における遠隔教育を新たに認めることとした(平成27年4月1日施行)。

○ 高等学校教育を通じて身に付けるべき資質・能力を多面的に評価する手法について調査研究するため、高等学校における「多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」を実施(平成26年度委託先:20団体)。

→ 中央教育審議会高等学校教育部会・高大接続特別部会の審議を踏まえ、平成31年度の新テストの導入等高等学校教育の質の確保・向上に向け、具体的な検討を進める。

1-4 復興に向けた教育の推進

○ 「復興教育支援事業」として、被災地の復興を支え、今後の学校教育の新しいモデルともなる先進的な教育活動を実施する団体(自治体・大学・NPO法人等)の取組を支援(平成26年度予算額:5,000万円、委託件数:9件)。

○ 児童生徒等が、放射線に関する知識を科学的に理解し、科学的に考え行動することができるよう、児童生徒等を対象とした出前授業等を実施。

→ 今後も、被災地の復興状況を踏まえ、特色ある取組に対する支援の充実を図っていく。 
→ 放射線に関する理解を深化するための出前授業等を引き続き実施していく。

1-5 社会的・職業的自立に向け必要な能力を育成するキャリア教育の推進(13-1に後掲)

基本施策2 豊かな心の育成

*2-1 道徳教育の推進

○ 教育再生実行会議の第一次提言を受け、道徳の新たな枠組みによる教科化などの検討を行う「道徳教育の実施に関する懇談会」を開催し、平成25年12月に、道徳の時間を「特別の教科 道徳」」(仮称)として位置付けるべきなどの報告を取りまとめた。その報告を踏まえ、平成26年2月に道徳に係る教育課程の改善等について、中央教育審議会に諮問し、平成26年10月に「道徳に係る教育課程の改善等について」(答申)がなされた。本答申等を踏まえ、平成27年3月に道徳の時間を新たに「特別の教科 道徳」として位置付けることなどに係る学習指導要領の一部改正等を実施。

○ 道徳教育用教材「心のノート」を全面改訂し、児童生徒が道徳的価値について自ら考え、実際に行動できるようになることを狙いとして、新たな教材「私たちの道徳」を作成し、全国の小・中学校に配布。「私たちの道徳」は、平成26年度より使用が開始されており、文部科学省では、より効果的な活用を促進する手引として「『私たちの道徳』活用のための指導資料」を作成し、全国の教員等に配布。

○ 「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」として、外部講師の派遣や保護者・地域との連携など特色ある取組や地域教材の作成、「私たちの道徳」の活用、教員の指導力向上を目的とした「道徳教育パワーアップ研究協議会」の開催などに対する支援を実施(平成26年度委託団体数:61件)。

→ 学校間・教員間で取組の格差が大きい状況。道徳教育を実施する上での課題として、指導の効果の把握が困難、効果的な指導方法がわからない、適切な教材の入手が難しいなどが指摘されており、これらの課題を解決するための取組を引き続き行う。
→ また、改正学習指導要領の全面実施に向け、その趣旨を広く周知するとともに、学習指導要領解説の改訂や教科用図書検定基準の改正を行う。

2-2 人権教育の推進

○ 学校教育に関しては、人権教育の実践的な研究を行う「人権教育研究推進事業」を実施するとともに(平成27年度:43地域・101校)、平成20年3月に公表した「人権教育の指導方法等の在り方について(第3次とりまとめ)」を周知し、教育委員会や学校等における人権教育の取組の改善・充実を支援。平成23年から「人権教育に関する特色ある実践事例集」を公表。

○ 法務省の人権擁護機関では、「子どもの人権を守ろう」を啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げ、人権擁護委員が中心となって、学校における総合的な学習の時間等を利用し、子供たちが「いじめ」について考える機会をつくる「人権教室」や、配布された花の種子、球根等を協力して育てることによって、子供たちが生命の尊さを実感し、思いやりの心を体得することを目的とする「人権の花運動」、作文を書くことを通じて、人権尊重の重要性、必要性について理解を深めるとともに、豊かな人権感覚を身に付けることを目的とする「全国中学生人権作文コンテスト」を実施するなど、各種人権啓発活動を実施。【法務省】

→ 人権教育の推進に関する取組状況調査の結果から、各教育委員会や学校における人権教育の取組についてはおおむねその定着が図られているといえるが、前回の調査時と比べて大きな進展がみられるというまでには至っていない状況にある。今後、人権教育の指導方法等の在り方に関する調査研究会議の議論を踏まえつつ、「第三次とりまとめ」の更なる周知・活用促進を図ることなどを通じ、各教育委員会や学校における人権教育の取組の改善・充実を進める。

*2-3 生徒指導体制及び教育相談体制の整備・充実

○ 平成26年度予算において、スクールカウンセラーについては、全公立中学校(1万校:うち200校は小中連携型)及び公立小学校(1万3,800校:うち400校は小中連携型)への配置に加え、公立中学校等への週5日相談体制の導入(200校)等に必要な経費を計上し、スクールソーシャルワーカーについては、全国で1,466人の配置に必要な経費を計上。

○ 平成26年度には、より効果的な不登校施策の検討に資するため、有識者会議において「不登校生徒に関する追跡調査」を取りまとめ。中学3年時に不登校であった者の高校中退率が大きく下がる等、この間の学校・教育委員会等の取組の成果が見られる結果となった。

○ 平成26年11月には、全国不登校フォーラムを行い、関係者から意見を集めた。加えて、平成27年1月に「不登校に関する調査研究協力者会議」を設置し、不登校の未然防止や不登校児童生徒への必要な支援の在り方等について更なる検討を実施。

○ 平成26年11月には、フリースクール等で学ぶ子供たちへの支援策等を幅広く議論するきっかけとするため、全国フリースクール等フォーラムを開催。平成27年1月に「フリースクール等に関する検討会議」を立ち上げ、フリースクール等での学習に関する制度上の位置付け、子供たちへの学習支援の在り方、経済的支援の在り方などに関して検討中。

○ 平成26年度には、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」において、学校における自殺予防教育導入の手引である「子供に伝えたい自殺予防」、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」の改訂版及び「子供の自殺等の実態分析」について審議のまとめを作成し、公表。

○ 平成27年度予算において、スクールカウンセラーについては、全公立中学校(1万校:うち300校は小中連携型)及び公立小学校(1万4,000校:うち600校は小中連携型)の配置に加え、引き続き公立中学校等における週5日相談体制の実施(200校)等に必要な経費を計上し、スクールソーシャルワーカーについては、全国で2,247人の配置に必要な経費を計上。また、貧困対策のための重点加配として、スクールカウンセラーで新規に600校計上するとともに、スクールソーシャルワーカーにおいても新規に600人計上。

→ スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのニーズは年々高まっており、教育相談を必要とする全ての児童生徒が適切な教育相談を受けることができるよう、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを活用した教育相談体制を一層整備・充実させる。
→ 不登校児童生徒及び児童生徒の自殺予防に関する効果的な施策の在り方について、引き続き検討する。 

2-4 いじめ、暴力行為等の問題への取組の徹底

○ 平成25年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、暴力行為の発生件数は約6万件、いじめの認知件数は約18万6,000件、不登校生徒数は約17万5,000人にのぼるなど、児童生徒の問題行動等は、教育上の大きな課題。

○ 平成25年6月、第183回国会において「いじめ防止対策推進法」が成立。本法律では、いじめの防止等のための対策に関する基本理念を定めるとともに、国・地方公共団体・学校等の責務を明らかにし、基本方針の策定や組織の設置等について規定。文部科学省では同年10月、法に基づき、「いじめの防止等に関する基本的な方針」を策定。「いじめの防止等に関する普及啓発協議会」や、教員を対象にした「いじめの問題に関する指導者養成研修」を開催するなど、同法や方針を周知。

○ 平成26年度は、同法に基づく取組状況の把握と検証を行うとともに、いじめの問題を含めた生徒指導上の諸問題に関して、より実効的な対策を講じるため、「いじめ防止対策協議会」を設置。また、いじめの問題に主体的に取り組むリーダーとなる児童生徒を育成するとともに、全国各地での多様な取組を一層推進するため、「全国いじめ問題子供サミット」を開催。

○ 平成26年度において、体罰の実態を把握するための調査等を実施するとともに、調査の結果等も踏まえながら、生徒指導担当者が出席する会議等で体罰禁止に関する取組の抜本的な強化を求めた。

○ 川崎市で発生した中学生殺害事件を受け、丹羽副大臣を主査としたタスクフォースを立ち上げ、児童生徒の安全に関する学校における早期対応の指針を取りまとめるとともに、学校と警察等の関係機関との連携等を推進するため通知を発出。

→ いじめの問題への対応は、学校における最重要課題の一つであり、いじめ防止対策推進法及び基本方針に基づき、国・地方公共団体・学校・地域住民・家庭その他の関係者の連携の下、いじめの未然防止、早期発見・早期対応のための対策を総合的かつ効果的に推進する。
→ 体罰は、学校教育法で禁止されており、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等への信頼を失墜させるものであるから、引き続き、その禁止の徹底を図る。 

2-5 学校における体験活動及び読書活動の充実

○ 「健全育成のための体験活動推進事業」により、いじめの未然防止を図るため、児童生徒の健全育成を目的とした学校が実施する宿泊体験活動の取組を支援。

○ 平成26年度予算においては、引き続き、いじめの未然防止を図るために、農山村漁村等における様々な創意工夫のある体験活動を通じて児童生徒の豊かな人間性や社会性を育む取組を更に促進するために学校数を拡充(269校→468校)。

○ 平成27年度予算においては、中学校、高等学校等の学校教育活動における2泊3日以上の宿泊体験活動の取組(356校)を支援するとともに、教育委員会が主催する夏休み期間中等に希望者を募って行う学校教育における農山漁村体験活動の導入のための取組(134地域)を支援することとした。

○ 学校における読書活動の充実については、学校図書館法の改正を踏まえ、地方財政措置等を通じ、図書整備や学校司書の配置を促進するとともに、全校一斉の読書活動や図書館と学校図書館の連携・協力の重要性を踏まえた子供の読書環境の充実に努めた。

【参考】

  • 宿泊体験活動を実施した公立小学校の割合
    92%(平成23年) → 94%(平成24年)→94%(平成25年)(文部科学省調べ)
  • 全校一斉の読書活動の実施状況(公立学校) 
     小学校96.2%、中学校87.5%【平成22年5月現在】
    →小学校96.7%、中学校88.3%【平成26年5月現在】
  • 公共図書館との連携状況(公立学校)
     小学校73.8%、中学校45.4%【平成22年5月現在】
    →小学校76.5%、中学校49.8%【平成24年5月現在】

→ 学校教育における体験活動の意義や教育的効果等について、学校や教育委員会へ引き続き周知する。また、関係省庁と連携し、体験活動の一層の推進を図る。

2-6 伝統・文化等に関する教育の推進

○ 改正教育基本法の趣旨を踏まえて改訂された学習指導要領では、伝統文化に関する内容の充実が図られている。この現行学習指導要領の趣旨の実現に向けて、以下の施策を実施。

○ 現行学習指導要領の趣旨・内容の周知、教育課程編成・実施上の課題等の共有のための説明会・協議会の開催(教育課程地方説明会の参加実績平成25年度:16万3,308人(26年度:集計中))。

○ 子供たちの豊かな創造力・想像力や、思考力、コミュニケーション能力などを養うとともに、将来の芸術家や観客層の育成につなげるため、小学校・中学校等において、一流の文化芸術団体による巡回公演や、芸術家の派遣を行う「文化芸術による子供の育成事業」を実施。(文化芸術団体による巡回公演:平成26年度1,797公演、学校への芸術家派遣:平成26年度2,783件)。 

○ 劇場、音楽堂等が小・中学校等や実演芸術団体と連携・協力を図りつつ子供たちが一流の実演芸術に触れる機会を提供する事業等に支援する「劇場・音楽堂等活性化事業」を実施(採択件数:平成26年度165件)。

○ 子供たちの感性や創造性を養い、将来の地域の文化芸術の担い手を育てるため実施する文化芸術の鑑賞・体験事業等、地方公共団体が企画する文化芸術の創造発信事業を支援する「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業を実施(採択件数:平成26年度115件)。

○ 我が国の「たから」である地域の多様で豊かな文化遺産を活用した、伝統行事・伝統芸能の公開、後継者養成、古典に親しむ活動や子供たちが親とともに地域の伝統文化に触れる体験事業など、特色ある総合的な取組を支援する「文化遺産を活かした地域活性化事業」を実施(採択件数:平成25年度625件)。平成26年度予算においては、子供たちが親とともに、民俗芸能、工芸技術、邦楽、日本舞踊、茶道、華道などの伝統文化・生活文化を体験・修得できる機会を提供する「伝統文化親子教室事業」を、「文化遺産を活かした地域活性化事業」から独立した事業として創設し、これに係る予算を計上(12億円(3億円増))(平成25年度採択数3,400教室→平成26年度採択数3,317教室)。

○ 平成24年度より実施された中学校保健体育における武道の必修化を踏まえ、保健体育科教員及び運動部活動指導者(外部指導者を含む)に対し、指導者としての資質向上を図るための武道(少林寺拳法、合気道、空手道、相撲)実技指導者講習会(講義及び実技指導)を開催し、学校等における武道指導の充実を推進。

○ 平成24年度より実施された中学校保健体育における武道の必修化を踏まえ、武道の円滑かつ安全な実施のための指導参考資料「柔道指導の手引(三訂版)」並びに「柔道指導のための映像参考資料」を作成し、中学校及び高等学校に配布し、効果的な柔道の指導が行われることを支援。

○ また、武道等指導推進事業により、武道等の指導の充実を図るため、地域の指導者の活用に当たって、地域の指導者の技術及び安全に関する専門的な指導力の活用方策や、派遣する競技団体等の支援体制の強化に関する実践研究を実施するとともに、教員を対象とした安全指導の充実を図るための取組を推進。

○ さらに、平成26年度は武道必修化の全面実施3年目となることから、同事業において、今回の学習指導要領で必修化したことの成果と課題を把握、分析し、指導の一層の工夫改善を推進。

→ 学習指導要領を踏まえた伝統・文化等に関する教育の着実な実施のための支援を充実する。
→ 学校における武道指導を支援するため、実技指導者講習会等を通じて指導者の資質向上等を図る。
→ 武道の円滑かつ安全な実施のための指導参考資料「柔道指導の手引(三訂版)」並びに「柔道指導のための映像資料参考資料」の活用を促し、武道の授業の充実を図る。
→ 学校における武道の指導の効果を高め、安全の確保を確実にするため、引き続き、教員の資質向上・指導力強化を含めた、指導体制、指導内容等を整備することを一層推進する。

2-7 青少年を有害情報から守るための取組の推進

○ スマートフォン等のインターネット接続機器の普及とともに、インターネットなどの長時間利用による生活リズムの乱れや、有害サイトを通じた犯罪等に巻き込まれるケースが発生していることなどを踏まえ、文部科学省では、青少年インターネット環境整備法等に基づき、地域・民間団体・関係府省庁等と連携しつつ、普及啓発資料の配布、フィルタリングやインターネット利用のルールに関する学習・参加型のシンポジウムの開催、春の卒業、進学、新入学の時期に合わせた集中的な啓発活動などを実施し、保護者及び青少年に対する啓発や教育活動を推進。

○ 各学校では、学習指導要領に基づき、インターネットの適切な利用方法や、情報モラルなどについて指導。また、児童生徒の「ネット依存」をはじめ、スマートフォンやソーシャルメディアの普及に伴うトラブルの発生など、情報化の進展に伴う新たな課題に対応し、適切に指導を行うため、教員が指導する際に役立つ動画教材や教員向け指導手引書を作成し、全国の教育委員会に周知・配布。

○ 子供たちの情報モラルを育成するため、「子供のための情報モラル育成プロジェクト」を開始し、スローガン「考えよう 家族みんなでスマホのルール」とロゴマークを制作し、教育委員会や企業などの協力団体とともに取組を推進。

【参考1】

  • 携帯電話、スマートフォン等を通じて1日2時間以上インターネットを利用する子供の割合
    小学生  1.2%(平成21年) → 24.1%(平成26年)
    中学生 20.9%(平成21年)  → 47.4%(平成26年)
    高校生 39.1%(平成21年)  → 67.3%(平成26年)
    (平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査※(内閣府))

【参考2】

  • 「出会い系サイト等」に関係した事件の被害児童数
    出会い系サイト以外 792人(平成20年) → 1,421人(平成26年)
    出会い系サイト   724人(平成20年) → 152人(平成26年)
    (「平成26年中の出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」(警察庁))

【参考3】

  • インターネット接続機器の使い方についての家庭のルールの有無
    小学生 60.2%(平成21年) → 74.1%(平成26年) 
    中学生 73.5%(平成21年)  → 69.3%(平成26年)
    高校生 51.2%(平成21年)  → 50.8%(平成26年)
    (平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査※(内閣府))
    ※「青少年のインターネット利用環境実態調査」は平成26年度より調査方法等を変更したため、平成25年度以前の調査結果と直接比較できない。

→ 青少年がインターネットを正しく利活用できるよう、上記の取組などを引き続き進め、青少年、保護者、PTA等に対するより一層効果的な普及啓発活動を行う。   
→ また、引き続き、学習指導要領に基づき、情報モラルに関する教育の推進を図るとともに、児童生徒や保護者等の情報モラルの向上に向けた施策を講じる。 

2-8 新学習指導要領の着実な実施とフォローアップ等(基本施策1-1の再掲)
2-9 復興に向けた教育の推進(基本施策1-4の再掲)

基本施策3 健やかな体の育成

3-1 学校保健、学校給食、食育の充実

○ 高等学校における保健教育の実施状況を踏まえ、課題を明確にした上で、指導参考資料の作成を行い、高等学校における保健教育を一層推進。

○ 児童生徒の現代的健康課題に対応するため、地域の実情を踏まえた医療機関等との連携など課題解決に向けた計画の策定、それに基づく具体的な取組に対して支援を行うとともに、その結果等について全国的な発信を行う「学校保健課題解決支援事業」を実施し、学校、家庭及び地域の医療機関等との連携による保健管理を推進。

○ スーパー食育スクール事業を行い、栄養教諭を中心に地域の関係機関と連携して食育を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進など食育の多角的効果を検証し、成果の普及を図っている。このような取組により、栄養教諭の配置数は増加。

○ 学校給食における米飯給食の活用を含めた地場産物の活用を促進。

【参考1】栄養教諭の配置状況
 ・平成20年度:1,897人 → 平成26年度:5,023人

【参考2】学校給食における地場産物の活用状況
 ・平成20年度:23.4% → 平成25年度:25.8%

【参考3】米飯給食の実施状況(週当たり)
 ・平成20年度:3.1回 → 平成25年度:3.3回

→ 引き続き、学校保健に係る教職員の資質・能力向上、退職養護教諭や学校医等の活用、家庭・地域との連携などにより、保健教育・保健管理をより一層推進する。
→ 平成23年3月に閣議決定された「第2次食育推進基本計画」(平成25年12月一部改正)等も踏まえ、栄養教諭の配置を促進するとともに、学校給食における地場産物の活用促進及び米飯給食の一層の普及・定着を図る。

3-2 学校や地域における子どものスポーツ機会の充実

○ 「幼児期の運動に関する指導参考資料作成事業」においては、幼児期の運動促進を図るため、平成24年3月に策定した幼児期運動指針を踏まえて、幼稚園等を対象とした地域の実情に応じた実践研究を行うとともに、その取組内容を基とした指導参考資料を作成し、全国の幼稚園・保育所等に配布。

○ 平成20年度から全国体力・運動能力、運動習慣等調査を開始し、国、地方公共団体、学校での関係施策や取組の検証を進めるとともに、調査結果に基づき子供の体力向上を推進する事業等を実施。

【参考】

(体力合計点の推移)

  • 小学5年男子 平成25年度:53.9 → 平成26年度:53.9
  • 小学5年女子 平成25年度:54.7 → 平成26年度:55.0
  • 中学2年男子 平成25年度:41.7 → 平成26年度:41.6
  • 中学2年女子 平成25年度:48.3 → 平成26年度:48.5

(昭和60年度との比較)

  • 50m走(小学5年男子)
    昭和60年度平均:9.05秒 →  平成25年度:9.26秒
  • ハンドボール投げ(中学2年女子)
    昭和60年度平均:15.36m → 平成25年度:13.76m
    (1週間の総運動時間が60分未満の割合)
  • 小学5年女子:平成25年度:21.0% → 平成26年度:13.3%
  • 中学2年女子:平成25年度:29.9% → 平成26年度:21.8%
    (全国体力・運動能力、運動習慣等調査、昭和60年度との比較については体力・運動能力調査)

→ 幼児期運動指針の内容の着実な定着に向け、引き続き幼稚園等を対象とした地域の実情に応じた実践研究を行うとともに、その取組内容をもととした指導参考資料の作成を行っていく。
→ 子供の体力については、おおむね低下傾向に歯止めがかかってきているが、基礎的運動能力は昭和60年頃に比べて依然低い水準にあり、また、運動する子供としない子供が二極化していることから、運動習慣が身に付いていない子供に対する支援の充実を促進するとともに、子供の体力を向上させるための一層効果的な取組を進める。

3-3 新学習指導要領の着実な実施とフォローアップ等(基本施策1-1の再掲)
3-4 復興に向けた教育の推進(基本施策1-4の再掲)
3-5 学校における体験活動の充実(基本施策2-5の一部再掲)
3-6 主体的に行動する態度を育成する防災教育など学校安全に関する教育の充実(基本施策19-2に後掲)

基本施策4 教員の資質能力の総合的な向上

*4-1 学び続ける教員を支援する仕組みの構築 -養成・採用・研修の一体的な改革-

○ 平成26年7月、中央教育審議会において「1.子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」「2.これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について」の諮問が行われた。この諮問を受け、教員養成・採用・研修の在り方について、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会において審議・検討を行っているところ。1.については小中一貫教育に対応した教員免許制度の在り方について平成26年11月に「これからの学校教育を担う教員の在り方について―小中一貫教育制度に対応した教員免許制度改革―(報告)」を取りまとめ。2.については教員養成・採用・研修の全体に共通する背景、課題、改革の方向性を踏まえつつ、平成27年夏頃を目途として一定の方向性を示すことができるよう議論を進めた。

○ 平成26年度において「総合的な教師力向上のための調査研究事業」を実施し、実践的指導力を身に付けた教員や、教職員を指揮監督して学校を適切にマネジメントし責務を全うできる教職員の確保・育成に向けた取組を支援。

○ 教職大学院の教育課程や教員組織の見直し等の具体化に向け、平成25年10月、「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」において、国立の教員養成系修士課程の教職大学院への段階的移行等による大学院段階の教員養成の改革と充実、教職課程に関する情報の公表及び教職課程のグローバル化対応についての報告書(「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」)を取りまとめ。

→ 学校現場においては、グローバル化を踏まえた英語教育の強化、理数教育、道徳教育、ICT活用、特別支援教育、いじめ問題をはじめ、多様な課題への対応が求められている。また、子供たちに基礎的な知識・技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育むことが求められている。そのため、教員には、これらの課題に対応するために生徒指導・教科指導をはじめとする幅広い分野の高い専門性と実践的な指導力を身に付けられるよう、養成段階から初任段階までを見通した教員育成の改善を図る。

4-2 大学・大学院における教員養成の改善

○ 平成25年10月、「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」において、「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」を取りまとめ。

○ 本報告書では、国立の教員養成系修士課程の教職大学院への段階的移行や、専修免許状取得に際しての理論と実践の往還を重視した実践的科目の各大学院の判断による必修化の促進、教職課程に関する情報の公表及び教職課程のグローバル化等について提言。

○ 本報告を踏まえ、教職課程における情報の公表の義務付け、外国の大学において修得した単位を免許状の授与を受けるための科目の単位に含めることができる旨の省令改正等を実施。

○ また、本報告書を踏まえ、教職大学院への移行を促進するよう、教職大学院及び修士課程の組織編成に係る省令改正等を実施。

○ 国立大学について、国立大学改革プランに基づき、初等中等教育を担う教員の質の向上のための機能強化を図る観点から、各大学においてミッションの再定義を行い、組織編制の見直し等を推進。

→ 国立大学について、平成24年の中央教育審議会答申(教職大学院を各都道府県に設置することを提言)及び上記報告書等を踏まえ、教職大学院の設置等の組織編制の見直しを推進(平成27年度に2府県2大学を新たに設置し、平成27年4月現在で22都道府県27大学。)。
→ 英語教育の強化や国際バカロレアなどのグローバル化に対応した教育、理数教育、道徳教育、ICT活用、特別支援教育、いじめ問題対応など、学校が多様な教育課題に取り組むことが求められており、大学の教職課程において、これらの課題に適切に対応し、学校現場の実情に即して教育活動を展開していくことのできる指導力を育成することが課題となっている。また、主体的・協働的に学ぶ授業を展開できる力、各教科横断的な視野で指導できる力、学校段階間の円滑な移行を実現する力等、新しい指導力の養成も必要となる。これらの課題を踏まえ、学校現場の教育課題に適切に対応できる実践的指導力を育成する教員養成の在り方について検討を進める。   

4-3 教員採用の在り方の改善と多様な人材の登用

○ 多様な人材の登用については、平成25年度においては、59件の特別免許状が授与されるとともに、1万9,539件の特別非常勤講師制度の届出がなされており、教員免許状を持っていないが優れた知識経験等を有する社会人等の活用が進んでいる。

○ 平成26年6月、都道府県教育委員会による特別免許状の積極的な授与に資するとともに、特別免許状所有者による教育の質を担保するため、「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」を作成し、各都道府県教育委員会に対し通知。

○ 平成26年度において「総合的な教師力向上のための調査研究事業」を実施し、教育委員会が教員志望者を対象として行っている教師塾を拡充し、学生の段階から実践的指導力を育成できるよう、教師塾の指導体制の検証や、大学と連携したプログラム開発の支援を実施。また、多様な人材の活用をより促進するため、教員免許状を持たない専門的な知識・技能のある優れた人材の学校現場への登用を促進するよう、特別免許状などを活用した社会人登用の仕組みを構築の支援を実施。

→ 実践的指導力を身に付けた教員を育成するため、教育委員会と大学が連携した養成・採用・研修の抜本的改革に向けた調査研究について、平成27年度は更に実施機関を拡充して実施する。

4-4 教育委員会・学校と大学との連携・協働による研修の高度化

○ 平成26年度において「総合的な教師力向上のための調査研究事業」を実施し、教育委員会と大学をはじめとする関係機関が連携した、養成、採用、研修、管理職育成の各段階における先導的取組を支援。

○ 教員免許更新制度について検討を加え、必要に応じて所要の措置を講ずるため、平成25年9月に「教員免許更新制度の改善に係る検討会議」を設置し、平成26年3月、現代的な諸課題に対応できる免許状更新講習に係る枠組み・内容の改善や、免許状更新講習と現職研修との役割分担の在り方等に関し、「教員免許更新制度の改善について」を取りまとめた。

○ この報告を踏まえ、省令改正を行い、免許状更新講習について、これまでの必修領域を精選するとともに、学校種・免許種や教職経験に応じて現代的な教育課題を適時に多くの受講者が学べ、かつ、現職研修経験に応じて履修内容を調整できる領域として選択必修領域を導入するなど、その枠組みや内容の見直しを実施。

→ 実践的指導力を身に付けた教員を育成するため、教育委員会と大学が連携した養成・採用・研修の抜本的改革に向けた調査研究について、平成27年度は更に実施機関を拡充して実施する。
→ 複数の学校種を通貫した教育、小学校高学年における専科指導の推進、小中一貫教育の制度化に対応するため、教職大学院を活用しつつ、現職教員の研修環境の充実を図るとともに、隣接校種等の新たな免許状取得を促進する講習等開発事業を平成27年度に実施する。
→ 教員研修に係る中核的機能の充実を図るため、平成27年度に独立行政法人教員研修センターに「次世代型教育推進センター」を設置し課題解決・協働型授業等に関する研修システムを構築し、各地域の研修機能のネットワーク化を図る。

4-5 適切な人事管理の実施の促進

○ 教職員評価については、平成26年4月現在、一部実施を含めると全ての都道府県・指定都市教育委員会が教職員評価制度の運用・充実に取り組んでいる。一方、評価した結果の人事、給与等への反映については、教育委員会において、一層取組を充実する必要がある(全ての67教育委員会のうち、研修:30、配置転換:22、昇任:25、昇給・降給:18、表彰:21)。

○ 優秀教職員表彰については、平成25年4月時点で、全ての67都道府県・指定都市教育委員会のうち、59教育委員会が実施しており、そのうち、41教育委員会が、教員以外の職員も表彰対象としている。また、16教育委員会が、被表彰者に対する給与上の優遇措置を設けている。なお、国においても、平成18年度より優秀教員表彰を実施しており、平成25年度からは事務職員等を対象に加え、優秀教職員表彰として実施。

○ 指導が不適切な教員の人事管理に関するシステムについては、全ての67都道府県・指定都市教育委員会が導入している。平成25年度に新規認定された指導が不適切な教員は64人であり、漸減傾向にある(平成24年度:69人、平成23年度:73人、平成22年度:87人)。

○ 教職員のメンタルヘルスに関して、平成25年度の教育職員の精神疾患による病気休職者数は5,078人で、依然として高水準となっている。一方、試し出勤等の復職支援に全ての67教育委員会が取り組んでおり、52教育委員会が復職後のフォローアップに対応している。

→ 教職員評価を活用した人事管理、優秀教職員表彰の整備、指導が不適切な教員への適切な対応、教職員のメンタルヘルス対策等のため、文部科学省として、様々な機会を捉え、教育委員会に対し必要な指導を行っていく。 

4-6 メリハリある給与体系の確立

○ 義務教育費国庫負担金の平成26年度予算において、メリハリある教員給与体系を推進するため、部活動指導手当等の増額(7億円)や給料の調整額の縮減(7億円減)等を盛り込んだ。

→ 教員の士気を高め、教育活動の活性化を図るため、メリハリある教員給与体系の確立に向けて、引き続き検討を行う。

基本施策5 幼児教育の充実

5-1 幼児教育の質の向上

○ 幼稚園の園長、地域の指導的立場にある幼稚園教員、保育所保育士、認定こども園の教員・保育士、幼稚園教員養成系大学の教員、小学校の教員等の参加を得て、幼稚園の教育課程の編成及び指導上の課題や幼稚園を取り巻く諸課題に関して中央及び都道府県において研究協議会を実施。

○ 子ども・子育て支援新制度の施行(平成27年4月)に当たり、質の向上の観点から、職員配置の充実等を図った(例:3歳児の職員配置を20:1から15:1に改善)。

○ 幼保小合同研修の在り方、幼児教育の教員の養成・研修の在り方、学校評価など、幼児教育に関する今日的課題に対する方策など幼児教育に関する様々な課題について調査研究を実施。

○ 子ども・子育て支援新制度において創設される、新たな幼保連携型認定こども園に置かれる保育教諭については、幼稚園教諭免許状と保育士資格を併有することが原則とされているところ、その片方しか有していない場合の経過措置として、取得に必要な単位数を軽減する特例を設け、併有を促進。

○ 地域の実態や保護者の要請に応じた幼稚園における子育て支援活動や預かり保育を更に充実し、実施率の向上に努めた(幼稚園における子育て支援活動実施率(平成23年度実績):約87%、幼稚園における預かり保育実施率(平成24年6月現在):約81%)。

→ 引き続き、上記の取組を進めるとともに、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続等を通じた更なる幼児教育の質の向上を図る。

5-2 質の高い幼児教育・保育の総合的提供等

○ 平成24年8月に子ども・子育て関連3法が成立し、認定こども園制度の改善や、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付である施設型給付の創設等を行うこととされた。

○ 平成25年4月に内閣府に設置された子ども・子育て会議において、平成27年度から施行する子ども・子育て支援新制度を検討。

○ 平成27年4月1日現在の認定こども園の認定件数は2,836件。

→ 子ども・子育て支援新制度については、施行後も引き続き、施行状況を踏まえた改善に向けた検討を行っていく。

基本施策6 特別なニーズに対応した教育の推進

6-1 円滑な就学手続の実現及び障害のある子どもに対する合理的配慮の基礎となる環境整備等

○ 平成25年になされた学校教育法施行令の一部改正による、障害のある児童生徒の就学手続等、新たな仕組みの趣旨等について、引き続き都道府県教育委員会等に周知を図った。

○ 「インクルーシブ教育システム構築事業」として、早期からの教育相談・支援体制の構築事業(25か所)、交流及び共同学習や地域の教育資源の組合せなどによる合理的配慮を追求するインクルーシブ教育システム構築モデル事業(80か所)の実施、「合理的配慮」実践事例データベースの運用の開始、合理的配慮普及推進セミナーの開催、医療的ケアのための看護師の配置促進等の取組を実施。
 また、「特別支援教育就学奨励費負担等」として、障害のある児童生徒等の保護者等の経済的負担を軽減するため必要な援助を実施(約102億円)。

○ 公立小・中学校等において、いわゆる通級指導への対応など特別支援教育の充実のための教職員定数の加配措置(6,176人)を講じるとともに、障害のある幼児児童生徒の学習活動上のサポート等を行う「特別支援教育支援員」の配置に係る地方財政措置について、その配置実績を踏まえ拡充(約4万6,300人)。

○ 「自立・社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育充実事業」として、障害のある生徒のキャリア教育・職業教育を推進し、就労支援の充実を図る取組を実施(35地域)。

○ 「学習上の支援機器等教材活用促進事業」として、障害のある児童生徒のための適切な支援機器等教材の開発支援(11件)や支援機器等教材を活用した指導方法の実践研究(7地域)を実施し、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所において、障害の状態や特性等に応じた教材、支援機器等活用の様々な取組の情報などを集約し、管理するための特別支援教育教材ポータルサイトを構築。

○ さらに、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所においては、インクルーシブ教育システム構築等の政策課題や各障害種別の個別課題に対応した研究活動を実施。

○ 学校施設のバリアフリー化に係る施設整備について国庫補助を実施(平成26年度当初予算での補助実績:49件)。また、学校施設のバリアフリー化に関する基本的な考え方や計画・設計上の留意点を示した指針や、好事例の普及啓発を図った。

○ 特別支援学校の教室不足については、平成26年10月1日時点の調査で、全国で3,963教室(平成25年10月1日現在:4,271教室)が不足している。それを解消するため、公立特別支援学校については、これまでの新増築の国庫補助に加え、廃校や余裕教室を活用した新設、分校・分教室の整備に係る国庫補助を平成26年度から実施(平成26年度当初予算での補助実績:78件)。

○ 高等教育段階においては、国立大学については、平成25年度より国立大学法人運営費交付金において、既に障害のある学生への支援を専門的に担当する部署を設置し専属の教職員を配置している大学に対する教員経費を計上するとともに、私立大学については、障害学生の受入れや学習支援等に積極的に取り組んでいる私立大学等に対し、既に私立大学等経常費補助金において講じている増額支援措置を継続。

○ 大学入学者選抜においても合理的配慮を行うこと等を記載した大学入学者選抜実施要項を各大学に通知するとともに、入試担当者等が集まる会議において要請。

○ 独立行政法人日本学生支援機構においては、障害学生支援についての専門的なテーマに焦点を当て、各大学等の支援の充実に資する情報や意見の交換を行う専門テーマ別セミナー(7回)や、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行に備え、各大学等における障害学生支援体制の整備について理解促進・普及啓発を図る体制整備セミナー(2回)を開催。また、障害学生のニーズに応じた円滑な支援を実施できる教職員の養成のための障害学生支援実務者育成研修会(4回)、障害のある学生の就学支援に関する実態調査等を実施。

→ 引き続き、障害のある子供が、障害の状態に応じた十分な教育を受けられるよう、教育環境の整備を進めていく。

→ 国立特別支援教育総合研究所については、我が国唯一のナショナルセンターとして、国の政策課題や教育現場の課題に対応した研究・研修機能等の強化を行う。 

6-2 発達障害のある子どもへの支援の充実

○ 公立小・中学校の通常の学級においては、発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒が6.5%程度の割合で在籍すると推定されており、「発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援・教職員の専門性向上事業」として、発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期発見・早期支援の研究(37地域)や発達障害に関する理解促進のために拠点校を設けての実践研究(27地域)や、大学において、教職員育成に対する育成プログラムの開発(12大学)を実施。

○ 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所発達障害教育情報センターにおいては、Webサイト等を通じて発達障害に関する研究活動や指導方法、教材・教具や支援機器、各種イベント等についての情報発信を実施。

→ 引き続き、教職員の発達障害に関する知識・技能の習得に向けた取組を推進する。

6-3 特別支援学校の専門性の一層の強化

○ 「特別支援学校機能強化モデル事業」として、地域における中核拠点としての特別支援学校に必要な外部専門家(OT、PT、ST等)を配置するとともに、専門性向上のための研修等を実施(46地域)。

○ 「特別支援教育に関する教職員の資質向上事業」として、特別支援学校教諭免許状の取得に資するよう、発達障害を含む多様な障害や重度・重複化に対応する指導や支援の在り方等についての専門的な研修を実施(14大学)。

○ 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所においては、各都道府県等における指導者養成に向けた研修事業、各都道府県等に対する教育相談支援を実施。

→ 引き続き、特別支援学校教諭免許状の取得に係る研修の充実に努めるとともに、特別支援学校のセンター的機能の強化に向けて、外部の専門家(ST、OT、PT等)の活用等を推進する。 

6-4 海外で学ぶ子どもや帰国児童生徒、外国人の子どもに対する教育の充実

○ 海外に在留する日本人が帯同する義務教育段階の子供の数は増加傾向にあり、これら子供が通う日本人学校等へ教員を派遣するとともに、義務教育教科書の無償給与、派遣教員のいない補習授業校への巡回指導など、教育環境整備を実施(平成26年度派遣教員数:1,199人、平成26年度巡回指導:32校)。

○ 公立学校における帰国・外国人児童生徒等に対する指導・支援体制の構築を促進するため、平成22年度から24年度の3年間で「日本語能力測定方法」及び「研修マニュアル」の開発、また各自治体が行う取組を支援する事業を実施(平成26年度実施は42地域)。

○ 日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について、学校教育法施行規則の一部を改正(平成26年4月1日施行)。

○ 景気後退等の影響により、不就学・自宅待機等となっている外国人の子供の公立学校等への転入を促進する「定住外国人の子供の就学支援事業」(虹の架け橋教室)を平成21年度から平成26年度まで実施した。本事業を通じ、約4,300人が公立学校等へ就学。

【参考】

  • 海外に在留する日本の子供(学齢段階)の数の推移
    平成21年度:6万7,318人→平成26年度:7万6,536人

→ 海外で学ぶ子供たちに対しては、引き続き質の高い教員の派遣や教材整備等、教育機会の確保及び教育環境を充実させる。
→ 全都道府県に対する、「日本語能力測定方法」等の活用の普及及び「特別の教育課程」が円滑かつ着実に実施されるための啓発を引き続き行う。
→ 平成27年度より、不就学や不登校となっている外国人の子供を対象に、公立学校や外国人学校等への就学に必要な支援を学校外において行う自治体を支援する「定住外国人の子供の就学促進事業」を実施することとしている。

基本施策7 各学校段階における継続的な検証改善サイクルの確立

7-1 継続的な検証改善サイクルの確立に向けた取組の充実等

○ 平成26年度全国学力・学習状況調査を悉皆調査で平成26年4月に実施し、同年8月に調査の結果を公表した(平成26年度調査:小学校2万380校、中学校1万238校が参加)。調査結果を活用した教育委員会や学校等における教育施策や教育指導の改善・充実に向けた一層の取組を促すため、1.具体的に授業を改善する際の参考となる「授業アイディア例」の作成・配布、2.調査結果を踏まえた指導改善のための説明会の開催、3.教育委員会、学校における優れた取組の普及、4.教科に関する調査と質問紙調査のクロス集計等を行い、学校の指導状況と学力の関係などを分析した報告書の作成・配布などを実施。

○ また、平成26年度調査から、教育委員会が公表できる調査結果の範囲を変更したところであり、各教育委員会の対応状況を把握することを目的として、平成26年11月1日時点の状況について調査。47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、1,736市町村教育委員会から回答があり、平成26年度調査結果の公表に関する調査結果を平成26年12月に公表。

→ 平成27年度全国学力・学習状況調査では、国語、算数・数学に理科を追加して4月に実施。また、教育委員会や学校が教育施策や教育指導の改善・充実を図るために、より全国学力・学習状況調査の結果を活用しやすくなるよう、結果提供の方法を改善していく。 

成果目標2(課題探求能力の修得)

基本施策8 学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換

8-1 改革サイクルの確立と学修支援環境整備

○ 平成27年度予算において、

  • 学生の能動的学修や体系的な教育課程の編成などに積極的に取り組む国立大学に対する支援(国立大学法人運営費交付金等(平成27年度予算:1兆1,006億円)の内数)
  • 全学的・組織的に大学教育の質的転換等の改革に取り組む私立大学等に  対して、経常費・設備費・施設費による一体的な支援(私立大学等改革  総合支援事業(平成27年度予算:201億円)の内数)
  • 学生の能動的な活動を取り入れた授業内容・方法の改善や、学生の学修成果を把握しそのデータに基づいた授業改善、長期学外学修プログラム実施等の大学教育改革に取り組む大学に対する支援(大学教育再生加速プログラム(平成27年度予算:12億円)の内数)等を計上した。

○ 就職・採用活動開始時期変更について、平成25年4月に内閣総理大臣より経済団体に対し、平成27年度卒業・修了予定者から、広報活動の開始時期を卒業・修了前年度の3月に、採用選考活動の開始時期を卒業・修了年度の8月に見直すよう要請(同内容は日本再興戦略(平成25年6月閣議決定)にも盛り込まれており、日本経済団体連合会においては、平成25年9月に同戦略に則した形で「採用選考活動に関する企業の倫理憲章」を見直し、「採用選考に関する指針」を策定)。
  さらに、平成25年11月に再チャレンジ担当大臣・内閣府特命担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣の連名により、外資系企業や中小企業などが加入する団体を含めた主要経済・業界団体等計447団体に対し、総理要請の趣旨・内容を踏まえた就職・採用活動が行われるよう、傘下団体・企業への周知徹底・協力を要請。
  大学等に対しては、平成25年4月に文部科学大臣より、国民や社会の期待に応える人材を育成するため、大学改革や大学教育の質的転換に積極的に取り組むよう要請するとともに、通知や説明会等を通じ、就職・採用活動開始時期変更の趣旨について周知を図った。
  また、平成27年1月に内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携し、外資系企業や中小企業などが加入する団体を含めた主要経済・業界団体等計443団体及び大学等に対し、就職・採用活動時期変更について再周知の要請等を実施。

(大学改革への支援について)
→ アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)の一体的な策定を各大学に義務付けるとともに、教学マネジメント確立などの改革に取り組む大学を重点的に支援することにより、高大接続等の実現に向けた大学教育の質的転換を進める。

(就職・採用活動開始時期変更について)
→ 引き続き、政府、大学等、経済界で就職・採用活動開始時期変更の円滑な実施に向けた取組を行う。 

8-2 専門スタッフの活用と教員の教育力の向上

○ 平成25年度先導的大学改革推進委託事業において、ファカルティ・ディベロップメント、教学に関わるデータ分析等、専門スタッフの活用と教員の教育力の向上に関する調査研究を実施。また、体系的FDの受講と大学設置基準第14条(教授の資格)に定める「大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力」の関係について、平成27年度先導的大学改革推進委託事業において調査研究の実施を検討。

○ 中央教育審議会大学分科会において、大学の組織運営の在り方について審議中。

→ 中央教育審議会大学分科会の審議結果等を踏まえ、所要の制度改正を行う。 

8-3 学修成果の把握に関する研究・開発

○ 平成25年度先導的大学改革推進委託事業において、「学修成果の把握と学修成果の評価についての具体的方策に関する調査研究」を実施。

○ 平成27年度予算において、学生の能動的な活動を取り入れた授業内容・方法の改善や、学生の学修成果を把握しそのデータに基づいた授業改善、長期学外学修プログラム実施等の大学教育改革に取り組む大学に対する支援を実施(大学教育再生加速プログラム(平成27年度予算:12億円)の内数)(基本施策8-1の再掲)。

→ 各大学における学修成果の把握や学修成果の評価の取組を推進するため、認証評価における評価事項への位置づけ等を含め、その推進方策について中央教育審議会等において審議し、方向性がまとまったものから順次対応を実施。

8-4 「プログラムとしての学士課程教育」という概念の定着のための検討

○ 平成24年8月の中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」の内容の周知を行うことにより、「プログラムとしての学士課程教育」という概念の定着を図った。

→ 引き続き同答申の内容の周知を図り、「プログラムとしての学士課程教育」という概念の定着に向けた取組を行っていく。

8-5 大学院教育の改善・充実

○ 「博士課程教育リーディングプログラム」を通じ、大学院において、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムの構築・展開を30大学62プログラムに対し支援。

→ 平成23年に策定した「第2次大学院教育振興施策要綱」の進捗を確認するとともに、「第3次大学院教育振興施策要綱」の策定に向けた検討を行うため、中央教育審議会大学院部会において、今後の大学院教育の在り方について審議中。
→ 「博士課程教育リーディングプログラム」の中間評価を行い、プログラムの構築状況、プログラムの定着や修了者のキャリアパスの確立に向けた見通しについて確認する。

8-6 短期大学の役割・機能の検討推進

○ 中央教育審議会大学分科会大学教育部会の下に、短期大学ワーキンググループを設置(平成25年9月)し、短期大学の機能の充実・再構築などを含む短期大学の在り方について審議(全8回)し、平成26年8月に「短期大学の今後の在り方について」を取りまとめた。

→ 本審議まとめを受け、関係者の意見や、高等教育における今後の改革の動向等を踏まえつつ、引き続き短期大学の振興方策について検討を行う。 

基本施策9 大学等の質の保証

9-1 大学教育の質保証のためのトータルシステムの確立

○ 中央教育審議会等を中心に、以下の通り、大学教育の質保証のためのトータルシステムの確立に向けて検討中。なお、方向性が取りまとまった事項については、順次制度改正等を実施。

【設置基準】

 別地・サテライトキャンパスに関する記述など大学設置基準等にお   ける抽象的基準の明確化等について、現在、中央教育審議会大学教育   部会において審議中。

【設置認可】

 大学の設置認可制度の改善について、中央教育審議会大学分科会及び大学設置・学校法人審議会における審議等を踏まえ、

  • 「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」を改正し、平成25年度審査から、学生確保の見通しや人材養成に対する社会的な需要の見通しに関する審査体制を充実するとともに、大学新設案件については理事長及び学長予定者から設置構想全体について説明を求める審査を実施
  • 「大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則」を改正し、より充実した審査を行うために審査期間を延長するとともに、認可後に余裕を持って学生募集が行えるよう認可時期を早期化(平成28年度開設予定案件から適用)
  • 「学位の種類及び分野の変更等に関する基準」を改正し、届出設置制度を適切に運用するため、学際領域の取扱い等についての制度改正等に取り組んでいる。

【認証評価】

 平成30年度から始まる第3期の機関別評価に向けて、認証評価制度の在り方(学修成果を重視した評価、大学が重点を置いている機能等に着目した評価、評価に関する業務の効率化等)について、現在、中央教育審議会大学教育部会において審議中。

→ 中央教育審議会大学教育部会において、大学の質保証のためのトータルシステム全体の在り方を踏まえつつ大学設置基準や認証評価の改善等について引き続き審議し、改善の方向性が取りまとまった事項から順次必要な制度改正等を行っていく予定。

9-2 大学情報の積極的発信

○ 大学団体や認証評価機関等の参画する大学ポートレート(仮称)準備委員会において取りまとめた検討経過報告に基づき、大学評価・学位授与機構内に大学ポートレートセンターを発足させるとともに、大学ポートレートの重要事項を検討する組織として「大学ポートレート運営会議」を設置。

→ 「大学ポートレート運営会議」での審議を踏まえ、国内外への情報発信の充実を図っていく。 

9-3 大学評価の改善

○ 平成30年度から始まる第3期の機関別評価に向けて、認証評価制度の在り方(学修成果を重視した評価、大学が重点を置いている機能等に着目した評価、評価に関する業務の効率化等)について、現在中央教育審議会大学教育部会において審議中(基本施策9-1再掲)。

○ 経済産業省は、平成25年度より産学連携拠点構築に取り組む大学等において、産業界の意見を反映しつつ、各大学の特色に応じた、産学連携活動の客観的なPDCAサイクルの評価制度や、産学間の知的財産権の運用ルール、産学連携・人材流動化を促進させる制度改革のモデルを構築するとともに、産学連携活動を通じて構築したモデルの実証・検証を行う「産学連携評価モデル・拠点モデル実証事業」を実施。
平成26年度は8事業者を採択。【経済産業省】

→ 認証評価制度の改善については、中央教育審議会大学教育部会において引き続き審議し、改善の方向性が取りまとまった事項から順次必要な制度改正等を行っていく予定(基本施策9-1再掲)。 
→ 引き続き各大学の特色に応じた評価の仕組みの構築を通じて、世界的な産学連携拠点の構築・発展を推進していく【経済産業省】

9-4 分野別質保証の取組の推進

○ 日本学術会議に対して審議の促進を依頼している「分野別の教育課程編成上の参照基準」について、既に第2期教育振興基本計画策定時に策定されている4分野に加え、その後新たに14分野において策定。

→ 「分野別の教育課程編成上の参照基準」の策定については、日本学術会議において、農学等の未策定の分野において、引き続き策定に向けた審議を進める予定。

9-5 国際的な高等教育の質保証の体制や基盤の強化

○ 平成23年度より、単位互換等の質の高い大学間交流を行う「キャンパス・アジア」パイロットプログラム10件を採択。平成25年8月に東京において、キャンパス・アジアの進め方を審議する日中韓大学間交流・連携推進会議(第4回)を開催し、キャンパス・アジア拡大の方向性や、モニタリングに係る基本的枠組みについて合意。

交流学生数(予定):
1,351名(派遣)、1,300名(受入)〈平成23年~平成27年〉

交流学生数(実績):
86名(派遣)、33名(受入)〈平成23年〉
337名(派遣)、297名(受入)〈平成24年〉
367名(派遣)、374名(受入)〈平成25年〉

○ 平成26年10月にインドネシアで、第2回「ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ」を開催し、ASEAN+3域内における質の保証を伴った「学生交流のためのガイドライン」案について議論を交わした。また、翌月10月には同じくインドネシアで、第2回ASEAN+3質保証専門家会合を開催し、情報交換を実施。

→ 平成27年4月に上海において日中韓大学間交流・連携推進会議(第5回)を開催し、キャンパス・アジアの拡大と持続可能な発展の方向性などについて合意。
→ 平成27年6月にタイで、第3回「ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ」を開催し、ガイドライン案への合意を行う予定。

9-6 専門学校の質保証・向上の取組の推進

○ 専修学校においては、「専修学校における学校評価ガイドライン」及び「専門学校における情報提供等への取組に関するガイドライン」に基づき、学校評価・情報公開の取組を推進するなど、質保証・向上に取り組んだ。

→ 専修学校では、産業界等の関与を十分に確保した第三者評価や教員の資質向上の在り方等について検討する。

基本施策10 子どもの成長に応じた柔軟な教育システム等の構築

10-1 子どもの成長に応じた柔軟な教育システム等の構築

○ 幼保小連携については、幼保小合同研修の在り方、幼児教育の教員の養成・研修の在り方、学校評価など、幼児教育に関する今日的課題に対する方策など幼児教育に関する様々な課題について調査研究を実施(基本施策5-1の再掲)。

○ 小中一貫教育については、子供の成長に応じた小中一貫教育等の学校間の連携や円滑な接続のための取組を推進するための調査研究を実施している。また、中高一貫教育については、中高一貫教育校における特色ある教育に関する調査研究を実施し、調査研究の事例を紹介。

○ 大学への飛び入学等については、現在、高等学校に2年以上在学した者であり、大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認める者は、当該大学への飛び入学が可能となっている※。ただし、この場合、高校を卒業せずに大学へ入学することから、高校卒業資格が得られない(基本施策14-1の再掲)。
  ※現行の飛び入学制度は平成9年度に導入。これまで導入した大学は7大学、延べ111人(平成26年)

○ 子供の成長に応じた柔軟な教育システムの構築については、平成26年7月に、教育再生実行会議において、小中一貫教育の制度化や大学への飛び入学者を対象とする高等学校の早期卒業の制度化、国際化に対応した大学及び大学院の入学資格要件の緩和、高等学校専攻科修了者の大学への編入学の制度化、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化、フリースクール等の位置付けの検討を提言。これを受け、平成26年12月、中央教育審議会において、小中一貫教育の制度化、大学への飛び入学者を対象とする高等学校卒業程度認定制度の創設、国際化に対応した大学及び大学院入学資格要件の拡大、高等学校専攻科修了者に係る大学編入学拡充を答申。

○ 小中一貫教育を行う新たな学校種である「義務教育学校」の創設及び高等学校専攻科修了者に係る大学編入学拡充を内容とする「学校教育法等の一部を改正する法律案」を平成27年の通常国会に提出した。

→ 学校教育法等の一部を改正する法律が成立した後、28年4月の施行に向け所要の政省令の整備等を実施。また、大学への飛び入学者を対象とした高等学校卒業程度認定制度の創設及び国際化に対応した大学及び大学院入学資格の拡大については、省令及び告示を改正予定。

10-2 高大接続における「点からプロセス」による質保証システムへの転換

○ 高大接続については、教育再生実行会議の提言を踏まえつつ、中央教育審議会において、平成26年12月、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革に向けた「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)」を取りまとめ。

○ また、中央教育審議会の答申を踏まえ、平成27年1月に、高大接続改革を着実に実行する観点から、文部科学省として今後取り組むべき重点施策とスケジュールを示した「高大接続改革実行プラン」を策定・公表。

○ 新たに導入する高等学校基礎学力テスト(仮称)及び大学入学希望者学力評価テスト(仮称)、各大学の個別選抜の改革や多様な学習状況・学習成果の評価の在り方など、高大接続改革の実現に向けた具体的な方策について検討する、「高大接続システム改革会議」を立ち上げた。

○ 平成27年度予算において、志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する入学者選抜方法の開発・実施等を行う大学に対する支援を計上(大学教育再生加速プログラム(平成27年度予算:12億円)の内数)。

→ 平成32年度からの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入等に向けて、必要な取組を実施する。
→ アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)の一体的な策定を各大学に義務付けるとともに、教学マネジメント確立などの改革に取り組む大学を重点的に支援することにより、高大接続等の実現に向けた大学教育の質的転換を進める(8-1再掲)。

成果目標3(生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得)

基本施策11 現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進

11-1 現代的・社会的な課題等に対応した学習の推進

(人権・環境問題・地域防災等について)

○ 現代的・社会的な課題等に対応した学級・講座(※1)について

  • 実施件数…平成23年度:7万4,861件(平成20年度:8万4,645件)
  • 受講者数…平成23年度:470万3,819人(平成20年度:543万740人)
  • 地方公共団体の関係機関(※2)が実施する学級・講座件数全体に占める割合
    …平成23年度:10.7%(7万4,861件/70万1,221件)
    (平成20年度:10.7%(8万4,645件/79万5,105件))

(※1)文部科学省「社会教育調査報告」  都道府県・市町村教育委員会及び首長部局、公民館、公民館類似施設、生涯学習センターにおける「市民意識・社会連帯意識」に関する学級・講座
講座の例:男女共同参画社会、人権学習、環境問題、消費者教育、地域防災など
(※2)都道府県・市町村教育委員会及び首長部局、公民館、公民館類似施設、生涯学習センター

(男女共同参画社会の形成に向けた学習について)

○ 男女ともに多様な選択が可能となるよう、男女共同参画の視点に立ったキャリア形成支援の推進を図るため、高校の進路指導等で活用できるブックレットを作成。

○ 働き方の見直しや子育てへの参画等、多様な選択を学ぶ機会を提供するため、学生を対象としたワークショップを実施。

○ 男女共同参画の視点を持ち、地域づくりに参画できる女性人材の育成を支援するため、グッド・プラクティスを収集、発信。

(消費者教育等)

○ 消費者教育の推進に関する法律に基づき多様な主体が連携した消費者教育の取組が各地域において実施していくことができるよう、「消費者教育フェスタ」において先進事例の紹介等を実施。

○ 消費者教育に関する教育(科目、ゼミ等)を実施している大学等は約3割(平成25年度:32.7%)。また、社会教育における消費者教育に取り組んでいる教育委員会は約4割(平成25年度:43.1%)(消費者教育に関する取組状況調査)。

○ 「消費者教育推進委員会」において「消費者教育に関する取組状況調査」や「連携・協働による消費者教育推進のための実証的調査研究」等について分析を行い、報告書を取りまとめた。

(地域参画・社会参画に係る学習について)

○ 「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」において、地域の現代的・社会的課題の解決に当たる公民館等の社会教育施設の取組を支援を通じた実証研究を行い、その成果の全国への波及を図った(平成26年度採択数:95件)。

○ 高齢者の生涯学習に関する地域の主体的な取組を促進することを通じて、高齢者が生涯現役社会を生きるアクティブ・シニアとして地域づくりに参画していけるよう、平成24年度から、高齢者の生涯学習に関する国の検討・研究成果や地域の先進的な取組事例等を活用して研究協議会を年2回開催している(平成24年度は約140名の参加者、平均満足度約84%、25年度は約190名の参加者、平均満足度約90%、26年度は約180名の参加者、平均満足度約81%)。なお、内閣府が約5年に一度実施している「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」によると、平成25年度時点で高齢者のグループ活動への参加割合は61.0%、学習活動への参加割合は14.1%なっている。

○ 高校生等の主権者意識の涵養や実社会への参画のための実践力等を育成するため、高等学校等において、地域の関係者等と連携し、体験的・実践的な学習を行う学習プログラムの開発に係る実践研究を実施。平成27年度予算においても、引き続き、所要の予算を計上し、取組を推進。

(スポーツ)

○ 平成24年3月に策定したスポーツ基本計画に基づき、「年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が関心、適性等に応じてスポーツに参画することができる環境を整備すること」を基本的な政策課題としつつ、「スポーツを通じてすべての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる社会」を創出するため様々なスポーツ施策を推進。

○ 学校の体育においては、教員の指導力の向上やスポーツ指導者の活用等による体育・保健体育の指導の充実、運動部活動の活性化等により、学校の教育活動を通じて、児童生徒がスポーツの楽しさや喜びを味わえるようにするとともに、体力の向上を図った。 

○ ライフステージに応じたスポーツ活動を推進するため、若者のスポーツ参加促進策を実施する等の「スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業」や高齢者の運動・スポーツプログラムの普及啓発等を行う「高齢者の体力つくり支援事業」、障害者と健常者が一体となったスポーツ・レクリエーション活動の推進等に取り組んだ。
 加えて、総合型地域スポーツクラブ(総合型クラブ)の育成に取り組み、地域のスポーツ環境を整備するとともに、トップスポーツと地域スポーツとの連携・協働を推進。

(持続可能な開発のための教育:ESDについて)

○ ユネスコの世界的な学校のネットワークであるユネスコスクールをESD(持続可能な開発のための教育)の推進拠点として位置付け、その加盟校数増加、連携の強化等を実施(平成23年度367校、平成24年度550校、平成25年度705校、平成26年度(平成27年2月現在)913校)。

○ 平成26年11月に愛知県名古屋市及び岡山市にて「ESDに関するユネスコ世界会議」を開催し、世界153か国・地域から76名の閣僚級を含む約3,000名が出席し、これまでの10年間の取組を総括し、今後のESDの推進方策について議論。

(男女共同参画社会の形成に向けた学習について)

→ 我が国の男女共同参画社会の形成に向けた学習に関しては、我が国の男女共同参画の現状は道半ばであるが、成長戦略としても「女性の活躍」が求められている。引き続き、学校、家庭、地域等のあらゆる場において男女平等意識の涵養や女性の社会参画促進のための学習機会の充実を図る。また、独立行政法人国立女性教育会館の機能強化も図りつつ、男女共同参画を推進する教育・学習を推進していく。

(消費生活・消費者教育について)

→ 消費者教育については、消費者教育の推進に関する法律の成立を踏まえ、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」が閣議決定された。これを受け、主体的に判断し責任を持って行動する消費者の育成のため、引き続き、指針に基づいた取組が小学校、中学校、高等学校、大学等及び地方自治体で実施されるよう促していく。また、多様な主体が連携した消費者教育の取組が各地域において実施されるよう、先進事例の効果的な紹介や地方自治体における効果的な推進体制の構築が課題である。今後も、「連携・協働による消費者教育推進のための実証的調査研究」や「消費者教育アドバイザーの派遣」などを通じて消費者教育を推進していく。
→ 消費者教育の推進に関する法律に基づき設置された消費者教育推進会議において、平成25年8月に設置した三つの小委員会の議論を踏まえ、平成27年3月に今後の消費者教育の推進に関する考え方や提案、消費者教育の担い手への期待について取りまとめたほか、各小委員会における議論についても取りまとめを行ったところ、本取りまとめで今後の課題として示されたものについて、次期消費者教育推進会議で検討していく。【消費者庁】

(地域参画・社会参画に係る学習について)

→ 平成27年度から、「地域力活性化コンファレンス」を開催し、「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」の取組成果や先進的取組等の事例等の研究を行い、得られた成果を全国へフィードバックし更なる普及・啓発を図る。 
→ 研究協議会での国の研究成果や全国の先進的事例等の紹介を通じ、関係者や関係機関の連携を図り、地域の課題解決に資する新たなネットワークの形成や仕組みづくりに取り組んでいる。しかしながら、より効果の高い事業とするため、今後は、企画内容の一層の充実や、新たな連携、共催先の模索のほか、参加者の対象を明確化したり、開催についてより積極的に周知したりするといった改善を検討する。
→ 実社会との接点を重視した効果的な学習プログラムの開発のため、複数年の継続的な取組を実施。

(スポーツ)

→ スポーツにおいては、スポーツ基本計画において、学校体育の充実及びライフステージに応じたスポーツ活動の推進、地域スポーツの振興を通じて、様々な場でのスポーツに係る学習機会の提供及びその充実を図っている。学校体育については、専科教員等の活用、障害のある児童生徒への障害の種類・程度に応じた配慮等が課題となっている。また、ライフステージに応じたスポーツ活動については、スポーツ実施率の低い比較的若い年齢層や、高齢者、障害者の一層のスポーツ参加機会の拡充等、地域スポーツにおいては、多様な主体と連携し、市区町村の人口規模や高齢化、過疎化等各地域の実情に応じた、総合型クラブの望ましい在り方や支援策等が課題となっている。 

(持続可能な開発のための教育:ESDについて)

→ 「ESDに関するユネスコ世界会議」の成果を踏まえて、国内外におけるESDの更なる推進を図っていくことが課題。国内外におけるESDの実践・普及及び国内外における学校間及び他の関係者との連携・交流を促進するための方策を講じる。

11-2 様々な体験活動及び読書活動の推進

○ 平成25年1月に、中央教育審議会より「今後の青少年の体験活動の推進について」が答申され、人づくりの”原点”である体験活動の機会を意図的・計画的に創出することが求められている中、青少年の体験活動の意義や効果を整理するとともに、現在の課題や今後の推進方策について提言。

○ 上記の答申を踏まえ、体験活動の推進施策として、家庭や企業に対する普及啓発、青少年の体験活動の評価・顕彰制度の創設、体験活動を推進する企業の表彰、防災キャンプ等を実施。

○ また、「健全育成のための体験活動推進事業」により、いじめの未然防止を図るため、児童生徒の健全育成を目的とした学校が実施する宿泊体験活動の取組を支援。

○ 独立行政法人国立青少年教育振興機構においては、全国28か所にある国立青少年教育施設を活用し、青少年の体験活動の機会と場を提供(平成26年度利用者数:約510万人)するとともに、民間団体が実施する体験活動等に対する「子どもゆめ基金」事業による助成(平成26年度採択件数:4,595件)等を実施。

○ 青少年の国際交流を推進するため、全国の青少年教育施設を活用し、自然体験・スポーツ体験・文化体験等を通して諸外国の青少年と交流する事業を実施。

○ 平成24年12月に全部改正した「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」において、図書館と学校図書館等の図書施設との連携について規定。また、平成25年5月に、「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づく「第三次基本計画」を閣議決定。

○ 上記の基準等を踏まえ、学校における全校一斉の読書活動や図書館と学校図書館の連携・協力の重要性を踏まえた子供の読書環境の充実に努めた。また、学校・図書館・読書ボランティア団体等による読書コミュニティの構築を促進するために、全国各地でフォーラムを開催。子ども読書の日(4月23日)に、「子どもの読書活動の推進フォーラム」を開催し、優れた読書活動を行っている学校・図書館・団体(個人)を表彰。

【参考1】

  • 宿泊体験活動を実施した公立小学校の割合
    92%(平成23年) → 94%(平成24年)→94%(平成25年)
    (文部科学省調べ)

【参考2】

  • 学校段階が進むにつれ読書離れが進む傾向
    1か月間全く本を読まない子どもの割合(不読率)(平成26年5月)
    小学生 4.5%(平成24年) →  3.8%(平成26年)
    中学生16.4%(平成24年) → 15.0%(平成26年)
    高校生53.2%(平成24年) → 48.7%(平成26年)
    (全国学校図書館協議会・毎日新聞社「学校読書調査」)

【参考3】

  • 市町村における「子ども読書活動推進計画」の策定状況
    市  71.1(平成23年) → 84.6%(平成26年)
    町村 38.8(平成23年) → 55.4%(平成26年)
    (文部科学省「都道府県及び市町村における「子どもの読書活動推進計画」の策定状況に関する調査結果」)

【参考4】

  • 全校一斉の読書活動の実施状況(公立学校)
    小学校96.2%、中学校87.5%【平成22年5月現在】
    →小学校96.7%、中学校88.3%【平成26年5月現在】
  • 公共図書館との連携状況(公立学校)
    小学校73.8%、中学校45.4%【平成22年5月現在】
    →小学校76.5%、中学校49.8%【平成24年5月現在】

→ 引き続き上記の取組を推進するとともに、体験活動は、家庭・学校・青少年関係団体・NPO・民間企業等の社会総ぐるみでの機会の創出が必要であるため、様々な主体が連携して子供に体験活動の機会を提供する取組の支援を図る。
→ また、学校教育における体験活動の意義や教育的効果等について、学校や教育委員会へ引き続き周知する。また、関係省庁と連携し、体験活動の一層の推進を図る。
→ 子供の読書活動については、第三次基本計画を踏まえ、市町村の読書推進計画の策定を推進するために引き続き上記の施策を実施するとともに、学校段階における差が依然として大きいため、中学生・高校生の読書活動の更なる推進を図る(平成34年度に不読率半減以下を目指す)。

基本施策12 学習の質の保証と学習成果の評価・活用の推進

12-1 多様な主体が提供する学習機会の質の保証・向上の推進

○ 「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する検討会」において、「民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン」を取りまとめ、関係省庁と連携し、周知。

○ 近年の受講者の学習ニーズの多様化等に対して、認定社会通信教育事業者が柔軟に対応できるよう、平成25年4月に社会通信教育基準を改正し、修業期間の緩和等に関する制度改正を行った。また、平成25年度から26年度において、新たな基準の下で修業期間を短縮した講座等、14講座を認定した。

○ 中央教育審議会生涯学習分科会社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループにおける審議の整理で示された今後の社会教育行政の再構築にかかる方向性に基づき、社会教育に関する専門職員である社会教育主事の養成の在り方の見直しを行っている(基本施策30-1に後掲)。

→ 民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドラインについて、引き続き周知を行う。
→ 社会通信教育基準の改正の趣旨等に関して引き続き周知を行う。
→ 社会教育主事を含めた社会教育指導者に求められる資質は多方面にわたっており、養成の在り方の見直しに当たっては十分な議論を要する。

12-2 修得した知識・技能等を評価し評価結果を広く活用する仕組みの構築

○ 平成25年度に、人材認証制度に関するニーズ調査を行って、認証機関が自らの認証制度について検証、改善を行うための自己評価シートを作成し、文部科学省のホームページに掲載して普及を図っている。

○ 学習成果が生かされる仕組みづくりのため、平成22年にまとめられた「検定試験のガイドライン(試案)」を踏まえ、自己評価・情報公開の取組の普及を促進している。平成25年度における自己評価の実施割合は、58.6%。また、平成26年度において、検定試験における第三者評価に関する実践的調査研究を実施。

○ 我が国に適した青少年の体験活動等の評価・顕彰制度を検討するための試行事業を実施。

→ 検定試験の信頼性や質の確保を図るため、今後、自己評価から、第三者評価の推進に向けた取組を行うとともに、検定試験や人材認証制度を含めた学習履歴の管理・活用の在り方について、中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会において検討を行う。
→ 青少年の体験活動等の評価・顕彰制度を広く社会に認知してもらう普及・啓発を行う。 

12-3 ICTの活用による学習の質の保証・向上及び学習成果の評価・活用の推進

○ デジタルコンテンツの質の保証や普及・奨励を図るため、教育映像等審査において、新たにデジタルコンテンツ部門を設置し、教育用デジタルコンテンツの審査を開始。

→ 教育上価値が高いデジタルコンテンツの普及・奨励を図るため、引き続き上記審査を実施する。

成果目標4(社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成等)

基本施策13 キャリア教育の充実、職業教育の充実、社会への接続支援、産学官連携による中核的専門人材、高度職業人の育成の充実・強化

*13-1 社会的・職業的自立に向け必要な能力を育成するキャリア教育の推進

○ 初等中等教育段階では、学校において教育課程の内外を通じた学習や活動における体系的・系統的なキャリア教育の実践を促進するために、教員向けの手引等の配布や研修用動画の配信、高校教員向け講演やワークショップの各地での開催等を実施。

○ また、学校と地域・社会や産業界等との円滑な連携に向けて、企業等の出前授業や職場体験活動・インターンシップの受入れ先の開拓等を行う地域組織の設置を促進する「地域キャリア教育支援協議会設置促進事業」や、「学校が望む支援」と「地域・社会や産業界等が提供できる支援」を書き込めるサイトの運営等を実施。

○ 平成26年4月に「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(平成9年9月に当時の文部省、通商産業省、労働省の3省で作成)」を文部科学省、厚生労働省、経済産業省で改訂を行い、インターンシップの普及・推進を図った。また、「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業(インターンシップ等の取組拡大)」において、大学等におけるインターンシップの推進を担う専門人材の育成や中小企業におけるインターンシップ受入れ拡大等に取り組む地域インターンシップ推進組織(複数の大学と地域経済団体等で構成)の活動を通じ、地域全体へのインターンシップ等の普及・定着を図った。

○ 経済産業省は、平成25年度より産業界の求める実践的能力を持った高度イノベーション創出人材の育成や産学間の人材流動化によるイノベーションの創出を目指し、「中長期研究人材交流システム構築事業」を通じて理系修士課程・博士課程在籍者等を対象にした企業の研究現場における中長期(2か月以上)の研究インターンシップの枠組み構築を支援している。平成26年度は、複数企業・複数大学により設立されたコンソーシアムにおいて、マッチングシステムの整備や中長期研究インターンシップに係る課題の抽出等が行われた。【経済産業省】

→ 初等中等教育段階の職場体験活動・インターンシップの実施率はおおむね上昇傾向であるが、高等学校普通科においては、インターンシップを体験した生徒の割合が低水準にとどまっている(普通科14.7%(平成20年度)→18.1%(平成25年度))。今後、外部の組織や人材と連携・協働するに当たってのマッチングや体制の整備、キャリア教育の意義・必要性に対する教員の理解の促進、「産業社会と人間」のようなキャリア教育の中核となる時間を高等学校普通科の教育課程に位置付けることの検討を行う。
→ 高等教育段階では、「日本再興戦略」等に基づき、大学等のインターンシップ等の充実に向け、地域において大学等と産業界との調整を図りながら、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制を整備する必要がある。
→ 中長期研究インターンシップの普及・定着に向け、引き続き環境整備に取り組む。

13-2 学校横断的な職業教育の推進

○ 専修学校、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、高等学校等と産業界等が産学官コンソーシアムを組織し、その下で具体的な職域プロジェクトを展開し、協働して就労、キャリアアップ、キャリア転換に必要な実践的な知識・技術・技能を身に付けるための学習システム等を構築。

○ また、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年1月中央教育審議会答申)において、個々人が生涯にわたり学習して職業能力を向上させ、その成果が適正に評価され、社会指標となるような枠組みの構築が期待されるとされ、英国、オーストラリア、韓国等は、生涯学習推進等のため、必要な職業能力をレベル分けして可視化し、これと学校段階との対応関係を明らかにする「資格枠組み」(NQF)を構築している。我が国においても、実情に合った学習・評価システム構築に向け、海外事例についての調査研究等を進めた。

→ 成長分野等における中核的専門人材や高度人材の養成を図るとともに、特に、社会人等の学び直しを全国的に推進していく。
→ 学習成果の評価・活用の取組の充実については、その方策についてさらに検討を行う。

13-3 各学校段階における職業教育の取組の推進

○ 「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年1月中央教育審議会答申)や「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(平成25年6月閣議決定)等を踏まえ、実践的な職業教育に取り組んでいるところ。

○ 専門高校においては、平成25年度入学生から年次進行で実施されている新高等学校学習指導要領に基づき、地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に行うとともに、産業現場等における長期間の実習等に取り組んでいる。また、平成26年度から新たに、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため、先進的な卓越した取組を行う専門高校を10校指定して調査研究を実施(スーパープロフェッショナルハイスクール)。

○ 教育再生実行会議第五次提言を受け、平成26年10月から、有識者会議において、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について議論し、平成27年3月に基本的な方向性について取りまとめた。

○ 産業構造の変化や技術の高度化への対応が求められる中、各高等専門学校がそれぞれの地域性や特色、立地条件等に応じた多様な発展を目指し、自主的・自律的な改革を進めている。平成26年度は2校が地域や産業界のニーズに対応した学科再編を実施。

○ 専修学校においては、「専修学校における学校評価ガイドライン」及び「専門学校における情報提供等への取組に関するガイドライン」に基づき、学校評価・情報公開の取組を推進するなど、質保証・向上に取り組んだ(9-6の再掲)。

○ 企業等との密接な連携により実践的な職業教育に組織的に取り組む専門課程を文部科学大臣が「職業実践専門課程」として認定する仕組みを創設。(認定学校数:673校、認定学科数:2,042学科(平成27年2月17日現在))。

○ 「職業実践専門課程を通じた専修学校の質保証・向上の推進」のために必要な経費を計上(平成26年度予算:1.8億円)。

→ 引き続き上記の取組を進めるとともに、専門高校では上記の取組の成果を取りまとめ、普及することなどを通じて、教育内容の改善を図る。
→ 産業構造の変化、技術の高度化、少子化の進行、社会・産業・地域ニーズ等を踏まえ、高等専門学校の教育研究の個性化、活性化、高度化がより一層進展するよう、学科再編等を一層推進する施策を講じる。
→ 専修学校では、産業界等の関与を十分に確保した第三者評価や教員の資質向上の在り方等について検討する。
→ 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関については、有識者会議の取りまとめを受けて、平成27年4月に中央教育審議会に諮問しており、現在検討を行っている。

13-4 社会への接続支援

○ 平成27年4月1日現在の大学(学部)の就職率は96.7%となっており、前年同期に比べて上昇しているものの、未内定の学生が一定数存在していることから、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省が連携し、未内定の学生等が1人でも多く卒業までに就職できるよう、平成27年1月20日から3月末までを集中支援期間とし、「未内定就活生への集中支援2015」を実施し、大学の就職相談員等とジョブサポーターとの連携による個別支援の徹底等に取り組んだ。

○ また、政府においては、就職・採用活動開始時期変更の円滑な実施に向けて取り組んだ(8-1参照)。

→ 引き続き、政府、大学等、経済界で就職・採用活動開始時期変更の円滑な実施に向けた検討を行うとともに、雇用のミスマッチの解消に向け、関係省庁と連携した取組を行う。 

13-5 社会人の学び直しの機会の充実

○ 「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(平成25年6月閣議決定)等を踏まえ、大学、大学院、専門学校等が産業界と協働して、高度な人材や中核的な人材等の育成等を行うオーダーメード型職業教育プログラムを新たに開発・実施することや、若者等の学び直しの支援のための独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度の弾力的運用(大学等で過去に無利子奨学金の貸与を受けて学んだ学生等が、社会人になって再び大学等で学び直す際にも、無利子奨学金の貸与を受けることを可能とする(同学種(例:学部→学部)間の再貸与の制限の緩和))など、社会人の学び直し機会の充実に取り組んだ。

○ 平成27年3月、教育再生実行会議において、国が大学等における実践的・専門的な教育プログラムを認定、奨励する仕組みの構築を提言。これを受け、文部科学省において有識者会議を設置し、大学等における社会人の学び直しに資する実践的・専門的な教育プログラムの内容など仕組みを構築するに当たり必要な事項等について検討。 

○ 放送大学では、多様な年齢層・職層の人が学習しており(学生数は平成26年度第2学期で8万9,510人)、社会人の学び直しをはじめ、多様なニーズに対応した教育内容の充実を図るとともに、授業科目数の充実を図った(放送授業科目数:343科目、面接授業科目数:3,045科目(平成26年度))。また、学生の利便性の向上等に資するため、放送による授業の補完として、テレビ授業科目のうち、180科目中162科目(うち、字幕付与科目は78科目)、ラジオ授業科目のうち、163科目中全科目について、インターネット配信を実施。さらに、社会人等の多様なニーズに対応した学習機会を提供することなどを目的に、特定の分野の学習を体系的に行ったことを証明する科目群履修認証制度(放送大学エキスパート)を実施(平成26年度:27プラン)。

→ 「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」として、専修学校、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、高等学校等と産業界等が協働し、社会人等の就労、キャリアアップ、キャリア転換に必要な実践的な知識・技術・技能を身に付けるための学習システムを構築(平成27年度予算額16億円)。  
→ 大学等における実践的・専門的な教育プログラムを認定、奨励する仕組みについては、平成27年5月に有識者会議の議論を取りまとめ。今後、具体的な制度設計を行う。
→ 平成27年4月より「誰もが学び続け、活躍できる『全員参加型社会』の実現のための政策連絡会議」を開催し、教育行政と労働、福祉行政の連携強化のため、文部科学省と厚生労働省が中長期的な視点に立った政策協議や、情報共有・連絡調整などを実施。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年11月 --