資料2‐2 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方について(諮問) 概要

27文科初第100号

中央教育審議会

 次に掲げる事項について、別紙理由を添えて諮問します。

平成27年4月14日
 文部科学大臣 下村博文

理由

 我が国は、都市化・過疎化の進行や家族形態の変容、価値観やライフスタイルの多様化等を背景として、地域社会のつながりや支え合いの希薄化、家庭の孤立化など様々な課題に直面しています。また、世界に類を見ない人口減少・少子高齢化の進行により地域コミュニティの存続が危ぶまれており、その危機を克服し地方創生を成し遂げていくことも切迫した課題となっています。
 子供たちを巡っては、規範意識や社会性、学習意欲の低下、いじめや暴力行為等の問題行動の増加など、様々な課題が指摘されています。その一方で、社会貢献への高い意欲や、柔軟で豊かな感性と国際性を備えている一面も見受けられるなど、子供たちは、未来をつくっていく主役として無限の可能性に満ちています。
 こうした中、教育は、地域社会を動かしていくエンジンの役割を担っており、教育により、子供たちの一人一人の潜在能力を最大限に引き出し、全ての子供たちが幸福に、より良く生きられるようにすることが求められています。そして、学校は、そのための子供たちの豊かな学びと成長を保障する場としての役割のみならず、地域コミュニティの核としての役割を果たしていかなければなりません。
 これらの様々な課題に直面している今、子供たちが夢と希望を抱き、これからの厳しい挑戦の時代を生き抜く力を育むため、また、子供たちの命や安全を守るためにも、学校は従来からの閉鎖的な体質から抜け出し、地域と積極的に向き合い、地域の人々と目標や課題を共有しながら、地域総掛かりで子供たちを育む「地域とともにある学校」に転換していくことが強く求められています。
 こうした観点から、学校は、家庭や地域、関係機関等との組織的・継続的な連携・協働体制を構築し、一体となって子供たちの育成に取り組むとともに、学校運営の改善を促す仕組みを取り入れていく必要があります。

 平成16年に地域の住民や保護者のニーズを学校運営に反映する仕組みとして学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)が法制化されて以降、保護者や地域住民等の理解・協力を得た学校運営の取組が徐々に広がりつつあるとともに、平成20年度からは、地域住民の参画により学校の様々な教育活動を支援する、学校支援地域本部の取組も事業化され、全国各地で多様な活動が展開されつつあります。
 これからの新しい時代においても、学校と地域とが連携・協働した仕組みが、子供たちの豊かな学びを創造し、地域の将来を担う人材の育成につながっていくとともに、地域の人材や教育資源を組織化し、地域の大人の学びの機会の充実や地域振興・再生に資していけるよう、一層の進化・発展を遂げていくことが期待されます。

 また、教育再生実行会議の第6次提言において、地方創生を実現する教育の在り方等について議論がなされ、コミュニティ・スクールをはじめとした学校と地域との連携・協働体制の構築による学校を核とした地域づくりの方向性についての提言がなされました。

 これらを踏まえ、新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方について諮問を行うものであり、制度面も含め、具体的な推進方策に関する事項を中心に御審議いただきたいと考えております。

 具体的には、以下の点を中心に御審議をお願いします。

 第一に、社会情勢の変化や教育改革の動向等を踏まえ、新しい時代の教育や地方創生を実現するために求められる今後のコミュニティ・スクールの在り方や、それを踏まえたコミュニティ・スクールの仕組みや機能の在り方などについてであります。さらに、今後在るべき方向性に沿って全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み、地域と相互に連携・協働した活動を展開するための総合的な方策や、コミュニティ・スクールの仕組みの必置の検討などについて、御検討をお願いします。その際、

  • コミュニティ・スクールの在り方の検討に関して、校長のリーダーシップの観点や、学校支援や学校評価等の関連の仕組みとの一体的な推進の観点、小中一貫教育等の学校間連携を推進する観点等について、どのように考えるか。
  • 全ての学校のコミュニティ・スクール化に係る総合的な方策の検討、とりわけ、コミュニティ・スクールの仕組みの必置の検討にあたり、学校や地域の状況、市町村や学校の規模との関係、幼稚園・高等学校・特別支援学校におけるコミュニティ・スクールの在り方、小規模自治体における教育委員会と学校運営協議会との関係の取扱い等をどのように考えるか。

 などの視点から、御検討をお願いします。

 第二に、学校と地域がパートナーとなり、連携・協働体制を築くための地域人材の養成と、地域住民の学びの機会の充実等を通じた地域振興のための環境整備についてであります。
 学校と地域が連携・協働するためには、学校と地域がそれぞれの役割や強みを理解し合い、尊重しつつ、当事者意識を持って、信頼できるパートナーとして関係を築くことが重要であり、学校と地域をつなぐ人材の養成・確保や地域の教育資源を効果的に結びつける仕組みづくりが必要です。
 このため、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置のための方策や、地域の人的ネットワークが地域課題解決や地域振興の主体となる仕組みづくりなどについて御検討をお願いします。その際、

  • 地域を担う子供たちの育成に向けて、学校や子供たちを取り巻く現状・課題の分析や、地域との連携・協働による取組の効果を踏まえ、新たな学校支援の役割、地域の教育資源を効果的に結びつける学校支援地域本部等の仕組みの在り方をどのように考えるか。
  • 学校と地域がパートナーとして連携・協働体制を築くための、学校と地域をつなぐコーディネーター等の人材の配置の在り方や、養成・研修・確保方策等をどのように考えるか。
  • 地方創生の実現に向けて、学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた人的ネットワークの構築や、地域住民の学びの機会の充実方策、それらを主体とした地域の振興・再生方策をどのように考えるか。

 などの視点から、御検討をお願いします。

 以上が中心的に御審議をお願いしたい事項ではありますが、この他にも、学校と地域との連携・協働を一層推進するための取組や地域における学びの機会の充実と地域の教育力の向上に関し、必要な事項について御検討をお願いします。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年07月 --