○ グローバル化や情報化、少子高齢化など社会の急激な変化に伴い、高度化・複雑化する諸課題への対応と、求められる人材育成像の変化への対応が必要。
○ 21世紀を生き抜くための力を育成するため、これからの学校は、基礎的・基本的な知識・技能の習得に加え、思考力・判断力・表現力等の育成や学習意欲の向上、多様な人間関係を結んでいく力や習慣の形成等を重視。これらは、様々な言語活動や協働的な学習活動等を通じて効果的に育まれることに留意。
○ このため、このような新たな学びを支える教員の養成と、時代の要請を踏まえた学び続ける教員像の確立が求められている。
○ 一方、いじめ・不登校等への対応、特別支援教育の充実、ICTの活用など、諸課題への対応も必要。
○ これらを踏まえ、教育委員会と大学との連携・協働により、教職生活全体を通じて学び続ける教員を継続的に支援するための一体的な改革を行う必要がある。
○ 教員になる前の教育は大学、教員になった後の研修は教育委員会という、断絶した役割分担から脱却し、教育委員会と大学との連携・協働により教職生活全体を通じた一体的な改革、学び続ける教員を支援する仕組みの構築が必要。
○ 今後、教職大学院における取組をはじめとする改革モデルを参考としながら、以下のような観点から修士レベルでの学びを教職生活全体の中に組み込んでいくことが望ましい。
○ 以上を踏まえ、教員養成を修士レベル化し、教員を高度専門職業人として明確に位置づける。
○ 探究力、学び続ける力、教科や教職に関する高度な専門的知識、新たな学びを展開できる実践的指導力、コミュニケーション力等を保証する、標準的な免許状である「一般免許状(仮称)」を創設。
また、当面は、教職への使命感と教育的愛情、教科に関する専門的な知識・技能、教職に関する基礎的な知識・技能を保証する「基礎免許状
(仮称)」も併せて創設。
○ 「一般免許状(仮称)」は学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程での学修を標準とし、「基礎免許状(仮称)」は、学士課程修了レベルとする。
○ (1)「一般免許状(仮称)」取得後に採用、(2)「基礎免許状(仮称)」を取得し、採用直後に初任者研修と連携・融合した修士レベルの課程の修了により「一般免許状(仮称)」取得、(3)「基礎免許状(仮称)」を取得し、採用後一定期間のうちに修士レベルの課程等での学修により「一般免許状(仮称)」取得、の3つの類型に整理した。それぞれにメリット、デメリットがあり、地域の実情に応じた様々な試行の積み重ねが必要。
○ 特定分野に関し、実践の積み重ねによる更なる探究により、高い専門性を身に付けたことを証明する「専門免許状(仮称)」を創設する(分野は、学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導(各教科ごと)、特別支援教育、外国人児童生徒教育、情報教育等)。学位取得とはつなげないこととし、学校経営の分野については管理職への登用条件の一つとすることについて、今後更なる検討が必要。
○ 多様な人材の登用を促進するため、「基礎免許状(仮称)」未取得者を対象とした修士レベルの課程を設ける。
○ 教員免許更新制は、詳細な制度設計の際に更に検討を行うことが必要。
○ 詳細な制度設計の際、学校種、職種の特性に配慮することや国公私の設置形態に留意する必要がある。例えば、幼稚園教諭について、二種免許状保有者の割合が7割を超える現状等を踏まえ、新しい時代における質の担保・向上という観点から適切な制度設計を検討。
○ 優秀な人材が経済的理由により教員志望を諦めることのないよう、授業料減免や奨学金の活用等による学生の経済的負担の軽減についても留意。
○ 修士レベル化に向け、修士レベルの課程の質と量の充実、教育委員会と大学との連携・協働による研修の充実等ステップを踏みながら段階的に取組を推進。主要な取組は、教育振興基本計画に盛り込み、計画的に取り組む。
○ 修士レベルの教員養成の質と量の充実を図るため、修士課程等の教育内容・方法の改革を推進する仕組みを早急に構築。
○ 「学び続ける教員像」を確立するため、教育委員会と大学との連携・協働により、現職研修プログラムを改善し、高度化。
○ 1.教科と教職の架橋の推進、学校ボランティア等学校現場での体験機会の充実等によるカリキュラムの改善、いわゆる「実習公害」の是正、2.教員審査・教員評価の改善、「教職センター」等の全学的な体制整備の構築、個性化・機能別分化の推進等の組織体制の改善、3.コアカリキュラムの作成推進、課程認定の厳格化、教員就職率等の情報の公表、事後評価システムの構築等質保証の改革等により、必要な資質能力の育成を徹底する。
○ これまでの教職大学院の成果を踏まえつつ、新たな学びに対応した実践的指導力や教科専門の高度化などの機能を併せ持つものとして教職大学院の制度を発展・拡充させる。その際、学校現場での実践に資する教科教育を行うものや、グローバル化対応等特定の分野の養成に特化するものを含め、教職大学院の制度に取り込んでいけるよう制度の改正を行う。
○ 大学と教育委員会との連携・協働により、未設置県における教職大学院の設置を推進することが望まれる。また、教育委員会は教職大学院修了者に対するインセンティブ付与について検討することが望まれる。
○ 国立教員養成系の修士課程については、今後、教職大学院を主体とした組織体制へと移行していくことが求められる。その際、教職大学院の専任教員の在り方や、大学院設置基準の大括り化など必要な見直しを行う。
○ 学習科学等カリキュラム改革の理論的支柱となる実践的な教育学研究を推進することが期待される。
○ 中・高等学校教員の養成については、国公私立大学の一般の修士課程の役割が大きく、学校現場でのニーズに応え得る実践性を備えた教育を提供する体制の整備を推進する。
○ 専修免許状の在り方を見直し、理論と実践の架橋を重視した実習ベースの科目の必修化、修得した専門性の明確化などの取組を推進する。
○ 修士レベルの養成規模の拡充を図るため、柔軟かつ多様な国公私立大学の学部・修士間、大学間の連携を推進する。
○ 教職大学院との連携・融合により、初任段階の研修の高度化を図るとともに、複数年にわたり支援する仕組みを構築する。これに伴い、指導体制の充実方策についても検討する。
○ 大学での学習状況の評価の反映等選考方法を一層の改善するとともに、中途採用の推進、選考試験の共同実施、複数回実施を推進する。
○ 教育委員会と大学との連携・協働による現職研修のプログラム化・単位化や、講習の質向上など教員免許更新制の必要な見直しを推進する。
○ 独立行政法人教員研修センターについては、教員の資質能力向上のナショナルセンターとして機能強化を推進する。
○ 校内研修や自主研修の活性化を推進し、教育委員会の指導体制の充実を図る。
○ 教職大学院、国や都道府県の教員研修センター等の連携・協働により、マネジメント力を身に付けるための管理職としての職能開発のシステム化を推進する。
○ 教育委員会、大学等の関係機関がそれぞれ責任を果たしながら、その連携・協働により、教員の養成、継続的な学習に対する支援を行うことが重要。
○ ICTの活用やグローバル化に対応した教育など、新たな教育課題に対応するには、社会人をはじめ当該分野に関する知見を有する人材を幅広く登用することが必要。その際、例えば、博士課程修了者等高度の専門的知識を有する人材について、履修証明制度等の活用により、一定の教職専門性を身に付けた上で特別免許状の活用を促進する仕組みの構築等について検討する。
○ 特別支援学校における免許状取得率の向上、特別支援教育に関する研修等の受講促進を図る。
○ 今後も教員に優れた人材が得られるよう、教員の給与等の処遇や、教職員配置、学校の施設、設備等引き続き教育条件の整備を進めることが必要である。
○ 教員養成関係の団体においては、教員の専門性向上のための専門職基準策定に向けた検討が求められる。
○ 当面の改善方策の取組を推進するため、先導的な取組に対する支援、大学院への派遣の促進や初任者研修の実施体制の充実を図るための研修等定数の効果的な活用等の支援が必要。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室義務教育改革係
-- 登録:平成24年09月 --