2.就学相談・就学先決定の在り方について

○ 子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障するためには、乳幼児期を含め早期からの教育相談や就学相談を行うことにより、本人・保護者に十分な情報を提供するとともに、幼稚園等において、保護者を含め関係者が教育的ニーズと必要な支援について共通理解を深めることにより、保護者の障害受容につなげ、その後の円滑な支援にもつなげていくことが重要である。また、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図っていくことが重要である。

○ 乳児期から幼児期にかけて、子どもが専門的な教育相談・支援が受けられる体制を医療、保健、福祉等との連携の下に早急に確立することが必要であり、それにより、高い教育効果が期待できる。

○ 就学基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。その際、市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定することが適当である。

○ 現在、多くの市町村教育委員会に設置されている「就学指導委員会」については、早期からの教育相談・支援や就学先決定時のみならず、その後の一貫した支援についても助言を行うという観点から、「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当である。「教育支援委員会」(仮称)については、機能を拡充し、一貫した支援を目指す上で重要な役割を果たすことが期待される。

○ 就学時に決定した「学びの場」は固定したものではなく、それぞれの児童生徒の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に転学ができることを、すべての関係者の共通理解とすることが重要である。

○ 就学相談の初期の段階で、就学先決定についての手続の流れや就学先決定後も柔軟に転学できることなどについて、本人・保護者にあらかじめ説明を行うことが必要である(就学に関するガイダンス)。

○ 本人・保護者と市町村教育委員会、学校等の意見が一致しない場合については、例えば、本人・保護者の要望を受けた市町村教育委員会からの依頼に基づき、都道府県教育委員会が、市町村教育委員会への指導・助言の一環として、都道府県教育委員会の「教育支援委員会」(仮称)に第三者的な有識者を加えて活用することも考えられる。

○ 可能な限り早期から成人に至るまでの一貫した指導・支援ができるように、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報を、その扱いに留意しつつ、必要に応じて関係機関が共有し活用することが必要である。

○ 都道府県教育委員会の就学先決定に関わる相談・助言機能を強化する必要がある。

○ 就学相談については、それぞれの自治体の努力に任せるだけでは限界があることから、国において、何らかのモデル的な取組を示すとともに、具体例の共有化を進めることが必要である。

(1)早期からの教育相談・支援

1.早期からの教育相談・支援の充実

○ 子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障するためには、乳幼児期を含め早期からの教育相談や就学相談を行うことにより、本人・保護者に十分な情報を提供するとともに、幼稚園等において、保護者を含め関係者が教育的ニーズと必要な支援について共通理解を深めることにより、保護者の障害受容につなげ、その後の円滑な支援にもつなげていくことが重要である。また、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図っていくことが重要である。そのためには、早期からの教育相談・支援を踏まえて、市町村教育委員会が、保護者や専門家の協力を得つつ個別の教育支援計画を作成するとともに、それを適切に活用していくことが重要である。その際、子どもの教育的ニーズや困難に対応した支援という観点から作成することが必要である。(参考資料14:特別支援教育の推進について(通知))

○ 早期からの教育相談には、子どもの障害の受容に関わる保護者への支援、保護者が障害のある子どもとの関わり方を学ぶことにより良好な親子関係を形成するための支援、乳幼児の発達を促すような関わり方についての支援、障害による困難の改善に関する保護者の理解への支援、特別支援教育に関する情報提供等の意義があり、教育委員会においても、障害のある子どもを育てている保護者に対する支援に積極的に取り組む必要がある。また、早期からの教育相談を行うに当たっては、多くの保護者は、我が子の障害に戸惑いを感じ、就学先の決定に対しても不安を抱いている時期であることから、そのような保護者の気持ちを十分にくみ取り、保護者にとって身近な利用しやすい場所で、安心して相談を受けられるよう工夫するなど、保護者の気持ちを大切にした教育相談を行うことが重要である。

2.市町村教育委員会と関係機関等との連携

○ 乳児期から幼児期にかけて、子どもが専門的な教育相談・支援が受けられる体制を医療、保健、福祉等との連携の下に早急に確立することが必要であり、それにより、高い教育効果が期待できる。特に、視覚障害や聴覚障害の場合には、同じ障害のある一定規模の学習集団があることが重要であり、視覚障害者や聴覚障害者を対象とした特別支援学校においては、乳幼児期からの相談体制や支援体制を更に充実させることが必要である。また、それ以外の障害種についても早期支援が重要である。(※1)

○ 市町村教育委員会は、域内の学校と幼稚園、保育所等との連携を図るとともに、医療や福祉等の関係部局と十分に連携し、例えば乳幼児検診の結果を必要に応じて共有するなど、必要な教育相談・支援体制を構築することが必要である。また、近隣の特別支援学校、都道府県の特別支援教育センター(都道府県の教育センター特別支援教育担当部門や市町村の教育センターを含む。)等の地域の資源の活用を十分図り、相談・支援体制の充実に努めることが必要である。

○ 平成24年4月から施行された改正児童福祉法により、障害児支援事業者は、障害児支援利用計画(福祉サービスを中心に支援計画全体をまとめたもの)や個別支援計画(各福祉サービスにおける支援計画)を作成し、取り組むこととなった。これらは、保護者と共有されるものであり、これらの計画を教育分野においても情報共有していくことで、早期からの教育相談・支援の充実や一貫した支援が行われることが期待される。

○ 乳幼児健診と就学前の療育・相談との連携、子ども家庭支援ネットワークを中心とした事業や幼稚園、保育所等と小学校の連携を図る事業など、教育委員会と首長部局とが連携した、子どもの発達支援や子育て支援の施策が行われることで、支援の担い手を多層的にするとともに、連携のキーパーソンとなる職員として複数の職員を配置するなど、教育と福祉が互いに顔の見える連携を実現し、担当者同士の信頼関係を構築することが重要である。(参考資料15:早期からの教育相談・支援に関する自治体の取組例)


※1 平成24年3月、幼稚園及び保育所の機能を兼ね備え、学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合こども園の創設を含む子ども・子育て新システム関連法案が国会に提出されたところであり、今後、子ども・子育て新システムの下での特別支援教育の在り方についても留意する必要がある。

(2)就学先決定の仕組み

1.就学先の決定等の仕組みの改善

○ 就学基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。その際、市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定することが適当である。保護者や市町村教育委員会は、それぞれの役割と責任をきちんと果たしていく必要がある。このような仕組みに変えていくため、速やかに関係する法令改正等を行い、体制を整備していくべきである。なお、就学先を決定する際には、後述する「合理的配慮」についても合意形成を図ることが望ましい。(参考資料16:障害のある児童生徒の就学先決定について(手続きの流れ))

○ 現在、多くの市町村教育委員会に設置されている「就学指導委員会」については、早期からの教育相談・支援や就学先決定時のみならず、その後の一貫した支援についても助言を行うという観点から、「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当である。「教育支援委員会」(仮称)については、以下のように機能を拡充し、一貫した支援を目指す上で重要な役割を果たすことが期待される。

(ア)障害のある子どもの状態を早期から把握する観点から、教育相談との連携により、障害のある子どもの情報を継続的に把握すること。

(イ)就学移行期においては、教育委員会と連携し、本人・保護者に対する情報提供を行うこと。

(ウ)教育的ニーズと必要な支援について整理し、個別の教育支援計画の作成について助言を行うこと。

(エ)市町村教育委員会による就学先決定に際し、事前に総合的な判断のための助言を行うこと。

(オ)就学先の学校に対して適切な情報提供を行うこと。

(カ)就学後についても、必要に応じ「学びの場」の変更等について助言を行うこと。

(キ)後述する「合理的配慮」の提供の妥当性についての評価や、「合理的配慮」に関し、本人・保護者、設置者・学校の意見が一致しない場合の調整について助言を行うこと。

○ 「教育支援委員会」(仮称)においては、教育学、医学、心理学等の専門家の意見を聴取することに加え、本人・保護者の意向を聴取することが必要である。特に、障害者基本法の改正により、本人・保護者の意向を可能な限り尊重することが求められていることに留意する必要がある。また、教育においては、それぞれの発達の段階において言語の果たすべき役割が大きいとの指摘もあることから、必要に応じて、委員会の専門家に言語発達に知見を有する者を加えることなども考えられる。必要に応じ、各教育委員会が関係者のための研修会を行うことなども考えられる。

○ 就学時に決定した「学びの場」は、固定したものではなく、それぞれの児童生徒の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら、柔軟に転学ができることを、すべての関係者の共通理解とすることが重要である。そのためには、教育相談や個別の教育支援計画に基づく関係者による会議などを定期的に行い、必要に応じて個別の教育支援計画及び就学先を変更できるようにしていくことが適当である。この場合、特別支援学校は都道府県教育委員会に設置義務があり、小・中学校は市町村教育委員会に設置義務があることから、密接に連携を図りつつ、同じ場で共に学ぶことを追求するという姿勢で対応することが重要である。その際、必要に応じ、「教育支援委員会」(仮称)の助言を得ることも考えられる。

2.情報提供の充実等

○ 就学相談の初期の段階で、就学先決定についての手続の流れや就学先決定後も柔軟に転学できることなどについて、本人・保護者にあらかじめ説明を行うことが必要である(就学に関するガイダンス)。このことは、就学後に学校で適切な対応ができなかったことによる二次的な障害の発生を防止する観点からも重要である。

○ 自分の子どもを学校、市町村教育委員会、地域が進んで受け入れてくれるという姿勢が見られなければ、保護者は心を開いて就学相談をすることができない。学校や市町村教育委員会が、保護者の「伴走者」として親身になって相談相手となることで保護者との信頼関係が生まれる。学校、市町村教育委員会は、まずは障害のある子どもを地域で受け入れるという意識を持って、就学相談・就学先決定に臨むとともに、保護者に対して、子どもの健康、学習、発達、成長という観点を大切にして就学相談・就学先決定に臨むよう働きかけることが必要である。

○ 小学校が就学相談の窓口となり、幼稚園や保育所と日常的に連携を行うことで障害の状態やニーズを把握している市町村もあり、これに当たっては、就学相談に関する管理職研修を実施するとともに、住民向けに広報誌で周知を図っているなどの工夫が見られる。また、特別な支援を必要とする子どもへの支援を行うネットワークを取りまとめる機関を設け、巡回相談などの各種教育相談を実施させるとともに、必要に応じて、教育、医療、保健、福祉の連携を行っている市町村もある。これらの先行事例も参考としながら、相談・支援体制の充実に努めることが必要である。

○ 就学先を決定するに当たり、就学先の学習の具体的な様子が分からなければ、保護者は判断を行うことができない。例えば、英国、米国においては、行政側が、医療、福祉など教育以外の情報も含めた適切な情報を保護者に提供し、また、他の保護者とも情報交換できるセンターの設置などの取組を行っている。改正障害者基本法においても、本人・保護者に対する十分な情報提供が求められており、地域の学校で学ぶことや特別支援学校で学ぶことについて、体験入学などを通じた十分な情報提供を行っていくことが重要である。

○ 平成19年の学校教育法改正においても、各学校が学校運営状況の評価を行うこととされており、それを学校・家庭・地域間のコミュニケーションツールとして活用し、情報共有や連携協力を促進することを通じて、学校・家庭・地域それぞれの教育力を高めていくことが期待されている。このことからも、今後情報提供の更なる充実が図られていくことが期待される。

○ 障害のある子どもの能力を十分発達させていく上で、受入先の小・中学校には、必要な教育環境の整備が求められることになる。このためには、あらかじめ人的配置や物的整備を計画的に行うよう努めるとともに、後述する「合理的配慮」の提供を行うことが必要である。障害の状態、教育的ニーズ、学校、地域の実情等に応じて、本人・保護者に、受けられる教育や支援等についてあらかじめ説明し、十分な理解を得るようにすることが重要である。

○ 保護者の思いと子ども本人の教育的ニーズは、異なることもあり得ることに留意することが必要である。保護者の思いを受け止めるとともに、本人に必要なものは何かを考えていくことが必要であり、そのためには、市町村教育委員会が本人・保護者の意見を十分に聞き、共通認識を醸成していくことが重要である。(参考資料17:児童の権利に関する条約(抄))

○ 市町村教育委員会が、保護者への説明や学校への指導・助言等の教育支援を適切に行うためには、専門的な知識を持った職員を配置するなどの体制整備が必要である。現行の「就学指導委員会」においても、自治体によっては、専門家の専門性が十分ではない、あるいは、単独で専門家を確保することが困難といった課題もある。例えば、専門家の確保を他の自治体と共同で実施することや都道府県教育委員会からの支援を受けることなども考えられる。

3.就学先決定について意見が一致しない場合について

○ 共生社会の形成に向けた取組としては、教育委員会が、早期からの教育相談・支援による相談機能を高め、合意形成のプロセスを丁寧に行うことにより、十分に話し合い、意見が一致するように努めることが望ましい。しかしながら、それでも意見が一致しない場合が起こり得るため、市町村教育委員会の判断の妥当性を市町村教育委員会以外の者が評価することで、意見が一致する可能性もあり、市町村教育委員会が調整するためのプロセスを明確化しておくことが望ましい。例えば、本人・保護者の要望を受けた市町村教育委員会からの依頼に基づき、都道府県教育委員会による市町村教育委員会に対する指導・助言の一環として、都道府県教育委員会の「教育支援委員会」(仮称)に第三者的な有識者を加えて活用することも考えられる。なお、市町村教育委員会は、あらかじめ本人・保護者に対し、行政不服審査制度も含めた就学に関する情報提供を行っておくことが望ましい。(参考資料18:就学先決定の意見が一致しない場合の対応について)

(3)一貫した支援の仕組み

1.「相談支援ファイル」や個別の教育支援計画の活用等

○ 可能な限り早期から成人に至るまでの一貫した指導・支援ができるように、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報を、その扱いに留意しつつ、必要に応じて関係機関が共有し活用することが必要である。子どもの成長記録や生活の様子、指導内容に関するあらゆる情報を記録し、必要に応じて関係機関が共有できる「相談支援ファイル」を作成している自治体の例もある。これは、関係機関が共有することにより、就学先決定、転学、就労判定などの際の資料としても活用できることから、個人情報の利用について、本人・保護者の了解を得た上で、情報の取扱いに留意して活用していくことが必要である。例えば、幼稚園、保育所等と小学校との間、小学校と中学校との間で、それぞれの連携・情報交換を進めることも考えられる。「子ども・若者育成支援推進法」にあるように、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組について、国、地方公共団体は総合的な子ども・若者育成支援のための施策を推進することが求められる。
(参考資料19:子ども・若者育成支援推進法(抄))

○ 障害者手帳等を所持しない場合でも、「相談支援ファイル」により支援を必要とすることが明確になる。また、継続的な支援を行うためには、情報を一元化して共有することが必要であり、相談支援ファイルは有効と考えられる。子どもの状況だけではなく、学校や関係機関とともに検討する支援内容についても相談支援ファイルに記載できるように工夫し、支援を必要とする子どもや保護者と関係機関等とのつながりを大切にしながら、一貫した支援を行うことができる体制を構築していくことが適当である。

○ 一部の自治体では、域内に在住するすべての就学予定者を対象として、幼稚園、保育所等における成長・発達の様子や必要な支援について記入した「就学支援シート」を作成し、それぞれの学校で保護者と担任等が子どもの学校生活、学習内容を検討する際に活用しており、このような取組を拡大することも重要である。

○ 個別の教育支援計画、個別の指導計画については、現在、特別支援学校の学習指導要領等には作成が明記されているが、幼・小・中・高等学校等で学ぶ障害のある幼児児童生徒については、必要に応じて作成されることとなっており、必ず作成することとなっていない。これを障害のある児童生徒等すべてに拡大していくことについて検討する必要がある。

○ 特別支援学校では、個別の教育支援計画を活用し、幼稚部・小学部・中学部・高等部で一貫性のあるキャリア教育を推進し、卒業後の継続した支援を行っている。また、進路指導において、子どもが自分の進路計画を自ら作っていくというような取組も始まっている。これらの取組を一層発展させるとともに、特別支援学校以外の障害のある子どもにも広げていくことが望ましい。

○ 適切な支援のためには、複数の関係機関が有効に連携することが必要であり、個人情報保護に留意しつつ、支援や指導に必要な情報について共有する範囲を明確に定め、対応していく体制づくりが求められる。個人情報の取扱いについては、自治体における個人情報保護条例を踏まえつつ、支援を積極的に展開できるような運用のルールづくりを進める必要がある。親の会等の障害者関係団体、NPO等においても、個別の教育支援計画を活用する意義についての理解啓発活動等を行うことが望まれる。

○ 教育、医療、保健、福祉等の関係機関、親の会等の障害者関係団体、NPO等との連携を更に密にして、早期からの教育相談・支援について取り組むことが必要である。また、国においては、文部科学省と内閣府、厚生労働省をはじめとする関係府省との施策の連携が重要である。

○ 望ましい自立と社会参加のための教育という意味で、キャリア教育と特別支援教育の考え方には共通するものがある。社会環境の変化が大きくなっていく中、特別支援学校や特別支援学級で行われてきている自立支援、職業教育や職場体験を更に発展させ、進化させていくべきである。

○ 生涯学習等の機会が確保されることが望ましい。具体的には、職業教育に関する学習の機会が確保されること、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する方法について、在学中に行われた指導を卒業後も継続して受けることができるよう学校が教育相談を行うこと、生涯学習に関する情報が本人や保護者に届くようにすること、学校と生涯学習を提供する教育機関との引継ぎがなされること等が望ましい。

2.学校外・放課後等における支援について

○ 就労や社会参加を見通して教育目標を考えるという視点を持つことにより、学校が、保健や福祉サービス、相談支援事業所、専門機関とのつながりを柔軟に持つことが重要である。

○ 学校が放課後支援サービスや外部機関と連携を密にし、児童生徒等の生活を一層充実させることが望ましい。その際、放課後支援サービス等においても、障害について理解のある者が配置されることが望ましい。

○ 通学時の支援やコミュニケーション手段の確保について、教育・福祉の連携や社会的支援の整備等の支援の充実を図ることが望ましい。

3.保護者との連携・支援

○ 学校と家庭が密接に連携することが障害のある子どもの支援を行う上で重要である。例えば、障害のある子どもが在籍する学校と家庭が、子どもの成長について定期的に情報共有することやそれぞれの役割を明確化することなどが考えられる。

○ 保護者の障害理解や心理的安定を図るため、保護者の気持ちに寄り添った支援を行うことが重要である。例えば、保護者の悩みを聞くなどの教育相談の実施、障害理解のための研修の実施、障害者や「先輩」保護者の話を聞く機会の提供等が考えられる。

(4)就学相談・就学先決定に係る国・都道府県教育委員会の役割

○ 都道府県教育委員会の就学先決定に関わる相談・助言機能を強化する必要がある。市町村教育委員会単独で就学相談や就学支援に係る専門家の確保が困難な場合には、都道府県教育委員会が専門家を派遣するなどの措置を講ずる必要がある。また、関係者のための研修会を都道府県が実施することも考えられる。

○ 就学相談については、それぞれの自治体の努力に任せるだけでは限界があることから、国において、何らかのモデル的な取組を示すとともに、具体例の共有化を進めることが必要である。例えば、市町村教育委員会において、就学相談に関わる専門的スタッフを配置する、また、県の特別支援教育センターの職員が、各市町村の就学相談委員となって就学相談に関わる専門的スタッフの役割を果たし全域をサポートするなどの例もある。都道府県教育委員会が行う市町村教育委員会に対する支援を円滑にするため、例えば、そのようなモデル的事例の開発や普及を行っていくことも考えられる。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室義務教育改革係

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室義務教育改革係)

-- 登録:平成24年09月 --