資料3-2 第7回学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(平成23年10月14日)における委員の主な意見について

【小中連携の目的設定の重要性に着目した御意見】

○ 学校間の接続が重要だと考えたのは、中学校進学時に心身に不調を来し、学習意欲が低下し不登校になっていく生徒に直面した時。今後の教育の在り方を考える中で、なぜ小中一貫教育を推進するのかを明確に再認識して審議したい。
○ 重要なのは、何のための小中連携なのかということ。
○ 小中学校間の乗り越え難いギャップとは何かをきちんと議論する必要がある。暴力行為やいじめ、不登校は現象であってこれを無くすことが目的なのかどうか。小中学校で共通の目的意識をもって臨めばうまくいく。ゴールや目的を何にするのかをきちんと議論する必要がある。
○ 三鷹市では「三鷹の子どもたちをよりよく育てる」ことを目的としており、小中一貫教育やコミュニティスクールはツールである。目的達成のためであれば手段は柔軟にとる構えでいる。

【地域の実情又は地域との連携に着目した御意見】

○ 文部科学省の参事官付で「地域とともにある学校づくり」の推進を打ち出した報告書を出しているが、地域との連携や信頼関係の構築を、コミュニティスクールや学校支援地域本部といった仕組みを導入することで推進していくことが重要。 
○ 平成23年度は市内全小・中学校の8000世帯に対し調査をかけたところ、90%以上が小中一貫教育に満足しているとの結果になっており、小中一貫教育を通じて地域社会の課題を皆で考えようという機運が高まっている。
○ 今後、地域の実情に応じた9年間の在り方、中学校区単位で学区や地域の諸機関との関係を踏まえる必要性、といった点に留意しながら審議を進めていきたい。
○ 小中連携を進める際の学区の在り方をどのように考えるかは、自分自身が生徒だった経験及び一人の父親としての経験から興味がある。自分の暮らしていた地域では中学校区が生活圏と一致していなかった。小中一貫校とする場合、生活圏に近いところで子どもの成長を見守りながらやるのがいいのではないか。自分自身は、中学校に上がった時に学区的に遠かったので、私学に行った経験がある。
○ 地域との連携を図るツールとして学校支援地域本部があるとの話があったが実施しているところは少ない。福島県で保護者に対し、コミュニティスクールを知っているかと訪ねると91%が知らないと回答し、学校支援地域本部にしても4割は知らないとの回答である。こうした現状を踏まえれば、まずは保護者の啓発から始める必要がある。
○ 学校が統合するのは地域が統合するということ。各地域には歴史、自負、誇りを持っているので、これを踏まえながら対応する必要がある。

【教育課程の在り方に着目した御意見】

○ カリキュラムでいえば、6-3は今の時代には合っていないのではないかと思っている。中学校の3年間で学ぶことが多すぎる。中高一貫ならそれもうまく吸収できるが。小中一貫教育の実施にあたっては、中学校に余裕を持たせたカリキュラムが必要なのではないか。中学校の貴重な3年間を有益なものとしていけるようにしたい。
○ 小中連携に関しては中1ギャップに焦点を当てるべきだが、その解決のためにカリキュラムを変える、というのは少し違うのではないかと思っている。
○ 新指導要領は理数系の時数が多い。小学校は履修主義であり、一通り授業で取り上げないと保護者から批判されるのが実態である。小学校段階の学力をいかにつけるかが大きな課題であり、本作業部会のどこかで、履修主義と修得主義について取り上げないといけないと考えている。
○ 指導要領上、例えば移行するのが困難と言われる算数と数学など、小学校と中学校の教科ごとのつながりを考えていくことが重要。

【教員免許、教員養成の在り方に着目した御意見】

○ 教員免許の在り方が小中一貫教育を阻む要因としてよく挙げられるが、教員の資質能力の向上に関する特別部会においては、逆に「小学校と中学校の区切りを明確にさせるべき」との意見が出ている。今後、そのような議論との整合性をどのようにとっていくかに留意しながら審議を進めていきたい。
○ 現行制度の範囲内で、教員の研修を充実し、小学校教員の教科指導のレベルを上げていくことも考えられるのではないか。

【教員の意識に着目した御意見】

○ 小中一貫のねらいを学習指導上又は生徒指導上の成果としているところが多いが、ネックになっているのは教員の学力観の違い。これからの子どもたちが身につけなければいけない学力とは何なのかを明確にし、これまでの学力観から抜けきれない教員がいる場合は教員の意識改革が重要となる。
○ 小中学校教員の風土・文化の違いをなくすのではなく、違いを認めることが重要。違いがあるからこそ学びあえる。

【教員の負担に着目した御意見】

○ 小中一貫教育をやらないと社会で活躍できる人材が育成できないだろう、また小中一貫教育を推進するのに労力がかかる点にも配慮した審議をしていく必要がある。
○ スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、地域ボランティアなど、多様な方に小中連携の現場に入ってもらい、そういう人たちの力を借りて小中連携を進めていくことが必要なのではないか。

【教員の人事交流の必要性に着目した御意見】

○ 教員が中学校から小学校に行くことはあっても小学校から中学校に行くことはほとんどない。また、東京都としては、小学校と中学校の教員の人事交流はほとんどない。各々の校種のよいところを修得できるような交流をやっていくことが非常に重要であると考えている。

【学校間連携、交流の必要性に着目した御意見】

○ 一般に教育界においては学校同士の横の情報共有がなされていないことが多いので、ITを積極的に導入していく必要がある。ITはハードで離れているところをソフトでつなぐツールとなるものである。
○ 中学生段階の暴力行為やいじめ等への対応として小学校と中学校の交流に取り組んできた結果、中学生の自尊感情が高まり、暴力行為やいじめの件数は明らかに減少してきた。学校が落ち着いてくることにより、先生同士の情報共有が密になされるようになり良い循環となる。

【中学校の役割に着目した御意見】

○ 中学校は3年間で子どもをどのように育てるか、出口を見据えた取組の色が強いと思う。
○ 中1ギャップは学力よりも生徒指導の面で切実。3年間で高校に行かせるだけの義務教育を終わらせる力をつけるためには3年だけじゃ足りず、もっと早い段階から取り組まないといけない。だから、当区においては中学校区ごとに小学校と連携を図っている。
○ 中学校は9年間の義務教育の完成型であり、小中連携だけに力を注ぐわけにはいかず、高校につなげていくために日々奮闘している。
○ 子どもたちが中1で再スタートを図ることをどのように支えるか、に着目しながら審議を進めていきたい。
○ 現場で感じることとして、中1ギャップはここ15年くらい、はっきりと見て取れる実態がある。そのような中、中1段階では不安を抱えたまま入ってくることを前提に、その子のありのままを受け止めるということに私学としては取り組んできた。自分が認められれば勉強する意欲がわく。

【6-3制に関する御意見】

○ 現行でできることも多くあるだろう。大きな制度改革をすると既存の小・中学校をどうするのかという問題、小・中学校が培ってきた伝統を崩すことにもなりかねず、まずは現行制度の範囲でできることを考えていくべきなのではないか。
○ 6-3制でこれまでやってきたのでそれで当たり前と保護者は思っているが、6-3制では対応できない、改める時期に来ていると考えている。
○ 小学生なりの意志と尊敬のバランスが崩れたまま中学校に入ってくる子が多い。6-3制は精査する必要があり、発達心理学を踏まえた制度を設計するべきではないか。
○ 高松第一学園では6-3と4-3-2の融合を行っている。いずれかに硬直化すると問題が生じるのであえて柔軟に融合させて対応している。

【義務教育のまとまりに着目した御意見】

○ 義務教育の目的、目標のさだめができたのは大きなことと考えている。小中は同じ義務教育である。市内の7割以上の保護者は、小中一貫教育の導入により教育効果が上がると回答している。
○ 小・中学校は義務教育であり、6-3は便宜的な区切りである。中学校は高校受験を控え教育内容も高度化する。どのような仕組みをとれば小・中学校の互いがよくなるのかを考えていきたい。

【今後の進め方に関する御意見】

○ 小中連携は、品川区のように教育課程の特例を使った取組から現行制度の範囲内の取組まで内容が多様であり、それに伴う課題も多様であり、議論の整理が難しいかなと思っている。全国の小中連携の取組を精緻に見ていき現状を共有した上でどのような改革をしていくか考えていきたい。
○ 本審議が中高連携にどうつながっていくか、多様なものを一度きちんと整理することは重要だ。学年の区切りをどこに設定するか。小中連携をしたことでどのような成果を得たかに着目しながら審議を進めていきたい。
○ 全国の自治体において小中連携に様々な形で取り組んできているので、連携する際のポイントはかなり洗い出されてきている。テーマ別に課題を整理した上で広めれば、学校教育法の改正などをしなくてもうまくいくことは多々あるのではないか。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年11月 --