資料3-2 「中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理」に関する意見募集の結果について

意見募集の期間 :平成23年7月26日(火曜日)~8月15日(月曜日)

 御意見総数 :67件

 頂いた御意見のうち主なもの :(●は、特に多く寄せられた御意見)

【特色ある教育の展開について】

● 特色ある教育の展開を進めていくに当たっては、子どもの成長や学びの連続性を踏まえたカリキュラムの在り方を十分に検証することが必要である。

○ 「特色ある教育の展開」が、大学受験に偏した教育など「受験エリート校化」につながらないよう厳しく検証すべき。ゆとりある教育の実現を目的として、6年間一貫して学ぶことの長所を生かす教育課程の工夫改善を進める必要がある。

○ 中高一貫教育では、様々な試行錯誤をし、体験を積み重ねること等を通じて、豊かな学習をし、個性や創造性を伸ばし、ゆとりある学校生活を送ることを期待する。

○ 特色ある教育活動をしていくには、学校が自主性を持って教育活動に取り組むゆとりが必要であり、それに見合う教育条件整備も不可欠である。

○ 高等学校段階については、生徒が自分の興味・関心に基づいて幅広い科目の中から授業を選択し、学びながら将来の進路を決定できる総合学科とすることが必要である。

○ 将来に向けたキャリア教育なども重要。

【入学者選抜の在り方について】

○ 現在行われている公立中高一貫教育校の「適性検査」の多くは「学力検査」そのもの。塾などによって対策が講じられているが、制度導入時の国会附帯決議を尊重し、「受験競争の低年齢化」につながらないよう入学者選抜方法に配慮する必要がある。

○ 特に私立学校において、現実には高校2年時で6年間の授業を終え、高校3年で大学入試に備えるという実態があり、公立の入学者選抜で学力検査を行うこととなれば、公立学校においてもその傾向が出てくる懸念がある。

○ 思考力・表現力・判断力が不十分な生徒を受け入れて、6年間かけて十分に力をつけるという、本来の教育に立ち返ったカリキュラムとそれに沿った選抜方法を確立してほしい。

○ 基礎的・基本的な知識・技能を問わないで選抜することによって、入学後に学力やモチベーションの差が生じている。

○ 学校の目標や目指すべき人材育成像に応じて、これに見合う資質・能力を有する生徒を見極めることができるよう、入学者選抜の内容・方法を工夫・改善する必要性を感じており、6年間に渡って生徒のモチベーションを維持し高め、一人ひとりの生徒に確かな力を育成していきたい。

【心身発達の差異や人間関係の固定化を踏まえた異年齢集団の活動について】

● 学年の大きく異なる子ども同士が円滑な学校生活を送れるよう、人的配置を含めた条件整備が必要である。

○ 心身発達の差異の大きい時期の生徒が対象であり、また、生徒集団が長期間固定されることから、学習環境になじめない生徒が生じることが予想される。一人ひとりの悩みに対応できるよう、スクールカウンセラーなどの配置が必要になる。

○ 中高一貫教育校では人間関係が修復不能になる場合もあり、これまで3年ごとに新たな生活の場となっていた中学校、高校が一貫教育となることに不安が残る。

○ 地域の中で異年齢集団の場が少なくなり、子どもたちは限られた集団の中での生活経験しか得られていない。異年齢集団の中で少しずつ成長していくことのできるカリキュラムの構築、ダイナミックな教育活動を実現するための施設整備や人的配置が必要である。

【中高間の教職員の配置・交流と教職員の負担への対応について】

○ 中学校・高等学校では、各学校の特色ある教育の実践を積み重ね、連携も強化している。施設設備や教職員配置などが重要な課題。

○ 6年間を見通した教育課程の編成、教職員同士の連携やカリキュラムづくりの時間確保等、中高連携の良さを発揮させるためには、教職員数の増加が欠かせない。

【各地域における中高一貫教育校の整備について】

● 拙速な設置ではなく、校種間連携の促進など特色ある教育を進めるため、施設整備や教職員配置などの教育条件整備をしっかり行うことが必要である。

【地域への影響について】

○ 地域への影響などを十分に考慮し、それぞれが特色ある教育活動ができる条件整備を十分に整えるなど慎重に進めていかなくてはならない。

○ 中高一貫教育校の設置は、設置場所の市町村教育委員会や地元住民、小・中学校の意見をよく聞いた上で実施してほしい。

○ 中高一貫教育校への進学にともない、地元中学校で学級減となるなど、様々な課題が出てきている。

○ 地域の学校のリーダーが不足していってしまうことも心配。

○ 地域の子どもたち同士や地域社会とのつながりが切れてしまう。

【連携型中高一貫教育校について】

○ 中山間地域の連携型中高一貫教育校は、それぞれ地域の中で一定の役割を果たしている。地域に高校がなくなり過疎化が進むという悪循環を避けるために、積極的に連携型中高一貫教育校を模索する動きもあり、こういう地域にこそ手厚い条件整備が必要である。

○ 連携型中高一貫教育校では、学校が分散していることもあり、互いの交流を深めるには、人的配置や施設設備などの教育条件整備、地域との連携が重要である。

○ 小規模高等学校と地元の中学校との連携を深める連携型中高一貫教育校は、地域の特性を生かした特色ある教育につながる。

【その他】

○ 中高一貫教育の理念を生かすためにも、高等教育との接続について十分な議論が必要である。特に、大学入試の在り方に関する議論を行い、改革を進めていかなければ、中高一貫教育における6年間を見通したゆとりある教育活動を実現することは難しい。

○ 中高一貫教育校のメリット・デメリットを現場実態から率直に掌握することが大切である。条件整備で解消できない根本的なデメリットがある場合は、中高一貫教育校は見直すべきである。

○ 中高一貫教育は、ゆとりある環境の中で、じっくりと自分らしさと共生の心を育む場となるようお願いしたい。

○ 大きな利点を持つ中高一貫教育を享受する機会を広く提供し、子どもたちや保護者の選択の幅を広げるためには、地元公立小中学校との連携が必要であり、中高一貫教育校の利点と留意すべき点を広く取り上げ、中高一貫教育の理念をきちんと周知する必要がある。

※ 上記のほか、特定の都道府県をめぐる事情に関する御意見等。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年09月 --