初等中等教育分科会(第143回)・個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第6回)合同会議議事録

1.日時

令和6年1月16日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文化庁京都庁舎 ※対面・WEB会議の併用
(京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4)

3.議題

  1. 不登校・いじめの状況と文部科学省における対応について
  2. OECD生徒の学習到達度調査(PISA2022)の結果について
  3. 義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて
  4. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】  定刻となりましたので、ただいまから第143回中央教育審議会初等中等教育分科会、第6回個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、合同会議を開催いたします。本日は御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、皆様御承知のように、今年に入って直後の能登半島地震によりまして、多大な被害が生じております。亡くなられました方の御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。
 多大な被害が生じていることは日々報道されているところでございますが、学校におきましても多くの被害がございました。引き続き十分な警戒が必要であるとされている中、今朝のニュース等でも、中学生が集団で避難するといった報道もありました。
 本当に、子供さん御自身の大変さ、保護者の皆さんの御心配はもとより、学校教育に携わっていらっしゃる教職員の皆様、教育委員会の皆様の様々な御配慮に対して、本当に有り難く思うとともに、子供たちの日常が一日も早く取り戻せるように祈るものでございます。
 さて、今回の会議でございますが、昨年3月に文化庁が京都に移転したこともあり、初めての試みといたしまして、出張中教審というような形で、京都におきまして開催をしているところでございます。
 また、会議に先立ちまして、この午前中には、学びの多様化学校の一つである京都市立洛風中学校を視察させていただきまして、子供たちと直接の対話の時間も設けていただき、大変大きな学びをさせていただきました。
 私が特に思いましたのは、午前中の会議に出ていらっしゃった方は、その最後の部分で堀田分科会長代理の方から、マイペースで学べるということの大切さについての言及がございましたけれども、いかに自分のペースというものを、少し形を変えたりとか、ぐっと抑え込んだりしなければ、学校教育の中で学びを重ねていくことが難しいんだという子供たちの実態の、一部ではありますけれどもかいま見たというようなことで、どうしたらそれぞれのペースで子供が学べる学校ができるだろうかというようなお話がございまして、皆さん、うなずいていらっしゃったところでございます。
 私も入らせていただいたグループの中で、中学3年生の子供たちと今日は話ができたんですけれども、その中の一人と話をしまして、例えばこの洛風中学校のような多様な学び方ができる学校がどんどん広がっていって、そういう学校ばっかりになったらいいというふうに私たちは思っているんですけど、あなたはどう思いますかと聞きましたら、その子が、本当に私は大変驚いたんですけれども、そうなると、今のままの学校がいいと思う子にとってみたら行きづらい学校になるんじゃないだろうかと。だから、いろいろな学校があって、それを選択できるということが一番いいように思う、というふうな話をしてくれまして、私は「多様化」という言葉もよく使うわけですけれども、その多様であるということを受け止めるということの難しさと、自分自身の課題というものを改めて強く感じた次第です。
 今日会った子供たちが、もう3月には中学校を卒業して、次の進路に進んでいくということでありますけれども、今後も様々な形で、実際の当事者である子供たちの声を聞きながら、日本の学校教育をどうしていったらいいのかということを、皆さんと一緒に考えていきたいと改めて思った次第でございます。
 ちょっと長くお話をしてしまいまして申し訳ありません。今日はそういうことで、京都で開催しているということで、京都府教育庁と京都市教育委員会からも御出席をいただいております。
 前川教育長は今、教育委員会会議をなさっていらっしゃるということで、京都府教育庁からは相馬指導部長、そして京都市教育委員会からは稲田教育長に御出席いただいております。ありがとうございます。
 各議題に関連して、京都府や京都市における現状や取組について、必要に応じてお伺いできればと思っております。
 皆さん、そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのような形で進めさせていただきたいと思います。
 では、まず相馬指導部長、稲田教育長の順で、御挨拶を賜ればと思います。
 相馬指導部長、よろしくお願いいたします。

【相馬指導部長】  失礼いたします。京都府教育委員会の相馬と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 初等中等教育分科会の委員の皆様方におかれましては、本日は非常に寒い中、雪もちらついていたかと思いますけれども、ここ京都にお越しいただきまして本当にありがとうございます。心から歓迎申し上げます。また、このような場に教育委員会の方も出席をさせていただきまして、誠にありがとうございます。
 議題の一つであります不登校児童生徒への支援につきましては、先ほどもお話がございましたけれども、やはり本府におきましても喫緊の課題でありまして、学校内外においてどのような支援ができるのかということに取り組んでいるところでございます。
 特に義務教育段階におきましては、やはりそれぞれの生徒たち、児童生徒が、自分に合った場というのが望ましいわけではあるんですけれども、やはり学校の中で友達や先生方と関わりを持ちながら、学力だけじゃなくて人間性などについても培っていく場でもあるかと思いますので、全ての子供たちが通いたくなる学校づくり、あるいは授業づくりというのが、私たちには求められているというふうに思っております。
 本年度から、本府におきましては、いわゆるCBTとIRTを組み合わせた京都府学力・学習状況調査「学びのパスポート」というものを行っているんですけれども、それは単なる学力だけではなくて、学力の伸びと、非認知能力ですとか心理的安全性の状況などを把握して、子供たちの認知能力と非認知能力、これを一体的に育んでいきたいというような取組も進めております。
 本日の御協議から多くのことを学ばせていただきまして、府の教育の充実に努めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして稲田教育長、よろしくお願いいたします。

【稲田教育長】  京都市教育委員会の教育長、稲田でございます。午前中に引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は午前中、京都市が設置しております2校の学びの多様化学校のうちの一つであります洛風中学校を御視察いただきまして、ありがとうございました。
 不登校の子供たちの学校を御視察いただくということで、配慮の必要な中ではありましたが、私ども教育委員会と文科省の方が非常に緊密に連携をしていただいて、この視察が実現したこと、本当に有り難く思っております。
 子供たちが、先生方と楽しそうに、率直に意見を交わしている姿を見て、本当に感動いたしました。子供の力を信じることの大切さを感じたところでございます。
 これを機に、不登校児童生徒を支援する施策がますます充実しますことと、その支援に取り組んでおります教職員の処遇改善、あるいは増員につながっていくことを祈念いたしまして、簡単ですけれども私の御挨拶とさせていただきますとともに、本当に、準備いただいた皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、報道関係者の皆様におかれましては、撮影はここまでとしていただきまして、よろしくお願いをいたします。
 では議題に入りますが、その前に、前回の開催以降、初等中等教育分科会に新たに御参画いただいた委員がいらっしゃること、また、事務局の方に人事異動があったということでございますので、御紹介をよろしくお願いいたします。
 小畑室長、お願いいたします。

【小畑教育制度改革室長】  教育制度改革室長、小畑でございます。まず、このたびの京都での開催に当たりまして、京都府教育委員会、京都市教育委員会の皆様方におかれましては様々な御協力をいただきましたこと、事務局からも改めて御礼を申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。
 それでは、委員を御紹介させていただきます。このたびの会議より、田島健一委員に新たに本分科会に御参画いただいております。お手元に最新の委員名簿をお配りしてございますので、併せて御覧いただければと思います。
 また、事務局におきましても人事異動がございまして、1月6日付で文部科学戦略官に森が着任してございます。オンラインで本日参加させていただく予定でございますので、併せて御紹介をさせていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 続いて、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局から御説明よろしくお願いいたします。

【小畑教育制度改革室長】  事務局でございます。本会議はウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催をさせていただきます。本日は会場の都合上、Webexを使用して会議を実施してございます。委員の皆様方におかれましては、いつも以上に御不便をおかけするということもあろうかと思いますけれども、何とぞ御理解のほどよろしくお願いをいたします。
 また、会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、オンラインで御参加いただいている委員の皆様方におかれましては、  御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いをいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いをいたします。
 また、この会議室において御出席をいただいております委員の皆様方におかれましては、御発言時にiPadの「ビデオを開始」のボタンを押していただくとともに、お手元のマイクの電源を入れていただくようお願いをいたします。また、大変お手数ですが、御発言が終わりましたらiPadの「ビデオを停止」のボタンを押していただきまして、またマイクの電源をお切りいただきますよう、お願いをいたします。操作に関しまして御不明点などございましたら、お近くの事務局職員までお声かけいただければと思います。
 それでは、資料の確認でございますけれども、本日の資料でございます。議事次第にございますとおり資料1から資料3-3、加えまして参考資料といたしまして、先ほど荒瀬分科会長からもございました、令和6年能登半島地震における被害情報ということで、文部科学省の方でも随時更新しているものの最新のデータを、参考資料1に配らせていただいてございます。そのほか、関係する参考資料ということで、参考資料1から参考資料4-2までということでお配りをしてございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。議題は三つございます。まず、議題の1といたしまして、不登校・いじめの状況と文部科学省における対応につきまして。議題の2といたしまして、OECD生徒の学習到達度調査(PISA2022)の結果につきまして。そして議題の3といたしまして、義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめが出ておりますので、それにつきましてということになっております。
 先ほど御説明がありましたように、今日は会場が違う関係で、通常使っているソフトと違うソフトで動かしているということもあり、もしも何か不都合がございましたら、是非御指摘をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、議事に入りますが、それぞれの議題につきまして、事務局から御説明をいただきました後、議題ごとに質疑応答の時間を設けたいというふうに思っております。
 本日は京都府教育庁、京都市教育委員会からも御出席いただいておりますので、京都における現状や取組について、御関心などが当然おありかと思うんですけれども、御発言いただくような機会がございましたら併せてお願いできればと思いますし、委員の皆様からの御質問もございましたらお願いしたいと思います。
 時間の都合で、御発言いただける委員に限りが生じてしまう場合もあるかと思います。その場合は、大変申し訳ありませんが、会議の後に事務局にメールをいただければ、議事録として掲載したいと思いますので、その点もあらかじめ御了解いただきますようお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者の皆様と一般の方向けに、本会議の模様をYouTubeで配信しております。御承知おきください。
 では、議題の1でございます。「不登校・いじめの状況と文部科学省における対応について」でございます。
 昨年10月に公表されました「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の調査結果」や、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」などを含めた、不登校・いじめの現状や文部科学省の対応状況などにつきまして、伊藤児童生徒課長から御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

【伊藤児童生徒課長】  失礼いたします。文部科学省児童生徒課長の伊藤でございます。
 まず、現状から御説明を申し上げたいと思います。お手元の資料の1番目を御覧いただければと思います。
 まず、不登校の状況についてということでございますけれども、昨年10月に発表いたしました令和4年度の児童生徒の問題行動・不登校諸課題調査におきまして、不登校児童生徒数は過去最多、これは過去10年連続で増加を続けているという状況でございます。全体としては36万人、うち小中学校の義務教育段階の不登校児童生徒数につきましても、過去最多でございますが29万9千と、約30万人に上る状況になっております。
 この数といいますのは、とりわけコロナ禍の令和2年度からの2年度間で10万人、義務段階が約30万人に迫ると今申し上げましたが、この2年度間で10万人増ということで、1.5倍に増えているという状況でございます。
 我々、コロナ禍の全体の数の増加ということとともに、大きく二つの課題があると認識しておりまして、1ページ目にその観点で資料を御用意させていただいております。
 一つは、左端にございますとおり90日以上―不登校の中でも、この調査上の定義といたしましては、欠席日数30日以上の者を不登校ということで調査をしておりますけれども、90日以上の長期に欠席されている児童生徒の割合が、実数とともに割合も増えているといった観点が一つ。
 そしてもう一つに関しましては、右端のところでございますけれども、小中学校において、学校内外で専門的な相談・指導を受けていない児童生徒数が、総数として11万を超えたという状況、これが大きな課題と認識しております。
 この11万人ということで、38.2%、不登校児童生徒数の小中学校の30万人のうちの約4割近くのお子さんが、専門的な指導・助言は受けられていないという状況、これは大きな課題と認識しております。
 次に、いじめの状況でございます。1ページ、2ページ目を御覧いただければと思います。
 いじめにつきましては、まずは早期に把握して対応するということで、積極認知ということを推奨しておりますので、総数として過去最多の認知件数、68万と約2,000件ということ自体は、早期把握ということの一定の成果だという認識をしておりますけれども、一方、大きな課題として捉えておりますのは、早期把握というのは重大事案に至らない前に対応していくという趣旨もございますけれども、この重大事案の件数自体が、過去最多の約1,000件に上る状況というところでございます。
 あと、大きく課題として捉えておりますのは、その下の円グラフのところでございますけれども、この重大事案の923件のうち、円グラフの青い部分のところで、赤枠で囲わせていただいておりますけれども、この重大事案に至る前に、いじめとして認知されていなかった割合が約40%の38.7%、また、そのうちいじめに該当し得るトラブルの情報はあったけれども、結果として重大事案として認識に至らず、重大事案化してしまったという割合が約16.4%、こういった状況は大きな課題だと認識しております。
 3ページ目を御覧いただければと思います。
 まず、不登校の対策についてというところで、これまでの対策というところでございます。
 昨年の3月に、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策『COCOLOプラン』」と。この「COCOLOプラン」というのは、3ページ目の右上段に正式な名称を書かせていただいておりますが、子供にとって快適で最適な学びの場を確保していこうと。
 ですので、不登校の状況にあるお子さんの状況は様々でありますので、それぞれの状況に応じた学びの場を確保していこうという趣旨で、このCOCOLOプランというのを打ち出させていただいているというところでございます。
 柱として、大きく三つの方針でやっております。1ポツ、一つの大きな柱が、不登校児童生徒全ての状況に応じて学びの場を確保していくということで、この1の柱の中に、本日御視察もいただきました不登校特例校、この8月に実際に特例校に通われているお子さん、先生方の意見を募集しまして、「学びの多様化学校」ということで開始をしておりますが、こういった学びの多様化学校の設置促進、早期にということで、直近の教育振興基本計画では、令和9年度の計画期間中に全ての都道府県・政令指定都市に1校以上、そして、将来的には全国300校を目指すということで、設置促進を図っていくということや、また、子供にとって身近な場所であります各学校の中に、居場所としての校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)を確保していく。
 また、学校外の学びの場ということで、教育委員会等に設置されます教育支援センターといった場を充実して、今つながっていないお子さんへの支援というところを充実していくといった機能強化や、また、民間との連携も含めた多様な学びの場の確保ということを進めております。
 2番目の柱として、早期にSOSを把握して支援につなげるということであります。1人1台端末を活用して、子供の心、体調の変化を早期に発見して、専門的な相談につなげる。例えば教員であるとかスクールカウンセラーといった形で、チームで早期に対応していくといった体制をつくっていく。
 3の柱としては、そもそも全ての学校を子供にとって安心して学べる学校にしていくということで、心理的安全性の確保とともに、一番学校で過ごす時間が長い授業といったものを改革していくと。この大きく三つの柱で取り組んでいるところでございます。
 4ページ目、御覧いただければと思います。
 また、いじめの部分に関しましては、関係省庁の連絡会議というところで優先的に対応する14の柱というところで、早期に対応すべき課題と。犯罪行為が疑われるような場合については、警察との連携ということももちろん必要でございますし、重大事案の増加という課題と照らして、この重大事案の調査であるとか対応方針についても見直していこうと。
 今申し上げたのは5の柱、6の柱というところでございますが、こういった取組を早急に強化していくということを、一昨年段階で打ち出しているというところでございます。
 5ページ目を御覧いただければと思います。
 こういった、これまでの対策の中において、先ほど冒頭御覧いただきました調査結果を踏まえて、より緊急的に対応が必要であるという観点で、昨年の10月に「不登校・いじめの緊急対策パッケージ」ということで打ち出させていただいております。
 それぞれ、COCOLOプラン、また、いじめの関係省庁会議の対策方針、これを前倒しして、強化して取り組んでいくという趣旨で、打ち出させていただいているところでございます。
 不登校の関係につきましては、左端にございますけれども、一番身近な場であります学校内に、校内教育支援センターといったものを整備し、未設置校に設置促進を図っていく。そして教育支援センター、どこにもつながっていないお子さんへのアウトリーチ機能といったものを強化していく。その観点でのICT環境の整備ということも図っていく。
 また、1人1台端末での心の健康観察の取組というところを進めていくために、アプリ等の導入に係る取組支援ということも強化していこう。また、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの相談時間の充実ということも図っていく。
 これは予算を伴う話でございますが、それ以外の、予算以外の取組といたしまして、例えば不登校の関係でいきますと、学びの多様化学校の取組を推進していくための全国会議、これは昨年の12月に大会を開催させていただきました。
 また、新たに設置を検討されている自治体様に、相談を強化するためにということで、我々事務方の文部科学省への相談体制のみならず、マイスターを派遣しまして、これまで設置に取り組んだことがある経験者の方を自治体に派遣して、相談・助言が受けられる体制づくりというところも強化しているところでございます。
 いじめに関しましては、右端のところの白地抜きの部分でございますけれども、重大事案の調査というところに関しましては、ガイドラインの改訂というところで、全国的な対策の強化も更に前倒しで図っていくとともに、認知件数自体は低くとどまっているけれども、例えば重大事案の発生件数が多いような自治体様には、個別に、有識者と共に我々が伺って、困り感もお聞きしながら指導・助言をさせていただく、そういった取組も、実はこの1月から、もう開始させていただいているところでございます。
 最後に、予算といった観点でございます。6ページ目を御覧いただければと思います。
 先ほどの緊急対策パッケージを受けまして、令和5年の補正予算につきましては、総額51億円の予算をこの11月に編成し、国会で成立していただいております。加えまして、令和6年の当初予算案では、88億円ということで確保させていただいているところでございます。
 不登校という観点でいきますと、補正予算の部分に関しましては、左端の④のところでございますけれども、校内教育支援センターの設置というところで、場の整備とともに、立ち上げに当たってのコーディネーター等の諸経費ということで、未設置の学校6,000校への支援。また、教育支援センターのICT化への整備につきましては6,00箇所、また、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの配置充実というところについても、緊急相談のために、3,900校分の配置時間充実のための予算を組ませていただいております。
 当初予算の部分に関しましては、この左の上段の①に該当しますけれども、学びの多様化学校、令和5年に初めて設置準備経費についての御支援経費というのを編成しましたけれども、令和6年予算案におきましては、新たに設置後の運営支援ということも支援メニューに加えさせていただいております。
 また、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーにつきましても、重点配置校につきまして1万校と。これは小中学校で捉えますと、公立で約3万校あるうちの3分の1に該当するかと思います。1万校分の重点配置校の充実というところを出していただいております。
 こういった環境整備もしながら、不登校・いじめ対策の更なる推進というところを図っているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  伊藤課長、ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました内容につきまして、御意見、御質問いただく場合、御発言をお願いしたいと思います。
 会場にいらっしゃる方は、名札を私が見えやすいように立てていただいて、御発言の意思をお示しいただきたいと思います。オンラインの方は、「手を挙げる」を押していただいて、御指名をいたしましたらミュートを解除して、更には画像も見せていただいた上で、御発言をいただきたいと思います。
 時間としては25分から30分程度と思っております。申し訳ございません、短い時間になりますが、よろしくお願いいたします。           
 いかがでしょうか。   
 では渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】  日本学校保健会、日本医師会の渡辺でございます。今の文部科学省のこれまでの対応というのは、非常に評価できることだと思います。
 ただ、ちょっと違うことを発言させていただきたいと思うんですけれども、現在の対応方針の基本というのは、いじめや不登校が生じた後の救済措置、若しくは生じた後のSOSを早期に出させて発見する、どちらかといえば受動的な対策や、配置を増やせば効果があるという前提の、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの配置充実であるように見えます。
 しかし、不登校やいじめが増加している現状を鑑みた場合に、現在の対応方針の延長線上に体制を強化するというだけでは、効果は限られるのではないかと思います。それが今の現状を示しているのではないかと危惧しております。
 いじめ重大事態に対する報告書の分析が今始まったところでありまして、要因分析が行われると思いますけれども、不登校に関しても可能な範囲で情報を集積し、いじめや不登校の原因分析と検証による、根本的かつ要因に応じた予防策や支援策を構築する必要があると思います。
 現在示されている、アクシデントが生じた後の支援策と並行して、原因分析と要因に応じた対策を是非講じていただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘でありますが、そこはなかなか難しいといえば難しいわけですけれども、その難しさに向き合っていかなければ、解決がなかなか図れないというのも事実でしょうから、是非その点、考えてまいりたいと思います。私たちも、その方向で是非議論を続けられればと思っております。
 では神野委員、お願いいたします。

【神野委員】  よろしくお願いします。質問というか意見というか分からないのですが、今、私自身、学校長としてやらせてもらっている上で、現場感的なシェアという意味で発言させていただければと思います。
 いじめの認知件数の推移が増えているということは、本当にそうだなというふうに感じています。というのも、やっぱりいじめ防止対策推進法のいじめの定義というものが、「当該児童等が在籍する学校に在籍している、当該児童と一定の人的関係にあるほかの児童生徒が行う、心理的または物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛と感じているものをいう」が定義なので、ある意味ではどんな行為であろうと、保護者やその生徒がいじめだというふうに言われたら、我々はそれをいじめではないとは絶対に言えないというのが、この定義にあると思います。
 そういった意味では、ちょっと、私が子供時代に、学校でいじめというふうに自分がもやもやっと考えていたものと、今現実、学校現場でいじめと言われたときに感じているいじめの定義は随分違うなというふうに思います。より広くなったという意味です。そういった意味で、このいじめの認知件数がどんどん増えているというのはそうだろうと。
 ですが、現場感的に言ったときに何がつらいかというと、いじめの件数は増えているんですけれども、教員の数は変わらないわけです。いじめがどれだけ重度であれ軽度であれ、いじめと認知された以上、私たちは全て、全力でもって当該トラブルに対して当たらなきゃいけないんですが、いじめの件数がこの10年弱ぐらいで3倍になっていようと、教員の数は変わらないとしたときに、非常にやはり、そのトラブルに対して当たるということが難しくなっているというのが一つあるんじゃないかなというふうに思っています。
 そういった意味で、やはり人的リソースをどうするのかということは、非常に緊急的な課題なんじゃないかなというふうに思います。
 そしてまたもう一つ、重大事態の件数の推移が増えているというのは、早期発見に重きを置いて、重大事態の件数を減らすためだというようなお話もありましたが、これも一応、重大事態とはどういう意味なのかということを考えた際に、これはちょっと質問も混じりますが、この「重大事態」と言っているのは、恐らくいじめを起因とした30日以上の欠席ということが、この重大事態に該当すると。いじめ防止対策推進法上の重大事態の定義のことを指しているのかなと思われるのですが、この重大事態というものもまた、本当の意味でいじめを起因とした30日の欠席だったのかは分からないが、重大事態となっているという側面もあると思っていて、その際に、やはり第三者委員会を立てなきゃいけないというようなことを学校現場としてはやるという中においても、非常に学校のリソースというものが、この件数の推移と同時に奪われているというか、非常に大変になっているという側面もあると思います。
 そういった意味で、この増加とともに、人的リソースをどうするのかということはかなりリニアに考えなければいけないんじゃないかというところで、一つ発言とさせていただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。質問というか確認のようなお話もありましたけれども、伊藤課長、まずいかがでしょうか。

【伊藤児童生徒課長】  ありがとうございます。まず、渡辺委員の、要因に応じた、それぞれいじめ対策、そして不登校対策の充実が必要なのではないかという御指摘でございますが、御指摘のとおりでございまして、いじめに関しましては今、重大事案報告書を、法律上は各設置者に報告するという形になっているんですけれども、令和5年度から、国の方にも御提供いただくように変わりまして、それを今分析して、重大事案がどういったケースで起こっていてというような要因と、そして要因ごとの分析ができればということで、今、検討を進めているというところでございます。
 また、不登校の部分に関しては、先ほど説明をちょっと割愛してしまってすみません、3ページ目にございますCOCOLOプランの中にも、実効性を高める取組ということで、一番下の基盤となる取組としまして、一人一人の不登校になった要因分析を進めるということを、このプランでも掲げておりまして、今年度、別途、委託調査ということで、学校だけではなくて児童生徒、保護者にもお聞きしながらという、今、調査研究も同時に進めているところでございます。
 それが一つと、そして、神野委員御指摘の、いじめの定義についてというところにつきましては、このいじめ防止対策推進法の定義が従前の定義よりも広がっているということは事実でございます。
 それは、子供の実際の困り感、いじめというところへ早期に対応して対処していくといった、法律の創設の趣旨にのっとってそういった対応になっているというところでございますけれども、その中で重大事案というところにつきましては、神野先生がおっしゃられた、いじめが主な要因になって不登校に至るというところも、いわゆる法律上の「2号事案」と言われる事案というところで、重大事案の中の一つとしてございます。
 もう一つは「1号事案」と通称で言われておりますけれども、いじめを起因として心身・生命と財産に重大な被害が生じたおそれがある事案と。それも含めて、この二つのことを重大事案として捉えてというところでございます。
 この重大事案自体が増えてきて、それに伴って学校全体が調査をしっかり、第三者も入れたような形の重大事案調査を進めなければいけない、その御負担感というところについてはいろいろお聞きするところでもありますので、今、重大事案の調査のガイドラインの見直しというところをさせていただいている中で、どういった取組をすることによって、早期に、より再発防止が図れるのかとか、また、調査に当たって真に――必要な調査体制ということは公平性、客観性の観点でも必要ですけれども、一方で、持続可能な調査体制ということも必要になってきますので、調査に当たってどういう体制が現実的に望まれるのかということも、今、別途、協力者会議で御審議をいただいているというところでございます。
 現状については以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 加えて、ございましたらお願いいたしますが、よろしいですか、お二人は。
 では田島委員、白井委員の順に、よろしくお願いいたします。

【田島委員】  全国町村会副会長を務めております、佐賀県白石町長の田島でございます。本日が初めての出席となっております。よろしくお願いいたします。私からは、いじめ・不登校問題について、町村の立場から意見を申し上げさせていただきます。
 本日の資料でも示されているとおり、令和4年度は、小中学校におけるいじめの認知件数、不登校児童生徒数が過去最大となっており、憂慮すべき事態であるとともに、喫緊の課題であると認識しております。
 このような状況の中で、教育現場においては、いじめ・不登校問題をはじめ、現代の複雑化かつ困難化する課題への対応や、個々の児童生徒の状況に応じた適切な支援が求められております。
 一方で、教育現場である学校だけでなく、学校・家庭・地域が一体となって、地域全体でこのような課題等を共有し、未来を担う子供たちを支えていくことが、非常に大切であると考えております。
 当町の例を申し上げますと、小学校に「5STARかがやきプロジェクト」というプロジェクトを立ち上げまして、方言ですけれども「ひっきゃでしゅい」、これは標準語で言いますと「みんなでしましょう」という意味ですが、これを合い言葉に、学校と地域が連携・協働し、コミュニティスクールと地域学校協働活動を一体的に行っているところでございます。
 具体的には、「笑顔で元気に学校へ通う子供」「目標を持って爽やかに取り組む子供」といった、育ってほしい子供像を掲げ、地域貢献や学習支援、特別学習など、五つの課題に地域住民と学校が連携して取り組むことで、子供たちの成長を地域全体で見守りながら、教育活動の充実を図っているところでございまして、このような取組はある程度の評価もいただいているところでございます。
 最後に、現代の様々な課題に対応するためには、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの専門性を持った支援スタッフの配置・拡充が重要であろうと考えます。特に町村部では、このような支援スタッフが全般的に不足しているという現状がございますので、この機会に十分な支援をお願いしておきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。一部は多分、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置は増えつつある部分はあると思うんですけど、なかなかそれが十分でないという、本当に現場のお声でございました。
 同じく、先ほどの神野委員からの御発言も、いろいろといじめの解釈が広がっていくことは、一人一人の子供にとってとてもいいことなんだろうけれども、しかし、それに対応する部分が、どうもなかなか十分ではないという、そこをどうしていくのかということを考えていくということが大事で、これは文科省に「やってください」だけで済む話ではないんですけれども、是非文科省も中心になってお取り組みいただければということを思います。
 では白井委員、お願いいたします。

【白井委員】  ありがとうございます。本日、本当に何よりも、このような見学の機会をつくっていただいて、本当に関係者の皆様、ありがとうございました。見せていただいたということも非常に勉強になりましたし、何よりも、お子さんたちとお話ができたということで、私は会長と同じ班にいたんですけれども、本当に学びが大きくて、やはり、本当に当事者の声を聞きながら方針をつくっていくということの大切さというのを改めて感じましたので、今日彼らから聞いた声というのも織り交ぜて、私、感想というのを、せっかくですので記録に残させていただければというふうに思っています。
 今日拝見して、40から47人、あそこで学べているというようなことで、お話を伺って、やっぱり、なかなかあそこに来ていないお子さんもいらっしゃるということでしたけれども、ただ、休んだからといって怒られない、来たいときに来られるというような場所があるということで、中には民間のフリースクールと掛け持ちで行っているというお子さんもいらっしゃいました。ダブルスクールでというような形で、やはりそういう学びの選択肢をつくっていくと、今までの学校では学びがなかなか得られなかったけれども、そこでアクセスすることができるお子さんが確実にいらっしゃるというようなことというのは、非常によく分かりました。
 翻って私自身、25年、民間のフリースクールで対応してきております。やっぱりそこと比べたときに、余りにリソースの差というのが大きいということも、今日初めて感じました。例えばスタッフの体制、手厚さであるとか、環境であるとか、彼らがアクセスできる教材であるとか、ものすごく差がある。民間の方々というのは、そこに対して月5万円なりのお金を払って、子供たちに行くべき義務教育費というのもほとんど行ってないというような状況の中で、非常に差がある状況の中で学んでいるという状況でございます。
 平成15年にこの洛風中学ができた当時というのは、本当に私も画期的だなと。公がこういう場所をつくるというのは画期的だなというふうに思いましたけれど、今になってみると、本当に学校に行けていないお子さんが75万人ぐらいいらして、全く学びにアクセスできていないお子さんも10万人以上いらっしゃるというような状況の中で、ともすると、京都市内にも幾つもフリースクールがあるというような状況、それからオンラインフリースクールとかというのも今出てきていますというような状況の中で、そちらにはお金がかかって、あちらには無料でというようなことになると、やっぱりそこのバランスというのを考えないと、ともすると民業圧迫というようなことにもなりかねないような、今はそういう時代になっているということにも、しっかり目を向けなければいけないというふうに思います。
 そこのアンバランスさということと、それこそ、子供さんの中から出ましたけれども、全てがこういうふうになればいいというわけじゃなくて、いろいろな選択肢が必要という中で、今やっぱり、学校というものが、そこからこぼれ落ちてからいろいろな選択肢があるというような形になっているわけですけれども、やっぱり、私も3人の子供の母ですけれども、今の学校に行っているからといって、今の学びに満足しているわけでもなくて、やっぱりそれは、いろいろな選択肢がないというようなお子さんも、今学校に行けている中でもあります。
 それ以上に、70万人が本当に学校に行けていないというような状況の中で、学校も含めて、いかに多様性をちゃんと担保していくかというようなこと、それこそ難しいことではありますけれども、そろそろ、そこのところ、根本的な課題というのは目を向けないと、ちょっともう、こぼれ落ちていく子たちを支えるというだけでは間に合わないなというような感想を、お子さんたちと話していて思いました。
 もう一つ、非常にしっかりした意見、多分ここに来てもすごいしっかりした意見を言われるんじゃないかというようなお子さんが、最後、御自分の将来について少し聞いたときに、ものすごく、自分の将来に対して限られた選択肢しか持っていないというような表現の仕方、それは何かというと、やっぱり親が納得しなければ、自分の思うような選択肢というのは得られないということに関して、すごく、そこに対する諦めというのか、というのを強く表現していらっしゃったというのが、すごく心に残りました。
 いわゆる、今で言う親ガチャとか家庭ガチャというようなものを、やはりお子さん方というのはすごくしっかり見ていて、その中でできることというのをすごい考えているんだけれども、やっぱり彼らがすごく可能性があるというところに対して、本当に自分の持てる才能だったり情熱だったりというのを、それぞれが本当に解き放てるような環境というのをつくっていく。
 それが、先ほど堀田先生がおっしゃられたマイペース、みんながマイペースでいられる。普通の学校に行っている子も、多様な場に行っている子も、みんながマイペースでいられて、みんなが自分の能力を伸ばせるというような形にしていくために、やはりそのセーフティネットというのをどう考えていくか。学校も本当にそのセーフティネットの一つであるというところをどう考えていくかというのを、本当に根本的に考え、見直していかなきゃいけないことかなというのを、お子さんとの対話の中で感じさせていただきました。
 今日は本当にありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。本当にこれ、難しいんですけど、難しいからといって考えるのをやめましょうではなくて、考えていく中で、じゃあ学校というのは何をどこまでやることが必要なんだろうかという、これからの学校像というものもしっかりと見据えていくといいますか、つくっていかなければ駄目なんでしょうけれど、そういったところが大事なんだろうなということを思いました。
 多分、多くの若者が、思いどおりに生きていければそれでいいというふうに思っているわけじゃなくて、いろいろな困難とか、周りの、場合によってはやや圧なんかも受けながら、それに耐えたり、それを跳ね返したりしながら生きていくということをやってきたし、これからもやっていくと思うんですけれども、そういったことも含めて、どんな学校像がいいのだろうかというのは、非常に難しいなと思いながら、でも、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 すみません、できるだけ私は話さないようにすることにいたしまして、柿沼委員、吉田信解委員、岩本委員が札を挙げて……                 
 あ、岡本委員。では、岡本委員までとさせていただきまして、次の議題に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では柿沼委員、どうぞ。

【柿沼委員】  柿沼です。本日は本当にありがとうございました。貴重な機会をいただきまして。
 今、不登校のところの話は、議題3の義務教育の在り方のところも含めて、そこでちょっと意見を言わせていただきたいと思うんですけれども、1点だけ、「誰一人取り残さない学びの保障に向けて」というCOCOLOプランのところなんですけど、今後こども家庭庁の方でも、多様な子供の居場所づくりが全国的に広がっていったときに、ここと教育部局の関係性をかなり強く持たないと、やっぱり今、現状でも、ヤングケアラーになっていて学校に行けずにいる子供達を養育支援でしている立場からすると、この関係が難しくなってしまうと教育の機会も保障されなくなってしまうので、ここは文科省さんの方で市町村の、また都道府県の教育部局の方にきちんと働きかけていただいて、そこに通う子供たちにも、きちんとした教育の保障ということを、強くそこを求めていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】  遅れて参加でございます。申し訳ありません、時間のない中でございますけども、先般、地元のふれあい教室といって、私どもの市と周辺の町で運営している、不登校のお子さんを対象とした教室を見学してきました。
 その中で、ちょっと細かいことかもしれませんけれど、非常に大事なのは、そのお子さん方がいつの時期に多くなるかということでございました。年度当初は少ない。だんだんこれが増えていって、また年度が替わると少なくなるという、そういう傾向は多分、私どものところだけではなくて全国的にあるのかなと。
 それに対応する先生方の体制づくりというのが、やっぱり非常に大変でございます。増えれば増えただけ先生方も増やさなければならない。少ないときはどうするのかというような問題もある。どうやってフレキシブルに先生方の対応をしていくかということを、しっかり考えなきゃいけないなというふうに感じたところでございます。
 そういう意味でも、文科省の方で、令和6年度の予算額の案ということで、今、示していただいておりますけど、とにかく不登校対策にたくさん予算をしっかり付けていこうという姿勢、これは是非よろしくお願いしたいと思いますし、私どもも市長会として大変こういったところを評価させていただくところでございます。
 最後になりますけれども、やはり公立だけではなくて私立、これはフリースクールということも含めて、私立の学校の経営という面でも、この不登校対応に乗り出していただくような私立の学校が増えることは、私は良いことではないかなというふうに思っております。
 私どもの地元の中高一貫の私立の学校などでも、不登校のためのフリースクールを学校立でつくろうかと。これはもちろん、学校の経営という面もあると思うんです。もちろん経営があっていいと思うんです。こういった分野に私立の学校が乗り出すことによって、少しでも子供たちの様々な居場所づくりをやっていくということ。これは、私立学校がこういった方向に力を入れていくということを、更にもっと国全体として促していくことも大事ではないかと、このように感じておりましたので、ちょっとお話をさせていただきました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 それでは岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】  私の方からは、不登校に関して一つ質問になるんですけれども、まず今日、午前中行かせていただいた、実際の生徒さんたちと対話をさせていただいた中で、一つ印象に残ったのが、なぜ前の学校は行けなくなったのか、そして、この学校に来て良かったところはどこなのかというような趣旨の質問をさせてもらったときに、三人いたんですけど、そのうちの二人がほぼ同じようなことを言っていて、前の学校では先生が子供の声を聞いてくれなかったと。ここでは、生徒の話をちゃんと先生が聞いてくれるというようなことを言っていました。もう一つは雰囲気というような言葉で言っている子もいましたけれど、雰囲気が違うということを言っていたんですけども。
 それで、更にちょっと問いかけたときに、じゃあどうして前の学校では声を聞いてくれないという感覚というか、若しくは先生たちがそうで、ここではそれができているのかなというようなことを聞いたときに、やっぱり学校の規模が違うということが一つあるんじゃないかというようなことを生徒が言っていました。
 というのが印象に残りましたという感想でした。質問としては、先ほど不登校に関してのエビデンスに関するところの調査を、今年度も進めてきているというような話があったかと思います。まだ調査研究も半ばなのかもしれないんですけども、実際どういった地域や学校では不登校が大きく割合が伸びていて、どういったところでは不登校が増えていない、若しくは減っている、若しくは少ないというような、そういうことが今の段階で見えてきているのかというところが、もし伺えたらというところです。
 それに併せて、「学校の風土の見える化」ということも、COCOLOプランの一つ大きいキーワードで出ていたと思うんですけれども、どういった風土のところは不登校がほぼ出ていないとか低いというようなことなのか。それが生徒の言った雰囲気というものに近いことを言っているんじゃないかと思ったんですけれど、そこら辺のエビデンスで見えているようなところがあれば、ちょっとまた教えていただけたらというところです。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 いかがですか。

【伊藤児童生徒課長】  ありがとうございます。まず、どういう地域、どういう学校だったら不登校の数が減っているのかというようなお話ですけれども、全国的に不登校の数が増えているという状況でございますので、地域によっての減というところについての特徴は、現段階で、明示的な地域的な状況というところについてのエビデンスについては、確認できていない状況でございます。
 ただ、今検証する中において、取組ベースでの効果というところでいきますと、例えば校内教育支援センターのような、学校の中に居場所だったりとか、子供に個別の対応ができるような空間、そして態勢を整えるという形にすると、再開登校率だったりとか、また、不登校のお子さんの発生の状況が全国平均よりもずっと低くなったというような事例というのも出てきておりますので、ですので、今日の学びの多様化学校での児童生徒さんの声にもありましたとおり、やはりきめ細かな対応をしていくということに対しての一定の効果というのは、これは不登校児童生徒が出現した後の対応ということだけではなくて、まずは、例えば学校を少し休みがちになったりとか、行き渋りになったりという揺らぎの段階でも、そういった対策を取ることが一定程度、効果があるのではないかというところは、現状、取組の把握をしている中で我々が認識しているところでございます。
 あと、すみません、後段もう一つ御指摘あったかと思いますが……。

【荒瀬分科会長】  これは難しいと思うんですが、学校の風土の見える化という……。

【伊藤児童生徒課長】  あ、すみません。学校の風土の見える化というところについては、これは様々、学級であるとか学校の心理的安全性というところを検証するための、様々なアンケート調査だったり、分析ツールというのも出てきている中で、例えば「自分のクラスは安心して過ごせる」といった比率が高かったりすると、やはり必ず不登校の発生状況とかが低いというような民間の調査結果というのもありまして、一つは、今、不登校対策の三つ目の柱である、学校そのものを安心して学べる学校にしていくというところで、まず、それぞれの学校ないし学級が、子供が安心して学べる学級運営になっているのかということを客観的に捉えて、対策を打っていくといったことが必要なのではないかということで、このようにCOCOLOプランでも書かせていただいているという状況でございます。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。岩本委員、よろしいですか。
 ただ、難しいですね。「安全」というのもやや揺らぐかもしれないんですけれど、「安心」となると、何をもって安心できるかできないかというのは、これは相当な差があって、不登校の子も、その原因を分析していくと一通りでは必ずしもないという、そこが難しい。難しいからやめるんじゃなくて、難しいからこそしっかりと受け止めなければならないということが言えるでしょうし……。ただ、岩本さん、是非また、こういったこともいろいろな場面で、別の部会も含めて議論していかなければならないなと思いながらお聞きしていました。ありがとうございました。
 すみません、しゃべってしまいました。
 では岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】  本日はいろいろ御設定いただきましてありがとうございました。大変貴重な経験をさせていただきました。私は幼児教育施設におりますので、先ほど渡辺委員が、こうなる前の何か対策ということで、私自身も子供たちを見ていて、やはり小さい時からの創造力(想像力)というか、そういう力を淡々と増していくということと、やはり学校教育というそのつながり、今、「架け橋」ということで、様々に小学校以上の教育とつながるように、私たちも皆で考え、研修を積んでおりますけれども、ますますその辺りが重要かなと思いながら、その創造力(想像力)、自分たちの幼児教育の中では育てたつもりではあっても、今の時代を考えて、その創造力(想像力)がどういうふうに構築されていくのかということを、もっとしっかりとデータを基に考えていく必要があるなということを感じております。
 創造力(想像力)というのは何をしたからつくわけではないことも重々承知ですけれども、現代だからこそ、自然と関わって実体験を踏むということの力強さを、私たち幼児教育の現場からも発信しながら、この問題にも向き合っていく必要があるなということを感じました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。ちょっと、私が十分よく分かっていないので。「そうぞう力」はイメージする力ということですか、それともクリエイトする力。

【岡本委員】  どちらもですけれども、いわゆるそれが体験から来るものだというふうに思っていて、やはり何かをするという教育ではなくて、自分たちで考えて、自分たちで転んでみて、自分たちでけんかをして、そういうことで培っていく。人間として当たり前のことですけれども、そういうことを淡々と子供たちと共にするということが大事だなということを感じたということです。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 すみません、それでは、まだいろいろと御意見がおありの方もいらっしゃるかと思うんですけれども、時間の関係で次の議題に移りたいと思います。
 さっきも申しましたように、是非これは言っておきたいというようなことがございましたら、是非事務局の方にメールで御連絡をいただければ、議事録に掲載をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 では次の議題、二つ目の議題でございます。「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2022)の結果について」ということでございます。
 昨年12月に公表されまして、既に報道等を通じて、皆さん御承知のとおりかと思います。日本は「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」の3分野全てにおいて世界トップレベルとなっているということで、それ自体はもう大変な、いろいろな方の努力によって実現したわけで、非常にうれしいことではあるわけですけれども、ただ、順位で良かったから喜んで、下がったからがっかりするというのは、余りにも十分な対応とは言えないわけでありますので、こういったことについて今後しっかりと考えながら、本当に意味のある力を子供たちにつけていくことの大切さというのを十分に考えながら、進めてまいりたいと思うところであります。
 それでは、資料2に基づきまして、寺島学力調査室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【寺島学力調査室長】  分科会長、ありがとうございます。総合教育政策局学力調査室長の寺島でございます。今日は東京の文部科学省庁舎から参加をしております。そちらに伺えずに大変恐縮でございますけれども、オンラインにて説明をさせていただきます。
 資料は、資料2でございます。今、分科会長からもございましたように、この資料は昨年12月5日に、私どもの方で公表した資料でございます。
 それでは、表紙を1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。
 まず、2ページの前半に、「PISA調査とは」いうことでPISAの概要を書いておりますけれども、御案内のようにPISAは義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を、実生活の様々な場面で活用する課題にどの程度活用できるかということを測る調査でございます。
 各回、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について調査をしておりますけれども、そのうち1分野が各回重点分野として指定をされておりまして、今回2022年調査では「数学的リテラシー」が重点分野として調査をされました。
 また、この調査は、2015年調査より、筆記型の調査からコンピューター使用型、いわゆるCBTに移行いたしておりまして、今回2022年調査も完全にコンピューター使用型の調査となっております。したがいまして、生徒は自分たちの端末から全て答えるという形式で実施されたものでございます。
 真ん中以降が、今回のPISA2022の結果の概要でございますけれども、先ほど分科会長からも御発言がありましたように、「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」、3分野いずれにおいても世界トップレベルという結果でございました。
 前回2018年調査からの比較で見ますと、OECDの平均得点は全て低下をしておりますけれども、日本は3分野全てにおいて、前回調査よりも平均得点が上昇いたしております。
 次の3ページを御覧いただきますと、少し図表で分かりやすくなっておりますけれども、3ページの上の折れ線のグラフのようなものが、これまでの経緯でございます。
 一番右側が今回の結果でございますけれども、2018年調査から見ますと、いずれも平均得点が上昇しているということでございます。
 そして、真ん中の左側の表が、今回参加をしたOECD加盟国、今回は37か国でございましたけれども、37か国中の順位、そして右側はOECD加盟国以外も含めた、今回調査の全参加国81か国における順位ということでございます。これを御覧いただきましても、順位はかなりトップレベルにあるということが見て取れると思います。
 それから、一番下の図でございますけれども、先ほど申し上げましたように、OECD平均は、前回2018年調査から3分野全て平均点は低下しておりますけれども、日本は全て上昇したということでございます。特に、今回中心分野でありました数学的リテラシー、一番左下の図でございますけれども、OECD平均はポイントにして15ポイント近く低下をいたしております。これは、これまでの変化よりもかなり大きな低下ということでございます。
 また資料の2ページに戻りまして、先ほどのところの真ん中のところ、3分野のところの二つ目の丸でございますけれども、今回の結果には、新型コロナウイルス感染症のために休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があるということが、OECDから指摘をされていますほか、学校現場において、現行の学習指導要領を踏まえた授業改善が進んだこと、また、学校におけるICT環境の整備が進み、生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたことなどの様々な要因も、この結果に複合的に影響していると考えてございます。
 少し詳しく見てまいりますと、資料の4ページを御覧いただければと思います。
 4ページは数学的リテラシーの結果でございますけれども、左の上、ローマ数字の(ⅰ)の所は、先ほど申し上げました数学的リテラシーの平均得点でございます。
 その下、ローマ数字の(ⅱ)を御覧いただきますと、今回、数学的リテラシーが中心分野でございましたので、いわゆる下位領域というところも分析がなされております。このローマ数字の(ⅱ)の上の所を見ていただきますと、「定式化」「活用」「解釈」「推論」という、これをOECDでは「プロセス」というふうに呼んでおりますけれども、「定式化」は簡単に申し上げれば式を数学的に立てる、「活用」というのはその式を解く、「解釈」というのは解いた答えを解釈する、そして「推論」は数学的な文脈の中で問題を解決していく、こういった力でございますけれども、このどの下位尺度を見てもOECD平均を大きく上回っておりますし、また、この四つのプロセス間においても、ここが非常に弱いとかいうような傾向は見て取れず、おおむねどのプロセスも高い位置にあるということが見て取れます。
 その下は、内容知識の側面から見て、例えば「変化と関係」「量」「空間と形」「不確実性とデータ」、いずれの内容においても、先ほどのプロセスと同じことが言えるという結果が出ております。
 5ページからは、具体的に問題の例を示してございますけれども、例えば、6ページに進んでいただきまして、6ページの上の問題を少し御覧いただきますと、先ほど申し上げましたように、今回2022年調査は完全にCBTで実施をいたしておりますので、生徒はこれを端末上で回答いたします。
 この問題は、各国の森林面積の変化を読み取るという問題でございますけれども、ここにアメリカをはじめとして各年度の森林面積が出ておりまして、生徒はここの「計算」というところに、例えば列Bから列Cを引いてほしいというような計算式を入れて、「実行」というボタンを押しますと、その計算結果が全部ばっと出てくるような仕組みになってございます。その出てきた結果から、この問題で問われているものを読み取って答えていくというような問題になってございます。
 先ほど申し上げましたように、こういった形式の出題、解答形式にも、生徒たちは慣れてきた。これは単純に機器の操作に慣れたということだけではなくて、こういった表計算ソフトのようなものを使いながら考えていくといったことも授業の中で慣れてきて、こういう力が付いてきたということも言えるというふうに思っております。
 一方で、幾つか質問紙調査から課題となったところもございます。資料7ページを御覧いただければと思います。
 資料7ページの下から二つ目の丸を見ていただきますと、日本の生徒は、OECD平均に比べて、実生活における課題を数学を使って解決する自信が低いというような結果も出てございます。
 それから、一番下の丸でございますけれども、日本の数学の授業では、数学的思考力の育成のため、日常生活と絡めた指導を行っている傾向が、OECD平均に比べて低いといった傾向も出てございます。こういったところが、今回課題として明らかになったところであろうというふうに思います。
 8ページ、9ページは、「読解力」「科学的リテラシー」について、それぞれ分析をいたしてございます。
 資料を10ページに少し飛んでいただきまして、10ページ、11ページは、社会経済文化的背景と平均得点の関係を表したものでございます。
 OECDの分析では、社会経済文化的背景、「ESCS」というふうに呼んでおりますけれども、こういった指標を用いて分析をいたしております。このESCSというのは、例えば保護者の学歴でありますとか、家庭の所有物などを質問調査で尋ねまして、その結果から一定の指標を策定して、この値が高いほど社会経済文化的水準が高いというような分類をしながら分析をしたものでございます。
 その下、左側が日本、右側がOECD平均でございますけれども、上の方にあるのが、このESCSの水準が上位25%にある層、下にあるのがその下位25%にある層ということでございますけれども、OECD平均、それから日本共に、いわゆるESCSの指標が高いほど、より習熟度レベルが高い生徒が多いという傾向は同じでございますけれども、日本の方を見ていただきますと、2018年から2022年の変化で、ESCSの水準がどの層であっても全体的に右に寄っている、濃い色の方に寄っている傾向が見て取れると思います。これは、ESCSの水準にかかわらず、どの水準においても習熟度レベルが上がっている傾向にあるということが見て取れるというふうに思います。
 それから、11ページ目を見ていただきますと、この表の読み方は、一番右の三角の矢印というのがESCSの水準の最上位25%に位置する生徒の平均得点、そして一番左の黒い細長い四角というのが、ESCSの水準が最も低い水準にある生徒の平均得点ということでございます。
 それぞれのグループの平均得点を比べますと、日本のこの差というのは81点でございますけれども、OECD平均で見ますと、この差は93点ございます。こういったことで、日本はこのESCSの水準別に見て、その差が非常に小さい国の一つであるというような分析もなされております。
 それから、資料の13ページを御覧いただければと思います。今回行われた調査は2022年でございましたので、OECDも2018年から2022年にかけての変化、すなわち新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度あったのかということに非常に着目をして、分析をいたしております。
 今回のOECDの分析では、13ページにございますように、三つの側面から、2018年の結果と今回2022年の結果がどうであったのかというところを分析の視点の一つに置いてございます。その三つの視点というのが、数学の成績が前回と今回でどうだったのか。あるいは、教育におけるウエルビーイングということで、ここでは「学校への所属感」という指標を使っておりますけれども、この所属感の指標が前回と今回でどう変化したのか。そして三つ目として、「教育の公平性」という視点で、前回と今回でどう変化したのかというところに着目して分析をいたしておりますけれども、この三つの指標、いずれも上昇あるいは安定しているという結果が出た国というのは、この下のベン図にございますように、この三つがいずれも当てはまるという国は、日本、韓国、リトアニア、台湾の四つの国・地域だけでございました。こういった点から、OECDは今回、この四つの国をいわゆる「レジリエントな国」ということで分析をいたしております。
 それに関係いたしまして、15ページを少し御覧いただきますと、この下の図は、休校期間と数学の得点との関係について示したものでございます。横軸は、新型コロナのために3か月以上休校した生徒の割合が、右に行けば行くほど高い割合になってございます。そして縦軸は、数学的リテラシーの得点でございます。
 日本は左上のところに囲みがございますけれども、3か月以上休校した生徒が非常に少なくて、かつ得点が高いということでございます。真ん中に黒色で斜めの線が引いておりますけれども、やはりこの休校期間が短かった国の方が、平均得点が高かったという傾向が見て取れます。
 一方で、課題として、16ページでございますけれども、上を見ていただきますと、「学校が再び休校になった場合に、自律的に学習を行う自信があるか」という質問に対して、日本はOECD平均よりも非常に低く出てございます。こういったところは一つの課題だろうというふうに思います。もちろん、こういった災害に限ったことではないですけれども、自立した学習者の育成に向けた取組ということが一つ課題だろうというふうに思います。
 それから最後、16ページの下からは、ICTの活用状況でございます。下にございますように、「学校でのICTリソースの利用のしやすさ」という指標では、日本はOECD平均に比べてかなり上位に出ております。
 一方で、17ページを見ていただきますと、真ん中のところは、「国語・数学・理科それぞれの授業で、ICTをどのくらい利用しますか」という質問でございますけれども、これは3教科いずれも、OECD平均よりは使用頻度が低いということが出ておりますし、それから一番最後の丸でございますけれども、例えばここに書いてございますような、情報を「集める」「記録する」「分析する」「報告する」、いわゆる探究的な取組の場面ということでありますけれども、こういった場面でICTを用いた教育の頻度というのは、OECD平均に比べて非常に低いという結果が出ております。この辺り、いかにICTを効果的に活用していくかというところが、少し課題というところが出ているところでございます。
 以上、簡単に概要を申し上げましたけれども、先ほど申し上げましたように、今回「レジリエントな国」として評価されたことも含めまして、この結果というのは、コロナ禍においても、子供たち自身が、様々な制限の中で非常に頑張って学び続けたことに加えて、高い専門性と使命感を有する我が国の教師の献身的な取組が、コロナ禍にあっても継続されたことによるというところが非常に大きいというふうに考えております。
 各学校におきましても、感染予防の様々な工夫を講じながら早期の学校再開に尽力されたこと、また学習面においても対面での、あるいは子供同士の関わり合いを通じた学習の機会を極力確保されたといった、学校ならではの学びの充実にコロナ禍にあっても取り組んでいただいた、こういったことが今回の結果にも表れているのではないかというふうに思っております。
 一方、教師の厳しい勤務実態の改善は待ったなしの状況でございます。学校教育の質の向上を持続可能な形で図っていくためには、教師の献身的な取組のみに頼るのではなく、教師を取り巻く環境整備を図っていくことが不可欠でございます。
 文科省では引き続き、学校における働き方改革、処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を、一体的に進めてまいりたいと思っております。
 また、今回の調査結果から明らかになった課題も踏まえ、引き続き、学習指導要領に基づく教育の着実な実施、あるいはGIGAスクール構想と情報教育の更なる充実など、取組を一層進めてまいりたいと思います。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。最後にまとめの中でおっしゃっていただいたように、本当に献身的な先生方のお取組がこういう形になったということは大変喜ばしい反面、しかし、その献身的なお取組に頼り切ってしまっているという、甚だ大きな課題をはらんだ状況もあるわけでありまして、今、寺島さんがおっしゃったように、それについて文部科学省の方でも精力的に取り組んでいただいているところでありますけれども、子供たちの学力をしっかりと保障していく、学びを豊かなものにしていく、様々な子供のそれぞれのマイペースをしっかりと受け止めていくということを考えた上でも、学校の在り方、とりわけ教職員の働き方をどのようにしっかりと守っていくのかということも、考えなければならないなということを、こういった調査からもまた思うところでありまして、それについて寺島さんからも言及をいただきました。ありがとうございました。
 ちょっとこの件、そんなに時間が取れなくて大変申し訳ないのですが、昨年に既に発表されていて、いろいろなところで議論もされてきております。初中分科会としては、あるいは特別部会としては初めて見るようなところではありますけれども、特段何かございましたらという言い方は御発言を抑えるようなことでありますけれども、そうではなくて、御発言はいただいたらいいのですが……ありがとうございます、渡辺委員、じゃあよろしくお願いいたします。

【渡辺委員】  簡単に3点申し上げます。一つは要望なんですけど、平均点でOECDとの比較をなさっていただいていると思うんですけども、やはり数値が正規分布するとは限らないので、できれば3ページにあるような信頼区間とか標準偏差を一緒に表していただいた方が、比較をしたときに分かりやすいので、もし今後、可能であれば御検討いただきたいと思います。
 それから、7ページにあります「数学的な認知の活性化」ということに関しましては、やはり生活に関係する、数学というのはイメージがどうしても湧きませんで、これはもう、微分・積分・三角関数というのは受験のツールだと思っていましたので、是非、具体的にどのような授業をすればそういうふうなことに結びつくかということを、検討されておられるかどうかということを、機会があれば教えてください。
 最後に、14ページの図3の質問票の、生徒の学校への所属感に関してということで、日本の2018年度の数値が0.02と極端に低い理由を、もし文科省の方で分析しておられたら、この理由を教えていただければと思って質問させていただきました。時間がないようでしたら後日でも結構でございますので、また教えていただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 吉田信解委員も御発言ですか。御質問でしょうか。

【吉田(信)委員】  発言でございます。一点だけ。こういう調査が出ますと、私はいつも感じるんですけれども、日本は外国に比べて悪いという結果が出ると、それは何が悪いんだというふうに大騒ぎするくせに、良い結果が出ると、ほかにも悪いことがあるんじゃないかというふうに否定的に捉える人が非常に多いんです。良いことではないと思います。
 やっぱり、こういういい結果が出たのであれば、それをしっかり受け止めて、また次につながるように、先生方の励みになるように、是非お願いしたいところだと私は思っておりますし、特にマスコミが良くない。こういうことが出ても、それを肯定的に評価しない傾向が非常に強いので、それは非常に私は良くないと思っています。良いことが出たら、これはもう励みにしなくちゃいけないと思っています。
 一つ本当に良かったなと思うのは、学力もそうなんですけれども、生徒の学校への所属感というところについても、結構いい数値も出ております。もちろん悪い部分もありますけれども、やっぱりこういったこともしっかり捉えていただいて、コロナ禍の中であったとしても学校の一員だと感じているというのが増えてきた、ほかの生徒たちは私をよく思ってくれるというのが増えていきたということ、こういったことも是非評価していくべきだと思っていますので、一言申し上げました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。私なんかもついつい、「とはいえ」と言いたくなってくるんですけれども、両方ですね、良いところは本当に良いこととしてしっかりと受け止めつつ、でも、課題はしっかりとまた見ていくということで、両方とも肯定的に捉えてやっていければと思います。
 では、渡辺委員から御質問がありました。寺島さん、いかがでしょうか。

【寺島学力調査室長】  ありがとうございます。時間も限られているようでございますので、渡辺委員の質問、3点のうちの1番と3番だけ、簡単にお答えをさせていただきます。
 1番目の所でございますけれども、これは委員御指摘のとおりでございまして、得点というのはあくまで統計的な推計をいたしておりますので、幅があるものでございます。私どももできる限り、資料の至る所に信頼性区間でありますとか、あるいは先ほど見ていただいた3ページの所でも、順位に関しましても順位の幅というものがございます。やはりこれは推計値でございますので、1位から2位の幅の中に入っているというようなことでもって解釈をしなければいけないのですが、できるだけ分かりやすい表記ということについては、引き続き努めてまいりたいというふうに思ってございます。
 それから三つ目の御質問で、学校への所属感の指標の2018年が悪かった要因が何か分かるかということでございましたけれども、すみません、端的に申し上げて、この結果からだけではその要因分析まで至っていないというか、これが、ということの要因が分からないという状況でございます。
 これは、今回の一つ目の議題でいじめ・不登校の議題もございましたけれども、こういったデータも活用しながら総合的に捉えていく問題であろうというふうに思いますので、このPISAだけから何か要因を特定できるというような材料は持ち合わせていないというような状況でございます。
 二つ目の質問の、数学、算数、実生活の中でどういう指導をしていくかといったところについては、もし初中局の御担当の方からあれば、御回答いただければと思います。
 簡単でありますが、1番目、3番目は以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。今、寺島室長から、初中局の方で何かあればということですが、今の時点で何かありますか。数学の生活での活用。
 では安彦審議官、よろしくお願いいたします。

【安彦審議官】  数学の身近な生活との関連性というのは、数学の学習指導要領でも正にそこを狙ってやっておりまして、なかなか実感がないまま、例えば流水算のような、水が流れているというのを計算させたりするのですが、そういったことではなくて、例えば、簡単に答えを出すための解き方みたいなものがあるんですけれども、やっぱり世の中で水が流れてこういうことが起きて、例えば津波がこれぐらいのスピードで来る、そういった身近なところと関連付けて、数学というものを学びながら、数学的な見方、考え方を身に付けていくというような、身近な生活と数学というのがすごく関連性があるんだということを大事にしていきたいというふうに思っていますので、そういったところをもうちょっと授業の中で取り入れていくというのが大事だと、そんなことを目指しておりますが、そこが実際にはまだ不十分なところがあるということで、課題があるというような指摘を受けているということでございます。

【荒瀬分科会長】  渡辺委員、よろしいですか。

【渡辺委員】  結構でございます。時間がないのにありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、三つ目の議題に移らせていただきたいと思います。最後の議題でございます。「義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて」ということで、こちらは、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会に設置されている、義務教育の在り方ワーキンググループにおきまして、昨年12月28日に取りまとめが行われました中間まとめでございます。
 まず、事務局から中間まとめの内容について御説明をいただき、その後、このワーキンググループの主査をお務めいただいております奈須初等中等教育分科会長代理から、一言御発言をいただければと思っています。
 では、まず事務局から、よろしくお願いいたします。

【小畑教育制度改革室長】  教育制度改革室長の小畑です。私から議題3「義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて」、御説明をさせていただきます。
 本日はお時間も限られてございますので、御説明に当たりましては資料3-1の概要資料を中心に御説明をさせていただきたいと思いますけれども、関連資料といたしまして、資料3-2の中間まとめ本文、資料3-3の参考資料、それから参考資料2の義務教育に関する意識調査概要集計結果、こちらの資料も併せて御用意させていただいてございます。大部の資料となりまして申し訳ございませんけれども、これらの内容も含めた議題として、まとめて御説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料3-1の概要資料を御覧いただければと思います。
 1枚目の上の部分に、本中間まとめの位置付けを記載してございます。また、資料左側には義務教育を取り巻く今日的な課題、それから我が国における学校教育の意義役割に係る歴史的経緯や法令上の位置付けなどをまとめて記載してございまして、これらを踏まえた上で、資料右側にお示しいたしましたように、目指すべき義務教育・学校教育の姿、及び取組の方向性を整理してございます。
 資料右側の部分にお示ししてございますとおり、まず①番「義務教育の中核としての学校教育の役割」といたしまして、公教育である学校教育は、義務教育を保障するものとして、学力を育むだけでなく、学校生活全般において、他者と関わり合いながら共に学び、人間性を涵養するという重要な役割を果たすものであること。また、我が国において歴史的に形成されてきた、社会の分断や格差を防ぎ、民主的で公正な社会を形成する基盤としての学校こそが、引き続き義務教育の中核を担うべきであること。
 また②「公教育としての共通性の担保と多様性の包摂」といたしまして、学校を、子供たちが安心して学び、ウエルビーイングを実現できる場所にすることが必要であること。時代や社会の変化に応じて、日本型学校教育の良さを受け継ぎながら更に発展させ、公教育としての必要な共通性を担保しつつ、一人一人の良さを徹底して伸ばすことに対応できる学校教育の実現が求められているということ。こうした取組と併せて、ICTも適切に活用しながら、個々の不登校児童生徒の状況に応じた学びの多様化に資する環境整備を図るといったことが重要であること。
 また③「児童生徒と教師が集い、共に学び、生活する場としての価値の最大化」といたしまして、子供たちの学校教育に対する思いや願いを受け止め、過度に同調圧力が高まることのないよう十分留意しながら、児童生徒と教師が集い、共に学び、生活し、成長する場としての学校の価値を最大化していくことが重要であること。
 また、各学校において、ICTを有効に活用しながら、児童生徒や教師が学ぶ楽しさや期待を感じながら、共に学びに向かう魅力ある学校づくり、授業づくりを推進していくことが求められること。
 また④「生涯学習社会を生き抜く自立した学習者の育成」といたしまして、特に義務教育段階では、自立した学習者の育成のため、自分に合った学び方をしっかり身に付けることが大切であり、子供たちが強みを生かしながら、主体的に学べるよう、多様性を包摂する柔軟な教育課程の編成・実施を進めるための方策の検討も重要であること。
 また、ICTを有効に活用し、教師が個々の子供の学びの状況を把握しつつ、学びの主導権を子供たちに委ねることにより、子供たちが自らの学びを自分事として捉え、自発的に他者と関わりながら自分で学びを深めていくような学習活動を、学年・学期などの一定の学校教育活動のまとまりの中に適切に組み入れていくということが重要であること。
 また、これらの取組と併せて、児童会・生徒会活動や学校行事も含めた学校教育活動全般において、子供たちが自ら他者と関わりながら積極的に参画し、調整する場面を適切に設定していくということが重要であること。
 また⑤番「義務教育の目的を達成するための創意工夫の発揮」といたしまして、画一的な教育の在りようは義務教育の目的・目標の実現を遠ざけるばかりか、教師の立場を機械的なものへと追いやり、児童生徒と教師の触れ合いによる生き生きとした教育の働きが十分に発揮されないということについて、改めて共通認識を持つことが重要であること。
 また、今後の在るべき義務教育・学校教育の姿を実現していくためには、実際に教育が行われる現場において、様々な創意工夫が発揮できるような環境整備を進めていくことが必要であること。
 ⑥番「公教育を支える学習基盤に係る一体的な検討・充実」といたしまして、教師のウエルビーイングを確保しつつ、学校における働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援の一体的推進、授業時数も含めた教育課程の編成に係る学校裁量の在り方に関する検討に加え、教科書・教材、教員免許・教員研修、ICT、学校施設などの公教育を支える学習基盤について、学校現場における創意工夫を引き出し、子供たちの学習意欲や創造性を育むものとして、それぞれ専門的な見地から検討を深め、充実を図っていくことが求められること。
 また、こうした各分野における専門的な検討が一体的なものとして深められ、次期学習指導要領の改訂の検討と相互に連動しながら進められていくことが期待されること。
 そして、資料一番下にございますように、本中間まとめを契機に、今後の義務教育・学校教育の方向性に係る共通理解が図られるとともに、今後の各会議体などにおける専門的な議論を進めるに当たっての共通の方向性となることが期待されること、こうしたことを記載してございます。
 次に、概要資料2枚目についてでございます。学びにおけるオンラインの活用について御説明をいたします。
 こちら、まず基本的な考え方といたしまして、上にございますように、新型コロナウイルス感染拡大の中で、1人1台端末をはじめとして、学校におけるICT環境の整備が急速に進み、学習基盤、教育環境に大きな変革をもたらしたということ。オンラインの活用は、これからの学校教育の在り方の実現に資するものであるということ。また、教師の献身的な努力のみに頼るようなことはあってはならず、個々の状況に応じて、各学校教育委員会が戦略的にオンラインを活用できる環境の構築が重要であること。
 一方で、オンラインは学びのツールの一つであり、教育の質の向上や、子供たちの学びへのアクセスの保障を実現するための最適な手段は何かという観点から選択し、活用することが適切であること。
 また、特に義務教育段階におきましては、教師と児童生徒の信頼関係や、児童生徒相互のより良い人間関係を構築することが、質の高い教育活動を行っていく上で不可欠であり、学校に教師と児童生徒が集い、共に学び生活する中で、子供たちの資質・能力を育んでいくという、義務教育段階における学校教育の役割や価値が最大限に発揮されるということが重要であり、オンラインの活用を進める上では、特にこの点に留意するといったことが必要であること。「すなわち」とございますが、義務教育段階におけるオンラインの活用は、学校や教師に代わるようなものではなく、対面による指導の中で、オンラインを適切に組み合わせることで子供たちの興味・関心を喚起し、学習活動の幅を広げる観点から、教師をサポートし、児童生徒の学習をより充実させるものとして位置付けられるべきであることについて記載をしてございます。
 その上で必要な方策といたしまして、(1)義務教育におけるオンラインを活用した学びの充実のための取組といたしまして、①、義務教育段階における活用方策といたしまして、1人1台端末の着実な更新や、安定したネットワーク環境整備など、デジタル学習基盤の整備。それから、義務教育におきましては、必要な専門性を有する教員免許を持った教師が各学校に配置されるということを踏まえ、特にプログラミングや英語などの外部専門人材の有効な活用が期待される分野における発展的な学習活動であったり、あるいは、各教科や総合的な学習の時間などにおける探究的な学習活動、STEAM教育などの教科横断的な学習などにおいて、その積極的な活用が求められるということで、これらの学習活動に関する好事例の収集・発信、それから、ICT支援員の配置拡充などを含めた指導体制の充実といったことを記載してございます。
 また、②、小中学校の連携・接続といたしまして、進学先が同一の中学校である小学校同士の連携、中学校教員による小学校への乗り入れ指導などにおける遠隔授業の活用などの好事例の周知・普及。
 ③、中山間地域や離島などに位置する小規模校における活用といたしまして、好事例の周知・普及のほか、オンラインを活用した免許外教科担任の解消、負担軽減、あるいは都道府県教育委員会による小規模自治体支援に係る好事例の周知といったもの。
 ④、更なる推進のための遠隔教育特例校制度の見直しといたしまして、遠隔教育特例校制度について、学校現場の創意工夫が発揮され、地域の実情に応じた、より効果的かつ柔軟な実施が可能となるよう、国において必要な要件や留意点を示しつつ、制度の見直しを行うことが必要であることについて記載をしてございます。
 また、右側(2)オンラインを活用した学びへのアクセスを保障するための取組。①、不登校児童生徒への対応といたしまして、対面による支援が難しい状況にある不登校児童生徒に対し、オンラインを活用した相談支援や学びの場、コンテンツの提供・利用推進、また、不登校児童生徒がオンラインを活用した学習活動を行った場合に、その頑張りを適切に評価できるようにするための方策についての検討といったことを記載してございますが、これらの対応については、不登校児童生徒への選択肢を増やす観点で重要ということでございますが、オンラインの活用ありきで支援を検討することは適当ではなく、一人一人の子供たちに応じた必要な支援を検討する中で、その選択肢の一つとしてオンラインの活用を位置付けることが重要であることについて記載をしてございます。
 また②、義務教育未修了者・形式卒業者への対応ということで、夜間中学において授業を欠席された方、夜間中学への通学が困難な方に対して、できるだけ学ぶ機会を提供するといった観点から、対面による授業を原則とした上で、オンラインを活用して夜間中学の授業の配信を受けることができるようにすることも考えられることについて、記載してございます。
 また、(3)働き方や生活スタイルの多様化への対応ということで、いわゆる2拠点居住やワーケーションを行う人々の子供の就学環境を保障するために、子供の転校などに伴う課題を解消する方策例の把握を進めることが重要であること、こういったことについて記載をしてございます。
 最後に本文のところ、「おわりに」の35ページ以降をちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 こちらに、本中間まとめに込められたメッセージというようなところが記載してございまして、35ページの下から二つ目の丸のところから御覧いただければと思いますけれども、学校は、全ての国民に公教育を提供し、子供の学ぶ権利を保障するものとして、学校教育に対する子供たちの様々な思いや願いを受け止めて、子供たちにとって学びたいこと、やりたいことがたくさんある、わくわく感にあふれた場所であるといったことが求められること。
 また、36ページになりますけれども、本中間まとめの実現に向けて、国においては、学校の価値を最大化するための学校現場の創意工夫を強力に後押しするとともに、学校や教育委員会においても、答えのない課題に向き合う子供たちと同様に、前例や固定観念にとらわれずに、創意工夫を凝らした新たな取組に前向きに挑戦することを期待すること。
 また、本中間まとめを契機として、教師や学校だけで何でもやろうとする、あるいはやらざるを得ないことから生じる学校運営の自前主義から脱却し、学校と保護者、地域住民がそれぞれの役割を尊重した上で、信頼に基づいた対等な関係を構築し、次代を担う子供たちの育成という共通目標の下で連携・協働した学校づくりが進むことを期待することについて、記載をしているというところでございます。
 以上、大変駆け足での御説明となりましたけれども、義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめの内容について御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  小畑室長、ありがとうございました。
 それでは、この中間まとめの取りまとめに関しまして大変御尽力いただきました奈須先生から、御発言をいただきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【奈須分科会長代理】   よろしくお願いします。我が国学校というのは、明治5年の学制でスタートしたので150年の歴史があります。逆に言えば、たかだか150年の歴史しかありません。
 もちろん、この150年間、学校は紆余曲折しながらも社会に適合してきたし、その時々の社会の建設や発展に貢献してきましたけれども、この先もそうで在り続けられるかどうかは全くの未知数だと思います。少なくとも、現在の在り方が未来永劫このままで続くはずはないということなんだと思います。
 学校はまだまだ変わり得るし、変わらなければならないし、既にかなり変わってきているとも思います。問題は、そのようにして変貌した学校を、私たちが「学校」と呼び続けられるかどうかではないかと思います。
 これは何も名称のことを言っているのではなくて、現在、何をもって私たちはそれを「学校」と呼ぶべきかどうかを判断しているのでしょうか。つまり、学校の本質をどう理解しているか、この試金石になる―今日の不登校の議論も正にそうだと思うんです。
 今回の議論でも、既に学校は子供たちにとって唯一絶対の教育環境ではないという理解が共有されたように思います。ただ、その一方、それでもなお学校が必要であるという結論にも達しました。すると、そこにおいて学校を学校たらしめているものは何か。これは非常な難問だと思います。
 中間まとめの後半では、この難問、つまり今後における義務教育の在り方を考える上での個別具体的な検討課題の一つとして、学びにおけるオンラインの活用について整理をしました。
 オンライン、ここでは主に「遠隔」という意味ですが、遠隔は正に従来の学校を強く特徴づけてきた「通学」や「対面」を相対化する概念の一つだと思います。これについて踏み込んだ議論を進めることは、翻って従来当たり前だと思い込んできた通学や対面、これは今日の不登校の議論にも関わってきますが、その意味を問うことにもなるんだろうと思います。
 私にとって印象深かったのは、以前から通信制が正規の課程であった高校とは異なり、義務教育では、高校と同じようなオンラインでは学校教育としての要件を満たし切らないという理解に至ったことだと思います。ただ、なぜそうなのかについては、更に議論を深め、明確で説得的な言葉を添える必要があるように思います。
 ICTの普及と進歩がもたらした、デジタルやオンラインによる学習機会の拡充・浸透、更にはアナログや体験、活動等の学習機会も、以前に比べれば充実している側面もあるでしょう。そのような時代に学校は何を担うのか。「学力だけでなく」という言い方はしばしばなされますけれども、そのような何かの否定ではなくて、積極的に何かを打ち出す形で、学校が学校であることの意義を明確化する必要があるのだろうと思います。
 中間まとめにもあるとおり、義務教育の目的は主に二つだと考えられてきました。その第1は、「一人一人の児童生徒の有する能力を伸ばしつつ、社会で自立的に生きる基礎を培うこと」であり、これは個人としての資質・能力の形成だと思います。
 そして第2が、「国家及び社会の形成者として必要な基本的資質を養うこと」、つまり、教育学でいう国民形成・国民統合としての側面です。これについては、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」「持続可能な社会の作り手」といった表現が用いられてきましたけれども、この第2の側面をどのような質のものとして描くかが、今後、学校のアイデンティティーを考えていく上で非常に重要になってくるかと思いますし、実は第1の個人的な側面も、それとの関係で検討していくことで、より確かで公共性の高いものになっていく。すなわち、公教育としての学校教育、とりわけ義務教育としての任務が一層明確で幅広く支持されるものとなってくるのではないかなと思います。
 この点に関する、今回の議論での一つの光明は、そこにもありますが、「民主的で公正な社会を形成する基盤としての学校」、あるいは更に踏み込んで、「民主的で公正な社会を実現する場としての学校」という意義の再確認ができたことではないかと思います。
 学校は民主主義のレッスンをする場所だという理解は、古くはデューイ、また実践的にはニールやフレネなど、多くの教育学者や実践家によって繰り返し主張されてきたことです。ニールやフレネの学校というと、一人一人の興味や関心に基づく自由で個別的な学び、今日でいう個別最適な学びを実践した学校として知られていますけれども、実はその一方で、学校生活の維持・発展に関わる事柄については、教師も子供も全員が同じ権利と義務を負い、熟議を尽くして一つ一つ丁寧に意思決定していくという、文字どおり民主主義的な営みを大切にしてきた学校でもあります。今日的文脈においては、このことは、多様性と包摂性を併せ持った持続可能な社会の実現につながってくるかと思います。
 もちろん、これは一例で、我が国の教育実践の中にも、学ぶべき取組は数多くあるのだろうと思います。今回は中間まとめということですので、今ほどの論点も含め、更に数々の論点について議論を深めていく必要があると思います。それに向けて、本日皆様から様々な御意見を賜りたく存じます。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  奈須先生、ありがとうございました。
 皆様から多様な御意見をということなのでありますが、大変申し訳ありませんが時間がそんなにあるわけではございませんので、この場で御発言いただくということと、先ほどから申し上げていますように、事務局の方にメールを頂戴するといったようなこと、それからまた、これは高等学校教育の在り方ワーキンググループもそうですが、飽くまでも中間まとめということで、これで何らかの結論付けたということではなく、話合いを始めてきました、今ここまで来ています、こういったまだまだ考えなければならない課題がありますといったようなことで、今の奈須田先生のまとめてくださったお話、大変的確なお話も、いろいろとこれから考えていくべき課題について、あるいは方向性について御提示いただいたものかと思います。
 今後も、初中分科会としても特別部会としても議論は続けていきたいと思います。御意見賜ればと思います。
 柿沼委員、お願いします。それからその後、齊藤委員、渡辺委員、そして岩本委員の順番でよろしくお願いします。オンラインから吉田信解委員、貞広委員もお願いいたします。
 では、まず柿沼委員からお願いいたします。

【柿沼委員】  御丁寧な説明ありがとうございます。先ほどの不登校のところも関わってくるんですけれども、今回の義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめを読ませていただいたり、御説明を聞けば聞くほど、今いろいろな課題があって、不登校であったりとか、ヤングケアラーであったりとか、学校に行けない、または学習がなかなかついていけないような子ほど、この公教育である学校が受け入れていければいいのにな、みたいなことを思いながら、この資料を拝見させていただきました。
 というのも、やっぱり義務教育における普通教育の考え方を読ませていただくと、社会において自律的な基礎を培う、また国家や社会の形成について必要とする基礎的な資質を養うことが普通教育の目的であるのであれば、今、OECDの結果はすばらしいものだと思いますけれども、やっぱり社会の普通教育への認識が学習や学力というものにとらわれ過ぎているんじゃないのかなというふうに思うんです。
 社会がどんどん変わっていった中で、社会のはざまで、家庭環境もかなり複雑になっている中、劣悪な環境で育っている子供たちにとっては、学校という場が唯一の学びの場であったり、人間関係を構築する場であることからすると、学校という場所でなければ学ぶ機会もなければ、そういった資質を身に付ける場もない子たちがいるのも事実です。もし学校という場がその子たちのものでなくなるのであれば、どこでその子たちは学習を担保し、または社会的な資質を養うのだろうというのを、改めて思う次第です。
 なので、僕もこの、義務教育における在り方ワーキンググループの中間まとめの方向で義務教育や学校教育の学びが進んでいけばいいなと思うとともに、今は、対症療法としては、現状では学校ではなかなかここまではできないのであれば、社会が子供の居場所や、今のCOCOLOプランのようなものをやりながら、将来的には、今回の義務教育の在り方ワーキンググループがまとめたようなものが学校としての姿が見直される。そしてそこには、学習やそういったものはもちろん大事ですけれども、家庭環境が複雑であったり外国籍の子供であったり、いろいろな課題がある子がこの公教育に通え、様々な学びが得られるということが本来の学校の姿にあってほしいなというのは、強く思う次第であります。
 時間がない中なので、ここだけお伝えさせていただければと思います。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 では、引き続きまして齊藤委員、お願いいたします。

【齊藤委員】  全日中会長の齊藤でございます。発言の機会をいただきましたことと併せて、今日は本当に様々なテーマについて学ぶ機会をいただきまして、ありがとうございました。
 3つの議題の、どこで私は発言しようか迷っていたところですけれども、まず不登校については、洛風中学校を視察させていただいて、3人の生徒と話をしたのですが、「学校に行くことを楽しみにしている」と聞いて、学校に携わる者として大変重く受け止めましたし、また、前の学校に行かれなくなった理由が、先生に話を聞いてもらえなかったということを伺い、このことについても、私自身重く受け止めたところです。
 ただ、学校としては、決して言い訳をするわけではありませんが、子供たちのささいな変化でもきちんと見取れるように、教師が生徒の動きを絶えず見ているというところでも漏れてしまう点については、一層取り組む責任を感じたところです。
 また、OECDのPISAの調査につきましても、CBT方式になったというところで、ICT端末の活用というところに触れられていましたけれども、今回その検査を受けた対象が現高校2年生、つまりはコロナ禍で休校になったときには中学校1年生でした。端末の配付が前倒しで決まって、休校期間中に教員が、生徒がいない時間に端末の扱いについて様々な研修を重ねたと。また、行政からはオンラインで授業をやるように言われました。当時の状況下で、その施策を確実に実践していくために、教員が試行錯誤を繰り返しながら取り組んだ経緯があります。
 つまりは、やはり新しいことを始めるには、それなりに対応する我々教員が力量を持つための時間が必要であるということを申し上げたいと存じます。休校期間中で、生徒が不在の時間が多く、研修のためのマニュアル等もない中で、現場が知恵を絞り、努力して取り組んでいたということを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
 そして3本目の議題の義務教育の在り方についてです。ワーキンググループの方で中間まとめをしていただきまして、本当に、学校に対する期待とともに、それを具現するのは、学校の努力、取り組みだけでは、正直申し上げると大変厳しい状況があります。
 その意味では、学校以外の専門性の高い人材なり、専門機関なりがサポートしていただくということを含めて、国を挙げての体制を取っていただきたいと望みます。
 私も全日中の会長として様々な場で発言をさせていただいておりますが、今の学校教育の課題につきましては、学校が、地域あるいは保護者と額を突き合わせて、いろいろと話をしなければいけない段階であり、全員にそういった危機感を持ってほしいと、様々な会合でお伝えしているところです。
 これは決して、学校にはもう手段がないという意味ではなく、学校以外の皆様のお力添えというのが、これまで以上に必要であり、地域や保護者の皆様には更に何かできないかというところをお考えいただいて、学校の方でも、まだ何かできないかということを様々検討しながら、一層協働で取り組んでいくというところです。
 今日は洛風中学校の子供たちと話をさせていただいて、学校に来るのが楽しい、そういった子供たちが学校にあふれて、勉強が楽しい、仲間と話すのが楽しいという環境を、今まで以上につくっていかなければいけないと決意しました。本日は大変勉強になりました。ありがとうございました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 今、この後、岩本委員、吉田信解委員、貞広委員、神野委員、澤田委員、そして堀田分科会長代理に御発言をいただこうと思います。
 加えて、そのどこかの場面で途中に入っていただこうと思っているんですけれども、京都府教育庁の相馬指導部長と、京都市教育委員会の稲田教育長にも御発言をいただきたいと思っております。
 残りの時間が5分ということになっておりますので、その点を是非御考慮いただきまして御発言をいただければと思います。大変申し訳ありませんが、若干延長をさせていただきますので、お含みおきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  残りの5分で皆さんがお話しできるように頑張りたいと思います。
 すみません、中間まとめですので、ある程度の理想論を書かれるのはよく分かるんですけれども、やはり目指すべき取組の方向性として、一人一人の良さを徹底的に伸ばすとか、多様性を包摂する柔軟な教育課程とかは、現在の教員の質や配置の状況、若しくは質の高い教師の確保が困難な状況では、若干現実と離れ過ぎているんじゃないかと感じました。
 この中間まとめの中で、日本型学校教育の強みと弱みを分析されておられますけれども、個人の自由度と集団生活に関する協調性や寛容性の育成とどうバランスを取っていくかを、最終まとめでは、できれば具体的に示していただきたいと思いました。
 また、中で、オンラインの導入ということは非常に多く書かれているんですけれども、やはりそれは飽くまでツールではないかと思います。ICTを導入すると全ての課題が解決するような記載のように、この中間まとめでは思われますけれども、それは具体的に成果が証明されたわけではないと思います。むしろ、ICTやオンラインの活用がどのような効果をもたらすか、今問題になっているChatGPTの影響などを定期的に検証して、利活用の方向性を示すというPDSAサイクルを回していく必要があるのではないかと思います。
 また、もし、現行の学校制度で個別最適な学びを推進するのであれば、教員の資質や向上を図ることはもちろんですけれども、配置数を増やすことは絶対的な条件だと思います。最後に奈須委員がおっしゃられたように、「学校」の概念を今後検証していただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 では岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】  ありがとうございます。これはまだ中間まとめということで、今後の義務教育のワーキングで、もしできたらこの2点、更なる議論をお願いできないかということだけ述べさせてもらえたらと思います。2点というのは、多様性、また共通性というところに関するものです。
 一つ目が、多様性の捉えというところです。これは、私も参加させていただいている高校ワーキングの方でこの議論がありまして、多様性と共通性、どちらが先なのかというので、義務の方では共通性、そして多様性という書き方になっているわけですけれども、高校の方では、まず一人一人の多様な子供たちが先にあると。まず子供があるんだと。子供たちは多様であるという、その多様性を包摂しながら、どう共通性を育んでいくのか、担保していくのかという、まず共通の何かがあって、そこから、それができたら多様なものをという発想ではないのではないかということなどがあって、順番を、一人一人の多様性が先、そして、そこにどう共通性をというふうに捉え直したということが、高校の方の中間まとめで出していますので、義務のワーキングの方でも、どう多様性というものを捉えていくのかというところは、もう一段議論されてもいいのかなというところが1点目です。
 2点目は共通性に関するところです。奈須委員からもありましたとおり、義務教育における共通性って非常に重要な概念、要素だと思います。ここを、学校教育の共通性ではなく、義務教育としての共通性とは何なのかということをしっかりと言語化をしていくという奈須委員の発言は、私もこれは必要だと思います。学校が唯一の場ではないと。多様な学びの場があっていいんだけれども、では、日本の義務教育としては何を共通として育んでいくのかということに多分つながって、当然、学校教育の中ではその共通性を大事にしながらも、学校教育以外の場で学ぶことにおいても、必要な義務教育としての共通性の言語化というところは、今後の中でも、もし可能であれば議論をしていくことも大事なのかなというふうに思った次第です。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】  すみません、私も4時で、しゃべり逃げになってしまいますけれども、一言申し上げさせていただきます。
 非常にこの中間取りまとめ、私は読みながら、今起きているある事象について、非常に心の痛む問題でもありますし、今後良くなってほしいなと思っていることがあって、それは今起きている能登半島地震の被災地において、学校を集団で移転しようということが、今、現実に行われようとしているところでございまして、これは本当に現場におけるいろいろな判断、お子さん方の意見も聞いたでしょうし、保護者の声もあったでしょうし、先生方、そしてまた輪島市をはじめとする被災地の教育長や首長の判断もあった中での決断であるというふうに思います。
 これが是非いい方向に行ってほしいと私は思うところでございますけれど、ここにやっぱり義務教育の一つの大きな原点みたいなものが、現場においてその解があるなと感じるんですけれども、要するに、お子さん方が集団で移転するということは、ばらばらにならない、みんなで一緒に移転して、そこで義務教育をちゃんと受けようじゃないかということについての共通理解が、お子さん、保護者、先生方にあるから、こういったことが行われるんだろうというふうに思うわけでございます。
 ですから、これはやっぱり、地域の教育、義務教育というのは、今は集団移転しますけれど、結局のところ輪島なり、被災地の自治体を将来にわたって支えていく人材、地域社会をお互いに仲間として支えていく人材を、みんなで育んでいこうじゃないかという、そういう背景も、今回の決断の中に私はあるんだろうというふうに思うんです。
 本当に首長としても、こういった事象に対して注視しておりますし、応援しておりますし、頑張っていただきたいなと思うんですけれど、同時にまた、今回の震災というのが、いわゆるGIGAスクール構想があった後に起きた大震災なんです。
 ですから、オンライン等を今後のこういう被災地において、様々な面で、避難所あるいはその後の集団移転だけじゃなくて、例えば親戚を頼って全国に散らばってしまう可能性もあるわけですけれども、そういう中で、このオンライン教育というのを活用して、地域の教育、地域における義務教育というのをどうやってみんながつながってやっていけるかというようなことも、トライできることもあるんじゃないかなと。そんなことをもろもろいろいろ考えながら、この中間まとめの内容を拝見させていただきました。
 今、能登半島地震の被災地で起きていること、その教育現場で起きていることを、是非文科省としても注視していただいて、我々も注視して、そこで義務教育の在り方というものをいろいろと示唆される事象が私はあるんじゃないかなというふうに思いましたので、発言させていただきました。
 これにて失礼させていただきます。大変失礼いたしました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】  よろしくお願いいたします。貞広です。私自身も義務ワーキングの委員なんですけれども、そこの中で、それぞれ、私も含めて委員の方々が夢を語られて、ややもすると、どこに行っちゃうんだろうという、拡散するような議論になりかねない部分を、大変目配りの利いたバランスの良い中間まとめを作っていただいたと思っています。
 渡辺議員のおっしゃるように、非常に理想を散りばめているものですので、これをどう実装するかということが今後の議論になっていくのだと思います。
 その上で、今日は一つ私の要望というか、事務局に対してというか、社会に対するお願いのような意見を言わせていただきます。それは、小畑室長が本文に言及をされた、本文の36ページの一つ目の丸の部分に関わってです。学校や教育委員会が、「答えのない課題に向き合う、創意工夫を凝らした新たな取組に、前向きに挑戦することを期待したい」となっているんですけれども、あたかも今挑戦できていないかのような読み方もできるわけですけれども、実際には、挑戦していないとか挑戦したくないということよりも、学校や教育委員会の方々が若干萎縮されているのではないかという懸念を持っています。
 というのは、社会が目くじら社会だからです。ちょっとの失敗も認めないということですよね。新たな挑戦には必ずちょっとの失敗と試行錯誤が伴います。是非、私も含めて社会の方々には、挑戦に基づいた小さな失敗やトライアンドエラーに目くじらを立てず、鷹揚に応援するという気運も醸成していただきたいというふうに思っています。
 中間まとめは国が出すものですので、この下から二つ目の丸は「国において」というふうになっていますけれども、是非これは「社会において」、社会全体がというようなメッセージが共有されるような形で、最終のまとめにつながっていけばいいと強く願っているところです。
 以上、意見とさせていただきます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは神野委員、お願いいたします。

【神野委員】  よろしくお願いします。今さっき貞広委員が、理想を語られて作られてきたということで、私も少しだけ理想を皆さんにシェアさせていただきたく、発言させていただきます。
 「生涯学習社会を生き抜く自立した学習者の育成」というふうに書かれていますが、そういった中で、すごくこの生涯学習ということを通じた上で感じるのが、仮にもう一回、私が今から大学に行こうと思ったときに、高校の成績って取り直しできないのかなと考えたことがあるんです。やはり大学に行くときに、評点平均みたいなものだったりということがまた取り沙汰されるわけですが、どうも私の高校の成績はもう二度と書換えすることができないわけですよね。それって、中学校3年生が、中1の時の成績を今もう一回評価してほしいというときに、それができたりすれば高校受験の時にまた変わったり。
 生涯学習というか、学びに向かうというときに、その評価をどうするのかというところに関しては、やはり義務教育の中においてでも、一定何か皆さんの中で御意見や、考えていただけたりするとすごくうれしいなというふうに思っていたりします。
 いわゆるデンマークであるフォルケホイスコーレみたいな所というのは、評価のない学校、完全に評価をしないという中で、子供たち自体が自分の好奇心ということだけに最大限向き合えるような学習環境が、やはり子供たち自体の創造性を育むというふうに言われていたりしますが、評価のないというところまでを求めるものではないとは思っている一方で、その評価が一発勝負みたいな、もう取り直しが効かないというところは、先ほど、今日の冒頭にあった、マイペースに子供たちが学んでいくということに対して、非常に逆な効果を及ぼすんじゃないかという意味で、一つ評価の所でちょっと発言させていただきたく思っています。
 もう一つが、この中でいうと一番最初の「生成AI等の新技術」と書いてあるところですが、恐らく今年から、その生成AIというものは、もう各領域において物すごいゲームチェンジみたいなものをしてくると思います。
 特に学びの中で言いますと、生成AIによって一番変わるものというのは、この創造性の部分だと思っています。というのは、今までで言えば、文章を書いたり絵を書いたりするときには、そもそも文章を書く能力があって、更にその上で、その内容だったり考え方ということがどこまで深いのかという、この2部構成で、ある意味我々の創造性ということはできていたわけですが、今後に関しては、文章を書く能力ということは、ゼロじゃ駄目ですけれども、いきなりある程度の文章は書けてしまうわけです。
 その上で、その文章がすばらしいのか、自分が表現したいことなのか、その価値みたいなものを見抜く目の方が比重が高くなってくるように、この生成AIというものによって創造性自体に、創造性を発揮するときの人間に求められる力の割合が変わるというふうに、強く思っています。
 それが本当に体感されるのが恐らく今年からだとしたときに、その中で我々は、義務教育や高校という中でどのような教育をすべきなのかというところも、また一つ、理想として考えていきたいという、ちょっと共有までにさせていただければと思います。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。一つだけ質問。「そうぞう性」は、今のはクリエイトですか。

【神野委員】  クリエイトです。

【荒瀬分科会長】  分かりました。ありがとうございます。
 では澤田委員、お願いいたします。

【澤田委員】  澤田です。「創意工夫を強力に後押しし」というふうに、国においてもと書いてくださっているので、学校現場は心強いだろうなと思っています。
 先ほどの貞広委員のお話とも恐らく重なると思うのですが、教員の皆さんも、変わりたいというか変えなきゃというのは分かっていらっしゃったり、本当に試行錯誤し始めていらっしゃるわけですけど、それでも苦しいというところがあるなと思っています。
 日本型学校教育の弱みのところで、幸福度の低さというのがあるのが、とても、変わっていけばいいなと思うところではあるのですが、例えば私が学校にいた時に見かけたことでいうと、休み時間も、例えば算数が苦手な子を個別で先生が見て、それがあまりに嫌で子供が不登校になってしまうなんていうことがありました。そういう話って本当に、現場を回っているとたくさん実は聞きます。
 これを、こういう指導をしているから転換しなきゃいけないよねというのはもちろんなんですけれど、それだけではなくて、なぜその先生がそういうことをしてしまっているのか、何がそうさせているのかという、もうちょっと広い視点で見られるといいかなというふうに思っていて、今回、中間まとめのこの先、最終の所では、落としどころの辺りも変えてくるのかなと思っているので、その際に、先ほどどなたかの発言の中で、社会全体というようなニュアンスのお話もあったかと思うんですけれども、学校だけで閉じずに、実は総力戦、社会の総力戦なんじゃないかということを私は思っています。
 例えば、自治体からの弊社への相談でいただくのは、一例ですが、校長先生同士の心理的な上下関係が学校のチャレンジを止めてしまっているということもあったり、学校と行政の関わり方、関係性が実はネックになっているということもあったり、保護者と学校の関係性ということであったり、本当に有機的だなというふうに思っています。その辺りがより見えてきて、社会全体で、全ての人が関係者ということでやっていけるようになるといいなと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では中谷委員、すみません、お願いいたします。その後、教育委員会の方から御発言をいただいて、最後、堀田先生にまとめていただきたいと思っております。

【中谷委員】  時間がない中でありがとうございます。今日、洛風中学校を見させていただいて、私は本当に来て良かったなと思いました。
 洛風の生徒は自分たちのことをしっかり見詰めていて、しかも自分たちだけじゃなくてほかの子のこともちゃんと考えていました。その一方で、先程岩本委員からは、彼ら彼女たちをある意味追い込んだのは子供の声を聞かない学校だという表現があったと紹介がありましたし、ご一緒させていただいたグループの荒瀬分科会長や白井委員からは、我々自身が子供たちの声を聞いてないよねという話が出ておりました。
 これらのことから思いましたのは、今後、例えば概要の1枚目の目指すべき学校教育の姿の部分に関わっては、どこかで当事者である子供たちの声を聴く機会があるといいのではないかということです。中学生だったら十分言えるのではないかと思っています。全てでなくていいので、子供たちに分かるような資料を作って、それをもとに子供たちと対話する。これからは、こうした機会を作ることも必要なのではないかと思ったところです。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。非常に大事なお話で、子供たちのことを話をするのに、子供たちがそこに入っていないというのは何かおかしなことですよね。ありがとうございました。
 では相馬指導部長、すみません、時間が余りない中で申し訳ありません。

【相馬指導部長】  本日は本当に様々な御意見をいただいてありがとうございます。私たちが日頃感じている課題の部分ですとか、どうしていったらいいのかなと思っている部分、ほとんど共通している部分なんだろうなと思っておりました。
 その中で、やはり途中で会長がおっしゃった、学校はどこまでやればいいんだろう、先生はどこまでやったらいいんだろうというところが、私たち教育委員会としても悩ましいところかなと思っておりまして、今回の在り方ワーキングがまとめていただいたことを実現していく際に、やはり学校現場で先生方が実際にできるような環境づくりであったり、体制づくりというのがないと、より良い学校教育というのが実現していかないのではないかなというところを感じておりまして、そういった部分についても、具体的な手だてなどについて御議論いただければ非常に有り難いかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では稲田教育長、よろしくお願いいたします。

【稲田教育長】  ありがとうございます。私は教育委員会には37年間おりますけれども、常々先輩から、現場に課題はあるけれども、その解決策も現場にあるため、現地現場主義を大事にするべきであるということ、また、現場に任せるだけではなくて、教育委員会の指導性、統括性を発揮することの2点を教えられて、ここまで来ております。
 公立学校には、日本語指導の必要な子供たち、あるいは不登校の子供たち、障害のある子、経済的に厳しい子など、様々な子どもたちがおりますけれども、そういう子供たちがいかに自立して育っていくかということについては、やはり学校現場において、当事者の子供の声、現場の声をしっかりとつかみながら施策化するというのが大事だなと思います。文部科学省の皆様にも、これまでからしっかりと現場のニーズをつかみながら施策化していただいておりますけれども、このような形で、今後とも我々教育委員会との連携を深めながら、御支援をこれからもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは堀田先生、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  最後になりましたが、一言発言させていただきます。義務教育ワーキングの中間まとめの概要を基にお話ししたいと思います。
 まず、今日は午前中に、京都市さんの御協力をいただきまして洛風中学校を視察させていただきまして、ありがとうございました。子供たちと話す場を用意いただいたおかげで、いろいろな実態というか、彼らの声を伺うことができました。
 この概要の①に「他者と関わりながら」と書いてあるんですけれど、彼らは一時期の不登校があったわけですけれど、人と関わりたくないわけでもない、むしろ学校には来たいんだと言っていました。その理由は②にありますけども、安心できるんだと。洛風中学校はマイペースで自分たちのことができて、安心できるんだというふうに言っていましたし、③にある、過度に同調圧力が高まるという、これがないんだと言っていました。
 そういう意味では、この義務教育ワーキングが提示している中間まとめの形をすでに具現化しようとしている学校であり、それが子供に届いている学校だったんだなというふうに思います。
 ④のところに、学びの主導権を適切に委ねているかという、これも今日の洛風中学校さんでは、できるだけ子供たちにそれをさせようとしていました。それが子供たちによる「マイペース」という言葉になるわけですけれど、一方で、PISAの先ほどの調査の結果の、寺島室長の御報告にあったように、我が国においては、また休校とかになったら自分でできるかと尋ねると、自信がないと。つまり、いつも先生が何かやってくれるから、それでできるんだけれど、自分の力ではまだできる自信はないんだと。
 つまり、私たちが子供たちに委ねていないために、そういう力を育ててきていないんじゃないか。ほかの人と横並びであることを尊重し過ぎるあまり、一人一人をあまり大切にできていなかったかもしれないと。
 これからの時代、ウエルビーイングとかいうのは、当然一人一人みんな違う自己実現ですから、自分のことを自分で決めて自分で実現するという力を、これを義務教育で付けなくて何が義務なんだという話だというふうに、私は今日感じました。
 最後にオンラインのことに一言触れておきたいと思うんですけれど、オンラインのことが不登校児童生徒への対応のところにいろいろ書かれています。今日、お子さんたちとお話しして、生徒さんたちは、オンラインと学校に来るのと、対面ですね、どっちがいいのと聞くと、子供によっていろいろ、あと教科によっても違うかなみたいな、そんな感じでした。
 ここに書いてあるのも、オンラインで全部が片付くというふうに言っているわけではないし、オンラインこそ望ましいというふうに書いてあるわけでもなく、オンラインもうまいこと使いましょうという話だと思うんですよね。
 コロナを過ぎて、民間企業等をはじめとして世の中では、大人の私たちの働き方として、在宅勤務が必要に応じて認められるというふうになってきているのが一般的だと思います。学校の先生はまだなかなかそこまで、状況としてはなっていないわけですけれど、子供たちにももしかしたら在宅学習というのが一定の範囲で認められるみたいな、来なきゃいけないときは学校に行くし、必要なら行きたいし、だけど、これは一人でやるから家でもできるみたいなことが、どこまで認められるのか。これを義務教育の制度として、どこまで私たちは担保できるのかというのが、一つの大きな今後の課題なのかなというふうに考えました。
 オンラインというのは、対面の代替ではないと私は思います。こういう基盤がもう備わっているこの時代、GIGAで一人1台持っているこの時代に、オンラインも使って、必要に応じて対面との割合を変化させながら多様な学びや多様な児童生徒に対応するのだというふうに思います。
 今日、大臣が会見でお話しされていると思いますけれど、今回、被災地の支援で、端末を現地に持っていって、オンラインでつながれる人はつなぎましょうという取組が民間企業の協力も得ながら始まっています。やっぱり子供たちはつながりたいし、それが帰属意識なのだと思いますから、子供たちのそういう安心した学びの環境を、オンラインも使って提供できればというふうに思いました。
 長くなりました。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 奈須先生、いろいろ御意見が出ました。引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、この議題はここまでとさせていただきます。大変進行がまずくて、時間を大幅に超過してしまいました。申し訳ありません。
 次回以降の予定につきまして、事務局からよろしくお願いいたします。

【小畑教育制度改革室長】  事務局でございます。次回の会議日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。ということでございます。
 それでは、本日予定しました議事は全て終了いたしました。
 改めて、今回京都で開催するに当たりまして、京都府教育庁、京都市教育委員会に、大変お世話になりましてありがとうございました。
 委員の皆様も、ここまで来てくださった方も、それからオンラインで御参加の方も、御理解いただきましてありがとうございました。
 さらに、最後に御礼を申し上げたいのは、この京都での開催を実現するに当たって大変な御努力をいただいた文部科学省の教育制度改革室のメンバーの皆さんです。本当にありがとうございました。普段とは違うシステムで、遠隔でやるということの大変さ、違った場所でやるということの大変さ、御準備、本当にいろいろあったと思います。心から感謝申し上げます。
 それでは、本日の議事はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
■会議終了後に頂戴した御意見
【藤田委員】 大阪教育大学の藤田です。
吉田信解委員のご発言にもありましたが、今回の令和6年能登半島地震の発生により、学校が避難所となり学校教育活動の再開の目途が立てられないような状況が続いていることが報道されております。
地域の学校が、避難所として被災された方々の生活を支援するための初動施設として活用されることは必要な状況であると理解されますが、過去の阪神淡路大震災や東日本大震災の発生により長期にわたって子供たちの学びの場が再開されなかった経験に基づいて、子供たちへの義務教育がなるべく早期に再開されるようにするための避難所経営の在り方についても、先進地域の事例や過去の課題を参考にしつつ関係省庁による検討を進めていく必要性について「義務教育の在り方ワーキング」の中で議論いただきたいと思っております。
 
【冨塚委員】
〇私自身が高等学校設置者である県教育委員会の人間であり、かつ、高等学校の在り方 ワーキンググループに参加させていただいていることから、高等学校の目線で、義務教育の在り方WGの中間まとめを拝見しております。
〇そのため、少々偏った見方になるかもしれませんが、ほぼすべての中学校卒業者が高等学校に入学している現状からも、義務教育WGにおいて、高校への接続という視点からの議論が記されていてもよいのではないかと感じました。
〇中間まとめにも、不登校に関する記述がありますが、不登校や、発達障害・学習障害の生徒の多くが、特別支援学校高等部ではなく普通高校に入学します。中学で特別支援学級に在籍した生徒も、普通高校に入学します。こうした生徒のために、高校では、数学や英語などの教科で、学校設定科目として、いわゆる「学び直し」授業を行ったり、少人数指導、習熟度別指導などを行ったりして、学習の遅れを補う努力をしています。
〇中学校からの「調査書」等の記述では、こうした生徒たち一人一人の状況を事前に把握しきることは困難なため、入学後に手探りで様々な工夫を行っている実態があります。
〇特別支援学校のような個別指導計画を作成し、中学から高校に引き継ぐことも考えられますし、中学と高校の間に「高校入学準備期間」「プレハイスクール」的な時間や空間があると、高校教諭の苦労が少し軽減されるのではないかと思っています。後者は、日本語指導が必要な外国籍の中学生や高校入学段階で外国から日本に来る生徒にも有効かと考えます。
〇公立高校では、極めて多様な困難を抱える生徒を義務教育同様に受け入れている現実があります。それも公立高校の役割の1つだとも認識しております。受け入れなければ、その子たちを「平和で民主的な国家及び社会の形成者」として育成することができないからです。
〇そうは言っても、5教科の勉強が嫌いな子、どうしても理解できない子もいるので、そ
の子の得意なことを見つけて伸ばしてあげる、まさに「一人一人の可能性を伸ばす」教育を、小中学校での指導の重要な柱としていただき、全ての学校で着実に取り組んでいただきたい。その上で、中学校の先生方には、普通科の高校や大学への進学を前提とした画一的な進路指導を止め、個々の子供の資質や個性、特技に着目して、農業・工業・商業・看護・福祉・情報など公立高校の多様な専門学科への進学など幅広い進路の選択肢を示してほしいと強く思います。
〇千葉県は、特に普通科志向が強く、専門学科の高校の志願率が低くなっています。その
大きな要因は、小中学校の先生の大半が普通科高校の出身であり、専門学科の良さを十分に理解していないこと(進学塾の講師も同様)、保護者が普通科進学を強く希望することだと思います。
〇このため県では、中学生とその保護者に向けた専門学科の魅力発信と、中学校教諭を対象とした専門学科の高校の見学会等を実施し、中学生の多様な進路選択につなげようと努めています。
〇上記のような状況を踏まえ、義務教育のWGにおいて、高校への接続・つなぎを意識し
 た記述を加えていただけると有難いと感じました。
・小中学校段階での、個々の児童生徒の多様な可能性を広げる教育の充実(教育課程の柔軟化など)
・小中高の一貫した社会人教育、キャリア教育(現在のキャリアパスポートを真に意義のある有効なものに改善、芸術家や伝統工芸職人など各界で活躍する人材の活用など)
・全ての子供に高校での学習に最低限必要な基礎学力を確実に定着させる教育体制の整備(塾との連携などによる補習、得意な教科に絞った高度な学習の実践など)                 

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