初等中等教育分科会(第142 回)議事録

1.日時

令和5年9月7日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 高等学校教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて
  2. 「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議報告書について
  3. 質の高い教師の確保特別部会における提言について
  4. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】  皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第142回中央教育審議会初等中等教育分科会、第5回個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、この二つの会議の合同会議を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に、前回の開催以降、初等中等教育分科会に新たに御参画いただいた委員がいらっしゃること、また、事務局にも人事異動があったとのことですので、事務局から御紹介をいただきたいと思います。
 中川教育制度改革室室長補佐にお願いいたします。

【中川教育制度改革室室長補佐】  今御紹介いただきました教育制度改革室長補佐の中川でございます。制度改革室長が用務の関係で遅れて出席となりますので、恐縮でございますが、私から御紹介させていただきます。
 まず、前回以降、新たに本分科会に御参画いただきました委員を御紹介いたします。お名前をお呼びいたしますので、適宜、ミュートを解除いただき、簡単に御挨拶をいただければ幸いです。なお、本日の参考資料1として最新の委員名簿をお配りしておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 まず、植村洋司委員でいらっしゃいます。

【植村委員】  全連小の植村でございます。所属は東京都中央区立久松小学校長でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

【中川教育制度改革室室長補佐】  続いて、齊藤正富委員でいらっしゃいます。

【齊藤委員】  おはようございます。全日本中学校長会長の齊藤正富と申します。所属は文京区立音羽中学校でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【中川教育制度改革室室長補佐】  最後に、大関浩仁委員でいらっしゃいます。

【大関委員】  全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会の大関浩仁です。所属は、東京都品川区立第一日野小学校です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

【中川教育制度改革室室長補佐】  続けて、事務局にも人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。8月8日付けで初等中等教育局長に矢野、大臣官房学習基盤審議官に浅野、大臣官房教育改革特別分析官に梶山が着任をしております。また、9月1日付けで初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長に小畑が着任しております。うち、矢野、浅野、小畑については、本日は用務の関係で遅れての出席とさせていただきます。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、植村委員、齊藤委員、大関委員、改めまして、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、中川室長補佐から説明をよろしくお願いします。

【中川教育制度改革室室長補佐】  本会議はウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1-1から資料3-4まで、加えて参考資料1から参考資料4-2までとなっております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。資料はよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は議題が三つございまして、まず、議題の1といたしまして「高等学校教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて」、議題の2といたしまして「令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議報告書について」、そして最後、議題の3といたしまして「質の高い教師の確保特別部会における提言について」となっております。各議題につきまして、事務局から御説明をいただいた後、議題ごとに質疑応答の時間を設けたいと思います。また、三つございます関係で、御発言いただける委員に限りが生じてしまう場合があるかもしれません。その場合は、大変申し訳ありませんが、会議の後に事務局宛てにメールをいただければ、議事録に掲載したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、この会議の模様をYouTubeで配信しております。御承知おきください。
 それでは、まず議題の1でございます。「高等学校教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて」ということでありますが、こちらは私が主査を務めておりますことで、最初に御説明といいますか、一言申し上げたいと思っております。その後、田中参事官から御説明をいただければと思います。
 この中間まとめでございますが、本年8月31日に取りまとめができました。後ほど詳しく御説明いただくわけでありますけれども、資料の1-1に概要が何枚かございます。この中、真ん中にありますことをまず御紹介しておきたいと思うんですけれども、いろいろ本当に多岐にわたる議論がございました。その中で、委員の中で一定の共通認識が得られて、速やかに取り組むべきと考えられるものにつきまして、この中間まとめの中に具体的方策を提示しているという、そういうものでございます。
 そのうちの一つといいますか、考え方の一つといたしまして、次の段落でございますが、多様な生徒が学ぶ高校において求められる多様性への対応と共通性の確保を果たしていくことが望まれるとしております。ここのところが、これまではずっと言葉の順番が、共通性の確保と多様性への対応ということでございました。今回、議論をしました結果、この多様性ということをしっかりと受け止め、その多様性に対してどのように対応していくのかと同時に、共通に担保しなければならないものは何なのかということを考えていくという、そういう発想の転換を図ろうということで、こういったような言葉の順番の変更などもしております。
 一番下にありますけれども、一人一人の生徒を主語にした高等学校教育を、こういったことを一つ一つ具体的に取り組む中で実現していきたいということで、まとめております。ただこれは中間まとめでございますので、これからも議論を重ねていって、我が国の高等学校教育について更に深めていきたいと思っております。私からは以上でございます。
 それでは、田中参事官から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中参事官(高等学校担当)】  高校担当参事官の田中でございます。よろしくお願いいたします。時間も限られますので、概要版、今、荒瀬分科会長の方からもお示しいただきました資料1-1に基づいて、御説明申し上げたいと思います。
 「はじめに」につきましては、今、荒瀬分科会長からお話があったとおりでございますので、その次、2ページから御説明を申し上げたいと思います。まず、これからの高等学校の在り方に関する基本的な考え方、今、荒瀬分科会長からお話ございましたように、多様性というものを先に出しまして、多様性への対応、それから共通性の確保というのが、高等学校教育の課題であるということで掲げられております。このうち上から三つ目ですけれども、多様性につきましては、いずれの高校においても多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びを実現すること。そのために、遠隔授業や通信教育の活用、学校間連携の促進、関係機関との連携・協働等を一層進めていくことが重要であるということが示されております。
 また、その下、共通性の確保に向けましては、下に4点ございます。自己を理解し、自己決定・自己調整ができる力の育成、それから義務教育において修得すべき資質・能力の確実な育成など、知・徳・体のバランスのとれた土台の形成、これら4点をいずれの高校においても共通的に生徒に身につけさせることとして、共通性の確保ということで御提言をいただいております。
 続きまして、その次のページ、3ページ目を御覧いただければと思います。ここから論点が3つございます。まず一つ、こちら少子化が加速する地域における高等学校の在り方ということでございます。上の現状・課題認識ですけれども、少子化の影響によりまして、多くの地域で高等学校の統廃合が進行しております。今後更に15歳人口の減少は一層加速することが確実視されておりまして、そのような中で一定の小規模校を地域に残す必要がある場合に、小規模校の教育条件の改善につなげていく方策を考えることが必要だという認識のもとに、御議論いただいております。
 その具体的方策を御説明申し上げます。まず、教科・科目充実型の遠隔授業における受信側教室の体制につきまして、これは原則受信側には免許を持った先生が必要だということでございます。この教師配置の原則は堅持しつつも、一定の条件、国において定める一定の基準のもと、教師にかえて受信側に免許を持たない職員を配置することが可能となるよう、要件を弾力化するという御提言です。また、小規模校におきましては、常駐以外の方法による受信側の配置についても、実証研究を行うことが提言されております。
 続きまして、その下でございますけれども、この遠隔授業実施に当たっては対面授業も求められるわけですが、これは現状、年間2単位時間以上の実施という原則があります。これは堅持しつつも、国において定める一定の基準のもとで、これを年間1単位時間以上とすることも可能となるよう、要件の弾力化をするという御提言でございます。その下ですけれども、この遠隔授業につきまして、配信センターというのが非常に有効です。この配信センターについて、国において連絡調整・支援スタッフの配置等の体制整備や機材等の環境整備に向けた支援を実施ということが提言されております。その下でございますけれども、特別な事情を有する生徒を対象に、オンデマンド型の学習を可能とする通信教育が活用可能となるような制度改正が求められております。
 次のページを御覧いただければと思います。具体的方策ですけれども、スクール・ミッション、スクール・ポリシーなどが実効性あるものとなるよう、不断の改善などの働きかけを国において実施すること、また、普通科改革など、各学校の特色化・魅力化を引き続き進めること。その下ですが、都道府県と市町村の連携・協力による高等学校の運営について、国において取り入れる方策について整理を進めること。その下でございますが、地域や学校を超えてつながり、同じ志を持っている同世代から学ぶことを可能とするネットワーク、プラットフォームを国において構築すること。また、コミュニティ・スクール、地域学校協働活動推進員等の配置の促進、また、国において、学校の働き方改革を進め、必要な業務を精選するとともに、コーディネーター等の専門人材の配置拡充に向けた支援を実施することなどを御提言いただいております。
 続きまして、5ページ目を御覧いただければと思います。二つ目の論点となります。全日制・定時制・通信制の望ましい在り方についてです。現状・課題認識の部分ですけれども、近年、不登校児童生徒数は、義務教育段階を中心に大幅に増加しております。高校は一見増えていないようにも見えますけれども、一方で通信制に在籍する生徒数は近年大幅に増加するという状況がございます。全日制・定時制・通信制、いずれの過程におきましても、生徒の状況に応じた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な実現が重要だという認識が示されております。特に全日制・定時制においては、多様な生徒が現籍校で学びを継続しながら、多様な学びを実現して卒業できるよう、支援をしていくことが重要だということでございます。
 これを踏まえて、具体的方策ですけれども、全日制・定時制課程における不登校生徒の学習機会の確保に向けて、不登校生徒が自宅等から学校の同時双方向型の遠隔授業を受講することを可能とする。それとともに、通信教育について、学びの多様化校の指定を受けずとも活用可能とする、こういったことのための制度の改正が提言されております。続きまして、高等学校におきまして、授業時数の3分の2以上出席などの要件が実際慣例としてございますけれども、これにつきましても、一人一人の実情に応じて柔軟に履修・修得を認められるよう、上記制度改正と併せて促すとされております。
 また、ICTやオンラインを活用した効果的な学びを進めていくために、国においても、機材整備や支援スタッフの配置など、体制・環境整備に向けた支援を行う。そのためのモデルとなる優良事例を創出・発信していくこと。学びの多様化学校の設置促進、教育支援センターの機能強化や校内支援センターの設置促進、それから中学校段階において自宅等における学習成果の成績への反映を促す制度改正を進めるとともに、高校入試につきましても、高校で学ぶ意欲・能力を適切に、不登校の経験がある子供を含めて評価するということについて、実施者に配慮を促すということが提言されております。
 続きまして、次のページを御覧いただければと思います。具体的方策ですけれども、公立通信制高校の機能強化、域内の中心拠点・配信センターとして学校間ネットワークを構築するようなモデルを作っていくこと。また、国におきまして、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの配置充実に取り組み、また、研修プログラム・教材作成支援を投じて、こういった分野に強みや専門性を有する教師を育成していくこと。通級指導について、効果的かつ効率的な巡回指導の実施に向けたモデル構築を行うこと。日本語指導や各種支援等を実施する際、国において支援を行うことなどを御提言いただいております。
 続きまして、8ページ目を御覧いただければと思います。三つ目の論点でございます。社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進です。現状・課題につきましてはここにあるとおりでございますが、二つ目のところにありますように、高校におきまして社会に開かれた教育課程の実現などが必要だということが述べられております。
 それを踏まえまして具体的方策でございますけれども、まず、普通科改革をしっかり進めるとともに、高校と関係機関等との連携・協力体制の整備、それからコーディネーターの配置を国としても支援していくこと。また、コーディネーターの育成や活用を支援するための全国プラットフォームの構築を、国において進めることを御提言いただいております。また、国際的な教育を行う高校の整備推進・運営支援についても御提言いただいております。スーパーサイエンスハイスクールの取組の更なる充実など、理数系教育への興味・関心を一層高めることも御提言いただいております。
 次のページを御覧いただければと思います。専門高校におきましては、産業界等と専門高校との連携・協働の強化、取組の横展開に向けた支援を国において実施すること。その下でございますけれども、学校における働き方改革、それから教育活動や業務内容を、スクール・ポリシーを基準にして精選・重点化を図ること、教師のオンライン研修コンテンツの充実、それから探究型の研修開発・普及を実施すること、大学入学者選抜につきましては、学力の3要素の多面的・総合的な評価、これを進めるとともに、文理横断的な学びを進める観点から、出題科目の見直し等も促進することなどを御提言いただいております。
 最後になります。「おわりに」を御覧いただければと思います。10ページ目です。これは中間まとめでございますけれども、上にございますように、各高校が教育活動を通じて学習指導要領に掲げられた理念を体現していくことができるよう、今後どのような取組を進めていくべきか、引き続き議論を深めることが必要だとされております。また、以下の項目については継続的な検討が求められるということで、幾つか挙げられております。
 遠隔授業配信センターの体制の在り方や、全日制・定時制・通信制という在り方の見直しなど、それから次期高等学校学習指導要領に向けた議論、今後の望ましい在り方について、更に高校の指導体制の充実のための方策についてなど、検討すべき課題が挙げられております。これらの検討を行うに当たりましては、関係機関が実施することを明確化しながら、必要となるリソースの確保を含めて、見通しをしっかり立てると、そのことに留意しながら検討を進めるべきとされております。一番最後ですけれども、今後、こうしたことで高校教育を真に社会に開かれたものとしていくことが期待されると提言されております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、ただいまの説明に対して御意見、御質問がおありの方は挙手をお願いいたします。オンラインで御参加の方は「手を挙げる」のボタン押していただくことでお願いします。それから会場にいらっしゃる方は、名札を私が読めるように見せていただくようにお願いします。時々こういうふうにされる方がいらっしゃるんですけれども、私がはっきりと確認できるようによろしくお願いいたします。
 それでは、八並委員、戸ヶ﨑委員、中川委員の順にまず、お願いいたします。

【八並委員】  日本生徒指導学会会長の八並です。中間まとめを拝読して、高校教育における生徒指導の認識不足があるという強い印象をもちました。私の提言としては、次の3点です。
 第1点は、資料1-1と資料1-2の両方の本文に、多様性と共通性に関わる生徒指導の文言がないので、記載してほしいということです。また、昨年文科省より刊行した『生徒指導提要』による自己学習や研修も記載していただきたいと思います。
 資料では、不登校に関する記述が見られますが、その他に、自殺や高校中退・いじめなども大きな課題です。(心理・福祉分野に強みや専門性を有する教師の育成等)だけでなく、それについては、生徒指導の基本書である『生徒指導提要』で取り扱っているので、教職員の自己学習や研修での利活用を記載すべきだと思います。第4期の中教審の教育振興基本計画においても、『生徒指導提要』で記述した発達支持的生徒指導の重要性と推進が明記されています。共通性では、自己指導能力の育成も、必要だと思います。
 第2点は、高校生の自殺問題を、なぜ取りあげていないかということです。
 自殺については、平成18年に「自殺対策基本法」が公布され、平成29年に児童生徒の自殺の実態を踏まえて「自殺総合対策大綱」改正されました。子どもの自殺問題と予防は、国家的課題です。
 「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」で、自殺者数が公表されていますが、校種別にみると〔自殺総数が368人で、高校生 が251人で68%、中学生が109人で30%、小学生が8人で2%〕となり、高校生が約7割を占めています。この傾向性は、令和3年度以前も同様です。その点では、自殺問題に触れないわけにはいかないと思いますが、全く記載がありません。生徒指導の実態からすれば、非常に危機意識が希薄だと思われると思います。また、いじめを原因とする自殺も、6名中2名が高校生です。この点からも、自殺やいじめの未然防止の記載と第1点で指摘した『生徒指導提要』の利活用の記載は必須だと思います。
 また、自殺した高校生の置かれていた状況、つまり、主な原因は、次の通りです。〔家庭の不和が12%、父母等の叱責が10%、精神障害が9%、進路問題が8%、友人関係が7%、厭世が7%、不明が58%〕です。特に、気になるのは、精神障害です。現行の学習指導要領で、高校の保健体育でおよそ40年ぶりに精神疾患について必ず扱うことになりました。こうした状況を踏まえると、うつ病や統合失調症、摂食障害などの予防教育が重要です。これについても、『生徒指導提要』の「13章 多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導」において、発達障害・精神疾患・健康課題に関する理解と対応で取りあげています。ちなみに、「第8章 自殺」・「第9章 中途退学」・「第10章 不登校」なので、この点からも、『生徒指導提要』の利活用を記載してほしいと思います。
 第3点は、高校中退に関してです。先ほどの文部科学省の調査では、中退理由で主なものとして、進路変更と学校生活・学業不適応があります。具体的には、次の通りです。高校中退の要因としては、進路変更が44%です。そのうち25%が別の高校への入学を希望しています。内訳は、全日制が33%、定時制・通信制が11%です。ということは、中学校の進路指導において、行きたい学校と行ける学校とのミスマッチが根底にあるではないかと思います。
 また、学校生活・学業不適応が31%です。要するに、入ってから学校になじめない、あるいは勉強にうまく適応できない。全日制が32%、定時制38%、通信制21%です。この点からも、高校中退において、中学校の進路指導への何かしらの提言と、高校初期段階での学校適応に関する対策の提言をもう少し入れた方が良いのではないでしょうか。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。この後、戸ヶ﨑委員、中川委員、渡辺委員でこの件、一旦区切り……、金丸委員。順番で言うと金丸委員ですか。では最後、金丸委員までということにしたいと思います。大変申し訳ありませんが、できる限り短くお願いしたいと思います。では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  2点申し上げます。1点目は、「遠隔授業における要件の弾力化」についての言及がありますが、この弾力化を大いに進めつつも、質の高い授業の確保に向けた取組の一つに、教育データの利活用があるのではないかと思います。特に高等学校の場合に、受信側に専門の教師がいなくてもクラウド上で生徒の学習状況の可視化ができれば、遠く離れていたとしても配信側の教師の指導のサポートができるのではないかと思います。今後、「主体的・対話的で深い学び」を遠隔授業で実現する上での課題を解決するツール等も示していけるといいのではないかと思いました。
 2点目は、不登校の校内教育支援センター等の記載についてです。本市では、昨年度から埼玉県の教育委員会と連携して、県立高校の中に不登校の中学生を受け入れるという支援教室を立ち上げましたが、これは大変高いニーズがあります。これまで義務教育は市町村、また高校は都道府県教育委員会と設置者が異なるために、そこに壁がありました。これを援用してみると、例えば大学の構内で不登校の高校生を受け入れる教室を創設するといった施策もありではないかと思います。
 こうした教室は、生徒にとって「少し先の未来を体感」できる居場所であり、多様なニーズの受皿という意味でも意義深いものがあると思います。今後はそうした設置者の壁を越えた連携が促進されることを期待したいと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】  放送大学の中川です。よろしくお願いいたします。発想の転換という言葉が荒瀬分科会長からもあり、重要なポイントをまとめられていると感じました。特に生徒を主語にするということがこれからますます重要になってくると、私も思います。そのためにも、今後ますますICT環境を積極的に活用していくことが重要になってくると思っています。まだまだ高等学校においては十分に活用が進んでいるとは言い切れないと、全国の学校を回っていて、個人的には思っています。そのために、例えば遠隔授業のことが書かれていますが、先日義務教育ワーキングでも話題になった関係で発言させていただきますが、手軽に利用できる環境と更なる弾力化、そして事例の創出を更に充実させていくべきと考えています。引き続き、御検討をよろしくお願いいたします。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  日本医師会の渡辺でございます。質問を1点させていただきたいと思います。お時間がなければ回答は後日で結構でございます。資料7ページの具体的方策の上から三つ目の文章で、国において通級指導を受ける児童生徒にとってということで、モデル構築をするということになっていますが、この資料自体が高等学校教育の在り方に関して記述され、ここの文章も大体それに準じていると思うんですが、ここに児童生徒にとってのモデル構築を行うという文書が、高等教育とどう関係があるのか、何か児童生徒というと初等中等教育ではないかと思ったものですから。ここに入れられた理由を、後でもいいですから、御説明いただければと思います。私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、金丸委員、お願いいたします。

【金丸委員】   ありがとうございます。全体としてよくおまとめいただいたと思っております。1点、気になっているところは、全体を通じて世界とか国際的な視点というか言葉もないものですから、それが気になっております。一方で参考資料3-2に添付されている閣議決定の文章を見ますと、世界に冠たる令和型の質の高い公教育と書いてございまして、そういう意味ではこの一番「はじめに」の書き出しのところが、世界に冠たるを削って令和の日本型学校教育となっているので、ここが何となくドメスティックな感じがただよっていて、「世界に冠たる」という言葉は必要なんじゃないかと思います。令和型の「令和」という言葉だけでは、具体的なイメージも湧きませんので、そこは御検討いただければと思いました。
 特に、この後に生成AIの話も出てきますから、生成AIは別に日本がオリジナルで作り上げたものではなくて、アメリカから突然ベンチャーがChatGPTをひっ提げて日本を訪問して、政府全体で生成AIに取り組もうとか、あるいはその影響を受けないようなお子さんたちの人生設計であるとか、あるいはもっと生成AIをポジティブにいかに活用して自分をもっと質的向上を図るというようなことも考えているわけですから、そういう技術革新のほとんども国際競争の中から出てくるものですから、国際的な視点とか世界とかいうのは入れておかれた方がいいんじゃないかと思いました。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。大変申し訳ありません、時間の関係でここまでとさせていただきたいと思います。いずれも貴重な御意見をいただきました。ただ質問もありますので、田中参事官、今、お答えになりますか。

【田中参事官(高等学校担当)】  渡辺委員からの御質問、ありがとうございます。本来、児童というのはこの文脈では取るべきであったと思っております。もちろん、通級指導は小学校段階でもありますけれども、ここでは高校が対象ですので、これは誤記ということで御容赦いただければと思います。修正させていただきます。申し訳ありませんでした。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それで、今いただきました御意見は、今後も議論を続けてまいりますので、そういったところでもしっかりと生かしていきたいと思っております。ありがとうございました。
 では、次の議題に移りたいと思います。議題2といたしまして、「令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議報告書について」ということでございます。この件、令和3年の令和答申におきまして、特に今後も改革に向けた検討が重要であるとされていた地方教育行政の在り方について、有識者会議において議論がなされ、本年7月に取りまとめられた報告書ということでございます。それでは、事務局をお願いしていました堀野初等中等教育企画課長から、御説明をよろしくお願いいたします。

【堀野初等中等教育企画課長】  それでは、資料2-1に基づいて御説明させていただきます。1番目の趣旨のところにありますとおり、令和3年の中教審答申におきまして、個別最適な学びと協働的な学び実現のために、答申の中で今後速やかに検討を実施していただきたいこととして、地方教育行政について、破線の中にありますとおり、校長を中心に学校組織のマネジメント力の強化が図られ、自主的・自立的な取組を進める学校を積極的に支援し、社会の変化に素早く的確に対応するための教育委員会の在り方、特に教育委員会事務局の更なる強化、首長部局との連携の促進、外部人材の活用等をはじめとする社会との連携等を含む教育行政の推進の在り方ということが、今後検討していただきたい事項として示されました。これを受けまして有識者会議を構成いたしまして、下にありますとおり、前東京都三鷹市長の清原先生を座長といたしまして、戸ヶ﨑先生、岩本委員、吉田委員を含むメンバーで15回の会議を開催して、報告書が7月に取りまとめられたところでございます。
 次のページにございます真ん中から下の部分にありますとおり、令和の日本型学校教育を実現するため、一つ目に、各学校を所管する管理運営機関として、教育委員会が積極的な支援を行うこと。二つ目のポツにありますのが、教育委員会そのものの機能強化・活性化ということで、教育長のリーダーシップの十分な発揮、教育委員会の合議制執行機関としての役割をしっかり果たしていくということ。それから3点目のところ、その次のポツのところでは、首長との関係という意味で、総合教育会議の仕組みの活用によって、首長との連携・協働を通じて対応していくこと。その下の丸として、小規模自治体への対応といたしまして、広域連携やデジタル技術を活用して近隣自治体と連携する。都道府県教育委員会は困難を抱える市町村への支援を積極的に行う。こういった四つの観点から、議論が進められております。
 次のページですけれども、教育委員会そのものの機能強化・活性化という観点から、教育委員会会議の活性化、ここに赤い文字で宮崎市教育委員会、戸田市教育委員会等々とありますけれども、本文の方では具体的なこういった好事例を本文の中に差し込んで、トピックのように入れておりますので、各教育委員会で参照できるようになっております。それから地域住民との意見交換や移動型の教育委員会、オンラインの活用、こういったことが提言されています。
 次に教育長、教育委員の人選、資質・能力の在り方ということで、教育長・学校長OBの方、教育行政OBの方、それから首長部局で経験をされた方、様々な方がおられますけれども、そういったバックグラウンドを踏まえた教育長の選任、それから教育長の中長期的な人材育成、研修会、それから学校訪問の機会や研修会など、教育委員の資質・能力の向上、この辺では、特に教育委員というのはアドバイザーではなくて首長と並ぶ教育行政の執行機関、意思決定機関であるという観点から、そうした立場をしっかり踏まえた研修の機会、参加の機会を工夫すべきとされております。
 教育委員会事務局につきましては、指導主事の資質の向上、それから事務局職員につきまして、一般行政職職員と教員籍の職員の業務内容や分担見直しとあります。指導主事は学校から来た教員籍ということで、指導に関する、中身に関することは教員が、逆に一般行政の方は予算とか事務執行のことは長けていますけれども、逆に教育内容的なことは指導主事に任せると、ここの役割分担が進み過ぎるときちんとコラボレートできないということなので、お互いに教員籍の方も事務の勉強をする、行政職員の方も教育内容にも関わるといった分担の見直しという話が出ております。
 また、教育行政職の採用という意味で、市町村、都道府県においては、採用された方がいろいろな部署を回る一端として教育の部署を回るということも多いわけですけれども、中には教育委員会でずっとキャリアを積み重ねていくというやり方をされていることもあります。そうした例も紹介をされております。それから、ほかにも外部人材という意味では、様々な専門、教育以外の専門を持つ様々な方を事務局に入れていくと、こういった動きも必要ではないかという提案がなされております。
 次のページですけれども、教育長と首長との効果的な連携の在り方ということで、真ん中辺りに総合教育会議の在り方がございます。大きな課題が生じた際に、柔軟に総合教育会議の必要性を検討することとございますけれども、こうした仕組み、どうしても定例会ということになりますと形骸化しがちであるということなので、何か地元市町村において報道されるような大きなニュースになるようなことがあれば、首長さんも総合教育会議を開かなくていいのかなといった柔軟な開催をしっかりしていただくというのがいいのではないというようなことが提案をされております。また、関係部局等との連携の促進ということで、福祉部局との連携が必要な場面が教育においても多いわけですけれども、こういった職員に教育委員会職員と知事部局職員と併任をかけるとか、様々なやり方で連携を進めていくべきという提案がございます。
 その下、学校運営支援のための教育委員会の役割ということで、学校の自主性を促すため形式的な手続を減らして予算の裁量を拡大するですとか、あるいはその下ですけれども、保護者等による過剰な苦情、不当な要求等への対応に係る教育委員会の支援体制ということで、保護者等の苦情等によってかなりの時間を学校で費やして、なかなか子供に向き合う時間がとれないというようなことにならないよう、そういったことは教育委員会の方でしっかり専門家の意見も聞きながら支援していく、教育委員会で引き取っていくような体制を国も支援すべきだという提案がなされております。その他、事務職員がしっかり学校の中で、教頭の仕事の一部ですとかいろいろな役割をより果たしていく、こういうような提案もなされております。
 最後のページですけれども、小規模自治体への支援ということで、職員数10人以下の教育委員会が全体の3割ですとか、指導主事未配置の教育委員会も約2割ある、こういったところにしっかり支援していくことが必要だと。必要な方策にありますように、広域自治体として域内の市町村に対して、都道府県がしっかり役割を果たしていくべきではないかということ、それから教育事務所というものがありますけれども、小規模市町村への適切な支援も行っていくという観点から、教育事務所、これを廃止したり戻したり、それぞれの状況に応じていろいろ変わっていっておりますけれども、適時適切にどういった形がいいか支援をして、留意していくということです。
 それから、広域連携の仕組みについては制度をしっかり分かりやすく伝えること。また、地方教育行政を担う人材ということで、指導主事が一自治体で置けないという場合には、複数の自治体で指導主事を共同設置するといったようなやり方もありますし、学校の現場指導という意味では、オンラインを使って都道府県の指導主事が学校現場の指導というのを行うといった方法も紹介をされております。こういった提言につきまして、引き続き、国においても手引きの作成・公表、取組事例の周知、また小規模自治体の指導主事については情報が少ないというケースも多いので、ネットワーク作りをしていって情報共有を図る、こういった提案がなされているところでございます。
 引き続き、文部科学省としても、教育委員会を支えるための情報提供等についてしっかり取り組んでいきたいと思います。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、今御説明いただきました事柄につきまして、御意見、御質問、またいただきたいと思います。すみませんが、先ほどと同様に可能な限り端的によろしくお願いいたします。今、4人の方が手を挙げていらっしゃいます。吉田信解委員、戸ヶ﨑委員、貞広委員、渡辺委員、この順番に、それから岩本委員、この順番でお願いいたします。岩本委員まで一旦また、切らせていただくことになるかもしれません。よろしくお願いいたします。では、吉田委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】  吉田でございます。1点、今後のことということで、ぜひ文科省、また各教育委員会が、これは何て言いましょうか、認識していただけるといいかなというふうに思っていることがございまして、こども家庭庁が発足しまして、各自治体にこども家庭センターが今後、設立されてくる運びになっております。来年、あるいは再来年という中で自治体にできてくるわけですけれども、そのこども家庭センターにも実はいじめのことについては教育委員会と情報共有するということが、実は書いてあります。
 総合教育会議はいじめ等の重大事態に対しても対応するわけですけれども、どうしてもいじめの現場というのは、学校で起きていることであれば教育委員会が当然、主幹的にそれを取り扱うわけですけれども、全国的に見て教育委員会、あるいは学校というだけの閉じた形の中ですとなかなか、本当はもっと広く知らしめてみんなで考えなければいけなかったことが見過ごされてしまったというような事例も起きているわけでございます。首長部局には実はいじめのことについて対応する担当というのは、子育て支援課なんかはありますけれども、学校でのいじめについて担当する部局というのが、実はなかったんです。
 今後、こども家庭センターというものができてきますと、情報共有という面で首長部局にもいじめの問題について情報共有する部局ができてきますので、部局というかセンターが、機能ができてきますので、是非いじめの問題については教育委員会、あるいは学校という閉じた形の中だけではなくて、総合教育会議を通じ、また首長部局はこども家庭センター等と教育委員会の連携によって情報共有を図っていくということを、しっかり文科省側にも捉えておいていただいて、今後こども家庭センターとの、教育委員会との連携ということをしっかりとどこかに明記するなりしていくことも必要ではないかなと、このように考えているところでございます。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】   (2)「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の報告書と、この後の(3)質の高い教師の確保特別部会における提言、両方にも関係する、「周知啓発」に対して意見を述べさせていただきます。
 (2)の報告書については、一月ぐらい経過してから、簡単な鑑文で市町村教育委員会にメール発信されてきたところも複数あると聞いています。(3)についても、後ほど御説明があると思いますが、恐らく近いうちに文部科学省から都道府県教育委員会に発出されると思いますが、この提言そのものも既にマスコミ等でも大きく報道されて、文部科学省のホームページにもアップされています。通知を待ってからではなく、「進取の精神」で取組を開始しているのかどうかが問われていると思います。
 とりわけ義務教育の実施に当たっては、国と都道府県と市町村、それぞれが役割を分担して責任を負っています。近年は地方分権の進行に伴って、地方自治体が権限と責任を持って地域の実情に応じた教育が実現できるように、市町村の主体性を最大限尊重する動きがあることは大変好ましいことだと思います。
一時は、国の方針が都道府県、市町村、学校へとおりるに従って、通知等が強く受け止められているというような指摘がされていました。しかし最近は、逆の現象も起きつつあるのではないかと感じています。主体性を尊重するという名のもとで、今回のような極めて重要な通知等の周知徹底等の扱いまでもが緩くなっているのではないかと危惧しています。これらが全くの杞憂であればいいのですが、心配しています。
 御案内のとおり、都道府県教育委員会の重要な役割の一つとして、地教行法第55条の中に、「市町村の教育行政の体制の整備及び充実に資するため、必要な助言、情報の提供その他の援助を行うように努めなければならない」とされていることを踏まえて、積極的な支援を行っていく姿勢と実行力が極めて重要だと思います。市町村への権限委譲や裁量権の拡大が進められていく中で、義務教育の推進における都道府県教委の役割が改めて問われているのではないかと思っています。
 いずれにしてもこの(2)や(3)のような極めて重要な、喫緊の課題の解決に向けた取り組みを、スピード感を持って取り組んでいくためには、特に義務教育の場合、従来のピラミッドの組織で下に下ろすという演繹的な発想を打破して、文部科学省から教育の最前線である学校現場等へ直接のチャネルを開拓するという視点も、重要だと考えます。
(2)と(3)に共通した肝は、「国、都道府県、市町村、各学校などそれぞれの権限と責任のもとで主体的に取り組むべきこと」の重要性をいかに認識するかです。どのように自分事として実行するかが更に今、問われています。それぞれの主体が役割を的確に理解し、自覚して、最高のパフォーマンスを出すことで共同作業の結晶を作り上げる必要があると強く思います。つまり、各アクターが同心円状に広がってポリシーダイレクションを共有しつつ、互いの主体が連携して助け合いながら最適値を求める姿に一日も早く転換する必要があると考えます。人口減少等苦労が絶えない市町村を、国との間に立って直接支えていく都道府県教育委員会の、バッファーとしての「令和型の役割」が、歴史的な経緯の中でも問われていると言っても過言ではないのではないかと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】  千葉大学の貞広です。もうちょっと後かと思って油断しておりました。申し訳ありません。私も小規模自治体の行政機能の強化について意見を申し上げたいと思います。主に人的リソースの不足で教育行政機能に限界があるところもある小規模自治体については、先ほど戸ヶ﨑委員がおっしゃったように、都道府県教育委員会の支援の在りようというのも必要ですけれども、本体の50ページのところにある教育事務所、メゾレベルの機関ですよね。マクロでもミクロでもなくメゾレベルの機関である教育事務所の役割というのがとても重要である、これも広域連携と同じレベルで御検討いただきたいということです。概要版の方になかったので意見として申し上げます。
 もちろん広域連携の仕組み、一部事務組合とか共同設置等の教育、広域行政自治体間の水平連携の仕組みにも、もちろん可能性はあるんですけれども、教育行政というのは最も社会的、文化的な政策で、なかなか連携しようとしたときの行政、自治体同士の調整コストがすごく大きいという実態があります。実際にこの制度が導入されても、なかなかこうした広域連携の仕組みが進んでこない実態が、一部その証左であろうと思います。
 小規模自治体の限られた教育リソースや教育行政能力の補完の在り方としては、例えばもう少し、水平的ではなく垂直的なつながり、ただし小規模自治体を一方的に都道府県に編入させたりするような、例えば特例町村制度のような形態ではなく、メゾレベルで既存の例えば教育事務所なり人事、異動ブロックなりというくくりを活用して小規模自治体を支援していくという在りようも重要であると思いますので、各地域の方々が自分たちの置かれた状況で最も適切な方法を選択して、いかに小規模自治体を支援していくか、活力をあげていくかを考えていただくことが重要なのではないかと思いました。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  日本医師会の渡辺でございます。本体の資料2-2の内容に関して2点、述べさせていただきます。1点は17ページの上から2段落目、「教育委員会制度は」という文章から始まる内容でございます。そこには、教育委員には女性委員や保護者委員も含めた多様な人材を選任すること。「例えば」というところで、医師等を選任するなどで学校における感染症対策等に効率的・効果的な意思決定が可能というような記載がございます。この表記には、私の方では賛同させていただきます。
 教師のハードな業務体系によって、結果的に休業や精神疾患がたくさん生じております。これまでにも述べてまいりましたけれども、働き方改革のエンドポイントは単なる業務時間の短縮だけではなくて、過度の負担感を軽減し、精神的な疾患の発生を低下させることにあるように思っております。現場に近い教育委員会に医療関係者が参画することは、医療的な面から教師を支援できると考えますので、是非推進していただきたいと思っております。
 もう1点は28ページに記載がございますけれども、教育委員会と首長との効果的な連携については、例示されている防災教育のみならず、先ほども定期的なものでは形骸化するとおっしゃられたように、話題として健康教育全般、すなわち学校保健とか衛生部局など、それから学校安全、防災・危機管理部局とか警察等、食育で言うと健康管理部局等、全般について言えるものであります。文部科学省におかれましては本文を変えていただくということではなくて、これらについても積極的な対応を地方自治体に求めていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】  岩本です。こちら、地方教育行政の充実に向けてということで、非常に中身としては、内容的には重要なものだとか、本当に貴重な知見が盛り込まれているものだと感じています。今後、これがちゃんと各地域で実行・実現されていくためにということで、ほかの、吉田委員含めて御指摘あった部分だと思うんですけれども、これをどれだけちゃんと各教育委員会だとかに周知だとか共有、ちゃんと浸透していくというところまでできるのかということがポイントかと思います。
 是非教育長、教育委員さん、そして教育委員会の事務局にしっかりと伝わる、浸透するというところに向けて、研修だとか場合によってはオンライン含めて伝えていく、もしくはアンバサダー的な役割みたいな人間とかも介してというのもあるかもしれませんが、どう伝えてしっかりと実行のところまでつなげていくのかというところを是非、御検討いただけたらというのが一つと、もう一つは、教育委員会側だけではなくて、吉田委員が言われたみたいに、首長さんの認識だとか、首長側にも知っていただいてやっていかないとできないというところが多分にありますので、総務省とかこども家庭庁とかいろいろあるかと思いますけれども、そういったところを通じても、首長さんないし首長部局側にも伝わっていくような動きも工夫していただけると有り難いというところです。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、阿部委員、お願いいたします。

【阿部委員】  お世話になります。よろしくお願いいたします。私からは3点、端的にお話しさせていただきたいと思います。まず初めに、教育委員会事務局の在り方のところですけれども、指導主事や事務局職員の資質能力の向上、それから業務内容の分担の見直しと示されているところ、とても重要なことだと感じております。それと併せて、中核市以上の自治体等では学校事務職員の中から事務指導主事を配置するなど、学校現場を熟知する行政職員との人事交流を進めていくことが効果的な方法でもあると感じましたので、述べさせていただきます。
 それから、学校運営支援のために教育委員会が果たす役割のところですが、学校予算に関する裁量権の拡大、大いに賛同するところです。学校の自主性・自律性がうたわれてから久しくなりますけれども、教育活動や手続に関することについては様々、権限移譲が進んでいると思うのですが、お金に関することはまだまだ裁量権が拡大されてないのではないかと実感しているところですので、ここの強化を更に進めていけたらいいのではないかと思っているところです。
 そして最後ですが、教師が教育活動に専念できる環境整備のところで、事務職員がその役割を発揮できるよう支援に取り組むこと、それから学校事務組織の体制の強化について明記していただいたところです。私たち事務職員は、先生方が教育活動に専念できるように、そして、私たちも学校教育への貢献度を高めていきたいと、実践交流や資質能力向上のための研究会活動を行っているわけですが、任命権者や自治体による人材育成についてはまだまだ課題があり、育成指標や研修計画が十分整ってない現状があります。是非そういった人材育成のところも教育委員会の方から後押ししていただけるようなことが進みますと、学校のマネジメント力の強化につながるのではないかと思いました。そして、事務組織の組織力強化については、定数改善も必要なのではないかと感じたところです。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。植村委員は先ほど手を挙げていらっしゃったように思うんですが、いかがでしょうか。

【植村委員】  ありがとうございます。全連小の植村でございます。(3)とも関連があると思うんですが、(2)の今の議題の中で、資料2-1でいうと4ページ目、資料2-2でいうと46ページ目のところに、保護者等による過剰な苦情や不当な要求等への対応という項目を入れていただいております。これは(3)の緊急提言の中でも盛り込んでいる項目でありまして、こういったことが(2)でも盛り込んでいただいているというのは大変有り難いと思いますし、大事なことだと思っております。もし、参考に教えていただければということで質問ですけれども、私も具体的にどうすればいいかといつも考えているところなのですが、この部会、委員会の中で何か話題になったことがあれば教えていただければと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。最後にお答えをいただきたいと思います。では、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】  ありがとうございます。この前段が、地方行政、地方教育行政の充実というテーマで、その論点の中には示されていなかったんですけれども、あえて言えば検討事項のその他、関連する事項という扱いで発言させていただきたいと思います。
 この資料2-1の最初の趣旨のところにも明記されているとおり、令和答申で、校長を中心に学校組織のマネジメント力の強化を図られるという体制をどう応援していくのかというところが書いてあるわけですけれども、地方教育行政が任用する校長によりたくさんの権限移譲がなされていて、例えばいろいろなプレーヤーが、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーとかいろいろな人たちが増えていっても、結局それを生かせるのは、行政としてのバックアップも大事ですけれども、結局校長のマネジメント力になってしまうと。
 このマネジメント力というのが、もちろん経験の中で育成されるというところもあるとは思うんですけれども、今のほとんどの自治体が、任期が非常に短いという中で、校長になってからマネジメント力、経営力をつけるというのはなかなか限界があるという中で、どうしたら国として校長や行政リーダーの採用とか研修、異動のシステムに口を出せるかといいますか、応援できるかということも、検討していくことが必要だと思います。
 もちろん教職員だった方々の中で十分、リーダーとして御活躍の方々がたくさんいらっしゃる中で大変恐縮ですけれども、一時期あったような民間人の方も含めた推薦者、校長としてこの人はちゃんと教育行政や学校教育に関する知見と経営力の両方を兼ね備えているだろうということの見立てをした人材リストみたいなものを、例えば国として準備するとか、やる気がある人たちが手を挙げる仕組みを、その都度自治体として募集して受かった、落ちたという形じゃなくて、国としてストックしておくとか、何かそういった支援の仕方を考えることは、実は一番の自治体に対する応援になるんじゃないかと思っています。
 私たちのような組織にすら、誰かいい教育長さんいませんかとか、誰かいい校長になってくれる人いないかなという相談が年々すごく増えてきている中で、若い世代でもいいんだという声も出てきているわけですよね。なので、国としてそういった方々をストックしておくということも検討されるのがいいんじゃないかと思っています。また、校長の在職期間というのは2~3年というのは何もできないので、先ほどの高校改革、今後の高校を良いものにしていく改革においても、任期はもう少し考える必要があると思います。私からは以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。多くの方から大変重要な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。最後、御質問もありました。堀野課長、いかがでしょうか。

【堀野初等中等教育企画課長】  たくさんの御意見、ありがとうございました。一つの観点は首長部局との連携、こども家庭センターですとか健康福祉部局、様々な子供たちに関わる部局との連携というのは、しっかりとこれからも周知をしていきたいと思います。また、この報告書そのものの周知につきましても、昔はなかったんですけれども、前回の法改正以降、都道府県だけではなく市町村の教育長、教育長のみならず教育委員、こういった方々に直接、我々、研修で話をする場、全国何か所かでやっております。こういう場も使いながら、我々から直接市町村にお伝えしたりというのもしっかりやっていきたいと思います。
 それから教育事務所につきましては、いろいろな試行錯誤ありまして、教育事務所を置いて分担をすると担当する校数が一定に限られるというメリットがある一方で、その事務所全てに全ての教科の人をそろえるということは逆に難しい。本庁一括にした場合には全ての教科の人がそろうというメリットもありますけれども、現場までのアクセスという意味では対象が多過ぎると、そういったところがあって、試行錯誤して事務所の再編というのが度々行われておりますけれども、どれがベストかというのはかなり地域によって違うということで、試行錯誤をしていくことが大事かと思っております。
 それから、保護者への対応につきましては、我々の方でも今度概算要求をしておりますけれども、トラブル、苦情が過度であるという場合に、教育委員会の方に、まず誰かコーディネーターになる、受け止める方を置いていただいて、その方が教育委員会に関係する弁護士さんであったりカウンセラーの方であったりソーシャルワーカーであったり、いろいろな方に相談をしながら、解決に向けたアドバイスをするということで、それは保護者から直接、保護者からの意見を直接聞く場合もあるでしょうし、学校側に聞かれてアドバイスをする場合もあるでしょうし、そういった役割をするための、そういったチームを作るための予算というのを今回、概算要求で出しているということでございます。
 それから校長の人材というところで、どこにどういう人材がいるというのは恐らく任命権者である都道府県指定都市の教育委員会が人事をやっているわけなので、その人というのはどんな方かというのは皆さん御存じであろうと思います。それをどう、ある意味任命権者の主観といえば主観であるところなので、それを共有するとか、どうやって紹介していくかということはよく考える必要があるかと思いますけれども、重要な御指摘として、今後考えていきたいと思います。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、最後の議題に移りたいと思います。議題の3といたしまして、質の高い教師の確保特別部会における提言についてでございます。本件につきましては、本年5月に永岡文部科学大臣から諮問のありました、令和の日本型学校教育を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、本分科会の下に設置いたしました、質の高い教師の確保特別部会において議論を行い、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめたものでございます。特別部会の部会長をしていただいております貞広委員からお話をいただいた後、事務局から御説明をいただきたいと思います。それでは貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】  失礼いたします。部会長を務めております貞広と申します。事務局からの御説明に先立って、部会長の私から一言申し上げたいと思います。
 本特別部会においては、先生方を取り巻く環境を少しでも改善するために、まずは現時点でも直ちにできることをまとめた緊急提言を作成いたしました。もろもろ御意見もあろうかと存じますが、この緊急提言は議論の中長期的な議論を見据えた上で、飽くまでも現時点でできること、又は各主体にお願いしたいことをまとめたものです。今後の本格的な議論に先立つものでもあります。今後の議論も含めて、先生方の働きやすさと働きがいを両立させ、教師のウエルビーイングを確保し、高度専門職である先生方により良い教育活動に御尽力いただけることを目指しております。広く周知をお願いできれば幸いです。内容につきましては、事務局より御説明をお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、引き続いて事務局、鈴木企画官から、よろしくお願いいたします。

【鈴木企画官】  ありがとうございます。初等中等教育局企画官の鈴木文孝と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。それでは、私からは資料3-1、教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)について、御説明させていただきます。
 先ほど御説明がございましたように、初中分科会の下に、質の高い教師の確保特別部会を、5月24日の初中分科会において設置をいただきました。部会長には先ほどの貞広先生、それから部会長代理として荒瀬先生に御尽力を賜り、8月28日にこの緊急提言を取りまとめいただきました。
 まず、本提言については特別部会の議論のゴールを見据えて、教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して、という副題をいただいてございます。その上で、黄色の枠囲みの部分が施策を進めていく上での基本的な認識や理念を取りまとめていただいたものです。ここにありますように、学校教育の成否というのは学校の先生方にかかっているという大前提のもと、教師という職業は子供たちの成長を直接感じることができるすばらしい職業であるという、教職の魅力というものをまず冒頭に記載いただいてございます。
 その上で、我が国の学校教育というのは世界的にも高い評価を得ているわけですが、それは高い専門性と使命感を有する学校の先生方の献身的な取組によるものであるということでございます。一方で、子供たちが抱える困難の複雑化・多様化、あるいは学校や先生方に対する期待の高まりなどによって業務が積み上がっており、令和4年度の教員勤務実態調査の結果では、一定程度在校等時間の改善は図られているものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況にあるという状況にございます。
 また、全国的な教師不足の問題というのも非常に憂慮すべき状況であるとした上で、このような状況を改善していくためには、改めて教育に関わる方々の総力を結集していく必要があるということで、具体的には先ほど貞広部会長からもありましたように、それぞれの主体が自分事としてその権限と責任に基づいて取り組んでいく必要があるということで、具体的に国、都道府県、市町村、各学校が主体的に取り組む必要があるということ。それからもう1点は、保護者や地域住民、企業など、社会全体が一丸となって対応していただく必要があるということが極めて重要であるとされています。その上で、国は先頭に立って教師を取り巻く環境整備を充実すること、また各主体の取組を後押しするための強力なメッセージを発信することなどの役割を果たすことが必要であるという御提言をいただいております。
 今般の改革の目指すべき方向性ですけれども、長時間勤務の是正を図ることで教師の健康を守ることはもとより、教師のウェルビーイングを確保しつつ、高度専門職である教師が新しい知識・技能等を学び続け、子供たちに対してより良い教育を行うことができるようにするということでございます。その上で、点線の枠囲みの部分でございますけれども、先ほど貞広部会長からもございましたように、できることを直ちに行うという考え方のもと、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめていただきました。この提言は飽くまで始まりであって、終わりではないということでございます。ですので、今後、制度的な対応が必要な施策を含め、広範多岐にわたる諮問事項については更に議論を深めていただく予定としております。
 次に、下の取組の具体策の部分でございます。大きく三つの柱で整理をいただきました。一つは学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進でございます。(1)は学校・教師が担う業務に係る3分類を徹底するということでございまして、先ほどと同様ですが、国、都道府県、市町村、各学校、それぞれの主体ごとに具体的な対応策の好事例を横展開していただくということが重要であろうということでございます。具体的には、学校・教師が担う業務に係る3分類とそれに基づく14の取組というものがございますけれども、これはその後の資料3-3でお示しをしておりますけれども、この3分類の実効性を向上する必要があるということで、今般新たに国、都道府県、市町村、各学校の主体ごとの対応策の例を取りまとめ、例えば登下校に関する対応について言えば、右側に考えられる対応策の例ということで、それぞれの主体ごとに取り組んでいただく内容を取りまとめていただきました。
 資料戻っていただいて、資料3-1の概要ですけれども、(2)は各学校における授業時数や学校行事の在り方の見直しでございます。全ての学校において授業時数を点検いただきたいと思っており、特に標準授業時数を大幅に上回って、具体的には年間1,086コマ以上の教育課程を編成している学校については、令和6年度以降の教育課程において見直すことを前提に点検をお願いし、指導体制に見合った計画に見直しする必要があるとされてございます。学校行事については、教育上、真に必要とされるものに精選すること、また準備の簡素化・省力化等を進めることが必要であるとされております。
 (3)はICTの活用による校務効率化の推進でございます。もはやICTは必須のツールとなっておりますので、学校は1人1台端末の活用による校務処理の負担軽減や、学校と保護者の間の連絡手段の原則デジタル化などを進める必要がございます。
 次に大きな2点目ですけれども、学校における働き方改革の実効性の向上でございます。(1)地域、保護者、首長部局との連携・協働でございます。学校における働き方改革について、学校運営協議会や、先ほどの議題にもございましたように、総合教育会議で積極的に議題化していただくこと、それから保護者等からの過剰な苦情に対しては、学校だけで対応するのではなく、教育委員会等の行政による支援体制の構築ということを御提言いただいてございます。
 (2)は健康及び福祉の確保に向けてということでございます。令和元年、給特法改正によって勤務時間の上限指針を定めておりますけれども、これの実効性を確保すること。また、メンタルヘルス対策等々の好事例を創出していくことを御提言いただいております。
 (3)は学校における取組状況の見える化に向けた基盤作りということで、教師の勤務時間管理が、都道府県、市町村、学校において異なるシステムが運用されている中、公平な見える化に向け、国において在校等時間の把握方法等を改めて周知徹底する必要について、御提言いただきました。
 最後は三つ目の柱でございます。持続可能な勤務環境整備等の支援の充実ということで、主に予算につながるものでございます。(1)教職員定数の改善、これは学級編制、教職員配置の在り方の全体像については今後、丁寧に議論を深めていただくということでございますが、まずは国において小学校高学年の教科担任制の強化などの教職員定数の改善を図る必要があるという旨の御提言でございます。
 (2)は支援スタッフの配置充実ということで、教員業務支援員については全小中学校への配置をはじめ、副校長・教頭マネジメント支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習指導員、部活動指導員などの配置充実を御提言いただきました。
 (3)は処遇改善でございます。給特法等の法制的な枠組みを含めた具体的な制度設計については、今後議論を深めていくことを前提としておりますけれども、職務の負荷や職責を踏まえ、国において先行して主任手当や管理職手当の額の速やかな改善を図る旨の御提言をいただきました。
 次に(4)でございますが、教師の成り手確保ということで、教育委員会、大学・民間企業との連携・協働による教職の魅力発信、あるいは教員養成課程の見直しや地域枠の設定等々について御提言をいただきました。
 その上で、資料の3-4でございます。先ほどの緊急提言を8月28日にお取りまとめいただきましたが、翌29日に永岡文部科学大臣から「子供たちのための学校の働き方改革、できることを直ちに、一緒に」ということで、大臣メッセージを発出させていただきました。ここにありますように、この改革の目的は働き方の改善により教師が学ぶ時間を確保し、自らの授業を磨くことを通じて、子供たちにより良い教育を存分に行うことができるようにすることであるということで、大きく3点ございます。
 1点目は国が先頭に立って改革を進めていく決意を表明させていただきました。また2点目は、学校・教育委員会はできることを直ちに実行するということ。それから3点目は、保護者・地域住民の皆様に、学校による業務の見直し、役割分担の見直し等に対して御理解と御支援をお願いしたところでございます。
 さらに、この緊急提言を踏まえまして、文部科学省として来年度の概算要求を行わせていただきました。参考資料の4-2の6ページでございます。本年度の概算要求の一丁目一番地である教職員定数の改善でございます。①は教科担任制の強化ということで、これまで4年程度をかけて段階的に進める予定であったものを1年前倒して、来年度概算要求では1,900人の教科担任制を要求しております。それから②が小学校の35人学級の推進でございます。3,171人でございます。その上で、③は特例定員として4,857人の要求をしております。さらに、④は教師の職責等を踏まえた処遇改善ということで、先ほどの主任手当の改善、管理職手当の改善でございます。地方公共団体において条例の整備をしていただく必要があることから、令和7年1月からの3か月分を計上させていただいております。
 次のページが支援スタッフ関係でございますが、緊急提言を踏まえ、教員業務支援員は全小中学校への配置を目指して126億ということで、ほぼ倍増の要求をさせていただいております。また、最も勤務時間が長い副校長、教頭先生への支援、そのためのマネジメント支援員を、新規要求をさせていただいてございます。主な要求事項のみの御紹介となりますけれども、こういった形で緊急提言を踏まえ、学校現場で先生方が生き生きと子供たちに指導に当たっていただくために、概算要求をさせていただいたところでございます。私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして、御質問、御意見を頂戴したいと思います。では、まず石崎委員、お願いいたします。

【石崎委員】  よろしくお願いします。ようやく私の出ていない会議についてお話しさせていただく機会をいただき、ありがとうございます。時間もないので二つお話しさせていただきたいんですけれども、一つはこの議論が小中学校中心のような感じで進んでいるように受け止められるんですけれども、高校も含めて教師を取り巻く環境整備については議論していただきたいということでございます。もちろん教員、教職員定数に関する国の関わりというのが義務教育と高校とで違うという部分もあるとは思うんですけれども、当然のことながら働き方等については共通する課題もございますし、むしろ、1個目の議題でもございましたように、高校では多様化への対応とか様々固有の地域的な課題も含めて、いろいろな課題があるかと思います。
 一方で高等学校というのは、設置者によって教員の数は何とでもなりますよというように文科省の方がおっしゃられる場合もあるんですけれども、逆にそうしたことが設置者によって教育の差を、例えば地方と東京の教育格差ですとか、そういったものを生みかねないというようなこともあるかと思うんです。ですから、そうした教育格差が高等学校で、設置者によったり地域によったりして生じないように、高校の部分についても国が先頭に立ってこうした環境整備の議論を進めていただきたいということが第1点でございます。
 それから第2点ですけれども、これも今の話に共通するんですけれども、在り方ワーキングの中間まとめのときにもメッセージ性の話をしたんですけれども、この提言のメッセージ性ということを考えたときに、授業時数を大幅に上回っているところは授業を減らしてとか、学校行事を精選しても働き方改革を進めるというのが、細かい内容を聞いていれば、義務教育で標準時数を上回って余分に配慮している部分を減らすんですよといったことは、私たち教育に携わる者は分かるんですけれども、ただメッセージ性という意味で言うと、授業を減らしたり学校行事を減らすことで教員の働き方を改革を進めるという誤ったメッセージにとられないように考えてほしいということがございます。
 それから話はそれるんですけれども、昨日私、近所の中学校の学校運営協議会のような会議に参加させていただいたんですけれども、そのときに御近所にお住まいの方々がこういう発言をされていたんですよ。最近学校は、働き方改革って言って会議を先生方の勤務時間の中で収めようと昼間に開催されるんですけれども、私たちは仕事を休んでこなきゃいけないんで何とかなりませんかという、そういうお話をされている方が何人かいらっしゃったんです。学校も確かに働き方改革を進めなきゃいけないのは確かですけれども、こういったメッセージを出すときに、教員だけでなく働いている方はみんな大変なんだというところへ寄り添うような、そういうメッセージにしないと、なかなか理解が得られないんだなというようなことを実感いたしました。
 ですから、小中学校と高校も含めて議論していただきたいということと、この提言のメッセージ性ということについて、今後議論を進める中で御配慮いただければ有り難いと思います。時間がないので以上にさせていただきます。

【荒瀬分科会長】  宮原委員、お願いいたします。

【宮原委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。私から2点ですけれども、メインで、この副校長・教頭マネジメント支援員の配置ということについてコメントさせていただきます。この支援員の配置につきましては、短期的な施策としては、特に経験の浅い副校長先生あるいは教頭先生の業務の効率化を図るという意味では非常に良い施策だと思います。
 東京都でも一部、実施をしまして、一定の効果が見られたということで、大変いい施策を御提案いただいたと思いますが、一方で中長期的に見ますと、人が増えますと、これは民間企業でも同じですけれども、仕事を作ってしまうということがあって、なかなか根本的に業務が見直されないという懸念もございますので、中長期的にはしっかりと業務の内容を見直す、それによってどこを本当に効率的に見直すべきなのか、どこに集中するべきなのかということについては、継続して議論を重ねていかないと、人を増やしたけれどもそこまで業務が効率化されないということになりかねないということになりますので、そこについては今後、中長期的にもしっかりとフォローアップをしていかないといけないところではないかということで、一つ目のコメントとさせていただきます。
 二つ目は、こういった支援も含めまして、今学校には、教職員だけではなくて様々なスクールカウンセラーですとかソーシャルワーカーですとか、あるいは今おっしゃられたような学校運営協議会のような方々が関わって、一緒に運営していくという体制にはなっておりますが、教職員の先生方のケースを時々伺いますと、どうしても一人で抱えてしまうという先生方がまだ多いかと思いますので、チームワークで様々な学校の問題、あるいは生徒・児童の問題を解決していくという考え方、意識変革というのも併せて必要ではないかと思っております。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。この後の御発言ですが、市川委員、渡辺委員、吉田晋委員、今村委員、齊藤委員、阿部委員、柿沼委員、堀田副分科会長の順でお願いをしたいと思います。では、市川委員、お願いいたします。

【市川委員】   全国特別支援学校長会の市川でございます。よろしくお願いいたします。働き方改革のことでございます。1番の(2)の各学校における授業時数、学校行事の在り方の見直しですが、このことについて自主的・主体的に我々、校長としてやっていかなくてはいけないのですが、我々、校長が例えば学校行事を精選していこうと思ったときに、一番気になるところはどこかというと、保護者の理解です。
 例えば宿泊行事を少し減らしたいと、それを変えて授業の充実にしたいと思ったときに、これは言葉は悪いかもしれませんが、サービスという言葉を使っていいかどうか分からないですけれどもサービスという言葉が分かりやすいので言いますが、何となくサービスの質・量が下がったと思われる保護者の方がいらっしゃる。2泊泊まっていたのが1泊になると、2泊泊まっていたのに1泊しか泊まらないんだみたいなことをお考えになる保護者の方も中にはおられます。
 ですから、是非こういう各校行事の精選というのは、まず私は保護者の方の理解を進めていただくために、今度文部科学省の大臣のメッセージも出ましたが、主体的に学校がやることも大切ですが、設置者である教育委員会が方針を持ってしっかり精選するようにとか、もしくは授業時数も大幅に上回っているところは見直すようにという指示をいただいたほうが、学校長としては改革を進めやすいというのが私の本音です。
 2点目が、先ほどもう一つの資料で学校教師が担う業務に関わる3分類ということでありましたが、今の学校現場で実際にこれがどうなっているのか、少しざっくばらんなところで、例えば校長からヒアリングをして、本当にこれがどうなっているのみたいなことをまとめていただくような機会も必要なんじゃないかと思っています。というのはなかなか実際の学校ではこういう分類の中で、例えば1番の学校以外が担う業務の中の登下校に関する対応というのは、特別支援学校の場合には非常に学校が担っている部分がありますので、そこら辺もヒアリングをしていただいてもいいのかと思っています。
 3番目は、これはもう本当に感想的な話になりますが、確かに質の高い教育集団をこれから実現していくことというのは重要なことであると思っていますが、個人的にはこのまま採用の倍率が上がるんだろうか。希望者が非常に少ない中で教員を目指してくれると言ってくれる方たちを育てる、またはそういう方たちでできる内容を考えていくような、教員の資質に頼らないシステムを考えないと、学校は将来的にどうなってしまうのかと思うのが、私の個人的感想です。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、吉田晋委員、お願いいたします。

【吉田(晋)委員】  ありがとうございます。今回のこの答申というか中間まとめ等は、まず第1項の中間まとめについては、全国の高校、私立の学校、全部を含めた問題になります。ですから、これについてはいろいろな意見もあると思いますけれども、例えば今日のお話の中で2番目の、令和の日本型の教育行政の件というのは飽くまでも教育委員会の話になってしまいます。ただ、出てくる問題内容というのは、私立学校においても国立学校においても起こり得る問題ですので、どう対応していくかという部分があると思います。
 3番目の教師を取り巻く環境整備についても、もうこの支援員の問題とかそういったことは私立学校も国立学校もみんな必要なことであって、実は私ども今回概算要求の中で、私立学校の支援員の分は増やしていただいたといっても1億円なんです。それはなぜかというと、いろいろな部分で初中局の予算の部分もありますけれども、私ども私立学校は高等教育局の私学部が担当していて、そしてその私学部はこういった部会等に出てきていませんので、高校以下の現場の具体の話というのはあまり知りません。ですから、文科省内部での調整の中での予算の獲得というような形になってしまっているので、やらなければいけないことはどこも同じだと思いますし、そういう意味での何かもう少し高等教育局私学部との連携というか、部分で、彼らにも傍聴していただくということも大事なのかもしれませんけれども、子供を中心に、子供をどう育てていくかというときに協力していただければと思うので、あえて言わせていただきました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。渡辺委員、順番を間違えてしまいました。どうぞよろしくお願いします。

【渡辺委員】   日本医師会の渡辺でございます。働き方改革に関しましての御提言でございますが、業務の3分類の徹底、それから支援スタッフを増やしていくということは、教師の業務の負担を少なくするという意味で、大変良いと思います。ただ、ワークシェアをする場合に、責任の所在を明確にする必要があると考えています。チーム学校という考え方も必要だと思いますけれども、誰がイニシアチブをとって誰が責任を所管するかということを、現場に任せておくのではなくて、ある程度の方針を明記しておく必要があるのではないかと思います。
 現場は人間関係が近いと、何となくファジーになってしまい、責任を押しつけ合うわけではないですけれども、最終的に教師が責任を負うようであれば心理的負担は軽減しないのではないかと思います。何らかの形で、運用規程でもよろしいので、ワークシェアした場合にどういう形で責任を分担するかということを明記していただく方がよろしいのではないかと考えます。また、勤務時間を減らすことは非常に重要であるとは思うんですけれども、できれば単純に減らすだけではなく、心的な負担、精神疾患による休職を減らすという点では、柔軟な勤務体制の構築とともに、医師に対する相談体制ということで、学校の規模に関わらず産業医の配置というのを引き続き、積極的に進めていただきたいと思います。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】   発言させていただきます。働き方改革の御提言で、貞広先生からもまずは緊急的にできることをというところでおまとめになったということで、社会的な関心が大変強い中でお疲れさまでございました。その中で、私からは先ほど八並先生からもお話があったとおり、生徒の自死という最悪の結末に至る人たちがまだまだたくさん、少なくない状況だということ、また、不登校の子供たちが大変増えていることを鑑みたときに、取組事例3のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのところが最も重要で、それは教員の方々の働き方に最も影響する重要な部分だと思っています。
 そんな中で参考資料4-2の概算要求を見ると、確かにその重点配置校の充実ということで、スクールカウンセラーが600校分ほど増えたりとか、スクールソーシャルワーカーが1,000校分増えたと書いてあるんですけれども、でも圧倒的多数は週4時間の勤務のスクールカウンセラーと、週3時間のスクールソーシャルワーカーの配置のままというふうになっているように見えます。35ページになります。概算要求の方です。
 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの方々は、大体の方々は皆さん一人ポジションで配置されているので、本当に数時間しか学校に滞在できないと先生方との人間関係も作れないし、生徒の予防的な目線で生徒たちのことを観察する時間も取れないし、また、御自身がなさっている仕事について俯瞰してリフレクションする時間もなかなか取れないし、また、そこに対してアドバイスをしていただく上司もいないという状況になってしまうので、なかなか本当に求められている仕事に成果を出せる体制になっているかというと、非常に懐疑的な状況のまま配置されているということを自己認識されているスクールカウンセラーの方々も大変多いことも問題だと思っています。
 なので、今回はまず緊急的にできることということで、数校分増やしたというのは、すばらしいことだと思うんですけれども、ここの議論ではないかもしれませんが、ここを重点的に充実させていかなきゃいけないからこそ、どうすれば充実した配置、成果が出る配置になっているかというところも、今後別の場できちんと検証していくということが必要かと思います。本当、数時間しかいないということは、本当に何もせずその時間いたみたいな仕事しかできなくて、いやになってしまって、病院のカウンセラーの方がフルタイムで働けるからいいわって形で転職するということも少なくないということもよく聞くことですので、いい人材をスクールカウンセラーとして迎えていく意味ではとても重要だと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、齊藤委員、お願いいたします。

【齊藤委員】  齊藤でございます。よろしくお願いします。今、提言の方の話題になりましたけれども、この提言のうち、中段から記載されている取組の具体策の「1.(1)」の具現につきましては、本日の資料「3-3」に取組の具体例として様々なお示しをいただいています。それらを現場では実践しておりますが、昨年度実施の勤務実態調査の速報値にもあるように勤務時間の短縮時間が思うほど延びていない結果となりました。そのことを改善させることにつきましては、文部科学省や地区の教育委員会等から示された取組に加えて、教員自身から考えている取組の方策を吸い上げて進めていくということによって、在勤・在校時間の短縮に併せて、一人一人の教員の働きがいが創出される効果も生じるということを考えていく必要があると考えます。
 また、標準授業時数についてですが、1,015時間が中学校の場合には標準時数でありますけれども、これにこだわることで、教科ごとの時数が確実に確保されるというところが同様に重要であることを踏まえなければならないということを付け加えさせていただきたいと考えます。これは学校のマネジメントの問題になりますが、確実に留意をしていくということです。そして、3分類につきましては、本日の配布資料3-3に具体的な取組を文部科学省からもお示しをいただいています。これについては実践すると同時に、先ほども申し上げたとおり、教員からの主体的な取組を実現させることを、校長は取り組まなければいけないと考えます。そして、働き方改革の実効性の向上につきましては、教育委員会あるいは学校だけで行うことはとても難しいのが現実であり、各自治体の首長部局が先頭に立ち、すべての関係部局を巻き込んでこれを進めていかなければならないといった首長部局のリーダーシップにたいへん期待をしているところがあります。
 そして、質の高い教師の確保特別部会から手交された提言につきましては、先ほどもお話がありましたが、学校とか、教師だけがこのように様々な改善について取り組んでもらっていて、教師だけが優遇されているといった世論形成につながることがないように、文部科学省をはじめ、各教育行政機関にはお願いしたいと考えます。全日本中学校長会としまして、今述べたことを各校長に伝え、そして学校現場での実践に活かされるよう周知等に取り組んでいかなければならないことを、この提言の内容を受けて、今後進めていかなければならないと考えております。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、阿部委員、お願いいたします。

【阿部委員】  よろしくお願いいたします。私からは副校長・教頭マネジメント支援についてお話しさせていただきたいと思います。提言では副校長・教頭の学校マネジメントに係る業務を専門的に支援するための人材配置ということで示されておりますけれども、とても在校時間の長い副校長先生、教頭先生方にはとても重要なことだと思っております。ただ、マネジメントに関わる業務を専門的に支援するということですので、誰にでもできるというものではないと考えるところですけれども、教員不足の中で、臨任教員を退職した先生方、管理職の先生方も含めてですけれども、そういったところにもお願いしているケースが多い中で、なかなか人材を集めるというのに苦労がいるのではないかと感じております。
 概算要求の資料によりますと、副校長・教頭マネジメント支援員の仕事の内容としましては、教職員の勤務管理事務の支援や施設管理、それから保護者や外部との連絡調整、学校徴収金の会計管理などが挙げられておりますけれども、これらの仕事は学校事務職員の仕事でもあります。文部科学省から令和2年7月に通知で出されている事務職員の標準的な職務内容の通知の中にも、これらの仕事は事務職員の業務として入っております。自治体によっては事務の共同実施や共同学校事務室を活用して副校長、教頭の業務を事務職員に移行させている取組もありますし、実際に私も学校事務職員として、学校の中で、副校長や先生方との分担の中で行っている業務もあります。同じように全国にもたくさんの事務職員がおります。そういった中で、ぜひ事務職員の活用も図っていただきたいと思うところです。すぐに取り組めるものをということでしたので、すぐそばにいる事務職員を活用していただければと思うところです。
 また、業務を事務職員に移行することに関しては、校務分掌を決める段階において、管理職の先生方への理解も進めていただきたいと思いますし、副校長先生、教頭先生から各学校への事務職員への働きかけというのも進めていただければと思っているところです。先ほどの(2)の方の議論の中でも、令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた報告書の中でも、事務職員の様々な活用のことが掲載されております。学校事務職員も副校長先生、教頭先生方と一緒にチーム学校として学校教育に貢献してまいりたいと思いますので、こちらについても再度御検討のほど、よろしくお願いしたいと思っているところです。
 あわせて1点、更に具体的過ぎる話かもしれないですけれども、校務支援システムが学校に普及されておりますが、教育系の方の充実は図られているわけですけれども、行政といいますか、校務系の方のシステムが十分ではないと感じているところです。徴収金管理も今後一層、事務職員が担っていく必要があると考えているところですが、そういったところがまだまだ未整備であったり、副校長先生や教頭先生方が担っているような服務関係の業務についてもアナログなところがまだまだ、本当に多いと感じておりますので、そういったところが自治体で進むような施策も一緒に考えていくことが必要ではないかと感じたところです。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。あと、柿沼委員、石川委員、大関委員、堀田分科会長代理に御発言いただいて、最後、鈴木企画官に御意見を受けてコメントを一言でも二言でも、いただきたいと思っております。大変申し訳ありませんが、時間が延びると思いますので、御容赦いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。では、柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】  柿沼です。ありがとうございます。今回の議論が、義務教育以降の学校教育を中心としたものと理解した上で、幼児教育の立場から1点ほど述べさせていただきます。先ほどの地方教育行政の報告の際にも感じていましたが、学校教育の範囲が就学前教育から規定されているにも関わらず、議論のテーブルの外にあると感じることが多くあります。また、地方の教育委員会等でも同様で、所管部局であるにも関わらず全くつながりのないケースも多くあるように感じています。子供の育ちは義務教育課程で始まるものではありませんし、教育を取り巻く社会状況や多様な課題も同様です。むしろ就学前に対応することで義務教育以降の学校生活や家庭生活に良い影響が出ることも多々あると考えています。
 こども家庭庁でも、こどもまんなか社会の実現を目指しているように、子供に焦点を当てていくと、教育は生まれてから連続して義務教育につながっていくと考えられるものなので、是非学校教育が教師を取り巻く環境整備を考えていく上で、幼児教育に携わる幼稚園教諭や保育教諭のことも意識した形になってくればいいと考えています。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、石川委員、お願いいたします。

【石川委員】  石川です。お願いいたします。私は公認心理師、臨床心理士という立場から発言させていただきます。2点です。先ほどからも出ていることと少し重なるんですけれども、副校長・教頭マネジメント支援員について、大変いい試みというか、取組だと思うんですけれども、私も何度かいろいろ学校などを回らせていただくと、こういう支援員の方とかを最終的には学校独自に非常に探さなければいけないという現実があって、特別支援などもそうですけれども、人材確保とそれから適正な方を探し出すというのはすごく、かなり個別的な努力に任されるところが多いんですよね。
 そうなりますと本当になかなか、学校によって差が出てくると思いますので、こういう方たちの人材確保とか養成とか研修とか、その辺のシステムも自治体で考えながら、国の方でも指導しながらやるという形を作らないとなかなか、先ほども中長期的に続くのかという話もありましたけれども、いい形で継続していくのも難しいんじゃないかなと思うことがございます。ですので、その辺の養成・研修あたりと、システムのところも、そういう何か組織を作って、必ずそこに人材がいるような、マッチングができるような、そういう仕組みを各自治体で作る必要があるかと思います。
 あと、もう1点ですが、先ほど御発言もいただきましたスクールカウンセラーのことですが、自治体によって、自治体への事業補助ですので、本当に財政によって差が出るわけですよね。大きな枠組みもお示しいただいたんですけれども、なかなか本当に週4時間ぐらいですと言って情報を共有するだけで、本当の意味での行動連携というところまでいかないんです。今問題なのは、子供たちの問題を共有するだけで明確な行動連携、役割分担にいかないという、この辺りが問題です。ですから、生徒指導提要でも発達支持的というところも非常に話題になっておりますし、是非、今回の予算で週2回8時間で2,000校というのが出て大変有り難く思いますけれども、この辺りのところを是非進めて、拠点校には必ず週2回置いて回りの学校をカバーできるような、そういうような事業になるように、補助のほう、よろしくお願いしたいと思っております。以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、大関委員、お願いいたします。

【大関委員】  よろしくお願いいたします。特別支援教育に関する観点から、1点だけ付け加えさせてください。3の(1)教員、職員定数の改善のところ、提言としてはまずできることとして教科担任制をうたっていただいておりますが、学校現場の立場、率直に感じているのは特別な支援、あるいは配慮を要する、これは障害だけではなくて外国籍であったりルーツがあったりあるいは貧困であったり、様々な形で個別の対応を配慮するケースがとても多くあり、学級担任はとてもその対応に時間をとられます。
 これはもう教員でなければできない部分が非常に多くて、保護者やスタッフ、外部機関等との連携を進めるために特別支援教育コーディネーターがおりますが、専任ではありません。通常の学級、あるいは特別支援学級の担任をしながら特別支援教育コーディネーターを兼ねていますので、実際に子供の対応が終わった後に会議等があり、そのあとどの時間でそういった部分を進めていくのかというのは、非常に各小学校であろうと中学校であろうとあるいは高等学校であろうと、同じように課題なところです。また、今後、教員定数の改善などを具体的に更に進めていく際には、通級を利用する児童生徒が直近10年で2.5倍に増えている背景なども考えた上で、そこへの対応も議論に乗せて、文言にも加えていっていただけると有り難いと思いました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、堀田分科会長代理、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  堀田でございます。緊急的に取り組むべきところをまず先駆けてこうやってまとめていただいて、社会に向けて発信していただいたこと、本当にお疲れさまでございました。大変重要なことがいろいろ書かれているわけですけれども、その中で1の(3)にICTのことが書いてあります。そこについて、資料3-2の5ページをもとに、一言申し上げたいと思います。この5ページの中段に(3)としてICTの活用による校務効率化の推進と書かれております。このことは校務DXという言い回しで、私、3月までに提言をまとめる有識者会議の座長をやっておりましたが、そのこととうまく呼応して書かれていて、大変有り難いことだと思います。
 一つ目の丸の後段に、端末を活用するのは大事だということを受けて、ペーパーレス化とか民間向けのクラウドツールの転用による負担軽減とか、スケジュール管理のオンライン化とか学校と保護者間の連絡手段を原則としてデジタル化するとか、こういうようなことが書かれてございます。これは大変望ましいことです。私たちはついICTの活用というと目の前にある端末の利用のことをイメージしちゃうんですけれども、その端末からどういうツールにつながっていてクラウドでそれがどういうふうにデータがやり取りされているかということこそが極めて重要でございます。ペーパーレス化は単にスキャンでもすればできるわけですけれども、もっとクラウドツールをどううまく使うかというのを考える必要があります。しかし、実はこれは学校の努力でだけではどうしようもなくて、各自治体ごとに過剰なセキュリティーをかけていたり、利用したことがないので危険ではないかと考えてしまい禁止していたりするような、そういうことがございます。
 クラウドのツールを使うというのは民間企業では当たり前のことですし、ビジネスではビジネスチャットで情報の共有をするというのは極めて一般的です。しかし、学校ではまだそういうデジタル化まで全然いっていない。その理由は、クラウドツールをあまり業務に取り入れてこなかったという、過剰な利用制限の問題がございます。これは教育委員会だけでなく、役所のセキュリティー関係の部局とか首長部局、あるいは情報政策課とか、そういうところと教育委員会が強く連携していただいて、本格的に検討していただく必要があります。
 校務のデータの中には当然成績等の機微情報もございますが、そういうこととは別にスケジュールの管理とか保護者とのやり取りの記録の蓄積とか、例えば欠席連絡とか、こういうようなことはむしろうまくデジタル化した方が保護者に対しても非常に御理解が得られる、先生たちが持ち場を離れていろいろな本務に専念できるという観点で働き方改革にも繋がるため重要かと思います。この点、教育委員会等が情報資産の格付けを再確認いただき、積極的にクラウド活用ができるように責任を持ってやっていただかないと、現場は相変わらず大変なままということになります。このことを付言しておきたいと思って発言いたしました。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは、今いろいろと御意見が出ましたが、鈴木企画官、時間の関係がありますので、ごくごく簡単ではありますが、御発言をお願いします。

【鈴木企画官】  ありがとうございました。委員の皆様方から非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。高校も含めて議論をするべきという、石崎先生からの御意見、あるいはメッセージ性として保護者の理解を得ていくことが非常に重要ではないかといったこと等々も、冒頭にも貞広先生からありましたようにこの緊急提言で全く終わりではない、これからいよいよ本格的な議論が始まりますので、そういったことも意識しながら進めて、今後の御議論を特別部会の方で賜りたいと思っております。
 また、フォローアップ等についても、今日は緊急提言の中で御紹介をしませんでしたけれども、きちんとフォローアップをしていくことが重要であろうということも御提言をいただいてございます。また、私学部との連携という御指摘も頂戴いたしましたので、今後、我々としてもそこはしっかりと対応してまいりたいと思っております。それから、スクールカウンセラーについても、御提言の中で配置を拡充すべきということで今村委員、それから石川委員から御指摘をいただいています。概算要求、御紹介できませんでしたけれども、重点配置校の拡充ということで増要求させていただいておりますので、こちらについてもしっかり対応してまいりたいと思っております。
 また、今後、教職員定数全体の在り方についても特別部会の中で御議論いただきますので、特別支援関係の定数についての在り方というのも、その中で議論をいただこうと思ってございます。校務のデジタル化等々、それからチーム学校という観点、事務職員の方々にも積極的に校務運営に参画いただくため、正に学校教育法の中で事務をつかさどると法改正しておりますので、そういったことも重要であると思ってございます。
 雑駁ではございますけれども、大変有意義な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。また、今回緊急提言、諮問してから非常に短期間で特別部会の方でお取りまとめいただきましたけれども、委員の先生方におかれましては、本当に短期間でのお取りまとめ、ありがとうございました。私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。幼児教育から高等学校教育、もちろん特別支援教育も含めて、非常に幅広い範囲での教師の在り方について、それは学校教育そのものでありますし、子供たちへどういった豊かな学びを提供するかということにつながるわけでありますけれども、今後もまた貞広部会長、どうぞ御議論を進めていただくことをよろしくお願いをいたします。そういたしましたら、少し延びてしまいました。本日はこの辺りにしたいと思います。
 最後に次回の予定につきまして、小畑教育制度改革室長、お願いいたします。

【小畑教育制度改革室長】  事務局でございます。私、9月1日付で初等中等教育企画課教育制度改革室長を拝命いたしました小畑と申します。本日は、遅れての出席となりまして、失礼をいたしました。
 次回の日程でございますけれども、改めて、追って事務局から御連絡をさせていただきたいと思います。事務局からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。実は、ほんの少し遅れられただけで、矢野初等中等教育局長も来ていただいているんですけれども、時間の関係で御挨拶はまたの機会ということにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日、これで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

■会議終了後事務局に頂戴したご意見
【宮原委員】
 一部の議題について、遅ればせながら、コメントさせていただきます。
 (2)「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力 者会議報告書について
 〇途中から委員の皆様のご意見を伺っておりましたので、もしかしたら、その前にご意見があったかもしれませんが、念のため、コメントいたします。
 教育委員会や教育長・事務局についての課題については、網羅的に報告されていると思います。
特に事務局については、教育委員会への議題や意見の取りまとめなど、効率的、かつ効果的に運営・施策を推進するためには、重要な役割を担っていると思います。
 今後、教育DXを見据え、校務や児童・生徒の学校の活動がデジタル化によって、データとして蓄積されていく未来を考えると、事務局には特にデータサイエンティストの参画が欠かせないと思っております。すぐに全ての教育庁でデータサイエンティストを雇用できないことも踏まえ、国は、教育データサイエンティストを育成し、オンラインなどで各教育委員会事務局の分析担当者や施策運営者に、個別にアドバイスできるなどの体制を通じて、全体としてデータに基づく施策の策定のためのスキルの底上げを図っていくべきと思います。
 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)