初等中等教育分科会(第141回)議事録

1.日時

令和5年5月24日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について
  2. 通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告について
  3. 「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」について
  4. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん、こんにちは。
 定刻を少し回りました。
 ただいまから第141回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中御出席いただきまして、ありがとうございます。
 先日、4月4日に正委員の皆様に御出席いただいて開催いたしました、第140回初等中等教育分科会において、分科会長の選任、分科会長代理の指名、部会の設置や運営規則の決定等を行いました。改めまして、私が分科会長に選任されました、荒瀬でございます。よろしくお願いいたします。また、分科会長代理といたしましては、奈須委員と堀田委員に御就任いただいております。
 本日は、新たに任命された方々も含めた初めての会議となります。まず、事務局から委員の皆様を御紹介いただきたく思います。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。
 まず、初めに本分科会に御就任いただきました、委員の先生方を御紹介させていただければと思います。お名前を順次お呼びさせていただきますので、適宜ミュートを解除いただきまして、簡単に御挨拶をいただければ幸いでございます。なお、本日の資料1として、委員名簿をお配りさせていただいておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 それでは、委員名簿に従いまして、順次御紹介させていただきます。
 荒瀬克己委員でいらっしゃいます。

【荒瀬分科会長】  荒瀬でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  石崎規生委員でいらっしゃいます。

【石崎委員】  石崎でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  今村久美委員でいらっしゃいます。

【今村委員】  今村です。よろしくお願いします。

【前田教育制度改革室長】  大字弘一郎委員でございます。

【大字委員】  大字でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  金田淳委員でいらっしゃいます。

【金田委員】  金田でございます。よろしくお願いします。

【前田教育制度改革室長】  貞広斎子委員でいらっしゃいます。

【貞広委員】  貞広でございます。

【前田教育制度改革室長】  奈須正裕委員でいらっしゃいます。

【奈須分科会長代理】  奈須でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  浜佳葉子委員いらっしゃいます。

【浜委員】  浜です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  堀田龍也委員でいらっしゃいます。

【堀田分科会長代理】  堀田でございます。お世話になります。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  吉田晋委員でいらっしゃいます。

【吉田(晋)委員】  吉田でございます。よろしくお願いします。

【前田教育制度改革室長】  渡辺弘司委員でいらっしゃいます。

【渡辺委員】  渡辺です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  阿部貴子委員でいらっしゃいます。

【阿部委員】  阿部でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  石川悦子委員でいらっしゃいます。

【石川委員】  石川です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  岡本潤子委員でいらっしゃいます。

【岡本委員】  岡本でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  柿沼平太郎委員でいらっしゃいます。

【柿沼委員】  柿沼です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  喜多好一委員でいらっしゃいます。

【喜多委員】  喜多です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  白井智子委員でいらっしゃいます。

【白井委員】  白井智子です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  中谷一志委員でいらっしゃいます。

【中谷委員】  中谷でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  藤田大輔委員でいらっしゃいます。

【藤田委員】  藤田です。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  宮原京子委員でいらっしゃいます。

【宮原委員】  宮原でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  森田真樹委員でいらっしゃいます。

【森田委員】  森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  吉田信解委員でいらっしゃいます。

【吉田(信)委員】  吉田でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  なお、秋田喜代美委員、澤田真由美委員は本日、途中から御出席されるとのことでございます。また、本日御欠席でございますけれども、市川裕二委員、戸ヶ﨑勤委員、神野元基委員、平井邦明委員、村岡嗣政委員、佐川秀紀委員、八並光俊委員が本分科会の委員に就任されているところでございます。
 続きまして、本日出席しております事務局の紹介をさせていただきます。
 初等中等教育局長の藤原でございます。
 文部科学戦略官の水田でございます。
 その他につきましては、事前にお送りしております出席者一覧をもって紹介に代えさせていただきます。
 それでは、事務局を代表いたしまして、初等中等教育局長の藤原より一言御挨拶させていただきます。

【藤原初等中等教育局長】  初中局長の藤原でございます。
 このたびは御多忙のところ、初中分科会の委員をお引受けいただき、誠にありがとうございます。
 本分科会は、幼稚園から高等学校に至るまでの、初等中等教育分野の重要事項について御審議いただく場でございます。前期の初中分科会では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実の実現に向けた具体的な方策をはじめとする、初等中等教育の在り方について、様々な御議論をいただきました。
 今期はGIGAスクール構想を支えるデジタル学習基盤の整備充実や、本日の議題にもございます、質の高い教師の確保のための環境整備等の課題について、御議論をいただきたいと考えております。また、現在、教育課程等の在り方について御議論いただいております。有識者会議とも適切に連携を行いながら、議論を深めていただきたいと考えております。
 先ほど御紹介したとおり、本分科会には各学校段階の校長先生方や教育関係の研究者の皆様方、また、そのほか知事や教育長、民間団体の代表の方々など、多様なお立場の方に御参画をいただいております。委員の皆様方におかれましては、第11期の議論をしっかり引き継いでいただきながら、それぞれの御専門や御知見を生かし、実効性のある取組について、御議論を行っていただければと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【荒瀬分科会長】  藤原局長、ありがとうございました。
 続いて、本日の会議開催方式及び資料につきまして、御説明をよろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  続きまして、本日の会議開催方式、資料につきまして御説明させていただきます。
 本日はウェブ会議と対面を組み合わせましたハイブリッド形式で開催をさせていただいております。会議を円滑に行います観点から大変恐れ入りますが、委員の先生方におかれましては、御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、カメラにつきましては、発言時以外も含めまして、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあろうかと思いますけども、何卒御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料でございますけども、議事次第にございますとおり、資料1から資料4-2まで、加えて参考資料1から参考資料6までとなっております。参考資料1につきましては、先日開催されました、G7教育大臣会合で採択された教育大臣、富山・金沢宣言の概要でございます。また、参考資料2は、令和4年度障害児・者のスポーツライフ調査の結果でございますけども、冒頭、参考資料1、G7の教育大臣会合について、簡単に御紹介させていただければと思います。
 今、画面共有させていただきますけれども、5月の12日から15日に富山、それから金沢におきまして、G7の教育大臣会合が開催され、G7各国、それからEU、ユネスコ、OECDが参加して開催されました。
 次のページでございますけども、テーマ別に4セッションが行われておりまして、各大臣会合セッション、丸1から丸4がございますけども、このセッションを経て、富山・金沢宣言が取りまとめられたということでございまして、具体的には三枚目でございますけども、まず、基本的な考え方として幾つかございますけども、四つ目のポツにございますように、生成AIを含めた近年のデジタル技術の急速な発達が教育に与える正負の影響を認識するという内容でございますとか、2のG7が目指して取り組む方向性の丸1、コロナ禍を経た学校の役割の発揮とICT環境整備としまして、学校は多様で、包摂な社会の基盤形成であることでございますとか、対面による教育を補完するものとしてのICT環境の整備。
 また、丸2の全ての子供たちの可能性を引き出す教育の実現でございますけども、本日の議題1にも関連します、二つ目のポツでございますけども、少人数学級の推進や教師が担う業務の適正化、処遇を含む働きやすい労働条件の整備などを推進する、これを通じて魅力ある優れた教師の確保、資質能力の向上や学校の指導運営体制の整備を行うといった内容でございますとか、また、本日の議題2にも関連いたしますけども、その下のポツでございますが、特別支援教育において、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り、共に協働的に学ぶための環境整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を同時に進めるといったようなことが共同宣言にも盛り込まれておりますので、冒頭簡単でございますけども、御紹介させていただきました。
 それでは、進めてさせていただきますけども、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきいただければと思います。
 事務局からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題に入ります。議題の1でありますが、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策についてでございます。本件につきましては、一昨日、22日、月曜日に開催されました、中央教育審議会総会において、文部科学大臣から、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、として諮問が行われました。この諮問の内容や、初等中等教育分科会における審議体制等につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 村尾財務課長、よろしくお願いいたします。

【村尾財務課長】  財務課長の村尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、現状や諮問に至った経緯を最初に御説明をいたしまして、その上で、諮問文の内容について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料の2-3、3ページを御覧いただきたいと思います。学校における働き方改革に関する、これまでの経緯についてまとめたものでございます。
 平成29年に、前回の教員勤務実態調査の速報値を公表しまして、教師の厳しい勤務実態が明らかになったことを踏まえて、中央教育審議会において、学校における働き方改革について御議論をいただいたところでございます。そして、平成31年1月にいただいた答申を踏まえまして、令和元年12月に給特法を改正いたしまして、教師の勤務時間の上限に関する指針を策定するとともに、国、教育委員会、学校、これがそれぞれの立場で働き方改革を進めてきたところです。
 具体的には、国においては、小学校における35人学級の計画的な整備ですとか、高学年教科担任制の推進など教職員定数の改善、そして、教員業務支援員をはじめとする支援スタッフの充実、校務のデジタル化等の学校DXの推進など、様々な取組を総合的、かつ集中的に進めるということとともに、各教育委員会、学校においては、勤務時間の客観的把握の徹底や業務の見直し・削減などの取組を進めていただいているものでございます。
 そして、令和元年の給特法の改正時に、三年後に教員勤務実態調査を行うべきであると、そういった附帯決議が国会でもなされたということを受けまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況などを把握するために、令和4年度に勤務実態調査を実施いたしました。そして、この速報値について先月、公表をしたところでございます。
 続きまして、資料2-4、令和4年度、教員勤務実態調査、速報値の概要についてでございます。こちらが概要ですけれども、教員勤務実態調査は、前回の調査を踏まえて、先ほど申し上げましたように、今の勤務実態、働き方改革の進捗状況等を把握、分析するために行ったものでございます。
 今回の概要としては、在校等時間については、前回、平成28年度調査と比較をしまして、平日、土日ともに全ての職種で減少したものの、依然として、長時間勤務の教師が多い状況であるということが明らかになったところでございます。また、前回は10月、11月の2か月についてやったわけですけども、今回は、8月の長期休業期間も含めまして、連続する7日間について、それぞれ調査をしたところでございます。
 教諭について、まず御覧をいただきますと、まずは10月、11月についてでございますけれども、平日の教員については、小学校は10時間45分と、前回の11時間15分から約30分の減となっております。中学校は11時間1分と、前回の11時間32分から約30分の減となっているところでございます。土日についてですけれども、土日の教諭について見ると、小学校は36分と、前回の1時間7分から約30分の減、中学校は2時間18分と、前回の3時間22分から約1時間の減となっているところです。中学校の教員の減少幅が大きくなっているのは、部活動ガイドライン等により適切な休養日が設定されたこと、また、部活動指導員の配置なども影響しているのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、2ページでございますけれども、こちらについては、1日当たりの業務内容別の在校等時間を集計したものでございます。現時点では、飽くまでも速報値でございますので、それぞれの要因についての詳細分析はできておりませんけれども、平日は、主に授業(主担当)、朝の業務が小中ともに増加をしたほか、小学校では学習指導の時間が増加をしているところです。朝の業務が増加をした理由としては、別の調査項目で、コロナ対応時間というのは把握をしておりますけれども、その内訳のうち、登校時の児童生徒の健康状態の把握に小学校で6分、中学校で5分を費やしているというデータが出ておりますので、こうした対応によって、朝の業務の時間が増加したのではないかと考えているところです。
 また、授業(主担当)や学習指導の増加の理由については、これまでは学校行事に充てていた時間を通常の授業に充てた場合ですとか、放課後等の補習を行った場合などがあったのではないかと考えております。他方で、減少したものとしては、学校行事が小中ともに減少をしたほか、小学校では成績処理、学校経営が、中学校では学年・学級経営、生徒指導(集団)が減少しております。学校行事が減少した理由としては、行事の精選が図られたということ、また、成績処理の減少の理由としては、校務支援システム等のICTの活用による業務効率化といったことも考えられるのではないかと思っております。
 土日については、主に学校行事が小中ともに減少したほか、中学校では部活動・クラブ活動が減少をしております。
 総括して申し上げますと、先ほども申し上げましたけれども、一定の取組の成果が表れているということではあろうかと思っておりますが、引き続き、取組を進めていく必要もあるという結果が出ているのではないかと考えているところです。
 3ページでございます。今度は、8月の長期休業期間の勤務状況ですけれども、平日20日のうち、所定の勤務時間を勤務した日数は小学校で5.6日、中学校で8.4日ということになっております。勤務日に係る在校等時間は、10月、11月に比べて短いという結果が出ております。夏休みについては、休暇も取得をされて、通常期とはかなり異なるという、そういった状況も出ているところでございます。
 4ページ、その他勤務状況ですけれども、年齢階層別に教員の1日当たりの平日の在校等時間を見ますと、小学校、中学校ともに、特に40歳以下の減少幅が大きくなっております。具体的には30歳以下を例に取ると、小学校は11時間49分から11時間3分ということで46分の減、中学校は同様に39分の減ということになっております。
 教師の有給休暇取得日数は、前回調査と比べまして、小学校、中学校ともに取得日数が増加をしておりまして、小学校が13.6日、中学校が10.7日となっております。部活動顧問の週当たりの活動日数は減少しておりまして、前回調査では約49%が週6日、約15%が週7日活動していると回答していたところですけれども、今回は約56%が週5日活動と回答をしております。
 ICTを活用した負担軽減については、ほぼ全ての小中学校で学習評価や成績処理について、ICTを活用した負担軽減に関する取組を実施しているというデータになっております。
 なお、教諭について、時間外在校等時間の年間を通じた推計をして見ておりますけれども、小学校では月約41時間、中学校では月約58時間となっているところでございます。
 続きまして、資料2-6でございます。文部科学省では、先月、有識者による質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会を立ち上げましてというか、立ち上げたのは昨年ですけれども、そこで、論点整理をおまとめいただいたというところでございます。
 貞広委員に座長をお務めいただいた会議でございますけれども、給特法等の関連する諸制度や、学校組織体制などについて、論点を整理しております。
 基本的な考え方についてですけれども、教師の処遇改善、勤務制度、更なる学校における働き方改革、そして、学校の指導運営体制の充実の在り方等を一体的、総合的に検討する必要があるとされておりまして、今後検討すべき論点が五つの観点から整理をされております。
 1点目としては、教員給与の在り方についてということで、教職調整額や超勤4項目の在り方、教師の意欲や能力の向上に資する給与のメリハリの強化等について論点とされておりまして、留意が必要な観点として、教育が特に教師の自発性、創造性に基づく、勤務に期待する面が大きいことなどの教師の職務の特殊性、教師の職務が勤務時間の内外に切り分けることができるものか、仮に時間外勤務手当を支給することとした場合に、管理職が時間外勤務として承認することの実務上の可否、36協定の締結を要することとなれば管理職の大きな負担となること、教育の成果は必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではないことなどが挙げられているところでございます。
 2ページですけれども、2点目としては、教師の勤務制度の在り方についてです。勤務制度を見直すことの必要性は、1年単位の変形労働時間制の運用の見直し、勤務間インターバル制度等への対応、教師に多様な人材を取り込みやすい仕組みの在り方等について、整理をされているところです。
 3点目は、更なる学校の働き方改革の推進についてです。いわゆる「学校・教師が担う業務にかかる3分類」の在り方、上限指針の実効性を高める仕組みの在り方、働き方改革の取組状況を見える化するための枠組みの在り方等について、整理をされております。
 4点目は、学級編制や教職員配置の在り方等についてです。柔軟な学級編制や教職員配置の仕組みに見直すこと、学習指導の在り方、中学校を含めた学校の望ましい教育関係や指導体制の在り方等について整理をされております。
 5点目は、支援スタッフ配置の在り方等についてです。支援スタッフの更なる充実、学校の実情に応じて地方公共団体が柔軟に配置できるようにしつつ、標準的な支援スタッフの配置の考え方を示すことなどについて整理をされているところでございます。
 続きまして、諮問文でございます。資料2-1を御覧いただければと思います。まず、資料2-1の2ページでございますけれども、冒頭の方にございますように、明治5年に学制が公布されてから150年が経過し、質の高い教師の存在は常に我が国の学校教育の中核であり続けてきたということ、そして、社会の在り方が、一方では劇的に変わってきていて、先行き不透明な、予測困難な時代が到来をし、VUCAの時代とも言われているところです。
 また、我が国の少子化、人口減少、こういった状況について深刻さを増しておりまして、生産年齢人口については、2050年には現在の約4分の3に減少すると推計もされておりまして、過去10年間で公立小中学校の学校数や児童生徒数は約1割減少していると。さらに、特別支援教育の対象となる児童生徒、外国人児童生徒の増加、不登校児童生徒の増加など、あるいは、児童虐待、ヤングケアラー、貧困など、子供の抱える困難が多様化、複雑化しているといったこと。そして、こうした状況の中で、GIGAスクール構想による一人一台端末環境が実現した今、教育DXを推進していくと。それによって、デジタル技術とデータを活用した知見の共有と新たな教育価値の創出を目指すことが不可欠となっていると、そういった認識を示しているところでございます。
 こうした学校を取り巻く環境が大きく変化をする中で中心になってくるのが、「令和の日本型学校教育」の実現ということでございますけれども、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図り、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた取組をさらに進化させ、教育の質を向上させることが求められているとしているところでございます。
 そして、働き方改革、次の3ページになりますけれども、働き方改革については、文部科学行政における最重要施策の一つとして、これまで環境整備を進めてきたところですけれども、勤務実態調査の結果は先ほど申し上げたとおりでございまして、一定程度改善したことが明らかになった一方で、この間、環境整備を進めてきたにもかかわらず、依然として長時間勤務の教師が多いという勤務実態も明らかになったということ、そして、全国的に教師不足が指摘されていることも憂慮すべき状況であるということも触れているところでございます。
 そして、我が国の学校教育の中核であり、その成否を左右する教師に質の高い人材を確保することが必須であると。抜本的に教職の魅力を向上させることが喫緊の課題とした上で、教師に係る勤務制度を含め、働き方改革を加速する必要があると。教師の給与に関する制度の枠組みの見直しを含めて処遇の改善を進めることが急務であるということと、学校の指導運営体制についても留意することが必要。また、これらを一体的、総合的に進めることが不可欠しております。また、その際、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体が、その権限と責任に応じて役割を果たすことが重要ということについても述べているところです。
 そして、その具体的な内容ですけれども、4ページになります。具体的な内容については、先ほども触れました、有識者による調査研究会における論点整理等も踏まえまして、審議をお願いしたいということを書かせていただいております。
 第1にということで、教師の勤務制度を含めた、更なる学校における働き方改革の在り方についてということでございます。先ほどの調査研究会の論点整理とも重なりますけれども、いわゆる3分類、これの更なる役割分担、適正化を推進する観点からの学校教師が担う業務の在り方ですとか、上限指針の実効性を高めることができる仕組みの在り方、教育委員会、学校管理における働き方改革に係る取組状況に差異がある、そういったことも指摘をされている中で、働き方改革、業務改善に係る計画、取組状況等を見える化するための枠組みの在り方ですとか、1年単位の変形労働時間制の運用の見直しの在り方、国家公務員や地方公務員に係る制度も踏まえた長時間の時間外勤務を抑制するための仕組みの在り方、教員集団の流動性や体制を高めることに資する仕組みの在り方。
 次に、第二ということで、5ページでございますけれども、教師の処遇の在り方といたしまして、こちらについては、先ほどと重なりますけれども、一律給料月額の4%を支給することとしている教職調整額及び超勤4項目の在り方、教師のその職務の特殊性に対する考え方、現在の学校現場の状況や県費負担教職員制度等を踏まえた時間外勤務手当の支給に対する考え方、あるいは、教師の意欲や能力の向上に資する給与制度、給与のメリハリの在り方、給特法をはじめとする公立学校に固有の仕組みの前提となる、公立学校が担う役割と、地方公務員である公立学校の教師の職務の在り方、そして、第三に学校の指導運営体制の充実の在り方ということで、地域や学校の実情を踏まえつつ、より柔軟な学級編制や教職員配置の在り方、子供や学校、地域の実態に応じた柔軟な教育活動の実施の在り方。35人学級等について、小学校における多面的な効果検証等を踏まえた、中学校を含めた学校の望ましい教育環境、指導体制の構築の在り方、教育の質の向上と教師の負担軽減のための小学校高学年における教科担任制の在り方、主幹教諭、指導教諭、事務職員、または養護教諭、栄養教諭の配置の在り方、不登校、特別な支援を必要とする児童生徒数の増加への対応、あと、その次のページ、6ページになりますけれども、教員業務支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習指導員、部活動指導員といった支援スタッフの配置の在り方、次世代型のチーム学校の在り方、こういったことについて、御審議をお願いしたいということで、諮問をしたところでございます。
 続きまして、資料2-8でございます。今般の諮問事項であります、更なる学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実について、一体的かつ総合的に御検討いただくため、この初等中等教育分科会の下に、質の高い教師の確保特別部会を設置して、御審議をいただきたいと考えているところでございます。
 スケジュール感といたしましては、施策を迅速かつ着実に実施をしていくために、審議の状況に応じて、場合によっては、逐次、取りまとめていただくといったことも考えられると思っておりますけれども、来年の春頃に、最終的には一定の方向性を示すということを一つの目途として御審議を進めていただきたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 資料が多岐にわたりまして、ちょっと忙しかったかもしれませんが、今御説明いただいたとおりでありますが、御意見、御質問等、おありの方はお願いをしたいと思います。
 先ほどもありましたように、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようにお願いいたします。文科省にお越しの委員の皆様は、名札を立てていただくと分かりやすいと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、オンラインで御参加の方から、まず、お願いしたいと思います。
 大字委員、渡辺弘司委員、貞広委員、石崎委員の順にお願いいたします。大字委員、お願いいたします。

【大字委員】  小学校長会の大字でございます。よろしくお願いします。
 諮問の中に、具体的な検討事項の3として、学校の指導運営体制の充実の在り方についてというものがあります。そこに、義務教育9年間を見通すことにも留意した、より柔軟な学級編制や教職員配置の在り方となっていて、柔軟な学級編制や教職員配置の在り方については、論点整理の中で、例えばとして、市町村で一層柔軟に学級編制ができる仕組みや、複数の小規模な学校が共同して、効果的、効率的に教育を実施できる場合に、特例的な教職員配置を可能にする仕組みなどと書いてあります。
 この点について、もう少し具体的に、具体例なども交えて御説明をいただけると、今後検討がしやすくなるかなと考えますので、よろしくお願いします。
 これ1点、御質問です。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。御質問は後からまとめてお答えをいただきたいと思います。
 大字先生、御質問だけでよろしいですか。

【大字委員】  はい。今回、質問だけで結構です。

【荒瀬分科会長】  分かりました。後ほどお答えいただきたいと思います。
 それでは、渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】 日本学校保健会の渡辺でございます。2点発言させていただきます。1点は、教師の環境整備、もう1点は、教師の魅力向上に関してでございます。
 1点目でございますけども、御提示の資料から、これまでの文部科学省の勤務時間短縮の施策効果が十分出ているように思います。しかし、教師の働き方改革の最終目標は、学校から早く帰っていただくことではなくて、教師のモチベーションを下げることなく、精神的、身体的負担を軽減して、休職率や精神疾患の罹患率を低下させることにあると考えます。
 そういう点で、このたび資料2-4の2ページとか2-5の32ページのような業務項目の分析、それから、資料2-5の31ページのような満足度の調査というのは、大変意義のある調査であり、今後詳細な分析がなされるということですので、それに期待したいと思います。
 ただ、この分析結果を現場に反映させるためには、資料2-3の28ページに示された支援スタッフを有効に活用することが重要だと思います。そのためには、どの業務を、どの支援スタッフが支援していくかが示されるような分析をする必要があろうと思います。また、支援スタッフが効果的に活用されるには、有効なチームの学校としての働き、つまり、学校のチームという、グループで動くような体制が重要でありますので、これが円滑に動くような体制を構築していただきたいと思います。
 2点目が、資料2-6に示された教師の魅力向上ということでございます。これがなければ、教師の成り手が増えないし、増やしていくための根本的な対応が必要であります。それには給与を含めて財源が必ず要ると思います。是非文部科学省におかれましては、財務省と交渉していただいて、財源の確保をしていただかないと、給与を増やそうと言っても財源がなければ増えませんので、給与の検討をされるのであれば、是非、その御努力、御尽力を、審議会を活用してお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。環境整備と魅力向上に向けて、具体的に御提言をいただきました。
 この分析については、これは後ほど、大体どういう日程というんでしょうか、これからのスケジュールで分析結果が出てくるのかというのも、またお答えいただければと思います。渡辺先生、ありがとうございました。
 では、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】  ありがとうございます。2点発言をさせていただきます。
 今、御報告をいただきました、調査研究会の座長を務めさせていただいた観点から、今後の検討についてのお願い的な意見でございます。
 今回、調査研究会の論点整理では、五つの観点から論点の整理というものを事務局の方々の御尽力と委員の方々のお力添えをもってして、させていただいたところでございます。改めてこちら見ていただきますと、定数の問題、給与の問題、そして教師のウエルビーイングの問題など、複数の構成要素によって、この物事が成り立っていることが示されています。
 つまり、教師の働きやすさと働きがいの両立を実現するには、このうちの構成要素の一つだけが改善されれば良いというのではなくて、全ての要素に目配りをして、包括的、総合的な検討が必要であるということを示していると思います。検討に当たっては、是非この点を強く意識して、教師の働きやすさと働きがいの両立の実現を目指していただきたいと強く感じております。
 2点目でございます。これは勤務実態調査の速報値の資料、資料2-4に関してでございますけれども、例えば2ページ目、先ほど渡辺委員からも言及のあったところの資料を拝見しておりますと、こちらは、飽くまでも外に出ている平均値の世界ですので、軽々に申し上げることはできないと思いますし、今後詳細な分析をされるということですけれども、ぱっと見たところ、例えば、授業は増えている、つまり授業の負担は増えている一方で、授業準備を減らして、または校内研修も減ったり増えなかったりしていることがわかります。
 先ほど、一定の取組の成果は出ているというお話もございましたが、どちらかといいますと、先生方の業務の本丸にまで切り込んで、本当は削減したくない部分を削減しているように見える、そういう状況にあるように見えます。授業準備を削減するというのは先生方、一番やりたい物事を削減しているわけです。
 また、校内研修については、令和の日本型教育を担う教師のありようを検討する際に、免許更新講習を発展的に解消すると同時に、むしろ、校内で自校の課題を見極め、その課題の解決を目指して、校内研修で協働的に学んでいただいて職能開発をしていただくと、そちらに軸足を移していただきたいというような答申をしている中で、校内研修が減っている、または増えもしないというような状況は、先生方がこれに働きがいを持って取り組んでいるとは、これ本当に平均値の世界ですので軽々には申し上げられませんけれども、相当難しい状況にあるなということを改めて示しているデータであると思います。すなわち、もう一刻の猶予もないということも示しているかと思います。
 今後は、長期的に慎重に検討することと、短期ですぐに対応するものと、これも両睨みで、素早く対応していただくということも、強く意識していただきたいと思ったところでございます。
 以上2点です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 調査研究会の座長をお務めいただきまして、おまとめいただき本当にありがとうございました。
 今おっしゃった2点、二つはとても強くつながっているものでもあると思いますし、また、後ほど、村尾課長の方から、ここの日程等で、どういった形で分析が進むかも伺うことになりますけれども、本当に大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 では、石崎委員、お願いいたします。

【石崎委員】 私も今の話と同じようなことになるのかもしれないんですけれども、平均で見ているというところが、どうなんだろうかと感じます。
 例えば、部活動指導がと言っても、本当に、月に何十時間も指導している人もいれば、全々、負担のない人もいるというように、学校の業務は非常に偏っている部分がありますし、それを簡単に平準化できるものでもないと思います。
 例えば、最近では部活動がよく話題になりますけれど、部活動も、ここ何十年もずっとやっていることです。では、何が大変になってきているのかといったときに、例えば、サッカー部の顧問をしていたらサッカーの練習を指導しているんだろうなとお思いかもしれませんけれども、実際は、例えば、生徒同士のトラブルがあったりとか、うちの子にパスが回ってこないんだけど、いじめじゃないのかとか、どうしてうちの子をコーチは試合に出してくれないのかとか、そういった対応に忙殺されて力尽きる先生がいたりするということがあるんじゃないでしょうか。平均で見るのはどうかという意味では、個別の生徒指導対応もそうだし、保護者の対応というのもそうだと思うんですけれども、そういうことに、言葉は適当じゃないんですけれども、そういうことにたまたま関わってしまって、何十時間も対応する中で力尽きてしまう。そういう例を、よく聞くような気がするんです。
 今、極端な例を挙げましたが、平均で見るということについては、もう少し大変な苦労をされている方が、どういう内容で苦労されているのかというところに踏み込んで議論していく必要があるんじゃないかなと思います。時間が取られていることは実際何だろうか。先ほど、ほかの委員の方からもお話ありましたけれども、部活の指導をしているだけでも、もちろん大変なんですけれども、そうじゃないところで、やりがいを失ったり、徒労感を得たりとかというような例があるんじゃないだろうかというようなところまで踏み込んで、是非議論していただきたいなと思います。
 処遇改善とか勤務時間を減らすとかというのは当然のことでして、だけど、教員ってお金だけで仕事しているわけじゃないと思うんです。ほかの仕事もそうだと思うんですけれども、教員のやりがいというところが非常に大事です。
 今、教職調整手当の話も出ていますけれども、教職調整手当の4%を10%にと言いますけども、大体、二、三年目の教員の教職調整手当って幾らぐらいだというのを皆さん御存じで議論されているのかというところも知っておいてほしいんです。二、三年目だと大体9,000幾らです。それが10%になったから、2万2,000円になりましたといっても、多分、それで教員になろうと思う人は少ないと思うんです。だから、教員の仕事ってお金がインセンティブになるということじゃないということを分かってほしいと思います。
 長くなって申し訳ないんですけれども、校長先生方からよく聞く話は、仕事を減らすか人員を増やすか、それしかないんじゃないかという声を聞きます。完全に学校から仕事を切り離すこと、もしくは、専任の教員を増やすこと、これ、切り貼りの外部人材をばんばん貼られても、打合せの時間ばかり増えたりとか、また、その外部人材に対するいろいろな打合せとかが増えたりということで、また、それも苦労しているという話も聞きますので、本当に仕事を完全に切り離すか、教員の数を増やすかというところを御検討いただければと思います。
 長くなってすいませんでした。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 仕事を減らすということと教員の数を増やすということ、これは本当に大事なことだと思います。そういったことも含めて、一昨日、諮問を受けましたので、中教審として、本当にしっかりと議論をしてまいりたいと思います。
 その際、数値は平均のものが出てくることが多いのだろうと思うんですけれども、その分析とともに、せっかく中教審、様々な専門的な立場から御参画いただいておりますので、是非、そういったところからの御意見を出していただいて、具体的に議論をしてまいりたいと思います。
 石崎先生、ありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
 それでは、会場にいらっしゃる吉田晋委員に御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【吉田(晋)委員】  ありがとうございます。
 今日は、これは、公立学校のお話だと思うので、私は発言するつもりはなかったのですが、貞広先生がまとめてくださった、2の6の概要なのですが、ここに非常に私は、我々、私学にとって同じ重要な要素があるなと思い発言させていただきます。
 一枚目の下の方に、私立、公立、国立学校と、公立学校が担う役割にどのような差異があるのかということですけれど、基本的に学校の成り立ちということにおいては差異があります。ただ、子供一人一人と向き合って教育するという部分では差異がありません。
 教員も、飽くまでも国家公務員か地方公務員か、もしくは、私立学校の教員かということで違うわけじゃなくて、やはり給与の論点のところにあり、留意すべき観点にあるように、教師の自発性、創造性に基づく勤務とか、内外に切り分けることができるのかとか、もういろいろな意味で、全く同じなんです。
 ただ、今現在、私立学校が抱えている大きな問題として、戦後、教員の給与の問題というのはいろいろな経過があって、この調整額というのも生まれたのですし、私立学校の場合も、それに準じてやっている学校というのが約5割、そして、それを変形して、ちょっと変えて、それから事務職だけは労災に入り、昔は私立学校の教員も入らなかったんです。事務職だけが入っていたんです。ところが、労災の運営が厳しくなった途端に教員も入れられるようになり、そして、今では労働基準局が入るようにどんどんなってきまして、私立学校が、本当に抱えている大変な問題として、残業代の問題があるのです。
 実際に、変形労働制を活用している学校もありますし、そうじゃない場合には、今までどおり、この調整額と同様にやっている学校がほとんどなのですけれども、その場合に、厚生労働省が幾ら言っても、労基がそれを認めない。それで、文科省からも何度もお願いしていただいているのですけれど、やはり私は教員の待遇、その他在り方を考えるときに、同じようにしてあげなくてはいけないのではないか。もちろん私立学校によっては、本当に朝8時に来て、4時には帰るという学校もあります。それは学校ごとにいろいろ違います。でも、生徒一人一人を考えたときに、やっぱりそのときその場が、1分1秒が子供たちにとっては大事な時間です。悪いけど、もう先生時間だから、これで帰るから質問は明日にしてねというわけにはいかないです。
 そして、本当に悩みを抱えたり、いろいろな問題を持っている子をそうやって後回しにしたために、もし事件が起こったりした場合どうするのか、そういうことを考えたときに、変形労働制も良いようで悪い部分もありますし、今の調整額の制度というのは決して悪いことではないと思っています。
 ですから、是非それを、公立学校も私立学校も国立学校も同じような形で、そして、最終的には先ほど石崎先生もおっしゃっていましたけれど、やっぱり人手だと思います。我々のところだったら、生徒数が減れば、必然的に1学級の人数は減ります。じゃあ、増えたからといって増やすことできるのかって、そうはいかないわけです。そして、保護者に負担していただくということだってそこまでいかないわけです、限界がありますから。
 やはり同等に、国が教育を担っているという、先生方の処遇を考えていただけるように、そして、労働基準局が入るのも良いですけれど、教育を基本にしているのだ、生徒を基本にするということを忘れないでもらえるようにしていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 生徒が公立に行くか、私学に行くかというのは、これはいろいろあると思いますけれども、私立であれ公立であれ、生徒を基本に考えるという、これはもう全くそのとおりかと思います。
 今後もまた私立の立場からも御意見よろしくお願いしたいと思います。
 では、この後なんですけれども、今、手を挙げていただいている秋田委員、藤田委員、金田委員、そして堀田分科会長代理、今回、堀田先生までで一旦、止めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  どうもありがとうございます。
 勤務実態調査と貞広先生を委員長とする報告の論点まとめは、大変よくまとまっていると考えて、拝読をさせていただきました。
 先ほどお話がありました、1から5までの論点でございますけれども、先ほど貞広委員は包括的、総合的と言われましたけれども、これ全てを同時に追求していくということは、物理的に財源の問題等を考えると、非常に困難であろうと考えられます。したがって、優先順位であったり、令和の日本型学校教育を進めていき、そして教育の質を上げていくために何が最も必要なのかというところが論じられるべきであろうと思います。
 先ほど仕事を減らす、人数を増やすという話がございましたが、やはり仕事を減らすというのはもちろんなんですが、仕事の質を、教員が教員たる仕事の質を保ち続けること、仕事の質が、授業研究とかが減ってきている、校内研修ができなくなっている、そうしたところについて、そうした専門的本務ができるような形を採っていくことが必要です。人数を増やすというところにつきましても、5番の支援スタッフは重要でありますが、教員の定数を増やしていくということがより重要なところだと思います。
 その意味で、私は4番の学級編制や教職員配置の在り方ということについて、エビデンスを基にしながら、特に中学校がまだ負担が大きいということを考えますと、この35人学級について、小学校の効果検証を踏まえて、中学校での学校の望ましい教育環境や指導体制を構築していくことをどう考えるかという点が大事と考えます。中学校のところの定数の見直し、編制の在り方の見直しというところが、特に優先的に考えられるべきです。教員の働き、仕事の負担を、本務を中心にしながらも負担を減らしていくために何ができるのかを緻密に検討していくことが、もちろん包括的にやるべきところですが、極めて重要なところではないのかと思います。
 また、支援スタッフというところで負担が重いとされる副校長、教頭を支える、支援するスタッフの配置ということが出されています。これも支援するのが、いわゆる校務を支える事務的な支援スタッフで良いのか。むしろ今後の学校の在り方として、管理職の配置の在り方として、大規模校等では、副校長は複数名と、義務教育学校などだと、副校長が複数名置かれる場合があり得ますけれども、今後、こうした形の配置の見直しや柔軟化というところについて、もう少し議論をしていくことが大事なのではないかと思います。
 もちろん、給与や勤務制の在り方の議論は重要でございますけれども、一番下にありますように、諸外国においても、こうした残業手当とか、そのための勤務管理というようなことは全ての国で行われているわけではありません。それが、教員の専門性を保障することになるかを考えますと、教員の専門的な時間を増やし、その質を高めていくための支援というのはどうあったら良いのかということを中核にしながら、包括的な中で、どの要因をどのように組み合わせていけば良いのかというような、システム的な議論が必要なのではないかと考えるところです。
 以上です。

【荒瀬分科会長】   ありがとうございました。
 包括的、総合的に重要であることはもうもちろんのことながら、優先順位というのをしっかり見ていく中で考えていくということで、具体的なお話をいただきました。これは後ほど、それをする、特に議論していくための特別部会を設置することをお諮りしたいと思いますが、そこの中で、今の御意見をちゃんと受け止めた形でやっていただきたいということを思っております。
 では、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】  大阪教育大学の藤田です。
 私の方からは1点、今回の働き方改革等に関わって、いわゆる学校の管理下において、事件、事故、災害などが発生した際の教職員の対応の在り方や、また、そういった事件、事故、災害が発生した際、被害者の発生を予防するための、いわゆる安全点検活動等が学校で行われておりますが、そういったところへ、チーム学校としての地域人材の協働とか活用の在り方についても是非審議の中に含めていただければと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】   ありがとうございました。大変重要な点かと思います。
 これは先ほどの秋田先生がおっしゃった質を保つとか上げるとかいったことと同様に、今の話は、学校が、今回の話も教師の時間の確保というのは当然大事ですけれども、子供たちの学びの場をどのようにしっかりと安全なものにしていくかということが、これは忘れてはならないことでありますので、重要な御指摘いただきました。ありがとうございました。
 では、金田委員、お願いいたします。

【金田委員】  ありがとうございます。日本PTAの金田です。どうぞよろしくお願いいたします。
 多くの委員の皆様と発言が似ているところも多々ありますが、教員不足に関して保護者、PTAとして、一番心配しているところです。
 また、質の高い教師の確保に関しても関心のあるところです。保護者の立場では、我が子に直接関わる、非常に重要なことでありますし、極端なことを言えば、担任の先生が誰になるのかということでさえも一喜一憂するぐらい、先生方のことをよく見ていると思っています。
 働き方改革を進めていくことに関しては、これも必要な取り組みです。働き方改革は負担の軽減ということだけではないと思います。負担が軽くなったからといって教師の希望者が増えるのかというと、そこは一致しないのではないかと思います。保護者側からすると、負担が軽くなったので、教師を目指そうというような方であると、それは質の高い教師とは違った教師ではないのかということで、非常に不安を覚えることになります。
 働き方改革は当然推し進めなければいけません。また、質の高い教師を確保ということは、先ほどから先生方からのお話がありました。教師のやりがいやモチベーション、社会的地位の向上などを目指すところになるのかと思うと、働き方改革を推し進めるということと、教師のモチベーションや魅力度アップ、社会的地位向上というのは、正直いうと、別議論なのかなと実は思っています。
 モチベーションを上げることでは、教師になろうとしている方たちや、教師になりたての方たちのアンケートの御意見をもっと大きく反映させるべきではないのかなと考えています。
 実際には教師を続けづらいとか目指しづらい理由など、現在、教職に就いている方々とは意見がずれる可能性もあるかと思っています。あとは、改革の中で、具体策的な話になってしまいますが、頑張れば頑張るだけ給料が増えるというシステムであったりとか、校長先生になられる方だと、40代で校長先生になられる方はあまりいらっしゃいませんが、普通の民間企業であれば、実力主義というところもあります。教職という立場にあると当然、知識、経験の積み重ねというのは非常に重要なところでありますし、また、子供たちを預かるという特殊性なところもありますので、なかなか若いうちから管理職に就くことは難しいかと思うのですが、このような抜本的な制度改革的なことにも、もしかすると着手する必要があるのかなと思った次第です。
 ただ、民間企業と違い、やってみて駄目だったから戻せば良いというようなことではいけないので、一意見としては話しましたが、慎重な審議が必要かなと思います。
 また、組織の働き方改革、教員の配置などもいろいろ議論ありましたが、根本的には財源確保というところに尽きるのかなと思っております。財源確保と、制度改革の二本立てでいくのが必要なのかなと考えています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 保護者のお立場からのお話で、本当にこれからもまたいろいろな形で御発言いただきたいと思っております。多分、負担という言葉、一言で括れないものがあるのではないかなと思っておりまして、必要な負担は当然、どんな仕事にもあると思うんですけれども、必ずしも負うべきでない負担も負っているのではないかということもありますので、その辺り、丁寧に見て、議論を重ねてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
 それでは、この件の最後としまして、堀田分科会長代理、よろしくお願いいたします。

【堀田分科会長代理】  吉田委員はいいですか、信解委員。

【荒瀬分科会長】  すいません。吉田信解委員、大変申し訳ありません。手短にお願いいたします。すいません。気がつきませんでした。

【吉田(信)委員】  申し訳ございません。手短に申し上げます。
 特に保護者等も含めて、保護者だけではないんですけれども、学校が様々、過剰な要求等を受ける場合がある。教職員の先生方、また、学校現場を守る仕組み作りというのが非常に私は大事ではないかなと思っております。
 以前、文科省に問合せをしたところ、スクールロイヤー制度、あるいは学校、教師が担う業務に係る3分類ということで、今、取組を行われているということでございますけども、例えばスクールロイヤー一つ取っても都道府県なんです。現実は、都道府県のスクールロイヤー制度ありますけれども、市町村単位では、例えばうちの市なんかでも、市の顧問弁護士の先生方に、学校で起きた課題については御相談申し上げているというのが実情でございます。スクールロイヤー制度は、私はこれからの時代、本当に拡充していかなければならないのではないかなと感じております。
 それから、3分類、これも大事な観点の議論ですけど、まだまだ課題がたくさんあると思います。本当に学校が担うべき、先生方が担うべきというところから外してしまって良いのかとか、いろいろ問題もございますので、保護者等の過剰な要求から、学校現場や教職員を守る仕組み作り、これについては、しっかりと議論して、先生方が安心して意欲を持って頑張れる、そういう体制作りが急務かと存じますので、この点も議論の中に加えていただければと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  吉田信解委員、ありがとうございました。安心して意欲を持って仕事ができる、学校を守る仕組み作りということの御提言、本当にありがとうございました。
 では、最後に、堀田分科会長代理に御発言いただいて、その後、村尾課長から、冒頭からの御質問に対してお答えいただきたいと思います。では、堀田先生、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  堀田でございます。資料2-1の諮問文の3ページのところについて、お話をしたいと思います。
 マスコミ等では教職調整額のこと等が大きく報道されているわけですけれども、この諮問文や、あるいは論点整理を見ると、決してそこだけをやるという話ではないということがよく分かります。逆に言えば、これは多岐にわたる非常に大きな課題であり、今までやや見過ごされ続けてきたことを総括的に今、取り組もうとしている非常に重要な局面かと理解しております。
 石崎委員が先ほどおっしゃいましたけど、人を増やすか仕事を切り離すかだと。人を増やすというのは、これはいろいろな工夫でやって取り組んでいることですけど、これ、財源の問題が大きいので、そう簡単にはいかないと思います。
 そうなると、仕事を切り離すというところがたいへん重要なのではないかと私は思います。私は教育のデジタルトランスフォーメーション等を専門にする立場としてこの分科会にいますけど、DXの前に、そもそも業務改善というか、業務の見直し、棚卸しというのは、デジタル化する前に行うべきことです。吉田信解委員もおっしゃいましたけど、いわゆる業務の三分類についても、もう少し精緻化する必要はあると思いますが、国としての原則論はもう既に出されているわけです。出されて何年かたっているのに、相変わらず学校現場はたくさんの仕事を抱えている現状であると。となると、なぜ減らせないのかというところをもっと突き詰める必要があると思うのです。今、画面の真ん中辺りのちょっと下ぐらいに出ている、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体が、その権限と責任に応じて役割を果たすことが重要だと諮問文には書いてあるわけです。先ほども述べたように、国としてはある程度方向は出している、もちろんこれからもっと精密にするんだけどすでに出している。では、都道府県としてどうか、市町村としてどうか、各学校の校長先生の判断でやめられる仕事があるんじゃないかということです。これをそれぞれのプレーヤーがどういうふうに学校現場に仕事を義務付けているのかということの可視化が今の段階では急がれるのではないかと。
 国がどれだけスリム化するぞと言っても、途中途中でいろいろなものが附帯されて、結局現場の先生が困るというようになっているんじゃないかという現実を考えたときに、ここら辺の可視化が非常に重要、もう一つは、可視化した上で、それらの権限をどれだけ現場に移譲するかということを考えていくべきではないかと思います。そうなるとDXがうまく機能するのではないかと考えております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 3ページの下から二つ目のパラグラフの終わりの方にあった、その際、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体がその権限と責任に応じて役割を果たすことが重要だと、ここのところがとても重要ではないかという御指摘でありました。本当にそうだと思います。その辺りに対して我々がどれだけアピールできるかということも議論の中で考えていきたいと思います。
 現場への権限の委譲というのも、これは本当に大事なことだと思います。ありがとうございました。
 では、村尾課長から、先ほどの御質問に対して、日程なども含めてお願いしたいと思います。

【村尾財務課長】  ありがとうございます。
 まず、柔軟な仕組みについてということで、大字委員からの御質問がありました。
 資料の2-7、6ページです。6ページに記載をされている学級編制や教職員配置の在り方の柔軟化ということ、具体的なイメージという御質問だったかと思います。ここにありますように、もちろん、今後更に御議論いただくことだと思いますけれども、例えばですけれども、二つ目の丸のところを見ますと、都道府県の学級編制に係る基準に基づき、算定された教員定数の範囲内で、一層柔軟に編制できる仕組み、例えば今、35人学級だったり40人学級だったりしたときに、一つのイメージとして申し上げれば、36人になったときにクラスを二つに分けるということが良いのか、その36人で、教師は2人付くんだけれども、その2人の使い方というのを、ある程度、学校なのか、市町村なのか現場に近いところに委ねるという、そういうこともどう考えるかと。
 具体的に言えば、そういうことが考えられると思いますし、その下の各地域ごとに課題が様々である中の複数の非常に小規模な学校が共同して、ICTの活用による遠隔授業等による場合の特例的な仕組みというのは、例えばですけれども、一つの、バーチャルの学校みたいなことを想定して捉えるとか、ものすごく小規模化して、過疎化して小規模化した場合にそういうことを捉えて考えていくとか、技術の進展とかも踏まえてということですけれども、そういったことが、議論としては、今後、あり得るのではないかと考えているところでございます。
 それから、渡辺委員からの御質問、御指摘がありました、今後のスケジュール、教員勤務実態調査の分析のスケジュールという点でございますけれども、今回、速報値ということで出しておりますけれども、最終的な確定値、また、研究者による分析結果というのは今年度末ですので、来年の春ということになる、春というか、3月までということになりますけれども、ということを念頭に置いております。
 ただし、取っているデータを優先的に分析して行くということはあり得ると考えておりまして、例えば、今後、その審議の中で、こういった事項について分析できないかというような御要請があれば、フィージビリティーとかも、あるいは、データをそもそも取っているかどうかということはありますけれども、そういったことも踏まえながら、途中でその分析をして、その結果を審議会に御報告すると、そういったこともあり得るのではないかと考えているところでございます。
 それから、平均値で物を見るということがどうかという御指摘との関係で申し上げますと、資料の2-5、教員勤務実態調査の速報値の中で、例えばですけれども、部活動の在り方ということで言えば、29ページになりますけれども、それぞれの部活によっての差とか、そういったものも出しております。今回は、飽くまでも速報値なので、全てがここで出ているわけでもないんですけれども、こういったものもありますし、それから、P31ページ、32ページあたりについて言えば、やりがいとか満足度、そういったものが、どういったところに対して持っているのかとか、あるいは負担感とか、負担と負担感の違いとか、その辺が31ページ、32ページあたりで資料として出しているところでございますので、また、これは御覧をいただければ、有り難いと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今後議論を進めていく中で、必要に応じて、また資料の御提供もお願いしたいと思います。
 そういたしましたら、村尾課長から先ほど御説明いただきましたように、今回の諮問に関して、調査、審議を行うということで、資料2-8のとおり、中央教育審議会令第6条第1項等に基づきまして、初等中等教育分科会の下に、質の高い教師の確保特別部会を設けることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、質の高い教師の確保特別部会を設置いたします。なお、部会に所属する委員につきましては、中央教育審議会令第6条第2項の規定によりまして、分科会長が指名することとなっております。特別部会の委員の人選につきましては、分科会長である私の方に御一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の二つ目といたしまして、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告についてでございます。
 この検討会議は、私が座長を務めておりました会議でございますが、本年3月13日に取りまとめをしております。その御報告をお願いしたいと思います。
 御承知のように、支援学校だけでなく通常の学級等においても特別な支援を必要とする児童生徒が増加しているということでありまして、こうした状況の下で、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒へのより効果的な支援施策の在り方について、議論を行いました。特別な支援ということでありますけれども、実は特別でない支援と考えるべきではないかという意見も出ておりました。一人一人の児童生徒にとって本当に大事な支援というのは決して特別なものということではなくて、重要な支援であると、そういう考え方でございます。
 これにつきまして、石田特別支援教育課長から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石田特別支援教育課長】  よろしくお願いいたします。
 4月から特別支援教育課長を拝命いたしました、石田と申します。
 それでは、早速、資料を共有させていただきます。分科会長から御紹介をいただきましたように、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援に係る方策につきまして、3月13日に取りまとめた内容を本日御紹介させていただきたいと思います。
 少しだけ結論に入る前に、その中で議論された状況でありますとか背景を説明させていただければと思います。今、分科会長からお話しいただきましたけれども、通常の学級に在籍する、こういった障害のある児童生徒につきましては、特別支援教育への理解とか、あるいは認識が高まってきたことによりまして、かなり増えてきております。
 そういった中で、発達障害の可能性のある児童生徒は、全ての通常学校に在籍する、人数的にもそのぐらいになってきているというような、そういった背景もありますので、こういった問題に対して、どう取り組むべきかということを令和4年の5月に設置いたしました会議で御議論いただきました。
 荒瀬部会長には座長をお願いいたしましたし、また、喜多先生など、本分科会の委員の方々にも御協力をいただいております。
 今、少し申し上げた内容、すなわち通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする、こういった生徒については、令和4年の12月に、こういった調査結果が出てきておりまして、これが今回の議論の大きなバックグラウンドになっておりますので、これから、まず、御紹介をしたいと思います。
 この調査は10年に一度ほどやっておる調査でございますけれども、全国の公立の小中高等学校の通常学級に在籍する児童生徒を対象に、約600校を抽出して、調査を行っております。調査対象の学級担任に、児童生徒について、学習面でありますとか、あるいは行動面についてのアンケートに答えていただきまして、こういった学習面、あるいは行動面で著しい困難を示すというお子さんが潜在的にどのぐらいおられるかということを測ったものであります。
 もちろん医師の方にやっていただいたわけではございませんので、そういったものであるということを前提に見なければいけない数字ではございますけれども、その結果がこちらになってございます。令和4年度の結果として、学習面または行動面で著しい困難を示すというお子さんの割合が小学校、それから中学校で8.8%、そして高等学校で2.2%というような数字になっております。
 資料の下部を御覧いただければ、平成24年に行われました数字との比較でございますけれども、平成24年に行われた数字、単純な比較は難しいところがございますけれども、6.5%から8.8%になったということで、非常に増えているという現状が見てとれます。
 また、もう少し内容を把握した数字がこちらでございますけれども、例えば、このグラフの左上、校内委員会において、特別な教育支援が必要と判断されている割合ということで調べましたところ、18.4%から28.7%ということで、組織として把握している割合が、ある程度改善はしているものの必ずしも十分ではないということが見てとれる。
 あるいは、下部にございますけれども、個別の教育支援計画でありますとか個別の指導計画、こういったものを策定して支援を行う、そういった基本を作っているというところも改善傾向は見られますけれども、更なる改善の余地があると、こういった結果が見えてきたわけでございます。
 そういったことを踏まえまして、いろいろな御議論をいただいたと。今回のベースになっております。こちらが、御報告をいただいた内容の概要ということになります。
 今、申し上げましたような現状・課題のところ、割合として、全ての学級に特別な教育的支援が必要な児童生徒が在籍している可能性があるような、そういった状態になっている。あるいは、校内委員会の機能が必ずしも十分に発揮されていないのではないか。それから、通級の問題も御議論されましたけれども、他校に通級するという割合があり、児童生徒や本人の送迎の負担があるのではないか。それから、高校の通級においても実施体制が必ずしも十分ではない。それから、障害の程度が重い児童生徒が学級に在籍するということで、より専門的な支援をしっかりと体制を作ってやっていくと、こういう必要があるのではないかということ。
 そして、最後、障害者権利委員会からも勧告いただきましたけれども、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り、同じ場でともに学ぶための環境整備の推進が必要だと。この方向性については、しっかりとできることをやっていかなければいけないと、こういった課題を踏まえて御議論いただいた結果が、下の図でございます。
 大きく提言としては、四つの柱に整理をして提言をいただきました。まず、左半分、小学校、高等学校等での対応ということでの課題と方向性ということでいただいておりますけれども、一つ目の丸、校内支援体制の充実ということでおまとめいただきました。先ほど申し上げましたように、校内委員会というものが設置されておるわけでございますけれども、校内委員会をしっかり機能していく、機能を強化していくというようなことが必要で、それはとりもなおさず、こういった支援が必要なお子さん、児童生徒に対して、組織として認識をするということが出発点になるということでございます。
 それから、支援の対象とすべき児童生徒について幅広く把握し、必要な支援を組織として対応できるようになっていくと。
 その出発点として、校内委員会の機能強化等が必要だということでありますとか、あるいは、それに付随いたしまして、先ほど申しましたように、専門家から支援をもらう、特別支援教育支援員など、しっかりと組織として対応するといった、こういった体制を作ることが必要でありますし、また、校長でございますけども、管理職としても、しっかりとこういったことが、対応する必要があるという認識を持って、管理をしていただくと、こういった管理職の問題もいろいろ御指摘をいただいておるということでございます。これが一つ目の柱でございます。
 そして2番目、通級による指導の充実ということでございます。本人や保護者がしっかりと仕組みや意義を理解した上で指導を受けていただくということが重要なわけですけれども、何よりやはり児童生徒が、できるだけ慣れた環境、すなわち普段通っている学校で安心して指導を受けられるということが望ましいということで、自校通級や巡回指導ができるだけかなうといったような、そういったことを進めていく必要があるのだということで、大きく御指摘をいただいております。
 したがいまして、文部科学省としては、こういった通級による指導が、特に巡回指導という形で、必ずしも他校に行って通級による指導を受けるということをしなくても、巡回指導を受けられるという体制がとられるような、そういったモデルをしっかりと出していくということが今、求められておるというところでございます。
 それから、右側に特別支援学校についての柱を二ついただいております。③とございますけれども、特別支援学校のセンター機能の充実ということで、やはりこういった児童生徒に対する支援については、特別支援教育に関する専門的な知見を有している特別支援学校が小中高等学校に支援をしていくということ、現にかなり行っていただいておりますけども、こういった観点も引き続き必要であるというようなこと。
 そして、最後に、インクルーシブな学校運営モデルを創設していくということを大きくいただいております。すなわち、先ほど申し上げておりますけれども、交流及び共同学習というのは通常の生徒さんと障害のある生徒さんが同じ学校で交流活動、あるいは共同活動を行うと、こういったことでございますけども、必ずしも特別支援学校にいると、そういった機会がどうしても少なくなりがちだということでございます。
 こうしたことから、特別支援校と小中高等学校、こういった学校種を越えて一体的に運営する、あるいは、交流及び共同学習をしっかりと進めていくような、こういったやり方をモデル事業として成立させて、それを支援していくということが必要ではないかと。これはとりもなおさず、障害者権利委員会からの報告にありました、インクルーシブな教育システムをしっかりと進めていくといった、こういった趣旨にも合っているものだと思っておりますので、これをどうやって進めていくかということをしっかりと検討すべきだということで御提言をいただいたところでございます。
 今回、3月にいただいた提言の説明をいたしましたけれども、これに基づきまして、私ども特別支援教育課としても、できる施策をしっかりやっていきたいと考えております。
 簡単ではございましたけれども、私からの説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】  石田課長、ありがとうございました。
 この件、先ほどの最初の議題にも関わってくる内容ではあるかと思います。
 今の時点で御意見、御質問等ございましたら、お一人かお二人になるかと思いますが、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  日本学校保健会の渡辺です。簡単に2点だけお願いをしたいと思います。
 1点は、インクルーシブ教育という言葉なんですけれども、都道府県医師会や教育委員会と交渉していますと、この解釈が様々であるように思います。文部科学省が考えておられるインクルーシブ教育の意味と具体的な対応に関して、理解の仕方には地域差が結構あるように思いますので、積極的な啓発を期待したいと思います。
 もう1点は、この方針は、どちらかというと発達障害に主体を置いているように思うんですけども、実際は様々な障害があるように思います。その障害の種類と程度に応じて、教師の方が対応するのは困難なので、どうしても外部の支援が必要だと思いますが、地域性があることを考えますと、なかなか一元的なマニュアルは出来にくいとは思います。ただ、実際にどの団体に、どのような障害を要する子供を、どのように支援を求めていけば良いか、というある程度のマニュアルのようなものは国が示すべきではないかと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。大変重要な御発言をいただきました。後から石田課長、もし何かありましたらお答えいただきたいと思います。
 では、今村委員、お願いいたします。大変申し訳ありませんが、今村委員の御発言までとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【今村委員】  すみません、私からも手短に発言させていただきます。
 インクルーシブ教育の議論というのは、絶対に到達したいビジョンの話と、今、渡辺さんがおっしゃっていたことに近いんですけれども、今の現状のリソースの中で、全ての子供たちに充実した学びを届けるために、手前のところでどういう解釈をみんなでし合いながら対応していくのかというところには少し乖離があるように思えるシーンがすごく多いなと思っています。
 といいますのは、インクルーシブ教育という言葉、国連からの勧告があったということを御存じの方も多い中で、学校の現状のリソース感の中ではとても追いつかない状況にもかかわらず、保護者の方からとにかく一緒の場で学ばせてくれということが絶対唯一無二の理想の形なんだということを信じておられる方々が、学校にそういったことをお願いをして、例えば、ダウン症のお子さんとか目が見えないお子さんとか、本当は別のところで学んだ方が良い支援が受けられるはずで、交流としては通常の学校と一緒にやる方が良いんだけれども、絶対に細かな学びはそちらの方がサポートできるという機会よりも、同じ場所で同じ内容を学んだ方が良いのだということをインクルーシブ教育と捉えられている方も現状多いように思うんです。
 これは、個別最適な学びと協働的な学びという令和の日本型教育でも全ての子供には認知の特性があるということが前提で、同じスピードで学ぶというのは通常学級でもそういうやり方なのかという議論がある中で、本当にインクルーシブ教育というのは同じ場所で学ぶことが唯一無二の一番良い姿なのだということが間違って伝わってしまっているのではないかという現在地を、違う、そうじゃないというか、間違った解釈にならないような情報発信が必要だと思います。
 今、御提示いただいた資料の中でも、保護者の要望というような言葉がどこかにあったような気がするんですけれども、本当に保護者の方が願っていらっしゃる姿が本当に子供にとっての学びを支える唯一の、一番の良い姿なのか分からないということもあるので、啓発活動もやっぱり重要なアジェンダだなと思っています。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。この会議には保護者の方も実際に入っていらっしゃって、その保護者の方の御意見等も反映された形でのまとめとなっています。
 その辺も含めて、石田課長、よろしくお願いいたします。

【石田特別支援教育課長】  ありがとうございました。渡辺委員、それから今村委員、本当に貴重な御指摘をいただいたと思っております。
 特に共通して言っていただいたかと思うんですけれども、インクルーシブ教育の理解について、これが非常に揺れてしまうというところが現場ではあるんだということだと思います。それで、正にそのポイントについては、我々もそのとおりだと考えておりまして、できるだけ我々はこういうふうに考えているんだということをしっかりお示しをしていきたいと考えております。
 正におっしゃっていただきましたので、ここでも改めて申し上げたいと思いますけれども、我々、インクルーシブ教育システム、これを構築していかなきゃいけないということで考えておりますけども、両輪だと思っています。すなわち障害のある子と、それから障害のない子供が可能な限り、同じ場所でともに学ぶ、これが一つの輪ですけれども、もう一つは、授業内容をしっかり理解して学習活動に参加している。こういった実感とか達成感とかもしながら充実した時間を過ごすんだと。そして生きる力を見つけていくんだという、個々の教育ニーズに合った教育を受けてもらう、こういう両輪で成立するんだというようなこと、これはしっかりと訴えていきたいと思っております。
 それが一つと、それから、学校の現場のことを考えると、なかなか障害種が様々でございますので、専門的な知見が必要だというような、こういった視点もいただいたと思います。私ども、例えば医療ケアが必要なお子さん、こういった子供さんも増えてきておりますので、看護職員といった形で、その支援を援助させていただいたりとか、あるいはこういった教員に対して、そういった理解をしてもらうための手引きを作るとか、様々な努力をしていきたいと思いますので、今いただいた意見を踏まえながら、しっかりと実際の施策に反映させていけるようにやっていきたいと思います。
 ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係で、次に進ませていただきます。本日、最後の議題であります。
 議題の3ですが、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」についてでございます。
 御承知のように、近年、登校児童生徒数は増加の一途をたどっています。直近、令和3年度でありますけれども、その調査では、小学校、中学校、高等学校の不登校児童生徒数が総計で、およそ30万人に上り、過去最高になるといったことなど、正に喫緊の課題となっております。こうした状況を受けて、本年3月31日に永岡文部科学大臣の下、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」が取りまとめられたということでございます。
 事務局から御説明をいただきたいと思います。伊藤児童生徒課長、よろしくお願いいたします。

【伊藤児童生徒課長】  御紹介ありがとうございます。児童生徒課長の伊藤でございます。
 今、掲示がございます、資料の4-1に基づきまして、本年3月31日に取りまとめられました、不登校対策の大臣プラン、COCOLOプランの御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、不登校の現状についてでございますけれども、資料の一番上の丸でございます。令和3年度の問題行動調査におきまして、小中高の不登校の児童生徒が約30万人に急増をしているということ、また、90日以上の不登校であるにもかかわらず、学校内外での相談指導等を受けられていない小中学生が4.6万人、これは90日以上の不登校の児童生徒のうちの約35%に上るという状況でございます。こういった状況に至っているということが明らかになりました。
 この状況を踏まえまして、文部科学省では、文部科学大臣の下、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにするという、これを目指しまして、3点の大きな柱、記載ございます、1点目は、不登校の児童生徒の全ての学びの場を確保して、学べる環境を整えていくということ。2点目の柱としまして、心の小さなSOS、これを見逃さず、チーム学校で支援するということ。3点目といたしまして、学校の風土の見える化を通じて安心して学べる場所にしていくと。この大きく三つの柱で、不登校対策をしっかり進めていこうということで、3月31日に大臣プランを取りまとめ、公表させていただいたところでございます。
 文部科学省では早速、取りまとめ後、4月13日、先月に文部科学大臣を本部長とします、不登校対策推進本部、こちらはこども家庭庁渡辺長官にも御参画いただきまして、早速第一回を設置して、しっかり連携して取組を進めていくという方針を改めて明確にしたところでございます。
 次に、このプランの詳細な内容について、御説明申し上げたいと思います。主な取組というところを御覧いただければと思います。
 まず、一つ目の柱の学びの場の確保というところでございます。こちらにつきましては、不登校児童を受け入れていく場としての不登校特例校の設置の促進ということを、まず、うたっております。こちらにつきましては、早期に全ての都道府県と指定都市に、そして、将来的には全国300校を目指して設置促進していくということ。また、不登校特例校の名称という部分に関しましては、関係者、当事者の子供たちにも意見を募って、より子供目線に立ったもので解消していくということ、こちらを早速、取り組んでいるところでございます。
 また、2点目としまして、より早期に対応していくということで、学校の中に、校内教育支援センタースペシャルサポートルームの設置を促進するということ。また、教育委員会に置かれています教育支援センターの機能強化という観点では、NPOやフリースクール等の連携強化、また、オンラインによる広域支援機能の強化、こういったことを主な取組として推進していこうということでございます。
 次に、2点目の小さなSOSを見逃さず、早期対応していくという観点でございます。一つは一人一台端末を活用した心や体調の変化の早期発見、これを推進するということ、また、チーム学校による早期支援ということで教師、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー等、関係者が専門性を発揮して連携できる体制というのをより充実していくということ、こういった取組の方針を明確にしているところでございます。
 そして、3点目の柱というところで、学校の風土の見える化を通じて、安心して学べる学校づくりということでございますけれども、こちらについては、学校評価の仕組みを活用して、安心した学校をつくっていくための取組というところ、こちらについて、ツールも既に、現場でもいろいろ工夫されてやられているところがありますので、そういった事例を収集して、全国で取組が展開するように普及していくというようなこと、そして授業の改善であるとか、また、いじめ等問題行動に対して毅然とした対応を徹底すると、こういったことを示しているところでございます。
 こういった大きく三つの柱をしっかり進めていくためにも、最後、実効性を高める取組というところでございますけれども、こちらにつきまして、エビデンスに基づいて、しっかり対応していく、調査の改善といった点、また、教職員定数の改善、また、支援スタッフの配置を通じた学校の働き方改革推進といった点、こちらにつきましても、しっかり進めていくという方針がCOCOLOプランの方にまとめられているところでございます。
 こういった不登校の対策につきまして、今年度、特に力を入れて取り組んでいくということで、関係省庁とも連携しながら、着実に取組を進めていきたいと考えているところでございます。
 簡単ではございますが、COCOLOプランの概要でございます。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】   ありがとうございました。
 今の御説明を伺っていましても、これもまた、諮問の中にも具体的に不登校についてもありまして、議題の1に全てが重なっていくような感がございます。
 時間の関係で、やはりあまりたくさんの方の御発言はいただけないんですけれども、二、三人の方になるかもしれませんが、まず、白井委員が手を挙げてくださっています。
 よろしくお願いいたします。

【白井委員】  白井でございます。御説明ありがとうございます。
 時間がないということで、簡潔に御説明したいと思います。2点ございます。
 一つは、フリースクールの拡充ということがございましたけれども、NPOもできるだけたくさんのお子さんを受け入れようということで頑張っているんですが、何せ予算がない、学校に行けなくなった子供たちの義務教育費というのは、行けなくなった学校の方に行っていて、フリースクールの方には来ていないというような状況の中で、先立つものがないので、受け入れたくても受け入れられないというようなことというのがもうずっと続いている状況でございます。やはり予算をつけるということをしないと、受入れの体制というのも作れないというところですので、そこの御検討をいただきたいというところが1点目です。
 2点目ですけれども、今もすごい地方の都市に来ているんですけれども、中学校というのは、全校生徒20人にも満たないような学校で、非常に人間関係が固定化されているという中で、行けなくなったときに選択肢が全くないんですよね。そういう学校も、例えばほかの、隣の学校に転校というのが認められているかというと、住所を変えないとできないということで、フリースクールもないと。いわゆるそういうことができるような状況にある子しか学びの機会につながらないというところで、市長にもいわゆる転校ができるような形を作るということだけでも、当面の不登校対策にはなりますということを進言してきたんですけれども、そういった場所を変えるというようなことが、今だと市町村単位でそれができるかどうかというのが決まってしまうような形なんですけれども、それも不登校対策の一つになるかと思いますので、そこのところも御検討お願いしたいというところです。
 以上です。

【荒瀬分科会長】   ありがとうございました。
 では、石川委員、お願いいたします。

【石川委員】  石川でございます。
 私はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充という観点からお話しさせていただきたいと思います。
 先ほどの通常学級における、在籍する障害のある児童生徒という御報告も伺っていて感じたんですけれども、やはり8.8%ということで、私も、例えば、いじめの第三者委員会に関わっておりますと、生徒さん自身に特性があって、そのことで不登校になったり、いじめの重大事態になったり、そういうケースが多数ございます。そうしますと、先生方が大変御苦労されて、まず、児童生徒理解のところからもう少し初期対応が違っていれば、ここまで重大事態にならなかったのではないかとか、そういうことを感じることがございます。そういう意味で、教員を支える、教職員を支えるという意味で、スクールカウンセラーの拡充をお願いしたいと思っています。
 私ども日本臨床心理士会の方で、この二年ほど、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究というのを受託させていただいたんですが、いろいろ調査をしたところ、例えば、保護者支援とか多角的なアセスメントという点で、例えばスクールカウンセラーが4時間ぐらいしか派遣されていないところと、7時間以上週1回派遣されているところでは、活動の幅、実働が二倍ぐらい違うということも分かりました。今、週一回ぐらいの派遣なんですが、是非、少なくとも全校に1日8時間は派遣する、できれば、もう少し予防開発的なことを視野に入れれば、週2日ぐらい派遣して、先生方を支え、そして児童生徒理解を深め、また、小さなSOSを見逃さないと。そこのところを予防的にやっていかないと、事案が起きてからの対応ということでは非常に大変な面がございますので、是非不登校を減らす、あるいは、対応の幅を広げるという意味で、そういったスタッフの拡充ということも、財源が必要ですけれども御検討いただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】  卒園児の保護者の方から小学校に行きたくないと毎日泣いているんですというような声は、だんだん増えてきたように思っております。
 本日は的確に概要をまとめていただきましたが、主な取組のところの不登校の児童生徒、全ての学びの場を確保しといった中に、幼稚園や保育園、こども園が社会の資本として、その一つに加わることができるのではないかということ、今、幼稚園では考えております。
 幼稚園は幼い子供が行く場所と、これまではそうでしたが、やはり年間にわたって、実習生はもちろん、高校生も中学生も小学生も幼稚園に来ていろいろなことを学んでいきますが、その中で、子供たちは幼い子供たちを見ていろいろに心を動かして、また新たな意欲を持って帰るということは、よく感想で聞いているところです。ですから、不登校の子供たちが、自分が幼いときを過ごした幼稚園に戻って、少しボランティアや、一緒に遊んだり、そういうことを繰り返しながら、また新しい心が芽生えて、また学校へ戻ろうというような意欲につながるきっかけを作る場所になり得るのではないかなということを考えており、今、全国の幼稚園やこども園でも、少しずつそういうことをしている園が増えてまいりました。
 是非取組の中に加えていただき、検討していくことはできないかなと思い、意見を述べさせていただきました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】  柿沼です。
 現在、認定こども園や保育所を中心として、産前産後のケアから学習支援、また、養護家庭の支援事業まで行っている立場から、お話しさせていただきます。
 まず、大きくは、学校や施設といった点ではなくて、面で受ける時代になったのかなと感じています。学校を中心として、様々な地域の社会資源が子供たちを育てていく。そして、そこにつながっていくことによって、不登校であっても、また、不登校に居場所があり、あと居場所から、例えば、地域コーディネーターや、先ほどの特別支援教育であれば、特別支援コーディネーターみたいな方が、家庭や地域、または縦軸や横軸といった子供が育つ地域や、幼稚園、保育園、また上の学校といったところをつなぎながら、子供を支援していく時代になってきたのかなと感じています。
 それがうまくいくと、現在、私たちも行っているんですけれども、子供の居場所というのが確保されて、また、教職員の方々の負担も軽減され、学校の先生たちや保育者といった方々が自分の仕事に集中できるような環境、地域の社会資源をつなぐということが一番今後は必要になってくるかなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 皆さん、お気遣いいただきまして、大変コンパクトに御発言いただきました。ありがとうございました。
 逆に少し時間の余裕ができましたので、御発言のおありの方、いかがでしょうか。あるいは、御発言いただいた中で、もう少しということがございましたら、よろしいですか。ありがとうございます。せかしたりして本当に申し訳ありませんでした。
 それでは、よろしゅうございますでしょうか。今いただきました御意見も、途中でも申しましたけれども、今回、特別部会を作って議論していくというところに全て関わっていくんだなと思いますし、こういったことを今後、初等中等教育分科会としても、しっかりと議論を重ねて、より良い在り方を追求してまいりたいと思います。
 今いただきました御意見で、伊藤課長、何かございましたら。

【伊藤児童生徒課長】  ありがとうございます。
 取組の充実についての御示唆であるとか、あと新たなアイデアということもいただきましたので、全てについてお答えすることはなかなか難しいんですけれども、フリースクールの拡充というところについて、現状、直接的な予算の御支援というところにつきましては、なかなか制度的な観点も含めてできていないところではあるんですけれども、例えば教育支援センターとフリースクールとの連携というところで、例えば業務委託の形でやっていただくというようなことも、今回、令和5年の予算の中で、新しくメニューに加えさせていただいてやっていただくとか、また、フリースクールにおきます不登校対策についての調査研究という観点で、まずは経済的な状況も含めて、まず、調査研究に着手させていただいているというような形で、少しずつ取組については、充実を図らせていただいているというところでございますので、また調査研究の結果を踏まえて、また、対策についてもよく検討していきたいと思っております。
 また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといったことで、チーム学校という中におきます、非常に重要な専門家の方々についてということで、体制についてというところは、本当に予算の毎年の勝負の中で、一つ一つ、今、充実を図ってきているというところでございます。
 まだまだ例えばスクールカウンセラーのことであれば、現状は、全ての小中学校に週1回4時間というのは基本配置として達成できているわけですが、先ほど例にありました、週1回8時間という形でいきますと、現状、まだ全国2万7,500校、小中学校がある中で、取組ができているのは約2,900校というような状況でございますので、まだまだ十分ではないという御指摘、我々も同じような思いでありますので、しっかり予算の拡充についての取組は頑張っていきたいと思っておりますので、また、いろいろ、それに当たっての好事例だったり、必要性というところについてのエビデンスというところも、専門家の先生方にいただきながら、頑張っていきたいと思っております。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【荒瀬分科会長】  伊藤課長、ありがとうございました。
 今、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置の問題、配置をするというか、時間をしっかりと置いていただくということのための予算についてのお話がありました。
 議題の三つ目だけではなくて、二つ目でも一つ目でも、予算というのは非常に重要になってまいります。教育というのは、国のこれからを決めていくという非常に大事な取組でありますので、是非、なかなか大変なのは承知しておりますけども、文部科学省の皆さん、頑張って予算を取ってきていただくということをよろしくお願いしたいと思います。
 では、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に、前田教育制度改革室長、よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  先生方、ありがとうございました。次回の初等中等教育分科会の日程につきましては、また、追って事務局から御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では、終了いたします。今日は御参加いただきまして、ありがとうございました。

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