初等中等教育分科会(第133回)議事録

1.日時

令和3年12月1日(水曜日)9時30分~12時00分

2.場所

文部科学省(※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況について
  3. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん,おはようございます。荒瀬でございます。遅れてお入りになる方もいらっしゃると聞いておりますが,定刻となりましたので,ただいまから第133回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本日12月1日ということで,今年も残すところあと1か月となりました。御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 では,本日の会議の開催方式及び資料につきまして,事務局の白井教育制度改革室長から御説明をいただきます。

【白井教育制度改革室長】 おはようございます。
 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますが,御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。カメラにつきましては,御発言時以外も含め,会議中はオンにしていただくようにお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
 資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1-1から資料2-6まで,加えて,参考資料として1点ございます。
 御不明な点等がございましたらお申しつけください。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。資料,よろしいでしょうか。
 では,議事に入ろうと思いますが,その前に,皆様御承知のとおり,先日24日に愛知県弥富市の中学校において,中学校3年生の男子生徒が亡くなるという大変痛ましい事案が起こりました。まず,亡くなられた生徒さんに心から哀悼の意を表したいと思います。御家族の皆さんのお心持ちを想像しますと,本当につらいことかと思います。
 今日は,議事に入ります前に,事務局から,この事案を受けた現在の対応状況について御報告をいただきたいと思います。江口児童生徒課長,よろしくお願いいたします。

【江口児童生徒課長】 それでは,愛知県弥富市の事件につきまして,現在の状況ということで御報告を申し上げます。
 この事案につきましては,御案内のとおりですが,先週24日の水曜日,愛知県弥富市の中学校におきまして,中学校3年生の男子生徒同士の事件ということになります。事案が起きたのは8時過ぎ,授業が始まる前,場所は廊下ということでございます。こちらのほうで包丁を使って同学年の男子生徒を刺したという事案でございまして,刺された生徒は救急搬送されましたけれども,その後に亡くなられたということでございます。刺したほうの生徒につきましては,警察に通報がされて現行犯逮捕されて,現在,適宜捜査なり司法当局の捜査,調査というものが進んでいるという状況でございます。
 文科省といたしましては,発生以来,現場の状況の把握に努めますとともに,まずは周りの児童生徒の方などの心のケアということを最優先に取り組んでいるところでございます。
 この関係につきましては,当日は2名程度でしたけれども,26日あたりからは,さらに2名ということで,4名ないし6名という体制で,スクールカウンセラーがこの現場の学校に入っているところでございまして,当初は中学3年生から,順次2年生,1年生ということで全員と面談をし,あるいは個別にお申出のある生徒,あるいは保護者の方,あるいは教職員の方も含めて,現在もケアを続けているという状況でございます。
 学校の授業等につきましては,基本的に通常通りに戻りつつあるということでございますが,発生のあった日,あるいは翌日あたりは午前中授業,給食までというようなことであったりとか,あるいはテストなどは延期をして後日やるというような変更をしたりとか,このような対応で,徐々に日常は戻りつつあるというふうに伺っております。
 心のケア,スクールカウンセラーにつきましては,学校の設置者というのは弥富市の教育委員会になりますけれども,愛知県の教育委員会にもお力添えをしていただきまして,先ほど申したような4名ないし6名という体制になってございます。
 また,文科省といたしましては,必要となる経費につきまして,もし足りなくなればいつでも出しますよということは積極的に愛知県教委を通じて現場に伝えているところでございます。
 いずれにいたしましても,現在,司法当局なりの調査,捜査というのが進められておりますという状況ではございますが,今後,弥富市の教育委員会のほうでは,第三者委員会を立ち上げて,学校の対応としてどうだったのか,事案がどうだったのか,あるいは何かさらにできることがあったのかどうか,この辺りにつきまして検討,検証が行われると伺っております。
 いずれにしても,文科省といたしましては,引き続き事案の把握に努めながら,愛知県教委を通じまして,必要な助言ということ,あるいは心のケアが万全な形で行われるように支援を行っているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 こういう事案でありまして,現在,捜査が進められている,状況の把握が進められているということでございますので,御質問等はなしということでお願いをいたします。
 それでは,議題に入りたいと思います。本日は議題が大きく2つございます。
 まず,議題1といたしまして,第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)について御説明をいただき,議論をしていただきたいと思います。
 議題の2といたしましては,「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況についてということで,こちらのほうも御説明をいただき,御意見を頂戴したいと思います。
 なお,本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので,御承知おきください。
 それでは,議題の1に入ります。第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)でございますけれども,本件は,この分科会の下に設置されております学校安全部会におきまして,本年3月に文部科学大臣の諮問を受けて審議が重ねられてきたものでございます。
 このたび,答申の素案がまとまったということでありますので,御説明をお願いしたいと思います。石塚男女共同参画共生社会学習・安全課長から御説明をお願いいたします。

【石塚男女共同参画共生社会学習・安全課長】 男女共同参画共生社会学習・安全課長の石塚でございます。資料1-1と資料1-2を用いて御説明させていただきます。
 学校安全部会におきましては,これまで8回の会議開催,渡邉部会長の下で開催しておりまして,答申素案としてまとめているところでございます。
 まず,大枠の構成として資料の1-1を御覧いただければと思います。まず、1が総論、2以降が具体的な方策という構成です。具体的な方策の1つめは学校安全に関する組織的な取組,2つめは家庭,地域,関係機関等の連携・協働による安全の推進,そして2ページ目に行きますと,3つめは学校における安全教育の充実,4つめは,学校における安全管理,5つめは,その他,横断的な事項という構成でございます。
 学校安全につきましては,安全教育と安全管理,そして,組織的な取組と,3つの大きな柱があるところでございますので,それに沿った構成にしているところでございます。
 資料1-2を御覧いただければと思います。順を追って御説明しますと,3ページ,総論の冒頭でございます。これまでの取組の経緯ということで,第3次計画の策定の背景となる,第1次計画,第2次計画の取組内容などを記載しております。
 4ページ,1番目のパラグラフの「一方」とある部分でございます。これまでの取組の課題として挙げておりますのが,これまで学校安全計画や危機管理マニュアル等が整備されてきているところでございますけれども,必ずしも実効的な取組に結びついていないのではないかということ。地域や学校設置者,教職員の間での取組内容や意識に差があるのではないかということ。ちょうど10年が経ちますけれども,東日本大震災の記憶を風化させることなく,今後発生が懸念される大規模災害に備えた実践的な防災教育を進めていく必要があるのではないかということ。学校安全の中核となる教職員の位置づけや研修の充実について,なかなか実態が追いついていないこと。様々なデータや研究成果がございますけれども,それがなかなか実際の学校現場で活用されていないのではないかということ。この計画自体のフォローアップが不十分なところがあるのではないかということ。このような課題認識を記載しているところでございます。
 その下,第3次計画の計画期間におきましては,学校管理下における死亡事故の発生件数について限りなくゼロにするということ,そして,負傷・疾病の発生率について障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させること,これを今後も目指していくべきではないかといった内容を記載しているところでございます。
 5ページでございます。第3次計画の基本的な方向性を6つ示しているところでございます。
 まず,学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築して,学校安全の実効性を高めるということ。地域の多様な主体と密接に連携・協働した安全対策を推進するということ。全ての学校における実践的・実効的な安全教育を推進すること。地域の災害リスクを踏まえた実効的な防災教育を実施すること。事故情報などデータを活用し安全計画を「見える化」すること。学校安全に関する意識の向上を図り,学校安全文化の醸成を進めていくこと。このような全体を通した方向性を持って施策を進めていくというような形にしているところでございます。
 続いて,2の学校安全を推進するための方策です。以降,具体的な課題と取組を記載しているところでございます。
 まず,1ポツの学校安全に関する組織的取組の推進というところでございます。学校経営における学校安全の明確な位置づけということで,「このため」というところにございますが,各学校におきまして,校長が学校安全を学校経営に明確に位置づけることですとか,学校安全に関する適切な役割分担に基づく対応ができる共通理解がなされるような校内体制を設けること,などを進めていきたいと考えております。
 (2)でございます。学校安全計画に基づく実践的な取組内容の充実ということで,学校保健安全法に基づきまして,全ての学校において学校安全計画を作成するということになっております。
 6ページ目の上の「第3次計画期間においては」というところ以降を御覧いただければと思いますけれども,このように学校安全計画が作成されておりますけれども,なかなか形骸化しているのではないかとか,そのような指摘もあるようなところでございますので,学校安全計画自体を常に見直す,そのようなPDCAサイクルを確立するということが必要ではないかと考えております。
 国におきましては,そのような取組の質の向上を図るために,各学校の学校安全計画につきまして,学校設置者が定期的に点検・指導するような,そのような取組ができるような事例の収集・発信なども行っていきたいと考えております。
 (3)危機管理マニュアルに関する取組内容の充実ということでございます。安全計画と同じく,各学校におきまして危機管理マニュアルを作成するということとされているところでございます。こちらにつきましても,実態に合った形にする必要があると考えておりまして,下のほうに「国は」とありますけれども,見直しのガイドラインを国で作成しておりますので,それに沿った適時の見直しを進めていくことですとか,外部の有識者の知見を生かした見直しなどの支援を国としても進めていきたいと考えております。
 7ページでございます。(4)学校における人的体制の整備ということでございます。今まで申し上げたような取組を進めるに当たっては,担当する教職員,学校安全の中核を担う教職員の位置づけというものが各学校において明確にされて,それに基づいて学校の取組を進めていく必要があると考えております。
 下のほうの「国は」というところにございますけれども,学校設置者等と連携を図りまして,各学校における学校安全の中核を担う教職員の位置付けや研修の実態などを把握しながら,教職員の位置付けの明確化を様々な形で進めていくというようなことを記載しているところでございます。
 その下の(5)学校安全に関する校長・教職員の研修及び訓練の充実というところでございます。こちらにつきまして,2番目の段落にありますけれども,「国は」というところで,教職員支援機構ですとか各都道府県等と連携しながら,学校安全に関する教職員に対する研修の充実も図っていくということでございます。現に今,eラーニングのための教材なども適宜作成しているところでございますので,その更新を行うことや,校内研修を学校安全計画に位置づけることにつきまして,推進していきたいと考えております。
 8ページでございます。(6)の教員養成における学校安全の学修の充実というところでございます。教員課程におきましても,学校安全につきましては当然触れられているところでございますけれども,学校安全の分野,防災,防犯,交通安全,そういった3領域全てを深く理解するための十分な学修が確保されていないという御指摘があるところでございます。そのため,教員養成段階におきましては,例えば,過去に発生した重大事故・事件等の事例や,正常性バイアス,そのような知識面の学習の充実も必要であると思います。
 その下の「国は」とありますけれども,大学等の教員養成機関に対しまして,学校安全に関する学修内容を充実するように促す。例えばカリキュラム・マネジメントに関する学修科目の中で取り扱うこと,応急救命措置の知識をつけさせること,そのような具体的なことを示しまして,教育課程の内外を通じた学校安全の学修の充実について推進したいと考えております。
 次の2ポツが家庭,地域,関係機関等との連携・協働による学校安全の推進です。(1)が家庭,地域との連携・協働の推進ということでございます。当然,学校安全上の課題に対応するためには,学校や教職員がその全てを担うということは困難でございますので,様々な関係する機関,家庭との連携・協働の推進が不可欠と考えております。
 9ページの一番上のほうにありますけれども,国は,コミュニティ・スクール等の仕組みを活用した地域協働による防災教育の充実を図るということで,地域人材の育成の支援を行うことですとか,外部専門家などの活用を積極的に行って,学習内容等を充実させるという点で,モデル的な取組なども支援していくということを記載しております。
 (2)でございます。関係機関との連携による安全対策の推進ということで,具体的な点を上げて記載していますが,マル1が通学時の安全ということでございます。
 通学時の安全につきましては,様々な取組を行っておるところでございますけれども,いろいろな事故・事件が発生している現実がございます。通学路につきましては,当然,学校の管理の外にあるところでございますし,様々な関係機関が関与するところでございますので,文部科学省,国交省,警察庁と連携した通学路の安全対策を推進しており,また,各自治体における推進体制の構築が推進されているところでございますので,さらにその取組の一層の充実を図っていくということを記載しているところでございます。
 マル2が防犯というところでございますが,近年増加傾向にあるSNSへの被害の対策,そして痴漢対策を含む性被害対策などについての取組の推進についても,連携した取組を進めていきたいと考えています。
 3ポツが学校における安全教育ということでございます。(1)安全教育に係る時間の確保というところでございます。従前より,学校における安全教育のための時間の確保についての必要性というのが,第1次計画の時点から指摘されているところでございます。そのような時間数を設定することの推進が必要と考えているところでございます。
 10ページの冒頭から見ていただきますと,各学校におけるカリキュラム・マネジメントを推進する一環として、学校安全計画において安全教育を取り扱う時間を位置づけるですとか,年間の指導時間の確保に取り組むということを推進すると考えております。
 そして,「特に」とございますけれども,幼稚園は教育課程編成を柔軟に行いやすいという点ですとか,保護者の意識を高めるという観点もありますので,幼児期における教育の取組を進めていきたいと考えております。
 (2)が地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育の充実ということでございましす。東日本大震災から10年が経過し,震災の記憶が風化して優先順位が下がってしまうのではないかと,そのようなことを危惧しているところでございます。地域の過去の災害ですとか,地理的な要因に応じた実践的な防災教育を推進していくことを記載しております。
 また,中ほどの「また」というところですけれども,避難訓練等についてもかなり形骸化しているのではないかといった御指摘もありますので,実効性のある訓練になるような取組を進めていきたいと考えております。
 11ページ,(3)でございます。学校における教育手法の改善というところでございます。各学校において,地域の実態や児童生徒の発達の段階を考慮した安全教育の手法が必要と考えておりますので,「主体的に」というところにありますが,主体的に行動する態度の育成ですとか,安全・安心な社会づくりに貢献する意識を高めることを目指した教育手法,ロールプレイングの導入ですとか安全マップの作成などがございますが,そのような取組をモデル的に進めていきたいと考えております。これにつきましては,GIGAスクール等によるICTを活用した教育なども今後記載したいと考えております。
 (4)が現代的課題への対応ということでございます。学校安全の3領域に加えまして,SNSでの犯罪,性犯罪・性暴力,そういったことに対する教育ということも必要と考えております。12ページの一番上にございますが,「生命(いのち)の安全教育」という,性被害・性暴力の加害者,被害者,傍観者にならないための教育というものを推進したいと考えております。
 4ポツでございます。学校における安全管理ということで,(1)学校における安全点検,マル1に必要性が書いていますけれども,施設整備の点検につきましては教職員のみでは困難な部分がございますので,外部機関,民間のノウハウ等を活用した点検の強化を進めるということを記載しております。
 (2)が施設及び設備の安全性の確保のための整備ということでございます。学校施設につきましては,非常時での避難所ということの位置づけもございますので,長寿命化計画等を踏まえた計画的な整備を進めるということを記載しております。
 13ページ,つり天井以外の非構造部材の耐震対策も課題でございますので,そういった記載もしているところでございます。
 (3)でございます。学校事故の予防のための学校における安全文化の醸成ということで,過去の事件・事故を教訓とした取組を進めていきたいと考えております。学校管理下におけるヒヤリ・ハット事例を,次の活動に生かす情報共有ですとか,そのようなところを推進していきたいと考えています。
 (4)でございます。学校管理下において発生した事故等の検証と再発防止ということでございますが,学校の管理下において発生した事件・事故等に対して,学校事故対応に関する指針を平成28年に作成しているところでございます。
 14ページでございますけれども,作成した指針が十分に各設置者等,学校等に周知されていない,指針で求める報告がなされていない,そういった事案もあったところでございますので,この指針の内容等,在り方につきまして,検討を早期に開始するということを記載しております。
 5ポツ,その他,横断的な事項でございます。まず,学校安全の「見える化」ということでございますが,学校安全に関する取組状況につきまして調査をしておりますので,それにつきまして分かりやすく公表することや,日本スポーツ振興センターに災害共済給付に係るデータがございますので,このデータを活用した情報発信,情報共有,活用を進めていきたいと考えております。
 (2)科学的なアプローチによる事故予防に関する取組の推進です。AIやデジタル技術を活用した取組を推進するとしております。
 (3)学校安全を意識する機会の設定の推進です。自治体によっては既に行っておりますけれども,例えば毎月一定の日を学校安全の日と設定するというような取組を推進することで,学校安全の推進を意識化する取組を進めたいと考えております。
 最後に(4)計画のフォローアップということで,取組状況について適宜フォローアップを行う,そして様々な情勢の変化等に応じて計画を見直すと,そのような記載にしているところでございます。
 以上、答申素案の内容に関する御説明でございます。年明けに答申を取りまとめられるようなスケジュールで審議を進めているところでございます。
 駆け足で恐縮ですけれども,私からの説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に対し,御意見,御質問等ございましたら頂戴いたしたく思います。手を挙げるのボタンを押していただけましたら,こちらから指名をさせていただきます。
 では,大字委員,お願いいたします。

【大字委員】 全国連合小学校長会の大字でございます。
 今回のこの答申素案を読ませていただいて,健康安全は何よりも最優先されるものですので,内容的には非常に納得のできるところです。
 ただ,今の小学校の現状を少しお伝えさせていただくと,全国の小学校の3分の1は,いわゆる学年が1つの学級しかない単学級の学校になっています。ということは,学校全部で見ても6学級,担任6人,プラスの加配の教員を入れても,管理職を除いて学校規模として10人程度,この中で,このように教員の位置づけの明確化を求められているものが相当数ございます。これは必置主任を除いて,かなりの数の位置づけの明確化が求められているというのが現状です。
 そうなってくると,やはり何か見直しをして,少なくともスクラップ・アンド・ビルドの中でスクラップのものをしっかりと考えていかないと,幾ら重要なものであっても,学校が実際にはこなせないというのが今の現状ですので,その辺りのことを御理解いただいて,今後進めていただければと思っております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。教師の働き方については,この後の議題でも当然のことながら,今後検討していくということで議論をいただくわけですけれども,大変重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 それでは,今,手を挙げてくださっていらっしゃる先生方,手を挙げられた順番どおりかどうか分からないので申し訳ないんですけれども,今から私が申し上げます順番で御発言をいただきたいと思います。井坂委員,清原委員,市川裕二委員,岩本委員,戸ヶ﨑委員,八並委員,この順でお願いいたします。

【井坂委員】 神奈川県の柏陽高校校長の井坂でございます。
 今,御説明いただきまして,私は,学校安全といいましても時代とともにその範囲がどんどん広がっているとあらためて感じました。SNSの問題もそうですし,地震もそうですけれども,大変幅広の視点があり、すべてが重要であると痛感するところです。
 また,提示された課題につきましても,全てそうだなと思って伺ったところでございます。
 その中で,一番気になったのは,意識の差といいましょうか,要するに意識が低いというような指摘については、教員養成課程であったり,校内研修等の指摘であったりでしたが、県立学校の校長として10年やってきておりますけれども,学校では現在、何とか教育というものが求められております。キャリア教育や以前からは性教育,交通安全教育とありますけれども,この安全教育,安全に関しましては一番大事だということは,理屈じゃなくて,学校現場を預かるものとして、10年間で身をもって感じております。
 そこで申し上げたいのは,学校安全に対する意識をどうやって高めるか,例えば校長として学校を経営する場合においても,これは設置者は設置者の立場で具体には決めることもありますが、学校によって地域性や特色が違いますから,その学校の特徴に合わせたチェックリストを作らせて提出させるとか,安全計画を学校の経営計画に入れるなどの取組みが第一だと思います。
 この後,令和の日本型教育が話題になると思いますが,私は,安全なくして学校というのはあり得ないと,そこがまず第一なんだということを本当に文科省を挙げて,これなくては学校教育は成り立たないということを大きな声を上げていっていただくような提言になることを期待しております。
 もう一点は,私は高校ですけれども,横浜市内にある県立高校です。そうしますと,横浜市と県立は行政区が違いますが頼りになるのは市,いわゆる区です。ですので,私の学校は栄区というところにあり,区長さんをはじめ地元の方と仲よくさせてもらっています。
 そこで,チェックリストというのは結局,設置されている場所,地域性が大きいと思います。海のそばか川のそばか,また,交通機関,渋滞しているかどうかがありますので,改めてどうやって地域の小中高,あるいは幼稚園を含めて,あるいは大学があれば,縦のラインで安全というものを地域でつくれるような,そういうシステムを,これは設置者がメインでやればいいんでしょうけれども,国のほうでも地域でつくれというものを進めていっていただければありがたいと思って,そんなことをもし書き込んでもらえればありがたいと思っています。
 以上,感想ですが,失礼いたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,続きまして,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 これまでの部会での熱心な御検討で答申素案がまとまりましたことに感謝いたします。
 まず,基本的な方向性について5ページに書いていただいておりますが,1つ目の丸の「学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築し,学校安全の実効性を高める」ということをはじめ,学校の主体性というのは,もちろん第一義的に重要だと思いますが,私は,2つ目の丸の「地域の多様な主体と密接に連携・協働した安全対策を推進する」と,このことが極めて重要だと思っています。学校の安全は学校の中だけで完結したり保障されたりするものではなくて,コミュニティ・スクールに限らず,地域の多様な主体との連携・協働が方向性として示されている,ここを重視したいと思います。
 具体的に,8ページ目に2として,「家庭,地域,関係機関等との連携・協働による学校安全の推進」ということが明記をされています。地域の多様な主体と,特に「学校は,例えば地域学校安全委員会等の設置により」の後に,「コミュニティ・スクール等の仕組みを活用して,学校安全の観点を組み入れた学校運営や地域ぐるみの防犯・交通安全・防災等の取組を行うことが必要である」と。まさにこのことが,今お二人の委員の方もおっしゃいましたけれども,学校を中心に,子供たちの安全を中心に,地域の連携ということが基盤にあるということだと思います。
 具体的なことを3点申し上げます。
 1つは,9ページ以降の「関係機関との連携による安全対策の推進」の「通学時の安全」でございます。「通学時の安全」というのは,「交通安全」の観点,「犯罪被害防止」の観点から,学校外ですが,極めて重要ですし,このところ,大変悲しい交通事故などで児童生徒の命が失われるということもございますので,ここは極めて大事なんですが,本文中には,「国土交通省,警察庁等との連携」が重視して書かれているんですけれども,道というのは,国が管理する国道よりも,通学路には都道府県や市区町村が道路管理者である道が大半だと思います。したがって,「通学路の指針」を示すとともに,自治体が通学路の交通安全を確保できるような制度的な支援が必要でございますので,この辺りは,国の取組だけを明記するのではなくて,通学路については,ぜひ「自治体や地域の交通安全協会などとの連携」を明記していただくと心強いと思います。
 2つ目の点として,②に防犯についても書かれています。これについては,近年増加傾向にある「SNSに起因する児童生徒等への被害や性被害対策」についても触れられています。11ページの「現代的課題」と関連する部分だと思います。
 私は,「生命(いのち)の安全教育」ももちろん大事だと思うんですけれども,性被害などの犯罪被害を受けて一生に残る傷を負う子供を救うためには,学校内の教育だけではどうしても不十分だと思います。特に,犯罪被害は断固として防がなければなりません。
 特に,本文中には,性犯罪・性暴力対策について触れられていて,令和2年6月に決定した「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」も書かれていますし,「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」の成立についても書かれています。
 こうした制度に加えて,特に「被害者支援」が重要であるということ,そして今回の冒頭の御報告にもありましたように,犯罪が学校内で発生したときには,スクールカウンセラー等による,「加害者,被害者にかかわらず,児童生徒への支援が必要である」ということも明記していただければと思います。
 最後に3点目は,「防災教育」についてです。これも次の新たな課題と関係して,今回,「GIGAスクール構想により整備されたICT環境を活用した安全教育,デジタル技術を活用した防災教育について追記予定」と書かれています。この辺りは極めて有効なことがあると思います。
 実は私は,三鷹市長在任中に,一方で通学路の「安全・安心マップづくり」に児童に加わってもらって,実際にカーブミラーを新設したり,街路樹の剪定をしたり,いろいろな取組もできましたけれども,他方で,「防災訓練」で,「AR(Augmented Reality)」,「拡張現実」のアプリケーションを2016年2月以降利用して,今いる場所で起こる体験を,コンピューターグラフィックスを現実世界に映し出すことで体験する取組も行ってみました。校内に煙が充満した様子とか,学校の周りが洪水になっている様子を体験することで,子供たちの緊迫感,そして対応力が増したという経験もございます。ぜひ今後の研究にも期待し,記述もしていただきたいと思います。
 以上,「安全教育」も重要でございますけれども,「地域全体で学校の安全に取り組む方向性」を「基本的方向」にも明記していただいている内容を心強く思い,この普及,波及を期待しています。
 ありがとうございました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。清原委員には,大字委員,井坂委員の御発言も踏まえてご発言いただきまして,大変ありがとうございました。しかも具体的なお話,大変参考になるかと思います。
 それでは,順番をもう一度確認させていただきます。市川裕二委員に次にお話しいただいて,その後,岩本委員,戸ヶ﨑委員,八並委員,今村委員,小林委員,安家委員,神野委員,田中委員,清水委員,この順番でお願いをしたいと思います。大変申し訳ありません。次の議題の関係もございますので,清水委員までとさせていただきたいと思います。
 では,市川裕二委員,お願いいたします。

【市川(裕)委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。よろしくお願いいたします。
 時間を短縮してお話をしていきますが,私が気になったところは,大規模災害時の対応のことについてもう少し記載したほうがいいかなと思っております。というのは,大規模災害が起こった場合には,1つには,児童生徒が帰宅できなくなることがございますので,そこについてどうするのかについて考えていく必要があって,先ほどお話があった例えば9ページ,関係機関との連携の安全対策に入れるかどうか分かりませんが,大規模災害のときの対応についても学校でどう考えるのかというところがすごく重要な要素になってくると思います。これは児童生徒が在学中の話です。
一方,どこの学校もそうなりますが,避難所に指定される場合があると。これは大規模災害が起こった後しばらくたってからの避難所生活になりますが,特に特別支援学校の場合には福祉避難所に指定されることが考えられます。特別支援学級も福祉避難所に指定される場合も考えられます。
 そうなった場合は,9ページの上にあるんですけれども,関係機関との連携の中で大切なところは,市区町村の防災担当主管課との関係が最も重要で,基本的には,避難生活というのは市区町村の防災計画に定められるものですから,市区町村が障害のある方もしくは支援の必要な方をどの程度,どのような計画をして避難生活をしていくかという計画に関わるところです。そこが主管になるわけですが,そことの連携を学校はしっかり取らないとならないし,逆に言えば,そういうふうな主管の課が学校と連携を取ってほしい。そちらが計画を立てて,主に学校と連携を取ってほしいという視点がすごく重要だと思っております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。重要な視点を御指摘いただきました。
 では,岩本委員,お願いいたします。

【岩本委員】 岩本です。よろしくお願いします。
 手短に3点あります。1点目が,家庭と地域との連携・協働というところ,私もこれ非常に重要だというふうに認識しています。コミュニティ・スクールを含めてこういったものが明記されているというのは非常にいいなと思いました。
 今,社会教育の分野でも防災だとかというのは非常に大きなテーマに上がっていますので,公民館とか,そういった社会教育のやつも少しは入ってもいいかなと思いました。
 ただ1つ,最初出ていた家庭との連携というのがやはり非常に重要な視点だと思っています。そのときに,この記述を見たときに,地域側との連携は結構あるんですけれども,家庭との連携の部分があまり触れられていない。その中でも,私はやはり家庭と一緒になって子供たちの安全を守っていくということを考えて,PTA,こういったところがより主体的に,もしくはPTAと連携しながらやっていく,もしくはPTAを活用しながらやっていくというところなんかも,もう少し観点としてあってもいいのではないかなと思いましたというのが1点目です。
 2点目は安全に関する教育のところです。こちらも主体的に学んでいく教育手法の改善というところは私,非常に賛成です。再三出てきていましたけれども,子供が主語になる学びというか,そういったところを今後少しずつ増やしていくというのは大切かなと,安全教育に関しても思っています。
 例えば総合的な学習の時間だとか総合的な探究の時間も当然そうでしょうし,児童生徒会,あと委員会活動だとか,子供たちが子供たち自身で守っていく,もしくはそういったリスクだとか安全という視点を身につけていく,そういう活動だとか学びというところを今後,この計画の中でより充実していくといいなと思っています。
 最後,3点目ですけれども,私はこれが一番気になったところなんですけれども,課題に上がっています計画だとかはいろいろつくってきたけれども,その実効性が担保されていない。評価だとかPDCAのところが大切だというふうに課題で上がっているにもかかわらず,学校評価というものがこの中で触れられていないというところが大変気になりました。
 当然,学校の自己評価もそうですし,関係者評価や専門家を含めた第三者評価というものがある中で,何か新しいものを増やすというよりは,学校評価の仕組みをちゃんと実効的なものにしていって,学校評価の中でも子供たちの安全の視点というのは当然今までも入っていましたし,ただ,それをよりしっかりと具体的に,実効性がある学校評価の仕方を,自己評価であっても,関係者評価の中でも取り入れて進めていくというようなところ,先ほどありました学校安全計画もちゃんと見直しをしていくとか評価していくということであれば,学校評価なんかもやっぱりうまく活用してやっていくということも大事かと思いますので,特に学校評価なんかの視点も今後検討されてもいいのではないかと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ほかの委員からも出ておりましたけれども,子供たちが具体的にどう活動していくのかということは大変重要で,子供が主語になる学びを通して,子供自身が防災の認識を深めていくという,非常に大事なことだと思いました。ありがとうございました。
 では,戸ヶ﨑委員,お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 従来の安全教育は,教師主導による知識・理解を中心とした受容的学習になりがちでした。大切なのは「主体的に行動する態度を育成する安全教育」の推進です。危険に気づき安全な行動をする,危険の原因を知り予測できる,人々の安全にも気配りができる,といった行動がとれるようにするためには,まずは安全教育も教科指導等と同様に子供を主語にした学びや考え議論する授業等への転換が必要です。
 特に,これまでの防災教育は,怖さを教える「脅しの防災教育」や,危険地域や避難場所などを教える「知識の防災教育」からは脱していても,現状は,調べて発表するといった定型化・形骸化された防災教育が主流となっています。
 今後は,ARやVRなど様々なデジタルコンテンツなども活用しつつ,インプットの質を向上させ「意識を高める」に止まらず「姿勢や感覚を磨く」ようにするべきと考えます。
 また,「自助(Self-help)」の視点を踏まえつつ,社会の一員として自らできることを考えたり,様々な災害や地域条件下における最適解を模索するようなアウトプット型の学び,いわゆる「探究的防災教育」や「STEAMに繋がる防災教育」への質的転換が必要です。特に,今後の子供たちは,地域を啓発していく主体として,社会と繋がりながら課題解決していくPBL型の学びを積極的に経験すべきと思います。
 さらに,資料ではさらりと書かれていますが,ICT環境を活用した安全教育,デジタル技術を活用した防災教育,また,災害共済給付データを活用した事故情報の「見える化」,AIやデジタル技術を活用した,科学的なアプローチによる事故予防に関する研究の推進といった,これまでの「エピソードベースによる安全教育」から,データ利活用などによる「エビデンスベースによる安全教育」や「安全を可視化・科学する」という視点が大変重要と考えます。危機の兆候は内に潜んでいるわけですから。
 なお,安全点検の際には,通学路等も含めて,教職員だけでなく,児童生徒,保護者,地域の方々といった多くの人たちの複数の多面的な視点で点検を行うなど,日頃から点検実施状況等の周知理解や協力を広く得ておくことも大切だと思います。
 併せて,現在の課題である管理職中心の危機管理,内輪の論理,マニュアル作成の目的化,情報公開の意識の低さ,といったことからの脱却も必要と考えます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。多面的に御指摘をいただきました。戸ヶ﨑先生,またいろいろと具体的なお取組もたくさんやっていらっしゃると思いますので,そういったこともいずれまた御紹介をいただければと思います。ありがとうございました。
 では,八並委員,お願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会会長の八並です。よろしくお願いします。
 今まで出ていない観点で,指摘したいと思います。
 一点目は、安全教育や危機管理マニュアルに関してです。現代的な課題として,例えば教員の体罰やわいせつ行為,あるいは児童生徒からの暴力行為,わいせつ行為などの犯罪行為等に遭遇した場合の対処方法の指導はしなくていいのかという疑問を持っています。
 文部科学省の安全教育や危機管理マニュアルでは,特に池田小以降,不審者侵入など外部からもたらされる危機に関しては記述があるわけですが,学校内部の危機は想定されていないように思われます。
 データ的には,例えば令和元年度のわいせつ行為等に関わる懲戒処分の数に関しては,わいせつ行為等で273人,懲戒処分を受けています。そのうち,免職が153人います。それから,わいせつ行為を行った場面で言うと,授業中20人,放課後23人,休み時間16人,部活動10人,学校行事中6人です。場所に関しては,保健室・生徒指導室,運動場・体育館・プール,職員室,教室。わいせつ行為の態様では,体に触る,性交,接吻などあります。
 要は,危機といったときに,こうした学校内部の危機を想定しておかないといけないと思います。それがレアケース,非常に少ないケースであってもです。体罰による懲戒処分は、令和元年で550人です。ニュース関係で言うと,2017年に私立学校で高校生が新任の教諭の腰を蹴る動画が,SNSで流れました。また2019年に,東京都町田市の都立総合高校で,先生が生徒を殴るシーンが,SNSで流れました。いずれも現在,YouTubeで確認できる事案です。
 安全教育や危機管理マニュアルの中で,学校内部の危機に関してどう記述するか。実際場面で,生徒たちは対教師暴力も誰も止めなかったし,笑って見ていた。それをスマホで録画し,アップしてしまうという状況です。学校内部の危機に遭遇したときに,子供たちがどういう動き方をしたらいいのかという点は,検討したほうがいいと思います。
 二点目は,報告や記録の保存です。先の私立学校の新任教員の受けた対教師暴力であれば,その件を管理職に報告していなかった。特に生徒指導関係では,いじめ防止対策推進法による設置者への報告義務がありますが,いじめを報告をしなかった。あるいは,いじめのアンケート調査をしたにもかかわらず,それを十分確認していなかった。さらに,アンケートなどの重要書類を保存していなかったという基本的な法令遵守が徹底されていないという現状があります。こうした報告の徹底や,アンケート調査等の確認や資料の保存を含めた基本的な法令遵守を,少し強調していただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 いろいろ皆さん,大変重要な御指摘をいただいていまして,ありがとうございます。あと6人の皆さんにお話しいただきますので,これからの方に大変申し訳ない言い方になってしまいますが,少しコンパクトにまとめて御発言いただければと思います。よろしくお願いします。
 今村委員,お願いいたします。

【今村委員】 ありがとうございます。今村です。
 私からは1点だけ,簡単にお伝えさせていただきます。
 いろいろなことのマニュアル整備は本当に全て大切なことなんですけれども,東日本大震災の現場でいろいろなことが起きた1つの原因は,日常的な教員間の心理的安全性の担保がなかったこと、という声を大川小学校の周りの方々からすごくたくさん聞きました。リーダーがその場にいないことだってあるし,指示命令系統が利かないことだってある中で,やっぱり1人でも多くの先生方や子供たちが日常的に心理的安全性を担保した中で,きちっと自分で判断していける状態を目指すことを大切にするというところは,どこかに明記していただいたほうがいいなと思いました。
 牧歌的と思われるかもしれませんが,私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。牧歌的ではないと思います。それは大変重要なことだと思います。どんな状況になっているか分からないという中で考える必要があるかと思います。
 では,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 至民中学校の小林と申します。お願いします。
 マニュアルなんかも学校の中ではきちんと整備されているんですが,子供のことを考えてのマニュアルであるはずなんですけれども,なかなか先生方の目の前の子供たちとそのマニュアルとがかけ離れているというか,ある意味,管理職の仕事であって,自分たちの当事者意識みたいなものも低いかなと。子供を守って,本当に大切にするという最も大事な視点というのが,先ほどの八並委員のお話にあったようなことでも,そうやって薄れてきていることが安全教育につながっていないんじゃないかなと思いますので,1つの方法として,教育課程の中で,安全教育を位置づけること。人権教育にもつながる,子供たちを本当に大事にしていかないといけない,そして子供たち自身には,自分の身を自分で守ると,先ほどから岩本委員や戸ヶ﨑委員がおっしゃっているように,子供たち自身がどのようにこの世の中で生きていくのに自分自身を守ったらいいのかということを学んでいかなければいけないという内容を盛り込んで,それをきちんと教育課程の中で,国語とか算数を学ぶのと同じように,重視した扱いとしての安全教育,ひいては人権教育みたいなことができていったらいいんじゃないかなと思います。また,地域に出していくとか,生徒会とのつながりをつけるとか,そういう活動にもまたつなげていけるような大きな体系がつくれるといいなと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。まさしくキャリア教育ということでしょうね。どう生きていくのか,どうあろうとするのかということが大変重要であろうかと思います。
 では,安家委員,お願いいたします。

【安家委員】 全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の安家でございます。
 私のほうからは,簡単に2つございます。
 1つは,近年,共働きや様々な家庭の事情で,放課後児童クラブに私どもの園を出てから通う子供たちが多くなっております。おのずと帰宅の時間,小学校から帰ってくる時間が遅くなると。夕方17時を超えますと,保護者に迎えに来てもらうということになっているようですけれども,17時までの間も,この時期ですと,もう暗くなっている状況の中で,子供たちが1人で帰るということで,スクールゾーンの設定がされていても,車の往来をどう避けて安全を守るかということが,以前に比べて非常に危険な状況が増大しているのではないかなと,そういう意味での警鐘が1つ必要ではないかということがまず1点。
 それともう一つ,私も様々な国に視察に行かせていただいて,子供たちの環境を見せていただくことがありますが,ニュージーランドやドイツや様々なところで,子供たち,幼稚園や保育園やこども園に通う子供たちの通用門の前の道のところには,かまぼこ形の道路のバンプが設けてあって,そこでは必ず自動車が減速をしなければならないようなことがございます。ところが,日本の場合はそれを設置しようといたしますと,警察や市町村,そして近隣住民の合意,そういうものを取らないと,その設置がなかなか許されないという現状があるように感じています。そういうことを国のほうでどうかするということも難しいですけれども,市町村なり警察なりに,死人が出る前に,そういうふうな措置がきちっとできるということが必要なのではないかと強く感じています。
 先日も千葉県で小学生の子供たちの列にトラックが突っ込むという事件がございましたけれども,ああいうふうに死亡事故が起こってから手当てをしていることが非常に多いように感じるんです。各市町村の中で,そのような形のものが取れればいいなと感じておりますので,ぜひ皆様方の御賛同を得ながら,そういう施策が施行できるように頑張りたいと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。本当に子供たちの安全というのは,我が国の将来にも大変大きな影響を与えるわけでありますので,そのことを考えると,国を挙げて,市町村あるいは省庁の壁を越えてしっかりやっていく必要があるなということを改めて思いました。ありがとうございます。
 神野委員,お願いいたします。

【神野委員】 神野です。よろしくお願いします。
 まず1つ目に,子供たちが,SNSであったりだとか,デジタルということからの身を守るという手段のためで言えば,子供たち自体がちゃんと主体となって学べるためのデジタルシティズンシップ教育ということをしっかりとやっていく,そのような時間を確保することもとても大切だと思っています。
 もう一つ,科学的なアプローチによる事故予防に関する取組の推進という中で,AI,デジタル技術を活用したアプローチによる事故予防ということを書かれていますが,この中で,今様々な自治体が校務支援システム等々を導入していっていて,生徒の出欠状況,保健状況,様々なものをデータで管理できるようになっていると思います。
 ただ,ここって結構,自治体格差もあって,結局どこまでのデータをちゃんと残せているのかということに関するばらつきがあるということが1つ目の課題として上げつつ,先ほど八並先生がおっしゃられていたような,例えば記録が残っていないことだとか,報告ができていないことというのは,もちろん意識してくださいという形で解決できることもあれば,一方で,現場の多忙感だったり,これは記録で全部残していったら,もうまるで実務が回らないよということでもって残っていないものもあると思いますので,そういうことをいかにデジタルでちゃんと下支えしていくか,そういう記録が取れる,さらに言えば,デジタルの記録ということが,例えば学校,設置者,国,さらに言えば,必要があれば保護者等々も見れるような形で常に保存されておくということにおいて,報告ということを学校がせずとも,例えば設置者のほうからアラートが自動的に上がってくる形になっていて把握できる等々のシステムということも実は検討すべきなのではないかと考えています。
 命ということに関しては何よりも大切なものだと思うので,ある意味,こういうデータを使ってでも学校をちゃんと開いていって,どのように介入できるかという余地を残しておくことが大切なのではないかと思っています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。どう使うのかというのは,そういういろいろな課題があると思うんですけれども,これだけ新しいいろいろなシステムを使っていこうというわけですから,もっと使いやすい状態をつくっていくということが大事なのだなということを思いました。
 では,田中委員,お願いいたします。

【田中委員】 ありがとうございます。NPO法人青少年自立援助センターの田中です。
 私のほうからは1点だけ,全てのお取組に共通する視点として,今,学校で学ぶ子供たちが多様化しています。私が日頃支援している外国にルーツを持つ子供たちの場合,地震がない国から来ていたりですとか,お客さんが防災という観点を持っていなかったりというような文化的背景,地域的な背景が異なる御家庭もたくさんあります。多様な子供たちが学校の中で学び,その子供たちの安全を守るということを前提とした視点が各取組に対して盛り込まれることが重要だと思います。
 例えば,危機管理マニュアル評価・見直しのガイドラインや教員の方への研修にも,子供たちの多様性について,多様であることを前提とした防災,防犯の取組,安全教育が行われることということを盛り込んでいっていただけたらと思っています。
 先ほどから委員の皆様から御指摘がありますとおり,ARですとかIT等の活用は,多言語化も容易にしますし,地域連携の点で言いますと,既に自治体や国際交流協会等を中心に地域の外国人の方の防災という観点からの取組というのは進みつつありますので,こうしたITの活用,外部機関の活用等も含めて,多様な子供たちの安全を具体的に守るという視点をぜひ加えていただけたらと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。本当に子供たちは多様化しているわけで,そこのところへの対応というのをしっかりと考えていくということが,本当に全体の安全を守るということにつながるんだということを考えます。ありがとうございました。
 清水委員,お願いいたします。

【清水委員】 ありがとうございます。日本PTAの全国協議会会長をしています清水と申します。
 いろいろと皆様方から言われた意見と同じですが,岩本委員が言われたとおり,PTAに関わる御期待という部分はたくさん自分としても感じております。家庭,地域連携・協働の推進という区分でいきますと,確かにただでさえ学校の先生方というのは,日々たくさんお仕事を抱えている中で,冒頭,大字委員が言われたとおり,先生方だけにお任せする部分ではかなり御負担が多いと思います。
 そういった中で,我々地域の人間,保護者,いわゆるPTAという立場の人間がいろいろと協働しながら,先生方,学校の皆さんとともに協力していく,いわゆるコミュニティ・スクールにつながる部分でもあるかと思いますが,とにかく我々もいろいろと学校の部分について御協力できるところは参加をしていきながら,一緒になってみんなで,学校,家庭,地域ともになって子供たちを守っていく,この基本方針というのはこれからも大事にしなきゃいけませんし,より大切にしなきゃいけない部分だと思いますし,また,通学時の安全については,日頃からPTAもいろいろと,ここについてはしっかりやらせていただいておりますが,まだまだ足りない部分があるかと思いますので,しっかり強化をしていきたいというところでございます。
 以上,意見です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。子供たちを真ん中にして,学校,地域,家庭が本当に協力をしていくということが大事かと思いました。ありがとうございました。
 では,今たくさんの委員の皆さんから非常に具体的かつしっかりと考えていくべき視点を御提供いただいたわけです。これをお聞きいただいて,石塚課長からもし何かコメントがございましたらお願いいたします。それと,最後に,この答申素案をおまとめいただいております部会長の渡邉先生からも,一言いただければと思います。

【石塚男女共同参画共生社会学習・安全課長】 文科省の石塚です。本日は貴重な御意見,我々が気づかない視点なども非常に広くいただきまして,感謝申し上げます。このような視点も踏まえて,修正作業を進めていきたいと思います。
 特に,印象に残ったところでございますけれども,子供の視点,子供の主体性,そういったキーワードもあったかと思いますので,幅広い意見をいただきましたので,可能な限り事務局でも対応していきたいと考えております。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では,渡邉部会長,お願いいたします。

【渡邉(正)委員】 部会長を務めております,渡邉正樹です。
 今日は非常に貴重な御意見,ありがとうございました。
 私たちのほうでは,もう8回ほど話合いをしまして,いろいろな立場からいろいろな情報提供,あるいはこれまでの推進計画の見直しなどを図ってきておりました。もうすぐまとめる段階に入っていくんですけれども,今日いただいた御意見も踏まえまして,また,大臣からの諮問も踏まえた上でまとめていきたいというふうに思います。また御審議いただくと思いますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。引き続き,よろしくお願いいたします。
 それでは,議題の2つ目に入りたいと思います。「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況について,平野教育人材政策課教員免許企画室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 失礼いたします。総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室長の平野と申します。
 本日は議事2といたしまして,「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況について御説明をさせていただきます。
 まず,資料のほうでございますけれども,最初の説明では資料2-2を使わせていただきます。パワーポイントの資料でございます。
 今回の特別部会というものについては,今年の春に行われました「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成,採用,研修の在り方を包括的に検討していくという諮問に基づいて,総会直下に設置をされたところでありまして,この中で諮問に応えて検討を行っているところでございます。
 その中では,多岐にわたる諮問事項がされているわけでございますけれども,教師と質と量の確保を両立していくという観点からの教員免許更新制の見直しについては,先行して結論を出すように諮問の中で求められていたところでございます。
 こちらのほうが「令和の日本型学校教育」を担う教師の学びの姿の実現に向けて審議まとめというものでございますけれども,特別部会において,また,特別部会に免許更新制の小委員会というものを設けて議論を行ってきたというところでございます。
 内容については,既に報道等がされているところでもございますけれども,改めて簡単に御説明をさせていただきます。
 教員免許更新制というものについてというところで諮問は行われたわけでございますけれども,今回は,単に教員免許更新制だけを見るのではなく,「令和の日本型学校教育」というものを担う教師の学びの姿というところ,基本的なところに遡って検討を行ったということでございます。
 一番上の部分でございます。教員免許更新制度導入後,どのような社会的変化があったのかということでございます。1つは言わずもがなでございますけれども,社会的な変化の速度が向上して非連続化したということ。このような中で教師の学びの姿というものも変わってきているということでございます。
 具体的に申し上げれば,教師の学びの在り方というものも,社会が日進月歩で進化していく中で,たゆみなく学び続ける必要が高まっていること。また,教師の学びの在り方というものも,知識伝達型のコンテンツというものを受け身の姿勢で学ぶだけではなく,日々の自らの経験や他者から学ぶといった現場の経験を重視した学び,このようなことが重要になってきているということを踏まえ,地域や学校現場の課題の解決を通した学びなどを自律的に深めていくことが必要になっているということ。
 また,より多様な専門性を有する教職員集団を構築するために,教師一人一人の専門性を高めていく必要があることから,個別最適な学びというものを進めていく必要があること,このようなところがあるわけでございます。
 2番目でございますけれども,教師の研修環境の変化ということでございます。平成28年に教育公務員特例法が改正されまして,公立学校の先生については,教員育成指標というもの,また,教員の研修計画というものがしっかりと法的に位置づけられて,それに従った体系的な研修というものが進められつつある状況にあるわけでございます。
 また,国公私,地域の別を問わないオンラインによる研修コンテンツということで,例えば,つくばの独立行政法人教職員支援機構のほうで配信をしております校内研修シリーズというものが150万回を超える再生がされるようになるなど,研修環境というものが大きく変化しているというところがあるわけでございます。
このようなところを踏まえまして,次の「令和の日本型学校教育」を担う教師の学びという部分でございますけれども,そもそも,「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師というものにはどのような学びが求められるのかという部分を,「新たな教師の学びの姿」ということで再定義したということでございます。
 項目1つ目,学び続ける教師ということでございます。ここの部分は言うまでもないことでありますけれども,先生方はそもそも学び続ける存在であるということが教育基本法などで期待されているわけでございます。時代の変化が大きくなる中で,常に学び続けていくということがより求められるようになってきていると,このようなことでございます。
 2つ目でございます。教師の継続的な学びを支える主体的な姿勢ということでございます。先生の学びというものが絶え間なく継続的に,また,個別最適な形で進めていく上で必要になるような基本的な前提というものは,変化を前向きに受け止め,探究心を持ちつつ,自律的に学ぶという教師の主体的な姿勢ということでございます。このようなものがしっかり大切にされていかなければならないということでございます。
 3つ目でございます。個別最適な教師の学び,協働的な教師の学びということでございます。先ほども少し触れましたが,教師が自身の強みを伸ばすための学びというものについては,より高度な水準も含めて,一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びでなければいけない。さらに,教師としてふさわしい資質能力を広く身につけていくためには,個別最適な学びとの往還というものも意識しながら,対話,振り返り,このような機会を適切に確保するなども含め,協働的な教師の学びというものを重視していく必要があると,こういうメッセージでございます。
 右上に行っていただきまして,適切な目標設定・現状把握,積極的な対話ということでございます。教師の学びというものが,具体的な目標に向かって体系的・計画的に行われることが必要であると。このようなことを踏まえまして,今,自分がどのようなところを身につけているのか,そして将来どのようなところを身につけて目指していきたいのか,このようなところをしっかりと設定していく必要があるわけでございますけれども,これについて,もちろん教師一人一人の思いというものを大切にしていくということに加えまして,教師と任命権者や服務監督権者,学校管理職等が積極的な対話を行うことで,組織で求められる内容であるとか,また,客観的な視点を取り入れた形で姿を設定していくということが必要だと,このようなことが盛り込まれてございます。
 質の高い有意義な学習コンテンツということで,学ぶ内容というものについても,しっかりと到達目標というものが適切に設定され,効果的な内容となっている必要がある,このようなことが含まれてございます。
 また,学びの成果の可視化と組織的共有ということでございまして,一人一人の先生が一体何を身につけ,できるようになったのかということが分かる状態になる,そして,周りの方々にもそれが伝わるようにしていくと。このようなことによって,個々の学びの成果というものを学校全体の教育力の向上にもつなげ,ひいては子供たちの学びの充実にもつなげていくと,このようなメッセージが盛り込まれているところでございます。
 さて,このような新たな学びの姿というものに立ち返って検討をした上で,これを実現するために何を実現すべきなのかというところが2ポツでございます。
 新たな学びの姿に向けて早急に講ずべき方策ということで,1つ目でございますけれども,公立学校の教師に対する学びの契機と機会の確実な提供というところでございます。
 審議まとめの中では,文部科学省において,任命権者が,教師が教員研修計画に基づき受けた研修の履歴等を記録,管理し,当該履歴を活用しながら任命権者,服務監督権者,学校管理職等が教師との対話を通じて,教師に計画的かつ効果的な資質の向上を図るための研修の受講を奨励すると,こういうことを義務づけることを検討すべきであるということでございます。
 しっかりと先生方が学んだ内容というものを記録,管理いたしまして,その記録に基づきながら,次にどういったところを目指していくのか,このようなところを管理職などとしっかり先生たちがキャッチボールをいたしまして,それの状況というのを踏まえたふさわしい研修の奨励というものを,しっかり任命権者,管理職等が行っていく,このようなところを目指していってはどうかということでございます。
 その際,研修,学びというものについては,いわゆる座学で一方的に受けるというもの,また県教委が行うもの,こういったものに限られるものではありませんで,市町村教育委員会の行う研修であるとか,また,学校における校内研修や授業研究なども含めてしっかりととらまえていくということが必要であると,このようなメッセージが含まれてございます。
 一方で,任命権者が当該履歴を記録,管理する過程で,期待する水準の研修を受けているとは到底認められないような先生については,場合によっては職務命令による研修の受講や,職務命令に従わない場合の適切な措置を講ずることも可能性としてあり得るわけでありまして,このような考え方というものについては,しっかり国が定める指針等の中で明らかにしていくと,このようなことが盛り込まれてございます。
 2つ目の丸でございますけれども,現職研修というものをさらに充実するという観点から,教育公務員特例法に基づく指針を改正するといった内容が盛り込まれてございます。
 この指針というものは,教員育成指標や教員研修計画を策定する際に,任命権者の側が参酌していただく指針ということになるわけですが,この中に今,我々の部会のほうでも検討しているような,時代の変化に応じて教師が身につけるべき資質能力,このようなものをしっかりと盛り込んでいって,何を学んでいったらいいのかということをしっかり明確に伝えていこうということでございます。
 これに加えまして,国公私立の先生を通じて資質能力を向上する機会の充実でありますとか,教職に就いていない方に対する学習コンテンツの開発,このような内容が盛り込まれておるところでございます。
 その上で,3番でございます。2番のほうは早急に講ずべき方策ということで,すぐにでも取り組もうということでありますが,3番は少し検討を要する部分がありますけれども,準備が整い次第,講ずべき事項ということで盛り込まれているものでございます。
 1つ目は,研修履歴を管理する仕組みの高度化ということで,研修受講履歴管理システム,ちょっと概要のほうは仮称という表記がついておりませんけれども,こういったものをつくっていくということを検討してはどうか。今,都道府県さんそれぞれで,教員の方の研修の履歴というものについては管理されている実態があるわけでありますけれども,例えばこれを全国的なシステムとして都道府県教育委員会,また,教職員支援機構が参画するという形でつくっていってはどうかと,このような内容が盛り込まれております。
 また,このようなシステムとの連動というものも意識しながらでございますけれども,新しい姿の高度化を支える3つの仕組みということでございまして,オンデマンドのもの,オンラインのもの中心ということかもしれませんけれども,その学習コンテンツというものをしっかりと質保証していくという仕組み。また,全国の優れたコンテンツ,これは大学が有償で提供するものも含まれるわけでありますけれども,このようなものについてワンストップで情報を集約して適切に整理・提供するプラットフォームのような仕組みをつくっていってはどうか。また,学びの成果を可視化するために,ある先生が体系的に特定の分野について学びを行ったということを証明する仕組み,このようなものも考えていってはどうかということが盛り込まれてございます。
 その過程で,教職員支援機構の果たすべき役割ということで,このシステムの構築・運用の参画や,3つの仕組みの構築・運用という部分の役割が期待されるということ。また,任命権者等との共同の方向性,標準的なコンテンツの作成,このような期待が盛り込まれているところでございます。
 さて,今,2ポツ,3ポツということで,新たな教師の学びの姿というものを実現するために何を行えばいいのかということを,一旦,教員免許更新制から離れて考えたところについて申し上げたわけでございますけれども,最後,この新たな教師の学びの姿と教員免許更新制というものの関係をどう考えるのかという部分が左下の黄色い部分でございます。
 教員免許更新制は,教師の学びの機会の拡大,大学というところが,その養成段階のみならず,現職教師の方々の資質向上というところにしっかりと携わっていただけるようになったということ。また,例えば大学のほうにおいても,教師の資質能力というものを向上していく上で非常に効果的なコンテンツというものの開発が進んだと,このような実績というところはあるわけでございますけれども,更新をしなければ職務上の地位の喪失を招きかねないということから,この新たな学びの姿の中核であるところの主体的な姿勢というところとの関係をどのように考えるのか。また,常に学び続けていかなければいけないというメッセージがある一方で,更新講習というのは10年に一度,2年間学ぶと,このような仕組みであることをどう考えるのか。
 個別最適な学びというものを先生方が進めていく必要がある中で,やはり免許更新制ということになりますと,免許というものを取得したときの内容,水準というところにひもづけされるという側面がございます。このようなところをどのように考えるのか。
 今後,現場の経験,授業研究,校内研修,このようなものも含めた幅広い学びというものをしっかりととらまえて重視していく中で,例えば今で申し上げますと,講習を30時間受けて修了する,このような厳密な成果管理,時間管理というものと,そのような現場の経験の学びというものがなじむのかといったような問題。
 最後でございますけれども,免許状更新講習というのは,個人の権利であるところの免許を更新するという仕組みになりまして,その更新の方法とか時期というのは本人に委ねられているところでございます。また,先ほど申し上げた質の高い教職員集団を構築するという観点から,組織的にしっかりと教師の学びの成果というものを生かしていくという必要がある中で,組織的なものとする上で更新制というところはやはり限界があるのではないか。このようなことも踏まえまして,右でございますけれども,教員免許更新制が制度的に担保してきたものが代替できるというようなところが出てまいりましたので,この2ポツの早急に講ずべき方策というものと同時に,教員免許更新制を発展的に解消し,新たな教師の学びの姿と実現すると,このようなところを提言いただいたということでございます。
 要約版というものがその次の資料2-3でございますけれども,今内容を説明したようなところが多いわけでありますが,実はこの中の11ページに「おわりに」というものがございます。こちらについては,ポンチ絵の中に,スペースの都合上,盛り込めていない部分でありますけれども,11ページの下の部分から12ページの内容というものが,この審議まとめというものについての大事なメッセージが盛り込まれてございます。
 この審議まとめの重要なメッセージというものは,学びに専念する時間を確保した教師が自らの専門職性を高めていく営みであると自覚し,誇りを持って主体的に研修に打ち込むことができるという姿の実現を目指していくということであると。
 また,教師の学びの内容の多様性,現場の経験も含む学びのスタイルの多様性を重視し,教師の個別最適な学びとともに協働的な学びを実現することが必要であると。教師の個別最適な学び,協働的な学びの充実を通じて,主体的・対話的で深い学びを実現することは,児童生徒の学びのみならず,教師の学びにも求められている。
 マル2番でありますけれども,このような姿というものを実現するために,学校における働き方改革を進めるとともに,特別部会のほうにおいても引き続き必要な検討をしていくんだということ。
 マル3番でございますけれども,この教員免許更新制の成果というものを継承し,新たな教師の学びの姿をより高度に実現していくために,早急に講ずべき方策はしっかりやっていきながら,システムの話,3つの仕組みの話,このような新たな学びの姿を高度化する仕組みの具体化というものを速やかに進めていくと,このようなことが求められているところでございます。
 この審議まとめについては,11月15日に特別部会というところでまとまりまして,文部科学省においては,次の通常国会の法案提出を目指して,現在,法制的な検討,調整に着手をしているという段階でございます。
 まず,この1点目の審議まとめの内容についての説明は以上とさせていただきます。
 続きまして,資料の2-5のパワーポイントを御覧いただきたいと思います。
 この特別部会というところは教員免許更新制のこと,教師の新たな学びの姿のことだけを議論しているわけではなく,中央教育審議会のほうにいただいている,教師の養成・採用・研修というものについての包括的な諮問に応えるという観点から審議を行っているところでございます。
 今年の春から数度にわたり特別部会で議論をしていたわけでございますけれども,今後また,残された期間というものについて集中的に審議をしていくという観点から,基本問題小委員会というものを設けまして,専門的な議論を深め,来年の夏頃までに一定の結論を得ていきたいということでございます。
 それでは,その中で何を検討していくのかということがこの資料2-5で挙げられているものでございます。これは項目しか挙げられてございませんが,資料の2-4にワードファイルがついてございまして,こちらのほうには詳しい内容が書かれているところでございます。この検討の方向性というものに沿って,今後,基本問題小委員会を中心に審議を深めていくべき事項を挙げていっているというふうに御理解を賜れればと思います。
 その上で,これまでの議論としては,教師個人と学校組織の在り方,学校管理職に求められる役割,新たな教師の学びについて,多様な専門性を有する質の高い教職員集団を構成するための人材の育成,このようなことについて行ってきたわけでありますが,今後の検討の方向性というところで大きく4点,養成,採用,社会人等の登用促進,研修というふうにカテゴリーをした上でそれぞれ挙げてございます。
 養成の部分,教師に求められる基礎的な資質能力と教職課程の見直し。教師にどのような資質能力が求められるのかというところを明らかにした上で,それを実現する教職課程をどのように実現していくのか。
 続きまして,右側,教員養成大学・学部,教職大学院の機能強化・高度化。このような教職課程を担う中心的な存在,また,教職大学院のような現職教員の資質能力の向上というところも含めて非常に重要な存在であります。この辺りの高度化をどのように図っていくのか。
 特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用というのをどのように行っていくのか。一人一人の先生が,先生の個性や能力というものに応じて,特定の分野に力を発揮していただけるように,どのように養成していくのか。
 教育委員会と大学,教職大学院と連携協働して,地域全体としてこの養成というものをどういうふうに行っていくのか,このようなことが今後の検討の方向性でございます。
 採用につきましては,教職への志望動向というものについてしっかりと実態把握を行っていくということ。また,採用に当たっての人物重視の多面的な採用選考というものをどのように実現していくのかということ。教員採用選考試験の実施スケジュールというものについてどのように考えていくのかということ。効果的・効率的な教員採用選考試験というものをどのように実現していくのかということ,このような点について検討を深めてまいりたいと思ってございます。
 社会人等の登用促進ということでございますけれども,これは従来から言われているところでもございますが,特別免許状制度というものをいかに改善していくのか,活用されるようにしていくのか。特別非常勤講師制度というものも含めてしっかりと検討してまいりたいと思っております。
 また,教員資格認定試験というものが今行われていて,教職課程を経ない方が、試験で普通免許状というものを取得することができるわけでありますけれども,この試験の見直し,活性化というものをどのように図っていくのか,このようなことも検討課題として挙げられてございます。
 研修については,先ほどの新たな教師の学びの姿という部分とかぶる部分もございますけれども,学校管理職,特に校長に求められるような資質能力というものについてもしっかりと考えていくということが必要だろうと。
 先ほどの審議まとめの中では直接触れませんでしたけれども,やはりこのような新たな学びの姿というものが現場で実現できるのかという観点では,管理職のマネジメント能力という部分が極めて重要であると,このような御指摘もいただいているところでありまして,先ほどの審議まとめというものと同じ方向を向いて,連動させながらしっかりと審議を深めていただくということを予定しているものでございます。
 雑駁な説明で恐縮でございますけれども,「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議の状況について説明をさせていただきました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今,御説明いただきましたことにつきまして,御質問,御意見を頂戴したいと思います。先ほどと同様に,手を挙げるのボタンを押していただければと思います。
 この特別部会での議論が,これからもまだ続くということでありますので,今日の時間内にいただけない御意見につきましては,事務局のほうにメール等でまた御意見を頂戴できればと思っております。
 では,神野委員,まずお願いいたします。

【神野委員】 よろしくお願いいたします。神野です。
 すばらしい検討の結果だと思っていて,教師自体が学び続けるような方向性についておっしゃるとおりだと思っています。
 現状,何かこう,学校現場を見ていると,ある意味学び続けている先生方もいらっしゃる中で,その先生方自体が,自分の学び続けたことをどのようには発揮していくのかということに関して結構悩まれている方々が多いのかなとも思っていまして,今後の校長先生の在り方だったりとか体制の在り方というところで御検討されるかもしれませんが,ある意味,学び続けた先生が自分でチャレンジする,学級だったり何かに自分の学びを発揮する際に,少しこう,何でしょうね,チャレンジとして起こって失敗してしまうようなことがあったときに,それをどのように考えていくのかとか,周りの学年,クラス同士,学年同士でそういうチャレンジをしているところ,していないところの差分が出たときにどのようにするのかなど,そういうふうなことに関しての文言というところが整理されていくことが,現場にとっては安心感につながるんじゃないかなというふうに思いました。
 すいません,以上になります。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 それでは,若江委員,そして小林委員,渡辺弘司委員,松木委員,戸ヶ﨑委員の順で御発言をいただきたいと思います。
 若江委員,お願いいたします。

【若江委員】 ありがとうございます。教育コーディネーターとして各地の現場に関わらせていただいている,その実感から意見を申し上げたいと思います。
 常に荒瀬部会長より,令和の日本型教育の実現というのが非常に重要だということを伺っております。先ほどの御説明の中にも,教師の質と量の向上というのが不可欠だということでお話がございました。私は,それを実現していくためには,触れられていたような,管理職のマネジメント力ももちろんですけれども,指導主事の質と量の向上がとても大切ではないかと考えております。
 要は,指導主事の役割が,これを実現していくには極めて重要で,一方,多くの指導主事は,長年経験をしておられる方もいらっしゃいますが,極端に言うと,つい3月までは教員だったという方が4月から指導主事になっておられるというケースも少なくないはずです。そんな状況で,GIGAスクールだ,探求だとか,個別最適化,APというふうに,特に高校の場合は新しい学習指導要領の導入がもう目前に迫っていて,本当に現場が新しいことに先駆けて対応しようと奮闘しておられる様子を拝見しております。
 特に高校の場合には,地域創生など社会と直結するプロジェクト,要するに探求を求められる状況ですので,そういう点では,指導主事の質の向上のためには,単なる研修ではなく,やはりOJT型での,要するに伴走型での研修というふうなものが非常に有効だと,幾つかの県教育委員会と実施をさせていただいて実感しているところです。
 ですので,これを実現していくためには,指導主事の支援の在り方,育成の在り方についても取り上げていただくのが必要ではないかなと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 それでは続きまして,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 至民の小林でございます。
 研修について,本当に一つの提案なんですけれども,やっぱり変わりゆく世の中に応じて学び続けるということはすごく大事なことなんですが,なかなか難しくて,義務づければやらされ感が増す,やらされなければやらない,なので,先生方に自主的に学んでもらうというのはすごく難しいなと思うんですが,やっぱり履歴システムなどで,例えばポイント制みたいにするということになれば,どうしても何というか,研修が個人のものになってしまって,そこにやらされ感が生まれてくるんじゃないかなと思っていて,例えばなんですけれども,同じ学校の中でという単位でもいいし,市単位でもいいと思うんですが,同じような研修年数の実績の年数のような人たちの小グループでの共同体制での研修みたいなものが設けられないかなと。時には助け合い,時には励まし合うみたいな,そういう仲間づくりみたいなものが先生の中にあると,人から学んで,あるいは人に与えるというような,互いのよさを吸収できるような,そんな仕組みが出来上がるといいなと思います。それをどういうふうにやっていくかということはなかなか難しいんですけれども,一つの御提案とさせていただきます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 今,先生がおっしゃいましたのは,ラウンドテーブルのような形といったようなことをイメージなさっての御発言でしょうか。

【小林委員】 そういう一つの形もあると思うんですが,研修そのものが,例えば年間通してあるグループが組まれていて,その方々同士で1年間研修していくというような,そんな形にできないものかなというようなことです。

【荒瀬分科会長】 なるほど。具体的には,県とかあるいは政令市等の任命権者との話の中での具体の形かと思います。大変重要な御提案だと思いますので,ぜひ先生のいらっしゃるところでも御提案いただいてお話合いをいただければと思います。
 一つだけ。研修は教師の務めでありますので,そこのところが,しなくてよいというものでは全くなくて,やるのは法律上決まっていることで,ただ,そのやり方にどうしたら主体的な学びになっていくのかということを考えるということが大事であるというふうに思います。もう御承知のことかと思いますが,改めて申し上げました。
 では,渡辺弘司委員お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 日本学校保健会と医師会の渡辺でございます。簡単に4点,意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず1点は,教員免許更新制度の発展的な解消ということでございますけれども,この方針に関しては基本的に賛成をしております。
 ただ,そもそもこの制度を設置した理由というのは,教職員の質の確保がそれまでの体制では不十分であったためではないかというふうに理解をいたしております。発展的な解消をするのであれば,質の確保をどう担保するかというのを具体的に示される必要があるように思うわけです。
 このたびの対応として,受講の可視化とかコンテンツの整備,オンラインの活用等々示されておられますけれども,この内容で本当に質が担保できるのかというのがちょっと気になってお聞きしている次第であります。
 このたびの対応に関して,言い換えると,教師の先生方の自主性とか自覚に委ねるというふうに戻る。つまり,本来教師が持っているべき考えに頼っている生徒というふうに思うわけです。でも,これができていなかったから更新制度を導入されていたのではないかというふうに考えますと,今回の御提案で,果たして円滑にうまく向上されるのかというのがちょっと気になったので,ぜひ機会があれば文科省の見解をお聞かせいただきたいなというふうに思っております。
 2点目は,コンテンツに関してでございますけれども,コンテンツを,研修の省略や構成を教職員支援機構に一元化するような書き方のように思うんですが,本文には研修の多様性を重視したという方針もありますが,それと相反することにならないかというふうに危惧をいたします。大学や民間団体や教育委員会等が実施している研修もやはり重要でありますので,それも尊重して,本文中にありますように,ベストミックスの研修というふうに書いていただいたらいいかなというふうに思いました。
 3点目は,先ほどから出ております研修に対するモチベーションのことでございます。学びの成果が可視化され,活用化されるということに関してはよいと思うんですけども,もともと研修は,今座長がおっしゃられたように,研修を受けることが目的ではなくて,質を担保することにあるというふうに考えます。そのためには,研修を受けた後,試験等によりまして知識や技術を獲得したことを評価する必要があるように思うわけです。
 また,それを評価した場合は,それを何らかの形で現場に反映することがよいと思います。例えば,ある分野の専門的なものを受けた場合,それを承認し,インセンティブを働かせることが重要ではないかと考えるわけです。質の向上が学校現場で評価されることによって,個々の研修に対するモチベーションが上がってくるんじゃないかというふうに考えるわけです。
 最後に,研修の在り方に関しまして,コンテンツをオンラインなどで活用して,個別に活用するという御提案が主体のようでございますけれども,配慮すべきは,以前にも申し上げたかもしれませんが,いつ研修を個人が受けるかという点にあると思います。働き方改革で学校における業務を軽減したとしても,これまでの公的な研修ということで受講していた研修を,自宅や個人の時間を費やして受講させるのでは本末転倒ではないかというふうに危惧しているわけです。個人が研修を受けることができる時間枠を考慮した体制をぜひ提示していただければよいのではないかなというふうに思います。
 以上4点でございます。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。平野室長から後から答えていただきますが,ほかにも出るかもしれませんので,まとめて最後に答えていただきたいと思います。
 では,松木委員,お願いいたします。

【松木委員】 松木です。今回のまとめに関わっておりましたので,改めて振り返って考えたことを1つお話をしたいと思います。
 今,渡辺委員さんからお話しされたことにも関連していきますが,今回のまとめは,教員免許更新制を発展的に解消し,新たな教師の学びの姿を実現する,教師の専門性の高度化を進めていくということがまとめになってくるかなと思います。そのときに,教職員支援機構の果たす役割というのが非常に大きくなったというふうに思っています。
 一方で,支援機構を眺めてみますと,マンパワー的にも十分それに応え得るだけの機能を今は持ち得ていないような気もいたします。
 そういったことを考えたときに,任命権者との共同,このことについては,今回うたうことができたなと思いますが,これに加えて,教師の主体的な学びを保障するための開発研究等も含めて,これまでの研修を担ってきた大学をうまく活用するということ。例えば,クロスアポイントメント制度を教職員支援機構が持つといったようなことや,研究開発についての協働を組むといったようなことが,今後,支援機構にとって重要になってくるんじゃないかなと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。アドバイスをいただきまして,大いに参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 戸ヶ﨑委員,お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 今回は私の意見ではなく,印象的であった現場の声をいくつかお伝えしたいと思います。
 まず1つ目は,毎年,初任者を対象として教育長と語る会を行っていますが,今年の初任者が次のように述べていました。
 「教師を目指した理由として,大学のとき塾のアルバイトをしていて,子供の『わかった』の声を聞くことがうれしくて,いつか必ず教師になりたいと思っていました。就職活動時に,民間企業で経験を積んでから教師になることを勧められ,社会人になり,その後,結婚・出産・子育てを経験するうち,教師になりたかった気持ちが再熱し,一念発起して教員免許を取得し,今年から念願の教師になりました。がんばります。」
 是非ともこういう人たちも,教職を諦めず夢を果たせるしくみづくり,が重要であると思います。
 また,初任者全員に「現在,大学でもっと学んでおきたかったと思う内容」を聞いたところ,ほとんどの初任者がICT利活用と特別支援教育をあげていました。さらに,教職の単位を取ることについて,教育学部でない場合には,教職課程が夕方に集中することが多く,アルバイトをする時間もないほどで,途中で断念した友達も周囲にいたという声も複数聞かれました。
 2つ目は,「新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議のまとめ案)」を現場に落とし込むことが大事と考え,市内小中学校の校長全員に読んでもらい,全員から率直な感想を聞きました。印象的であったものを短く紹介いたします。
 「審議のまとめ案は非常に大切な内容ばかりで,校内研修でも活用予定である。今後どの学校でも新たな教師の学びの姿の実現に向けて努力をしていくと思うが,懸念していることがある。希望に満ちた新年度に,教員が定数に足らず未配置のままの状態で4月の職員会議を迎え,重たい気持ちを引きずって新学期を迎えている学校は珍しくない。教員不足の状態で教育活動を進めることで,一部業務負担が増大し,場合によって病休者が出るなど悪循環となっている。その状況を,教師を目指す実習生などが見たらどう思うのか,採用試験の倍率が下がるのも頷ける。意欲や希望に支えられた“新たな学び”でないと十分な成果は期待できないのではない。決して贅沢は言わないが,人的・物的保証という礎の上にこそ期待できる“新たな学び”であると思う。」とありました。重く受け止めたいものです。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,宮澤委員,お願いいたします。

【宮澤委員】 全日中会長の宮澤でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは,「令和の日本型学校教育」を担う教師の学び,その中の,新たな教師の学びの姿の実現に向けて早急に講ずるべき方策,ここについてお話しさせていただきたいと思います。
 教職員支援機構でオンデマンド型の講座を開設していただいた。これにより受講する教員がもう2倍以上に増えたということは非常にいいことだと思います。これはなぜか。教師が自分の都合で見られるときに見てきた,受講する環境整備ということになっていたと思うんです。
 そういう点で見ますと,早急に講ずべき方策,研修を受講させる側の視点かなと見てとれます、機会を提供するんだというようなところが多く見られます。
 受講する立場としては,教職員支援機構が行っているような受講できる環境整備,これをぜひ進めていただきたい。先ほど堀田先生からもありましたが,教師は,基本的には学びたいというところはあるんですが,学ぶ時間がないというような今の現場を考えますと,受講できる環境整備というのもここに入るとうれしいなと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 今おっしゃったことは,今後の特別部会での議論の中でまたお願いをしたいと思います。初中分科会は,今,特別部会が審議まとめをなさったということで,メンバーが重なっている方が私も含めて何人かいらっしゃるわけですけれども,具体的にこの審議のまとめは一応決まっているもので,もう大臣にもお渡ししているものでありまして,したがいまして,特別部会での議論にこれからぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 井坂委員,お願いいたします。

【井坂委員】 井坂です。お願いします。
 御説明を伺いまして,最後の資料2-5、特別部会の検討の方向性の最後の部分にありました,学校管理職,特に校長に求められる資質能力の明確化という部分を現職の校長としては重く受け止めました。
 特に,校長というのは教職の延長線上のキャリアステージというだけではなく,校長という別の職であるということを再認識することが重要であるという,これが今後の検討の方向性とありまして,また,前半の学校安全に関するところにおいても,やはり校長のリーダーシップが問われているかと思いますので,襟を正して聞いていたところでございます。
 私は,新任校長などに対して,いろいろと研修とか講話をする場面があり、まさに校長職というのは,違うんだと,立っている位置も違うし,物の見方も違うんだということを伝えるような形でお示ししております。
 それで,実は,お話の中にあった中で,(音声中断)。

【荒瀬分科会長】 先生,すいません,ちょっと今お声が聞こえなかったんですが。

【井坂委員】 いかがでしょうか。

【荒瀬分科会長】 聞こえました。ありがとうございます。

【井坂委員】 ごめんなさい。すいません。

【荒瀬分科会長】 最初のほうは聞こえていたんです。つい今のところから。

【井坂委員】 すいません。協働的な学びというものが教員に求められていることでいいますと,学校の先生というのは,大体企業に入って組織で生きていくよりも,職人とか名人とか呼ばれるように,あの先生はというふうになりたくてなった先生がかつては多かったと思うんです。そういう意味では,協働的な働き方とかに対して,どちらかというと後ろ向きの方が学校の先生になったんじゃないかという者もいたのではないかと経験的に思うわけです。
 ただ一方で,申し上げたいのは,最初の神野委員のほうからも,学んだことが生かせるような職場が必要であるというお話がありました。そのとおりだと思います。結局,学校の教員は当然授業がメインですけども,すべての仕事の仕方として,分掌の仕事であったり様々な仕事がある中において、須らく組織マネジメントを意識した、協働的な在り方が求められると思っております。この間,前回の部会において、生徒指導について、私は生徒支援という言葉がいいんじゃないかって申し上げたんですけれども,生徒支援もこれは1人ではできません。チームでやっています。ですので,管理職の校長のリーダーシップをこれから考える上におきましては,生徒に対する授業もそうですけれども,いわゆる教員のなりわいというか仕事の仕方においても,学年であったり,分掌であったり,プロジェクトを組んで,仕事というのは協働的に働くんだと,そんなこともお書きになっていただくとありがたいと思います。
 私は校長として,よく職員には,まず,みんなと仲よく話合うことができることが最大の評価だよと言っております。まさに協働的な働きができるということが,協働的な学びと同じでしょうけれども必要かと思っております。
 もう1点すいません。これから研修の形ということで,いろんな形で個別最適な学びというものを御用意いただけるという方向性を打ち出していただいたのはありがたいんですが,さっき申し上げたように,私は逆に,県の中では研修を打つ立場に何年かおりました。そのときに,研修をした場合の成果測定というか,この研修はどれぐらい意味があったということを,一体どうやって測定していくかということ,ぜひ研修を受ける側のこともありますけれども,つくる側に対しても,先ほど若江委員のほうから指導主事の力量も大事だという話がありましたように,研修をつくる側におきましてもどういうところに留意するかとか,成果に結びつくような,そんな視点も書いていただくとありがたいと思っております。
 現職の校長として,いろいろと興味深く読ませてもらいましたけれども,この2点についてお話しさせてもらいました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,杉本委員,お願いいたします。

【杉本委員】 ありがとうございます。全高長の会長,杉本と申します。よろしくお願いします。
 私のほうからは,資料2-5を見ながらお話をさせてください。
 こちらのほうに検討の方向性が示されております。教師自体が学び続けることは最も大事だと思いますし,常に新しく知識や技能をアップデートするということは,我々教員にとって重要なことだと思っております。
 一方,ここに書かれている採用のことについて,最近やはり採用試験の倍率の低下が叫ばれて久しいと思います。民間との競合,あるいは教員そのものの勤務実態,いわゆるブラックな企業であるというふうな評価も否めないところがあるかと思います。この辺りについては,実態把握というふうに書かれておりますので,ぜひ実態を把握していただきたいなと思っております。
 私が言いたいのは,ここで2点ほどあります。
 1つは,児童生徒の個別最適な学びというのは今後重要になってくると思いますけれども,これを実現するためには,1クラスの人数を削減するということもやはりセットにしていかなければ個別最適な学びにつながらないだろうというふうに思っております。
 また,GIGAスクール構想の実現という中では,教員のほうでもこれを充実させるためにICTを活用した教材研究というのは進んでおります。しかし,そのためには,やはり開発するための時間がどうしても必要になってきます。というならば,例えば小学校であるならば教科担任制を進めていく,中高であるならば,それぞれの教員の持ち時数を少なくするといった方策なども,やはりこれもセットでやっていただかなければ,ビルドばかりでは進みません。スクラップもぜひお願いしたいと思っております。
 ぜひ学生にとって魅力ある職場となるような環境整備も併せてお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。採用倍率の低下というのは特に小学校で著しく,2倍を切っているところも大変増えてきています。本当に今おっしゃったように,魅力のある仕事であるということがきちんと伝わらないといけませんし,もっと本当に魅力のあるものにしていく必要がありますし,そもそも一体何が魅力なのかということを考えていく必要もあるというふうに思っています。そういったことを含めて,今後また議論をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 あと,田中委員,堀田委員,大字委員,吉田信解委員の順でお願いしたいと思います。吉田信解委員のところで,すいませんがこの案件に関しましては切りたいと思います。その後,平野室長からコメントを頂戴いたします。
 それと,加治佐委員が御出席かと思いますが,このまとめに関しまして,教員養成部会長として深く関わっていただきました加治佐委員からもコメントを頂戴したいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 その後,その他ということなんですけれども,今日はちょっとまだ,もう一つ議論をしていただきたいことがございますので,そのような段取りであるということを御了解いただいた上でお願いいたします。
 では,田中委員,お願いします。

【田中委員】 ありがとうございます。青少年自立援助センターの田中です。
 私のほうからは,現場で時折,学校の先生方の対象に外国人児童生徒に対する教育支援というところで講演などをさせていただく機会があるんですけれども,そうした中で,学校の中で外国人児童生徒を担当されている先生方ですとか,あるいは外部の支援者の方とお話をする機会がよくあります。そうした先生方からかなり多く聞かれるのが,子供たちを適切に支援するために,より研修を受けたりですとか,学びを深めたいと思っても,管理職の方の理解が得られない。初めて出会う日本語が分からない子供に対して手探りで対応している中で,やはり研修の機会を外部に求めるんだけれども,それをなかなか管理職の方がイエスと言ってくれないので,個人的にお休みの日に学んでいるというような状況を伺っています。
 学校の中での課題が多様化する中で,学校の先生方が学びたい,学ぶ必要があると考えることもきっと多様化しているのかなと思います。その多様化に直面している学校の先生方が認識する,ある意味で新しい課題や取組に対して,管理職の方が寛容性を持って,その研修の必要性を認めていくというような部分が,検討の方向性の中で校長先生のリーダーシップの下,上司に対してはフォロワーシップを有することもほかの教師に対して必要だというところの記述がありましたけれども,そこが本当に重要になってくるということを感じています。
 また,現場の中には,外国人児童生徒を支えたくて,日本語教師の資格を持って教員になったにも関わらず,全く日本語学級等に配置されずに,はや10年過ぎたというような方もいらっしゃって,そうした今現在,専門性を既にお持ちの方の再確認,再発掘というようなところも重要なポイントになってくるのかなというふうに思いました。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。大変重い問題です。あってはならないわけでありますけれども。
 では,堀田委員,お願いいたします。

【堀田分科会長代理】 東北大学の堀田でございます。
 特別委員会としての審議のまとめ,本当にありがとうございます。社会的にも大きく注目を集めた内容だったかと思っております。
 この中に書かれている,どういう研修をいつどのように受講したかという研修受講履歴管理をICT等のシステムを使って行い,同時に,ラーニングアナリティクス等を用いて,良質な研修をリコメンドとかできるようにするという,こういう方向は非常に今日的でよろしいかと思っております。
 問題は,その研修の中身なんですけれども,NPO等の民間団体が頑張っていい研修をしているという例もあるし,あるいは先生方が自主的に,例えば算数に興味のある先生方が算数教育のセミナーを全国のメンバーと一緒に頑張っているみたいな例もありますし,私のいる東北大学の情報科学研究科は教員養成ではありませんが,例えば連続セミナー等を実施して現場の先生がたくさん受講されています。
 これらの研修は,土曜だったり,日曜だったり,場合によっては夜だったりしていますし,公的研修では行いにくい部分をやってくれているという考え方もあるかと思っております。
 休日等に学ぶことまで推奨するというのは難しいというのは立場的には分かりますが,一方で,だからこそ自主的な取組で,主体的な学びでもあるというふうに思うんです。私が関わるセミナーでも,産休,育休中の先生方が,時代の流れに遅れまいと思って頑張って参加しているという,そういう様子もございます。
 これらのあらゆる民間研修を,教員にとって必要な研修としてすべて認めるというのは難しいと思うんですけれども,何らかの基準をつくって積極的に認定していただくことによって,セミナーの質も上がると思うし,先生方が受けられる研修の多様性も進むと思うし,逆に,公的研修でこそすべきことは何かということも明確になるように思いますので,今後の議論の中にこういうことを,研修の多様性の確保をしっかりとお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,大字委員,お願いいたします。

【大字委員】 全連小の大字でございます。
 まず,お礼です。この審議のまとめに関して,文部科学省が,皆さんからの10の質問にお答えしますというQ&Aをつくっていただいて,その内容が大変分かりやすくて活用をしております。こういう周知に向けた取組というのは,現場の教員も非常にありがたく感じておりますので,今後もいろいろな形で工夫をしていただけるとありがたいなと思っております。本当にありがとうございます。
 今後の取組の中で,2点,このことはしっかりやりたいなと思うことがありまして,1点目は,「学びに専念する時間を確保した一人一人の教師が」というのが主語になっていますので,どうやって学びに専念する時間を確保するかという,この具体策をかなり掘り下げて考えていきたい,そのように思っています。例えば大きな話なら,授業時数の抜本的な見直しあたりまで含めて,ぜひ議論していただけるとありがたいなということが1点。
 もう1点は,やはり管理職と教員との対話と奨励のプロセスというのが非常に重要だと思っています。ここが全国津々浦々の学校できちんと行われるように,やはり制度設計をしていかなければいけないなと,そのように思っているところです。
 最後に,質問が1点なんですけれども,これは現時点ではお話しできないということであれば,もちろんそれで結構なんですが,校長や教員と話していると,教員免許の有効期限はどうなるのかということに非常に不安を感じている教員がおりますので,もし現時点でお話しできる内容があれば,何か聞かせていただけるとありがたいです。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。後からお答えをいただきたいと思います。
 では最後,吉田信解委員,お願いいたします。

【吉田(信)委員】 全国市長会の社会文教委員長,埼玉県本庄市長の吉田でございます。
 私自身,学びの姿ということに関しては,これは本当にいろいろと専門的な先生方の御意見,また,文科省の皆さん方がしっかりとこの中身を詰めてまとめていただいているというふうに敬意を表したいというふうに思っておりますし,私がこれからお話しする話というのが,果たしてこの内容に沿ったものかどうかちょっと分からないんですが,実は採用ということについて,ちょっとお話をさせていただきたい点がございます。
 教員の成り手が少なくなってきているということがある。教職に対する魅力というものがどうなのか。私は非常に魅力のある職場だと思っておりますし,お一人お一人の先生方は誇りを持って頑張っていただいていると思います。
 ただ,首長という立場から,全国のいろんな首長と話をする中で,非常に昨今,残念なことが,ある首長から私言われたんですけれども,とにかく教員が性的な不祥事,犯罪,特にお子さんに対してそういったものを起こしてしまったことのダメージは計り知れないものがあるということをお話をいただくことがございます。これは私も本当によく分かります。特に小学生等の教員に求められる資質というのは,専門性はもとよりですけれども,全人格的なものだというふうに思いますので,小さな女の子であるとか,あるいは男の子であるとかが学校の中で,しかも教員によってビデオを撮られてしまったとか,そういうことがあったときに,ものすごい心の傷というのは大きいわけでございます。
 私自身,この問題提起というのは,果たして今まで委員さんの方々の中でやられた方もいらっしゃるかもしれませんけども,あえて申し上げたいのは,採用試験における適性検査,適格検査のことでございます。
 既にそういったものが導入されているのか,どういう形でやられているのか私は存じ上げません。存じ上げませんけれども,やはり全人格的な資質が求められる,特に幼いお子さんを相手にするような教員の方々については,ある意味,頑張っている方々が誇りを持って,胸を張って仕事ができるようにしていくためにも,何といいましょうか,適格検査,適性検査が非常に大事ではないか。
 私は,人間というのは一人一人尊重されるべきものだと思っておりますし,あえて言えば,性的指向というものも,これは一人一人尊重されるべきものだとは思います。ただ,しかし,その性的指向というものがいわゆる犯罪性を帯びる可能性のあるもの,例えば小児性愛であるとか,そういうものを持ってしまっている方が教員になるということは,これはぜひ防がなければならないと思うんです。それは本当に国民的理解が私は得られる話だというふうに思っております。
 ぜひそういう意味では,この適性検査,適格検査等,例えば諸外国なんかも多分取り入れているところなんかもあると思うんですけれども,小さなお子さんが,特に学校の中でそういう性的な嫌な目に遭わないようにしていくということを,大事に考えていかなければいけない時代に来ているのではないかというふうに思っております。
 そういう水際というか,採用のところでしっかりと,何ていいましょうか防ぐということをやっていく中で,より一層,頑張って誇りを持ってやっていく先生方の後押しにもなるのではないかなということで,これはいろいろな首長さんと話をする中で,とにかく学校の信頼失墜というのは,そういう事件が起きたときのダメージは計り知れないものがあるという話を聞いておりましたので,すいません,学びの姿ということとは少し離れちゃうんですけれども,採用ということについての問題提起ということで,あえてここで発言させていただきました。失礼いたしました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,渡辺弘司委員と大字委員から御質問が出ておりました。平野室長のほうからお答えいただきたいと思います。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございました。渡辺委員からいただいた件についてお答えを申し上げます。
 教師の主体性に委ねて教師の質の確保というものが上手にいくのかと,このような趣旨のお尋ねであったと承知してございます。概要のほうでも御説明申し上げましたけれども,教師の主体性というものを重視していくということは新たな学びの姿の中核的な内容でありまして,これは当然のことと捉えている一方で,2ポツの1つ目の丸の2つ目のポツ,任命権者等が記録管理する過程で,期待する水準の研修を受けていると到底認められない場合には職務命令による研修の受講など,また,その職務命令に従わない場合には必要な措置を講じることを考えられると,このようなところも一方で盛り込んでいるところでありまして,主体性というものを尊重するということは当然の前提ながら,必要な場合,やむを得ない場合というものについては,しっかりと職務命令も含め,組織として関与していく,このような考え方については,国として具体的に今後示していくこととしてございます。
 また,コンテンツというものに多様性というものが重視されるという一方で,教職員支援機構に一元化というところの関係はどうなのかということのお尋ねがございました。この教職員選考でつくるプラットフォームというものは,決して教職員支援機構だけがそのコンテンツを供給するという意味ではございませんで,大学のもの,また,各任命権者が行うもの,このような多様なものをしっかりと整理をして配置をしていく,それで教師の方の利便性の向上に努めていくという趣旨でございます。
 また,この仕組みのみならず,様々な多様な形でのそういうプラットフォームが構築されることが望ましいということも審議まとめ本文には触れられているところでございます。
 審議の中での研修の内容とスタイルの多様性というところは肝になる概念でありますので,しっかり踏まえた上で制度設計を図ってまいります。
 また,幾つかいただいた中で共通するところでございますけれども,いわゆる学んだことというものをどうモチベーションにつなげていくのかといったところ,このような話がございました。いわゆる学んだ成果,この審議まとめの17ページに触れられているんですけれども,学びを可視化することで,任命権者,服務監督権者,学校管理職等が特定の事項に秀でた教師の発掘や,人事配置や校務分掌の決定,その他の取扱いに積極的に活用していくと,このようなことを新たな学びの姿として盛り込んでいるところでございます。
 このようなことをしっかりと現場においても進めていくことによって,学んだことが評価されて,仕事に組織として生かされていくと,このような環境の構築に努めてまいりたいと思ってございます。
 あと,最後の審議まとめの「おわりに」のところに,言わずもがなであるという一方で書かせていただいておりますが,36ページでございます。36ページの下から2つ目の段落のところに書かれているように,職務としての研修は勤務時間内に行われることが前提であるので,管理職のマネジメントというところの役割が大きいということを触れられているところでございます。
 管理職の在り方については,各先生から御意見いただきましたけれども,また今後の特別部会での審議というものを深めていくという中で対応してまいりたいと思っております。
 大字委員のほうから御質問のあった免許の有効期間についてでございます。
 免許については,先生方御存じのとおり,いわゆる免許更新制が導入される前の旧免許状,導入された後に授与された有効期間が付された新免許状,このようなものがあるということに加えまして,例えば旧免許状ですと,現職でない方については,そのままでは教壇に立てないけれども失効したわけではない,いわゆる休眠状態というようなことになっている,このようなことも含めまして,非常に多岐にわたるものになっております。
 個人の権利義務に関わることでありますので,しっかり法制的な観点から現在検討を行ってございまして,これについても何かお示しできる段階になれば丁寧な説明を努めていきたいと思っておりますが,今日の段階では,すいません,お答えできることはここまででございます。
 最後,吉田委員から,わいせつ行為を行った教員への厳正な対応についてということで御指摘がございました。
 文科省として,児童生徒等を守り育てる立場にある教員が,児童生徒等にわいせつな行為を行うということは決してあってはならないことだと思ってございます。この厳正な処分の問題,また,官報情報検索ツールなどを使った,そのような者が再び教壇に立つことがないような措置というものを従来行っていたところでありますが,令和3年6月4日に公布された教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律についてと,このようなものが成立をしたところでございます。この法律の施行に向けて,文部科学省としてもしっかりデータベースの構築,また,その他必要な措置について対応していくということを考えているということを申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 加治佐委員,お願いいたします。

【加治佐委員】 どうもたくさんの御意見,ありがとうございました。大変勉強になりました。
 本当にたくさんの御意見がございましたけれども,1つは,今、構築が始まっている新しい学びの姿の仕組み,システムにどう取り入れていくかということがあると思います。審議のまとめにもあることですけれども,特に研修は様々なものがあります。そういう多様なものをいかに組み合わせて,いかに適切に提供するかとか,あるいは質保証,そういうことだと思います。
 それからもう一つは,これから教員の養成・採用・研修について基本問題小委員会で検討していきますが,そこで検討すべきことです。中でも,やはりこれまでも委員の方おっしゃってきたことですけれども,今日も,学びの環境整備というんですか,条件整備というんでしょうか,その御意見が多かったかなと思います。
 新しい研修の仕組みの中では,教師がより自由な時間に学べる仕組みにはなると思うんですが,ただ基本的には,やっぱりその時間が確保されなければいけないということです。資料2-5の下のほうの右では,新たな教師の学びの姿の実現に向けた体制整備とかありますので,そういうところで検討しなければいけないと思います。
 ただ同時に,なかなか,これも言い方が難しいかもしれませんが,先生方,お忙しい中でなかなか感じられなくなっているのかなと思いますが,教師は高度専門職であるというのは基本中の基本ですので,大学における養成や,あるいは現職研修においても,あるいは採用時においても改めて,教師は専門職として自ら主体的に学ぶんだ,あるいは同僚と協働して学ぶんだということの再認識を促すことも当然のことではあるんですが,必要なのかなということをつくづく感じております。そういうことも何とか図っていければと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。いろいろと出た御意見は,具体的に次の議論につなげていくということをお答えいただいたと思います。
 今,加治佐委員からもありましたが,条件整備ということは本当に大事だと思います。私たちは1月26日,これは中教審総会でありますけれども,総会で答申を出して大臣にお渡ししたわけでありますが,「令和の日本型学校教育」を目指してというあの答申を具体的に進めていくために,どういう教師の在り方が必要かということが今議論されていて,免許更新制については一区切りがついて,このような形の中間まとめが出たということであります。
 あの答申は,子供が主語になる学校をつくるんだということで,本当に我々途中で,コロナ禍の関係で会議の形態をオンラインに途中から変えるという,これは事務局の御努力があったからですけれども,非常に困難を乗り越えて議論をいたしました。それが1月26日の答申になっております。
 この子供が主語になる学校をつくるためには,教職員が主語になるということが非常に大事であると思います。そのためには,教職員が本当に誇りを持って自分の仕事に専念でき,また,学びを深めることができるための時間の確保というのは大変重要で,時間を確保する方法というのは幾つかあると思うんですけれども,どれから手をつけていくのかという,こういったことも含めて今後考えていかなければならないと思っています。
 もう1点,履歴管理という言葉が,これは特別部会や免許更新制の小委員会でも,履歴管理の「管理」という言葉が,これはどうもよろしくないのではないかという御意見がありました。確かに,縛るみたいなイメージがあるわけですけれども,一方で,履歴というのは実は学びの履歴でありまして,これはちょうど子供たちにキャリアパスポートを書いてもらうということで,子供たち自身が自分のよさや可能性を認識することにつなげていこうとしていることを今やっているわけであります。この教職員の学びの履歴というものも,そういったものに使っていくというのがまず一番でありまして,先ほど平野室長からもまた改めての御説明がありましたけれども,ちゃんと研修をやっていない人というのは,これはおよそ,到底考えられないようなレベルであるということでありますから,いないとは言い切れないのかもしれませんが,まずそこを想定しての免許更新制の在り方の検討ではなかったですし,また,教職員のこれからの姿というのを議論しているわけでもなく,本当に多くの先生方が真剣に子供たちのことを考えて一生懸命やっていらっしゃるんだけれども,残念ながらそれがうまくかみ合わない。その原因の一つとして,やっぱり人が足りないということがあるわけですので,小学校の35人学級というのを御議論いただいたわけでありますけれども,あるいは専門の教科でやっていただくという教科担任制の話もやってきているわけでありますが,本当にこういった事柄についていろいろな機会に,声を大にして言っていかなければならないのではないかなということを強く思いました。すいません,長くしゃべりました。

【白井教育制度改革室長】 参考資料の1枚紙を御覧いただきたいと存じます。
 時間の関係で,今日は端折って御説明させていただきますけれども,前回の分科会では,問題行動調査の報告でありますとか,また,総合科学技術・イノベーション会議からの報告,幼小の架け橋特別委員会の状況,高校での日本語指導と非常に多岐にわたる論点を御議論いただきました。その中で,今後の当分科会における検討においても役立ちそうな主な意見ということでまとめさせていただきました。
 1番,今後の初等中等教育の在り方についてという点です。これまでの学校モデル,同じ教室で一緒に学んでいくということ自体にいろいろ課題があるのではないか。また,端末の活用についても,従来の授業の在り方を変えていくためのツールとしてICTを用いるべきではないかといったような御意見をいただいております。
 2点目,児童生徒が安心して学校生活を過ごせる環境について。子供たちのウェルビーイングは大事であるけれども,個々人だけではなくて他者との関係性であるとか,あるいは学校を取り巻く環境についても考えるべきじゃないか。生徒指導という観点だけではなく,支援という観点も大事ではないか。また,生徒が自ら援助を求める力であるとか,あるいは心身の不調に陥らないような予防的なアプローチの視点も大事ではないかといった御意見をいただきました。
 3点目です。様々なニーズのある児童生徒の支援の在り方についてということで,現状,不登校児童生徒のかなりの割合が,何ら相談・指導等を受けられていない状況にある。何らかの対策が必要である。
 一方で,先生方が抱え込まないように,各関係部局と連携することが大事である。特に,例えばICTの活用であるとか,関係機関,不登校支援センター,そういったリソースを活用していくことが大事ではないかといったような御意見をいただいいておりました。
 今日は以上,御紹介までとさせていただければと存じます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間の関係で,今,白井室長のほうから御紹介いただきましたこの件,いずれも大変重要な内容でございまして,今後,この分科会でも議論を進めてまいりたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 今日の議題2つ,あるいは,今後検討していきましょうという参考資料でございますけれども,これらにつきましての御意見とか御質問とかございましたら,事務局のほうにメール等でお届けいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,本日の議論はこれで終了したいと思います。
 最後に,次回以降の予定につきましてお願いいたします。

【白井教育制度改革室長】 次回の初等中等教育分科会の日程につきましては,追って事務局から御連絡を申し上げます。

【荒瀬分科会長】 よろしくお願いいたします。
 では,閉会いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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