初等中等教育分科会(第120回) 議事録

1.日時

平成31年1月18日(金曜日) 10時 ~ 12時

2.場所

都道府県会館 402会議室 

3.議題

  1. 2019年度予算(案)について
  2. 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申(案))」及び「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について
  3. 学習者用デジタル教科書に関する政省令等の公布について
  4. 高大接続改革の進捗状況について

4.議事録

【小川分科会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから120回目になりますけれども、中教審初等中等教育分科会を開催したいと思います。
 本会議は、本分科会規則第5条によりまして、公開を原則としております。また、第6条によりまして、会議を撮影、録画、録音する場合には、申請に基づき、分科会長の許可を受ける必要があります。会議の進行や他の傍聴を妨げる行為を行った場合には退場を命ずることもありますので、御了承ください。なお、個人を特定するような撮影及び録画は御遠慮いただければと思います。
 それでは、議事に入る前に配布資料について事務局から説明をお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】  事務局でございます。本日の配布資料は、お配りの議事次第にありますとおり、資料1から4と参考資料1を配布しているところでございます。資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
【小川分科会長】  ありがとうございます。資料の確認、よろしいでしょうか。
 それでは、最初の議事に入っていきたいと思います。きょうの議題1は、2019年度予算案について。また、続いて新しい時代の教育に向けた持続可能な学習指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方針についての答申案及び公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン案について。この2つを最初に合田財務課長から説明を頂きたいと思います。その後にこの議題1と議題2を合わせて質疑応答の時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、合田財務課長、説明の方、よろしくお願いいたします。
【合田財務課長】  失礼いたします。それでは、まず2019年度の政府予算案につきまして、御報告申し上げたいと思っております。
 資料1をごらんいただきたいと思います。分厚い資料で大変恐縮でございますが、2019年度予算におけます初等中等教育関係の予算の充実につきましては、これから議題になります学校における働き方改革にとっても不可欠なものでございます。初中局あるいは文部科学省総力を挙げて取り組ませていただき、また本日御出席の委員各位におかれましても大変な御尽力を賜ったところでございます。
 その結果、初中局の予算でございますが、総額で2兆116億円ということでございまして、これは文部科学省の予算5兆5,300億円弱の約4割に該当するものでございます。昨年度に比べても49億円増ということでございまして、御尽力に重ねて感謝申し上げたいと思っております。もとより、これ以外にも公立文教施設の整備等の関係で、文教施設企画部の方に予算を計上しているところでございます。資料1に基づきまして、その概要を御説明申し上げたいと思っております。
 大きく分けまして、この予算でございますが、1つ目に教育の質の向上と学校の働き方改革の実現というくくりの予算。子供たちの学びを幼児教育から高等学校まで支えるという関係の予算。次の時代に向けた教育の転換ということへのいわば布石とでも申し上げるべき予算。この3つの枠組みで御説明させていただきたいと思っております。
 まず、この資料1でございますが、飛んでいただきまして恐縮でございますけれども、13ページをごらんいただきたいと思っております。ページがちょっと横になっておりまして、見づらくて恐縮ですが、横組みの資料でございます。13ページをごらんいただければと思います。働き方改革におきましては、教職員定数などの条件整備が不可欠でございます。上から3行目ほどにございますけれども、来年度の定数でございます。小中学校の教職員定数でございます。1,456人増ということでございます。昨年は1,595人増でございましたが、いわゆる加配定数の増は1,210人。それに加えまして、一昨年の義務標準法の改正に基づくいわゆる基礎定数化が、昨年は385人、今年は246人ということでございますので、加配の改善数は1,210ということで、昨年と同数でございます。これは、第2次安倍内閣成立以降最も高い水準ということでございまして、御尽力に重ねて感謝したいと思っております。
 具体的な中身につきましては、左側の真ん中あたりにございますけれども、小学校の専科教員の充実ということでございます。小学校段階において、2020年度から高学年、中学年で英語教育の充実がスタートいたしますけれども、その授業時数の増が先生方の授業持ちこま数の増にならないようにということで、小学校専科教員の充実、要求どおり1,000人満額認められたところでございます。
 それから、先ほど申し上げましたように一昨年の義務標準法の改正に基づく基礎定数化が、そのちょうど右でございます。246人などを含めた1,456人の増が認められたということでございます。これをしっかりと生かしていきたいと考えているところでございます。
 次の14ページでございますけれども、と同時に本分科会でも御指摘いただいておりますように、様々な力を持った外部の力を借りるということも大変重要なことでございます。14ページ左側には、これまで同様7,700人のいわゆる学習指導員等の外部人材雇用のための予算。それから右側でございますが、上の方がスクール・サポート・スタッフ。これが3,000人を3,600人に。それからその下でございますが、中学校における部活動指導員。これは本年度4,500人でございますが、倍増の9,000人ということでございます。これらを足しますと2万3,000人という数字で、外部人材をしっかりと活用していきたいと考えているところでございます。
 次のページ、15ページでございます。同様に、これまでも整備を進めてまいりましたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーでございますが、ニッポン一億総活躍プランという閣議決定の文章に基づきまして、スクールカウンセラーにつきましては、来年度、全ての公立小中学校2万7,500校に、スクールソーシャルワーカーにつきましては、全中学校区1万中学校区に配置をするということになっておりましたが、そのために必要な予算というものを計上したものでございます。
 それらを組み合わせますと、18ページをごらんいただければと思います。教育の質の向上と学校における働き方改革のための環境整備というものを1枚に整理したのが18ページでございます。これらをしっかり活用してまいりたいと考えている次第でございます。
 それから、飛んでいただいて恐縮でございますが、41ページをごらんいただければと思っております。いじめや問題行動の対策につきましては様々な手だてを講じているところでございますが、41ページには、特にSNSを活用した相談事業ということで、これも予算を大きく伸ばして措置をいたしているところでございます。子供たちにとっては、電話相談よりもSNSの方が相談しやすいということでございます。既に30か所で取り組ませていただいているところでございますが、1団体を加えて、更に充実・強化してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、飛んでいただきまして恐縮でございますが、51ページをごらんいただければと思います。51ページ以降は、先ほど申し上げましたように、幼児教育の段階から高等学校教育まで、子供たちの学びをしっかりと支えるという関係の予算でございます。51ページは、幼児教育の振興でございます。1ポツの幼児教育の無償化というところがございます。いよいよ本年10月から消費税の増税の増収分を活用した幼児教育の無償化がスタートするわけでございます。4月から9月までの就園奨励費として141億円、10月以降の幼児教育の無償化に557億円、足して701億という予算を計上しているところでございます。
 重ねて飛んでいただいて恐縮でございますが、78ページをごらんいただければと思います。特別支援教育の関係でございます。切れ目のない、すなわち教育・医療・福祉それから雇用と、この切れ目のない支援体制の確立という観点から予算を組ませていただいておりますが、特に左側の上の方にございますように、医療的ケアのための看護師、医療的ケア児のための看護師の配置は、本年度1,500人でございますが、1,800人に増員して支援をするということで、予算を組ませていただいているところでございます。
 同時に81ページをちょっとごらんいただければと思います。これまで以上に切れ目のないという観点から、学校と福祉機関、例えば放課後デイケアサービスなどとの連携ということを厚労省と一緒になって進めていこうということで、連携支援事業というものも盛り込ませていただいているところでございます。
 飛んでいただいて恐縮でございますが、87ページをごらんいただければと思います。幼児教育、特別支援教育と参りましたけれども、義務教育段階のお子さん、特に要保護の児童生徒に対する就学援助でございます。これも87ページにございますように、例えば費目に卒業アルバム代を対象とするといったような充実を図らせていただいているところでございます。これもしっかりと自治体と連携しながら支援させていただきたいと思っております。
 その上で94ページをごらんいただければと思います。高校生等への修学支援ということでございまして、2019年度は、これまでどおり私立高校に通う生徒さんについては、所得に応じて2.5倍、2倍、1.5倍ということで支援をいたしておりますが、2020年度から、590万以下の世帯に対して、私立高校の平均授業料40万弱でございますが、これを全て支援するという、いわゆる私立高校の実質無償化というものがスタートするということでございます。2019年度はその前年度ということで、予算を確保させていただいているところでございます。
 また、その右側でございますが、高校生等奨学給付金と。奨学のための渡し切りの給付金でございますけれども、これも特に第1子の単価の増額を図っているところでございます。
 それから、飛んでいただきまして96ページをごらんいただきたいと思っております。3本の柱の一番最後でございます。次の世代の教育への布石ということでございます。96ページには、新時代の学びにおける先端技術導入実証研究授業ということでございます。AIやICTを活用した学びということがどこまで可能なのか。しかも私ども文部科学省としては、そのような学びが公正に提供される仕組みというようなものは、一体どういうものなのかということの実証研究に取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
 また、飛んでいただいて恐縮でございますが、99ページをごらんいただければと思います。現在、御案内のとおり、教育再生実行会議におきまして、高等学校教育の在り方について議論がなされているところでございます。文部科学省としても、来年度予算に地域との協働による高等学校教育改革推進事業を計上したところでございます。下の方にプロフェッショナル型、地域魅力型、グローカル型とございます。既に島根県立隠岐島前高校でございますとか、長野県飯田OIDE長姫高校といったような、地域の中核としての高校教育改革が進んでいるところでございます。そのようなものを後押しをし、将来的には高等学校教育の在り方自体を大きく見直していくということにつなげていきたいと考えている次第でございます。
 私ども、この大きな大きな予算をしっかりと活用し、生き金にしながら初等中等教育の推進・振興に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
 引き続きまして、働き方改革に関する答申案について、御報告申し上げたいと思っております。昨年12月6日の中教審の働き方改革特別部会、小川分科会長が部会長でいらっしゃいますけれども、そこで答申素案をお示しいただき、御議論いただいたところでございます。その後、この答申素案につきましては、2週間パブリックコメントにお諮りを、いわゆる意見募集をさせていただきまして、御意見を頂いたところでございます。昨年12月14日には、本初中分科会にこの答申素案を御報告申し上げ、御審議を頂き、大変貴重な御意見を賜ったところでございます。これらを踏まえまして、先週、本年1月11日でございますが、中教審の働き方改革特別部会が今期最後ということで開催されまして、これから御報告申し上げます答申案というものが、委員一致で成案ということになったところでございます。
 したがいまして、本日そのパブリックコメント、意見募集の状況でございますとか修正点を中心に、少し駆け足になると存じますけれども、御報告申し上げたいと思っております。資料としては、資料2-1から2-4というものが関係資料でございます。主として2-1と2-2で御報告申し上げたいと思っております。
 まず資料2-1をごらんいただきたいと思っております。資料2-1でございますが、これは、答申素案に対する意見募集に寄せられた御意見。頂いた御意見の数が3,208件ということでございます。ちなみにガイドラインにつきましても2,200件ほど御意見をお寄せいただきました。合計いたしますと5,400件という数字でございます。恐らく文部科学省で最も多いと思われますのが、一昨年の小中学校の学習指導要領の改訂の際のパブリックコメントかと存じます。そのときが1万1,000件でございましたので、その半分を超えるような、かなり高い関心を頂いた、様々な御意見を頂いたと思っております。
 資料の2-1でございますけれども、私どもの方で年末年始も含めて整理させていただいて、ある程度御意見を類型化させていただいたものでございます。この答申素案に対する3,200件の御意見でございますが、大変様々な御意見を頂いております。例えば1ページ目の黒い1つ目のポツでございます。日本の教育は、世界でも非常に高い水準にある。その中心となっているのが現場の教職員。自分のことは顧みず、目の前の児童生徒のために日々尽力している。働き方改革の取組には期待している。これを実現することが近い未来の教育につながると。教師が魅力がある仕事になることで、教師を目指す者が増え、日本の教育がより充実することを期待していきたい。
 その下でございます。ブラック学校、ブラック部活という言葉は、現場で働く教員を傷付け、誇りや活力、やる気を失わせている。本気で学校の働き方改革を進めるべきであるといったような、それぞれのお立場からの大変真摯な御意見を賜ったところでございます。
 具体論でも、大変駆け足で恐縮でございますが申し上げますと、例えば次の2ページの2つ目のポツでございます。ガイドラインについて、超勤4項目以外の業務のための時間についても在校等時間として、勤務時間管理の対象とすることになったことは重要であると。法的な裏付けを持たせるなど、確実に遵守されるようにすることが必要というような御意見ですとか、その3つ下でございますが、上限ガイドラインを形式的に守るために虚偽の記録を残すようなことがあってはならないと。そういった管理職には厳しく対応する必要があるのではないかといったような御意見。その下でございますが、上限の目安時間は非常にハードルが高い。部活動指導との関係で難しいけれども、このガイドラインの実効性を確保するためにも、教職員定数の充実、業務内容の見直し、登下校時間の見直し、部活動の在り方等、抜本的な検討・対策が必要であり、文部科学省が率先して方針を示すべきであるという御意見を頂いているところでございます。
 これ以外にも、個別の御紹介は省かせていただきますが、4ページの業務の明確化・適正化につきましては、例えば教育課程の在り方、あるいは免許制度、教員免許の在り方、各種調査の在り方などを見直していくべきだという御意見。それから行事の精選、日常の無駄の削減といったことに取り組む必要があるという御意見。
 5ページでございますけれども、重複して実施されている研修、朝のマラソン、しおり・色紙の作成等などを見直す必要がある。あるいは5ページには、スマートフォンやパソコンを使えばもっと効率的になる。紙ベースのやり取りが多過ぎるといったような御意見も頂いたところでございます。
 ちなみに9ページをちょっとごらんいただきますと、この勤務時間制度の改革につきましても様々な御意見を頂いたところでございます。給特法の今後の在り方につきましても、1つ目の丸にありますように、まずはこの給特法の原則に立って現状を変えていくべきだという御意見。あるいはその3つ下でございますけれども。公立学校についても給特法を廃止又は抜本的に見直して、時間外勤務手当方式にすべきであるという御意見など、様々な御意見を頂いたところでございます。
 9ページの一番下から2つ目の丸は、給与は増額してほしいという御意見でございますが、一番下の丸にございますように、給与が多少減ってもよいので、教師の数を増やすことが大事であるというような御意見を頂いたところでございます。
 これらの御意見を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、先週1月11日に御議論いただきましたのが資料2-2でございます。2-2で御紹介申し上げたいと思っております。
 この資料2-2の5ページをごらんいただきますと、2つ目の丸の真ん中あたりでございます。我が国の学校教育の高い成果が、教員の長時間にわたる献身的な取組の結果であるとするならば、持続可能であるとは言えない。ブラック学校といった印象的な言葉が独り歩きする中で、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の学校教育の水準が低下することは、子供たちにとって、我が国や社会にとってもあってはならない。この基本線は全く変わっていないところでございます。引き続きこの点を軸にしながら御議論いただいたわけでございますで、7ページの上から4行目にございますように、教師のこれまでの働き方を見直し、1行飛んでいただきまして、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることが、学校における働き方改革の目的であるということも変わっていないところでございます。
 8ページをごらんいただきたいと思っております。1つ目の丸でございます。これは、労働安全衛生のところに、この記述があったわけでございますけれども、志ある教師の過労死等が社会問題になっていると。このパラグラフの下から3行目でございます。こうした志ある教師の過労死等の事態は決してあってはならない。このことが今回の働き方改革全体の一つの重要な要素であったということを、ここに明確に記述することによって明確にすべきという御指摘を踏まえて、文章を整理させていただいたところでございます。
 8ページでございますが、今回新たに特に項目を起こしまして、3ポツの学校における働き方改革と子供、家庭、地域社会という項目を起こしているところでございます。これは、本分科会における御指摘を踏まえたものでございます。具体的には9ページの上から3行目でございます。子供や家庭の立場に立てば、学校外における子供の学びについて、子供や家庭が自らその在り方を判断することができる時間が増加し、選択肢が広がると。一方で、これまで学校に任せていた時間をどう使うかということについて、子供や家庭自身が考え、判断し、行動しなければならないということになると。学校の働き方改革が、どうしてもサプライサイドの教師の議論が中心だったわけでございますが、デマンドサイドの子供、家庭それから地域社会という観点での議論が大事だという御指摘でございます。
 その下の丸にございますように、様々な主体、特にPTAを含めた様々な主体が、学校における働き方改革により増加することが見込まれる子供たちの学校外における時間を生かし、充実したものにすることが必要であるという観点。
 下から3行目でございます。特に文部科学省においても、地域未来塾、とにかく何より大事なのは学力でございますので、地域未来塾といった取組をしっかりと責任を持って果たしていくということが大事だという御議論を頂いたところでございます。
 10ページからの第2章、働き方改革の実現に向けた方向性について、現状の分析の1ポツのところは大きく変更はございません。
 14ページをごらんいただければと思います。1つ目の丸でございます。前回も御報告申し上げましたように、今回の答申案におきましては、とにかくこの答申がスタートだと。そのスタートの後、働き方改革を真正面から進めていくのは文部科学省の重要な役割だという御議論を頂いたところでございます。1つ目の丸に、「特に、文部科学省には」という文章がございます。その4行ほど後に、学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能を前面に立って十二分に果たすことを求めたいと。素案におきましては、バッファーという言葉を使っておったところでございますが、バッファーというよりも、学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能を、しかも前面に立って十二分に果たせという御議論を部会では賜ったところでございます。
 なお、15ページの一番下の丸でございますけれども、公立学校を中心に議論いただいたところでございますが、特に私立学校については建学の精神があるということをしっかりと踏まえなければならないという御議論は、引き続き全く何ら変わっていないところでございます。
 16ページをごらんいただければと思います。第3章でございます。これも大きな変更はございません。
 19ページをごらんいただきますと、先ほどガイドラインの徹底という観点から、在校等時間の客観的な把握ということについて、御意見を頂いたところでございます。特に19ページの下の脚注の47というところをごらんいただきますと、この客観的に把握するための予算というものは、地財措置にしっかり含まれていると。そのことがしっかり使われているかということにつきましても、私どもは情報発信と検証が必要であると考えているところでございます。
 23ページでございます。学校の労働安全衛生管理の充実のための方策というところにつきましては、これは横倉会長からも御指摘いただきまして、様々な充実策を盛り込んでいるところでございます。24ページの2つ目の丸にありますように、ストレスチェックの実施状況の公表といったことについても答申素案と変わっていないところでございます。
 28ページからの業務の明確化・適正化のところでございます。29ページの下から4行目の(1)の文部科学省が取り組むべき方策と。その重要性ということは、素案と何ら変わっていないところでございます。
 31ページでございます。各学校が取り組むべき方策ということで、注の67には、夏休み期間の高温時のプール指導といったような具体的な例が書かれているところでございます。これらを踏まえた上で、31ページの下から7行目ほどでございますでしょうか。学校として伝統だからとして続いているが、児童生徒の学びや健全な発展の観点からは必ずしも適切とは言えない業務、又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務を大胆に削減する必要があるという御指摘、御議論を整理させていただいているところでございます。そのために文部科学省が果たすべき役割も大きいというのは、先ほどごらんいただいたところでございます。
 32ページでございます。これも前回御紹介申し上げましたけれども、注の68、69といったような裁判例を踏まえた上で、32ページの本文の下から3行目でございます。過去の裁判例等を見ても、法的にその全ての責任を学校・教師が負うというわけではなく、保護者や地域から学校への過剰要求は認められないということについて、しっかりと共有を図っていく必要があるという御議論を改めて整理させていただいているところでございます。
 第5章でございます。組織運営体制の在り方についても大きな変更はございません。
 42ページには、本分科会等の御議論も踏まえまして、本文の下から5行目ほどでございますが、このチームとしての学校ということについて、教員養成大学・学部と連携して学生の参加などを求める。それについては、各大学だけではなくて、日本教育大学協会等による組織的な対応も必要であるという御議論を頂いたところでございまして、これは教員養成大学・学部の使命として、しっかりと役割を果たしていただきたいと考えているところでございます。
 第6章でございます。44ページでございます。こちらについても基本的な構造は変わっておりませんが、幾つか修正点がございます。基本的な構造と申し上げるべき45ページの下から2つ目の丸の教職の専門性の特徴。それから45ページの一番下の様々な御意見はあったけれども、46ページの下から2つ目の丸、「したがって」というところでございますが、まず給特法の基本的な仕組みを前提とした上で、勤務時間の縮減をしっかりと図っていくと。その上で更に検討していくということが必要であるという議論は、前回御報告申し上げたとおりでございます。
 修正点といたしましては、47ページの2ポツの1年単位の変形労働時間のところでございます。47ページの1つ目の丸の文章を追加してございます。かつて学校週5日制の移行期間に行われていた長期休業期間の休日のまとめ取りと。これが先生方の働き方改革にとって重要であるという観点で、まずこの議論は行われたという検討の視点が明確になったところでございます。そのまとめ取りについては、週休日の振替や年次有給休暇などに取得することも可能でございますし、そのことはもうそれで十分なわけでございますが、他方で週休日の振替は、一般的に時間単位では取れないと。1日単位あるいは半日単位という制約がございますので、そうすると選択肢の一つとして変形労働時間、1年単位の変形労働時間制を議論する必要があると。なおかつ、この1年単位の変形労働時間制だけは、法改正をしなければ導入できないという観点から、ここで議論しましたよという文脈を明記させていただいたところでございます。
 その上で、49ページの1つ目の丸でございます。上から4行目あたりでございます。導入するに当たっても、育児や介護等の事情を抱えていらっしゃる教師、こういった先生方への配慮から、職員会議や研修については、通常の所定の勤務時間内に行われるようにすることが重要であるですとか、このパラグラフの下から5行目ほどでございますが、所定の勤務時間を現在より延長した日に、授業時間や児童生徒の活動時間を現在よりも延長することがあってはならないといったようなことを、これまでの御議論を踏まえて追加させていただいているところでございます。
 49ページの下の3ポツの中長期的な検討という、この文脈自体は変わらないわけでございますけれども、50ページでございます。先生方の働き方に関する法制的な枠組みというものの例といたしまして給特法。それから先生方の兼職・兼業などの規定を定めております教育公務員特例法、それから学校管理規則などを定めておりますいわゆる地教行法といったような法的な枠組みの具体例を明記させていただいたところでございます。
 第7章につきましては、51ページ以降でございますが、大きな修正はございません。
 54ページの3ポツの今後更に検討を要する事項につきましては、1つ目のポツの小学校における教科担任制の導入ですとか、あるいは教育課程の見直し。それから次のポツの免許更新制の在り方も含めた養成・免許・採用・研修全般にわたる改善の見通し。それから先端技術の効果的な活用。55ページの圏域などの議論を踏まえた教育的観点からの小規模校の在り方の検討といったようなことが、大変恐縮でございますが、次期中教審のトッププライオリティーとして、是非御議論を賜りたいと考えている次第でございます。
 56ページ、第8章でございますが、こちらも大きな修正はございません。
 この形で、冒頭申し上げましたように、先週1月11日に小川分科会長が部会長でいらっしゃる働き方改革特別部会におきまして、委員一致で成案としてまとめられたというものでございます。
 なお、こちらは私どもの方が制定するものでございますが、ガイドラインにつきましては、資料2-3が、寄せられた御意見及びそれに対する文部科学省としての対応。資料2-4というのが、ガイドラインでございます。これにつきましては、時間の関係もございますので、1つ1つの御紹介は省かせていただきたいと思っております。寄せられた御意見の多くは、1つはやはりこのガイドラインが実効性あるものにする必要があるという御指摘でございます。御指摘のとおりかと思っております。
 それから、それとのある種コロラリーでございますが、持ち帰りですとか虚偽申告がないようにする必要があるということでございます。これも私どもは、Q&Aなどを活用して、運用の問題としてしっかり受け止めさせていただきたいと思っております。
 もう一つ45時間360時間という枠組みの例外として、児童生徒等に係る臨時的な事情という項目があるわけでございますが、これがまた大きく肥大化して活用されることがないようにということも御指摘を頂いております。そのこともQ&Aなどで明確にさせていただきたいと思っております。
 これ以外には、休日の部活動なども含めて上限設定をするということについては、もとより中教審におきましては、前提として御議論いただいていたところでございますが、その点について疑念のないように明確化したといったような修正を行っているところでございます。
 以上、駆け足で大変恐縮でございましたが、答申案とガイドラインについて御報告を申し上げました。私ども文部科学省といたしましては、中教審から答申を賜るということになりますると、文部科学大臣を先頭に一丸となって学校の働き方改革をこの答申を始点として、スタートとして、しっかりと取り組ませていただきたいと考えている次第でございます。御説明は以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、これから今説明いただいた来年度予算案、そして働き方改革の中教審の答申案、そしてガイドライン案ですね。これについて御意見、御質問を頂きたいと思います。これまでどおり、御発言の際には名札を立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは、どなたからでも構いません。御意見、御質問があれば、よろしくお願いいたします。
 天笠委員。マイクをお願いします。
【天笠委員】  すいません、質問をちょっとさせていただければと思うんです。予算案の所に関わってということで。13ページの所に小学校専科指導の充実ということで御説明いただいたところなんですけれども、ここのところで米印の2として、専科指導のための教員加配の仕組みを構築というふうなことなんですけれども、これについて少し御説明を加えていただければということなんですけれども。
 私は、今回というか、この小学校の英語、外国語の時数増に関わって、この小学校の専科指導の充実ということに関わって、人の手当てをこういうふうな形でなさっているということについては高く評価する一人であります。しかも今回いろいろ評価が分かれますけれども、専という人を確保したということも、また関係の方々の御尽力によるところではないかと。そういう意味で高く評価していて、基本的にこの方向を更に推進していくことが、今回のとりわけ小学校における学習指導要領対応ということと非常にマッチした方策、方向性としてこの視点ということがあって、大変私は申し上げたように評価し、また注目しているところです。その関係の中で、この今御説明いただいた専科指導のための教員加配の仕組みを構築というあたりのところについて、もう少し御説明いただけるとということをお願いしたいと思います。
【小川分科会長】  合田課長、よろしくお願いいたします。
【合田財務課長】  私どもは、教員のこの1,000人の加配というものは、当座とにかく小学校英語による授業時数の増が先生方の持ち授業数の増にならないようにということで、取り組ませていただいております。当然のことでございますが、冒頭申し上げましたように私どもは、この予算をこういう形でお願いするに当たっては、そのことが一つのきっかけとなって教育の質の向上、あるいは教員の資質・能力の向上に結び付いていくということが大変大事だと思っております。
 ちょっときょうの議題から外れるようで大変恐縮なんでございますが、率直に申し上げますと、私ども小学校の教員採用が各都道府県、政令市教育委員会がかなり苦戦をされているという状況が率直にございます。2000年の教員採用試験のときには、小学校の教員採用試験は倍率が実に12.5倍だったわけでございますが、今2017年度は3.5倍にまで下がってございます。その多くの原因は、退職された先生方の補充のために、それをそのまま新規採用枠に回しているということでございます。率直に申し上げますと、東京都におかれましては、毎年1,800人規模で小学校の先生方を採用なさっているわけでございますが、これが大きく倍率が下がる原因になってございます。
 私どもは、この加配を配分するに当たっては、これはもちろん小学校英語にも関わるんですけれども、小学校教育全体の観点から、小学校採用試験において、いかに志願者を集め、倍率を高め、質を高めていくのかという観点にもちょっと御配慮いただきたいと考えてございます。
 もちろんそのためには、先ほど中教審の答申案にもございましたけれども、もし今のような免許制度というものが、今のこの状況に結び付いているということであるならば、私どもは、是非中教審におかれても、時期中教審の重要な課題として小学校と中学校で分かれている免許制度も含めた免許制度の根本的な見直しを是非していただきたいと思っております。
 それと同時に、例えば一定の英語能力でございますとか、あるいは今後更に必要になってくる特別支援教育、通級指導に関する専門性ですとか、あるいは今後必要になってまいります外国人児童生徒に対する第2言語としての日本語指導の能力でありますとか、そういった小学校の免許それから採用試験に合格するということにプラスアルファの資質・能力を見ていただいて、その方々が一定の割合になるような仕掛けを考えていただくということを都道府県教育委員会にお願いしたいと思っております。
 そのためには、当然2つございまして、分子である力のある先生方を増やすということと、分母である採用数を様々な方途を用いて適正化していくという、この双方が必要かと思っております。その中で、せっかく今回、国会でお認めいただければ、確保できますこの加配というものを一つてこにしながら、小学校英語に対する対応だけではなくて、小学校の先生方全体の資質・能力の向上ということに是非取り組ませていただきと考えている次第でございます。
【小川分科会長】  どうもありがとうございました。
 よろしいですか。
【天笠委員】  はい。
【小川分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  私は、前からこの会議でこの働き方改革に伴う子供への影響、家庭への影響ということを是非きちんと盛り込んでいただければということをお願いしておりました。先ほど合田課長からの説明にもありましたけれども、大変きちんとした形で、しかも柱、項目を立てて記述していただいたことに、まず感謝いたしたいと思います。
 PTAの話もちょっと出てきていますけれど、やはりそういう組織がこれをちゃんと受け止めて、具体的にどういうふうな行動をしていただけるかということが今後非常に大きいと思うんです。寺本さんが委員としてここにいらっしゃいますので、是非こういう立場で、推進していただきたいと。
 先生がいくら働き方改革でやりやすくなったとしても、その分をきちんと家庭や地域が役割として受け止めていかなければ、回らないと思うんです。そういう意味では、この記述は大変示唆に富んでいるなと思いました。ありがとうございます。以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。
 横倉委員、そして寺本委員の順でお願いいたします。
【横倉委員】  どうもありがとうございます。
 今回のこの報告書は、学校の先生方の働き方改革ということで、分科会及び特別部会で非常に良いものをまとめていただいたと思います。そういう意味で、関係の皆さんに感謝申し上げます。今後、これを実際動かしていくに当たって、様々な問題がまたいろいろ出てくるかと思います。私は、医師会長の仕事と同時に、学校医の団体である日本学校保健会の会長もしています。これは学校を取り巻く様々な医師、薬剤師、歯科医師等々の医療関係者の団体ですので、その活動の中からもサポートできる部分はしっかりサポートしていきたいと思います。
 今、篠原さんからPTAの役割は大きいという話がございました。実は、私は今から25年ぐらい前、福岡県の高等学校のPTA連合会の会長を2年間務めさせていただいて、いろいろとPTA活動をしていましたが、25年前と今とでは大分社会環境が違うかもしれませんが、家庭において自分たちの子供を社会の中で育てていくということがあります。社会教育の分野にPTA活動が入っていると思いますが、この学校教育と社会教育のコラボレーションも今後意識していく必要があろうかと思います。全ての教育関係者や社会を構成する皆さんが次の世代を育てていくんだという努力をしていく必要があろうかと思います。以上です。
【小川分科会長】  寺本委員、お願いします。
【寺本委員】  ありがとうございます。篠原委員、横倉委員からもお話を頂いたんですが、このPTAの記述については、実はこの働き方改革の特別部会の方の委員として、私も日本PTAの今の会長の東川が加わっておりまして、その東川の方から、PTAの記述を入れてくれということで部会でお願いして、書いていただいたという経過があります。
 ですから、我々自体がしっかりと主体性を持って、この働き方改革はもちろんですが、しっかりと子供たちの学校教育現場、また地域の一員として、社会教育団体として、いろいろとやっていかなければならないという意気込みの表れということでもありますし、今後更に連携を強化する意味でも、むしろそれぞれの都道府県又は政令市等の教育委員会とPTA等の団体としっかりと連携しながら、これからも指導・助言を頂いた中で活動していきたいと。そういうことでの記述を頂いたわけですから、まさしく方向性は全く一緒で、ベクトルは同じ方向を向いているということでございます。よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。これまでこの分科会でも何度か議論してきましたが、頂いた意見については、答申案の中に反映させていただいているかと思います。
 坂越委員、どうぞ、お願いします。
【坂越委員】  まず、本当に目配りしていただいて、きちっとした報告書、ガイドラインを作っていただいて、本当にありがたいと思います。
 これからは質問ではなくして、お願いです。これは、やっぱりすごく社会にも話題になっていますし、ただ、やっぱりメッセージの出し方として、パブリックコメントにもありますように、学校がこんなに大変なんだよということが余りに出過ぎてしまって、私が委員をしている教育委員会なんかでもそうなんですけれど、教員の確保が、先ほど合田財務課長が言われたように大変難しいと。結局この年度内で10人の定員、小学校教員10人が埋まらずに、何とかやりくりして過ごしているというような実態があるわけですよね。そう考えたときに、やっぱり学校教育の中での明るいメッセージと言うとすごい曖昧ですけれど、こういうふうな働き方を支援する様々な取組があるというようなこと。これはやっぱり伝えなきゃいけないと思います。
 そのときに、これは、何か自分が言ったことが自分に返ってくるんですけれど、大学の教員養成の中で、確かに教職概論とか職務能力とかに関する授業は、2単位必修であるんです。あるんですけれど、自分がどういうふうな教員として働き方をするのかというような、ここに書かれてあるような趣旨のことに関しては、多分ほとんど授業していないし、学生、教員養成学部学生は考えていないと思います。いきなり職務に放り込まれて、さあ、大変だという状況もあるので、やっぱりせっかく教職概論、コアカリキュラムを教職課程で作ったところなんですけれど、やっぱりこういうことも踏まえながら、大学で学生に自分がどのように教員として持続的に働いていくのか考えてもらうこと、大学の教員養成での取り組み、これがやっぱり1つ必要かなと思いました。よろしくお願いします。
【小川分科会長】  貴重な意見、ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 若江委員、どうぞ。
【若江委員】  ありがとうございます。
 合田財務課長の方から、全方位網でのいろいろな御説明を受けて、ますます日本の教育の転換に関心を持った次第です。たまたま私、昨日産業界の女性活躍推進のセミナーで、女性の管理職100名ぐらいを対象に研修をしておりまして、女性が活躍するには産業界も働き方改革が不可欠で、そのためにはワーク・ライフ・バランスが大事で、なかでも子育てイコール次世代育成が彼女たちにとっては必須の課題ですので、微力ながら日本の教育の転換について少し御説明をさせていただきましたところ、皆さん、物すごく感動されるんですが、一方で全く知らなかったことに、知るすべがないことにいら立ちと怒りを感じられます。
 ですので、私たち産業界としては、社会で活躍している親世代を対象に教育の変化をどのようにタイムリーにクリアに伝えていくかということが重要です。その際、漠然とした話よりも本日の資料の29ページに御提示いただいているように、今、学校がどう変わろうとしていて、学校以外が担うべき業務、そして教師がやるべき必要な業務、これらのことを今までだと親は当然のように学校、つまり先生に甘えていたわけです。ですので、例えばこういうことを具体的な事例として共有しながら、認識を改めていく、理解を深めていくということがすごく重要だということがひとつ。。そのために産業界がいろいろと連携を取らなければいけない。
 もう一方が、すでにほかの委員からのご発表にもありましたように、お隣にも地域学校協働推進室の西川室長がいらっしゃいますが、地域学校協働活動に関わることによって、今の学校の動き、教育の変化を知っていくという、その2つのアプローチがとても有効で、とても大事なんだということを再認識させていただきました。ありがとうございました。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今名札が挙がっている方、帯野委員、吉田委員のお二人ですけれども、この後の時間もありますので、このお二人だけでよろしいでしょうか。
 それでは、このお二人で発言は終わらせていただきたいと思います。
 帯野委員から、よろしくお願いします。
【帯野委員】  私もお礼と、それから1つだけちょっと日本語のところで御相談というか、意見があって発言させていただきます。まず、先に発言いたしました指導教諭のことについてきちんと書き込んでいただいて、ありがとうございました。
 ただ、やはりこれを見ていますと、なかなか指導教諭と指導主事の役割分担が、何かますます不明確というか。現実がそうだと思うのですが、指導教諭の方は、学校指導の改善・充実に対して指導・助言と。指導主事の方は、指導、教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事であるけれども、今後は、悩んでいる様子があればすぐに声を掛けるなど、サポートしていくということでありますが、なかなか並列すると、ますますその役割の違いがよく分からないということで、指導教諭の方、若手教諭の指導力向上のための役割が期待されるのではなくて、本来これは責任というか義務であるのかなと思うのですが、これが本当に生かされていないのであれば、やはりここはもう一度、今後この今回の答申はこれでよしとして、いろいろ制度的なものも検討していかなければならないのかなと。
 というのは、これは手当てではなく特2級という級ですので、やはりそこのところの役割と責任を明確に、今後文科省として検討していっていただきたい。そして、生かせていない、制度の趣旨が生かされていないようであれば、やはりそのシステムは改善していっていただきたい。
 私的には、この指導主事と指導教諭の違いというのは、指導教諭というのは学校現場で、やっぱり初動ですよね。メンタルケア、メンタルサポートというのは初動が物すごく大切なので、そこのところで学校現場で指導教諭はその役割をしっかりと果たしていただきたい。その上で、指導主事の方は、教育委員会で制度的なサポートも含めてその役割を発揮していただきたいと。そんなふうに思うわけですが、そういうことも含めまして、これからいろいろ制度、これが法律の改正が必要なのかどうか分かりませんが、見直していかないといけないと思うのですね。
 その意味で、例えば50ページにあります中長期的な検討のところ。これは給特法などが中心になっているんですが、やはり労働環境について、そしてまた給特法等の法律的な枠組みを含め、必要に応じて検討を重ねるとなっているのですが、ここでちょっと御相談なのですが、この「必要に応じて」という表現は要るのか要らないのか。日本語として、必要があれば検討する。必要がなければ検討しないというのは当然のことですし、それからこういう細かな過去の制度についても、制度というのは常に手入れをしていかなければ陳腐化しますので、常に見直していかなければならない。
 それから、後のEdTechのところで出ていますけれども、今後3年間で、eラーニング、遠隔教育、EdTech等で学校教育現場って物すごく変わると思うので、学校教育そのものが物すごく変わると思うんですね。プラス、社会全体が年功序列を中心とする終身雇用、日本独自の人事制度というのが、これからもう恐らくグローバル化の波の中で、是か非かは別にして、大きく見直されると思う。
 ということは、これ、3年度の調査に向けてという、この3年間って物すごく短いと思うんですね。ですから、制度を変更するということではなくて検討するわけですから、私は必要に応じてというのは、ちょっと不要なのかなと思います。必要がなければやりませんよという誤ったメッセージを与えてもいけないので、これが必要かどうかということをもう一度検討していただけたらという御相談です。以上です。
【小川分科会長】  吉田委員、最後、よろしくお願いします。
【吉田委員】  時間がないところをありがとうございます。
 私の方からは、今回の取りまとめに関しては、ありがとうございましたということです。ようやく予算で小学校が1,000名の加配で、1,000人の英語科の人が採れるようになったということですが、本当にこれはもう人を増やさなければ、絶対に解決できない部分だと思っています。
 それとともに、中高で1点私が心配しておりますのは、今、部活動の指導の問題で、スポーツ庁から当初出ました。それからその後文化庁からも今度出ましたけれども、大体同じようなものが、週5日2時間の練習が一番最高の効率があっていい練習だということを言いますけれど、実際に今、高体連に属していない高野連の野球なんかは、逆にあおっているわけですね。マスコミが主催してらっしゃる部分もあります。そういう中で、365日のうちに、もう休みは1日か2日じゃなくては強くなれないみたいな意識もあるし、それからそれを今度止めるということがどうやったらできるのか。
 そうすると、やはりスポーツ自体の在り方が、学校スポーツなのか社会スポーツなのか。それからレジェンドをどうやって作っていくのか。例えばオリンピアン一つ取っても、今例えばフィギュアスケートなどですと、あれだけ練習とか海外とか行くということで、世界大会で優勝した紀平選手なんかは通信制の高校へ行っています。きのうもありましたけれども、卓球なんかで、今小学校4年生10歳の子が、全日本クラスに出て2回戦までとか言いますが、あの子たちは1日10時間卓球をやってとか言っています。
 そこと、1日2時間の練習が一番合理的であるというスポーツ庁の見解と、そこの私は誤差というか乖離というか。その部分もあるし、やはり日本の体育、試合の在り方、スポーツの在り方というものをしっかりと見直していただくことも含めて、それから文化部で言えばブラスバンドとかそういったものも同様でしょうけれど、何かどこか起点をどこに置くかによって、この働き方改革も随分変わってくるのではないかなと思っています。是非マスコミの方も、スポーツですごい記録を取ったりしたら、すごい褒めたたえて、1日10時間も10歳の子が練習してすごいって言っている一方で、高校野球、練習させ過ぎて、そんなじゃ駄目じゃないかというその矛盾がたくさんあると思いますので、是非その辺のところも整理していただけるように、文科省に御指導いただければと願っておりますので、よろしくお願いします。
【小川分科会長】  ありがとうございました。限られた時間でしたけれども、7名ほどの委員の方から御発言いただきました。ありがとうございます。委員からの発言の多くは、これからの取組に向けての御要望、御期待が多かったと思いますけれども、最後、事務局から、今までの委員からの御発言を伺って、何かこの場であれば、よろしくお願いします。
【合田財務課長】  先生方から頂いた御意見、御指摘につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもは、答申を賜りましたら、文部科学大臣を先頭に省一丸となって取り組ませていただきたいと思っておりますので、そのプロセスの中でしっかりと踏まえて取り組ませていただきたいと思っております。
 なお、帯野先生からの御指摘でございますけれども、私ども事務局といたしましては、この教師の労働環境についての法制的な枠組みというのは、ここで例示されたもの以外にもございます。その中には、先生方の現在の処遇、ほかの公務員と比べて優遇するという処遇を定めたものもございまして、私どもは、それらは検討する必要はないと率直に思っておりますので、官庁文学にお付き合いいただいて恐縮でございますが、私どもは、必要なものは検討する、必要ないものはしないという意思が込められていると理解しておりますので、事務局としては、まげてこの表現でお願いしたいと思っております。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、きょう様々な御意見を頂きましたが、基本的にはきょう御提案した答申案並びガイドラインの案についての大幅な加筆修正というふうな御意見ではなくて、むしろ内容を御了解いただいた上で、これからの取組に向けての様々な御要望というようなことだったと思います。確かに働き方改革については、この答申案にも記載されているように、今後更に検討していくべき課題も多々ありますけれども、そのことも含めて答申案そしてガイドラインの案については、この初中分科会において御了承いただけるということで、確認してよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。御了承いただいたということで、今後、来週25日に予定されております中教審の総会の場にこの答申案を提出して、審議を頂こうと思っております。その件もよろしいでしょうか。
 では、そのように進めさせていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、この議題1、議題2については、これで終わらせていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入っていきたいと思います。議題3、学習者用デジタル教科書に関する政省令等の公布について。これは、森友教科書課長から御説明をお願いいたします。
【森友教科書課長】  失礼いたします。資料3-1を御覧ください。昨年末に公布されましたデジタル教科書関係の省令等について御報告させていただきます。資料の上の1ポツでございますが、デジタル教科書につきましては、昨年の通常国会で学校教育法等の一部を改正する法律が成立したところでございます。当該法律の中で、デジタル教科書の要件や使用に当たっての基準につきましては文部科学大臣が定めると規定されております。
 これに基づいて、中程2ポツでございますが、学校教育法施行規則の一部を改正する省令では、デジタル教科書の要件として、紙の教科書との内容の同一性を担保するために、紙の教科書の発行者が、紙の教科書の内容を全て記録することを規定しているところでございます。
 また、デジタル教科書は、基本的には教育課程の一部において使用するものでございますけれども、障害等の事由がある場合には、教育課程の全部においても使用することができることとなっております。このため、中程2ポツの3ポツでございますが、障害等の事由につきまして、視覚障害や発達障害等の障害、日本語に通じないこと、これらに準ずるものと規定しているところでございます。
 それから、最後の3ポツでございますが、学校教育法第34条第2項に規定する教材の使用について定める件でございます。1ポツの丸1でございますが、デジタル教科書の導入に当たっては、まずは紙の教科書を主として使用しつつ、その影響を本格的に検証しながら段階的に進めるといった趣旨を踏まえ、法律において教育課程の一部とされた一部の範囲につきまして、各教科等の授業時数の2分の1に満たないと規定しているところでございます。
 このほか、1ポツの丸2以下でございますが、デジタル教科書が故障したときに備えて、常に紙の教科書を使用できるようにしておくことや、健康への配慮、指導方法の効果の把握・改善などについて規定しているところでございます。
 また、資料3-2でございますけれども、今ほど御説明申し上げました省令、告示のほか、デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドラインにつきまして、堀田委員を座長とし、当該検討会議において御議論をお取りまとめいただき、関係機関に配布しているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今の事務局からの説明について、御意見、御質問があれば、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
【篠原委員】  ちょっといいですか。
【小川分科会長】  はい、どうぞ。篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  私は前からデジタル教科書の導入については異論はないんですけれども、やはり紙の教科書というものをベースというのが、たしか新しい学習指導要領の中にもきちんと書かれているわけでございますから、そこを踏み外さないように、しっかりとやっていただきたいと。これが私からの注文でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 何かございますか。
【森友教科書課長】  飽くまでも現在の無償措置の対象は紙の教科書でございますし、今ほど申し上げましたように、告示の中でも常に紙の教科書を使用できるようにしておくこととございますし、また各教科等の授業時数の2分の1に満たないという点でも、委員御指摘の点は担保されているだろうと考えております。
【小川分科会長】  吉田委員、鶴羽委員の順でお願いします。
【吉田委員】  私、質問させていただきたいのですが、今、篠原委員のおっしゃっていることも十分理解した上で伺いますけれど、1枚目の3.の1.の丸1 ですか。デジタル教科書を使用する授業は各教科等の授業時数の2分の1に満たないということは、例えば1つの教科を全部デジタルでやるということは、例えば情報なら情報はデジタルで全部やってはいけないと。教科書を半分使わなきゃいけないという意味なのかどうなのか。
 あと丸3 で、児童生徒がそれぞれのコンピューターにおいて学習用デジタル教科書を使用することということは、児童生徒には、全員にそれぞれのコンピューターを渡すのが前提なのかどうか。
 それから2.の一番下とガイドラインの4番にもあるのですけれど、児童生徒の健康に関する留意点というのが入っています。これは私、デジタル教科書もそうですけれど、それだったらスマホとかそういうことに対しては規制をしているのかどうか。よっぽど画面も小さいし、体にも良くないのではないかと思いますけれど。
 その3点、御質問させていただきます。
【森友教科書課長】  まず1点目でございますが、ここで規定しております「各教科等の」というところには、情報も含めた「教科」が含まれております。現段階においては、デジタル教科書は補助教材という位置付けで、本格的に使用することができず、本格的な検証がない中での法律改正でございましたので、教育課程の一部において認めるとし、その一部は、教科それぞれごとに半分との考え方に基づいた規定でございます。
 それから2点目でございますが、基本的にデジタル教科書を使うときには、児童生徒はそれぞれのコンピュータを持つことを想定しております。授業においてデジタル教科書を使うときには一人一人がコンピュータを持つという環境の中で活用していただきたいということでございまして、授業時にコンピュータを持っていない子がいてはデジタル教科書を活用することができないという考え方によるものでございます。
 それから3点目でございますが、飽くまでもここで言う健康への配慮はデジタル教科書を使う際のものでございます。スマートフォンに関しましては、別途デジタルデバイスの取扱いに関するところで、何らかの配慮を取りまとめることはあるかと思いますが、この点については、デジタル教科書の活用に関しての配慮事項になります。
【小川分科会長】  吉田委員、よろしいですか。
【吉田委員】  すいません。そうじゃなくて、それぞれのコンピューターの件も、今の言い方で言うと、じゃ、各自が勝手に持てということ。それとも学校で用意するということ。それの意味が分からないです。
 それから、健康の状況というのは、私が言っているのは、デジタルも同じですけれど、スマホというのは目とかそういうのに良くない。デジタル、多分これ健康の状況って、そのことを言っているのだと思うので、そういう意味でスマホ。スマホを夜中まで使って云々よりも健康面。つまり目とかそういうことでの規制というのだったら、それも同じじゃないですかという意味で伺っているのですけれど。
【森友教科書課長】  個人の所有物にするのか、それとも学校の所有物にするのかということは、自治体なり設置者なりの御判断の中で進められていくものと思いますけれども、恐らく通常は自治体が購入して、貸与するというようなことが多いのではないかと思います。また、学校現場では、特定の教室に備え付けておいて、それぞれが授業時に使用するというケースが多いのではないかなと思います。一人一台持って使用しなければならないということをもって、一人一人が購入しなければならないということを強制するものではなく、授業の際に一人一台持って使用することが必要という規定でございます。
【小川分科会長】  よろしいですか、吉田委員。
【吉田委員】  スマホは?
【森友教科書課長】  例えばタブレットを本人所有とする場合であっても、長い時間集中して見ることは目に問題が生じる可能性があるといったことをガイドラインに書いてあります。
【吉田委員】  ですから、私、あえて言わせていただいたのは、要はデジタル教科書だったら健康上の被害があるから何時間しか見ちゃいけないよというだけでなくて、これから今、高等学校の場合で、例えばeポートフォリオをやるためにスマホを推奨している都道府県もあるわけですよ。スマホでeポートフォリオを入力するなんてやっているところもあるわけであって。
 結局、そうなってくると本当に健康ということを考えたときに、目とかに悪影響が起きるという部分があると思うので、何しろこういうのって全部トータルで言っておかないと、ここのパート、パートだけで考えていくのだと全然話が進んでいかないのではないかなと思ったので、あえて申し上げたので、それだけ御理解いただければと思います。
【小川分科会長】  分かりました。
 鶴羽委員、どうぞ。
【鶴羽委員】  私も同じ質問でした。この「それぞれのコンピューター」というところが、私は北海道ですけれども、1人1台持てていない学校がたくさんありますし、やはりICTを使うというところ、まだそこまで入っていないところにこれを入れるというところが、やはり環境整備、予算の部分のところが物すごくハードルが高く、格差が生まれてくるのではないかなという懸念もございます。この導入に関しては、1人1台持てていない学校に対して、どういう学習用デジタル教科書を取り入れるのか。教師が持って大型モニターでそれに慣れてもらうですとか、そういったことも考えていただきたいなと思いました。
 3枚目にありますメリットというところは非常にいいと思います。やはり大きくなるとか、色が変わるとか、あとそれこそ子供たちの習熟度別にいろいろなことができるとも思います。また、動画とかアニメーションは、やはりデジタル教科書ならではの良さではないかなと思いますが、今でも学校教育の中で、いろいろな動画を先生方が見せてくださったり、アニメーションでいろいろなことを見せて注意を引き付けるですとか、子供たちが楽しんで取り組めるようにというような工夫がありますので、今も現在使っているそういう動画と、このデジタル教科書の中に入れる動画のやはりレベルというのでしょうか。合っているのかどうかということも考えながら選んでいただきたいなと思います。
 これがあってよかったと思えるようなものでなければ、もう既にあるよ、使っているよ。とっくの昔に見せていますよというふうにならないような、そんな研究も併せてお願いできたらなと思います。以上です。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 横倉委員、どうぞ。
【横倉委員】  今のお二方の御意見と私もよく似た意見を持っています。デジタル教科書等、デジタルデバイスを使う場合のリテラシーを、子供たちに前もってしっかり指導しておく必要があります。今、目の障害だけ話になりましたが、デジタルデバイスの使い過ぎで目以外にも様々な障害が起きてくるわけですので、そこを利用するにあたっては十分に指導していただきたいと思います。
 また、教科にはデジタルデバイスが適したものと、わざわざデジタルデバイスまで使う必要のないものと、いろいろあると思います。そういう用途をよく考えていただくと、コンピューターを使って教育した方がいいケースと、コンピューター教育でしかできない場合というのもあると思います。紙の教科書で済むものも当然あるわけですので、その辺の選別をしていただきたいと思います。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。
 篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  この3番目の教育の充実を図るための下の方に、米印がありますよね。その中に「まずは」という言葉が入っていますね。紙の教科書を主として用いると。何で、小さく申し訳みたいに入れているんですか。「まずは」というのは、どういう意味ですか。
【森友教科書課長】  先ほど申し上げたとおり、法律を改正する前の段階では、デジタル教科書は飽くまでも補助教材という位置付けであるところ、検討を進めていくと一定の効果が見られるので、法律を改正し、教育課程の一部における使用を認めましょうということになったわけでございます。今後、本格的な検証が進められる中で、健康的な面も含めて、ハードルを越えるような状況と分かれば、その位置付けも変わるかもしれないと……。
【篠原委員】  いずれはね。
【森友教科書課長】  その位置づけが、次の段階では変わるかもしれないという意味で「まずは」と記載しているところでございます。
【篠原委員】  だったら、こんなに小さく書かず、ちゃんと書けばいいじゃないですか。
【森友教科書課長】  これは大前提でして、法律等に書いてはいないんですけれども、「2分の1に満たないこと」と書いていることに関しては、2分の1以上にすべきという御意見があったり、もっと少なくすべきという御意見があったりするので、なぜ「2分の1に満たないこと」と定めているのかを説明する意味で書かせていただいていると……。
【篠原委員】  先ほどちょっと言ったように、学習指導要領にはちゃんとベースと入っているわけですよ、紙の教科書は。そこは入れてもいいんじゃないですか。
【森友教科書課長】  紙の教科書に関しては、理念として、そもそも大前提として紙の教科書があるということなので。
【篠原委員】  でも、いずれその前提が変わるかもしれないと言うんでしょ。
【森友教科書課長】  その段階が来ればそうですね。
【篠原委員】  そういうことを考えて、何か小さく入れてあるんですか。
【森友教科書課長】  これはすでに公布した法令について説明したものなので。
【篠原委員】  この表現と入れ方が、ちょっと違和感ありますね。もうできないと言うならしょうがありませんが。
【小川分科会長】  よろしいでしょうか。
 時間もちょっと迫っていますので。よろしいですか、議題3については。
 それでは、なければ、議題3については終わらせていただいて、次の議題4、高大接続改革の進捗状況について。これは田村参事官から御説明いただきます。
【田村参事官】  それでは、資料4を用いまして、高大接続改革の進捗状況について、説明させていただきます。
 まず2ページ目をごらんいただければと思います。高大接続改革につきましては、グローバル化の進展、社会構造の変化に対応する資質・能力を育成しようということで、学力の3要素を確実に育成・評価しようということを目的といたしまして、高校教育改革、大学教育改革、両者をつなぐ大学入試改革を一体的に現在進めているところでございます。本日は、そのうち高校教育改革のうちの高校生のための学びの基礎診断の進捗状況と大学入学者選抜の改革の進捗状況を中心に御説明させていただきます。
 3ページをごらんください。こちらは、この高大接続改革の全体スケジュールでございます。2020年度に開始の大学入学共通テストの準備、2022年以降に高校の新学習指導要領導入開始ということで、それぞれが節目になるところでございます。
 次の5ページをごらんください。まず、高校生のための学びの基礎診断のことについて御説明させていただきます。こちらにつきましては、昨年3月のこの初等中等教育分科会に、認定基準を作って、制度、仕組みを作りましたということを御報告させていただきました。上のところの丸の2ポツ目にございますように、この目的は、高校生に求められる基礎学力の確実な習得と学習意欲の喚起を図るために、高校生の基礎学力の定着に向けて、いわゆるPDCAサイクルの取組、小中ですと全国学力・学習状況調査等を使って行われておりますけれど、そこを高校でもしっかりやっていこうというものでございます。
 そのために、今回高校生のための学びの基礎診断の特徴といたしましては、ここに赤字で書いてございますように、文部科学省が一定の要件を示して、民間の試験を認定する制度を創設すると。そういった中で、多様な測定ツールを開発・提供して、これの利活用を促していこうといった制度でございます。
 右側下のところ、真ん中の青いところに認定基準の概要がございます。昨年もお話ししましたけれど、出題につきましては学習指導要領を踏まえた出題の基本方針に基づく問題設計となっていること。当面、対象教科は国語、数学、英語の共通必履修科目を中心とすること。それから知識・技能に加えて、思考力・判断力・表現力を問うような問題も入れていただくこと。記述式の問題もそういう観点から入れていただき、英語については4技能を測定できるようにする。
 また、結果提供につきましては、学習成果の課題等が確認できて、事後の学習改善や教師の指導工夫・充実に資する結果提供をしていただくという形になっているところでございます。
 下の6ページをごらんいただければと思います。昨年6月に民間事業者に公募した上で、申請を受け付けまして、その後審査委員会で審査を行い、昨年12月末に認定結果を公表したところでございます。右側の情報提供という真ん中の丸ポツのところにございますように、文部科学省のホームページにおきまして、認定された測定ツールの基本情報、それからどんな申請書類の内容であったのか。また、事業者について、審査委員会の方から、更に改善が望ましい事項として指摘事項が付いておりますので、それについて一括して公表する形にしてございます。教育委員会の方にも通知いたしますとともに、こういった情報を参考にして、来年度からこれらのツールを選んでいただくことを考えているところでございます。
 7ページをごらんください。これが今回認定を受けましたツールの一覧でございます。9事業者から25の測定ツールが認定を受けたということでございます。平成31年度から本格的な利活用を促すことで、今後高校におきますPDCAサイクルを構築いたしまして、高校生の基礎学力の定着、学習意欲の喚起に向けた取組が進むことを期待しているところでございます。
 続きまして大学入学者選抜改革につきまして、進捗状況について御説明させていただきます。10ページをごらんください。大学入学者選抜改革につきましては、共通テストの改革と個別選抜の改革を同時に進めているところでございます。共通テストにつきましては、新たに記述式の問題を導入するとか、英語について4技能を評価するようにするというような改革を行っているところでございます。また、個別選抜の改革につきましては、2020年度の入試からAO入試とか推薦入試の見直し、調査書の内容の改善など新たなルールを設定していくこととしているところでございます。
 11ページをごらんください。これが大学入学共通テストに係る今後のスケジュールでございます。2017年の7月に実施方針を策定・公表いたしまして、その後試行調査を2017年度には11月と2月の2回、2018年度につきましては去る11月に1回実施しております。問題構成、内容の工夫・改善、採点方法等の検証や実施運営体制の検証を行うことで、今後実施の精度を高めていくというような取組を行っているところでございます。
 12ページ、13ページには、去る11月に行いました試行調査の概要を載せているところでございます。12ページの左の、問題作成の方向性というところにございますように、大学教育の基礎力として、どのような知識・技能とか思考力・判断力・表現力を問うのかという狙いを明確にすることや、高校においてどのように学ぶかといったことを踏まえることを基本的な方向性として、問題を作成しているところでございます。
 14ページをごらんください。試行調査、11月に行った結果の速報がここに載っているところでございます。いわゆるマーク式の各教科・科目の平均正答率が、この右側のところに載っているところでございます。おおむね5割程度は取れるようにということで実施いたしまして、実際行ってみたところ、19科目中14科目、7割を超える科目で5割程度を上回る結果になっているところでございます。
 今回の受験者には高校2年生も含まれていたという影響もございまして、部分的には速報値で正答率が低い問題も見受けられたというところでございます。引き続き大学入試センターにおきまして必要な分析・検討を行いまして、改善を図っていくとともに、また記述式を含む実施報告については、今年度末までに公表する予定でございます。
 15ページをごらんください。こちらは、先ほど申しました大学入試における英語成績提供システムの関連でございます。大学入試センターにこちらのシステムを構築するときの活用のイメージでございます。受験生の大学出願時の負担軽減とか、大学の業務負担の軽減に資する形で、センターにシステムを設けまして、資格・検定試験の成績を一元的に管理することを考えてございます。本システムの最新の検討状況につきましては、昨年末にセンターから高校・大学の関係者宛てに通知文書を発出しているところでございます。
 16ページから17ページには、大学入試の英語成績提供システムの参加要件を記載しているところでございます。こちらの要件を満たしているかということを専門家の方々に確認していただきまして、18ページをごらんいただければと思いますけれど、現在7団体23の資格・検定試験を確認できたということで、決定・公表しているところでございます。
 19ページには、主な英語試験の資格・検定試験及び参加試験の一覧。次の20ページには、各資格・検定試験のCEFRとの対照表を添付しているところですので、御参照ください。
 21ページをごらんいただければと思います。大学入試におきます英語成績提供システムの関係につきましては、いろいろなニーズがあるということで、昨年の6月から、全国の高校に対してアンケート調査を実施いたしました。調査結果につきましては、各試験の実施主体に提供いたしまして、希望の多くありました受検生の受検機会の確保とか利便性の向上、経済的な負担の軽減を図るために、実施会場の追加とか検定料の低減を現在求めているところでございます。
 経済的な負担のことにつきましては、次の22ページもごらんいただければと思います。現在政府全体で大学等の負担軽減方策として、今、低所得者層の進学を支援する給付型奨学金というものの検討が進んでいるところでございます。左下の四角にございますように、給付型奨学金の中に、大学等の受験料を措置するということが昨年末に閣僚間で合意が取れまして、次期通常国会に法律案を提出するとともに、現在必要な準備を進めているところでございます。
 23ページをごらんいただければと思います。民間の英語検定試験の活用につきましては、高校・大学の関係者とか試験実施主体を構成する意見交換の場というものを昨年12月から設置いたしまして、様々な立場の方から率直な御意見を頂いているところでございます。今年度中に複数回開催いたしまして、進捗状況を共有いたしますとともに、必要な事項につきまして、意見交換を行っていく予定でございます。
 次の24ページには、この英語4技能の関連で、民間試験の実施主体が管理・運営するポータルサイトというものができております。こちらの方には、いろいろな参加が認められた資格検定試験につきまして概要等が一覧になっておりますので、御参照いただければと思います。
 25ページは、文部科学省の方にも同じように高大接続改革に関する最新情報をホームページに載せておりますので、こちらの方も御参照いただければと思います。
 最後26ページでございます。この高大接続改革の推進に係ります関連予算の一覧でございます。総額で60億円を計上しておりまして、個別の内容につきましては27、28、29ページにございますので、適宜御参照いただければと思います。
 高大接続改革の取組の進捗状況については、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、今の事務局からの説明について、御質問、御意見があればお受けしたいと思います。
 吉田委員からどうぞ。
【吉田委員】  すいません。質問でも意見でもないんですけれど、説明しておいていただきたいと思うんですけれども、10ページのところではAO入試、推薦入試において小論文云々ということを書いているんですけれど、今現実には15ページにあります入学者選抜の方で、総合型選抜とか学校推薦に代わりましたよね。そのことを御存じない方がいらっしゃると思うので、それだけは説明しておいていただいた方がいいと思います。
【小川分科会長】  山田室長、お願いします。
【山田大学入試室長】  ありがとうございます。大学入試室長でございます。
 10ページにございますとおり、先生おっしゃるとおり、この入学者選抜の改革を、今2020年度に実施されるものから大きく変えていきたいと考えております。一番下の個別選抜のところの説明が十分でなかったところがあったかもしれません。申し訳ございません。AO入試、推薦入試と今呼んでおりますものを、総合型選抜、学校推薦型選抜という形で名称を改めるとともに、どのような選抜の方式であっても、何らかプレゼンテーションでございますとか小論文でございますとか、学力の3要素を問うような試験を実施していただくということが1つと。
 もう一方、一般入試の方ではむしろ知識が中心になりがちということもございまして、調査書を活用していただく。これは、今でも調査書を活用していただくことになっているんですけれども、どういうふうに調査書を活用するかというのを、各大学で募集要項等に明記していただくということにしておりまして、2020年度実施される入試から、このような改革が実施される。我々の方も、調査書が大学で活用しやすいように、予算において、調査書の電子化の予算を来年度の予算に計上しているところでございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 市川委員、どうぞ。
【市川委員】  2点お伺いしたいんですけれども、1つは高校生のための学びの基礎診断です。これ、意図としては、PDCAサイクルをうまく回すように、ふだんから生徒たちの学力をしっかり把握すると。そのためには、こういうテストは割と信頼の置ける質の高いテストですということを国の方でも認定するという趣旨だと思います。
 それは分かるんですけれども、これを活用するというのが、どの程度の縛りなのかというのがよく分からないんですね。教育課程部会でもこの話は1度出たことがありますが、それがどうも委員の間でもよく分からなくて、全ての学校で、場合によると私立も含めて、これを必ず使ってくださいということなのか。こういうツールがありますので、活用したいところは使ってくださいというくらいの話なのかというのが、ちょっとどうもよく分かりませんでしたので、改めて伺いたいと思います。
 それからもう一つ、この入試のときの個別選抜におけるAO入試、推薦入試で、小論文、プレゼンテーション、教科・科目のテスト、共通テストのうち、いずれかの活用を必須化するということですね。必須化するというのはかなり強いことなので、改めて伺いたいんですが、私もいわゆるペーパーテストだけではなくて、ここで言う小論文だとかプレゼンテーションとか、こういうものもしっかりやってきた高校生は何らかの形で評価しますと。
 それをAO入試や推薦でもこういうものが評価されるというのは非常にいいことだと思うのですけれども、いずれかの活用というのが、例えば小論文やプレゼンテーションの場合は、実際に生徒たちを呼んで、その場でやってもらうということなのか。あるいは小論文とかプレゼンテーションのようなことは、どこかの検定のようなものがあれば、その検定で何級を取りましたというようなことで、その書類を添付すれば、それでも活用しましたということになるのか。これをちょっと伺いたいと思いました。
【小川分科会長】  2点質問があるのですが、よろしいでしょうか。
【田村参事官】  まず1点目の高校生のための学びの基礎診断の、学校設置者でどのように取り組むかというお話でございます。今回の目的は、高校生の基礎学力定着を図るために、多様なツールを開発・提供するということを国としても協力していこうということでございます。この基礎診断の認定されたツール自体を使うかどうかは、各設置者、各学校の判断、任意の判断になるということでございます。この点については、かなり問合せも多かったところでございますので、今回教育委員会等に初等中等教育局長名で周知の通知を出したところでございますけれども、そこのことを明確に記載しているところでございます。
 ただし、我々といたしましては、やはり高校生では基礎学力定着のためのPDCAサイクルといったものはなかなか取組が進んでいないので、こういったツールを利活用するかどうかはともかくとして、それ以外のことも含めて、きちんとそういったPDCAサイクルの構築確立に向けた取組は進めていただくよう、お願いしますと。そのことは伝えてあるところでございます。
【山田大学入試室長】  2点目でつきましてでございます。これは概要資料でございまして、大変省略したところがあって恐縮でございますけれども、問題意識といたしましては、AO・推薦の一部で、学力を余り問わずに大学に入っている方がいらっしゃるのではないかという問題意識で、AO、推薦であっても、何らかそういった学力を問うことが必要だよねと。プレゼンとか小論文とか例示でございまして、絶対これがということではないんですけれども、何らかそういう学力を問う試験を実施していただきたいということで、場所がどこかということを特に規定しているものではありません。例えば小論文を書いてもらって、それを御提出いただくといった活用の仕方。もともと大学入試はかなり大学の広範な裁量に任されている部分がございますので、各大学の御判断で実施していただくということになると思います。
【小川分科会長】  市川委員、どうですか。
【市川委員】  私が伺いたかったのは、各大学が個別に小論文とかプレゼンテーション、これ、その場で書くか、家で書いた物を出せばいいのかということではなくて、むしろ小論文検定とかいうものがあれば、どこかがそういうものを実施しているのであれば、そこで2級を取りましたとか、プレゼンテーションはプレゼンテーション検定というものがもしあれば、それの3級を取りましたというようなことで、これで一種の学力に関わるものを一応評価の一部に使っていますということでもよろしいということでしょうか。
【山田大学入試室長】  ありがとうございます。大学入試は、先ほど申し上げましたけれど、大学の極めて広範な裁量に任されている部分でございまして、最終的に大学がどういう方法で入試をやって、どの受験生の入学を認めるのかというのは、大学に任されているわけですけれども、その中でプレゼンテーションとかを例示いたしました。我々がお伝えしたいのは、何らか学力を評価することをしてくださいということで、英検の評価ですとか、TOEFLの評価、あるいはそういった検定関係の評価。今でもなさっている学力を評価する方法の一種だと考えておりますので、そういったところも含めて、市川先生が今おっしゃったようなことも含めて、大学にはお任せさせていただいているものだと考えておりますので、大学の判断で実施していただければと。
【市川委員】  それなら、すごくよく分かりました。もともとの趣旨はすごく分かるんです。AOとか推薦入試では、学力は全く問わないような形になってしまうと、これはまずいだろうということで、学力に関するものを入れると。しかもその学力も、狭い意味での知識だけではなくて、小論文とかプレゼンテーション、思考力とか表現力に関わるようなものも見ていきたいという、その趣旨はすごく分かるんですけれども、これ、必須ということでかなり強いので、各大学で、その場でみんなを呼んでプレゼンテーションしてもらわないといけないとか、あるいはその場できちっとした評価システムを作って、プレゼン能力を評価しないといけませんというふうに取られると、これはかなり大学にとって大変、実施も大変なものになると。
 逆に、そういうしっかりとした検定機関みたいなものができれば、むしろそこにお任せして、その成績を回していただければそれでいいのだという解釈で、それは大学に任せるという趣旨であれば、そういうふうに通知していただければいいと思います。
【山田大学入試室長】  すいません。これ、例示でございます。例示の一番最後に載せておりますのが、これから今センター試験と言っていますけれども、大学入学共通テストの試験の結果を活用するというのも一つに加えさせていただいておりますので、そういう外部の人がやったものを使うということでももちろん構いません。必要に応じて周知を図りたいと思います。
【小川分科会長】  よろしいですね。
 あとお二人、今名札が上がっていますけれど、ほかにございますか。時間もありませんので、もしもなければ笹委員、天笠委員のお二人終わらせていただきます。
【天笠委員】  ちょっと早めに失礼させてもらうので、すいませんけれど、先に。
 1点質問させていただきたいのはこういうことです。見通しというのでしょうか。ということなんです。この高大接続のシステムについて、現在着々と展開中だという御報告ということでよく分かったわけですけれども、今後こういうことを進めていくことが、少なくとも高等学校と大学との関係のある種枠組みの見直しですとか、あるいは、それは今度は義務教育との関係ですとか、学校の全体的な、それこそ小学校から中学校、高等学校、大学という学校種間の連携とか関係とか、全体の枠組みの検討に及んでいくのではないかと。
 既に先ほど御説明がありましたけれども、高等学校等々を含めて見直しというのでしょうか。そういうことの動きもあるやに聞かせていただいているんですけれども、この取組の推進が、今後の展開にどんな見取り図とか見通しを持ってということなんですが、少なくともここの、きょう頂いている資料の3ページですと、接続のシステム、改革のスケジュールということについては2024年まで、整然と、こういう形で進行していくんだというところまでは分かるんですけれども、これらのことって今申し上げたように、学校種間の関係とか連携とかカリキュラムの在り方というものと非常に複雑に影響を及ぼしながら進行するということになるかと思いますので。
 そういう点では、これはこれとしてこういうふうに進めるという見通しの下でお進めになると思うんですけれども、このことが、どういうある意味で波及的な影響を及ぼしたりということも含めて、そういう意味における今後の見通しというのでしょうか。あるいはこのことの取組というのが、どういう将来的展望を持って、これを今取り組んでおられるのかどうなのか。そのあたりのところについて、現在の段階でお考え等々があったら聞かせていただければということで、そういう意味で質問させていただこうと。
【小川分科会長】  なかなか難しい質問かと思うのですけれども、何か今答えられることがあれば宜しくお願い致します。
【山田大学入試室長】  ありがとうございます。高大接続改革は、高大接続改革主導でいろいろなものを変えていこうという発想では余りなくて、学校が変わっていく、指導要領も変わって。そういった中で、そういったものに合わせて、学力の3要素は重要です。これはもともとそうですけれども、そういったものに合わせて、入試だったり高大接続も変わっていこうという形で進めておりまして、今、方針でお示しさせていただくのは、この2020年度に進めようとしている改革が中心でございますけれども、我々の次の大きな仕事は、2024年度に新しい学習指導要領によって学んできた生徒さんが、大学入試になると。そういうときにどう対応しようかというようなことが次の課題になってくると思います。この学校教育の在り方の考え方を踏まえて、その都度その都度、こういった場でも御議論いただきながら、高大接続改革についても進めさせていただきたいと思っております。
【天笠委員】  そういうことで、ある意味でこれは高校にとっての出口のそれだと思うんですけれども。ということですけれども、これらを展開していくとすると、やはり入り口についても視野に収めて、その在り方というのも一体的にやっぱり捉えていかなくてはいけないのではないかということ等というのも出てくると思いますし、また、そういうこともある意味でスケジュール化するならば、する中で御検討いただくというのも一つだと思います。もし、そこら辺のところについて……。ということも含めて、意見ということで、失礼させていただきます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 笹委員、どうぞ。
【笹委員】  ありがとうございます。この年末に様々な資料を公表していただきまして、今どういうふうにいろいろなものが動いているのかということを、高校現場としても確認させていただくことができました。ありがとうございます。
 その中で、まず高校生のための学びの基礎診断についてです。こちらはスケジュールからすると、この4月から始まる新しい年度の子供たちが活用できるという形で提案されていると思います。12月に出していただいた認定の状況を拝見しますと、全ての認定に指摘事項がかなり付いています。今1つ1つは申し上げませんが、かなりシビアな指摘事項が付いておりまして、果たしてこのまま使えるのかと疑問を持つような指摘事項も付いています。これの改善の進捗チェックなどをきちんとしていただきたい。そして、その改善状況を適時高校現場にもお知らせいただきたいと思っております。
 それから、大学入学者選抜改革の方では、特に英語の4技能を入試に使っていくというようなことについて少し意見を述べさせていただきたいのですが、こちらも4技能サイトや成績提供システムの概要について、年末に出していただきました。ありがとうございます。
 4技能サイトについては、拝見して、私たちがこの4技能サイトの公表を待っていたのは、いつ、どこで、幾らで、どんな試験が受けられるのかということを高校現場で知りたかったわけです。しかし、まだ十分にそれが回答されているというようには思えません。また、昨年の夏にニーズ調査をしていただきましたが、そのニーズ調査の結果がどのように反映されているのかということも、この4技能サイトの方からは読み取れない状況であると思っております。以前から申し上げていますように、地域格差、経済格差、セキュリティーの問題、具体的な運営はどうなっているのかという、高校現場が一番知りたい情報を速やかにお出しいただきたいなと思います。今の1年生が2年生になった来年度にIDも発行される予定です。学校は今待ったなしで動いておりますので、正確で迅速な情報提供をお願いしたいと思います。
 それから、この4技能の試験を大学側がどういうふうに使ってくださるのかというところも、なかなか全てが公表されているわけではないので、現場としてはどうなるのかという不安を抱えていることをお伝えしたいと思います。よろしくお願いします。
【小川分科会長】  2点ほどありましたけれども、よろしくお願いします。
【田村参事官】  1点目の高校生のための学びの基礎診断で、審査委員会からいろいろ指摘事項がシビアなものが付いているというのは、全く先生の御指摘のとおりでございます。今回の認定基準そのものにつきましては、民間の創意工夫を生かそうということで、出題方針やサンプル問題を見て、かなり大綱的な基準で認定しているということでございます。
 そういった形で、基準自体はクリアしているというのがかなりハードルが低くなっているわけでございますけれど、やはり理想を考えるともっと改善が望ましいという事項については、審査委員会からも意見が付いて、シビアな意見を付けさせていただいているというところでございます。特に3教科ものというセットものにつきましては、これまでの模擬試験とかを改良してこれに乗せてきているというところがございますので、特に厳しい意見が付いているところでございます。
 これらについては、事業者にも、我々としても単に通知を送るだけではなくて、直接伝えております。また、フォローアップの方も審査委員会で適宜行っていこうとしています。改善されたのであれば、改善が図れましたよというのを適宜情報提供していく。改善はまだちょっと不十分だねということであれば、引き続き必要があればそれも公表していくというようなことを考えておりますので、高校の現場におきまして、いずれのツールを使ったらいいか、適宜最新の情報をお示しして、御判断いただけたらと考えているところでございます。
【山田大学入試室長】  大学入試における4技能の活用についてでございます。先生おっしゃるとおり、高校現場の方が大変不安に思ってらっしゃるので、なるべく早く様々な情報を御提供したいと思っておりまして、御協力いただいたニーズ調査。今、各団体に送って、なるべく多くの会場で、なるべく安くやってくださいということをお願いしているところでございます。それに基づいて、今、各団体が、どういう実施をするのかということを最終的に調整されているものと承知をしています。
 また、各大学がそれをどうやって使うかということも、2年前予告ということで、実際に2020年度に実施するものを早めに、どう変えるのかということを予告してくださいということを我々からも申し上げておりますけれども、それも引き続き強く促してまいりたいと考えております。ありがとうございます。
【小川分科会長】  笹委員、何かございますか、今のご説明に対して。
【笹委員】  是非迅速な対応をお願いしたいと思います。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、きょう予定していた議題はこれで全て終了しました。本来であれば、きょう、初中分科会第9期の最後の会議でしたので、時間があれば、お一人お一人の委員から、この第9期の分科会での様々な感想とか次の10期の初中分科会に対する引継ぎ等々、何か御意見があればお伺いできればなと思っていましたが、もう予定の時間がありませんので、もし1人か2人、何かそういう9期の全体に対する感想とかコメントとか、あと次期の分科会への引継ぎ事項等々、何か御意見があれば、お受けする時間はございますけれど。どなたかございますか。
 竹中委員、どうぞ。
【竹中委員】  すいません。最近委員に参加させていただいて、大変勉強になりました。ありがとうございます。
 提案なんですけれど、私自身がチャレンジド、障害のある方々の教育だとか社会での活躍に携わっておりまして、やはり彼らが教員になっていくという方向性。そういう活躍の仕方の議論も。今のところは、どのように学ぶかということが中心になっていると思うので、彼ら自身が教える側に回るためのシステムについても、是非今後話題の中に、議論の中に入れていただけたらと思います。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、なければきょうは最後の第9期の会議ということですので、文部科学省の方から一言御挨拶いただければと思います。永山初等中等教育局長から、よろしくお願いいたします。
【永山初等中等教育局長】  ありがとうございます。
 各委員の皆様方におかれましては、この2年間にわたりまして、それぞれの立場から本当に貴重な御意見を賜りまして、心より感謝申し上げたいと思います。
 本期の分科会におきましても、本日の働き方の答申をはじめといたしまして、新学習指導要領の着実な実施に向けた方策、あるいはきょうも御議論ありました高大接続改革についてなどの様々な分野に関して御議論いただきました。委員の皆様方から御指摘いただいた内容を踏まえまして、私ども、必要な取組を推進してまいりたいと思います。
 初中局、初中行政の課題はなおなお山積しておりますけれども、委員の皆様方におかれましては、今後とも引き続き御指導賜りますようお願い申し上げて、お礼の言葉といたします。本当にありがとうございました。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 これをもちまして、第9期の初中分科会を終了したいと思います。皆様、2年間本当にありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)