初等中等教育分科会(第114回) 議事録

1.日時

平成29年10月2日(月曜日)14時~16時

2.場所

東海大学校友会館 望星の間

3.議題

  1. 「学校における働き方改革に係る緊急提言」について
  2. 平成30年度概算要求について
  3. 第3期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について
  4. デジタル教科書の位置付けに関する検討状況について

4.議事録

【小川分科会長】それでは、定刻になりましたので、ただいまから第114回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本会議は、初中分科会規則第5条によりまして公開を原則としており、また、第6条により、会議を撮影、録画、録音する場合には、申請に基づき、分科会長の許可を受ける必要があります。会議の進行、また、傍聴を妨げる行為を行った場合には、退場を命ずることがありますので、御了承ください。
 なお、個人を特定するような撮影及び録画は、御遠慮いただければと思います。
 それでは、本日の議題に入る前に、配付資料について、事務局から確認をお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】本日の配付資料は、お配りの議事次第にありますとおり、資料1から4まで、そして参考資料1をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
【小川分科会長】資料の確認、よろしいでしょうか。
 それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。初めの議題は、「学校における働き方改革に係る緊急提言」についてです。これは、初中分科会の下に設置されました学校における働き方改革特別部会において、8月29日に取りまとめられたものです。議題2の平成30年度概算要求についても、これと関係しておりますので、議題1及び議題2について、併せて伊藤財務課長の方から説明をお願いいたします。
【伊藤財務課長】財務課長、伊藤でございます。それでは、ただいま小川分科会長の方からお話を頂きました、8月29日にお取りまとめを頂きました「学校における働き方改革に係る緊急提言」について、御説明を申し上げます。
 この緊急提言でございますが、委員の皆様、御案内のように、6月27日の当初中分科会で設置が決定をされました、学校における働き方改革特別部会の緊急提言でございます。この特別部会、7月11日に第1回を開催して以来、8月4日、8月29日と、8月29日までの段階で3回、会議を開催していただきまして、その時点におきまして緊急に、もちろん様々な課題についてはまだ審議中でございますけれども、今できることは直ちに着手すべきと、こういう発想の下、御提言を頂いたところでございます。
 緊急提言のポイントでございますけれども、1、2、3と3点ございますが、まずもってこの緊急提言を8月29日におまとめいただいたところの趣旨でございますけれども、教員の働き方改革は、待ったなしの課題であり、それぞれ大きな制度改正等が必要となるところもございますが、そうした大きな制度改正等を待っていると、今の緊急の状態というのがいつまでも是正されないと。そうした観点から、学校、教育委員会、文部科学省、また、広く学校関係者、それぞれの立場で、今できることは直ちに行おうということ。特に国の予算が必要な事項については、8月末が概算要求の締切りでございますので、その段階で予算要求をしなかったものについては、来年度4月からの着手も難しくなると。こういうこともございまして、3回の検討ではございますが、大変精力的に御検討いただきながら、国に概算要求すべきものも含めて、8月29日に緊急提言を頂戴したところでございます。
 そのポイントは3点ございますが、まず1点目は、主に学校を中心に、校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めることという点で、おまとめをいただきました。学校の先生方、大変多忙化の中で一生懸命仕事をしていただいているわけですけれども、従来、学校は、なかなか勤務時間の管理になじみにくい、そういう特性等もありながら、学校での勤務時間を把握しようというような動きが大変弱かったところでございます。今回、働き方改革を進めるに当たっては、その前提とし、まずは学校において勤務時間をしっかり把握し、意識をしていく。そのために、ICTやタイムカードなど、勤務時間を客観的に把握する、こういったシステムの構築に早急に取り組むべきことというのが、一つ目でございます。あわせて、意識した勤務時間というものを踏まえて、勤務時間外の問合せ対応のための留守電の設置や、部活動の休養日の適切な設定、更に学校閉庁日の設定など、予算等を伴わなくても即座にできることについては、即座に取り組んでいこうという点が二つ目。さらに、それらを効果的に推進する上で、管理職に対するマネジメント研修を充実すること。こういう、学校及びその周辺で即座にできることというのが、1点目の柱でございます。
 そして、2点目の柱でございますが、そうは申しましても、学校だけの取組、現場だけの取組というのは当然限界があるわけでございまして、全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していく。特に、この特別部会では、小中学校の設置者であり、また教員の服務監督権者である市町村の教育委員会にしっかりこの問題に取り組んでいただくことが重要であるという点が、多数指摘をされたところでございます。都道府県の教育委員会は、大方の教育委員会が教員の業務改善に向けて何らかの計画などを策定しているところでございますが、市町村段階に行きますと、計画等を策定しているというところはまだまだ少数でございます。県費負担教職員制度の下で当事者意識がなかなか働きにくい面もあるわけでございますけれども、まず、教育委員会において所管する学校に対する業務改善方針・計画を策定するとともに、統合型の校務支援システムの導入促進などにより、業務の効率化を図っていく。さらには、国や県の調査のみならず、学校に対する依頼・指示等は市町村の教育委員会から来るものが数的にも最も多いということをデータとしても議論を頂きまして、そうしたものも含めて業務の効率化・精選を進めていくんだというような点。さらには、給食費の公会計化につきましても、まだまだ市町村単位で公会計に取り組んでいるというのは非常に少数派でございます。様々な課題があるようでございますけれども、しっかりと先行的に取り組んで成果を出していただいている市町村があることを踏まえますと、給食費の公会計化は更に進めていくべきだと、このような御提言を頂戴してございます。
 そして、そうした学校、さらには教育委員会における取組というものをしっかりお進めいただくとともに、これらを着実に全国で実施をしていく上で、3といたしまして、国が持続可能な勤務環境整備のために必要な支援というものをしっかり取り組んでいくことが必要だと、こういう3本の柱で提言を頂いたところでございます。
 国として必要な勤務環境整備のために支援につきましては、資料1-2を御覧いただきたいというふうに思います。資料1-2は、今回の特別部会の緊急提言を踏まえまして、私どもとして8月末に財務省の方に概算要求をさせていただいた内容でございます。3本の柱で構成をしてございまして、ローマ数字1は、まず学校が担うべき業務の効率化・精選を図るために、国としての環境整備を進めていくこと。ローマ数字2といたしましては、学校が担うべき業務というふうに分類されたけれども、それらについて、教職員が担うべきなのか、若しくは外部の専門人材、さらには地域人を活用して行った方が効率化できるというようなものについては、そうした専門スタッフ・地域人材の活用を進めていく、そのための環境整備をしていくべきであるというものでございます。そして最後に、学校が行い、更に外部人材ではなくて教職員が行うべき学校の本来業務のところについて、現行の体制で取り組むことが非常に難しいということであれば、そのための環境整備、しっかりとした教職員の体制というものを構築するべく、教職員の定数増を図るべきであると。こういう三つの柱、ストーリー、流れの中で、予算要求をさせていただいたところでございます。
 初等中等教育の予算要求の詳細については、資料2-2、少し厚手のものになりますけれども、平成30年度概算要求主要事項、初等中等教育局というものをお開きいただきたいというふうに思います。簡単にポイントだけ御説明をさせていただきますと、今申しました教員の勤務時間・多忙化解消に向けての取組については、7ページのところでございます。今はローマ数字1、2、3の順で説明をさせていただきましたけれども、7ページの方は逆にローマ数字3、2、1の順で関連の予算を載せさせていただいております。一番、予算的にも規模が大きい部分であります、教職員の体制整備のための義務教育費国庫負担金の充実というものが7ページの最初の表でございまして、今回は、教職員定数を3,415人増やすという要求をしてございます。これに加えて、昨年来、大変御審議を頂きまして、この3月末に義務標準法を改正させていただいた、通級指導が必要なお子さんに関する通級の基礎定数化に伴う増等が385人ございまして、合計しますと3,800人の増の要求でございます。なお、子供の数が減ることに伴います教職員定数の自然減3,000人がございますので、合計しますと、3,800-3,000ということで、800人の純増要求でございます。概算要求の時点で自然減を上回る増要求をさせていただいたのは、5年ぶりということでございます。数としてはもっともっとという声が現場にはあるわけでございますけれども、この環境整備のために5年ぶりに純増要求をさせていただいたということで、中教審の働き方改革特別部会の緊急提言を私ども重く受け止めて、予算要求をさせていただいたところでございます。
 その内容の主なところは、真ん中から下の部分でございますが、3,415人の改善のうち、3,200人を働き方改革関連とさせていただいております。その中でも特に、小学校の専科指導に必要な教員の充実、これを2,200人要求してございます。御案内のとおり、新学習指導要領の実施に伴いまして、小学校では平成32年度から、3・4年では外国語活動、5・6年では、英語、外国語の教科化ということで、週1コマ相当の授業時数が増えるということが決まっているところでございまして、ただでさえ忙しい小学校現場において、更に現行体制で取り組んでもらうということになりますと、もうこれは、それ以上の対応が不可能というようなところまで達してしまうところでございますので、授業時数の増加に対応した部分は、少なくとも、しっかりとした定数改善をしていこうということで、2,200人の要求をさせていただいているところでございます。また、中学校についても忙しいということで、主に生徒指導に係る時間が小学校と比べて多いということを踏まえ、中学校の生徒指導体制の強化のために500人の改善を要求しております。さらには、校長、教頭等の事務関係業務の軽減のために、学校事務職員が行っている事務の効率化を図るために共同事務体制をとるところに加配をするということで、プラス400人などの内容を要求しているところでございます。
 次に、8ページを御覧いただきたいと思います。8ページは、外部人材の関係の部分でございます。8ページの真ん中のところからでございますけれども、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部人材を、しっかりその体制を強化しようということでございます。特にスクールカウンセラーについては、平成31年度までに全ての小中学校に配置・派遣が可能なようにということを方針として掲げてございましたけれども、今般の働き方改革、さらには、いじめや不登校等、見逃すことのできない課題に対応するということも含めまして、一定規模以上の全ての小学校に、来年度、しっかり配置・派遣ができるようにということで、前倒しで増要求の計画を立てているところでございます。
 また、9ページの方でございますけれども、特別部会の方でも具体的な御提案を頂きましたが、補習等のための指導員等派遣事業の中で、教員の職員室において、先生方の教務に付随する事務的な仕事、コピーや資料の作成、こうしたものをサポートするスクール・サポート・スタッフの配置というものを新たに要求させていただいております。加えて、部活動指導員配置促進事業ということで、中学校の部活動を、外部の指導者の方を部活動指導員として任用いたしまして、この方々にしっかり取り組んでいただくことによって、先生はその時間に、夜に回ってしまっていたような、翌日の授業の準備や成績処理などに取り組んでいただきたいと考えております。あわせて、今、部活動の指導では、自分が経験のない競技の指導をせざるを得ないという教員が半数近くいるわけでございますが、そういった意味では、生徒に対するスポーツの指導という観点でも、先生方も心苦しい、技術的なことを教えることが難しいという思いをしている。このような声の中、外部の方に入っていただきながら、しっかりとした部活動の指導、また適切な活動、さらには教員の働き方改革につなげていくと、このような要求をさせていただいているところでございます。
 10ページにつきましては、先ほどの提言の中で言うと頭の方に来るわけでございますけれども、学校現場における業務改善加速事業ということで、今取り組んでいる事業を更に加速して取り組んでいくとともに、学校給食費の徴収・管理業務の改善・充実ということで、市町村におきます給食の公会計化が進むようなガイドラインの策定というものを要求しているところでございます。
 以上が働き方改革に関する予算要求の内容でございますが、もちろん、初等中等教育局として、この働き方改革以外、様々な課題にしっかり取り組んでまいるということで、資料2-2のとおり、要求してございます。その全部を説明させていただく時間は、大変恐縮でございますが、本日はございませんので、また御覧いただきながら御質問等を頂ければ、担当課が今日はそろっておりますので、御説明をさせていただきたいというふうに思っておりますが、私どもは何よりも、中教審で長らく御検討いただいておりました新しい学習指導要領を着実に実施していくことが大変重要だと。そして、子供たちに確かな力を付けていくということが大変重要だということで、教育課程の充実や、様々な、いじめ・不登校への対応、特別支援教育の充実に向けた施策、グローバルな視野に立って活躍する人材の育成等、多方面にわたって、中教審のこれまでの議論を踏まえた要求をさせていただいているところでございます。財政当局の方は例年になく更に厳しい状況でございますけれども、年末の予算編成に向けて一段の努力をしてまいりたいというふうに思ってございますので、委員の先生からも、引き続き、御支援、御指導を賜れればというふうに思ってございます。
 以上でございます。
【小川分科会長】伊藤課長、ありがとうございます。
 今、伊藤財務課長の方から、緊急提言の内容と、それに関係する来年度予算の要求内容について、説明いただきました。今日は主に、緊急提言の内容と概算要求内容に関わって、御質問、御意見が委員の方からもしもあれば賜りたいと思うのですが、特別部会審議のスケジュール感は分科会の方に少しお知らせした方がいいのかなと今感じましたので、特別部会で今、どういう審議をして、どういうふうなスケジュール感で審議を進めていこうとしているのかということを、少し御報告させていただければと思います。
 特別部会は、ほぼ月2回のペースで審議を進めていまして、現在、主に取り上げているテーマは、教員の業務量全体を大幅に軽減していくというところに焦点を定めて、どういう方策があるかということを検討しております。特に、教員がこれまで担ってきた、例えば、登下校の見守りとか、給食指導とか、地域との連携などいわゆる、周辺的な業務というか、境界的な業務については、具体的に11項目をピックアップしまして、一つ一つの業務について、これは本当に、学校が担うべき業務なのか、教員が担うべき業務なのか、または、教員以外の職員や、学校外の方に担っていただけるものなのかどうかということを、一つ一つ具体的な業務を取り上げて、今検討しています。さらに、明日も開催されますが、明日以降、2回ぐらいにわたって、今度は本来的な業務である学習指導とか生徒指導に関わって、教員の負担を軽減するために、こういう本来業務においてもどのような効率的な業務遂行が可能なのかということで、そういう体制整備の在り方、効率化の在り方ということを検討することになっています。年内は主にこうした、業務量をいかに軽減するかということを中心に議論して、11月いっぱいをめどにそうした議論をして、そうしたものをベースにしながら、年内の中間まとめの作業を進めていきたいと思っています。そして、12月頃に一度、業務軽減のテーマを中心にして初中分科会の方に御報告させていただいて、初中分科会の委員の方からいろいろな御意見を伺いたいというふうに思っております。それを終えた後、来年以降、1月以降は、学校の勤務体制の在り方、管理の在り方、勤務時間管理の在り方等々について、テーマを取り上げて議論を進めていきたいというふうに思っております。
 一応、そういうふうなおおよそのスケジュール感で進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 今日は、先ほど伊藤課長の方から説明あったような、緊急提言の中身と、それに関係した来年度概算要求の内容について、皆さんの方から御意見を頂ければと思います。また、広く働き方改革に関わって御意見もあろうかと思いますので、御意見があれば、是非、御発言いただければと思います。どなたからでも構いません。
 柏谷委員、どうぞ。
【柏谷委員】全国町村教育長会の柏谷でございます。今できることは直ちに行うということで、緊急提言、私は非常に、これは大事なことであるなあというふうに思っています。しかしながら、絵に描いた餅で終わるんじゃないかなという危惧もあります。そこで、上限を設定して、罰則規定、これはかなり法律に触れることもあろうかと思うので慎重な議論も必要かと思いますが、現在、この危機意識の浸透を国民全部に持ってもらうということが大事であるので、何時間以内ということはきっちりと出すべきと思います。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。坂越委員。
 すみません、発言の際には、名札をテーブルに立てておいていただければと思います。
【坂越委員】すみません。ありがとうございます。緊急提言を頂いて、是非、緊急にこの環境整備ということはお願いしたいと思うのですが、全体的な観点で少し気になることは、私、地方都市の教育委員も兼職していて現場の先生たちとお話しする機会もあるのですけれども、現場の先生たちの働き方、これに関する意識がちょっとばらばらというか、もっと分かりやすい言い方すると、一生懸命仕事をして何が悪いというか。全部じゃないですよ。全部じゃないですけれども、先生方の中には、先ほどの御発言と逆行するようで申し訳ないのですけれども、もっと働きたいというか、私はこれに生きがいを感じて、聖職者というような、例えばですけど、そんな意識を持っていらっしゃる先生がいて、このメッセージがどういうふうに伝えられるのか。だから、現場の先生たちがこの働き方改革をどういうふうに受け止めて、これを実施するときに具体的に展開されていくのかということに少し配慮が必要かなあというふうに思うのです。例えば、スクールソーシャルワーカーと協働・連携しなさいといっても、先生の中には、夜中にスクールソーシャルワーカーに家庭訪問をさせられませんとか、私がちゃんと行きますみたいな先生、結構おられたりするのですね。ですから、連携して業務を効率的・適正にこなしていく仕方というのを先生方の研修の中にも取り込んでいただくとか、先生方自身が、こういうふうな働き方、適正な働き方をすることによって、それぞれのキャリアが更にアップしていくし、学習・生徒指導に関してこういうふうに深まりができるということを考えていただけるような機会を持っていただいた方が、実施に当たってはいいのではないかなあというふうに思って、そういう受け止め方です。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 この後、角田委員、横倉委員、鶴羽委員の順でお願いいたします。
【角田委員】ありがとうございます。働き方改革の緊急提言と議論そのものについて、確認済みかもしれないのですけれども、もう一度確認させてください。対象が公立の小学校と中学校ということが、緊急提言で明確になったように思うのですけれども、高校は入っていないのでしょうか。何回かこの疑問があげられたことがあったかと思うのですけれども、「入っていないわけではない」と、そんなようなお答えだったかと思います。私は高校の先生向けのメディアに関わっているということもあり、高校でも看過できない問題だと思っています。しかし今回の勤務時間調査の対象にもなっていませんで、データとしては把握できない状態になっています。私が捉えているのは、高校の先生ももちろん大変であることは違いがないというほかに、業務量の個人差がとても大きいのではないかということです。そして、この場に高校の先生もいらっしゃるのに失礼ですけれども、トップマネジメントが効きにくいという、特徴があるように思っています。できたら個人差の大きさについて再分配するようなマネジメントについてきちんと議論していただきたいということと、この先の議論だと思いますが、頑張っている先生が報われるような人事考課についてきちんと整えていっていただきたいなあと思っています。給特法の見直しについては、この先の議論の中に入っているのでしょうか。その辺もきちんと道筋を付けていただけたらと思っています。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 横倉委員、どうぞ。
【横倉委員】まず、今回、教職員定員の改善に向けて予算要求につなげられた、文部科学省の御努力に対して敬意を表します。私ども医師の中でも働き方改革について検討を始めましたが、国民のニーズと医療職の働き方をどうマッチさせるか、非常に難しい点があります。そういう意味では、学校の先生方においても、子供の教育の成果と働き方のマッチングはかなり難しい面があると思います。その中で、6月27日の分科会で教員の精神疾患による休職者が非常に増えている話をいたしました。働き方改革には教職員の健康を守るという観点の考慮も必要だと思います。通常、教職員50人以上の場合は、労働安全衛生法で産業医を配置することになっています。また、50人未満でも健康管理医を配置することになっていることを6月の分科会で申し上げましたが、その点について部会及び文科省でどのような検討がなされてきたのかをお聞きしたい。
 また、部活動への指導員の配置促進事業が組み込まれました。これもすばらしいことだと思いますが、部活動指導員が配置された場合、私どもは学校管理下の事故の患者さんを診るに当たって、学校管理下の事故について、先生方がいらしたかどうかが時々問題になります。現在、学校管理下での事故の場合、日本スポーツ振興センターから、しかるべきお見舞金なり、障害に応じての賠償ということが出ております。そのため、教員の働き方改革を検討していくに当たっては、同時に周辺の事柄にも気を配って見直しをお願いします。
 さらに、概算要求については、前回の中教審の総会で、養護教員の複数配置基準を引き下げることもお考えいただきたいという話をいたしました。是非、そのような面からもよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。文科省に対する質問も幾つかありますけれども、終わった後に一括して、お答えできる範囲でお願いできればと思います。
 鶴羽委員の後、帯野委員、荒瀬委員、吉田委員の順でお願いいたします。
【鶴羽委員】北海道でも独自に、札幌以外の先生方の勤務時間の実態調査を行いまして、先週の教育委員会で発表されたのですけれども、やはり全国とほぼ同じ傾向にありました。しかし、先週の地元の新聞の論説で、気になる記事も出ました。それは、登下校について外部委託というようなことにつきまして、登校時に子供たちと先生方が触れ合うということは、そこでしか話せないことがあって、かけがえのない時間なのだと、そういうような意見がはっきりと強く出されていました。
 また、現場の先生方に伺いますと、学校で先生方が残っていたら先に帰りづらいし、部活も、一生懸命やっている先生がいたら、自分はなんていうことも言いづらいという、学校独自の今までの考え方の根強さというのが大きいのではないかと思います。
 私、最近、北海道の女性教員で主幹クラスの60名ぐらいの先生方と懇談を持ったのですけれども、教頭先生にだけはなりたくないと。校長はいいと。なぜですかと聞きましたら、教頭は一番最後に帰るからですと。土日も連絡等で待機してなきゃいけないので、子育てや介護を考えたときに無理ですというような発言がありました。ですから、この働き方改革のところで、教職員だけではなくて、管理職、特に教頭先生の帰る時間をどういうふうにするのかということさえ改善できれば、管理職のなり手不足の解消にもつながるのではないかなというふうに感じています。
 いずれにしても、緊急提言という強く訴え掛けるということはとても意味があることだと思いますが、世論に向けてもきちんと、なぜそうなのかということが分かるように発表していくということも、先週の新聞を読んでちょっと残念な気持ちになりましたので、大事なことかと思います。
 最後に質問ですけれども、資料2-2の9ページのスクール・サポート・スタッフの配置や部活動指導員配置促進事業のところでお伺いしたいのは、どういう方々がこの仕事に就かれるのかなあというようなことと、待遇面についても、分かっていれば教えてください。私自身が感じているのは、教員を目指す大学生のアルバイト先という部分でももし可能性があるとしたら、早い時期にいろんなことを経験できるという部分でも大きな力になるのではというところで、やりたいという若手もたくさんいますので、どういうところに広げていくのかなというところのお考えがありましたら、教えてください。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 時間も余りありませんので、この後、帯野委員、荒瀬委員、吉田委員、寺本委員で、終わらせていただきたいと思います。
 それでは、お願いいたします。
【帯野委員】大胆な予算要求をしていただいて、大変ありがたいと思います。ただ、これがおりたときに、絵に描いた餅にならないように、しっかり考えていかないといけないと思うのですが、先ほどからちょっと意見が出ましたように、学校の先生の意識というのはかなりばらばらで、その先生方の意識を変えていくという点では、各地方の教育委員会がどれぐらい理解と努力をするかというところが、源になると思います。
 それで、一つ質問なのですが、この予算の配分というのは、交付金勘定で地方におりるのでしょうか。そのときに、例えば、生徒1人当たりとか、学校1校当たりとかいうふうな配分の仕方になると思うのですが、教育委員会がどれぐらい、その前提となる、努力義務を果たしているかということも、きちんと見ていった方がよいのではないかと思います。例えば、マネジメント研修があるとか、何よりも業務改善の計画等々を立てられている等。極端に言うと、ある程度、配分のところで、頑張っているところには出す。義務教育ですから出さないというのは難しいと思うけれども、ある程度ナショナルミニマムにして、教育委員会そのものが意識が低いようなところはちょっとペナルティーを入れて配分を少なくする。そうやって国全体で引っ張っていく必要があるのではないかと思います。そうしないとなかなか現場も変わっていかないと思いますので、頑張っている教員が報われるのもさることながら、頑張っている教育委員会が報われる、頑張ってないところはそこそこに、そういうことも考えてよいのではないかと思いましたので、質問と御提案でございます。
【小川分科会長】ありがとうございました。
荒瀬委員、どうぞ。
【荒瀬委員】ありがとうございます。2点ありまして、1点目は今の話で、もう1点はちょっと違うのですけれども、それはまた後から。
 高等学校のことを角田委員がおっしゃってくださいまして、大変ありがとうございました。高等学校に対しても、どうしていくのかというのは、都道府県教委もそうですし、市町村でも設置しているところがありますので、公立については特に強くおっしゃっていただきたいと思います。絵に描いた餅にならないようにと何人もの方がおっしゃいましたけれども、それをするためには各教育委員会に考え直してもらう必要があることが一つあって、それは異動年限だと思っております。校長は普通2年とか3年でかわっていくのですけれども、教員は当然、それよりももう少し長いわけですね。そうすると、さっきもお話が出ていましたけれども、教員の意識の違いというのがあって、ある県のある高等学校の先生方とお話ししていると、その学校は不夜城であることを誇りにしているみたいな、それが地域の信頼にもつながっているという、そういう学校は現に、少なからずというか、そう多くはないですけれども、ありまして、そういったところに対して校長がトップマネジメントを働かそうとしても、先生はあと二、三年で出ていかれる方だから、お立場上おっしゃるのは分かりますけれども、実際、現場はそうはいかないというようなところがあって、結果的に全てがそんなふうに回っていっているというのがありまして、これは、文科省から言えるかどうかは別として、中教審としてはそういう意識を強く持っておく必要があるんじゃないかなあということを思います。私は、校長の異動年限というのは結構大事な話だと思って前から意識しておりますけれども、長いのがいいというわけでは決してありませんが、是非、その点、申し上げておきたいというふうに思います。
 もう1点は、ちょっと違うことなのですけれども、小川先生、よろしいですか。
【小川分科会長】どうぞ。
【荒瀬委員】資料2-2の54ページです。これは事前に頂いた資料を拝見していて気が付いたところですが、今回の学習指導要領の改訂でも非常に大きな柱としてキャリア教育というのがあるわけでありまして、この中でいろいろなことをやっていこうというのは大変すばらしいと思うのですけれども、事業目的のところにキャリア教育の定義と思われるものが書かれています。「児童生徒一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育の一層の充実が、」とありますけれども、例のキャリア教育・職業教育特別部会で相当議論をしたときの定義というのは、キャリア教育については、「社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育」と。一言で言ってしまうと、キャリア教育というのはキャリア発達を促す教育であって、ここのまとめ方というのが、ある種、各学校でキャリア教育に対する誤解を生んでいる部分で、だから職場体験をすることがキャリア教育なんだみたいなところにどうも行ってしまう面がなきにしもあらずというふうに思っておりまして、今回、とりわけ中教審の答申でも、そこのところはいま一度、答申を読み直すべきだみたいな意味のことも書いていただいていますので、是非、この事業目的をどうのこうのではなくて、今後、キャリア教育というのをやっていく上で、その点の定義というのを改めてよろしくお願いします。ちなみに、昨年12月の答申では、「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程をキャリア発達としている。」という、非常に分かりやすい定義が示されていますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
【小川分科会長】吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】ありがとうございます。私はちょっと観点が違うかもしれないのですけれど、勤務時間の把握とか云々というお話があるのですが、教員って生徒に対して指導するわけです。やはり、生徒が大事だと思うのです。その子供たちに例えば何かあったときに、夕方何時になったから先生は勤務時間だから帰りますという、それは決していいことではない。働き方改革という中で、時間のことは当然ですけれど、休めるときに休めるような体制作りとか、そういったことも大事だと思うのですね。今回こういう問題が起きてきた原因、この10年、20年で、何で教員がそこまで忙しくなってきたのか。その一つの問題としてあることは、家庭がある意味無責任になってきた部分もあるのではないか。本来であれば家庭でやるべきことを学校任せにしていることもある。
 それから、本当にこの辺は公立学校と違う、我々は私学ですから、そういう意味では、楽と言うと言い方は変ですけれど、我々は一法人が多くて数校しかありません。しかし、教育委員会という組織になれば、組織が大きいですから、校長と教育委員会の関係の報告とか、学校から教育委員会への報告とか、我々の学校で言えば、その場で終わることが、報告義務とか、文書伝達とか、いろいろ出てくるわけです。そういう意味では、今までの10年、20年で何が原因で仕事の時間が増えているかといったときに、子供の問題、家庭の問題も一つあるし、それから、そういったいろいろな業務が増えてきている。だとしたら、そのために何をやらなくてはいけないのか。ただ時間になったから帰れでは、やはり子供を中心に考えたら、これは大きな問題が起きると思います。その辺のところはしっかりとやらなくてはいけないし、先ほどもお話がありましたけれど、学校管理下のことだったら保険がおりるけど、そうじゃなくてはおりないとか、いろいろな問題があるわけです。そうすると、常に教員が付いてざるを得ないというような事象もどんどん増えてきている。そういう意味での改革というのは、御家庭にも協力していただいて、いろいろなことがスムーズに進むようになり、先生方が休めるときに、例えば前の日は夜遅くなった場合に、朝、授業がないのだったら、例えば2時間目まで休んでから来ていいよというぐらいのことができるような環境作りというのも必要ではないかなと思って、あえて言わせていただきました。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 では、最後、寺本委員。
【寺本委員】学校における働き方改革特別部会の委員として、私ども日本PTA全国協議会の会長、東川が出ておりますので、おおむねその中で話をさせていただいております。これを盛り込んでいただいたということなんですが、一つ根本的なところで、教員の働く時間を減らすということはそうなんですが、子供と向き合う時間を減らしてはならないと思います。そういった点で、この提言全般に対して書いていないのは、子供と向き合う時間を確保するとか、増やすとか、「子供」という文字が出てこないのですね。児童生徒に対して、主役である子供たちにこういうことをしたいので、ほかの部分をそれぞれの専門家に任せるとか、また、働き方改革で時間をしっかりと管理をしていくという流れでなければならないと思いますので、その点について、時間さえ減らせばというところに行ってしまいがちだと思ったものですから、そういった書きぶりも表現として考えていただければありがたいなあというふうに思っています。
 また、先ほど親の話が出ていましたが、この提言の中の3ページの上から4行目で、「PTA等の協力も得ながら、保護者や地域住民等の理解を得るための取組を進める」というふうになっています。我々もそういったことを意識しながら全国の仲間にも発信して、どんどんと協力をするという意識は醸成されつつありますので、そのことも、我々も含めてですが、発信を更にしていきたいなというふうに思っています。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 短時間でしたけれども、多くの委員の方から、要望、御意見、そして事務局に対する質問等々がたくさんありました。例えば上限規制の問題とか時間管理のマネジメントの在り方等々は、特別部会で議論してきたテーマでありますし、また今後とも議論をしていくべきテーマでありますので、多くの点については特別部会の審議の方に引き取らせていただきたいと思います。時間が余りないので、幾つか具体的な質問がありましたが、事務局の方で、今答えられるものがあれば、答えていただければと思います。よろしくお願いします。
【伊藤財務課長】それでは、何点か、簡潔にお答えさせていただきたいと思います。
 まず、角田委員の方から御指摘ございました、高等学校もターゲットなのかということに関しては、以前も御説明させていただいたとおり、私ども、高等学校もしっかりターゲットに、小中高、特別支援学校、共通の課題として捉えているところでございます。ただし、実際の施策については、義務教育費国庫負担制度もあり、国がその給与の3分の1を負担している市町村と、原則、公立学校についても都道府県ごとに行っていただくというような形での高等学校の施策とアプローチの仕方はちょっと異なるものですから、国の予算上の対象は主に小中学校でございますが、例えば部活動指導員の活用などについても、地方交付税の中で従来入っていなかったものをしっかり今回入れていただけるようにということで私どもから総務省の方に要望するなど、高等学校での改革も後押しをするような、政府としての全体の予算の要求要望をしているところでございます。また、養護教諭等につきましても大変重要な視点でございまして、働き方改革、さらには様々な課題に対応するように、今年度、人数的には働き方改革の方が比重を置いているものですから少し桁は小さくはなってございますけれども、20人の増員要求ということで今取り組んでいるところでございまして、養護教員の重要性については私ども重々承知をしているところでございまして、しっかり取り組まなければいけないというふうに思っております。
 また、予算資料の9ページにございますスクール・サポート・スタッフや部活動指導員配置促進事業、こうしたものに関しまして、帯野委員の方から、予算の配分をどうしていくのかと、また、鶴羽委員の方から、どういう人が就くのかと、こういう御意見を頂いたところでございます。
 予算でございますが、これから獲得をしながら同時に考えていく面はございますが、まさに御指摘のように、私ども、例えば都市部においては大学生などがこうした形でスクール・サポート・スタッフや部活動指導員として早い段階から学校に入っていただいて、児童生徒と触れ合いを通じて様々な事象を学んだり、教員の姿で表に出ないところの姿も後ろで見ていただいたりというようなことは大変重要ではないかというふうに思ってございます。同時に、スクール・サポート・スタッフなどについては特別な能力を必要とする方ではないという前提で私ども思っております。コピーなどをとっていただくということでございますから、もう少し幅広く、教員を目指さない方も含めて、幅広い方を地域の中で雇用できる、可能な方を雇用していただくということがあると思っておりますし、逆に、余り大学生がいない地方の方に行きますと、大学生に頼るわけにはまいりませんので、退職した学校の先生方を部活動指導員として、しっかり児童理解もできている方々に入っていただくというのも一つの方策であるというふうに思ってございます。
 また、配分については、私どももしっかり、今回の予算は、それぞれの都道府県、市町村でこの問題にどう取り組んでいるのかというようなことを加味するような形でと思っております。特に部活動指導員は、国の予算を活用して付けたから、その分、今まで先生がやっているものにプラスして部活動を週7日にしました、というようなことがあってはならないというふうに思っておりますので、今、スポーツ庁の方で部活動の適正化に向けたガイドラインの策定を急いでいるところでございますが、そのガイドラインで総量規制、1週間の部活動の総時間数はどの程度が適当かと、こういうものをスポーツ庁の方で医科学的見地からしっかり打ち出していただきながら、それを守るところにこの予算を付けていくんだというようなことを併せてメッセージとして出していくことを私どもも検討していかなければいけないというふうに思ってございます。
 その他、様々な御指摘を頂いたところでございますけれども、私どもとしては、今回頂いた御指摘を踏まえ、まだまだ特別部会の方は、分科会長からお話ございましたけれども、本格的な検討はこの後更に行っていくというところでございますので、今日頂いた御意見も踏まえながら、また中教審の特別部会の御議論を踏まえて、私どもも必要な施策に取り組んでまいりたいと思っております。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 時間もありませんので、今日はこのくらいで御勘弁いただければと思います。先ほども言いましたように、年内に中間報告のまとめを特別部会の方で考えておりますので、ある程度まとまった段階でこの初中分科会の方に御報告させていただいて、皆様からまた忌憚のない御意見を頂く予定になっておりますので、その際、御発言いただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題(1)(2)については、これで終わらせていただきたいと思います。
 次に、議題(3)の第3期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について、生涯学習政策局の内田教育改革推進室長より説明をお願いいたします。
【内田教育改革推進室長】第3期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過につきまして、御説明させていただきたいと思います。これまで基本計画部会において、昨年4月の諮問から審議を頂いてきております。小川分科会長、無藤分科会長代理にも、部会に御参画いただいているところでございます。前回、8月22日の初中分科会においても、検討の状況を御報告させていただきました。その後、御意見も踏まえて修正させていただきまして、9月19日の教育振興基本計画部会の議論を経て取りまとめ、去る9月28日の総会で御報告させていただいたところでございます。本日は、その総会の資料を配付させていただいております。
 まず、資料3-1でございますけれども、こちらは確認のために諮問事項を改めてお配りさせていただいております。諮問事項○1は、「2030年以降の社会の変化を見据えた、教育政策の在り方について」です。そして、諮問事項○2は、「各種教育施策について、その効果の専門的・多角的な分析、検証に基づき、より効果的・効率的な教育施策の立案につなげるための方策について」となっております。この諮問事項○2はエビデンスに基づく教育政策推進の方策の検討という趣旨の諮問でございます。現在まで、諮問事項○1を中心に御審議いただいておりまして、諮問事項○2は今後の審議予定となっております。
 また、お配りしている資料3-2ですが、去る2月でございますが、第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方をまとめた概要でございます。今年の2月に初中分科会でも報告させていただいております。この基本的な考え方は、総論をまとめた考え方でございますが、それをベースにブラッシュアップしたものが、次の資料3-3でございます。また、その二つ下に、資料3-5として、審議経過報告を置かせていただいております。それぞれ、概要と本体という関係になっております。
 今後の予定でございますが、まずは国民からの意見募集を約1か月間行いまして、また、先ほど申し上げました諮問事項○2のエビデンスに基づく教育政策推進の方策に関する議論を進めていただきますとともに、教育投資の充実・教育財源の確保に向けて、どのような方策が考えられるのかについても、今後の審議ということになってございます。それらを経まして答申を頂きました後に、年度末の閣議決定ということを目指してまいりたいと考えております。
 それでは、前回の説明と多少重複いたしますが、簡単に、資料3-3で、御説明させていただきたいと思います。
 資料3-3に関しましては、全体像をまとめているものでございまして、左側に、「第1部 我が国における今後の教育政策の方向性」「ローマ数字1 教育の普遍的な使命」といたしまして、教育基本法第1条の教育の目的、第2条の教育の目標を踏まえる必要があるということや、目指すべき姿を記載しております。その下の「ローマ数字2 教育をめぐる現状と課題」といたしまして、第2期計画期間中にフォローアップも部会で行っていただきましたので、これまでの取組の成果と課題を(1)にまとめさせていただいておりまして、(2)といたしまして、社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ、取り組むべき課題を整理させていただいております。右側ございますけれども、「ローマ数字3 2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項」として、人生100年時代を見据えた学習や能力向上の必要性、Society5.0を生き抜くための能力の育成、教育を通じた一人一人の「可能性とチャンス」の最大化を今後の教育政策の中心に据えて取り組む旨を記載してございます。
 併せまして、資料3-4、こちらは御紹介のみに留めさせていただきますが、一番上にそれぞれの方針がございまして、方針に基づいた目標、それを実現するための主な施策群、目標の進捗状況を測るための指標ということで、ロジックモデルという形でまとめさせていただいております。
 資料3-5が本文でございます。前回の分科会におきまして本文を中心に全体像を御覧いただきましたので、前回の御議論を踏まえまして御意見を反映した箇所を中心に、御説明させていただきます。
 お開きいただきますと、2ページ目から3ページ目に目次がございまして、1部が総論、2部が各論となっておりますけれども、前回御覧いただいた全体像と変化はございません。
 20ページをお開きいただきまして、大きな柱の1でございます。まず、下から二つ目の○でございますが、前回の分科会で、小中学校から高校まで一貫した教育理念をしっかり打ち出すべきだという御意見を踏まえて追記させていただいております。
 28ページ目の大きな柱の5ですけれども、下から二つ目の○でございますが、学校保健会などの関係諸機関の連携体制の強化について御意見がございまして、特に重点的に段落を設けて記載しております。
 次に、35ページでございますけれども、35ページ目以降は各論と指標を説明した箇所でございます。最初の○の幼児期における教育の質の向上につきまして、研修の充実についてしっかりと盛り込むべきという御意見がございましたので、追記させていただいております。
 次、40ページ目の一番上の○でございますが、最初の黒いポツの最後のセンテンスでございますけれども、学校保健会等に関して、関係機関間の連携の強化についての御意見がございましたので、追記しております。
 次の41ページの下の注釈でございますが、運動の二極化傾向について記載してほしいという御意見がございましたので、追記しております。
 46ページ目の最初の○の最後のセンテンスでございますが、保護者が子供と触れ合う機会を十分確保できるようにすべきとの御意見がございましたので、記載しております。
 次に、60ページですが、最初の○の2段落目の最後ですが、私立の小中学校に対する支援金の制度について追記すべきとの御意見がございましたので、追記しております。
 あわせて、前回、私学に関しての記述をしっかりすべきとの御意見がございましたので、私学関係の記述をまとめて御紹介させていただきます。若干戻りますが、30ページの二つ目の○以降に私立学校の振興について記載しております。
 67ページの学校のICT環境整備の促進の2個目の黒ポツに、私立学校のICT環境整備について記載しております。
 また、69ページですけれども、私立学校の教育研究基盤の強化という新たな記載をしているところでございます。
 私学関係以外の内容に戻りまして、62ページ目でございます。参考指標ですが、一番下に前回御意見がございました夜間中学の指標について加えておりますのと、同じページの最後の○の夜間中学の設置・充実の箇所に、全ての都道府県に少なくとも一つの夜間中学が設置されるよう促進するという方針を盛り込んでおります。
 次、66ページの測定指標ですが、前回、インターネット速度の指標が必要ではないかという御意見がございましたので、超高速インターネットの100%整備という指標を追加しております。
 前回御意見いただきました部分、そして修正した点を中心に御紹介しておりますが、本日頂いた意見に関しましては、今後、答申までに反映について検討をさせていただきたいと考えております。
 説明は、以上でございます。
【小川分科会長】内田室長、ありがとうございました。
 今、内田室長の方から説明ありましたように、前回8月22日の初中分科会で、第3期教育振興基本計画の内容について、議論いただきました。そこで出された意見の多くについては、教育振興基本計画部会の方に報告して、可能な限り、今、御報告があったような形で反映させていただきました。さらに、今日の御報告を伺った上で御意見がまたあろうかと思いますので、15分から20分ぐらい時間がありますので、委員の方から、今、御報告いただいた内容について、御質問、御意見があれば、お伺いしたいと思います。発言の際には、恐縮ですけれども、名札を立てていただければと思います。どなたからでも構いません。いかがでしょうか。
 加治佐委員、どうぞ。
【加治佐委員】もう大枠は大体固まっているということなので、大事なのは、施策レベル、そして指標をいかに設定するかということだと思います。諮問の中にも「明確化かつ精選した指標を設定し、教育政策の検証改善サイクルを確立する」とありますので、指標の設定ですね。しかも、これは振興基本計画のレベルでの指標設定ですので、ある意味、非常に難しい。いろんなことが考えられると思うのですが、その中で何を選んでいくかということは、非常に難しいと思うのですね。また、測定の仕方がありますので、測定できないものを指標にしても、ある意味、話になりませんので、非常に難しいと思うのですね。そういう中で、私が関わっている部分で気付いたことを申し上げさせていただきたいと思います。できますれば、今後の参考にしていただければと思います。
 2点あります。1点目は、ロジックモデルでもいいのですけど、資料3-5の44ページです。これは、目標(5)ということで、社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成ということです。測定指標候補が四角の中に入っているわけですけれども、この中に高専があるのですが、私は高等専門学校におりますので、高専に対する現状認識がちょっと違うんじゃないかという気がします。例えば、測定指標候補の一つ目に「職場体験・インターンシップの実施率の維持・向上」とありますが、これはほぼ100%なんですね。ですから、これはもう達成されていると思います。それから、三つ目の「企業等と連携して実施する企業の課題解決や製品開発等を題材とした授業科目」云々ということ、これも100%なんです。例えば、PBL、problemとか、project based learningとか、あるいは社会実装教育、そういうのがほぼ行われていますので、現状認識をそういうふうに持っていただいた上で、高専だと、これはアウトプットの指標だと思いますけど、アウトカム指標を設定していただきたいと思うんですね。例えば、こういうインターンシップを実施した結果、職業に必要などういう能力が得られたのか、効果はどれぐらいかとか、あるいはPBLとか社会実装教育の成果・効果といったものを指標にしていただきたい。ただ、これがこうなってくると難しくなるわけですね。難しくなる、明らかに。高専なんかだと、CB(computer based)のテストというのは、既に在学生に対して試行しておりますので。それから、卒業生に対しても、企業へのアンケートとか、そういうのを通じて、かなり成果の検証というのをやっているわけですね。ですから、そういう成果がありますので、そういう取組がありますので、そういうところを是非取り入れていただきたいというところです。
 それから、2点目は、64ページなんですが、教員の養成、採用、研修の一体化を通じて教員の資質能力の向上と、こういうことが施策になっています。これをどういう指標で測っていくかということ、これはこれでまた難しいと思うんですね。64ページの四角の中には測定指標候補として幾つか挙がっていますが、特に上二つ、専修免許状保持者の割合の改善とか、教職大学院修了者の増加ということがあります。これはこれで、よく分かります。これが増えれば、おのずと教員の資質能力の向上が図れたと言うことはできると思います。ただ、できるのですが、従来と全然変わらないということだと思うんですね。測るのが難しいので何でもかんでもというわけにいきませんので、私が思うのは、専修免許状の保持者とか、あるいは特に教職大学院の修了者が、いわゆるリーダーにどれぐらい就いているかということですね。例えば、校長、副校長、教頭、あるいは、主幹教諭、指導教諭、教育委員会であれば、教育長とか、指導主事とか、そういう方々に、一般の教員でもいいのですけれども、どれぐらいいるかということは、ある意味、こういう免許状とか、あるいは教職大学院修了の有効性を示すことになります。持っている人がそういう地位に就いているということは評価されたということになりますので、それなりに資質向上はそれで測れたということになります。それがまた免許状取得者とか教職大学院の修了者を増やすことにつながりますので、是非、そういう観点も持っていただけたらいいかなということであります。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 天笠委員、どうぞ。
【天笠委員】失礼いたします。以前もその種のことについて発言させていただいたかと思うのですけれども、まず一つ目は、全体として、スクラップ・アンド・ビルドという、そういうめり張りをもっと意識的に出すべきなんじゃないか。そこのところが必ずしも見えてないということを印象付けられるわけですけれども、これは先ほどの1点目の働き方改革等々というのとも非常に関わっているんじゃないかと思うのですが、とにかくビルドという方向にどうしても来るわけであって、ですから、新たなる計画を立てるという場合には、スクラップがあってのビルドだという、そのめり張りを積極的に打ち出すというふうなことが、先ほどの働き方改革等との関わりがあって、極めて重要なんじゃないか、その視点がちょっと弱いんじゃないかなというふうに、全体を通しての印象として持ち続けております。確かに、一つ一つはみんな必要なんじゃないかなというふうに思うのですけれども、改めて、そういう全体的な思想というのでしょうか、姿勢というのがむしろ大切で、それをどういうふうに打ち出していけるのか、どうなのかということが、この教育振興基本計画の問われているところではないかというふうに思っております。
 例えば、一つ出させていただきますけれども、どこにあるのだか、ちょっと一生懸命探したのですが、もしかするとここにあるんだって後ほど御指摘いただければと思うのですけど、研究開発学校の制度ということです。私もその委員を長年させていただいているわけですけれども、私は、研究開発学校の制度というのは、この国の学習指導要領の改訂に当たって大変貢献する制度でありシステムであるというふうに認識しておりますし、その持っている、これまで果たした役割というのは高く評価している一人であるわけですけれども、改めて、その制度というのが、2030年に向けたときにどうあったらいいのか、どうなのかというふうなことについてはしっかりと押さえるべきなんじゃないかと思うのですけれども、どこかに、そういうことの方向性とか、そういうことがあるかなというと、少なくともこのレベルのところには、あまりそういうふうなことについては浮かび上がってきてないように思います。ただ、まだしっかり見てないので、もしかすると見過ごしているところがあるかもしれませんけれども、そういうふうに考えたときに、例えば、ちょうど新しい学習指導要領が出てきたわけですので、今の時点で研究開発学校を機能させるとかっていうこと自体がなかなか難しい状況なわけで、2030年に向けたときに改めて研究開発学校をどういうふうに機能させていくのか、制度にさせていくのか、そういう検討をする5年間としてこれからあるとするならば、もう一度見つめ直していくことになるかと思うのですけれども、そういう方向性とか在り方とかっていうのをめり張りを立てて示していくということも大切なのかなあというふうに思っておりますので、御検討いただければと思います。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 時間もあまりないので、この後、善本委員、時久委員、柏谷委員、貞廣委員、鶴羽委員、荒瀬委員、最後に堀田委員ということで、終わらせていただきます。発言の際、恐縮ですけれども、時間も迫っていますので、手短にお願いできればと思います。
 それでは、どうぞ。
【善本委員】よろしくお願いします。私からは、48ページの社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成するの中のグローバルに活躍する人材の育成というところにつきまして、主として英語を中心に測定指標候補もここに挙がっているところでありますけれども、今、これはかなり厳しい、実態から遠い目標である上に、遠くても徐々に増えていっていればいいのですけれども、ほとんど増えていないというふうな状況もあります。という中で、もちろん英語はツールであるので、グローバルリーダーを育成するということ、あるいはグローバルに活躍できるということは英語だけではないというふうに思いますけれども、グローバル化の進展の中で国際的な地位の低下という課題意識や危機感があるにしては、ここのところに、具体的にこういうふうにやっていくというところについての、多分、私どもは学校現場の立場で今までの学校教育を変えていかなくちゃいけないということがあるかと思うのですけれども、それにしては、先ほどの予算の部分で言っても、学校の教育を変えていく、特に中高、ここには測定目標は中高が書かれていますので、そこの部分の予算措置も含めての取組が少し弱いのではないかなというふうに思っています。かなり大きな転換を図るという意味で、もう少しここに迫力なり具体性というものを頂ければいいかなというふうに、私たちもしっかりと現場で頑張っていきたいというふうに思っています。この部分については非常に目標達成が厳しい状況だと思いますので、そういう危機感を持っています。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 どうぞ。
【時久委員】私の方は、ページで言うと48、49、50のあたりから少しお話をさせていただきたいと思いますが、日本の教育の課題というのは、一つは、国際的に非常に活力ある日本の教育というのを進めていきたいというのがあるのと、もう一つは、経済的に苦しかったり、貧困状態だったりということで、両極端に非常に分かれている部分があります。だからといって、課題があるので一方的というわけではなくて、両方それぞれのものを絡め合いながら教育を進めていくということが大事だと思っているのです。先ほど天笠委員の方からスクラップ・アンド・ビルドというお話もありましたけれど、このことも一つは大事です。相補的に絡め合うというのは、課題も、やることもたくさんあるのを、それを総合的に組み立てて教育は進めていっているわけですので、そこを絡め合いながらという方法をどこもが創造的にしていかないといけないと思っています。
 それで、48、49、50は国としての活力ある教育の方向がずっと書かれているのですけれども、48ページのところは、小学校とか中学校の外国語の教育のことを書かれています。49ページは、高等学校、高専、大学等への支援ということで、ここに、グローバル化ということで、国際バカロレア教育の普及というふうなことでも書かれています。そして、50ページのところは、アクティブ・ラーニングという、要は子供たちがどんどん探究的に創造的に教育を受けながら、また、そう育っていくという、日本を開いていく子供たちを育てようという方向性の部分です。一つは、49ページのところは、高等学校のところを書いている部分に、「国際バカロレアの普及に向け」と、こういうふうなことですけれども、私は、48ページの小学校と中学校のところにも、国際バカロレアのことについては、この振興基本計画は30年から34年ということですので、5年間もあるうちには、小中学校からきちっと積み上げていくバカロレアでないといけないと思っておりまして、そういう意味で、小中学校のところにもだんだんにバカロレアの方は力を入れていくべきじゃないかというふうに思っているところです。
 それで、最終的に、35ページのところに新学習指導要領の着実な実施というところがありますけれど、そこの上の参考指標候補と書いてある中に、「学校における学習指導の改善の状況(習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合等)」ということがあって、ここのところがとても大事だと思っています。これからの日本の教育の中で、世界に向けてグローバルに生きていく、役割を果たしていく人を作るというときに探究の学習というのはとても大事ですので、そこのあたりの、例えば総合だったり、そういう子供たちが探究的に学ぶというところをしっかりと測りながら進めていかなければならないと思っているところです。
 以上です。
【小川分科会長】柏谷委員、どうぞ。
【柏谷委員】ありがとうございます。今、私たちには一番、いじめの問題というのが、豊かな心と関連して、非常に大事だろうと思っています。そこで、20ページから21ページのあたりに、この中で、「対面でのコミュニケーションを通じて」となっているわけですけれども、具体に、良好な人間関係を築く力、困っている人にとって話したくなる人になる、あるいは困っている人に寄り添っていくことができる力など、自己成長から他者支援という意味が酌み取れるような文言を入れていただきたいと、このように考えます。悪口とか、無視とか、直接手を加えないいじめが生死に関わることに結び付いているという現実を見て、お願いしたいと、このように考えます。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 貞廣委員、どうぞ。
【貞廣委員】ありがとうございます。私から、2点申し上げたいと思います。
 まず、1点目でございますが、先ほど天笠委員の方からスクラップ・アンド・ビルドというお話がございまして、同じ大学だからというわけではないのですが、私も同様の印象を持っておりまして、振興基本計画という特性からして致し方ないのですが、大変総花的で、一体、本当に大事なものがどこなのかということが見えにくいというような印象を持っております。今後、諮問事項の○2の方で実際にどういうふうに評価をしていくのかということと併せてそのあたりは詰めていかれると思うのですけれども、例えば、今日お示しいただいている資料3-4のロジックモデルは御案内のとおり政策の漏れと重なりによる無駄を省くための一つのやり方だと思うのですが、恐らく、それだけではなくて、施策の優先順位であるとか、どういう価値序列を付けていくかということを総合的に見るときの仕掛けの一つでもあると思います。ですから、是非、もちろん全部大事なのですけれども、本当に大事な部分がどこなのかというようなことが見えるような形になっていただけると、もっとメッセージ性も伴って、より我々が読みやすくなる、または受け止めやすくなるのではないかと思います。
 それと、もう1点はちょっとぼんやりしたことなのですが、ここ数年というか、いろいろな国にフィールドリサーチに行ったりすると、幾つかのいわゆるOECD加盟国が、50年後の社会を見据えた教育改革というコンセプトで、教育改革を考えていらっしゃるのですね。その中で、この5年は何をやるか、次の10年は何をやるか。2030年って近い未来すぎるような感じがしまして、もちろんこの計画の立て付け上そうなのですが、是非、もっと長い未来を見据えた上の2030年に、どういう子供、どういう資源を育成するかという視点を着実に持っていただいて、もちろん意識していただいているのだと思うのですけれども、もっと戦略的に先を見据えている国がある中で、日本だけ後れをとるわけにはいかない。私は、日本の教育制度は、すごくうまくいっているというか、先生方の善意と子供の頑張りでコスパ最強の制度だと思っているのですが、より長いスパンを見据えた上での振興基本計画というふうに考えていただきたいと思います。
 以上でございます。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 鶴羽委員、どうぞ。
【鶴羽委員】私は、一つだけ。38ページです。豊かな心の育成のところの伝統や文化等に関する教育の推進で、一言、この言葉が入れられるのであれば、今後、お願いしたいなあと、議論の対象にしていただきたいなあと思うのが、アイヌ民族に関する理解のことです。いまだに、差別や偏見で苦しんだり、人の前に出ると緊張状態になったりというような方々が、子供たちも含めてたくさんいます。アイヌ民族の人たちも誇りを持って、そして、ここの方々に対する誇りという部分が醸成できるような、そんなことが進むとありがたいなと思います。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 あとは、荒瀬委員、堀田委員で終わらせていただきます。どうぞ。
【荒瀬委員】ありがとうございます。35ページから御覧いただければと思います。主に初等中等教育段階として、35ページの目標(1)が確かな学力、それから、37ページの目標(2)が豊かな心、そして40ページの目標(3)が健やかな体というふうに、この分け方は伝統的な分け方であると思うのですけれども、今回、中教審で議論をして、学力の三つの柱ということを出した結果、例えば、38ページの一番下ですが、主権者教育の推進というのが豊かな心の育成の分け方というのは、もう少し工夫ができないかなあ。あるいは、39ページの持続可能な開発のための教育(ESD)の推進も、豊かな心という範囲で捉えるのかなあ。学力の三つの柱の中で、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」というところでまさしくこのことが書かれていまして、「多様性を尊重する態度と互いのよさを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、やさしさや思いやりなど、人間性に関するもの」ということで、学力の捉え方が幅広くなった関係でなかなか伝統的な三つの力として分け難い面があろうかと思うのですが、少なくとも今申し上げた主権者教育とかESDに関しては、もっと言えば、災害からの復興等持続可能な地域づくりというのも、豊かな心で終わるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【小川分科会長】なるほど。分かりました。
 堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】66ページについて、1点お願いいたします。ここは、ICTの基盤整理のところなんですけれども、先般の分科会でもお話ししましたが、情報社会が進んで情報活用能力がこれから更に大事になるので、次の議題のデジタル教科書の活用等もこれに関係してきますけれども、児童生徒が活用できるICTを十分に導入していくんだという流れと、そのために超高速のネットワークが必要だということで、測定指標に入れていただいたところでございます。ありがとうございました。
 この件を実際に学校現場でうまく動かしていくためには、やっぱり先生方の資質能力のところが大切になります。先生自身が授業のどの場面でICTを有効に使うと学力向上に役に立つのかというようなことや、あるいは児童生徒にどこでICTを使わせて情報活用能力を育むのかというような、そういう先生方の授業に関する指導力が非常に大切になります。現在、66ページの測定指標の一番上には「教員のICT活用能力」と書いてありますが、ここだけ読むと、先生自身がICTを上手に使えればいいかのように読めてしまうと思います。そうではなくて、先生がICTを活用して、よい授業をする、あるいは子供たちの能力を育てる力というふうに考えていただきたいというふうに考えておりまして、このことを文部科学省ではこれまで「ICT活用指導力」という言い方で使ってきておりますので、その言葉にするかどうかはともかくですけど、是非、先生がエクセルとかワードができるみたいに捉えられないような言い回しにしていただければと思います。
 以上でございます。
【小川分科会長】ありがとうございました。私も、何人かの委員の発言については、そうかなという納得のある意見もあったのですけど、今、七、八名から出された意見について、内田室長の方から何か、今後の扱い方を含めて、よろしくお願いします。
【内田教育改革推進室長】貴重な御意見、ありがとうございました。今後、答申に向けて、スクラップ・アンド・ビルドすべきことも含め、何人かの委員からいくつか御意見がございましたけれども、書きぶりや対外的に発信していくときの手法も含めて、今後、検討させていただきたいと思います。
 また、研究開発学校についての御指摘が天笠委員からございましたが、35ページに新学習指導要領の着実な実施等の記載がございまして、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善の推進やカリキュラム・マネジメントの確立という今後の新しい方針を示す中で、学校現場での指導の実態や課題等を踏まえながら一層の改善を促すという、大きな方針は書かせていただいているところでございますけれども、研究開発学校の制度の扱い、書き方につきましては、担当部局と御相談しながら、検討させていただきたいと思います。
 貴重な御意見、どうもありがとうございました。
【小川分科会長】今日頂いた意見については、可能な分については、是非、報告の中に入れていただければと思います。事務局の方で、またよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の議題になりますけれども、デジタル教科書の位置付けに関する検討状況について、入っていきたいと思います。これは、梶山教科書課長、梅村情報教育課長から、説明をお願いいたします。
【梶山教科書課長】それでは、私から、資料4を使いまして、御説明させていただければと思います。まず、資料4-3をお手元に、御覧いただければと思います。
 いわゆるデジタル教科書についてでございます。資料4-3の「デジタル教科書のイメージ」の資料を御覧いただければと思います。左側にあります紙の教科書を、タブレット端末やパソコンで見ることで、児童生徒の学習に活用していくというものでございます。これに関しましては、文部科学省において「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議を設けて、学校現場、それから保護者の方々も含めて御意見を伺いつつ、昨年度、その最終まとめを頂き、現在、次期学習指導要領において活用できるような方向で検討を進めているところでございます。本日は、その内容について御紹介させていただき、御意見を頂ければというものでございます。
 資料4-3の「デジタル教科書のイメージ」の資料をもう一回御覧いただければと思います。デジタル教科書につきましては、真ん中を御覧いただければと思いますけれども、学校の授業においてどのような活用が期待されるのかというところでございます。一クラスの中の全ての子供たちに対して使用する場合などがまず想定されるわけでございますが、1番目の○にあります、デジタル機能の活用による教育活動の一層の充実ということで、例えば、拡大縮小を行うことにより、図の全体を俯瞰したり、一部分をより詳細に見たりして、考えていくような授業。それから、左下の国語のところにあるハイライトというところで、黄色いハイライトを付けていますが、例えば起承転結はこうなんだよというように書き込みを変えられるような形で付けていくというようなこと。こういうことによって、教育活動の充実が図れるのではないかと考えています。また、2番目の○にございますけれども、教科書以外の様々なデジタル教材と一体的に使用することによって、例えば、算数のところにありますが、立体図形の展開・回転など、動画やアニメーションとの連携を図ったり、様々な参考資料を活用したりして、そこに飛んで指導するというようなことが考えられるのではないかと考えております。
 さらには、一番下を御覧いただければと思いますが、特別支援教育等についても、個別の子供たちのニーズに合わせた使用があるということが考えられると思っております。例えば、弱視の児童生徒におきましては、拡大教科書がございますが、より自由に拡大することができるような拡大機能が可能になるということだと思いますし、いわゆるディスレクシアと呼ばれる、文章を読み書きすることについて困難さを抱える子供たちがおり、このような学習障害の児童生徒についても、音声読み上げ機能の活用など、特に有効な機能は効果が見られるのではないか。また、日本語指導の必要な児童生徒についても、効果があるのではないかと考えております。
 このような中で、資料4-1に戻っていただければと思いますが、デジタル教科書の位置付けをどうしていくかというところでございます。今御説明申し上げたように様々な効果が期待されるところでございますが、今まで紙の教科書という積み上げがあるわけでございますので、それを全て代替することはなかなかすぐにはできないのではないか。デジタル教科書はプラスとマイナスの両面の効果・影響を持ち得ることが先ほど御紹介した会議でも述べられたところでございますので、デジタル教科書の位置付けとしては、ここにありますように、「紙の教科書を主たる教材として使用することを基本としつつ、学びの充実が期待される教科の一部について、教科書に代えて使用することで、教科書使用義務の履行を認める特別の教材としてデジタル教科書を位置付ける」こととし、このような形で、デジタル教科書を導入する学校において、紙の教科書とデジタル教科書が併用して使用される。このように考えていってはどうかと考えております。
 そのようなことから、結果的に、一つ目のひし形になりますが、教科書発行者が制作したもので、原則、教科書の内容を全て掲載すること。教科書につきましては、教科書による教育の水準を一定確保していくというところから、教科書検定が行われているわけでございます。その教科書検定というものの性格を考えた場合に、基本的に教科書の内容について全て記述していただき、それ以外の内容につきましては補助教材という整理にする。それによって、個別のデジタル教科書というパッケージとしては検定を経ることは要しない。このような法的な整理を考えているところでございます。
 このようなことを前提といたしまして、最終まとめを含めまして、デジタル教科書の導入における留意点としてこのようなところを考えているというのが、1ポツ以下のところでございます。まず、先ほど御紹介しました全体として考える部分でございますが、デジタル教科書の導入に当たりましては、段階的かつ慎重に進めていくということが求められると考えております。具体的に申しますと、当然、指導でございますので、個々の先生が指導を行っているということでございますが、その方々に任せるというよりも、学校全体として指導体制を作っていくということ。また、導入に当たっては、当然、様々なことを考えていくわけでございますが、PDCAサイクルを確立して、指導に当たって子供たちの状況もしっかりと見ていくということ。これを含めて適切な環境を確立するということ。こういうことを文部科学省としても求め、また、それが現実に行われるように、教育委員会や学校の参考となるようなガイドラインを作っていくということが適当ではないかと考えております。あわせて、このようなことを踏まえまして、国として、デジタル教科書の導入前後を通じて、その使用による教育上の効果・影響等を把握・検証し、その成果等を踏まえながら、デジタル教科書の在り方について引き続き検討をしていくことが適当であると考えております。
 さらに、2ポツ以降を御覧いただければと思います。障害のある児童生徒等についてでございますが、先ほど御説明したとおり、障害のある子供たちなどにつきましては、更なる効果というものが期待されるところでございます。2ページ目を御覧いただき、一つ目のポツにあるとおり、このような状況であるわけではございますが、他方のところ、二つ目のポツを御覧いただければと思いますが、デジタル教科書のみを使用した場合には、個別の障害の状況によって期待どおりの効果が得られない場合がある。様々な障害の程度があるわけでございますので、例えば、多くのところをやろうと思っていても、最初にいくつかの場面でデジタル教科書を活用したところで、問題があるのではないかといった場合に、それをどうするかということでしたり、デジタル機器の不調なども考えられるわけでございます。教育上、何らかの支障が生じるおそれがある場合に、即時かつ円滑に紙の教科書を使えるということが必要ではないかということから、点線部にありますように、今までどおり教科書を給与して、原則としてこれらの使用により教育内容の履修を確保していく。ただ、デジタル教科書のみを使用した学習につきましては、先ほどもありましたように、様々な試行錯誤を行いながら徐々に進めていくということになろうかと思いますが、障害のある児童生徒等につきましては、特に学びの充実が期待されることから、より積極的にデジタル教科書の使用を可能とする。例えば、様々なことを考えて実際に試行したときに、結果的に、例えば特定の教科については、デジタル教科書のみを活用することも可能にすることが考えられるのではないか、ということも含めて、更に制度化を検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、3ポツの著作権の権利制限のあり方でございます。教科書については、様々な公表資料につきまして教育に活用するために特別の扱いをしていただいております。著作権者に通知して、廉価な補償金を支払うことで、教科書に載せられるということでございますが、これに関しまして、デジタル教科書についても公共性という点で替わるものではないと評価されるために、著作権の権利制限の対象となるような規定の見直しを行うということで、今年4月に文化審議会著作権分科会における報告を頂いているところでございますので、これに基づきまして更に検討をしているところでございます。
 このようなところ、大きな制度化に関しての対応を含めて、様々な文部科学省としての対応を考えているところでございまして、1番目の○でございますが、先ほど申し上げました、デジタル教科書の制度化に当たって、それぞれの学校や設置者に参考となるような留意点、効果的な活用の在り方に関するガイドラインを、本年度予算、それから、来年度予算は要求中でございますが、来年度中には作成する方向で検討をしているということ。また、デジタル教科書につきましては、学校のICT環境の整備とともに使われていくものだと考えておりますので、後ほど御説明申し上げますが、関連する検討を行いつつ、制度化を踏まえて、それを実施することとともに、考えていきたいと思っております。最後に、紙の教科書の情報化に関して、教科書検定基準を既に今年8月に改正させていただいたところでございます。このようなことも含めて、デジタル教科書の位置付けを更に検討してまいりたいと考えているところでございます。
【梅村情報教育課長】続きまして、情報教育課長の梅村でございますが、資料4-4に沿いまして、学校におけるICT環境整備の状況等について、御説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。現在の学校のICT環境の整備につきましては、枠囲みにございます第2期教育振興基本計画で目標とされている水準を踏まえて、整備・推進をしているところでございます。具体的には、教育用PC1台当たりの児童生徒数3.6人、また、その右にございます電子黒板・実物投影機の整備、そして超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率100%、こういった目標が掲げられておりまして、その下にございますように、平成26年から29年度までは単年度1,678億円を地方財政措置として措置をしているところでございます。実データとしましては、その下のグラフにございますように、赤い部分が最新の値でございまして、28年3月1日ですので1年6か月ほど前のデータになりますが、6.2人に1台というような状況になってございます。
 3ページ目を御覧いただきたいのですが、今後、デジタル教科書の制度化が行われること、あるいは、先ほど堀田先生からもございましたように、次期学習指導要領におきまして、情報活用能力、これを言語能力と同様に学習の基盤となる資質能力と位置付け、教科横断的に育成すること、また、情報手段を活用するために必要な環境整備をすること、こういったことが指導要領に盛り込まれたことを踏まえますと、普通教室においても、まず、Stage1で、電子黒板(大型提示装置)とPC1台で先生方が提示型の授業をやるというところから、更に発展して、Stage2のような、グループで1台使うような授業。あるいは、Stage3のように、授業展開に応じまして、児童生徒が必要なときに1人1台、可動式のPCを使う。このStage3あたりを目指して進めていくのが適当なのではないかということで、後ほど紹介します有識者会議でも、1日1回活用できるように、3クラスに1クラス分程度の端末の整備というところを目標にしたらどうかという提言を頂いたところでございます。
 4ページでございますが、そのほかの指標を書いております。○2が、超高速インターネット接続率ということでございます。○3が、校内LAN整備率でございます。その下にあるのが無線LAN整備率ということで、普通教室で複数の端末でインターネットを利用するとなりますと、ここら辺の整備率を上げていく必要があると認識してございます。
 5ページに参りまして、こちらは学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議ということで、趣旨のところにございますように、平成30年度以降の教育振興基本計画と次期学習指導要領の実施、これを見据えまして、学校におけるICT環境の整備の在り方について、御検討いただきました。8月に最終まとめを公表したところでございますが、検討結果を踏まえまして、今後、○1にありますように、ICT環境整備目標の設定及び地方財政措置の要望をしてまいるということでございます。こちらは、今、総務省に要望しているところでございます。また、○2にございますように、教育ICT環境整備指針、こちらは、※に書かせていただきましたが、地方公共団体が参照可能な、学校におけるICT環境整備の考え方を示したガイドライン(配置が望ましい機器等の機能を整理したもの)を、29年度末をめどに作成していきたいと思っています。そのような取組を含めまして地方における施策の優先順位を上げていただき、環境整備が推進されるように、地方財政措置も確保して進めてまいりたいと思います。
 6ページ以降は、有識者会議のまとめでございますが、時間がございませんので、御説明は割愛させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 残り15分ほどしかありませんけれども、今の事務局からの報告に関して、御質問、御意見を伺いたいと思います。
 では、菊池委員、どうぞお願いします。
【菊池委員】ありがとうございます。資料4-1、2の障害のある児童生徒等について、一つ御報告申し上げたく存じます。
 文字の拡大、音声の読み取りについて、そのメリットがフィーチャーされるのですが、他にも例えば、教科書の軽量化への期待にも注目していただきたいと思います。肢体不自由を持ったお子さん等がたくさんの教科書を持って登下校するというのは、今、大変厳しい状況にあります。社会参加の練習として登下校を1人でする場合も多くあります。複数教科が、ひとつの端末に収まることによって、移動が楽になります。拡大や音声の読み取りだけのメリットではなく、軽量化への期待についてここで伝えてほしいという声がございましたので、お伝え申し上げます。
 また、特別支援教育だけではなく、全ての先生におけることだと思いますが、IT、ICTに関しましては、先生によって、もともとの適性差があるかと思われます。例えば、既に電子黒板を使っている学校の授業では先生によって得意不得意が見えます。得意な先生に関しましては、授業に関してもかなりメリットのある使い方をなさっているようですが、苦手な先生は、手を付けることも難しい状況であると聞いております。その点からも、それが先生の精神的な負担になることも考えられますので、今日は前半で働き方改革の部分でも話してまいりましたが、デジタル教科書導入は、メリットもございますが、教員に関してはかなりの負担もあり危険な部分をはらみますことをここで共有し、慎重に見守ることを考えていく必要があると思います。
 以上でございます。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 事務局に対する質問とか要望等については、後で一括してお答えいただくようにしたいと思います。
 この後の発言順番ですけれども、直田委員、篠原委員、横倉委員、堀田委員の順でお願いいたします。
 直田委員、どうぞ。
【直田委員】まず、この位置付けのところで併用制としていただいたのは、中学校の現場からすると大変ありがたいと思っています。現場の授業の実態を考えたときに、一番スムーズに導入していける位置付けではないかと思います。現在の授業の実態を見ますと、紙の教科書を主たる教材としながら、必要に応じて、デジタル教材で電子黒板を使ったり、あるいは子供にタブレットで一人ずつ活動させたりというのが大分浸透してきている。先ほど菊池委員がおっしゃったように、教師によって、あるいは、地域によって、学校によって大分違うという実態もあろうかと思いますが、以前に比べると大分浸透してきていますので、ペーパーか、デジタルか、ゼロか100かという導入ではなくて、このような形の導入がいいのかなということと同時に、先ほどの課題、緩やかに導入しながら、そういった課題をクリアできるような、教員の研修も含めてですが、検討をしていく必要があるだろうなと思っています。
 以上でございます。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】ICT教育を推進するという立場から、デジタル教科書の導入というのは、それはそれでいいと思うのですけれども、最初に梶山課長からも御説明があったように、あくまで学習指導要領を踏まえてやっていただきたい。つまり、紙の教科書をベースにする。ここにも「基本」と書いてありますが、それが学習指導要領にきちんとうたわれておりますので、あくまで代わるものではないんだということの位置付けをしっかりして、進めていただきたいということでございます。
 なぜ、私、そんなことを言うかというと、どうしても今の流れから言うと、どんどんデジタルに代えていこうという流れが、これからどんどん強まると思うのですね。今、教育の中で一つ非常に懸念されているのは、子供たちの活字離れという問題がございます。そういう面からしても、紙の教科書というのがあくまで基本であるという、これは新しい学習指導要領にきちんと入っていますので、そこを逸脱しないように、ひとつよろしくお願い申し上げたい。
 それから、小川さん、ちょっとごめんなさい。前の教育振興基本計画で、一言だけ。
【小川分科会長】どうぞ。
【篠原委員】さっき荒瀬委員が大変いいことを言われて、主権者教育を豊かな心というのでくくるのは、私も、大変違和感があります。主権者教育というのはあくまでパブリックマインドをどう養うかということでございまして、改正教育基本法にある、「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」。まさにこれです。38ページのところには社会との関わりがずっと書いてあるわけで、これはこれでいいと思うんですけど、くくりについては工夫をしていただきたい。ちょっと後れて発言で、申し訳ありません。
【小川分科会長】分かりました。ありがとうございます。
 横倉委員、どうぞ。
【横倉委員】デジタル教科書については、プラスとマイナスの両面があることを、しっかり認識しておかないといけないと思います。医療現場からも、発達障害の子供を診療している中で、普通にノートをとることができない子が、デジタル、タブレットを使ったら勉強ができるといういい結果を得ている意見を頂いています。一方、マイナス面では、デジタルデバイスの使い過ぎでの様々な健康障害が起き得るということを認識だけはしておかないといけないということです。その辺りの健康への影響についての検討若しくは対応についても、しっかりと検討していただきたいと思います。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】資料4-2にございますが、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の座長だった立場から、審議で議論になったことについて、少しだけ補足させていただきます。
 この検討会議では、天笠先生に座長代理をお願いしまして、いろいろと御指導いただいたところでございます。デジタル、どんどん行け行けという意見もあった中で、今回、かなり抑制的な形での導入から始めてみようということになったところでございまして、それは、我が国の教科書制度、例えば、検定のこととか、無償給与のこととか、使用義務のこととか、これが我が国の子供たちの学力をしっかり支えているのだというような認識ですので、紙の教科書と全く同等なものだけを「デジタル教科書」と呼ぶことにすると、そういうような定義もいたしましたし、紙の教科書を用いる前提でデジタルも用いてよいという、そういうような形になりました。とはいえ、デジタル教科書の活用が認められることによって、学校によっては、例えば高等学校では、この教科でたくさん使ってみようとか、あるいは、小学校や中学校でも、この単元の後半ではデジタルも使ってみようとか、そういうデジタルのメリットを生かそうとする先生たちが恐らく出てくるだろう。それによって、紙とデジタルのどういう使い分けが望ましいかというのが、これから数年でいろいろと議論になるだろう。そういうプロセスを通して、先生方のICT活用指導力、先ほども出ましたけれども、これは測定指標にも是非お願いしたいと言っていた能力ですね。先生が授業でどう使うかという力も育っていくだろうというような形で、議論になりました。ですので、健康面も含めて調査もやりながら、非常に慎重に、しかし前向きに着々とやっていくということになりました。
 課題があるとすれば、著作権法等の権利制限のあたりはにわかには解決しにくい問題でありまして、これがデジタル教科書のコストに恐らく大きく影響してしまい、普及の妨げになる可能性がございます。ですので、ここのところの審議はまた続けていただくというような形でお願いしているところでございます。
 以上、付け足しでございました。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 では、天笠委員、お願いします。
【天笠委員】どうもありがとうございます。もう委員の方からその趣旨の御発言ありますので、それにまた重ねる必要もあるかなと思ったのですけれども、発言の機会を頂きましたので、申し上げさせていただきます。
 先ほど堀田委員の方から話がありましたように、私も末席に座らせていただいて御一緒させていただいた、その立場からであるのですけれども、私は、結論というのでしょうか、先ほど来御説明あるような、それを非常に高く評価している一人であります。要するに、紙とデジタルというのをこういう形で共有するということで、これは、過渡的措置ではなくて、この国の教室の授業の中には紙とデジタルが両方存在しているという観点で、それは学習環境を豊かにしていく、そういう視点としてあるというふうな、そういう位置付け方、捉え方が大切なんじゃないかということであります。要するに、繰り返しますけれども、大きな流れとしては、デジタルという流れがあるので、いずれ紙は主役の座をデジタルに渡すという、そういうのが世の中全体の見方としてはあるんじゃないかというふうに思いますけれども、学校の教室の中での授業の在り方というのは、いろんなツール等々を多様に駆使しながら授業を進めていく、そういう環境というのが豊かな環境の一つであるというふうなことで、ですから、この併用というのは、たまたま過渡的措置であって、今すぐできないから紙を置いておくのだということではなくて、今後とも常に、そういう点からすれば、この教室には、少なくともこの両者、さらにはその他も存在しながら学習の環境を豊かにしていくのだという、そういう観点が必要なんじゃないかというふうに思っております。
 ただ、申し上げたいのは、流れからすると、今後、予算的なものとか、そういう話になったときに、二手間お金をかけるんじゃないかとか、どちらかにした方が経済的ではないかとか、どちらかというとデジタルに全部移した方がいいとか、そういう話というのがそこから出てくるということも十分考えられるわけですけれども、そのときにやはり、今申し上げたようなところからすると、この答申の持つ意味とかメッセージというのは一つの意味を持ってくるんじゃないかと思っておりますので、そういうこと等も含めて、この持つ意味というのでしょうか、それを大切にしていけばいいかなというふうに、私個人としては思っています。
 以上です。
【小川分科会長】ありがとうございました。
【篠原委員】ちょっといいですか。
【小川分科会長】手短にお願いします。篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】この端末、機器は、公立学校をイメージされていると思うのですけど、是非、私学についても、機器の導入については財政的な支援をきちんとやってあげてほしい。私学に通っている子たちもたくさんいますので、その辺はよろしくお願いします。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 今、事務局からの報告に対して、座長、座長代理からも補足説明がありまして、大体、この検討会議で整理いただいた検討の方向性については、この分科会全体としてよろしいのではないかというふうな御意見だったように思います。
 その他、御要望とか御質問が幾つかあったような気がしますけれども、事務局の方で何かお答えできることがあれば、よろしくお願いします。
【梶山教科書課長】ありがとうございます。私どもといたしましても、本日頂いた意見を踏まえまして、更に検討を進めてまいりたいと思っております。特に、先ほど菊池委員の方から、私が御紹介申し上げましたディスクレシアとか、弱視の方々以外の方々に対しても様々なニーズがあるのではないかというお話を頂いたところでございます。そういった話も踏まえて考えていきたいと思っております。また、先生方を含めた、デジタル教科書の広報や、それぞれの学校におけるデジタル教科書の活用につきましては、ガイドラインを御紹介させていただいたところでございます。先生方はこういうところに留意して使っていただければいいのではないかということも、分かりやすい形で作っていければと思っております。全体としてどのようなことがデジタル教科書の制度化に当たって役立つのかということも含めて、更に検討していきたいと思っております。
【小川分科会長】ありがとうございます。
 ちょうど時間になりましたので、この辺で今日の分科会は終わりたいと思いますけれども、最後に、次回以降の予定について、事務局から御説明をお願いします。
【常盤木教育制度改革室長】皆様、本日はありがとうございました。次回の分科会の日程につきましては、分科会長と御相談の上、追って御連絡申し上げます。
 また、本日の資料につきましては、机上にお残しいただければ、郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】ありがとうございました。
 それでは、予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。

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