新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第14回) 議事録

1.日時

令和2年10月15日(木曜日)10時50分~12時00分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室 (WEB会議)
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング(指定都市教育委員会協議会、中核市教育長会、全国町村教育長会)
  2. その他

4.議事録

【荒瀬部会長】 皆さん,おはようございます。お待たせいたしました。定刻を過ぎましたが,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第14回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開会いたします。本日は御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日もまた新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のためにウェブ会議方式をとるわけでありますが,実は私も今日はオンラインで出席しているところですが,少し不具合がありまして音声のみになってしまっています。申し訳ありません。その関係がありまして,今日の基本的な進行は田中教育制度改革室長にお願いしております。その点,御了承よろしくお願いいたします。
 では,議事に入ります前に,前回の会議以降に事務局で人事異動があったということですので,御紹介をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長でございます。それでは,事務局の人事異動について御紹介申し上げます。
 10月1日付で大臣官房審議官(初等中等教育局担当)に就任いたしました塩見みづ枝です。

【塩見大臣官房審議官】 失礼いたします。10月1日付で大臣官房審議官(初等中等教育局担当)を拝命しました塩見と申します。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。塩見審議官,どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして,本日の会議開催方式及び資料につきまして,事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 続けて失礼いたします。本日もこれまで同様にWebexを用いたウェブ会議にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますけれども,御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくよう,お願い申し上げます。委員の皆様には何かと御不便をお掛けするかと存じますが,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料4-2まで,加えて,参考資料となっております。御不明な点等ございましたら,お申し付けください。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 さて前回,9月11日の本特別部会におきまして,委員の皆様からお伺いしました御意見を踏まえて,天笠部会長代理,加治佐部会長代理と御相談をいたしました。その上で中間まとめ案を取りまとめて,9月28日に開催されました初等中等教育分科会におきましてさらに御議論を頂いたところです。初等中等教育分科会での御意見を踏まえて取りまとめたものを10月7日に中間まとめとして公表いたしました。これまでの皆様の御尽力に深く感謝申し上げますとともに,まだ答申の段階には至っておりませんので,今後答申の取りまとめに向けまして,引き続き活発な御議論をお願いいたしたいと思っております。
 本日からは,4回にわたりまして関係団体からのヒアリングを行うことにしております。本日は3つの団体,指定都市教育委員会協議会,中核市教育長会,全国町村教育長会の3つの代表の方から中間まとめについての御意見を伺って,その後,質疑応答・意見交換を行いたいと思っております。
 なお,本日は報道関係者の皆さんと一般の方向けに,本会議の模様をWebex Eventsにて配信しておりますので,御了承いただきたいと思います。
 それでは議題に入ります。まず,本日御出席の3団体の代表の方から御発表をお願いするところでありますが,先ほど申しましたように,私のパソコンの状況がよろしくありませんので,この後は田中教育制度改革室長にお願いしたいと思います。

【田中教育制度改革室長】 それでは順次御発表いただきたいと思います。次第では指定都市教育委員会協議会からとなっておりますけれども,ちょっと今,こちらは不具合が生じておりまして,うまくつながっていない状況でございます。したがいまして,順番を変えさせていただき,まず資料2に基づきまして,岩元中核市教育長会会長から御発表いただければと思います。
 続きまして,資料3に基づきまして二見全国町村教育長会会長から御発表をお願いいたします。
 それでは,まず岩元教育長,よろしくお願いいたします。

【岩元中核市教育長会会長】 中核市教育長会会長の岩元でございます。大阪府豊中市の教育長でございます。どうぞよろしくお願いします。
 本日は大変お忙しい中,こういった場を設けていただきましたことを,まず感謝申し上げたいというふうに思います。あらかじめお配りしております資料2に基づきまして,私の方から御意見を述べさせていただきます。
 まず1番でございます。今回の中間まとめの全体についてということで,今回学びの方向性を「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学び」と設定をされたこと,またこれまでの実践とICTの活用を適切に組み合わせて学びの質を向上させるといったこと,そして小学校高学年からの教科担任制の導入など,今後の学校教育の充実に向けた方向性が示されたことを高く評価しますとともに,深く感謝を申し上げるところです。
 加えまして,個別の項目について何点か御意見を申し述べたいと思います。
 まず,資料の2番にございます「学級編制の標準」の見直しについてでございます。今回の中間まとめの中におきましても,19ページの第1部の総論のところで「学校に十分な人的配置を実現」していくといったことや,63ページ第2部の各論におきましても,「新時代の学びを支える指導体制等の計画的な整備」の項におきまして「少人数編成を可能とするなど,少人数によるきめ細かな指導体制」について書かれております。大変有り難く思っております。
 一方,この頂いております中間まとめの中には,学級編制の標準,現在の40人学級の見直しといったことについての明記はなかったように思います。昭和55年に導入されました40人学級編制は,既に導入されてから40年が経過をしていると思います。現在,国におきましても様々な場面で,例えば「30人学級はどうであるか」といったようなことが議論されていると聞いておりますので,この答申の中にも是非,学級編制の標準,40人学級の見直しといったところについて明記いただけたらということで御意見を申し上げたいと思います。
 続きまして,次の3番でございます。「デジタル教科書の無償化」についてです。中間まとめにおきましても61ページのあたりです。ICTの活用,そしてデジタル教科書についての記載がございます。学習者用デジタル教科書・教材の使用が着実に進むよう,普及促進を図る必要があると述べられておりまして,正にこのとおりであると考えております。
 特にこのたびGIGAスクール構想がこれまでにない規模感・スピード感で進められ,今年度中に全国で「一人一台タブレット」体制が整うという大改革が行われるということで,こちらの方も心から感謝を申し上げたいと思います。
 こうした全国で学校におけるデジタル環境が整う中,紙の教科書は無償,デジタル教科書は有償という現行の仕組みはいかがなものかというふうに考えておりまして,そういった課題意識も国の方で持っていただいているとは思いますけれども,是非デジタル教科書の無償化をしていただいて,子供たち,学校のICT学習環境を一層充実していくという方向で,無償化について御検討いただきたいと考えております。
 続きまして,次の4番です。「学校統合にかかる教職員定数の激変緩和措置」の導入についてでございます。中間まとめにおきましては,65ページのあたりに人口動態等を踏まえた学校運営,あと今後の児童・生徒の減少を見据えた学校規模の小規模化への対応ということで記載がございます。今後におきましても,少子化等に伴いまして学校規模の適正化を図るという観点で,学校統合というのが私ども市町村の教育委員会にとりましては非常に大きな課題となるというふうに考えております。
 そこに記載しておりますように,平成の市町村合併に伴う学校統合におきましては,小学校で最長5年,中学校で最長2年の教員定数の減少を緩和する措置がとられたというふうに聞き及んでおります。学校を統合した際に,統合した学校での現場の混乱や負担感は大変大きなものがあるというふうに思いますので,そういったものを軽減するという視点が必要ではないかというふうに考えております。
 今回の中間まとめの中では,統合に係る国からの支援については特に記載がなかったというふうに思いますので,是非その部分についての御検討を頂きたいということでございます。
 私ども豊中市におきましても,40万都市でありますけれども,市の中において少子化が進んでいる地域でございまして,現在ある6の小学校,そして3の中学校,全部で9の学校を統合・再編をいたしまして,小中一貫の義務教育学校2校に再編するという計画を現在進めております。令和5年度に1つ目の義務教育学校が開校する予定になっておりますけれども,やはり統合した直後の学校のマンパワーの確保というものが大きな課題であるというふうに考えておりますので,せめて2年だけでも教員定数の激変緩和措置が図られるような制度設計をお願いできればというふうに考えております。
 続いて2ページ目にまいりまして,5番の義務教育段階への「修得主義」の適用拡大は慎重にという項でございます。中間まとめにおきましては22ページから23ページにおきまして義務教育段階においては年齢主義を基本に置きつつも,履修主義と修得主義を適切に組み合わせ,それぞれの長所を取り入れる教育課程の在り方を目指すべきであるというような記載がございました。
 小学校段階においては,「年齢主義」「履修主義」を基本としているということですけれども,例えば高等学校のような単位を修得することを進級の要件とするとか,卒業の要件とするといった「修得主義」は,やはり義務教育にはなじまない面があるというふうに考えておりますので,バランスの問題であると思いますが,そのあたりについて慎重に御検討いただきたいことを申し述べたいと思います。
 最後,6番ですけれども,教員免許の更新手続の柔軟化についてでございます。中間まとめにおきましても,71ページのところで教員免許更新制の実質化についての記載がございます。そこで現役教員の研修などとも関連した負担感のことについて記載がございますが,教員の職を離れて免許を更新していないという方も恐らく全国には多数おられると思いますし,そういった方が教育現場に戻ってきていただくというような視点も大切であろうというふうに思います。
 今現在におきましても,例えば年度途中で育児休業や病気の休暇を取得した際に代替の講師が確保できないといった状況が既に生じております。これから学校のマンパワーを充実させていくに当たりましては,こういった人材の確保というのは避けて通ることはできないというふうに思いますので,そういった意味で,より学校現場を離れた方についても学校現場に復帰しやすくなるような免許更新手続の簡略化等の柔軟な対応について御検討いただきたいと考えております。
 私の方からは以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【田中教育制度改革室長】 岩元会長,ありがとうございました。
 続きまして,二見会長,どうぞよろしくお願いいたします。

【二見全国町村教育長会会長】 皆さん,おはようございます。全国町村教育長会会長の二見でございます。本日は,新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の場において,意見を述べる機会を頂きました。大変ありがとうございます。
 これまでは部会の一員という形で意見を述べてまいりましたけれども,本日は我が会の役員とともに中間まとめを検討し,より多くの者の目線から出たことを伝えさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
 今年は,Society5.0の到来,あるいは先端技術の高度化・急激な進歩,また学習指導要領の本格実施,さらにはコロナウイルス感染症の世界的な拡大というようなことで,教育の環境と今後の在り方が大きく変わる状況になりました。
 一方で,少子高齢化は急激に進み,とりわけ我々の中山間・島嶼,またへき地・離島においては人口減少と過疎化は極めて深刻な状況にございます。2016年の調査で小学校の複式学級は約4,800学級と言われております。そういう我々の会は,925の町村で構成され,人口は数百人から5万人まで,様々な状況でございます。また,このうちで指導主事が配置できていない自治体は4割近く,教育行政体制としては厳しいものを持っております。そういう立場から中間まとめにつきまして,気づきについて述べさせていただきます。
 それでは,第1部総論についての「令和の日本型学校教育」についてでございますけれども,3ページ,5ページに「日本型学校教育」のことが丁寧に述べられております。しかし,テーマである「令和の日本型学校教育」について,13ページあたりの表記はやや難解に感じるところでございます。また14ページ,15ページの子供の学びにおいて,「個別最適な学び」や「協働的な学び」のことを指しておられるのか,恐らく15ページから18ページまでの「学びの姿」やそれ以降の教職員の姿,環境のことを含めて読み取るものと思われますけれども,やや難解という意見が多くありました。
 いずれにしても「令和の日本型学校教育」はこう考えるという部分があって良いのではないかと思っております。
 次に「個別最適な学び」と「協働的な学び」についてでございますが,ここの「令和の日本型学校教育」が目指す学びの姿,つまり「個別最適な学びと協働的な学びの実現」について述べられております。この部分はサブテーマであり,「令和の日本型学校教育」を構築する上でも生命線であるのではないかと思います。最初に「個別最適な学びとは」また「協働的な学びとは」を端的に意味付けしていただき,その後いろいろな解説を頂ければ良いのではないかと思っております。
 また,「全ての子供たちの可能性を引き出す」につきましては,18ページから出てまいりますが,「なぜ可能性なのか」,「どうしてサブテーマに登場したのか」などは余り触れられておりません。読み手一人一人の捉えが異なってまいると思います。共通理解する上でもここの意味付けもあればと思っております。
 次に,16ページの「協働的な学び合いや,他者と協働して」のくだりでございますが,「学校ならではの協働的な学び合い」の後に「多様な他者と協働して」と表現されておりますが,これも「協働的な学び合い」ではないかと考えます。探究的な学びとして「多様な他者と……解決しようとする」という前文で示されているとは理解いたしますけれども,探究的な学びには個人でも追究する場面もあるのではないか,「学校ならではの協働的な学び合いや,主体的に課題を解決しようとする探究的な学び」という表現も考えられるのではないかと思っております。
 次に「学校教育の質と多様性,包摂性を高め,教育の機会均等を実現する」という部分でございますが,19ページの「離島,中山間地域等の地理的条件に関わらず,教育の質と機会均等を確保することが重要である。」「機会均等とは……教育水準を上げる方向で実現すべき」,ここの記述については我々は大変心強く思うところでございます。
 次に2ページでございます。各論についてでございますけれども,30ページの「9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について」,31ページ「義務教育において誰一人取り残さない」の部分,これはサブテーマに「全ての子供たちの可能性を引き出す」とございますので,この文言に触れながら論を進めていただければと思っております。
 (2)の教育課程の在り方,31ページ「学力の確実な定着等の資質・能力の育成に向けた方策」についてでございますけれども,この後で32ページに「学びに向かう力,人間性等の育成」については詳細に述べられております。しかし「知識及び技能の育成」,「思考力,判断力,表現力等の育成」については方策があまり述べられていないのではないかと思っております。学習の基盤となる言語能力,情報活用能力,問題発見・解決能力等も同様でございます。ここに上記の資質・能力を育成するための方策をしっかりと入れていただければと思っております。
 また,総論のところで述べました「令和の日本型学校教育の姿-学びの姿」,つまり「個別最適な学び」と「協働的な学び」,併せて「ツールとしてのICTの活用」の文言も入れていただければと思います。
 34ページの「カリキュラム・マネジメントの充実に向けた取組の推進」でございますが,「カリキュラム・マネジメントに係る学校裁量の幅の拡大の一環として,教科等の特質を踏まえつつ,教科等ごとの授業時数の配分について一定の弾力化が可能となる制度を設けるべき」とございますが,地域に開かれた教育課程の視点からも大きく賛同するものでございます。
 (3)の義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方でございます。「指導体制の構築」について,教科担任制のメリットは何と言っても,専門性を持った教師が指導すると授業の質の向上が図れることでございます。現場で運用しやすい工夫を期待しているところでございます。
 36ページで「例えば,外国語・理科・算数の教科を対象とすることができる」とされておりますけれども,各学校規模や地域の実態が異なりますので,これに国語・図画工作・音楽・体育等も入れるのか,また対象を限定しないということも考えられるのではないかと思っております。
 次に「遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方」についてです。基本的な考え方,ICTの活用,また対面指導と遠隔・オンライン教育のハイブリッド化による指導の充実の部分で,「ICTの活用は,授業改善に生かす,教育効果を考えて活用する,対面指導とオンライン教育とを使いこなしながら,個別最適な学びと協働的な学びを展開する」,これにつきましては大いに賛成いたします。ICTはあくまでもツールであり,文具として考えていただければと思っております。
 7の新時代の学びを支える環境整備についてですけれども,義務教育9年間を見通しつつ,「1人1台端末」に伴う児童生徒のアカウントの取得,学習履歴(いわゆるスタディ・ログ)の蓄積・分析・利活用をはじめ,学校健康診断の電子化と生涯にわたる健康の保持増進への活用が今後必要になると考えますが,扱う情報は,本来「情報とは誰のものなのか」,個人情報保護の観点から文部科学省として対応の在り方を整理されることを期待しているものでございます。
 終わりに,この中間まとめにおいて,随所に「中山間・島嶼部,へき地・離島等」の現状を踏まえた記述や御配慮を頂き感謝申し上げます。教育条件の厳しい環境の中で子供たちの健やかな成長を願う保護者・教職員・地域の皆さんに思いを馳せていただきましたことを重ねてお礼申し上げます。
 中教審をはじめ,様々な教育施策の議論の場において,中山間・島嶼部,へき地・離島等の意見を取り入れやすい委員構成であるとか,方法を工夫されることを希望するものでございます。
 御清聴ありがとうございました。

【田中教育制度改革室長】 二見会長,ありがとうございました。
 続きまして,指定都市教育委員会協議会の鯉渕会長,10分程度でお願いいたします。

【鯉渕指定都市教育委員会協議会会長】 指定都市教育委員会協議会会長を本年度務めております横浜市教育長の鯉渕と申します。本日はネットへの接続のトラブルがあり,遅れて参加ということで申し訳ございません。
 中教審の先生方にこうした形でお話しする機会を頂き,まずは御礼申し上げます。
 まず総論についてですが,全体を通じまして,社会情勢を踏まえて,校種別・課題別等,様々な観点から非常にバランスがとれた内容であるという印象を受けました。こういった方針に基づきまして,確実に進めていただくことが重要であると考えております。
 国において,明確な方針と中長期的なスケジュールを示していただくことで,自治体や学校現場が安心して目の前の業務に向かうことができるようになると思います。
 中間まとめの9ページにございます「福祉的な役割をも担っているということが再認識された」には強く共感でき,自治体内部の福祉系の部署やフリースクールなど,他団体との連携の必要性を改めて感じております。引き続き,学校の役割については,地域の皆様を含め,社会全体での議論を通じて意識改革がなされることが必要と考えております。
 各論に移らせていただいて,順次意見表明をさせていただきます。意見書の2ページになりますが,授業時数の配分の弾力化につきましては,早期の実現を希望します。よろしくお願いいたします。
 次に,小学校高学年の教科担任制に関連して,横浜市の類似の取組である一部教科分担制について,まず触れさせていただきたいと思います。本市が実施しております一部教科分担制は,非常勤講師を追加で配置し,特別活動・総合的な学習の時間・道徳の時間は学級担任,それ以外の教科の授業を分担していくというものです。特に外国語科につきまして,得意な先生に分担していただくことが多くなっております。
 私どもとしては,さらに本務教員の加配によりまして,より効果的な学年経営ができるために,学年主任を担任とは別に教職員定数に位置付けていただけたら有り難いと考えております。学級を持たない学年主任,チーム・マネージャーが学年全体をマネジメントすることで,いじめなどの課題が出たクラスのサポートにすぐ入ることができます。
 また,小学校高学年からの教科担任制についてですが,英語科の取扱いが重要と考えております。現在の英語専科教員につきましては,週24コマの授業を行うことになっていますが,小学校1・2年生でも外国語活動を行っている自治体につきましては,対象を小学校3~6年生だけでなく,1・2年生まで対象を広げて活用することができたら望ましいと考えております。
 続きまして,3ページを御覧ください。いじめや虐待に対応するため,児童支援専任教諭の定数化,スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの正規職員としての定数化が必要と考えています。
 横浜市では小学校に児童支援専任教諭を配置し,いじめ等への対応のみならず,暴力行為などの問題行動の未然防止に資するため,日常的に児童や担任教諭の身近にいて,支援・指導を行っています。中学校の生徒指導専任教諭と同様の仕事を行っています。児童虐待や自殺の防止,不登校児童生徒などに学校が組織的に対応していくためには,校内での児童支援体制の確立が必要であり,これまでにも増して児童支援専任教諭の役割は重要となっていると考えています。
 また,家庭との連携を密に図る意味でも,現在,会計年度任用職員や嘱託等の非常勤職員であるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーをチーム学校の重要な役割を担う正規職員として定数化していくことが必要と考えております。
 意見書の3ページ目の下段に移ります。全国的に不登校児童生徒の数は増加傾向にありますが,横浜市でも同様の傾向となっております。現在,GIGAスクール構想の中で,オンライン授業の活用が求められております。学校に来られない状況の中にいる児童生徒の学習保障をする上で有効な方法であることが明確になっています。こうした体験をした中で,オンライン授業を不登校生徒に提供することはできないかとの意見を伺うことが多くなっています。
 そこで現在の不登校特例校の制度を拡大し,不登校生徒対象のオンラインでの授業を中心とする中学校を設置することを検討すべきと考えております。大変役に立つのではないかと思います。
 また,フリースクールに通っている不登校児童生徒も多数おります。そうした団体からは,学校とフリースクールの相互理解に基づく連携の強化,フリースクールに対する経常的な財政支援が求められています。加えて,専門的な知見に基づく適切な支援のためにも,不登校児童生徒とその保護者を支える教職員に対する支援のためにも,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーを正規職員として定数に位置付けることが必要と考えています。
 続きまして,意見書の4ページ,特別支援教育についてです。スライド番号の8番をお願いいたします。義務教育人口が減少傾向にある一方で,特別支援学校への就学を必要とする児童生徒が増加し,県立・市立ともに特別支援学校の過大規模化が大きな課題となっています。このため横浜市の特別支援学校では,やむなく放課後事業のスペースなど教室ではない部屋を教室に改修するなどしております。特別支援学校の設置基準の早急な策定をお願いします。その内容を踏まえて,特別支援学校の環境整備を図ってまいりたいと考えております。
 スライド番号の9番をお願いします。また,インクルーシブ教育の推進がうたわれていますが,一般学級に在籍する肢体不自由や発達障害のある児童生徒,医療的ケアを必要とする児童生徒に対しまして,十分な支援が行われていないと考えています。合理的配慮を授業の中で進めていくために,横浜市では「学びのサポートリーフレット」を作成いたしました。体育などの授業での工夫の例を示していますが,こうしたことをしっかり進めていくためには,学習指導要領等においてインクルーシブ教育を推進するための望ましい対応や具体的な手立て,留意すべきことなどを個別具体的に記載していただけると有り難いと考えています。また,合理的配慮のための環境整備に要する予算措置・人的配置などについても御検討いただけたらと考えております。
 スライド10番をお願いします。次は意見書の5ページ,外国籍・外国につながる児童生徒への指導体制の確保や自治体間の連携促進についてです。外国籍・外国につながる児童生徒は年々増加し,学校教育におけるより重要な課題となっています。日本語指導担当教師の配置につきましては,対象児童生徒18人に1人の割合となっていますが,実態に即した割合に拡充していただくことを希望します。横浜市では5人に1人,20人以上の場合には2人以上の教師を配置するという基準で配置しておりますが,足りない状況となっております。
 スライド11番をお願いします。また,横浜市では,外国籍のお子さんに対する初期集中支援を実施するための拠点を設置しています。日本語能力の向上や学校生活への適応に効果が認められることから,より一層の推進を図るためにこうした拠点に正規教員を配置していただくことを希望いたします。また,文部科学省が示した「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」にあるように,地方公共団体において外国籍の子供の状況を管理・把握するためには,その保護者に対しまして就学状況の届出義務を課すなど,国において法整備を進めていただくようお願いいたします。
 最後に5ページの下段ですが,少人数学級のことが報道されております。30人学級を目指すとなると,教員の増員ですとか,教室の増設等をしなければなりませんので,具体的な方針を早急に明確にしていただけたらと考えております。
 指定都市からの意見表明は以上のとおりです。ありがとうございました。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 それでは,本日は便宜的に事務局の方で進行させていただきます。これから約30分弱程度,11時55~56分頃までに質疑応答・意見交換をお願いいたします。御発言がございます方は,必ず「挙手」のボタンを押していただけますようお願い申し上げます。こちらから御指名させていただきますので,その際マイクをオンにしていただいて,御発言をお願い申し上げます。御発言が終わりましたら「手を下げる」のボタンを押し,挙手を取り下げていただきますようお願い申し上げます。
 それでは,御発言のある方は挙手をお願いいたします。
 それでは清原委員,続きまして毛利委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。東京都三鷹市前市長の清原慶子です。3名の会長の皆様におかれましては,未曽有のコロナ禍の中,児童生徒のために御奮闘いただきまして,まず心から敬意を表し,今日の御発言に感謝いたします。
 二見会長と鯉渕会長に1問ずつ質問させていただきます。二見会長におかれましては,この間,中山間地,あるいは島嶼部,へき地・離島の問題について御発言を頂いてきまして,私たちと共有できたことを大変うれしく思います。
 ところで,本日の御報告でも地域の実情は多様で指導主事の方がいらっしゃらない教育委員会もあるというお話がございました。今後,GIGAスクール,あるいは小学校高学年の専科教員の配置につきましても,各自治体によって取組に過渡期には差が生じるということが想定されます。そんな中,やはりできる限り児童生徒中心の教育を実施するために,例えば教育委員会同士,教育長同士の情報共有と,あるいは必要に応じた連携の取組の可能性についてはどのように展望されていらっしゃるでしょうか。
 できる限り地域格差のない取組が望まれると思いまして,実態あるいは展望について御意見を伺いたいと思います。
 鯉渕会長にお伺いします。本日の最後に問題提起がございました。私たちはいずれも教育の質の向上のためにも「少人数学級の編制や取組」が必要と認識しています。
 ところで,しかしながら,それを実現するためには「教室の確保」,あるいは「教員の確保」ということが求められています。併せて,御指摘いただきました特別支援教育においても教室の確保や教員の確保が重要な課題となっています。したがいまして少人数の学級編制を進めていく上で,どのように「学校設備との関係性」,「教員養成・教員確保との関係性」を進めていけば良いか,それらはいずれも重要な課題なものですから,これまでのお取組を踏まえて,今後国がどのような支援をしていくことが求められるか,そして都道府県がどのように各市区町村と連携していくことが求められるかなど,課題について改めて御提起いただければ今後の検討に大いに助かると思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 清原委員,ありがとうございました。御回答につきましては,まとめてということでお願いしたいと思います。
 続きまして,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市みどりの学園の毛利と申します。本日は本当にお忙しい中,御提言いただきまして,誠にありがとうございました。
 指定都市教育委員会会長でいらっしゃいます鯉渕様に御質問でございます。先ほどの清原委員ともかぶるところがあるのですが,小学校高学年一部教科分担制で非常に効果を発揮しているというお話を頂きました。私もとてもいい制度だと思っておりまして,全国には少人数や小学校英語などの加配教員制度や,都道府県によりましては小学1・2年生以外も35人学級を独自に進めている都道府県もございます。
 しかしながら,制度的には「あなたの学校にはこういう先生が人数は付きますが,現在先生が見つかっていないので担任だけでお願いします」というような状況もあるかと聞いております。
 この一部教科分担制の先ほどの臨時的任用職員などはどのようにして募集をかけて,どれくらい集まっているのか,あるいはどのような手立てを講じているのでこうした制度が行き届いているのかということを是非御教示いただけたらと思います。
 以上でございます。

【田中教育制度改革室長】 毛利委員,ありがとうございました。
 現時点でほかに手を上げていらっしゃる委員はいらっしゃいませんので,御回答をお願いしたいと思います。
 では,まず二見会長からお願いいたします。

【二見全国町村教育長会会長】 ありがとうございます。
 清原委員から地域実態の違いというようなことがございました。これは専科教員のことについて触れたところなのですけれども,実際には先ほど何度も申し上げますけれども,複式学級を抱えている町や村というのは結構ございます。もう1つは,学級規模が大変小さいということ,そのために配当される教員の数も大変少ない,こういう実態がございます。そのために中学校の音楽や美術の先生,あるいは英語の先生が小学校に出向いて,いわゆる出前授業でやっていくという形をとらざるを得ないという実態もございますが,しかし日常生活の中で毎日この先生がいるわけではございませんので,やはりそういう全体として人数が少ない中で「この教科を」というふうに限定されますと,なかなか活用が難しい。そういう点で地域の実態というのを述べさせていただきました。
 次に,指導主事が配置されていないのが4割近いと申し上げましたけれども,配置されていると言っても,元校長先生だった方が退職後に支援者として入っておられるとか,そういう実態もございます。そういう中で,教育長として行政の職員を使いながら教育委員会の仕事をしておられる,そういう小さな教育委員会もございます。そのために各都道府県の中でも小さな町村に対して,教育長同士の連携をとるということは進めております。
 町村の大変多いのは北海道でございまして,140を超える町村がございます。また,村の多いのが長野県等も大変多ございます。そういう意味で,県教育委員会の支援というものをもっともっと強化していただく,都道府県の教員委員会・教育長への支援をもっと強めていただくことが必要かなというふうに思っております。
 以上でございます。

【清原委員】ありがとうございます。

【田中教育制度改革室長】 二見会長,ありがとうございました。清原委員,よろしいでしょうか。
 続きまして鯉渕会長,御回答の方をよろしくお願いいたします。

【鯉渕指定都市教育委員会協議会会長】 御質問ありがとうございました。2点御質問を頂いております。
 まず少人数学級の関係ですが,報道で私どもは知った状態でございますけれども,10年程度をかけて30人学級に移行するというふうに報道されておりますが,私ども30人学級を実現しようと思いますと,教員は約1,800人必要だと考えております。
 ただ,少人数指導,算数や数学でやっております少人数指導の加配分を減ずるという話も出ておりますので,それを引きますと,1,300人程度の教員が必要というふうに考えております。私どものところも子供の数は少子化で減少しておりますが,個別支援級が増加しておりまして,その増加分も考え併せて,この10年で1,300人程度の増が必要というのを割り出しております。また教室につきましては,人口が増えている地域を中心に,30人学級に対応するためには440ほどの教室数を増やさなければならないと考えております。
 いずれにしましても,予算の確保につきまして,国の御協力を求めたいというふうに考えております。
 それから一部教科分担制の関係で,教員の確保のことについて御質問がございました。まず,教員の確保につきましては,採用の合格者数を増やしております。今年度の採用で言いますと,約1,000人の合格者数を出しました。実際に採用できるのは750前後ではないかというふうに思っております。できるだけ合格者数を増やしておりますが,そのあおりで小学校区分の倍率は2倍程度ということで,本当に厳しい状況です。先ほどの30人学級の関係で採用数を増やすとなると,これに上乗せしていかなければなりませんので,大変厳しいと思っております。
 仕組みといたしましては,育休代替の任期付きを今年度からスタートしております。通常の臨任とは別に育休代替の任期付きの採用もしております。また,非常勤ですとか,臨任の方たちの登録会を土日もやっております。そうしたことで,できるだけ多くの方に集まっていただきたいと思っておりますが,私どもも大変非常勤の確保,臨任の確保も含めまして厳しい状況にございます。
 以上でございます。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 清原委員,毛利委員,よろしいでしょうか。

【清原委員】 はい。よろしいですか。清原です。

【田中教育制度改革室長】 お願いします。

【清原委員】 今本当に明瞭な御回答をありがとうございます。
 少人数学級を実現していくためには,教員養成・教員確保,さらには施設整備等についてもしっかりと財源を確保して,計画的に取り組んでいくことが必要だということを確認させていただきました。貴重な御意見,ありがとうございます。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございます。毛利委員はいかがでしょうか。

【毛利委員】 毛利です。鯉渕会長様,ありがとうございました。やはり会長がおっしゃるように,教員採用試験でたくさんの先生を採用すると,今度は講師の先生を採用しようと思っても,講師の先生がいなかったりするわけなのです。
 なので,やはりこれは抜本的に教員養成の大学等の数なども考慮に入れる必要があるのかなと,聞きながら感じておりました。
 本当に今日はお忙しいところ,ありがとうございました。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございます。
 それでは,続きまして神野委員,御発言をお願いいたします。

【神野委員】 はい,よろしくお願いします。神野です。岩元会長に御質問させていただきたく思います。
 この資料の中にありました5番目の義務教育段階への修得主義の適用拡大を慎重にというところに関してなのですけれども,これまでの議論の中で,この履修主義・修得主義ということを適切に組み合わせるという言葉の意味としては,私がイメージしていたのは,例えば修得主義ということだけに傾倒してしまうと,ずっと子供たちが習得しない限り前に進まないというようなことが起こってしまって,それはすごく危険性があると。
 なので,必ず下支えとして履修主義という考え方を残して確実に子供たちの学年を進めていくということとともに,一方でどんどん1つ,才能を伸ばせられる子たちに関しては,その修得主義という考え方を一部導入することで,その子供たち自体の進捗ということも柔軟に見ていけるようにしようみたいなところが,1つこの議論の中だったかとは思っております。
 1つお聞きしたかったのが,運用拡大は慎重にというところの,その慎重さの部分が,今言ったようなところが懸念されていたのか,どのようなポイントが一番慎重になるべきなのかというところについて御指南いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 それでは,岩元会長,お願いいたします。

【岩元中核市教育長会会長】 御意見ありがとうございます。
 ただ今の神野委員の御質問に対してですけれども,私は,この中間まとめの文面を読ませていただいて,正直イメージがわかなかったというのが率直な感想でございます。今おっしゃられたように,小学校段階においても,できる子,すばらしい能力を持った子をより伸ばすといった視点で学校教育が対応していくというのはおっしゃるとおりであると思いますし,そういった,どちらかというと横並び的な要素が重視されてきた義務教育において,そうした視点を盛り込んでいくということは大いに賛成すべきであるというふうに考えております。
 一方で,私がイメージしました慎重にあるべきと言いますのは,先ほども少し申し上げましたけれども,例えば高校生においてはやはり単位の修得をして,場合によっては修得できなければ留年をしていく,もう一度1年生をやってくださいといった対応をしておりますわけで,そういったものが修得主義の1つのやり方であるとすれば,小中学校の義務教育段階においてそういったやり方をして,誰々さんと誰々さんはもう一回3年生をやってください,誰々さんは卒業できませんでしたというようなことが頻繁に起こるような修得主義は,残念ながらなじまないのではないかと。
 ですので,どういった形でこの修得主義を現在の義務教育に盛り込んでいくかというところのイメージが少しわいていないというのが,現時点での私の感想でございます。
 以上です。

【神野委員】 ありがとうございました。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 ほかに御発言のある委員はいらっしゃいますでしょうか。
 では,天笠委員,お願いいたします。

【天笠委員】 どうも,いろいろな視点から私どもの中間まとめに対して貴重な御意見を頂いたことについて,まず感謝・お礼を申し上げたいと思います。
 その上で3人の方に申し上げるようなことで,御意見・御感想を頂ければ,また後の議論に生かしていきたいと考えるわけなんですけれども,それは全体を通して学校と地域・家庭との関係ということについて,それぞれいろいろまた記述させてもらったわけなのですけれども,例えば学校とか地域における教育力が失われることによって,学校に様々な対応せねばいけない課題が増えてきたというのは,働き方の観点等々から,その記述もあって,そういうことについて改めて学校と家庭・地域の連携の在り方等々を見つめ直していくべきだというふうな,そういう記述等々もあるわけですし,あるいは振り返りますと,この10年,さらに遡るならば,この20年,いわゆるコミュニティ・スクールということを1つの柱に掲げて,学校と地域の関係等々について様々な施策を展開してきたわけであるわけなのですけれども,私は個人的にはコミュニティ・スクールの更なる浸透というのでしょうか,普及ということがこれからの方向としてあるのではないかというふうに思っている立場をとっているわけなのですけれども,そういうことを含めまして,この中間まとめの段階における学校と地域の関係について記述された等々について,何かお気づきの点,あるいは御意見等々がありましたら,お願いできればというふうに思いますけれども,いかがでありましょうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。現時点でほかに手を上げていらっしゃる委員はおりませんので,恐縮ですけれども,時間も終わりが近づいてきましたので,天笠委員の御発言で本日は最後とさせていただきます。
 それでは,鯉渕会長,岩元会長,二見会長の順番で,今の御質問に御回答いただければと思います。まず鯉渕会長,お願いいたします。

【鯉渕指定都市教育委員会協議会会長】 学校と地域との関係は,おっしゃるとおり,是非関係を深めていくということを強めていく方向で,こういうコミュニティ・スクールの考え方であるとか,そういったことは大事なことではないかというふうに思います。
 地域の方でも高齢化が進んでいたりとか,地域側の課題も大きくなっているという現状もございます。その一方で,本当にこの学校に関わろうとする親御さん,特に父親の関わり方というのは随分変わってきたのではないかと思いますが,そうしたことの中で学校が支えられていくということはとても大事なことではないかというふうに思います。
 地域にとりまして,学校は大事な拠点です。やはり学校があることで,地域も盛り上がるという側面もあります。より一層学校と地域との関係は深めていくよう努力していくということは当然の方向ではないかと思っております。
 以上です。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございます。
 続きまして,岩元会長,お願いいたします。

【岩元中核市教育長会会長】
 学校,地域,家庭というところですけれども,家庭の教育機能が低下しているのではないかといった議論がございます。これは社会経済情勢も大きく影響していると思いますが,そういった経済的なしんどいところ,家庭での厳しい部分が子供にしわ寄せが行って,例えば家庭におけるしつけの部分でありますとか,基本的なところ,生活習慣的なところが十分に身に付いていないままに小学校に入学をされて,学校においてそういった部分まで一から教える必要がある,またその時点で既に学校・教室の中にいる子供たちには格差が生じているといったことも大きいのではないかなと考えております。
 そういった意味で,そういった家庭に対しての子育て支援,これは教育と言うよりは福祉のエリアでの対応をしていくということが重要になると思いますが,もちろん入学するまでの幼児期における家庭支援もそうですし,学校に入学してからも学校と福祉現場との連携,そして家庭に必要な支援が行き届くような体制,これは少し大きな視点で施策を進めていく必要があるというふうに思いますけれども,そういった視点がこれからますます重要になるのではないかと考えております。
 それから学校と地域の関係で言いますと,現在におきましても,例えば学校の授業のお手伝い,行事での安全確保のための動員といったことをPTAをはじめ地域のボランティアの皆様に様々な場面でお手伝いを頂いているという状況がありまして,もう既に地域の方々は学校応援の一部になっているということは間違いないのではないかと,地域の支えなくしては学校運営も難しいといった状況にあると感じております。
 先ほどお話がございましたコミュニティ・スクールですけれども,正に本市におきましても,これからコミュニティ・スクールの導入に向けて力を入れて加速をしていくということを考えておりますけれども,そういったいわゆる日々のお手伝いというレベルではなく,学校運営そのもの,学校が目指すべき教育,子供たちにどうあってほしいかといった学校の目指すべき理念といったところに地域の方,家庭・PTAの方に御参画を頂いて,そこのところから一緒に考えていく,共に学校を運営していくというのが1つのコミュニティ・スクール,学校運営協議会の理念であるというふうに思いますので,是非そのところは現在も既に協力を頂いておりますけれども,さらに絆を深めて共に学校を運営していくという立場で推進をしていきたいと考えております。
 以上です。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 では,最後に二見会長,お願いいたします。

【二見全国町村教育長会会長】
 学校と家庭と地域の関係の問題でございますけれども,学校統合を進めていくことによって,例えば町内で6校あった小学校を1校にまとめた。そういう段階でそれぞれの地域ではコンパクトなコミュニティで保護者・家庭,地域のつながりは大変強かったわけですけれども,町内1校にしたために通学距離が長くなり,また保護者同士のコミュニティもとれていない,そういうところからコミュニティ・スクールを設置して,その改善に取り組むという例も幾つか出てまいりました。
 また,今,様々な災害やコロナの問題もあって,都市部から少しずつ転入される御家族もあるわけですけれども,これまで小さなエリアの中で緊密な関係で学校へも大変協力的であったと言っても,親同士のコミュニティがしっかりとしていかないと,子供たちへの影響がうまくいかないという点では,これから地方創生という中でも子供と学校とではなく,大人同士のコミュニティづくりというものをしっかりと強固なものにしていく必要があろうと思っています。
 また,話は変わりますけれども,施策として様々な人材活用ということで定数加配等もあるわけです。例えば部活動の指導者などありますけれども,田舎の中ではそういう人材が確保できない,せっかくいい制度を作っていただいても人材がいないで,あるいは大学生を活用してはどうかというふうな御意見,あるいは制度がございますけれども,大学生そのものが住んでいない,そういう町村はたくさんあるわけです。
 そういう意味で,どういう人材をどのように派遣できるかというのは,ただ制度を作るだけでなく,そういう人材がそういう町や村に入っていける,入らせるようなことを総体的に考えていかないと,なかなか完結しないのではないかというふうに,悩みとしては持っているところでございます。
 いずれにしても,これからますますコミュニティ・スクールの必要性というのは高まってまいると思いますので,都道府県の中でかなり格差がございますが,全国の中でコミュニティ・スクールがさらに多く設置されることを望んでいるところでございます。
 以上でございます。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 ちょうど時間になりますが,天笠先生,何かいかがでしょうか。

【天笠委員】 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見を頂いたということで,今後の審議にまた生かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

【田中教育制度改革室長】ありがとうございました。
 では時間になりますので,ここで荒瀬部会長,もしつながっておりましたら,お返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
 まだビデオの方がよろしくないかもしれませんが,今日はありがとうございました。鯉渕会長,岩元会長,二見会長,二見会長には今日は会長として御出席いただきました。ありがとうございました。懇切な御説明,それからまた委員からの質問に対する丁寧な御回答,本当にありがとうございました。
 冒頭も今も,私の方のトラブルで御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。田中室長,どうもありがとうございました。
 時間になりましたので,今日はこのあたりにしたいと思います。
 最後に次回の予定につきまして,田中室長,よろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】御審議ありがとうございました。
 次回の特別部会につきましては,来週になりますけれども,10月22日木曜日14時半から16時5分にて,引き続き関係団体からのヒアリングを予定しております。詳細につきましては追って事務局より御連絡申し上げます。

【荒瀬部会長】 それでは,今日の会議はこれで閉会いたします。
 ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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