教員養成部会 教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

2019年8月30日 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. Society5.0 時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ案)
  2. その他

4.出席者

委員

三島良直主査、加治佐哲也主査代理、安藤雅之,戸ヶ﨑勤,堀田龍也,牧野光朗,松田恵示,水落芳明,三村由香里,山口宏樹,若江眞紀

文部科学省

浅田総合教育政策局長,平野大臣官房審議官,柳澤教育人材政策課長,髙田教員養成企画室長,長谷教員免許企画室長 他

5.議事録

【三島主査】  委員の皆様,こんにちは。定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教員養成フラッグシップ大学検討ワーキンググループ(第5回)を開催させていただきます。本日は,足元も悪い中,御多忙のところ御出席いただきまして,ありがとうございます。

(1)事務局から,教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについて,資料に基づいて説明があり,その後,意見交換が行われた。

 それでは,初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。


【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  それでは,資料の確認をさせていただきます。端末のデスクトップに本日の会議資料の議事次第,資料1から資料6まで用意しております。また,机上には有識者会議の報告書と前回までの会議資料などをファイリングしたものを用意しております。
 また,本日の午前中に開催された教員養成部会でお配りした株式会社キャリアリンクに関する冊子を,教員養成部会に参加されていない委員の席上に配付させていただいておりますので,参考にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 御不明な点等ございましたら,事務局までよろしくお願いいたします。
【三島主査】   それでは,早速議事に入りたいと思います。本日は,まず前回の議論を振り返りつつ,議事の1番目の,教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについて御議論をいただきます。その後,議事の2番目,教員養成フラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方についてということで,前回に引き続き御審議いただきたいと思います。
 それで,実は今回と次回で中間まとめの取りまとめを予定しているので,その状況を確認するために,事務局から資料6を説明していただいて,どのように収束する方向へ持っていくかということを共有したいと思います。よろしくお願いします。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  それでは,現在どういう位置にあるのかということの確認でございますが,資料6に今後のスケジュールを付けております。今回と次回であと2回ございますけれども,次回の第6回で中間的な取りまとめをする予定でございます。そして,第7回の前までに,この中間まとめの状況を10月4日開催予定の教員養成部会に報告したいと考えております。その後,3回ほど会議を予定しておりますので,その中で中間まとめを最終的な報告書にまとめていくといった形で年内をめどに最終まとめという方向で議論する予定でございます。
【三島主査】  ありがとうございました。そういうことでございますので,本日が第5回でございますので,この二つの議題の御意見を頂ければ中間まとめに入れるという段階でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,議事の1番目,教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについての議論に入りたいと思います。
 まず,事務局から関係資料について御説明いただきたいと思います。

【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  まず,資料1について,前回の主な意見をまとめたものでございます。前回,フラッグシップ大学の指定の範囲と規制緩和の考え方についてという,別紙という形でお出しした資料について様々な御意見を頂きました。それをまとめたものが前半にございます。
 例えば,附属学校を持つ機関に限定されるべきではないのではないか,教職大学院の連携協力校というような形のものもございますので,そのような御意見とか,附属学校自体が社会実装された姿になるような形が必要ではないかというような御意見がございました。
 また,フラッグシップ大学の要件ということについては,より厳しい要件である必要があるのではないかということや,あと,余り本ワーキンググループで形式的なことを決め過ぎてしまうと,大学からアイデアが出にくくなるといった懸念もあるのではないかということ,指定期間について3年あるいは5年というような議論がございましたけれども,それほど長くならずに,きちんとそれを評価していくようなことが必要ではないかというような御意見を頂きました。
 また,フラッグシップ大学の在り方で,いろいろな機関,大学や産学官の連携,あるいは統合したようなものが想定されるわけですけれども,そのスキームの在り方については,最終的には申請する大学が責任をとることができる体制を自ら提案することが必要ではないかという御意見を頂いております。
 次に,フラッグシップ大学のガバナンスとマネジメントについてでございますが,次のページに入りますけれども,なかなか教育内容や体制が定まらない中では,ガバナンスやマネジメントについて論じることはなかなか難しいのではないかとか,あるいはそもそも養成した学生が教師になってどう活躍するかとか,あるいは,求められる教員像についての議論がまだまだ不十分ではないかというような御意見も頂いております。
 そして,学長のガバナンスのところで,個々の教員が同じ方向を向いて協力していくということが重要ではないかというような御意見を頂いております。
 そういったことを踏まえまして,資料2の赤字の部分が加筆修正した部分でございます。中間まとめの素案のようなイメージで作成しております。
 まず,前回,正に教員養成フラッグシップ大学で目指す教員の養成像あるいは大学の在り方について改めていろいろな御意見がございましたので,タイトルにつきまして,改めて「Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学」という形で,そういったことがはっきり分かるようなタイトルに変えているところでございます。
 また,背景の部分で,前回議論になりましたSociety5.0時代に求められる教員像で特に重要なものは何かという点で,赤字で強調させていただいておりますけれども,ICT活用を前提に,問題発見・解決的な学びを支援する力,様々な人たちと協働する力,マネジメント力,ファシリテーション力などがより重要になってきているのではないかということでございます。
 これについて,資料3で,少しまとめた資料を作っております。これも確認的なことでございますけれども,Society5.0時代に特に求められる教員像ということで,そもそもこの教員養成フラッグシップ大学の検討というのは,教育再生実行会議の第11次提言を受けて出てきたものでございますけれども,そこで提言されていることをここで改めて確認したいと思います。
 例えば,下線の部分でございますけれども,教師には教え導くだけでなく,一人一人の個別最適化された学びを支援する力が一層強く求められるようになってきているというようなことがございます。
 また,「チーム学校」の考え方の下,先端技術を効果的に活用しながら,教師だけでなく様々な人たちが協働し,一人一人の学びを「支える」ことが重要であると。
 また,その下の下線でございますけれども,教師にはICTを効果的に活用しながらよりよい教育を行っていくことが一層求められているということがございます。
 そして,点線の囲いでございますけれども,教師の在り方や外部人材の活用というところで,ここがフラッグシップ大学の提言の箇所でございますけれども,今後の社会変革に伴う教育革新の大きな流れを見据え,教師のICT活用指導力の向上,アクティブ・ラーニング,個別最適化をはじめとするSociety5.0に対応した,産業界とも連携し教員養成を先導するフラッグシップ大学を創設する。フラッグシップ大学は,既存の制度の特例や弾力化も視野に入れながら,スタッフやカリキュラムなどの指導体制を検討し,構築する。
 そして,国は,教員養成を先導するフラッグシップ大学をはじめとした教員養成機関において,AIやIoTなどの技術革新に伴って変化するこれからの社会で活躍することのできる人材を育てるために,STEAM教育や,児童生徒がICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての高い指導力を有する教員の養成を促進する。このような提言を踏まえて今回のフラッグシップ大学の検討が行われているということの確認でございます。
 また,次のページで,これまでの本ワーキンググループでの御意見といたしまして,幾つか,先ほどのところと重なっているところもございますが,目の前で起きている問題を認識し,これまでの先行研究に関する見知から,複数の対応策を提示することができるとか,その他,校内のスタッフや外部のリソースをうまくコーディネートする力とか,地域課題とか,高度な情報活用能力,また効果を検証してエビデンスベースで検討できるといった議論がございました。
 また,下から二つ目で,「企画提案力」,「収集分析力」,「コミュニケーション構築力」,「チャレンジ精神」,「主体性」などというものもキーワードとして挙がっていたことではないかと思っております。
 また,ここで養成される教員については,教育界を変えていけるようなフラッグシップ人材であったり,駒として埋もれないようなイノベーター教員である必要があるのではないかといった御意見も頂いておりました。
 資料2に戻ります。2番目の大学における教員養成等の現状と課題ということで,前回の議論では,ガバナンスやマネジメントのところで,そもそも何が今できていないのかというような御意見がございましたので,改めてこの現状と課題について振り返りますと,最先端の技術を活用した新しい大学教育や教員養成の在り方の提案,産業界等との連携による外部人材の大胆な活用ができていないのではないかということがございます。それから,三つ目でございますけれども,現状の大学のスタッフや組織体制・運営では多様性や柔軟性に乏しく,そういった課題に対応できる指導体制が構築できないのではないか,そういうことが難しいのではないかというのが大きな議論だったと考えております。
 そして,これまでの議論で挙がった課題として付け足したところが赤字の部分でございますが,グッドプラクティスのような事例はあっても,それを研究開発から実装までが一体となった総合的な好事例というものがないのではないかといったことを踏まえて,こういったSociety5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学というものが必要ではないかという議論であったかと思っております。
 目的と役割の部分ですけれども,前回,少し下支え的な話が出て,「いや,そもそも下支えではなくて,先導的な」という議論があったかと思いますが,そこを確認的に赤字でより強調している部分を書いております。先端技術を活用するということはフラッグシップ大学の大前提で,また革新的であったり,次世代の学校教育や教員養成・研修の在り方を提案するといったこと,技術に先導される社会における教育の在り方,技術革新によってどんどん新たなものが生まれてくる,そういったことに対応できるといったようなことが大きなポイントではないかということで,少しそこを赤字で強調しております。
 次に,資料の3ページですけれども,5番目,教員養成フラッグシップ大学における大学教員の養成・採用・研修の部分でございます。これは,前回も御説明いたしましたが,大きく二つ,重要なことがあるということで,教育実践と学術研究との融合ができる教員を育成していこうということと,多様性に富む教員の採用・育成を進めていこうということが,二つの大きなポイントでございます。
 そして,今回新たに加筆した部分が,6番の教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについてでございます。これについては,三つのポイントにまとめておりまして,一つが,教員養成フラッグシップ大学においては,きちんとした外部の評価が入っていて,国の方でもきちんとフラッグシップ大学の指定とか評価という形で,教員養成部会の下に常設の委員会を設置して見ていくということをやっていきますし,指定された大学の中においても,そういった研究開発から実装までの進捗を一体的に評価するような体制を構築してもらうと。そして,その構築された体制がモデル的な自己点検・評価とか外部評価の仕組みを持っているような体制を求めたいということでございます。
 そして,二つ目のポイントが,今回のフラッグシップ大学について,外部の多様な人的・物的資源を結集する組織・運営体制を構築しているといったことが特に重要ではないかということで,例として,産学間の連携とか,大学間の連携とか,あるいはファンドレイジング等を強力に推進するような専門部署,また大学自体が連携のプラットフォームになるようなことを推進するような部署といった体制の構築が必要ではないかということでございます。
 そして,多様な専門家に集まってもらって,プロジェクト研究なども進めてもらいたいと思っておりますが,そういった教員養成を通じたいろいろな関係者のネットワーク化を図る,そのような組織・運営体制も必要ではないかということでございます。
 そして,クロスアポイントメント――これは主に大学でございますが,例えば学校では特別免許状制度といったものを大胆に活用するような人事・採用制度を構築・試行できるような体制が必要ではないか。
 そして,正に大学内のガバナンスとマネジメントの関係で,学長の強いリーダーシップ,そしてそれが全職員に徹底されるような組織が必要ではないか。そして,そのようなことが採用とか昇進とか,FD,SDといった様々な機会を通じて常に有機的に連携していて,目的・目標を共有し,大学として目的追求に向けて一体感を醸成できるような集団を形成していく必要があるのではないかということでございます。
 以上が前半の議論の資料についてでございます。
【三島主査】  ありがとうございました。
 この資料2というのが中間まとめの素案になるというお話でございましたけれども,1の背景,2の大学における教員養成等の現状と課題,3の教員養成フラッグシップ大学の目的と役割,4の教員養成フラッグシップ大学における教育課程と教育研究,そして5の教員養成フラッグシップ大学における大学教員の養成・採用・研修のところにつきましては,前回の議論の中で出てきたもので重要と思われるものを赤字で書き込んでいただいたという形でございます。
 そして,本日の議題の1は,この6の教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについてというところで御意見を伺っていきたいと思いますけれども,その前の5番目のところまででも,資料を御覧になって何か御意見があれば,もちろんおっしゃっていただいて結構でございます。
 それでは,主として6の教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについて御意見がございましたら,お願いしたいと思います。加治佐主査代理,どうぞ。
【加治佐主査代理】  6の教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントのところなのですが,3点にまとめていただいて,なるほどという感じがいたします。その中でもう少し強めに書いた方がいいのではないかというところがあります。
 この2番目で「外部の多様な人的・物的資源を結集する組織・運営体制の構築」とあります。まさしくこのとおりなのですけれども,これまでもこのワーキンググループの審議や意見でも出てきた,資料も示されてきた「大学間連携」という言葉がこの中で使われておりますが,このフラッグシップ大学は,既存の大学がそれぞれ分離したままではなかなかできないので,その力を結集なり集約するということが言われてきたと思うのです。具体的な形としては,一法人複数大学とか,大学等連携推進法人(仮称)とかも出てきているわけです。これはもう国立大学あるいは国公私を含めた大学全体の改革方向でもあるということがはあります。そして,この大学間連携というところに,更に連携におけるガバナンスをどうするかということを書き足さないと,資源を集約するとか,資源を統合して,より機能強化された取組をするというところが弱いかなという感じがいたします。
【三島主査】  今,少しずつ大学間連携の試みが始まっているところですけれども,その連携というものの体制のガバナンスが非常に重要であろうということでございます。
 いかがでしょうか。牧野委員,どうぞ。

【牧野委員】  前々からお話しさせていただいているように,フラッグシップの在り方というのは,外から見ても,「やはりフラッグシップ大学だね」ということが分かるような目標が必要で,その目標に対して,達成するためのガバナンスとマネジメントがどのようになっているのかというところではないかと思うのです。特に中央教育審議会のこういったところで外部の皆さん方から見て評価をして,フラッグシップ大学としての役割をきちんと果たしているというためには,そのような分かりやすい目標というものがどうしても必要かと思います。前々から言っているのですけれども,教員養成大学なので,教員になっていただく学生の就職率と,もう一つは,そこのところがなかなか厳しい状況であるというのであれば,質の話をどのように捉えるかというところは,分かりやすく外に示せるような形にしていくというものではないかなと思うのですが,いかがでしょうか。これは本当に前からの議論の続きで恐縮なんですけれども,教員養成大学は教員を養成するための大学ですから,そういった学生がどれだけ輩出されているかというのは,やはりフラッグシップの役割だと私は思うのです。
【三島主査】  その評価のところは,確かに就職率などが幾つか挙がっていたと思いますが,事務局で今までの議論を何かまとめていただけますか。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  現段階の資料ではどこまで具体的に書くかという点については調整の余地がございますので,委員の先生方の御意見を踏まえながら中間まとめに向けて修正されていくものと思いますが,後半で議論する内容の資料の中で,指定の条件の一つとして,教員養成機関としての高い実績があることというものがございまして,それには,今,牧野委員がおっしゃったようなものをきちんと大学として示すということを想定しているものでございます。
【三島主査】  どのようにそこを評価していくかということは,また中間まとめのところの一つのポイントだろうと思っております。安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  外部の多様な人的・物的資源を結集する組織・運営体制の構築の部分でございますけれども,1点目の産学間連携,大学間連携等のこの「等」というものが私は実は非常に大事だと思っています。このフラッグシップ大学というものは,もともと旗艦であって,モデルというよりも,むしろオンリーワンの大学があってもいいのかなと思っていまして,いわゆる大学間で連携していく意味でも,その大学だけの特徴的な教員養成をやっていってもいいのではないかなという発想も持っていました。そうなると,旗艦ですので,例えばSTEAM教育を全面的に押し出していくような大学が中にあってもいいし,大学間連携をとっていくようなシステムでの大学もあっていいのではないかという発想を持ったときに,この「等」という解釈がかなり曖昧で具体的にしていかないとならないのではないかなということを私は思っています。目指すフラッグシップの実装ですが,それが単独なのか連携なのかということも,この辺は幅をつけておかないと,むしろ特徴が出ないのではないかなということを思っていますので,この「等」の解釈を少し広げていくような議論というのはできないかということを提案させてもらいたいと思います。
【三島主査】  若江委員,どうぞ。
【若江委員】  今のところの括弧2の「外部の多様な人的・物的資源を結集する」に加えて,前に書かれているようなICTを活用したとか,新しい個別最適化の学びとかといった新しい教育に対応できる教員養成ということになると,大学の学習環境そのものも,今までのような大学の教室にくわえて,小中学校などの先進的な教室環境なども,実験的な新しい学習環境みたいなものも大学の中に備えていなければならないのではないかなと思います。そうなると,そういうハード的な環境整備までも要件に入ってくるかもしれません。
【三島主査】  そうですね。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】  前回は用務で欠席となり申し訳ございませんでした。前々回までの議論で,多少ずれてきているのではないかなと思っていたことの一つが,Society5.0という時代を見越した教員養成がこの話の発端だったはずですが,一般的な教員養成の現状の大変さと工夫の延長に今回のフラッグシップが多く語られているような印象があるということです。もちろん教員養成大学の個々の努力なしにこれは実現できないことなので,十分承知した上で発言しますが,もっとSociety5.0時代ということにトリガーがあるということを明確に打ち出すべきではないかと思っていたところです。今回はきちんとそのことがタイトルにも表れていますし,いろいろなところにICTのことや先端技術のことが書かれているので,少しほっとしたところです。
 今の議題のガバナンスとマネジメントの話のところの案を見ると,何となく教員養成大学の抱える様々な困難をこれからどのようにしていくかという,やや一般論的な形で書かれているように感じるのですけれども,さきほど申し上げたようにSociety5.0が起点だったということを考えたときに,教育再生実行会議の第11次提言を作るワーキンググループのメンバーに私もいましたので,そのときの議論を思い出してみると,例えばここで言う産学間連携も,それは教育体制としての連携もあるし,今,若江委員がおっしゃったような最新のテクノロジーを学べる環境を大学内外にしっかりと用意できるような不断の努力をするための産学間連携みたいなところもあると思います。大学間連携もまた,いろいろな大学で協力しましょうという一般論というよりも,先端技術に強いある大学のある教授がいたら,そこから例えば遠隔教育で講義をしてもらうというような教育体制などの連携もあり得ると思います。クラウドを使えば,論理的には異なる大学の授業を一緒にやったりすることは当然できるわけで,そのようなことがもう少し文言から分かるような形のガバナンスやマネジメントを示し,そのために学長がどのようにリーダーシップをとられるかとか,研究開発体制から実装までのことをどのようにやるかということが,今のSociety5.0を起点として起こっているこのフラッグシップ大学だからこそ,もう少しにじみ出ると,更にいいのかなと思いました。
【三島主査】  戸ヶ崎委員,どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】  Society5.0の実現に向けた教育に対応できる教師の育成や,産官学と連携しながらカリキュラムを充実していくということになると,ゼミのときに教育関係の企業の方とともにディスカッションするような場面や,さらにはその企業のところに出向いていって意見交換する場面なども当然出てくるのではないかと思います。特に先端技術を活用した教育ということになれば,そういうものは口で聞くよりも実際に体験した方がいいわけです。そうすると,場合によっては,学校の教師だけではなくて,教育産業のベンチャーとして自分は将来関わっていきたいといった思いが出てくることもあるのではないかと思います。つまり,教師として,直接学校の中で働くというだけではなくて,教育産業側から関わって学校を支えたいということも前提として起こり得るのではないかと思います。教育産業を経験して,行く行くは学校現場の中で勤務してみたいというのも大いに結構なことです。教師だけではなくて,そのような幅広いイノベーティブな教育を起こすような人材を輩出していくというイメージで考えていくと,ガバナンスというところも何か見えてくるのかなという気がしました。
【三島主査】  今の御意見も私は分かるような気がいたします。すぐれた新しい技術で子供たちを教育するような教員を養成するということのほかに,そういう新しい教育の仕組みというものを提案し,教育産業とおっしゃいましたけれども,そういったものに貢献したいというような方が出るということも確かに考えられることだろうと思います。牧野委員,どうぞ。
【牧野委員】  別の観点からなのですけれども,今お話があったように,企業や地域との連携ということももう少し前面に出ていてもいいかなと思います。さっき私も,教職員になるというのが一つの目標だと言いながら,正にSociety5.0の時代にふさわしい人材育成をするための教員をどうやって養成するかという観点で言えば,地域との連携を深めるようなカリキュラムが教員養成課程の中で出てくるということも非常に重要なところかなと思っていますので,その中で私はそれで地方公務員になりたいと思う教員が出るのは別に全然いいと思うのですよ。ただ,そうは言っても,出発点のところは,そういった地域に役立つ人材育成をするための学びというものから出発しているというところは必要かなと思います。全く関係ない,どこかの民間企業に就職していってしまう学生が2割も3割も4割もいるようだと,それで本当にいいのかという話になっていってしまいます。そうではないという説明ができれば,もちろんそこは学校教育現場だけの人材養成ではないんだよという言い方も決して否定するものではないと思うのです。
【三島主査】   括弧3の目的追求と目標達成に向け継続的に自走する集団の形成にある学長等のリーダーシップのところあたりなんですが,ここも実は非常にそのとおりで,いろいろな改革をして,新しいシステムを作ったとしても,そこに魂が入るかどうかというのは,結局全学がそういう方向へ行こうと思わなければいけないわけです。その辺の学長のリーダーシップとかというところは,こういう書き方だけでいいだろうかと少し思いますが,その辺は何か御意見はございませんでしょうか。方針の明確化・明文化,各種機会における説明の徹底,これは大体できると思うのですけれども,それが実際に設定した目的のとおりに結果を出していくのかというあたりのチェックというのは本当に難しいのではないかなと思います。山口委員,どうぞ。
【山口委員】  前回もありましたが,このフラッグシップ大学としての成果というものが必ずしも明確でない現状にあっての,ガバナンスというのは何だという御意見がありました。そういう意味で,今,三島先生御指摘のところは,これは大学であれば,何をやるにしたって学長のリーダーシップうんぬんで,フラッグシップ大学に限った話ではないだろうと思います。だから,これをフラッグシップ大学に適用する項目として明記するためには,もう少し成果の話が明確になれば,書き直すという必要があるだろうと気がします。この項目は絶対必要なのですけれども,現時点では一般的過ぎて,どんな場合でも問われる問題だなという気がしました。
【三島主査】  加治佐主査代理,どうぞ。
【加治佐主査代理】  本当に現実的に考えたときに,要するに財政基盤がどうなるのかというところが一番気になるのです。例えば,東京工業大学と違って,兵庫教育大学ではファンドレイジングを簡単にはできませんので,もう少し,一番基盤となるようなお金の話も何か入れられないですか。ガバナンスとマネジメントの議論ではないというのであれば,別のところでもいいのですけれども,それがないと,よそ事のようにことに見えないこともないのです。現実,自力だけでお金を集めることができないので,そういう財政的な支援もきちんとやりますよということがあれば現実味が出てくるという感じはします。
【三島主査】  ありがとうございます。松田委員,どうぞ。
【松田委員】  今の点に関連して,少ない経験の中からということなのですが,予算がプラスで付くという面も確かに大事だと思うのですけれども,それ以上に,自前で努力したときに既存の予算が減らないということの方がモチベーションとしては上がる部分があるかなと思っています。このフラッグシップ大学だけの問題ではないかもしれないのですけれども,その辺,少し動くための原資の確保という意味で何かしら工夫があると,大学も動きやすいかなと感じました。
【三島主査】  ずっと言われている大学改革の中でも,財政的基盤をしっかりしなさいという文言は必ず付いているわけですので,このフラッグシップ大学においてもそこは絶対に避けて通れないところで,どういうリソースがあるかということも私はよく分かりませんけれども,例えて言えば,大学が持っている資産を何か売却して自分たちの財政的基盤にというと,国立大学のものを売った場合,5割は国に戻さなければいけないというのがあって,そう簡単にはいかないという部分があります。例えば9対1ぐらいで,自分が使うところは1で,あとは全部貸してしまうと9になるみたいなことができないとみんな思い込んでいたのですけれども,そうでもなくて,いろいろ話していくと,自己資産をどのように有効利用するかということは,いろいろな道が今はあるように私は思っているのですけれども,そういうことを含めたきちんとした財政基盤をどうやって作っていくかということをフラッグシップ大学ではどのように考えていくのかということは,入っていていいのかなと思います。
【三島主査】  戸ヶ﨑委員,どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 研究と理論と実践ということで前にも意見を申し上げましたが,私ども教育委員会の立場ですと,比較的附属学校とか研究開発校との関わりは多いわけですけれども,例えば研究開発校とか附属学校の姿が大きく変わっていれば,それは一定の評価が与えられるのかなと思います。実際,私も可能な限り個人的に附属学校の研究発表会には出向いて見に行くように努力していますが,現在も非常に時間を掛けて教材研究をやって,教科の研究授業を公開するというところがまだまだ多いのではないかと思います。それはそれで大事なことではあると思うのですけれども,Society5.0の時代に向けた教育ということになれば,教科担任制の効果についてのエビデンスに基づいた研究成果を示したり,最先端技術を使った個別最適化された学びを発表したりするとか,また,EBPMを推進した取組がされている附属学校や研究開発校が増えてくれば,それはかなり成果が出ているという見方もできるという気がします。

【三島主査】  水落委員,どうぞ。
【水落委員】  今の予算のこととも関わってくると思うのですが,例えばフラッグシップ大学に一定程度の予算がプラスになって,何か研究をしたとします。Society5.0ということでいったら,きっと新しいICT機器やいろいろな機器が必要になって,予算が必要になるので,そういうものが大学に必要になるだろうと。そこで研究して,その学生たちが採用されて現場に行ったときに,現場にはその機器がないということが容易に想像できるわけです。今のこの時代のICT機器のことではなくて,何十年か前にさかのぼって考えてみると,例えばLL(Learning Laboratory)教室というのがありました。LL教室の最先端のものを学生たちが大学で学んで出たときに,LL教室がほとんどの学校でないとなると、物すごいお金を掛けて造ったとしても,あっという間に使えなくなるわけですよね。それだと,何かもったいない気がするのです。なので,一部の附属学校でそれを実践していくということも大事なのですが,こういうガバナンスとかマネジメントということを考えると,大学で研究したものが現場に採用されていったときに生かせるような幅広いネットワークを持った大学ということがきちんと評価されるようなシステムを作っていく必要があるでしょう。そこには,例えば教育委員会や一般企業との連携とかというものがあって,大学で学んだ最先端のものがきちんと現場で使えるようにしていく。そこには学部だけではなくて教職大学院というものもあるでしょうから,教職大学院の実習の連携協力校としても回っていって,その研究成果がうまく回っていくようなシステムを評価していくというものにしていかないと,予算がそのときだけで終わってしまうのではないかということを感じました。
【三島主査】  確かに,どんどん新しい教え方とかというものを取り入れて,そして大学の特色を出していくというのがこのフラッグシップ大学でしょうから,それがその後で広がっていかないと意味がない,ということですよね。そういう教え方なりの技術とか装置とかといろいろなものがあると思いますが。ありがとうございます。安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  今のお話を受けて多少追加させていただきますと,教職大学院制度ができたときに,地域との連携,地域の中における大学ということが非常に大事にされてきているのではないかなと思います。そういう意味では,この先ほどの,外部の多様な人的・物的資源を結集する組織・運営体制の構築の部分でいきますと,「地域との連携」というキーワードもどうしても必要になってくるのではないかなと思います。どうもこの地域の部分が若干,前までの議論でたくさんあったと思うのですけれども,少し薄れている感じがして,マネジメントでは地域という問題も取り込んだ形で,フラッグシップ大学の一つの要件みたいな形にしていく必要があるのではないかと思います。
【三島主査】  ほかにいかがでしょうか。
 それでは,ガバナンス・マネジメントのところはこんなところでよろしゅうございますでしょうか。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】  ここに書くべきかどうかは少し判断がつかないところがあるのですけれども,例えばビッグデータの活用とかが想定されると,まずはビッグデータがとれないといけないわけですね。そうすると,各地域の教育委員会の合意が必要になります。ですから各学校との協力ももちろんなのですけれども,教育委員会がその大学の研究にコミットしていただいて,何らかの特例的なことで協力していただくような関係をある程度作らないと,現状の制度の中でできることだけをやっていたら,恐らくSociety5.0に向けた制度は後追いで改革されていくと思うので,そういったタイプの連携が上手にできるということについて,どこを読めばそれができるということになっているのかなというところがもっと明確に書かれる必要があると思います。学校レベル,実習校レベル,協力校レベルの話は分かりますけれども,教育委員会との連携はこれから不可欠になるかなと思いました。
【三島主査】  ありがとうございます。そうですね。
 それでは,今の6の教員養成フラッグシップ大学におけるガバナンスとマネジメントについて頂いた意見は,また整理をして次回の素案の中に組み込んでいきたいと思います。
 

(2)事務局から,教員養成フラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方について,資料に基づいて説明があり,その後,意見交換が行われた。

【三島主査】それでは,7の教員養成フラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方についてというところで御意見を伺えればと思います。これに対応する資料が資料4でございますので,事務局から御説明いただければと思います。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  それでは,資料4を御覧ください。初めに趣旨・目的として,Society5.0に対応したフラッグシップ大学であるということを改めて書いておりまして,その研究開発を国として支援するとともに,成果を広く全国展開していくされております。
 次に,指定の要件の部分で,指定の対象範囲のところについて少し書き込んでおります。教員養成のフラッグシップ大学ということですので,教員養成を主たる目的とする学部・学科,教職大学院,附属学校(これに準ずる連携協力校も含む)を有する法人を対象とするというもので,原則として,このフラッグシップ大学の指定をした場合は,全学的な研究開発の取組を指定していく。例えば,教職に関わる全学部,全附属学校,全教職大学院等で,充実したICT環境の下,次世代を意識した革新的な教育方法,教育課程等を追求といったものを対象としていくというものでございます。また,全学的な取組と同時に,例えば比較研究とか特定のテーマ・分野を更に深めていくという場合には,特定のコースのみを対象とした研究開発も可能としております。
 また,比較研究や特定のテーマ・分野の取組については,他大学とも連携し,共同することができるが、そういった場合は,責任体制や分担を明確にしていくということで,指定の対象範囲についてご検討いただきたいと思っております。
 次に,指定期間について,前回も議論がございましたけれども,それについては,成果を広く全国展開するという観点では,5年程度あった方がいいという御意見がある一方、予算事業の多くは3年サイクルであり,その観点では,3年ということもあり得るのではないかということでございます。
 次に,大学の指定の条件でございます。先ほど牧野委員から御議論がありましたけれども,教員養成機関としての高い実績,その実績には就職率や,その他教員養成に深く関わるようなところにきちんと就職しているというのもあるかもしれませんが,そういったものを大学としてきちんとエビデンスで示していくということ。
 また,ガバナンス・マネジメントとかぶっているところもあるかと思いますが,産学間,大学間,教育委員会,学校等との連携・協働に関する実績や計画を有していること。
 そして,我が国の教員養成のネットワークの拠点となり,オープンイノベーションのプラットフォームとなり得るような実績や計画があること。
 また,指定のために申請した研究開発計画そのものが革新的であり,先端技術,科学的手法,外部人材等を広く深く活用する内容であること。
 マネジメントやカリキュラムなどのスタッフに十分な実績があり,指導体制が充実していること。
 また,計画を着実に遂行し,成果を検証する体制が戦略的に構築されていること。
 そして,研究成果を広く周知・発信・展開する計画があること。
 その他,これからの御議論も踏まえて,更に追加していく予定でございますけれども,そういった条件を満たす実績や計画があることを想定しております。
 次に,指定による規制の特例ということでございますけれども,前回も少し資料を用意しましたが,ここは少しコンパクトにまとめております。
 前回,免許制度や教職大学院制度の説明はございましたが,我々としては,まずかなり幅広に,事前にいろいろな大学から相談を頂きたいと思っています。そういった中で相談された内容に応じて,我々としても必要な法令改正や各種基準の柔軟な適用といったものを検討し,実施していきたいと思っております。
 事務局の方でいろいろ内部的に検討しまして,現行の制度でもかなり出来る部分は大きいところはあるのですけれども,実際の課程認定に至る審査の段階で,結局これが通らないのではないかとか,あるいはこれは少し難しいのではないかという形で,大学が自重して出されているというケースも多いかと思いますので,そういったことは弾力的な運用で,もちろん内容にもよりますが,できるだけ国としてはそれを支援していくという形で相談に応じて,規制の特例なども認めていくということで進めていきたいと思っております。
 あとの二つは前回書いた内容と同じですけれども,例えば免許制度で言うと,今はかなり細かく必修科目が指定されておりますけれども,これまで具体的に何を勉強するのかが分からないということで余り認めてきていなかったSTEAM教育に関する科目といったものを積極的に認めていくということ。教職大学院制度については,特に必修5領域が20単位程度になっているところが多いのですけれども,そういったところについては,弾力化を踏まえて,その代わりにこういった勉強をするということを内容に応じて検討していきたいと思っております。
 次に審査方法でございますが,これも評価の部分で申し上げましたが,教員養成部会の下に委員会を新たに設置して実施していく。審査は,書面審査,ヒアリング,そして現地視察によりまして,その評価の結果に基づいて文部科学大臣が指定するという流れになっております。
 今のところ想定されるスケジュールとして,今年度ぐらいを目途に,省令や基準等の改正,公募の開始,そして来年になれば,新たなこのフラッグシップ大学のための予算要求などを進めていきたいと思っております。その後,来年中に申請を締め切りまして,指定の審査をした上で,次の年度内においてフラッグシップ大学を指定したり,更に次の年度になりましたら,フラッグシップ大学としての具体的な取組を進めていくというようなイメージでございます。そして,令和4年から本格的な研究開発の開始と書いておりますが,大学の教育課程について,特に課程認定をし直さなければいけないような大きな中身がある部分については,かなり調整が必要な部分がございますので,令和4年度からということになるかと思いますが,そこまでに至らないものについては令和3年度から実施していただくというを想定でございます。
 指定後の評価につきましては,常設の委員会で毎年,研究開発の状況を確認し,場合によっては事業計画の変更や改善,予算の増減,指定の取消し,延長なども検討していくということでございますし,そこで評価に基づいて認められたものについては,どんどん積極的な全国展開もしていくといった評価を通じて,更にこの指定制度の在り方自体も改めて検討していくということでございます。
 以上が教員養成フラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方のたたき台ということでございます。この内容のエッセンスといったものを,本日の議論を踏まえて,資料2の中間まとめの素案に入れ込むということを今のところ想定しております。
 次の資料5を改めて確認いただきたいと思います。これは当初から示した論点例でございますが,現在,この論点例の1から5,指定の要件と審査の在り方まで議論が進んでおりまして,最後,6番,7番,成果の発信,あるいは国の支援といったことについて次回に議論する予定でございますが,今回の指定の要件や審査と併せて,関連したという形で御意見も頂ければと思っております。
 以上でございます。
【三島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの資料4と資料5もにらみながら,御意見を頂ければと思います。どこからでも結構でございますので,よろしくお願いいたします。安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  では,質問させていただきたいのですけれども,改めて確認ということになります。括弧1の指定の対象と範囲の中で,最初のところで,「教員養成を主たる目的とする」という言葉があります。このところと先ほどの特例の3の指定による規制の特例というところを併せて考えたときに,フラッグシップという一つのキーワードで考えられるのは,例えば開放制の大学などが応募してきた場合は,これは主たるところに当てはまらないのか,当てはまるのか。フラッグシップ大学であれば,開放制の例もあってもいいのではないかなと思うのです。工学系で非常にICTに熱心に取り組んでいて,そこで教員養成,いわゆる免許も取れるような大学もきっと出てくるかと思います。そういうところが応募してきたときというのは,この括弧1のところとの関連性というのはどうなるのでしょうか。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  ここでいう「教員養成を主たる目的」とするというのは,課程認定などで主に小学校教員養成の審査をするときに書かれている文言ですけれども,そういった教員養成のことを主たる目的とする,核となる体制というものが整っているかどうかということでございますので,もちろん総合大学などの中で教育学部あるいは文学部教育学科という形で教員養成をやっているところがあるかと思いますけれども,そういったところを排除しているわけではないということでございます。
【安藤委員】  分かりました。
【三島主査】  御意見はよろしいでしょうか。牧野委員,どうぞ。
【牧野委員】  質問なのですけれども,先ほどの予算の話で,来年度に予算要求,つまり令和3年度の予算要求に載せていくと。これはプラスアルファで予算要求するという意味なのか,それともこれまである枠の中で事項的に予算要求するつもりなのか。もちろんまだ決まっていないと思いますけれども,多分一番気にしているのは皆さん方ですので,私の方から聞かせていただいてよろしいですかね。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  気持ちは一緒だと思っておりますので,できるだけ力になるようなお金ということを……。
【牧野委員】  とすれば,これはかなり頑張る必要があります。つまり,理論武装して,プラスアルファで取りにいくとなれば,それは本当にフラッグシップが何で必要なのかということを財政当局にきちんと説明しないと,先ほど私が言ったような話はもう必ず切り返してきますからね。ですから,そこのところは相当理論武装していかないと,プラスアルファで取るというのは,私はなかなか厳しいのではないかという気がしますけれども,是非頑張ってほしいという立場です。
【三島主査】  加治佐主査代理,どうぞ。
【加治佐主査代理】  3点ほど。まず1点目は,これは前回,前々回も出たかもしれませんが,指定期間は3年から5年ということですが,段階的に幾つかを指定するのか。つまり,例えば,最初,一つとか二つ指定して,終わりなのか。それとも,後からまた,追加的に先発組の成果や課題を見ながら,次の取組をまた広げていくということなのかということです。
 それから二つ目は,余りこれを聞いても意味がないような気もするのですが,念のためお聞きしますけれども,国立大学は,第3期中期目標・中期計画の期間中は三つに分類されているわけですね。地域貢献,オンリーワン,国際展開ですね。教員養成の単科大学に限れば,地域貢献とオンリーワンの分類しかないわけですけれども,フラッグシップ大学の主たる活動期は第4期になりますので,これは余り意識しないでもいいのかなということと同時に,一方で,そこら辺も少し考えておかないと,後々問題になりかねないですね。
 それから三つ目は,先ほど言ったことと関連しますけれども,このフラッグシップ大学の指定の要件の指定の対象・範囲のところです。ここのところが,大学間連携が当然条件になるということは言っているのですけれども,ここのの三つ目の丸には,何か特定のテーマとか分野の取組については他大学と連携し,共同することができるとありますが,これまでの流れからすると,少し違うのではないかという気がします。もう少し資源を集約するという性格を持たせないとできないと思います。それから,単独でやるよりも,資源を集約することによってより強力なものを作るのだということだったと思いますので,またそういう制度的な準備もされておりますので,そこのところを書いていただきたいなと思います。もちろん,その中核になる大学が,ここに書いてあるように,しっかりと責任を持つことは当然なんですけれども,それだけではなくて,それを中心に,本格的な連係を要件とするといったことを書いていただければいいかなと思います。
【三島主査】  どういう予算立て,考え方になるかがまだ分からないところではありますけれども,段階的にやっていくのかどうかというあたりはいかがですか。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  フラッグシップでありますので,そんなに多くを指定することは想定されていませんが,追加があるかないかというと,そこはあり得ないわけではないのではないかとは事務局としては思っております。ただ,予算との兼ね合いもありますが,それにふさわしい取組なり,そういった計画があるところについて指定していくということかと思います。
【三島主査】  それが一つ目ですよね。3類型の件についてはいかがでしょうか。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  それについては,今回の指定の審査に関係があれば考慮することになるかと思いますけれども,関係がないということであれば,考慮する必要はないのかなとは思っております。逆に,審査ではそういう類型で考慮するというよりもむしろここで挙げた指定の条件が重要かと思っております。
【加治佐主査代理】  気になりますのが,先ほど地域貢献ということが非常に強調されましたが,その地域貢献もこのフラッグシップの要件に入れるべきだという意見も結構強いわけですよね。それはストレートに考えると,三つの重点支援の枠組みの地域貢献型の大学はそういうものに該当しますね。ただ,フラッグシップは私が思うに,オンリーワンのタイプの大学になります。つまり,ある意味,このSociety5.0という部分で非常にその強みを発揮して,そこに資源を集約していくような大学という点では,オンリーワンの大学に近いのかなと思ったものですから,お聞きしたということです。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  ここも委員の先生方の御意見をお伺いしたいと思っていますが,地域貢献といった場合に,今ほとんどの国立大学が地域貢献をするということになっている中で,フラッグシップ大学における地域貢献というのは何だろうかと。先ほど堀田委員から,例えばSociety5.0を意識した地域貢献であるとか,あるいはそういった先端技術を活用したやり方だとか,あるいは地域の特性に応じて,例えばへき地が多いところとか,あるいは島嶼(とうしょ)が多いところとか,いろいろあると思いますけれども,そういった中で共通的に特に必要な,それも先端技術を活用した地域貢献というのは何かあるだろうかといった形で,恐らくフラッグシップ大学でいう地域貢献というのは,三つの重点支援の枠組みの地域貢献とは少し違うのではないかなとは思っております。
【三島主査】  牧野委員,どうぞ。
【牧野委員】  現状の話で,地域の側から言ったとき,地域を学ぶという,例えば高校でやっている地域人教育あるいは小学校,中学校でもそれに類することをやっていく中で,一番その地域のことをきちんと学んでいただきたいと思うのは,やはり教職員の先生方になってしまうのですよ。それは何故かというと,今の教職員養成課程の中でそういった地域を学ぶというのはどういうことかとか,地域と連携すると一言でいっていますけれども,ではそれはどうやっていくのかとか,あるいは地域に必要な人材というのをそのような中でどうやって育成していくのかというのが,必ずしも体系的にカリキュラムとして作られているわけではないわけです。私ども地域の側から見れば,正にそういうところをきちんと体系的にカリキュラム化してもらって,本当に地域のことをきちんと学んで,地域の将来を担うふさわしい人材を育てていってほしい,そういう先生方がもっとたくさん増えてほしいという思いはあるわけですよ。本来であれば,正に地域貢献というのはそういうものであるべきだと思うのですね。ですから,そういったことができるようなカリキュラムをフラッグシップ大学が実装していくということができるのであれば,その地域の側は,是非必要だとなって,予算要求のときに,そういうことをやるのであれば,地域の側も応援するよという話になっていくと思うのです。
【三島主査】  では,ほかにございますでしょうか。若江委員,どうぞ。
【若江委員】  指定の条件のところの二つ目にも,例えば産官学とか,四つ目の丸のところにも「外部人材等を」とあるのですが,産業界の知見や資本,つまりヒト・モノ・カネ・情報までを含めて,そういったものとの連携や融合をもう少し明確に言葉として出していただいた方がいいのではないかなと思います。なぜならば,その後にある「学長を筆頭にマネジメントやカリキュラムなど」とか,「ガバナンスやマネジメントの体制が戦略的に構築されていること」のところの,企業との連携やマネジメントやガバナンスの重要性につながります。,今までの教育はそこがクローズドだったので,そのあたりのことを少し入れていただいた方がいいのではないかと思いました。
【三島主査】  もう少し具体的にということです。
【若江委員】  言葉として,今は「産官学」とか「外部人材」というようなことだけなのですけれども,産業界の知見や資本との連携を何か必ずどこかに入れておかなければいけないぐらい,明示していただいた方がいいのではないかと思います。
【三島主査】  ありがとうございます。安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  今回の指定を受ける際に,きっとカリキュラムの問題が非常に大きなウエートを占めてくると思うのですけれども,カリキュラムの場合のPDCAを考えときに,その指定の期間について,今は3年から5年ということになっているのですが,応募の段階で4年生段階の応募と,4年と教職大学院2年をセットにした6年での申請が出てくる2タイプ,あるいはそれ以外のケースもあるかもしれません。そうなると,この指定期間が最長5年だと,いわゆる成果を見るには少し少なく,最大限6年までを一つの条件にしていくということも必要かと思います。3年というのは,教職大学院等の大学院が2年間のカリキュラムの成果を見るには3年という形でいいかもしれませんが,この期間については,6年までに範囲を広げてはどうかという,意見を持っております。
【三島主査】  いかがでしょうか。戸ヶ﨑委員,どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 門外漢としての意見になってしまうかもしれませんけれども,指定の条件の中で,「実績」という言葉が非常に多いのです。フラッグシップ大学では,新たな実証とか研究開発等を行うということなので,今後のビジョンが明確になっていて,すぐれたものがあって,更に横展開できる,実現可能なものというものがあるのかどうかということが問われていくことが非常に大事なのではないかと思います。そう考えると,「実績」という過去が問われるということはどうなのかという疑問を持ちました。つまり,「実績」というと,実際に示した功績とか成績ということなので,今後に期待してそれを問うということであるならば,研究などの成果という意味合いで考えると,「業績」という言葉の方が良いのではないかと思います。この辺は検討していただければというのが1点です。
 それからもう一つが,次の3番の「指定による規制の特例」という部分の丸の三つ目のところなのですけれども,ここで「特定の者(例えば,校長,指導主事等)を対象としたコース」ということで書いてあります。しかし,このフラッグシップ大学の目的からして,当然,若い学生にそういうカリキュラムを指導していくということに加えて,現職の教師,管理職や指導主事といった人たちが,社会の急激な変化に伴う進展を踏まえて,教育者としてのいわゆるスキルアップをしていかないと,フラッグシップで学んできた若い教員がどんなに入ってきたとしても,学校というところはそういうところではないのだよみたいなことを言われたら,それこそどうなってしまうかということです。そういう危惧を現実の問題として感じます。ですから,現職教師のスキルアップも非常に大事で,そのためには,学び直しできるような,「別の科目の履修等を可能にする」という言葉がありますけれども,多くの現職の教師や指導主事などが履修しやすいようなカリキュラムシステムを作っていく必要があると思います。あわせて,先ほども申し上げましたけれども,外部との連携の視点ということからも,教育関係の企業や他の研究機関などでの実習も履修の中に入れていくことができるような,読替えという発想も必要なのではないかと感じました。
 さらに,このフラッグシップ大学の役割として,得られた知見,研究した成果を広く周知していくという観点から考えると,現実の問題として,教師の年次研修といったものに組み込めるような研修プログラムというのも作らなくてはいけないだろうし,さらには教職大学院等に通わなくても,学校にいながらにしてフラッグシップ大学で行っている講義を,MOOCs(Massive open online course)のように動画配信や通信を使ってインターネットで学べるような環境づくりや,様々なサテライト研修を拡大していくシステムなどを初めから実装しておかないと,後になってから行うというのは大変なことなのかなと感じました。
【三島主査】  ありがとうございます。今のところは3の「指定による規制の特例」というところに書いてあるところで,今おっしゃったところは,かなりカリキュラム自体の話かなと思いますので,どういうカリキュラムを盛り込むかということで特色を出していただくということを取り込めますね。それから,先ほど安藤委員がおっしゃった3年か5年かというのを,学士課程の4年に大学院修士分の2年をプラスして6年とか,それから大学院修士だけだったら,2年なので,指定期間は3年でいいのかというところ,その辺はほかに何か御意見はございますか。教育の効果というのはなかなかそう簡単にでないところもあるので,私も,3年は少し短いのではないかなという気はします。三村委員,どうぞ。
【三村委員】  私も安藤委員に関連してお尋ねしたいと思っていたのですけれども,「指定による規制の特例」のところの,例えばSTEAM教育をするのであれば,特例を認めるというようなところなのですけれども,例えば令和4年に認められるとしたら,令和4年の入学生に認めるということになるという意味でしょうか。令和4年に入学した学生が卒業するのは,令和7年とか8年とかになるわけですけれども,その特例とまではいかなくても,例えば在学生の2年生とか,そういった学生に認められるのであれば,もう少し早く新しいカリキュラムで養成した人材が輩出できるのではないかと思ったわけです。フラッグシップ大学は,教員養成とか現職研修を含めた人材養成の部分と,開発した研究成果を発信することによって,またほかの場所で担っていくという部分の両方があると思うのですけれども,人材養成ということを考えると,できるだけ早くそういった資質を持った学生が出ていけるものが必要なのではないかと考えているところです。
 一方で,例えば,どこかの大学は法令改正を伴わなくてもいいので,そういう人材をどんどん輩出するということになると,フラッグシップ大学ではないけれども,もっと早くそういう人材を養成できるということにもつながるのかなと感じたので,お尋ねさせていただきました。
【三島主査】  事務局からお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  教員免許企画室長でございます。課程認定等を担当している関係で,私の方でお答えをさせていただきます。詳細なここの特例の制度設計はこれから詰めないといけないのですけれども,例えば,仮に新しい科目を入れるということで課程認定が必要になってきたときに,今までの課程認定の仕組みでいきますと,認定を受けた年度に入学した学生から適用していくという形になっていくのかなと思います。ですが,そこに関しては,在学生に関してどういう科目の取得の仕方ができるのかなどといったことについて,そこはもう少し考えないといけないかなと思います。これは,各大学の方で1年生からの積み上げで教職課程のプログラムを組んでいただいていますので,そういう関係で,入学した学生から適用していっているというのが現状でございます。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  少し補足でございますが,お話しされた例というのは正に内容次第というようなところもございまして,かなり本格的な内容を伴うような場合ですと,要するにこれは指定に伴う特例という形になりますので,正に指定された大学が前提になりますし,単純に今やっているところにすぐ適用できるかというと,そうはいかない部分もあるかと思うのです。ただ,例えば指定を受けたことによって,教育環境とか教育機器とか,いろいろなものを備えて,例えば同じ科目のものであっても,やり方を変える,あるいは内容を刷新するということであれば,場合によっては届出をする場合もあるでしょうし,そもそも届出すら必要なくて,どうぞやってくださいという場合も当然あるかと思います。そこは,必要履修事項がどう対応しているかなどといったことがありますので,かなり早めに公募の条件といったものを出して,できるだけ具体的にいろいろな形で御相談いただいて,うまく既存の制度にはめこむという作業をきちんとしていく必要があるのだろうと思っています。
【三島主査】  よろしいでしょうか。牧野委員,どうぞ。
【牧野委員】  この結果がどのぐらいに出るかというのは事業によってかなり違うので,私としては,ある程度,その事業が,大学としてはこのぐらいで結果を出せるというのをきちんと明確にして,それを評価してみるということになるのではないかなと思います。ですから,事業によって,おっしゃるように,3年で出るものもあれば,6年ぐらい掛かるものもあるということかと思うのですね。さっきの地域の話を仮にカリキュラム化しようということになると,恐らく座学だけではもう全然駄目ですから,当然,地域のフィールドに出ていってフィールドスタディーをやって,そこで得られた成果を学生の皆さん方がしっかりとプレゼンして,そしてその内容をきちんとみんなが評価してという,恐らくそういったカリキュラムが組まれていく。今,飯田市ではフィールドスタディーをやっていますけれども,フィールドスタディーはもうある程度そういうやり方でやってきて,単位認定できるかどうかという話も結構議論されています。地域連携の事業であったら,恐らくそういったものを,教職員を目指す学生の皆さん方がやっていくようなイメージになると思うのですよ。それは恐らく1年トライアルして,うまくいかなかったことを2年目にやって,3年目ぐらいに,これぐらいだったら十分成果が出るなというのが分かって,ほかの教職大学院にもそのカリキュラムを横展開していくようなことができれば,先ほど言ったような人材の輩出につながっていくから,正にフラッグシップの役割を果たしたという評価になるというようなイメージではないかなと思います。ですから,3年ぐらいは掛けてトライアルしていって,それである程度ほかの教職員養成大学にも十分通用するようなカリキュラム,モデルであるというところまで作り込んでいくというようなことを考えれば,最低3年ぐらいは要るし,そこから広めていってみたら,いや,まだまだ改善点があるぞということであって,カリキュラムを更にブラッシュアップしていくような,仕組みになっていけば,フラッグシップ大学の役割というのはかなり明確になるのではないかと,そんなイメージを持っています。
【三島主査】  松田委員,どうぞ。
【松田委員】  先ほどからお話が出ている地域という問題なのですけれども,教員養成をする場合は地域というのは本当に大事だと思っていて,具体的にはそういう部分が条件として含まれないといけないと思うのですが,一方で,先ほど事務局からも話がありましたけれども,各大学は地域に対してもう既に貢献していたり,より教員養成大学としては,地域の教員養成ということで,それはある種の前提条件になっているようなところもあると思います。加えてフラッグシップということで,広範な地域とか全国というようなところに対して何ができるかというところは少し考えた方がいいのかなと思いながら,伺っていました。
【三島主査】  大学の3類型と,それからフラッグシップ大学としての申請というのは,必ずしもつながっていなくていいわけなので,どうやって特色をだすかというだけのことかもしれませんね。ほかにいかがですか。水落委員,どうぞ。
【水落委員】  今のお話とも関わってきます。また,先ほど開放制の話もありましたけれども,前半で牧野委員が質問したことともリンクします。例えば,開放制の話が出たときに,どこか特定のコースや特定の研究室でやられているということも範囲だということになるとすると,全学として認定していくということとの矛盾がでてくるのではないかという心配があります。また,前半で牧野委員がおっしゃった,例えば教員就職率といった,教職員養成大学としての使命というものと矛盾しない実績ということを考えていく必要もあるでしょう。一方でSociety5.0に特化したことをやっていく,一般的な優等生の大学を指定するのでなくて,ある程度とがったミッションを持った大学として指定していくのだということになったときには,例えばこの有識者会議の報告書に書かれていたような内容は置いておいて指定するのか,それともここに書かれていたものの中で,これとこれとこれは最低基準として,ここまでは必ず満たしている中で,とがってくださいという形でやっていくのか,若しくはそういうパターンとこういうパターンと,AタイプとBタイプみたいに分けて認定していくのかということを考えていく必要が出てくるのだと思います。ただ,そうたくさん指定するものではないというお話ですので,どちらを認定していくのかということを考えていく必要があるだろうなと思います。
 また,今の地域の話にしても,私は先ほども申し上げましたが,特徴的なカリキュラムで,特徴的な,ある程度特化した力を持った教員を養成したときに,彼らが採用されなければ,この使命は果たせないわけですから,大学の所在地の教育委員会等で,その特化した能力を持った教員を採用する一定枠みたいなものを設けてもらう必要があるかなと。例えばこのフラッグシップ大学として認定するときにも,そういう教育委員会からのニーズに応える教員を養成するというようなことを指定の要件として考えていくことも必要なのではないかなと感じていました。
【三島主査】 いろいろな考え方があると思いますが,ほかに何か御意見はございましょうか。山口委員,どうぞ。
【山口委員】  先ほどのガバナンスのときに,加治佐主査代理から財政基盤の話が出まして,指定の条件のところに財政的なところを入れるかどうか,学長としてはこの辺が一番気になっておりました。条件に入れると,若干ディスカレッジしてしまうかなという感じもします。ただ,指定されている期間は頑張っていただいて,国から予算措置されたとしても,その後の持続性ということを考えると,それを学長のリーダーシップで,ガバナンスで何とかしろといっても絵に描いた餅で,かつキーワードとして「ファンドレイジング」とかと出ているわけですよね。だから,持続性についても指定されるフラッグシップ大学は明確に出してもらうことを指定の条件にするというのもありなのではないかなという気はします。そのときになかなか妙案がなくて,「学内で何とかする」と学長は言わされる可能性もあるのです。ただ,これは放っておけないですよね。継続という観点からすると,絶対に避けて通れない問題だと思うので,条件に入れるのかなという気はしました。
【三島主査】  そうですね。ほか,いかがでしょうか。加治佐主査代理,どうぞ。
【加治佐主査代理】  山口委員がおっしゃるとおりなんですけれども,ファンドレイジングをはじめとして,そういうことができる力量を持っている,あるいは既にそれなりの財政基盤がある程度あるという大学ということになると,少なくとも教員養成単科大学はそういう大学はほとんどないわけですね。そういったときに,この2.フラッグシップ大学の指定の要件(1)の二つ目の丸を見ると,総合大学や,私立大学もあるのかもしれませんが,そのようにも読めなくもなくなってくるのですね。
 もちろん,そういうことはあってもいいのですが,ただ教員養成の実績というのは圧倒的に教員養成単科大学・学部が持ってきているわけですので,このようにできたものを今後も生かさないという手は当然ないわけです。それを活かすとなると,財政基盤を作るための何かをここに書き込んでいただきたい,大学側が提案することも必要なんですけれども,その提案に前提するような何か可能性のあるようなことを少し書いてくれないかということですね。例えば国立大学の改革補助金の中にこの枠を設け,それを何年間か保証するとか,もちろん期間の終了後は自前になっていきますけれども,そういうものもどこかに盛り込んでいただけるといいのかなと思います。
【三島主査】  山口委員,どうぞ。
【山口委員】  教員養成の単科大学が稼ぐ道はないのかというのを申請大学から提案してもらうのがいいのではないかと私は思っていました。それは今後ずっと続く話として,問題は残りますから。例えば,今,国立大学で言えば,国立大学改革方針というのが明確に出されていて,教員養成大学の適正規模などというのがやたら議論されるわけです。ある意味,予算がないから縮小だよというようなイメージを与えかねません。だから,そういう意味では,幾ら教員養成であるといっても,国からの予算には限りがあるわけです。では,指をくわえていて,「いろいろなことをやります」で,時間もない,人もいない,お金もないで頑張ったとしても,なかなかいいものはできません。そうすると,やはりお金は自分で稼ぐために、教員養成単科大学であっても,いろいろみんなで知恵を出さないといけない時代になってしまっているという気はします。そういう意味で,何かいい提案が申請大学から出てくるといいなという意味合いです。
【三島主査】  山口委員は国立大学協会で教職課程の将来のことで随分御苦労なさったから,そうおっしゃることには非常に意味が重いと思いますね。
 ほかにいかがでしょうか。随分いろいろな御意見を頂いたので,また次回までにどうまとめるかということで,また事務局と相談しながらさせていただきたいと思いますけれども,本日の範囲で6番目と7番目のところ,御意見をいろいろ頂きました。これでよろしいでしょうか。
 それでは,今後のスケジュールは,最初にお話しいただきましたが,一応確認させていただいて,あと事務局からもし御連絡がございましたらと思います。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  それでは,今後のスケジュールでございますが,次回9月27日15時から17時ということで,ここでは中間的な取りまとめを行う予定でございます。その内容を次回の教員養成部会に御報告して,また意見を頂く。それに基づきまして,それ以降,最終的な取りまとめに向けて議論していくという予定でございます。
 あと少し時間がありますので,改めて,配った資料について簡単に御説明いたしますと,本日午前中に開催された教員養成部会に参加されていない委員の方の席上に,若江委員のところで行っている事業についてまとめた冊子をお配りしております。簡単に御説明いたしますと,特に3ページのところと,74ページ,最後のところが一番分かりやすいかと思いますが,そこにいろいろな企業が提供している教育のプログラムの一覧と,3ページが,それが一体幼・小・中・高のどの課程のどの教科に対応しているかということについてまとめた資料がございまして,その具体的な中身がこの本文の中に入っているということでございます。前々回に,企業が一体どれぐらい協力してくれるのかとか,あるいは若手がそれだけ教育に参画してくれるのかというような話が少しございましたけれども,そういった企業なり,あるいは若者が,教育に貢献していこうといった動きもあるということでございます。若江委員の方から補足の説明がございましたら,お願いいたします。
【若江委員】  御説明いただきましてありがとうございます。本日それを配付させていただく機会を頂きました。今お話しいただいたとおりですが,企業は社会貢献の域でいろいろ学校教育支援をしています。長いところですと,これはもう13年になりますので,10年以上このプログラムを脈々と続けてくださっている企業もあって,多いところでは年間400校ぐらいに授業に行っていただいています。。また、1,000校ぐらいにプログラムを提供しているという企業もあります。。ある意味,この延長線上にあるのは,こういうフラッグシップ大学の実務家教員みたいなところにもつながっていくのだと思います。こういう学校教育現場での経験を持っておられる方々が,さらにきちんとした研修が必要でしょうけれども,これまでの実務家教員というのは,学校経験者で教員ですが,こういう産業界で長らくこの学校教育に企業人講師として関わってくださっているような方も,将来的には候補になっていくでしょうということです。それともう一つが,常勤の教員でないとしても,今,企業では兼職とか副業というのが認められていますので,講義を持つある1日だけ会社を離れてその大学の職に就くというようなこともできなくはない時代に来ておりますので,そういった意味で情報を提供させていただきます。
 以上です。
【三島主査】  大変ありがとうございました。牧野委員,どうぞ。
【牧野委員】  時間があるということですので,先ほどのお金の話です。これはもう事務局がどこまで本気になってやるかという話に係ってくるのですけれども,要は行政,国とか自治体だと,今はお金がなかなかないよと。だけれども,地域であれ,あるいは社会全体であれ,必要な事業であると,こういった教員養成は必要だという事業であれば,そういうところにお金を回す仕組みを作るというのは,私はありだと思うのです。
 具体的に言うと,例えば,実現できるかどうかは別にしまして,今これから休眠預金が動くのですよ。休眠預金のあの助成の中で,この枠は是非人材育成枠としてとれないかという話をやるというのは,私はありだと思うのですよね。今,休眠預金の話というのは,社会的弱者のためのNPOとか,ソーシャルインパクトボンドといったところが対象だという話になっていますけれども,人材育成をこうやって考えていくためには,例えばそういった財源を使ったっていいではないかという議論は私はしたっていいと思うのですよ。そのような形で,財源の多様化というのは考えていかないといけないと思うのです。それをフラッグシップ大学の申請をするところがやるのか,それともそもそも予算要求でやるのかは分かりませんけれども,少なくともそういったことも考えていかないと,なかなかお金は出てこないと思います。
【山口委員】  おっしゃるとおりだと思っていまして,ただ,単一でやっていてもなかなか厳しいので,大きな額が入るわけではないから,いろいろな可能性を試みていかないといけないというのが今大学が置かれている状況です。だから,大学独自に民間といろいろなことをやって稼ぐことも人材育成であっても例外ではないのだろうなと思っていますがそれだけではきつい。正に人材育成は儲けてはいけないところだと私自身は思っていますので,国の,あるいは自治体のお金を何とかしていくというのが本筋だと思っております。
【三島主査】  ありがとうございました。
 ほかに御発言はよろしいですか。
 それでは,本日の教員養成部会は以上とさせていただきます。御協力,ありがとうございました。


── 了 ──

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