教員養成部会 教職課程の基準に関するワーキンググループ(第7回)議事録

1.日時

令和元年12月24日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館9階総合教育政策局会議室

3.議題

  1. 教職課程の水準の維持・向上や効果的・効率的な実施を図るための教職課程の基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

山口宏樹主査、坂越正樹主査代理、安部恵美子委員、大森昭生委員、加治佐哲也委員、北上正行委員、酒井朗委員、佐古秀一委員、添田久美子委員、本図愛実委員、森山賢一委員

文部科学省

浅田総合教育政策局長、平野大臣官房審議官、柳澤教育人材政策課長、長谷教員免許企画室長、高田教員養成企画室長 ほか

5.議事録

【山口主査】 それでは、始めさせていただきたいと思います。ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の下の教職課程の基準に関するワーキンググループ第7回を開催させていただきます。
本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず最初に、事務局から、本日の配布資料の確認をお願いします。

【尾白教育人材政策課専門官】 失礼いたします。資料の確認をさせていただきます。
お手元の端末に、本日の会議資料である議事次第、議事次第に記載の資料1、資料2、また、参考資料1から3までが表示されております。
資料1につきましては、机上にも配布しております。また、端末のデスクトップには、前回までのワーキングの会議資料を格納したフォルダーもございます。
このほか、基礎資料としまして、『教職課程認定申請の手引き』の冊子を机上に用意しております。
不明な点等ございましたら、お近くの事務局までお申し付けください。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。
本日は、いよいよまとめの議論に入ります。議事の1番についてになりますが、まず、事務局から説明いただきまして、その後、委員の皆様から自由に御意見を頂ければと思っています。
それでは、議事の1に入ります。事務局から説明をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、資料1に基づきまして、御説明申し上げます。机上の紙の資料もごらんいただければと思います。
それから、参考資料2のところで、これまでこの会議で出してまいりました論点例につきまして、まとめたポンチ絵集も掲載してございますので、こちらの方も適宜ごらんいただければと思います。
それでは、「複数の学科間・大学間の共同による教職課程の実施体制について(素案)」というもので御説明させていただきます。
これまで6回の御議論を頂きまして、大体、事務局の方で設定させていただきました論点につきましては網羅していただきまして、おおむね方向性としては一致しているところがほとんどであろうかと思います。
ただ一部、まだ議論が、論点だけ出されておりまして、収れんしていなかった部分もございますので、そこを事務局の方で、大体のところでまとめさせていただいたところでございます。そういった点につきまして、本日、また御議論いただければと考えております。
まず、タイトルのところでございますが、今回、ワーキングの全体の名称としましては、「教職課程の基準の在り方に関する」ということで、かなり広く取っておりましたけれども、実際に今回、御議論いただきましたのは、例えば教職課程の内容とかにわたる部分ではございませんで、授業科目の立て方でありますとか、あるいは、専任教員、それから、質の保証のための体制といった教職課程の実施体制で、特に複数の学科、それから、大学の間での共同での実施体制というところが中心でございましたので、タイトルにつきましては、その点が明確になるような形で、「複数の学科間・大学間の共同による教職課程の実施体制について」ということにさせていただいております。
それでは、1ページ目のところから御説明申し上げます。
最初の「一 はじめに」のところは、御検討いただいた背景、それから、主な論点でございます。この中にございますように、(1)から(3)にございますような三つの論点につきまして、これまで、大きくは御議論いただきました。今回の報告書の中では、方向性を主に御議論いただいておりまして、これに基づきまして、具体的にこれを基準、規定類に落としていくのが文部科学省、それから、教員養成部会の作業ということになってまいります。
ただ、今回の報告書で御議論いただきました点以外にも、今、同時進行で教員養成部会の方で、養成、採用、研修、免許制度の在り方について、全般的な審議が行われているところでございますので、その点を踏まえまして、必要な点については、この報告書に加えまして、更に見直しが必要な部分も出てこようかというところで、背景とさせていただいております。
二のところで、基本的な大きな方向性について、記述をしてございます。この中で、最初に御議論いただきましたけれども、教職課程の実施のための責任を有する基本的な組織というのが、各専攻分野の教育研究を行う学科等を基礎としている、この点については確認をしていただいたところでございます。
ただ一方で、学科等を基本的な単位としながらも、複数の学内の学科等でありますとか異なる教職課程の間、さらには複数の大学の間において、今、連携・協力というところが必要になってきている事情というのも見られているわけでございます。
2ページ目、3ページ目のところに記載がございます。大きく分けまして三つに整理をさせていただきました。
一つは、(学校現場・地域の教育課題に対応した教職課程の充実)ということで、今年度の4月から新しい教職課程で、非常に科目が充実した教職課程がスタートしております。それから、必修の事項以外にも、大学の創意工夫によって充実が図られるべきものというものもございます。こういった様々な教育内容を提供していくという観点からは、学内、あるいは他大学に教職課程に適した科目がある場合には、それも利用していくということが充実に資する面があるということが一つでございます。
それから、(複数種類の免許状取得の要請)という部分でございます。これは近年、教育委員会でも複数の免許の取得というのを、教員採用試験の場合の加点の事由等としているような場合が増えてきてございます。それに加えまして、今、正に初等中等教育分科会で議論をされてございます、「新しい時代の初等中等教育の在り方」の中で、小学校高学年からの教科担任制を本格的に導入していくという方向性が示されておりますので、これに伴いまして、小学校と中学校の両方の免許状の併有ということがより求められるようになってくるということが予想されるわけでございます。こうしたニーズに対応しまして、教職課程にまたがって、学生が履修しやすいように、共通できる科目は共通化していくというようなニーズも出てくるというところでございます。
3番目に、(教員採用数の少ない種類の免許状に係る養成・研修体制の確保)というところでございまして、これは今回の会議に先立ちます、免許外教科担任の在り方についての検討の中でも示されておりましたが、今、採用数が少ないような教科を中心に、教職課程が非常に限られているようなところも出てきてございまして、単独の大学ではなかなか維持しにくいようなものについても、やはり養成・研修の体制を維持していくという観点から、地域の複数の大学で教職課程を設置できるようにしていくというようなニーズも出てきているわけでございます。
これが三つの大きな方向性、背景でございますが、3ページ目の中ほどに書いてございますように、以上の点を踏まえまして、今後の教職課程の実施体制の在り方としましては、学科等が基本的な責任を負いながらも、教職課程をより効果的・効率的に実施するという観点から、学内の複数の学科、教職課程、あるいは大学間での連携・協力ということが進められるような体制にしていくということが一つの方向性としてございます。
ただ、複数の組織が関わってまいりますので、その間に責任の所在が不明確になることでありますとか、かえって質が低下するといったことがないようにすることは当然でございまして、そのための必要な制度的な仕組みを織り込んでいくということを書かせていただいております。イメージとしては、下の二つの図にあるような形というところでございます。
4ページ目に入っていただきまして、ここからは、具体的に三つの論点について記載をしております。
一つが、「三 複数の学科等の間において教職課程を共同で実施する体制」のところからでございます。この中で、一つは授業科目の共通化、それから、専任教員の共通化、学部等連係課程という、三つの大きなカテゴリーがございます。
まず、1ポツの授業科目の共通化の中で、特に教科専門科目の部分でございます。4ページの下の方から記述がございますが、教科専門科目というのが、教科の専門的内容を修得する科目でございまして、これは、学位を取得するための専門的な授業の中で学んでいくということが基本になってございます。
5ページ目に入ってまいりますが、ただ、大学の学位プログラムというのは非常に専門分化しておりますので、必ずしも一つの学科で全ての科目が適切にそろえられるというわけではないというところもございます。
下の図1と6ページ目の図2をごらんいただければと思いますが、具体的なところとしましては、現行の基準の中では、教科専門科目の共通化ができる部分というのは、限られている部分としまして、開設元の学部で教職課程の科目となっているような科目というのは、他学科では使えないということになっております。
今回頂いた御意見の方向性としましては、開設元の学部で教職課程の科目になっているものについても、他学科で教職課程の科目として使えるということが一つ、図1の部分でございます。
6ページ目に入っていただきまして、図2の部分でございますが、使える科目の上限としまして、科目の事項、社会の場合でいきますと、「日本史・外国史」、「地理」、「法律、政治」、「社会、経済」、「哲学、倫理学等」という五つの区分がございますが、その中の半分までに区切られております。
ここにつきまして、もう少し弾力化するという方向で、学科が自ら開設している科目を超えない範囲という部分で弾力化していくということが、御意見として頂いておりました。ただ、このように弾力化していくという方向でありましても、当然ですけれども、学科の中で、ちゃんと専門性を担保できるだけの十分な科目がほかに開設されているということは、引き続き前提になってくるというところでございます。
(2)教職専門科目のところでございます。教職専門科目の方は、教職の意義ですとか生徒指導のように、ある程度、学校種、教科、横断的に必要な科目でございますので、これまでも、下の図にございます、丸が付いている部分につきましては、教職課程、学科を超えて共通化できる部分がございました。
ただ、一つは、青枠で囲ってある部分でございますけれども、教育の基礎的理解に関する科目でありますとか、道徳、総合的な学習の時間の指導法などのように、教員養成を主たる目的とする学科と一般学部の間での共通化というのが制限されているものと、それから、教育実習ですとか各教科の指導法、赤枠の部分につきましては、小学校と中学校の間での共通化というのが限定されているという部分がございます。この点につきまして、特に御議論を頂きました。
7ページ目に入っていただきますと、二つお示しをしてございます。
一つが、「教職の共通部分に関する科目」と略称させていただいておりますが、左の表の中での、6ページ目の青枠の部分を示してございます。
ここにつきましては、科目の内容としましては、学校種、教科、横断的に共通な部分が大きいだろうという御意見を頂いておりました。ただ一方で、教職の共通部分の科目につきましては、教員養成を主たる目的とする学科では、正に学位プログラムの中心的な科目であるのに対しまして、一般学部の方では大体、学位プログラムの外側に位置付けられている科目でありますので、学生の履修の仕方等々が違ってございます。ですので、学生の履修環境をちゃんと確保する必要があろうという御意見を頂きました。
それから、免許を取る全ての学生が取得をする科目でございますので、全学的にこれを活用していくことになりますと、一つ当たりのクラスサイズが非常に大きくなってくる。教職専門科目を担当する先生方の負担も非常に増えるといったところもございました。ですので、ここの留意点について、御指摘を頂いておりましたので、具体的にどのように制度に落とし込むかというところが、一つの今回の論点であろうかと思います。
事務局の方で整理をさせていただきましたのが、7ページ目のマル1の2段目の「ただし」以下の、特に一番最後の4行目で、「このため」以下の部分でありますが、「このため、共通化を認めるに当たっては、全学科等の学生に対する十分な教職指導が可能となるように専任教員数を確保する」ということ、それから、自己点検・評価、情報の公表などを通じまして、「学生の履修環境の改善が図られるようにすること」と記載させていただいております。
この点の後者の「情報の公表」部分につきまして、また後ほど、3番目の論点のところで戻ってまいりたいと思います。
それから、マル2の「各教科の指導法、教育実習」の部分でございます。表の中で赤枠の部分でございます。
ここにつきましては、今、小学校と中学校の中では共通化ができない部分でございます。ですので、小学校と中学校の両方の免許状を取得する場合には、指導法と教育実習はそれぞれ別の科目の単位を取らないといけないということになっておりまして、この部分で、小中両免を取るときの単位数が非常に多くなるというところの御指摘を頂いておりました。
ただ一方で、小学校と中学校は、基本的には教科担任を主としている中学校と全教科を主としている小学校との間で違いがあるというところで、単純には共通化できないのではないかといった御意見も頂いておりました。
両方、ここにつきましては両立させるということも必要になろうかと思いますので、事務局の方で整理をしていた方向性としましては、今ちょうど、新しい初等中等教育の在り方ということで教員養成部会の方で、正に小学校、中学校の間の免許の在り方というのは議論されてございます。例えば、その中で議論をしていく。
具体的には、小学校と中学校の違う部分、義務教育9年間全体を見通した形で、両方の内容を盛り込むような教職課程のカリキュラムを組む形にしまして、それを、例えば教育実習についても、小学校と中学校、両方入るということを前提にした上で、共通化できる部分については単位数を一部重ねていくということで、全体的な、必要な修得の単位数を削減していくようなことも考えられるのではないかということで、教職課程の中で、義務教育9年間を見通したようなカテゴリーを作っていくことも考えられるのではないかということで記載させていただいております。
モデルとしては今、中学校と高校が正にこういった形で、中高6年間を見通した形で指導法、教育実習をやっていただいておりまして、それで、中高両方の免許は非常に取りやすい状況になっているところがございます。
こういった点につきましては、教員養成部会で今、正に議論をこれからされようとしているところでありますので、そちらの方に、こういったアイデアも考えられるということで提案をしていくという形で書かせていただきました。ここにつきましても、もう少し御議論いただければと考えております。
それから、8ページ目で、専任教員の共通化の部分でございます。下のところにございますように、専任教員は、原則としてその学科に籍を有する者でなければならないとなってございます。下の注のところにございますように、学科に籍を有すれば誰でもいいというわけではございませんで、一定の職責があるということが前提になっているわけでございます。
専任教員につきまして、9ページ目の「ただし」以下のところでございますが、現行の基準の中でも、授業科目の共通開設が認められている部分につきましては、専任教員についても共通化するということが認められてございますので、同じような考え方で、今回、共通開設を拡大する部分についても、専任教員の共通化が認められていくだろういうことが一つ。
それから、9ページ目の「また」以下の部分でございますけれども、現在でも、幼稚園の領域に関する専門的事項と小学校の教科に関する専門的事項につきましては、担当教員の専門分野に近接性があるということを考慮して、専任教員を共通化することが認められている部分がございます。同様の考え方で、小学校の教科に関する専門的事項と中学校の教科に関する専門的事項についても、専門性の近接性ということを考えれば、小学校と中学校の両方の教職課程を担当する業績があるということは大前提としまして、共通化できる部分があるのではないかということで整理をさせていただいております。
このほかに、ワーキングの中で御議論いただいたところで、今回、全体を通じたテーマとしての共通化とは少し離れるところで、注ということにさせていただいたんですが、9ページの下の注に書かせていただいております。幼稚園と小学校の専任教員の考え方につきまして、教科専門と教職専門についてもそれぞれ一定数配置するということになっておりますが、最低限の数は両方配置するということを前提にして、なおかつ、PT比は変えないということを前提にしまして、教職専門科目と教科専門科目の配置については、弾力化を認めていくような方向が考えられるのではないかということも御議論させていただきましたので、ここは注という形で整理をさせていただいております。
それから、学内の共同化の最後の点でございます、3ポツの学部等連係課程における教職課程の設置、10ページ目に入っていただきますと、内容が具体的に出てまいります。
今年8月にございました大学設置基準の改正によりまして、学部等連係課程というものが設置できるようになっております。上の図にございますように、既存の学部等が連携をしまして、新たに学位プログラムを設置する組織を置くことができる。これによって学部横断的な教育が実現できるということでございます。
ここで、学部等連係課程の文字で、連係のところが「係」という文字になっています。これは法令用語で、ここだけは「連係」という文字を使うことになっておりますので、御承知いただければと思います。
学部等連係課程につきましては、新しい制度ですので、現行の課程認定基準の中には位置付けられておりませんが、これも一つの学位プログラムを実施する組織でございますので、ここを単位として教職課程を設置するということを認められるだろう。その際に、専任教員のカウントの仕方についてでございますが、課程認定基準の大本になっております、そのベースになっています大学設置基準の方で、母体になっている学部と学部等連係課程の間では、専任教員はダブルカウントができるということになっておりますので、その考え方に従いまして、教職課程認定基準の方でも、母体となる学部と学部等連係課程で同じ教職課程を設置する場合には、専任教員がダブルカウントできるとしてはどうかということで整理をしてございます。
11ページ目以下が、複数の大学の間の共同実施でございます。11ページ目から12ページ目の辺りは、既存の制度でございます共同教育課程との違いについて記載をしてございます。
これはワーキングの中でも、群馬大学と宇都宮大学の方から御発表いただきました。学部全体、学位プログラム全体を共同化するというのが共同教育課程でございまして、今回、大学分科会の方で議論をされておりますのが、大学等連携推進法人と、それから、1法人複数大学の場合の特例として、学位プログラム全体ではなくて、授業科目について共同で実施をしていくという制度が今、議論をされてございます。この仕組みを活用する形で、教職課程についての共同の実施というものを議論していくというのが今回の前提となってございます。
共同教育課程と今回、御議論いただきます教職課程を共同設置することとの違いでありますけれども、共同教育課程の方は学部全体、学位プログラム全体を共同化するということでございますので、考え方としては、教員養成を主たる目的とする学科に設置をする幼稚園と小学校、これは学科の目的そのものでありますので、これについては、幼稚園、小学校については共同教育課程の方が非常に適当であるということが考えられるところでございます。
一方で、12ページ目に入っていただきますけれども、共同の教職課程の方につきましては、学位プログラム全体というのはそれぞれ単独で存在しながら、教職課程だけを共同化していくということで制度設計を御議論いただきました。ですので、例えば中学校、高校、特別支援学校のように、学科の目的そのものと教職課程というのは1体1の対応にあるわけではないというものについては、適した仕組みだろうと考えられるわけでございます。
今回、ワーキングで御議論いただいた中でも、共同の教職課程というものを適用する、教職課程の種類につきまして御議論を頂きまして、全体の方向性としましては、大学の強みを持ち寄って教職課程の内容を充実していくという方向性からは、できるだけ広く、いろいろな教職課程で活用できるようにした方がいいという御意見を頂いておりましたが、一方で、幼稚園と小学校につきましては、先ほど申し上げたように、学科の目的そのものですので、むしろ共同教育課程の方がなじむのではないかという御議論も頂いておりました。ここにつきましても、改めましてお考えをお聞かせいただければと考えてございます。
12ページ目の上の方までが、共同の教育課程についての全般的な説明でございますが、ただ、12ページ目の中ほどの「ただし」以下のところで、留意点としまして、責任の所在が不明確にならないようにすること、それから、全体として質が低下しないようにすることが大事であるということで、1から4まで、四つの要件について書かせていただいております。
一つが、12ページ目の下の方から13ページ目に掛けての、教職課程を共同で設置する学科等に関する要件、大学学科等に関する要件でございます。
ここで大体御議論いただきましたところが、全体として教職課程の質を向上させるという観点から、教員養成の体制が充実している組織が一つ以上は参加することが適当である。具体的には、教員養成を主たる目的とする学科が含まれるということが必要だということは大体、御意見として一致をしていたところかと思います。
そこから、加えて、付加的な更なる要件として、高度専門職業人としての教員養成を行えるような体制が備わっていることが望ましいだろう。そこの具体的な要件のところにつきましては、幾つか御意見を頂いておりました。そこの集約をする形で、米印の「例えば」というところで、例示の形で書かせていただいております。
これを具体的に制度化していくときに、どの程度の要件を実際に制度の中に織り込んでいくのが適当であるのかというところについても、少し御議論、御意見を頂ければと考えております。
それから、2ポツが専任教員の配置に関する要件というところでございまして、考え方としては、参加する大学で専任教員を持ち寄って、必要最低限な専任教員数をクリアしていくということになります。
ただ、そのときに、専任教員が一人もいないということにならないように、最低限、各大学で備えるべき必要な専任教員数というのを定めるということで書かせていただいております。
3ポツのところが授業科目の開設の要件でございまして、先ほどの専任教員と同じように、共同で参加しております大学、学科が授業科目を持ち寄って、必要な科目をそろえるということになります。
その際に、各大学がそれぞれ責任を持って科目を提供し合うということを担保するために、一定の単位数の科目を相互に必修とすることについては、大体御意見が一致していたかと思います。
具体的に、では何単位ぐらいを必修科目の要件とするかというところにつきまして、考え方としましては、議論として出ておりましたのは、類似の仕組みである共同の教育課程について、相互に修得することとされている単位数とのバランスを考えるといったことが示されておりました。それ以外にも、どういう考え方でここの単位数というのを設定していけばいいかというところについて、御意見を頂ければと思います。
それから、13ページ目の下から5行目のところで、単位数の設定の考え方としまして、授業科目の共同開設が可能な単位数に関する大学分科会の議論を踏まえるということを書かせていただきました。これは今、共同授業の具体的な制度設計につきましては、大学分科会の方で正に議論が進行しているところでございますので、そちらの制度設計も踏まえる必要があるということで、ここも書かせていただいているところでございます。
14ページ目に入っていただきまして、4番目の要件としまして、大学間での共同の教学管理体制でございます。
大学等連携推進法人、それから、1法人複数大学が、授業科目の共同開設を行う場合には、教学管理体制を構築するということが要件となる方向で今、議論されてございます。共同で教職課程を実施する場合に、正に共同の教学管理体制というものが重要になるわけでございまして、ここで、教職課程のカリキュラムの調整でありますとか、教育実習といった必要な事項の調整が行われることが必要になるということでございます。
それから、最後の論点でございます。教職課程の質の保証及び向上に関する仕組みでございます。
15ページ目のところから御説明させていただきますと、一つは、全学的に教職課程を実施する組織体制ということでございまして、これは、これまでの中教審の答申でも累次にわたりまして提言をされてきたところでございます。
特に今回、全学的に、授業科目でありますとか専任教員を共通化していくという方向性を打ち出すに当たりまして、全学的な体制というものを義務、あるいは努力義務という形で、しっかりと制度の中に位置付けていくということが一つでございます。
それから、単に形を整えるというだけではなくて、文部科学省の方でガイドラインというものを今後整理をしまして、必要な機能について示していくということで書かせていただいております。
2ポツのところで、教職課程の自己点検・評価でございます。
これにつきましても、今回のワーキングの御議論の中で、大学が自主的に教育の内容・方法を改善していくための大前提となる取組であるということで、これについても、義務化という形で制度化をしていくということで書かせていただいております。
16ページ目に入っていただきますと、こちらについても、自己点検・評価についても、文部科学省の方でガイドラインを作成するなどして、実質を伴ったものにしていくということで書かせていただいております。
3ポツの外部専門家による検証のところでございます。
これは、幾つかの団体にもお越しいただきまして、御発表いただきました。現状で第三者評価、教職課程の認証評価に近いような仕組みというものを試行的に、あるいは研究段階で取り組まれているところでございますけれども、まだ制度化をするというところには至っていないという御認識で大体一致していたかと思います。
むしろ、ここにつきましては、課程認定委員会で行っております実地視察をもう少し効果的に活用していくということで御意見を頂いておりまして、特に今回、新しい制度として導入をする大学間の共同設置の教職課程については定期的に視察をしていく。それによって、制度についても見直しをし、教職課程の方についてもしっかりと改善していただくというサイクルを入れていくことが大事だということでございます。
それから、先ほど申し上げました、大学団体の今、自主的な取組として行われているものにつきましても、文部科学省の方で引き続き支援をしていくということで書かせていただいております。
4ポツの教員養成の状況に関する情報の公表でございます。
ここは、16ページ目の下の方に列記してございますように、現在でもこういった事項の公表が義務付けをされているところでございます。
17ページに入っていただきまして、「これらの事項に加えて」ということで、新しい事項としまして、先ほどお話をさせていただきました教職専門科目について、共通化を広げるという場合に、学生の適正な履修環境の確保のための取組が必要であるという観点で、情報の公表の対象の事項として、一つ新たに追加をするということで書かせていただいております。
こういった措置で、授業科目の共通化の担保措置として適当であるかどうかということについて、また御意見を頂ければと思います。
最後、5ポツのところでございます。
教職員へのFD、SDのところにつきましては、ガイドラインの中で位置付けることでありますとか、文部科学省としても必要な情報提供をしていくということで、促進をしていくということで書かせていただいております。
この後は、参考1としまして、今回のワーキングの背景となりました教職課程についての提言、それから、参考2としまして、共同授業、それから、類似の制度でございます単位互換との違いということについて整理をさせていただいております。
事務局の方からは以上でございます。

【山口主査】 ありがとうございました。
それでは、これから残りの時間全て、この議題に費やしたいと思うんですが、御質問を含めて、御意見を頂きたいと思います。ただ、非常に多岐にわたっていますので、ちょっと私なりに整理させていただきながら、最初、集中的にどの部分という形にして、最後は自由にということにさせていただければと思います。
まず最初、冒頭ありましたけど、この報告書というか、まとめのタイトルを、「教職課程の実施体制について」とされています。それから、1枚めくっていただいて目次があるように、この報告書の構成がこのようになっている。この全体的なところで、何かお気付きの点があれば、まずは最初にそこから御質問、御意見を頂ければと思うんですが、いかがでしょうか。
特に、これはこのまま、うまく整理できていると思われるようであれば、そこは気にせずに、また、議論が進んでいって見直してもいいと思います。
よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、大きく三つあるわけですね。複数の学科等の間において教職課程を共同で実施する体制、それから、複数の大学の間において実施する体制、最後が、質保証の話ということですが、このワーキングで一番、時間がまだ十分に割かれていないのが、大学間の方だと思っています。なので、大学間の方で今、長谷さんの方から御指摘のあった、具体的な更なる検討事項、論点というのがあって、それについて集中的に、まず御意見を頂ければと思います。
まず、11ページから12ページです。特にこの部分では、どの学校種の教職課程を共同設置の対象とするのが適当であるかというところですね。その前段として、幼稚園と小学校の教職課程は、学位プログラムの目的そのものであるから、それを共同化するには、やっぱり共同教育課程の方が適切であろう、実施する方が適当であるということを言った上で、では、共同設置の教職課程というのはどの範囲にするか、この辺が論点の1点目です。ここから行くかどうかは、また別です。三つほど上げます。これが一つ目。
二つ目が、12ページから13ページで、具体的に要件を課していくわけですが、1番目の要件として大きいのが、教員養成を主たる目的とする学科等が、一つは参加するということ、これはおおむね意見が一致していると理解していますが、それに加えて、どんな要件を考えるか、示すかで、先ほど説明がありました13ページの上の方の米印で、「例えば」ということで例示的に書かれているのが、ここに示されていることになるわけです。この辺はこれでいいのか、更に何かあるのかというのが、2点目の論点です。
3点目、13から14ページになりますが、これは皆さん興味のあるところで、必修科目の開設に関する要件として、具体的な単位数の設定のためにどのような考え方が必要か。一つの例は、共同教育課程の単位数の考え方に準ずるという話で、4分の1なんでしょうか。そういうものがあるんだけれども、ここで具体的に何単位というのを決めるわけではないんですが、考え方について御意見を頂けると、更に内容が充実するということだと思います。
以上三つをこちらでは用意しました。まずはその辺からで、それ以外でも、大学間の共同設置の場合にどう考えるかという話について御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
佐古先生。

【佐古委員】 ありがとうございます。非常にすっきりと、分かりやすくまとめていただいたなというのが印象です。ありがとうございました。
それから、教職課程の共同化を大学間で行う可能性を認めていくという方向が明確に出されたことは、非常に有り難いと思っています。
ただ、実際に我々が構想していることとの関連で言いますと、大学間で連携しなければならないというような状況は、具体的には、これは前回のワーキンググループでも少しお話ししましたけれども、いわゆる実技系の希少科目と呼ばれている免許取得を、どのようにお互いに補完しながら確保するのかが現実的には当面の課題になっていると思います。そうすると、大学間といいましても、あり得る場合としましては、県境を越えて、つまり広域的な連携で大学の教職課程を維持することになるのではないかと思っています。
それに関して第1点として、結構手間が掛かるといいますか、教員も学生も負担が掛かるような方法で連携を行うということを覚悟しなければならないということが一つかと思います。
第2には、そういうこととともに、できるだけ教育効果を上げるということもありますので、具体的に言いますと、遠隔教育を用いるということについても、群馬と宇都宮の例でありましたように、現状ではまだ制約があって、できるものが限られている。このような点でも広域的な連携については授業を共有することが困難な状況にある。この点は是非考慮すべきものではないかと思っています。
第3には、13ページからの記述の中で、類似の仕組みとして共同教育課程という話が出てくるんですけれども、これも、長谷室長が冒頭説明されましたように、類似の制度ではあるが、しかし学部教育全体を一まとめにして共同化する考え方と、教職課程に限定して共同化する考え方では、共同化の範囲、考え方が相当違うということがあるので、その点もやはり考慮しなければならないと思っています。
そのようなことを考えますと、13ページの3ポツのところの他大学での修得単位数ですけれども、ここに具体的には、括弧のところで、学士課程の場合には124単位の4分の1というのがあって、そういうものとの均衡という観点で考えられるということが示されています。前回までの資料では、これとともに併記されていたのは、教職大学院の共同教育課程に準じた場合には、7分の1という比率でカウントもできるという話があったと思います。山口主査がおっしゃったように、具体的にどのぐらいの単位かということは議論するまで至っていませんけれども、考え方とすれば、広域的な連携を促進するようなものであることと、それから、その中で、教育効果なり、学生、教員の負担をできるだけ軽減するということも必要であるということを考えると、ここの部分はどちらかというと、前回までの資料にありました、教職大学院の共同教育課程に準ずるというようなことも併記していただくことが適当だと考えます。他大学修得単位数を制度の趣旨に適合する範囲でできるだけ縮減する方向も是非、考慮するという方向でまとめていただければ有り難いかなと思っています。
以上でございます。

【山口主査】 ありがとうございます。一番最後は今までもあった話で、これを書き加えるかどうかというところなんだと思います。
その前の話として、例えば広域連携だから、何かその要件として書き込むのか、どこに書くかという話で、具体的にアイデアはございますか。

【佐古委員】 特にそこまでないんですけど。

【山口主査】 おっしゃるとおりだと思うんですよね。

【佐古委員】 この要件の中に、考慮すべきこととしてという形で、説明を入れていただければ有り難いかなと思っております。

【山口主査】 よろしいですか、それは。どうぞ。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 今の補足ではないんですけれども、ちょっと説明の中で申し上げそびれたんですが、先ほど佐古先生から、前回の資料でということでおっしゃっていただきました、タブレットの中の参考資料2というので、ポンチ絵集がございます。この中で、14枚目のスライド以下に、大学間の連携・協力に関して、前回の会議でお出しをしました論点の資料がございますので、こちらもごらんいただければ。
14ページが、先ほど山口主査に御整理いただいた二つの大学の要件と教職課程の範囲でございまして、今、佐古先生に御指摘いただきましたのが、16枚目のスライドのところでございます。こちらはちょっとビジュアルにまとまっておりますので、御参照いただければと思います。

【山口主査】 ありがとうございました。ほかに、教職課程の共同設置について、御意見ございますか。
大森先生。

【大森委員】 ありがとうございました。私も、すごく読みやすいというか、スムーズにまとめていただいたなと思って感謝しております。
1点、大前提なんですけど、このペーパーというか、このまとめは、ここで何かが決定するのではなくて、こういうことが考えられますよということを教員養成部会にお示しをして、部会の方で細かいことは決めていただくという形でよろしいのでしたでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 今後の進め方としまして、今回は第7回で、素案という形でお示しをしておりますので、もう一度ぐらいは御議論いただいて、ワーキングとして取りまとめいただいた後には、教員養成部会の母体の方に御報告をさせていただきたいと思います。
実際に制度化をしていくに当たりましては、教育職員免許法の施行規則の改正、それから、教職課程認定基準の改正が必要になってございます。具体的な数字等はその中へ出てくることになります。
課程認定基準の方は、教員養成部会決定ということになりますので、養成部会で決定をしていただきます。それから、施行規則の方は、文部科学省で決めるものでございますけれども、教員養成部会で御審議していただいた上で決定ということになりますので、いずれにしましても、養成部会の方で御議論いただいてからということになろうかと思います。

【大森委員】 ありがとうございます。そうしたら、ある程度、例えば複数というか、こういうことやこういうこともあり得るという書きぶりで構わないということですね。

【山口主査】 だと思います。

【大森委員】 分かりました。ありがとうございます。
その上で、共同教育課程と連携による課程というところで、これも確認なんですけれども、教員養成を主たる目的とする学科等、すなわち小学校教員養成は共同教育がいいだろうと。これはなるほどと思うんですけど、そうすると、共同教育の場合と連携の教職課程が並列して実施する大学も出てくる。例えば群大と宇都宮大の共同教育課程が始まって、それで、群大とうちの大学が連携で課程を設けるみたいなことも起こり得るという理解でよろしいかどうか、まず。

【山口主査】 理論的には有り得ますね、当然。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 そうですね。理論的にはあり得ると思います。かなり複雑な形になろうかと思いますけれども。

【大森委員】 ただ、教員養成を主たる目的とする学科等を持っている大学というのは、うちも小さいものを持っていますけれども、それが連携しようとすると当然、共同の方になるけれども、近隣のところと一緒に取り組むとなれば連携の形になるので、結構、あってもおかしくないのかなと思いました。
それから、もう1点、1法人複数大学という表現が出てきているんですけど、これは、例えば国立大でもそれが始まっていますが、昔から私立大学も、1法人で複数の大学と短期大学を持っていたり、これも含まれるという理解でよろしいでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 今、大学分科会の方で議論されてございます、正に御指摘のように、学校法人で複数の大学を設置する場合、それから、国立大学法人で複数の大学を設置する場合と、入ってございます。

【大森委員】 ありがとうございます。あと、連携をする大学の条件ですね。教職大学院が設けられているかということです。教員養成を主たる目的とする学科等が含まれていることを前提としてというのは賛成なんですけれども、ちょっとしつこく、この間もお返事を頂いたんですけれども、大学院ということまでを限定したときに、私立の大学院の方が多いんですよという御返事を頂戴したんですけれども、今回の目的としては、地域の中で取組をするというようなことをイメージしていたものですから、全国的には、数を調べると私学も多いということはあるかもしれませんけれども、地域の中で連携しようとしたときに、当該地域にそれがないのでできないというようなことがあり得るのですけど、例えば自分のところの群馬ですと、群馬大学さんにはあるけれども、あとはない。
そうしたときには、群馬大学さんに、皆さんよろしくねということになるのかなと思って、学部のみで教職課程を置いているようなところ同士もできるようにしておいた方が、目的達成にとってはより有効なんじゃないかなという気が、やっぱりしていますというところです。

【山口主査】 今の最後の点、いかがでしょうか。先ほど佐古先生がおっしゃったのは、地域という捉え方が、必ずしも今、大森先生がイメージされているものとは違う。もっと広い。だから、どっちも有りですよね、考え方としては。だから、その地域の特性に応じてやってくださいねということにしか多分、ならないような状況なんだと思って、ある特殊なケースをここに書き込んじゃうとそれに引きずられちゃうので、例示であっても、余りよくないかなと、そんな印象を持ちました。

【大森委員】 はい。特殊なケースを書き込んだ方がいいというよりも、より多くの地域でそれが可能になるように、広げておいた方がいいんじゃないかという意見です。

【山口主査】 いかがですか。よろしいですか。
最初の御指摘の、共同教育課程と共同で教職課程設置と2種類、両方使う大学も出るかもしれない。それは理論上可能なんですが、このところどころで書いてありますけど、最終的に質が保証されなくてはいけないので、教員をどう共有するかとか、その辺の条件はしっかり書いてあると思いますから、安易にはできないようになっているんだろうと、そういう解釈なのではないかと思いました。
ほかに御意見。どうぞお願いします、酒井先生。

【酒井委員】 ありがとうございます。この3点について、私は前の大学で、教職のセンターのセンター長をしていたもので、その観点で一つ、一番気になりますのが、専任教員の配置が案分で最低1名という条件になっているところで、センター運営をしていくときに、要するに、教職課程で各大学、1名の中で、どうやってやっていくんだろうという。教職課程は、各大学で3名ないし4名いる形になっていますので、ガイダンスですとか、教育実習指導ですとか、いろいろなトラブルのときの対応ですとか、そうしたことが成り立ってきたわけで、それが共同設置の形で、カリキュラム上はそれはできますけれども、実際の教職センターの教職課程の運営としましては、ある一定の人数が必要なのが実態だと思います。それを、ですから、案分で、なおかつ最低1名というところが、非常に私は気になっているところの一つです。
それから、佐古先生がおっしゃった、広域での共同開設の場合には、恐らく動画での遠隔教育になると思います。それで、遠隔教育とはどうやってやるんだろうというので、北海道の国立大学の7大学が、教育連携で動画で、これは動画配信のスタッフが非常にきちっとそろっているんですね。専門家がいて、そこをきちっと担保されているので、これがうまくいっている。ですから、広域といいますか、これを実現しようと思いますと、逆に、そういうスタッフを、ある程度条件として入れませんと、結局、何人かの素人の方があたふたやって、お粗末なものを作ってしまうということになりかねないというのが十分予想される。
それで基本的には、私は、大学間連携は、最初の理屈としましては、少数の実技系科目、技術で幾つかの科目が成り立たないから、大学間連携しなければいけないという理屈は分かるんですね。ですから、ある程度の設置の、どうしてもこれは必要なんだというところで抑えて、基本的には大学ごとにきちっとした指導体制でするのが望ましいと思いますので、余りこれを拡大していくような方向で書いていくと、最初の出だしと違ったところに展開していくのではないかと。
その7大学というのを拝見しまして、これはもっと広域の大学間連携が可能になる。そうすると私、高校の通信制ということに関心を持っていまして、通信制高校と同じような広域通信みたいな形の、全国でブランチが幾つもあるような形になってしまわないかなとか、いろいろそういうことを危惧しまして、十分な質保証の観点から、抑制的な運営ということが必要で、なおかつ要件も、ある程度、現実的な要件を持たせた方がいいのではないかというのを考えております。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。最も大きいのは、共同設置の対象とする教職課程の範囲の話を明確に御指摘されたんですが、これについては是非御意見を、ほかの方々にも頂きたいと思うんですが、今のですと、最初の問題設定の中の希少科目ですね。それに限定してはどうかという御意見だと思います。

【佐古委員】 用語は大丈夫でしょうか、希少科目という用語は。

【酒井委員】 それは分かりません。希少科目という用語は、ちょっと問題があるかもしれませんが……。

【山口主査】 済みません、私も使っちゃいました。
加治佐先生。

【加治佐委員】 前も申し上げたと思いますが、小学校、幼稚園については既に、教育課程の共同設置とありますので、これはこれで、学位プログラムと一致ということで、これは構わない。むしろこれも促進されるべきだと思います。
確かに、希少科目が一番当面の課題なわけですよね。これは、免許を出すところでどう保証するかということで、免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議も設けてやりましたので、その事情はよく分かります。ただ一方で、現行、非常にたくさんの教職課程があります。これがこれから明らかに、少子化の中で、余り機能しなくなるということが十分考えられるわけですね。
だから、せっかくできたその資源なり、機能なりを今後も生かしていくという観点からは、希少科目は当面の課題ですけど、いずれ主要教科といいますか、そういうものも間違いなく課題になってきますので、そうすると今の段階で、希少教科に限るということじゃなくて間口を広げておいた方が、後々対応はしやすいし、また、これから教職課程をどうこうしようかと思っている大学にとっても、準備ができていくのではないかという気はしますね。
あえてそういう意見も申し上げたいと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか、関連して。この件は極めて重要で……。
どうぞ、大森先生。

【大森委員】 今回、複数種類の免許状取得の要請というのを書いていただいて、これは昔から群馬に暮らしていると、よりその要請を強く感じているわけですけれども、そういうこともあって本学は、小学校教員養成課程も設置しなければというところでやってきた部分もございます。
ほかの地域の大学さんを見ていると、必ずしも小学校の課程を持っていないようなところでも、優秀な教員を育てていて、そういうところを、両方取れるようにしてあげることが、県教委にとっては非常に有益であるということもあって、それは免許種、教科に限られるものではないし、あるいは、今だけの話かもしれないですが、英語なんかは非常に求められているところであるので、技術とかそういうところだけに限定するというのは、せっかく大きな改正をしようとしているときに、ちょっともったいないのかなと。こういうチャンスというのはなかなか来るものじゃないのかなと思っています。

【山口主査】 ほかにございますか。
佐古先生。

【佐古委員】 二つの方向性が出ているようなんですけれども、大雑把な言い方になりますが、教職課程の共同化という方向で制度改正を進めるというのは、基本的にこのワーキンググループの合意事項だと思いますが、同時に、やっぱり質保証をどうしていくかは大きな問題だと思います。現状でも教員免許状取得者は、採用試験受験者を大きく上回っている。
これをどう考えるのかは単純ではないが、教職課程の在り方そのものがやはり問題ではないかとも考えられる。教職課程が教員養成に必ずしも結び付いていない現状を考えると、制度改正のスピードについても先ほど酒井委員がおっしゃったように、ある程度抑制的に考えながら展望するということも大事ではないかと思っています。
ですから、第1段階とすれば、そもそも当面どうしてもやらなければならないこととして、実技系科目を対象に実施し、その教職課程の共同設置の成否を踏まえながら拡大していくということでも、良いのではないかと思います。いきなり全ての教科へ展開した場合、現状の問題、つまり、免許取得者は確保できているが、教員になる者は少ないという状況をますます悪化させるようなことにならないのかなという不安も持ちますので、ここは少し段階的という発想も大事かなと思っています。

【山口主査】 いかがでしょうか。
坂越先生。

【坂越主査代理】 済みません、ちょっと休んだことがあったので、論議についていけていない部分があるのですが、基本的には、今ここでまとめてくださっている方向で、私も賛成です。
ただ、私学の状況とか、いろいろな説明をするときの理屈として、例えば、一方で教員養成を主たる目的とする学科が入っていなければいけない、他方で希少教科をやらなければいけないと言ったときに、一般的に開放制で、家庭科にしても、音楽、芸術にしても、中高免でやっているところが多いですよね。目的養成でやっているところは、基本的に小学校とかがあるので、音楽の担当者も、家庭の担当者もおられるわけですよね。
希少免を確保すると言いながら、組合せとしては必ず担保している学科がなければいけないという、このメッセージの出し方というのが、ちゃんと受け止めてもらえるのかどうなのかという不安を持っていて、済みません、雑駁に言ってしまうと、一般的な大学の期待は、開放制免許のところで、2人ずつの教職担当がいるところで、免許が出しやすいようにしてほしいみたいなこともあるのだろうと思うんですけど、そうではないんだという方向でいくという理解でいいですか。

【山口主査】 そこも、決まっていないといえば決まっていないですね。
長谷さん、何かお考えはありますか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 確かに、教員養成を主たる目的とする学科というのが、幼稚園、小学校をすなわち持っている学科ということになりまして、教職課程の範囲というところが、幼小は入るのか、中高の中でどこまでかという議論が一方であるわけでありますけれども、論点としてつながっているようでつながっていないところが、別々のものであるところがありまして、教員養成を主たる目的とする学科が一つは入るというのは、ちゃんと教員養成の体制が備わったところが一つ入る。そこが全体の質を落とさないように頑張るんだというところがありまして、そのときに、教員養成の体制というときに、今の課程認定基準の中でよりどころになるところとしましては、やはり学科の目的として、主たる目的とする学科というのが一つのよりどころなのかなということで御提案をさせていただいていたところでございます。
あとは、教職課程の範囲というところにつきましては、ここは、今回の新しい制度が入る一方で、既に共同の教育課程というものもありますので、その間の役割分担といいますか、考え方の整理が必要ではないかということで、論点として上げさせていただいたところでございます。

【山口主査】 そういう意味では、一気にフリーにするわけではなくて、ある意味、段階を踏んでいる、その第1段階的なイメージではあるんですよね。だから、その辺で……。
どうぞ。

【加治佐委員】 これも前に申し上げたと思うんですけれども、現実的にはそうなると思うんですよ。現実的に当面、必要に迫られているのは希少教科なので、そこから進むと思うんですよ。だから、結局、そういう歯止めをむしろしない方がいいということなんですよ。
一方では当然、一緒になるときに質保証はしなければいけませんけど、あえて歯止めというか、限定しておく必要があるのかということなんですよね。そこから進みますので、現実は。次の段階へ行ったときは、また主要教科となりますので、そこでもあれこれ議論するよりも、最初から開放にしていた方がいいだろうという意見なんですよね。それは考える幅が広がるということですね。あるいは準備もできる。

【山口主査】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。安部先生、いいですか。

【安部委員】 大丈夫です。

【山口主査】 どうぞ、北神先生。

【北神委員】 今の問題の一つは、配置される専任教員の数の問題にも影響してくるんだと思うんですね。課程認定基準で小学校を置く場合には、教職で何人、教科で何人で、中高は教科で何人、教職で何人、そこの部分が、一定数の数がきちんと担保されているという形が、正にそのカリキュラムの質保証の最低限の要件だと思います。
大学間連携をするということは、更にそこが充実しますよという話で持っていかないと無理なので、最低基準の数をどこまで上回るような形の中で、専任教員が配置される、それでカリキュラムの充実が図られるみたいなことを要件で入れていかないと、多分、ハードルが下がった状態で連携をすると、質の維持という部分が、かえって広域間連携による、フェース・ツー・フェースの授業じゃなくなるという部分の一つのネックとして、そういう問題のクリアができなくなるのではないかと思います。
そこら辺りも論点として、専任教員の、先ほど出た、最低1人でいいのかという部分と、課程認定基準上で配置されている数との整合性みたいな部分を、どう要件として入れ込めるのかどうか、その部分が一つ鍵かなという感じがします。

【山口主査】 ありがとうございます。ここで、数をどうだという議論をする必要はないんですが、少なくともそこに注意をしなくてはいけないということは明記すべきというのは、多分、皆さん一緒の話ですね。やれるようにはするけど、安易にはできないというか、質保証をしっかりしないとできませんよということが、基本的な考え方、方向性として示されていないといけないという整理ですね。
ということからすると、限定的に希少科目だけにあえてしなくてもいいのではないかと、私は個人的にも思いましたが、よろしいですかね、そういう姿勢、方向性で。
ほかに、大学間の話で、ありますか。
お願いします、添田先生。

【添田委員】 大変よく分かるようにまとめていただきまして、ありがとうございます。
一つ気になっているのは、特に希少教科がそうなんですけど、実技を伴うものが非常に多くございます。そうしますと、例えばここで、お一人とかいうのだと、実技をされるような方が全く自分のところにはいなくてというような開設の仕方もできるのかもしれないなという気もいたしますので、この間の群馬大学のお話を聞いていると、遠距離でされるということがありますので、授業の開設について、実技系のものについての開設の仕方というものについて、少し配慮が必要なのかなという気もしなくはないんですが、その辺はどのようにお考えなのかなというのが、少し気になるところではあるんですが。

【山口主査】 長谷さん、その辺はどう想定していましたか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 一つは、もともと大学設置基準が掛かってきますので、メディア授業をやる場合であっても、設置基準を満たした方法でなければならないというところで、最低限の大学としての質保証が掛かっているということが一つ。
それから、今、課程認定基準の中で、今回議論になっていないところなんですけれども、キャンパスが50キロを超えた場合には、一定数の専任教員がそれぞれのキャンパスにいないといけないという基準が掛かってきますので、遠隔授業をやらなければならないぐらいの距離になった場合に、恐らく、そちらの方で最低限の専任教員というのがまた入ってきますので、そことセットで考えると、ある程度の質を担保できる体制は残るのかなと考えられます。

【山口主査】 よろしいですか。

【添田委員】 はい。

【山口主査】 そういう規定があると私も知らなかった。50キロというのがあるんですね。
では、今の意見については、このままいけると思います。ほかにございますか。
酒井先生、どうぞ。

【酒井委員】 何度も申し上げて済みません。これも前回申し上げたことなんですけれども、群馬大と、要するに2大学での連携でしたが、動画の配信も双方向でできる。ですから、それが何大学も、「複数」ということが非常に大きな数になってきますと双方向授業にはならないわけで、動画で、遠隔でですね。
ですから、これもある程度少ない数、絵には4大学になっていますが、4大学で双方向で、これでもかなり厳しいと思います。これが限度ぐらいかなと自分の中では思っていまして、ですから、道内で7大学とはどうやっているんだろうとちょっと思っているんですが、とにかくそこら辺も、ある程度の抑制的な運用が必要ではないかと考えております。
済みません、追加で。

【山口主査】 要するに、遠隔講義をどう具体的にやるかというところで問題が出てきそうだと。ただ、具体的にどうしろという方法論は、ここでは規定できない、示せないので、そういう遠隔講義に対する工夫が相当程度必要であるというところですかね。

【酒井委員】 はい。

【山口主査】 どこか適切に書き込めるところがあれば、書き込んでおいた方がいいという皆さんの御意見かもしれません。
ほかにございますか。本図先生。

【本図委員】 やや細かなことなんですけど、共同設置をした場合、総単位数の4分の1まで共通開設が認められるとした、そこの理論的な整理なんですけど、佐古先生が明記してとおっしゃいましたけど、理論的には教職大学院も共同設置が可能といういうことに解釈可能だと思うんですね。
そうした場合、46単位の4分の1という考え方をするのか、4分の1と言ったときに、4年制の学部を想定して1学年分みたいなニュアンスもあるのか、そこを整理しておいた方がいいかなと思うんですけど、ちなみに、教職大学院の46単位の4分の1というと、12単位ぐらいになった場合、共通5領域の20単位の半分というような意味合いもあって、想定している学部での124単位掛ける4分の1ということと同じ論理でいいかどうか、そこを確認しておけるといいかなと思いました。

【山口主査】 現状の考え方ですよね、まず。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、共同教育課程の中で、学士課程とそれぞれの専門職大学院でまた基準が違っておりまして、学士課程の場合は、卒業に必要な単位数の4分の1である31単位で、教職大学院の場合につきましては、たしか7分の1ぐらいの単位数が設定されておりますので、そこはまた学位課程によって、あるいは学位の種類によって違っているというところでございます。

【本図委員】 そこの7分の1というのはどういう根拠なんですか。

【山口主査】 そこを聞きたいですね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 明確に7分の1、何単位というのが今、御説明できるわけではないんですけれども、専門職大学院の中でも教職大学院については、ほかの種類よりもこの単位数が軽減されておりまして、恐らく考え方としましては、実習が多いところでありますとかそういったところで、なかなか共同化に適さない部分があるということで、ほかの分野よりも低い単位数が設定されているんだろうと考えております。

【山口主査】 先ほど私も、この部分、佐古先生から御指摘があって、今のところ、本文中には例示として4分の1の部分しか書いていないけど、教職大学院7分の1も並列して、例示の一つとして併記するべきではないかという話だったんですが、今、本図先生が言ったように、4分の1、7分の1、そもそも何なのというのが、私もよく分からないですし、それだけ書くのも、余りいい気持ちはしないなと思っているのは事実ですけど、なかなか難しいでしょうね、説明が。現行の基準でそうなっている、それを準用する考え方もあるという書き方ですので。
どうぞ、お願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 考え方としての補足ですけれども、共同教育課程の場合は、共同で学位を出す。参加している大学の全ての名前で学位を出すということで、それには一定数の単位は、やはりそれぞれから取らないといけないという考え方で来ております。
そのときに、半分というか、いろいろな大学の組合せがあり得ますので、学士課程の場合には4分の1ということになってございます。あとは、学位の種類ですとか、専門分野に応じまして、若干そこから増減した単位が設定されているというところでございます。

【山口主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。この部分は、繰り返しになりますけど、教職大学院の7分の1も書き込んでおくということでよろしいですか。
加治佐先生、いいですか。心配ですか。

【加治佐委員】 いや、分からないんですよ。根拠が分からないんだから、分からない。ただ、何らかの歯止めが要るということですよね。

【山口主査】 それはそうですね。

【加治佐委員】 それは分かりました。ただ、具体的にどれぐらいとなると、ちょっと……。

【山口主査】 それはほかのところの議論で、ここではないんですけど、よろしいでしょうか。ほぼ、大学間で共同で教職課程を設置する場合の御意見は頂けたと思うんですが、よろしいですか。
では、後でまた戻っていただいてもよいかと思いますので、前半の方で少し論点を上げさせていただきます。
二つあります。教職の共通部分に関する科目、教員養成の状況に関する情報の公表の部分ですが、まず、7ページをもう一度お開きください。上のマル1のところで、教職の共通部分の科目の一番下の「このため」というところです。「共通化を認めるに当たっては、全学科等の学生に対する十分な教職指導が可能となるように専任教員数を確保する」、これが1点目の、ある意味、要件的なもの、それから、「自己点検・評価や情報の公表」、これを二つ目、いずれにしても、学生の学習環境の改善を図っていく。これを報告書案で具体的に書いているわけですが、これでいいかどうかということを御議論いただきたいです。
要するに、教職の共通部分は、学生がしっかり取れるようにしないと元も子もないでしょうという意味合いで、具体的に言うと、それを主たる目的とする学科は必修で置いているにもかかわらず、ほかの乗っかる学科は、かなり変な時間帯に設定しているのが現状だろう。そのときには、それを一本化、時間割1本できれば、それはそれでいいんですけど、そうならない場合に、先生はそれなりに必要ですというのが一つと、もう一つが、しっかりそういうことをやって、保証されているかどうか、それは情報発信で求めましょう、チェックしましょうという、二本立てで書かれているという理解です。
いかがでしょうか。特になければ、このままということでよろしいですか。
どうぞ。

【添田委員】 今、山口先生に御説明いただいたように、時間帯が非常に、6時間目、7時間目に置かれているという場合もあるかと思うんですが、例えば時間割が一本化された場合、履修人数が増えますね。そのこともここに考えていらっしゃるんだろうと思うんですが、そこは大変難しいところでして、同じタイトルの授業を何回も開かないといけなくなると、なかなかに大変なのかなという気もするんですが、履修環境の改善というのは、どれぐらいのことをお考えなのかといいますか、何かベースにお考えになるような、明らかな人数とかそういうものでなくても結構なんですけれども、どういうふうにお考えかということをお伺いします。

【山口主査】 まずは、例えばその科目、1クラス何人という情報は開示しなさいというのが、二つ目のポイントなんですね。ただ、そのときにどのぐらいが許容範囲か。

【添田委員】 ガイドラインを後で作られるわけですよね。そのときに、そこに人数とかがある程度明記されるのかどうかということも含んで、教えていただければと思います。

【山口主査】 お願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 ここは、正にこの後、ガイドライン等の中で明確になっていくんだろうと思うんですけれども、一つは、御指摘がありましたように、ちゃんと学生が履修できるような時間帯に開講するですとか、それから、教職に関する科目を、これ以外にもたくさん受講している、きめ細かな教職指導を受けている教員養成系の学生と、選択科目でこれしか取っていない一般学部の学生とでは当然、教職指導の密度も違いますので、そこはちゃんと配慮した指導をしていくようなことであります。そういったことが必要になるんだろうと思います。
クラスサイズそのものは、大学の中で、これが適当なクラスサイズとは決めにくいところがございますので、ガイドラインで人数を決めるというのはなかなか難しいんだろうと思いますけれども、そこはある程度、情報を開示していくですとか、実地視察の中で見ていくとか、そういった形で見ていくのかなと思っております。

【山口主査】 結局、この部分も、自己点検・評価とか、第三者評価とか、そういうことに関わる話であるはずですね。
ほかにいかがでしょうか、この点。
どうぞ、安部先生。

【安部委員】 今のお話に関連して、先ほどもちょっとありましたけれども、従来から教職は取得しても教員採用試験を受けない学生がいるというような状況の中でも、教職になりたい、なる気持ちの高揚には、教職科目と、それから、教職担当教員から指導を受けた教育実習がかなり影響するのではないかなと思います。現行の教職は取ってもなかなか教員になろうとはしないということを是正するのであれば、教職科目の共通部分の専任の先生の充実や連携でやる場合には教職センターというところの充実というのが図られないと、教員養成の改善というのはできないと思います。
教員の将来的需要の関係で共同の教職課程を構想する必要があるという、具体的な現場のニーズ、つまり、教職人材の将来的な展望、教員数の動向に応じた改革という趣旨だと思うのですが、教員になる人の質を高めるということのポイントには、やっぱり教職科目の充実というのを図るべきではないかなという気がします。
特に中・高の各教科の科目は、幼稚園・小学校の教職課程は、教員養成が主たる目的のため、教職課程そのものとして充実していますが、どうも中・高の教職課程は、教科専門科目プラス教職科目という形で、教職課目が少し引かれている傾向が今でもあるのではないかと思っています。教職課目の位置づけがますます低下してくると、教員になりたい人が少なくなるのではないかなという危機感を持つところでございます。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございます。今の御指摘はある意味、全学的に教職課程を実施する組織体制、センターなり何なりで、その辺がしっかりやれば済むという理解でいいですね。

【安部委員】 そうですね。共同教育課程みたいな中でですね。

【山口主査】 それは今回、義務化にする方向性を示していますので、多分、そこの話に絡むのかなと思いましたが……。
どうぞ。

【加治佐委員】 ただ、もう一つは、「このため」のところにありますように、共通化を認めるに当たっては、全学科の学生に対して十分な教職指導が可能となる専任教員数の確保、こういう文言がはっきり書かれているわけですね。要するに、これを新たな基準とするかどうかということですよね。そこがポイントですよね。
それは、全学的な教職センターを設けて、そこでの努力に任せるのか、それとも、一定の下限、そういうものを教職課程について新たに定めるのかということになるんだと思うんですけれども、そこで大きく変わってくるんだと思うんですね。

【山口主査】 おっしゃるとおりですね。その辺、いかがでしょうか。なかなか数を規定されるとやりにくくなるというのは、正直なところはあるんですけど、いかがでしょうか。
いずれにしても、ここではそこまで多分、書き込めないんだと思うんですが、飽くまでここの、専任教員数を確保するということが必要であると明記するにとどまるんだと思いますが、その精神はどうなんだというところだと思いますが、何か御発言ございますか。
なければ、そういう御意見があったということで、この部分を生かしていく方向で考えたいと思いますが。
酒井先生、どうぞ。

【酒井委員】 きょうは何度も申し上げて済みません。今のところで、要するに、幼稚園、小学校は目的養成でやっている。中高は開放制でやっている。そこを、教職科目については共同化することになるということなんですが、どういうことが起きるかということをちょっと想像しながら考えているんですが、現在は、目的養成ですので、例えば教育学科、あるいは児童教育学科、幼児何とか学科で、ほとんど閉鎖で同じメンバーで、要するに、そのメンバーで授業をずっと受けているんですね、ほとんどのところが。
ですから、ある種の学習集団ができ、そこで意識が高まり、そこに開放制の部分の学生がもし大量におりますと、その学生がたくさん入ってきて、学習集団が崩壊するといいますか、薄まるわけですね。それで、開放制の学生は、免許を取ればいいぐらいの学生も、今の状況ではかなりおりまして、そうしますと、モチベーションがなかなか維持できない。
ですから、開放制の学生の中で、非常に動機付けの高い学生だけが教職を取るという仕組みになれば、もちろんこれはうまく機能すると思うんですが、要するに目的養成のところの質が、この仕組みによって低下してしまわないかというのが一つ。
それから、共同化しますと、先ほどのお話で、6時間目、7時間目ですね。そうすると、幼児教育学科や教育学科の学生は、必修科目が全部、6時間目、7時間目に毎日入っているというような形になるということも、物理的には予想されますね。
そういういろいろな、今は目的養成と開放制を完全にカリキュラムを分けていますので、それぞれがそれぞれで運用しているんですが、それを共同化するといろいろなことが生じてくる。それが質の保証になるのかというのが非常に危惧されるところです。
以上です。

【山口主査】 具体的な例だと思います。御指摘のとおりではないかと思いますが。
どうぞ。

【加治佐委員】 おっしゃることはよく分かります。というか、ずっとそういう問題があるわけですよね。目的養成と開放制の問題ということですね。本来なら目的養成、全てクローズドに、私は個人的にはすべきだと思っていますけど、それはともかく、現実的ではありませんので、ここで言っていることは、それこそずっとこれまであった、その問題ですよね。
その問題を、科目を共通化することによって、むしろ開放制の学生の部分も、モチベーションを上げるとか、意識を高めるとか、そういうことまでしましょうということを意味しているのではないかと思うんですよ。

【酒井委員】 ええ。そう機能して、もちろん。

【加治佐委員】 そのために、だから、教職センターを置くとか、先ほど出ていました、しっかりした十分な教員数を確保するとか、カリキュラムの充実、あるいは時間割の工夫ですよね。先ほど人数の問題も出ましたけど、そういうことをしなければいけないということを多分、ここでは言いたいのではないかと思うんですけどね。
ただ、そのことが十分表現されているかどうかはちょっと分かりませんが、何らかそういうことを書き加えられてもいいかもしれないですね。

【山口主査】 分かりました。要は、今は専任教員数の確保と情報の公表だけしか書かれていませんから、今の御指摘は若干違いますので、クラスの質保証みたいな話ですよね。クラスのと言ったらいいのか。

【酒井委員】 はい。授業ですね。

【山口主査】 だから、もう一言書けるんだったら、書いておいていい話ですかね。よろしいですか。書き方は難しいのかもしれませんが、そういう御意見で整理させていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、この部分、もう一つあって、教科の指導法と教育実習の話があります。これも、7ページの一番下のところです。例示で書かれています。
小中の場合、「義務教育の9年間を通じた内容を網羅するカリキュラムを構成し、教育実習や各教科の指導法の一部について科目を共通にして、両方の免許状を取得するための教職課程を置くようにすることも考えられる」、飽くまでこれも例示ですが、これは例示というよりも、ある意味提案になっていますが、それでいいかどうかということについて、御意見を頂ければと思います。
小中一貫のカリキュラムなわけですね。よろしいですか。私自身はよく分かっていないので、何とも言えないんですが、どうなっちゃうのかなというのがよく分からないんですけど。

【酒井委員】 中学校にして、中高でやってほしいね。

【山口主査】 それをしないと、教育実習、共通化できないよねとか、いろいろあるという話なんですよね。
どうぞ。

【大森委員】 実際、具体的にどうするのか、シラバスがどうなるのかとか、ちょっと分からないんですけど、現実問題としては、中学校の採用試験を受けて、初任が小学校みたいなことがあるわけで、そうすると卒業生から、先生、どう
やって教えたらいいんですかねみたいに聞かれたりします。教わっていないわけですから。
だから、本当はこの方が、私は理想的だと思うけど、15回のシラバスの中で、どのぐらい、深さも含めて担保できるのかというのは、まだイメージが湧かないですけど、こうなっていくことの方が、現場としてはいいんだろうなと思っています。

【山口主査】 そうなんですね。
加治佐先生、お願いします。

【加治佐委員】 こういうことが現実的に非常に必要になっているということだと思います。幼小と中高で免許が完全に分かれているし、学位プログラムと教科専門、要するに幼少と中高で全く免許が違うんだということ、これはずっとあるわけですよね。この原理は今も生きているわけで、それもあって、小中を併せる免許というのが、義務教育学校の免許みたいなものがこれまでも提案されたことがありますけど、結局、実現していないわけですよね。だから、その理由はよく分かります。
一方で、ここにまさしく書いてあるように、こういう必要性が非常に高くなってきた。特に教科担任制の本格導入ということで。現実的に小中の免許は残さなければいけない。だけど、小中の両方免許を持った教員でないと困るんだということですので、現実的な解決策としては、これが一番だと思います。
ただ、今後、ちょっと大きな作業になるのかなと思いますね。この提案の中で一番大きい。今後、教員養成部会で中身を詰めていくということなので、是非、いろいろ御意見を聞かせていただければと思います。

【山口主査】 どうぞ、坂越先生。

【坂越主査代理】 基本的には加治佐先生の意見に賛成なのですが、やっぱり将来的なことを含めて考えながら、小学校の教科担任制とか、それから、義務教育免許というような免許制度の仕組みをまずしっかり考えて、それではどうしようかという話になるのかなと。
例えば、課程認定的なことでずっと考えて動いてきた方向で言うと、とりわけ中高の教科指導法というのは手厚くしようよという形で、単位数を増やしましたよね。そんな形で、しっかり中高で教え方をやりますよと。また、小学校は各教科でというのは、やっぱり先生が言われるように、考え方がかなり違う部分があるので、そこのところを、新しい免許の中で何が必要かということを改めて考える、そんな方向かなと。

【山口主査】 ほかにございませんか。
本図先生。

【本図委員】 今お話がありました各教科の指導法のところも、少し工夫もできるし、併せて教職の科目のところも、コアを少し見直していく中で、例えば、「生徒指導の理論及び方法」なんてあるんですけど、ここで、小学校の発達段階も中学校の発達段階も、今までの、どちらかというと、ほわっとしていましたけど、あるいは、教育の方法と技術みたいなところも、小をちゃんと意識した部分と、中を意識した部分と、でも、両方を横断する部分とというようなことを見直していくことによって、少し工夫はしていけるのかなと思っております。

【山口主査】 ありがとうございます。
添田先生。

【添田委員】 実際に私どもの方は、僻地が多いものですから、小中両方のということが多いので、カリキュラム改革をしましたときに、小中連携プログラムというのを引いて、小学校と中学校の教科で、例えば音楽とかで、小学校と中学校で違うけれども、同じようなものをするというようなもので、でも、指導の仕方が全く違うというようなことがありますので、そういったものについて、どう違うのかということとどう共通なのかというようなことを、特に取り上げたような科目を新設して、幾つか作っているんですね。
そういうものを受けて、学生たちは、なるほどよく分かったということなんですが、ただ、そういうものを一生懸命、実験的に作るんですが、なかなかそれが課程認定の科目としては、既存の中に入っていかない部分もあったりしまして、なかなかちょっと、今のが、制度は制度としてしっかりあるのは大事なんですけれども、新しい試みをしたときに認めてもらえないので、認めてもらえないかどうか分かりませんが、今後、出していけば認めていただけるのかもしれないんですけど、これまでのところ、範疇に入らないという感じだったんですね。
なので、枠外になってしまって、学生がたくさん単位を取らないといけなくなってしまうということもあったので、今後、こういう形で、9年を網羅したカリキュラムを作るには、実験的にいろいろ大学さんがされていくと思うんですけれども、そういったものを広く認めていていただくと、やりいいのかなと思っております。

【山口主査】 ありがとうございました。よろしいですか。
どうぞ、森山先生。

【森山委員】 先ほどからの議論で、制度上の改正等は今後必要になろうかと思いますが、この文言のように、現実的な状況に対応したのであれば、7ページの下から4行、あるいは、先ほどの議論も同じだと思います。マル1の教職の共通部分の開設のところも、いわゆる開放制と目的養成のところで、ある程度の隔たりがある。その現状について、少しでもいい方向に行くという文言であるならば、先ほどの議論も、そして、マル2のところも、現実的な状況に対応した方向として示したということで、このような文言でよろしいのではないかと思います。

【山口主査】 ありがとうございました。先ほどの添田先生の御指摘は、制度改正等がないと、これは現実問題、難しいよという御指摘なんだと思いますが、それは全てに関わりますよね。いろいろなことをやろうとすれば、制度を改正しなくてはいけない。それが前提で、この方向性をワーキングとしてはまとめているということなんだと思います。この部分については、具体的に先ほどのような話がありますということと理解すればいいと思います。
ほかにございますか。
では、この部分、特にないようでしたら、最初に私が論点を5つ上げた、それについては一通り御意見を頂けましたので、残りの時間は、全体にわたってお気付きの点があれば、どこでも結構ですので、御意見を頂ければ大変有り難いです。
本図先生。

【本図委員】 ありがとうございます。「はじめに」のところなんですけれども、長谷さんがまとめてくださって、コンパクトで簡潔なんですけれども、もうちょっと危機意識がありまして、今の議論にもありましたように、開放制と目的養成、その背景には絶対的な少子高齢化があって、だけど、本当に教職をどうしていくのかという社会の要請に応えて、でも、それが、国立だけができればいいとか、じゃない、私学もきちんと含めてでも質保証もという、国民的な理解も得られながらという、その大きなところがあって、ポンチ絵でも、これまでの答申からすると、こういう問題意識ときれいに積み上げていただいているんですけれども、ただ、これを単体と見たときに、もう少し本質的な課題があって、その上で、今回はこういうところに論点を絞って、しかも、割と可視化できるところとしての学科間・大学間の連携というところであって、まだまだ、先ほど大森先生のお話にありましたように、本質的にいろいろ変えていくところについては制度改正も必要だから、ここでは検討していってくださいということであって、今回、かなり形が見えたものは、こういうふうにまとめていますよ、その背景には、本当にきちんと考えていかなければいけない問題があるんだというニュアンスがもうちょっと、「はじめに」に出るといいなと思っておりました。
【山口主査】 十分思いは伝わった、分かりましたので、どう書くかは難しい。
長谷さん、何かありますか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 全体的に記述を簡潔にする観点から、御指摘いただいたような過去の答申等も全部、参考の方に落としてしまいましたので、ちょっと工夫してみます。
あとは、基本的な方向性のところで、三つぐらいの社会的な背景というのも入れておりますので、そこも踏まえながら考えてみたいと思います。

【山口主査】 そうですよね。2の基本的な方向性の方には比較的、現状の問題点が列記されてきて、そこの中もありますね、確かに。では、是非工夫しましょう。
ほかにございますか。添田先生。

【添田委員】 この間ずっと質保証というところが非常に気になっておりまして、幾つか規則を緩めていただいているところがあるんですけれども、質保証について、どれぐらいきっちりとするのかということで、一つは、実地視察というのがここで上げられているんですけれども、共同により設置する教育課程については定期的に実地視察を行うという形なのですが、既に設置しているものとかそういったものに関しては、実地視察というのはなさらないおつもりなのかとか、どれぐらいの実地視察を実際に、お忙しいですから、可能なのかということですね。
もう1点は、ガイドラインなんですけれども、細かい数字とかを決められると大変苦しいので、それはあれなんですけれども、でも、ガイドラインがどれぐらいきっちりとした質保証につながるのかということは、非常に大事なことだと思っておりますので、ガイドラインをどういう形でお作りになろうとされているのかという辺りのことをお聞かせいただけると。よろしくお願いいたします。

【山口主査】 では、長谷室長。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、実地視察につきましては、これまでも年間30校程度、行っておりまして、過去2年ぐらいは、再課程認定の関係で少しペースは落ちておりましたけれども、今年度以降は、そこはまた同じぐらいのペースに戻していきたいと思っておりますので、共同設置する部分については定期的に行くんですけれども、それ以外のところについては、ちゃんと計画的にやっていくということで考えております。
ガイドラインにつきましては、今のところで、具体的にこういう手順でということは、まだ申し上げられるほど準備が進んでおらないんですけれども、この会議が閉じられた後で、また改めて、ガイドラインにつきましても、有識者の先生方、専門家の先生方に御意見を聞きながら、まとめていきたいと考えております。

【山口主査】 ありがとうございました。もう一つ大きなのは、今回、基準を少し緩めることに関連して、義務化とか、いろいろな項目が出ているけど、今、走っているのはどうなんだという話は、絶対あるんでしょうね。だから、その辺の、これの位置付けみたいなものは重要になってくるようにも思いましたので、そういう御指摘だと理解しました。
ほかにございますか。北神先生。

【北神委員】 この素案の中にも幾つか出てくるんですが、一つは、大学分科会の審議状況が、例えば12ページのところでは、授業科目の共同開設制度が現在、大学分科会で審議が行われているとか、13ページには、共同開設が可能な単位数も今、分科会の方で検討されていると。この辺りが、例えば最終のまとめを出す時期には、ある程度確定されたものが出て、ここに反映されるという理解でいいのかというのが1点と、もう一つ、中教審の方で、小学校の教科専門制、教科担任制を入れる。それを引き受ける形で、養成部会の方がその部分で具体的な審議を始める。そこの養成部会に掛かる内容とここで出てくる部分が、不整合が発生しないという理解で大丈夫なのかどうか、その辺り、事務局としての見通しをお伺いできればと思うんですが。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、大学分科会との関係でございます。こちらの方は、高等教育局とも連絡を取りながら、日程調整もしておりますので、もう少し制度設計が見えないと、最終的なこちらの制度も決まらないところがございますので、それを踏まえた上で、最終的な規則改正、それから、基準の改正というところをやっていきたいと考えております。
それから、養成部会との関係でございます。正に12月の初等中等教育分科会で、論点取りまとめが出されまして、教科担任制を小学校高学年にも本格的に入れていく。それを実施するために、小学校と中学校をもう少し行き来しやすくなるような配置の在り方、免許制度の在り方というのを、これから養成部会で検討していくということになっておりますので、今回の報告の基本的な方向性の中でも入れましたように、小学校、中学校の両方の免許の併有を促進するという方向性自体は変わらないと考えておりますので、同じ方向性に沿って、養成部会でも、こちらのワーキングでも御議論いただいたと考えております。

【北神委員】 ありがとうございます。

【山口主査】 最後にあるんでしょうけれども、スケジュール的には、2月にもう一回、最後の回をやって、そこで基本的には取りまとめになりますから、そのときまでのほかのところの動きによって、若干文言が変わる。でも、若干でしかあり得ないと想像しますが、そうですよね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 はい。

【山口主査】 そんな状況だと思います。御指摘ありがとうございます。
ほかにございますか。佐古先生。

【佐古委員】 私も、質保証の体制について気になるところがあるんですけれども、14ページから、教職課程の質保証及び向上に関する仕組みということが書かれていて、1番目に、「全学的に教職課程を実施する組織体制」という見出しで書かれています。
私は単科におりますので、事情が分からないところもあるんですけれども、今回、このワーキングで話してきたように、様々な学科等の間で、教職関係の科目が相互に利用可能になることは、今の社会的要請に対応するという点ではいいと思うんですけれども、一方では、その結果、教職課程の体系性をどう担保するかが大きな問題になると思います。例えば理学部のある科目を、教職課程として活用した場合、仮に理学部のその先生が転出した後、どういう人を採用するかということになったときに、理学部の専門しか分からない人が来て、教職課程について無関心ということになってしまうと、教職課程の体系性や質保証が非常に難しくなるということがあると思われます。共同化に伴う教職課程の一貫性、体系性を考えると、この「全学的に教職課程を実施する組織体制」は非常に重要な意味を持つと思っています。
ただし、ここで書かれているのは若干、教職課程の実施ということに力点が置かれているような印象を持ちました。むしろ教職課程の企画、実施、評価という、一連の教職課程マネジメントをきちんと行うこととして明記すべきではないかと思います。そのような役割を担う組織体制を大学に位置付けていただくことを義務化すべきではないかと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。それは文言を加えていただければ。必要だと思いますので、是非その方向で考えたいと思います。
ほかにございますか。酒井先生。

【酒井委員】 今、7ページの各教科の指導法、実習というところ、一つ御配慮いただきたいということなんですが、こちらで、全体の動きとして、小中一貫で、義務教育で9年間のカリキュラムで、そういう形で指導していこうということは、もちろんそれは非常によく分かります。非常に大事なことだと思うんですが、そうしますと、現状、左側の表を見ていただきますと、閉鎖制で、どちらかというと、幼稚園と小学校がセットのところが多いんですね。それが今、小学校と中学校がセットという考え方にシフトしてきている。
そうすると、幼稚園はどうなるのかというのが、実は、どこかで配慮する必要があると思っておりまして、ですから、まず、幼稚園と小学校の連携というところでの、例えばカリキュラムの中で、そこの重要性をきちっと押さえておくですとか、それから、どこかで幼稚園教員の教職課程の質保証について、実はこの中で、ほとんど何も言及されないという形になっておりまして、今の動向としましては、そこのところが、どちらかというと看過されがちなところがあるので、そこをちょっと御配慮いただきたいということです。
以上です。

【山口主査】 いかがですか、今の点は。ほかの方、よろしいですか。
基本的にどう考えていたんでしたか、この部分は。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 そこは正に、幼、小、中、高という四つの学校段階がある中で、いろいろな連携の組合せ方があると思っておりまして、現状で幼稚園、小学校、それから中学校、高校、それから、教員養成系では、運用の中で、小学校と中学校というのを今、努力してやっていただいている。その連携の仕方、組合せがいろいろありますので、そこは、免許としてそれぞれに存在しているという意味は、正にそこにあるんだろうと私自身は考えております。
その中で、大学の養成の目的に応じて、そこの間の連携の仕方というのを考えていただいておりますので、ただ、その中で今、小学校と中学校のところが、なかなか制度的には連携しにくい部分がありますので、そこに一つ、制度的に弾力化を入れていこうというところでございます。
正に酒井先生御指摘のところは、幼稚園、小学校の連携の部分が、実はこの4月の教職課程の改正の中で、教科専門の部分が幼稚園と小学校で別々になっておりますので、そこが、幼少の単位が取りにくくなっていることは確かにございます。そこは、施行規則の施行通知のときにも、幼少連携を意識したような科目をちゃんと入れてほしいということを申し上げてきておりますので、幼少の連携をどうしていくかというのは、また別途の政策課題として考えないといけない点だと考えております。

【山口主査】 ありがとうございました。
どうぞ、坂越先生。

【坂越主査代理】 屋上屋を架すようなお願いなのですが、14ページに一言だけ単語を入れていただきたいところがございます。14ページの4の大学間での共同の教学のところの2段落目に、「大学間で教職課程を共同で設置する場合には、共同授業の実施以外に、教職課程の」、ここに、「体系的な教職課程のカリキュラム」というのを是非入れていただきたい。ごめんなさい、表現が良くないかもしれませんが、「持ち寄り」ではなくて、きちっと一貫したものを入れていただきたいというお願いです。
ちょっとここから、不規則発言になったらお許しください。
関係する地域で、今のこういう状況を少し話してくれと頼まれて、しゃべったのですが、その中で、ある参加者から、これは設置する課程として、きちっとした仕組みを作ろうということで、それは分かる。他方、これを受けようとする学生の側から見たら、今の学生の単位の取り方として、ある大学で、この単位を聴講生で取ってきて、自分の大学でこの単位を取って、いろんなところを集めて、自己申請すれば現在でも小学校の免許が取れちゃうよという意見をいただきました。
自己申請の数はそれほど多くないにしても、やっぱりそこで体系性というか、きちっとしたものでちゃんと完成形に持っていくということに欠ける場合があるという指摘があったので、共同設置の場合も十分留意する必要があると感じました。

【山口主査】 それは、先ほど御指摘のあった、全学的な組織体制のところで、マネジメントとか、企画とか、そういう言葉があった、そこでのカバーになるんですかね、恐らく。
どうぞ。

【佐古委員】 それは若干違ったところがあるかと思います。ただし、今おっしゃったことは非常に重要なことで、これは全体に、大学間だけではなくて、今回のワーキングの方向性に関わる大きな問題点を指摘されたと思います。つまり、教職課程でこれとこれとこれとこれを組み合わせて取れば教員免許が取得できますという状況になってしまったときに、一体、教職課程の体系性、一貫性をいかにして担保すべきか、ということです。
基本的には、教職課程として教員を養成するという目的というか、そういう機能を持とうとする組織については、ある程度の専任教員を必要とすることを前提としないと成り立たないことを明確にすべきだと思います。他の大学の単位を積み上げるというか、他大学の単位を組み合わせて教職課程が成り立つような状態になるのは問題があるのではないかと思っています。
この点から、共同設置をする大学に置くべき教職課程の専任教員数を、最低1人と例示してありますが、それでは十分ではないのではないかと思います。例えば取得する免許状に求められる専任教員数の二分の一なり三分の一なりの教員が配置されていることが必要ではないかと思います。この点は質の担保という観点からも示すべきではないかと思います。

【山口主査】 直接は関係しないかもしれませんけど、学位プログラムというのは、正に寄せ集めなんですよね、ある意味では。教員がいろいろなところから出っ張っていって、一つの新しい学問の分野で教える。だから、それも同じような問題を抱えるんですけど、それの学位プログラムを認定するときには、それこそ体系性なのか何か分かりませんけど、学生に対して明確に示さないといけない。それは大前提ではないかという気はするんですね。
問題として起こり得るというのは十分分かるんですけど、それが担保できなければ、そんなの認めないよというぐらいの話なのではないかと思うんですけどね、共同でやる場合も。
だから、それは問題点としてここで話題になったということは、是非記録にとどめたいと思うものの、報告書内にはあえて書かなくてもいいかなという気はします。
ほかにございますか。どうぞ。

【北神委員】 今の教職課程の体系性の担保に関する一つの落としどころは、教職課程の履修指導を充実させるという部分の中に、例えば、モデルカリキュラムを提示するということで対応できるのではないかと思います。共同で作った場合には、こういうモデルカリキュラムで免許を取っていくんですみたいなことが、どこまで書き込むかとか義務化するかは別にして、そういう履修指導を求めていかないと、学生の自由裁量でつまみ食い的に取れば免許が下りちゃうという形は避けていきたいと思います。
実際に、課程認定とか実地視察でも、そういう部分が不備な大学は、必ず指導して帰ってきますので、きちんとモデルカリキュラムを示して、それで履修指導してくださいとお願いをしたような経緯もあるので、そこら辺りは一つ現実的な話になるかなと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
ほかにございますか。大森先生。

【大森委員】 書きぶりのところ、ちょっと情緒的なことなんですけれども、連携の教職課程を設置する学科の要件で、教員養成を主たる目的とする学科等があることというのは賛成なんですけれども、そのときに、それがない、つまり、体制が充実、ありていに言うと、開放制のところは充実していないでしょうと開放制の人たちに聞こえる感じがちょっとしました。
開放制でも相当に一生懸命やっています。うちは両方持っているんですけれども、教職の科目も時間割のど真ん中に入れているし、私も開放制の方の教員ですけど、この間、青森の教育実習も行って、校長先生と一緒に学生を指導して、研究授業もやってということを一生懸命やっているのに、あんたたちは体制がなっていないでしょうみたいに言われると、もういいよみたいな話にもなるので、でも、やっぱり主たる目的とする学科等があるというのは大事だと思うので、そこが、何というか、全国の開放制で、十分じゃないところもあることは重々承知ですけれども、でも、頑張っているところもあるので、そういうところの思いがそがれないような、あんたたち駄目だからこうだ、じゃなくて、何かが欲しいなと感じました。
以上です。

【山口主査】 気持ちは十分分かります。具体的に言うと、12ページの下から2行目ですよね。「教員養成の体制が充実している組織が一つ以上は」という、表現の仕方を変えられるのであれば、是非工夫ください。ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしいですか。ほぼ時間もちょうどいい時間になってきたんですが、先ほどありましたように、次回もありますし、それまでの間に、後で申し上げますけど、御意見を頂くことになりますけれども、特に今、御発言なければ、きょうの審議はこれまでとさせていただきます。
今ちょっと申し上げました、お持ち帰りいただいて、再度お読みいただくこともあり得るかもしれません。この後、お気付きになったことと御意見、御質問等があれば、是非メールにて事務局まで御連絡いただければ有り難いです。
事務局においては、きょうの議論、あるいはその後のメールでの御意見等を踏まえて、修正をお願いしたいと思っています。次回の会議では、それらの修正を踏まえ、再度、本ワーキンググループのまとめについて御議論を頂く予定であります。それをもって報告書としてまとめていきたいというところです。
今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。

【尾白教育人材政策課専門官】 今後のスケジュールにつきまして、まずは、主査から今お話を頂きました、メールでの御意見につきましては、年明けの1月14日、火曜日までに御連絡を頂きますようお願いいたします。
それから、今後の日程等につきましては、資料2にございます。次回第8回、最終回を予定しておりますが、これは来年2月の開催を予定しております。日時、場所につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
また、第8回の後、その後の予定としましては、教員養成部会にまとめを報告、それから、このまとめを受けました、教育職員免許法施行規則改正案、それから、教職課程認定基準の改正案のパブリックコメントを実施、その後、教育職員免許法施行規則及び教職課程認定基準を改正という予定でございます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。
それでは、本日の会議は以上で閉会したいと思います。活発な御討論、ありがとうございました。以上で終わりにします。

── 了 ──

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