教員養成部会 教職課程の基準に関するワーキンググループ(第6回)議事録

1.日時

令和元年10月31日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館13階13F1~3会議室

3.議題

  1. 大学間の連携・協力により教職課程を設置する仕組み
  2. その他

4.出席者

委員

坂越正樹主査代理、安部恵美子委員、大森昭生委員、北上正行委員、酒井朗委員、佐古秀一委員、添田久美子委員、本図愛実委員、森山賢一委員

(発表者)窪田群馬大学理事、齋藤群馬大学教育学部長、藤井宇都宮大学理事、伊東宇都宮大学教育学部副学部長

文部科学省

浅田総合教育政策局長、平野大臣官房審議官、柳澤教育人材政策課長、長谷教員免許企画室長、高田教員養成企画室長 ほか

5.議事録

【坂越主査代理】 皆様こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の教職課程の基準に関するワーキンググループ6回目になります、を開催させていただきます。
本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
今日は山口主査が御都合ということで、代理で私の方が進行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、共同教育課程として、来年度に共同教育学部を設置予定されていらっしゃいます群馬大学と宇都宮大学の先生方にも御出席を頂いていますので、最初に御紹介させていただきます。
国立大学法人群馬大学、窪田健二研究担当理事でいらっしゃいます。

【窪田群馬大学理事】 窪田です。よろしくお願いします。

【坂越主査代理】 同じく齋藤周教育学部長でいらっしゃいます。

【齋藤群馬大学教育学部長】 齋藤です。よろしくお願いします。

【坂越主査代理】 国立大学法人宇都宮大学からは、藤井佐知子評価・社会連携担当理事でいらっしゃいます。

【藤井宇都宮大学理事】 藤井です。よろしくお願いいたします。

【坂越主査代理】 同じく伊東明彦教育学部副学部長でいらっしゃいます。

【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 伊東です。よろしくお願いいたします。

【坂越主査代理】 どうぞきょうはよろしくお願いいたします。
それでは、最初に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。

【尾白教育人材政策課専門官】 資料の確認をさせていただきます。お手元の端末に、本日の会議資料でございます議事次第、議事次第に記載の資料1から3まで、また、参考資料の1から4までが表示されております。
また、端末のデスクトップには、前回までのワーキングの会議資料を格納したフォルダもございます。
このほか、基礎資料としまして、教職課程認定申請の手引きの冊子を机上に用意しております。
それから、座席表と、あと、加えまして、この後御発表いただきます群馬大学、宇都宮大学さんの参考資料として、大学ジャーナルの抜粋(令和元年5月10日付けNo.134、4ページから5ページまで)を配らせていただいております。
御不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。
以上です。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
では、まず、議事の1ということになりますけれども、群馬大学、宇都宮大学の先生方から、共同教育学部の取組について御説明を頂きたいと思います。
その後、事務局の方から論点例について説明を頂いて、さらに委員、御参加の皆様から自由に御意見を頂ければというふうに思っています。
では、議事の1ということで、教職課程、共同課程を設置する仕組みということで、群馬大学、宇都宮大学の先生の方から資料を使って御説明をお願いいたします。

【藤井宇都宮大学理事】 よろしくお願いいたします。このたびはこのような機会を設けていただきまして、本当にありがとうございます。着座にて失礼させていただきます。
私ども、共同教育課程ということで、御承知のように、お互い31単位を取り合うという非常にハードルの高い仕組みに取り組みました。当初なかなか大変だなと思っていたんですけれども、全国で初めての試みであるということで、文科省の方からも応援、エールを頂きながら一生懸命作ってまいりました。
率直な感想は、非常に大変であるけれども、かなり質の高いカリキュラムを作ることができたと思っています。その話は、この後させていただきたいと思うんですけれども、やはり教員免許の質というか、教員養成教育の質を今後ますます高めていかなければいけないという中での連携・協力であるということで、お互いの強みや特色を生かして、いかにカリキュラムを深く、また、豊かなものにしていくかということがテーマだと思っておりましたので、そこのところを是非聞いていただいて、今後の参考にしていただければありがたいと思います。
それでは、私の方から簡単に概要について質問します。1枚お開けいただきまして、レジュメの2ページをごらんください。経緯です。お手元の大学ジャーナルにもあるので、後でお読みいただけるといいんですけれども、もともと両大学の学長から、このままでは教育学部は単独では弱体化していく。10年はもつけれども、それ以降は厳しいんじゃないかということが話題に上がって、何か連携・協力していこうというところから始まりました。
その際のモデルになったのが、共同獣医学部でございます。共同獣医学部は非常に規模が小さいものですから、割と簡単にできるのですが、我々はふたを開けてみたら大変なハードルだったということが後で分かりました。その後、有識者会議報告書が出て、教員需要の減少期にどうするかが大きく取り上げられました。そこで我々は、減少期だから減らすのではなくて、減らすんだけれども、それに余りある教員養成機能の強化を図っていきたいと。その在り方は何かというと、やはり共同教育課程しかないんじゃないかという結論に至って、今回、設置認可を頂いたということです。
この背景は、左下に書きましたけれども、この先子供の数の減少ということで、どうしても今の入学定員を半分とはいかないんですけれども、相当程度減らさなきゃいけないという、理論的にはそういうことが突き付けられてきている。ということになると、持てない希少教科であるとか、手放さなきゃいけない教科も出てきたり、でも、そういうことはしたくないねと。地域の義務教育課程に責任を持って当たる体制というのが、教育委員会からも求められておりましたし、地元の国立大学としてもそれは是非維持したいと考え、中学校10教科フルセットの維持を目指そうということで、両大学のスケールメリットを生かした質の高い教員養成を実現する仕組みとして、これに取り組んだ次第です。隣の県であるということもあるんですけれども、規模もほぼ似ているということで、このような形になりました。
次のページですけれども、理念です。一番大事にしたところは、やはりカリキュラムの充実ですね。単純に言うと、教員の数が2倍になるわけなんですけれども、それで楽になるのではなくて、逆にお互いの強み、特色、専門性を生かし合った質の高い専門教育の充実を図っていきましょうということで、それは遠隔メディアの双方向授業システムを使うことによって可能にいたしました。
それから、両大学の強みを生かした、大学の強みですね。教育学部だけではなくて、これもやはり国立大学が持っている資源というものをフルに生かしましょうということで、これに関しては一番最後のところにあるんですけれども、13ページをごらんいただけますでしょうか。例えば、宇都宮大学には国際学部がある。農場もあります。群馬大学は、理工学部や数理データ科学教育研究センターがありますと。それぞれお互いにはないものですので、連携先の得意分野を授業として提供していただくことで、新しい時代を先取りした先端課題解決のためにこういうことができるんじゃないかと出し合って、新しく開発した科目群になります。
それから、戻ります。3つ目ですけれども、計画的な教員配置ということで、両者を合わせて、2つの大学を合わせて1つの学部という考え方になりますので、当面は大分余剰というんですかね、少し時間の余りも出てきたりします。そういうのは、少人数指導であったり、きめ細かい学習指導に、学生支援に充てたりということが可能になる。と同時に、社会のニーズに応える教員養成ということで、そこにあります特別支援教育の拡充が可能になりました。養成領域が5領域、両者が合わさることで5領域に拡大することができたということ。
それから、主にメディアで授業をやるわけなんですけれども、せっかく一緒になったので、やはり学生間の交流が必要だろうということで、新設の授業として合同宿泊研修ということを考えました。後ろの方の12ページに資料を載せさせていただいています。これは合わさったことによるシナジー効果なんですけれども、教職特別演習ということで、教職志向の向上や確立ということを念頭に置きながら、お互いに切磋琢磨の体験をしていくことで、最終的には教職の意欲を強化して、教員採用試験の受験率を上げ、合格率の向上にもつなげていくという考え方でございます。これも新しい科目です。
最後になるんですけれども、地域の学校教育への貢献です。やはり県に1つの国立大学でございますので、教育実習や体験学習的なものは全て自分の県で行います。そのことによって、地域とのこれまでの連携や信頼関係は崩すことなく、これまでどおりにやっていく、さらに10教科は完全に養成も研修もできますよ、ということで進めてきたわけでございます。

【窪田群馬大学理事】 群馬大の窪田と申します。先ほど藤井理事の方からお話しいただきましたけれども、共同教育学部に関しての趣旨とか理念とか、この新学部のところで目指す、これは両大学とも同じことを考えております。そういうことで、共同教育学部を設置した段階で、実際にどういうふうに運営、あるいはどういう教育内容を実施していけるのかという、そこのところをまたお話ししていければと思います。
次の項目番号の3番の共同教育課程による教育学部のイメージというところをごらんいただければと思いますけれども、これは文科省からの資料の方にもいろいろと出ておりますけれども、斉一教育といいますか、お互いに31単位以上を提供し合う、そういう形で共同教育学部を作る。もちろんそれ以外の科目に関しては、それぞれの大学が独自に行う、あるいはシラバスとか教育内容、それを一致させて行うという、独自教育と共通教育という形で全体のカリキュラム、授業科目を設定するという形で考えております。
共通教育の部分ですけれども、単位数とかシラバスを統一させるというところに関しては、両大学の関係する、担当する教員同士が非常に密にディスカッションをするということで、実質、これは1つの大学の中だけではない、多様な視点、観点からFDを行うということではなかったかというふうに思います。この計画を策定する過程において、今現在も続けておりますけれども、両大学の関係する、各校の教員同士のいろいろなディスカッションというものがずっと継続して続いております。
独自教育のところですけれども、これは実習とか実技とか実験とかという、基本的には対面でやらざるを得ないといますか、それによってちゃんとした教育効果、授業効果が出せるもの、これはそれぞれの大学が独自にやるという形で考えたいということで、独自教育、共通教育、斉一教育、この3種類で全体のカリキュラムを構成するという形にしております。
それ以外の教員とか学生とか学位とかということに関しては、文科省の方からの資料にあるとおりであります。
続きまして、そういう形で共同教育学部を作ったときに、スケールメリットを生かす形でシナジー効果を出していくということが必要になるかと思います。それぞれの大学のそれまでの教育の内容、それをただ単に足した、1足す1を2というだけでは余り効果はないです。それを更に倍増させるような質の高い教育、教員養成教育ができるような、そういうものを作っていくという。それを目指して今回の共同教育学部というものを考えていったわけですけれども、そこのページにありますけれども、宇都宮大学の方では、特に小学校教育、これを重点的にやってこられたということがございます。
それに対して群馬大学の方は、どちらかというと中学校教育、そちらの方を重点的に行ってきたと。それに対応したようなカリキュラムなり、あるいは教育方法というものを取ってきたところでありますけれども、その両方のそれぞれの強み、それを生かす形で質の高い共同教育ということを、特に斉一教育科目、ここのところで実現していこうということを計画をしてきたわけです。
同時に、それぞれの特別支援教育の分野ですけれども、宇都宮大学はこれまで知的障害と肢体不自由と病弱、この3分野だけでした。群馬大学の方は、それにプラスして聴覚障害教育ができるという形だったところですけれども、両方の大学の特別支援教育の先生方を集めるということで、人数も増えるということで、新たに視覚障害領域に関しても担当できるようにするということで、特別支援教育全5領域、それが担当できるという体制が作れたということで、これは日本全国の国立、私も含めまして、これまで8大学がそれができる状態だったんですけれども、新たに9大学目と。特に関東以北ですと、宮城教育大が可能な5領域だったところですけれども、それに群馬大学が加わるという形になったかと思います。
先ほども藤井理事の方からありましたけれども、せっかく共同教育という形でお互いに教育を担当するということですので、学生同士の交流をしっかりやっていくということで、先ほどもありました教職特別演習、こういう形で、これを特に教育実習の前後に行うというような形で、教育実習の効果なり、あるいは結果なり、あるいは反省点、振り返りというようなところをお互いの大学の学生同士がちゃんと身に付けていくという、それにつなげていこうということで考えております。
それと、それぞれの大学には、ほかの学部のところで特徴があるということですので、これを今回の共同教育学部の中に生かしていくということで、それをForefront科目群というふうに名付けましたけれども、ESDとかグローバル教育、ICT/プログラミング教育、こういうところをしっかりとやっていくということで、今後、Society5.0というところで言われております、児童、学生、それを指導していくというときに必要ないろいろなスキル、そういうものを身に付けた教員養成、それを図っていきたいというふうに考えて、そういう形で、斉一科目の設定、学生間の交流、教員間の交流というようなことを通して、これまで以上の質の高い教員養成教育、それを実現できる体制、それを作っていこうというふうに考えております。確かに教員の数が一時的には増えるわけですけれども、将来的には、最初の話にもありましたけれども、それぞれの両大学の入学定員の規模としては、今の半分程度ぐらいまで減少していくという予測が立っております。そこのところでいかに質の高い教育を行うのかというところで、こういうシナジー効果を利用するシステム、それを作っていこうということを考えて、今現在、来年の開講に向けて準備しているところであります。

【齋藤群馬大学教育学部長】 続きまして、群馬大学の齋藤から、より具体的なことを御説明したいと思います。
資料の6ページをごらんいただきたいと思います。今までの話と重なる部分もあることを御容赦ください。
まず、前置きですけれども、私が認識している共同教育学部だからできること、メリットというのは、主に3点というふうに捉えております。1つ目が、これは既に話に出たところですが、中学校10教科の免許を取れる体制を維持し続けることができるという点にあります。この場合、言うまでもないことですけれども、小中学校の学習指導要領から授業時間数を考えますと、中学校の技術が一番少ないということになります。ですから、率直に言いまして、全国の国立の教員養成系では、手放すとしたら技術というのが恐らく共通認識だと思います。その後に家庭とか美術とかというのが候補になってきてしまうというところです。
しかしながら、逆に、技術について言いますと、国立の教員養成系以外で免許を出している大学というのはかなり少ないというふうに聞いております。また、免許は出しているけれども、実際に教員になる人は余りいないという大学もありますので、国立の教員養成系が技術から撤退してしまうというのは、各県の県教委にとったら非常に困る事態ということになります。
ですから、人数が減っていく中で、国立の教員養成系学部としては、手放すなら技術、次いで家庭というようなことを考えてしまうんですけれども、そうすると、実際の教育現場で困ってしまう。地域への責任を負う立場として、これは減らせないなというふうに両大学で考えてきたところです。
それから、2点目ですけれども、これも既に話に出ていますが、両大学の教員の力を合わせることによって、授業の質を高めるということです。これについては、もう少し具体的な話を後ほど申し上げます。
それから、3点目ですけれども、学生同士の交流をすることによって、お互いに刺激を与え合い、教職を目指す者同士で力を合わせて学ぶことによって、個々の力を高めていくことができるのではないかというふうに考えております。
さて、資料の6ページのところ、まず、左上なんですけれども、これは大枠のところです。これも既に藤井理事の話で出たところですが、先行例としての獣医学部・獣医学科ですと、まず、仕組みとして6年制ということがあります。1学科で学生定員が各大学30人程度。これですと、カリキュラムも複雑ではありませんし、人数も少ない。6年間掛けてということなので、比較的やりやすいのかなというふうに思います。
それに対して、教育学部ですと4年制ですし、両大学の場合で言いますと、分野/専攻が13に分かれています。中学校10教科のほかに、教育学、教育心理学、特別支援教育の13に分かれています。そうすると、13のカリキュラムが並行して走っている状態です。学生定員は、そういう専攻の積み重ねで、全体としては200人近くそれぞれ持っていますので、ここのところが先行例としての獣医学部や獣医学科に比べてかなり大変だというところです。ただ、それを乗り越えるといろいろなメリットが出てくるというふうに理解しております。
右上の四角のところをごらんいただきたいんですが、実際に斉一授業を30単位以上ずつ提供し合う必要があると。まず最初、前例がないものですから、いろいろ考えて、共同獣医学部の話を伺ったりもした上で考えたんですけれども、共同獣医学部でも、例外的には30人をバスに乗せて他方の大学に行って一緒に授業を受けるというようなこともしている例はあるというふうに伺っております。
ただ、それを両大学でやるのはなかなか難しい。直線距離にして80キロしかないんですけれども、といっても、かなりの距離ですし、公共交通機関が実は不自由なところにあります。そう考えると、学生を移動させるというのは、バスでまとめて運ぶにしろ、個々の学生に他方の大学に行ってもらうにしろ、余り現実的でないというふうに考えました。
教員が移動するということも考えたんですが、これも例えば、1コマあるいは2コマ続きの授業をやるにしても、片道順調に行って2時間掛かるところですので、非常にロスが大きいと。教員の労力が増えてしまって、授業の質の向上という点からいっても、難点があるというふうに考えました。
そこで、原則として、メディアを用いた遠隔授業で、31単位ずつ提供するところの大部分を満たすというふうに考えたところです。これも、共同獣医学部での実践例を見まして、今の遠隔授業機器は大分進歩しているので、授業の双方向性を確保できるというふうに判断して、こうすることに問題はないだろうというふうに結論を出した次第です。
ここの右上の四角の中の黒い小さい四角の2項目めですが、大きく分けてこのように整理しました。まず、講義科目は遠隔授業に向いている。一方で、教育実習もそうですけれども、各種の実習、それから、実技系科目、それから、理科などですけれども、実験科目、こういったものはメディアを通じた遠隔授業には不向きであるというふうに考えました。また、そのほかに、地域の学校教員を招いての授業というのもあるわけですけれども、これも不向きだろうと。それぞれの県での学校の先生、現場の先生に来ていただいて、地域のことをお話しいただいたりするわけですが、その点ではそれぞれで行う必要があるというふうに判断しました。
このようにして遠隔授業の範囲というのを決めていったわけですが、ここに書きましたように、例外的に斉一科目の中でメディアを使わずに、教員が移動して対面授業を行うというのも予定しています。例として、ここには中学校での音楽の教科指導法の授業を挙げました。これは担当教員の判断ですが、音楽の授業づくりを学ぶためには、実際に目の前に学生がいて、一緒に声を出して歌ってみる、合唱してみるということが授業づくりにとって有意義だというふうな担当教員の判断がありまして、各大学、相手方大学に出向いての授業というのも行うということにしています。
さて、下の四角です。斉一科目だからできることという観点から整理してみました。まず、左側ですが、教員の専門性を生かした授業による学びの深化ということです。まず、教職専門科目ですが、これは最低でも20単位必要なところですけれども、なかなか複雑な仕組みであるというのは皆さん御存じのとおりかと思いますが、領域が幾つもに分かれている中で、1単位以上必要となると。複数の科目を合わせて2単位科目でやるとかというのもいろいろ可能なんですけれども、担当者同士で相談した結果、いろいろまとめたとしても、21単位が限界ではないかというふうに両大学では判断したところです。
その21単位ですが、従来は原則として2単位科目を積み重ねてきたところですけれども、今回はあえて1単位科目、全て1単位科目にするという形を取りました。いわば教職専門科目についてはクオーター制を取るというようなものです。15回ではなくて、7回半の授業で1単位ということにしました。これはどういうことかといいますと、2つの狙いがあります。1つは、従来だったら2単位でまとめて半期でやっていたのを2つに分けることによって、学年を離すことができる。比較的入学したばかりの年にまず1単位目を履修して、もう1単位を、例えば、3年生の教育実習の直前であるとか直後であるとかに履修することによって、教育効果を上げることができるのはないかという考え方です。つまり、1年次に2単位履修して、実習に行く頃には抜けてしまっているというのでは困るので、まず、基礎的な部分を1単位履修した上で3年次にもう1単位履修して、実習に備えるということができるようなカリキュラムを組んでおります。
それから、もう一つですけれども、2単位科目を1単位2つに分けることで、両大学の類似分野の担当教員が、それぞれのより専門性を発揮できる1単位授業を作るということにしました。つまり、一人で2単位授業をそれぞれやっていたところを、より得意な部分を分担し合って1単位授業2つという形にしたという次第です。
これは、教員の側から見た枠組みなんですけれども、学生の学びという点でも、それぞれの教員のより専門性の高い授業を受けられるというだけではなくて、実際の授業配置に当たって、従来、それぞれの大学で100人規模のクラス、1学年を2つに分けたクラスでやっていたんですが、それを4つに分ける。結局、両大学合わせると100人になってしまいますけれども、両大学の教室に100人ずついるのではなくて、両大学の教室に50人ずついる中でやれば、グループワークのようなこともやりやすくなるというふうに考えております。
次に、左下の黄色い四角の2つ目ですけれども、分野/専攻ごとの専門科目についてです。典型的には、各教科の専門科目です。これについては、専門領域の授業の相互提供をするということが、まず、メリットとして挙げられます。ここでは社会科の例を挙げましたけれども、宇都宮大学には哲学の専門家がいて、群馬大学には倫理学の専門家がいる。宇都宮大学には西洋史の専門家がいて、群馬大学には東洋史の専門家がいる。それがそれぞれ両方の大学の学生に向けた授業をすることによって、学生はより専門性の高い授業を受けることができるというメリットです。
また、その次ですね。3点目ですが、小学校教科専門科目のうち、ここに挙げた6教科、非実技系教科ということになりますが、各教員が得意領域を担当するオムニバス授業を設定しております。
これについては、9ページ目をごらんいただけますでしょうか。これは国語の例ですけれども、15回の授業を5人の教員が3回ずつ分担するという形で組んでおります。この5人の教員というのを両大学から出し合う。ですから、例えば、この例でいきますと、宇都宮大学の教員が担当する回については、宇都宮大学の教室から群馬大学に遠隔授業、テレビ中継する。逆に、群馬大学の教員が担当する回については、群馬大学の教室で授業を行って、宇都宮大学にテレビ中継する。そういうのを各教科で5人とか4人とか、あるいは3人とか、それぞれの教科の判断によりますが、両大学の教員がオムニバスで授業をすることによって、よりそれぞれの教科の幅の広さの中で専門性の高い人が授業を担当できるというふうに考えております。そのことによって授業の質を高めるということです。
また、ここまでの話にもありましたとおり、宇都宮大学では小学校教員養成に実績があり、群馬大学では中学校教員の養成に実績があるというこれまでの経緯がありますので、授業づくりについても、小学校関係の授業については、宇都宮大学の教員がいろいろ持っているノウハウを両大学で共有しながら、中学校については、逆に群馬大学からこれまでの蓄積を宇都宮大学に提供しながら、授業内容を相談して組み立てているところです。
さて、このページの次、10ページもごらんいただければと思います。ここでは、中学校の教科専門科目について国語の例で示しております。その先には数学の例もございますが、とりあえず10ページでごらんいただきたいと思いますが、それぞれの専任教員の専門分野に特徴がありまして、特徴といってもきっぱり違うわけではなくて、どちらかというとという部分もあるんですが、宇都宮大学は文学に強く、群馬大学は言語学に強い。あるいは、群馬大学には書道の専門家がいるけれども、宇都宮大学にはいないということがあります。それが先ほど申し上げた小学校国語の15回2単位の授業にも反映されるんですけれども、中学校の教科専門約20単位については、それぞれが得意な授業を出し合うことで20単位を構成する。その一例としてこの10ページの表がございます。
さて、6ページに戻りたいと思います。右下の項目に行きますけれども、学生の交流による学びの深化ということを先ほど共同教育学部のメリットの3点目として挙げたところですが、具体的にこういうふうに考えているということを最後に申し上げたいと思います。
まず、講義科目での意見交換を行う。つまり、双方向性の確保できるメディアがありますので、まず、教員が相手大学の学生に発言を求めるということが可能になります。そして、もちろん発言してもらったらそれに対するコメントを返すというようなやり取りは当然可能です。その先に考えられるのは、それぞれの教室でグループで議論してもらって、議論した内容を代表者に発表してもらうというような形式の授業も考えられます。こうすることによって、学生間の意見交換が大学をまたいで行うことができる。これは大きなメリットだと考えています。
なお、最初に申し上げるべきだったかもしれませんけれども、学生間の交流により学びの深化を図れるという認識の出発点なんですが、これは両大学の中でも他大学とゼミ同士の交流を持ったりしている実践例があります。そういうことを経験した先生に言わせますと、やはりそれは大きな効果があるというんですね。同じことを学んでいるようでも、やはり大学によってカリキュラムが違ったり、いわば学生文化が違う。学びの文化が違う。そうすると、ほかの大学の学生と接して話し合うことによって、視野が広がるんだそうです。非常に学生が刺激を受けるという積極面があるというふうに聞いております。
元に戻りますが、2点目として、これも既に触れられたところですけれども、合同宿泊研修を通して学生の交流を直に図りたい。メディアを通してではなくて、直に図りたいと考えています。これは、学生にとっては移動の負担を伴うわけですけれども、4年間で2回のイベント的なものとして、学生が楽しみにできるような、そして、学びになるような場を提供したいと考えております。
内容については今後さらに詰めていくところですけれども、先ほど藤井理事からも紹介がありましたが、12ページに関連する資料があります。2年次の夏、8月になるか9月になるかに合同合宿を群馬で行い、実習に向けての学びを深める。3年次の秋、実習が終わった後に今度は栃木県の方で合同合宿を行って、実習を振り返っての学びを深める場とするということを考えております。
6ページに戻りますが、右下の最後、その他検討中のこととして、合同ゼミを行うということも考えられると思っています。少人数であれば、メディアを通しても合同ゼミをやりやすいですし、少人数であれば、移動して一緒に顔を合わせてということもできるのかなと相談しているところです。
また、合同フィールドワーク。美術では、それぞれの大学でフィールドワークの授業を計画しています。美術のフィールドワークというのはどういうことかといいますと、例えば、地域の美術館に行く、あるいは地域のお寺で仏像を見学する、こういったようなことによって、地域の美術資源を知って、それを教育に生かしていく力を付けようというものです。これを行う中に、県境で両方の大学の学生を一堂に集めて――美術の学生同士をですね。学ぶ機会を設けたいということを担当者は計画しております。
それから、最後に3点目ですけれども、メディアを通しての模擬授業の相互検討。学生が、特に教育実習の前段階では、ほかの学生を児童生徒に見立てての模擬授業を行う機会をよく設けるわけですが、それをメディアを通して両大学合同で行うことによって、それぞれ模擬授業をやって見せて、ほかの大学、他方の大学の学生からも意見をもらうというような形で学びを深めることもできるのではないかというふうに考えているところです。
少し長くなりましたけれども、私からは以上です。伊東さんから何か補足があれば、お願いします。

【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 では、資料の7ページについて簡単に説明させていただきます。
この表は、卒業に必要な単位と、その中で斉一科目(メディアを通して相手大学に提供する科目)をどのように配置したかを一覧表にしたものです。卒業単位は最終的に155単位としました。カリキュラムは取得免許を考慮して、教科コース、教育/心理コース、特別支援Aコース、特別支援Bコースという4つの履修コースを設定しております。各コースの行の中で、ピンク色に染めたところが宇大提供科目の単位数、水色で染めたところが群大提供科目となります。基盤教育の中でそれぞれ4単位を提供しあいます。教職科目については21単位全てを両大学で10単位あるいは11単位提供しあいます。それから、小学校教科については、16単位のうち6単位ずつを持ち合います。そのようにして、一番下のところを見ていただきますと分かりますが、最終的には155単位の卒業単位のうち、どのコースにおいても31単位以上をそれぞれ相手大学から履修するというカリキュラムを作りました。
以上です。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
全国的に注目を浴びているところなので、また委員の方からも御意見、御質問があるかと思うのですけれども、まず、今の御説明に関して質問がありましたら、お願いします。後ほどまた論点整理の後、意見交換の時間を取りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【大森委員】 大きな話じゃなくて、本当に確認のところだし、かなり些末でもないんですけれども、遠隔授業の方法論についてお尋ねしたいんですけれども、メディアを通してあちらとこちらでといったときに、あちら側――どっちがあちらでどっちがこっちだかは置いておいて、あちら側にいる学生さんというのは、その時間になったら教室に来て、そこのコーディネートというのは誰がするのか。あるいは、学生さんだけが出る。つまり、一人の先生が両大学の学生を教えられる体制が組めるのか、結局、TTを組まないとだめなのか、そのあたりは実際どんなイメージでしょうか。

【齋藤群馬大学教育学部長】 そこのところは実は詰め切れていない部分があるんですが、基本的には、教員一人で対応できる。ただ、狙いを持って両方の大学に教員を置く授業もあり得るかなというふうには思っています。
教員のいない教室については、学生に任せておくわけにはいかないとすれば、例えば、院生をティーチングアシスタントとして付けるというようなこともあり得るかなというような相談をしている段階です。

【大森委員】 ありがとうございます。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
そのほかは何かありますか。

【本図委員】 済みません。御発表どうもありがとうございました。すごい試みだなと思って、拝聴いたしておりました。
ちょうど9ページのスライドのところで、小学校教科国語について例示をしていただきましたけれども、中学校と小学校の免許を両方質の高いものという御説明を頂きました。本学もそうなんですが、中学校の教科の国語とか、中学校をベースにして専門性の高い教科ということは、割と共通認識を持つことができるんですが、小学校として質の高い教科の学びということはなかなか難しくて、そして、学生からもよく不満が聞かれるところなんですね。これで小学校の国語なんですかとか、これで小学校の算数なんですかって。なかなか小学校の質の高い教科の学びということは、言葉で言うのは簡単なんですけれども、大変難しいという経験もございまして、そんな点から、どのように意思決定を両大学でなさっているのか。御例示いただきましたこのシラバスにおいても、どういう点で小学校としての国語として質の高いというところを担保されようとしているのか、御教示いただけたらと思いました。

【坂越主査代理】 じゃ、先に。お願いします。

【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 おっしゃることはよく分かるんですけれども、小学校の教科については、どの教科も小学校教科専門科目は2単位しかないんですよね。ですから、その中で高めるというのは、どだい無理なことだとは思っています。ただ、ここで例として挙げたものは、両大学の教員がお互いに知恵を出し合って、どの分野を15回教えたらいいんだろうということは、一応議論しているということです。
今後、多分、小学校教科の持ち方は大学によって随分違っていると思うので、2つの大学で授業を一緒にやることになると、さらに教員同士のFDは深まるかなと。非常に漠然としたことしか言えないんですけれども、今のところはその程度の段階です。

【本図委員】 ありがとうございます。そうすると、カリキュラム委員会とか、教務部会みたいなところも共同でマネジメントをしていかれるというイメージを持てばいいでしょうか。
【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 将来構想ワーキングという全体的な枠組みを議論する場でカリキュラム等を検討するのと平行して、教科ごとの内容については、それぞれの大学の同じ教科の教員同士がいろいろな形で意見交換をやっているところです。
【齋藤群馬大学教育学部長】 一言補足したいと思いますが、例えば、教科同士でテレビ会議を開いたりしながら、シラバスをどういうふうに作っていくか、15回の構成をどうしていくかといったところの相談から始めていまして、テレビ会議じゃなくて、実際に顔を合わせてというのも幾つか行われていますけれども、実際に来年度のスタートを切るまでに更に授業内容を詰めるために、そういう意見交換の場を教科ごとに繰り返すことによって、相互理解を深める。
そして、もちろん先ほどおっしゃったことは、大学教員の専門性の高さというのがそのままダイレクトに小学校教育にふさわしい大学の授業に結び付くわけではないんじゃないかという点が含まれていると思うのですけれども、その点については、両大学とも教育実習に対する点でも力を入れていますし、各教科専門の教員も、教育学部の教員としての自覚をより高めることによって、その問題を解決していこうという筋で考えております。

【本図委員】 ありがとうございました。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。実は私もそこを伺いたかったので、申し訳ないんですけれども、すごく平たい言い方をしてしまいますが、本当に強みのある先生が集まって、いい授業ができる。そのときに、体系性といいますか、ピークがずっといっぱい並ぶだけじゃなくて、やっぱりそれなりの小学校初等国語というような筋が通らないといけないとは思うのですけど、多分、そのあたりが今お話しくださった御苦労なのかなと。もしそこで工夫されているということがありましたら、続けてお願いします。

【齋藤群馬大学教育学部長】 自分自身が関わっているところしか詳しくは言えないですが、私は社会科なんですけれども、社会科で言いますと、小学校3、4年――今度、学習指導要領、3、4年分かれましたけれども、3、4年、そして、5年、6年という流れがあります。どうしても中学校ですと、地理、歴史、公民という専門分野で分けて考えるんですが、小学校の学年ごとの進行というのを意識して、それぞれ地理だったり、歴史だったり、公民だったりの専門家がどういう授業をしたらいいのかというのを両大学で意見交換しながら、もちろん設置申請の段階で、あるいは課程認定の段階でシラバスは出しているわけですけれども、それをさらに詰めて具体的にどういう内容で行っていこうかという相談をしています。十分な答えにはならないかと思いますが、あくまでも小学校の授業を念頭に置いて、学習指導要領を意識しながら、この授業もそれぞれ組み立てていくというスタンスは共通しているかと思います。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
ほかに。

【酒井委員】 ありがとうございました。最初の2ページのところの背景のところに、もともとこれが教員需要の減少期にどう対応するのかというところで、背景で、第6期には現在の定員が100名程度になる可能性もあるという中で、ですから、初年度といいますか、数年は今の現行体制で教員配置ができると思うんですけれども、将来的にこの仕組みの中でどう対応されていくのかなというのをちょっとお聞きしたいんですが、例えば、教職科目は、今の形では恐らくそれぞれの大学で1単位ずつの科目を担当されて、両方に同じ専門の方がいらっしゃる。ただ、将来的にはどちらかに、例えば生徒指導論はどちらかの大学が受け持って、特別活動論はどちらかが受け持つ、そのような配置になるのか、その辺の見通しをちょっと教えていただければと思います。

【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 今の段階で何年先まで見通したというところはなかなか具体的に言えないんですが、少なくとも10年くらいの間にどの分野の教員が定年を迎えるかということはお互いに話し合っています。その中で、同じ分野の教員が今のところはダブっているけど、そのうち片方の大学だけになったり、あるいは両方欠けたりするところは埋めていこうねということは議論しています。
具体的な例で言いますと、来年度家庭科の方でそういう事例が起こりまして、そのときにはどの分野を、どちらで採用しようかということを既に両大学で議論しているところであります。

【酒井委員】 ありがとうございます。

【坂越主査代理】 そのほかいかがでしょう。
それでは、事務局の方から論点を少し整理してもらった上で、また意見交換を続けたいと思います。よろしくお願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。大学間の連携・協力により設置する教職課程に関する論点例ということで資料を出させていただいています。
最初の1枚目と2枚目につきましては、前回のおさらいになります。教職課程の設置につきましても、大学設置基準と同様に、必要な科目を自ら開設するということが原則になっておりまして、現行制度上は、大学間の連携・協働の仕組みとしては、単位互換と、今御説明のありました共同教育課程がございます。
それ以外の新しい大学間の連携・協働のオプションということを考えていきたいということで御議論いただいているわけですけれども、今回、大学等連携推進法人ですとか、一法人で複数大学を構成する大学間で授業科目の共同開設の仕組みというのが新たに今大学分科会で議論されておりますので、これを活用する形で新しい仕組みを考えてはどうかというのが、今回の御議論でございます。
2ページ目の方をごらんいただきますと、今度、共同授業によって何ができるようになるのかというところを図示してございますけれども、例えば、ここで国語の教科専門の例を示しておりますけれども、教員養成系の学部の場合、国語の科目というのが必修になっておるわけですけれども、単位互換の場合には、必修科目になっている国語学のような科目をA大学の方で開設せずに、B大学の科目だけ使うというようなことはできないんですけれども、授業科目の共同開設の場合には、こういったやり方もできるようになるということで、新しい形ができてくるということになります。
ただ、複数の大学で授業科目を、それから、専任教員を集めて教職課程を設置するということになっていきますと、それによって無責任な体制になってはいけないということがございますので、やはり幾つか議論すべきポイントがあるというふうに考えておりまして、前回の御議論を踏まえまして、幾つか論点を整理をさせていただきました。それが3ページ目以降になります。
まず、共同の教職課程を構成する大学群が満たすべき要件ということで、教職課程の運営には、各大学が責任を負うということは当然でありますけれども、連携する大学間の教職課程全体の水準を高めていくというために、やはり大学群の中でもその中核となる大学、学科というものが必要になるのではないだろうかということで、例えば、学科の要件を見ていきますと、教員養成を主たる目的とする学科、現行でいきますと、幼稚園、小学校を開設できる学科でありますけれども、これが少なくとも1つ入っていることでありますとか、大学側の要件としましては、丸2の方で、地域の教育委員会・学校との密接な連携の下で高度専門職業人としての教員養成を行う大学ということで、典型的には教職大学院のようなものがございますけれども、例えば、実践的な実習のための連携協力校が確保されていることでありますとか、現職教員の再教育の場となる修士課程を設置していること、教育委員会との連携協力の協定を締結していることですとか、現職教員の研修の協力があるというような、こういった実績のある大学が1つは入るということも考えられるのではないかというふうに思います。
それから、2番目に、共同実施が有効かつ適当と考えられる教職課程の範囲ということでございますが、これも前回、幾つかの御議論がございました。それを整理しますと、3つぐらいのパターンになってこようかと思うんですけれども、もともと免許外教科担任の報告書が出た際の問題意識として示されておりましたのが、先ほど両大学の話にもございましたけれども、なかなか採用数が少なくて、教職課程の維持が難しくなるような教科、中学の技術ですとか家庭科、美術、音楽といったものを対象にするというのが一つのスタートラインでありますけれども、前回の御議論でも、特定教科だけを取り出して、特別の制度を適用するだけの合理的な区別がなかなか難しいのではないかというようなところの課題もございます。
それで、前回、御指摘いただいたところでは、大学間の連携・協働で強みを発揮するという観点は、教職課程全般に広く当てはまるものであるということもございますので、例えば、例2、例3のように、広く対象にしていくという考え方もございます。
ただ、その際にやはり留意が必要ということで御議論いただきましたのが、例の3のように、幼稚園、小学校も含む全課程ということになっていきますと、幼稚園、小学校の場合には学科等の設置の目的そのものでございますので、そういう場合に、幼稚園、小学校まで共同するのであれば、正にその共同教育課程のように、学科全体を共同化する、つまり、共同教育課程に限る方が筋ではないかというような御意見もありましたし、あるいは、特別支援学校につきましても、これも共同化しますと、ほかの教職課程にも科目を提供している専任教員もいますので、ほかの教職課程にも影響が出てくるのではないかというような御意見も頂いたところでございます。
それから、次の4ページ目に入っていただきますと、3ポツで、教職課程に責任を有する体制を確保し、内部質保証を行うための仕組みということで、前回も御議論が出ましたし、先ほども坂越先生から正に御指摘ありましたように、複数の大学から科目と教員を集めてくるような形になりますので、授業の科目の構成でありますとか、専任教員の採用計画、構成も含めまして、全体の調整をする場が重要になってくるだろうというふうに思われます。
これは大学設置基準の方でも、共同授業をする場合には、こういった教学管理のための協議の場/体制というものが必要になってくるだろうという方向で議論が今されているところでありまして、そちらの方でも必要な要件というものが定められることになろうかと思うんですけれども、それに加えまして、教職課程を共同設置をしていく場合には、例えば、教職課程の?専任教員が入っていることですとか、教職課程のカリキュラムの編成等について協議をするような機能を有しているといったような、付加的な要件が必要になってくるんではないかというようなところを掲げさせていただいております。
そのほかに、質保証の仕組みとしまして、自己点検・評価を共同で行うことでありますとか、学外者のレビューとして、例えば、今、教員養成部会の実地視察でありますとか、あるいは、外部専門家による評価というところが考えられますけども、これらを定期的に行うことでありますとか、あるいは組み合わせて行うといったようなやり方もあるのかもしれません。
それから、次のページ、5ページ目に入っていただきまして、これは科目の要件になりますけれども、1つは、各大学が最低限開設すべき科目ということで、基本的に科目開設に関しましては共同で設置をするという考え方に立ちますと、大学間でそれぞれ科目を提供し合いまして、全体として必要な科目をそろえるという考え方になろうかというふうに思います。
その場合に、共同していない学科等との共通開設については、共同教育課程に適用されているルールと同じルールを適用していくということが分かりやすいのではないかということで、丸2の方を書かせていただいています。
それから、今度、学生に修得させるべき必修科目の方についても考える必要があるのではないかということで、出させていただいています。先ほど再三、両大学から御指摘ございましたけれども、共同教育課程の場合には、両大学から学位を出すということが前提となっておりますので、構成している大学からそれぞれ31単位ずつ、学位課程の大体4分の1程度を取得をしなければならないという要件が掛かっております。教職課程を共同化していく場合につきましても、こういった相互の大学での必修ということが考え方としてはあってもいいのかなというところはございます。それは1つは、全部自分の大学だけで完結できるということであれば、単位互換制度の活用だけで十分ということがございますので、共同化することの実質を確保するための要件として、他大学の単位もある程度取ってくるということが考えられようかと思いますし、さらには、完全なフリーライドは認めないというところがあろうかと思いますので、自大学でも少なくとも何単位かは必修にしておくということが歯止めとして必要になってくるではないかということがございます。
ただ、その際にどれぐらいの単位数を必修として設定するかというところはいろいろ御議論もあろうかと思いまして、例として挙げておりますのが、共同教育課程が先ほど学位課程の4分の1というふうに申し上げましたけれども、それに準じた形でいきますと、一種免許の場合には、必要な59単位の4分の1ということで15単位ぐらいになろうかと思いますし、ただ、両大学の御指摘にもございましたけれども、教職課程の場合、かなり実習ですとか模擬授業のようなものもございますので、なかなかほかの一般の学部とも同じようにいかないところがあろうかと思いますので、例えば、同じ教員養成系ということで、教職大学院の共同教育課程の場合には、修了に必要な要件の大体7分の1ぐらいを共同教育課程の場合には必修としておりますので、その考え方に立つと、8単位という数字も出てまいります。
ただ、ここは実際にどれぐらいの単位数を設定するのが無理なく学生も履修できるかというところと、趣旨としてのフリーライドを認めないといったようなところとの兼ね合いの中で御議論いただきたいところかというふうに考えております。
それから、最後になります。今度、専任教員の基準でございますけれども、これも両大学で専任教員を提供し合うという考え方に立ちますと、両大学の課程を一つとみなして、必要な専任教員数を確保していくということになっていきますけれども、こちらもフリーライドは許さないというところがありますので、最低1人は拠出をするというような要件が必要になってくるではないかということで、提案をさせていただいております。
それから、最後、実務的なところでありますけれども、課程認定審査のときに、開設をしている学科と教職課程の種類が1対1で対応していることを前提にしたような審査をしているところがございまして、例えば、教職課程の理念、構想でありますとか、学科の目的・性格と免許状との相当関係といったところがありますので、ここについては、複数の大学の学科にまたがるということを前提とした形で、審査の方法というのを考えていくことが必要になろうかということで書かせていただいております。
事務局の方から提案させていただいているのは以上でございますけれども、もちろん例でございますので、これに限られることなく、あるいは幾つかオプションも示させていただいておりますけども、これ以外のことも含めて御議論を是非頂ければと思います。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
済みません。論点整理の整理ということになるのですが、一読理解で、共同教育学部と共同教職課程、共同学部の方がハードルはかなり高いなというのは理解できるつもりなんですけど、基本、その違い、あるいはその効果の違い、何か例示的にでも、文部科学省として整理ができますか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、制度としての違いで申し上げますと、共同教育課程の場合には、学士課程であれば、学士の取得に必要な、最低124単位のレベルで共同化していくということになります。学位課程全体を共同化していくという場合には、この共同教育課程というものが活用されるということになろうかと思います。
そうではなくて、学位課程に置かれている教職課程のレベルですね。これは最低59単位を取得するという、教員養成のプログラムでありますけれども、そのプログラムのレベルで共同化をするという場合には、今回御議論いただいております教職課程を共同設置をするという形の違いになってこようかと思います。
その場合の効果としましては、共同教育課程の場合には、正に先ほど両大学の話がございましたように、学位課程全体を共同化していきますので、非常に幅広い科目の充実・協力ができるというところがメリットになろうかと思います。
一方で、教職課程に限って共同化していく場合には、教職課程の科目、最低59単位の範囲になりますので、大学としては調整が必要な部分というのは少なくなってくるところがございますし、あとは、地域の特性に応じて、例えば、ここの地域では技術の教員養成が維持しにくいというところであれば、そこに限って連携をしていくというような、選択肢が広がるというところがあろうかと思います。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。
それでは、我々委員の側から、また今御苦労いただいている最中の両大学の先生からも何かありましたら、お願いします。御意見も結構です。どうぞ。

【窪田群馬大学理事】 1点、お話ししたいと思います。我々のところでも、最初から全部、学部全体で共同教育課程にするか、あるいは一部の希少教科といいますか、人数の少ないところに限って共同教育課程にするかという議論はありました。
ただ、実際に検討を進めていくと、一部の教科だけというのは、実質的に不可能だという判断になりました。といいますのは、学生全員が取るのが教職科目と、小学校の科目ということになります。それを一部の教科の学生だけが共同教育という形で他大学から取るというのと、それ以外の学生は必ず自分のところの大学で開講しているものを取るという、それが混在するということは、実質的に運営できなくなってしまうということがあって、やる以上は、ある意味、同じ手間ということもあるんですけれども、学部全体でやった方がより効率的だし、幅広い内容を充実できるという判断で、共同教育学部、学部全体の判断という形で進めてきたわけです。
あと、もう一つ、全体の調整というところですけれども、これは共同教育学部を作ったという段階で、両大学で協定書を締結しておりますけれども、そこのところで両大学の学長とか理事とか学部長が入った形での連絡協議会というものを作りまして、これで共同教育学部のかなり重要事項、特に人事とか、そういうところに関係するところですけれども、それを協議する場を設けて、実際、カリキュラムの運営とか、授業をどういうふうに進めていくのかというようなことに関しては、その下に学部長、副学部長、事務長等も入った、そういう運営会議というものを設けて、現実的な運営を担当するという。そこのところで教育の質に関してのPDCAを回していくという、そんなことを考えております。何かの参考になればと思います。

【坂越主査代理】 窪田先生、ありがとうございます。
それでは、そのほかの論点、質問なり御意見なり、お願いします。

【佐古委員】 まず、本日、宇都宮大学と群馬大学の先生方に非常に貴重な情報を頂きまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
議論の前提ですが、論点例で提示された事項は、前回出されました大学等連携推進法人等の枠組みを前提としたものであると理解してよろしいでしょうか。つまり、共同教職課程というものが、推進法人の枠組みの中で認められるものであるということと理解してよろしいか。大学等連携推進法人という仕組みを前提としているということで、論点例を考えればいいという方向でよろしいのでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 冒頭に、最初、2ページで御説明を申し上げましたように、大学設置基準上、単位互換ではできないところがやはりございまして、大学等連携推進法人の下で今検討されている共同授業の方式でなければ、必修科目を開設をせずに、他大学の科目を持ってくるということができないというところがございますので、今の大学分科会の議論の方向も考えますと、大学等連携推進法人、あるいは一法人複数大学を前提とした共同授業を活用した教職課程の設置ということで、御提案をさせていただいているところでございます。

【佐古委員】 これも質問ですが、先ほど坂越先生がおっしゃっていたように、共同教育課程と共同教職課程と非常に紛らわしくて、議論をしているとだんだんと混乱することもあるんですけれども、共同教職課程というのは、非常にざっくり言うと、教科ごとの教職課程の共同化でも可能であるというように理解してよろしいでしょうか。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 正に先ほど坂越先生の御質問にお答え申し上げましたように、学位課程全体を共同化するのではなくて、免許の種類ごとに共同するものと、そうでないものとを考えていくというところがございます。
先ほど群馬大学の方から、なかなか一部の科目だけで、免許種だけで連携するというのは非常に難しいというお話がございました。我々も、従来、教員養成系のところで、大学間の連携・協働の仕組みで考えていくと、共同教育課程というのがあるだろうということを前提に考えておったんですけれども、正に御指摘のように、共同教育課程だけを前提に考えていきますと、特定の免許種だけで連携するというのはなかなか難しいところがあるだろうということを我々も考えていて思いまして、それで新たな連携・協働の選択肢として、特定教科だけの免許種だけで連携できるような仕組みがないかということで御提案をさせていただいております。
その際に、先ほどの論点資料の中でも御説明、御指摘申し上げましたけれども、一部の免許種だけで連携するのが難しい理由の一つが、共同教育課程の場合、やはり31単位相互に取らないといけないというところがあろうかと思いますので、ここの相互の必修科目を何単位設定するかによって、一部の教科だけの連携というのが可能かどうかと。容易にできるのかどうかというところが変わってこようかというふうには考えております。

【佐古委員】 続けてよろしいでしょうか。

【坂越主査代理】 はい。どうぞ。

【佐古委員】 あと2点、2つのポイントについて意見を述べたいと思いますが、1点目は、今おっしゃった他大学の修得単位数です。今、両大学から出ましたように、基本的に国立の教員養成系の学部が抱えている一つの課題は、いわゆる希少科目の免許をどういうふうにするかということだと思います。希少科目というのは何をもって希少科目とするかということも問題ですが、いわゆる実技系を指すと考えたときに、実技系の科目の単位の修得については、座学で済まないところがあります。要するところ、教員が実際に手を取り足を取りという指導が求められる。
実技系を仮に共同の教職課程で持つとしたときのことを考えますと、他大学の必修科目が多くなると、これは教育課程の運営上、非常に大きな負担、あるいは学生の負担になってくるということがあります。できるだけ他大学必修単位は少なく抑えていただきたいと思います。今回例示として15単位と8単位と出ていますけれども、今そういうことを構想している立場からすると、8単位でもなかなか重いなというのが実感です。何単位がいいかということは分からないのですが、当面、共同教職課程の対象となり得るだろう実技系教科の特質を考えていただければ、他大学修得単位数というか、必修単位数というのは抑えていただきと思います。
できれば8単位から減ずる方向でお考えいただければありがたいというのが、これは意見というよりか、お願いです。
もう一点は、専任教員の配置の問題です。このワーキンググループでは、基本的には教職課程の規制緩和ということに関する議論を今まで続けてきたと思うんですけれども、一方では、これも両大学の構想でも強調されていたように、これから教員養成の質をどう高めていくかということの観点から、連携の強化であるとか、共同化を進めるということが重要だと思います。
連携推進法人の枠組みを使うということを前提とすると、少なくとも1つの大学はかなりの程度教職課程が完備されているというか、整備されている大学を軸にしながら連携することになる。さらに、組み合わせによっては、教員養成系学部同士が希少科目の免許を出すことに関して連携し合うということが考えられる。それぞれの大学に相当程度、教職課程が整備されているということが想定されるとすれば、そのときに設置する共同教職課程が、1つの学科等で要求される水準でいいのかということが疑問です。
つまり、わざわざ複数の大学が集まって共同教職課程を構成するわけですから、当然、その共同教職課程は、きょうの両大学の取組の発表にあったように、特色のある、あるいは教職課程としては豊富化といいますか、豊かなものとして存立しなければならないと思います。
教職課程の共同化による質の充実という点で考えると、そこに配置する教員数は、単一の学科等の教職課程に要求される教員数でいいのかどうかというのが、きょうのお話をお聞きしていましても疑問に思います。具体的に言うと、やはり共同教職課程の場合には、1の学科等で要求される教員数を上回るような教員をそこに配置する必要があるということも考えられるのではないか。例えば構成する大学が1増えるごとに何人かずつ加算していくような考え方で、リソースを豊かにしていきながら、そこに特色あるカリキュラムを実現するというようなことも考えるべきではないか。
それから、もう一つは、これも長谷室長の御説明にありましたように、他大学にある意味で乗っかって、非常に安易に教職課程を作るということを防ごうとすれば、各大学にある程度の教職課程の担当教員を必置するという考え方をもう少しはっきり出すべきではないかと思います。例えば、各大学が共同教職課程を設置する場合には、設置しようとする教科に要求される、例えば、半数程度、専任教員が配置されていることを条件とする。そういう条件の下で共同化をして、それぞれ強みを持って、より豊かな教職課程を作っていくという考え方も出しておくべきではないか。そのような条件を付しておかないと、やせ細った教職課程が、共同教職課程が再現されるというようなおそれがあるんではないかと思っています。
以上、2点お願いします。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。
余り簡単にまとめるわけにはいきせんけれども、少なくとも学生が取得する単位のことと、それから、教員の配置のこと、連携する大学同士の間でどういうふうにそれをきちんと保証するかというお話で、これは1つの御意見として。
そのほかに。大森先生。
【大森委員】 ありがとうございます。1つは両大学に御質問申し上げたいのと、あと、そのほか2つ3つあります。
1点は、先ほど、ここのポイントに1つある、先ほど来出ている必修の単位数、31単位、15単位、8単位という数が出ていますけれども、これがやっぱり非常にハードルになるというお話が、最初、藤井先生からもありました。
ただ、実際に開くところでは、かなり遠隔授業を活用していくというところでいくと、一人の先生で授業が展開できるぐらいテクノロジーがそこまで行っているとすると、それでもやっぱり提供し合うというのは、どの部分が一番大変か。先ほど先生もお話のように、実技系というのは相当に厳しいというのは、5Gにならないと、合唱の授業とかはできないとかあるので、それは重々承知なんですけれども、どこの部分が大変なのかなと。こっちで授業をやっていて、配信して、向こうで受けてくれているというだけのことを考えれば、そんなにそんなじゃないのかなと思ったりもしたんですけれどもというのが1点御質問です。
それから、事務局からお話しいただいた点で、1つは、大学の要件のところですけれども、共同教職課程の大学の要件として、これは例なので、これから議論がなされていくと思いますけれども、大学院が設置されていることというようなことがもしあるとすると、これは安部先生のお話をお聞きしないとあれなんですけど、例えば、幼稚園教諭で、これは教員養成を主たる目的とする学科等ですから、を持っている短期大学さん同士が共同で幼稚園教諭をやっていこうということはまず無理だよねという話になってしまうのかなということですよね。つまり、修士課程のない大学同士が連携をするということはないとなると、ほぼ国立大学さんの教育学部のお話になっていくのかなという感じがして、そこに地方の私学も一緒にできるところは入ってみたらみたいな話になると、もしかすると、国立大学さんの負担ってかなりもっと大変に、かなり核になる大学はこの条件で明確ですよね。群馬だったら群大しかないわけですから、そこを核としてどう組むのかという話になっちゃうと、なかなかあれなのかなということを考えました。
それから、教職課程の範囲のところで、全教科でいくのか、希少科目だけでいくのか。科目だけで共同できるというイメージだという御説明だった。そこがちょっといま一つ分からないのは、教職に関する科目は、例えば、学部で国語や社会や英語を出していても、共通で受けていて、その中の英語だけを共通しましょうといったときには、教科に関する科目だけを共通でやっていくみたいなイメージになるのかとかという、その学部の中で複数免許を出しているその1つの教科の免許だけが共同していくというのが、ちょっと我々の今設置をしている、教育学部じゃない学部で設置している観点からすると、なかなか具体的にどうできるのかなと。
例えば、英語だけで、群大の英語とうちの英語だけは共同でやりましょうみたいなことというのは、さっきお話のあったように、結局、難しいと窪田先生がおっしゃっていましたけれども、何となくどうするのかなというのが、59単位の中には、共同していない学生も取っている授業も当然入ってくるというところのイメージをもうちょっと教えていただけると。
なので、そうすると、教職課程の範囲が例1のように希少教科のみとなったときに、例えば、芸術大学さんで中学校の美術の免許を出していて、近くの教育学部さんと、より専門度が芸術大学さん高いからやりましょうみたいなときに――ま、できるのか。それはできるのか。音楽とあれがあって、ま、ちょっともう少し教えていただくといいなと思いました。
それから、佐古先生がさっき共同組んだら教員数を少し上乗せしていくべきじゃないかというお話もあって、それはそうかなと思うんですけれども、教職課程の数自体を維持していこうという観点からすると、そのハードルもなるべく下げておいていただいた方がいろいろ組みやすいなと。もちろん質を高めましょうという議論をしているのは重々承知なんですけれども、一方では、教員養成の母数というものを確保しましょうというのも、ここの最初のスタートのときにはあった話だったと思うので、そのあたりはもう少し意見交換ができるといいかなと思っています。
済みません。御質問が、31単位の具体的な大変さを教えていただきたいということと、あとは、さっき修士の話、教科のみという話です。
【坂越主査代理】 それでは、順番に、まずは斉一授業31単位設定の難しさを。それじゃ、藤井先生。
【藤井宇都宮大学理事】 そうですね、最初、これをどういうふうに組むかということにものすごくエネルギーを費やして、本当に議論を重ねました。出来上がってみたら、こういうふうに整理できて、かえっていいカリキュラムができたなということなので、31単位自体はそんなに今となってはハードルとしては残っていないんですけれども、やっぱり設備ですよね。双方向メディア授業システムを、少なくとも1年目、6部屋に完璧なものを入れていくということになったときに、やっぱり初期費用がすごく掛かってしまいます。
それから、当然、それを操作するような、うまくメディアが行くかというような、そういうヘルプに入るような人たちも必要でしょうし、あと、新しく一緒の学部になるときに、単位の管理の仕方とか、新しい教務システムが入ってきたりという、そういうことはあるんですけれども、やってみた感想では、今のところはいいものができたので、31単位をぐっと下げられると、ちょっとそれはどうなのかなという。率直な感想です。
【窪田群馬大学理事】 31単位のことに関してですけれども、今回でもそうなんですけれども、31単位の中には教職科目とか、小学校科目が入っています。これは小学校科目の、例えば国語といったときに、1コマではないんですね。学部全員が取るものですから、4クラスとか、あるいは3クラスとかを作らないといけない。教職もやっぱり4クラスとか3クラス。そうすると、31単位だから16コマ、2単位で16科目ということではなくて、それの3倍とか4倍ぐらいになってきてしまう。それを実際のカリキュラムの中で斉一でやろうとしたときに、どうやって実現できるのかというところが非常に難しい。当然、お金も掛かる、いろいろな設備を新設するというようなことが入ってくるので、そこら辺が31単位のところの難しさになるかと思うんです。
あと、遠隔授業のところなんですけれども、片一方は相手側に提供するから、相手側の先生は楽になるかというと、そういうことではなくて、相手側の先生もちゃんと授業に参加してもらう。それで遠隔授業で受けている学生のいろいろな面倒を見るといいますか、いろいろな質問とか、どういうことを考えればいいのかという。だから、両方の大学の先生が実際に斉一科目の中では授業を担当しているような、ただ、クレジットを出すときに、どちらの大学の先生が責任を持ってやるのか。それぞれで内容は同じ形でやるというのが共通科目というやつなので、そこのところはそれぞれの大学の先生が責任を持ってできるという形になるかと思います。
【坂越主査代理】 1点目、よろしいですか。
ちょっとそれに追っ掛けて、先生、済みません。単位認定、評価はどういうふうな形になりますか。先ほどのクレジットを最終的に認める、認定するのは。
【窪田群馬大学理事】 それは、ここの履修表でいったときの、提供する側の大学。もちろんどういう評価をするのかというのは、両方の大学の関係している先生方で協議してもらうということになるかと思います。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。
あと、主に長谷室長に向けて出された質問かと思うのですけれども、パートナーになるのが大学院ではいけないのかとか、教員の配置、質保証をどこまで求めるのかといったあたりは、またさらに詰めなきゃいけないことかなと思うのですが、今、説明できる範囲で。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 正に御議論の結果次第だと思いますけれども、事務局の案としてお出しをさせていただいた趣旨としましては、大学院を置いているというところで、教員養成の高度化に対して実際に取り組んでいるところというところで、構成している大学の水準を全体的に向上させていくという趣旨で大学院をというのが一つのベンチマークになるのかなということで提案させていただいています。
それで、例えば、教員養成を主たる目的とする学科に置いてある幼稚園、小学校で、専修免許状をまず置いてある大学になりますと、実は国立よりも多い数の私立に置いてありますので、数としてはそれなりのものにはなってくるのかなというふうに思います。ここは、ただ、どれぐらいの要件に絞るのかによって、範囲は変わってくるだろうと思います。
それから、1つの科目だけで共同する場合のイメージですけれども、これは恐らく構成する大学によってかなり変わってくると思っておりまして、例えば、教員養成系の学部と開放制の方で連携をする場合には、一方が教職に関する科目をかなり提供して、他方が教科専門の方を提供するような形になるんだろうと思いますので、そこは恐らく相互補完になってくるだろうと思います。
あと、教員養成系同士で提供し合う場合には、それぞれの恐らく弱いところ、足りないところをそれぞれ補完していくということになろうかと思うんですけれども、そこは先ほども少しお話ししましたように、必修科目を何単位ぐらいに設定するかによって、つまり、お互いに最低出し合わないといけない科目はどれぐらいになるのかによって、共同しなければならない範囲というのが、教職に関する科目だけなのか、教科専門まで広がるのか、あるいは、従来の又は科目、大学が独自に設定する科目のところも入ってくるのかというところで、いろいろなそこはパターンが出てくるのかなと思います。
【坂越主査代理】 まずはそんなところで。
そのほかに。
【添田委員】 済みません。ちょっと趣旨が変わるんですが、共同教育学部をお作りになるということですが、先ほど来、施設のことであるとか、教員配置のことであるとか、いろいろなことでお話し合いをされたということでございますけれども、かなり大変だったのではないかなと。つまり、教育学部以外の学部もお持ちということですと、大学内それぞれの合意と、それを超えて2つの大学での合意ということが必要になるかと思うんですね。
その辺の御苦労についてお教えいただければということと、もう一点は、共同教育課程はかなりそういう意味では、運営上の法人にかかるハードルが高いんだろうということは分かるんですが、じゃ、学科レベルで教職の共同ということでした場合の、連携推進法人の場合、そのあたりはどれぐらい軽減されるんだろうなというところが、前回から少し疑問に思っておりますので、後でまた教えていただければと思っております。
【藤井宇都宮大学理事】 この共同教育学部が成立した非常に大きな要因は、学長同士の合意がまず最初にあって、これしかないね、ということがありました。そうすると、逆に、トップダウンかというふうに思われると思うんですけれども、ある意味、そういうところはありました。
ただ、私たちも、教員需要がこんなに下がるのにどうするんですかという課題が、突き付けられているわけですよね、国立大学全部。そうすると、希少教科を手放していくとか、教育学部を諦めてどこかの学部に入るとかという、選択肢は幾つもなくて、その中に共同教育学部というのがあって、確かに共同獣医学部では、2つ合わさることによって国際レベルのものになれたんだとか、そんないろいろな先行事例を見ていくと、私たちもじり貧ではなくて、今はもつけれども、10年先を見越して、今一緒になることによって、すごくいいカリキュラムを作れるんじゃないかという、そういうことをいろいろ皆さんでお話ししながら、誘導も掛けながら、プラス志向でやっていったということがあります。
一番大事なのは、きょうのお話も聞いていて思ったんですけれども、何のためにやるかということだと思うんですね。教員養成は今、なかなか教育学部に来る人が少なくなってきていて、先細りの印象のところに、いい教員養成をやれるモデルを作るということに皆さんすごく気概を感じてくれて、お互い、自大学の中では自分の授業を開陳しなかったような人が、今回初めてお互いの大学で、こういう授業がいいんじゃないかとか、そういう話し合いができたというプラスの面が見えてきたことがあるんですね。
ということで、やりながらそれは皆さんが体得していってくださったということで、コツはないんですけれども、ある意味、これしかないということをぼーんと大学が打ち出して、あとは学部がそこに付いていくという、そこの道筋がうまく付けられると、そんなに問題なくいくんじゃないかなというのが、感想です。
【窪田群馬大学理事】 群馬大の場合をお話ししますと、基本的には、藤井理事、宇大の場合と同じで、両方の学長が10年来の付き合いがあって、大学の番号も隣ですから、国大協なんかの会議のときもいつも何かお話をしていると。世間話程度で、教育学部どうするんだろうという、そこら辺の下地をずっと10年来やったというのが一つあります。
もう一つは、やっぱり教員需要の減というのを見たときに、10年先あるいは15年先ぐらいに本当に100人程度の入学定員になってしまうと。そうすると、今現在、50歳以下の教員はその問題に直面せざるを得ないということで、教育学部の特に若手の先生方の意識というのが非常にアクティブになってきたということがあります。
あと、もう一つ、大学全体という意味で言いますと、今回の斉一科目の設定のところで、教養教育科目というのを非常に少ない形で設定しています。これは、教養教育科目は、どちらかというと、選択科目という形のものが結構入っています。斉一科目として設定するのは、必ず必修科目でないとうまく機能しないということがありまして、教養教育科目の中でもそれぞれの学部で必修にしているような科目、それをかなり厳選する形で設定したということ。そういう意味で、ほかの学部の方には余り影響がないと。じゃ、教育学部の面倒をほかの学部が見なくても済むようになるんだから、どうぞやってくださいという、そういうようなところもあったかと思います。
【坂越主査代理】 先生、いいですか。
【添田委員】 はい。
【坂越主査代理】 済みません、また追っ掛け質問になるのですが、中等教育教員の開放制養成でやっていらっしゃるところなんかは、他学部の学生さんも取られますよね。そのあたりはどういうふうに整理をされたんでしょうか。
【齋藤群馬大学教育学部長】 群馬大学で教育学部以外で教員免許を取れるのは理工学部の高校理科だけなので、そういう問題がほとんどありません。
【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 他学部の学生については、共同教育学部とは独立したシステムで来年度以降も考えるということにしています。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。
そのほか何か。2つ目の質問、いいですか。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 お手元の資料の中で参考資料の3というところをごらんいただきますと、大学等連携推進法人のイメージが出てまいります。教職課程を共同設置する場合に、前提としてこの大学等連携推進法人が必要になってきまして、これがガバナンスを行うような組織ということになってくるわけでありますので、ここの法人組織の要件でありますとか、組織体制がどれぐらいのものになるのかによって、意思決定の重さでありますとか、プロセスというのが決まってくるだろうということになろうかと思います。
当然、法人組織を作りますので、大学としての意思決定が必要であるというのは間違いないところでありまして、ただ、その際に大学等連携推進法人の業務として、どこまでの範囲を入れ込むのかということによって、学内全体にどう調整が必要になるのか、あるいは教職課程のところだけになってくるのかというところが決まってくるのかなというふうに思います。
【坂越主査代理】 いいですか。
それでは、そのほかの委員からの御意見、御質問を。
【安部委員】 本当にありがとうございます。そもそもの2つの大学の共同教育学部の設置の目的についてお聞きしたいと思います。教員需要の減少の中で、2つの学部が一緒になる可能性について模索されてこられたのは、教員養成の効率化を図るというのが一番大きな目的だとは思うのですが、効率化とは結局、それぞれが入学定員100名程度となり、現行の半分ぐらいの規模なので、共同教育学部の設置に至られたのだと思いますが、一方、こういう新しい制度を考える場合に、効率化に加えて、もう一つ大切なことは、先ほどから出ておりますように、教員養成の質をどう高めていくかという目的が非常に重要になってくると思うんですね。
そういうことを考えますと、宇大と群大の2つの共同教育学部の設定のシナジー効果の最後の3番目の、いわゆる各大学の持つ資源を共同教育学部に生かすというような考え方をお示しになっていらっしゃいますが、これは正に今後の教員養成の方向として、教員に不可欠な資質を陶冶するような科目群の充実になると思いますが、このことについて、どういう流れの中で今後展開されようとしているのかということをお聞きしたいと思います。
そうしないと、ただ単に効率化のために一緒になっても、それは本当に教員養成の質の向上につながるかというようなことを考えますと、少し心もとないと思いますので、御説明を頂ければと考えます。
【坂越主査代理】 よろしいですか。
【藤井宇都宮大学理事】 それでは、13ページをごらんいただけますでしょうか。まさしく今、安部委員におっしゃっていただいたとおりです。本当の根っこのところには効率化というのはあったんですけれども、そのためにやるなんていうことでは、全く意義を感じられないし、それこそ作っていく先生方にも、やる気の問題というんでしょうか、前が見えてこないしということもありましたので、やっぱり私たちは、今本当に必要な教員養成の質って何なんだろう、もっともっとできることがあるんじゃないかという問題提起を常にやってきました。
その中で出てきたのは、学部だけではなくて、両大学がくっつくことで初めて可能になるものがあるだろうということで、3つそこに出してきたものが、ICT/プログラミング教育、グローバル教育、それからESD。このグローバル教育とESDに関しては、SDGsへの貢献ということで、今両大学とも強調しているところでございまして、これは大学全体の理念にも合いますし、それから、ICT教育に関しては、プログラミング教育ですね。これは両大学とも、このたび文科省の方から補助金を頂いて取り組んでいる最先端のことができるということで、取り組もうということになりました。
それで、これもやはり必須科目にしないとうまく運営できないということで、下の表にあるように、「データ・サイエンス入門」「データ・サイエンス」はそれぞれ同じようなことがそれぞれの大学でできるんだけれども、右側の2つに関しては、群大さんの方が得意で、センターがあるので、そこで開発をしてもらおうと。それから、下のグローバル化に関しては、宇大の方が蓄積もあるので、こちらから提供させていただいて、「人権と福祉」も同じです。それから、「環境教育」に関しては宇大、ESDに関しても宇大の方から提供させていただこうとなり、「ジェンダー論」「防災・安全教育」については、群大さんが蓄積があるので、提供していただく。これもお互いに何が今までできてきて、今後こういうテーマに関してどういう授業設定ができるだろうということを突き合わせて考えた結果でございます。
そのほかに選択科目として、下のようなもの、「国際キャリア教育」とか、「International Career Seminar」「海外研修in Malaysia」、この辺は宇大がずっとやってきたことで、得意分野でございますので、あともう一つ、「農場実習」も、こういうものは是非宇大の学生だけじゃなくて、群大の学生にも受けてもらえるようにしましょうということになりました。あと、「海外教育施設教育実習」というのは、群大の方でずっとやってきて、得意分野でございますので、ここにもノウハウを提供していただきながら、宇大の学生もそこに入っていけるというような形で、このあたりはそれこそ大学の資源を相互活用することで、大きなシナジー効果を生めるんじゃないかということでございます。
ここに注目していただいたこと、大変ありがたいと思うんですけれども、こういうような先端的なことができないと、ただ単にちょっと足りないからこれを貸し借りしましょうというような連携の仕方は、本当に今は必要なのかというのを逆に聞きたいような気持ちにもなるんですけれども、是非とも連携・協力して、教員養成の質を高めるということになったときには、プラスアルファのこういうこともやっていただくとうれしいなというふうに思います。
以上です。
【坂越主査代理】 安部委員さん、よろしいですか。
【安部委員】 とてもすばらしい構想をお聞きしたと思うんですけれども、ただ、このように、科目として提供される科目は、いわゆるネット配信授業だけでは到底カバーできないような、アクティブ・ラーニング系の科目的なものをやらなければ、教育効果というのはさほど上がらないような気がするんですけれども、それを2つの大学の学生にともに取らせるとかということに関して、大変だなと私は思うものですから、その辺のところはいかがでしょうか。
【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 メディア配信ではアクティブ・ラーニングができないとは、我々必ずしも思っていません。教員が片方にしかいないけれども、学生同士のグループワークとか、そういうものは工夫次第で十分できるかなというふうに思っています。
それから、中にはメディア配信ではなくて、教員が両大学に出向いて実施する授業もあります。例えば、「人権と福祉」については、担当教員がビデオ教材のようなもので対応して、面と向かった授業をやりたいというふうに言っているので、対面の集中講義で行う予定です。
正直なところ、これからまだ作っていこうという段階ですので、難しいところはあるでしょうが、アクティブ・ラーニング中心にやっていこうということは考えているということであります。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。
【本図委員】 済みません。御発表の大学にお尋ねしたいというのが1点と、事務局にお尋ねしたいというのが1点ございます。
きょう御説明いただきました学部のところなんですが、こういったところでカリキュラムの充実を土台として、恐らく両大学とも国立大学なので、教職大学院などを媒介として、地域の教育と教育委員会への貢献ということを描いておられると思うんですが、そのあたりを、学び続ける教員を支える国立大学としての役割というところで、どんなふうに具体的なところを考えておられるかというところをお聞きしたいのが1点ございます。
恐らくそういった教員育成事業に基づいた体系的な支援ということが視野にあって、養成系のところの充実ということがあると思うんですが、それで事務局にお尋ねしたいんですけど、こうやって効率化も図り、いろいろまだこれから詰めていかれるにせよ、カリキュラムの質も高めていくと。地域への貢献も考えているということになった場合、教員採用率だけで国立大学が評価されるんですけれども、地域貢献ということがきちんと視野に入ってくれば、必ずしも教員採用の若手が低いだけだからということではなく、現職教育のところでの貢献と、こういったカリキュラムの効率化、効果化と併せた評価というのもそろそろ考えていただいてもいいのではないかなという。自分の大学のことを訴えているようですけれども、そういう可能性はないのかなということで、そういうことがないと、こういうふうに大胆に大変御苦労されながら、でも、質の高いものを10年先見越してやっていこうということの加速になっていかないのではないかとも思うんですが、事務局からもお答えいただけたらと思います。
【坂越主査代理】 じゃ、先に、両大学の方から、教職大学院を含めた形での将来的なことに関してお願いしたいと思います。
【齋藤群馬大学教育学部長】 私の方から一言だけなんですが、群馬大学では、教職大学院の拡充――一本化ですね。修士課程を廃止するので。――これを来春から実施します。宇都宮大学でも、修士課程の方は全学一本化で、教育学研究科としては教職大学院という形になっています。
今の話でおっしゃったとおりだと思うんですけれども、現職教員の教職大学院での学びということを考えると、受け皿としては、やはり中学校全教科用意しておきたいというふうに考えます。その意味でも、共同教育学部を作ることによって、10教科の指導体制を維持できるというのは、もちろん毎年10教科そろって現職教員が来るなんていうことはあり得ないんですけれども、そういう場を残しておく。そして、教職大学院に限らず現職教員の学びの場を大学として提供していくということを視野に入れているというか、現に行っていますので、その意味で、今回の学部の設置というのは、学部生の教育だけにとどまらない意味を持っているというふうに認識しております。
【藤井宇都宮大学理事】 本図委員が意見を言われたので、私も意見を言ってみたいと思うんですけれども、教職大学院そのものが今後どんなふうに拡充して、制度として発展していくのかなというのは、ちょっと期待を持って、あるいは不安を持ちながら見ています。
というのは、せっかく学び続ける教員のあの答申の中では、作ったときには一人一人の教員のライフコースの中で教職大学院の学びというのもきちんと入れて、一人一人の質のレベルアップみたいなことも入っていたように思うんですけれども、今、なかなかそこまで自由に研修として入れることにはなっていっていないし、実際問題、定員も少ないままで、また定員割れをしているところもたくさんあってということで、システムとして教職大学院を先生方の質の向上に関してどういうふうに使っていけるのかというあたりが見えるとありがたいなと思っています。今、どこの大学も、今の定員の中で入学して来た先生をしっかり教育してお返しするということに終始してしまっている。それがために、今、学部レベルでこういうのを一生懸命作ったものが、どういう形で地域に連続して生かしていけるのかというあたりの展望が、なかなか抱きにくいというところがございます。
もう一つプラスしてお話しすると、今回、こういうものを、メディアの非常に壮大なシステムを入れて実現することになったわけなので、次のステップとして考えているのは、いい授業がどんどんできてくるということが想定される中で、そういうものをコンテンツとしてストックしてメディア配信できるように、それを幾つかの大学で使っていただけるようなシステムができないだろうかと。これは連携推進法人というような大層なことを言わなくても、何かもうちょっと違う、新しいSociety5.0時代の教職課程の共有化みたいなことにできないだろうかということを考えています。それが一大学としてできるかどうかは分からないんですけれども、今、例えば近隣の私立大学にうちの大学の先生は非常勤講師としてかなりの数が出ているわけですよね。それで私立大学の教職課程が保たれているという側面もございますよね。そのあたり、今後、連携推進法人との関連でどう考えていかれるのかということも含めて、ちょっと意見を述べさせていただきました。
以上です。
【坂越主査代理】 また何か御要望的なこともあったみたいですけれども、室長の方から……。はい、それでは課長から、よろしくお願いします。
【柳澤教育人材政策課長】 教員就職率だけでそもそも今測っているつもりはございません。ただ、やはり一番分かりやすいし、目的に沿っているというふうに見えるところがある。そこで重要な指標として私たちも認識しているというところ、それは致し方ないことだと思います。
ただ、それ以外の指標がないとは思っていない。ただ、今の時点でいいものができているかというと、そうでもない。例えば、今回やっていただいているような動きの中で、それが見える化というか、指標的なものにできるようなものであれば、もちろん私たちもそういうものはどんどん評価していきたいと思っていますので、そういう認識でまず考えていただいていいと思います。
それから、教職大学院について今後どうするかというところについては、いろいろなやり方があると思っています。まだ今の教職大学院の仕組みの中でできることをちゃんとやり切っているのか、もっと動けることもあるのではないか。今の仕組み自体が悪くて動きにくいかというと、必ずしもそうでもないと思っています。ただ、教職大学院が制度化されて10年経ちますので、今後どういうふうにしていくかということ、これはすごく重要な課題だと思っていまして、この在り方を検討していくことは必要かなと思っています。
最後の点は御要望として承りたいと思います。自ら開設をしていくということによる質をきちんと担保しなければいけない一方で、いろいろな連携のやり方があるのはそのとおりだと思っていますが、質をどう担保しながら連携を評価していくかについては、ある程度の枠組みも必要かなというところも感じています。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。
済みません。本当になかなか議論は尽きないのですが、もう5時大分近くなってきましたので、森山先生、それから、北神先生、酒井先生、それじゃ、3人、できるだけコンパクトに、森山先生から。
【森山委員】 まずは、今回、宇都宮大学、群馬大学の共同教育学部の御報告、非常に参考になりました。ありがとうございました。
1点、まず、今回は大学間連携ということでの議論の中での御提案でございましたが、他学部も含めた学内の連携・協力については、この共同教育学部のスタートに当たってどのような動きがあったのか、あるいはこれから次のステップとしてそのようなところが今後検討されるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
なぜこういうことをお伺いしたいかと申しますと、それぞれが総合大学としての強みがあるわけでございますので、それが発揮されるという観点も、共同教育学部の充実にある程度つながるのではないかという考えが一つあったため、お伺いしたいと思いました。
それから、2点目は、今回の論点例の件でございますが、やはり共同実施が有効かつ適当と考えられる教職課程の範囲です。これによって、やはり共同の教職課程を構成する大学群が満たすべき条件が、ある程度関わってきています。どのような条件を教職課程の適性範囲にするのかによって、教職課程を構成する大学群が満たすべき条件について非常に重要となります。今後はそこをもう少し検討する必要があるのではないかという感じがいたしました。
以上、2点でございます。
【坂越主査代理】 済みません。後半は御意見ということで、前半の、これも簡単には答えにくいかなと思うのですが、済みませんよろしいでしょうか。
【窪田群馬大学理事】 1点目の他学部の関係のところですけれども、入学定員の減というか、少子化の影響というのは、何も教育学部だけの問題ではなくて、ほかの学部も同じような課題を抱えております。そのときに、将来をにらんだときに、大学全体としてお互いに協力、助け合うというか、いろいろな資源を出し合って、より高校生にとって魅力のある学部にしていきたいということがあるんで、そういう意味での一つの実験例という意味でも、他学部の方から見ていただいているというふうに思います。
あと、もう一つは、この間、文科省の方からも出されていますけれども、学位プログラムという形で将来の教育を考えるという話があるんですけれども、それを考えたときに、やっぱり学部同士でうまく連携して、何か新しいものを作ると。そういうものを考えたときには、こういう共同教育学部を作って、そこのところにほかの学部のいろいろないいものを糾合するといいますか、それをやっていくのが一つ将来的に学位プログラムを実質的なものにしていくいい資源になるのかなというふうに考えております。
【坂越主査代理】 宇都宮大学さんの方は何か。
【藤井宇都宮大学理事】 ないです。
【坂越主査代理】 いいですか。
それじゃ、北神先生。
【北神委員】 ありがとうございました。多分、共同教育学部の一つのモデルケースになる事例ではないかと思うのですが、1点だけ、質の高い教育をしたというのは、結果としてどういう学生が育ったかというアウトプットの問題としていったときに、7ページにある履修表を見せていただくと、4つのコースいずれも卒業要件155単位という、相当ハードルを高くして編成されています。この4つのコースについて、修得単位数のところから取得免許の種類について把握させていただくと、例えば各教科のコースでは、小学校と中学校の1つの教科を取らせて卒業させるという免許取得ですよね。
その場合に、小学校と中学校の教科の組み合わせが、やはり質の高い学生とか、質の高い教育という形の具現化なのか、中学校の教科のさらなるレベルアップを図るという形での質の高さという部分、その部分は恐らく共同教育課程の、斉一授業の中でカバーされているんだというふうにも読めるんですが、そのあたりで学内的に、小学校教師の専門性の高さというのは何で把握していくのか。中学校の教師の専門性というのは教科の専門性、でも、これからは小中の義務教育学校という学校制度の変化も含めると、そういう複数免許という形での学生の質保証みたいな形で両大学の方はかじを切られて、こういうカリキュラムというところに落ち着いたのか、そのあたり、少し事情を教えていただければと思います。
【伊東宇都宮大学教育学部副学部長】 まず、宇都宮大学の方では、現行の課程でも、教科コースについては、小学校、中学校一種を卒業要件にしています。先ほども言いましたけれども、小学校の教科の専門性を高めるというのはなかなか難しく、やはり小学校の教員としても、1つ自分の得意教科を持っているというのが大きな強みだろうなというふうには思っています。その意味でも小中両方の免許を取らせることが重要だと思っています。
それから、中学校の教員にとっては、北神先生おっしゃったように、やっぱり小中連携の中でどういうふうに教育を捉えていくかというのが一つの専門性につながっていくのかなと思います。非常に漠然とした話ではありますけども、要するに、小中両方の免許を取らせていこうということを基本としたいと思っております。
【坂越主査代理】 群馬大学さんの方は。
【齋藤群馬大学教育学部長】 私からも一言。群馬県の場合のやや特殊事情としましては、群馬県教委の人事方針として、小中一括管理です。小学校の先生が中学校に、中学校の先生が小学校にという異動が当たり前ですので、両方の免許を取らせているというのもあります。
そういう中での小学校の先生の実態を拝見していますと、各小学校でやはり中学校免許を持った先生をその教科の授業づくりの軸に据えているというような傾向があるように見えまして、その意味では、小中両方の免許を取らせるということが、結果として教員生活、ずっと小学校で送る先生にとっても意味のあることなんじゃないかなと思っています。
それぞれの専門性をどう特徴を押さえて身に付けさせていくかというのは難題なので、ちょっと簡単にはお答えできないんですが、そういう事情もあるということだけ補足いたします。
【北神委員】 ありがとうございました。
【坂越主査代理】 それじゃ、酒井先生、最後に。
【酒井委員】 申し訳ございません。私、今回の御提案は、やはり方法論のところでしっかりしているところが一番大事だと思っていまして、特にメディアの双方向性を担保して、そこで授業をされる、講義されるというところが一番大事なところだと思っているんです。
これは事務局になんですが、例えば、論点例の5ページのところに、4大学の例というのが出ているんですけれども、私、これ、2大学だったら非常にうまくいくと思うんですが、4大学で双方向というのはなかなか難しいだろうと。要するに、一定の条件の中でこれは非常にシナジー効果があって、それを超えてしまうと、かえってただのメディアで流すだけのものになってしまうんではないかと。ですから、その辺の条件をやはりかなり厳格にしていきませんと、非常に安易なものに、やすきに流れるんではないかというのがございます。
全体として、ですから、これが質の向上にやはり向かうような形で、どうしても一旦制度ができてしまいますと、その中でフリーライドとおっしゃられたように、そちらの方向に向かおうという部分もございますので、それをどう食い止めるのかというところが非常に大事かなというふうに思います。
以上です。
【坂越主査代理】 ありがとうございます。ちょうど時間も参ってございます。改めまして、群馬大学、宇都宮大学の先生方、本当にきょうは貴重な、御苦労も含めてお話を伺いまして、ありがとうございます。私たちも本当に勉強になりました。
もう私の方でまとめることはしませんが、また最後に余計なお願いを言ってしまいます。御苦労の中で、そうだろうなと思ったことが幾つかありまして、その1つとして、私たち教員養成部会の方で、やっぱり教員養成の質保証ということを何度も強調して言っていまして、質保証の一つというのが、大学全体で教職課程をコントロールし運営していくような、そしてPDCAを回していくような、センターであるかもしれないし、常置委員会であるかもしれないけれども、そういう大学全体の質保証委員会、センターを是非これを機能させてくださいということをお願いしています。両大学さんの方でも、共同協議の場であったり、あるいは学長の下の組織であったりというところで苦労されていると思うのですが、是非、これは私たちの受け止める次の課題としてもそうなのですが、このあたりをしっかりしていきたいと。やっぱり授業でのシナジー効果も大きいと思うのですけれども、質保証で、例えば、教員の合同FDもそうだと思いますが、様々な形でそのシナジーというのが全体的な質保証になっていくというふうになればなと思いながら、伺っていたところです。
本当にきょうはありがとうございました。
もう時間、ちょっと過ぎてございますけれども、本日の審議はこれまでとしたいと思います。事務局の方で議論の取りまとめをお願いします。
第1回から今回まで一通りの御議論を頂いたところで、次の会議では、これまでの議論を踏まえて、ワーキングの方の取りまとめということを目指してのお話を頂きたいと思います。あと2回ぐらい予定していますが、そのことに関して事務局の方からお願いします。
【尾白教育人材政策課専門官】 今後のスケジュールにつきまして、資料3をごらんください。第7回の日程が12月6日、第8回が12月24日で予定をしており、ワーキングの取りまとめを頂く予定です。その後の予定としましては、年明けの1月にワーキングのまとめを教員養成部会の方に報告、2月にはこのワーキングのまとめを踏まえた施行規則の改正案、課程認定基準の改正案等のパブリックコメント、そして、3月には施行規則、課程認定基準の改正ということで現時点では考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【坂越主査代理】 本日はこれで閉会といたします。改めまして、両大学の先生方、本当にありがとうございました。

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