教員養成部会 教職課程の基準に関するワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和元年5月31日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館9階総合教育政策局会議室

3.議題

  1. 複数の学科等間の複数の教職課程において授業科目を共通で開設する仕組み
  2. その他

4.出席者

委員

山口宏樹主査、坂越正樹主査代理、安部恵美子委員、大森昭生委員、加治佐哲也委員、北上正行委員、佐古秀一委員、添田久美子委員、本図愛実委員、森山賢一委員

文部科学省

平野大臣官房審議官、柳澤教育人材政策課長、長谷教員免許企画室長、高田教員養成企画室長 ほか

5.議事録

【山口主査】 皆さん、おはようございます。定刻より若干早いんですが、ほぼおそろいですので、始めさせていただきます。中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の下にある教職課程の基準に関するワーキンググループ第2回です。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
まず、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

【尾白教育人材政策課専門官】 失礼いたします。資料の確認をさせていただきます。
端末のデスクトップに、本ワーキンググループの会議資料を開いてございます。議事次第から座席表、議事次第に記載のとおり、資料1から資料3まで、また、参考資料1から4までがございます。このほか、基礎資料としまして、教職課程認定申請の手引の冊子を机上に用意しております。
不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。
本日は、議事次第にあります議事の1番「複数の学科等間の複数の教職課程において授業科目を共通で開設する仕組み」、これに関しまして、まずは事務局から説明していただいた上で御議論いただきます。
前回の会議では皆様から様々な意見が出ましたけれども、その中には、免許法に関わるもの、つまり免許の種類や区分等に関する論点についても出ましたが、それについては教員養成部会等で御議論いただくこととして、本ワーキンググループでは、現行の免許の区分等を前提として、具体的な教職課程の制度設計に係る部分を御議論いただきたいと思います。是非御協力のほどよろしくお願いいたします。
もちろん、関連して、免許法に関わること、御意見いただいて当然結構ですので、その辺はよろしくお願いします。
それでは、議事の1に入ります。まず、事務局から説明をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料の1と2に基づきまして御説明を申し上げます。
まず、資料1の方をお開きいただければと思います。こちら、前回の第1回のワーキングのときの議論の中から、本日の議論のポイントになると思われるところを事務局の方で整理をさせていただきました。これも抜粋のような形になっておりますので、正確な表現ですとか文脈につきましては、参考資料1として議事録の全文を掲載してございますので、そちらの方を御確認いただければと思います。
幾つか前回お示しをした論点に沿った形で意見を整理させていただきました。まず、総論の部分、4点ほど出ておりますが、ここで出ておりますのが、最初のところに端的に集約されておりますように、このワーキングで、中教審の諮問にあるような免許制度の大きな改革を前提とするのか、それとも現行の制度を前提とした議論を行うのかの整理が必要といった御意見を頂いていたところです。
こちらにつきましては、先ほど主査に整理をしていただきましたように、まずは現行の免許制度ということを前提とした上で、教職課程を設置する大学の組織の在り方として、更にリソースを共有化していくのかどうか、仮に共有化をしていく場合に、その場合の質保証の在り方といった観点で御議論いただければと考えております。
もちろん、関連する形で、免許制度そのものに関する論点も出てこようかと思いますけれども、そういった論点につきましては、また教員養成部会の方にフィードバックをさせていただきまして、養成部会の方で、これから2年ぐらいの委員の任期の中で大きな議論をしていくということになっておりますので、そちらの方に反映させていければと考えております。
それでは、具体的な論点の方に入りますけれども、「教職課程を設置する基本的な組織単位、学部等連携課程」という中ほどのところがございます。まず、基本的な組織単位ですとか学部等連携課程との関連で頂いた御意見の中では、最初の丸のところですけれども、教職課程を設置する組織単位の問題というのは、教職課程の責任主体がどこかという問題と関連すると。この組織単位を学部や大学全体とすることによりまして、免許の相当性をどう担保するか、教職課程の責任主体をどう考えるかということも検討が必要であるといった御意見を頂いておりました。
それから、次の「授業科目の共通開設」の部分につきましては、共通開設を現行よりも広げていく方が良いのではないかという方向での御意見ということで、最初のところですけれども、中学校の教職専門科目については、現行の基準でも教員養成を主たる目的とする学部と一般学部の間で共通開設が行われているところからすれば、両者の間での位置付けの違いがあるとしても、もう少し広く共通開設を認めていくことも可能ではないかという御意見ですとか、あるいは次のところで、より質の高い教職課程を目指すという観点から、教育学部の科目を他学科の学生が履修することが適当であり、教科専門についてはその逆もあり得るのではないかというような御意見も頂いておりました。
それから、2ページ目の方に移っていただきまして、2ページ目の最初から4点ぐらいは、複数免許の取得の観点でありますとか、複数校種に関する理解を促進するという観点からの御意見を頂いておりました。
まず、最初のところですけれども、教員は小中をまたがって異動することがあるため、両方の免許を取得させたいのが大学としてのニーズであるけれども、共通開設が制限されているところが検討課題であるということですとか、複数の校種の免許を取ろうとしますと履修科目が多くなりますので、キャップ制との関係で問題が出てくるといった御指摘もございました。
それから、その次のところですけれども、これも、小学校と中学校の免許を両方取得するには単位修得の負担が大きいという観点から、その負担を軽減することが学びの深化にとっては適当であると。小中の教職課程では可能な限り一緒に取れる科目があった方がいいという御指摘を頂いた上で、留意点としまして、専門性が異なると思われるものもありますので、その仕分けが必要という御指摘を頂いておりました。
それから、現行では幼・小と中・高の課程認定の手続が違っているんですけれども、小学校に対する高い教科専門性でありますとか、逆に中・高について生徒指導等の対応が求められていることを踏まえれば、両者を別のものとして位置付けるのがいいかどうかについて検討が必要という御指摘も頂いておりました。
それから、整理があれですけれども、同じ共通開設のところの下から二つ目のところで、幼・小の免許の間の違いについても検討が必要ということで御意見を頂いておりました。
それ以外の残る三つのところにつきましては、この共通開設の拡大を考えるに当たっての留意点ということで御指摘を頂いた部分がございます。まず、上から5番目のところですけれども、教科専門科目については、教育学部の学生が、単に類似しているというだけで理学部の科目を履修すればいいというわけではなくて、教員養成の専門科目として適当なものは何かという検討が必要という御指摘でありますとか、その次のところで、学位プログラムから教科専門の科目の体系を独立させていくことになるというところでありますとか、最後のところの御意見ですけれども、現在では、教育学部と一般学部を設置している大学では、教育学部の教員は教育学部の教職課程を担当して、一般学部の教職課程は全学教職センターですとか一般学部の担当教員が実施しているんですけれども、両者の共通開設の垣根を外した場合には、教育学部の教員が全学部を担当するということが予想されてきますので、一般学部の教職課程の関心が薄れていくということが懸念されるといった御指摘がございました。
それから、最後の論点ですけれども、専任教員の配置というところに関わりまして、各教科の指導法の専任教員について、現行では教職課程ごとに専任教員とすることが必要ですけれども、小学校と中・高、それぞれについて質の高い教員を確保するのはなかなか課題があるという御指摘を頂いておりました。
それで、ここで頂いておりました御意見も踏まえまして、前回お示ししておりました五つの論点につきまして、更にもう少し具体的なところの論点例を整理させていただきましたのが、資料2の方になります。お手元の資料2の方を御覧いただければと思います。
論点例ということで、前回お示しをしました五つの論点につきまして、現行制度のポイントと、もう少し具体的な論点例というものをお示ししてございます。前回の少し繰り返しになる部分がございますけれども、なかなか複雑な制度でありますので、現行制度のポイントをまず御説明させていただいて、それから論点例のところにも入っていきたいと思います。
まず、教職課程を設置する基本的な組織単位の在り方のところでございます。まず、現行制度のポイントのところですけれども、教職課程は、学則において入学定員が定められた組織のうち最小単位である学科等を対象として認定をすることになっております。この趣旨は、学位プログラムの学習を基礎として教科の専門性や教職課程の質を保証するという考え方に立っておりまして、認定の単位となる学科の目的・性格と免許状との間に相当関係があるということが求められております。
論点例としてお示しをさせていただいておりますのが、1ポツのところで、現行では、学則において入学定員が定められた組織のうち最小単位となっておりますけれども、それよりも大きな組織単位で認定を受けるということを大学が選択できるようにするのが適当かどうか。仮にその場合には、どの程度の大きさの組織単位までを大学が選択できるようにするかということをお示ししております。これは、先ほどの現行制度のポイントのところですとか前回の御議論を踏まえますと、教職課程の責任主体をどこにするのかということですとか、学位プログラムの学習を基礎として専門性や質を保証するということについてどう考えるのかということが、御議論のポイントになってこようかと思います。
まず、現行ですけれども、参考で教職課程認定基準を挙げておりまして、下線が引いてありますけれども、学科等で単位認定をしていくんですけれども、その大学の学則において入学定員が定められたものでなければならないとなっておりまして、ここは、学科よりも下のレベルでコースといった形で入学定員が定められている場合であれば、その最小単位を基礎として認定を受けなければならないとなってございますので、学科よりも下のレベルで入学定員があれば、そこで更に認定をしていくという形になってまいります。
それで、大学の中の組織単位ということで、幾つか例を挙げておりますけれども、まずは、以下では大学院のところは割愛させていただきまして、大学を前提にした資料の作りになっておりますけれども、(1)の「学科、課程」というのが、一つの小さい組織の単位になろうかと思います。
学科、課程というのがどういうものかということになりますと、参考で大学設置基準を挙げてございますけれども、例えば専攻により学科を設ける、あるいは、その下のところの第5条のところで、学生の履修上の区分に応じて組織される課程となっておりますので、学科、課程というのは、一つは専攻でありますとか学生の履修上の区分の単位という位置付けになっております。
それから、その下に、設置認可のところの条文を、学校教育法の方と、その後、施行令のところで引いておりますけれども、学科の設置というのが設置認可の基本的な単位ということにもなっているということですので、学科、課程というのが、学生の履修上の単位、あるいは設置認可の上での単位、まとまりということになってこようかと思います。
それから、次の2ページ目の方に入っていただきまして、(2)のところですけれども、学科よりも大きな単位としましては、学部ですとか学校教育法第85条ただし書に規定する組織というものがございまして、学校教育法の参考のところを御覧いただきますと、大学には学部を置くことを常例とする。「ただし」以下のところで、次の下線のところですけれども、学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができるとなっておりまして、この学部ですとかそれ以外の組織というのが、大学を構成する教育研究上の基本的な組織単位という位置付けを与えられていると理解できようかと思います。
それから、学部より大きな単位ということになってきますと、(3)のところで、大学ですとか、大学院の場合は大学院全体ということになってまいります。
2のところで別の論点になってきますけれども、仮に現在よりも大きな組織を認定の基本的な単位とする場合には、教職課程を統括する責任体制というのをどのように確保するのかというところが課題になってこようかと思います。例として、全学的に教職課程を統括する組織や体制を充実させるということを、前回の御指摘を踏まえて挙げさせていただいております。
ただ、ここの全学的に教職課程を統括する組織や体制の充実というのは、この後の議論でも出てまいりますけれども、仮に組織単位というのを現行のとおりに学科等を基本とする場合でも、学内のリソースを共有化していく場合には、こういった組織が必要であるというのは、前回の議論でも出てきていたところでございます。
それでは、次の二つ目の論点の方に移らせていただきます。3ページ目のところです。教科専門科目の共通開設の在り方というところです。まず、現行制度のポイントのところですけれども、学位プログラムを基礎として教科の専門性を保証するという観点から、教職課程を設置しようとする学科等が自ら教科専門科目を開設するということが原則になっております。
ただ、他学科等で開設する授業科目を当てることが教職課程の科目内容の水準の維持・向上等に資する場合には、一定範囲で他学科等で開設する授業科目を使うということができるようになっております。
前回、幼稚園と小学校の間にも違いがあるという御指摘がありましたけれども、幼稚園と小学校の教職課程、従来は小学校の教科に関する科目を幼稚園でも履修することになっておりましたので、幼稚園と小学校の教科専門については共通開設が可能になっておったんですけれども、平成29年の省令改正によりまして、幼稚園の専門の方を、領域に関する専門的事項ということで小学校とは別の科目にした関係で、まず、幼稚園・小学校の間では共通開設ができないと。それから、小学校については、特に全教科の専門科目10教科分を学ぶということを考慮した上で、中学校・高校のように1教科だけを学ぶところとは区別しておりますので、結果としまして、幼稚園と小学校、あるいは小学校と中・高の間というのは共通開設ができないという形になっております。
ただ、後で申し上げますけれども、幼・小の間は、共通開設はできないんですけれども、専任教員につきましては、ダブルカウント、同じ教員を当てることができるようにはなっているところでございます。
以上の現行制度を踏まえまして、現行制度ではできないような共通開設を更に広げていくかどうかということを考える上で、現行制度では共通開設ができないところについてを論点例として、あえて挙げさせていただいております。
まず、1ポツのところですけれども、他学科等で教科専門科目としてより適切な科目が開設されている場合に、それを活用する観点から、学科等間の共通開設を現行より広く認めるのかどうか。例えば、他学科等で教科専門科目としてより適切な科目が開設されている場合というのが、特に一般的包括的内容の科目というのを教科専門の方で押さえないといけないんですけれども、例えば法学部とか経済学部のような一般の学部でいきますと、法制史でありますとか経済史のような専門に特化したような歴史系の科目を社会の科目に当てていたりということもございますので、より概論的な一般的包括的な科目というのが他学科で開設をされている場合には、それを持ってくるということが、一つ、より適切な科目が開設されている場合として考えられるところはあるかと思います。後でも指摘をしますけれども、ただ、逆も言えるわけですので、常に他学科の科目を使うということが適切であるというわけではないことは留意が必要になってまいります。
例1としまして、現行の基準でできないところを挙げておきますと、他学科等で開設する科目のうち、教職課程の科目として認定されているものを、教職課程の科目に当てるということができないと。右に例を示しておりますけれども、aですとかbとかcというのは、それぞれA学科、B学科、C学科の開設科目を指しております。例えばA学科で教職課程の科目として開設されているa1、a2、a3、a4につきまして、B学科の方でa4を同じ教職課程の科目として使おうとしますと、A学科の方で既にa4というのが教職課程の科目として使われていますので、B学科の方ではこれが使えないという制約が掛かっております。一方で、c7という科目につきましては、C学科の方では教職課程を持っておりませんので、これは使えるということで、そこが違いになっているところでございます。今はできないような、このA学科で専門科目として使われているものを、B学科の方でも同じように教職課程として使うということを認めるかどうかということを、一つ論点として挙げさせていただきました。
次の4ページ目の方に入っていただきますと、例2ということで、「科目区分の半数未満としている上限について、例えば科目区分の半数を超えていても開設授業科目の単位数の半数未満であれば可能とするなど、別の限度を設けること」と書かせていただいております。これは現行では、下で中学・高校それぞれの国語の例を挙げておりますけれども、中学校の国語であれば、国語学、国文学、漢文学、書道と四つの科目の区分がございまして、このうち半数未満ですので、ここでは国文学と漢文学について、aとbという他学科で開設している科目を当てているんですけれども、これは四つの区分のうちの二つということですので、これは認められるということになっております。一方で、右側の高等学校の国語の方でいきますと、国語学、国文学、漢文学という三つの区分になっておりますので、中学校と同様に、例えばA学科、B学科の科目を持ってこようとしますと、三つの区分のうち二つの区分に対して使うことになりますので、これは認められないということになっておりまして、このように中と高の間で扱いが異なってくる場合というのもございます。ここについて、いろいろ大学の方でも誤解があったり苦慮されているところが、再課程認定の中でもございました。
これは科目区分ということでの半数未満としておりますので、例えば別の上限も考えるということも、ある程度可能なのかもしれません。例えば、現行では開設授業科目というのを中・高では20単位以上開設しないといけないというのが基準の上で求められているんですけれども、単位数の半数未満であれば科目の区分にかかわらずに認められるということも、一つの可能性としてはあるのかもしれません。
いずれにしましても、学科としての専門性を確保する必要がございますので、何らかの形で、他学科の科目を使うということに関しては歯止めが必要なわけでありますけれども、その歯止めの掛け方について、幾つかの選択肢、バリエーションがないかということが、ここでの例2に挙げているところでございます。
次の2ポツのところに入りますと、「他の学校種の免許状取得を促進する観点から、異なる学校種間の共通開設を現行よりも広く認めるか」と書いてございまして、先ほどは特に複数の学科等間での共通開設に焦点を当てておりましたけれども、こちらの方は学校種間の共通開設について取り上げております。
例えば、先ほど申し上げましたように、幼稚園と小学校、あるいは小学校と中・高の間というのは、同一の学科、複数の学科の間を問わず、共通開設が認められていないところでございます。例えば、今、バツが入っているところですけれども、小学校と中・高の間で、小学校の理科と中・高の理科について共通開設をすることが適当かどうかということが一つの論点になろうかと思います。
ただ、この場合には、先ほども申し上げましたけれども、他学科で開設している科目の方が適当な場合もあれば、例えば、前回も御指摘ありましたけれども、教育学部の学生が理学部の理科の専門科目を取りに行くということが果たして適当かどうかということは、逆の方は考えないといけないということはあろうかと思います。
その上で、3のところで、現行よりも共通開設を広く認める場合に、学生の履修環境及び担当教員の負担への配慮や全学的な教職課程の責任体制について、どのように確保するかということの論点を挙げさせていただいております。この学生の履修環境でありますとか担当教員の負担というのがどうかというところでございます。
これにつきましては、前回も少し御説明申し上げましたけれども、例えば共通開設を広く認めていきますと、複数の学科から学生が一つの科目を取りに来るということになりますので、一つのクラスにおけるクラスサイズが大きくなっていくということ、それに伴いまして、一人の先生が担当しないといけない学生数が増えていくということがございます。
あるいは、他学科の科目というのが、通常は学位プログラムの外側に位置付けられていることが多いとは思うんですけれども、その場合に、他学科の科目を取りに行く学生については修得単位数が非常に多くなってくるということでありますとか、時間割の関係で、他学科の科目というのはなかなか他学科の学生が取りに行きにくいということもあろうかと思いますので、そういった学生の履修の便宜といったことにどのように配慮していくのかといったことがあろうかと思います。
例として、どのように確保するのかということで挙げさせていただいておりますけれども、現在でも教職課程の情報を公表するというのは省令上義務付けられておりますけれども、そこに履修環境等に関する情報についても公表の対象にしていくことでありますとか、あるいは、先ほどの組織単位の在り方のところでも出てまいりましたように、全学的に教職課程を統括する組織や体制を充実させることで、全学的に責任の所在を明確にすることでありますとか、履修環境を確保していくといったことも、検討の対象になってこようかと思います。
それでは、次のページの方に入っていただきまして、三つ目の論点としまして、教職専門科目の共通開設の在り方になります。先ほどは教科専門の方でありましたけれども、今回は教職専門の方になります。
まず、現行制度のポイントでございますけれども、幼稚園及び小学校の教職課程を設置することが可能な「教員養成を主たる目的とする学科等」とそれ以外の学科等の間では、教職専門科目の学位プログラム上の位置付けが違うということを考慮しまして、学科等をまたがる共通開設には一定の制限が掛かってございます。それから、同一の学科等の中では、かなり広く共通開設が異なる学校種間で認められておりますけれども、教育実習、指導法等については認められていないというところがございます。
それで、論点例としまして、現在認められていない共通開設のところについてどう考えるかということで、例として挙げさせていただいておりますのが、まず、1ポツのところで、他学科等で教職専門科目としてより適切な科目が開設されている場合に、それを活用する観点から、「教員養成を主たる目的とする学科等」とその他の学科等の間での共通開設を現行よりも広く認めるかどうかというところで、例えば例として挙げております次のような開設方法は、現在では認められていないところになります。
まず、右側の図で申し上げますと、A学科というのが小学校の教職課程を設置している教員養成を主たる目的とする学科、ここでは教育学部と呼ばせていただきます。B学科の方が教育学部ではない一般学部、例えば中学校の理科でありますと理学部が考えられるわけでありますけれども、丸1に書いてございますように、A学科、教育学部の小学校の課程と中学校の課程で共通開設をしていて、同時にAとB、教育学部と理学部の間で、中学校で共通開設をするということはできないということになっております。
それから、丸2の方ですけれども、A学科、例えば教育学部の中で、小と中の間で「教育の基礎的理解に関する科目」の部分を共通開設している場合には、教育学部とBの理学部との間で、中学校の各教科の指導法の方についてもこの制限が及んでまいりまして、両者の間の共通開設ができないと。この赤で囲っている部分が、上と下についてもできないということになってまいります。
前回の御議論でございましたように、例えば教育学部と理学部との間でも、小学校の要素を加味したような「教育の基礎的理解に関する科目」でありますとか、小学校の観点も学習するということが重要になってきているということをどう考えるかということでありますとか、前回も少し説明させていただきましたけれども、中学校の方で「教育の基礎的理解に関する科目」を修得している場合には、それを小学校の免許を取る場合にも、共通開設しているか否かにかかわらず流用できるということも省令上認められておりますので、その点についてどのように考えるかということが論点になろうかと思います。
一方で、教育学部と例えば理学部の間では学位プログラム上の教職科目の位置付けというのが違うということについては配慮が必要という一方での要請を、どのように調整するのかというのが御議論のポイントになろうかと思います。
次のページ、6ページ目に入っていただきますと、2ポツのところで、今度は他の学校種の免許状取得を促進する観点から、異なる学校種間の共通開設を現行よりも広く認めるかということで、前回、御指摘が多くございましたのが、小学校と中・高の間での免許状取得を促進するという観点から、今はバツが入っていて認められていない部分についての共通開設というのを認めていくかどうかということが、御議論のポイントになろうかと思います。
これは両校種間の免許状取得を促進するというメリットがある一方で、前回も御指摘がありましたように、小学校と中・高の間で専門性が異なってくるという科目もあろうかと思いますので、それについてどう考えていくかということが御議論のポイントになろうかと思っております。
3ポツのところにつきましては、現行よりも共通開設を広く認める場合、学生の履修環境及び担当教員の負担への配慮や全学的な教職課程の責任体制をどのように確保するかということで、これは先ほど教科専門に関して御指摘させていただいたことと同じ課題でありますけれども、今回は特に教員養成学部と一般学部との間での学位プログラム上の教職科目の位置付けの違いということがありますので、その課題というのはより明確に出てくるところになろうかと思います。
次に、4の専任教員の配置の在り方の方に移らせていただきます。現行制度のポイントのところですが、まず、原則としまして、認定を受けようとする教職課程ごとに、当該学科等に籍を有する専任教員を教科専門科目、教職専門科目ごとに必要数配置するということが原則であります。
それで、まずは、科目を共通開設等する場合には、他学科等に籍を有する教員でありますとか他の教職課程の教員を、認定を受けようとする課程の専任教員とすること、専任教員の共通化と呼ばせていただきますけれども、これが一定の範囲で可能になっております。共通開設が認められていない場合でも、担当する科目の専門分野に近接性がある場合には、専任教員の共通化が一定の範囲で可能となっておりまして、例えば先ほど申し上げました、幼稚園の領域に関する専門的事項と小学校の教科に関する専門的事項の間では、共通開設はできないんですけれども、専任教員は同じ教員が担当できることになっております。
それから、必要な専任教員の数でありますけれども、入学定員に応じまして、教科専門科目と教職専門科目を担当する教員を、それぞれ必要人数配置することになっております。
論点例としまして、1ポツのところで、科目の共通開設が認められていない場合についても、必要な業績を有している場合には、専任教員の共通化ができる余地を現行より広く認めるかというところを出させていただいております。先ほどの2と3の論点のところで、科目の共通開設が広がってくる場合には、今の課程認定基準の考え方でいきますと、必然的にそこは専任教員を共有化するということが付いてくるわけですけれども、仮に科目の共通開設を認めない部分についても、専任教員の共有化というものを現行よりも広く認めていくのかというところがございます。
例えば現行で科目の共通開設が認められていなくて、専任教員の共通化も認められていないものとしまして、小学校の教科専門科目と中・高の間の教科専門科目でありますとか、前回も御指摘ありました小学校の教科の指導法と中・高の教科の指導法のところは、それぞれ別の専任教員を置かないといけないとなっているところを、共有化を認めるかどうかというところが一つの論点かと思います。
それから、2ポツのところで、入学定員に応じた専任教員の配置の方法について、大学に一定の裁量の余地を認める観点から弾力化を認めるかというところを出させていただいております。これは例えば下の表にございますように、幼稚園と小学校につきましては、最低、教科専門・教職専門について、幼稚園はそれぞれ3人以上、小学校は教科専門5人以上、教職専門は3人以上となっておりまして、これは入学定員50人までの数になっております。入学定員が50人を超えていきますと、右のところの米印にございますように、教科専門と教職専門、それぞれについて一人ずつ増員をしていくことが求められております。
例えば、例ということで、大学に一定の裁量の余地を認めるという観点でいきますと、入学定員が50人を超えた場合に追加的に必要になってくる専任教員につきまして、担当する科目区分を大学の裁量によって決められるようにするのかどうか。例えば教科専門を強化したい大学であれば、最低の3人、5人は必要ですけれども、追加的に必要になってくるところを教科専門の方に寄せるですとか、逆に教職の方を強化したい大学であれば、教職の方の教員の方に寄せるとかいったことを可能にしていいのかどうかというところを、一つ御議論いただければと考えております。
それから、次のページで、3ポツのところで、現行よりも専任教員の共通化を広く認める場合、学生の履修環境及び担当教員の負担への配慮や全学的な教職課程の責任体制について、どのように確保するか。これは今まで申し上げてきたところと同じ、共通の論点になってまいります。
ただ、今回の場合、先ほどは科目の共通開設ということで、一つの科目当たりの学生のクラスサイズが大きくなるという問題があったんですけれども、今回は、科目はバラバラなんですけれども、両方の科目を一人の教員が担当するということになりますので、教員の負担が増えるということに関してどう配慮していくのかということが論点になってこようかと思います。
それから最後のところになります。5のところ、学部等連携課程に教職課程を設置する場合に課程認定を行う単位、科目の開設、専任教員の配置の在り方等についての論点になります。前回御説明ございました大学設置基準等改正案のポイントのところでございます。大学は学部等に加えて、学部等が連携して編成する教育課程「学部等連携課程」の設置が可能になると。この場合には、学部等連携課程の専任教員は類似する学部等に相当する数を配置するんですけれども、教育上支障がない場合には、学部等連携課程と緊密に連携する学部等の間で専任教員が兼ねることが可能になるということになっております。
それから、学部等連携課程に所属する学生数につきましては、その課程と緊密に連携する複数の学部等の収容定員の数を合計した数の範囲内で弾力的に定めることができるとなっております。それから、学部等連携課程の設置に関する審査プロセスについては、簡略化を図る方向で検討がなされているところでございます。
これを踏まえまして、論点例としまして、まず、認定の単位、科目の共通開設について、この学部等連携課程の場合にどう考えるかということにつきましては、学部等連携課程というのが、他の学部・学科等と別の学位プログラムを作るということを踏まえまして、認定の単位を学部等連携課程を単位として認定するのか、あるいは、ほかの学部・学科等も含めて広い単位で認定していくのがいいのかどうか。あるいは、科目の共通開設については、他の一般の学科等と同じ扱いをするのかどうかというところ。
それから、専任教員の配置につきましては、学部等連携課程と緊密に連携する学部等との間では、設置基準の方で専任教員のダブルカウントが認められる方向性であるということを踏まえまして、教職課程の方でも専任教員のダブルカウントというのを可能にするのかどうか。
それから、教職課程認定の手続の方でありますけれども、設置審査プロセスの簡略化が図られる方向であることを踏まえまして、例えば提出書類の簡素化をするなど、何らかの形での審査の簡略化を図ることができないかどうかということを御議論いただければと思います。
次のページに掲載しておりますのは学部等連携課程の概念図でありますので、御参照いただければと思います。
事務局からは、以上でございます。

【山口主査】 ありがとうございました。ただいまの長谷室長からの説明に関しまして、御意見、御質問等がございましたらお願いします。残りの時間は全てこの議論に費やしたいと思いますので、是非積極的に御発言を頂ければと思います。どの論点からでも結構です。是非発言をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【佐古委員】 質問よろしいでしょうか。私、以前からよく理解できていないところがあって、質問させていただきたいんですけれども、専任教員というものの要件というのは何か定めがあるんでしょうか。

【尾白教育人材政策課専門官】 お手元の教職課程認定申請の手引、緑の冊子です。そちらの129ページにございます教職課程認定審査の確認事項の3の(1)でございます。専任教員とは、原則として当該学科等に所属し、以下の事項を満たす職に従事する者とすると。丸1として、当該学科等の教職課程の授業を担当、丸2として、当該学科等の教職課程の編成に参画、丸3として、当該学科等の学生の教職指導を担当というところで定義してございます。

【山口主査】 よろしいですか。

【佐古委員】 ありがとうございました。質問しましたのは、大学の教員の雇用形態というか、状況も非常に多様化しています。ただいまの説明では、専任教員は常勤であることを特に求めないという理解でよろしいんでしょうか。

【尾白教育人材政策課専門官】 基準としてはここに書いてあるとおりでございますので、場合によってはそういうこともあり得ます。

【佐古委員】 分かりました。ありがとうございます。

【山口主査】 そのほか、御質問でも御意見でも結構です。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 1点補足させていただきますと、当該大学の常勤でないとしましても、専任教員として教職課程でなれるのは一つの大学だけになりますので、複数の大学をまたがって専任教員になることは、今はできないことになります。

【山口主査】 いかがでしょうか。全て関連していて、最小単位を広げていくと、逆に共通開設というのが自動的にできてしまう、逆に狭めたままだと共通開設の枠を広げてあげなくちゃいけないという、どっちにも関連します。そういう中での議論になろうかと思ったんですが、いかがでしょうか。

【坂越主査代理】 教職課程の基準を柔軟化しようとするときに、幾つかの箇所で出てくるんですけれども、全学的に教職課程を統括する組織体制を充実させるという、これは本当にずっとこれまでも言われてきていることです。これは実際のところ例えば要望事項というか、ガイドラインというか、「そうあってほしい」という、今、私の理解はそのレベルかと思うんですけれども、これを実効あるものにするということが果たして考えられるのか、あるいはそのために何か方策があるのか、現状と、それから、それをもしきちっとするとすればということでお話しいただければ。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 現状で申し上げますと、例えば教育職員免許法の施行規則でありますとか教職課程認定基準上は、こういう全学的に教職課程を統括する仕組みというのは、特に何も位置付けは与えられていないところでございます。ただ、平成27年12月の中教審の答申の中で、こういった全学的に教職課程を統括する組織というのを設置するということを義務化するということも御提言を頂いておりまして、そこについては、まだ具体的な手当てができていないというところになっております。ですので、仮に全ての大学に対してこれを求めていくことになりますと、省令あるいは課程認定基準の中に位置付けて制度化していくことが、一つの手法にはなってこようかと思います。
ただ、そのためには、まず、現状で各大学、どういった組織体制が取られているのかといったことを押さえていく必要もあろうかと思いますし、仮に義務化していく場合に、どういった機能をその組織が持たないといけないのかということも考えないといけないと思いますので、その点につきまして、今回のワーキングの論点の中の三つ目のところ、質保証に関する仕組みというところの中で詳しく御議論いただきたいと思っておりまして、そこにつきましては、後でスケジュール出てまいりますけれども、次回あるいは次々回のところで、ヒアリング等々を含めて詳細な御議論を頂ければと思っております。

【坂越主査代理】 ありがとうございます。

【山口主査】 どうぞ、お願いします。

【森山委員】 今の坂越先生のお話に関わって室長から御回答いただいた点に関するところですけれども、例えば今回の教職科目の共通の開設、あるいは教科専門の科目の共通の開設の在り方を議論しますときには、先ほどの議論が非常に重要ではないかと思います。したがって、全学的に教職課程を統括する組織というのを設定しませんと、今のようなところの共通開設の質の保証とか、あるいは大学内での定着とか、あるいはこれを置いた場合に誰が責任を持つのかというところでの議論に関係してくるのだと思います。そういう意味では、教職課程を統括する組織をある程度設置して、専任教員を配置することが必要ではないかと。
現状では、先ほどお話がありましたとおり、各大学では全学的な教職センターの設置に向けて努力をしているわけですけれども、場合によっては設置義務が必要になってくるのではないかとも思います。しかし、これも佐古先生のお話のとおりで、いろいろなケースがありまして、センターの専任といっても、例えば教育実習指導のそこだけを担当していたり、あるいは教員の採用試験を中心に、そういうものに特化したような教員を配置したりということで、大学によって相当なバラバラな状況でセンターが運営されているのではないかとも思います。
そういう意味では、そういう方々で、この共通開設の討論全体を把握することはもちろん無理なわけですから、それなりの学科等に在籍する教員が、例えば教職課程を担う教員として、センターの兼任であろうが何であろうが、そこに担当する形の教員が配置されることが必要ではないかと考えています。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。うちの大学を思いながら聞いていたんですけれども、学長としては、全学的に責任を持つところを作るというのは、なかなか正直難しい面がある。というのは、教育学部は間違いなく強いです。ほかの学部、例えば理学部とか教養学部があって、教職課程認定を受けているところはあるんですけれども、量的には絶対的にアンバランスです。そんな中で全学で責任体制というのは、正直なところ、そう簡単にはコンセンサスを得られなくて、多分、教育学部中心の全学体制を作るしかなくなる。だから教育学部の負担が増えますという話にしかならないだろうと思います。
ただ、それはうちの場合を見た場合であって、大学によって状況はバラバラだと思うので、ここの議論は、そういう可能性をもたらすべきかどうかでいいんだろうなと。ある部分はできないけれども、それは選択肢としてそうやらなくてもいいような形にしておいてもらえれば、多分、今よりはより良い教員養成ができるのかと勝手に思いました。
大森先生のところも同じような状況じゃないですか。

【大森委員】 いや、規模が全然違うのであれですけれども、本学の場合には全学の規模が本当に小さいからですけれども、学科等が分かれていて、初等をやっている方と中等をやっている方があって、それはバラバラにやっているかというと、全学組織としての教職課程運営センターが置かれていて、そこに両方の教員、どうしても教職を専門とする先生が中心にはなりますけれども、加えて、教職課程というのは教務と非常に密接な関係があって、時間割上の問題とか、それから学位プログラムとの関係とかなので、教務を担当している教員や職員もそこに入ってカリキュラムを組んでいきます。そこから教育実習とかも、中等の主たる目的とする学科等じゃないところの教員、私もそっちに入っていますけれども、来週も青森まで教育実習の指導に行きますけれども、そういうところの、あなたのところの学生がこうだから行きなさいというのはセンターから来て、はいと言って私も行くというような、なので、何となくセンターができているので、学生の指導というところに問題があるという感覚が余り湧かないから、どんどん共有しちゃった方がむしろいいだろうという感覚は正直あります。
ただ、これが、何学部もある総合大学さんと、うちのような学生数千何百人という大学とでは大きく違うというのは重々承知の上ですけれども、できるところはそのようにできるんじゃないかと。そうすると、前回から私が小・中ももっと共有化していいんじゃないかと言っているのは、今、そんなに一緒にやっているのに、すごく別々にやらなきゃいけないことになっていて、とても学生も教職員も引き裂かれ感があるというところがあって、主張しているところがあります。だから、そういうセンターがちゃんと機能するといいんじゃないのかということはあります。
ただ、確かにそこのセンターの先生方、でも、例えば教務部に配属になった先生は、それはそれでまた大変だったりとか、それぞれあるのかとは思っていますので、だから、その大学が教職課程をどれだけ本気かというか、中心に据えているかというところはあるのかと思って、本学も思い切り柱なので、そういう。そのほかに教職支援というのを、つまり課程の運営をする組織と学生の教職を目指すための支援をする組織を更にもう一つ置いていて、そっちではいろいろな、それこそ採用試験への指導とか、それはカリキュラムとは別のところの話なのでと思って分けていますし、カリキュラム上、採用試験のカリキュラムに入れ込むのは違うと思っているので、別にしてということでやっています。

【山口主査】 先ほど長谷室長がおっしゃっていた全国の教員養成やっているところの実態みたいなのは、今の時点では把握できているんですか。その全学体制という。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 昨年度か一昨年度か、文部科学省の方で大学基準協会に委託の調査をしておりまして、その中で、各大学のこういう全学的に統括する組織の組織体制ですとか、どういう活動をしているのかといったところを調査していただいていますので、できればその調査についても、大学基準協会の方から一度御報告いただければとは考えてございます。

【山口主査】 分かりました。ありがとうございました。多分、その上で、先ほど坂越先生の御指摘になったのは、それをいかに実質化するかということであろうかと思いますし、こういう基準を若干広めに捉えようとすると、ますます重要になるという御指摘は、皆さん、共通認識持っていると思うんですよね。それをいかに実質化するかのところでもう少し踏み込んだ御意見が頂けると、次に向かってやりやすくなるかと思うんですが、その辺、何かお考えある方いらっしゃいますか。

【大森委員】 1点、お尋ねをしてもよろしいですか。さっきの話で、センターですけれども、もしセンターに所属する専任教員を置かなきゃいけないという基準になったら、うちは絶対置けないので、兼務じゃなかったらとてもということでして、1点お尋ねは、先ほど共通開設するときに、専任教員との関係というのはすごく密だと思うんですけれども、学則上、定員を置いている最小単位ごとに課程を認定するということでいくと、例えば国立大学さんの場合、どのようにされているのか教えていただきたいんですけれども、英語課程とか国語課程ごとに学生募集をされていたりしますよね。英語コースとか、中等専修の英語課程15名とかですね。そうすると、英語課程の中に教職の先生3人と英語の先生4人で7人置いていると、すごい教員数になると思うんですけれども、これは置かれているのか、どのようにされているか。

【坂越主査代理】 それはありません。入学の窓口は定員を小分けしていますので、それぞれの課程認定は受けています。ただ、教職専門というか、基礎系ですね、これに関しては、学科、課程を越えての共有化ということになっていますので、それはそこまでのカウントはしません。ただ、教科教育の指導法は、例えば国語の課程だったら、国語科の指導の教員は必要数きちっと置いているということです。

【大森委員】 そうすると、教育学部じゃないところでも、基礎系の先生の共有化というのは可能になってくるんでしょうか。

【坂越主査代理】 今の制度上では、他学部に関しては、他学部は他学部で認定を受けていますので、そこには、同じ人間が行っているかどうかは別として、きちっとその分の教員としての課程認定は受けているという形ですね。

【大森委員】 他学部で複数の学科で別々の課程を受けているとして、学科が最小単位なので、先ほどの課程が最小単位でも教職の先生を共有できるということは、理論的には、例えば50人の学科とか80人の学科って規模は大きいですけれども、学科ごとに今は教職と教科と両方置いていますけれども、教職は本当は共有できることになるんですか。

【坂越主査代理】 間違っていたら、直してほしいんですけれども、他学部というのは、国立は中・高免許が多いですから、そこの部分は学科をまたいで共有開設が可能ということですね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 前回、酒井先生がかなり端的にまとめていただいたんですけれども、今の教育学部を持っている総合大学の姿でいきますと、まず、教育学部、教員養成をやっている学部の中では、教職の専門の科目の先生方と教科専門の先生方というのはそれぞれちゃんとそろっているという状態になっていまして、それ以外の一般学部、理学部ですとか文学部、そういったところにつきましては、中学と高校の課程のみを置いているのが通常ですので、そこにつきましては、教科専門の先生方はそれぞれの学科ごとに備えておられて、それは当然、その学問のバックグラウンドを持っておられる先生方ですので、当然、その学部の固有の先生方がおられて、教職の専門の部分につきましては、中・高は全学的に共有することが可能ですので、大体教職センターのようなところに配置をされて、その先生が一般学部の教職科目を全て担当されているという状態になっているのが多いかと思います。

【山口主査】 ありがとうございました。

【本図委員】 今の全学的なガバナンスといいますか、そこのところは、先生方がおっしゃっておられるところ、今、両方の御意見があるかと思うんですけれども、ごもっともだと思うんですが、こういう議論をすると、いつも新たに規制を掛けてしまうので、なるべくこういう時代ですので、規制にならない形でできることがいいかと思っていまして、今ある組織の中で、それぞれ大学が持っておられる組織の中で、きちんとPDCAの中で徹底していっていただけるか、そのことを課程認定とか認証評価とか、いろいろな仕組みがあると思いますので、そういった工夫をできるといいのかという気はしております。
そういうときに国立大学が率先して、中期目標での評価も受けますので、その中で必ずカリキュラム委員会的なものがきちんと精査しているかとか、経営のところで外部の委員もいますので、そういった委員が見ているのにも分かりやすく示せるのかというのは、チェック項目でまずは示していくことで、形でこういう組織を作りなさいよりも、チェック項目というようなことで、まずできることはあるかという気がしております。
もう二つあるんですけれども、違う論点で、是非、細かところは何度聞いても難しいところもあるんですが、今、示していただいた中で、小・中の免許は何とかもっと取りやすい方にしていくという大きな方向性は、皆様と確認させていただけるといいかという気がしまして、その中で、またテクニカルなところが更に出てくると思うんですけれども、前回の議論でもありましたけれども、義務教育学校のようなことやいろいろなことを考えると、できるだけ小・中の免許を持って卒業できるという仕組みを考えていけたらというところがございます。
それから、きょうの御説明の中に余りないんですけれども、中・中で2枚取れるという仕組みも、例えば一般的包括的なところを中の数学と理科で読むことができるとか、あるいは、数学と理科ではよろしくなければ、是非希少免許のようなところで、理科と技術はある程度できるとか、数学と技術はできるとかというような、一般的包括性から考えてもおかしくない部分で共有化できるところをもう少し検討できていくといいかというところがございます。また、可能性があるところがありましたら、事務局の皆様から教えていただきたいところです。
長くなって申し訳ありません、3点目ですが、今度、規制はけしからんと言っておきながら、最後の、今、設置審で御検討されている学部等連携課程ですが、ここには通信課程も入ってくる可能性があるんだろうと思うんですけれども、これまでの通信課程の中でも、多分、優れて本当に現場の需要に応えている通信課程も多いと思うんですが、本当にそれが通信でピアノの演習ってできるのかというような事例を見たり、書類上拝見したりしたこともないわけではなくて、この学部等連携課程の中で、通信が恐らく出てくると思うんですけれども、そのときには、いろいろな多様な学部が出て、現場のニーズに応えていくということは大変いいことだと思うんですが、その辺の議論というようなことが何かありましたら教えていただきたいと思いました。

【山口主査】 ありがとうございました。三つ御意見を頂いたんですが、1点目は全学体制の話で、規制も一つの方法だということだとは思いますけれども、それ以外の方法として、後の質保証的な部分での認証評価的な部分で担保していく方法もあるのではないかという御指摘だと思います。一つの考えだと思います。基本的には責任体制をどう取るかということに尽きるわけですから、やり方はいろいろあるという御意見だと伺いました。
全学体制についてはこのぐらいにしておいて、2番目に御指摘いただいた小・中あるいは中・中の話、これは前回もかなりいろいろな御意見いただきました。この辺でもう少し追加で御意見いただければよろしいかと思うんですが、いかがでしょうか。

【佐古委員】 ありがとうございます。小・中の免許取得を推進するというのは私も賛成です。その折に考えておくべきことは、これは小・中に限ったことではないと思うんですけれども、教員一般に共通するような資質・能力を教育する部分と、それから学校種に特化したものと、それはそれで考えておかなきゃならないと思います。
そうすると、6ページでお示しいただいた他の学校種の免許取得の促進ということで、特に上の「教育の基礎的理解に関する科目」の多くのものは、教員一般におそらく普遍的に考えることができるものだと思うので、そういう部分は共通開設できるのではないかと思っております。
問題は、実習のところです。教育実習で同一の学科等のところにも、区切りがありまして、幼・小と、それから中・高に壁があります。学生にとってみますと免許取得の負担が大きいこともあるので、例えばかつてのように隣接種の学校の実習で可というような、もちろんそこに工夫をどう加えるかという議論があるかと思いますが、そういう方向で取り扱っていただければいいのではないかと考えております。

【山口主査】 いかがでしょうか。これは過去の歴史があってこうなっているということですよね。私は余りよく存じ上げないんですが、この辺はどうですか。

【尾白教育人材政策課専門官】 現行は、御指摘のとおり、教育実習に関しましては、同一の学科内では幼・小と中・高に関してはできるんですが、そこを越えての共通開設までは認めていないというところで、小学校と高校とか幼稚園と高校とを比較すれば、内容的に違うんじゃないかというところから、現在は認められていないというところです。

【山口主査】 どうぞ。

【佐古委員】 ですから、例えば高校の実習して幼稚園の先生になりたいというのは、もちろん、無理があると思いますので、全て共通化するというわけではなくて、隣接する学校種辺りで抑えておくというのが妥当かと思います。それから、教育実習の狙いにもよりますけれども、教員の仕事を知るとか、あるいは学校の動きを知るとかという、これはもちろん学校種によって違いが多々あるにせよ、共通性があるものについては学べるわけですから、それは共有化できる部分があるのではないかと思います。それにプラスして、取得しようとする免許についての何かの配慮を加えることによって、教育実習において隣接する学校種の免許を取れるような方向で取り扱うことはできないだろうかと思っております。

【尾白教育人材政策課専門官】 1点補足でございまして、先ほどの授業科目の開設の課程認定については授業科目の開設の基準でありまして、学生が履修する際には隣接するところの単位の流用ができるという。2単位までですね。07番の参考資料の3番です。そちらの7ページ、単位の流用というのがございまして、それの下の方に、教育実践に関する科目のイ、教育実習のところで、2単位まで流用が可能だと。

【佐古委員】 2単位までですね。

【尾白教育人材政策課専門官】 はい。

【山口主査】 よろしいですか。そういう御意見を頂いたということで、とりあえずは。小・中、中・中等に関連して、何かほかに御意見あれば頂きたいと思うんですが、いかがでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 今の点で若干補足をしておきますと、先ほど流用が2単位可能と申し上げていまして、免許法上、免許を取得するときに、ほかの学校種の教職課程で取った単位を、別の学校種の免許を取るときに使うと。これを流用と呼んでおりまして、小学校と中学校の間での流用は可能になっているものがあります。免許法ですと、免許を取るときの流用は比較的広く認められておりまして、小学校と中学校の間ではかなり広く流用が認められておるんですけれども、一方で、課程認定の方で共通開設をするかどうかというレベルになりますと、そこは流用ができる範囲以上に制限をしておりまして、そこは大学としてちゃんとした体制を備えていただくという観点から、流用ができる範囲よりも狭い範囲で共通開設を限定しているところがございます。
ですので、複雑になっておるんですけれども、免許を取るときには、小・中の単位というのは比較的広く使えるんですが、大学が組織として科目、教員をそろえるときには、そこはある程度限定を掛けているという状況になっています。

【佐古委員】 ありがとうございます。

【山口主査】 そういう意味では何となく矛盾を感じますね。流用していいんだけれども共通は駄目よと言っているのは納得はしにくいよなと本音で感じました。すみません、失礼なことを言って。いかがでしょうか。ほかに御意見ありますか。
また戻っていただいても結構ですので、先ほど本図先生から御指摘あった3番目、学部等連携に関連して、通信課程ですか、そういう場合にどうだというのは、文科省で何かありますか。

【高井大学振興課課長補佐】 高等局大学振興課から来ております高井と申します。今のところ、学部等連携課程、まだ制度改正を行っていませんで、近々にはと思っておりますが、通信教育課程、通信教育基準については、今のところ改正は予定しておりませんで、今後の予定を見ながらということにはなると思います。

【山口主査】 ということで、当面はなさそうだということですね。ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。
どうぞ。

【北神委員】 また論点の1に戻ってしまうんですが、きょう、資料の2でも示していただいたように、あと委員の先生方も出たように、全学的な教職課程を統括する組織の設置という部分のところで、質保証という形をやっていくと同時に、共通開設という形の中で、教職課程の質の向上、これは恐らく合意ができる話だと思うんですね。その中で現実的な問題を考えたときに、1番目にある基礎的な単位を、今の選択肢で言うと、学科、学部、大学という恐らく三つの部分のところで、どこを課程認定の単位として考えていくのかと。教職課程の質保証というのは全学のガバナンスの問題なので、全学だと。そこの考え方から来れば、大学全体でもいいんじゃないかという話が出てくる可能性は高いだろうと。
ただ、大学全体でという話になると、恐らく無責任体制という形を助長する可能性の方が高いと。そうすると、中間組織である学部が、一つの単位を認定していく上での現実的な単位なのかと。学部の下に学科が複数学科あって、それぞれの学科で学科の目標に応じて免許を出すという形がコントロールをきちんとできれば、学部という部分のところを一つのターゲットとして考えていくのが、議論していく上での生産性が高い議論かと。
ただ、そのときに、学部の中でも学科を複数学科持っているときに、免許の課程認定を取っている学科と免許を取っていない学科が複数存在すると、そのときに、学部として、教員養成に対してどういうスタンスとか姿勢で臨むのかということを、学部全体の合意形成としてしっかりやっておいてもらわないと、単なる文書だけで、教員養成に重点をして学生指導をします、でも現実は各学科でやっていて、この学科は取っていない、この学科は取っているというような部分のところは、しっかりとコントロールをできるようなことを考えていかないと、学部に単位をあげて質保証と質の充実を図るという方向性でも、そこのところがきちんと担保されるようなことを、仕組みがいいのか、何か違う、今、本図先生がおっしゃるような形の部分の中で、何かチェックできるような部分、何かそういうこととして、ここで何か提案できるアイデアが出せるといいのかと、そんなことを感じました。

【山口主査】 ありがとうございました。大森先生、今の点、いかがでしょう。

【大森委員】 私も、なるべく広げていくというか、それは賛成、珍しく固いことを言いますけれども、学部でというのはいいと思うんですが、ただ、先生がおっしゃっていただいたように、認定を受けている学科等というだけじゃなくて、一つの学部の中に教員養成を主たる目的とする学科とそうじゃない学科というのがあった場合に、つまり学部に認定を受けるときに、小学校の認定がイメージがなかなか湧きづらいなというのは正直な。これが一般学部で中・高の免許だけというのであれば、学部で認定というのはかなり現実的なような気はするんですけれども、うちなんかはそうですね。1学部の中に二つの学科があって、一つでは小学校を育て、一つでは中学校を育てというときに、そこが学部全体を教員養成を主たる目的とする学部ですよねと言われちゃうとしんどいという、そこをどうしていくかというオペレーションが、結構考えなきゃいけないと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。添田先生、うなずいていたんですけれども。

【添田委員】 私どもの大学は小学校免許を教育学部で出しておりますが、小学校免許のところだけクローズされていて、他学部から小学校免許とかは取れないという形でございますよね。そうしますと、学生からすると、他学部だけれども小学校免許が取りたいよという学生も出てきているのが現実です。でも、この大学にいる限りは隣からは取れないんだよという話になってしまいますので、その辺り、学部の中に小学校と中・高課程があるという場合もありますでしょうけれども、そういった小学校課程だけがクローズされているというのも少し問題なのかと。もちろん小学校課程における専門性であるとか重要性であるとかというのは十分認識はあるんですけれども、その辺りをどうお考えになられるのかというのを、少し皆さんの御意見を伺えればと思うんですが。

【山口主査】 先に、森山先生。

【森山委員】 また戻るような感じですけれども、今の議論を伺っていますと、教職課程を設置する基本的な組織単位の在り方が明確にならないと、議論も進んでいかないような気がいたします。そういう意味では、学科等の目的であるとか性格と免許との相当性ということを考えるならば、先ほど北神先生のお話にありましたように、課程認定の単位というのが非常に重要になってくるわけです。課程認定の単位は、現行の例えば制度を維持するなら維持するということを前提としながら、大学全体ではなく、学科とかコース単位で行うか、本図先生の先ほどの御意見もありましたけれども、質保証等の観点から考えても、現行の制度というのが望ましいのではないかと思います。
ただ、そうは言っても、教職科目の共通開設とか、あるいは教科専門の共通開設を考えるならば、当然、現行よりも共通開設を広く認めるということの前提に立つわけですから、全学的な教職課程の責任体制を確保するための何らかの教職課程を統括するような組織なり体制を整えるという二つの方向で議論をすることが必要なのではないかと感じました。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。大学によって本当に状況は違うと正直思いました。例えば私のところの理学部だけを申し上げれば、数学、物理、化学、生物系、全部で5学科ですね。基本的に理学部は課程認定を受けていますけれども、ただ、若干温度差があるのと、前、改組の議論をして、18歳人口、余り専門性特化しちゃ駄目でしょうと。大くくり化して、その後、専門性をだんだん付けていくような教育がいいんじゃないかという議論をしたときに、教員の学科に対する帰属意識が相当強くて、それが教育を良くしているというような意見もたくさんあります。
そういう意味では、教員養成をするに当たっての学科に対する思い入れといいますか、小組織に対する思い入れ、帰属意識というのが一番いいと思うんですけれども、それを外してしまったときの心配は相当します。だからそれは大学によって違うはずで、そういう選択肢もあれば、大きな学部で認定を受けたいという場合もあればという議論になっていくのかという気がしました。ほかにいかがでしょうか。
お願いします。

【坂越主査代理】 おっしゃるとおりという感じで受け止めたんですけれども、シミュレーション的に考えてみると、例えば学部で課程認定を受けるということは、学部の中で幾つかの教育プログラムが開設されるということですよね。一つの学部の中に小学校の教員になるためのプログラムがあり、中学校の国語教員になるためのプログラムが並んでいる。学生の側から見てみれば、この学部に入って自分がどれを取っていいのかということを選択して履修するという形ですよね。もうそうなってくると、教員と学科の関係というのが離れちゃって、自分はこのプログラムにこの授業を提供するという形になるとすれば、その辺の扱い方も違ってくるのかという感じがします。
もう一つ、本当に、申し訳ありません、初心者の質問ですけれども、今度は逆に、学科というところの課程認定を残すとすれば、今の、ある意味、垣根、学生の側から見たときに、他学科の授業を取ることが、特に計画養成の場合には難しくなる。この垣根というのはどれぐらいの高さでしょう。つまり、課程認定を受けていない学科の学生が、小学校の課程認定を受けている他学科の必要単位を取っていって、一応免許クリアできるところまで来ましたというのは、これは本来的にはあり得ないことなのでしょうか。もちろん、学位プログラムの趣旨からすれば「学科設置趣旨の相当性如何」の問題は分かるのですが、仕組みとしてはどうなのでしょう。そこは、かなりハードルが高いのですか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それは大学の履修の仕方によるということになります。ですので、大学によっては、他学部の学生が教育学部の小学校教員養成課程の単位を取りに行くという、他学部の聴講を認めているような例もございますし、ただ、一方で、他学部の学生が他学部の科目を取りに行こうとしますと、必然的に卒業に必要な単位数が増えていきますので、キャップ制との関係もあって、そこはある程度制限している大学もあるというところですので、そこは大学の履修のルール次第になってまいります。

【山口主査】 現実問題、小学校は他学部から取りに行けないですよね。単位数の関係からしたら絶対無理だという気はします。だからそういう意味じゃ、小学校の教員養成課程を目指していない学部というのは、恐らくそれは取れないと言って学生を引き受けているはずで、そこはどうなのかというところはあると思います。
それからもう一つ、最近の大学の動きとして、教員は組織として一元化しちゃいますと。つまり、学部、学科に帰属するんじゃない、大学に所属した教員群ですとして、それで学科の教育等は全て、正に学位プログラムです。だから全学に所属した教員が出ていって、その学位プログラムを運用しましょうという、そんな大学が増えているのも事実ですから、この辺のトレンドとどう関連させるかというのは正直難しいです。そんな状況にあるということは、頭の中に入れておいていただいてもいいかと思いました。ほかに。
本図先生、お願いします。

【本図委員】 今、質保証と全学体制に先生方が燃えているところで、違う観点で申し訳ありません。先ほどの中・中の観点ですけれども、ここも是非皆様から御意見いただきたいところで、例えば今は、教科に関する専門的なところで20単位、中免でということだと思います。ちょうどいい例があって、4ページの資料で、国語の中学の場合だと、国語学、国文学、漢文学、書道というのがある。ここに単位が付いて、大学によっては、ここに教員も張り付いてということだと思うんですけれども、専任だったり非常勤だったりということだと思います。そして、これがあるから、一方、国語の教科教育の先生を雇用するという、そういう形態になっているんですが、今、教職課程の方でコアを入れました。同じようにここのところも、例えば国語学というのが教授に近い全体的なところである学問だとすると、国文学、漢文学、書道というのが、少しこの国語を取り巻く理論的背景もくっついている、書道は難しいかもしれませんけれども、とか、そこの国語を取り巻く歴史的な流れも入っているものというような、そういう領域に分けて、いっそのことコアにしてしまう。ここのコアを満たしていれば、国語学を包括的にやっているところの領域の学習がある。そこを形作っている学術体系のものの勉強している部分があるとしていくと、必ずしも国語学で2、漢文学で2とかと均一に分けて、そこに教員を張り付けていくという仕組みじゃなくてもよくなり、そうすると、少し余剰ができてきて、中・中で免許を取る部分の単位数なんていうのも出てくるのではないかと。皆さんが何言い出しているんだという顔、申し訳ありません。というぐらいのことを考えても。
一方、言葉が過ぎるかもしれませんが、教科教育の先生が本当に全部を包括的に教育の経験があるかというと、そうでもなくて、教科教育の先生はいらっしゃるんですけれども、結局偏っているという、高校の国語の教員としての経験しかない。小学校とか行ったときに、全然現場から何だそれみたいな指導をするみたいな、何かすみません、墓穴を掘っているような、そういう、もっとみんなで教科教育の在り方というのを、教科専門の先生方もこれから中に入って、FDも含めて考えて、附属も生かしながら成長していくべきだと思うので、ということを考えると、もっと中のところの20単位の在り方というところは、弾力的な在り方を検討してもいいのかと思っております。
大変失礼しました。

【山口主査】 いかがでしょうか。免許制度そのものの話になりつつあるんだろうなと思いながらも、でも、専門教員をダブルカウントするなんていう話の拡大版ではあるわけですよね。プールしてしまうという。だからさっき私が言った、全学で教員を一つにプールするというのと、それの教育学部バージョンというか、教員養成バージョンというイメージで聞いていました。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 御指摘を頂いた、まず、中学校で複数の教科の免許を取りに行くというのが、現実的には、特に希少免許と言われるような技術ですとか美術のような、非常にその免許だけでは採用数が少ない教科については、ほかの教科の免許を持っているというのが、採用のときに県の教育委員会のニーズとしても非常に高いということで、複数教科の免許を取るというのはニーズとしては大きいわけです。ただ、一方で、それぞれの教科の専門性が違う部分もありますので、そこをどのようにしていけるのかというのは、もう少し議論をしないと、私もにわかにアイデアが出ないところではあります。
一つが、教科専門と教科教育の先生方の間の教員組織の話ですね。正にこのワーキングで御議論いただく教員組織の在り方というところで考えていきますと、今回の平成29年の改正で、教科及び教科の指導法の科目とくくりを変えましたので、教科専門の20単位にプラス、指導法の8単位を加えた28単位の大くくりで考えていくというのが今の制度にはなっています。なおかつ、それを変えたときに、教員組織につきましても、複合科目、指導法と教科専門を併せて教えるような科目の担当教員というのは、教科専門の教員としてカウントできるとしていますので、そこである程度、教科教育の方と教科専門の方との教員組織についても、制度上は一つのくくりになってくるような方向にはなっているわけです。
ただ、今回の再課程認定の中で、指導法と教科専門を併せたような複合科目を設置してきた大学は余り多くないですので、現実には、教員組織としても、教科教育のところと教科専門のところがきっちり分かれているというのが現実なのかと思います。ですので、制度は開いたんだけれども、そこをどのように、実際、教員配置、採用で使っていくかというのは、正に大学の方のマネジメントにかかってくるところなのかと、感想になりますけれども、思いました。

【山口主査】 ありがとうございました。安部先生。

【安部委員】 今までのお話では、学科や専攻単位の課程認定をする場合の、様々な規制の事例についてお話しいただいたのですが、その中で私が思いましたのは、専任教員の考え方に関する規制を取っていくためには、例えば学部等の連携課程等では、よく言われます教員のクロスアポイント制を考えていくことが必要であり、例えば、理科の教科を教える先生は理学部にいらっしゃる先生方を活用したクロスアポイント制的な教員組織を作ることで、専任教員の考え方を少し変えていくことも、規制を取っていくことにつながるのではと考えるところです。
そして、いろいろな規制を取っていけば、先ほどから言われておりますように、教育の質保証をどのような部署で、どのように統括をしていくかということが問題となります。これは先ほど大森先生がおっしゃったように、教職センターというのを作って、教職課程や教員養成に関する学校全体の考え方を表明し、教育の質を保証していくことが大切ではないかと思います。
それから、また別のことですけれども、先ほど小学校教員課程や幼稚園教員養成課程は、課程そのものが学位課程となっているところが、中・高とは違うのですが、中・高の免許を取っている人の中には、小学校の教員になりたいという人や関心のある人は結構多いわけです。そして小学校の教科の専門性の中には、中学校や高等学校の教科の専門性が下りてきているという段階であるもの、例えば英語などはその典型ですが、小学校でも教科の専門の方が担当することがこれからますます必要になってくると思います。また、中1プロブレムといわれますが、全科目担任制だった小学校から、科目等の担任の教育のやり方の中学校に入っていくと、非常に戸惑うことがあるので、中学校と小学校の垣根はできるだけ取っていく必要がある。多分、小学校と中学校の教育方法に随分違うところはあると思いますが、義務教育学校という構想もある中で、小学校と中学校の教職の溝を埋めるという配慮の中で、教員養成の規制を取っていく必要が、大局的にはあるのではないかと考えます。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。私が口挟む話じゃないかもしれませんが、先ほど議論になった6ページの表ですよね。このバッテンをどうするかという話の中で、結局、量の問題かと。今まではできない、どこまでできるようにするかという話で、フルにできるようにしちゃうのは免許制度そのものをいじらないといけないんだけれども、そこまで行く前段階で、広げますか、ルールを緩和しますかというような議論にするか、そういう問題になりつつあるのかと。つまり、量的な話まで含めないと、多分、この議論は深まっていかないようには感じました。
どうぞ、佐古先生。

【佐古委員】 今、安部先生のお話に乗っかるようですけれども、私も教職課程の質を担保するという観点からも、優れた教員養成に力を発揮できる教員については、例えばクロスアポイント制などを導入して、専任教員のダブルカウントができるようにすることが適切だと思っています。冒頭で専任教員の定義についてお聞きしましたけれども、現行では3条件を満たせば専任教員として認められるということなので、そうであるならば、適切なエフォート管理をしっかりした上で、条件も当然付けた上で、優れた教員養成を担う先生についてはクロスアポイントということをやっていくことが、授業科目の共同開設の実質化を図るという点でも重要な施策じゃないかと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。クロスアポというのは、例えば学位プログラムでの議論のダブルカウントと基本的には同じことですよね。そういう理解でいいですか。

【高井大学振興課課長補佐】 言葉としてクロスアポイントというのは、学外の例えば組織とのクロスアポイントメントという形で使っていまして、我々が学部等連携課程と言うときは、ダブルカウントということで、学部と学部の間に使っている教員の方々が、それぞれ両方でダブルカウントできるようになるというようなイメージです。

【山口主査】 ですので、同じイメージでいいんですよね。学外もあってもいいんですけれども。

【佐古委員】 学外も含めて。

【安部委員】 学外もあるという形で、でも、ダブルカウント。

【山口主査】 ですよね。そういうことだと思います。ですので、その辺は方向性としてはある。でも、繰り返し出ているように、質保証というか、責任をどう担保するかというところになろうと思っています。ほかに。
どうぞ。

【添田委員】 少し戻るようですが、教科教育法を、今、小学校と中学校と別ということですけれども、先ほど安部先生がおっしゃったように、小学校の教科教育法といいますか、小学校の教員の授業を中学校の教員が見た場合、本学はそういう見学とかするんですけれども、中学校の教員が、かなり小学校の先生が丁寧に教えていらっしゃると。教科教育法というか、教え方に工夫がされているということで、非常に中学校の先生が見て学ぶところが多いというお話もあります。
ですので、例えば小学校のものを全部が全部とは言いませんが、例えば8単位だったら、半分は小学校で4単位取っていれば、それは生かして、あとの4単位は中・高のを取るとかいう形で、全部を認めてくださいとは申し上げないので、ミックスして認めていただくとかいうことはあるのかという点です。今現在もそういう流用ができるのかということは、本学ではしていないので、できるのかということもあります。
もう1点は、先ほど本図先生が国語の領域の大くくり化というのをおっしゃっていたんですけれども、例えば技術と理科というお話ですと、本学の場合、技術も理科も出しているんですけれども、教員の所属は科学教室というところで一元化されております。ということになりますので、例えば特定の教科との融通ということにして、理科の方を少し区分のところでここの大くくりにし、技術の方も大くくりにして、ここのものをこっちの単位に使えるというような形ですると、単位が軽減されるので、本学の場合も、理科の学生に技術の免許も取ればと言うんですが、なかなか両方取るということが進みませんので、全部ではなくて部分的に大くくり化することによって、両方で使うということがしやすいのかと。細かく分かれていると、これは技術で使えるのかどうかというのはなかなか難しいのかと思いますので、そういうところで少し、小・中の免許、あるいは中・中の免許が取りやすくなればいいのではないかと思いました。

【山口主査】 ありがとうございました。最初の御質問、例えば8単位部分を4、4に小と中、できるかという話は、現行はどうですか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 現行では、まず、免許を取るところで申し上げますと、指導法に関しては、小と中の間の流用ができないと。ですので、中学校は8単位両方取って、小学校は10単位取らないといけないと。今度、組織の在り方として、共通開設のところでいきますと、先ほど申し上げていますように、小学校と中学校、それぞれ指導法の教員が必要ということになっていますので、共通開設、流用、それぞれの面で小と中の指導法は分かれているというのが現状になっています。

【山口主査】 そこの部分を若干規制緩和するようなこともあり得るんですか。このワーキンググループの目的の一つになり得るのかどうかという。そこまでは無理だとか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 そこはこのワーキングで御議論いただきまして、その方向が妥当であるかどうかということについて、免許の授与要件のところにつきましては、最終的には教員養成部会の御意見を聞いて省令で決めるという形になっていきますので、最終的には養成部会の方に御意見として上げていただいてという形になろうかと思います。

【山口主査】 ありがとうございました。ということです。それから、後半の、技術と理科で共通部分を設けますというようなイメージだと思うんですが、私、さっき量的にと申し上げたんですが、結局、具体的に何と何とか、総論で議論は進め切れないという印象を持ちました。一つの御提案のようには感じましたけれども、それを一つ一つここで詰めることはしませんので、そういうアイデアもありますよということでワーキングとしては受け止めればいいかと思っています。ほかに何か御意見ございますか。
大森先生。

【大森委員】 さっきの本図先生におっしゃっていただいた中・中のやつで、それはもしかしたら高・高ということもあるかもしれないんですけれども、というのは、つまり希少免許をどう存続させるかというのも、このワーキングの一つ、地域の中でそういう免許が取れなくなっちゃうというところだとしたときに、例えば工業であるとか、この間も申し上げましたけれども、うちは商業と情報は今回諦めましたけれども、採用がないので大学としてはということだし、だけれども、それに加えて、ほかの免許を持っているよというところというのは、その議論は多分、この後の何回か先に出てくるところだと思うんですけれども、地域の中で考えると、大学間の連携というか、つまり地方に行けば、一つの大学の中でそういう複数の免許を持っているというよりも、うちは工学部だから工業を出しているよ、うちは英文だから英語を出しているよみたいなところがいっぱい寄せ集まっているというのが地域だと思うんですね。そこも連携というか、ところをやらないと、多分、中・中でいろいろ免許取れるよねということにしても、それができるのは各地域にある国立の教育学部さんの中でのお話ということになっていくのかという感じはするので、きょうはその議論をしなくていいと思うんですけれども、そこにどうしても関係してくるなという気がします。
それから、さっきの複合科目がなかなか申請がなかったというのは、ごもっともというか、教科指導法を専門に学ぶというか、研究をされている先生って、全国にどのぐらいいるのかというか、そういう人材をどうやって集めたらいいのかなみたいなところがあって、指導法ですね、非常勤の先生にお願いしたりとかということはあるんですけれども、一般学部なんかだと、教科専門の先生はいて、その先生が指導法までというのは、なかなか論文がない。実際やっていたとしても論文がないというところなので、もし仮にですけれども、先生さっきおっしゃった、そこまで考えていらっしゃらないと思うんですけれども、いろいろな研修とかFDとか、そういうことを通して指導も持てるようになるという資格付与みたいなことがあり得るのか分からない。そうすると、より、例えば私なんかも、英語の専任で、米文学必修で持っていますけれども、なるべく教室でこれをやるならというシラバスにしているんですけれども、多分、私は教科指導法は持てないですね。論文、一応書いたは書いたんですけれども、でも、文学の専門家であってというところで、ただ、そういう人が、せっかく素養があって、そういうことを学ぶことによって、それも持てるようにもしなるのであれば、いろいろな可能性が出てくると思いました。これはかなり突飛な話だと思いますけれども。

【山口主査】 ありがとうございました。大学間については、何回か後に必ず出ます。当然、きょうの議論が影響しますし、逆に大学間の連携の話の議論が、こちらの学内の学科を越えたというところでも影響すると思っていますので、最終的な方向性というのは本当に最後じゃないと出ないという理解で行っていただければと思っています。
それから、次の話は、本図先生、何かありますか。

【本図委員】 大森先生は突飛だとおっしゃいましたけれども、そういう仕組みはあり得るんじゃないかと。その方が本当に学生に、もし20単位のところが少し大くくり化でなってくると、よりそれぞれの、勝手にコアとか言っていますけれども、コアの部分で学ぶ部分の質は高くある必要があって、英文学なら英文学、2単位だけど、かなりきっちり学ぶ。だけど全体で見ると、先生も含めて、教室でそれをどう展開するのかというところもコアとして基準があって、それをみんなで複合的にきちんと考えている。そのために先生方も、FDとか地元の学校で、ちゃんと実践も含めてやっているという、教室も子供たちも変わっていくので、大学の教員も現場に出ていって一緒に変わっていくという必要があると思いまして、そういうことが少し形になれば、それは大変すばらしいことではないかと思ってお聞きしておりました。

【山口主査】 どうぞ、お願いします。

【北神委員】 中・中の免許の問題とか小・中の免許の問題を、両方一種免で考えるのか、片方を二種免で考えるかによって、随分違う考え方が出るんだと思うんですね。例えば、今、小学校は、免許法上、二種免は教科に関する専門的事項と指導法16単位ですが、そのうちの12単位は、現実的には指導法に振っているわけですよね。教科専門って4単位しか振らないわけよ。そうすると、小学校の二種免の専門性は何ですかといったら、教え方に関わっているところに相当傾斜していると。そこも一つ大くくり化し得るような形の中で何かできないのか。同じように中学校の方を見ると、中学校の二種免は、その教科に関する専門的事項と指導法で12単位だと。恐らくこのうち4単位が指導法で考えると、教科は残り8単位だと。例えば先ほどの国語の例で言うと、恐らくその8単位を各領域に最低の2単位を振って取らせていると。ここが大くくり化できると、多少学生の縛りも少なくて、12という枠の中で考えればいいとかという形のものが、ある程度基準の緩和とか弾力的運用によって可能であれば、中・中という部分も一種と二種の組合せ、小・中の場合にも一種と二種の組合せの中で、どこかに専門性の土台を置きながら、プラスアルファの部分のところは、そういう形の基準の緩和みたいな部分とか弾力的運用。ただし、そこでは中身を保証するために、本図先生おっしゃるように、その中でコアになる部分のものは指定していくみたいな、で、あとの使い方は大学に任せるみたいなというのは、一つの現実的なやり方かと。そんなことを、お話を聞いていて。

【山口主査】 全く状況を知らないで単純な質問ですが、一種と二種の組み合わせで、学生はその気になるんですか。

【北神委員】 これ、ですから国立大学は、一時期、採用状況が悪くなったときに取らせるという形に。

【山口主査】 ありましたけれども、なかなか。

【加治佐委員】 複数のものを取らせるときには二種でいいですよね。非常に取りやすい。教育委員会が採用するとき、一種と二種の区別はしませんので。

【山口主査】 しないから、それは問題ない。学生にとってのインセンティブは。

【加治佐委員】 もちろん、取れるのであれば一種がいいんでしょうけれども。

【山口主査】 一種がいいんでしょうね。そういう意味で、学生にインセンティブを与えられるかどうかというところも、一つ大きな問題としてあるのかと。

【大森委員】 今、一種で課程認定受けているところが二種を出すということはできないですよね。

【尾白教育人材政策課専門官】 できます。二種で課程認定を受けることはできないんですけれども、二種の免許を出すということはある。

【大森委員】 一種で課程認定受けていて、普通に取っていけば一種取るんですけれども、単位を少なく取った学生が二種を取るということはできるの。

【尾白教育人材政策課専門官】 はい。

【大森委員】 それは県庁に自己申請ですか。

【北神委員】 そうです。

【大森委員】 そういうことですね。一括申請ではない形ということですか。

【北神委員】 個人申請で。

【山口主査】 ありがとうございました。関連してでも、ほかでも結構ですが。
お願いします。

【坂越主査代理】 全体の流れに抵抗するというか、論点として言っておくべきかと思うので。先ほどの二種免もそうだと思うのですけれども、質保証という観点で考えてきた立場から言うと、余り柔軟化というか、あれもこれもというのは問題がありそうにも思います。もちろん基本的には、先ほど佐古先生が言われたみたいに、教職の基礎だとか指導法だとか、やっていることを見れば、結局、教育原理の先生って、小学校も中学校も高校も基本的に同じような内容でしゃべっていたりするので、それは多分、いけそうな気はします。ただ、そっちの方向と同時に、今度は学生自身がしっかり学んで出ないと、本当にこれ、申し訳ないですけれども、実際に新採の教員の力量ということが、どの学校も、ああよかったねというところばかりでないというのも事実でありますので、少なくとも一種免に関してはしっかりと鍛えて、資質・能力を身に付けさせて出すと。で、二種免はありかもしれない。それから更に、これはここのワーキングのミッションを超えるのですが、希少免許とか、その地域、県教委、市教委で必要な領域があれば、現職でちゃんと取らせる。で、大学で途中まで取ってきた二種免の単位をアップさせるような方向性ということも、これからの論点、方向性としてあるのかと思います。

【山口主査】 ありがとうございました。いかがでしょうか。
加治佐先生。

【加治佐委員】 このワーキングは、教職課程の質の向上及び効果的・効率的な実施と、こういうことが狙いなわけですよね。現行制度を基に、どういうことが効率化・効果化のためにできるかということで、事務局にこういう提案を頂いているということなわけですね。
きょう、本当に話が多様かつ広範囲になりまして、本当に全て検討に値するんだとは思うんですが、専任教員の資格とか配置の在り方も、議論になりましたよね。それも大事です。それから、もっと踏み込んで、科目区分の大くくり化の話が出ていましたよね。この部分まで踏み込むんですかね。そうすると、話が大きくなり過ぎて、後々まとめるのが大変。またこれ、いろいろな各方面の議論を喚起しそうですよね。特に科目の大くくり化をやると、アカデミックの世界でもいろいろあると思うんですよね。
だから、どこまでを議論するかは、また事務局で整理していただいて、現実的な案を出していただくということがよいと思います。規制緩和して、共通科目をより広く認めるとか、小・中の免許を取りやすくする、あるいは場合によっては中・中の免許も取りやすくする。その方向は間違いないと思います。ただ、私は正直申し上げて、専任教員の在り方や科目区分の在り方まで行くのは難しいという感じは受けております。

【山口主査】 ありがとうございました。最初、冒頭、私、申し上げたとおり、一応、現行制度の中でと申し上げたんですが、どうしてもこういう議論になるだろうなとは想像していました。悪いことではないと思いますが、先ほど申し上げましたが、そこまで一気に行くか、途中の段階で徐々にというか、そういうことを念頭に置きながら、規制緩和の落としどころを見出せるんだろうと思いながら聞いていました。ただ、整理は絶対必要だと私も思います。ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。
加治佐先生ので、きょうの議論のまとめができちゃったような感じがしますので、特になければ、終わりの方向に近付いたと思うんですけれども、主査代理ということで、最後一言。

【坂越主査代理】 何かきょうは主査の横に座っていながら、結構好き勝手な自分の意見を言ってしまいまして、申し訳ありませんでした。きょうは本当に主査の方からも、第2回目ということで、事務局の方で頂いた論点整理に関して、我々がどのような観点で意見を持っているのか、あるいは何が検討として必要なのかというようなことで、ある意味、自由にしゃべらせていただいたので、まとめる方は大変だと思うのですけれども、よろしくお願いします。ただ、これから少しずつ集約して、これからスケジュールとか検討の流れというのもお話があるだろうと思うのですが、そういう中で少しずつ、またまとめていければよいかと考えています。

【山口主査】 いえ、ありがとうございました。
きょう、論点は五つ掲げさせていただいて、それぞれに関して御意見いただけたと思います。全て関連しての御意見だったと理解しております。本当にこの後、整理をしっかりしましょうということを申し上げます。
本日の審議はこれまでとします。事務局において議論の取りまとめをお願いしたいと思いますが、今後について、若干お話しさせていただきます。第1回の会議で全学的な教育課程の質保証に関する話も出ましたので、次回の会議は、本ワーキンググループの検討事項の3番目、「課程認定後も全学的に教職課程の質を保証し、向上させるための継続的な仕組み」、質保証の話、認定前も認定後も、この仕組みについて議論するんですが、そのときに、幾つかの団体をお招きして状況をヒアリングすることを予定しております。その上で御議論を頂くということになります。
それから、先ほど大森先生からもありました検討事項の2の「大学間の連携・協力により教職課程を設置する仕組み」、これについては、先ほどもありましたけれども、現在、「大学等連携推進法人」の検討が大学分科会の方で行われていますので、そちらの検討状況も踏まえながらということになりますので、質保証の議論の後に大学間連携の話を持ってくるということで予定させていただいています。
そういった、きょうは学科を越えた、それから次回が質保証で、その次が大学間ですが、その三つの検討事項を全て御議論いただいた後で、全体の議論を踏まえて、事務局の方で具体的な基準等の見直しのイメージを整理してくださるということです。ですので、総論だけではなくて、もう少しイメージできるものを整理していただけるということで、それを整理していただいた上で、それに基づいてワーキンググループ全体の取りまとめの議論を頂く予定でいますというところです。よろしいでしょうか。
今後のスケジュールについてといいますか、次回の話だけですか、尾白さんからお願いします。

【尾白教育人材政策課専門官】 今後のスケジュールにつきましては、資料3番、04番の資料3と書いてある資料がございます。資料3のとおり、第3回の日程が、令和元年6月28日金曜日に決定しております。会場につきましては、現時点では未定でございますので、改めて御連絡をさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いします。

【山口主査】 ありがとうございました。それでは、本日の会議はこれで閉会いたします。貴重な御意見、ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。

── 了 ──

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