石井英真委員資料

学習評価のあり方について(報告のポイント)


1.観点別の学習状況の評価のあり方について
 
(1)「資質・能力の三つの柱」に基づく三観点の意味をどう解釈するか?
・三層構造の学力モデルを下敷きに、観点間の関係を構造化する。【スライド10・12・14】
 
(2)情意領域の評価のあり方をどう考えるか?【スライド20・21・23】
・目標として掲げ(形成的に)評価はしても、評定(成績づけ)することには慎重であるべきである。
・情意の中身を考える際には、学習を支える「入口の情意」(興味・関心・意欲など)と学習の結果生まれ学習を方向付ける「出口の情意」(知的態度、思考の習慣、科学的教養に裏付けられた倫理・価値観など)とを区別する必要がある。
・教科外も含めたカリキュラム全体で三つの柱(特に非認知的な部分)を育てていくべきである。
 
(3)それぞれの観点の意味内容をどう明確化するか?【スライド27・29】
・「知識・技能」:主に「知っている・できる」レベルと「わかる」レベル(特に概念の直観的理解)を対象とする。
・「思考・判断・表現」:「わかる」レベルの思考(概念理解の自覚的説明など)も含みつつ、「使える」レベルの思考のうちペーパーテストでも測れる部分を軸にとらえる。   
・「主体的に学習に取り組む態度」:これ自体を単体で評価するよりも、「思考・判断・表現」の観点とセットで、パフォーマンス課題等、ペーパーテスト以外の思考を試す課題(「使える」レベルの学力を育む問いと答えの間の長い学習活動で、思考のみならず、粘り強く考える意欲や根拠に基づいて考えようとする知的態度なども自ずと要求される)の過程と成果物で評価する。


2.多面的・多角的な評価の生かし方について
 
(1)教員の負担を減らす方向で、多面的・多角的な評価をどう進めるか?【スライド46・47、年間学力評価計画】
・それぞれの授業ですべての観点を評価する必要はなく、もっと言えばそれぞれの単元ですべての観点を評価する必要もない。
・能力観点による観点別評価は単元レベルで意識するべきものであり、毎時間の目標と評価は、教科内容に即して考えられる必要がある。
・「知識・技能」:授業や単元ごとに、理解を伴って内容を習得しているかどうか(到達・未到達)を評価する(チェックリスト等による項目点検評価としてのドメイン準拠評価)。
・「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」:重要単元ごとに類似のパフォーマンス課題を課し、学期や学年の節目で、認知的・社会的スキルの洗練度を評価する(ルーブリック等による水準判断評価としてのスタンダード準拠評価)。
※ルーブリックは見えにくい学力の長期的な育ちを見るときに作成すべきであって、授業ごとに評価基準を細かく設定する必要はない。
・観点別評価を総合評定に変換することは必須ではない。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

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