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教育課程部会 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成30年4月17日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 児童生徒の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【市川主査】  それでは,委員の皆様は全部おそろいということですので,ただいまより始めさせていただきたいと思います。教育課程部会児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ第3回を開催いたします。
  初めに,本ワーキンググループの審議等につきまして,初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして,原則公開により議事を進めさせていただくとともに,第6条に基づきまして,議事録を作成して,原則公開するものとして取り扱うことにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお,本日は,報道関係者の方々より,会議の撮影及び録音の申出がございます。これを許可しておりますので,御承知おきください。
  では,本日の議事に入る前に,今回より新たに御参加いただく委員がいらっしゃいます。事務局より御紹介をお願いいたします。
 【白井教育課程企画室長】  委員でいらっしゃいました関谷道代先生が,従前小学校の校長先生でいらっしゃったところ,教育委員会の方に異動されたということで,御辞退のお申出がございました。新たに,武蔵野市立第五小学校校長の嶋田晶子先生に本ワーキンググループの委員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
 【嶋田委員】  嶋田でございます。よろしくお願いいたします。
 【市川主査】  よろしくお願いいたします。
  それでは,引き続きまして事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
 【白井教育課程企画室長】  お手元の議事次第にございますとおり,資料1から資料5までをお配りしております。資料の1-1から1-3につきましては,高等学校学習指導要領関係の資料となります。不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。
 【市川主査】  よろしいでしょうか。
  それでは,これより議事に入ります。
  まずは,文部科学省が学校評価に関する意識調査を実施したと伺っております。事務局からその調査結果についての御報告と併せて今までの2回の議論のまとめについて御説明をお願いします。
 【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,資料2,これまでの議論における主な意見を取りまとめたものでございます。また,併せてお手元に配付しております青色の表紙の本,学習指導と学習評価に対する意識調査の報告書というものがございます。傍聴席の方におかれましては,参考資料として関係のコピーをお配りしてございます。
  それでは,資料2から簡単に御説明させていただきます。これらのものにつきましては,第1回・第2回の意見を取りまとめた主な意見ということでございます。
  全般として,学習評価の在り方,1ページからでございます。指導事項と評価が一貫していることが大前提である,評価の方法や基準について,児童生徒や保護者にあらかじめ明示されるべきといった御意見を頂戴しております。
  また,学習評価の現状と課題については,小学校,中学校,高等学校について,それぞれここに記述されておりますような御指摘,御意見がございました。
  2ページにお進みください。観点別学習評価についてという論点でございます。2ページの上段,全体についてというところでございます。「思考・判断・表現」と併せて「知識・技能」の習得も大切であるということをしっかり発信する必要がある,評価については,学習指導要領の内容として示されている指導事項をそのまま引用すれば,「知識・技能」と「思考・判断・表現」の観点の評価規準となるのではないか,従前,国研が作っている参考資料については,いわゆるB規準しか示されておらず,それ以外のそれぞれの観点について,3段階の評価を行うのは難しいのではないかといった御意見がございました。
  また,「知識・技能」の観点の評価については,ペーパーテストを基本にしていくことが大事であろうけれども,ただ,このペーパーテストも質的,量的にも変えていくべきではないか,例えば,一定の文脈の中で再構成して考えを表出することを評価する,知識を基にして概念との結び付きを論じさせるといったことが重要ではないかといった御意見がございました。
  3ページの上でございます。「思考・判断・表現」の評価について,評価の具体的な工夫の方法として,特に「思考・判断・表現」については,単元を超えて長期的に見ていくことが重要ではないか,ペーパーテストももちろん,パフォーマンス評価,ポートフォリオ評価といった評価も重要ではないか,教科等の特性に合った評価の方法について検討していくべきではないかといった御意見がございました。
  3ページの中段から,「主体的に学習に取り組む態度」の評価についてです。評価を行う意義については,特に外発的な動機付けとして,子供の学習意欲を喚起するというプラスの作用があるのではないか,またこういった評価項目があるということ自体が一つの大きなメッセージになるのではないかといった御意見がございました。
  その一方で課題としては,特に情意領域の評価については,信頼性や妥当性を高めることは難しいのではないか,外的な動機付けがないと学ぼうとしないという受け身の姿勢が育ってしまうのではないかといった御意見がございました。
  また,評価方法の改善というところです。4ページにかけましてですけれども,具体的にポートフォリオ評価や振り返りシート,あるいは児童生徒による相互の評価,こういったものが活用できるのではないかといった御意見がございました。
  4ページの中段から「評定」についてです。「評定」については,観点別の評価があれば,「評定」という形の総括的な評価というのは必要ないのではないか,また入学者選抜では,大学,高校それぞれ規準が異なるのに,「評定」にはそういった細かい情報がないのではないかといった御意見がございました。一方で,「評定」については,達成感や成就感を得たり,学習への動機付けを高める上で重要ではないか,また「知識・技能」等で低位な子供についても,意欲の面で拾うことができるのではないか,こういったことを評価するために必要ではないかといった御意見もございました。
  また,「評定」の改善方策としまして,特に「主体的に学習に取り組む態度」の部分については,ほかの観点,「知識・技能」,「思考・判断・表現」とは少し異なるものであることから,「評定」に含めないという選択肢もあるのではないかといった御意見もありました。
  5ページ目です。多面的・多角的な学習評価についてという点でございます。ここでも,先ほど出ましたように,ポートフォリオ評価,複数の教師による評価,相互評価を通じた児童生徒の自己評価の力量を高めていくこと,また学習支援に入っている地域の人からの情報といったものも含めて評価資料として活用していくことが考えられるのではないかといった御意見がございました。
  また,その他というところですが,指導要録との関係など,通知表の在り方についても考えていくべきではないか,指導要録による記録は何のために,また誰のために行っているのかということもよく考えるべきではないかといった御意見もございました。
  6ページにお進みください。効果的・効率的な学習評価の在り方についてという点でございます。6ページの上の方でございますけれども,中教審答申でも提起されている,1つの評価課題を複数の観点で見るということをうまく使っていくことも重要ではないか,また保護者との面談を行うことは,評価の納得性を高め,効率的な評価につなげる上でも有効ではないかといった御意見がございました。
  一方で,評価というのは教科指導の中心であって,その時間の削減は困難である,また若い教員が増えている中で,例えば複雑なポートフォリオ評価やパフォーマンス評価といったものの実効性についてはよく考えるべきではないかといった御意見もございました。
  また,一番下のところになります。指導要録について,指導要録や通知表の文章記述については,教師の負担が増えているといったことが課題ではないかといった御意見もございました。
  7ページでございます。障害のある児童生徒の学習評価についてです。発達障害等のある児童生徒については,それぞれいろいろな事情がある,例えば道徳の評価を踏まえながら,各教科の評価の在り方を考えていくことも重要ではないかといった御意見。
  また,7ページの下ですが,特に教科横断的な視点で育成を目指す資質・能力については,それを直接的な対象としてそれ自体の評価規準を作成することは難しいかもしれないけれども,各教科の観点の評価において反映していってはどうかといった御意見を頂戴していったところでございます。
  次に,お手元の青い報告書の方に移りたいと思います。大部のものでございますので,本日は今まで頂いた論点に関係する主なポイントのみ御説明させていただきたいと思います。
  初めに,青い冊子の14ページ,第2章の1というところでございます。14ページの第2章の1,観点別評価に影響を及ぼす評価の方法ということについてのアンケート調査でございます。小・中・高とそれぞれ3つの棒グラフが出ておりますけれども,例えば小学校の場合ですと,「知識・理解」,また「技能」という観点については,例えば業者作成のテストやワークシートといったものが影響が大きく,また中学校・高等学校の場合には,中間・期末の定期テストといったものが影響が大きいという結果が出てございます。
  15ページが,同じく「思考・判断・表現」の評価において影響の大きい評価方法ということでございます。こちらもおおむね同様の傾向がございまして,小学校では,テストやワークシート,またレポートや作文,発表といったものが影響が大きく,中学校・高等学校においては,中間・期末テストが影響が大きいということが出ております。
  16ページです。16ページは,「関心・意欲・態度」の観点について影響を及ぼす評価の方法ということでございます。この点で少し違う傾向が見られるところでございまして,例えば小学校では,レポートや作文,発表,授業中の観察,ノート,アンケート,振り返りシート,挙手や発言の回数といったものが影響が大きいという結果が出てございます。また,中学校においては,例えば課された宿題の提出の有無といった点も大きな影響が出ているということがございます。
  17ページからが,観点別の回答結果の差異というものでございます。「知識・理解」と「技能」の観点,それから「思考・判断・表現」の観点,「関心・意欲・態度」の観点の3つの折れ線グラフがございます。それぞれの観点ごとに,各評価方法について,どれぐらいの影響があったのかということを比較的にお示ししているものでございます。特に「関心・意欲・態度」とそれ以外の観点について,差が開いている部分としては,テストやワークシート,あるいは中間・期末の定期テスト,また挙手や発言の回数,宿題の提出の有無,忘れ物の頻度といったところでは差が大きくなっているという傾向が見られるところでございます。
  18ページ,中学校でございますけれども,こちらについてもおおむね同様の傾向が見受けられるかと存じます。
  また,19ページ,高等学校でございますけれども,高等学校については,全体として小・中学校に比べますと,差異としては減っているという状況が見られるところでございます。
  21ページです。2の目標に準拠した評価,観点別学習状況の評価に対する考えや意識というところでございます。こちらも小・中・高等学校ごとに分けてデータを出しておりますけれども,例えば「授業の目標が明確になり,学力などを多角的に育成することができる」とか,あるいは「児童生徒一人一人の状況に目を向けるようになる」といったところでは,小・中・高ともに高いデータが出ているということがございます。一方で,観点別学習状況の評価,「自主性の蓄積があり,定着してきている」というところについては,高等学校については,ほかと比べるとかなり少ない状況になっているというところでございます。
  28ページにお進みいただきたいと思います。第2章の3の(3)高等学校における観点別学習状況の評価といった点です。28ページの図表2-3-5ですが,高等学校の場合には,「指導要録に観点別学習状況の評価を記録している」というところが13.3%になっている。一方で,「定期テストなどに加え,平常点を加味して,評価を行っている」というのが全体の8割ぐらいになっているというのが現状ということでございます。
  続いて34ページにお進みいただきたいと存じます。このワーキングでも大きなテーマの一つとなっている,学習評価を行うに当たっての負担感という点でございます。学習評価を行うに当たって負担を感じる点についてアンケートでお答えを頂いておりますけれども,全体に高いのは,例えば「評価規準の作成」とか「定期テストの作問や採点」,「指導要録の記載」,「通知表の記載」といったところが全体的に高いデータとして出ております。
  また,特に「指導要録の記載」について負担を感じる部分として,35ページ,文章記述に関するところ,「外国語活動」,「総合的な学習の時間」,「総合所見等」について,このあたりを負担を感じる部分として選ばれている方が多いという状況でございます。
  43ページにお進みいただきたいと存じます。43ページ,(3)「評定」の決定の方法についてというところでございます。「評定」の決定の仕方について,小・中・高等学校でどのように決定しているのか,各観点を均等に評価して評定を決定しているのか,あるいはある観点に一定の比重を置いて決定しているのかという御質問でございますけれども,全体に各観点を均等に評価されているというところが,小・中学校では今非常に多く,また高等学校でも6割を超えているという状況でございます。
  最後でございます。48ページ,第2章7の(6)学習評価の観点の児童生徒や保護者への伝え方についてというところでございます。学習評価の狙いや目標について,あらかじめ児童生徒や保護者に伝えているのかどうかという御質問でございますけれども,小学校においては半数以上,また中学校においては8割以上,高等学校においても半数以上の学校において,先生方が「伝えている」あるいは「どちらかと言うと伝えている」という御回答を頂いております。
  また,それが役に立っていると思うかという御質問が49ページにございますけれども,こちらについては大多数の方が「役に立っていると思う」という御回答をされているという状況でございます。
  長くなりましたけれども,私からの説明は以上でございます。
 【市川主査】  どうもありがとうございました。
  それでは,今,白井室長からお話のあった点につきまして,委員からの意見発表というのを本日はお願いしたいと思います。初めに藤本委員からですが,指導要録についての設置者の立場からの発表ということで伺います。それから2番目に渡瀬委員です。多面的・多角的な評価の観点から,国際バカロレアにおける学習評価について御発表いただきます。3番目に,尾木先生及び時任先生に,高大接続の観点から,主体性評価についての研究状況について御発表いただくという予定になっております。
  それでは,まず藤本委員,お願いいたします。
 【藤本委員】  それでは失礼いたします。高松市教育委員会教育長の藤本でございます。ただいま司会の方から,設置者としての学習評価の在り方といったお話があったのですけれども,余りそういうことを意図しておらず,現場にいた者として,今,教育委員会にいる者として現場を見る中で感じたことで資料を作らせていただきましたので,よろしくお願いいたします。本日の資料3になっております。よろしくお願いいたします。
  まず1点目として,学習評価ということの基本として考えたいことということで書かせていただきました。学習評価をすることの目的として,2つ考えております。この1と2の両方を満たすものこそが学習評価であると考えています。1つは,必ず子供に還元できる評価でなければならないということです。先ほどのアンケート調査でも,そういうことをしているところが大変たくさんあるということでしたけれども,やはり子供が自らの学習状況を客観的に把握でき,今後の学習の方向性を見出せる評価でなければいけないと思います。子供が学習したことの成就感,達成感は,何かが分かったとか,何かができたということで,子供にとっての学習の成就感,達成感はあろうかと思いますけれども,それと同時に教師からの評価を与えられることによって,なおそれが強化され,次への学習意欲にもつながりますし,学んだことの成就感を一層高めていくということにもつながるだろうと思いますので,必ず子供に還元できる評価でなければいけないと考えております。
  それともう1点が,教師が授業改善できる評価。教師が自らの指導方法と子供の変容を把握できて,その上で今後の授業改善に資するような評価ということで,子供にとっては評価が還元されるもの,教師にとっても授業改善できる,この2つの条件を満たしたところに初めて学習評価があるのではないかなということを基本として私たちは考えております。
  次に,仕組みの改善点ということです。まず,公簿でない通知表と公簿の指導要録の一体化。先ほどのアンケートでも通知表と指導要録のことがありましたけれども,高松市では既に通知表と指導要録を校務支援システムにより一体化しまして,業務の効率化を図っております。これも(1)の上のことですけれども,(1)を満たすためには,子供に評価を還元する通知表,これは子供に評価を還元しているだろうと思います。それと,教師にとっても,指導に必要な記録を次に残し,次の指導者に受け渡しする指導要録,この2つを一本化,連動して,子供が評価を返されて,次への学びの方向性を見出した子供の自らの伸びへの試みと,そのための教師の指導・支援の方向,指導要録にある指導に必要な記録は同じ方向に向いていく必要があるだろうと思いますので,その記載内容に違いがあるというよりも,記載内容が一本化されたものであるべきではないかなと考えておりまして,今,校務支援システムの活用によるその一体化をしています。
  ただし,通知表は,御存じのように,1学期・2学期・3学期,高松市は3学期制ですので,3学期の記述があります。要録については,年間を通した記述ですので,3学期分の記載を見て,その中から指導を行った者が,この項目について子供の状況を一番的確に表現でき,次の指導者に受け渡しするのにふさわしい指導内容を指導要録に書き,それを次へ受け渡しするようにしています。それがシステムで連動しておりますから,通知表を書けば,もう要録の方に転記されるようになっていきますから,文末表現を担当者にお聞きしますと,通知表は敬体で書かれていますから,要録が常体になるから,その辺の手直しとか,先ほどお話ししましたように,3学期分を1つにまとめていきますから,どの項目をそこへ載せるかというような作業は必要でありますけれども,相当の時間数の教員にとっては,このシステムを入れることによって業務の効率化が図られたということを聞いております。
  次に,評価を容易にするための授業改善ということで,教師の評価があってこその子供にとっての学習の成果であることから,日常的に容易に評価ができるような,評価を意識した授業方法や環境を構成することで,授業を子供が主体となって取り組むものに改善するようにしております。これも,従前は評価というのは評定のための評価であったところを,授業改善をするための評価であると考え,教員には,評価をもう少し重要視して考えなければいけない,評価を一番に考えて学習を構成していくぐらいの,授業の中で評価をどうするかについての意識改革は必要だと思っております。そういう意味で,指導と評価の一体化は従前から言われていたことですけれども,これをより重視して考えていかなければいけないと思っております。
  以上のような2点を基本として学習評価については考え,高松市では,実践の途上でありますけれども,行っているところです。
  次に,与えられている課題に関して,思い付くままですけれども,指導主事等の意見も参考にしながら書かせていただきました。
  まず1点目は,観点別児童生徒の学習評価についてです。「今回の改訂では」云々ということで,知識の概念的な理解をどのように評価するのかということで,マル1として書きました。この下にある表は,教育課程部会の方で提示されたものであると聞いておりますけれども,その吹き出しの部分が本市の指導主事が書き込んだ部分です。今後は,算数・数学の解決の過程に特化して考えるのであれば,「生きて働く知識」をどう評価していくかということから考えたら,下にありますように,結果から,日常生活や社会の事象の活用や意味付けのところを,「だったら,この知識はこれに使えるかな」とか,「だったら,前の問題のここはこの知識を使うと簡単になるんだな」など,知識を再構成しているかどうかを評価する。また,得られた結果を使うための練習問題を解くとか,得られた知識をグループでどのように使うか吟味するなどの場を設けて,評価することによって,「詰め込みの知識」ではなく,「生きて働く知識」として理解しているかどうかの評価になるのではないかなということをここで表しております。
  次のページを御覧ください。次は,「知識」は個別の事実的な知識のみではなく,それらが相互に関係付けられ,社会の中で生きて働く知識を含むなら,知識が生きて働いた成果を追求することを課題とする学習を構成し,評価する必要があるということです。これについては,本市の真ん中に位置する香川大学教育学部附属高松小学校でパフォーマンス評価,パフォーマンス課題ということの研究に取り組み,今,全市的にその成果を広げているところです。そうした評価方法として,これも従前の議論の中で出てきたように思いますけれども,パフォーマンス評価を取り入れるということです。パフォーマンス評価は,パフォーマンス課題とルーブリックによって構成されております。パフォーマンス課題とは,学習者のパフォーマンスによって,高次のより概念的な理解を評価しようとする課題でありまして,より複雑で現実的な場面や状況で知識・技能を使いこなすことを求める課題です。だから,パフォーマンス評価だけでなしに,課題からパフォーマンス課題にしていく。低学年においても,学んだことを最終的におうちの人に知らせようとか,説明しましょうとか,レポートにしましょうとか,アルバム作りにしようとか,図鑑作りと掲示作りとか,表現物とか,また高学年であれば,社会の問題であれば,県庁の産業教育振興課の人たちに私たちの研究を話して,「高松市の産業をより活性化していくためのこのアイデアはいかがですか」とか,そういう社会に開かれていくような課題を設定して,その中で子供たちがどういう学習をしているかを評価していくといったことを考えております。これについては,附属高松小学校同様,まだ研究途上でありますけれども,可能な単元において可能な範囲でパフォーマンス評価を取り入れた実践を行っております。
  次に,2つ目が,「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」をどのように評価するかということです。その1点目ですけれども,その下にありますように,「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」を評価するためには,「思考・判断・表現」を重視した授業をすることが必要であります。それに向けての授業改善をしていく必要がありますけれども,教師はともすれば,基礎・基本の知識が定着していないとその上にある思考力を伸ばすことができないと考えがちですけれども,知識・技能は子供たちが学習する過程において重要性を認識し,それを再構成して使用することで主体的な定着ができると考えております。そのためには,全ての子供がそれぞれの観点や力量に応じて必死に考え,取り組んでいく授業を目指す必要があると思います。
  この下にあるものは,平成28年度から始めています授業力向上研修会での模擬授業や研究討議を通して示しているものです。従来まで,ややもすると教師は,先ほどお話ししたように,基礎・基本が定着していないとその上の活用型の授業にはなかなか取り組めない,ある一定のところまで水準が達した上で活用型の授業,思考力や判断力や表現力を養うような授業が成り立つと考えがちでありましたけれども,下にありますように,思考力に伴う基礎力の伸びというものもある。こういう授業も構成しなければいけないということで,現在行っているところです。また御覧いただいたらと思います。
  次のページを御覧ください。2番目に,ペーパーテストだけでは測りにくい点の改善ということで,これはこれまでの議論にも出てきていたように思いますけれども,思考を可視化する,外化するということで,図やチャート,イメージ図など,見える形に思考を表していく。また,思考力等を発揮する場面を設定していく。これも表に表出していく,ルーブリックなどで示す工夫をしていくということで,これも従前から出てきているような内容を書いております。
  3番目は,小単元,単元終了時における「学習の振り返り」を位置付け,評価するということで,必ず小単元又は単元終了時に学習の振り返りの場を持っていくということが大切ではないかなと思っています。これも,ただ単に学習を振り返ろうということを子供たちに投げかけますと,学んだ内容だけの振り返りに終わります。また,学んだ方法だけの振り返りに終わります。そこに一つ,振り返りの場に例えば心の記録といった欄を設けますと,誰かから学んで,こういうことが分かって,またこういう面でプラスになったとか,子供たちの心の変容,心の振り返りを書けるようになったというような実践の報告を受けております。ですので,その振り返りの場の記載をさす一つの工夫というものも今後必要になってくるだろうと思っています。
  次に,2点目が,多面的・多角的な学習評価についてです。まず1点目の中教審で示されているペーパーテストの結果にとどまらない多面的・多角的な評価をどのように推進するかということです。これは最初にも言いましたけれども,学習評価の重要性への教員の意識改革は必要だと思います。言いにくいことですけれども,これまで学習評価は,どちらかというと評定のための評価でありまして,最初に「基本として考えたいこと」で述べたように,次の学習の方向性を示すものや授業改善の視点がややおろそかにされてきたのではないかなと思っています。今後は,評価あっての学習指導だと考えて,評価をまず最初に考えるぐらいの評価の重要性への意識改革が必要ではないかなと思っています。その評価が重要だという意識があれば,様々な面からの子供たちへの評価が日常的に推進できるようになると考えております。
  2つ目は,これもこれまでの発表にもございましたけれども,複数の教員等による指導体制を活用した評価です。昨今の授業は,多くの教員等が一つの教室の授業に入っております。ティームティーチングはもちろんのこと,様々な支援員の方が授業に入っている場合があります。ですので,教員免許を持たないその支援員からも,ある一定の観点をその支援員に与えておいて,そこからの情報も入れながら,複数の教員又は指導員等による評価を得て,あと学習の主たる指導者が確認して,その子供の評価をしていく。可能な限り多くの目で,せっかく大変たくさんの者が一つの教室に入って子供たちの指導に当たっている状況が昨今ありますので,そういう人たちの目からの評価も取り入れていくようにすべきだと思っております。
  次です。多面的・多角的に児童生徒を評価するためには,日常の子供の実態を教師がしっかりと把握する必要があるだろうと思います。学習態度やノート記録,これもこれまでの議論がありましたけれども,しかし教師の多忙感とか,見取りをする評価の指標や習慣化で,これはなかなか難しいことだとは言われていますけれども,時間を決めて短時間で行うようにして,だらだらやるのではなく,時間を決めてこういう設定をして,多面的に子供たちの状況を日常的に把握するようにしております。
  3点目が,効果的・効率的な学習評価の在り方についてです。このマル1のところですけれども,これはここに書いているとおりであります。どうしても評価というと,学期の終了時,学期末,学年末に集中しがちでありますけれども,学期初めに学年団等において,若い教員が多いですから,方法等の共通理解をした上で,年間を通して評価していくといった姿勢を大事にしていっていただきたいと思っております。
  また,先ほどのアンケートにもありましたけれども,単元ごとの知識・理解はペーパーテストで測るというのが大変多くありましたけれども,そのペーパーテストも,単元が終わってすぐペーパーテストをするのか,1学期終わりにペーパーテストを固めてするのかによって,子供の評価は大分変わってくるだろうと思います。そのあたりを学年で共通理解して,単元が終わってすぐペーパーテストをするのか,それとも学年が終わる段階でのペーパーテストにするのかということも共通理解することによって,効果的・効率的な学習評価につながってくるのではないかなと思っています。
  マル3のところには,最初にも申しましたICT化ということを入れております。指導要録については,他県からの転入生を見てみると,「特記事項なし」と書かれているところも大変たくさんありますけれども,通知表と連動することによって確実に子供たちの状況を次の指導者に受け渡しするためにも,ICT化して,十分な記録が必要なのではないかなと思っております。
  4番目,その他です。障害のある児童生徒の学習評価に当たってということです。まずマル1のところに書かせていただいているのは,配慮事項として,効率のよい学び方は一人一人違うのだという意識を教員が持つことだと思っております。
  終わりから2番目のところを御覧ください。これは,算数の九九のところで書かせていただいているのですけれども,九九のつまずきが様々にあることを例にして書いております。この中でも,それぞれの子供たちのつまずきはあるのですけれども,そのつまずきの背景にあるようなことを考えると,一人一人の学び方は一人一人違うということを障害のある子供たちから学び,またこれは健常児についても同様なことが言えるだろうと思いますから,このあたりの障害のある子からの評価の学び方の観点を教員全員で共通理解して行っていく必要があるのではないかなということを思います。テストの結果が思わしくない場合にも,その背景にある潜在要因として,学び方の違いといった側面も意識して,指導と評価の一体化を図っていくことが大切であると考えております。
  次のマル2のところですけれども,障害の有無で評価の在り方が変わるものではありませんが,ア・イ・ウのところに書かせていただいているとおり,特別支援学級児童で,その子に応じた特別な学習内容を支援学級で実施する場合,また在籍児童が通常学級で同等の学習内容を実施する場合もあります。ただ,この場合は,支援学級での個別の指導計画に応じた学習指導や適切な評価を実施する必要があると考えています。また,通常の学級児童生徒でも,特別に支援を要する児童の場合がありますけれども,これについては,通常の学級における評価基準を当てはめていく必要があると考えております。往々にしてこのあたりは混然一体としているような学校現場もあるようですが,本市ではこのあたりの指導はここに書いているようなものをきちんと行っているところです。ただ,こういう点については,保護者への説明と同意は欠かせないことです。
  最後のところは,言語能力や情報活用能力など,今回の改訂で教科等横断的な視点で育成を目指すこととした学習の基盤となる資質・能力をどのように評価するかということです。これは,単元構成の中に,教科等の関連・統合を位置付けて,きちんと,その際,関連ということとか統合ということを書き,そういう資質を見ていくようなことをやっていかなければいけないのではないかなということを思っております。
  以上,十分的を得たようなものではありませんが,一応,与えられた課題について答えさせていただきました。以上です。
 【市川主査】  どうもありがとうございました。
  それでは次に,渡瀬委員,お願いいたします。また,質疑応答の時間は3件の御発表の後にまとめてとりたいと思います。
 【渡瀬委員】  玉川学園の渡瀬でございます。よろしくお願いいたします。
  私どもの学校では,中学1年から高校3年生を対象に,IBのプログラムを実施するクラスを設けております。そういうことで,本日私にこの発表の場をお与えいただいたのだと思いますけれども,実は私自身がIBの授業を担当したことがない。それから評価をしたことがありません。ですから,国際バカロレア機構――今後IBOと略して言いますけれども,IBOの資料を読んで知っていることと,私どもの教育現場を私自身が見て知っていること,私どもの学校の教員から聞いて知っていること。それから,玉川大学は教育学部にIBの教員養成のコースを持っておりまして,その指導者,星野あゆみ,それからクインシー・カメダの2名といろいろ意見交換をする中で,私が理解しているところを本日はお話しさせていただきたいと思います。
  まず,新学習指導要領における評価の重要ポイントを3点挙げました。この2つ目,資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくために,先ほどの藤本先生の御発表にもございましたように,期末テスト又はペーパーテストだけではない,いろいろなパフォーマンスを通しての評価をするということ,これはIBも同じ考えでございます。
  それから3つ目,教師からの評価だけではなくて,児童・生徒の自己評価,それから児童・生徒の相互評価が大事にされるべきだということは,IBの評価でもとても大事にされておりますので,これも同じ点です。
  1つ目の「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点により観点別評価を行うというところについては,IBでは必ずしもこうではないという点がございますので,そのあたりについて触れさせていただけたらと思います。
  IBOの資料の中で,IB評価の原則ということがこのように挙がっています。もう時間がないので,一つ一つは取り上げませんけれども,2つ目に,「評価システムと教科の実践が,児童生徒と保護者に明確にされていること」とございます。年度当初,今ちょうどやっていますけれども,4月の初めに保護者会を開き,また生徒たちにオリエンテーションをしながら,1年間の指導計画とともに評価の方針についてあらかじめ話をします。単元ごとにも,課題が出るたびにこの課題はこういう評価規準,基準で評価をするということを先に伝えます。ですから,生徒にとっては,評価は与えられるものというよりは,自分たちから獲得していくものという意識で学習に取り組みます。主体的に学ばせたいという思いがある中で,何も評価されなくても主体的に学べれば一番いいですけれども,やはりそこで評価されるということがモチベーションになって子供たちは主体的に学ぶということがあり,それを繰り返していくうちに自ら学ぶ姿勢が身についていくということもあるのではないかと思います。
  IBは,大きく分けて,年代ごとに3つのプログラムで構成されております。幼稚園から小学校段階のPYP。このPYPの評価は,全てが学校内の教師が評価する内部評価です。PYPについては,細かいパフォーマンスについてのルーブリックのようなものも示されておりません。PYPは,知識,スキル,概念,姿勢,行動という5つの重要要素を学びの中に取り込むことを重要視していて,評価もこの5つの要素についてなされますけれども,それをどういう観点別にしていくかとかいうことは全て学校に任されます。
  それから,11歳から16歳を対象にするMYP,欧米では小学校6年生から高校1年生までが対象になりますが,そのプログラムでは,IBOが示した評価規準や基準に基づいて学校内で評価をします。一部,その内部評価をIBOの外部評価がモデレーションする,その評価が妥当かどうかということのチェックを受けるという仕組みもございます。
  そして,高校2年・3年の最後のDP(Diploma Programme)では,MYPと同じような内部評価が約半分,そしてIBOに提出してIBOが評価する外部評価が半分,最後の認定資格試験は全てIBOによる外部評価で行われております。
  先ほどのIBの評価の原則の中に,総括的評価と形成的評価がバランスよく行われなくてはいけないという項目がございました。この総括的評価と形成的評価の捉え方ですけれども,簡単に言ってしまえば,最終的に点数になるものが総括的評価,いろいろなパフォーマンスのフィードバックのような形でなされるけれども,最終的な点数につながらないものが形成的評価と捉えてよろしいのではないかと思います。何となく,期末の試験が総括的評価で,それから期末試験以外にもろもろ,いろいろな細かい点数になっていくような平常点が形成的評価のようなイメージを持ちますけれども,IBでは形成的評価は直接には点数には全くつながりません。
  それでは,本日はこのMYP,ちょうど中学校から高校1年生にかけてあたりのところの評価について,おもにお話をさせていただきたいと思います。このスライドにあるのがMYPの教科です。縦に青い文字で書かれているものと,下の黒い文字の2つがMYPの評価対象の教科でございます。下のMYPプロジェクト,学際的単元というのは,総合的な学習に当たるものです。全ての教科は横軸にあるA・B・C・Dの4つの観点で評価されます。この観点をざっと眺めますと,Aのところに「知識と理解」というのが多いので,何となくAが「知識・技能」で,B・C・Dが「思考・判断・表現」のように見えますけれども,必ずしもそうではございません。
  例えば一番上の「言語と文学」のところを御覧ください。「言語と文学」というのは,いわゆる母国語ですから,日本の子供にとっては国語に当たります。「分析」,「構成」,「創作」,「言語の使用」という4つの観点で評価いたしますが,この4つの観点がさらにこのように15の細かい規準に分かれております。Aの「分析」が1から4,Bが3つ,Cが3つ,Dが5つのこのような細かい規準がIBOから示されています。
  例えばDの4を御覧いただきますと,「正確に綴り,書き,発音する」ということがございます。このDの4は,「知識・技能」に当たる部分だと思いますけれども,ただ,同じDの「言語を使う」のところでも,Dの1,Dの2あたりは,かなり活用の場面が評価されますので,そういう意味ではDが必ずしも「知識・技能」だけということではなく,Dの中にも「知識・技能」とその「活用」の両方が含まれるというような形で,それぞれの教科がこのように4観点ずつに分かれております。
  IBでは,この大きな4観点,細かく15のそれぞれの規準について,年間に最低2回ずつ評価をするように,そのエビデンスを得るための課題を出さなくてはいけないという決まりがございます。どういうことかといいますと,年度が始まる前に,1年間の指導計画を立てるとともに,このスライドにあるような評価の計画を立てます。
  このスライドの総括評価対象課題の例を御覧ください。一番上の15分間のプレゼンテーションをさせるという課題については,先ほどのページにありましたAの3とDの5の規準について評価するという形で年間の計画を立てています。一番右のDの列を御覧いただきますと,Dの1が2か所,Dの2が2か所,Dの3,Dの4,Dの5それぞれが2か所ずつ評価されて,トータルで1年間で全ての項目について2回ずつ評価されることになります。それが全て網羅されるように年間の課題を設定しています。その中に期末試験も入っております。前期末のペーパー試験については5行目に記されていますが,そこではAの1とBの1とDの4を評価するという形になります。これを御覧いただきますと,年間にこれだけの課題が出ますが,それぞれの課題によってかなり軽重があることがわかります。分量的にも,例えばエッセイで,文字制限なしのエッセイもあれば,1,000文字までのものが評価されるということもありますので,そういう意味では,後ほどお話ししますけれども,それぞれが評価の点数が出てきたときに,全てを平均するという考え方はIBの中にはありません。
  今お話ししましたように,言語で言うと,30の項目について評価しなくてはいけないわけですけれども,その単元や教材の中で,それにふさわしい方法で,観察とか論文とか,いろいろな方法で課題を出してパフォーマンス評価をしていくということになります。
  課題については,1つの教科で年間に30項目を評価するから30の課題を出すというわけではなくて,先ほどお話ししましたように,1つの課題で2,3個の項目を評価することが多いので,年間10から15ぐらいの課題が出されることが多いのです。各教科ともに,課題が出されるたびにこのような課題の手引きが出ます。課題の手引きの中には,当然,何をしなくてはいけないのかとか,いつまでに出しなさいとかということもありますけれども,そこには,今回のこの課題では,クライテリオンAの3と4,Cの1と2が評価されるということが書かれていて,そしてそれと同時に,そのクライテリオンのルーブリック,これはIBOからもう用意されているものですけれども,このルーブリックが一緒に示されます。そして,それぞれの評価基準について,どれだけのところに達すれば何点,最高8点ということが生徒たちには示された上でこの課題に取り組んでいます。
  それから,例えばエッセイを書きなさいという課題が出されるときに,同時に,エッセイの構成を示すマインドマップを提出しなさいといった課題が出されることもあります。そのマインドマップの課題については,一切最終的な成績の点数には反映されない。その場合にはこのマインドマップは形成的評価になりますが,そのマインドマップについてのやりとりを教師と生徒がする中で,生徒がそれを修正していくことで最終的にそのエッセイがよりよいものになっていくと考えると,点数には直接関わりないという形成的な評価が最終的には総括的な評価に影響を及ぼすということになります。
  それで1年が終わったときに,成績はどのようになるかというと,例えば横に御覧いただいて,Aの分析というところは,4項目ありましたので,本当は4項目に2つずつの評価が付きますから,8つ成績が並ばなくてはいけないのですけれども,この表ではそれを波線のところで省略して,今は6つしか書いてありません。
  例えば,Aの「分析」では4,5,5,6,6,7という成績をとっていた子が,一番右の年間の総合点は6と付いています。これは,先ほどもお話ししましたけれども,平均ではありません。その課題による軽重があること,それから生徒からの自己評価,生徒たちの相互評価を踏まえながら,そして教員の中にある課題ごとの軽重も考えて一番右の総合点を付けます。IBOが出している手引きを見ますと,それは教師が専門家としての判断で成績を決めるのだと書いてあります。国語で言うと,4観点あって,赤字で書かれた総合点が,6点,7点,5点,5点と並んでいますが,それらの合計が23点になります。この23点を下の四角の枠にあるIBの7段階の評定のスケールに当てはめると,評定5になります。5のところが19点から23点です。ですから,この生徒は23点を取ったので,この国語の評定は5,ただしかなり6に近い5ということになります,23点なので。これが子供たちに与えられるIBの成績になります。
  ただ,日本ではなかなか7段階というのがなじみませんので,私たちの学校は一条校としてやっていますので,私たちの学校なりにそれを5段階評価に換算して,子供たちには成績を出しております。ですから,子供たちは,このような全部の教科についてのIBの成績表と玉川学園の評価が並んだ成績表と,それから各教科ごとに1枚ずつの成績,合計で10枚程度ですか,それぐらいの成績表,通知表を受け取ることになります。
  これは,子供たちが年度末,学期末に行う自己評価のサンプルです。ちょっと見にくいのですけれども,その教科のその観点についてのルーブリックに対して,子供が自分の評価はここだと丸を付けたのに対して,先生がマーカーで「あなたはここだ」と。そして,子供は自分なりのコメントを出していますけれども,下に先生は「こうだから,こう評価したのだ」といったことが書かれていて,こういうものが国語の中で4枚あり,それが全ての教科の中でやりとりされて評価がされていきます。
  それから,今まで学びに向かう態度について全く話をいたしませんでしたが,学びに向かう態度のことをIBではATL(Approaches To Learning)と言っています。ATLでは,コミュニケーションスキル,社会性(協働スキル),それから自己管理,リサーチ,思考の5つをスキルと呼んでいます。ただ,2番目あたりは,スキルと言っていいのか,態度というのか,かなり難しいところですけれども,これは全て形成的評価で,総括的評価にはしません。
  この5つの項目もそれぞれ幾つかずつ書いてありますけれども,例えばコミュニケーションスキルの1つ目,「相互作用を通して思考やメッセージ,情報を効果的にやりとりする」ということについても,教師にも生徒にもこのように,具体的にIBOから示されていますので,教師はそれを見ながら,全ての教科,全ての授業の中でそのATLを育てるように授業を設定していきますし,子供たちもそれに向かって努力しようと考えます。
  例えば,自己管理スキルというのがありましたけれども,それについて,教師に対しては,教師の指導の振り返りツールが用意されていて,例えば「自己管理スキルのために提出期限を設定しましたか」とか,こういう項目を振り返りながら教師は授業又は単元,学期の指導を振り返ります。最終的に子供たちにはどういう形でそのことが示されるかというと,先ほどの総括的評価をした成績の下に,私たちの学校でしたら,この赤枠で囲ってあるように,5つのApproaches To Learning(ATL)について,どれぐらいの達成を示したかということを,4段階のコメントでこのように示します。これは全く学校に任されていますので,全てコメントを文章で書くのでも何でも構いません。ただし,例えばここのATLがちょっと足りなかったから,上の総括的評価のところを1点プラスにしようとか,1点マイナスにしようという発想は全くなくて,上の総括的評価は完全にルーブリックを用いた到達度で評価をして,下のATLに関しては,例えば総括的評価のところで3が付いているけれども,そこをもっとよりよくするためにはATLのこの部分を頑張ればもっと上がっていくんだよといったフィードバックの形に活用するということで,完全にここは総括的評価と形成的評価が分かれています。
  こう考えてみますと,かなりIBの評価というのは教師の専門的な判断によるところが多いわけですけれども,その中で客観性を保つために,各教科の観点別に全て規準と基準のルーブリックがIBOから示されているということ。それから,同じ教科の指導を複数の教師が担当している場合は,必ず目合わせをすることが奨励されております。ですから,記述式のテストを実施した場合には,同じ教科を担当する教員が集まって,その生徒の名前を伏せてお互いに評価をし合って,大体同じところの点数になるかということを行います。それから,IBですと,部分的にIBOの外部評価や認証の活用をするようなことがある。
  そして最後に,この指示用語の意味の明確化と共有ということがございますが,課題を出すときに,その課題の指示用語の使い方にとても気を付けます。「比較しなさい」と言った場合,この「比較しなさい」というのはこういう意味ですよということが,生徒にも教師にも同じようにガイドブックの中で示されていて,ここにいろいろな「○○しなさい」とありますけれども,数えましたら全部で53の項目について,ここには全部書いてありませんけれども,その説明書きがあります。ですから,課題を出すときにも,ただ「考えなさい」みたいな漠然としたものではなくて,非常にピンポイントで「こうしなさい」という課題を出すことで,教師もそこを見ますよ,評価しますよという意思表示をはっきりしますし,生徒も同時に,何をしなくてはいけないのかということが明らかになって,評価がなされる。これは私たちは非常に見習わなくてはいけないところかなと思っております。
  以上,IBの評価についてお話をさせていただきました。ありがとうございました。
 【市川主査】  どうもありがとうございました。
  それでは続きまして,尾木先生,時任先生,お願いいたします。
 【時任先生】  関西学院大学の時任と申します。失礼いたします。それでは,大学入学者選抜改革推進委託事業でやっておりますeポートフォリオの開発について説明をさせていただきます。
  本ポートフォリオでは,大きく分けて2つ,探究活動に関する項目と,それから探究活動以外に関する項目を生徒さんたちに入力していただいて,そこから主体性を見ようと考えております。研究チームでは,では具体的に何をどういった規準,基準で入力していただければ主体性が見られそうかということを研究しておりますので,そのことについて説明をさせていただきます。
  主体性に関しましては,これまで様々な先行研究で知見が蓄積されてきております。本研究チームでは,そこで蓄積された知見をそのままJAPAN e-Portfolioに使うのではなくて,実際に教育現場の先生方からデータを収集させていただきまして,そことすり合わせをしながら項目を考えていくこととしております。
  これが研究全体のデザインなんですが,まずデータ収集の1つ目が,高校・大学・企業の方々を対象にした研究です。生徒さんたちを送り出す側の高校の先生方,それから生徒さんたちを受け入れる大学の先生方,そして最終的に社会で受け入れられる企業の人事担当の方々を対象に質問紙調査を実施しました。それと,実際に探究の活動を実践した後,発表する場としてSGH甲子園を開催しておりますので,そこに参加した生徒さんたちからもデータを収集させていただきました。そして最終的に,ここだけで終わるのではなくて,大学の教員と,それから現場の先生方で作る,主体性と大学入学者選抜を考える研究グループを立ち上げまして,そこで知見を検討していくといった研究のデザインで進めております。
  では,具体的にこれまでどういうことが分かってきたのかということを説明させていただきます。このスライドは,高校の先生,それから大学の先生,それから企業の人事担当の方々に行った質問紙調査の結果です。探究活動は,いろいろな学校さんで多様な活動をされておりますので,ちょっと条件を設定する,限定する必要がありますので,主にスーパーグローバルハイスクールとスーパーサイエンスハイスクールの課題研究の取組を探究活動だと我々は捉えまして,そこの先生方を対象に調査をさせていただきました。具体的に何を聞いたかといいますと,全部で347校なんですけれども,どういう生徒さんの学習活動を課題研究で見たときに先生方は主体的だと感じられますかと。つまり,こちら側が,主体的行動というのはこういうものだというのを示すというよりは,現場の先生方がどういう行動を見たときに主体的だと判断されているかを帰納的に収集するというイメージで捉えていただきたいと思います。その結果,1,250名の先生方から回答を得ることができました。
  それから,(2)は大学です。国公立と,それから委託事業に関連する225の私立大学の先生方を対象に,これも正課の授業でどういった学習活動を見たときに主体的だと感じられるかを記述形式で提出していただきました。
  それから3つ目は,企業の人事担当の方々に,新入社員1年目から3年目の社員の方々の業務に関する行動でどういったものを見たときに主体的に感じるかを回答していただきました。つまり,高校の先生方,大学の先生,それから企業の人事担当の方々のこの共通する部分というのがJAPAN e-Portfolioに搭載するにはふさわしいのではないのかなと考えて研究を進めております。
  では結果なんですけれども,現在は,物すごく数が多くて,それをちょっと単純に分類している段階です。ただ,分類している過程でも割と共通項がありまして,例えば高校の先生方であれば,課題研究の授業の中で,他者と積極的に意見交換をしているとか,それから実際に取り組む課題のテーマを自ら設定しているとか,それから発表の場に参加するとか,それから,すごくおもしろかったのが,学外の人たちに積極的にコンタクトをとって実際に会いに行くとか,データを収集するとか,そういった行動を見たときに主体性を感じるということがすごく多かったので,ここではちょっとその例として示させていただきました。
  それが大学の先生方を対象にしたときもすごく類似していて,課題に対して,積極的に議論しているとか,それから研究室に質問に来るとか,学外での企画に参加するとか,割と共通するものがあったなと現時点では考えています。
  それから3つ目,企業の方々も,自分の意見が言えるとか,それから自ら積極的に行動するとか,そういった行動が挙げられました。
  これが,いわゆる生徒さんたちを育てる側の方々がこういう行動を見たときに主体性を感じると考えられると,つまりこれがJAPAN e-Portfolioに搭載する項目の候補になると考えられます。
  ただ,実際に生徒さんたちが現状どうなのかということも併せて調査する必要がありますので,SGH甲子園の方でこういった項目に関することを質問紙で尋ねてみました。その結果がこのスライドになります。2018年度のSGH甲子園に出ていただきました415名のうち,ディスカッションを除く,要は研究成果を発表する場の参加者407名の生徒さんを対象にアンケートをとらせていただきました。例えば,テーマを設定することに対して主体性を感じておられるという先生方はおられますが,実際にどれぐらい生徒さんたちが自分でテーマ設定をしているのかとか,そういったことを調査したのがこの結果です。
  例えば,生徒さん自身でSGH甲子園に出たと言っているのは63.3%で,テーマ設定を自分たちでしたというのは75.8%。実際にSGH甲子園に出た方々は,こういった現状で活動を進められているということがまず分かったと。
  それから,実際に質問紙の結果で,これはキャピタルではなくて,多分,母集団ではないので,小文字のnの間違いなんですけれども,例えば「学びがい」というのはすごくざっくりした変数ではあるのですが,「学びがい」をちょっと5点法で聞いてみて,それと先生方がどれぐらいコミュニケーションをとっているかを尋ねたところ,中ぐらいの正の相関関係があったり,あと学外に行くことというのは実際に「学びがい」にどのぐらい関係があるのかというのを聞いてみたら,これも相関係数としては弱いのですけれども,やや正の相関関係にあると。それから,実際に社会に対してどれぐらい意識を持っているかというのを,社会考慮尺度というのが心理測定尺度集にあるのですけれども,これで聞いてみたら,「学びがい」が上がれば上がるほど「社会を考慮する態度」に関しても向上しているということが,今回の調査からは明らかになりました。
  ただ,学校外の人と交流するということと「社会を考慮する態度」の相関関係は確認できなかったので,単に外に生徒さんたちを放り出せばいいというわけではなくて,多分そこプラス先生方のきめ細かい指導が入った上で,「学びがい」とか「社会に対する意識」が上がっているのではないかなと考えられます。
  今までの育てる側の先生方と実際に学ぶ側の生徒さんたちの調査の結果をちょっとまとめて,今の時点で言えることを考えてみますと,実際の高校の教育現場では,市川先生がおっしゃっているResearch Like Activity,つまり研究者の活動の縮図的活動を学習の基本形態とする,これをこの1996年と2016年の本で実際に,例えば2016年の方で探究活動の例として市川先生が言及されているのですが,こういったものが実際に高校の探究のSGHの活動で行われていて,SSHでも行われていて,そういうところで先生方は主体性等を感じている可能性があるというのが1点。
  それから2つ目が,学校の中だけで学習を完結するというよりは,Authentic LearningとかService Learningで言われている社会との接続の中で,テーマを本当に自分事として意識したりとか,要は異質な人たちとの相互作用の中で学んでいる,そういったことを実際に教育の現場でも探究においては先生方はなされているのかもしれないなということが,今回の1と2の調査の途中経過からは推測できると。つまり,こういった行動をJAPAN e-Portfolioに掲載していくことで主体性の一部が見られるのではないのかなと現在は考えております。
  SGH甲子園に関しましては,25校の研究成果プレゼンテーションに出場していただいた先生方を対象に,こういったデータを出していただいております。これは,ふだんの,要は形成的評価の中でいろいろなことを評価しておられる。先生方はその一部を評定という形で成績につなげておられる。これはどんなものを記録していますかというのを実際にSGH甲子園のときに出していただきましたので,これを見れば,きめ細かい生徒さんたちの学びというものをどうある種定量的な数値として換算しているのかみたいなところのヒントが得られるかなと思いますので,こちらの方も今後分析していきたいなと思います。
  参考までに,これは一部の学校の例をちょっと許可を頂いて出したのですけれども,かなりきめ細かい先生からのフィードバックとかを提出されてきていて,先ほどのIBのところでも説明されておられましたが,この生徒による自己評価と先生によるフィードバックみたいなものも提出されてきておりました。
  最後に,これまでやってきた研究成果なんですけれども,先ほども述べましたとおり,これだけで終わるわけではなくて,主体性,それから大学入学者選抜を研究するグループというのを立ち上げております。いろいろな大学の先生方にちょっと御協力いただいて,例えば,今はどっちかというと探究に関する説明をさせていただきましたが,例えば生徒会で生徒会長をすること,何人規模の生徒さんをまとめ上げること,クラブ活動で何年間リーダーシップをとることが主体性につながっているのかということは,先行研究の学術的な知見とすり合わせしながらある程度説明できる。それが本当にどれぐらい妥当かというのを研究グループの中で調査していきまして,最終的にはこういった形です。JAPAN e-Portfolioに搭載する項目,例えばAに対して,その研究グループのメンバーの12人中何人がこれで主体性を見られるとおっしゃったか,どこをどう変えればよりよくなりそうかといったフィードバックを委託事業のメンバーだけではなくて,使っていただく先生方や世間一般に公開していって,より中身をブラッシュアップしていきたいと考えております。
  研究に関する途中経過の報告は以上になります。
  では,次にeポートフォリオの中身。
 【尾木先生】  関西学院大学アドミッション補佐を務めております。委託事業につきましては学長特命で担当させていただいております尾木と申します。
  お手元の14ページをお開けいただきますと,このポータルサイトJAPAN e-Portfolioの紹介がございます。こちらの方ですが,10月2日からオープンしているものでございます。目的とする内容はもうこちらに記載のとおりですが,そもそもは大学入学者選抜に活用するという観点でございましたが,様々な高等学校様との関わりの中で,実はこれは高等学校の教育の場で使えるものではないかということの声を多数いただいているところでございます。私も本日このワーキンググループには初めて参加させていただいておりますが,先ほど来課題となっている案件について,このJAPAN e-Portfolioが解決のツールになり得るのではないかなということを非常に強く感じている次第でございます。
  その内容をちょっと御覧いただきたいのですが,こちらの方が実は入力の画面でございます。課題研究に関する探究活動の授業科目とか,研究テーマ,目的・内容,それからテーマを選んだ理由等を書きますが,一番右側の方の上ですが,「研究のふりかえり・今後に活かしていきたいこと」,こういったことを必ず生徒に入力させることになっています。実は,こちらのポートフォリオには探究以外にも様々な情報を入力してまいります。例えば調査書のところで言えば,特別活動であったり,指導上参考になる諸事項に関するようなもの,つまり部活動,生徒会活動,資格,顕彰とか,そういったものを入れます。最後のページを御覧になっていただくとそれが書いてあるわけでございますが,必ずその全てに「振り返り」「気づき」に関する入力項目を入れているわけです。こういったところの記載の中から,ある種の評価ができるのではないかなという期待がございます。
  そして,全てエビデンスとなるような画像データとか,プレゼンデータ,文章をここにアップロードすることができるということであります。ここが一つございます。資格・検定についても600種類を搭載している。英語についても4技能に対応したものになっているということでありまして,こういったことでかなりの情報が蓄積されるデータベースとなるという期待がございます。
  高等学校からの期待の声を一つ紹介いたします。生徒たちはスマートフォンやタブレットを使ってここに入れるわけですが,生徒たち自身のメタ認知につながるということと,もう一つは,これを使って要録の参考にしたい。今まではデータベースがなかったので,要録を作るに際しても,生徒に記載させて,それを基に作っていたのだけれども,ここに全てのデータが実は蓄積されているということになってまいります。それで,要録をこれで何とか作る形に持っていきたいということを今いろいろなところからお声掛けを頂いているところでございます。それはもう当然でございますけれども,そういった形で,そこから調査書や推薦書作りにも生かしていきたいという声もございます。
  それから,カリキュラムマネジメントの話がございますけれども,今までいろいろな情報というものがなかったという中で,例えば生徒たちの理解度を示すようなものにもつながっていくと思います。先ほどの「気づき」の項目です。生徒が,例えば実験で失敗した。失敗したところからどのような方向付けを次にしていったのかとか,例えば論文も共同で作っているのだけれども,主体的にどういった形で取り組んだのか,課題設定をするに当たってどのような本を読んだのかみたいなところが全てここに蓄積されていくわけです。そのような中で,生徒の理解度であったり,学びの方向付けあるいは授業の改善にも使っていただけるのではないかなという期待が出てきておりますし,ある福岡県の取組の中で先日出てきたのは,キャリアパスポートの取組をしていくということの中で,キャリアパスポートの中では,いわゆるデジタル化ということの期待ですが,これも実は特別活動の蓄積をしていく中でこれができていくのではないか。先ほどもありました学年進行や転校によって情報が途切れるということも,こちらのデータベースを使っていくことによってなくなっていくということでございますので,様々な点での活用が出てくるということになります。
  冒頭の方で申し上げたとおり,単純に大学入学者選抜改革だけではなく,大学の教育改革,それから高等学校の教育改革にもつながっていくものではないかなと思います。こういったデータベースが様々,いろいろなところで逆にできてしまうと,高等学校の先生方はいろいろなものに入力しなければいけないということになりますが,こういったものに集約していくことによって業務が逆に簡素化されていくということにもつながっていこうかと思います。
  その点で申しまして,現状では大学入学者選抜改革推進委託事業は高等教育局の事業として推進しておりますけれども,こちらの初等中等教育局でのお取組の中身についても寄与できるツールになっていくのではないかなと考えている次第でございます。
  以上でございます。ありがとうございました。
 【市川主査】  どうもありがとうございました。
  それでは,これからただいまの御発表3件に対しての御質問を含めて,また御意見等もありましたら,名札を立てていただいて,御発言いただければと思います。いつものように,大体時間としては40分ぐらいあるのでしょうか。どうぞ,御意見のある方は名札を立ててお示しください。では,鈴木先生,お願いします。
 【鈴木委員】  本日はちょっと石井先生がいらっしゃいませんので言いにくいのですが,石井先生が最初にここでお話しなさったときに,評価規準の意味でルーブリックという用語と,それからオーストラリアのサドラーの例をお引きになって「スタンダード」という用語の2つをお使いになられました。本日も,各先生の御発表の中で,評価規準という意味でルーブリックという言葉をお使いになっていますけれども,1990年代の半ば頃,ルーブリックという言葉はアメリカで使われ始めました。もともとはルーブリックは,聖書を英語に翻訳するときに章立ての章の最初の項目を赤字で書いたので,赤という意味でルーブリック,そこから来ている用語です。
  それで,実は1990年代の半ば,ルーブリックという用語がアメリカで登場し始めたときに,アメリカの評価専門家で非常に有名なW.J.ポファムは,Educational Leadershipという雑誌にルーブリックについては注意をしてほしいということを述べております。私もその論文を読みましたけれども,このように言っております。あくまでルーブリックというのは,個別の課題,各先生が工夫してテスト以外で課した課題について,各先生の評価規準だと。ですので,先生の提示した課題が違えば,またその評価規準も違うと。ですから,基本的にはルーブリックというものは,いろいろな課題ごとの評価規準だと。そこでポファムの指摘していることは,各課題ごとに個々いろいろな評価規準という意味でのルーブリックができたら,統一性が失われてしまうのではないかと。ですので,あくまでルーブリックという言葉は,個別の課題に対する評価規準という意味で,各ルーブリックが統一性があったりということを意味していない。そこが問題なのだと。ここのワーキンググループの議論というのは,国の評価のシステムに関する議論をしております。ですから,パフォーマンス課題に関して,その評価規準にルーブリックが必要だというところまではもちろん結構なんですけれども,ポファムが注意をしているとおり,あくまでルーブリックは,個別のプランに対する評価規準,特にパフォーマンス課題やパフォーマンス評価に関する個別の課題の評価規準という意味です。ですので,アメリカで登場した頃,いろいろなルーブリックが登場して,統一性がないとポファムは言っているわけです。そこが問題なのだと。
  ですから,個別の課題ではなくて,いろいろな課題に共通に適用できる評価規準が逆に必要だと。ルーブリックは,余りにもいろいろな課題に対して千差万別になってしまうので,共通の評価規準というものが必要になる。このような意味で言う場合は,スタンダードという言葉を通常は使っていると思います。石井先生は,その意味でルーブリックとスタンダードと最初のところでおっしゃったと思います。
  例えば,大変申し訳ありませんが,先ほどIBについての御説明のときに,先生がルーブリック,ルーブリックと何回もおっしゃったので,大変申し訳ありませんが,たしか資料の15ページです。そこに写真が出ているところ,小さくて大変見えにくいのですけれども,“Criterion D: Writing”と書いてありますけれども,要するにクライテリオンは日本で言えば観点のような意味で使っております。大変見にくいのですが,この部分のところをよく見ていただければ,そこに“Standard Descriptor”と書いてあります。ですので,これはいろいろな課題に共通する評価規準という意味でこれを示してありますので,やはりスタンダードという用語を使っております。ルーブリックではありません。ですので,個別のパフォーマンス課題に対する評価規準をルーブリックという表現で示すことはいいのですけれども,いろいろな課題に共通した評価規準という意味では,スタンダードという用語を使わないとまずい。ここまでの議論でずっとルーブリックとやってしまいますと,各学校や各先生がそれぞれ課題ごとに好きなように評価規準を作ってもよいというニュアンスを持ってしまうのは非常にまずいのではないかと。
  ですから,ここでの議論は,もちろんパフォーマンス課題個々のものに対してはルーブリックで結構ですけれども,国全体の評価システムとか,特に共通の評価規準というものを考える場合には,ルーブリックではまずい。スタンダードという用語を使わなければいけないと。もう一回繰り返しますが,IBのこの評価規準も,よく見ますと“Standard Descriptor”という用語を使っておりますから,そこの用語上の注意をしないと,余りにルーブリックを使い過ぎますと,教科の統一とか共通の評価規準という意味がルーブリックにはないので,気を付けなければいけないのではないかと思います。
 【市川主査】  ありがとうございます。今の点ですが,一応,再確認みたいなことをしておいた方がいいんですかね。要するに,クライテリオンとスタンダードとルーブリック,この3つは,ちょっとごっちゃになると,非常に議論が混乱するかもしれないので。
 【鈴木委員】  一応,クライテリオンは,評価規準という意味もありますが,用語上は最近は我が国の観点というような意味で使う場合がほとんどです。その観点の中での評価規準という意味で,特に共通した評価規準という意味ではスタンダード。そのスタンダードに基づいて各先生がいろいろ課題を設定して,それで作るのはルーブリックでも構わないけれども,ここでの議論はあくまで国全体のシステムとしての評価規準を考えるのですから,ルーブリックという言葉を使ってはいけないとは申しませんけれども,やはりスタンダードという意識を持たないと,評価の統一はしなくていいとか,個々勝手にいろいろ作ればいいというようなニュアンスのことを発信してしまう。これはまずいのではないかなと。
 【市川主査】  ありがとうございます。その点はよろしいですかね。クライテリオンは,観点といっても,いわゆる4観点とか3観点ということではなくて,むしろ,こういう視点で見るとか,こういう軸で見るという,その軸や視点に付けられた名前がクライテリオンで,それのどこに位置するかという位置付けに当たるのがスタンダード。さらに細かく課題ごとに,この課題でこうだったらどうだというような細かい記述がルーブリックということでよろしいでしょうか。専門の方もたくさんいらっしゃると思うのですけれども,ある程度,その概念,用語の統一をしておかないと議論が混乱するだろうということですね。
 【鈴木委員】  ここでもスタンダードと言っていますので,ルーブリックではないので。
 【市川主査】  スタンダード。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
  それでは,ほかの方,いかがでしょうか。では,秋田委員,どうぞ。
 【秋田委員】  お三方の御発表は,いずれも大変興味深く,刺激的に聞かせていただきました。その中で2点ほど伺わせていただけたらと思うことがあります。
  まず第1点目です。藤本教育長のお話,それから玉川学園の渡瀬先生のお話の中で共通するのが,従来,評価というものを学習の終わりに教師が意識することが多いけれども,目標と学習と指導の一体化で,最初の当初のところで意識していくことが極めて重要だという御指摘がありました。ある意味で当たり前なのですが,それをかなり具体的に今回お示しくださっていると思います。その意味で,お時間があれば,藤本教育長が3ページ目で,意識改革として,評価があってというので,「評価を最初に考えるぐらいの」と書かれている。そのときに,どのように最初に考える評価というものがあったらいいのかの具体を教えていただきたい。またIBの方では,最初の課題の指示とか,生徒に示すところがかなり具体的です。例えば指示語の明確さとか,それを生徒に出すときの明確さを出していただいているのですけれども,そのあたりについてです。またその一方で,実際の評価を教師が行うことを考えますと,なれない者にとっては,あらかじめ共通で作ったこういう様式を事前に出すことはできるのですけれども,最終的にはかなり個別具体的な到達とか達成した学習のイメージというもの,具体的な姿,それを豊かに持って共有していくことが必要になってくるのだろうと思っております。そのあたりはデータベースと言うこともできるかもしれません。このあたり当初のあり方と具体的イメージの共有をどのように考えておられるのかをお二人には伺ってみたいと思います。要するに,最後に終わった生徒の姿から,もう一度評価の在り方,さっきのお話であれば,クライテリアだったり,スタンダードというところで,どのようにそれを考えていくのかという議論を1点伺ってみたいと思います。
  また,2点目として,この主体性を評価する高大接続ポートフォリオの報告は大変画期的でありました。今後生徒の具体的な姿や,そのデータベースから主体性を考えたり,これからのありようとつなげようという提案として大変重要なものではないかと考えます。その一方で,こういう仕組みが動き出すことによって,これを無償で全体に国が作るのであればいいけれども,そうでない場合に,このシステムに加盟できる学校や大学と,経費が掛かって難しい学校との差が生まれるとするならば,それはかえって学校間格差の助長につながり得るのではないか。電子的なシステムは設備に非常にお金も掛かるので,このあたり,聞きにくいことではありますけれども,今後,全国で取り組んでいくときにどういう形が考え得るのかを研究や本日の御報告内容からは直接には外れますけれども教えてください。e-Portfolio的なものを考えていくときに,裏表にシステムの整備を誰が行うのか,各都道府県や大学がどういう形で行うのかという議論とセットでないと,公共性が失われがちだと思うので,そこを伺ってみたい。
  以上2点でございます。
 【市川主査】  そのほかの委員の方で,続けてあれば伺い,その後でまとめてお答えいただく形にしますが,もしほかの委員から今ないようでしたら,すぐにお答えいただくということにします。では,続けてどうぞ。
 【善本委員】  3人の委員の先生方から大変貴重な御発表を頂きまして,ありがとうございました。私からは1点,渡瀬先生に御質問をさせていただければと思っております。
  私どもは中・高の現場でございますので,IBという枠組みが違うとはいえ,大変参考になるお話でした。IBで10の学習者像(ラーナープロファイル)というものを提示していらっしゃって,これは私たちIBでない者にとっても大変明確で参考になる姿なんですけれども,そのラーナープロファイルと評価とがどのような関連性を持って想定されているのか,あるいはそこは関連性が薄くてというものなのか。ちょっとこの中にそれについての言及がなかったので,もし参考になるお話として聞かせていただければと思います。
  以上です。
 【市川主査】  ありがとうございます。
  ほかの委員の方から御質問,御意見はございますか。
  それではすぐにないようでしたら,とりあえず今のお二方からの御質問それぞれに対して一応マイクをお回ししていただいて,藤本先生,渡瀬先生,それから最後に尾木先生,時任先生,それぞれお答えいただければと思います。
 【藤本委員】  ありがとうございます。学習評価への重要性の意識改革ということでここに書かせていただいたとおりでありますけれども,教員の多くは学習評価イコール評定と考えまして,全ての学習の最終場面で子供たちに評定を与えるということで,それで全ての学習の一つの区切りがそこで終わったという段階を考えているのですけれども,そうではなくて,学習を構成していくときに評価の姿をイメージして,そこから学習をスタートさせて,皆さん,そのように授業構成をしているだろうと思うんですけれども,そこで,より評価からスタートするのだというような意識を教員には持つように我々から指導をしているわけです。
  それともう一つは,今まで学習課程をPDCAサイクルのように,問題から始まって,終わりに評価が来るのではなく,一つ問題解決の過程をずらして,一番最後に評価が来て,そして新たな課題が来て,新たな課題解決の方法ぐらいまでで学習が終わって,次の学習からはもうその問題解決がスタートしているような学習課程から始めていくように,一つの学習サイクルをちょっとずらして考えていくような学習を構成していくことによって,より評価を意識した評価を1番目に考えた意識改革は進んでいくのではないかなということも考えております。
 【市川主査】  では,渡瀬先生,お願いします。
 【渡瀬委員】  秋田先生の御質問でございますが,まず指導計画を立てる段階で指導と評価を一体的に考えて,先に評価の計画を立てながら,その後,子供たちのパフォーマンスによっては,評価の仕方を変更しなくてはいけないということも出てくると思います。そのために,数多くの形成的評価を行いながら,場合によってはその後の総括的評価の在り方を変えるということも当然出てきます。その場合には,その都度保護者と生徒たちに,その説明をしていかなくてはいけないんだろうなと思います。最初に1年間の指導計画を立てる中で,評価のことを考えながら計画を立てて指導を進めていき,その都度,必要があれば,それは当然変更していく。ただし,最終的に,先ほどお話ししましたように,その教科の観点にある全ての項目について最低2回ずつ評価をしなくてはいけないというところだけは外さないようにしなくてはいけないというのが,IBの在り方だと思います。
  それから,善本先生からございましたラーナープロファイルとの関わりですけれども,年度が終わるときにラーナープロファイルの表彰というのがあります。これは,全部の学校がそうなのか,私どもだけがそうなのか,ちょっとよく分かりませんが,例えば「探究する人」の受賞については,その理由が,総括的評価がなされている評価の場合もありますし,ATLの部分で態度面などが評価される場合もある。賞を与えるということがラーナープロファイルを目指すモチベーションになりますし,それがラーナープロファイルとATLと,それから教科ごとの総括的な評価とを結びつけていると思います。ラーナープロファイルはどの教室にも掲示しあって,ATLの話をするときに,このようなことでなくてはいけないよねということを先生は生徒にいつも話しています。
 【市川主査】  ありがとうございました。
 【尾木先生】  ありがとうございました。秋田先生,ありがとうございました。まことに,先生から御指摘というのは,課題として今このJAPAN e-Portfolioが直面している部分であると考えております。ポートフォリオの利用についてでございますけれども,一応生徒が入力する機能については無償でということを現状では考えております。ただ,これを大学に出願する際には,やはり手数料等を頂戴して,あるいは大学の方から会費のようなものを頂戴して,あるいは志願者に応じた手数料を頂戴してという形が必要になってくるであろうと考えております。
  生徒の利用する機器の話ですけれども,スマートフォン,タブレット,高校のPCというものを想定しております。現状では,生徒のスマートフォン利用率が90%という声もよく統計等のデータで出てまいりますけれども,まずはここを基準にしながら,校内のPCとか御家庭のPCで保管していくというところで,活用のところでの格差が生じないようにしていくというところが重要であろうかと思いますが,やはりICTを活用した教育部分についての予算というのは非常に重要な部分なんだろうとは思っております。
  それから,今後の運営主体のことでございます。先生のおっしゃるとおり,公共性を非常に担保してやらなければいけないと,非常に重要なデータベースになろうかと思いますので,その点は非常に重要だと思います。その点で,委託事業の期間が終わりました後の運営主体を今後定めていく必要があるということで,今,高等教育局の方の入試室と折衝をしながら進めていっているということでございますので,御指摘のとおり,本当に公共性のあるものにちゃんとしていくということが重要なんだろうという認識でございます。
  ありがとうございました。
 【市川主査】  ひとまずよろしいでしょうか。
  それでは,奈須委員,どうぞ。
 【奈須委員】  御報告,ありがとうございました。本日お話を聞いていて印象的だったのは,評価をもっと,いわゆる契約ですよね。教師側と子供の側で,ある種の契約関係をきちんと結ぶという。日本の学校教育にこの契約という観念がとても弱いのだという指摘は以前からあるところですが,今回その評価ということで,評価の規準とか,何が望まれるのかとか,こういう課題の達成が大事なんだということを示すことで,子供が何を目当てにして,どこに向かって学べばいいのかということがはっきりすると。逆に言えば,これまでの評価というのはだまし討ちみたいなことをやっていたのではないかということだと思うんですけれども,契約という概念,これは評価だけではなくて,学校教育全体にもっと契約的な概念を入れていくということです。つまり,大げさに言えば,社会契約みたいな,日本はまず社会契約論がちゃんと市民社会に根づいていないという御指摘もありますけれども,一人一人が自立した人として向かい合っていく上で契約という概念がここにとても大事だと思います。
  そうしていったときに,意欲の話がありましたけれども,内発的な動機付けなどという研究が昔からあって,評価をして,評価規準を明確にすると,自分が自由に学びたいという意欲を減殺するので意欲は下がるのだという議論が昔あったのですけれども,その際に,何を目指すのかがうまくはっきり示されて,自分が明らかに成長したんだということが情報的にフィードバックされるような,インフォメーショナルという言い方を昔よくしましたけれども,そっちに向かって評価が機能した場合にはむしろ内発的な動機付けが上がるという話があって,ただその評価をされると,監視,サーベイランスとして機能するので下がるのだけれども,教師によって支えられて,私が成長したということが明らかに見えてくるような情報の示され方,やっぱり,だからそれは質なんだという話だと思うんです。だから,はっきりさせることによって何か世知辛くなるように日本人は思いがちだけれども,はっきりさせることによって,何を目指し,私が確かに成長して,それを先生が支えてくれるという,形成的ということもありましたけれども,そういう評価環境にするのだというお話が本日繰り返されて,とても大事だったかなと思います。
  と同時に,それは評価の問題だけではなくて,日本のカリキュラムとか教授設計にも影響するのだろうなと思って,ちょっと気になっているのは,評価計画を先に全部,ある意味でやって,それに基づいて教授計画が出てくると,一種の逆向き設計ですよね。バックワードデザインで教育を作る。これは,国のカリキュラムでも,5歳の終わりまでに到達する姿とか義務教育の最終段階までに到達する姿というのをはっきりさせようというのもある種のバックワードデザイン的な発想で,気を付けないと,この発想はアカウンタビリティー運動みたいなことが背景には一つあるので,説明責任は大事なんですけれども,余り行き過ぎると,それも世知辛い話になってくるんですよね。気を付けないといけない,難しいあたりだと思いますけれども。
  それで,渡瀬先生などにお伺いしたいのは,学校でこういうある種のバックワードデザイン的な評価計画をきちんとやって,課題をきちんとやっていって,それがどうなんでしょう。実際の授業の計画とか授業実施にまでいくと,割と,一人一人の教師の自立性とか創造性とか,さっきこれは秋田さんも言われたことだけれども,柔軟な対応とか,その場その場で起こってくることを見ながら柔軟に授業を作り直していくとか,それはとても教師の専門性で日本の教師は得意なところで,その辺がどうでしょう。これを目指して,これをいつまでに見なければいけなくて,この基準だということを明示するがゆえに,また子供もそれを意識するがゆえに,そういうことが起こりにくくなっているようなことはないだろうかということがちょっと心配なんです。というのは,つまり,評価計画に関する議論をしていますけれども,評価計画に関する議論をしていくと,それは実は教授の実施とかカリキュラムの動き方にも影響を与えたり,教師の専門性ということにも影響する話を実はここはやっているんだという自覚がこの部会には必要かなと思っているんです。
  もう一つは,子供の側のことを見ていくときに,基準を明確にしてやっていくという話は,逆に常にある種のゴールフリー評価ですよね。目標にとらわれない。これは秋田先生がおっしゃったことだけれども,授業の中で,期待はしていなかったのだけれども,とても教育的に意味のある育ちの姿とか,意味のある出来事が創発的に生じたときに,それをどう捉えて評価に生かしていくかとか,それをどうやって教授に戻していくかというところはとても大事で,これがまた日本の教師の重要な専門性だということはレッスンスタディの中でも議論されていることだけれども,そこを減殺せずにきちんとしたさっきの契約的な評価というのをどう盛り込むかという話が本日の話ではとても大事かなと思ったのです。
  だから,何かその辺のあたり,現場の感覚としてはどうなんでしょうか。きちんとやっていく,明示化していく,約束していくということと,その上で柔軟にやっていくとか,子供の姿に寄り添っていくといったことがどんな関係にあるのかということを現場感覚で少しお話を伺えればと思って伺っていました。
 【市川主査】  今のは,どなたかに関する御質問という形で。
 【奈須委員】  渡瀬先生に少し。
 【市川主査】  渡瀬先生。渡瀬先生,いかがでしょうか。
 【渡瀬委員】  現場の様子を見ますと,確かに先に評価をはっきりさせて授業をしますから,先生は当然それにある程度縛られながら授業をしていきます。ただ,最初に評価まで考えて指導計画を立てるときに,何ができるようになるかという部分は概念的なもので設定されてくるので,余りピンポイントに,この知識を身につけるとかといった目標の立て方ではなく,このようなものの考え方ができるようになるといった設定をします。そういう意味では,例えば山の頂上に登るために,この道しかないと決められてしまうような目標設定ではないので,ここを目指すにしても,こっちの道からもこっちの道からもこっちの道からも行かれるけれども,ここを目指すんだというものがIBの場合は多いんです。そういう意味では,その心配というのはあまりありません。ただ私どもの学校を見ていると,日本人の先生と,それからアメリカ人の先生と,イギリス人の先生と,それから同じ日本人でも,その先生によってそこの柔軟性は非常に違いますし,ましてやいろいろな国から集まっていると,ある程度先生の国民性みたいなものもあったりして,そういう意味でのばらつきというのは確かにあります。一方で文字になって,こういう概念を身につけますとか,これができるようになりますと書いてあるものを親御さんが読んでいますので,それに対して,これは違うのではないかといったことを子供や親御さんが言ってくることがありますので,それに対してコーディネーターは日々苦労しながら説明をしています。そのたびにコーディネーターは教師と話をして,なぜそこの部分はこのように評価したのかといったやりとりをしているということは,日常茶飯事のように起こっております。
 【奈須委員】  ありがとうございました。
 【市川主査】  ありがとうございます。
  では,髙木委員,どうぞ。
 【髙木委員】  今ちょうど渡瀬委員が最後のところでお話になったことと重なってくるのですが,実はまだ評価と評定が社会的に違うものだということがなかなか認知されていない状況で,例えば昨今で言えば,「特別の教科 道徳」における評価などというと,いまだに5,4,3,2,1を付けるみたいな感覚で社会的にはとらわれているということの中で,渡瀬先生の資料の中の3番目に,IB評価の原則の中に,例えば2つ目の「・」とか下から3つ目の「・」に保護者との関係といったことが出ていて,それこそ玉川のこのIBの学校へも,言い方は悪いけれども,最初から覚悟してというか,望んで入ってくる保護者の方だから,こういった評価についてはどちらかと言えば理解が高い方々なんだけれども,一般社会に向けて,今先生方がされている評価というのが本当に理解されて,これが評価だという形で受け止められているか。学校の現状で結構ですので,最後のところは先ほどお話しされたこともあると思いますが,保護者がどのようにこういった新しい評価について理解されているのか。そこをお伺いしたいんですが。
 【渡瀬委員】  確かに,そういうプログラムだということが分かってお子さんたちを入学させてくる保護者の方ですから,そういうことに御理解のある方もいらっしゃいますけれども,今週の土曜日も3時間ぐらい,保護者に対してワークショップを開きます。ですから,いわゆる保護者会というのではなくて,親のためのワークショップなんです。そこで評価の在り方についてもかなり細かく話をしていきます。それが年に数回あって,それでもやはり質問が担当の教員には来ますので,そのたびに担当の教員とコーディネーターと保護者と子供との間で一緒に話をしながら御理解いただく。御理解いただけないことも時にはある中で,現場は苦労しながらやっているという状況があります。
 【市川主査】  鈴木委員,どうぞ。
 【鈴木委員】  最初のここでの発表で,袋井高校でも総合学習のポートフォリオを作っていると申しましたが,実はeポートフォリオを作ろうとしたのですが,要するにグループワークに関しては,コピー機をすれば,それがそのままデータとしてコンピューターに取り込まれるので,作り始めたのですが,作業が大変になってきて,やめてしまったと。そういうeポートフォリオができれば紙の節約になるということは,大変期待しております。
  ただ,ここで発表をお伺いしたこのeポートフォリオの評価の構成概念。構成概念というのは,何を評価しようとしているかというその能力や技能のことなんですけれども,ちょっと微妙な言い方をしているので何とも言えませんが,「主体性等」と言っていらっしゃいますが,この内容からいって,主体性だけではないのではないかなと。例えば課題の設定のようなものは,必ずしも主体性ではないのではないかなと。という意味で,このeポートフォリオは,どうも主体性ばかりではない。ほかのものも含んでいる。文部科学省の方でどのように依頼したか分かりませんけれども,どうもちょっと主体性よりも広いのではないかなと思うんですけれども。
 【市川主査】  これはいかがでしょうか。
 【尾木先生】  先生の御指摘のとおりでございます。高等学校の生徒の全ての活動が主体性だけでくくられるものでは当然ないと思います。その他の「思考力・判断力・表現力」等も含めて,あるいは「知識・技能」等も含めて,ポートフォリオの中には格納できるような形をとっていった。ただ,この実証事業は最終年度でございまして,高等学校にも様々参画いただきます。この中で,こうあるべきではないか,このようにすべきではないかということを収集するのが,最後のこの1年でございます。そういった意味で,先生も含めまして,高等学校の現場のお声をなるべく多く聞かせていただいて,大学入学選抜だけではなくて,高等学校の教育改革にもつながるような内容のものにちゃんとしていくということが課題だという認識をしておりますので,頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございました。
 【市川主査】  嶋田委員,どうぞ。
 【嶋田委員】  もう時間もないので感想というところですが,藤本教育長からお話がありました中の3ページに振り返りのことが書いてございます。今,小学校の現場で学習指導要領の平成32年度の改訂の全面実施に向けて,それぞれの授業の中で,その評価につながるところで,学習の振り返りというところには非常に力を入れている学校が多くございます。本校もそうですけれども,これが小単元,単元終了時だけではなくて,ポイントとなる一つの単元の中の授業の中で,振り返って,また次に何を学びたいかということを子供たちが,本当に数行とか1行とかということもありますけれども,やっていくことを積み重ねていくことが,自分の学習を自分自身で考えていく力につながっていくと考えているところでございます。単に今までやったことではなくて,次にどうしたいかという意識を持たせていくことが,これから非常に必要になってくるし,主体的に学ぶ評価にもつながっていくのではないかと思いました。感想です。ありがとうございました。
 【市川主査】  これは御感想ということでよろしいですか。
 【嶋田委員】  はい,結構です。
 【市川主査】  無藤委員,どうぞ。
 【無藤教育課程副部会長】  藤本教育長に質問なんですけれども,御発表の中にも,教師の多忙感とか,若手教員が増えていて,なかなか難しいということに触れていると思うんです。この評価の枠組みは非常によくできているとは思うんですが,かなり複雑な仕組みを持っているし,例えばパフォーマンス評価にしても,かなり評価課題がたくさんないと使えないかもしれない。その辺で,教育委員会として,どういう手だての中で若手教員も含めて広げるのかについて,ちょっとお考えがあればお願いします。
 【市川主査】  では,藤本委員,お願いします。
 【藤本委員】  ありがとうございます。教員の働き方改革は,昨今,本当にそれぞれ市町教育委員会の大変大きな課題でありまして,私どもも,もう間もなく県のプランを受けて,市としての取組を改革プランとして出していこうと思っています。ただ,若手教職員が増える中で,校長にも,それこそ一昨日金曜日に校長会があったのですけれども,そのときに,私自身の本音として,幾ら多忙感,教員の働き方改革とはいえ,子供にとってのこの学習評価のこともそうですけれども,学習指導とか授業改善とか,そういうものに向かって熱心に取り組んでいる教員に「早く帰れ」とは言えないのがやはり本音であるというようなことを校長には伝えました。ただ,無駄なところは省いていく,また働き方改革自体も,自分の意識改革をしていく部分はしっかりやっていくけれども,子供にとっての学習評価であろう,また評定であろう,授業改善であろう部分については,しっかりと時間を掛けて継承していかなければいけない部分があるように私自身は思っております。ですから,この部分にはしっかりと時間を掛けていこうかと思っております。
 【市川主査】  ありがとうございます。
  では,河野委員,どうぞ。
 【河野委員】  どうも皆さん,発表をありがとうございました。簡単に感想だけ言わせていただきます。
  いろいろな発表の中でも,企業の人事の声を聞いていただいたり,あと保護者との関係や地域の人たちとのという関わりを入れていただいて,大変うれしく思って,それぞれ伺っていました。今回,これはワーキンググループなので,もちろん評価をするテーマではあるのですけれども,この評価する人がこれから大変重要になるので,そこのところをセットで考えていくのが大変重要で,実はそれぞれこの分野は,社会の中ではいかに評価しなければいけないかと動いてきた部分でもあると思いますので,そういう意味では,先ほども出ていましたけれども,例えば複数の先生たちが評価する中にも,前回も申し上げたのですけれども,例えば企業の人事の人たちも入っていき,そして意見を言う中で,この生徒の見方はこういう見方もあるよというのですか,そういうことも踏まえて,人の見方みたいなものも一緒に参考意見に入れてもらえたらなと思いました。
  もう一つ,eポートフォリオはすばらしいなと思って拝聴していたのですけれども,これは学校の中だけではなくて,本当は個人でずっと持っていくべきパスポートのようなものなのかなと思ったのですが,100歳人生なので,リカレントまで踏まえると,非常に有用なものだなと思って伺っていました。
  感想だけです。以上です。
 【市川主査】  ありがとうございます。
  では,私から1つだけ伺ってよろしいでしょうか。これは時任先生にということになるかと思うのですが,この研究のテーマとしては,主体性の評価ということになると思うのですが,その中では探究活動に関する項目が主になっていて,探究活動以外は部活動や生徒会活動ですよね。いわゆる学習のプロセスとして,習得・活用・探究ということを考えた場合に,習得における主体性というのは,これは,そういうものはないのでやらなかったということなのか,今回は外したということなのか。かなり多くの時間を占めるのがやはり習得の授業で,その習得の授業というのは,子供が主体的になりにくいのだけれども,主体的に習得の授業も取り組んでほしいわけです。ここのことがちょっと今回のには出ていない気がするのですが,このあたり,ちょっと御説明いただけますか。
 【時任先生】  先生のおっしゃったあれで言うと後者の方で,見られるけれども,ここでは見ることができないというか,ここでは見ないということで,結局,主体性があるから5教科の学力の3要素の1つ目,「知識・技術」も習得してテストでいい点を取れたりするという考え方もできますので,そこは否定せずに,ただ,ここでのポートフォリオではあくまでも探究と,それ以外のは部活動等という考え方でございます。
 【市川主査】  分かりました。最初の調査で私もおもしろいなと思ったのは,例えば企業の方から,どういうときに主体性のある社員だと判断するかというときに,例えば,1のことを伝えても10の質問が飛んでくるとか,これはやはり自分事として学習を考えていて,もっと知りたい,もっと考えたいという意欲の現れで,主体的になっている姿だと思うんです。それは恐らく習得の学習でも見えることでしょうし,一方ではそれもすごく大事な研究になるのではないかなと思いました。ありがとうございます。
  それでは,一通り意見や御質問を頂いたということで,よろしいでしょうか。
  定刻も近づいてまいりましたので,本日はこのあたりにしたいと思います。
  次回以降の予定につきまして,事務局の方からお願いいたします。
 【白井教育課程企画室長】  次回のワーキンググループでございますけれども,5月30日の午前10時から12時までということを予定しております。場所については,現在調整中ですので,また追って御連絡したいと存じます。
【市川主査】  それでは,本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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-- 登録:平成30年11月 --