学校における働き方改革特別部会(第12回) 議事録

1.日時

平成30年4月25日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

学術総合センター内一橋大学一橋講堂特別会議室 

3.議題

  1. 学校の組織運営体制の在り方について
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会(第12回)平成30年4月25日


【小川部会長】
 定刻前ですけれども、委員の方は全て御出席されておりますので、これから、第12回目になりますが、学校における働き方改革特別部会を開催いたしたいと思います。
 議事に入る前に、本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】
 お配りしています議事次第にありますとおり、机上には資料1から資料5-7、参考資料1から5をお配りしております。あと御参考までに前回までの配付資料を机上に置かせていただいております。過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
 なお、御発言の際には御手元の青色のスイッチを押して御発言いただければと思います。御発言後につきましては、再度、青色のスイッチを押して電源を切っていただければと思ってございます。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。発言の際の要領もよろしいですよね。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、前回に引き続きまして学校の組織運営体制の在り方についてです。学校における働き方改革を進めるに当たっては、様々な観点からのアプローチが考えられるところですけれども、前々回、そして前回から、そのアプローチの1つとして学校組織の観点から審議を進めてきました。これまでは主に主幹教諭に関わって議論してきたわけですけれども、今日は引き続いて、事務職員のテーマで議論を進めていきたいと思います。
 今日の進め方ですけれども、今日の議論のテーマに資するということで、事務局において主幹教諭と事務職員に関する調査を実施したということですので、まず、その調査結果の概要について、最初に事務局から説明を頂きたいと思います。
 その後に、事務職員、事務長に関わるテーマで議論を進めていくわけですけれども、それについても最初にまず事務局から事務職員制度、事務長制度等々に関わる基礎資料について説明していただき、その後に事務職員について専門的な研究をされております風岡委員からプレゼンをお願いしたいと思います。そして最後に、それを受けて、全体を通して意見交換を行いたいと思います。今日はそういうふうな段取りで進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず主幹教諭、事務職員、事務長に関する実態調査について、これは佐藤企画官から説明をお願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】
 よろしくお願いします。資料1をごらんいただければと思います。資料1でございますけれども、今、小川部会長から御紹介ありましたとおり、文部科学省から各都道府県そして政令市の教育委員会に対しまして、主幹教諭と事務職員、主に事務長でございますが、に関しての実態調査を行わせていただきました。調査時点は今年の4月1日時点の状況について3月末日に回答を頂いたものを整理したものでございます。
 1枚めくっていただきまして、まず主幹教諭の配置の状況でございます。左側から参りますけれども、主幹教諭の配置の有無でございますが、主幹教諭を配置している教育委員会が57、そして配置していないというところが10でございます。主幹教諭を配置している地方公共団体につきまして、今後の方針について尋ねておりますけれども、「増やすことを検討中」が22、そして「現行の数を維持」というところが35というところになっております。また、主幹教諭を現在配置していない地方公共団体についても、今後の方針を確認しておりますけれども、「現時点ではその配置を考えていない」が7団体、そして「配置を検討中」が3団体ということになっております。
 そして右側の方に行っていただいて、主幹教諭を配置している団体ですけれども、業務内容について確認をしておきます。多いのが、「教務に関すること」、そして「生徒指導に関すること」、その他、「進路指導」、「研究・研修」、「学年全体の調整」というところ、そして「学校によって異なる」というところも32団体ございました。
 次のページでございますけれども、主幹教諭の配置の効果につきまして、記述式で出していただいたものを整理させていただいたものでございます。まず学校の組織力向上という点では、「管理職と教職員のパイプ役になることによって校内のコミュニケーションが改善された」、「ミドルリーダーとして各学校の課題に組織的かつ迅速な対応が可能となった」、「分掌間・学年間の調整など学校の総合的な調整が図られた」。また、「グループの取りまとめとして機能している」、「児童生徒の生活指導などの組織的解決、児童生徒に関する教職員の共通理解が図られている」等の効果が上がっているということでございます。
 また、管理職や教諭の負担軽減という観点でいきますと、「教職員間の業務調整が円滑になって業務の質が改善し、業務の効率化が進んだ」。また、「副校長あるいは教頭の業務の一部を主幹教諭が担当することによって、副校長・教頭の業務軽減につながって、結果として教頭等が学校全体を今まで以上に把握・指示できる体制ができた」。ほかには、「教頭を精神的に支える役割を担っている」。また、「今まで担任が外部との折衝を行っていた部分を主幹教諭が担当することによって担任の業務軽減が図られた」というようなことがございました。
 また、人材育成という点では、「主幹教諭がきめ細かな指導助言を行うことによって教諭等の児童生徒に対する指導力が向上した」、「若手教員等の校務処理能力等が向上した」。また、「主幹教諭自身としても学校運営の積極的な参画が見られ、次期管理職としての意識が高まっている」という回答がございました。
 そのほか、「担当地区の学校の連携指導体制を整え、強化することができる」、「学校運営上の重要な業務を担うということが行われている」ということでございます。
 次のページに行っていただきまして、現在、主幹教諭を配置していない教育委員会に対しまして、その理由を聞いております。まず財政上の課題ということで、「主幹教諭になった場合に給与上の昇格となって財政負担が増加する」。また、「職務内容ということで主幹教諭と主任の職務の差異の明確化等が課題である」という回答がございました。
 また、人事配置上の課題・制約としては、「配置できるのは大規模な学校に限られますので、主幹教諭の人事異動に制限が掛かる」。また、「主幹教諭の間での異動となるため、校種によっては教科・科目などの制限から人事異動が困難である」ということ。また、「主幹教諭については定数内での配置のため、担任として配置できる教諭がそれだけ少なくなる」。「主幹教諭を配置すると、教諭の授業時数が増えることが想定される」ということも課題として挙げられております。
 その他、「主幹教諭の選考制度が作られていない」。また、「特に小中学校では大規模校が少ないので、現行の体制で学校運営に対応できている」という回答もございました。
 次に行っていただきまして4ページ、事務長の配置の状況でございます。事務長につきましては、注書きに見えづらいんですけれども、域内における小・中学校、義務教育学校における配置状況について確認をしております。高校については必置となっておりますので、対象からは除外しているということでございます。
 まず左の方からです。事務長の配置の有無ですが、「事務長を配置している」というところが19、そして「配置していない」ところが48ございます。そして配置している地方公共団体につきまして、今後の数ですけれども、「増やすことを検討中」が8、「現状の数を維持する」というのが11というところでございます。そして事務長を配置していない地方公共団体に対して今後の検討状況について確認したところ、「配置を検討中」が4、そして「現時点では配置を考えていない」というところが44というところでございました。
 そして右側に行っていただきまして、事務長を配置している地方公共団体につきまして、その配置の基準についてお聞きをしております。多いのが「共同実施の責任者、また学校における事務部門の長ということで配置している」。そのほか「大規模校に配置している」という回答がございました。その下でございます。事務長への権限(専決権等)の付与の有無ということでございますけれども、「権限を付与している」というところが12、「付与していない」ところが7ございました。そして事務長の処遇ということでいきますと、「給料表上、事務長として上位の等級を設けている」というところが12、「管理職としている」というところが6、「特段の処遇なし」というところが3ということになっております。
 次のページに行っていただきまして、事務長の配置の効果の例でございます。まずは管理職や教員の負担軽減ということで、「事務長が専決権を持つことによって管理職による事務処理等の効率化が図られて負担軽減につながっている」。また、「教員の事務負担の軽減にもつながっている」という回答がございました。
 また、事務職員の校務運営への参画、地域連携ということで、「学校運営の事務長の参加が進んで、学校事務の平準化・効率化が推進された」。また、「事務長の事務支援による地域連携の強化が図られた」という回答がございました。
 そして事務職員の人材育成という観点では、「組織的・計画的な育成が可能となった」。また、「業務全体を適切に執行管理できる体制と整えることができている」という回答がございました。
 そして事務の共同実施の推進という観点では、「共同実施を推進する上でリーダーとしての立場を明確にすることができる」、「共同事務組織の長として事務長職を配置することで事務処理体制の効率化・適正化、事務職員の人材育成等が図られている」ということが効果として挙げられております。
 次のページに行っていただきまして、現在、配置していない都道府県・政令市からの配置していない理由でございますけれども、まず1校1人配置の状況であるということで、「単数配置が基本なので、体系的な組織とはなっておらず、事務長を配置することが困難である」という回答がございます。
 また、共同実施を行っていないということで、「配置する必要性がない」という回答もございました。
 また、給与面等での見直しが必要ということで、「事務長を配置する場合に現行の給与上の格付けを見直す必要がある」。あるいは「新たな職階を新設することになるため市長部局との調整が必要」ということが課題として挙げられております。
 そのほか、「現在、事務長に適した職務内容がない」。あるいは「市町村によって状況が異なっており、県として統一した方向性を示すことが難しい」。また、「事務室設置及び事務長の配置に関する承認のための体制が整備されていない」という回答もございました。
 最後のページでございますけれども、これは事務職員全体の標準職務表等について確認したものでございます。事務職員の標準職務表等の有無ですけれども、「示している」というところが49団体、そして「示していない」というところが18ございました。また、標準職務表等を示している地方公共団体に対しまして、学校運営への参画等の記載の状況を確認しておりますけれども、「学校運営への参画の促進ということを期待されている」ところが37、「副校長・教頭との連携・分担について示されている」というところが14という状況でございます。資料1の説明については以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは、今の主幹教諭・事務長に関する文科省の実態調査の内容について、質問とか確認に限定して、どなたか御発言があればお受けしたいと思います。では、佐古委員、どうぞ。

【佐古委員】
 ありがとうございました。ここでこんなことをお聞きするのは本当に不勉強で極めて恥ずかしいんですが、主幹教諭について、このアンケートの中にも、主幹教諭が配置されると担当しているほかの教諭の授業時数が増えるというような記述があって、これは働き方改革とまさに逆行するような状況になるという話なんですが、現在、主幹教諭が配置されている場合、どのような授業軽減措置が設けられているのでしょうか。改めて知りたいんですけれども、いかがでしょうか。

【小川部会長】
 合田課長、よろしくお願いします。

【合田財務課長】 
主幹教諭でございますけれども、週平均の担当授業時数は、年度によって異なりますが、中学校で15コマ、小学校で18コマという状況で、小学校で申しますと教諭の特に授業担任のある方の24コマに比べると軽減されているところでございます。その場合、私どもの国の配置といたしましては、主幹教諭を配置した場合に、今、御指摘のありました軽減措置のための加配措置というものを講じておりまして、これは人数で申しますと1,700人余りの加配措置を行っているところでございます。これ以外にも都道府県におきまして、主幹教諭の業務を踏まえて授業の軽減を図った際の独自の負担軽減措置を図っておられるというふうに承知をしているところでございます。以上でございます。

【小川部会長】
 いろいろ議論に係ることだと思いますけれども、それは後でまた全体のところでよろしいですか。

【佐古委員】
 はい、結構です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかに内容に対する確認・質問に限って。冨士道委員、どうぞ。

【冨士道委員】
 資料の5ページなんですが、事務長の配置の効果の例ということで、一番冒頭に管理職また教員の負担軽減という内容がございました。その2点目ですが、特に事務の合理化から効率化、そして事務処理体制の充実が図られたことによって教員の事務負担の軽減というのが出ていますが、何か具体的にこういうケースがあったというのが、もし事例を把握されていたら教えていただきたいと思います。

【小川部会長】
 どなたにお答えいただけるでしょうか。よろしくお願いします。

【梅﨑初等中等教育局参事官補佐】
 具体的な例はちょっと確認はできていないんですけれども、例えば事務の標準化が図られることによりまして、ほかの教員、あと管理職の業務を手伝う、サポートするようなことができるというような話は一般的には聞いてございます。

【小川部会長】
 よろしいですか。議論があったらまた全体のところでお願いします。嶋田委員、どうぞ。

【嶋田委員】
 主幹教諭についてですが、東京都の場合は、教務主幹それから生活指導主幹、小学校においては最大9時間の負担軽減を講師をもって充てるという形になっておりますので、今ここに書かれた調査のものが、どこのところを代表としておっしゃっているのかをまた教えていただければと思っております。以上です。

【小川部会長】
 軽減措置については、都道府県によっていろいろ対応が違うというお話で、東京都の場合には講師を配置するという話がありましたけれども、ここの調査の事例のところは具体的にどこの県かという質問ですか。

【嶋田委員】
 そうですね。全体として。

【小川部会長】
 お分かりになりますか。

【佐藤初等中等教育局企画官】
 すみません、ちょっとこの結果なんですけれど、各都道府県・政令市から御回答いただく際に、どこかということを明示して公表するというところまで了承をとっておりませんので、申し訳ないのですが、この場では控えさせていただければと思います。

【小川部会長】
 よろしいですか。

【嶋田委員】
 はい。

【小川部会長】
 稲継委員、どうぞ。

【稲継委員】
 すみません、同じ主幹教員の3ページのところでちょっとお尋ねしたいんですけれども、一番上のポツの給与上の昇格、特2級ですか、になられることになって財政負担が増加すると書かれているんですけれども、具体的な給料評価を私、ちょっと存じないんですが、パーセンテージで言うとどれぐらいの増加になることになるんでしょうか。

【小川部会長】
 合田課長、お願いします。

【合田財務課長】
 これはあくまでも45歳のモデル給与ということで、特に私どもが義務教育費国庫負担金を算出する際の給与上に当てはめてのイメージということでお捉えを頂ければと思いますけれども、教諭の場合でございますと、45歳で、今お話がございましたいわゆる2級という俸給表で適用いたしますと、1つのイメージではございますが、660万程度の年収ということになってまいります。それに対しまして主幹教諭につきましては特2級ということで、給与表上、昇格をしているということを前提にいたしますと682万円程度ということでございますので、おおむね22万程度の違いが出てくることとなります。具体的な例の説明で恐縮でございますけれども、そういうイメージでお捉えいただければと思います。

【小川部会長】
 稲継委員、よろしいですか。

【稲継委員】
 はい。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、今の主幹教諭・事務長に関する実態調査概要に関する件は、ここで終わらせていただきたいと思います。いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、それについては最後に全体討議の時間を設けておりますので、そのときに御発言いただければと思います。
 それでは、次の議題に入っていきたいと思います。今日の議題は最初にお話ししたように事務職員制度、事務職員、事務長に関わる議論でございます。その議論に先立って、事務職員に関わる基礎的な資料を事務局の方で用意していただきましたので、最初にその資料を説明していただきたいと思います。資料2に基づいて、初中局の参事官付の梅﨑参事官補佐からよろしくお願いいたします。

【梅﨑初等中等教育局参事官補佐】
 説明させていただきます。資料2をごらんいただければと思います。早速、1ページ目でございます。まず事務職員についてですけれども、学校における基幹的職員としまして学校教育法に位置付けられております。小中学校等では原則必置となっているということでございます。また参考を見ていただきますと、各小中学校1校当たりの配置人数については、大規模校なんかを除いておおむね1名となっておるという状況でございます。また事務職員の職務についてですけれども、学校教育法において「事務をつかさどる」とされておりまして、学校組織の中で唯一、総務・財務等に通じる専門職となっている状況でございます。また、この職務規程ですけれども、昨年3月の法改正で「事務に従事する」から見直されておりまして、これは学校の管理職の業務負担が増加する中にありまして、学校組織のマネジメント機能を十分に発揮できるようということでございまして、事務職員がその専門性を生かしまして、ほかの教職員と連携・分担しながら、より主体的・積極的に校務運営に参画することが求められているという状況でございます。
 また、右下のところでございますけれども、先ほど事務長のアンケート調査結果がございましたが、事務長の配置につきましては平成19年にこの規則の改正が行われおりまして、例えば大規模校ですとか、先ほどもありましたけれども事務の共同実施校、こういうものを想定して省令上明確化したということでございます。
 それから2ページ目をごらんいただければと思います。続きまして、学校事務の共同実施についてでございます。これは学校事務の共同実施ですけれども、日常は各校で勤務しておるということでございますが、それが事務職員が週1回程度1つの学校に集まるということなどして、複数の学校の事務業務を共同で行うというものでございます。これにつきましても参考が下にございますけれども、各自治体で取組が進捗しておるということでございます。
 また、期待される効果ですけれども、右下の箱に黄色い部分がございますが、ここにありまして、例えば学校間の事務標準化、それから教材などの共同購入による調達コストの削減、こういった効率化と併せまして、先ほど事務職員は1校当たりおおむね1名という話をしましたけれども、この1名、新人からベテランの方までいるわけでして、こういう中で事務職員の育成であるとか資質向上、こういうものも期待されておるというわけでございます。
 またちょっと上の箱に戻りまして2つ目ですけれども、事務の共同実施ですが、これまで各自治体で自主的に運用されてきたわけですけれども、権限や責任関係が不明確であるとか業務の範囲が曖昧といった課題がございまして、こういう課題を解決するという形で昨年3月に法律が改正されまして、共同学校事務室が制度化されたということでございます。また、この制度化と合わせまして括弧書きの中にございますけれども、共同学校事務室を置いている場合ですが、事務職員定数の加配措置が規定されておるということでございます。
 共同学校事務室のイメージは左下にあるとおりでして、各A、B、C、学校がございますけれども、このA学校にB、Cの学校の事務職員の方が集まってくるというイメージでございます。
 それから先ほど1枚目で職務規程の見直しなんかについてちょっとお話をしましたけれども、事務職員に対して校務運営の参画が積極的に求められている状況ですが、こういう中で、一方で業務負担なんかが増えていくことが懸念されますから、こういう業務負担の軽減の観点から、各自治体には共同学校事務室の制度の活用なんかを含めまして事務の効率化が求められているという状況にございます。
 それから3枚目でございます。こちらは昨年末に取りまとめていただいた働き方改革の中間まとめの概要から、主な事務職員関係についてちょっと抜き出してきたというものでございます。この中で上の表でございますけれども、これまで学校教師が担ってきた業務につきまして、役割分担・適正化を進めていく上でも、様々な業務の中で事務職員の関わりが期待されているわけでございまして、この下線部分が特に関わる部分ということでございます。こういうものをそれぞれ自治体におきまして、学校や地域の実情などに応じまして着実に取組を実行していくことが求められているわけですけれども、そのためにこの下の表のところでございますが、国の方では、左のところにありますけれども、学校事務職員の標準職務例なんかも含めまして、こういう学校教師の担うべき業務範囲の明確化でありますとか学校管理規則モデルの提示、こういうものを行うこととしております。また、教育委員会の方でも事務職員につきまして、その採用から研修なんかを通じて、ここにあるような資質・能力・意欲向上、それから共同実施なんかの取組を行っていくことが求められているという状況でございます。
 それからまた4ページは、ちょっとこれまでの学校事務職員の関係の主な提言ですとか制度改正につきまして概要を示したものですけれども、参考にごらんいただければと思います。説明は以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございます。今の事務局の説明についての質問、意見等々は、この後、風岡委員の御説明を受けた後、全体として事務職員の働き方、事務職員制度の在り方について議論をしますので、その際、御発言いただければと思います。それでは、引き続いて、風岡委員の方から御説明をお願いいたします。

【風岡委員】
 失礼します。まず最初にですが、この委員会に昨年度から出させていただいておりますが、この4月から職場が変わり、新しく愛知教育大学で4月から勤めさせていただいております。ただ、そういいましても、3月までは豊橋市教育委員会事務指導主事として勤務をしておりましたので、私の今日の発表につきましては、私が現場で取り組んできたことも踏まえた現状と課題についての発表になるということでよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の方、まず2ページ目からでございますが、先ほど文科省から法改正等々、事務職員の制度についての御説明があったところでございます。私からはこの29年の「つかさどる」改正を受けた教育委員会等の取組状況ということで、全国公立小中学校事務職員研究会が例年行っております調査からの考察ということで取り上げさせていただきます。
 ここを見ていただければと思いますが、29年の3月に改正されたということが背景にはあったことで、29年当初には法改正等々を進める自治体というのはまだまだ少ない状況だということが、この結果から見えるということがあります。学校管理規則への「つかさどる」改正を受けた見直し状況については、全国の912の市町村の自治体の内で9.4%、改正予定等も含めまして15%のところが、この改正を受けた見直しを図っていこうというようなことがあるということです。
 次に、共同実施につきましては、先ほど文科省からのデータにもありましたが、現在、全域で実施しているところが70%、それから一部を含めて73%のところでもう既に共同実施が実施をされているという現状です。
 その内で、この改正、3月の学校教育法施行規則等の改正を受けまして、共同学校事務室を位置付けたところについては1%、あるいはその位置付け予定、検討中を含めて27%のところで今検討を進められているということがあるということです。ですから、この30年の4月1日で法改正を受けて、市町村の管理規則や設置要綱の改正をしている自治体については、この検討状況から見ますと約2割から3割のところが共同学校事務室への管理規則の改正、設置要綱等々の見直しを図ったということがあるのではないかと考えています。このことについて、今年度またこういった調査をとっていく必要があると思います。
 次に、標準職務の見直しについてもこのような状況で、法改正を受けて標準職務の見直しを検討している自治体は、まだまだ少ない状況にあるということです。この背景については、この部会の中でも話が出ている、事務職員を含めた教頭や教員、学校の中の職員がどういうような役割を果たしていくのかという標準的な職務内容の在り方の見直しと併せて検討している、あるいは考えていこうとする自治体が多いということが推測されます。私がおりました豊橋市においても国の状況を見ながら検討していくということで、回答させていただいたことがあります。
 それから次で3ページ目ですが、「つかさどる」への法改正を受けて、今後、総務・財務といったこれまで事務職員が中心としてきた業務以外でどんな業務を担っていくのか、あるいはどんな役割を果たしていくべきかということについて市町村の教育委員会に聞いた調査であります。上から見ていただければと思いますが、業務改善あるいは学校経営のスタッフ、それから教育委員会との連携・協働といった部分について、教育委員会の担当者は今後新たな役割を果たしていくということが求められていると考えているということです。このことについては、法改正、あるいはこれまでの様々な答申や提言の中での役割等々についての認識を教育委員会の事務局担当者の方もしてきていることがあると言えます。特に業務改善については、この1年の議論の中でかなり市町村の教育委員会レベルでその必要性について認識をされていて、事務職員と教員との役割分担で担っていくんだという認識になっていると思われます。
 続いて、自由記述ですが、ここにもありますように、共同実施の役割として、連携やOJT機能の充実等により資質・能力の向上を図っていくということ。教員の超過勤務や多忙化、教職員が行う業務と教職員が行うべきではない業務など、事務職員から見える改善点や方法などを提案してもらいたいという、事務職員と教育委員会との連携を模索する意見。また、共同実施の推進協議会において、多忙化解消や、校務支援システム導入について協議をするなど、事務職員が他の分掌と連携して課題を解決する仕組みを既に整えているという回答もありました。また、教育委員会の担当者と事務職員、教頭とで組織するスクールサポートセンターにおいて、教育委員会と学校の連携体制が構築されているという回答もありました。こうした様々な自治体のグッドプラクティスを今後発信していくことで、その在り方についても深めていくことができるのではないかと考えます。
 次に、5ページ目ですが、「つかさどる」への法改正を受けた市町村教育委員会等の取組状況ということで、先ほど2ページ目にもありましたが、具体的に取り組んでいる自治体のパーセント率は少ないわけですが、推進に向けて何が重要になるかということで聞き取った調査です。50%以上のものについてはアンダーラインを入れてあります。まず、教職員への周知や説明、それから教頭と事務職員との業務の連携など事務体制の整備を教育委員会が指示・指導することが必要だということ。あるいは、共同実施や事務研究会と校長会・教頭会との協議や連携が必要だという意見。それから、共同実施組織等による事務の共同実施体制の整備・充実が必要だという意見。このあたりが50%を超えている実態となっています。見ていただくと分かりますように、重要である、どちらとも言えないというところも含めて、おおむねここにある取組について、教育委員会としては学校に周知をしていくこと、あるいは今後進めていこうということがあるのではないかと思っております。
 続いて、事務職員の資質・能力の向上ということで、学校事務職員の研修の実態について調査をしたものについてお話しさせていただきます。事務職員の育成の難しさというのは、その採用形態とか、あるいは採用の区分の違いが大きくあると考えております。例えば、教育行政職採用、学校事務職採用、さらには一般の行政職採用として学校勤務というような、その3つの形態に併せて、大学卒業程度の試験、短大程度の試験、高校卒業程度の試験という、3つの区分での採用形態があることで、各自治体においての事務職員の資質・能力の向上の在り方も変わっていることがあるということです。
 6ページ目の最初の調査ですが、自治体で策定されている人材育成の基本方針を事務職員に適用していますかという質問に対しては、都道府県、政令市、中核市、ここまでがいわゆる自治体の方で研修を実施するという、いわゆる研修権を持っている自治体になるわけですが、その政令市、中核市、都道府県では、それぞれ47%、38%、25%ということで、自治体の職員に適用される人材育成の基本方針を行政職員である事務職員に当てはめているところは低い比率になっていることがあること。さらに学校事務職員の研修に対する指針や基本計画を策定しているということについては、ここにあるように都道府県、政令市、中核市、それから特例市ですが、それぞれ46%、45%、32.6%ということで、どの自治体でも半数以下の状況になっているという現状です。こうした結果を見ますと、事務職員の育成については、それぞれの自治体で検討していく必要性があるということ。併せて、事務職員がどういうような役割を果たしていくのかという、役割の在り方と職責に合った責任と権限についても、こうした研修に反映させていくということから考えれば、事務職員の基本的な育成方針というものを国レベルから周知をしていくことも必要になるのではないかと考えるところです。
 7ページ目ですが、事務職員の研修の実態について、経験別研修、それから役職段階別研修について調査をとらせていただきました。初任者研修、2年目研修、3年目研修と採用3年目までの若年者の研修については、多くのところで取り組まれているという実態があります。この研修の中身は、実務処理に関する研修が多いということが出てきています。それに対して役職段階別研修については、ここで見ていただきますと分かりますように、係長級のところが政令市では大きくなっているということがあります。この係長級、あるいはこの役職段階別の研修の内容については、学校のマネジメントに関する研修、あるいはミドルリーダーとしての在り方という、経営面での役割を期待しているという研修が多くなっているという傾向がありました。こういった役職段階別の研修というのがあるわけですが、経験年数別の研修が段階的に少なくなっていく傾向からすると、初任期の研修に比べ、役職段階別のいわゆるベテラン層への研修が非常に薄いという傾向が見られたということがあります。このあたり、事務長の在り方に関して今後の課題にもなってくるのではないかなと考えているところです。
 続いて、8ページ目ですが、市区町村における省令事務長を含むリーダーの配置の状況ということでお話をさせていただきます。文科省の調査にありましたが、事務長という職を置いている自治体の数につきましては、まだまだ少ないことがあったかと思いますが、共同実施が全国で7割実施をされている実態から、共同実施内のリーダーの配置の有無について聞いたものです。ここにありますように、省令事務長、あるいはリーダーの配置の有無については、省令事務長を配置している自治体が12.7%、リーダーを配置している自治体が55.7%ということで、約7割近い自治体で、共同実施にリーダーの配置をしている実態があるということであります。そのリーダーの名称については、グループリーダーという名称から統括事務長、事務長、共同実施の責任者、学校事務センター長というように、職責とその役割に応じた名称があるという実態になっています。
 リーダーの資格要件ですが、都道府県発令の補職名をもって資格とするところ、それから市町村教育委員会による選考を資格要件とするところが多くあるという実態でした。また、リーダーの配置の状況については、これは文科省の調査にもありましたが、共同実施の責任者、あるいは学校の事務部門の長や大規模校への配置があること。また、小中等の連携校にグループのリーダーを配置しているという結果もありました。
 そのリーダーの職務内容ですが、職責に基づく事務の決裁、グループ内の人材育成、グループ内の事務職員の指導・助言ということ、それから組織の代表としての役割、連携校の学校運営の助言や配置校の事務部門の統括ということがあること。特に組織の代表としての役割、それから人材育成の役割というところが多くの自治体で行われているという結果であります。
 それから次のリーダーの職責と決裁権ですが、これを見ますと県費の給与や旅費等の諸手当の認定権を持っているところが47.1%ということで、これがグループ長の決裁権の主なものになると考えられます。そのほかですが、予算の支出命令権や資金前渡金の管理者、物品の出納員、文書管理や庶務管理等々の文書取扱主任や公印取扱主任というような権限を持っているということもありました。職の指定・職務上の権限のないところが43%ということで、リーダーと言いつつも権限や責任がない中でグループをまとめていく役割を担っているケースが4割あるということです。このあたりも、この共同学校事務室を含めた共同実施の課題になってくるんではと考えられます。
 それから最後2枚ですが、この4月に県の通知を受けまして、管理規則それから共同学校事務室の設置の改正を図った自治体2つについての取組ということで事例を挙げさせていただいております。
 1つ目が新潟県の五泉市教育委員会で、事務機能の強化により学校現場における業務改善の取組を推進しているという自治体です。改善の取組内容につきましては、ここにありますようにアからクまでの取組を図っています。
 五泉市教育委員会の取組につきましては、取組を3つの推進チームに分けて、それぞれで検討しながら取組を進めているということがあります。この3つの推進チームの中には、校長、教頭、それから事務職員、教員のそれぞれの担当者、代表の方が入って検討を進めていることが1つの特徴と言えます。例えば調査・評価の推進チームにおきましては、業務の実態調査を昨年度行って、その調査結果を受けた各校の取組につなげているということが行われました。その中で事務職員はアンケート集計システムを使って調査の集計作業等の担当をしたことがあります。
 それから学力向上・不登校減少推進チームの取組では、教員が子供と向き合う時間の確保を進めるための取組に対して、その業務の仕分け、システム導入による学校事務の効率化という観点から事務職員の関わりが見えるということです。
 真ん中の、事務機能強化推進チームでは、この部分が共同実施グループが中心となって取組を進めている部分です。共同実施のグループ長、新潟は総括主幹それから主幹というような方がグループ長になるわけですが、共同実施のグループ長がこの4月から学校事務長の任命を受け、業務の見直し、資質・能力の向上、事務分担等々の取組を進めているということです。
 先ほどどんな成果や、その中でどんなことが行われているのかという御質問がありましたが、丸2番のところにありますが、業務の可視化ということで、この中で会計処理あるいは学籍、教科書事務に係る各校の作業点検等を可視化して共同実施の方で改善を図ったという成果が見られたということです。
 それから最後になりますが、愛知県豊橋市教育委員会の取組事例ということで話をさせていただきます。豊橋市教育委員会は平成20年度から学校事務に関する企画立案、校長の学校運営の助言を職務とする事務指導主事という職を配置したということがあります。この事務指導主事が中心になって事務職員の研修体系の確立、あるいは下のところにあります共同実施の取組を推進していったということがあります。
 この共同実施の取組について、真ん中の四角囲みのところですが、チームとしての学校や学校の働き方改革の方向性を見据えて、事務機能の強化に向けた取組の必要性を図るため、平成29年度、昨年度から事務機能の強化に向けて共同実施の活性化、それから事務職員の質の向上、法改正への対応という3つの柱で、29年度から3年間の計画で取組を進めていることがあります。その1つの成果としまして、30年の4月1日に学校管理規則の改正、共同学校事務室への移行をし、室長(事務長)への専決権の付与として、諸手当の認定、文書の廃棄や共同実施ブロック内の配当予算の購入・検査に係る権限、それから備品である図書の不用決定など10項目についての専決権を付与しました。それから共同学校事務室の業務の見直しということで、これまでの業務に加え、連携・渉外・広報に関する事務を新たな業務として明記をしたということがあります。この具体につきましては、例えばホームページを担当するというようなことが考えられていました。
 こうした取組を改善方策として29年度から進めていました。その中で、事務長の役割の再定義ということで、ブロック内各校の校長支援、それから学校運営の指導・助言を行う役割であるということを新たに共同学校事務室の設置要綱に明記をして明確化したことがあります。こうした事務長の役割を、処理をするというような役割から指導・助言を行うというような役割、管理を行う役割に明確化したということによって、様々な取組を推進してきたということがあります。
 その具体的な取組の成果としましては、まずは共同実施の専門グループ組織の設置ということで、いわゆる共同実施の組織を、中学校区を中心としたブロックの活動のみならず、課題別にグループを組んで取組を進めたということがあります。そうした取組を進めることで、市全体での課題解決に取り組む体制ができたということがありました。市が所管しています各種の委員会と連携して、業務マニュアルの作成や校務支援システムの運用の検討や業務改善支援など、様々な方面との連携支援を行うことができたというのが成果です。また、事務職員の内部でも、他のブロックとの交流も深まって情報共有の推進や市全体の課題解決や研究の推進につながったということもあります。
 それから共同実施への教頭先生の参加ということを29年度から進めたということがあります。これにより、教頭が抱える課題の業務負担軽減や共同実施運営の新たな気付きにつなげることができたと考えています。
 また、事務長の役割を再定義したことにより、事務長と校長との面談という、いわゆるヒアリングを行っていただくという取組を進めました。校長との面談により、自分が抱えているブロックの各校の事務職員の勤務校での様子、業務の状況、それから校務分掌の担当状況等を校長先生と共有することができ、共同実施での業務分担や自分の学校内の事務職員の資質・能力の向上や支援体制作りにつながることができたということがありました。
 また、課題として挙げられてきたことにつきましては、共同実施業務の負担の増加ということがありました。豊橋市の共同実施の取組は、加配の事務職員を新たに設けて行っているようなものではなくて、現行の事務職員定数の中で共同実施の業務を行っているということがあります。そうした中で、ブロック内の事務職員の業務分担とか繁閑の調整がまだ不十分であり、学校間の業務の標準化というところについてまでなかなか至っていないという状況にもあるということです。また、これは豊橋市の置かれている状況ということですが、少経験者や臨時職員の増加ということがありました。そうした方々の事務支援が日常的になっているという中で、業務改善や運営支援の業務にどう時間をとるかということで、ブロック長であります事務長の負担ということが非常に大きくなってきたという、そうした事務長の声も聞かれたということがありました。このあたりが今後の課題にもなってくると考えられます。
 こうしたことを踏まえて、共同実施、共同学校事務室を機能させチームとしての学校や働き方改革を進め運営支援につなげていくためには、共同学校事務室の事務長の配置の促進ということが1つの大きな課題になるだろうと思われます。今現在ですけれども、共同学校事務室あるいは共同実施については加配措置ということで、加配の制度はあるわけですが、その加配を都道府県教育委員会がどのように考えてそれを活用しようとしているのかについては、都道府県によって差異があると考えています。まずは、この共同学校事務室の事務長、室長である事務長の配置の促進、加配定数から事務長の定数化というようなことについての議論が必要ではないかと考えているところであります。
 併せて事務長の職務の在り方につきまして、事務職員の標準的な職務の在り方と併せ、事務職員の職位によるその役割の明確化ということも考えていく必要があるかと思います。特に事務長の職務につきましては、校長、教頭との連携、それから校長を補佐する職としての役割を考えますと、明らかにこれまでとは違ったことが求められると考えられます。校長補佐職というような役割の在り方についての検討が必要と考えます。
 また、豊橋市それから新潟県もそうでありますが、教育委員会の中に学校事務職員の経験者で学校事務を指導する、あるいは学校事務の業務についての指導・助言をしていく指導主事の役割というものが、非常に大きなものがあったと私自身、自分の経験から感じているところであります。教育委員会の中に、教員の指導主事と併せて事務指導主事といったものの配置についても検討していくようなことが必要ではないかと考えております。
 こうした取組を進めていくことで、共同実施の機能強化、教員の負担軽減につながるような業務改善の推進ということをしていく。さらには事務職員の感じている負担、それから業務の見直しというようなことも考えられると思っています。
 共同学校事務室は事務職員の横のつながりを強みとして、これまで取組の成果を上げてきたものと考えております。横のつながりでありますので、その中には縦の関係というのがない共同実施というものが多くあるのが現状であります。こうした中に事務長というような職を設けて、その事務長を中心とした縦のラインでの仕事、業務の在り方について考えていくということが今後の課題だと思うところであります。
 雑駁でありましたが、事務職員の現状と課題について、話をさせていただきました。ありがとうございました。

【小川部会長】
 風岡委員、ありがとうございました。それでは、先ほどの事務局からの資料説明と今の風岡委員からの発表につきまして、質問や確認したいこと、並びに学校事務職員制度や学校事務職員の勤務の在り方等々についての御意見、御発言を受けたいと思います。恐縮ですけれども、御発言の際には名札を立てていただければと思います。どなたからでも構いません。いかがでしょうか。青木委員からお願いいます。

【青木委員】
 風岡委員、ありがとうございました。資料の2ページについて伺いたいんですけれども、この市町村の回答は933ですので、これ、回収率が県によって違いがどのぐらいあるのかと、それから県内の市町村の中で、例えば丸1から丸5の取組状況に濃淡があるとか、つまり県別に見た場合の回収率と取組状況の差について、お分かりの範囲で教えてください。

【小川部会長】
 今の青木委員の質問にプラスして教えてほしいのは、確かに今、青木委員がおっしゃったように、1ページからずっと市町村教育委員会の回答の調査です。私も学校事務の共同実施を含めて学校事務職員制度の実情を全国都道府県いろいろ調査したことがあるのですけれども、どうも市町村レベルの話ではなくて、都道府県によって学校事務の共同実施の活用の仕方とか、標準的な職務の規程の中身等は、市町村レベルの取組の差ではなくて、その上の都道府県レベルの差がむしろ大きいような印象を受けました。今言ったような青木委員の質問も含めて、1ページからいろいろ市町村レベルでのこういう回答があるんですけれども、都道府県ごとでかなり回答の差異が大きいんじゃないか、その辺はどうなのかということと、もう一つ、もしも都道府県レベルでそういう差が大きいのであれば、それはなぜそういう差があるのかというのも含めて、青木委員の御質問に補足して御説明いただければと思います。お願いします。

【風岡委員】
 まず、この調査結果での都道府県の差異ですが、青木委員のおっしゃられましたところでは、この調査につきましては全国公立小中学校事務職員研究会という全国組織ではあるんですが、都道府県によって実際この研究会の組織の加入率が非常に少ないというような自治体もあります。ですので、そうしたことからしますと、実はここに回答してきていない市町村が多いところは何県かございます。私の認識しているところでは6の道府県については非常に回答率が悪かったというようなことがありました。そういう意味では、全国の実態をということでありますが、特定の県については、実態は把握できていないということはあるかと思います。
 それを踏まえてですが、県レベルで学校管理規則の改正についての標準職務の在り方を出すとか、そういった通知については出ているかどうかにつきましては、文科省の方で調査をとっているということがありましたので、今回の調査の結果の中では、県レベルのものはあえてこの中では御発言させていただかなかったということがあります。県の方の調査につきましては、文科省の方の今日の最初の資料の7ページにありますが、県と政令市の方では49のところで標準職務表を示していると。さらに標準職務表を示していないところは18あるという結果が出ているということです。
 この県の通知を受けて、市町村の方は学校管理規則等の改正をするということが多分にありますので、それを踏まえますと、この中でも県によっては、県の通知を受けても変えていないというようなところがまだまだ見受けられるという結果があると思っております。また、学校事務の共同実施の実施状況につきましては、都道府県が通知を出す、出さないにかかわらず、市町村レベルでこの学校事務の共同実施の取組が進められていったというような背景もありますので、それを受けて県の方でこの学校事務の共同実施についてどう周知しているのかということについては、今回の調査の中ではその部分はとっていないということがあります。学校事務の共同実施に関しての県の通知だとか周知の状況については分からないところがございます。
 ただ、一方で、これは文科省のとっている共同実施の実施状況調査と比べても、パーセンテージに差異がないことからしますと、全国の情勢としてはこういった状況になっているということが言えると考えていいのではないかと思われます。
 そうしたことを踏まえて、今回、市町村の方に焦点を置いたのは、実際に業務を行って、管理規則の改正を行うのは市町村の教育委員会だというような認識の下で、管理規則改正については市町村の教育委員会の判断で改正ができるということからすると、県が動かなくても市町村教育委員会をどう動かしていくのかということも1つあるのではということで、市町村にフォーカスをした調査ということがあります。

【小川部会長】
 以上でよろしいでしょうか。

【風岡委員】
 はい。

【小川部会長】
 青木委員、一応よろしいですか。意見があるかと思いますので、議論のところで出していただければと思います。この後ですけれども、妹尾委員、そして佐古委員、あとこちらで川田委員、橋本委員、冨士道委員の順でお願いいたします。それでは、どうぞ。

【妹尾委員】
 風岡さん、どうもありがとうございました。ちょっと主に文部科学省さんだと思いますけれども、質問を3点ほどお願いしたいと思います。最初の方の説明で、小中学校の学校事務職員につきましては、大体1校当たり約1人というお話がありましたけれども、1つ目の質問は、これは多分、正規職員の話をされているんだと思うのですが、それで合っているかどうかということです。
 2番目は、非正規だから悪いというわけじゃないんですけれども、正規か非正規かということで、多分、これ、一般の教員もそうですが、事務職員につきましても結構非正規の方も多い都道府県もあればそうじゃないところもあると思うんですが、そういった部分のデータももしあれば、また後日でも構いませんので共有していただけるとありがたいです。質問の意図としましては、これだけ学校事務職員への期待が大きいという中で、ただ、やはり非正規で、1年で退職しちゃうかもしれないとなると、そんなに大きな仕事を任せられないということにも多分なると思いますし、育成上もいろいろな課題があると思いますので、それでそういう質問をしておりますというのが2点目です。
 3点目といたしましては、こういったいわゆる県費の職員とは別に市町村費の事務職員もいると思うんですが、去年の秋頃でしたか、財務省の審議会で、市町村費の事務職員がほとんど配置されていないじゃないかという話がたしか財政等審議会で出ていたと思います。これについては、いろいろな御事情がもちろんあるんだと思いますし、各市町村の御判断だとは思いますけれども、今後の在り方として、もう少し考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、ちょっと基本的な質問なんですが、市町村費の事務職員につきましては、これは何か国として配置しなさいよとか何かそういう枠組みがあるわけではなくて、これは市町村の判断だということでいいのかどうかとか、何か関連する情報があれば教えていただければと思います。お願いいたします。

【小川部会長】
 主に文科省に対する質問ですけれども、答えていただける方はどなたでしょうか。合田課長、お願いいたします。

【合田財務課長】
 私どもの調査のことについては後ほどまた初中企画課からお答えをさせていただくことになろうかと思いますけれども、まず国庫負担職員の中で非正規とか、それから臨時的任用どれぐらいいるかということでございますが、これは教員も含めて大体7万人ほど、教員で七、八%だったと思います。それは主として教員でございますので、先ほど話がございましたように、主幹教諭の授業代替のような形で非常勤教員を雇っているとか、それから産休代替でありますとか、病気休職の代替といったような対応が多いと思っております。それとは別に、御案内のとおり、今年度の予算でスクールサポートスタッフということで、事務職員とは別に先生方の業務負担の軽減という観点から予算を組ませていただいているという状況でございます。
 それからもう1点目が地財措置の件でございますけれども、先ほどお話がございましたように、義務教育費国庫負担制度上は4学級以上の学校に事務職員を1人配置をするという基準であり、小学校であれば27学級以上であれば1人加わり、就学援助の状況を加えてさらに加わるという状況になってございますけれども、それとは別に地方交付税交付金の措置で、小学校であれば18学級ごとに1人というような配置の考え方が示されているところでございます。ただし、これにつきましてはもう先生方御案内のとおり、いわゆる地財措置でございますので、どう使うかというのは首長の御判断ということになってまいります。そのことを財務省は言っているわけでございますけれども、他方で地財措置である以上、自治体の首長の判断というものが重いというのも現状でございます。データについては初中企画課からお答えお願いします。

【小川部会長】
 今の時点で、今、大体お答えいただいたんですけれども、1つまだお答えいただいていないのは事務職員の中の非正規の職員というのはいるのかいないのか、いるのであればどれぐらいの割合でいるのかというような質問もあったんですが、今の時点で分からなければ後でデータを整理していただいて、提出していただいても構わないんですけれども。

【梅﨑初等中等教育局参事官補佐】
 今の時点でちょっと把握はできていないんですけれども、ちょっと手持ちのものであるかどうかを含めて確認をしたいと思います。

【小川部会長】
 その辺は資料を少し整えていただいて、次回でも部会に提出していただくということでよろしいですね。

【妹尾委員】
 ありがとうございます。

【小川部会長】
 佐古委員、どうぞ。

【佐古委員】
 風岡委員、どうもありがとうございました。いろいろな御提示を頂きまして、考えさせられることがございました。
 働き方改革の流れの中で、事務職員に対する期待は大きいと。これはこの部会でも何回もそういう話が出てきました。ただ、今回、お話にありましたように、一方では事務職員の中で共同事務体制ということで効率化を図られているというか、効率化というと若干言い方に問題があるか分かりませんが、そういう方向に進まれていると。そうすると事務職員の方々に何を担っていただくことができるのかということを、慎重に考えないと、これは期待倒れといいますかね、なかなかかなり進まないかなということをお聞きして考えておりました。
 1つは、きょうの御提示にありましたように、具体的に言うと、事務職員の方々の専門性の育成ということの絡みもありますけれども、学校運営の支援機能の一部を事務職員の方々、というよりもむしろ今日のお話の文脈で言うと、共同事務室になっていただくという方向があると思います。学校運営のサポートスタッフとして機能するという方向とお聞きしましたけれども、ただ、私もそういう方向があればいいなと思うんですが、これは、あとは質問なんですけれども、具体的に今日の資料の中でも校長への助言とかいう文言が出てくるんですが、何を助言しているのかということがよく分からないので、具体的なイメージを少し補足していただければありがたいと思います。
 それから2点目は、これは新潟県の事例でも示されておりましたけれども、一方でこの部会でも多くありましたが、先生方が負担に感じる仕事のかなり高位にランクされるものとして、教育委員会のアンケートとか文書の回答とかいうことが結構ありますので、そういう点から見ると、例えば共同事務室で何らかの学校評価なら学校評価の統一的な集計フォーマットなり仕組みを開発されて、それを学校は利用できるということになると、その点では大きな実際上の意味があるかなとは思いました。以上です。

【小川部会長】
 風岡委員、今の質問について何かございますか。

【風岡委員】
 ありがとうございました。まさに共同学校事務室をすることによって、組織として、この共同学校事務室が自分の抱えている幾つかの学校の支援に入るというような体制ができたということは間違いなくあると思っております。
 その上で、ここにありますように、例えば豊橋市の中で事務長にお願いをして校長先生のヒアリングから聞き取って欲しかったことは何かといいますと、学校運営の中で、校長先生が何に困っていて、その困っている業務に対して共同学校事務室が何ができるかということを考えてほしいということを事務長にはお願いをしたことがあります。そんな中で出てきたのが、実は校長先生の方から、うちの学校の徴収金の処理とかが先生たちの負担になっているんだという声があれば、その徴収金の処理についてどう考えていくのかという。実際、豊橋で教員の方からの声ということで校長から上がってきたものの中には、やはり教科書事務というようなものについてとか、あるいは先ほどおっしゃられました調査統計というようなことがありまして、学校基本調査等々の管理に係る調査については、じゃあ共同実施の方でやりましょうというような形の改善を図ったということはございました。
 半面、助言ということに関しては、学校の事務職員がその学校の中で役割を果たしてもらうために、校長先生と事務職員をどう育てていくのかということで助言をしたというようなことがありました。また校長先生の方からは、いわゆる学校の法規というか、法令関係等々について事務長に御意見を伺うような場面が多くて、事務長はそれに対して助言をしたというようなこともあったと聞いています。

【小川部会長】
 佐古委員、よろしいですか。

【佐古委員】
 はい、ありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。こちらの方に行って川田委員、お願いします。

【川田委員】
 おそらく事務局への御質問、確認ということになるかと思いますが、幾つかお伺いしたいことがあります。基本的な質問のスタンスとしては、本日議題になっている主幹教諭であるとか事務職員等の在り方を見直していくというときに、私の専門は法律だということもありまして、例えば今の現行法の枠の中でそういう見直しをやっていくときの、その見直す内容の法的な位置付けとか根拠がどういうものになるんだろうかということをちょっと確認しておきたく、また、この場の議論、中身の議論をしていく上での前提として、この場でも確認しておく必要があるんではないかと思っていまして、そういう観点から。
 1つは、ここまでのお話の中で何度か事務職員に関して、平成29年3月の学校教育法の改正の際に事務職員の実務に関する規程、文言が、「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改められたというようなことがあったわけです。言葉としては何となく後者の方が、より主体的・能動的に事務をするということなのかなというような印象があるわけですが、例えば具体的な事務職員の方の職務内容とか権限に関して、この改正によって何か今までできなかったことができるようになったというようなことがあるのか。あるいはその点も含めて事務局というか文部科学省として、この29年改正のこの部分の改正の趣旨をどういうふうに捉えておられるのかというのが1点目です。
 それから2点目は、風岡委員の御報告等も含めて、既にそういう見直しを行っている事例等が幾つか御紹介されたわけですが、例えば例として、風岡委員の資料の最後のページ、豊橋市の事例では、平成30年4月1日に学校管理規則を改正して、共同事務という枠組みの中で共同事務室の業務については、従来、事務職員の方の典型的な業務となっていた総務とか財務以外の、例えば連携・渉外・広報に関するような事務というようなものが加わったというようなことですが、このように共同事務かどうかはともかくとして、その事務職員の方の業務を見直す場合に、この例だと学校管理規則の改正という手続がとられているわけですが、具体的にはどういう制度上の対応が必要になってくるのか。ここで挙がっているような学校管理規則の改正以外にも何かあり得るようなものがあるのか。これ、場合によっては業務の内容が、例えば今まで出てきた中で、助言といったものである場合と、何か決裁を伴う場合なんかでも違うのかなとも思いますが、具体的に何か見直すという場合に制度的な裏付けとしてどういうものが必要になってくるのか。
 この点は主幹教諭についても確認しておきたいところでして、例えば前回、神奈川県の教育委員会さんの御報告で、主幹教諭を総括教諭という独自の位置付け方をされている例なんかの御紹介があったわけですが、そういう何か主幹教諭の業務について、独自のものを付け加えたいというようなことが仮にあった場合に、それはそもそもできるのか。あるいはできるとしたらどういう手順が必要になってくるのか。以上、3点です。

【小川部会長】
 事務局への御質問なんですけれども、よろしいでしょうか。どなたにお答えいただければよろしいでしょうか。お願いいたします。

【梅﨑初等中等教育局参事官補佐】
 まず事務職員の職務規程の改正ですけれども、学校の課題が複雑化・多様化し、事務的な面において管理職の負担も増える中、従前は校長・教頭等が担ってきた学校事務の一部について、これからはより主体的・積極的に校務運営に参画し、学校の事務を自分の一定の責任の範囲においてやっていくという下での改正だということでございます。
 それから職務内容の規程についてですけれども、今ここにありましたが、学校管理規則等で定めるのが通常のことなのかなと思っていまして、加えまして、例えば自治体の中で学校ごとに事情が違うということであれば標準職務例や通知を行いまして、各学校において職務の範囲を決めていくということがあると聞いております。以上でございます。

【佐藤初等中等教育局企画官】
 主幹教諭の方ですけれども、本日お配りしている資料の5-3というのに組織関係法令を載せておりまして、こちらの方の1ページ目に学校教育法の第37条の規定を載せさせていただいております。そこで第37条の9項の方、丸9の部分ですけれども見ていただけたらと思いますが、主幹教諭の役割につきまして、「校長(小学校に会っては、校長及び副校長)及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる」ということでございますので、先ほど出ておりました校長への助言等については、校務の一部という範囲で読めるかと思いますし、前回、御発表いただいた神奈川県教育委員会さんのように、ほかの教諭等への指導・助言的なところを載せる場合は、学校管理規則の改正の方でそういったことを、この現行法の枠内ということであれば、この学教法の規定に反しない限度において各教育委員会の方で学校管理規則に定めていただくということで実施可能となっていると理解をしております。

【小川部会長】
 川田委員、何かございますか。

【川田委員】
 いや、結構です。ありがとうございました。

【小川部会長】
 よろしいですか。それでは、この後、橋本委員、そして冨士道委員、そして最後ということになるかと思いますけれども、善積委員、お願いいたします。それでは、橋本委員。

【橋本委員】
 風岡委員、ありがとうございました。京都府ではまだ共同学校事務室がありませんので、ちょうど今年度から設置に向けて協力して検討していくという段階でしたので参考になりました。
 その中で2点だけ質問したいと思います。1点目は、10ページの資料の具体的な取組の成果の上の方ですけれども、市全体で課題解決に取り組む体制ができたとあるんですが、この課題解決の具体的内容についてお聞かせいただきたいというのが1点。
 それからもう1点は、先ほど佐古委員からも校長先生の助言の具体的内容という質問があったんですけれども、私の方は、既に共同学校事務室の取組をされている中で、一般教員の働き方改革に直接つながるような業務の改善といいますか、そういったことがあったのか。あるとしたらどんな内容か。
 この2点について教えてください。

【小川部会長】
 風岡委員、お願いします。

【風岡委員】
 ありがとうございました。まず1つ目の市全体で課題解決に取り組む体制のことですが、この課題というのが、実は5つの課題があると設定をしたということがあり、それが5つの専門グループを設置した基になっているということであります。1つが、大きくくくって業務改善というような部分での課題だとか、あるいは予算の部分での課題、学校事務職の財務ということで予算の部分の課題ということ。それから法改正への対応ということでの課題ということがあるということ。それからICT、情報に関しての課題があるということで、これは校務支援システムと、あとそれから各種校内で行っている、例えば先ほどのアンケートの集計システム等々の課題があるということで、このICTに対しての、情報についての課題があるというようなこと。もう一つは、人材育成ですね。研修、人材育成についての課題があるということで、この5つの課題に取り組むということで専門グループを設置したということで、その体制ができたということが1つ目であります。グループごとでそういった課題に関して、あとはグループの中で今年度は何に取組むかということを検討して、その取組を進めていったということであります。
 それから一般の教員にどういうような形で還元されるようなものになるかということですが、この部分につきましては、その中で行っている具体的な改善の取組というか改善の成果というものが、教員に対しての負担軽減になってくるだろうということで、例えば29年度、昨年度やったところで言いますと、市全体の各種様式の見直しということをやりまして、これまで、もちろん様式は全部あったわけですが、それを各種の法令に合わせて様式の変更をしたりというようなことだとか、あるいはデジタル化することによって先生方が直接すぐに取りにいけるような形にしたということが1つありました。また、校務支援システムの運用ということについては、豊橋市は東三河の4市で校務支援システムを導入したわけでありますが、4市で導入したことによって、それぞれの自治体ごとの、カスタマイズがやっぱり必要になっている部分があるということで、その部分について事務職員の方々が担当する、例えば文書管理の部分だとか、それから備品管理の部分というようなこと、それからもう一つは、これは昨年度中にはできなかったんですけれども、学校徴収金システムの部分について検討を進めていったということがありました。こういう部分が直接的に、教員の負担軽減という観点で考えたときに教員にもメリットがある部分にはなっていくだろうと考えております。

【小川部会長】
 橋本委員、よろしいですか。

【橋本委員】
 はい。

【小川部会長】
 冨士道委員、よろしくお願いします。

【冨士道委員】
 私から質問というよりは期待を含めた意見を申し上げたいと思います。風岡委員の資料を見せていただきまして、3ページのところでは、一番上で業務改善が一番必要なんだというような認識が出ています。そして5ページをまた見ますと、具体的な取組状況が出ています。例えば2つ目の教頭、事務職員との連携整備、そして教職員の事務。それから業務の整備の再構築、これを指示・指導という表現になっています。その結果、どういうような形になったのか。今後期待をしたい。どのような指示をし、指導したのか。その結果どう変わったのか。これが問われてくるのだろうと思います。今までの議論の中で、私が思っているのは教員が教育をつかさどるはずなのに、この言葉を使うと事務をつかさどっている部分と大変グレーの部分で重なっているんじゃないかと思います。今回こういうような形できちんと再構築をして、整理をするということを書かれています。またそういう意見がたくさんあったということが出ていますので、是非教員がきちんと教育をつかさどることができるモデルになるでしょうし、そのモデルが全国のスタンダード、基準になっていかないといけないと思っています。教員がやっぱり今本当に徴収金の徴集であったり管理であったりとか、転出入の手続、教科書関係の事務、全部やっているわけでありまして、本当にこれが教育をつかさどる者がやるものなのかどうか。それで今回、こういう事務をつかさどるという立場の方との調整という話が出てきましたので、これは本当にきちんとどう構築をしながら調整をして、明確な線が出れば一番いいんですが、そういう形を是非期待をしたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは、最後、善積委員、どうぞ。

【善積委員】
 皆さん、ありがとうございました。いろいろな資料を拝見して、非常に強く感じたのが、事務の方の組織の中でのポジションが、実はそれほど高くないということが実態ではないかというところです。いろいろなデータでも、研修であったり、選び方というところでも基準を設けていないというような回答もありましたし、風岡先生の資料だと5ページの、市区町村教育委員会に事務指導主事などの事務職員の配置で、「重要ではない」という回答が実は13.9と一番高かったですよね。このあたりの意識が、実は非常に問題だなと感じています。事務職員の方って、私どもが現場に入って見ていると非常に差があるんですね。だから研修ということだと思いますが、非常にすぐれた事務の方がいらっしゃる学校なのに、その事務の方がなかなか意見を言いにくい状況があって、それは多分、この法令が出た後でも余り変わっていないんじゃないかなというのが印象です。できたら、やはりそのあたりの、事務の方のポジションをもう少しきちっと位置付けるという学校単位での動きを作っていった方がいいと思います。
 あと、「なり手が実はいない」という話もよく現場で聞きます。仕事としてのやりがいであったり、お給料であったり、そういったものとの兼ね合いがあるのかもしれないと思いますが、そのあたりの改善も必要なのかどうか。これは風岡先生に是非お聞きしたいところの1点目です。
 あと、共同事務という概念、これは標準化という観点からは大事だと思いますが、あれは場所移動が必要なのでしょうか。そこがちょっとよく分からなくて、どのぐらいの頻度で自校から中心校に行かれるのかということと、物理的に集まらなければできないものなのかということをお聞きしたいです。組織人事を見ていますと、2つの組織に属するということは結構高度な技能になりますので、こういうやり方で対応できる事務職員さんというのはスーパー事務職員というのが私的なイメージの中にあります。今の状況で、いろいろなテーマが含まれている共同化を進めるということが全国で可能なのかどうかというあたりは、進めていくことの問題意識というよりは「できるのかどうか」、「そこをクリアするには何が必要なのか」というところが2点目で、先生の御意見をお聞きしたいところです。
 あと、様式の標準化というの、じゃあブロックでやる、市でやるかについて、私は異動があり得る圏域で共有化するべきだと思っています。いろいろ事務員の方の話もお聞きしていますが、いいものをすごく作っているのに、それをどうやって共通化すればいいか分からないとおっしゃいます。そこを、共同化をもっと進めていく発想でできないかなと思っていますので、そのあたりの御意見もお聞きできれば良いと思います。以上です。

【小川部会長】
 なかなか深い質問かと思いますけれども。

【善積委員】
 すみません。

【小川部会長】
 答えられる範囲でよろしくお願いします。

【風岡委員】
 まさに今お伺いしたことというのが、自分たちが共同実施を進めていく上でも、いつも課題というかテーマとして考えてきた部分と一緒になっているところです。最初にお話しさせていただくのは、2点目にありました、共同学校事務室というか共同実施という制度をうまく機能させられるのかというところについては、まさにおっしゃられたとおりで、私自身も、この共同学校事務室を今の制度下で進めるといったときに、2つの役割を果たさなくちゃいけないんだということは常々自分の市の事務職員の方にも話をしてきたところであります。1つは、申し上げたように、共同学校事務室といういわゆる集中して改善処理をするようなところでの役割ということ。もう一つは自分の学校の中で校長を支えるスタッフとしての役割。この2つの役割を両方負わなくちゃ、冨士道先生の言葉じゃないけれども、両方負わなくちゃいけないというのが事務職員に求められているんだということであります。
 一方で、これが必要な背景というのが、事務職員が1人しかいないという中で、経験値による差によって学校間での業務の分担だとかの差になっていたりすることが、先生がおっしゃられたところで言うと、この学校の事務職員はいい事務職員で、この学校の事務職員というのはまだまだ経験が足りないよねというような事務職員、また、少し言葉が悪いかもしれないんですが、働く事務職員と働かない事務職員というような、そういうところにもつながっているという、1人配置の課題の解決ということも背景にはあるということであります。
 ですから共同実施をするに当たって、まだ権限とか責任の問題というのが非常に曖昧なところは残っているわけですが、これをすることによって間違いなく言えるのは、事務職員同士でお互いに書類を見合ったりするというようなレベルからスタートするところでも、いいかげんな仕事ができないというか、行政的に見れば当たり前なんですけれども、複数でチェックするという形になるわけで、そういったことができるようになったというところが、まず最初のところでこの共同実施をやったという意味があったということです。
 それを踏まえて、じゃあ今度は、それぞれの経験の差異というのをどう、みんなで仕事をすることによって埋めていけるのかというのが次の平準化の課題になってきている。これも経験値による差異というのがかなり埋められてきているというのが現状であるということでありますので、次はいよいよ、そういった部分でできた事務職員の力というのを運営の部分にシフトさせていこうというのが今の、だから共同実施も段階的に言えば、いよいよ3段階目に入っていくというようなイメージを抱いているということがあります。
 それと併せてポジションを上げていくということで、学校内で、おっしゃられたとおり、こんな話をしてちゃいけないんですけれども、私が入ったときなんかは、もう事務職員って何をやっても相手にされなかったような、変な話、自分自身もそういうような中で仕事をしてきて、一歩ずつ自分たちの職の確立ということを図ってきたということがあって、その1つの、方向性として、事務長の在り方だとかということが文科省の方でも法令化されたし、つかさどるというような、いわゆる教員と並ぶ職になるというような位置付けもされたということがあると思いますので、ポジションは間違いなく、私が就職した三十数年前よりは、今は若い子たちは、自分が感じていた頃よりも明らかに仕事はやりやすい状況ですし、学校の中で受け入れられているというような境遇とかにあるとは考えています。でもまだまだ今のお話で、学校間とか、あるいはこれは都道府県によって、私はかなり差があるだろうと思っていまして、その都道府県による差というのもどう考えていくのかというのは課題だと思っております。
 最後ですけれども、先ほどの様式等々の統一というのは、ブロックじゃなくて市でやるもんだというところで、それも実は私が豊橋市の教育委員会に入って全体を見たときに、おっしゃられましたように各ブロックがすごくいいシステムを作っているんです。いろいろなものを作っている。それを何とか市全体のものにしたいということで共同実施の活動の中に課題別の専門グループ活動というのを入れて、専門グループ活動というのは各ブロックからそれぞれの方が出てくるものですから、そういう中で各ブロックでやっていることを市全体としてのものにしていくというような体制を作ったということで、これも共同実施の1つの工夫ということで、そんな取組もできるんだということはあるかと思います。
 集まらなくちゃできないのかということがありますが、大体多くのところは、月に2回ないし3回集まっているというケースがデータ上は多かったと認識をしております。週1かあるいは2週間に1回は集まれるような体制を作っているんですが、共同実施というのは、そのときだけが共同実施ではなくて、日常的にそのグループの人たちというのは、電話なりメールなり、あるいはグループウェアを使って連絡をしているということがありますので、ある意味1つの新しい共同学校事務室というか共同実施の在り方としては、共同学校事務室は部屋がなくてはできないということではなくて、機能としてそういう共同学校事務室という機能があると。場所はどこにいても、その機能の下で、ネットワーク立てて仕事ができるんだというような方向が模索されるというか、そういうのと一緒にやっているというのが現状だと思っています。豊橋市の場合は、月に2回集まっていたんですが、事務長といろいろなやりとりをする中で、2回集まる共同学校事務室の場よりも、それ以外の場での活動の方が圧倒的に多いということはおっしゃっていました。

【小川部会長】
 ありがとうございます。善積委員の方から、また議論、御意見あるかと思いますけれども、一旦ここで切らせていただいて、今までの事務職員、そして事務長も含め、前回まで議論していた主幹教諭の問題も含めて、全体として一度残りの時間で学校の組織運営体制の問題について少しまた意見交換したいと思います。
 私の方の時間配分、ちょっと手違いであと20分ぐらいしか時間がないんですけれども、全体の議論をする上で、最初にこの資料4に基づいて、まずこれまで学校の組織運営体制の在り方についてどのような議論をされてきたのかということを少し事務局の方で整理していただいておりますので、佐藤企画官の方からまず、資料4に基づいて少し御紹介いただいて、それを基にまた残りの時間、少し全体を通じた議論をしてみたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】
 それでは、資料4をごらんいただければと思います。前回、前々回と学校の組織運営体制の在り方について御議論いただいておりますので、事務局で整理をさせていただいております。
 1ページ目でございますけれども、基本的な考え方・検討の視点ということで整理させていただいております。組織・運営の在り方を見直すことは必要だけれども、目的を常に見失わないことが重要だと。そこで目的は、中間まとめで整理いただいておりますけれども、教師の教育活動に対する意欲を下げては意味がなく、教師の負担を軽減し、子供と向き合う時間、本来業務に集中できる時間を確保する体制を作ることが必要であるということ。
 そして次でございますけれども、組織の見直しにおいて、前回、佐古先生の方からございましたように、校長が明確なリーダーシップを発揮して教師の仕事を管理する統制化、そしてこの様々な課題や教育実践について同僚性的な情報交換を活性して組織化を図っていく協働化という2つの方向があると。今後の改善の方向性については協働化しながら校長がリーダーシップを発揮することが重要だという御意見を頂いています。
 また、次にあります学校マネジメントの刷新、若手の育成等教育活動の活性化、役割分担の推進により増加する連携業務の担い手の確保、校務のグループ化、教頭・副校長の負担軽減といった観点を、働き方改革に合わせて実行できる組織体制を整備することが必要であると。
 次も佐古先生の発表にございましたけれども、個業型業務と全人格的な教育で構成される学校現場については、組織的に物事に対応することが苦手であると。業務の量的観点から見直すだけでなく、組織を見直さないと勤務の見直しが進まないという御意見を頂いています。
 また、教頭の仕事については限界を超えており、具体的に制度としてきちんと担保していく必要があると。その際、各教育委員会の管理運営規則等も考えて具体的なものを出していくべきだと。
 そして次でございますけれども、組織面からの改善については、業務の量的な整理や役割の見直し、人的措置と併せて実施することが必要である。
 また次でございますけれども、研修の在り方や教員評価、学校評価の在り方と組み合わせて議論するべき。
 そして次ですけれども、管理すること自体は重要だけれども、管理が新しい仕事を生むことにもつながりかねない。体制やマネジメントを見直すことが働き方の改善につながるというエビデンスを積み上げていくことが重要である。
 また、一番最後ですけれども、学校現場でマネジメント思考ばかり強まるようなことがないように留意すべきであるという意見を頂いております。
 次のページに行っていただきまして、考えられる手段ということで、主に前回の主幹教諭について議論いただいた中で出された意見を整理させていただいております。上から順に申し上げますと、教頭・副校長の業務負担軽減が重要であると。その際、複数配置であるとか、主幹教諭、事務職員等との分担が考えられるが、その際に教頭や副校長が集中すべき業務の中身の在り方についても併せて考えるべきである。
 また、副校長の業務を支援する副校長補佐を配置したり、スクールサポートスタッフの配置を行うことも有効ではないか。
 教頭の業務負担軽減策については、教頭の副校長化、教頭の複数配置、教頭補佐等の選択肢があるけれども、教育との協働化の観点からは、教諭との距離感が近いということでミドルリーダー、主幹教諭の優位性があるのではないか。
 また、主幹教諭の役割については曖昧な部分があるけれども、1つの方向性として人材育成担当、地域等との連携担当、校務総括担当といった役割が基本となるのではないか。
 次ですけれども、主幹教諭については必ずしも管理職候補というわけではなく、特定分野を集中的に担う人材として配置することも考えられる。前回の神奈川県教委の発表の中でコミュニケーションの円滑化や総合的な調整機能に効果があったというようなことがございましたけれども、主幹教諭が今まで果たしていた役割以外にも取り組んでいくことが必要であると。
 次ですけれども、主幹教諭の役割を十分に果たすためには、授業などの負担軽減措置を併せて実施するべきである。特に小学校では学級担任を持っていることなどから、特に負担軽減を考える必要がある。
 次ですけれども、人事異動を円滑に行うには一定の人数が必要である。学校長や学校規模による違いも念頭に置く必要がある。また主幹教諭や主任の役割は都道府県によって異なることを踏まえることが必要である。
 そして次ですが、主幹教諭になった者に対するマネジメント面の研修・人材育成についても考えることが必要。その際、教職大学院の活用も考えられるのではないかと。
 そして最後ですけれども、主幹教諭はその対応策の1つであるけれども、主幹教諭を単に全国に張りめぐらせれば負担が軽減するとも言えない。業務の見直しとセットで行うことで初めて改善点が見出せるのではないかといった意見を頂いております。
 このほか資料の5-1から5-7ということで、学校の組織運営に対する在り方について御議論いただく際の参考資料を配付させていただいておりますけれども、内容については前回説明させていただきましたので省略をさせていただきます。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今の事務局からの説明を踏まえつつ、学校の組織運営体制全体についての御意見を伺いたいと思います。15分ぐらいしかありませんけれども、よろしくお願いします。15分ぐらいしかありませんので、できる限り手短にお願いします。

【天笠委員】
 失礼いたします。まず主幹教員についてなんですけれども、これを導入しようとしてから、かれこれもう10年以上の時間的経過があるわけであって、やっぱり局面局面でいろいろな当時の状況等々から今日に至っているというあたりで、改めてこのあたりのところのこういう時間的な経過ということも我々認識をする必要があるんではないかと思っております。要するにこのたび取って付けたような形でこの話があるわけではないということで、10年間の積み上げの中であると。私の認識としては、当初、主任制がどうもうまくいかないというところから出てきた1つの発想として、この主幹というのがあったのかなと。ですから今日にも都道府県によってばらつきがあるというのは、歴史的に見るとそういう背景というのも1つの要因としてあるのかなというふうに捉えております。かれこれそういう経過をたどりながらですけれども、そういう点で私は、主幹というのは学校の縦のラインを比較的整えるということについて相応の役割・機能を果たしているんではないかと思っておりますが、俗にいう鍋ぶたからの克服というんでしょうか、組織論としての、そのあたりのところに主幹教諭の大きな役割があって、相応にそれについては、それなりの成果を押さえつつあるんじゃないかと思っております。ただし、縦とともに横の機能をさせるというのもまた学校にとって非常に大切なところなんですけれども、そちらの方、そういう視点で見たときには、主幹、必ずしも役割を果たし切れていないというあたりのところは前回のそれぞれの意見の中にもあったのかなと思っております。言うならば学校は縦のラインと横のラインと、それぞれを機能させることによって全体的に組織としての機能を発揮させるということからするならば、主幹がそういう意味において横をどう、いわゆるミドルリーダー論なんかと非常に重なり合う部分はそういうところにもあるんじゃないかと思うんですけれども、横を全体にどう束ねていくのかどうなのかというあたりのところについて、その在り方ということをもう1段これから深めていく必要があるんじゃないかと思っております。1点目です。
 もう一つだけ申し上げさせて、これは先ほどの事務職員のところで発言すべきだったとは思っているんですけれども、手短に申し上げさせていただきますと、大学においては教務係ですとか総務係、学務係ですとか、そういういわゆる教務事務なくして大学は成り立たないというところであります。いわゆる教務事務というのがそれなりに存在し、そしてそれを組織として一定程度確立しているということなんですけれども、学校種は違いますが、高等学校、中学校、小学校において、そういう発想であるのかどうなのかあたりのところが非常に疑問であります。学校事務職を確立するという言い方というのが、果たして今課題を抱えている、課題解決につながっていくのかどうなのかというあたりのところというのをもう一度考えていく必要があるんじゃないかというんですけれども、なぜ大学のような形に確立していないかというと、それは例えば学校事務職員の方はお一人しか学校には通常の場合いらっしゃらないということで、お一人の職務の中でそれがということと、それから小中高、昔から、いわゆる学習係とか教務係とか、そういう形、あるいは教務主任とか学級担任、それぞれ教員の中で分散して、俗に言う教務事務とか学校事務がそれぞれ分散して担当しているというところであるので、ですから今回のこの学校事務職員の「つかさどる」ということを契機にして、今のあたりのところについての学校事務のそれぞれが分散している状態をもう一度整理するとか集約して見直すとか、そういう組織の確立の在り方というのもこの際検討していくという意味において、事務職の方からの吟味というのも1つの組織の見直しとしてはあるんじゃないかなと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。相原委員、どうぞ。

【相原委員】
 ありがとうございます。主幹教諭と事務職員、若しくは事務長を並列に並べて議論することは差し控えたいと思います。ここ一、二回の議論を通じて感じますことは、本部会では長時間労働是正をはじめとして、生き生きと先生に働いていただくにはどうすべきかという観点が中心議題ですので、働き方改革を学校現場でどう進めるかという論点に限って考えてみると、主幹教諭のネットワークを広げるというよりはむしろ事務職員や事務長に対する期待値の方が、実効性を高めるという意味では可能性があるなと実感したところです。
 もう一つ、組織体制の在り方ということで主幹教諭の位置付けに関する議論がありますが、むしろ働き方改革を進めるという意味では、主幹教諭の持っている機能を労働時間だとか、働き方のコンディションだとか、生き生きとした現場となるための機能を振り返るとしたらどういう可能性があるのかを考えるべきではないかと思いました。
 現下の国会の情勢について云々する場ではありませんが、上限規制をはじめとする働き方改革の法案の議論は前進すると思っています。足元の国会情勢はなかなか厳しいものがあり、審議の状況が見通しにくい状況にはありますが、是非とも足を早めてこの部会の議論を進めておくことが大事だと思っております。働き方改革法案の前進を前提にこの部会も付いていこうというようなイメージがあるとすれば、働き方改革法案の前進云々にかかわらず先行的にこの部会が答えを出していくような心構えが必要であり、やがて付いてくる法案審議を待ち受けるぐらいの気持ちで進めていく方がいいのではないかという問題意識を持っております。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。嶋田委員、どうぞ。

【嶋田委員】
 事務職のことを聞きまして勉強になりましたが、やはり何よりも学校経営への参画意識をどう育てていくかということがすごく大事だなと思っております。1人職なので、お金のことは自分、でもほかのことはもう全て副校長や教職員というような意識が今できてしまっているのではないかと思っているところです。是非具体的な、今、私が副校長承認して一緒に調査をやっておりますが、4月当初の調査は本当にすさまじいものです。国だけではなくて、都があり、市があり、それを一緒にやりながら、どうにかまさにこなしていくという形をこの3週間とってまいりました。是非具体的な職務を明確にしていっていただきたいというのが校長としての意見です。以上です。

【小川部会長】
 橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】
 まず主幹教諭につきましては、先ほど天笠委員がおっしゃった縦の機能ですね、鍋ぶたからの克服、これは前回申しましたように、主任制度がきっちり機能していたら、重ねて主幹教諭、本当にどれだけ要るのかなという面はあります。ただ、一方で、教頭・副校長の多忙化を考えますと、主幹教諭を置くことによるサポート機能というのは働き方改革として一定の意味があるかなと思います。その上で、すごく現実的に申し上げますと、主幹教諭か一般の指導に当たる教諭かといったときに、どちらも充実できればもちろんいいわけですけれども、それがなかなか難しいとなったときに、主幹教諭を本当に優先すべきかなということにはいろいろ議論があるし、慎重に検討する必要があるんじゃないかなと思います。
 それから事務職員についてですけれども、小中学校の事務職員は、原則1人職場で、かなり教頭先生がお手伝いをされているような実態があります。そうした中で、教員の業務範囲を明確にして、一部実質的には事務職員の方に移るというようなことがあった場合に、実態として本当に事務職員がこなせるだけの体制にあるかということをしっかりと見ていただいて、国の方にもその対応、措置をしていただく必要があるかなと思いますし、共同化というのは1つの方向だなと思うんですけれども、この場合でもやはり共同化の実態に合わせた加配の中身ですね、これを充実していただくということが必要条件じゃないかなと思います。以上です。

【小川部会長】
 東川委員の方から順にお願いいたします。

【東川委員】
 少しだけ保護者の立場といいますか目線からですが、主幹教諭の議論がなされておりますけれども、議論にもあるように、全ての学校に主幹教諭が配置されているわけではもちろんないということから行きますと、保護者目線で言いますと、カウンターパートが誰であるのかということが明確になっていれば、主幹教諭がいなくても実際機能しているといいますか、学校はたくさんありますので、そこを明確にしていく必要が大いにあるのかなといったところと、それから若い先生がこの主幹教諭になりたいであるとか、目指せるようなところの環境作りというのももちろん必要で、これは事務職員の先生方とやっぱり同じことが言えるのかなと。先ほど風岡先生がおっしゃったように、三十数年前とちょっと変わってきたというような、環境作りがあったからこそこのような形ができていたのかなと思います。
 それとあともう一つ、保護者の目線で言いますと、先生方と保護者は接点がありますけれども、事務職員の方々との接点はあるところもあればないところもあるといったところから、今ありましたような「つかさどる」を機に学校経営に積極的に関わっていくというところから、少し交じわえるような環境整備ができればいいなというところと、先ほどの共同事務の中で、広報についてのホームページを議論されているというところにおきましては、学校が作成されているホームページはほとんど教頭先生や主幹の先生が作っていらっしゃるんじゃないかなといったところから、事務職員の先生方の目線を入れながら、例えば是非入れていただきたいのは学校教育方針であるとか、いじめ防止対策方針であるとかといったところが、どうしてもあまり上に上がってこないといいますか、知らない保護者の方が圧倒的に多いというところからいいますと、その辺も補佐していただくようなところが今般の議論の中でできていければいいかなと思っていますので、いずれにしても、特に時間軸で言いますと、これから5年、10年、20年と、若い人たちが教職員あるいは先生を目指していく人たちが夢を持って描けるような議論ができればいいなと考えております。 以上です。

【小川部会長】
 妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】
 私の方では、最後の方に参考資料5というのがあって、それを用意していますので、ただ、時間がないので、これ、一応作るのに何時間か掛かったんですけれども、非常に走ってお話をいたします。また必要であれば次回以降お話しますけれども。
 最初申し上げたいのはめくっていただいて1ページ目ですけれども、文部科学省さんの御努力には敬意を非常に持っておるんですが、ただ、やっぱこういった実施調査では、文科省からやっていますかと言われて、余程じゃないとやっていませんとは言わないわけですよね。正直かなり、楽観論ではいけないんじゃないかなと思っております。例えば2ページ目の研修しました、学校評価しましたと、外形的なことは分かるんですけれども、中身はどうやねんというような話とかも見ていきたい。
 3ページ目ですけれども、これは前回も資料がありました。主幹教諭の配置の成果と課題、これ、一見すると、素直に読むと、非常に矛盾したような回答なんですね。主幹の役割が十分理解されていないにもかかわらず、なぜ総合調整や業務の効率化が図れると言えるのかという部分ですね。こういったところも可能性丸1、丸2、丸3、もう読み上げませんけれども、もうちょっと慎重に検証する必要があるだろうなと。不都合な真実とあえて誰も言いませんので書きました。ひょっとすると処遇改善のためのツールになっていて、先ほども主任のときのちょっと反省が主幹制度に行っているという話ですけれども、主幹教諭もこの10年でもちろん蓄積はあるでしょうが、もっと反省点もあるんじゃないかというところもよく議論しないと、主幹教諭のことが本当に優先順位が高いのかという判断はできないということを申し上げておきたいと思います。こういった話は4ページに書きましたので、後でごらんいただければと思います。
 5ページ目ですけれども、この辺はまたちょっと前回も繰り返していますので、もうやりません。
 次のブラックなところも、読んでいただければ分かるのでやりません。
 次の7ページ、8ページはまた必要であれば申し上げますが、もうちょっと時間もないのでやりません。
 その後のブラックのところですけれども、この組織運営体制として、校務分掌を見直したりとか主幹教諭を配置したり教員育成指標、これはちょっと今日の議論ではないですが、そういったことも効果があるかもしれないが、おそらくそれらだけでは十分対処できないもっと重要な問題に我々はもっと目を向けるべきじゃないかと思っております。お前はじゃあ何と思うんだという話は前ページとかに書きましたが、ここはちょっとお話はしませんけれども、もう少し皆さんの御意見もまた引き続きお寄せください。
 次に、事務職員さんについてです。11ページ目です。期待は大きいんですけれども、現実はどうなのかというところで、期待は大きくてもインセンティブが弱いんじゃないかというところを申し上げておきたいと思います。経営参画してねとか、つかさどってねと言う割には処遇がしっかりしているのかどうか。これもきょうのアンケート等からも分かる話でありますので、考えたい話です。
 12ページ、これは別にこのとおりに考えなさいと言っている意味じゃなくて、議論のたたき台にしたいんですけれども、私がすごく気になっているのは、一番上に書きました。事務職員だって暇じゃないですよという話ですよね。いろいろ教員が忙しいからといって事務職員さん、お願い、お願いといっても、やっぱりパンクします。やっぱりビルド・アンド・ビルドの発想では限界がありますので、例えばこの定型的な業務かどうか。あるいは複数学校とか全市的あるいは全県的な対応が可能かどうか。これ以外の視点もあるでしょうが、こういった視点でも考えながら、減らすべきところは減らすと、増やすべきところは増やすというふうに、あるいはキャリアパスに応じて、そういった濃淡を付けていくことももっと議論するべきではないかと思います。
 具体的には次の最後のページ、13ページに書いておりますが、右上の定型的な業務かつ複数のところで可能なものはもっと減らすというふうに、ダウンサイズするということも考えないと、この非定型かつ、左下ですね、非常に特色が必要なところ、あるいは学校経営の参画とか業務改善等々ですね、こういったことにも力が割けないということですので、あるいは左上の方にも、事務長がやるんであれば、もっと事務長からは庶務的なところを放す。今までの議論を聞いていますと、企業で言うと、庶務課長ないし総務課長と財務課長と経営企画課長と、3つとも1人の事務職員がやれと、事務長がやれと言われているように僕としては聞こえます。やっぱりこれは無理がある話なので、もう少し分担を当然考えていかないといけない。こういったことも議論したいなと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。次回以降もまた、学校の組織運営体制の議論はしたいと思いますので、きょう言えなかった部分を含めて、次回以降、御発言いただければと思います。それでは、青木委員、時久委員の順でお願いいたします。

【青木委員】
 ありがとうございます。まず事務長あるいは学校事務員の機能に関してですけれども、おそらく求められることが高度化して、この部会に関するテーマでも高度化が求められているわけですので、今後おそらく起こり得る、あるいは必要なこととしては、学校事務職員の採用カテゴリーの見直しが各県で進むのかなと予期した方がいいということと、それから首長部局、知事部局との人事交流もあり得るだろうと。そしてプラスして現有の事務職員の人的資源を強化しなければいけないということで、こういったことを踏まえた制度設計が、あるいは制度設計後のメンテナンスが必要かなと思います。
 それから主幹教諭に関しては、これは今日のテーマである学校の組織運営体制の在り方についての観点からすると、私は非常に重要な制度だと思っています。前回の報告を含めて、これまでに主幹教諭のメリットと思われるものはどうもだんだん収れんしてきて分かってきたと思います。おそらく制度が出てきたときには多様な機能を期待していたわけですけれども、端的に言うと教頭・副校長の多忙な状況を克服する可能性がどうもありそうだということです。そう考えた場合に、2つぐらいやることがあって、この制度設計の場である中教審でやることはあって、特2級なので配置が難しいという意見もあるわけですけれども、各県によっておそらく判断が違いますので、その状況を踏まえて配置のハードルを下げる工夫をしている県があるとすればどういうことをやっているのかという情報収集が1つ必要だということと、もう一つは、やはり副校長・教頭の多忙の解消に主幹教諭が役立つんではないかという想定をした質的なまずは分析調査が必要かなと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。最後、時久議員、お願いいたします。

【時久委員】
 分かりました。1点だけ提案的にお話しさせていただきます。主幹教諭のことにちょっと絞りたいと思いますけれども、主幹教諭の配置については、日本国中の小中学校が規模的には非常な格差があって、大きい学校もあれば本当に小さな学校もあったりするので、配置が全部に行き渡るわけではないと思います。それで一定規模の学校以上には主幹教諭が是非とも必要ということがあるので、ここを定数化することができないかということを思います。それは校長の仕事にしても、10月ぐらいから後は人事のこととか、次の計画とか、この加配のための希望書だったり、加配の報告書だったり、もう膨大な、子供と向き合う時間なんかほとんどとれないぐらい事務に掛かっています。そういう意味では、この主幹教諭が必要というのは、大きな学校は明らかですので、ここについて定数化されるだけでも大きく違うと思っています。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。最後の学校の組織運営体制の在り方に関わる総括的な論議について、時間がとれなくて、各委員からは重要な論点をいろいろ出していただいたというところで、まさにこれから議論を深めていくというところで今日は時間切れになってしまいました。今日頂いた様々な論点については、次回以降さらに議論を進めていければと思います。よろしくお願いします。今日はありがとうございました。
 それでは、次回以降の予定について事務局から御連絡をお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】
 長時間ありがとうございました。次回の日程につきましては、追って御連絡させていただければと思います。本日の資料につきましては、机上に置いていただければ郵送させていただきたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは、今日の議事は全て終了しましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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