資料3-2 学校安全部会(第6回)における委員からの主な御意見と追加の御意見

※下線部分は追加で出された御意見

【構成について】

○ 学校は教育の場であり、現行計画は、「教育」から記載されている。今回の案では学校の中の組織的な安全管理が強く出されている印象を受ける。生涯学習の入り口という観点からも、項立ては、「安全教育の充実」を「組織的取組の推進」の前に置いた方がよいのではないか。

○  学校では、児童生徒等の命を守ることが最優先すべきことをしっかり示すことが重要。教職員の意識の高揚にもつながる。その意味では、「組織的取組の推進」が最初でもいい。「はじめに」として記載してもよい。

○  2次計画全体を通じて、未来の担い手としてどのような子供たちを育成していくのかというビジョンを記載することが必要。

○  全体を通した5年後を見据えた工程表のようなものを提示し、ステップを踏んだ記載ができれば説得力が増すのではないか。


【児童生徒等の安全を取り巻く現状と課題】

○  東日本大震災では、多くの犠牲があった。災害についての具体的な数値を記載することが必要。

○  学校安全は、幼少の子供だけの問題ではなく、中学生・高校生など、青年期にある子供の問題でもあり、校種別の現状と課題を学校安全三領域毎に提示することが必要。

○  学校安全に対する教員の意識の問題は、学校安全の推進に多大な影響を及ぼす。地域間の差、世代間の差など教員の意識には様々な差が存在するため、可能な限りこれらの意識差を解消し、全ての学校において質の高い学校安全を推進していくことが求められる。

○  学校安全の問題は、地域社会を構成する大人の問題に帰着する。大人の入り口にいる中高生に対する安全教育の推進がこれまで以上に必要であるが、進学するにつれて活動の活発さが失われる傾向にあるため、幼小中高の系統的な学校安全のつながりの構築を目指すことが必要。

○  自然には、災害をもたらす危険性がある反面、恩恵も与えてくれるという二面性についての記載を追加することが必要。自然体験活動が少なくなっていることは、体験的認識の不足につながり、教育でどう補うかが現代的課題の一つとしてとらえることもできる。

○  安全教育が充実しない原因を挙げて、その対策を示していかないといけない。例えば、教員の意識・指導力の差、校種の差、地域の差が大きいことが主な原因と感じており、この課題を打開するための方策を打ち出していくことがこの5年間では必要ではないか。

○  保護者の送迎がなくなる小学校入学時に、交通事故件数が増えているという状況について記載するすることが必要。

○  中高生を対象とした犯罪被害や自転車事故も多く発生していることから、これらの事案についても記載しておくことが必要。


【学校における安全に関する組織的取組の推進】

○  自然災害は、どこでも起こり得るという認識の下、自分の勤務する地域特有の自然災害を認識しておくことが重要。

○  学校においては、学校安全計画を作成する際、ただ作成するのではなく、学校の安全に対するしっかりとしたコンセプトが必要。

○  大きな自然災害等を経験していない若手教員が増え、危機意識の希薄化が懸念される。

○  学校安全計画や危機管理マニュアルの不断の検証・改善を行う上では、自分の学校だけではなく、他の学校での事故事例も参考にし、分析することが必要。

○  教職員が学校安全に関する研修を受けることができるよう、校務の見直しや負担軽減等により研修を受けるための時間の確保に取り組むことも必要。

○  学校安全に関する指導者育成の観点からも、教員が自主的に学び合える場を作ることが必要。

○  安全教育に関して、中心となる教職員を位置付けるとともに、管理職のリーダーシップの下に教職員全体で学校安全についての共通理解を図ることが重要。

○  教職員にとって、子供の命を守ることが何よりも優先的に達成されるべき課題であり、教職課程や各種研修において、子供の命を守るという使命感を身に付けなければならない。

○  教育委員会等は、安全教育・安全管理に関して、最新情報と効果的な研修方法を習熟しておく必要があり、一定水準の学校安全の取組が広まるよう計画的・効率的な研修会の企画運営が求められる。


【安全に関する教育の充実方策】

○  安全教育の資質・能力に関する表現にばらつきがあるため、整理することが必要。

○   「資質・能力の三つの柱」=「知識・理解」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」に沿って安全教育として育みたい資質・能力を整理することが必要。

○  カリキュラム・マネジメントのイメージが示されているが、学校でのカリキュラム・マネジメントの確立のためには、取組に必要な時間、どの教科等の中で安全を扱うのか具体的事例を示すことが必要ではないか。

○  東日本大震災以降、学校安全の取組は、強く推進されることとなったが、解決すべき課題がまだ残されている。特に、安全教育の効果的・効率的な教育方法、カリキュラムの構築、評価の問題は、いまだ一般化できる水準にまで達しておらず、引き続き研究開発と実践研究を積み重ねていくことが必要。

○  多くの教科と関連する防災を含む安全教育は、カリキュラム・マネジメントの実現により、効果的に取り組むことが期待される。

○  年間指導計画を見直し、各教科等の安全に関連するものをつなげることが、基本的なカリキュラム・マネジメントである。

○  安全教育に係る時間の確保のための方策として、カリキュラム・マネジメントとしてとらえているところは、前進だと思う。

○  カリキュラム・マネジメントを踏まえての総合的な学習において、地域特性の理解を背景にした安全教育、防災教育を取り上げることは重要であり、アクティブラーニングによって、自ら判断して考えて行動できる、生きる力、生き抜く力を身に付けることが期待できる。

○  ICT教育と連動し、災害アーカイブ情報を教材として活用することは、防災教育を効果的に展開する上では不可欠であり、情報教育設備の充実化が求められる。
○  安全をより専門的に深く理解するには、各教科の視点と知見を学ぶ、教科等横断的な取組が重要である。

○  安全に関する資質・能力の育成について、教科等横断的な取組が強調されているが、幼稚園からの学校種間のつながりについても考えることが必要。各学校段階における学習経験を積み上げていくことの重要性を記載することが必要。

○  幼児教育において、各領域に安全に関わる内容が含まれており、様々な場面や活動を通して指導することが重要。

○  安全教育に関する教育のイメージを蓄積・整理・体系化する試みを継続することで、安全な学校生活を実現するとともに、安全な社会づくりに貢献できる人材を育成するための基礎知識としての「安全リテラシー」の確立を目指すことが重要。

○  安全教育により実効性を持たせるためには、地域特性に応じたリスクの理解とリスクが顕在化した際の被害や影響度を想定することが必要。

○  文部科学省で4月から運用している学校安全ポータルサイトについて、子供たちや教員が学ぶことができるものにする等、学習教材、コンテンツを引き続き充実させていくことが必要。

○  避難訓練は、教職員の防災管理の観点のみならず、児童生徒等にとっても実践的な場であり、「危機発生時対応学習」と呼んでいる学校もある。また、避難生活を体験する訓練も行われていることも踏まえ、避難訓練に代えて防災訓練という表現を使用することも考えてはどうか。


【学校の施設及び設備の整備充実】

○  耐震化について、幼児を緊急に避難させるため、園舎には外階段や非常用滑り台が設置されているが、東日本大震災時には、関東でもそれらにヒビが入り使えなくなったところもあり、非構造部材だけに着目されるような書き方は避けるべきではないか。

○  自然災害に対するレジリエントな地域社会の構築において、児童生徒等の安全の確保、地域の避難所になる可能性が高いことを踏まえれば、耐震化、非構造部材の落下防止策の早期完了が求められる。

○  非常時の情報活用、情報管理等の設備について十分だとは言えないため、危機管理のための情報システムを整備する必要がある。


【学校安全に関するPDCAサイクルの確立】

○  安全点検に関しては、学校による自己点検だけではなく、施設の安全性や危機管理体制などについて、それぞれ外部の専門的な視点からの点検も必要。

○  学校事故などが発生した際、その検証や保護者対応を行う上では、学校だけに任せるのではなく教育委員会による組織的なサポート体制を整備することが必要。


【家庭、地域、関係機関との連携・協働】

○  交通事故の発生に関して、大人がルールを守らない現状にある。大人の意識の改善についても伝えていくことが重要。

○  自転車で送迎する保護者も加害者になる危険性があるため、保護者の指導も含めた親子の交通安全教育の場が必要。

○  自転車を運転しながらスマホを操作している生徒も見られる。事故につながる危険性があることから、ながらスマホの撲滅に向けて方策を書き込んでいくことが必要。

○  ルールやマナーを教えることについては、家庭も責任を持って学校と一緒に取り組んでいくことが重要であるという視点も必要。

○  災害が多く発生する中で、学校は避難所運営に協力する場面が出てくることが予想されることから、地域と協働した避難所運営訓練の必要性についての記載が必要。

○  防災教育を推進する上では、地元の気象台や大学の防災研究センター、地方整備局等の関係機関との連携も重要。

○  災害発生時の地域のリスク理解や被害想定については、交通、犯罪、災害に関わる専門家や行政職員等との連携が不可欠。

○  地域連携に当たっては、生徒のアイデンティティの確立を支援するなど、児童生徒等の成長を促す要素を盛り込むことが必要。


【その他】

○  子供の命を守る体制に、差を生じさせてはならず、モデル校を選定して施策を展開する一般的な方策は、先進的な学校安全の実践事例を蓄積するメリットがある一方、先進的な取組を行う学校と学校安全の取組に進展が見られない学校との格差を広げてしまうデメリットを生じさせる。これを解決するためには、先進的な取組を行う学校を中核として、周辺校へも波及させる施策等を講じ、格差を縮小するとともに、全ての学校安全の水準が向上するような施策を展開しなくてはならない。

お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)