資料4 学校安全部会(第3回)における委員からの主な御意見

【学校・家庭・地域の連携協働関係】

○ 東日本大震災時に、学校支援地域本部などの機能ができていたところは安定的な避難所運営ができたという例もあるように、都市部においても、地域で顔の見える関係づくりをしていくことが重要。そのために、子供たち自身がまず自分に何ができるのかということを自覚していけるような取組が必要。また、こうした活動の根底を支えるのは、地域の大人たちであり、学校を丸ごと地域社会で応援していくという体制づくりが肝心なものとなる。

〇 コミュニティ・スクールなど、学校と地域の連携協働が母体となることで、安全・安心などの多くの問題を地域が自らのこととして課題解決できるようになっていくのではないか。

○ 宮城県においては、地域とのコーディネート、関わりの推進を図る中心的な役割を担う防災主任や安全担当主幹教諭を配置することで、防災・安全対策などに関する学校での取組が充実するとともに、地域住民の安全意識の向上にもつながっている。

○ 地域と学校の協働を進めていくためには、地域連携担当教員の配置を進めるとともに、地域の活動を担う人材の高齢化などの課題を解決する工夫が必要になる。

○ 防災に関する取組は、一つの学校で取り組むだけでは駄目。幼稚園、小学校、中学校が連携して引き渡し訓練に取り組むなど、学校・地域が一体となって取り組む必要がある。

○ 防災教育の推進や避難所運営に係る課題の解決には、教育委員会と防災部局との連携が密になる工夫が必要。


 【交通安全関係】
○ 交通事故リスクのない環境はあり得ないものであるため、通学路におけるリスクを専門家の視点で分析し、関係者間で共有して具体的な対策を講じるとともに、子供たちにそのリスクをきちんと伝え、適応能力を育成する教育を展開することが必要。
○ 通学路の点検の際、アドバイザー(外部有識者)が入ることにより、危険箇所を詳細に分析し、交通事故のリスクをより具現化させることができるようになる。そうすることで、ハードウエア的な対策や子供たちに伝えるべき内容も具体化される。
○ 交通安全教育に関しては、マップづくりなどを通じて、リスク情報を子供たちが共有し、リスクを回避するための行動基準(止まる、見る、確かめる)を自分たちで考えていくような教育が有効。
○ 小学生がマップ作りを通じて、警察、交通安全指導員、道路管理者、PTAなどの地域の大人と交流する取組が行われている自治体では、大人も含めてそれぞれの立場での課題が再認識され、安全に対する取組が促進されている。
○ 交通安全に関する発表会などの行事を行うためには、多くの時間が必要になるため、他の教科との兼ね合いを考えていかないといけない。この点について、例えば、議論の要点をまとめて発表するという国語の単元と関連付けて、効果的に取り組まれた例もある。
○ 安全に関する学習を既存カリキュラムとの関係で効果的に進めていくためには、カリキュラムを構築する力を持ち、指導方法に精通した能力の高い教員が必須。
○ 子供たちは、危険箇所では注意を払うが、それ以外は無防備になることがあるため、例えば、青信号でも危険な場合があるという知識を得た上で行動の訓練をする必要がある。
○ ルールさえ守っていれば安全なのではなく、ルールに従っていても事故に遭う可能性があることを学ぶ必要がある。中高生段階になれば、自分のリスクを管理し、リスクの少ない行動をとるリスクマネジメントの力を身に付けることが必要。さらに、仲間や地域の人たちのリスクも管理できる力を身につけていくことも必要。
○ 交通安全教育を進める上では、発達段階に応じた効果的な教育方法を開発し、それを関係者と共有することが重要。教育手法は、固定的に捉えるのではなく、様々なアプローチ方法を試しながら効果的な手法を見いだしていくべきであり、これが系統的、効率的なカリキュラムの構築につながり、時間確保の問題の解決にもつながるのではないか。
○ 例えば、園児は、保護者の影響が強く、大人の姿をまねる傾向にあるので、園児を対象とした教育であれば、保護者と一緒に適切な行動を学ぶ方法が効果的と考えられる。中高生などの青年期には、教え込まれていると感じさせないようにすることが必要。自分たちの行動が、他者にどのような影響を与えているのか、地域にどういう影響を与えているのか考えさせることが効果的ではないか。
○ 例えば、高校生に対しては、自分が被害者や加害者になるという危険性だけでなく、近隣の小学生や中学生の見本になれるような行動をすることが大事であるということを学ばせることが重要。
○ 幼稚園では、実際に外を出歩く機会が少ないので、交通安全教育は、登降園時の保護者頼りということになりがちである。一方、保護者の自転車やバスによる通園者も多く、自分の目や足で信号を確認して横断歩道を渡るという経験をしていない子供もいる上、交通ルールを守らない保護者もいる。子供は、小学校に入学した途端、歩いて登校しなくてならないし、自転車にも乗り始めるため、小学校につながるような交通安全指導を幼稚園で行っていかなければならない。

 【学校施設整備、避難所運営関係】
○ 子供たちの安全を図るためにも、避難している住民のためにも、施設が充実していくということは大事だが、学校はそもそも学校教育の場であるので、避難所機能を維持しつつ、教育機能も維持して着実な学校再開へ向けて取り組むことが重要。
○ 学校の再開は、地域が災害を乗り越えて復旧復興に歩み出す象徴的な一歩になり得る。避難所と併存する場合にはきちんと施設の利用ということを考えて、どこを避難所エリアにするか、どこを学校教育のエリアとするか、動線の交錯がないように配慮することも重要。
○ 民間企業や行政機関には、災害時の事業継続計画があるが、学校はそういう面で少し遅れているのではないか。学校教育を続けていくことが、結局子供たちの心のケアにも役立つという面もあるので、避難所運営の問題と同時に、学校の機能をちゃんと維持するということも検討することが必要。また、避難所運営については、教員の負担という問題も同時に議論が必要。
○ 避難所運営においては、学校と地域の様々な関係者との連携が極めて重要。学校が避難所となった場合には、総合的には、地域住民の中から避難所の責任者を立てた上で、教員や他の関係者の役割分担を明確にする必要がある。
○ 例年の防災訓練の中に、具体的な避難所運営の仕方などについても盛り込んで、訓練しておくことが必要。
○ 学校の中に避難所としての施設設備があっても、実際に活用できないと意味がないので、学校施設を避難所として使う際の学校施設利用計画の策定・見直しが必要。
○ 私立学校も耐震化を進めることが必要。
○ 給食センターの耐震化や学校内の家具の転倒防止対策も重要。また、校庭が地割れを起こす場合もあるため、脆弱な地盤への対応も必要。
○ 学校施設の設計に関しては様々な基準があるが、学校安全の確保という観点からの見直しも必要になるのではないか。
○ 耐震化の補助をはじめとして、防災面に関する私立大学への適切な補助についても検討する必要がある。
○ 学校施設は、教育の場であると同時に、いざというときには避難所という大切な施設にもなることを考えると、もっと工夫できる余地がある。建物の箱だけではなくて、その中身についても、教育委員会だけではなく、全ての部署を通して考えていくことが必要。

 【安全教育関係】
○ 学校安全に関する国の注意喚起などは、公立幼稚園だけでなく、私立幼稚園や保育所、認定こども園などの就学前児童のいるいろいろな施設に必ず伝わるようにする必要がある。
○ 安全教育は全ての教科につながっているため、教科ごとに考えるのではなく、統合して扱う視点が大切。安全に関するイベント的な取組を年に何回かやるということで済まさずに、全教科横断的に、日常的に考えて行動できるように取り組むようにしていくことが大切であり、そのためのカリキュラムを作っていくことが重要。

 【安全管理関係】
○ 地域連携を進める上では、その管理が大事な問題になってくる。連絡システムと個人情報保護の問題もあるし、スマホやタブレットを主に利用する時代になると災害時にその遮断が一番大変な問題になるので、通信キャリアとの連携ということも考えていく必要がある。
○ 学校安全は、安全教育を担っている人が安全管理も担っており、安全教育と安全管理を一緒に考えていかなければならない。このため、教育の新しい形を考えていかないと学校安全のカリキュラムはできないのではないか。


 

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初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)