資料4 学校安全部会(第2回)における委員からの主な御意見

【SNS関連】
〇 子供たちは、スマートフォンよりも、それ以外のゲーム機や音楽プレイヤーなどの機器を使ってインターネットに接続している場合が多いこともある。「スマホ問題」というより「ネット問題」としてとらえる必要がある。
○ 子供たちに幾ら危険であることを伝えても響かないことがある。こうした現状を認識した上で、子供たちの心にどう響かせていくかを考えていかねばならない。
○ 子供たちがネット上で違法・有害サイトを目にすることが増えると、何度も見るうちに感覚が麻ひしてしまう。悪ふざけでSNSにデマを流すことなど、加害者になってしまうことの意識が低くなる危険がある。
○ ネットについて子供たちの方が大人よりもよく知っている面もあるが、加害者になり逮捕される可能性があることなど、自分たちにとって不利益になることは知らない場合が多い。
○ ネットの問題はますます低年齢化している。子供たちを被害者にも、加害者にもしない努力が必要。
○ 高校生を対象としたSNS利用における迷惑行為の被害・加害経験の調査では、被害経験はSNS利用におけるリスク認知を高めることに役立っていないという傾向がある。経験だけで行動が変わるということは難しく、教育という取組が行われないと、なかなか安全なSNS利用にまでつながらない。
○ 犯罪被害について、子供たちは、自分は大丈夫だと思っていることもあるが、悪意をもってなされる行為については、注意をしても更に注意をするように、保護者も含めて啓発をしていくことが重要。
○ 子供たちは保護者の姿を見て自然に学んでいる。スマートフォンの使い方の問題を含め、乳幼児の保護者たちにそのことを伝えていくことが必要。
○ スマートフォンの問題を大人から子供に頭ごなしに教えてもうまくいかない。本来的には子供同士でルールづくりをするのが最も良いが、一足飛びにはいかないので、先輩から後輩に教えるようなシステムを採っていくことも良いのではないか。自分たちで調べて学ぶことに加えて、先輩に学ぶことも重要。
○ ネット上の問題について、危険性の指摘だけでなく、対策を考え実行できる体制づくりが必要。そのためにも、まず大人が状況を知ることが重要。ネット上の危険性に関し、子供たちが何を知っていて、何を知らないかということも理解した上で対策を講じていかなければならない。
○ SNSによるストーカー被害など、ネットの問題は日進月歩であるため、子供たちが被害者になってしまわないよう、早急な対応ができる体制づくりが必要。
○ 学校、警察、大学、企業といった産官学一体となった対策の推進が必要であるとともに、例えば、各教育委員会では、生徒指導担当、情報教育担当、人権教育担当など、いろいろな担当者がそれぞれで様々な方策をしているので、これらの連携体制の構築も重要。

【防犯関連】
○ 全体的に我が国における犯罪率は下がっているが、被害者の属性や状況によっては犯罪リスクが高いということも海外の事例ではあるので、犯罪弱者と言われている人々の問題については、しっかりと分析し、焦点を絞った対策が必要。
○ スマートフォン自体に防犯の機能はないにもかかわらず、保護者の多くが「スマホがあるから大丈夫」と思っていることは、防犯の観点から非常に危険。こうした問題を親子で考える機会を作ることが重要だが、本当に必要な保護者へのアプローチは非常に難しい。

【防災関連】
○ 防災教育については、国連の防災世界会議の中で仙台宣言としてまとめられた「防災教育は全ての防災対策の礎である。自然災害を乗り越える力は、過去の経験、先人の知恵を学び、家庭・学校・社会において協働で日頃から実践し育んでいく私たち一人一人の能力にかかっている。その力を組織的に高める試みが防災教育である。私たちは、防災教育を積極的に進め、自然災害から尊い命を一つでも多く救い、多くの人々と協力しながら厳しい状況を克服していかなければならない」という言葉の中に、非常に重要なエッセンスが入っている。
○ 防災に関して、世代を超えて経験や教訓をどのようにつなげていくかということが課題。例えば、寺社仏閣、絵図、石碑、お祭りなど地域に根ざしたものが災害の教訓として残っている。このような文化に根付いた様々な仕組みを学際的に研究していくことが重要。
○ 知識だけでなく、災害対応能力をきちんと身につけ、実際に行動できる子供に育てていかなくてはならない。そういう能力を身につけるためには、地域をしっかり学ぶという活動も必要であり、安全教育の時間を確保していくことが必要。カリキュラム・マネジメントにより、教科を横断した取組を進めていくことが重要。
○ リスクを考える際には、現在の技術的な限界から生じる「認識論的不確定性」と、あらゆる現象には予測できない範囲で必ずばらつきがあるという「偶然的なばらつき」という2つの不確定性を認識することが重要。これを踏まえ、リアルタイムで情報収集をし、判断をし、かつ行動をとらなければいけない。
○ 自然災害に関するリスクの対応方法ということでは、防護、順応、撤回の3つの考え方がある。防護とは、予測がある程度可能であれば、事前にその規模、また内容を評価し、これを低減することができるという考え方。順応とは、予防できないリスクが存在するということを認識・許容して、被害の拡大防止や二次被害の抑止等を行い、トータルでの被害を小さくさせるという考え方。撤回とは、予測されるリスクが余りにも大きい場合は、その場所での活動を諦めるという判断も重要であるという考え方。これらは、学校安全を進める上でも参考になる。
○ 「実践的防災学」の一つとして防災手帳を作成したが、その際、1.災害は今後も発生するということを前提に、共存して「生きる力」を高めること、2.市民又は生徒一人一人の知識だけではなくて、災害対応能力を底上げすること、3.論文やレポートではなく「実践的防災学」を1つの形にすること、4.単なるマニュアルでなく自分で記入し初めて完成するものであること、5.震災発生から数年後までを見通した時間軸でまとめること、などを重視した。
○ 防災手帳については、配布するだけではなく、地域住民などに説明をする機会を提供するとともに、教職課程の学生にも同様の内容を事前に教えておくということも必要。

【安全教育・安全管理】
○ 効果的な対策や教育手法が一つの学校や地域にとどまることのないよう、いかに普及していくかということについても考えていかなければならない。残念ながら、これまで様々な取組が、風化したり、マンネリ化したりして、廃れていったということがある。
○ 対策の普及という観点からは、既に現場で取り組まなければならないとされていることに対して、それを効率的に実施できる手法を提供するという「クルージ・アプローチ」が有効。
○ 研究成果に基づき学校現場の取組を促す際、一般的には、研究で得られた「知見」を「参考にしてください」という形で現場に提供するという発想になりがちだが、教員は多忙であるので、そういうやり方だけでは定着しない。現場ですぐ役に立つ、すぐ使えるようなコンテンツを提案するという、いわゆる「コンテンツ駆動型」というアプローチが実装に向けた最初のきっかけとして有効。
○ 研究機関などが、既に現場で進められている取組に対して、すぐに使えるコンテンツを提供すること、また、学校や警察に対する研修活動などで人材育成を図ること、これらを車の両輪として続けていくことによって、関係者が有機的に連携した、合理的で科学的な対策の推進につなげることができる。
○ 安全マップ作りは、高校生が近隣の小学生と一緒に活動をしたり、家庭や地域の方と協力したりしながら活動していくことで、地域のことを知ることにも効果的につながっていく。
○ 安全マップ作りにおいて、地元の方にインタビューをしながらフィールドワークをすることは、地域を好きになる、あるいは地域の方々とのきずなを深める、そういうポジティブ形になる1つのアイデア。そのプラスの面を子供たちも体感しながら、その中で、でもこれはちょっと危ないというところがセットで学べる取組を目指すことが重要。
○ 地域をしっかりと歩きながら、地域のことをたくさん知ることが大切。自分たちの住む町には、いろいろないいところもあるが危ないところもあり、過去どのように取り組んできて、どのような先人の知恵があるかなどを学ぶことが重要。子供たちは町を作っていく人材であり、未来を創る人材という意味で、過去から学ぶための活動が必要。
○ 地域の防犯マップや防災マップを作るときに、その地域を子供たちが嫌いになってしまわないように工夫することも重要。例えば、危険な場所に加えて、その地域の良いところや地域の安全を作ってくれるような場所を子供たちで探したりして、地図上に載せられると良い。
○ 安全教育が子供たちに対して「脅し教育」になったり、地域や大人に対する不信感の形成につながったりしてしまわないようにすることが課題。例えば、学校安全委員会のような制度を充実させ、親、教員、警察、地域住民といった様々な大人が子供たちの安全形成に関わっている姿を見せるような工夫が必要。
○ 学校において学校安全計画を作成することになっているが、地域や保護者に展開されていない部分も多く、また、通学路の点検についても、教員が中心的に行い、保護者はたまに一緒にするというような状況になっているところもある。安全の問題については、社会全体で取り組んでいくことが重要。
○ 幼児教育の段階から、思考力、判断力を育てておかなくてはならない。みんながやっているから自分もやってしまおうではなくて、一歩立ち止まれる子になれるような取組を進めていくことが重要。
○ ここ最近、いろいろなことが起こった後に対策が打たれているという状況が増えている。事後対応という部分が増えているが、事前に予測されるところで早く手を打っておかなければいけない部分がたくさんある。
○ 地域や学校の現場で安全に関する実践的な取組を行っている研究者を評価していかねばならない。

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初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)