学校安全部会(第8期~)(第1回) 議事録

1.日時

平成28年6月13日(月曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館3F2特別会議室 【東京都千代田区霞が関3-2-2】

3.議題

  1. 部会長の選任等
  2. 学校安全部会の運営等について
  3. 自由討議
  4. その他

4.議事録

○ 和田健康教育・食育課長から、配付資料の説明及び委員の紹介があった。
○ 委員の互選により小原委員が、本部会の部会長に選任された。
○ 小原部会長から、渡邉委員が副部会長に指名された。
○ 本部会の運営規則について、原案のとおり了承された。

 【小原部会長】 本日は報道関係者より、会議の撮影及び会議内容の録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可いたします。
それでは、次の議題に移ります。

本年4月18日に、馳文部科学大臣より中央教育審議会に対して、「第2次学校安全の推進に関する計画の策定について」諮問がなされました。この安全に関することは、本部会で所掌しますので、この具体的な検討を行うことが求められています。

まず始めに、事務局より諮問の趣旨、これまでの取組などについて、説明をお願いいたします。

【中村健康教育・食育課課長補佐】 資料4を御覧ください。

「第2次学校安全の推進に関する計画の策定について」という資料でございますけれども、学校安全の推進に関する計画というものに関しましては、学校保健安全法の第三条で、「国は、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、学校安全の推進に関する計画の策定その他所要の措置を講ずるものとする」という規定に基づいて定められているものでございます。

現行の計画に関しましては、平成24年4月27日に閣議決定がなされまして、対象とする計画年度が平成24年度から28年度までの5か年ということになってございます。正に本年度、計画の最終年度を迎えるということでございますので、来年度以降の次期計画の策定に向けた検討が必要になってくるという状況でございます。

こうしたことを踏まえまして、本年の4月18日の第106回中央教育審議会総会におきまして、馳大臣より「第2次学校安全の推進に関する計画の策定について」ということの諮問がなされました。諮問の内容全体につきましては、2ページ以降に書いてございますけれども、少々長くなりますので、諮問のポイントというところで概略を御説明申し上げたいと思っております。

大きく諮問の内容につきましては、3つに構成されておりまして、1つ目が「現行計画期間中の取組状況の検証及び社会の変化に基づく改善策について」ということでございまして、トピック的に申し上げますと、震災の記憶の風化への対応、これは東日本大震災ということでございますけれども、記憶の風化への対応、また、防犯・交通安全についての一層の充実方策、また、学校、家庭、地域、関係機関・団体との連携の在り方、更に5年前の計画策定時には想定されていなかったような新たな課題ということで、スマートフォン、SNS、また、新たな危機事象というふうに書いてございますけれども、具体的に言いますと、最近、学校に対する爆破予告でありますとか、テロの危険性とか、そういったものも一部において指摘されているところでございますので、こういったところを踏まえての検討を含めてあげられております。

2つ目、左の緑の枠で囲っているところでございますけれども、「学習指導要領の改訂を受けた安全教育推進のための、教科等横断的な視点を踏まえたカリキュラム・マネジメントの具体的方策等について」ということでございまして、御案内のように現在、中教審の教育課程部会において、学習指導要領の検討が行われておりますけれども、その後、示されてくる内容を踏まえまして、それを学校現場の方において具体的に実行していく中で、教材、参考資料の開発・作成であったりとか、関係機関との連携をした教育の推進、また、各学校における教育効果の検証・改善の在り方というところについて、検討が必要になってくるのではないかということでございます。

3つ目、オレンジの枠で囲っておるところでございますけれども、「安全教育、安全管理を適切に行うために必要な組織体制の在り方と教員が身に付けるべき資質・能力について」ということでございまして、それが実際に学校において安全な教育を行って、また管理を行う上では、やはり教員個人の資質というものが基本になってくるんであろうということでございますから、教員養成段階において備えるべき知識・技能だとか、また、教員になった後もキャリアステージに合わせて必要な研修の在り方、また、適切に校内で教育管理といった活動を行っていく上で必要になってくる校内体制の在り方、こういった大きく3つの構造に分けて、諮問がなされているところでございます。

2つ目の指導要領の改訂に関してということでございますけれども、今の教育課程部会における議論の状況を、参考のために少し御紹介したいと思います。

参考資料3といたしまして、中央教育審議会の教育課程部会総則・評価特別部会において配付されております資料を抜粋してお配りしておるものでございます。この中で「健康、安全等に関わる育成すべき資質・能力等について」という資料でございます。

2ページ目に、学習指導要領改訂に係る全体的なスケジュールについて、記載しております。御案内の先生方もいらっしゃると思いますけれども、改めて申し上げますと、平成26年11月に中央教育審議会の総会において「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」というものが諮問されまして、その後、教育課程部会の方で御議論いただいた後、平成27年8月に「論点整理」というものが取りまとめられているということでございます。

この「論点整理」を踏まえまして、各教科別・学校種別にワーキングを設けて、今、専門的に検討がなされているという段階でございます。このワーキングの議論に伴いまして、今年度中に中央教育審議会として答申をなされまして、最後の行に書いておりますけれども、小学校においては平成32年度から、中学校は33年度から、高校は34年度から年次進行により実施というスケジュールになってございます。

この中で、正に安全教育に関するものでございますけれども、3ページに検討体制の表が書いてございますけれども、赤枠で囲っていますような「体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ」というものがございまして、この中で今、安全に関することを集中的に議論をされているという状況でございます。

参考資料3の10ページを御覧いただけますでしょうか。

こちらが今、安全のワーキングの方においてお示しされている「初等中等教育段階における安全(教育)に関する資質・能力の育成に向けて」ということで、次期改訂に向けた検討の方向性として示されておる資料でございます。

全体右の中、青い網かけのところがございますけれども、この中で「次期改訂に向けた検討の方向性」ということで、安全教育に関わる資質・能力を発達段階、各教科等の特性に応じて育んでいくということ、また、アクティブ・ラーニングの視点から授業改善の中で、資質を主体的な行動に結びつけるということ、また教育課程総体として育成すべき資質・能力が育まれるように、教科等横断的なカリキュラム・マネジメントを実現する必要がある、こういったことが挙げられております。

さらに、ダイヤの形で書かれている、上から3つ目までを説明いたしまして、次にこの4つ目のところでございますけれども、生活安全・交通安全に関する事件・事故等に対応した、安全確保のための基礎となる各教科等の知識・技能、主体的に行動する態度等を育むことにより、安全で安心な社会づくりの意義が理解され、生涯にわたって安全で安心な生活を送るための実践力につながるよう、保健体育科を中心とした各教科等の内容を検討していくということ、さらに、最後のダイヤの形の部分ですけれども、東日本大震災をはじめとした様々な自然災害のリスクに対応した知識・技能等を育むことにより、安全で安心な社会づくりに貢献できる実践力につながるよう、社会科及び特別活動を中心とした関係教科等の内容を検討、また家庭・地域との連携の在り方についても検討、こういった方向性で今、御議論がされているということでございます。

11ページ目でございますけれども、少し細かくなっていて恐縮なんですけれども、今の大事な方向性を踏まえまして、各学校と各教科・科目で、こういうふうに充実させていくべきポイントについて並べたものでございます。それぞれの項目について今、充実に向けたポイントが書かれているということでございます。

さらに、それを図的にお示ししますと、次の12ページのところでございますけれども、特別活動、社会科、理科、体育科、又は総合的な学習の時間、こういったものを活用しまして、それぞれで学ぶべきものと、全体として安全教育として身に付けていくべきものということを、正にこのカリキュラム・マネジメントという形で実現していく、こういった方向性が今、示されているという状況でございます。

指導要領の今の議論については、以上でございます。

続きまして、長くなって申し訳ございませんが、現行の計画に基づきました各施策の取組状況について、簡単に御説明を申し上げたいと思います。資料の5-1を御覧ください。

資料の5-1でございますけれども、学校安全の推進に関する計画の概要、これは現行の計画でございますけれども、これの概要について、1枚紙で示してございます。先生方は御案内のところも多いかと思いますけれども、「3.概念図」ということでございまして、学校における安全教育、安全管理、これが主な2本立てになっておりまして、更により実証的な学校安全施策の推進ということで、セーフティプロモーションの考えに基づいた施策展開、実証的で科学的な学校安全の取組推進というところが相まって、総合的かつ効果的な学校安全に係る取組を推進していこう、こういった全体の構造になっております。

さらに、「4.学校安全を推進するための方策」ということでございまして、更に細かく方向を4つに分解しまして、教育の充実方策や、整備の充実方策、また、学校安全に関する組織的取組の推進、更に地域社会、家庭との連携と、それぞれの項目によって、取り組むべき事項というものをお示ししているという状況になってございます。

資料の5-2に移っていただけますでしょうか。

「学校安全の推進に関する計画の取組状況について」という資料でございますけれども、こちらの中で、先ほど申し上げた現行の計画における、それぞれの項目について、どういった施策が取り組まれてきているかというのを、一覧的に示しておるところでございます。

冒頭の部分、「現行計画において示された学校安全の方向性」というのは、これは現行の計画に書かれているものでございまして、少し概略化しておりますけれども、計画期間中において、学校における負傷を減少傾向にするだとか、死亡事例についてはゼロとなるよう最大限の努力を払う、また、3つ目の丸の中では、学校保健安全法において学校が策定することとされている「学校安全計画」を徹底していくといったようなことが、方向性が示されています。

こういったものに基づきまして、1ページ目の下のあたりから、「現行計画上の参考指標」というものが計画策定時に掲げられておりました。これは法令上の義務となっている学校安全計画の策定だとか、危険等発生時対処要領の作成ですとか、また学校安全点検の実施、こういったものが策定当時は90数%、92.何%というぐらいのものであったものが、現状といたしまして、最新25年度の取組状況ですけれども、少し上がっている、ただ、100%にはなっていない状況でございますけれども、少しこういった指標の改善が見られるといったような状況がございます。

さらに、2ページ目以降も、同じように掲げられておりました参考指標というものの現状の数値をできるだけ新しいものでございますけれども、まとめております。

「具体的施策について」ということで、当時「現行計画で示されていた取組例」というものがございましたけれども、それらについて文部科学省といたしまして、どういった取組を行ってきたのかということで並べております。ちょっと細かいので、逐一説明は控えさせていただきますけれども、主に文部科学省におけるモデル事業ですとか、参考資料の作成、また、教育委員会に対する周知、注意喚起といった、そういったものを中心に取り組んできておるという状況でございます。

最後になりますけれども、資料5-3を御覧いただけますでしょうか。

今、説明いたしました取組状況を踏まえまして、ただ、我々の方でも少しこういったところに課題があるんじゃないかということで、今後の議論の論点になるかという思いで作成した資料でございます。並べているのは、諮問のポイント、主に3つの構造に従って、並べております。

1つ目、「生活安全、交通安全、災害安全に関する充実方策や家庭、地域との連携の在り方等」ということでございますけれども、まず、学校安全計画や危機管理マニュアル、安全点検といったものは、法律上の義務というふうになっておりますけれども、これは一部において策定できないところがあるという状況から、策定はしているものの、それの検証ですとか、更にその内容について、具体的にどういったものを推進すべきかというのは、まだなかなか文部科学省としても出せていないというところがございますので、そういったところの明確化というのも1つあるんじゃないかと思います。

さらに、通学路の交通安全の関係ですと、教育委員会・警察・道路管理者等の関係機関からなる推進体制の構築、具体的に言いますと、合同点検をしたりとか、それに伴う体制の実施を行っていくという意味の推進体制ですけれども、こういったものの構築を進めていって、更なる対策の改善・充実、PDCAサイクルの確立ということを進めていくのが必要なんじゃないかと。

また、防災の関係ですと、実践的な避難訓練の実施とか、緊急地震速報受信システムを活用した避難訓練、さらに、予期しない災害とか犯罪に対応するための様々な領域において、関係機関とか地域住民の方々と連携を進めていくというものが、より取り組んでいくべき課題じゃないかと。

さらに、学校施設の耐震化、かなり数値としては進んでいますけれども、これの完了を目指すとともに、非構造部材の安全対策を含めた老朽化対策、更に震災時に避難所となる学校施設の機能強化ということで、防災機能の強化といった、こういった視点も必要なんじゃないかということでございます。

次に、学習指導要領の改訂を受けた安全教育推進に関する点でございますけれども、これは先ほどポイントのところで説明したこととほとんど同じようなことでございますけれども、教材・参考資料の開発・作成、また、優れた実践事例の普及についての検討が必要であるとか、また関係機関と連携をして、今より専門的、実践的な教育を進めていく必要があるんじゃないか、また、各学校においてもカリキュラム・マネジメントを行う上での教育効果の検証・改善の在り方についても、検討が必要なんじゃないかということでございます。

さらに、教員養成とか、また学校、校内の体制の在り方ということで、こうした上記の様々な課題に対応するための資質・能力を教員が身に付けられるようにするため、その養成・研修の在り方というものの検討が深められるべきじゃないかということ、さらに、適切な安全管理と安全教育に関するカリキュラム・マネジメントを行う上で、必要な校内体制の在り方といったものの検討がこれから課題になっていくのではないかということで、まだ余り構造化されていない状況ではございますけれども、少し我々の事務局の方で考えていくものの材料として提示させていただいてございます。

最後に、今後のスケジュールについて、「今後の日程(案)」ということで、資料6というペーパーをお配りしております。

まず、全体として今年度中の閣議決定を目指すということでございますので、平成29年2月頃までに中教審全体の答申を頂くということを考えますと、第1回から合計第8回ぐらいの月1回ペースで議論していただくということになります。

事前にお伺いした先生方の日程を踏まえまして、第5回までは、便宜的にこういう形で置かせていただきますので、事前に御承知おきをいただければと思います。

以上でございます。

【小原部会長】 ありがとうございました。

【中村健康教育・食育課課長補佐】 局長が参りました。

【小原部会長】 御挨拶をお願いします。

【小松初等中等教育局長】 遅参をいたしまして、誠に申し訳ございませんでした。

皆様方には日頃から学校安全の普及について、大変御尽力いただいておりますことに対する御礼と、それとお忙しい中、委員をお引き受けいただき、また、本日お出ましのことにつきまして、御礼申し上げます。

また、小原先生、渡邉先生、お取りまとめ等につきまして御尽力のほど、どうぞよろしくお願いします。

それで、資料の説明も終わっておりますし、時間がもったいないと思いますので、1つだけにさせていただきますが、資料の流れで大体お分かりかと思うのでございますが、今回の趣旨でございますけれども、1つは学校安全そのものが安全に対する知識、技能や教育の部分と、それから学校生活自身が安全に送られなければならないという2つの要素、しかも、その中でこれは培われているという点が非常に重要で、これを計画的にどうするかということが、元々根本的に重要で、今の時点での、知見に基づいてしっかり設計を立てていかなければいけない、このお知恵をお借りしたいというのが1点でございます。

それからもう1つは、ここ数年と言いますか、何年かを見ておりましても、様々な事件が起きていて、社会面でもこれに反映しております。学校への不審者の侵入、あるいはそれによって非常に悲しい事件が起きるとか、それから東日本大震災、今回の熊本もそうでございますが、様々な自然災害も起きてきております。それから、登下校中の児童生徒が巻き込まれるというものがございます。これは交通事故であったり、大変残念なことに、もっと人為的なものであったりということで、こちらの方も見逃しにできない点でございます。

こうしたことが、これまでの間に積み重なっている社会変化や環境変化も踏まえながら、どういうふうにしていくのが一番いいかということを、我々は考えなければいけないということで、具体的な対応が2つ目でございます。

そこで、これらにつきましては、平成24年に学校安全の総合的な推進のための計画を作って、5年計画として進めておるわけでございますけれども、今年が最終年ということで今、資料の説明でもありましたように、次年度に向けて次の5年計画を作ろうとしているわけですが、今のような観点から整理しております。諮問の趣旨も今も御説明した後でございますので省かせていただきますが、数点ありまして、これの取組なども行っている成果と足りない点、そういったものを踏まえて、次どうしたらいいかということを計画に盛り込みたいと思いますけれども、まずは今後の5年間を見据えた学校安全推進のあるべき姿について、自由・闊達(かったつ)に御議論いただければ、大変在り難く存じます。

この御審議いただく内容でございますけれども、これを第2次の計画の策定に反映させていきたいと思っておりますが、それはスケジュール上、今年度中にやらなければいけないということで、例えば今後の見通しについて説明がありましたように、大変お忙しいところ申し訳ございませんが、月1回ぐらいのペースでは進めていかなければいけない、併せまして、個別にも御意見も途中でお伺いするとか、お手を煩わせたり、お時間を頂戴したりすることも出てくるんじゃないかと思っておりますので、大変恐縮ではございますけれども、教科等横断的に学校全体として取り組まなければいけない根本でございますので、どうぞ御理解を賜りまして、よろしく御協力、御指導をくださるようにお願いをいたします。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

【小原部会長】 ありがとうございました。

それでは、ただいま事務局の方から説明がありましたことに関して、御質問等がございましたらお願いいたします。

なお、発言の際は、机上の名札を立てていただきたいと思います。

 

質問がないようなので、次にいきたいと思います。

なお、本日は第1回の部会でもありますので、自由討議の時間を使いまして、全員から一言ずつお言葉を頂きたいと思います。

最初に自己紹介を兼ねて、何かございましたら、それぞれの立場から御発言をお願いしたいと思います。

それでは、五十嵐委員からお願いいたします。

【五十嵐委員】 日野市立平山小学校の校長をしております五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本校では、東日本大震災が起こったことをきっかけに、教員と話し合いまして、子供の命を守ることを中心に据えた教育を考え直しました。平成25年度から文部科学省の研究開発学校として、今年度が最終年度なんですけれども、防災教育を基盤とした「生きぬく科」という教科を開発・実践しているところです。

「生きぬく科」は教科等横断的な教科です。今まで安全教育に関しては教科がなく、特活であったり、ある教科の一部でやったりしていましたので、単発的でイベント的なものになりがちでした。そうではなくて、ちゃんと子供たちに力をつけるようなシステムに変える必要があります。系統的にきちんと指導の時間を確保すべきです。このような考えから、カリキュラムを開発しました。

委員の先生方に、パンフレットの概要を配らせていただきました。御覧のように、「生きぬく科」は、全ての教科が関わっています。カリキュラムの中心に配置したことで、「生きぬく科」を中心に全ての教科がつながっていくなと実感しているところです。

「生きぬく科」のゴールは、これからのまちや国をつくっていく未来の担い手である子供たちを育てることです。他者と協働しながら、困難を乗り越えて未来を切り開いていく実践力を付けることです。そのために必要な基本的な知識や技能、そして必要となる能力、それを身に付けるための学習活動を、今整理をしているところです。学習内容のカリキュラムの再考と、学習方法、つまり学び方の変革に挑戦しているところです。

4月に熊本地震が起こってから、熊本の小学校からも学ばせていただく機会を持ちました。避難所となった学校の様子、避難生活を送った子供たちの様子等をお聞きしながら、災害が起こった後の学習内容の充実も図れるように、カリキュラムを修正しているところです。

是非、この先の学習指導要領で、安全を学ぶ独立した核となる教科が作られるように働きかけたいと思います。本部会で、きちんと議論を深められたらいいなと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 遠藤委員、お願いします。

【遠藤委員】 宮城県教育庁スポーツ健康課の遠藤と申します。

宮城県の方では、東日本大震災以降、平成24年度から公立学校全ての公立学校に、防災主任ということで担当を位置づけまして、各学校の防災教育の計画作成、また地域連携に係る主担当として、現在も継続してやってございます。

また、防災担当主幹教諭というふうなことで、各防災主任を地域で取りまとめる担当の主幹教諭を、県内80名配置をしてございまして、昨年度まで進めてきておりました。今後、防災だけでなく、また、昨今の学校安全に係る様々な課題等も踏まえまして、今年度から防災担当主幹教諭という立場を安全担当主幹教諭ということで、防災から交通安全、生活安全の学校3領域プラスいじめ、不登校も含めた地域の指導、助言役と言いますか、そういう人材として今年度から動き始めたところでございます。

いろいろ子供たちの身の周りの安全については、本当に地域と連携をしていかねばならない部分がありまして、この防災の部分で培った地域連携というふうな部分も、交通安全であったり、また防犯であったりといったところに生かしていけたらなというふうに考えておりまして、現在、試行錯誤でありますが、進めているところでございます。

また、子供たちの防災教材につきましては、昨年度で小学校、中学校、高校、それから幼稚園、全てにおきまして、防災教育の副読本を作成いたしました。全ての学校に配付して、今年度から使っていただいているわけなんですけれども、理科でありますとか、体育でありますとか、社会でありますとか、教科の中の防災に関する項目に位置づけて活用をしているところでございます。

そういったところで、今回の会議におきましても、宮城県の取組も御紹介させていただきながら、やっていきたいというふうに思っております。

よろしくお願いいたします。

【小原部会長】 桶田委員、お願いいたします。

【桶田委員】 文京区立第一幼稚園の園長をしております桶田と申します。幼児教育の現場から出させていただきましたこと、とても在り難く思っております。

日頃から安全教育に関して思っていることが3つあります。1つは、幼児にとっては本当に日々・毎時間が安全教育、安全指導ですので、そこで子供たちにどのように力を付けていくかということを考えております。それを思うとき、やはり教員が子供たちを守れるだけの力、資質が必要です。子供たちに幾ら、自分で生きようとする力を育てても守り切れないということで、教員の資質向上ということをとても思っております。

2つ目ですが、幼小接続・連携、アプローチカリキュラム・スタートカリキュラムという言葉は随分前から頻繁に出ていますが、安全に関しては何をどうつなげたらいいんだろうと話がなかなか出てきません。先ほど技能・知識というようなお話もありましたが、それでは安全教育の分野で、幼稚園は何を育てて小学校に上げていったらいいのかということが、少しでも分かったら在り難いと思っています。

3つ目です。幼児教育は幼稚園、保育園、こども園もありますし、私立、公立もあります。いろいろな就学前施設があるので、なかなか文部科学省が通達を出しても伝わっていかないのではないかと思うことが多々あります。どうすると幼児教育全体に、いろいろ検討したいことが広がっていくのかということも考えていけたらと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 尾上委員、お願いします。

【尾上委員】 公益社団法人日本PTA全国協議会前会長、尾上と申します。どうぞよろしくお願いします。

前回も学校安全部会に出させていただきまして、いろいろ勉強して、また、我々の立場としてしっかり伝えていくことが必要と思っております。

まず、避難の点で1つ申し上げますと、資料5-2にありますように、学校安全計画の策定及び実施が100%なされていないというのは、大変危惧するところであります。法令上の義務で私学も含めてということでしょうが、子供たちがどこへ行っても、同じようなスタンスでやれる形、また、その地域の保護者もそれを認識する形をしっかり実現していただきたいということとともに、学校、地域だけではなく、私たちも含め、旅行や仕事で移動することがあります。そういったときに、例えば震災に遭ったときにはどう対応すべきかということは、その地域でしか分からない部分もありますし、その地域が伝えるということも今、この計画がしっかり浸透している形ではあると思いますので、そういった面での指導をよろしくお願いしたいということがあります。

また、自転車教育、自転車安全に関しましては、神戸で小学生が坂を下りてきているところに、お年寄りの方と衝突し、9,500万円もの損害賠償事例があります。兵庫県では自転車安全条例ということで、自転車保険の義務化、いわば強制加入という形で取組を強化していますが、ついこの間、川西市で高校生がスマホを操作しながら自転車を運転し、スロープを降りていったところにお年寄りと衝突して、また意識不明の重体というような事例が出てきております。

私たち保護者はじめ、安全という意識をもっともっと広げていかないと、いろいろな措置を講じたとしても、やはり教育が一番大事というふうには感じております。

公益社団法人日本PTA全国協議会ではそういったことも含めて、保護者にどうやって伝えていくべきかということが大事だと思い、マニュアル本等を作成して、学校教育の中で、いわば教えられない部分や、もっともっと私たちが伝えていかなければいけない部分を、まとめて発信していこうというような計画も立てておりますので、広がりというところは学校からではなく、いろいろな形で伝えることができると思いますので、そういったところはしっかり伝えていきたいなと思います。

また、お話の中でもありましたように、学校への不審者に対しては、兵庫県は池田小の事件が身近にありましたので、その後いろいろな措置や対策を講じておりますが、なかなか人だけではカバーし切れないところがありますので、しっかりした防犯体制と言いますか、安全体制の作り方を地域で構築していくべきだと思いますので、そこも含めて、次の計画にしっかり反映されるように議論していくべきだと思います。

以上です。

【小原部会長】 ありがとうございました。
それでは、佐々木委員、お願いします。

【佐々木委員】 佐々木でございます。

2点、私の方からお話をさせていただきます。私は家庭科教育が専門なのですが、阪神・淡路大震災を機に、防災の視点を取り入れた家庭科教育の在り方という研究をしてまいりました。阪神・淡路大震災では、20歳以下の子供たちが大体500人と言われていますが、自分の家で、また自分の部屋で、ベッドや布団の上で亡くなったということは、これは本当にかけがえのない命を失った、大変残念なことでした。

当時、家庭科という教科には防災という視点が足りなかったものですから、それを研究してまいりました。今、参考資料を見せていただいて、その中に、生活科とか理科とか社会科はあるのですが、家庭科という教科名がなくて残念でした。まさしく家庭科は衣食住の内容に、防災の視点を取り入れて、自助という、自分の命を守るということを十分に学習できる教科でございます。さらに、家族や地域との関連も含めて、共助という防災の視点を取り入れた内容も濃く扱うことができるようになっております。その中に是非家庭科という教科も、入れていただけたら在り難いと考えております。

もう1点は、私の大学では平成18年度から26年度まで「子ども・地域と防災・防犯教育」という授業を、教員養成で行ってまいりました。私の大学は5キャンパスあるのですが、18年からは教員養成の3キャンパスで、つまり釧路、旭川、札幌というちょっと地の利や地域の状況が異なったキャンパスにおいて、社会科教育、理科教育、地理学、土木工学、社会学、家庭科教育の教員たちが連携をしまして、災害や防災と教育に関する知識の部と、各地域の実態を体験するというフィールドワークの部の授業を前期で行ってまいりました。

3キャンパスありますので、体験の授業のところでは、各地域の状況に合わせて、例えば釧路では津波を想定して街をみんなでフィールドワークをする。そしてどういう視点を持って、私たちは教師として教育をしていくべきなんだろうかと話し合います。また旭川は川が多いのですが、余り防災意識が高くありません。学生たちには、あなたたちはどこに採用されていくか分からない、そんな中でどんな地域においても、教員として子供たちに防災教育ができなければならないということを話し、一緒に街を歩いて、防災教育をやってまいりました。

今は改組になりまして2年間中断しているのですが、また来年度からこの授業を復活させてまいりたいと考えております。それは、この授業が一定の効果があったのではないかと考えているからです。私たちの大学では教科連携型の防災の授業を実践したという、事例をお話させていただきました。

以上です。

【小原部会長】 ありがとうございました。

次、清水委員、お願いいたします。

【清水委員】 委員名簿を見ますと、私立中高あたりを考えますと、小原先生と私の2名ということになっておりますので、少し緊張をしております。

私の方から3点ばかりお話をさせていただこうというふうに思いますが、私立学校ですので、公立の学校さんに比べればですけれども、いわゆる地域性が少し薄うございます。もちろん、地域性がないということはあり得ない話ではございますけれども、かなり広範囲から学校に通ってまいります。

例えば私は世田谷区にある女子高で、鷗友学園というところに勤めておりますけれども、中1から高3までの通学平均時間は1時間ちょっとでございますので、そのぐらいのところから電車に乗って通ってくる子が多いということになります。

そうなりますと、かなり私立学校同士の連携というのが必要になります。日常的には私立学校の代表が集まった中央防災委員会というのを立ち上げておりまして、情報の共有化とネットワークの構築をやっております。

また、非常時の、災害時と言うんでしょうか、そういうときにもうまくネットワークがつながるようにということで、登下校時に震災があって、多分、交通機関は麻痺(まひ)し、例えば電話は非常につながりづらく、メールもなかなかつながらない、そういう場合でも近くの私立学校に入りますと、その私立学校から自分の在籍する学校に、この子を預かっていますというメールが届くような、そういうシステムを構築しました。

これは東京の学校だけがやればいいという問題ではないので、1都3県の協会の方々にもこのお話をさせていただきまして、是非一緒にやりましょうということで、お声かけをいたしましたら、それぞれいろんな諸事情があるんでしょうが、今のところは東京と神奈川県が、私立小学校も含めたネットワークができております。国立さんにもお声かけをしましたが、なかなかいろいろな、私にはよくわからない事情があるようでして、残念ながらできておりません。大阪の方でこのネットワークを何度か聞きに来ていらっしゃったので、もしかしたら今検討中なのかもしれません。

いずれにしろ、子供たちがどこにいても安全を確保するために、私たちとして何をしたらよいかということはすごく大事な、当然のことですけれども大事なことですので、教員としてやれるべきことをもっと考えていきたいというふうに思っております。

それから、その次が、当たり前のことですけれども、どちらかと言うと性善説が前提で学校教育が行われている中で、今の時代この危機管理という裾野を、どうやって子供たちに投げ込んでいくのかというのは、大変難しい。

小学生の場合、特にもっと難しいんじゃないかなと思って、みんなで仲良くしなさい、協働して学びなさいとか言いながら、あの人には声をかけちゃ駄目よとか、ついて行っちゃ駄目よというふうに、一方では言わなきゃいけない、そういうことが小学校でも中学校でもあって、ちゃんと登下校でも、人に会ったら挨拶しなさいというふうに指導しながらも、声をかけたら向こうからまた声がかかってきて、ついて行っちゃいけないよということも言わなきゃいけない、当たり前のことなんですけれども、そういうのを思想的にどうやって位置づけていくのか、この辺が少しテーマになっているなというふうに思っています。

そういう点で見ると、先ほどから何人かの先生方から御発言が出ましたけれども、教員養成の段階から学校安全に関する課題と言いましょうか、それをテーマにした講座を作るべきだという、そういう方向で検討は進められているというふうに伺っておりますので、これはもう、是非やってもらいたいなと。様々な面から研究をした上で、ある程度の知識も技術もつけて教員になっていただけると、私どもとしても新人研修の中で、それを前提に次のステージに上がれますので、それは是非やってもらいたいなというふうに思っております。

もう1つは、地震関係のことなんですけれども、耐震工事の進捗状況です。もちろん非構造部材も含めての話でございますけれども、情報を見ておりますと、公立の方はかなり進捗状況いい状況でございますけれども、残念ながら私立学校の方はまだまだでございます。公立の方はほとんど税金で賄われますけれども、私立学校の方はそうはいきませんので、自分たちの自腹のお金と補助金等を利用して直していく形になります。

ただ、生徒は、私立に通っている生徒と公立に通っている生徒の命の差は全くありませんので、その辺を子供たちにどう説明するかという問題も実は出ております。いずれにしろ、できるだけ何らかの形で大人の知恵を絞って、全ての子が安全に学校生活を送れるというふうに持っていきたいなというふうに思っているところでございます。

皆様方からの知見を頂きながら、少しでも何かお役に立てるようなことができればと思っております。
どうぞよろしくお願いします。

【小原部会長】 太古委員、お願いいたします。

【太古委員】 兵庫県立舞子高等学校の太古です。よろしくお願いいたします。

兵庫県は平成7年の阪神・淡路大震災の後に、「兵庫の防災教育」を発達段階に応じて進めてきました。その中にあって専門的に防災を学ぶ学科として県立舞子高等学校に、平成14年に「環境防災科」を設置し、本年度入学生が15期生です。

また、県教育委員会は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた「明日に生きる」という副教材を作成し(平成24年改訂)、教科、道徳、特別活動など学校教育において全般的に活用し、防災教育、安全教育を行ってきました。また、それぞれの学校でも、独自の教材を使っている学校もあります。

阪神・淡路大震災から21年が過ぎ、兵庫県内の子供たちは全員が阪神・淡路大震災の後に生まれた子供たちですが、阪神・淡路大震災を語り継いでいくことは、兵庫県の子供たちの使命であると思っています。また、東日本大震災や4月の熊本地震など、子供たちもいろいろな震災を見聞きする中で、身近に災害を感じ、今までの防災教育を生かして今後に取り組んでいくことが大事であると思っています。私も、「ボランティア元年」や「心のケア」という言葉も、阪神・淡路大震災のときから使われ始めたことなども、生徒に集会で伝えたりしています。

「環境防災科」はどんな学科なのか。また学校のホームページを御覧いただいたらと思いますが、学習の3分の1ぐらいが専門の学校設定教科「環境防災」の教科を勉強しています。内容は、自然科学的現象や社会現象の関わり中で防災教育を学ぶこととし、指導者が教材を作っています。授業には、大学教授や関係機関の専門家、NPOの方など、特別非常勤講師として一緒に指導を頂いております。また、体験学習も多く取り入れています。

卒業生は500人ぐらいですが、進路は普通科の高校生と同じように、それぞれの興味関心に応じて進学や、就職をしています。卒業後、それぞれの分野で仕事をしていく中で、防災のリーダーとして地域のリーダーとしての意識を持って生活していく、そんな生徒を育てることを、学校の目標にしています。

それ以外に、先ほど御説明がありました「実践教育、防災教育の総合支援事業」を活用させていただき、県の主幹校として県内の防災教育推進校と一緒に防災ジュニアリーダーを育成することや、ひょうご安全の日推進事業助成金を活用して、県内外の中学生・高校生の防災リーダーを育てていく事業を実施しています。

いろいろと御意見をお聞かせいただき、今後の教育活動に生かしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 ありがとうございます。
それでは、渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉副部会長】 先ほどもお話ししましたように、前回もこの学校安全の推進に関する計画に関わっておりまして、今回改めて前回の計画を見直してみました。前回作ったときは、ちょうど震災の直後でして、非常に全体の意識が高い中で作成したというところがありました。ですから、短期間でもかなりまとまったものができたかと思います。

先ほど大臣からの諮問の中にもありましたように、震災から5年たって、風化が危惧されるとございましたけれども、震災からたった5年しかたっていないわけで、まだたった5年なんですけれども、でもそういうふうに危惧されるということは、これは自然災害のみならず、学校安全全般に言えることではないかと思います。ちょっと時間がたつと、だんだんと危機感が薄れる、何も起きないことが安全であるかのように思ってしまうというところがあるかと思いますね。その中で新たに学校安全の推進に関する計画を見直す機会を持つことは、大変意義のあることと思っております。

前回の推進計画ですけれども、その中身を読んでみますと、具体的な方策の中で、かなり国の役割というのが書かれておりました。

それで先ほど、これまで、それがどのように具現化されてきたかという資料の御説明がありましたけれども、国の役割ももちろんですが、やはり学校安全を推進していく上では、学校設置者と学校が高い意識を持って、この学校安全についての取組を継続的に行っていくということがすごく重要なわけです。ですので、今回のこの推進計画の中では、やはり具体的に学校でどうすればいいのか、学校設置者がどうすればいいのかということを、そういったことがもう少し盛り込まれていくと、より良い計画になると思います。またそれをもっと学校の中に定着させていくには、どうすればいいかということを考えていければと思います。

実際に例えば本日の資料にもありますように、学校安全計画の策定も本来は100%でなければいけないし、危機管理マニュアルも100%作らなければいけないのですが、現実には98%かな、わずかですができていないところもあるわけですね。ですから、そういうところでもきちんと行えるような体制というところを考えていければと思います。

1つのヒントとしては、先ほど遠藤委員からもお話がありましたけれども、宮城県では安全担当主幹教諭の取組の話がありましたが、既にいろいろな県で学校安全の担当の職と言いますか、そういうのが実際に置かれているところもあります。例えば千葉県では安全主任が随分前からありますけれども、そういう中核となるような教員が置かれて、学校安全を確実に担当できるようにするということを、これは国の役割だと思いますけれども、できればと思っております。

とりあえず以上です。

【小原部会長】 ありがとうございました。
では、引き続き、戸田委員、お願いいたします。

【戸田委員】 戸田でございます。

もともと小中学校の教員で、その後は行政におりました。今、教員養成の大学で勤めております。前回の部会の方にも参加させていただきまして、いろいろ勉強させていただきました。

いろいろなところでお話をお聞きしたり、あるいは学校現場の状況なんかを見せていただいたり、東日本を中心に、罹災(りさい)した学校や教育委員会で状況をお聞きして、学校において安全教育を充実させ、継続させていくことの必要性と、それから地域間、学校間の意識や取組の差が大きく、それをどのように改善して、より充実していくかということが、課題なのかなというふうに感じております。

具体的に何点か、箇条書程度にお話し申し上げますと、1つは安全教育では、守ることと育てることが重要だと思うんです。例えば子供たちを守ってあげるという取組を一生懸命やるんだけれども、それに余り偏り過ぎて子供たち自身の、例えば危険予測能力であるとか、防災とか交通事故などの対応能力なんかを育てるということを忘れてしまったり、あるいは逆に育てることを中心にしているだけだと、本当に基本的な安全点検とか、そういうことがなされていなかったりして、どうもアンバランスなのではないかということを感じています。

そういう意味で、守ることは当然しなくてはいけません、施設とか何かも全部含めてそうなんです。けれども、そういうことと合わせて、教員養成課程の学生に、安全教育と管理の両面から教員となるための必要な知識や資質・能力を育てていくということが、とても大事なのかなというふうに思っています。

それから、子供に対してやはり安全教育の充実が必要です。なかなかカリキュラムに位置づけにくいということはあるんですけれども、そのためには、今回の学習指導要領の改訂をされる中でも充実すべきということで検討されていますので、各学校のカリキュラムへの位置づけが、よりしっかりやっていけるような後押しが必要と考えます。

それから2つ目は、各地域で非常に優れた事例があるが、教育や管理、全部含めてそうなんですけれども、そういうものがなかなか他に生かされない、その学校だけで終わってしまう。それで、そういう事例を共有したり、あるいは教材なんかもお互いに広めて使えるような、そういう機会、交流の場と言うんでしょうか、そういうこともないので、そこを何とかしなくちゃいけないんじゃないかと思います。

それから3つ目は、やはり教員養成段階の学生の安全科目の位置づけと、プラス教員の現職研修、これをそれぞれの特性に応じて、充実しなければならないと思うんです。教員養成課程の中では、全てのことを教え込むわけにはとても難しいので、せいぜい2単位とか非常に限られた時間の中で保健安全法の趣旨、狙いであるとか内容であるとか、それに係る具体的な学校場面で、特に課題となるようなことはこんなことという、そういうことを明らかにしながら、それに対する取組の方向性とか姿勢というところの基礎を教えることが必要です。また、広い意味での危機管理も含めて、現在、養護教諭と保健体育科教員しか履修していない学校保健に係る感染症の予防とか、そういうことも学校保健安全法の関連の中で、基礎的なことをしっかり学ぶことが必要かと思います。
それから一方で、各個々別々の様々な地域の実情に応じた状況、リスクなんかたくさんあるわけですので、そういうことへの対応の仕方は教職の現職教育の中でしっかり位置づけて、やっていく必要があるのではないかということがあります。

それで4つ目は、安全教育や安全管理・危機管理に役に立つ良い教材を文部科学省や様々な機関等でたくさん作られているんですけれども、調査をしてみると、約2割3割だったらもう高い方で、全然知らないという、残念ながらそういう状況なんかもあったりするので、教材などの活用について、今、具体策はありませんけれども、各学校等でせっかくの教材を活用する方法と、併せて教員養成の大学にも、文科省の資料なんかがもれなく届くような、これはお金もかかりますので、国の支援なんかも必要になるのかなというふうに思います。

5つ目は人の問題ですけれども、結局、安全教育の専門家ってなかなかいらっしゃらない。ハザードそのものの専門家はたくさんいらっしゃるんです、地震のハザードの専門家、交通安全・交通事故のハザードの専門家、犯罪学の専門家、ハザードの研究者はたくさんいるんですけれども、実は学校や子供を基盤とした中で、リスクがたくさんある中で、そういうことをうまくバランスをとりながら、子供たちの必要な、実施の能力を育てていくというための、いわゆる教育的な視点を専門にやるという、そういう研究者を育てていかないと、今後、充実して継続していく取組ができなくなっていくのかなと思っています。

あわせて、各学校での安全の担当を位置づけることが重要だと思います。今までの経験からすると、小学校は比較的安全担当とか安全主任などの名称で、いろいろまとめて交通安全も犯罪対応もあって、避難訓練とかも中心になってやっているんですが、中学校、高校になると、私は交通担当、私は防災担当、私は防犯担当ということで、全くばらばらで、誰が内容をどうするのか、学校安全計画は、誰が作るんですかと言っても、よく分からないというような状況で、お互いのモザイクの組合せで計画ができているという実態がある。そういう計画だとなかなか実効性が低いし、評価もできないというような現実があって、そういう意味ではきちんとした、保健で言うと保健主事や養護教諭のような役割の人がいないという現状があって、円滑に学校安全がマネジメントできていない。その辺のところはやっぱり国としても、後押しをしないと、安全教育、安全管理が充実・継続できないと思います。

以上です。

【小原部会長】 ありがとうございました。

続いては、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】 中川です。何人か御存じの方もいらっしゃるんですが、少し自己紹介もさせていただきたいと思っております。

水と安全はただというような間違った価値観を、ややもするとふりまきがちなマスコミから参っております。そういう意味では「申し訳ない」と言わなければいけないようなことも結構あるように思いますので、「一体、マスコミはどう考えているのか」という話がもしありましたら、是非この中でも御議論できればと思っています。

21年前の阪神・淡路大震災で、ただの記者から大きく変わることになりました。昭和の終わり頃から科学記者で、科学と事件を行ったり来たり担当しながら、気象庁を都合4回担当しました。手元の防災教育のイメージの資料では、理科のところは「更なる充実が必要」という枠に入っていないので、そこまで理解が進んだのかなと思うところはありますが、どちらかというと理科の分野から防災教育のお手伝いをしてきました。
 私は、神戸の隣の芦屋の出身です。地震が起きた当時、あそこで地震があることが社会に伝わっていなかったことに、地震学会が衝撃を受け、何かやらなきゃいけないということになり、学会に所属している高校地学の先生方や研究者が、子供たちに地震や火山の本質を伝えようという試みを1999年から始めました。たまたま子供の頃から六甲山でボーイスカウト活動をし、当時も指導者をしていたこともあって、地震火山こどもサマースクールの裏方を17年やってまいりました。

そんな中で、「究極の防災教育」と言う人もいるジオパークの活動を支える日本ジオパーク委員会の委員をしております。ジオパークは、昨年秋にユネスコの正式なプログラムになりました。変動する動く大地と人間がどうやって共存しながら、持続可能性を目指していくのかを、「地質遺産」を使いながらやっていこうという活動です。有珠山や雲仙普賢岳、三陸なども含めてジオパークに認定され、防災教育にも生かしていくプログラムの実践をしております。

防災教育のダイレクトで言いますと、内閣府の防災教育チャレンジプランの実行委員にもなっています。中央防災会議で基本方針を10年前に決定した「災害被害を軽減する国民運動」の活動のサポーターで、東日本大震災の前に行われた文部科学省の防災教育支援事業のお手伝いもしました。この後お話になる村上先生は、その事業を釜石で取り組まれてお世話になりました。
 私自身は素人ですが、たまたま科学記者だったこともあり、理科のことを、社会と結びつけるお手伝いをしてきたという立場です。
 教育という面からは素人です。防災教育支援に関する懇談会には、今日は御欠席の今村委員ら防災関係者が多かったのですが、私はそこで「生きる力」を初めて認識させていただいたほどの素人です。ただ、ボーイスカウトの指導者としては、教育の基本方針としての「生きる力」の重要性は非常に感じますし、すばらしいメッセージだと思っております。

ちなみに防災教育支援事業では、釜石だけでなく、熊本地震の被災地となった立野小学校で阿蘇火山博物館の学芸員と平成21、22年度に防災学習をやっていたのは余り知られていません。今は廃校になっていますが、その子供たちはあの場所が断層で作られた地形であることを深く学んでいたんです。さらに、つい最近、熊本地震で断層の露頭が出た場所を訪れたときに、地元の若い女の子から、「小学生のときに、先生から『このあたりに断層があって、地震があるかもしれない』と教わっていたので、地震が起きたときに、先生の言ったとおりだったと思って、見に来ました」と言われました。その先生を探し当てて話を伺ったら、「理科の授業で終わっていたので、もっと防災をちゃんと教えていればよかった」とおっしゃっていました。

科学記者として、また地震学会で防災教育の事業を行ってきた私は、理科と社会をつなぐお手伝いをしてきました。この図(防災教育のイメージの資料:参考資料3、P12)の緑の理科の部分は、「更なる充実が必要」という分類にはなっていないのですが、理科の知識を生かすために何が必要なのかちゃんと調べないといけないと思っています。それが1つの手掛かりになるのかなと思っています。

教育で子供たちに何を育てなければいけないのかというと、1つは、災害に至るような現象が起きてしまうことを防げないことを、知って、理解して、納得していること。さらに、それが起きてしまうことを受け入れる力も付けていただきたいと思います。それは単に知識だけではないと思います。もう1つは、「敵を知る、己を知る」の言葉のように、己の足りないところを知っていることだと思います。起きてしまう自然現象と、己の足りないところを受け入れ、支援を受け入れる力が必要なんです。内閣府の防災ボランティア検討会の議論の中で、「受援力」という言葉を創り出したのですが、足りないところがあるから、受け入れる力が求められる。それを納得する力も必要になる。それは、多分災害とか安全に関してのリスクコミュニケーションにもつながっていくんであろうと思っております。

最後に、学校安全教育とか防災教育を考えますと、私は児童・生徒の保護者であったわけですが、ボランティアで学校に行ったりしたことがあります。横浜市教育委員会が、学校にインターネットのLAN回線を敷くお手伝いをする「ネットデイボランティア」を組織的に推奨していたので、阪神大震災後のボランティア仲間が関わっていたこともあって、一時期、何校かの活動に参加していました。その中で、保護者の方が「先生に呼ばれて、我が子のことで怒られたりしに行くんじゃなくて、自分から堂々と学校にお手伝いに行って、天井板をはがしたり、壁に穴を開けに行くのがワクワク楽しい」と語っていたのが印象的でした。

学校安全教育は、学校教育の場を、地域みんなのものにするチャンスになることは、実感として思っております。ボーイスカウトの指導者をやっておりますと、本当は中学校の部活の先生と連携して、部活を理由にスカウト活動をやめてしまわないようにしたいのですが、なかなか学校との距離が十分作ることができていないという悩みも持っております。地域のそういう団体も、学校安全教育で、つながっていけるといいのではないかと思っております。

何より私のようなマスコミ人が言うのも大変失礼かもしれませんけれども、社会のことに当事者意識を持たない人が多い中で、学校安全について地域社会の当事者であり、更に変動する大地である地球の当事者であるというような知識と認識を持って生きていくこと。既にそのような概念は「生きる力」の中に入っていると思うんですけれども、どうやって具体的に位置づけて教育プログラムにしていくのかが課題だとも思っております。

阪神大震災から21年たって、ここまで来た、若しくはここまでしか来ていない、とも思っております。長い視野をどうやって持つかというのも大事なのかなと思っております。

以上です。

【小原部会長】 ありがとうございました。

それでは、野津委員、お願いいたします。

【野津委員】 筑波大学の野津でございます。

まず、安全教育に係ってお話ししたいと思います。安全教育の推進においては、教科等横断的という言葉が現在目立って見られます。これは非常に考え方としても良く、聞こえもいいんですが、結果的にいずれのところもしっかりとできていないといった状況を招きかねない落とし穴と言いますか、弱点があるということで、非常に心配しているところでございます。

それぞれの教科等のところでしっかりやることを確実にするための鍵は、私はやはり評価をきちんと位置づけることだと思います。
まずは学校安全に関する内容を、教科等の特質に応じて位置づけるということに力をそそぐんですが、これはもちろん非常に重要なわけですが、そこが第一歩だとは思いますが、そこにとどまらず、安全に焦点を当てた、あるいは特化した評価をどうやるかという、その辺を明確にしていくことまでも視野に入れてしっかりやっていくことが、結果的に安全教育を充実させることにつながる重要なポイントだというふうに考えております。

現在も総則・評価特別部会等々で議論されている中で、安全に関しては非常に強い関心を持たれ、安全教育を実践していくことが重要だということでは、共通理解があると思いますが、評価という点においての意識がやや不足しているのかなという感想を持っておりましたので、発言をさせていただきました。

もう1つは、安全管理に関してでございます。熊本のある学校の校長先生が学校の再開に当たり、子供たちに最初に言ったことが、「学校にいる間は少なくとも安心していいんだよ」と語ったという記事を最近読みました。これは本当にすばらしいことで、すごいことだと思います。日本中の学校がこのように自信を持って言えるようにしなければなりませんし、しつつあるわけですけれども、そうした中でとても気掛かりなことが1つ、先ほどから他の委員からも指摘されております教員の資質・能力のことです。特に教員養成において担保できていないのではないかという点でございます。

子供の命を守り育てるというその気構えを、教員の免許を取るときにしっかりと植えつけること、非常に重要だと思います。それに併せて基礎基本となる知識、技能も身に付け、そして現職教育につなげていくということが求められると思います。

全国の保護者の方々が子供を学校に預けている中で、全ての先生は、教員免許を取るときに、学校安全についてしっかり勉強して、初めて教員免許を取っていると皆思っているんだろうと思うんです。実は実態はそうではないというところを、何とか是正しなければいけないと思います。

あわせて、熊本では地震に伴ってエコノミー症候群うんぬんというのが非常に話題になりましたが、他にも感染症や心身の不調、それからストレス、様々な健康問題が、当然、自然災害に伴って発生してくるわけで、そうした悪影響は子供たちに最も大きく現れ、そうしたことから考えますと、学校保健というようなことも、併せて教員の養成の段階で担保していくことが、必要だというふうに思っております。

中教審の4期でしたか、学校保健に関しての議論をしている中で、安全についても盛んに議論をし、その報告に基づいた形で学校保健法が学校保健安全法という法律になってきたわけですが、法律の在り様から言っても、学校保健と学校安全というのは、併せて教員の必修と考えていく必要があると思います。

このような考えの方が保護者あるいは全国の国民の応援の声としてより大きくなるというふうに、私は思っております。

とりあえず以上でございます。

【小原部会長】 ありがとうございます。

それでは、次、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】 大阪教育大学の学校危機メンタルサポートセンターの藤田でございます。

私が所属しておりますメンタルサポートセンターは、15年前に発生いたしました本学附属池田小学校事件を契機として設置された施設です。そのため、当センターでは事件の被害者、又は御遺族の方々への心のケアや、また、類似した事件の再発防止のための安全教育、安全管理、また教員養成の在り方について教育研究活動に従事しております。

私は現在、このセンター長をいたしておりますが、センター長をやる前は、ちょうど事件後6年目から10年目までの4年間の期間、事件のありました附属池田小学校の学校長を併任しておりました。この学校長を併任していたときに、まず国の教育課程特例編成の認可を頂きまして、附属池田小学校に安全科という教科を立ち上げまして、1年生から6年生まで各学年35単位時間、毎週1回、安全の授業をするという教育活動を立ち上げてまいりました。ただ、現行に至りましては、35単位時間を各学年確保するのは難しいということで、現在の附属池田小学校の安全科の担当者と、もう少し時間数を削減した形で、より具体的に展開可能な方向はないだろうかという検討を進めているところです。

また、学校長として3年目のときには、前回の国の「学校安全の推進に関する計画」の中にも入れていただいたセーフティプロモーションの関連といったインターナショナルセーフスクールという制度で、附属池田小学校を我が国最初の認証校に認定いただきまして、その後、当センターがこのISS認証センターとして国内の学校の認証に当たりましたが、現時点ではインターナショナルセーフスクールの認証活動が、ちょっと大元の制度の認識が変わってまいりました。

そういった中で今回、国の方で、文部科学省の健康教育・食育課の事業としてセーフティプロモーションスクールという、我が国独自の基準に基づいた包括的な学校安全の推進の取組としての新しい認証制度の考え方に御賛同いただきまして、今年度から御支援を頂くことになっております。そういった認証制度の普及に現在取り組んでいるところでございます。

また、本学、大阪教育大学では、先ほどから少し出ておりますが、教員免許を取ろうとする学生に対して、学校安全を必修化しておりまして、いわゆる学校安全を取らなければ教員免許を出さないという考え方で、平成20年度から運用いたしております。そして現在、京都教育大学と奈良教育大学にも御賛同いただきまして、必修化はできておりませんが、同じ学校安全の授業を双方向で共有するという形での普及に取り組んでいるところでございます。

今回のこの学校安全部会におきまして、こういった本学が取り組んでおります、特にチーム学校としての地域連携、協働と連携の考え方とつながったセーフティプロモーションスクールのより普及を進める在り方の可能性について御紹介させていただいて、御議論いただきたいと思っております。また併せて本学が取り組んでまいりました教員養成における学校安全の必修化、また教育課程における安全教育の位置づけ、こういった取組の今後の発展の可能性、また課題についても、委員の皆様方からいろいろと御意見をお伺いしながら、よりよいものにしていきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 ありがとうございました。

引き続き、村上委員、お願いいたします。

【村上委員】 こんにちは。岩手県の大船渡市立日頃市中学校の村上でございます。よろしくお願いいたします。

私は震災発災のときに釜石東中学校におりましたので、そのことでお呼びいただけたのかなと思っているところです。震災のときには全国の皆様から、世界の皆様から御支援いただいたこと、本当に在り難く思っております。

私自身被災者でございまして、いまだに仮設から学校に通っているような状況、まだまだ被災地は復興とは遠いところにございます。そんな中で子供たちは学校に通っておりまして、勉強しております。

先日、釜石東中学校の跡地を見ましたところ、盛土がされておりまして、新しく施設ができるということ、それから高台の方には釜石東中学校の学校が建っておりまして、今年度には完成し、来年度、新しい学校で勉強ができるということで、子供たちは非常に明るく生活しておりましたことを、ここで御報告をさせていただきたいと思っております。

私は釜石東中学校のときに、今、岩手大学の准教授になっております森本さんと一緒に防災教育をしておりました。3.11以前から、防災教育をやっていて良かったなと思っています。というのは、子供たちが自分の命を守るということをよく考えて行動していてくれたからです。

釜石東中学校にあの当時、登校していた子供たちは全員、命が助かりました。また、岩手では学校にいた子供たちが一人も亡くなっておりません。「釜石の奇跡」と言われておりますけれども、「岩手の奇跡」でございます。というのは、地域で、学校で大きな地震があった後は、必ず高台に逃げるんだよということを教育されていた賜物(たまもの)だと思っております。

3.11から6回目の夏を迎えようとしている今、街の復興も少し目に見えるようになり、子供たちも親たちも地域も少しずつ変わろうとしている中で、学校は何をしていけばいいのかな、それを私たち教員は考えております。
1つ目は、岩手県の教育委員会から「20年後、30年後の人づくり」を学校でやってほしい、そう言われております。その人づくりの内容といたしましては、釜石東中学校でも取り組んでおりました「当たり前のことが当たり前にできる人づくり」ということです。挨拶ができること、清掃活動がきちんとできること、自分で考えて行動すること、こういうことをやってほしいと考えていました。それを私たち教師は具現化、実践していく必要があるのだなと思っております。

2つ目は震災から復興を担う、地域を愛する子供たちを育てたいことです。今、地域を見つめ直し、地域の産業が復興できるように、中学生でもできることは何だろうな、そういうことを考えながらキャリア教育を進めているところです。

3つ目です。震災から5年過ぎまして、大分ニュース等にも載らなくなってはきています。3.11を経験した私たちが語り継ぐ人になろうということで、前任の吉浜中学校では、震災の演劇を作りまして、「1,000年後まで伝えよう!」としています。今年の8月には全国中学校文化祭で発表することになっているところです。

私はこの子供たちが震災を経験し、語り伝えるということを、どう教育の中に組み込んでいったらいいのかなと非常に悩みながら、毎日取り組んでいるところであります。そういうことをやろうとする意欲を作ることが、私たち教員の役目かなと思っております。

今年の7月には、日頃市中学校で防災キャンプをやってみようと、新たな取組をするつもりです。高知県の中学校とテレビ電話で交流してみようというような職員の意欲づけもあり、それから今年度は防災教育チャレンジプランにもまた採択されておりまして、先生方の意欲が形になっていけばいいな、そして子供たちにその活動が定着していけばいいな、そんなことを考えながら今、中学校教育をしているところです。

全てにおいて私が生徒たち、教員たちに言っている言葉は、苦労はあると思うんだけれども、明るく楽しく元気よく、何事にも前向きに過ごすことができるような、そんな学校でありたいということで、「明るく楽しく元気よく、ATG」という言葉を、生徒会活動とか、そういうところにおいて話しながら生活をしているところであります。
ふだんの生活をブログにアップしまして、できるだけ被災地の様子を全国の皆さんに見届けていただければ在り難いな、そんな取組をしているところであります。

今回はこのような会議に参加させていただいておりますので、是非学んで帰りたいなと思っております。
 今後ともよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 ありがとうございました。

それでは、安武委員、お願いいたします。

【安武委員】 安武と申します。よろしくお願いいたします。

私は、知的障害の特別支援学校の教員を長くやっておりまして、現在は教育庁の総務部総務課というところでチャレンジ雇用の仕事をしています。現在都庁に勤務しておりますので、都のいろいろな情報が入ってきます。防災などの安全指導に関する情報についても入ってくると思いますので必要に応じて対応できたらと思っています。
 特別支援学校の安全計画はどの学校でもありますが、特別支援学校の場合は知肢併置の学校でも、安全計画が1つしかないのです。小学部、中学部、高等部と学部が分かれている学校でも、安全計画は1つしかないというところがあり、これから先に改善していかなきゃいけない部分ではないかと思っているところです。
それから、通常の学校の中に発達障害を含む障害がある方が在籍されていますが、その方々の学校安全教育をどうするんだということを、具体的に考えないといけないんじゃないかなと思っています。例えば高校にも、知的障害の軽度の手帳を持っておられる方がおります。そういう方の支援、安全教育、どういうふうにしていくか考えているところです。
 実際に東日本大震災のときに、全体で1%ぐらいの死者が出たというようなことを聞いていますが、障害者の割合は2倍の割合だったと聞いており、障害のある方は、いろいろな面で支援をしていかないといけない。そのための防災とか安全教育を、どのように考えていけばいいのかということがいつも頭によぎります。
 学校安全がなければ死に直面するような危険にさらされるというところを考えると、非常に重要な課題だと思っています。
 今年の4月1日から障害者の差別解消法というのが施行されておりますが、障害がある方も、ない方も、個性と人格を尊重しながら、共に生きる社会を創っていきましょうとなっているので、安全教育についても、学校安全についても、気持ちを持っていただいて一緒に進めていければと思っています。
よろしくお願いいたします。

【小原部会長】 どうもありがとうございました。

藤原審議官、お願いいたします。

【藤原大臣官房審議官】 すみません、ちょっと遅れてまいりまして。初中局担当審議官の藤原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【小原部会長】 よろしいですか。
それでは、第1回の会議はこれで終わりたいと思います。

今後の日程について、事務局の方からお願いいたします。

【中村健康教育・食育課課長補佐】 資料6を御覧ください。先ほども説明いたしましたけれども、第2回、次回につきましては、7月25日月曜日、16時から、場所は今回と同じ場所です。文科省3F2特別会議室ということで予定してございます。正式な出欠確認につきましては、追って御連絡、確認をとらせていただきますので、御返信、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【小原部会長】 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。
どうもありがとうございました。



お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)