教育課程部会 中学校部会(第3回) 議事録

1.日時

平成28年6月3日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 中学校部会におけるこれまでの議論を踏まえ「とりまとめ」に盛り込むべき事項について

4.議事録

【市川主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の中学校部会の第3回を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
  配付資料は、お手元の議事次第のとおりです。不足等ありましたら、事務局にお伝えください。
  最初に、事務局から、今回初めて御出席いただく委員の御紹介をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは、今回初めて御出席いただく委員の方、お二方を御紹介いたします。
  まず、内田高義委員でいらっしゃいます。
【内田委員】    福井市の教育長の内田でございます。1回、2回と他用で欠席させてもらったんですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。本年度から、全国都市教育長協議会の会長も引き受けましたので、またいろいろとお世話になりますけれども、よろしくお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    ありがとうございます。
  続きまして、榎本智司委員でいらっしゃいます。
【榎本委員】    榎本智司でございます。先週の総会で、全日本中学校長会の会長に就任いたしました。伊藤俊典に代わりまして今回から出席をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    ありがとうございます。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございました。
  それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。
  本日の議題につきまして、まずは事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。本日は、中学校部会取りまとめに向けた御議論を議題二つに分けまして、前半は初等中等教育全体を見渡した部分、後半は中学校における諸課題への対応ということで、御議論を賜ればと思っております。
  中心的な御議論のペーパーとなりますのが資料の1と資料の2でございます。資料の1の1ポツ、2ポツ、3ポツというものが資料の2の1ポツ、2ポツ――3ポツはございませんけれども――数字番号それぞれに対応している資料でございます。この資料の1、資料の2を中心に御議論いただければと思いますけれども、前半の議論を補足的に資料の4-1、4-2、それから資料の5についても少し使わせていただきたいと思います。少し資料が行ったり来たりして恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。
  それでは、まず資料の1をごらんいただければと存じます。総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめに向けた論点ということでございます。これらの部会それぞれの議題について御議論を頂いているところではございますけれども、やはり共通にカリキュラム・マネジメントの重要性など御議論が収束しつつあるところでございます。こうした共通する事項がかなり多くなってまいりますので、これらの部会共通の取りまとめとしておまとめさせていただいてはどうかということでございます。他の部会においても、こういった形で取りまとめていくことについては御了承を頂いているところでございます。
  そして、こうした取りまとめに向けまして、具体的な柱建てでございますけれども、1ポツは「社会に開かれた教育課程」の実現と総則を軸とした教育課程の総体的構造の可視化ということでございます。後ほど資料の2で詳しく申し上げますけれども、教育課程の総体的構造の可視化、各教科との関係性、あるいは各領域と教科を含めた全体構造の中でどう資質・能力を育んでいくのかということ、そういった教育課程の総体的構造を明確にして社会と共有していこうというのが昨年8月の論点整理の方向性であったわけでございます。こうしたことを実現するためには、総則を軸として構造を考えていくべきではないかという大きな総論の部分が1ポツのところでございます。
  そして2ポツは、学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」。この好循環という言葉はまさにこの中学校部会で御提案いただいた言葉を全体の取りまとめに反映させていただいております。学校教育の改善・充実の好循環を生み出すためには、各学校が、以下の観点を踏まえながら、教育課程を軸として改善・充実を図る「カリキュラム・マネジメント」を行えるようにすることが重要ではないかということでございます。
  これを少し図示させていただいたものが資料の4-1になります。少し別の資料になりまして恐縮ですが、資料の4-1をごらんいただけますでしょうか。資料の4-1をごらんいただきますと、何ができるようになるかということを目指し、何をどのように学ぶか、これが諮問でも書かれております教育課程の今回の改訂の方向性ということでございます。こうしたことをしっかりと各学校が考えて教育課程を編成していただけるようにということがカリキュラム・マネジメントということではないかということで、次のページをおめくりいただきますと、学習指導要領総則の構造とカリキュラム・マネジメントのイメージということでございます。何ができるようになるかということを各学校が描きながら、何を学ぶかを構成し、それをどのように学ぶかを具体化し、何が身に付いたかを学習評価を通じて見取っていくということ、そしてこれら全てを、一番下でございますけれども、実施するために何が必要かという学習活動の基盤や家庭・地域との連携・協働で支えていくということ、そして全ての家庭を通じて個々の子供の発達をどのように支援するかという真ん中の部分でございますけれども、特別支援教育や日本語指導の必要な子供への対応、あるいはキャリア教育の視点、進路指導、生徒指導などを行っていくということでございます。
  こうしたカリキュラム・マネジメントの構造を一目で分かるようにすべきではないかということでございまして、これを総則に反映していこうというのが資料の4-2でございます。企画特別部会におきましても、こうしたカリキュラム・マネジメントの構造を総則に反映すべきという御意見を頂きましたことを踏まえまして、総則の改善イメージ、多少改善を図っております。前文、「社会に開かれた教育課程」の実現の理念の明記、それから第1の中学校教育の基本というところが資質・能力を含め何ができるようになるかに対応した部分でございます。そして、第2の教育課程の編成の部分が、目標を基に何を学ぶかの編成部分ということでございます。資料4-2、2枚目の第3、教育課程の実施と学習の評価というのが先ほどのどのように学ぶかという部分と、何が身に付いたかというところの学習評価に関わる部分でございます。そして第4の部分、個々の生徒の発達を踏まえた指導という部分が個々の生徒の発達をどのように支援するかという部分、そして第5の部分が実施するために必要な学習活動の基盤作りということで、各学校が行うカリキュラム・マネジメントの構造とこの総則の構造が直結してくるということでございます。
  資料の1にお戻りいただきまして、こうした総則の構造を通じて総体的構造の可視化を図ってはどうかということが2ポツの部分でございます。
  そして3ポツ、何ができるようになるかにつきましては、資質・能力の育成、三つの柱ということ、そして2ページ目の4ポツでございますけれども、何を学ぶかにつきましては、教科横断的な視点も持ちながら教育課程を編成していくということ、5ポツにつきましては、どのように学ぶか、「主体的・対話的で深い学び」というアクティブ・ラーニングの視点の意味と具体的な改善の在り方、これまでの問題解決的な学習等との関係性を整理していくということ、そして学習評価、6ポツ。7ポツが個々の子供たちの発達、8ポツがチーム学校や地域・家庭との連携・協働ということでございまして、これが各部会共通で取りまとめに使っていく柱のたたき台でございます。
  本日は、資料の2をごらんいただきまして、これらのたたき台に対応する中学校部会の議論の盛り込み方ですね、どのような内容をこうした全体の取りまとめに盛り込んでいくのかということを是非議論を頂ければと存じます。1ポツのあたりや2ポツのあたり、既にかなりもう御議論を深めていただいて結論的に出てきている部分もございますけれども、評価の在り方や2ページ目のキャリア教育の在り方などについては、まだまだ本日御意見を頂きまして深めた上で、全体に反映をさせていきたいと思います。
  資料の2の1ページ目は、前回のペーパーにも載せさせていただいておりますけれども、「社会に開かれた教育課程」の実現ということ、教育課程を通じて育む資質・能力を可視化し共有していこうということ、そして、各教科との関係、各教科を学ぶ意義ということが各教科の見方・考え方や資質・能力を通じて明確になってきておりますので、そうしたことを含めながら教育課程の総体的構造を可視化していくという、1ポツの部分はある意味総論でございます。
  そして2ポツは、中学校部会の議論を主に反映させていただいているものでございますけれども、「カリキュラム・マネジメント」の重要性、総則について「カリキュラム・マネジメント」の視点を踏まえて、先ほど資料の4-2のように改善を図るということ、そしてこれは管理職の役割だということだけではなくて、全ての教職員が行うという位置付けを明確にしていくべきではないかということ。
  そして、6ポツの部分に対応します学習評価でございますけれども、資質・能力の三つの柱のバランスのとれた評価ということでございます。指導と評価の一体化を図る中で、多面的な評価ということを行っていく必要があるのではないかという御意見をこれまで頂いております。また、2ページ目、そのためには学習評価の質を高めるような環境作り、そして知識の理解の質を高めるという趣旨を踏まえた、高校入試の質的改善ということもこれまで御議論を頂いたところでございます。
  それから、7ポツでございます。個々の子供の発達をどのように支援していくかということでございます。キャリア教育、生徒指導、個に応じた指導、特別支援教育、それぞれについて御意見を頂いております。これについては資料の5をごらんいただけますでしょうか。資料の5でございますけれども、キャリア教育の視点でございます。まず、キャリア教育における「基礎的・汎用的能力」というものにつきましては、1ページ目のとおり整理がされておりまして、これを2ページ目にございますような各教科、総合的な学習の時間、特別活動、あるいは道徳、様々な家庭内外の時間、これを有機的に関連付けながら、子供たちに教科を全体的な視点で育んでいくことが重要であるということでございます。
  そして、3ページ目、4ページ目が特別活動の改善の方向性でございますけれども、5ページ目をごらんいただけますでしょうか。5ページ目の今後の特別活動、特に学級活動の改善のイメージでございます。特別活動は左にございますように、現在は、第2の括弧の学業と進路となってございますけれども、これを右側にございますように、一人一人のキャリア形成と実現という形で特別活動の項目立てを見直していく方向でございます。
  そして、この中でポートフォリオと書いてございますけれども、キャリアカルテ、あるいはキャリアレポートといったものを活用しながら学級活動の時間に自分の学びと自分のキャリアを結び付ける振り返りの時間ということをしっかりと考えていくということを、特別活動のワーキングにおいて現在御議論を頂いているところでございます。
  それから、同じ資料の6ページ目、7ページ目は、主体的・対話的で深い学びでございますけれども、7ページ目に左から右にかけて子供の学習過程のイメージを示していますけれども、主体的・対話的では深い学びの視点から学習過程の質的改善を行うことで、右側にございますような生きて働く知識・技能を獲得していくことを目指すということでございます。そして、この中の主体的な学びの視点の中に、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらということを入れ込んでおります。全ての教科において「主体的な学びの視点」ということを今後持っていくということになるわけでございます。
  それから、生徒指導につきましては、8ページ目、9ページ目にございますのが現状の学習指導要領上の位置付けでございます。教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ることということでございます。
  また、10ページ目以降参考になりますけれども、少人数指導やチームティーチングなどの個に応じた指導の実施状況の割合でございます。
  また、11ページ目、特別支援教育部会の検討状況でございますけれども、例えば各教科の学びの中で考えられる困難さに対する配慮の例ということをきめ細かに示していくことなども含めて、特別支援教育の充実を総論的なものだけではなく、各教科の内容も含めて図っていくということにしております。
  資料の2にお戻りいただきまして、こうしたことがばらばらではなく、個々の子供の発達をどのように支援するかという視点に基づいて、それぞれしっかりと充実が図られるようにしていく必要があるのではないかということで、これまで御議論いただきました内容をそこに掲げておりますけれども、こうしたことも踏まえながら本日さらに御意見を賜れればありがたく存じます。
  また、8ポツ、2ページ目の下でございますけれども、それらを実施するために必要な体制ということでございます。「チーム学校」の視点から「授業研究」を核とした校内研修の一層の充実を図るということ、また3ページ目の上でございますけれども、教科を越えて指導計画を比較していくことにより、教科横断的に教育内容を関連付けることができるなど、何のためにどのような改善をしていくのかをデザインし、共有していけるようにすべきではないかという、これまで頂いた御議論をまとめさせていただいております。
  本日、前半はここまで総論の部分、カリキュラム・マネジメントの部分、学習評価、個々の子供たちの発達の支援、それから実施するために必要なチーム学校等を含めた課題ということについて、さらに御議論を頂ければありがたく存じます。9ポツ以下は後半で御議論を頂ければと考えております。また、その際、資料の4-2の総則のたたき台ということについても、併せてもし御意見ありましたら頂けますようによろしくお願いいたします。以上です。
【市川主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、意見交換に入りたいと思います。今日、議題が大きく二つということですので、どちらかというと今の第1の議題を中心に、最初60分程度ということを目安に御意見いただければと思います。時間は、多少こちらが早く終われば、後半部活のことも入ってきますので、かなりこれも大きな話題ですので、多少前後することはかまいません。それでは、よろしくお願いいたします。
  御発言希望の方は、名札を立てていただければ、こちらから指名させていただきます。
  私に言わないでも、立ててくれば結構ですので、どうぞ。よろしくお願います。
【田中主査代理】    私の方から何点か。
  まず、各項目について、中学校における課題・論点が整理されておりまして、その解決の手立てやそれから検討事項も明確でありますので、全体的には私は賛意を示したいと思います。その上でちょっと何点か意見ということでお話をさせていただきます。
  まず、資料の2の2ページの大きな7になりますけれども、個々の子供の発達をどのように支援するかの部分でありますが、キャリア教育、生徒指導、それから学習指導、特別支援教育、それぞれ大事な視点で整理されていると思います。個々の子供の将来を見据えた発達を支援するという意義においては、これらの教育活動は相互に深く関連するものであって、それぞれ個別に対応するのではなく、有機的に関連付けることが大切ではないかと、そのように考えます。こうした、何ていうんでしょうかね、横串というんでしょうか、そういうものを通すことで、例えば学校現場においては進路指導主事とか、あるいは生徒指導主任、また教務主任などの意識というものが一本化されて、そして同じベクトルの方向を向いて子供の将来の成長を見据えたきめ細かな支援というものが可能になってくるんではないか、そんなふうに考えているところであります。
  それからもう一点は、同じく2ページの大きな8になりますけれども、実施するために何が必要かについてであります。一つ目の丸に書かれておりますとおり、やはり校内の研修体制の充実というのは避けて通れない不可欠の課題であると思います。その上で、研修はもっと工夫が必要ではないかと思っております。例えば3ページの一番上、8項目でいくと丸の二つ目になるんでしょうか――にも書かれておりますけれども、教科を超えた横断的な授業研究にもっと取り組んでいかなければならないと思っていますし、「社会に開かれた教育課程」を実現する観点から、子供たちの伸ばしたい資質・能力というんでしょうか、そういうものを掲げて、それを育成するために各教科等でどのように指導していくかといった研究も必要なんではないか、そのように受け止めたところであります。私からは以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  関連して、いかがでしょうか。
  じゃあ、私の方からちょっと関連して。田中委員のおっしゃったこととどちらも関連するんですが、まず個に応じた指導というところで、もう少し書き込んでいただけるとありがたいなと思ったのは、個別学習支援あるいは個別学習相談というようなシステムがもう少し学校の中にも導入されるといいかなと思いました。これは学習についてのカウンセリングのようなものです。今、心理カウンセラーはかなり学校にも、スクールカウンセラーといっていますけれども、内容的にはいわゆる心理的な問題なんですが、実は学習面でも悩んでいる子供は相当多いと。特に、中学校ともなりますと、学習方法がどうも分からなくて、やることはやっているんだけれども、どうもやってもやっても成果が上がらない、成績に結び付かないといって悩んでいる子がたくさんいます。学校でも塾でも余りずばりと学習方法についての指導とか相談というのがなくて、しかもまた子供たちの個性もありますので、そういう相談に応じてもらえるような個別学習相談の場というのが学校の中にもあってもいいんではないかと。
  今、実際には、大学生のボランティアが入っているようなところもあります。それから、退職された先生方が入っているというようなところもあるんですが、学校の先生と違うのは、やっぱりそういう免許とかがあるわけではないですし、大学生が入るといってもちょっと心もとないところもあって、結局は民間の個別学習指導塾に行かざるを得ないということもあります。
  その中で、ある程度研修制度みたいなことを私は入れてもいいと思うんですけれども、ボランティアの人にも研修などをしてもらった上で、個別学習指導相談に当たれると。これが放課後とか休日とか、特に長期休暇ですね。場合によっては、個別だけではなくて小グループによるものとか、その中でふだんの学習の仕方に関するような相談にも応じることができる。それから各教科で実際に授業を受けて分からなかった内容についての指導を受けることができるというようなシステムが学校の中にも入っていくと、子供たちにとっても非常にいいのではないかなと。
  それがまた授業がやっぱり分からないという子が、実は私たち大学でそういう活動をやっているんですが、授業が分からないという悩みが圧倒的に多いんですね。その中で、子供たちはこういうことが分からないと言っているということを、連携している学校とはフィードバックをしたりすることもできます。するとそれは授業改善にもつながるということです。学習の仕方の個別指導と同時に、子供たちの分からない点についての学校との連携というようなことも考えられるのではないかなと思いました。
  それからもう一つ、田中委員御指摘の点ですけれども、実施するために何が必要か。ここは学校としての授業改善の体制なんですが、これを教科を超えて行うと。これがものすごく難しいわけですね。小学校ですと例えば算数なら算数だけというのでもう全教員が授業検討会にかなり積極的に参加する、お互いの授業も見るということができるんですが、中学校・高校になると教科の壁が厚くて余り授業も見ない、ほかの教科の授業だと余り関心がないし、しかも協議会をやってもどうも口を出しにくい。数学の先生が英語の授業についていろいろ口を挟むというようなことはどうしても中学校のカルチャーとしてしにくいと。でも、これをやっている学校はそれを乗り越えているんですね。いろいろな教科の先生が集まって一つの授業、英語なら英語、数学なら数学の授業について検討してアイデアを出し合う、改善案を考えるというようなことができている学校もあると。
  そのイメージなんですけれども、今日は村川委員がいらっしゃらないので村川委員が本当は専門なんですが、いわゆるワークショップ型の研修という、小グループの、五、六人くらいの話し合いを行って、それからそれを出し合って全体に出すというと、ほかの教科の先生でも非常に意見が言いやすくなります。また、その意見を言うときの視点というのが、これも私たちもよくその形式で行うんですけれども、教科は違っても一つは指導法について、ああいうやり方の指導ってすごくいいなと。例えばアクティブ・ラーニング的な要素がうまく入っているとか、それからいわゆるユニバーサルデザインのようなああいう掲示の仕方、板書の仕方はすごくいいなと。これは教科が違うけれども、すごく役に立つというようなことが出てくる。
  それからもう一つは、資質・能力を伸ばすという視点です。教科横断的に資質・能力を育成するというのは今回の大きな柱なんですが、例えば理科の授業を見て、理科の授業の中でもこんなふうに言語力を育てていますとか。そのような一見国語でやるようなことなんだけれども、実は教科に即してその教科の中で○○力というのを育てているという話を見ると、あ、それなら社会科の先生が自分の教科でもそういうことができそうだとか、音楽とか美術の先生でも、ああ、そういうことだったらうちの教科でも○○力を育てるということにつながるんだということで発想が広がっていくということで、今視点を二つ申し上げたんですけれども、要するに指導法に関すること、それから資質・能力の育成に関することという視点で考えていくと、教科が違って専門が違っていても、かなり参考にできて、お互いに盛り上がるという検討会ができているように思います。ですから、そういうイメージを広げていけるような働き掛け、これは文部科学省から教育委員会を通じて、教育委員会でもそういう研修というのをかなり広くやっていただければということになると思うんですけれども。
  ワークショップ型の研修というのは、私がいろいろなところで伺うと、やっている学校というのは私は2割くらいじゃないかなと思うんです。まだまだやっているところはそんなに多くなくて、これは中学校の先生からじかに伺えるといいと思うんですが、そんなに普及しているわけではないですけれども、そういういい例がたくさんありますので、是非紹介していただければと思いました。
  失礼いたしました。どうぞ。
【石鍋委員】    今、市川主査と田中主査代理がお話しされたことについての感想めいたことと、あとその他幾つかお話をさせていただきます。
  まず、市川主査がおっしゃっていた学習の方法、学習の仕方が分からないでつまずいている子供が、実際に中学校でどうなのかというと、全くそれが一番大きなポイントだと思っています。学習の内容も分からないというのもあるんですけれども、ある程度内容が授業中つかめるんだけれども、じゃあ自学自習という形で家で主体的に学べるかとなると、先生、やり方分かんないんですというような形になっていく。そのため、ちょっと本校の例ですけれども、今年度から特に力を入れて学生ボランティアをかなり配置をしてもらっています。ただ、そのときに課題になるのは、やはり研修ですね。そのままお願いしても、それも効果はあるんですね。先生には聞けないけれども学生だから聞きやすいんですということで、とても楽しみに参加している子供がいるのも事実です。ですから、そこに少し研修の制度なんかが出来上がって、学生さんであってもそれなりの指導ができる、相談に乗れる。そうなってくるとかなり効果は上がっていくのではないか。その辺のことが組み込まれると非常によろしいかなと思います。
  もう一つは、教科を超えての研修ですけれども、これは私の主観で申し訳ありませんが、かなり中学校の世界で教科の壁が下がったなと感じてきました。それはどういうことかと申しますと、現行の学習指導要領で言われている言語活動。言語活動を一つのキーにするとかなり教科の壁を下げることができます。実際に校内研究の中でも、言語能力をどうやって身に付けようかとか、またそれをきっかけにして今言われている「主体的な学び」をどのように深めていくか。そうすると、教科の壁を越えても、あそこの話し合い活動ってこういうことなんじゃないですかという話し合いが持たれるという実践は、実は私の前任校でもありましたし本校でもございますので、そのあたりをこういった文言の中に組み込んでいただけるとかなり広がっていくかなと思います。
  あと、済みません、資料について何点かお話しします。
  まず、資料の1の1ページ目。3番「何ができるようになるか」の丸の三つ目なんですけれども、小・中・高、それぞれ学校段階で縦の流れで三つの柱を整理する、これは大賛成ですが、これは円滑な接続という視点。ただ、もう一つは、ほかで言われている教科横断型の横の串刺しですかね、そこの部分もこの文言の中に入れていただくとかなり厚みが出てくるんではないかと思っています。これが一つです。
  次は資料2ですけれども、是非とも強力に推進していただきたいのが2番の二つ目の丸。「カリキュラム・マネジメント」については校長のリーダーシップは当然ですけれども、教職員全員が参加する。ここの部分がキーを握っているんではないかと思っています。文科の資料の中にもカリキュラム・マネジメントは校長がやることでしょう?というクリックするといろいろ進める部分があるんですけれども、実は教員はカリキュラム・マネジメントは教員であっても教務主任とかのあたりの先生がやるもんだと思っていますね。ですから、この改訂を機に、ここの部分を大きく強く前面に打ち出すような文言を是非とも入れていただきたいというのが私の思いです。
  最後です。その下の資料2の1ページ目の6番、何が身に付いたかということの学習評価の充実の部分で、中学校が陥りやすいペーパーテストの結果を中心にした学習評価。これは現実問題、教員の中にもまだまだ強く残っておりますし、もう一つは実は保護者と子供たちの中にこれが大きいんですね。ここを何とか変えたいということで様々な評価方法、例えば今言われているパフォーマンス評価であるとか、ルーブリックを使うんだとか、ポートフォリオとか言われておりますけれども、なかなか広がっていかない現実があります。そこで、現行の指導要領でもこのレポート作成等も書かれているんですけれども、まだまだペーパーテストに頼る。ですから、そのあたりをペーパーテストは慣例からして全部取っちゃうということはできないと思いますけれども、やはりそれが主じゃないんだと。主じゃないんだよ、もういろいろな方法をミックスする中で学習評価をやっていかないと子供の育ちを見取ることはできませんよと。そういうようなイメージの文言、文をどこかに入れていただくと、中学校は大きく変われるんじゃないかなと期待をしています。
  長くなりましたけれども、以上です。
【市川主査】    どうもありがとうございました。
  じゃあ、順番にどうぞ。
【榎本委員】    今、石鍋委員から話があったことに付け加えることが一つと、それからまた別の視点で一つお話をさせていただきます。
  まず一つ目は、学習評価の充実のところで、確かにペーパーテストが中学校でまだ重視されている部分というのはあるんですけれども、随分改善されてきているのは事実なんですね。ただ、私どもが教員でやっていたころというのは相対評価でしたから、点数である程度切れるわけです。そうすると、どうしてこの評価が付いたのかというのは明確に説明ができるんですね。ところが、例えばレポートとかグループの話し合いとかというところも評価するんだというと、何でうちの子はBなのにあの子はAなんですかというようなことが当然問われてくるんですね。そのときに、なかなか説明がしづらいというようなところが結構あるんですね。ですから、正直言って今学期末になって成績が出たところというのは冷や冷やしている部分があります。必ず説明ができるような根拠を作れと言いますけれども、そう言いつつ本当にそれで説明し切れるのかなというようなのは正直ございます。ですから、やはりここに書いてあるような評価をしていかなきゃいけないんですけれども、やはりもう少し具体的に、どうしていけばいいのかというあたりも、それは我々がやらなきゃいけないことなのかもしれないんですが、示していただけるといいのかなと一つ思いました。
  2点目でございますが、個々の生徒の発達をどのように支援するかということなんですけれども、これは地域によって違うと思いますが、ここに書いてあることのほかに、それ以前の段階として、例えば貧困の問題とかネグレクトとか、養育放棄みたいなのが結構あるんですね。学校に来たくても来られないような家庭的な状況の子供もおります。そういう子供たちをどう支援していくのかというところも、個々の子供の発達を支援するためには必要かなと思いました。
  それから、もう一つは、外国人の子供。私は新宿区なんですが、新宿区では「外国にルーツがある」と言っていますけれども、そういう子供の支援をどうしていくのかというのも、今後重要だと思います。深刻なのは、例えば日本とほかのある国を行き来しているために、母語がないんですね。ですから、日本語もうまくしゃべれないし、ほかの国の言葉もうまくしゃべれない。うまくコミュニケーションが取れないしという生徒は結構いるんですね。ですから、そのような生徒に対する支援というのも必要じゃないかと思います。以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  じゃあ、帯野委員、どうぞ。
【帯野委員】    私、キャリア教育について発言したいのですが、後半の方がよろしいでしょうか。
【市川主査】    今の前半というのは、全体に関わることですので、その中でキャリア教育の話も入れてくださって結構です。
【帯野委員】    分かりました。キャリア教育に関してちょっと気になるのは、この全体の中に企業という言葉がないですね。キャリア教育に関しては、後半の9のところで「地域主体の教育活動」、この中で学びと多様な教育の活動を関連付けるというようなことで述べられておりますが、社会とのつながりというのは地域で学べてもキャリア形成をそこに含めるということになると、やっぱりどう企業を参加させるかというのかが大きな課題になると思います。
  私ごとですけれども、この2月に財界セミナーで次世代のための政治と教育と題する分科会の議長を務めました。主なテーマは公民権教育でしたが、その中では、公民権教育は高校からではなくて、もう中学校、小学校からやるべきだということと、選挙権付与だけの問題ではなく、広く社会を学ばせるということが必要なので、そのために企業としてできることが多いのではないかという意見がたくさんありました。実際に、出前講座等で教育に携わっている企業も多くあります。例えば金融であればどんなふうにお金を借りるのかとか、どんなふうにためるのかとか、これは義務教育課程を修了して社会で生きていくために非常に大切なことなのにも関わらず、今の公民でもそこに重点的に書かれている教科書は少ないし、企業でしかできないことだと思います。あとはIT関連の産業であれば人工知能がどう発達していくのか。これも将来の社会を予想するのに大事なことですし、何よりもグローバル教育。多国籍企業がどんなふうに意思決定をするか、どんなふうにいろいろな国の人が集まって物事を決めるのか、こういうことを企業が子供たちに学ばせている。グローバル教育については、キャリア教育だけではなくて、英語を勉強すればいろいろな仕事ができるんだなという、モチベーションにもつながりますので、大切なことだと思います。現にこういった活動がいろいろ行われておりますが、問題は、それはあくまで個と個、企業と学校の個と個のつながりであって、それがシステムとして回っていないこと。学校といっても私学が中心で、公立は企業がなかなか協力しづらい。問題は教育委員会で、公立の高校の学生に機会を与えようとしても特定の学校を推薦できないとか、特定の学生を出せないということになり、企業もアプローチが難しいのでそういうあたりで教育委員会が中心になって仕組みを作るということができればと思います。
  でありますから、何かそういうことが書き込めないかということが一つと、もう一つ気になるのが、地域という言葉で、どうしても地域となると狭義にとられがちで、県内、県下ということになります。そうした場合、企業の少ない地域、県もありますので、そこを例えば近隣の教育委員会同士でポートフォリオを作って共有するといった取組ができるように、まずはこの中に企業、あるいは「企業・社会」など、企業を意識するような言葉を入れていただければと思います。そして可能であれば教育委員会がその企業と学校を連携される役割をより強く推進するといった主旨の文言を一つ入れていただければ可能性が広がっていくのではないかと思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では、小室委員、どうぞ。
【小室委員】    ありがとうございます。
  今回おまとめいただいた資料2に「社会に開かれた教育課程」という形で、資料2の1ページのところでまとめていただいて文章にしっかり入ったところがよかったかなと思っています。特に、私たち人間に求められという3行目ですけれども「定められた手続きを効率的にこなしていくことにとどまらず、自分なりに試行錯誤しながら新しい価値を生み出していくこと」という、新しく求められていく社会ということを意識した定義みたいなものが入ったということは非常によかったかなと思っています。それから、上から7行目の後ろ側ですけれども、「社会や産業の構造変化の中で」と、それを強く意識してやっていくことが大事というようなところも入ったのがよかったなと思っています。
  この社会や産業の構造変化ということについて、一番教員が学ぶことが必要ではないかなと思っています。これについての、社会や産業の変化についてディスカッションする時間というのを教員がどれだけ持てているかということが、そもそも知人も教員だらけという方が多いですし、なかなか教員コミュニティーの中で生活をしていると接点が非常に薄くなってしまうと。先ほどから出ている、教科を超えてディスカッションすることが大事というような話がありますけれども、その題材にするのに一番いいのは、こういった社会や産業の構造変化ということを題材として、それに対して各教科がどういう変革を求められているかというようなディスカッションをすると、より本質的なディスカッションができるんではないかなと思っています。
  ここを教員がやっぱり腹落ちしていないとなかなかそれを授業の中に落とし込んで学生に納得いく形で教えるということが難しいのかなと。そのディスカッションということを教員もできていないことがすごく自信がない、ふだん子供に自信を持って社会を語れないというか、自分自身が一番そのことに疎いというような負い目があるんではないかなというのがあるので、当然そこに対して、例えば学校長がその題材を自分自身が勉強してきて提示してであったり、有識者を学校ごとに呼んで勉強会の講師をしてもらって新しい刺激をもらって、そこでじゃあ各教科についてディスカッションしようというような、後半は自分たちでディスカッションするであるだとか、そういう時間を持っていくことが本質的な教科を超えて子供たちにどういう先を見せていくのかということのまとまり、団結した形になるんではないかなと思っています。
  特に例を出すと、やっぱり今社会で必要なのはチームで仕事をするという仕方なんですけれども、勉強はほとんどの場合個人に評価が付くので、チームで成果を出すやり方というのを大学卒業するまでそんなにしっかりやらずに出てきてしまうということがあります。チームで仕事をするときの高い得点を取る方法と……、チームで高い得点を取る方法と個人で高い得点を取る方法って全然違いますので、それが余りのギャップに対応できないという、学歴は非常に優秀、だけれども会社に入るとうまくいかないというところはそこにあるのかなと思っています。
  例えば、本当に宿題もチームみんなでやるだとか、そういった大胆なやり方の変革をもっと起こしていいと思っているんですが、そういったことの発想が出てくるためには社会や産業がチームで仕事をする形に変わってきている、育児している人や介護している人たちがチームメンバーにいて5時に帰ったり午前中は来れなかったり様々な人がいるので、仕事は属人化させないでチームで共有して安定したアウトプットを出すことが大事な社会になっているというような、そういうことが分かってくると、一人の能力を極限まで高めるよりも周りに目を配って動けるということがどれだけ大事かとかということが分かってくるんじゃないかなと。そういった題材と勉強というようなことを、どこか私、今回1ポツなのか2ポツなのか、どこに入れるのかということまでちょっとよく分からないんですけれども、どこかにきっちり入れていかないと教員自身が変革するというのが難しいのかなと思っています。
  さらに言うと、こうしたことを実現する、8ポツに近いのかなと思いますけれども、実施するために何が必要かというときに、やっぱり教員が新しいチェンジやチャレンジを求められているのに事務作業に埋もれているという現状が今非常にありますので、事務の削減ということがこの後ろで当然やるんだよという形で入ってはいるんだと思うんですが、明確に書いて項目にしていくことが大事じゃないかと思います。イギリスでは98年には教員がやらなくていい仕事の一覧というのを出しているわけですけれども、それを今日本の教員が見ると自分の仕事の大半じゃないかと愕然とするというケースがあります。そこをしっかり明確化して、そうすると当然国としてそれをサポートする事務員にどれだけ予算を付けるかということも当然議論しなければいけないわけですけれども、そういうことをセットで発信していくということをしないと、新しい役割の増える一方なものというのはどう考えても教員はもうおなかいっぱいでこれ以上はやめてくださいというような、新しいことはできない気持ち、どんなに熱心にそれが大事と国が発信しても、受け取り手側が疲弊しているという状況というのは実現性がないということを考えますので、そこはどこかに明確に一言、そういった事務の削減を行っていって、それから業務には必ず優先順位を付けていってと。これは霞が関もそうだと思いますが、仕事は全て重要というふうに何も優先しないものはないという考え方がありますけれども、全て重要ですがやる時期の優先順位というのは必ず付けられますので、そういったその優先順位を付けて仕事をやるというようなことを、教員においてもそれでいいのだと、そうしなければ一番大事な授業準備という時間が今OECDの中で残業が一番多いけれども授業準備の時間が一番短いというデータが出ていますので、授業研究の時間がしっかり持てるためにはそうした優先順位を付けていくことが重要というようなことも明確に盛り込んでいくことが大事ではないかなと思っています。
  ちなみに、今とても画期的なんですけれども、静岡の教育委員会が中学校と小学校2校ずつ選んで実際に業務の改善を行ってどれだけしっかりと業務時間を減らすことができるかということの、本当に学校を選んでそこでやっていただくという試行が始まっていて、それを教育委員会がやっているというところがとても進んでいるなと思うんですけれども、そうしたことも起きてきているので、そことディスカッションしながら要素を入れていかれたらいいのではないかと思っています。
  最後にというか、全体についてなんですけれども、若干いつも戸惑うのが、今私たちは議論のどこにいるのかということがよく分からなくなります。もちろん事前に資料は読んでくるのですが、前回はどこまで進んだという認識なのか、次はどこに行くのかということがよく分からないんですね。できれば、今回の議論というのは、全体がこうで、そのうちのここにいますというところを、いつも作るポンチ絵みたいなものでいいと思うんですけれども、そういったものの中でまず1枚お示しいただいて、きょうはこれに何分、これに何分を掛け、次にはこのまとまった形になるというような示し方をしていただけるといいかなと。何となく、毎回、自分が欠席する会もあるからそう感じるのかもしれないんですけれども、あれ、何か同じことをやっている気がすると思ったり、何かこれが前回で終わったと思う議論のきょうはさらに何を求められているのだろうかと分からなかったり、非常に戸惑うことが多くて、何かそこがもっと、限られた時間なので活発に議論ができるような工夫がこの会自体でできると、それこそアクティブ・ラーニングじゃないですけれども、この会議をもっと活性化して発言しやすく、そしてさらに進んだ感というのを私たち全員が持てるような感じに工夫されていくといいんではないかなと思っています。以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。確かにひとあたり第1の議題についても意見を頂いたところでちょっと整理をして、今何をやっているのか、どこへ向かうのかということは整理した上でさらにまた少し議論を続けていきたいと思います。
  貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】    ありがとうございます。事務局から丁寧な御説明を頂きましてありがとうございます。
  御説明を資料2の横で、資料3を議論の内容を眺めながら聞いていまして、ちょっとこういうものも盛り込んでいただければなという細かい点が3点と、あとちょっと自分でもどういうふうに具体化していったらいいのか分からないのですが、もし御検討いただければと考える点を1点申し上げたいと思います。
  まず、細かい点からですけれども、6ポツの1枚おめくりいただいて2ページ目の上から白丸の二つ目に「学習指導要領改訂の趣旨を踏まえ、高等学校入学者選抜の質的改善が図られるようにする必要がある」という文言がございますが、議論の中には、また私の認識といたしましても、高校入試の先に大学入試があり、やはりそこが変わらないと高校入試も変わらず中学も変わらないという構造があろうかと思います。また、子供たちもやはり大学入試ということを見据えて、これまでの伝統的な学習に固執する、又は中学の先生もやはりそこから抜けられないというところがあろうかと思いますので、ここに大学入試というものもしっかり加えていただく、大学入試及び高等学校入学者選抜の質的改善が図られるというふうに御検討いただければと思います。
  また、2点目は、7ポツの生徒指導のところについてでございます。市川先生も先ほど学ぶ学び方が分からなくて勉強が分からないから困っている子供たちが非常に多いと。それがひいては生徒指導上の問題に結び付いていくというところがあろうかと思います。逆に言えば、授業が分かり達成感が得られれば生徒指導上の問題も相当程度解決するということであろうかと思いますので、この生徒指導のところに「特別活動における学級活動をはじめ学校の教育活動」というふうに書かれていますけれども、学習指導も生徒指導と両輪なのだということを強調するのに、学習指導も含めというような形で書いていただくということも検討いただければと思います。
  あと、その下の個に応じた指導という点で、私、ここの部分大変重要だと思っているのですが、この文章だけ読みますと新しい時代に必要となる資質・能力の育成の三本柱のうち、知識・技能の習得についてのみ個に応じた学習であるとか補充的な指導であるとか、補習的な指導が必要だというような誤読をされかねないかと思います。むしろ、さっきの時間に申し上げましたけれども、思考力・判断力・表現力とか学びに向かう力の方が差異が出るのではないかと大変危惧しておりますので、そういう点についてもむしろ補充的な指導が必要だということが分かるように書いていただければと思います。これが細かい点の3点でございます。
  もう一つの点は、きょうは育成したい資質・能力の三本柱をまたポンチ絵で御確認いただいているわけですけれども、この資質・能力を身に付けて、やはり最終的に社会や自分の周りの事象に当事者として課題意識を持ち、自分もできるからと思って真剣に考える力、これが子供たちに付いてほしいということだと思います。ということになると、中学でこういう資質・能力が身に付いている段階でも、あ、できるようになったということを実感する仕組みがあってほしいなと思うんですね。漢字とか英語の単語は繰り返し学習をした、点数が上がったと達成感が得られるわけですけれども、また通知表の点数がよくなったというのがあると思うんですが、教科にとどまらず、あ、僕この能力が上がったかもしれないということを実感できるような仕掛けを考えていただければと思います。それはまた一つは、先ほど小室委員がおっしゃったように、チームを評価するというのも一つあると思うんです。個に評価を結び付けるのではなくてチーム活動、チームで評価する。全く別の部会で、教員もすごくうまくやった学校を学校チームとして評価してボーナスを出すというのはどうですかと申し上げたことがあるんですが、やはりチームでできたというのが今後非常に付けてもらいたい能力だと思います。そのあたりをちょっとアイデアは出ないんですけれども、何かちょっといい形でまとめられればなと思います。以上です。ありがとうございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  山中委員、どうぞ。
【山中委員】    済みません、私の方から2点特別支援教育についてと、1点小学校の立場からということなんですけれども。
  一つは資料2の7ポツのところにある個々の子供の発達をどのように支援するかということで、キャリア教育、生徒指導、個に応じた指導、特別支援教育ということなんですが、確かに特別支援教育として今特別支援教育部会で多様な学びの場の中の特別支援学校や特別支援学級の教育課程のことですとかそういうことを話をしているわけなんですけれども、ここの丸1「通常の学級に在籍する障害のある生徒の学習上の困難に対する指導の工夫例を示す」とありますけれども、特別支援教育をやっぱり充実させていくに当たって、特別支援教育というのは別物というんですか、キャリア教育や生徒指導、個に応じた指導とかと別物ということではなくて、やっぱりすごく相互に関連していて、キャリア教育や生徒指導、それぞれ個に応じた指導とか進めていく中で、こういうふうに障害のある子も含めていろいろな子供にやっぱり配慮をしていく、そして例えば到達目標を変えるとか、いろいろなことをしていくことがやっぱりベースにあると私は思っています。なので、特別支援教育についての特別支援教育部会でやっているからということではなくて、やっぱりこの中でもいろいろなものがうまくいくためにはベースにあるという考え方をどこかにうまく入れていただけないかなと思っています。それが1点目です。
  それから、2点目は、いろいろ配慮が必要だということで、多分小学校や中学校と、小学校の方の学習指導要領と今までそういった障害のある子の配慮なんかのことは同じ書きぶりなんですけれども、中学校の先生方もいろいろ感じているとは思うんですが、そういった配慮が中学校は中学校で思春期の子供たちを相手にするにしたらなかなかいろいろ難しくなったりしているんですね。なので、中学校としてのそういった配慮の仕方、ちょっと小学校とは違う書きぶりのようなものを入れていただければなというのが2点目です。
  3点目は、済みません、私ちょっときょう途中で出なければならないので、全体の方に関わってくるところなんですけれども、これは特別支援教育ということではなくて小学校としてなんですが、私はもともと中学校の教員で今小学校の校長をやっているので、すごく両方の違いというかそういうものを実感しているところなんですけれども、それぞれ同じ子供がずっと成長していくわけなんですが、やっぱり小学校と中学校がかなり学校の考え方とかも違う。それぞれもちろんいい部分があるわけなんですね、小学校は小学校、中学校は中学校で。そこのところがやっぱりうまく伝わっていない、互いに伝わっていないなというところを感じています。
  もちろん、ここの最後の学校段階の接続というところにも書いていただいているんですけれども、やっぱりここのところをより強調していただくことは今後必要なのかな。結局それが必要なので、小中一貫というような制度を取るところも出てきているんですけれども、もうちょっと小学校と中学校の連携が進むといいかなと思っています。以上です。
【市川主査】    ありがとうございました。
  ほかの委員の方、いかがでしょうか。
  では、内田委員、どうぞ。
【内田委員】    今、いろいろなお考えを聞きながら、やはりそれぞれまた自分のところと違うような状況というのがたくさんあるんだなというのを改めて感じました。もともとやっぱり授業で勝負するというのは、多分教員とすれば教員は何ですかと言われたときにやっぱり授業で勝負しますということをすごく今までそういう先生も多かったし、それも本当だろうと思う。でもそれが今授業で勝負して子供たちが分かった、よかった、楽しかった、また学校に来たいというその基本的な部分、生徒と先生の信頼関係の部分というので、やっぱり一つは授業で勝負するという先生、そのよりどころがこの今の学習指導要領に出てくると思います。これまでも学習指導要領のところ、その時代を背景にしていろいろな方針が変わりながら、今度は具体的に。それを先生方が研修しながら、少しでも子供たちに分かるように、その工夫をして今日来ていると思います。だから、現在の指導要領のところでも、先ほど石鍋委員さんがおっしゃったように、言語活動を取り入れてやりましょうという中で、中学校の先生方も教科は違っても言語活動を授業のどこで入れていくのかと、そういったことというのは、教科が違っても十分話ができてすごく進んでいく。先ほど、市川主査さんおっしゃったように、そういうのが進んでいる学校は確かにいいですよねというようなこともおっしゃったと思うんですけれども、そういうのが広がっていく仕掛けといいますか、これが地域性といいますか地域によっても変わってくるのかなと。
  例えば、学校ともう一つは塾も、学校で補えないところを塾で補うみたいな発想は、これは割と東京とか大阪とか都会はそういう発想が僕はあると思うんですけれども、逆に田舎の方に行くと、そうじゃなしに塾へ行かなくても先生方は力をしっかり子供たちに付けさせたいですよ、だからこれがあるんでしょうと。これをしっかりやっていけば子供たち大丈夫ですよ、保護者にもしっかり説明しながら頑張れる状況。これはそれぞれの地域によって温度差はあると思うので一概には言えないけれども、そういったところもあって頑張っているところもあると。だから、そういったいろいろな状況の中で先生方が指導要領を使って今の子供たちに、将来の日本の子供たちに一番いい教育をということを考えていると思うので、きょうもこういったいろいろな御意見、おまとめを見させてもらいながら、本当にいいこういった指導要領の部分ができていくんだなということも一緒に感じさせてもらっています。ちょっと感想も含めでですけれども。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では、山口委員、どうぞ。
【山口委員】    済みません、遅れて参りまして、申し訳ありません。
  一つはもしかしたら今まで議論があったところと重なってしまうところもあると思うんですけれども、個々の子供の発達をどのように支援するかというのは本当に中学校はすごく重要だと思うんですけれども、個に応じた指導というところで、学びを確実にする基礎的な学力をきちんと身に付けさせないと、その先に進んだときに、多分これは小学校でも言えると思うんですけれども、遅れていってしまってついていけない、おもしろくなくなる、もしかしたら問題行動に走ったりという負の連鎖になっていく部分もあると思うんですが、一方で、今内田委員さんもおっしゃったように、塾なんかの場合はどちらかというと学力が足りない子もありますけれども、伸びている子に対してのフォローというのがすごくあるんじゃないかと思うんですね。特に、東京、都会なんかの場合には。
  つまり、個に応じたというときにどうしてもついてこれない子たちを何とかフォローアップしましょうという議論はされるんですが、日本はどうしてもエリートを嫌うというか、中学校ぐらいからすごくこの教科に関しては、この分野に関してはすごく伸びている子というのがいて、そこはアベレージに、みんなと一緒にやりましょうと。できているんだけど我慢してここでやっていなさいと言われると、何となく学校の授業がおもしろくなくなったりと。特に、私立中学なんかはそのぐらいのレベル、レベルに応じた学校が選べますけれども、公立高校の場合にはレベルが様々なので、そのあたりをきちんと、上も生かす、下も上げていくという感覚がもしかしたらもう少しきちんと書き込まれて、個に応じたというところに……、どうしても個に応じたと書くと拾い上げる方をなんとなく連想するので、上を何とか生かしてほしいなと思います。それがまた日本がこれからグローバルな社会で生きていく一つの課題でもあると思っています。
  それからもう一点。生徒指導のところにも書いてありますけれども、教師と生徒の信頼関係、そして生徒みずからが判断、行動しというところなんですが、ここも私は中学校世代というのは非常に難しいと思っておりまして、大人にもなり切れず子供でもない。ここのところで先生たちが押し付けると反発する。でも、きちんとしつけも含めて教えていかないとできない、分からない、判断できないところもあるということで、ここのところは本当に先生方の資質・能力といいますか、それこそ個に応じたところの、家庭環境もバックグラウンドとしてありますので、やはりそういったところがますますこれから多分難しくなってくると思うんですね。
  先ほども申し上げたように、やはりこれから世界に向かって羽ばたいていくような子供たちを作っていくとするならば、やっぱり「はい」しか言えない子供を作っていくということは本意ではないと思うんですね。ただ、やはり先生としては、どうしても刃向かうじゃないですけれども、何かこう物申す子は押さえつけたくもなると。ここの日本の独特な、今まで歴史的な背景の中で培われてきた文化とか背景のところをどう教師が、あるいは学校が乗り越えて、いわゆる一般的ないい子ではなくて、それこそ個の能力を生かしていくかというのは、何とも言えないんですけれども、そのあたりのところがやはり次の時代に向かっていくためには、もしかしたら日本が越えなければいけないところだと思いますので、何とかそれがメッセージとして伝わるような書きぶりは、ちょっと私もアイデアがないんですが、期待したいと思います。
【市川主査】    ありがとうございます。今の山口委員の最初のお話ですけれども、たまたまですがこの前の第9次の再生会議から出てきた話と相当通じる話があって、初等中等教育分科会でも紹介されたものですが、全ての子が伸びるように、それを社会全体で考えていくという教育にしないといけない。その中で具体的に私はかなり今度強調されたなと思ったのが、かなり能力の高い子供、学校の授業だけじゃ物足りないという子もいる。それから、学校の授業でやることとは違うような多様な興味を持った子もいる。そういう子供たちを伸ばしていくということも考えないといけないというのはかなり強くうたわれていて、それだけ強くうたうのでしたら予算はどうなるのですかという話も出ましたが、私もそのときちょっと発言したのは、それを全部学校でというのはもちろん無理なので、社会全体でというのでしたら、やっぱりそこに地域教育であるとか民間企業の力というのが入ってくるのだろうと。つまり、教育課程内で全てをやるのは無理なので、むしろ学校の外でそういうことができるシステムを作って、そこに子供たちがどんどん参加できるようにという。今でも実際あることはあるんですね。かなりある、ゼロから始めるというと大変ですが、そういうことをうまく子供たちや保護者にも知らせて、そして参加を活性化させるような仕組み。
  これは実はもう10年以上前になりますが、人間力戦略研究会の内閣府にできた中で、授業外学習ポイント制度という、子供たちがスタンプカードを持って地域のそういうプログラムに出ると。スタンプラリーのような感覚で地域のいろいろなプログラムに出ましょうというものなのですが、そこには企業の方がやってくださっているプログラムもあります。例えば、金融教育が大事だというと、ある銀行が、これは文京区ですけれども、○○銀行というところがそういう金融教育的なことをやってくれたり銀行の仕組みというのを子供たちを集めて中を見せてくれたりと。これは学校を超えてやっていることなんですね。先ほど帯野委員がおっしゃったんですけれども、どうも学校というのは企業に対して非常にガードが堅いところがあって、何で特定の企業が入るんですかとか、保護者や先生からそういうのが出てきたりして。教育委員会が特定の学校を推薦するというのも非常にしにくいところがあると。ですから、私はむしろ広い意味での地域ですね。民間団体も大学も民間企業も、私は広い意味での地域だと思っているんですけれども、その広い意味での地域がいろいろなプログラムをやっていただいて、こんなにたくさんあるんですよということを子供たちに知らせるということくらいだったら学校は協力してくれると思うんですね。地域にこんなプログラムがたくさんあると。特定のプログラムだけというとなかなかチラシをまいてくださいとか言っても学校はガードが堅いですが、そういうことを知らせてそして推奨できるというのを私たちは10年間やってきたんですけれども、いろいろな形でそういう地域教育の活性化というのを図っているところがあって、その中で例えば特別な興味とか特別な能力を持っている子供たちも参加できるプログラムがあるとか、大学もそういうのを提供することができます。企業もそういうものを提供していただいて、子供たちが学校教育以外の場で活躍できるように。
  このあたりは中学生、高校生にとって私は非常に大事だと思っているんですが、やってみると残念なのは小学生は非常によく来てくれる。中学・高校生になると参加者が激減するという。ポイント数というのがはっきりしますので、ポイントを取ると認定証というのを私たち出してよく頑張りました、また次のポイントを取って頑張りましょうというんですが、もうポイント、認定証の枚数を見ていると、もう明らかに小学生はよく来るんですが、中学生、高校生は来なくなる。なぜかと言うと、とにかく塾と部活、そっちが優先になってしまって、部活の問題はこれからも出ますが、なかなか来てくれないんですが、実際にはすばらしいプログラムが地域にいっぱいあるんですね。それをどうやって活性化するかということが、中学生、高校生にとって私は大きなテーマになるかなと思っています。
  時間が60分くらいたったんですけれども、一応先ほど小室委員からも御意見があった、一体私たちはどこにいて何を議論しているのか。事務局からも、私の理解もあるんですけれども、ちょっと簡単に私が概略を申し上げてから補足をお願いします。
  10年に1度の学習指導要領の改訂ですが、諮問がありましてこの議論をずっと続けているわけですけれども、とりあえず大きな議論の方向というのは、教育課程部会の中の企画特別部会ですね、ここでかなり1年近くにわたって議論をしてきて、昨年の8月にはその論点整理というのが出ました。その以前にもいろいろあるんですが、私は論点整理というのは一つの大きな節目だなと思います。実際そこで強調されているのがカリキュラム・マネジメントであったりアクティブ・ラーニングであったり、それによってこれからの子供たちの資質・能力を育てていくというようなこともかなり強くうたわれました。ですから、以前ですと学習指導要領改訂というと、どの学年で何を教えるという内容的なものの調整というのがかなり時間を占めていたわけですけれども、あと教科としてどんなものを作るとか作らないとかですね、内容を何を入れる入れないとかいう議論が多かったのに比べると、今回は資質・能力を伸ばす、そのためにはアクティブ・ラーニングというような方法がかなり入ってきたというのが大きいところかと思います。そして、それが各教科のワーキンググループにおりていって、各教科の中ではどういうことを考えるかという議論がなされていたと。
  その中で、今年度に入ってから開催になりましたけれども、小学校部会、中学校部会、高等学校部会という、教科横断的な横割り部会というのがあるわけですね。つまり、学校種ごとの委員会というのがあって、特定の教科のことだけを詰めて議論するというのではなくて、むしろ中学校として教科横断的に考えること、それから中学校特有の問題、この部活というのもきょう後で入ってきますが、そういう中学校特有のいろいろな問題というのをやっぱり出してほしいと。それを総則に反映させて今度の学習指導要領改訂の理念とか、各教科を超えた大きな問題というのをその中で主張していきたいという流れにあるのだろうと思います。
  たった4回しか開かれませんので、もうきょうが3回。4回でこれは終わりなんですよね。まとめの形としては、総則の部会と、小学校、中学校、高等学校の部会が一緒に取りまとめというのを書く。その中に共通する問題とそれぞれの学校種特有の問題というのを出していく。これが全体像ですね。1回目には、とにかく中学校が抱えている問題というのを、今日的な問題もあれば昔から抱え続けている問題、これからも抱え続けるであろう問題というのも含めて、とにかく中学校の問題を洗い出してくださいということで小グループに分かれて意見を出し合って、それを各グループから発表してということを第1回目に行いました。その上で、それを少し整理していただいて第2回目の話し合いがあって、きょうが第3回。結局、ある程度事務局の方で集約していただいてはそれを補足したり膨らませたりするというのがきょうの位置付けだろうと思います。ここはもっとこういうことを盛り込んでほしいとか、あとこういうことはちょっと抜けているんではないかと、中学校の大事な問題なんですが、やっぱり出しておいてほしいというようなことを補っていくというのが特にきょうの問題、テーマだと思っているのですが。
  どうでしょうか、大杉さんの方から補足をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。主査から御説明いただいたとおりでございまして、少しスケジュールも含めて細かく申し上げられればと思います。事務局からの全体を見通した御説明が不十分で大変申し訳ありませんでした。
  学習指導要領の議論でございますけれども、中学校は2021年の4月1日からの実施ということを目指して全体像を仕上げていく必要があるという議論でございます。そういう意味では、一つの課題に対して答えを出してすぐ実行していく、また次の課題に答えを出して実行していくというプロセスではございませんで、2021年の4月1日に向けて議論の全体像をしっかりと、これで全て満遍なく網羅されているというものを作り上げていくというような作業であるということは御理解いただければと思います。
  それが具体的に今後どうなるかなんですけれども、全体の答申の手前の段階となる審議まとめというものが教育課程部会で夏の間にまとめられるということでございます。そのためには、中学校部会の議論を次回、一番最後に御説明させていただきますが、7月1日を最終回とりあえず予定させていただいておりますけれども、7月1日の段階で本日の資料の1の構造が全て文章化されたものをごらんいただき、中学校部会での議論が満遍なく反映されているかどうかということを最終確認を頂くというのが7月1日の段階になってまいります。
  本日お願いしたかったのは、その資料の1の文章的なものをまとめていくに当たって、大きな論点として抜けている視点がないか、あるいはさらに付け加えていく視点がないかということを資料の2をベースに御意見を頂く――もう既に先生方お察しいただきましてそういう議論を前半していただいて大変ありがたく存じますけれども――ということが今回の議論の趣旨であるということを、済みません、冒頭に申し上げるべきでございましたが、御説明をさせていただきます。ありがとうございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  その上で、第1の話題というのは一応締めるのですが、私がちょっと抜けているかなと思っている話題、きょうはもう無理だと思うんですけれども、一つは中1ギャップというのがかなり国民の間にも定着しているキーワードだと思っているのですが、これは小学校と中学校の接続の問題だと思うんですけれども、環境面、心理面、学習面、いろいろな意味で中学1年生がかなり小学校のときとギャップを感じている。これをどうやってもう少し、何ていうんですかね、溝を埋めていくか。もちろん組織も違いますし先生も違う。当然発達段階も違うし、ある程度のギャップはあって当然だという御意見もあるんですが、それにしてもちょっと余りにもこのギャップが大きくて混乱を招いている。
  今、私と貞広先生も出ている委員会で、小中一貫ですね、特に小中一貫、小中連携と言われているようなことがかなり文部科学省の方も推進しようとしているんですが、実際委員会の中でもお互いに話をしてみるとどうもうまくいっていないところが多い。その中で、この中1ギャップというのもかなり大きな問題ですので、これを中学校部会でもどう考えるのかということですね。
  それからもう一つは、道徳教育の話題が余り出てないのですけれども、今度教科化されるということで、ただしこれまでのような道徳を中学校でやっていたのではどうもだめであろうと。これがかなり専門ワーキンググループでも言われているようで、答申の中でもそういうことが出ています。どちらかというとこれまでの道徳が徳目を徹底させるというか悪く言うと押し付けていくようなものになりがちだった。小学生はまだそれでも素直に聞いてくれる面があるのですが、中学生になるととてもそれではやっていけない、中学生自体がどうも道徳の時間をおもしろいと思っていない。先生も保護者もあまり実は道徳の時間に期待していないというような問題も指摘されて、今回はかなり方向としてもむしろ多面的、多様な価値観とか、考え議論する道徳とかこういうことが相当打ち出されてきました。これはすごく大事なことだと思うのですが、全ての先生が道徳教育に関わっていくということになると思うんですけれども、その割にじゃあどういう道徳でということを余りこの部会では議論されてなかった。ちょっとかなり特殊な問題になるかもしれませんが、そのあたりはちょっと話題として中学校にとっては大きな問題だと思うんですが、出てこなかったかなと思う点です。
  ほかにもおありかと思うのですが、時間からいってもこの次の部活の問題というのもさらに大きいので、部活のことに進んでよろしいでしょうか。
  それでは、二つ目の議題ということで、資料1の9ポツですか、中学校における諸課題への対応。ここで事務局から説明をしていただく、その中で部活をというようなことをお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、資料2と資料6に基づいて、先ほど申し上げましたように、抜けている視点がないかどうか、さらに付け加えるべき点がないかどうかという視点でごらんいただければありがたく存じます。
  また、主査から御指摘ありましたように、道徳と英語につきましては明記はしておりませんで、これは中学校部会の議論をしっかりワーキングの方につないで御議論をしていただきたいと思いますので、本日主査から頂きました御意見も考える道徳のワーキンググループにしっかりとつながせていただきたいと思います。
  それでは、資料の2の3ページ目でございますけれども、(1)教育課程外の学校教育活動や地域主体の教育活動と、教育課程の関係でございます。少し資料の6の1ページ目の図をごらんいただきながらと思いますけれども、次世代を担う子供たちに対してどのような資質・能力を育むのかという目標を、地域社会と学校が共有して協働していくということが重要である。これは年末の答申に添付された資料でございますけれども、教育課程の議論においても同様のことを考えながら実施していく必要があるということでございます。
  資料の2の(1)の一つ目の丸でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」を実現する観点から、丸1、丸2、丸3でございます。丸1、授業での学びと教育課程外の多様な教育活動を関連付けていくということ、それによってキャリア形成の可能性に触れながら自分の興味・関心を深く追及する機会を実現していく、人生を切り拓いていくために必要な資質・能力を育成していくということ。また、丸2、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、教育目標を共有しながら共に活動するという協働関係を築いていくことの重要性。丸3には、教育課程外の活動につきましても授業で重視している「主体的・対話的で深い学び」の重要性ということを共有していく必要があるのではないかということ、そしてそういった「主体的・対話的で深い学び」の重要性ということが共有されますれば、子供たちの学びとキャリア形成の関係性を意識したり、あるいは短期的な学習成果のみを求めるのではなくて、資質・能力という観点で共に考えていったり、特定の活動に偏ったりすることのないように実施形態や時間ということもおのずと考えられるということになってくるのではないかということが(1)でございます。
  (2)は特に話題となっております部活動の取り扱いについてでございます。一つ目の丸は、現行学習指導要領の定義でございます。こうした部活動、異年齢との交流の中で人間関係の構築、あるいは自己肯定観ということで教育的意義が高いということでございます。一方で、そうした教育が部活動の充実の中ということだけで図られるのではなくて、学校の教育活動全体を見渡しながら実現していくという視点も重要であるということでございます。
  特に、部活動について先ほどの(1)の視点を踏まえながらということでございますが、4ページ目にございますように、部活動についても、先ほどの「主体的・対話的で深い学び」という視点を共有していってはどうかということでございます。例えば、山口主査におまとめいただいた保健体育科におきましては、運動やスポーツについてその意義や特性に着目しながら、自己の適性等に応じて「する・みる・支える・知る」という多様な関わり方について考えることということが大事であるということでおまとめを頂いているところでございます。例えば、運動部活動においてもこうした見方・考え方を共有して生かしながら、競技をすることのみならず多様な関わり方、そして生涯にわたるスポーツとの豊かな関わり方を学ぶような指導が求められるということを明確にして言ってはどうか。これは文化部にも同様のことが言えると考えられますけれども、こういうことでどうかということ。また、丸2のように、部活動の時間のみならず、子供の生活や生涯全体を見渡しながら、バランスよく成長や生活に配慮できるような、例えば休養日や活動時間、これは既にいろいろなところで議論されておりますけれども、こうしたことを教育課程の意義ということと関連付けながら考えていってはどうかということ。また部活動の展開、教員の負担軽減の観点も配慮しつつ、地域との連携ということ、生徒にとっても多様な人と関わるような経験の場となるように工夫を行っていってはどうかということでございます。ごらんいただきまして、不足な点等、御発言を頂けたらありがたく存じます。
  また、(3)は、学校段階間の接続ということで既に幾つか御議論いただきましたけれども、近隣の小中学校における合同連絡会や研修会、保護者会等々を通じて、指導の在り方や児童の実態ということについて相互に理解を深めることが必要ではないかということでございます。これらについて、こういう点も加えるべきというような視点を是非ご提言いただけましたらありがたく存じます。よろしくお願いいたします。
【市川主査】    ありがとうございます。
  それでは、御意見いかがでしょうか。
  じゃ、時間がもったいないので、私、しゃべっちゃっていいでしょうか。今日は村川委員がいないので、私が穴埋めにしゃべります。
  部活なんですけれども、これは中学校の積年の問題で、大体御意見が両極端あって。一方では、とにかく戦後部活というのは大変大きな役割を果たしてきたと。これはもう事実なんですね。部活を楽しみにという中学生はいっぱいいますし、部活に参加することが大変教育的な意義もあると。学校の先生も日本の中学校では物すごく部活を熱心に指導してくださる方がいっぱいいると。とにかく学校からもう部活は切り離せないしますます充実をというのが一方の御意見ですね。
  ただ、部活があることによって先生が大変忙しくなるとか、土日も含めて指導が大変とか、かなり部活で疲弊してもらってなかなか授業準備とかそっちの方にエネルギーが回っていかない先生も出てしまうとか、いろいろな問題が指摘されてもいると。すると、逆の一方では、もう部活は学校ではなくて社会体育とかこういう文化的な分を社会教育の中に含めていってそっちに委ねていけばいいではないかという御意見が、別の一方ではあるわけですね。
  結局、この二つの意見の中で、なかなか折り合いがつかなくてどうも決着を見てないと。私は多分決着という形でつけるのは無理だろうなと思っています。ただ、その一方で何が起こっているかというと、部活が立ち行かなくなっているという学校がいっぱい出ているということですね。一つには少子化。とてもチームスポーツができない、野球は9人そろわない、サッカー11人そろわないとかですね。ブラスバンドとかとてもいろいろな楽器の人が集まらない。これが地方でも起きていますし、東京のど真ん中ですね、私の大学のある文京区ですが、学校選択制のこともあるし、私立にたくさん行ってしまうということもあって、1学年が10人とかそういう中学校が出てきています。するととても部活にならない。
  そういう部活が立ち行かなくなる、子供にとっても選択肢が非常に少なくなってしまって不利益を被るという時代で、やっぱり20年後くらいを考えると、今の形で学校が運営主体となってやっていく部活というのはどこかに無理があるのではないかなといろいろな面で思っています。ですから20年、30年後を考えると、私は部活は運営主体はむしろ教育委員会とか自治体の方が運営主体で、場所は学校をお借りすると。先生にももちろん部活指導員として参加していただく。地域の方も部活指導員として。で、一緒に参加して連携しながら部活を運営していくというような形。いきなりは無理だと思いますが、何かそういう形で子供も自分の学校ということにとらわれず、何か好きなことができるという場があるという形に持っていくのがいいかというか、それしかないのではないかなという気がしています。
  ただ、とにかくいきなりは無理ですので、ここにありますように、とりあえず今回の改訂で、前回からそうなったわけですが、学校の活動であると位置付けると。これは自主的・自発的に参加するもので、子供にとって必須ではない。先生にとっても部活指導が必須ではないけれども、でも学校の活動として位置付けると。そこに少しずつ、やっぱり地域の方たちの参加を促していくという形で実質的にはかなり一緒に話し合いをしながら進めていく。部長とか監督というのをやっている人も、ある学校では地域の人、ある学校では熱心な先生がやるというような形で、一緒にやっていくというような形を導入して、自治体もそれを支援してくださるといいなと。
  今でも合同部活になっているところもあります。合同部活だと何か試合に出にくいというところがあるわけですが、これも何とかしていただいて、どういう形の部であっても中学生であればちゃんと試合に出ることができる。学校単位でなくても出られるというようなルートを作っていただいて、やはり地域と学校が一緒になって運営していく部活というふうになるといいのではないかな、今回何かそこに向かって一歩前進できればいいのではないかなと、全く人的にですが、思っております。
  小室委員、いかがでしょうか。
【小室委員】    ありがとうございます。最初にこの3ページの9ポツの、諸課題への対応というところを読み上げてくださったときに、何ていうか部活動のところの何が問題で何をどう改善すると言っているのかがよく分からなかったというか、ものすごく回りくどく書いてある感じがしました。結局、もともとはどうで今後どうなるんだっけ、つまり変更点とか今後どう改善していくということなのかがよく分からないなと思ってたんですね。で、その後、今市川先生のお話を聞いて、あ、その両派いるから決着がついていない話題だからどちらにも配慮するとこのよく分からない感じになってしまうのであろうなということがよく分かりました。結局何か改善していくときには課題点がはっきりしないと、その課題をどう改善するかということが分からないわけですけれども、やはり今課題か課題じゃないかすらも合意ができていないわけですよね。だから、うまく進まないという形なのかなと思いました。
  両方の考え方があることというのは、本当に理解できます。私は企業をコンサルする中でいつも感じるのは、やっぱり残業は必要だという論と、そうではなくてという論とというので、すごく似ているんですよね。そこで培われるこういうものがあってというような考え方と、いや、それをできる時代ではないという考え方と、非常に似ているなと思っています。今、市川先生がおっしゃっていた点で一番共感するのは、やっぱりゆくゆく成り立たなくなるという前提に立って考えなくてはならないという点で、これはほんとうに残業もそうなんですが、今後労働力人口も減っていき、基本的に少ない時間で成果を出さなきゃいけないということを追求していかなきゃいけないという、もう行き先を考えると、今からそれでできるやり方に切り替えていくしかないということなんですけれども、部活においても成り立たなくなる、学校という単位ではですね、学校の中でブラスバンドを作ろう、野球チームを作ろうとすると成り立たなくなるということはもう分かってきていることなので、それを超えてもやり得る継続性のあるやり方に今から変えていくという考え方というのを一つこう、そうすると両方が立つんじゃないかなと思うので、そういう考え方に整理していくと、とにかく一歩前進ができるんじゃないかと思っています。対立しているように今一瞬見えていますけれども、でも、どちらも分かっていることは子供が減っていく。数として成り立たなくなるということに関しては、多分合意できる話だと思いますので、それを考えると学校内にとどめずにできる方法に一歩を進めましょうということは合意できるんじゃないかと思っています。
  それからもう一つ、入れるべきかなと思うのは、やっぱり先生の多様性も認めなくてはならないというところで、運動も得意、授業も得意というようなオールマイティーな先生ばかりではなくて、先生に様々な多様性があり、そこにも権利もありというので、学校の部活の顧問をやるやらないの選択肢というのは、やはり先生にきちんと認められなくてはならないですし、保護者の立場からすると、本当に苦手なのにやってくれなくていいと思いますし、子供にとってそんなにプラスじゃないとやっぱり思います。そこは技能の高い外部に任せたいという、正直言ってそういうふうに思うという保護者もやっぱりいる。これは両方あると思います。先生にやってもらいたいという保護者もいると思います。
  そうしたいろいろな中で考えると、一つはそこを学校単位で成り立たなくなってくるというときに、外に出していこうとすると、じゃあそこで何かしらのコストが掛かってくる、外部の何かしらのスポーツを教えてくれる指導者を雇うんだとするとそこにコストが出てくるので、そのコストみたいなものをどういうふうに考えていくのかという考え方は、これは文科省の方から出していかなくては進まない話なので、そこをしっかり何か考えていくということであったりだとか、それからこれは多分暗黙ルールでなんだと思いますけれども、進んでいる企業において外部の指導者にお願いをしても結局教員がついていかないといけない現状、安全管理上という形で結局はついて行っている現状というのがあるようで、残業削減には全然なっていない、休日出勤が減っていないという現状があります。そういった外部の指導者がいても、試合に行くときなどはほとんどついていかなきゃいけないであるとか、休日に外部指導者だけで練習をやるわけにはいかないだとか、いろいろな事実上の制約があって結局は任せ切れてないというのが、今移行しようとしている企業が抱えている課題に見えるので、そこの考え方の整理のガイドラインを出してあげて、こういうことができていれば教員が必ずしも付き添っていなくても認められるというようなところで一つ保証してあげるというようなことをするというところは、現実的にもう一歩二歩進められるのではないかなと思うので、そういったところの検討をまた書き込んでいただければと思います。以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  ほかに、いかがでしょうか。
  どうぞ、山口先生。
【山口委員】    部活動の議論は今に始まったことではなく、比較的以前から議論は進んできて、少しずつありようが柔軟に考えられ、学校の負担軽減にも、少しずつではありますけれども、進んできている部分はあると思うんですね。ただ、やはり子供の数の激減といいますか減ってきていることもあって、緩やかな対応ではなかなか対応しきれなくなっているところ、それから大人もそうですけれども、子供たちの好みだとか考え方とかというのがやっぱり多様化していますので、またスポーツ種目なんかも増えていますので、そういったところへの部活動の対応なんかも求められて、なかなか簡単にはいかない現状があると思います。また、やるかやらないかという100かゼロかという議論はなかなかしづらくて、日本の体育スポーツの歴史から言いますと、競技スポーツも含めて学校体育が担ってきた部分が歴史的にもありますので、これを緩やかに民間やあるいは地域に移行していこうという動きは総合型地域クラブ……、総合型のスポーツクラブであるとか、やってはきているんですけれども、やはりなかなか現状を言うとうまくいっているとは言い難い部分もあると思います。
  一つの理由は、私、自分がスポーツをやっていて言うのはあれですけれども、日本人一般の意識がスポーツにはお金を払いたくないみたいな。というか、学校でやってきてくれたことなので、お金を払ってまでやらせるという。だから、例が適切でなかった大変申し訳ないんですけれども、ピアノとか英会話にはお金を払うけれども、柔道はちょっとねみたいな。それは高いんじゃないのというような、そう言われると、そうですかみたいな。ですから、そのあたりも学校教育の現場から引き離せない一つ部分があると思います。
  また、特に今は貧困の問題なんかもありまして、そうやって学校から引き離していくことによって、やりたいと思う子がやり場を失う可能性も出てきます。公教育から離されることによって、民間に行ってくださいと、お金を出してやってくださいと言われたときに、果たしてそれが賄えるのかということもあります。だから、そういったところも非常に悩ましいところがあるとは思っています。ですから、100かゼロかではなくて、少しずついろいろな方法を試しながら、ただやはり柔軟な対応ってなかなか難しいんですけれども、言うのは難しいのですけれども、テストケースというか、そういったことを地域だとかできるところからなるべくやはり試していって、先生方の負担がどれぐらい軽減されたのか、先生たちの意識が変わったのか、子供たちがどうだったのかといったところをやはり考えていく必要があるなと思います。
  ただ、今の現状を言いますと、中学校の部活動をなくすというのは本当に難しいと思います。ただ、ここに書いていただいていますように、部活動の効果もすごく指摘はされていますけれども、私もここに書かれているように、部活動だからその教育的な効果が部活動でしか上がらないんだということではなく、もちろん教科の指導、いろいろなところで学校のそういったことは機能はしていると思います。ただ、部活動もその一部であるという考え方は外せないんじゃないかなと思います。
  あとはやはり今は女性の活用といいますか活躍を支援するということもありまして、両親ともに御父兄がですね、御父兄というか御両親ともに働いていらっしゃる家庭もありますので、私なんかも子供が運動していたときに非常に大変だったのは、小学校までは親掛かりなんですね。送り迎えからお茶の、コーチへの世話から何か担当が決まっていて、できないんだったら来ないでくださいみたいなそういう部分もあって。ただ、中学校に入ってお父様お母様方がおっしゃるのは、中学校の部活になると手が掛からなくなったと。だから、とても助かっているという。ですから、先生方の負担は確かに大変だと思うんですけれども、親御さんたちから言うと、やっぱり部活動に任せていると安心だよねという意見もあるので、その辺のすみ分けが非常に難しいと思います。
  あとは、指導者という立場から言いますと、指導の在り方とかコーチングも随分変わってきていまして、やはり以前はもう一に根性、二に根性で、我慢と根性でしたので、練習は長ければ長いほどいいと。もうひたすらやれみたいな、そういういわゆる非科学的なことがあったんですけれども、今は長くやればいいってもんじゃないと。やっぱり集中力とかそういったこと。それから何をやらせるかというところを考えながら、ほかの活動もしっかりやらせようよというところも出てきていますので、それはやっぱり指導者、学校の先生もそうなんですけれども、きちんと指導者教育というかをして、以前教わってきた自分の経験値でやっぱりやっているところもまだまだ多分にありますので、その辺も少し……。ちょっと書き込めることは今言ったあれではないんですけれども、ここに書いてあるような落としどころというところを探っていくしか、今の現状はないのかなと考えています。
【市川主査】    ありがとうございます。
  私もおっしゃるとおりだと思うんですが、今の現状で書き込めるのはまあこういうことなのだろうなと。ただ、やっぱり部活の問題は20年、30年先を考えた方向性というんですかね、今の山口先生がおっしゃった、やっぱり「移行」という言葉を使われていましたよね。移行だからうまくいかなかったんだと思うんですよ。地域に移行するとか民間に移行する。移行じゃなくて連携なんだと。学校の先生もすぐれた指導者がたくさんいらっしゃるわけですから、そういう先生は是非一緒に指導員として入っていただくし、一緒にやっていく。先生の中にもいろいろ。例えば部活にかける時間が例えば勤務時間の中の3割という先生もいれば、ゼロという先生もいるだろうと。それから子供の方も物すごくハードにやりたいと。将来はプロになりたい、オリンピックに出たいという子もいて、ハードな部活を求めている子もいれば、楽しんでやりたいという子もいると。でも、学校の部活に必ず行くとなったら、それはもうその部しか選びようがないので、選択肢がないと。むしろ、その地域の中で一つの教育委員会の管轄する中で幾つかの部活があってそれぞれに合ったところを選べるとか、あるいは優秀な子とか強い子を集めて選抜チームを市で作って、その子たちはかなりハードにやって全国大会に出るとかですね。そういう子供たちの多様性にも応じられるようなものがやっぱり20年後、30年後、で、費用はそんなに掛からずに行けるとなると、やっぱり民間委託というわけにもいかないので、そのあたりがやっぱり。公の場でそんなに費用も掛からずにできて、たくさんの子供が参加できて。しかもかなりその中には強い子も出てくるということも保証できるような、難しいとは思うのですが、何かそこに向かって一歩踏み出せるようなことがあるといいなという気がしています。
【山口委員】    もう一点、いいですか。
【市川主査】    はい。
【山口委員】    今のことで言いますと。やっぱり学校一つずつの単位で部活動を考えるとか捉えるというのはもう無理な時代になっていると思いますので、今言われたように地域との連携、それから教育委員会などがもっと積極的に関与をしていただいて、そこに部活動のマネジメントをするような、その地域のマネジメントをするような方がうまく仕切りをして外部からこの部に関しては呼んで、じゃあ、ここに集まっていらっしゃいとか、そことまた中体連との話もその方がやったりすると、随分先生方の負担もなくなるし、市川主査言われたように子供たちへ逆にもっといい提供もできるのかなと思いました。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では、榎本委員、どうぞ。
【榎本委員】    今、いろいろお話をお聞かせいただいた中で、例えば1校で部活が成立しない、そういうレベルの学校、それから顧問のなり手もいない、専門家がいなくて顧問も嫌々やっているという学校というか地域がある一方で、実は私、今全日本中学校長会の会長の立場でここに出席させていただいているんですが、もう一つ日本中体連の会長でもあるんですね。実はきょう午前中に中体連の理事会があって出席をしてきたんですけれども、もう10年先、15年先まで全国大会のある程度の開催場所とかが全部もう決まっている状況なんですね。そういうところを目指している学校というのは、生徒も集まってきますし指導する教員も、まずそれがかなりの自分の生きがいのようになっているような、そういう部分がある中でやっているわけですね。実際に中体連の理事になっているような方々というのは全員教員なんですね。全員というと言い過ぎかもしれませんが、ほとんどが教員で、実は過日スポーツ庁の方にヒアリングに行ったときに、この理事はどういう構成になっているんですかと言われて、ほとんどが教員ですと言ったときに、もっと民間の人を入れたらどうですかという話があったということなんですけれども、やっぱりその辺も少し改革をしていかないとなかなか難しいかなという気がします。ですから、本当に両極端の中でそれをどううまく融合していくかというあたりも考えていく必要があるかなと思いました。以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。本当に20年、30年掛かるような話かもしれないんですが、どこかで前進していかないと本当にいつまでたっても変わらない。100年たっても変わらないので。今回、こういう中学校部会みたいなところが一つのきっかけにはなればいいとは思うのですが、多分大変な問題なんだと思います。
  貞広先生、どうぞ。
【貞広委員】    部活動の大変ビビッドな話の後に地味で恐縮なんですが、地味と言ってはいけないんですけれども。
  もう一つは、(3)の学校段階の接続の問題なんですが、皆さんに申し上げるまでもなく学校教育法に義務教育9年間というふうにうたわれているのですから、義務教育の9年という流れは小学校や中学校のむしろ上位概念で、とにかく9年間の学びというのをどう保証するか、さらにその先を見通しての学びをどう保証するかということだと思うんですね。ですから、これが中学校に小・中・高等学校それぞれにおける諸課題への対応というところに書かれるよりも、むしろ4ポツの何を学ぶかのところ、ここは教科横断的に横の接続のことを書いてくださっていますけれども、これは縦の接続も意識してこの教育課程というのが編成されなければいけないんだと思いますので、むしろ特出しをして中学校だけではなくて4のところに横と同じように書いていただくということが必要かと思いました。以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  それでは、5分前になってしまいましたので、ひとまず本日予定していました第1の議題、第2の議題ということについていろいろ御意見を伺いました。きょうは一応議論はここまでということでよろしいでしょうか。
  それでは、今後のスケジュールについて、次回の中学校部会では議論の取りまとめということに入るわけですが、つきましては取りまとめの方向性等について、事務局はまず事前に委員の方からの御意見があれば頂くと。それから、ある程度反映した形の資料を準備するようにお願いいたします。議論の状況次第ではございますが、次回の中学校部会は一応最終回の予定ということですね。議論の取りまとめとさせていただきたいと考えております。
  最後に、次回の予定について、事務局から御説明をお願いします。
【石田教育課程企画室専門官】    次回の日程につきましては、7月1日金曜日の13時から15時に開催予定でございます。場所につきましては、決まり次第御連絡を申し上げます。
  また、主査からもお話がございましたように、議論の状況次第ではございますけれども、次回の中学校部会を最終回とさせていただければと考えております。したがいまして、本日の御議論を踏まえて、私ども次回の部会の開催前に取りまとめの方向性等についてまとめた案文を皆様に事前にお送りをして、またその時点で御意見を頂戴して、それを反映したものを7月1日にお配りして御説明申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  また、それと併せまして、本日の議題につきまして追加での御意見等ございましたら、ペーパーあるいはファクス、又はメール、郵送でも結構ですので、事務局までお寄せいただければと存じます。
  なお、本日の資料につきまして、郵送を御希望される場合には、机上に資料を残しておいていただけましたら後日お送りを申し上げます。
【市川主査】    それでは、本日の中学校部会を終了させていただきます。どうもお忙しい中、ありがとうございました。

――  了  ――

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