教育課程部会 中学校部会(第2回) 議事録

1.日時

平成28年5月19日(木曜日) 15時00~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、これからの時代に求められる資質・能力を子どもたちに育むため、教育課程を中核に、中学校教育のよりよい好循環を生み出すために必要な方策について

4.議事録

【市川主査】    それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会中学校部会の第2回目を開催させていただきます。
  本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  それでは、早速ですが、本日は、前回、つまり、第1回に洗い出された中学校の教育課程をめぐる課題を踏まえて、意見交換をお願いしたいと考えております。
  初めに、事務局より、資料1、第1回中学校部会における検討事項(案)について、御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。第1回会議では大変密度の濃い議論をありがとうございました。その内容は参考資料1、中学校部会、第1回の概要としておまとめをさせていただいております。既にメールでも送らせていただいているとおりでございます。
  この第1回の密度の濃い議論を踏まえまして、資料1のとおり、中学校部会としておまとめいただく事項をこのようにまとめさせていただいております。資料1でございますけれども、まずは課題の大前提といたしまして、学校教育が目指す姿ということと、社会が求める人材像ということ、これが社会の産業構造の変化、成熟社会への移行という中で、単に定められた手続を効率的にこなすということだけではなくて、自分なりに試行錯誤しながら新たな価値を生み出していく。こうしたことに必要な力であるということ。こうしたことが社会全体で共有できる好機にあるのではないかということ。そういった資質・能力の育成はもともと学校教育の中でも志向されてきたものではございますけれども、こうした状況の中で全ての子供たちに、次の世代を切り拓くために必要な力ということが真に求められる時代になってきたということではないか。こうしたことを再認識しながら教育課程を通じて、どのような資質・能力を育成すべきかを可視化して共有し、学校と社会が連携・協働しながら育成していこうというのが「社会に開かれた教育課程」の実現であるということ。こうしたことを第1回の議論を踏まえてまとめさせていただいております。
  そして、今回、それから、次回、次々回にわたって御議論をいただきたい事項といたしまして、このように整理しております。
  「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、これからの時代に求められる資質・能力を子供たちに育むため、教育課程を中核に、中学校教育のより良い好循環を生み出すために必要な方策とは何か。
  具体的に三つでございますけれども、1ポツ、各中学校が、これからの時代に求められる資質・能力を明確にし、そのために必要な教育内容を具体化できるようにしていくために必要な方策とは何か。
  次のページでございます。2ポツ、中学校が直面する諸課題に対応した教育を実現していくために必要な方策とは何か。
  そして、最後に3ポツでございますが、教育課程内外で、地域や家庭と連携・協働しながら、子供たちに多様な学習機会を実現していくために必要な方策とは何かということでございます。
  順次、議題に沿って、また後ほど関係資料の御説明もさせていただきたいと思います。
  取り急ぎ資料1、全体の御説明は以上です。
【市川主査】    ありがとうございました。
  それでは、まず一つ目の議題ですが、この関係資料について事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料1、1ポツでございますけれども、小項目として、幾つか挙げさせていただいております。
  「教科を越えた」ということが第1回会議でもかなり各般において議論となっていただいたところでございます。「教科を越えた『チーム学校』を通じて、子供たちにどのような力が必要かを議論して共有していく文化を作っていくことが重要ではないか」、「『カリキュラム・マネジメント』を中核に、教科を越えた視点を持つことが重要ではないか」、「教員が、授業を通じて子供と関わることに時間を割けるよう、業務改善が必要ではないか」、「『アクティブ・ラーニング』の趣旨をしっかりと踏まえて、社会で生きて働く知識や力を育成できるよう、教師の指導力向上を図ることが必要ではないか」、「教員の研修については、日本が誇る『授業研究』を重視し、自分たちの授業を内省して研修を深めることを通じて専門性を向上していくことも柱にしていくべきではないか」。
  2枚目でございます。生徒指導でございますけれども、「位置付けを捉え直し、部活動頼りではなく、学級活動などの特別活動や、日頃の教育活動における生徒指導の機能が十分に発揮できるようにするべきではないか」、「学校で身に付けた資質・能力がしっかりと評価され、高等学校入学者選抜等にもつながっていくことが重要ではないか」、「各学校が育成する資質・能力を明確化することと合わせて、小学校に比べて低調な『総合的な学習の時間』の充実が求められるのではないか」ということでございます。
  関連して、資料2-1でございます。中学校部会も含めて、今回の改訂の全体像でございますけれども、「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」ということでございまして、何ができるようになるか。生きて働く知識・技能、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性、こうしたことを育むために何を学ぶか、どのように学ぶかという視点で御議論をいただいております。
  また、次のページにございますように、それを実現するための教員の資質向上、地域との連携・協働ということもセットで御議論をいただいているというようなところでございます。
  それから、資料2-2でございます。本日御議論いただくようなことを具体化していくためには、中学校の学習指導要領の冒頭に総則がございますけれども、これが社会に開かれた教育課程の観点から分かりやすい構造になっているということが極めて重要かと思われます。事務局として、総則・評価特別部会の議論なども踏まえながら、たたき台として作らせていただいているのが資料2-2でございますけれども、現行は、左側のように、一般方針や共通事項として、様々、留意事項が並べてございますけれども、これを少し構造化いたしまして、右側のように、例えば前文のようなものを置いて、「社会に開かれた教育課程」の考え方を示してはどうか。中学校教育の基本として、冒頭に資質・能力の在り方や関係法令、生きる力との関係性などを分かりやすく示してはどうか。そして、教育課程の編成や実施と評価、特別な配慮、学習活動の基盤形成など、一目で様々な教育課程の構造、目指すべき方向性が分かるような構造化を図ってみてはどうかということで検討を進めさせていただいております。
  それから、資料2-3でございますけれども、育成すべき資質・能力でございます。詳しくは御説明する時間はございませんけれども、例えば幼児期の終わりまでに育ってほしい姿は、その1枚目の一番下にございますような10項目にわたって整理をされる予定でございます。
  それを小学校でどう引き継ぎ、中学校、高等学校とどう伸ばしていくかということ。これらを資質・能力の三つの柱にわたって分かりやすく示してはどうか。先ほどの総則の冒頭の部分と関わってくることでございますけれども、系統的に示してはどうかということでございます。
  これにつきましては、例えば、同じ資料2-3の19ページに国語教育のイメージというものがございますけれども、こういった形で、各教科、三つの柱にわたって整理をしていただいているところでございます。そうした各教科の整理も踏まえながら、中学校教育全体として育成すべき資質・能力の在り方ということもきっちりと整理をしていく必要があると考えてございます。
  これも順次、次回以降、事務局の方で案を示させていただきながら御議論いただきたいと思いますけれども、そうしたことも視野に入れながら、本日は資料1に関してご議論いただければと思います。
  それから、資料2-4でございますけれども、前回御指摘も頂きました高等学校入学者選抜の現状についてでございます。
  おめくりいただきますと、2ページでございます。これは前回改訂の告示が出された際の通知でございますけれども、通知の中で、下線部でございます。高等学校の入学者選抜に当たっては、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、思考力・判断力・表現力等についてもバランスよく問うことに留意し、知識・技能を活用する力に関する出題の充実に配慮することということを記させていただいたところでございます。今回も指導要領の改訂に当たって、同じような通知を発出する際には、同様の趣旨を盛り込んでいくということが必要かと思われます。
  また、こうしたことを踏まえて、3ページ目以降は、各県の出題、問題の作成方針を少しお借りして、紹介をさせていただいておりますけれども、例えば秋田県、3ページ下の各教科のところにございますように、思考力・判断力・表現力も含めた力というものをしっかりと図っていくというような方針。5ページ目の千葉県も同様でございますけれども、こうした方針の下に問題作成をしていただいているところでございます。
  また、7ページ目には、国立教育政策研究所がそうした思考力等を問う問題の出題例ということで集めて、各教育委員会に情報提供し、施策、事業の推進に当たり、参考にしていただけるような取組もしておりますので、こうしたことを今後ともしっかりとやっていく必要があると考えているところでございます。
  こうした資料2-1から2-4は、本日の御議論の参考ということでございまして、再び資料1にお戻りいただきまして恐縮でございますけれども、1ポツ、前回御議論いただいたポイントを抜き出させていただいておりますが、これを踏まえて更に本日御意見を頂戴できればと考えております。
  私からは以上です。
【市川主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、意見交換に入りたいと思います。御意見のある方は名札を立てていただけましたら、私の方から順次指名させていただきます。御発言が終わりましたら、札を元に戻していただきますよう、お願いします。
  それでは、この第1の議題についていかがでしょうか。はい。じゃ、村川委員、どうぞ。
【村川委員】    では、皮切りに少し述べさせていただきます。まず1のこの「チーム学校」の問題ですよね。今の子供たちの実態を踏まえた上で、未来においてどういう力が求められるかという、そこから各学校において、学校というのはそれぞれやはり地域の特性だとか子供の実態というのは異なるわけですから、そういうものを踏まえてしっかり目標を立てて、目標のベクトルをそろえるだけでは決して子供たちは成長していかないわけで、そういった力を付けるためのいわゆる授業作りの基本方針を学校としてきちっと決めていく。よく言われる授業のスタンダードとかそういうことが言われていますけれども、そして、そのためには教師がその授業を作っていくための研修というものがまた求められると。じゃ、その研修なり、教材研究の時間をどう生み出すかと。そのために学校の組織だとか、学校外の人材をどう活用するか。実はこれは全てトータルに考えるのがカリキュラム・マネジメントという考え方だと思うんですね。
  ですから、ここに掲げてある1ページ目の丸が全部で5つありますが、これが個別にあるんじゃなくて、この五つのこの内容が常に関係し合っていると。カリキュラム・マネジメントをきちっと展開することがこの五つの問題を同時に解決しながら、相互に関係付けながら効果のある学校作りにしていく。同時に教師の力量を高めていくということにつながるのかなとまず思います。
  もう一点は、先ほど指導要領の新しい構成について、これは資料2-2の右の方が今回新しい提案だということなんですが、私から見ると、これは正にカリキュラム・マネジメントの構造と同じような並びをしていまして、第1の部分に、いわゆる子供の実態等から踏まえた、あるいはこれまでの学力論を踏まえたいわゆる目標をどう掲げるのかと。その実現のための第2のカリキュラムですね。それから、その評価。及びこのレベルで言いますと、マネジメントの部分ということで、今回カリキュラム・マネジメントというものを重視した改革を進める中で、私から見させていただいたら、この指導要領の構成もそれに合致したものになっているのかなというふうに理解しています。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  ほかの委員の方、いかがでしょうか。はい、どうぞ。石鍋委員。
【石鍋委員】    今、村川委員がおっしゃっていたカリキュラム・マネジメントは非常に求められているというのは理解をしております。特にここのポイントは、まず校長がどれだけそれを理解して、リーダーシップをとれるか。これをきちっとしていかない限り、なかなか難しいのかなと。その一つは、どうしても教科担任制が中学校の中にはあると。校長がしっかりと教科を越えた視点を持ってカリキュラムをマネジメントすることで、実は教員そのものが教科横断の意識をしっかりと持たねばならない。どうしても中学校の現場、英語であれば英語、国語であれば国語の枠の中で考えがちなんですね。ですから、そこの校長のリーダーシップ、そして、各教員の理解という部分を一つキーワードに据えていただきたいなと思っております。
  また、教科横断的な話を今ちょっとしましたので、お話しすると、教科横断のイメージとして、教員の方では中学は特に指導方法にイメージを置きがちなんですね。どうしても教科が違うということで、こんなような言語活動をすればいいんじゃないか。これはとても大事なことなんですけど、指導方法で話が進みがち。ただ、内容的にも指導計画等を並べてみると、理科と数学で重なっている部分があったり、英語と国語で連携が図れる部分がある。その辺りをしっかりと見ていけるような教員を育てなければならない。ここら辺はやはり教員の研修にも関わってくる部分だと思っています。
  あと、この1ポツの次のページの最後の丸のところに、小学校に比べて低調な、「低調な」なんて書かれてしまいましたが、総合的な学習の時間の充実。確かにこれは求めなければならないんですけれども、私はここの一つの切り口が教科横断的な指導であると思うんですね。中学の場合にはどうしても人それぞれ違うものを教えていますので、総合をうまく教科横断とリンクをさせることができると充実が図りやすいのではないかと。実はこれはかなり前から感じておりました。今回出てきた課題ではないと思っています。
  最後になりますけれども、少し戻りますが、部活動のことが1点書かれています。「生徒指導の位置付けを捉え直し、部活動頼りではなく、学級活動などの特別活動や」云々というところなんですけれども、言っている趣旨は全くそのとおりだと思いますけれども、ちょっと表現が誤解をされるといけないなと。例えば「部活動頼りではなく」というところが、本当に部活で生徒指導やっているのかということなんですね。決してそんなことはなくて、部活動はその一部ではありますけれども、生徒指導はもっと組織的に違う観点を持っても行っています。
  ただ、資料4の4ページに、「体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループにおける主な意見等」というのが載っていて、運動部活動についてですけれども、この意義の重要性というのを書いてもらっています。この辺りを考えると、「部活頼りではなく」という文言が出てしまうと、この意義が薄らいでしまうだろうと。やはりここら辺の言葉の使い方は是非とも考えていただきたいと思っています。
  ただ、ここに書いてあるように、大きな負担となっていることも事実なので、やはり外部の指導員の力等をかりるということも考えに入れて、正にカリキュラム・マネジメントをしていく必要があろうと思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  それでは、奈須委員、どうぞ。はい。
【奈須委員】    具体的なことというよりは、この部会の議論がどこに向かって、何を達成するというか、解決すればいいのかというのをちょっと確認したいんですが、つまり、必要な方策についてということですね。前回はどんな問題状況があるか。それがどんなメカニズムで、残念ながら悪い方に動いているようなこともあるんじゃないかという話があったり、こんな試みがあって、それは好循環を生んでいるよとかということの御披露があったと思うんですけど、それを踏まえて、今回、論点を整理してくださって、これから中学校教育のより良い好循環を生み出すための方策についてということですけど、この方策というのが、例えばこの丸で出ているのは全部これは大事で、これが全部うまくいくと、とてもよくなるんだけど、これを弱く、これをやりましょうと言っても方策にならないので、もう一段、多分具体的な方策というのが幾つか行き先があると思うんですよね。
  だから、今ここは教育課程部会の下の部会なので、現在進行中の教育課程の改革のどこに対してどんな注文を中学校という校種の実態とか問題状況を踏まえたときに、例えばさっきので言えば、総則のここについては、小学校や高校と違って中学に、独自ではないかもしれないけれども、少し強く出る問題があるので、配慮いただきたいとか、それは総則部会に例えば検討を依頼するとか、あるいはさっきの総合的な学習の位置付けとか、それの在り方というふうな、個別の領域別の部会の方に、中学校としての特質を踏まえてお願いして、現在進行中のものに少し盛り込むとか、場合によっては修正を加えるとかという話のやりとりを、キャッチボールをする材料を作るという話と、あと、いまほどあったように、研修をしなきゃいけないです。これはほかの部会でも出るんですけど、それは教育課程を作るという話とちょっと外の話で、条件整備の話ですし、ただ、作った教育課程がうまく実施、展開するためにはもちろんその研修とか条件整備その他のことが必要なので、ちょっとこの、あるいはここで何か作るのかという、議論したことがどこに向かって、どう行くのかというのが分かると有り難いなと思うんですが。
【市川主査】    今のことは事務局から御説明になっていただく方がいいですよね。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。中教審の議論は諮問をベースに行っていただいておりますので、諮問に戻りますと、諮問事項は大きく三つございまして、一つは、学習指導要領の基本的な考え方をどうしていくか。そして、それを踏まえて二つ目に具体的に目標、内容でありますとか、教科・科目の構成をどうしていくのか。そして、三つ目がそうした指導要領の理念を実現するためにカリキュラム・マネジメントや様々な条件整備、支援方策をどうするのかということも含めて諮問をされているところでございます。
  この三つに照らして考えますと、恐らく教科にキックバックするような内容はそれほどないのかなと。そういう意味では、総則をどうするのか。そして、それを具体化するための条件整備、カリキュラム・マネジメント等はどうするのか。その二つについて御議論いただくということかなと考えております。
  以上です。
【市川主査】    よろしいでしょうか。
【奈須委員】    はい。
【市川主査】    それでは、尾上委員、どうぞ。
【尾上委員】    尾上です。先ほどのお話にもありましたように、この改革に関しましては、やはり10年先を見据えた形というのがすごく議論も大事だというふうに思いますので、今ここの資料にあるような、例えば1ポツの部分でいうと、「チーム学校」を作っていくためには、その地域とどう連携していくのかということが中心になってくると思いますが、前回、今の学習指導要領、14番に関しても、例えば地域社会との連携という部分が挙げられていますが、例えば保護者の関わりを見てみますと、やはり幼稚園、小学校、中学校になるにつれて薄れてきている関わりが、関わり度合いがすごく薄くなってきているような感じがします。
  また、教師とお話しする度合いも小学校のときの方が濃く、中学校のときの方が限定的でというような形になりますので、よっぽどこの学校の組織運営改革をするとなれば、中学校をどうするのかということを考えていかないと、その地域、中学校区は一番近い地域ではありますので、その核とした地域を中心に広げていくということ、また、幼稚園から小学校、小学校から中学校という流れではなく、中学校発信のこの形というのがすごく大事と思いますので、その「チーム学校」を作って形成していくには、この中学校はすごく大事な部分だと考えます。
  また、先ほど保護者の関わり方という話をさせていただきましたが、やはり幼稚園のときにはまず、教育に初めて触れる機会ということで、保護者、両親とも参加するという形が多いですが、小学校になると少し減っていき、中学校になってきたら大幅に減るというような形で、その保護者自身のワーク・ライフというところと関連するとは思いますが、やはり関わり方というところが見えていないという部分が多いので、その見さす方法というのをしっかり「チーム学校」の形を作るに当たってはやっていかなければいけないかなというふうに思います。私もその中心の一人なので、積極的に議論していきたいと思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】    ありがとうございます。本務の関係で遅参いたしまして、大変失礼いたしました。今、大杉さんの方からお話があった二つの点でいうと、総則の在り方というよりも、支援方策に関連して申し上げたい点がございます。
  今回御提示いただいた資料2-3、各学校段階を通した教育のイメージというところで、各学校段階で付けるべき力の3点ですね。知識・技能の思考力・判断力・表現力、そして、学びに向かう力・人間性と三つございますが、私個人的に前回も各班の発表で出させていただいたんですけれども、この中でも最も中学校、日本の中学生に総体的に欠けていて深刻な問題、そして、10年後、20年後を捉えたときにより深刻であるというふうに考えるのが、この学びに向かう力の部分だと思います。
  それを前回、私、自己肯定感の低さとか社会の当事者性の意識が低いということで表現させていただいたのですが、知識や技能をどういう授業作りでより定着させるかということを市川先生の御研究なともはじめとして、諸々研究や検証がもう既に行われています。思考力・判断力・表現力などについてもそうですが、例えばこの自己肯定感を高めて社会の当事者性を持って向かっていく、いろいろな課題を発見して自分でそれを解決しようとする力をどのような授業作りや教育活動で定着させるかということはいまだ検証されていません。
  この一番重要な点が検証されていないということを大変問題視しています。今後その新しい学習指導要領、総則をはじめとして、こういう力を付けてくださいと言っても、どう付けたらいいのか分からないわけですよね。でも、喫緊の課題であるということを考えますと、是非その支援としてどういう授業作りや教育活動を行ったら、少しでもそういう子供たちの自己肯定感や当事者意識というのを上げていけるのかという、その検証を行うということを将来を見据えて積極的に行うということを意識していただきたいという点が1点です。
  もう1点は、これは総則に関わるのですが、もう一つ、大変重要だというふうに個人的な意見として思っておりますのが、クラスの中に6%若しくは10%とおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、特別な配慮を必要とする児童生徒への対応でございます。これは総則の案で、第4のところに書いてくださっています。障害のある生徒への指導とか、海外から帰国した生徒等への適切な指導というふうに取り出しされておりますが、こうした特別な配慮が必要な児童生徒に対する授業作りというのは、言わばユニバーサルデザインの授業作りであって、殊に、特にそういう発達の障害を抱えていらっしゃるお子さんにとっては重要なんですけれども、ほかの多くのお子さんにとっても大変重要なことだと思うんですね。分かりやすく、誰にでも伝わる授業作りをすると。ですから、その特出しをするというだけではなくて、こうした取組が全ての子供たちにとって、より学びやすい授業作りにつながるのだと。そういう意識付けもしていただければというふうに考えております。
  以上、2点です。ありがとうございます。
【市川主査】    はい。村川委員、どうぞ。
【村川委員】    今の御意見につなげてお話ししたいと思うんですが、この学びに向かう力・人間性、今回の改訂で最も力を入れているものだと思うんですが、実はもう既に、私も数年前までは小学校を中心に現場回りをしていたんですが、近年は各教育委員会のニーズによって、中学校に多く関わるようになってきました。そういう中で、もう既にこのような力を付けつつある子供たちの事例というのは、幾つかの学校でありまして、そういったものをいかに吸い上げてくるかと。ですから、改革は今から始まるというよりも、既にいろんな取組がありますので、そういったものをうまく拾い出して、そういう中から共通に必要な手立てのようなものを開発していく必要があるかなと。開発というよりも整理ですね。
  例えば一つは、総合的な学習の充実によって、より職場体験にとどまらず、地域貢献的な取組をしている中学生の中では、こういう社会とどう関わっていくだとか、あるいは自尊感情を高めていく事例がたくさんあります。また、教科に関しても、教科の内容とやはり社会や将来との諸課題との関連において、うまく教材を提示していくことによって、今学んでいることがどういう意味や価値があるのかと、そういうことを考えさせることは、むしろ小学生以上に中学生の方が有効かなというのを事例を見て感じます。
  それから、小学校には、スタートカリキュラムというのがありまして、小学校1年生の子供が小学校教育に入っていく上でのそういう特別のカリキュラムを用意しているんですが、中学校においては、中学校のスタートカリキュラム、いわゆるなぜこの教科を学ぶのかとか、なぜ道徳という学習をしていくのかというのを子供自身にしっかり考えさせるというのをその中学の入学時に取り組んでいる学校の事例もありますので、そういった中で、ここで言われている資質・能力の三つ目の柱ですね。こういったものに関しても、十分対応できるような事例はそろいつつあるのかなと、そういうものをいかに吸い上げていくのが重要かなというふうに感じております。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  済みません。どうぞ。
【山中委員】    一つ、特別支援教育の観点からなんですけれども、今、貞広委員の方からも出ましたけれども、特別にやっぱり配慮を要する子供の支援なんですけれども、さっきの学びの視点ということで、ユニバーサルデザインとして、全部の教員が分かりやすい授業を展開していくという視点と、もう一つは合理的配慮、障害者差別解消法によって、合理的配慮を各学校は提供しなければいけないわけですけれども、合理的配慮は一人の子供に、一人一人の子供に合った配慮をしていくということなので、またユニバーサルデザインの授業とかそういうこととは違った視点の一人一人に配慮していかなきゃというようなことがあると思うんですね。その場合にやっぱりそうはいってもなかなか一人一人に配慮していくのは難しい実態があるわけなんですけれども、そのときにはやっぱりこの1の最初に書いてあります「チーム学校」というところが特別支援教育にすごく重要だと思うんですね。学校だけではなかなかできない。そのときに、いかにやっぱり外部の方だとか、いろいろな資源を使っていくかということがあるので、この「チーム学校」の中には、配慮を要する子供の支援もあるというような形で入っていくといいかなというふうに思っています。
  それから、学習指導要領の総則の方に、今回、第4に特別な配慮を必要とする児童への指導というようなところで、小学校と中学校と多分同じ書きぶりになっていくのかなと思うんですけれども、学習指導要領の改訂ごとにこの配慮が必要な子供へのものというのが通常の小中学校の方に、交流及び共同学習で入り、それから、今、現行の学習指導要領の中では個別の教育支援計画とか個別の指導計画を障害のある子供には作るというように、だんだんこう、毎回、学習指導要領改訂のごとに進んできているなというふうに思っているんですけれども、今回またこのような形で第4というか、項を別に起こしていただくような形でより進むのかなというふうに思っています。
  あとはやっぱり内容というところになっていくと思うんですけれども、今いろいろ文科省の方の調査でも、校内委員会だとか、特別支援教育コーディネーターを配置するというのがかなり進んできたんですね。形としては進んできたんですけれども、やっぱり内容がどうか、質がどうかというようなことが今後、課題になってくると思われます。その辺のことも考えて、また一歩進んだ形になるといいなというふうに思っています。
  それからあと、小学校からの方としてなんですけれども、アクティブ・ラーニングなんですが、やっぱりアクティブ・ラーニングも今まで活動としてはもちろんそういうことをやってきてはいるとは思うんですけれども、特に中学校の方はやっぱりアクティブ・ラーニングを改めてきちっと捉えて、先生方がそれに向かってやっていけるような形を小学校よりは中学校の方がもうちょっとアクティブ・ラーニングということをはっきりさせていくことが必要なのかなというふうに思います。そうでないと、ただ形だけとか、言葉だけが先歩きしないかなというふうに心配しています。
  五つ目の丸のところで、授業研究が出ているんですけれども、これも非常に大事なことだと思うんですが、小学校の方は全科なものですから、授業研究というのは校内研究の中でやりやすいんですよね。全部の先生が共通して。ただ、中学校の方は教科担任制ですから、なかなか校内研究がうまく進まないというような状況もあるかと思います。
  なので、中学校だったらどんなような授業研究ができるかというようなことも、ちょっと学習指導要領でそこまで細かいものはということは無理だと思いますけれども、やっぱり授業研究が大事だというふうな位置付けは大事なことかなというふうに思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では、小室委員、どうぞ。
【小室委員】    ありがとうございます。今回の検討がどれぐらいのスパンでの検討をしていくものなのか。どれくらい先の教育について議論しているのかによって、どれくらい根本的に変える話ができるのかということになってくると思うので、ちょっとそこは私は分かっていなくて話をしているんですが、少なくとも前回の附箋を出したときの観点では、かなり根本から議論をしていい場のように感じました。なので、そういった観点で、今回まとめてくださっているのは、一つは短期的に何かやっていくことに反映できる内容として拾っていただいているのかなということも感じるんですが、やはり大きく根本的に変えていくような議論もした方がいいのかなという意味では、海外の事例、日本と全く異なる教育をしているような、根本的な違う発想で教育をしているような事例というのを多く、この委員でも見ていくことも大事だと思いますし、紹介をしていって考えるべきかなというふうに思っています。
  特に私から見て、日本の教育、私は今、事情があって、毎日午前中はずっと子供の付き添いが必要で、ほぼ仕事を休んで、午前中ずっと学校にいるという生活なんですけれども、子供がちょっと障害を持っているのでそういう生活をしていますが、そういった中で、社会は完全に人口オーナス期という経済に入っていて、多様性と、その付加価値型、それから、他者とどれだけ違う発想ができるかというもので、一人一人が価値を出していく時代になっていますけれども、授業は完全に人口ボーナス期、いわゆる同質性の中で時間を掛けてやっていくというような考え方に、できる限り、一言で言うと、静かによく話を聞くという授業の形態というのが非常に感じられて、そこを根本的に新しい付加価値型の考え方をしていくというところに発想を切り替えるというようなところまで根本的な議論をしていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っています。
  幾つか、今すぐできることという形で落とし込んでいただいている、こういった総則のたたき台だとかということと並行してだと思うんですけれども、そうした議論をしていくべきではないかなというふうに思っております。
  一例で言うと、朝礼であるだとか、整列であるだとか、そういうこと一つ一つの必要性と言うんですかね。なぜそれをするのか。学校において、朝礼ってこんなにも時間掛けているんだなといつも思うんですけれども、行って、帰ってきて、教室で授業ができる体制に整うまで小一時間掛かるわけですけれども、なぜ校庭に出ていて、朝礼をして戻ってくるのだろう。それはどういう人材を育てるためだったから朝礼があったのであろうということは、今はもう、もはや学校で議論されることはないんですけれども、実はそれはもちろんそういう整列をして、しっかり話を聞く人材を作るから必要だったわけだと思うので、でも、今はそういう人材は社会に出てきて、企業においては独自の発想をしてもらいたいと、企業からは、非常にそれは困る。もっと個別の、自分の考え方をしてもらいたいと言われるわけなので、この朝礼、整列、一斉授業、一つの空間で同じ授業を受けるという、そのこと根本からもう少し前提を変えていくような議論が必要ではないかなというふうに思っています。
  最近いろんな海外の教育を見た中では、オランダの授業がとても印象的で、一つの空間の中で全く違う授業の、自分の勉強の仕方。クラスメイトは一緒にいますけれども、自分の学びたい方法で勉強をする人たちが一つのクラスの中で一緒にいるわけですけれども、そういう空間の中においては、特別支援学級に日本であれば、行く子供も当たり前のように、そこで自分のやり方で勉強ができていますので、そういった、全く同じ空間で別のやり方ができるような考え方というところまで、本来はもう今ぐらいの時点で、日本は視野に入れて、検討していかなくてはいけないのではないかなというふうに感じています。
  こうした落とし込んでいくことと同時並行でという考え方ですけれども、是非議論いただければと思います。
  以上です。
【市川主査】    今のお話、この中学校部会の何をどこまで出していくのかというようなことだと思うんですけれども、この前はとにかく、今、当面話題に上がっているようなことももちろん出していただきたいですし、中学校が抱えているかなり根本的な問題、昔から抱えているし、これからも抱え続けていくであろうという問題も含めて、とにかく洗い出してくださいということを申し上げました。
  最終的には、かなり長期にわたるような課題というのも出してはいただきたいんですけど、余り今回盛り込んでもちょっと無理であるということになろうかと思います。ただ、非常に大事なことは、少しでも頭出ししておくということは大事かもしれません。
  前の指導要領の改訂のときにいろんな育てたい資質・能力という話は実はあったんですけれども、いろんなものを前の改訂のときに出してもそれは無理だろうということで、少なくとも言語力という、言語力の育成。教科横断的に言語力を育てるということは、今回出しておこうではないかということになって、とにかく言語力ということが出たんですね。教科横断的に言語力を育てていく。それは、私はある意味、良かったと思うんですけれども、何もしなかったらそんなの無理ですよということになったら、何も出なかった。少なくとも言語力についてはそういうことがアピールされましたので、教科横断的とか〇〇力というのがそこで、この前、改訂から出てきていた。今回はそれを更に、いろんな資質・能力をという話に結び付いてきましたので、そういう意味では、何かこれは頭出しをしておいた方がいいのではないかということはまた提案していただけるといいかと思います。
  はい。奈須委員、どうぞ。
【奈須委員】    この幾つか出ている項目は全部そのとおりだと思うし、これをどうしていくかということなんだと思うんですけど、好循環ということが、これらが別々のことではなくて、絡み合いながら展開しているし、現状は絡み合いながら頓挫していたり、かえって悪い方向に行っているということもあるんだろうと。どこに引っ掛けて、どこからどう回していくと全部がつながって動いてくるかということを考えるということかなと思うんですけど、一つはやっぱり教育の方法の改善なんだろうなと思っているんですね。
  アクティブ・ラーニングと言われる、先ほど画一的だとか一方的だとかという話がありましたけれども、そこを変えていく。このところ、どうも管理職の先生を中心にアクティブ・ラーニングに向けての関心とか、やらなきゃいけないところは、それは確かにやっていこうという機運はすごく高まってきているというのは現場では感じているんですけれども、先生方も、子供が生き生きするとか伸びやかにやるということはいいじゃないかという、やれるものならやってみたいというのは、これは現場の先生も実際思っているので、いい流れが出始めているかなと思うんですけど、それがアクティブ・ラーニングをやって、やり方とか手続の話になってしまうといけないというのはさっきから出ている話で、どこに行くかというと、やはりそれを通して、ある種、今回柱になっていることだと思うんですよ。
  子供というのはそもそもどんな存在で、学ぶということはどういうことで、学んだ知識というのはそもそもどういう質のものかと。知識の質という話もずっと出ていますけど、そのことをただお題目でやってもだめなので、実際の授業を作る。そして、それを授業研究ですよね。子供の姿でみんなで議論をしていくと。子供の姿から、こうじゃないかと。すると、自分たちはちょっと考え違いをしていたんじゃないか。あるいはこんな姿がこの子に見られるじゃないか。じゃ、それは授業を改善していけばもっと見られるんじゃないかというふうに、要するに、子供の研究をしていく。その中で学習とか子供とか知識に対する概念がちょっとずつですけど、変わっていくんだろうと思うんです。
  小学校と比べて、やっぱり圧倒的にまずいと思っているのは、子供観とか学習観がやっぱり違うんだと思うんですよね。典型は国語の授業で、小学校の6年の国語の授業と中学校1年の国語の授業は何であんなに違うんだろうと思うんですよね。つまり、ほとんど同じことをやっていますから、小6の終わりと中1の初めというのは、例えば物語文の読解というのはほとんど内容も、題材も、授業形態もほぼ同じはずなんですけれども、かえって後退することが私の経験では多いんですよね。小学校の最後の方の国語の授業というのはもう、国文学科のゼミ室の議論かというほど高度で、伸びやかで、闊達で共同的な授業がなされていることはままある。もちろん中学校でももっとあるんですけれども、残念ながら中学校ではそういうことがなかなか見られないことも多くて、なぜかというと、やっぱり先生方がこの子たちにこれができないというところから出発しているような気はするんですね。
  これができない、これができないからやれない、やれないからもっと落とさなければいけない。あるいはもっと要素的なものを基礎として入れていかなければいけないという、何か脅迫的な観念がひょっとしたらおありなのかなというのを、これも全く私の個人的な実感にすぎませんけど、あって、それだから子供たちもこれまでの力を発揮して伸びやかに自分の意見が言えない。自分の意見を伸びやかに言えないから、できないんじゃないかと思って、また後退するという悪循環が何かあるような気はして。
  つまり、もっと子供が有能であるとか、あるいは、子供は何でもできませんけれども、子供ができるところを足場にして授業を作ると。これはもう幼稚園が典型ですけどね。できないところを何とかしようじゃなくて、できるところを使って、次のことをやろうというふうに幼稚園の先生は思っているし、小学校の教師も結構そう思っているんですけど、だんだん学年が上がって、中学、高校に行くと、これができないんだから、これ以上のことはできないから、まず基礎をたたき込まなきゃいけないという話にどうしてもなりがちな気がしていて、そこを変えていただきたいなと思っているんですけど。
  というのは、80年代以降、これも市川先生が御専門ですけど、心理学の方で日常的認知という考え方が出てきて、日常生活の中で自分にとって文脈とか状況がとれていると、驚くほど人間というのは常に有能に動けるということが分かっていて、つまり、その子にとってできるところを足場にして、それを洗練させていくと、科学の教育とか教科の教育も結構うまくいくとかいう話が80年代以降、出てきていて、今回の指導要領の議論の中にもそういったものがバックボーンにあるような気は割としていますし、アクティブ・ラーニングと、正にそんなことを原理にしているんだと思うんですけれども、すると、そういう原理に基づいたアクティブ・ラーニングをやっていって、そのことにむしろあとがえって気付くような仕組みがうまくできるといいなと思っているんですね。
  具体的にはアクティブ・ラーニングを推進していただいて、その授業研究のやり方だと思うんですけど、それによって学習とか子供とか知識とかいうものに対して、先生方が少しずつ見方を変えていったり、あるいは自分なりの見方を形成していったりすると、子供をもっとこれまで以上に信頼できるとか、もっと子供に任せられるとかいうことになるだろうし、そうするとそういうふうに扱いを受ける子供は有能感とか効力感とか自信を高めていくだろうし、すると、生徒指導的な関係も大分変わっていくだろうしとか、好循環と、正にそんなことかなと、少し勝手な話を、ストーリーをしていますけれども、そう考えてくると、根の一番深いところは子供観とか学習観のようなところが変わらないとだめなんだろうなと。そこを変える仕組みを考えていく。
  例えば生徒指導と学習指導の関係もそうだと思うんですよね。生徒指導と学習指導というのはやっぱり二つ別なものだとついつい考えがちなんだけど、本当は学習指導で生徒指導もかなりの部分やって、これは中学でも実際やっていますけどね。でも、やっぱり生徒指導、授業ができるベースの部分ができないと授業ができないという話も、よくこれは中学で出るんですけど、多分そうではなくて、授業を変えていくことによって関係が変わって、生徒指導問題も変わっていくという話は多分結構、これは臨床心理の人たちも割とある時期からよく言いますけど、あるんだろうと思うんですね。その辺を変えていく中で、今回はやっぱりアクティブ・ラーニングということが一つスタートラインになって、そこから次にどういう手順で、だんだん中学校の先生方とか中学校の風土を変えていくかというのが、考えたらいいのかなと何となく思っていました。
  以上です。
【市川主査】    はい。帯野委員、どうぞ。
【帯野委員】    総則の部分というよりは個別教科に入ってしまうのですが、きょうの検討事項の案にもあります外国語教育のことについて、意見を述べる機会を頂きたいと思います。
  まず外国語教育、英語教育に必要なのは目標の明確化ではないかと思います。過去20年、特にこの10年間、ICTの普及によって、世界で使われている英語は変わってきました。今、何らかの形で英語に携わっている人口は世界推定で16億から17億。20億人という人もおりますが、4人に1人が英語を使っている計算です。しかしそのうちネイティブは4億人ぐらいつまり7%ぐらいです。そうなると今求められている英語は簡単な文型や語彙を使って、意思の疎通を図るベーシック・イングリッシュ、シンプル・イングリッシュ、日本で言えば、中学校レベルの英語ということになると思うのですね。
  共通語としての英語という位置付けは今後ますます、高まっていくと思います。すなわち、アジアの英語化。それから、アメリカの多民族・多文化国家としての在り方のところでもそうです。アメリカでは現に標準的な英語として、ミドルスクールの修了者レベルが初見で理解できる英語が、軍隊のマニュアルしかり、新聞、雑誌しかり、あらゆるところで求められています。
  このミドルスクール、中学校の修了レベルで初見で分かる英語というものがどんなものか。なかなか想像が付きにくいのですが、英語の難易度を計測する値があって、レベル100のうち、60から70が標準と言われています。一番分かりやすいのが安倍首相のアメリカ議会における演説でレベル68です。国内でも、中学校英語レベルだけれども、分かりやすいと評価されていますが、あの演説のレベルです。ですから中学校レベルの英語だけれどもではなくて、あれが今、世界が求めている英語だという認識を共有しておいた方がいいのではないかと思います。
  そう考えると、中学校の英語教育に求めるものは、より高度化ではなくて、今の指導要領に盛り込まれている競争力をより定着させることだと思うのです。今、指導要領で高校に入っている文法項目をどう盛り込むか、どれぐらいの語彙数にするかというのは、専門委員会に委ねるとして、高度化ではなく、今あるものをきちんと定着させるということが基本で、それが教育目標であるということを明らかにしたいと思います。
  その上で、次期指導要領で力を入れるとすれば、運用能力の開発で、これは中学校の教科書を見てもよく分かると思うのですが、英語が入門だから、初級者だから、中身も初級者というものが多くて、しかし、中学校になれば、相当の情報量もあり知的能力も高くなっていますので、そのレベルに合わせて簡単な英語でどう表現するかということが教科書の作りにも反映されるべきだと思いますし、あとはそこで他教科との連携というものも必要になってくるかと思います。もう一つは、小学校との英語の連携ですね。小学校でどれぐらいのレベルの英語を教育して、どれぐらいの単語を習得しているのか。これをどう中学校で引き継いでいくのかというのが重要なことになると思いますので、小中一貫したカリキュラム・マネジメント、これが必要だと思います。
  あとは高校についてですが、これは私の考え方ですけれども、必要なものを中学校で、義務教育レベルで完結しているわけですから、高校の英語はもう少し多様であってもいいのではないでしょうか。例えば世界では今、多言語、副言語教育が一つの流れになっていますし、あるいは自分のキャリアに合わせた英語を学べるようにするとか。もうちょっと高校のところの英語教育は多様であってもよいのではないかと思います。そういうところで、小中高のつなぎと、各自の特色を考えていただいて、あくまで中学校は今ある基本的な文法、語彙を定着させるというところに教育目標を設定していただけたらなと思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございました。
  それでは、議題も三つありますので、取りあえず次の議題に進みたいと思います。目安としては、一つの議題に30分ずつぐらい行って、また最後に少し討論の時間があればというふうに考えております。
  それでは、議題2ですが、この関係資料について事務局から御説明お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。議題1ともかなり重なる部分がございますけれども、改めて資料1の2枚目の2ポツの部分について中心的に御意見いただければと思います。恐らく1に戻ったり、また3に関連したりということもあると思いますけれども、2のところをまずは御説明をさせていただきます。
  中学校が直面する諸課題ということで、第1回で御指摘いただいた事項でございます。生徒の発達上の課題への対応(自己肯定感の低さ、心と体の成長のアンバランス等)に関して、どのような対応が求められるか。
  子供たちの学力差や学習意欲の低下にどのように対応していくべきか。
  特別支援教育のニーズ、既に少し御議論いただいておりますけれども、どのように対応していくべきか。
  ワークライフバランスなど、自身のキャリアやライフプランに関することをしっかりと扱っていくべきではないか。
  道徳、特別の教科としての新設を踏まえた充実について、具体的にどのような対応が考えられるか。
  小学校における教科化も踏まえ、これも既に御議論いただいておりますけれども、外国語教育の充実についてどのような対応が求められるかということで、少し関連資料をおまとめさせていただいたものが資料3でございます。
  資料3、中学校が直面する諸課題に関する資料ということでございます。おめくりいただきますと、少し発達上の課題ということでございまして、身長・体重平均値の推移ということでございますけれども、身体的成長が少し早まっているような現状が見られるというようなこと。それに伴って、様々な心と体の課題というものの早期化ということも指摘されているようなところでございます。
  2枚目、少し見にくいデータなんですけれども、児童生徒のメンタルヘルス、真ん中に0%というのがありまして、その左側にあるのが「しばしば感じている」若しくは「ときどき感じている」ということで、気分の落ち込みや集中力ということ。メンタルヘルスの自覚症状については、中学生、高校生と発達が上がるにつれて高くなっていくこと。また、男子より女子の方が高いことなどがデータで見られるということでございます。
  続きまして、学習習慣でございますけれども、3ページ目、文科省の全国学力・学習状況調査によりますと、学習習慣、1時間未満の学習時間という割合が3割程度ということでございます。
  4ページ目は、各学校で個に応じた指導を実施している割合ということでございます。少人数指導やティームティーチングその他の様々な対応。実施割合自体、高い状況でございます。今後はこれがしっかりと子供たち、未来に求められる資質・能力の育成ということにつながっていくかどうかということの質的な部分もしっかり見極めていく必要があると思っております。
  それから、5ページ目、キャリア教育との関係性で、主体的・対話的で深い学びの実現、アクティブ・ラーニングの視点の現状の整理を少し御紹介させていただければと思います。この5ページ目の上にございます、深い学び、対話的な学び、主体的な学びが去年の夏の時点で整理をいただいたものでございますけれども、その後、議論が進んでおりまして、下のピンク囲みのような形でアクティブ・ラーニングの視点、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの視点から授業改善を図っていくということで、内容の整理が進んでおります。
  深い学びにつきましては、教科ごとに育まれる見方や考え方ですね。科学的な見方や考え方でありますとか、言葉を通じて世界をどう捉えるか。あるいは社会的事象をどのように捉えるかというような、教科ごとに育まれる見方や考え方があるわけでございますけれども、こうしたものをしっかりと働かせながら、思考・判断・表現して、理解につなげていくということ。そして、対話的な学びにつきましては、子供同士の協働や、教師や地域の人との対話、それから、過去との対話ということも重要だということで、先哲の手掛かり、考え方を手掛かりに考えるということも加えております。
  それから、主体的な学びのところでございます。新たに「自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら」ということを付け加えております。自分の学びがキャリア形成の方向性とどう関連付いているのかを常に意識させる授業を展開していただくような視点ということになってございます。
  そして、その次のページが特別活動の構造について、済みません。総則と少し似ていて、混同しやすいんですけれども、これは特別活動、学級活動でありますとか学校行事等を行う特別活動の構造についての見直しを図っているものでございます。左側の黒い文字が現状の構造でございまして、学級活動の括弧の下に、学業と進路となってございます。その部分を右側の改善のイメージ案のとおり、一人一人のキャリア形成と実現ということで、例えばキャリアカルテのようなものを整備して、特別活動の時間を活用して、自分の学びとキャリア形成の方向性がどのように関連付いているかを考えさせるというようなことをしっかりと特別活動に位置付けてはどうかという議論をしていただいております。こうしたことも少し踏まえながら御議論をいただければというふうに思います。
  それから、7ページ目は、道徳教育でございます。道徳教育もアクティブ・ラーニングの視点、「考え、議論する」道徳科ということで、様々な問題解決的な学習や体験的な学習を取り入れるという方向性で、先んじて改訂が図られているところでございます。
  それから、8ページ目は、英語教育でございます。先ほど帯野先生からも御指摘を頂きましたが、目標をしっかりと明確にするということ。小中高を通じた見通しの中で、CEFRなどの国際標準も見据えながら、ただ、その中でどのようなことができるのか。コミュニケーションということ、多様な他者とのコミュニケーションということを軸にしながら、整理をいただいております。小学校段階、中学校段階、高校段階、それぞれ具体的な何ができるかというイメージを描きながら、そして、小学校に中学校の教育をそのままおろすということではなくて、小学校の発達段階、思考の発達段階にふさわしい在り方ということを踏まえながら設定をしているということでございます。
  そして、高等学校は、教科、科目構成の中で多様なニーズ、多様性に応える科目構成ということも考えさせていただいているということで、先ほど御指摘いただいたことをしっかり踏まえながら改善していけるような方向性で、各ワーキングで今御議論をいただいているというふうなところでございます。
  それから、9ページ目が特別支援教育でございます。少し細かいので、かいつまんで御紹介をさせていただきますが、9ページ目、まずは各教科も含め、様々な学習の過程で考えられる困難さに配慮するということを、総則だけではなくて、各教科に位置付けるということも併せてやっていきたいと思っております。そういう意味では、全ての子供を見渡した学習の困難への対応も同時並行で進めていくということでございます。
  また、併せて11ページ目には合理的配慮の部分もございますけれども、合理的配慮の考え方ということをしっかり共有しながら対応していくことを位置付けていくということ。
  それから、併せて12ページ目、特別支援教育コーディネーターということで、設置率、かなり上がってきております。こうした状況を踏まえて、特別支援教育コーディネーターの位置付けということを改めてしっかりと示していくということも特別支援教育では検討しているところでございます。
  各ワーキングの検討状況、多岐にわたりますので、少しかいつまんでの御紹介になりまして、大変申し訳ありませんが、こうした検討が進んでいることも踏まえながら、先ほどの資料1に戻っていただきまして、2ポツの部分、少し議論を深めていただけましたら幸いに存じます。
  以上です。
【市川主査】    それでは、御議論いただきたいのですが、必要に応じて、議題1とも絡む点がかなりありますので、適宜そちらも絡めながらということで結構かと思いますけれども、いかがでしょうか。
  どうぞ、御意見をお出しください。はい。村川委員、どうぞ。
【村川委員】    いいですか。中学校に入りますと、思春期ということで、なかなか子供たちは恥ずかしくて、自分の考えを人前で述べると。あるいは間違ったらどうしようかなという気持ちが強いんだという、そういう大人の考え方があると思うんですが、私は決してそうじゃないというふうに思っています。というのは多分、中学校へ入ったら、そういう子供たちが来て、そういうような授業をやるということがどうも先生方の中に前提としてあるからそういうことが続いているわけであって、例えば、実際自分の経験を言いますと、私は中学1年から3年まで国語と数学と理科と社会科は、3年間ずっとグループ学習だったんですね。もう48年前の話ですが。それで私は、ああ、中学校はこういうところだと。みんなでどんどん、それこそ意見を述べ合って、実験して、そのデータを持ち寄って、正に法則を見付けていくような、ああ、こういうところが中学校の勉強なんだなと思って、多分そういう経験が今の仕事にも生きていると思うんですが、実は現代においても、中学校で、それこそ先ほど言った中学のスタートカリキュラムじゃないですけれども、入学のオリエンテーションで、中学校というのはこういうところですよと。皆さんが一人一人自分の考えを持って、小学校とは違うんだと。みんな議論して、何が正しいのかということを、そういう学びをしていくのが中学校なんですよというね。そういうことを宣言して、うまくいっている中学校というのはあるわけですね。
  そうすると、そのときに先生方は、そういうことを子供たちに宣言するために、どちらかといえば、先生方が変わっていくと。いわゆる中学校の授業をもっと変えなきゃいけないだとか、やはり今で言うと、アクティブ・ラーニングというものを、そこの学校でどんなふうに取り入れて、この授業を変えていくのかと。それを子供に宣言する、保護者に宣言することによって、先生方の意識が更に明確になっていく。そういう取組というのが既にありますので、また同じような発言になるんですが、そういったものをやっぱりうまく吸い上げて、整理していくことが必要だと。何も全く新しいことをするわけじゃなくて、うまくいっている事例というのは幾つか転がっているということは大事にしていきたいなと思います。
  以上です。
【市川主査】    はい。尾上委員、どうぞ。
【尾上委員】    特に学力差とか学習意欲の件ですが、子供が高校に入りまして、1か月もたたないうちに塾に行かせてほしいという話が出てきました。どういうことだと聞くと、やはりついていけない、分からないというようなことで、これは中学校の時代に、一つ苦い経験をしたから、すぐそういうふうな言葉が出たのかなと思うんですが、なかなか相談することもできないし、ついていけているのか、いけていないのかというのが子供のレベルではすごく分かりにくかったというのが、そのテストをすれば分かるのか。何を見れば分かるのかというのは、少しその辺が保護者としても対応できなかった部分もありますが、塾に行くと、明白に言ってくれるんですよね。明確に。君はこういうところがこうだからというところで、それで安心したというところもあります。
  ですから、やはりこの格差を埋めるということもそうですが、奈須委員が言われていたように、子供を中心にどう見ていけるのか。言わば、子供の思い、訴えていることがどう伝わっていくのかというところがすごく大事なのが中学校かなというふうに思いますので、この部分というのはやはり言いにくい、言えない部分でもあるし、分からない部分でもあると思いますので、ここをしっかりやっていくべきかなというふうに思います。
  意見です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  今出た御意見は私も非常に大事だなと思うんですけれども、確かに中学生になったから何か自動的に内気になったり、無口になったりするわけではなくて、やっぱりその中学校のカルチャーというのがそうさせてしまうというところがある。実際に例えばアメリカの中学生などを見ると、ますます活発に、ある意味、生意気になっていくというようなところがあって、静かに先生の話を聞いて、黙々とノートをとって、テストを受けるというようなカルチャーではないので、中学生、高校生が明らかに違う行動を示しているんですね。ですから、日本でもやっぱりそこの学校のカルチャー、先生の教え方、指導の仕方によるんだろうと。
  今回はそれを少し国の方でも全体的に、アクティブ・ラーニングということで表に出していこうという流れなのかなと思います。今でもそういう先生はいらっしゃるんだけれども、またその先生が異動してしまったり、あるいはそこの管理職の先生が変わってしまったりすると、またいわゆる日本の中学校の雰囲気の授業になってしまって、日本の中学生らしい中学生になってしまうというその辺りが問題なわけですよね。
  今回は少しアクティブ・ラーニングという言葉の導入によって、そこら辺を組織的に、そんなに先生がちょっと、個性的な先生が異動したからといって、コロッと変わるというようなものではないようにだんだん持っていこうということだと思うんですが、そこは難しいのは、じゃ、中学校の先生がおっしゃるには、やれと言われればそういうふうにしますけれども、入試はどうなるんですかとかですね。余りアクティブ・ラーニングが行き過ぎると、どうも自分で学力が付かないような気がするので、塾に行かせてほしいということになってしまう。まあ、塾では余りアクティブ・ラーニングはやらないので、その代わり、ガチッとしっかりと習得させる。知識・技能を身に付けさせるというようなことになってしまうと、結局、塾は繁盛するけれども、やっぱり余り変わらないということになってしまう。そこら辺をどうするかということが今回、非常に悩みの種になっているということがこの前も出たのかと思うのですが、その辺りいかがでしょうか。
  はい。石鍋先生、お願いします。
【石鍋委員】    今、様々な先生方から、中学校全体がなかなか旧態依然として変わらないというような印象のお話を受けていますけれども、それも一理あるんですけど、最近いろんな学校を見ていますと、大分変わってきたかなと。これはやっぱり一つはアクティブ・ラーニング、これは言葉はかなり入ってきましたね。子供を主体にして授業をやらなければいけないという教員は、本校も含め、私の前任校も含め、また、今働いている地区、前、働いている地区も含め、増えているのが実態だと思います。
  ただ、実際に言っている教員の授業を見に行くと、本当に活動が取り入れられて、生徒主体の時間が増えている場合もあれば、実は言っているんだけど、何をやっていいか分からないということで、授業はまだ旧態依然としていると。様々あります。ただ、空気としては変わってきているのではないかというのは、是非ここでお伝えをしておきたいと思いますね。
  その中で、もう一つは、私個人の経験からのお話で恐縮ですけれども、小中一貫校の校長をやったことがありまして、そのときに小学校と中学校の接続に対する意識は、中学校の教員は大きく変わりました。例えば先ほど奈須先生が1ポツの議論の中でおっしゃっていた中学校の教員は、中学1年生の入門期の子供を非常に幼くみている。余りできないんじゃないか。実態はそうだったんですね。ただ、小中一貫になったときに6年生ってこんなにできるんですかと。こんなに自分の思いを発言できるんですか。これを目からうろこが落ちましたよという中学校の教員が何人か出てきまして、そこから校内研究はガラッと変わりましたね。小中つないだカリキュラムが一斉に、一気に作り上げられたというような経験を、私、校長時代にしましてね。やっぱり接続の部分をどういうふうに、総則なんかでも強調していただけるか。これは一つのポイントかなと思っています。
  あと、最後になりますけれども、先ほど英語の話の中でやはりいろいろ出たんですが、小学校に英語が教科化されていくとなったときに、小学校で何をやっているのか、英語の時間にどんな指導でどんな子供たちが育っているのか。それを中学校の英語の教員が早く見る。そして、小学校で使っている教材を知る。そういったことをしていくことで間違いなく中学校の英語教育も変わると思います。その辺りをうまく総則に入れていただくと、またこれは学校全体での取組として広がるかなと思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  小室委員、どうぞ。
【小室委員】    ありがとうございます。ちょっとこの後、早く出なきゃいけないんですけれども、項目の中にあったワークライフバランスということに関してです。これは本当にかなり、もう少し中学校の段階で時間を割いてこの部分についての知識を持つことができたら、特に女子学生の、女性のキャリアということについては随分影響を持つことができるのではないかと思っています。
  私も大学3年までは授業は基本的には一番後ろの席で聞いて、柱の陰の席に座るという大学生だったんですけれども。(笑)大学3年生のときに憧れのロールモデルの講演会を聞いてから人生が変わって、気付いたら会社を経営していたんですけれども、どういう社会、社会にはどういう仕事をしている人がいて、その人に憧れるかどうかというのが特に女子にとっては大きな影響を与えます。
  そのキャリアの目標、憧れというようなものこそが学ぶというものの一番原動力になっていくのかなという意味で、単にキャリアやライフプランというときに、幾つで結婚して子供を持ってというような、夫婦で家事分担をしてというような、ちょっとこう、現実的な世知辛い話だけではなくて、どれだけ様々な職業が今あって、グローバルに活躍している女性もいてというような幅広い情報が中学生ぐらいの時期に入っていくということが重要ではないかなというふうに思っています。
  それから、もう一方で、もう少しきっちりした内容でいうと、労働法の知識がこれほど持たないまま大人になる国というのは日本しかないんじゃないかと思っています。社会人にずっとボランティアで、学生と社会人の講座をずっとやっているんですけれども、36協定という言葉を知らないまま、社会人10年目ぐらいになっている人がたくさんいます。世界の中で日本だけが労働時間に上限がない国なんですけれども、そういう自覚がなく働いていて、ブラック企業に自ら入っていってしまう。そういう項目を見抜けないで職業を選択してしまうというようなところは、やっぱり教育の中でそれをしっかり観点として教えてこなかったということであったり、自分がお金をもらうということはどういう価値を出していかなきゃいけない社会なのかというようなことについても、何で価値を出していく時代なのかというようなことについても、しっかりと早い段階から現実に合わせて見ていくというようなことが教育の上では必要ではないかなというふうに思っています。
  特に今の世代は、自分の両親のスタイルが、自分が社会に出たときのスタイルに全く参考にならない、一番ずれているというところでの世代なので、これから社会がどう変化しているのかというようなことをしっかりと教育の中で扱っていく必要があるのではないかなというふうに思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】    ありがとうございます。二つ目の丸の子供たちの学力差や学習意欲の低下にどのように対応していくべきかという点について意見を述べさせていただきます。
  ずっとアクティブ・ラーニングという言葉が出ておりますけれども、アクティブ・ラーニングというのは大変優れた学びの形態であるというふうに評価をしておりますが、教員にとってだけではなくて、子供たちにとっても結構ハードルが高い学びの形態なのではないかと思います。特に小学校の段階で、例えばアクティブ・ラーニングに必要な新しいものに興味を積極的に持っていく能力であるとか、コミュニケーション能力であるとか、分からない問題をじっくりと我慢して考える力とか、そうした非認知的能力を身に付けてこなかった一部の子供たちにとっては、むしろ知識集約型の学習よりもずっとハードルが高いと思います。ですから、アクティブ・ラーニングが導入されれば、学力格差がなくなり、学習意欲の低下がなくなるかというと、決してそういうことではなくて、むしろこれまでの研究では、先生方御案内かと思いますが、知識集約型の学習で学力達成を上げられていることは、むしろ運用力などでも非常に学力達成が高く、運用力等の方が学力格差が大きいという結果も出ています。
  そうなりますと、やはり優れた学びの形態を導入した上でもこうした学力格差や学習意欲の低下層にどういうふうな配慮をするかという問題は、やはり中学校では大きな問題として残ろうかと思います。今まで日本の教育は、全ての子供たちに同じような教育条件で教育を行う。これが日本の教育の一つの強みであったわけですけれども、今後こうしたアクティブ・ラーニングというものを導入して、もしかしたら運用の間違いによっては、より学力格差を広げてしまうかもしれない学びにかじを取るのであれば、やはり学力低下層に対しては傾斜的に、加配的に、人的・物理的な支援を行って、底上げを行っていくという考え方を残していくというか、むしろそれを促進させていくことが重要であるというふうに考えます。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では、先に、帯野委員。
【帯野委員】      これは感想ですが、特別の教科、道徳、これが非常に大切だと思います。なぜ道徳を特別な教科というよりは導入するのかということについては、余り明確なものはないと思うのですが、私が必要だと思いますのは、学校の安全と安心の確保の点からですね。やはりそれがなければ教員の研修も実現しないし、アクティブ・ラーニングも成り立たないわけですから。ここに書かれておりませんが、中学校で一番直面している大きな問題であるいじめ、暴力、学級崩壊、これを防止するために、解決するために、大阪市でもいろいろなペナルティや、ルールを随分作ってきましたが、やはりペナルティだけでは問題の解決にならない。遠くて近い、大切な一歩は道徳教育の充実だと思いますので、そういう意味でも道徳教育というのは大切だと思っています。
  もう一つ、グローバル化ですね。いろんな子供たち、いろんな価値観が社会や学校に増えてきます。多様な価値観を理解するということは言われていますが、多様な価値観が共存するためには基本的なルールというのがものすごく大切になってきますので、一部、固有の価値観を押し付けるのではないかというような意見もありますが、むしろ不変の価値観を徹底して教え込む。うそをついてはいけないとか、弱い者をいじめてはいけないとか、こういうことがグローバル社会の実現のためにも大切だと思います。
  東京都の調べでも、なぜ家庭の教育力が向上しないかの、その理由の65%ですか。親がマナー、ルールを知らないというところもありましたので、子供が学ぶことによって、家庭の方の教育力も向上させていけるのではないか。こういうところ、どれぐらい社会にアピールできるかということだと思いますので、是非社会でこういうことが共有できるように働き掛けていくことが大切かなと思いました。あと3番目に出ている家庭の教育力向上ですね。子供たちに道徳を教えることによって、家庭の教育力が向上します。
【市川主査】    ありがとうございます。
  奈須委員、どうぞ。
【奈須委員】    学校間の問題というのは、小中でもそうですけども、幼小でも多分、全く同じ構造で、幼稚園の先生方は、僕ら小学校畑の人間に硬いなとか、よくいつもお叱りを受けるんですけど、僕ら小学校畑から見ると、中学校はまた何であんな子供を信用していないんだろうと、結局そういう話なんだと思うんですけど、だから、子供が来た前の段階はやっぱりどの校種もよく知らないんですね。大学の先生も、1年生が入ってきたときに、君らは何も知らないからという姿勢で、とんでもない、18歳は何でもできるのにと思うわけですけど、どうしてもそういうふうに下の校種に対して、できない方ばかり見てしまうんですけど、先ほど石鍋先生から教えていただいたように、そうやって実際にそういう出会いというか、交流というか、一緒にやる場面が少なかったんですよね。それは幼小連携でも今ずっと言われていて、幼小連携はそれが随分進んできて、小学校の方も変わってきた。
  何が変わってきたかというと、つまり、連携というのは、いわゆる上級学校の方に適用できるように、下の学校が合わせて準備するとか、あるいは逆に上級学校の方が適用できるようにスタートラインのレベルを引き下げるとかということがかつてやられてきたことで、これは全くだめだという話だと思うんですね。今、幼小連携はそうじゃなくて、幼児期に育っているものが何かということをしっかり見据えて、そこで育っているものを上手に生かしてスタートラインを切っていくというやり方に変わってきて、その方がむしろ短期間にかなり高度なレベルまで行けるし、子供の方からすれば、自分たちがこれまで学んできたことや経験してきたことが小学校でもこんなに生かせて、それによってまた小学校の新たな学びがこんなにもできるということになっていく。その方が自己肯定感とか自信にもなるし、意欲も高まるという話だろうと思うんですよね。それは小中でも今後やっていこうじゃないかということだと思うし、石鍋先生がおっしゃったのはそういうことだと思うんですけど、そこはすごく大事なことだと。つまり、小中の連携といったときに、小中の連携の内実のイメージですよね。そこはやっぱりしっかり出していくし、戦略を出していくということだと思うんですね。
  そうすると、先ほどから市川先生や村川先生がおっしゃっているように、中学校に入った途端、いきなりおとなしくて恥ずかしがり屋さんになるわけじゃないわけで、静かで恥ずかしがり屋さんでいた方が適応できるような授業をやっているからいけないんですよね。だから、そこを変えるという話だろうと思うんですけれども。それはとても大事なことだなと思っているんですね。
  それから、もう一つ、ワークライフバランスとか道徳とか英語の話ですけれども、これはそれぞれ独自の課題があると思うんですけれども、一つやっぱり共通しているのは、先ほども日常的認知と申し上げましたけど、子供たちが知っているトピックであるとか、子供たちに関心のあるテーマであると、先ほど帯野先生もおっしゃった英語なんかでも、子供たちが知り得ている中身について、それを英語でやると結構できちゃうという話ですよね。まあ、言いたいことがあれば言うという話で、これは海外でCLILと言って、コンテントとランゲージを統合するというアプローチですけれども、そういうのをよくヨーロッパでは、非英語圏ですね。フランス、ドイツなんかああいう非英語圏でやっているという話ですけど、つまり、中身についてよく知っていると、それをうまく表現するということがベースの語学力以上にできちゃうという話ですけど、そういう方向に切っていけるかどうかということだと思う。
  ただ、そういう話をすると、中身が難しいのに、基礎がないのにできないんじゃないかという論理になって、これまでできなかったんだと思うんですね。やっぱりそこを概念を変えていくということが今回大事なんだろうし、そっちに向かって、少し行っていると思うんですけど、道徳もそうだと思うんですよね。基本的な道徳律とか考え方が身に付いていないのに、高度な倫理的な問題なんかに立ち向かえないじゃないかというんだけど、むしろ高度な倫理的なジレンマがいっぱい生じているような難しい問題に立ち向かっちゃった方がいいという話にね。いわゆる応用倫理学的な問題、答えのない問題にいきなり立ち向かっちゃう。ただ、答えのない問題だけど、それ自体は結構知っているとか、関心を持っているとか、自分に引き受けられるという文脈さえあれば、実は結構できるんじゃないのかなみたいな話がここのところあるんだと思うんですね。その方が子供は道徳の学びがいがあるし、考えがいがあるし、自分というものが見えてくるし、それによってこんなに考えられた私、好きになったりするとかいう、あるいは仲間をもっと認められるようになるとかということだと思うんですけど、ワークライフバランスもそうだと思うんですよね。
  基礎的な知識をとにかくお勉強で詰め込んで、その先で何か現実世界に応用しようと。例えば職場体験なんかも、職場体験に行く前によくマナーの訓練とかをやる中学があるんですけど、きっと逆ですよね。そのマナーの訓練をいくらパターンプラクティスでやっても、現実に行ったときには、それはむしろ使えないことがあって、あんなに練習しても使えないんだから大変なことだとなっちゃうという話があって、クレームもそうなんですよね。パターンプラクティスを山ほどやったのに、ちょっとしたら使えないと。逆に使う文脈の中で考えた方が本当は早いんだけどということなんですけど、つまり、現実的な問題にもっと早くぶつけるとか、子供のできることや関心事をむしろ中心にしてやるみたいな話に転換していく。
  でも、これは最後は学習の理論の感覚になってきて、要するに、基礎がないのに応用はできないというふうにずっと考えてきたと思うんですね。これは小学校もそうなんですけど、それは大分違うという話をやっぱりどうやって出していって、理解してもらうと。また、基礎がなくても応用ができるみたいになっちゃうと、かつてのように、じゃ、自立解決、7分間、とにかくあなたたちでやってみなさいみたいな話になって、それはうまくいかないと、市川先生がずっとおっしゃっているとおりで、じゃ、何がどういう意味で基礎になるのかという話だったり、その基礎の部分と、それを使ってやっていく部分をどうやって実際にハイブリッドするというか、コンビネーション化していくという話がきっと問題になってくるのかなと思っておりますが、この辺は市川先生がむしろとてもお詳しいと思うんですけど。
【市川主査】    いえ、私は議長として徹しますので。(笑)
  山中先生、どうぞ。
【山中委員】    済みません。私、特別支援教育のニーズにどのような対応をしていくべきかというところなんですけれども、やっぱり特別支援教育が推進されていくということは、もちろん配慮を必要とする子供たちが、国の調査でも中学校だったら4%台だと思うんですけれども、通常の学級にも在籍するということで、その子たちの成長にももちろんつながりますし、それから、周りの人たちがやっぱり理解をしていく。そして、共生社会を形成していく上でも、特別支援教育を推進されるということはとても大きいことだと思っています。
  では、具体的にどのようなことかというのは幾つか検討されていまして、特別支援教育部会における検討状況というのが資料3でも出ていますけれども、ちょっとその中のことに触れてなんですが、今、小学校や中学校の学習指導要領の中にはサラッと総則のところに書いてあるんですけれども、今回、各教科でそういうような困難のある子たちがどんなふうにしていったらいいかというような配慮の例が示されるということで、これはすごく大きいことだと思うんですよね。特別支援教育の側からだけではなくて、通常の小学校や中学校でこういう配慮ができますよということを示していただくということは、すごくいろんな理解のことにつながっていくのではないかなということで、ここがうまく示されるといいなということが1点です。
  それから、2点目は、現行の学習指導要領の中でも特別支援学級や通級による指導と連携してというようなことが書かれているんですけれども、特別支援学級も通級による指導も小学校、中学校に在籍する子供のことであるんですね。なので、総則の中で通級による指導や特別支援学級の教育の目的だとか狙いだとかというものももう少し書き込んでいただけると、そういうところで支援を受けるというような考え方でも広がっていくし、それから、通常の小学校や中学校の先生がもしかして通級や特別支援学級を進めるのであれば、そちらのことも理解していかないといけないので、そういったことが総則の方にももう少し書かれていっていただければなということが2点目。
  3点目は、特に通級による指導は、通常の学級で指導を受けながら、一部、必要な障害による状態の改善ということで指導を受けていくものなんですけれども、今、特別支援学級も通級による指導もすごくそれを受ける子供さんが増えています。特に通級による指導は、今回の予算でもうまく行けばいいなと思っていますが、教員が加配ではなくて、定数配置になるような動きもあるわけなんですけれども、私の学校には通級による指導がありまして、通級による指導というのは物すごく効果的だなというふうに思っています。
  大方の授業を通常の学級で受けながら、部分的に指導を受けるという意味では、これをやはりきちんと受ける、親御さんもニーズを理解して受ける。それから、子供も理解して受けるということで、そんなに長い時間受けているわけではないんですけれども、先々、物すごく効果が出ているということは実感しています。
  そういうこともありますので、この特別支援学級や通級による指導でやっていることを総則に書いていただくということと、それから、その中でやっている自立活動という領域があるんですが、これは通常の小中学校の学習指導要領の中にはない、特別支援学校の方にあるものなんですけれども、障害の状態を改善していく。通級による指導はここを主にやるんですけれども、こういった自立活動の考え方が一般の小学校、中学校で分からないんですね。なので、こういったものもできたら総則に変えていっていただけると、今後そういう考え方で子供に接していけばいいというようなことにつながっていくのではないかなと。自立活動のことも何か書いていただければなというふうに思います。
  それから、交流及び共同学習については、推進していくということもずっと言われているんですけれども、今ですと、共生社会というような文言を入れていただいて、交流及び共同学習が共生社会の形成を目指しているというようなものがもう少し入ればなというようなことが4点目です。
  それから、5点目で、個別の指導計画、個別の教育支援計画なんですけれども、合理的配慮の提供については、個別の教育支援計画にというようなことが書いてあるんですけれども、子供たちにいろいろ配慮されることが、ただそのとき行き当たりばったりとか、たまたまそのときの学校体制とか、他人の先生とかだけでされるということではなくて、やっぱり計画的にきちんとしていくものだということで、個別の指導計画とか個別の教育支援計画も、もう少し位置付けが深まっていくといいなというふうに思っています。
  以上、5点です。
【市川主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、最後に三つ目の議題に移ります。関係資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料1の3ポツでございます。地域や家庭との連携・協働の中で、教育課程内外で子供たちに多様な学習機会を実現していくためにはということでございます。
  一つ目の丸は大きな点でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」、これを地域や家庭と連携・協働しながら実施していくためには、どのようなことが重要かということ。それから、教育課程外の活動についてでございますけれども、部活動でありますとか、地域の総合型地域スポーツクラブでありますとか、文化芸術体験、ボランティア、インターンシップ等々、様々ございますけれども、そういった多様な中で、教育課程との連携を図りつつ、子供たちの興味やキャリア形成の方向性に応じた学習の機会が提供されるように連携していくということの中でどのようなことに留意していくべきかということ。
  それから、部活動については、石鍋先生御指摘のとおり、少し記述ぶりを考えていかなければいけませんけれども、生徒の自主的・自発的な参加により行われる活動であるということを踏まえつつ、余りに競技に偏った指導ということではなくて、生涯を通じて継続できるようなねらいを持つということ。あるいは複数種目やシーズン制など、生徒のニーズに応じた活動など、多様な視点で考えていくべきではないかということ。
  それから最後に、第1回目でも御指摘頂きました家庭の教育力向上に学校がどのような役割を果たせるかということでございます。
  資料4を少し御覧いただければと存じます。こうした地域、家庭との連携・協働に関する資料を少し整理させていただいております。
  1ページ目でございますけれども、教育課程と教育課程外の教育活動。学校教育における教育課程外の学校教育活動ということと、地域が主体となって行う様々な教育的活動とを示しておりますけれども、学習指導要領との関連で特に考えていくべき活動について、少し全体像を把握するために作らせていただいているものでございます。
  それから、2枚目が家庭や地域社会との連携についてということで、少し読みにくくて恐縮ですけれども、現行学習指導要領でも地域や学校の実態に応じ、協力を得るなどということでございますけれども、年末の答申でも連携・協働ということで、今回、特に「社会に開かれた教育課程」という理念がございますので、この点は特に考えて記述を充実させていくべきではないかとも考えられるというところでございます。
  また、3ページ目は、部活動でございますけれども、部活動については、「生徒の自主的、自発的な参加により」ということ、また、教育課程との関連、あるいは地域や学校との実態に応じて、地域との連携などということも記載されているところでございます。
  そして、4ページ目、先ほど石鍋先生からも言及頂きましたが、運動部活動の意義等については、保健体育ワーキングにおきましても様々御意見を頂いております。教育的意義が高いということ。一方で、ワークライフバランスを犠牲にして先生方が苦労されているような面もあるのではないかということ。それから、外部指導者の協力ということが重要であるということ。それから、「チーム学校」という視点も重要であるということ。そして、活動の形態については、複数種目、シーズン制といった、生徒のニーズに応じた多様な在り方ということも考えていくべきではないか。競技に偏った指導ではなく、生涯を通じて運動、スポーツを継続できるようなねらい。今回の体育・保健体育科における見方、考え方という中でも、生涯を通じて運動やスポーツに親しむということを体育・保健体育科の指導の主眼としていくということを改めて整理いただいておりますけれども、部活動も教育課程との関連を図りながら、そういった視点を持つことが重要ではないかということ。また、先生方の業務改善ということの中では、授業が一番大事ということをおろそかにするような形にならないように、様々な方にお手伝いいただけるような仕組みが重要ではないかということについて体育・保健体育ワーキングでも御議論をいただいているところでございます。
  5ページ目、運動部活動と運動習慣、体力等の関係ということ。参加している中学生の総運動時間が長く、体力合計点も高いという相関関係。
  6ページ目、少し見にくくて恐縮なんですけれども、ア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、クというのは上の枠囲みにございます項目について、ピンク色のバーがございます。アの人間関係の構築ということが89.4%ということ。また、ウの生活態度の向上、規範意識の高揚というのが87.5%という調査結果でございます。
  それから、7ページ目は、国際的な調査であるTALISの結果で、我が国の教員がやはり他国と比べても少し業務という面で負担が大きいのではないかということ。
  それから、8ページ目は、指導者の実情ということで、体育以外の経験なしというようなところがかなりの割合を占めているということ。
  それから、9ページ目は、多様な活動ということで、中学校における職場体験活動の実施割合ということでございます。実施率自体としては高いという状況でございます。
  それから、10ページ目が更にその教育課程への位置付けの状況でございます。
  それから、11ページ目は、文部科学省調べの体験活動の状況、教育課程の位置付け、これも大変見にくくて恐縮ですけれども、ボランティア活動、体験活動などの実施状況でございます。
  12ページ目は、最近の土曜の教育活動でございます。土曜の教育活動、様々形態ございまして、教育課程内の授業を行うもの。教育課程外の学校教育を行うもの。若しくは地域と連携した活動を行うもの。土曜授業、課外授業、学習と呼び直しておりますけれども、13ページ目を見ていただきますと、いずれかを実施している割合というのは半分程度ということでございます。
  それから、14ページ目は、学校と家庭、地域の連携についてということでございます。保護者や地域の方々の活動への参加状況、また、その効果ということでございます。
  その後は、「チーム学校」の答申、それから、家庭と地域との連携・協働に関する答申の概要を記させていただいております。いずれも「社会に開かれた教育課程」ということの実現の観点からどのようなことを考えていくべきかということを御答申を頂いているところでございますので、先ほどの資料1にお戻りいただきまして、3ポツの御議論に役立てていただければと思います。
  また、机上には現在、業務改善のためのタスクフォースということで検討をさせていただいております。また随時、必要に応じ、状況等を御報告させていただきたいと思いますけれども、学校現場を取り巻く環境が複雑化・困難化していることを踏まえて、先生方が指導力を磨いて発揮できるような体制をどのように整備していくべきか。これは省内でもタスクフォースを作って検討している最中でございますので、また随時、状況などを御報告させていただきたいと思います。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  それでは、いかがでしょうか。時間も少し押していますので、恐縮ですが、御意見を少し短めにお願いいたします。はい、どうぞ。
【村川委員】    この3で大事なのは、教育課程外の様々な体験活動が教育課程内の様々な学びと生徒一人一人の中でつながらないと、私は意味がないというように考えています。部活は部活とか、ボランティアはボランティアじゃなくて、やっぱり中学校生活の中で、自分がどんな生き方をしていきたいのか、どんな学びをしていきたいのかというのをしっかり考えた上で、教科の学び、道徳の学び、部活動、そして、学校外での様々な体験がつながっていくということで、私が伺っている徳島県の中学校では、知の総合化というのを総合学習の中でやっておりまして、主に、将来生きていく上で必要な力ですね。そういったものを元に子供たちが様々な学校内の学びと学校外の体験をつなぐというようなことをやっていまして、やっぱりそういう学びがつながって初めて将来に生きていくんじゃないかなと感じています。
  また、部活動に関して一つだけ事例を紹介しますと、先週、松山のある中学校でこんな取組をしました。二日連続、雨が降ったんですね。初日は2年生、3年生だけが集まって、1年生は宿泊体験だったので、何をしたかというと、放課後、図書室に全員集合しまして、そして、野球に関するビジネス書のようなものを部員全員、1人1冊ずつ読んで、1時間の間にチームに役立つ情報を抽出すると。その後、ワークショップをやりまして、じゃ、自分たちはどんなチーム作りをしていくのかというのを、そういう書籍から学んでまとめたと。二日目には1年生が戻ってきましたので、彼らに伝えたというようなことをやっておりまして、やはり様々な工夫次第で部活動も変えていけるし、もっともっと子供の主体性を伸ばし切れるようなそういう取組もできるんじゃないかなという、そういうちょっと調整もしていましたので、何かの機会に御報告できればいいかなと思っています。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】    2点ございます。
  1点目の「社会に開かれた教育課程」の観点からということでございますが、今、村川先生からも御意見がありましたとおり、諸活動をつないでいく核が必要であると。やはりそのときに重要になってくるのがコミュニティ・スクールの仕組みだと思います。たかが制度、されど制度で、そうした制度的な枠組みがあってこそ、皆さんがそこで協働できるという土壌が整うわけですので、やはりそのコミュニティ・スクールの試み、取組というものが広がっていくということが一つ重要であろうと思います。
  2点目でございます。それは一番最後の家庭の教育力向上に中学校がどのような役割を果たせるかということに関わって、この主体の書き方、「中学校が」というふうに書いてしまっていいのかどうかという懸念がございます。とかく、子供がうまく育っていないということに関わって、親がいけない、なっていないという御意見、世間に大変強うございます。私もここに偉そうに座っておりますが、一保護者ですので、数時間後には、そのなっていない親になるわけですけれども。(笑)ちょっとうまくいっていないなと思うところもございますが、例えばこの「中学校が」というふうにすると、ちゃんと早起きをさせてください、家庭学習させてください、宿題の丸付けはしてくださいというような契約書のようなものを作って、どの家庭の親にも一斉に同じような教育力を求めるような、いわゆる一斉授業的、画一的な対外経営的なことを中学校がされることがあるんですね。
  こういうことをやると、もともとちゃんと教育力のある家庭の親御さんはそれを受け止めて、より教育力を高めるんですが、そもそも諸事情で、やりたくてもできない。そもそも周辺化されている親御さんがもっと周辺化されていくことになるんだと思います。困った事情を抱えている、そして、子供の教育に向き合えない親御さんには、一斉授業的に中学校が何か指導するというよりも、やはりここで重要なのが個別的に、例えばスクールソーシャルワーカーが対応すると。SSWが対応していくというような試みが重要であろうと思います。
  幸福の顔は全く単一だけれども、非常に困った人たちの顔は多様だというふうにあるように、やはり個別の対応が必要であると考えます。また、そのときに学校の先生方は、1年間で子供たちの指導を完結するという時程というか、時間の感覚をお持ちだというふうに伺いますが、一方、スクールソーシャルワーカーの方々は3年、4年、5年掛けて一つの事例を解決に向けていくというような時間軸をお持ちです。それぐらい難しいということだと思うんですけれども、ですから、その家庭の教育力向上ということを考えるのであれば、より中学校単体というよりも、小学校、中学校、又は幼稚園の段階からの連携と継続した指導、というか、継続した指導じゃないですね。継続した支援というものが必要になってくると思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。尾上委員、どうぞ。
【尾上委員】    先ほどの件に関しましては、貞広委員と同意見で、幼稚園の段階からしっかりと取り組むべきことが家庭の教育力の向上につながるかなというふうには思っております。ただ、今までの経験上、学校ともうまくいっていない家庭を見ると、やはり地域とうまくいっていないのかなと。言わば、地域コミュニティにしっかり溶け込んでいないという方がやはりそこに持っていくところが学校しかないというようなところもあったりして、私たちがどう関われるかというところはすごく苦労しているところであります。
  それをどうにかなると、なかなか難しいので、やはりこの「チーム学校」という形がすごくいい形ですし、生涯学習が取り組んでいる地域学校協働本部というところ、それぞれの形でうまく引き込むというところをやっていきたいというふうに思いますし、最初に申し上げた、幼稚園、小学校の段階からだんだん学校との関係が薄れてくるような感があるのをこの形でしっかり止めていくというのが大事と思いますので、是非ともこの形をしっかり作っていくということがまずこれからの地域社会形成に必要だと思いますので、家庭の教育力の向上のキーマンは地域ということになるでしょうし、その中心となるのが学校という形になるのかなというふうに思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  はい。奈須委員。
【奈須委員】    小中高とある中で、中学校区をベースに地域コミュニティを構成していくという戦略が一番大事なので、小学校の方が親とはつながっているんだけれども、最終的に地域を再組織化していくというときにやっぱり中学校区が一つベースになってやっていくというのが戦略として多分大事だろうと。尾上先生や貞広先生が言われたとおりだとまず思っておりますということです。
  もう一つ、部活の話では、先ほど村川先生が言われたように、やっぱり工夫次第で、部活自体の概念はやっぱり変えていくということが大事なんですよね。部活というのはどういうものかという概念を変えていく。それは、つまり、部活も一つの学習だとすれば、伝統的な部活の指導というか、練習というのも、結局その一斉指導でとか、要するに、知識を注入する、たたき込むとか、とにかくいっぱい練習して身に付けるという授業のやり方と部活のやり方は全く同じなんだよね。そこはやっぱり変えていくという。だから、部活を一つの学習のやり方だとして、学習、授業も変えるなら、部活の方法論も変えていくということがあって、それをまた今、村川先生がおっしゃってくださって、やっぱり僕らも研究して、いろんな事例集を出していくみたいな。
  だから、部活の指導というか、部活の活動自体をもっと多様にしていくみたいなことは考えてもいいんだろうと思いますし、きょう、山口先生いないんですけど、スポーツ科学の観点からしても、ひたすらただ練習すれば上手になるという話ではないでしょうから、もっといろんな科学的トレーニングの概念とか、あるいは科学的トレーニング自体を子供が学ぶ。さっきの村川先生の話もそうだと思うんですけど、総合では少しそんなことをやっていくことあるんだけども、部活の中でそれをやるというのはすごい斬新な発想だし、それを通して、自分の体や心を大事にするとかいう話にもなってくるだろうと。部活を一生懸命やったから、むしろ体のいろんなところに故障を起こすというのは残念なことで、その辺はやっぱり合理的であるとか、科学的であるとかいう話が部活に入るといいなと思うんですよね。
  僕の知っているところの事例であったので面白いと思うんですけど、山形の蔵王一中という学校が各県一校の総合の研究開発学校になったことがありまして、小さい学校なんですね。公立学校で研究開発をやるのは大変だったので、やっぱり部活指導が先生たちにとっては大変で、それをやっているとカリキュラム研究ができないと。なので、先生たちから少し部活のない日を作りたいという話をして、週2回ぐらいかな、ノー部活デイを作って、早く子供を帰したんですよ。すると、子供たちは、その限られた時間を効率的に使って、正に村川先生のと似ているんだけれども、短い時間だけども、集中してやって、効率的に身になる練習というのを計画して、すごい集中してやったので、全国大会とか行っていたのが幾つかあるんですけれども、相変わらず全国大会に結果的に行けちゃったんですよね。だから、時間をやればいいという話ではないという話になってきて、それは大事なことだと思っていて。ただ、その話をしたときに中学校の先生が、いや、それもあるんだけど、またこれは石鍋先生にお叱りを受けるかもしれないけれども、3時半に子供を帰したら、3時半から子供は何をしでかすか分からないから、5時なり、6時までに学校にいさせることも大事だというふうにまだお考えの先生方あるいは地域の方や、親御さんもいらっしゃって、やっぱりそこをどうするかということだと思うんですね。
  同時に、それは結局、地域全体で子供を見るという話がもう一方にあって、それはやっぱりコミュニティという話でしょうし、あるいは親一人一人じゃなくて、親の連携の問題でしょうし、もう一つは、3時半に子供を帰しても、子供は別にそんな何かいきなりしでかすわけでもないんですよ、本当はね。それはやっぱり僕らが子供は何をしでかすか分からない存在だというふうに、どこかやっぱり薄々思っていたりするからで、それはやっぱり子供観を最終的には変えていくというふうな、また、子供観を変えられるようになるためには、実を言うと、学校で日頃、子供と付き合っているときに先生が確認する子供の姿が現実的に変わってこないと、先生方もそこに確信を持てない。それはさっきの授業とかという話になってきたり、授業研究とかいう話になってくるんですけど、だから、きょう御議論していると、こういう全部のことがつながって動いているんだなということはすごい中学校改革の問題として大事。ただ、それをどういうふうに出していくかですよね。どういうふうにそれを現場に伝えていくか。伝えるということじゃなくて、具体的にアクションを起こすような政策というか、手立てにしていくかというのは難しいなと思いました。
  以上です。
【村川委員】    ちょっとだけ補足していいですか。
【市川主査】    はい、どうぞ。
【村川委員】    実は先ほど紹介した松山の中学校というのは、いわゆる道徳の指定校で、アクティブ・ラーニング、いわゆる考え、議論する道徳を始めようとしているんですね。ですから、部活動もアクティブ・ラーニングにしようという発想もありますし、実はこれに近い事例が10年ぐらい前にありまして、あるバスケットボール部がありまして、その顧問はど素人なんですよ。本人は体育でしかやったことがない。だから、これは自分は教えられないからということで、たった5人しかいない部員なんですけど、アクティブ・ラーニングのようなことをやらせたんですね。
  実はその5人のうちの2人は学年一大変な子で、もう1人は学年の2番目に大変な男の子だったんですが、本当にこの2人が変わりまして、1年後には例えば顧問の先生に、「先生、これ、貸してあげよう」、「何だ、これ」と。『リーダーシップ論』という本を読んでいるんですよ。「先生はサンドイッチ論って知っているか」、「何だ、それ」と言ったら、「人を動かすときはまず褒め、そして、言いたいことをきちっと言って、最後は励まして、それで、先生、人は動くんです」。これが学年で一番大変だった男の子の発言なんですよね。
  だから、僕は中学生というのは非常に可塑性があって、手立て次第で変わると。それは授業もそうだし、部活もそうなので、そこら辺はきちっとやっぱり僕ら研究者が発信していかなきゃいけないのかなというのを思っています。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  じゃ、私も今の地域の問題、一言だけ言っていいですか。私はこの地域教育との関係というのはちょっと慎重に書いた方がいいと思っているのですが、資料4の1ページ目にあるこのイメージ。これをどう受け取るかなんですけれども、見た人はいろんな受け取り方をすると思います。私も学校教育に関わる仕事が9割方ですけれども、1割ぐらいは地域教育にこの10年ぐらい関わっているんですね。
  すると、まず大きく二つのことを言いたいんですが、地域教育の人たちは、とにかく90年代から、もっとこの週5日制がだんだん完全週5日制になっていく、そのプロセスで、もっと地域で教育の受け皿をと言われて、受け皿がない、ないと言われてきた。しかし、それをどんどん充実させてきたんですね。
  ですから、完全週5日制になったときに、いかに地域で子供たちを育てるかということにかなり腐心なさって、それなりに充実してきていると。そこへ来て、最近の動きというのが土曜日、また授業をやりますという動きが出てきて、何か学力低下しているようだから、土曜日も授業をやりますというようなところまで現れて、実は学力は週5日制でも復活しているんですけれども、どうも最近は学力が低下しているようなので、土曜日も授業だというようなところが出てくると、全国的にはそんなに多くはないですが、特に日本の首都でそういう動きがあったりすると、せっかく地域教育を充実させてきた人たちは、一体どうなっているんだと。
  地域の人たちは、それなりにやはり子供たちを育てたいという意識があって、やってきたと。これが二つ目なんですけれどもね。この図1の見方なんですが、ついつい学校教育に関わっていると、やっぱり学校が中心であって、地域はそれを支援するというふうに見てしまいがち。学校地域支援本部とか言ってですね。地域は学校を支援するためにある。また、学校も教育ということになると、やっぱり学校が中心にならなくてはいけないという責任感とかがあって、それが高じると、自分たちが地域教育も仕切らないといけないというようになってくると。これは何かちょっと行き過ぎのような気がするんですね。
  12月に出た答申がありましたね。あそこで地域との関係というのは、子供たちをともに育てていくというふうにかなり大きく変わったと。地域が学校を支援して、子供を育てていくのではなくて、ともに育てていくというふうにはっきりうたわれるようになった。実は私もかなり意見を申し上げました。
  やはり地域教育の人たちもそういう意識はかなりあるんだと思うんです。すると、これまでのように、例えば総合的な学習の時間にどんどん地域の人も入ってきて、協力するというような形だけではなくて、地域の人たちが運営しているようなプログラム。これは実際には相当あるんですね。私も見てびっくりしましたが、結構ある。そういう人たちはもう運営主体として地域でやっている。そういうものに子供たちをいかに参加させるか。また、そこでやった活動というのを学校の総合的な学習の時間とか社会科の時間にこんな活動をしてきたというようなことを発表することによって連携ができる。
  ですから、この地域との関係ということが両方でそれぞれの理念に沿ったものをやりながら、ある意味、私は緩い連携でいいと思っているんですけれども、子供たちが地域の社会人たちと一緒に学んでいく。それはもう運営主体は地域の人たちと。一方では、学校ではやっぱり学校のカリキュラムというのがしっかりありますので、学校で出ると。それがつながっているんだなという、つながりを見せることはすごく大事だと思いますが、つながりを見せるために、じゃ、地域教育も学校の先生が入っていって、カリキュラム化しようとなると、これは明らかに行き過ぎで、そのような関係がどうやって作っていけるかなという、その辺りの書き方も含めて、12月の答申。あれは私はかなり画期的な意味を持っていると思いますので、大事かなと思っています。
  それでは、もう時間が来てしまうのですが、また第3回目も次にありますので、きょう言い足りなかったこととか、私も言い足りなかったことがありましたので、次回は言わせていただこうかとも思いますが、先生方も恐らくきょうのいろんな議論を聞いて、もう少しこういうところを論じたいということがおありかと思いますので、今後ともまたよろしくお願いいたします。
  それでは、今後の予定、次回以降の日程等、事務局から御説明お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    一つだけですね。本日、資料5というのをお配りさせていただきました。既に報道等で御承知かと思いますけれども、大臣メッセージ、「教育の強靱化に向けて」ということでございます。
  大臣就任、半年という節目であり、また、中教審も徐々に取りまとめに入ってきているということで、学習指導要領改訂の方向性と次世代の学校・地域創生の実現、この一体的な推進について、改めてメッセージを発出させていただいたところでございます。
  1枚目は、本部会も含め、議論の状況を取りまとめております。
  2枚目でございますけれども、一部、アクティブ・ラーニングが知識を軽視して活動を中心にするというようなものを目指しているのではないかというような誤解を生みかねないのではないかという指摘もあったことを踏まえまして、ゆとりか、詰め込みかというような二項対立の議論に戻るのではないということ。資質・能力をバランスよく育むということであり、学習内容の削減を行うということではないということ。アクティブ・ラーニングの視点は、知識が生きて働くものとして習得されるということ。質の高い理解を図るための学習過程の質的改善であるということを、もうこれは既に中教審で御議論いただいている内容なのでございますけれども、改めて整理をしながら出させていただきました。
  また、それと併せて3枚目に、こうした「社会に開かれた教育課程」実現のために指導体制の充実、教員の質の向上、「チーム学校」、地域との協働・連携ということをしっかりとセットで進めていくということを改めて大臣メッセージとして発出させていただきましたので、少し御紹介をさせていただきます。
【市川主査】    済みません。今の「教育の強靱化に向けて」と、これは文科大臣の方から出たことということのきょうの御紹介です。ということを御承知おきください。
  では、今後の。
【石田教育課程企画室専門官】    次回の日程でございますが、6月3日金曜日の13時から15時を予定しております。場所が決まりましたら改めて御連絡を申し上げます。
  また、御意見、メール等で、ファクス又はメール、郵送等で頂戴できれば幸いでございます。
  また、本日の資料につきまして、郵送を御希望される場合には、机上に資料を残しておいていただきましたら、後日お送りを申し上げます。
【市川主査】    どうもありがとうございました。本日予定されていた審議はここまでです。終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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