教育課程部会 小学校部会(第7回) 議事録

1.日時

平成28年6月23日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について
  2. 総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会のまとめ(案)について

4.議事録

【天笠主査】    おはようございます。若干早めでありますけれども、ほぼ委員の方もおそろいのようですので、ここからスタートさせていただきます。ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会小学校部会の第7回を開催いたします。本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
  これより議事に入らせていただきます。
  なお、本日は報道関係者より会議の録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料5、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、その中には、本特別部会の審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申、関連資料等を含めてデータで入れておりますので、適宜御参照いただければと思います。
  また、文部科学省の人事異動について、御報告申し上げます。小松初等中等教育局長の人事異動に伴いまして、藤原初等中等教育局長が着任しております。
  なお、藤原局長は、本日、別の公務により、遅れての出席となる予定でございますので、参りましたら改めて御紹介申し上げたいと思います。
  以上でございます。
【天笠主査】    本日は、議題次第にもありますように、議題が二つございます。
  一つが、小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議における議論の取りまとめであります。
  続いて二つ目が、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会のまとめ(案)について、御検討をお願いいたします。
  なお、議論の状況次第ですけれども、小学校部会における取りまとめの議論については、本日をもっていったん終了させていただきたいと考えておりますので、その旨どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、まず、一つ目のプログラミング教育に関する有識者会議における議論の取りまとめについて、事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、資料5-1、5-2、5-3をお手元に御用意いただければと思います。前回の小学校部会でも御紹介をさせていただきました、小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について、資料5-2のとおり、議論の取りまとめがなされましたので、御報告を申し上げます。有識者会議には、当部会のメンバーの先生にも御協力をいただきながら、極めて短期間ではございましたけれども、中身の濃い議論を頂いたところでございます。
  また、会議に当たりましては、資料の5-3にございますように、前回の小学校部会で頂きました様々な御意見、特にプログラミング教育は極めて重要だということの一方で、実際の実施に当たっては、様々なハードルがあるということも含めて、1ページ、2ページ、3ページ、4ページ、5ページにわたって、御意見を頂いたところでございます。前回の小学校部会でございます。小学校のいつから始めるのか、時間をどうするのか、具体的なところ、様々な場の声があるのではないかという御指摘を頂いたところでございます。この資料5-3で頂いた御意見は、全て有識者会議で共有させていただきました。その上で、そういった点にもしっかりと答えていきたいということで、5-2のような取りまとめを頂いたところでございます。概要は5-1になりますけれども、5-2に基づいて、少し簡単にご説明を申し上げます。
  1ページ目は、「有識者会議における議論の視野」でございますけれども、本部会のメンバー、教育界の専門家の先生方を含めて、各界の先生方に御知見を持ち寄っていただき、円滑な実施につなげることを目的として、御議論を頂きました。
  プログラミング教育は、既に学校と民間が連携した様々な取組が広がりつつあるところでございます。そうした中で、プログラミング教育をどういった目的でやっていけばいいのかということについて、必ずしも共通理解がないのではないかというところでございます。
  三つ目の丸にございますように、プログラミング教育とは、子供たちにプログラミングを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、プログラミング言語の技術・方法、コーディングを覚えることが目的ではないということを明確に整理していただいたところでございます。この「プログラミング的思考」については、後ほどまた触れさせていただきます。
  また、こうした教育を実施する前提として、言語能力の育成や各教科の思考力育成など、全ての教育の基盤となる長年重視されてきている資質・能力も極めて重要であるとの確認も頂いております。また、小学校におけるプログラミング教育の実施に当たっては、ICT環境の整備や指導体制の確保などの条件整備が不可欠であることもおまとめいただいております。
  また、近年の様々な社会的な背景も併せて、整理を頂いたということでございます。
  2ページ目にございますように、小学校は2020年に向けて、外国語教育の教科化に向けても備えなければいけないという中で、学校現場の不安感を少しでも軽減しながら、円滑な実施を目指していくことが重要であるということでございます。
  2ページ目は、時代的な背景で、近年の人工知能の進化あるいはインターネット・オブ・シングスという、身近なものの働きが、インターネット経由で最適化されるという時代の到来も、近年、「第4次産業革命」とも言われておりますけれども、こうした中で子供たちの職業の在り方、今、学校で教えていることが時代を超えて通用するのかどうかという不安の声もあるということ。そうした変化が激しい時代を超えて、子供たちが自信を持って未来を切り開いていく力を育んでいくことが求められているということでございます。社会が求める力と学校が目指してきている力が、資質・能力を通じて、あるいは社会に開かれた教育課程を通じて共有できるという好機にあること。社会と連携・協働しながら、教育課程がどのような資質・能力の育成を目指すのか可視化していくということでございます。
  そして、3ページ目、「「学ぶ」ことの意義と、これからの時代に求められる力の再確認」でございまして、人間の学習が、どういった力を育んでいるのかということの意義の再確認。現在、中教審で御議論いただいている、「何を学ぶのか」に加えて、「どのように学ぶのか」という学習課程の重要性などについて、改めて中教審の議論を踏まえた整理を頂いているところでございます。
  また、4ページ目、「「次世代の学校」の在り方」ということで、ICTが持つ強みとして、カスタマイズ可能であるということ。時間的・空間的制約を超える、あるいは、双方向性を有するといった強みを、学校教育の中で活かしていくことも必要であるということでございます。
  そして、「これからの時代に求められる資質・能力とは」ということで、これも中教審で御議論いただいていることを踏まえたものでございますけれども、こうした時代の中で求められるのは、これまでにないような全く新しい力ではなくて、従来からも重視されてきているような、様々な力をこの社会の文脈の中で改めてとらえ直し、しっかりと発揮することができるようにすることではないかということ。
  そうした中で、特に情報化という文脈の中では、情報を読み解くということ。情報化に進展する中で、視覚的な情報と言葉との結びつきが希薄になっているのではないかということ。国立情報学研究所の研究では、子供たちが教科書の文章を読み解けていないのではないかとの問題提起もあるところでございます。
  中教審では、言語能力特別チームなどを中心として、テクストを理解し、「文章や発話により表現するための力」をしっかりと国語教育などを通じて育んでいくことの議論がされているところでございまして、こうしたことは全ての学習の前提として重要であるということでございます。
  また、情報技術を手段として使いこなしながら、論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し、新たな価値を創造していくことでございます。「創造」ということについては、規模の大きいイノベーションだけに限られるものではなく、地域課題や身近な生活上の課題を自分なりに解決していくことも含まれるということでございます。
  そうしたことに向けて、6ページにございますけれども、コンピュータの働きを理解しながら、それが自らの問題解決にどのように活用できるかをイメージし、意図する処理がどのようにすればコンピュータに伝えられるか、あるいは、コンピュータを介してどのように現実社会に働きかけることができるのかということを考えていくことが、ますます重要になっていくということでございます。
  そのためには、自分が意図する一連の活動を実現するために、どういった動きの組み合わせを組み立て、改善していけばいいのか。こういったことを考える「プログラミング的思考」が重要になってくるということ。特定のプログラミング言語を学ぶことではなく、こういった思考を身に付け、情報技術が身近なものとなる中で、サービスの受け手となるだけではなくて、自ら目的を設定して、より良い人生や社会づくりに生かしていくことが重要であるということでございます。こうした力はプログラマーになるということだけではなくて、これからの時代に共通に求められる力ではないかということ。
  また、この「プログラミング的思考」と、国語や算数などでも育まれる論理的・創造的な思考とは、相互に関連し合うものであるということ。そういった中で、お互いに鍛えられていく関係にあるのではないかということでございます。
  また、人工知能が進化する中で、人間の強みとしては、感性を働かせながらより良い社会や人生の在り方について考え、学んだことを生かそうとするということ。人間のみずみずしい感性を生かしながら、様々思いをめぐらせたりするということ。そうした中で、より良い社会や人生の在り方について、目的をもって学んだことを生かそうとすることは、一方で人工知能が与えられた目的の中でやっていく中での人間の強みになっていくということでございます。
  7ページ目にございますように、中教審で御議論いただいている学びに向かう力・人間性というのは、まさにそうしたことを目指した議論であるという御整理を頂いているところでございます。
  そして、こうしたことを踏まえまして、「プログラミング教育の在り方とは」ということでございます。「コンピュータと人間の関係について」でございますけれども、現在、例えば、自動販売機でありますとか、ロボット掃除機といった、身近な生活の中で意識せずとも様々なものに内蔵されたコンピュータとプログラミングの働きの恩恵を受けている社会になってきているということでございます。そうした生活の在り方を考えれば、子供たちが便利さの裏側でどのような仕組みが働いているのか。便利な機械が魔法の箱ではなくて、人間の意図した処理を行わせるものとして人間の叡智が生み出したものであることを理解できるようにすることは重要ではないかということでございます。
  時代の変化も見据えながら、普遍的に求められる力ということ。ここ十数年の間においては、プログラミングが重要であることは大きく変わりませんけれども、将来的には私たちが日常的に用いる自然言語でコンピュータに指示できるようになるのではないかという予測もあるところでございます。
  仮にそのような時代になったとしても、コンピュータの果たす役割を理解しながら、「プログラミング的思考」を発揮していくことは、時代を超えて変わらないということでございます。子供たちがプログラミングを体験しながら、こうした思考を身に付けていくことが重要であるということでございます。
  8ページ目には、プログラミング教育が目指すものとしまして、子供たちに求められる普遍的な力とは何かという観点から、中教審で御議論いただいております三つの柱に沿った整理を頂いております。
  プログラミング教育とは、プログラミングを子供たちに体験させながら、このような資質・能力を育むものであるということ。
  「知識・技能」については、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
  そして、「思考力・判断力・表現力等」については、発達段階に応じたプログラミング的思考を育成していくということ。
  そして、「学びに向かう力・人間性等」としては、発達の段階に即して、コンピュータの働きを、より良い人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養することでございます。
  9ページにございますように、「発達の段階に即した資質・能力の育成」が重要でございます。今回、中学校の技術・家庭科技術分野においては、プログラミング教育の内容を倍増することが検討されております。また、高等学校においては、共通必履修科目を設置し、全ての高校生がプログラミングを問題解決に活用することが検討されているところでございます。
  こうした見通しの中で、小学校においては、身近な生活の中で気付きを促していくという段階であることを踏まえた実施が必要でございます。
  そして、具体的な在り方ということで4ポツでございますけれども、小学校教育が義務教育の基礎的なものを育む段階であるということ。
  また、6年間という幅のある期間の中で、具体的な物事をとらえる段階から抽象的な思考を育んでいく段階であるということ。こうしたことを踏まえて、小学校段階では、各教科の学びにおいても身近な生活との関わりが重要視されているところでございまして、こうした子供の成長や発達に寄り添う視点が極めて重要であるということでございます。
  そうしたことを踏まえて、また、小学校におきましては、学級担任制が取られている指導体制の違いも踏まえながら、今後の在り方を考えていく必要があるということでございます。
  小学校におけるプログラミング教育が目指すのは、先ほどのような資質能力の三つの柱を育んでいくことであります。
  中学校や高等学校の段階では、より抽象的に体系化された形でプログラミング教育を受けていくことになりますけれども、小学校段階では身近な生活の中での気づきの促しということ。あるいは、様々な教科との関連性ということ。コンピュータの働きが身近な様々な場面で役立っていることを実感しながら、生活に生かそうとしたりすることが重要であります。
  そうしたことを実現するためには、学級担任制のメリットを生かしながら、教育課程全体を見渡した中で、プログラミング教育を行う単元を各学校が適切に位置付け、実施できるようにしていくことが重要でございます。
  また、実施に当たっては、先ほどのコーディングを覚えることが目的ではないということ。主体的・対話的で深い学びの実現につながることが重要であり、一人で黙々とコンピュータに向かっているだけで授業が終わったりするということ、あるいは、体験と切り離された抽象的な内容に終始したりすることがないよう、留意が必要であるということでございます。一方で、楽しいだけで終わっては学習成果に結びついたとは言えず、子供たちの感性や学習意欲に働きかけることも重要であるということ。指導のねらいを明確にする必要があるということでございます。
  こうしたことを「カリキュラム・マネジメント」の中で、教育課程全体を見渡して、実施していくということ。総則の規定の中でプログラミング教育の実施についての位置付けを置きながら、各学校における具体的な実施を確保していくという方向性でございます。
  また、小学校で全てをやるということではなくて、小学校の教育をある意味きっかけとしながら、様々な重点的な取組、研究開発学校や調査研究校における先進的な取組も併せて進めていくことが考えられるということでございます。
  (2)の「各小学校の実情を踏まえた…」というところでございますけれども、先ほどもございましたように、各学校においては、子供の姿や学校教育目標、ICT環境の状況や指導体制の現実を踏まえながら、プログラミング教育を行う単元を適切に位置付けていく学年や教科を決めて実施していくことが求められるところでございます。各学校が見通しを持ってこうした計画や実証を行うことができるようにするためには、指導事例集の在り方などが極めて重要になってくるということでございます。各教科の教育の強みとプログラミング教育の良さが結びついた教材の開発や、指導事例集のしっかりとした整備を計画的に行っていくということでございます。
  こうしたことも各教科の強みを生かしながら実施していくということでございまして、12ページ目からは、具体的な在り方のイメージがございます。例えば、総合的な学習の時間においては、情報に関する課題を探究する中で、自分の暮らしとプログラミングとの関係、先ほどの自動販売機でありますとか、身近な働きをとらえながら、プログラミングの環境を考え、プログラミングを体験しながら、その良さに気付く学びを取り入れていくということ。これが、総合の本質である探究的な学習ときっちりと絡み合うものとしていくということでございます。
  理科においては、例えば、高学年におきまして、身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることをとらえる学習が既にございます。こうした既にございます学習内容を、プログラミングを体験しながら、例えば、エネルギーを効果的に利用するために、様々な電気製品にはプログラミングが活用されていることに気付く学習を取り入れていくことが考えられるところでございます。実際の実験や観察をおろそかにするようなことがないように留意しながら、こうしたことを進めていくということ。こうした指導事例集を今後しっかり整備していく予定でございます。
  算数については、13ページ、一見「計算する」という過程がプログラミングにつながるのではないかということで、とらえられがちでございますけれども、「計算する」ということに関しては、むしろプログラミングに代替せずに、自分の頭でしっかりと行うことが、あらゆる思考に重要であるということ。そういったことを踏まえながら、算数においては、例えば、図の作成等において、プログラミングを体験しながら考え、プログラミング的思考と数学的な思考の関係性や良さに気付く学びを取り入れていくことが考えられるということでございます。
  音楽については、創作用のICTツールを活用しながら、与えられた条件を基に、音の組み合わせなどを試行錯誤して作曲を行っていくということ。これがプログラミングと極めて共通する要素があるということでございます。
  また、14ページの図画工作においては、子供たちが、例えば作ったものを動かしてみることも通じて、異なる視点から、その良さや美しさを感じ取ったりすることができるようにすることが考えられるところでございます。
  特別活動においては、現在もコンピュータのクラブ活動もあるところでございますけれども、そうした中でプログラミングに関する活動を取り入れていくことが考えられるところでございます。
  いずれにしましても、こうしたことについて今後、しっかりとチームを組みまして、具体的な指導事例集を用意していくということでございます。
  14ページ下からでございます。こうした単元を位置付けていくに当たっては、「総合」において体験しながら、軸として、各教科においてつなげていくことが効果的であると考えられますけれども、具体的な実施の在り方については、先ほど申し上げたような子供の姿、ICT環境整備の実情、指導体制の実情に応じた、柔軟な対応が検討されることが望ましいということでございます。総合と教科で、両方で実施したり、教科のみで実施したり、総合のみで実施したりするなど、柔軟な在り方が考えられるということでございます。
  いずれにしましても、指導要領、指導事例集のしっかりとした整備が求められるということ。また、関係する教科における思考とのつながりなども見えやすくしていくということでございます。
  また、興味を抱いた子供が多様な才能を伸ばしていくことができるように、民間との連携も考えられるということでございます。こうしたことのためには、様々な条件整備が必要でございます。ICT環境はもちろんのことでございます。
  次の16ページでございますけれども、こうしたことを実施していくために、最低限必要なICT環境整備とは何かを明確化し、全ての小学校において確実に整備を進めていくことを、当省では生涯学習政策局の情報教育課とも連携しながら議論を進めさせていただいているところでございます。
  また、教材開発、研修の在り方、ポータルサイトの構築や教材が教員研修に活用しやすいものとなることが求められるということ。
  17ページにございますように、指導体制の充実、都市部だけではなくて地方も含めた官民連携した体制の整備も、別途官民連携したコンソーシアムを構築してございますけれども、ここでしっかりと学校をサポートする体制の整備を進めていきたいと考えているところでございます。
  長くなりましたが、報告書の説明は以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見のある方は、よろしくお願いいたします。いつものようにネームプレートを立てていただいて、私から順次御指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  いかがでしょうか。まず、大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    御説明ありがとうございました。プログラミング学習が必要な理由が非常にすっきりとした形で分かったかなと思います。今、御説明の中にありましたけれども、その教科で本来身に付けることが、このプログラミング教育をやることによってなされないということがないようにしていかなければいけないのではないかなと、これから事例集等を作っていただくわけですが、そこを十分に御配慮いただきたいと思います。
  先ほどの御説明の例にありましたけれども、13ページの算数の中で、プログラミングを用いずに計算を行うことが、プログラミング的思考につながっていくということがございました。筆算で計算をするというのは非常に重要なことですので、それをコンピュータで行うことではないと。その教科、その教科で身に付けるべきことがありますので、そこに十分、配慮していく必要があると思っているところです。
  それから、最後の方の御説明でありましたけれども、ICT環境の整備で、現在のところ、各自治体での財政力によって、ここのところに差があると思います。是非格差が生じないようにしていっていただけたらと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして生重委員、お願いいたします。
【生重委員】    長く学校支援をやってきていて、今、私どもが取り扱っている企業との学校に御紹介するプログラムを一つ御紹介したい。それは、情報という単元を終わった後にやる、若しくは総合的な学習の時間でやる。中身としましては、アクティブ・ラーニング手法を活用して、先生が誘導しながら、子供たちがきちんと物を考えるというもので、算数の表、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフが、日常的にどのように役立っているのか。大型スーパーの1日店長になって、お菓子売り場の売り上げを上げるというミッションの下で物事を解決していくのですが、そこに示されるデータを彼らが分析しながら、時間帯の中でどの層が何時ぐらいに何割来るということを、きちんと自分たちのグループ・ディスカッションの中で見つけ出しながら、そのお菓子売り場の売り上げを上げていくというミッションを解決して、自分たちも発表もしますし、すごくよく子供たちが動く、考えるという仕組みでやらせていただいているのです。それは、アニメーションと先生が会話しながら、子供たちにたくさんのヒント、表、データが配られる。最終的に、人がコミュニケーションを取らない限り、このシステムはうまく良い方向にいかない。それと、自分たちの身近な学校、図書館でも、システムが入っていますよねとか、私たちの身近な電車、地下鉄、飛行機に乗るも何もかもプログラミングされたものの中から、私たちの生活が、今、支えられている。それを全国に今お知らせしているのです。無料で使えて、先生がきちんと授業でできるものとして作っているので、是非見ていただく機会があったらいいなと思ったのです。
  熊本県の人吉市の研究発表に呼んでいただいたときに、中学だったのですが、人吉は町を上げてタブレットPCを入れているのですけれども、技術と道徳の時間を合体させた、まさにマネジメントされた状態で、プログラミングしながらロボットが、自分たちが引いた線路、道路を走るかどうかということをやっているのです。そのときに先生たちの導きの中で、自分たちが思ったように計画してプログラムを入れていっても、アクシデントがあって動かないというところと結び付けた道徳の授業だったのですね。それは、先生たちがおっしゃっていましたが、入ってまだ半年経っていないので拙いけれども、これからはそういう教科と教科を合わせたような形で、先生たち自らが開発していくことが望ましいという、非常に心強い熊本の先生たちの話を聞いてきました。
  それを見て、常に思うのですが、大橋先生もおっしゃっていたように、経済的なところで恵まれている市区町村だけではなく、日本中全ての子供たちがそこを活用できるようになることと、それから、私は結構いろいろな全国の学校を見せていただいて思うのですが、今、後ろ向きの教員、早くから拒絶からしている方たちもいらっしゃるという実態を考えると、いかに効果があるのだということを理解していただいた上で、協働体制を明確にして、取り組みやすい環境、そして取り組みやすい教材の御紹介が重要。今、先生たちが取扱いやすい、子供たちが物事を深化して考えていく、そういうところに、先生の子供たちの意志を引き出す力のような、学びの意欲につなげていく介在者としての教師という位置付けも含めて、理解していただけるような事例集及び研修が必要なのではないかと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いいたします。プログラミング的思考を育てるための教育の必要性については、今、御説明いただいたことでとてもよく分かりますし、そのことが私もとても大切だと思います。私どもの学校で、このような活動に取り組んでいる子供を見ると、その中でいろいろな思考をしますし、試行錯誤するのですね。ですから、そういう意味でも、思考をトレーニングしていく中で、目的に向かって目標達成のためにこうしたらどうだろうということを経験させるには、とても良いやり方ではないかなと思っています。
  ただ、子供を見ていると、デジタルの環境だと試行錯誤ができるのだけれども、アナログの環境になったときに、その試行錯誤をしたがらないという問題点もないとは言えない。だから、そこで培った試行錯誤をどのようにアナログの環境の中にも生かして、考える方の思考活動を活発にさせていくのかということについて、真剣に考えていかないといけないかなと思うのが1点です。
  もう一点は、「プログラミング教育」という名称ですけれども、これについては部会で専門の先生方が検討されてきて、これしかないのだろうなと思いますし、私のようなものに代替案があるわけではないのですが、「プログラミング教育」といった場合に、プログラミングが目的のようにとらえられがちなことがあるのではないか。どうしても名は体を表すので、今の御説明の中でも、「プログラミング的な思考を育てる」と言われると安心するのですけれども、これが新しい指導要領で「プログラミング教育」と出たときに、それがもう聞いただけでネガティブな拒絶反応を示すとか、聞いただけでそういう系統の教材の方へ飛び付くというような好ましくない反応を防ぐことができるのであれば、何かいい名称がここにあると、よりこれがうまく今度の指導要領の中に溶け込んでいくのではないかと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  小川委員、お願いいたします。
【小川委員】    議論の取りまとめを大変丁寧に作っていただいて、私もプログラミング学習の重要性、これからの社会の変化に対応するということもそうですし、今、子供たちが将来、人として豊かな生活を営むためにも必要なのだということが、非常に伝わってきます。私も今までおっしゃった委員の方と内容的に変わらないのですけれども、二つほど、お願いしたいなと思うことがございます。
  一つは、どういった教育課程上に位置付けていくのかということで、11ページから示されております。その中で、先頭に「総合的な学習の実感」と示されているのですけれども、どうしてもこういった教科等の並び順が非常に印象、インパクトとして強くなってしまう。それがいい部分でもあり、逆に独り歩きしてしまったりすることの心配を感じます。もちろん、この中にはそれぞれの教科等々の大切なものは、きちんと守りながらと書いてはありますが、なかなかそこまで読み取っていただくことが難しいということも、現場にはあります。ですので、是非そういったところを丁寧に説明していく必要があるかなと思っていること。そこが少し危惧していることが1点です。
  もう一つは、先ほどから出ていますけれども、学校格差があると思います。地域格差もあるかもしれません。そういった意味では、条件整備については、しっかりと体制を整えていただくことが、この学習の、教育の成否に関わっているのではないかと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  長谷川委員、お願いいたします。
【長谷川委員】    私も今まで発言された委員の皆様と同じようなことで重なってしまうのですけれども、まず、このプログラミング教育ということで、きょう取りまとめをしていただいたこの議論の取りまとめにつきましては、大変分かりやすく、私自身も一定の理解を得ることができたかなと感じております。特に「プログラミング的思考」という、そこの部分を大切にしていくというところで、これから教育課程上位置付けていく中で、これがどういうふうに位置付けられるのかというところが、また、学校現場に係ってくるのかなと思っています。先ほど、小川委員からもありましたように、今回、このまとめの中にも幾つか例として教科等が出ております。「プログラミング的思考」というものを入れて、一つの教科あるいは、教科をまたがる中で、「プログラミング的思考」を培っていく、あるいはその教科の論理的思考と双方向の形で子供たちにそのような力を育てるという観点で見ていくときに、一つ、私自身まだ心配なところがあるのは、教科の本質的な学びという部分と、この「プログラミング的思考」がどういうふうに結び付いていくのかというのは、これから多分、教科等の部会できちんと議論されるところなのかもしれないのですけれども、この全ての教科でこの思考力ということで入れるというのは、時間的にも非常に難しいだろうし、ただ、ここに取り上げた幾つかの教科が出てくると、非常にこの教科等がクローズアップされるということで、この教科ではそれを見ていかなければいけないのではないかということにもつながってくるのかなと思うのです。まず、子供たちの協働的な学びという視点、それから、教科の学びの本質をもう少しきちんと踏まえて、プログラミング的思考の育成をしっかりと位置付けていくところを、もう一つ踏み混んで議論していけるといいのかなと私自身考えております。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  門田委員、お願いいたします。
【門田委員】    私も皆さんと同じような御意見で申しわけないのですけれども、前回のお話の中にこの言葉が出てきて、気になりながらネット上のいろいろな世論と言いますか、お考えを見る機会も多くなったのですが、今回こうしてまとめていただいて大変分かりやすく、そして具体的な事例が幾つか載っていたことで、そういうことだなと十分理解しているつもりですが、中には学校で適切に、実態に応じてとありますので、学校の管理職を中心にすごく悩まされることだとは思います。その中で、いろいろな指導資料が出たり、ポータルサイトであるとか、研修のことも含めて書いていただいているので、それを今後突き進めていくのだろうと思うのですが、国の役割、教育委員会の役割、そして学校の役割というような、少し段階的に進んでいく体制が整っていくと、学校としても安心して進めていけるかなと思います。
  17ページに「官民連携したコンソーシアム」という言葉もございますが、地域でこういったコンソーシアムを構築していくのか、国全体としてやっていくのか。コンソーシアムなので地域なのかなと思うのですが、そうなったときには中心となるのは教育委員会なのかなと思ったり、この辺の議論も今後進んでいくのだろうとは思うのですが、是非このプログラミング教育がいい方向に進んでいくような体制整備をまたお願いしたいと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。この件については、そろそろ時間にさせていただいて、次にと思いますが、まだ御発言頂いていない委員の方、御発言ありましたら、お願いしたいと思います。今、清水委員が札を立てられましたが、ほかの委員の方、よろしいでしょうか。
  それでは、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    8ページで、今まで話題になっておりましたプログラミング的思考の定義付けがございますけれども、大変御苦労されて作られたとお伺いしております。これをできれば、各教科の教育を通して育成すべき」三つの柱がきちんと決まっていますので、それにすり寄せて、例えば、算数・数学だったら、どうなるのかとか、国語科だったらどうなるのかということを、是非解説できちんと示していただく。あるいは、それをもう少し詳しくできるのだったら、発達段階に応じて、2年生の掛け算だったらどうかとか、6年生の比例の学習だったらどうかということで、イメージを持てるようにしていただくと、2本立てではなくて、教科の中にうまく位置付く。そうすると先生方も力が入りますし、空回りをすることが避けられるのではないかと思いますので、その辺の対応をきちんとしていただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、この件については、ここまでとさせていただきたいと思うのですが、今、委員の方それぞれの御意見の中にありましたので、これは今後、解説書とか指導書の作成が結構大きなウェイトを占めてくるような感じがします。更に申し上げるなら、地域の方々とか保護者の方々に、ここで盛られた中身等をお伝えすることも、大変大切になってきているのではないかということで、少なくとも解説書とか、指導書というのは、当然、先生方向き、学校向きになっていくと思うのですけれども、併せて保護者の方とか地域の方にも、ここに盛られた中身というのは、ある意味で言うと、共有していくべき部分はいろいろあるのではないかと思うので、そのあたりもどのようにお伝えしていったらいいかどうかも、また知恵を絞っていったらいいかと思いました。
  それでは、この件については、以上とさせていただきます。続きまして、もう一つの表の議題でありますけれども、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会の取りまとめ(案)について、審議をお願いしたいと思います。
  まずは、事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございました。なお、プログラミング教育の実施、2020年に向けてということ、それから、既に一定のおまとめを頂いております外国語教育におけるカリキュラム・マネジメント、時間割編成の在り方については、別途、調査研究を行う有識者の先生方のグループを作らせていただいて、2020年に向けた指導事例集や具体的な工程表、先ほども御指摘ありましたようなそれぞれの関係者の役割を明確化していくことも含めて、しっかりと中教審の議論を踏まえて進めさせていただきたいと思います。
  それでは、二つ目の議題に移らせていただきますけれども、資料1から資料3-1、3-2が中心になってまいります。資料4は、既にこれまで御議論でおまとめいただいた中間的なお取りまとめでございます。各教科における、特に国語教育、外国語教育における検定をするために既に先んじておまとめいただいた資料が、資料4になってまいります。
  本日は、特に資料2-1、それから、資料3-1を中心に御意見を頂ければと思います。その際、併せまして、先生方のお手元に黄色いファイルで「学校段階特別部会教科等別ワーキングの議論の進捗状況」という冊子がございます。これも少し活用させていただきながら、御説明させていただきたいと思います。
  この黄色い冊子をお開きいただきますと、これまでの審議の経過がございまして、その後に「教育のイメージ」というところがございます。「教育のイメージ」というところをお開きいただきますと、現在、全ての教科について検討いただいている見方・考え方、それから、各教科の教育目標の柱が整理されているところでございます。少し上が欠けていて見にくいのですが、1枚目が幼児教育でございまして、幼児教育における見方・考え方とは何か。また、幼児期の終わりまでに育ててほしい姿、10の姿を整理いただいたものでございます。
  次の2ページ目が、小学校段階でございまして、国語科における見方・考え方とは何か。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性」、三つの柱で整理された目標ということ。これが全ての教科について、整理をさせていただいたものでございます。
  その後、各ワーキングの資料がついてございますけれども、例えば、教科で国語をお開きいただきますと、「国語ワーキングにおける検討事項」というものがございまして、その次のページから少し印刷が見にくくて恐縮ですが、国語ワーキングにおける取りまとめ案の最新版を付けさせていただいております。現行学習指導要領の成果と課題ということ。
  また、2ページ目からは、国語において育む見方・考え方。
  それから、3ページ目が、小・中・高の教科目標です。先ほど全体表でも御覧いただきました資質・能力の三つの柱に基づき、整理をされてございます。
  そして、4ページ目からが、少し個別の論点、幼児教育とのつながりも含めて。また、資質・能力の三つの柱の具体的なイメージが、5ページ目でございます。
  6ページ目には、学習課程の在り方ということで、後ろの方には学習課程のポンチ絵のイメージもついてございますけれども、国語で重視する学習課程と、それを踏まえた学習内容の構造の見直しということ。
  7ページ目にございますように、「目標に準拠した評価」で、評価の観点、三つの観点ということ。
  8ページ目にございますように、「高等学校の科目構成の見直し」ということ。
  そして、大変申し訳ありません。全然見えませんけれども、10ページ目が(2)「教育内容の構造化」ということでございまして、教育内容を、指導内容の構造を、資質・能力の三つの柱あるいは先ほどの教育課程を踏まえて、構造化することが書いてございます。
  また、個別の課題に応じた教育内容の見直し、読書活動でございますとか、漢字、伝統文化、12ページで大変申し訳ございません、全然見えませんけれども、14ページ目がそれに応じた指導の改善・充実、教材の充実ということ。
  それから、15ページ目が深い学び、多様的な学び、主体的な学びが各教科において具体的にどのようになるかということ。
  17ページ目が教材の在り方。18ページ目が「必要な条件整備」ということで、現在、全ての教科について、こういった整理が横断的に行われているところでございます。そして、その全体像をまとめていく必要があるというところでございます。
  それでは、資料にお戻りいただきまして、まず、資料1は、これまでも何度か御覧いただいております全体像のポンチ絵でございます。これを文章化しているものが3-1になりますけれども、何ができるようになるかということを目指して、何を学ぶか、どのように学ぶかということ。
  2ページ目は資質・能力の三つの柱ということ。
  そして、3ページ目は、新しい高等学校の教科・科目構成を御参考までということ。
  4ページ目は、論点整理後の議論も踏まえた、主体的、多様的で深い学びの具体的なイメージ等。
  5ページ目はそれと資質・能力の関係性ということ。
  6ページ目はカリキュラム・マネジメントのイメージということ。
  7ページ目は、各教科の構成。
  8ページ目以降は、特にキャリア教育の整理をさせていただいたものを御参考までに付けさせていただいているところでございます。
  この6ページ目を踏まえながら、今回、総則の改善を図らせていただくということでございます。
  資料2-1を御覧いただければと思います。1枚目が、もう既に何度も御覧いただいておりますけれども、現行の学習指導要領、総則の構造でございます。これを、抜本的に構造を刷新いたしまして、2ページ目にございますような構造にするということで何度か御意見を頂いているところでございます。まだまだ御意見、御趣旨を反映し切れていない部分もございますけれども、現時点ではこのような整理としてございます。
  前文のところで、「社会に開かれた教育課程」の理念等を示していくということ。
  総則の第1で、先ほどの資料の1の6ページ目に沿うような形で、何ができるかようになるかということをしっかりと整理していくということ。特に小学校については、低学年・中学年・高学年のそれぞれの発達の段階に応じた対応の必要性も重要になってまいろうかと思います。
  また、2ページ目の右側、「教育課程の編成」というところで、何を学ぶかという構成。各学校が学校教育目標に基づき、資質・能力も明確化していくということ。それを家庭や地域と共有していくということの重要性。また、授業時数、内容の取り扱い、幼小の連携、スタート・カリキュラムということも、生活科のみならず、全ての教科で幼児教育の授業の姿を受けとめて実施していくということ。中学との連携ということ。教科横断的に育成すべき力ということ。また、単元のまとまりも踏まえながら、指導計画を全体として調和のとれたものとしていくこと。
  そして、3ページ目が、教育課程の実施と学習評価。どのように学ぶか、何が身に付いたかということでございまして、単元のまとまりをイメージしながら、主体的・対話的で深い学びを実現していくということ。それらと言語活動等の関係性。また、学習評価の充実でございます。
  そして、3ページ目右側は、「児童の発達を踏まえた指導」でございまして、学級経営の重要性、生徒指導の重要性、キャリア教育、個に応じた指導、特別支援教育など、日本語学習ということの重要性。日本語指導の重要性を、児童の発達を踏まえた指導という観点からまとめさせていただくということ。
  第5のところに、「学習活動の充実ための…」ということで、学校の指導体制の充実。
  また、家庭・地域との連携でございます。
  見方や考え方については、教科横断的に活用できるように、総則の別表として、全ての教科の見方・考え方の一覧をつけてはどうかということでございます。
  資料の2-1、それから、2-2、2-3は、中学校・高等学校でございまして、基本的には同じ考え方でございます。それらを文章化したものといたしまして、資料3-1を御用意させていただいております。まだまだ不十分な点もございますので、本日御意見を頂いてブラッシュアップさせていただければと思います。また、中学校部会、高等学校部会、総則・評価部会でもそれぞれ御意見を頂いている最中でございますので、更に練り上げていきたいと考えているところでございます。
  それから、お手元には8月の論点整理もあるかと存じますけれども、論点整理に既に記載されている事項は、極力重ならない形で、論点整理後に必要となった追加すべき事項を中心にまとめさせていただいているところでございます。今後、夏の審議まとめをまとめる際には、企画特別部会において論点整理の内容等、この議論の取りまとめの内容をしっかりと混ぜた形でまとめていくことになるということでございます。
  1ページ目、「「社会に開かれた教育課程」の実現と、総則を軸とした教育課程の総体的構造の可視化」というところでございます。ここにおきましては、論点整理も触れさせていただいておりますけれども、特に論点整理後の状況として、先ほどのプログラミング教育のペーパーにもございましたような人工知能の進化も含めた情報化の急速な進展ということの視点を追加させていただいているところでございます。
  2ページ目には、こうした観点を踏まえて、「社会に開かれた教育課程」の実現という理念でございます。資質・能力を明確化していくこと。先ほど御覧いただきましたように、全ての教科等において育成を目指す資質・能力の明確化、それに基づく構造の整理がなされているところでございます。こうした整理を通じて、なぜこの教科を学ぶのかという、教科を学ぶ意義が明らかにされていくということでございます。
  一方で、これからの時代、求められていく資質・能力は、特定の教科のみならず、教科とのつながりの中で育まれるというものであるということ。教科等を超えた視点で見渡しながら、改善・充実を図っていくことが重要であるということ。
  指導要領においては、「総則」を要としながら、こうした視点を実現していくということでございます。
  2ポツが、「カリキュラム・マネジメント」の実現でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」の下、資質・能力を育んでいくためには、各学校が「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を組み立てていくことが重要であるということ。そのために、先ほどの資料の1の6ページ目にございます、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」という視点で、総則の構造を刷新していくということでございます。
  また、3ページ目にございますように、カリキュラム・マネジメントは、教職員が全員参加で、学校の特色を構築していく営みであるということ。管理職や教務主任のみならず、全ての教職員の意識を、教育課程を軸に一本化して、校務分掌の意義などを、資質・能力という観点からとらえ直すことにもつながるということ。また、家庭や地域とも目標を共有していくということでございます。
  「何ができるようになるか」については、これまでの三つの柱ということ。特に今回、知識について整理を頂いております。個別の事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識の重要性ということ。また、それらが「思考・判断・表現」を通じて獲得されたり、その過程を通じて活用されるものであるということであり、4ページ目にございますように、資質・能力の三つの柱は相互に関連し合うものであるということ。
  また、指導要領を手掛かりに、各学校が資質・能力の明確化を図れるようにしていくことが重要であるということ。
  情報活用能力などについては、教科横断的なものとして、各学校において充実が図られるよう、構造化と併せて、教科の関連性についても整理していくことが求められるということでございます。
  また、従来的な言語能力の重要性もますます高まるということで、ここには読解力も載せさせていただいておりますけれども、全ての学習の基盤となる言語能力の育成も極めて重要であるということでございます。
  「何を学ぶか」については、各学校が、学校教育目標を踏まえながら、教育課程を編成していくということ。
  三つの柱や学習課程の在り方を踏まえた整理ということ。
  また、教科・科目構成については、小学校、高等学校において新たな在り方が検討されているということで、これについては9ポツ以降で説明をさせていただいております。
  5ページ目、「どのように学ぶか」については、カリキュラム・マネジメントの中でアクティブ・ラーニングの視点を持っていくということ。学びの課程をとらえて、資質を高めていくことの重要性ということ。
  授業研究ということ、日本の学校教育の質を支える貴重な財産として生かしながら、それが「活動あって学びなし」や、特定の型をなぞるだけの学びにならないようにしていくということ。
  特定の指導方法のことでも、学校教育における意図性を否定することでもないということ。教員が教えることにしっかりと関わりながら、子供の学びを実現していくということ。
  6ページ目は、先ほども御覧いただいたような「深い学び」「主体的な学び」「対話的な学び」の改めての整理でございます。これを単元や題材のまとまりの中で具体化していくということ。特に「深い学び」については、今回改めて整理をいただき、どのように物事をとらえて思考していくのかという、「見方・考え方」の重要性ということでございます。
  こうした「見方・考え方」が、大人になってもある意味道具として活用されるものであるということ。「見方・考え方」を自在に活用できるようにすることにこそ、教員の専門性が発揮されるのではないかということでございます。
  また、7ページ目の下の部分でございますけれども、「見方・考え方」を軸としながら、授業改善の工夫をということ。
  一方で、高度な社会課題の解決だけを目指すような取組が、この在り方ではないということ。基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合には、それを身に付けさせるための主体性や深さの工夫が求められるということでございます。
  「何が身に付いたか」ということについては、8ページ目でございます。これも既に御議論いただいておりますけれども、今回、三観点ということで観点別評価は整理していくということ。
  そして、「目標に準拠した評価」の趣旨からは、学習指導要領において、資質・能力に基づく構造化が図られることにより、各学校の評価基準の作成の基ができることになるということ。今後の参考資料の在り方についても、書かせていただいているところでございます。
  また、「主体的に学習に取り組む態度」についての一定の整理ということ。
  8ページ目の一番下にございますような、指導要録に加えて、「キャリアレポート」を導入していくということ。特別活動においても、小・中・校を通じて、キャリア教育の視点をしっかりと構造的に入れ込むことが、今回検討されているところでございまして、こうしたことを踏まえながら、キャリアレポートの活用を図っていくということでございます。
  また、多様な評価の重要性、大学入試、高校入試の質的改善の重要性でございます。
  9ページ目は、「子供の発達をどのように支援するか」ということでございますけれども、各学校が行う生徒指導や進路指導、学習指導についても、子供たちの発達を支え、資質・能力を育成するという観点から、その意義をとらえ直していくものであるということ。カリキュラム・マネジメントの中で重視していくことということでございます。
  また、特別支援教育や、日本語指導の充実も重要であるということでございます。
  その前提といたしまして、9ページ目下にございますように、「学級経営の充実」でございます。現在、総則においては、小学校のみにおいて「学級経営の充実」が書かれているところでございますけれども、学校の意義ということ。また、その中での学習の場、生活の場としての学級の重要性ということ。
  10ページ目にもございますように、今回、特別活動においても、学級活動・ホームルームの中心的意義ということが、改めて整理をされているところでございます。そうしたことを踏まえまして、中学校・高等学校においても、学級経営・ホームルーム経営の位置付けをしっかりと置いていくということでございます。
  また、「学習指導と生徒指導」で、学習の場であり、生活の場である学校における教員の指導が、学習指導の側面と、生徒指導の側面を持つということ。
  それぞれ、生徒指導ということも、資質・能力を目指しながら行っていくこと。
  また、学習指導も資質・能力を明確化されたことにより、今後、目指すところが共有されることとなり、更に密接な関係を有するものになるのではないかということでございます。
  生徒指導においては、ともすれば個別の問題行動への対応にとどまりがちとの指摘もございますけれども、資質・能力を踏まえた充実を図っていくということ。また、学習指導についても、生徒指導における児童生徒理解の深化などの視点を生かした充実が求められるということでございます。
  キャリア教育の重要性でございます。先ほどの「キャリアレポート」も中心としながらでございますけれども、教育課程全体を通じて充実を図っていくということ。その中での特別活動や、高等学校で新設される「公共」の重要性でございます。
  また、11ページ目、二つ目の丸にございますように、進路指導をキャリア教育の視点でしっかりと位置付け直していくことの重要性でございます。
  12ページ目、「個に応じた指導」でございます。初等中等教育全体を通じて、あるいは義務教育を通じて、育成すべき資質・能力を一人一人の子供に身に付けさせるという観点から、個に応じた指導をしっかりと重視していく必要があるということ。学び方をガイダンスすることの重要性も含めて、また、基礎的・基本的な知識・技能の定着は語られやすいのですけれども、実は思考力こそ子供の学力差がつきやすいのではないかという指摘もあるところでございまして、資質・能力の全体像を踏まえた「個に応じた指導」もしっかりと視野に入れていかなければいけないのではないかということでございます。
  12ページ目、「特別支援教育」でございます。全ての学級に支援の必要な子供たちがいるという可能性を踏まえた、充実の在り方。通常の学級における支援の在り方。今回、全ての教科におきまして、必要な支援の在り方を整理いただいておりますので、そういったことを踏まえた在り方。
  また、特別支援学級、通級による指導、今回、高等学校も含めてということになりますけれども、又、14ページ目にございますように、教育支援計画、指導計画、交流及び共同学習、特別支援教育の支援体制ということで、特別支援教育部会の議論を踏まえた記載ぶりとさせていただいているところでございます。
  日本語指導については、別途、有識者会議も整理されているところでございまして、それを踏まえた書きぶりを調整させていただいて、ここに記載させていただきます。
  14ページ目、「実施するために何が必要か」でございます。既に中教審3答申を踏まえた、「次世代の学校・地域」創生プラン」が発動されておりますので、そういったことも踏まえながら、地域との連携あるいは教員の資質・能力の向上、校内の研修体制の充実でございます。
  特に15ページ目、校内の研修体制の充実は、教材研究も含めて極めて重要でございますので、この意義を改めてとらえ直しながら、充実を図っていくという視点が重要ではないかということ。
  16ページ目、「家庭・地域との連携・協働」でございます。社会に開かれた教育課程の視点から、しっかりと連携・協働の中で実現していくということ。
  また、「必要な体制整備」でございます。教職員定数の拡充、教材の充実、ICT環境の整備。ICT環境の整備については、もう少し具体的にどういった環境整備が必要かということも、今後、別途、設置されておりますICT環境整備に関する会議の議論も踏まえながら、総則・評価部会では企画特別部会の中で追求をさせていただければと考えてございます。
  また、教員養成の在り方、教科等別指導、教科横断的な指導の充実でございます。
  業務効率化という視点、学校現場、広く国民の理解という視点でございます。
  そして、ここからが小・中・高それぞれにおける課題の対応になってまいります。18ページ目から小学校でございます。基本的には、先ほど御覧いただきました資料4、これまでの中間的な取りまとめを踏まえながら、総論的な部分と重複する議論については、割愛をさせていただきながら、ポイントを整理させていただいたところでございます。
  18ページ目は、小学校教育の基本と、低・中・高学年それぞれの課題ということ。それに対応した対応の重要性ということ。
  また、18ページ目下からは、言語能力の育成の重要性と国語教育・外国語教育の改善・充実ということ。
  19ページ目、冒頭は、言語能力育成の重要性でございまして、これは先ほどの黄色い冊子の中に、「言語」というところがございますけれども、ここに言語能力特別チームのまとめも載せさせていただいております。こうした整理を踏まえながら、特に小学校低学年において語彙量を増やしていくことの重要性などに焦点化しながら書かせていただいているところでございます。そうした中で、国語教育の充実が極めて重要になってくるということ。
  20ページ目にございますように、先ほどの国語ワーキングの整理も踏まえた三つの資質・能力の柱をしっかりと育んでいく構造化が図られております。
  特に、先ほどの語彙量ということ、語彙の豊かさを念頭に置きながら、小学校では低学年からしっかりと充実を図っていくということでございます。
  また、「外国語教育の充実」でございます。これも外国語ワーキングの議論を踏まえながら整理をさせていただいております。小・中・高等学校を通じて、一貫して育成すべき資質・能力を見据えながら、21ページ目の下にございますような小学校の外国語教育の改善・充実を図っていくものであるということ。
  特に、22ページ目にございますように、馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや家族、一日の生活などについて、友達に質問したり、質問に答えたりすることができるような、小学校にふさわしい姿を描きながら、単に中学校で学ぶ内容を前倒しするのではなくて、小学校高学年にふさわしい教育内容を整理していくということでございます。また、そういったことをつなげる形で、学年から外国語活動の充実を図っていくということでございます。
  これらに必要な具体的な教育内容の積み上げを、国語ワーキングでは行っていただいているところでございます。それを踏まえまして、23ページ目にございますように、年間70単位、中学年は35単位時間でございます。
  そしてこれを実現するための柔軟なカリキュラム設定の考え方も整理を頂いているところでございます。
  また、24ページ目、外国語ワーキングにおきまして、国語教育と外国語教育の効果的な連携を御議論いただいております。先ほどの冊子に少しお戻りいただきますと、黄色い進捗状況のファイルの中に「言語」というものがございます。ここに言語能力特別チームの検討状況が入ってございます。本日、同時並行で言語能力特別支援部会が最終回を開催しておりまして、更に具体化が諮られることになりますけれども、11ページ目にございますような国語科と外国語活動の具体的な連携の在り方が議論されており、これを踏まえた国語教育の在り方、外国語教育の在り方、相互の連携の仕方が議論されているところでございますので、こうしたことを踏まえた連携の強化が求められるということでございます。
  そして、24ページ目下は、先ほど御覧いただきました「プログラミング的思考」の育成ということ。また、情報技術を手段として活用する力の重要性を整理させていただいているところでございます。これも先ほどの黄色いファイルの「総則」というところを御覧いただけますでしょうか。総則の7ページでございます。
  総則の7ページ目は、小・中・高の発達段階に応じた資質・能力の育成のイメージでございます。こうした小・中・高の発達段階に応じた育成を図っていく中で、特に8ページ目にございますように、教科ごとに情報活用能力の育成を図っていくということ。これは既に一度御覧いただいておりますけれども、検討されております。特に全体の方向性、総則などの、真ん中にございますように、小学校段階からしっかりと情報手段の基本的な操作をできるようにしていくことが重要であると整理されているところでございます。
  こうしたことも踏まえながら、先ほどの資料3-1の24ページ目に戻っていただきますと、情報化が急速に進展する中で、こうしたことの充実を図っていくことの重要性ということ。
  情報技術の基本的な操作については、現状も踏まえながら、様々な教科の学びとつなぎながら、習得できるようにしていくことが必要であるということ。国として、練習教材を開発して、Web上で提供していくことなども求められるということ。
  また、次の部分は、「プログラミング的思考」の話を要点のみ記させていただいております。本日頂きました教科の本質的な学びとの関係性あるいはアナログとデジタルの行き来なども踏まえて、ここを加筆させていただきたいと考えているところでございます。
  また、これらを踏まえた「カリキュラム・マネジメント」や条件整備については、本日の御議論を踏まえて、現在、マル4以降は外国語教育の充実を踏まえたカリマネの在り方のみの記載となってございますけれども、情報技術を手段として活用する力、あるいは「プログラミング的思考」の育成も踏まえた「カリキュラム・マネジメント」や条件整備の在り方についても、本日の議論を踏まえて追求をさせていただきたいと考えております。
  25ページ、「カリキュラム・マネジメント」の意義は、既に資料4でおまとめいただきました。
  また、小学校における弾力的な時間割編成も、資料の4でおまとめ頂いているとおりでございます。
  26ページ目、授業時数の考え方と「カリキュラム・マネジメント」ということも、既に資料4で3月の中で頂いたものを記載させていただいております。また、こうしたことを具体的に支えていく方策でございます。
  27ページ目の三つ目の丸に、調査研究をしっかりと行い、成果を普及させて、弾力的な時間割の編成の在り方ということの各学校の判断に資するようなものにしていくということ。先ほど申し上げたような調査研究の場をしっかりと先に立ち上げて、計画的に行っていくという段取りでございます。
  また、教材の開発、指導者の確保も既に資料4でおまとめいただいたとおりでございます。
  28ページ目は、今回、幼児教育について、幼児教育を通じて育む10の姿が整理されたことをしっかりと受け止めながら、伸ばしていけるようなスタート・カリキュラムの在り方ということ。
  また、高学年の発達段階における課題に対応した観点からは、義務教育学校の生徒の更なる充実、活用の充実なども求められるのではないかという整理をさせていただいております。
  以下、中学校については、現在おまとめいただいているところでございまして、部活動の在り方などを中心としたカリキュラム・マネジメントの具体的な方向性、また、高等学校については今回、かなり科目の新設がございますので、単位数の全体像、また、そういったことも踏まえたカリキュラム・マネジメントの接続の在り方、高大接続の在り方をまとめさせていただく予定でございます。
  以上、本日、資料2-1の総則の構造あるいは3-1のこの文書を中心に御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、今の御説明いただきました件について、委員の皆さんから御意見をお願いしたいと思います。先ほどと同じように、それぞれ名札を立てていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。総則のイメージと、それから、今、御説明いただいたこちらの取りまとめ(案)、どちらでも構いません。一緒に進めていきたいと思っておりますので、それぞれお願いできればと思います。
  まず、渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    小学校の外国語教育についてです。大体24ページ辺りになると思います。上から二つ目の丸のところに、今後の教員養成ですとか、教員の研修の必要性などについて書かれていますけれども、ここに小学校と中学校の連携の重要性についての記述があると良いのではないかと思います。小学校教員を研修で英語が指導できるように育てることも、大学で教員を養成することにも大変時間がかかりますので、実際にスタートした段階では、地域の中学校の英語教員の力が必要になってくると思います。これは授業そのものもそうですし、研修についてもそういうことが起こるのではないかと思います。今回の学習指導要領の一つの流れの中に大きく縦と横のつながりが重視されていることからすると、小・中の連携があるといいと思います。
  もう一つは、柔軟なカリキュラム設定という意味において、言語能力を国語と外国語の両方で育てていくという趣旨があるわけですから、内容と言語を統合した内容言語統合型の学習の有効性が入っているといいのではないかと思います。Contents and language integrated learningと言うのだと思います。例えば、家庭科などはきっといろいろ出てくる言葉が、英語で語られても子供は分かると思いますし、その英語で何か指示を出される中で活動を進めていくとか、料理を作るとか、そういうことがとても入りやすいと思います。体育でも音楽でも美術でもそういうことは可能だと思います。実際に英語の教員を育てることとか、ALTをそろえていくことというのは、そう簡単ではないと思いますけれども、例えば、家庭科などですと、英語を母国語とする主婦の方を招いて、そういう家庭科をするとか、そういう方に特別免許状を与えることで、きちんと指導していただくことが可能になってくると思います。英語という教科の中だけで考えていこうとすると、難しいのではないかと思うことから、そういうものが中に記述されてくるといいのではないかと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、吉田委員、お願いいたします。
【吉田(研)委員】    遅れてきて申し訳ありません。
  今の小学校英語についてです。25ページの下から二つ目の丸で、短時間学習について、「基礎的な知識・技能の定着」と書いてあるのですけれども、この「定着」の意味が分からなくて、その後に「9割以上の学校は効果が見られる」と回答しているのは、「効果」が「定着」とどう関係があるのか。「定着」というのは、実際のコミュニケーションが使えるところまでいっているという意味なのか、単純に「覚えました」というところなのか。その辺が少しはっきりしない気がします。ですから、本当の意味での「定着」というのは、そこで練習したものが実際に、今、渡瀬委員がおっしゃったような、そういう別のコンテクストの中でもきちんと使えるという意味だと思うので、そうなったときに果たして本当に9割の学校が、効果があると言っているのか、かなり疑問がありますので、この辺の文言の問題なのか、あるいは内容がかなりぼけてしまっている、あいまいになっているのをもう少しきちんと正確にしていただければと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
  小川委員、お願いいたします。
【小川委員】    大変分かりやすく、また特に今回、どのように学ぶかといったことについて、深い学びをさせるための教員の学習指導について詳しく言及されているところがすばらしいと思って読ませていただきました。資質・能力を学校全体で育てていく。そのために、社会に開かれた教育課程、また、そのためのカリキュラム・マネジメントという中で、以前からの話の中で核となるものとして、総合的な学習の時間があると議論されてきたかと思います。
  この黄色の分厚い冊子の中のワーキンググループの進捗状況の中に、生活総合の中の総合の8ページに「教育課程全体における総合的な学習の時間の役割とカリキュラム・マネジメント」ということで、かなり踏み込んで、また、今回の改訂に沿った形で示されている部分がございます。こういったことも、もちろん、総合の中だけの議論ではなく、これが教育課程全体に果たす役割となった場合には、どこか総則のような、全体的なところで示していただけるといいのではないかと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、生重委員、お願いいたします。
【生重委員】    私も英語の話は大賛成で、英語でクッキング、実は私もやっているのですけれども、その家庭科の中でそういうことができるようになると、もっといい。子供たちはすごく楽しそうなのです。私どもは、教育委員会と連携して、200人以上の市民ボランティアでTOEIC960点とか英検1級の人が地域にいっぱいいるので、その方たちが小学校の英語で先生に一緒にチームになるT2、T3と言う形で入らせていただいているので、授業の中でほかの教科とそういうことができるともっと素敵だなと思いながら伺っておりました。
  私は、16ページの「家庭や地域との連携」がしっかり書き込まれたことが大変ありがたいと思っておりまして、これ全体を見ていて、ますますコミュニティ・スクールに全国がなっていくべきだと改めて実感をいたしております。「各学校が」というところが、随所に出てくるのですが、ここが非常に困難を極めるポイントになると思います。そうであるならば、もう少し、例えば、文章を全面的に見直すとか、そういう学校をマネジメントするところまで踏み込まないと、「屋上屋を重ねる」と申しますが、あるものをそのままに置いて、また新しいものを入れ込むという習慣が、学校にはあるように見受けられます。それで「大変だ、大変だ」とおっしゃるのですが、もっと整理をなさればいいと思うのです。キャリア教育に関しても、どうも意識付けが職業教育というところに思われがちですが、生き方教育という意味においては、全ての教科にきちんと横串を刺していくことになり、特別活動も中高においてはますます重要になっていくということと、小学校が今まで培ってきた特別活動の力を、各教科と連携させていくことも大事になりますし、これ全てが実現したら、学校がかなり画期的で素敵なことになるだろうなということが想像できるのですけれども、これを実行するまでの過程がさぞ大変であろうと。学年ごとに途切れてしまっている小学校の6年間の意識すらも、もう一度6年間で身に付ける力をきちんと明確にしていかなければいけないし、義務教育学校であるならば、そこの9年間と、それから高学年と低学年との連携とかつながりみたいなことも含めて、「各学校が」というところがどう分かるようになるのかということが、一番重要なのではないかと考えます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    これまでアクティブ・ラーニングと一言で言われていたものが、かなり具体的な形で理解できるようになってきたのではないかと思います。深い学びと教科、領域、それぞれ特有の見方・考え方とが深く関連しているところがきっちりと書き込まれていると思います。
  それと関わってですが、8ページから評価の内容が出てきます。特に主体的に学習に取り組む態度についての記述があるわけですけれども、このことについて、もう少し具体的な事例を入れていただけると、更に理解が深まるのかなと。この「主体的に学習に取り組む態度」というのが、今回一つ、ポイントになる部分ではないかと思います。
  それから、8ページの一番下ですが、「指導要録に加えてキャリアレポートを導入することとする」と記されています。ということは、これはキャリアレポートを導入するということで、具体的にこれはどういう形でどのように進めていくのか。ここの部分だけでは見えないと思います。
  それから、アクティブ・ラーニングの視点に立った教育活動を充実していくためには、条件整備も非常に必要なところで、16ページには教職員定数の拡充がしっかりと書き込まれておりますので、是非これはよろしくお願いしたいなと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、門田委員、お願いいたします。
【門田委員】    この資料を見たときに少し感じたのは、「生きる力」であるとか、「知・徳・体」という言葉が見えてこないのが少し寂しいなという思いがあったのですけれども、前回のものから新たになったものを載せるということだったので、そういうことなのかなとは思っております。現在、学校では、「生きる力」は大きなキーワードでもありますし、とてもシンプルで「知・徳・体」という言葉は、学校に馴染みのある言葉なので、何かすごく大切かなということを感じております。併せて、この新しく出た方には、「知」の部分が強く出ているような気もして、「徳」とか「体」といった内容が余り盛り込まれていないような気もするので、その辺りも少し気にはなっているところですが、その辺りは更に総則のこちらの2-1の資料にはきちんと載っているということで考えたらいいのかなとは思っております。
  そして、あと幾つかあるのですが、12ページの「個に応じた指導」のところで、すごく大事なことで、いろいろな多様な子供たちもいらっしゃるのですが、先ほど定数の話も出ましたけれども、この辺りでティーム・ティーチングであるとか、実際にどんな体制で個に応じた指導をするのかというのを具体的に書き込んでおけば、先生が40人を見取るというのは本当にすごく難しいことで、少しでも丁寧に見てあげたいという気持ちと、ギャップが先生を苦しめることになっても困ると思いますので、その辺りの具体策を書き込むといいかなと感じました。
  もう一つは、3ページの「何ができるようになるのか」の下から二つ目のポツで、「知識と技能」ということで、内容とか評価も今回変わってくるのだと思いますが、この「技能についても、一定の手順に」という2行のところが、全ての教科に対応できる言葉かなというのも気になるところです。私は保健体育が専門なのですが、この2行では収まり切らない学習をしているような気もして、全然代案はないのですけれども、少し感じているところがありました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  寺本委員、お願いいたします。
【寺本委員】    先ほど生重委員からお話しいただいた、16ページの「家庭・地域との連携・協働」は、本当に踏み込んで書いていただいて、私たちもありがたいなと思っています。ここで二つ目の丸にある「地域と共にある学校への転換を図る」という文章ですが、ここの文章だけだと少し分かりづらい部分があるので、もう少し分かりのいい表現の仕方は、付加することができないのかと思うのです。これだけ見たときに、ではどんな学校なのかという、多分、学校の教職員の方も、また地域の方々もイメージがわきづらいので、もう少し分かりやすい表現をと思っております。
  それから、さっき大橋委員がおっしゃったように、必要な教職員定数の拡充ということで、私たちも総意でこちらの方は賛同して、おとといもいろいろな活動をしてきたところですけれども、学校の教職員の先生がきちんとしていないと、教育現場の子供の立場としては、大変混乱をきたすものですから、是非こちらも併せてお願いしたい。
  それから、17ページにある学校現場、広く国民の理解という中で、広く国民から十分に理解されることが極めて重要という中にあって、メディア等を通して、国民全体の理解を得て、広く全体的な議論にしていく必要がある。これもさらっと書いてあるのですが、すごく重要な部分であると思うのです。これについても、もう少し書き加えることが可能であれば、書き加えていただいた方が、この理解がないと進んでいかないというのも、一番のところだと思うものですから、そういったところは感じました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
  長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】    6ページの「深い学びと見方・考え方」ということで、この関係性は非常に丁寧に記述していただいて大変分かりやすく、これからどの教科においてもこの深い学びをしっかりと考えて、学習を組んでいかなければいけないということですけれども、これからまたその次の段階の教科等にいったときに、この「深い学びと見方・考え方」という学習のプロセスという部分で、それをどう落とし込んでいくのかという、教科によって先ほどの教育のイメージにも「見方・考え方」のとらえがそれぞれありました。これを実際学びの段階で、どういうプロセスを考えていったらいいのかという、そこの部分は是非、教科等の方で分かりやすく示していただけたら、本当にありがたいと思っております。
  もう一つ、先ほど「知・徳・体」ということがありました。資料2-1になります。その2ページ目の第1の2の「「生きる力」の理念に基づく知・徳・体の総合的な育成」の「豊かな心」というところで、「道徳化を要とした道徳教育」、今度、教科化になるということと、「豊かな情操の育成」とありますけれども、もう一つここに「感性」という言葉を入れていただけたらと思っております。小学校段階、特に幼児教育との連携ということで、低学年の子供たちもそうですけれども、本当に子供たちは感性豊かな子供たちを育てるということ。それから、芸術・文化を通して、本物に触れて、感性豊かな子供に育てるというところで、その言葉が一つ欲しいなと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    はい。ほかにいかがでしょうか。今ありました総則のイメージ図、たたき台案の中で、学校段階間の接続ということで、中学校との接続と義務教育学校という、そこの箇所にありますように、初等中等教育全体を見通す、あるいは9年間を見通して教育を行う云々とあるわけで、そういう点で、この小・中とのつながりを義務教育の中での位置付けをしっかりと位置付けていく、見通していくということ。それから、9年間ということで成果を出していく、上げていくという視点というのでしょうか。そのために、義務教育学校とか併設型の学校におけるカリキュラムの在り方をどのように工夫したらいいかということだと思います。そういう意味で二つ視点がここに出ていると思うのですが、もう一つ加えられてもいいかなと思ったのは、それは小学校高学年と中学校との接続というのでしょうか。というのは、こちらには、その上に幼小の接続については、こういう形でスタート・カリキュラムをという表現は出ているのですけれども、小学校高学年の五、六年と、中学校との関係という、そういうことにおいて、義務教育学校、小・中併設、一貫云々という、そのところもそういうバランスとか、全体の目配せからしても位置付けてもいいのかなと思いました。
  それは、先ほど渡瀬委員が御指摘された、例えば、英語の指導体制等などに、その話はいろいろ広がりを持ってくる点でもあるのかなと思いまして、今回のこの方向性というのは、小学校と中学校の敷居、垣根をできるだけ低くしていくという内容的なつながりとか、方法上の工夫とか、当然、人の行き来もそういう観点から、より行ったり来たりというのをやわらかく扱って、行き来しやすくしようという視点だと思います。そうすると、例えば、ある意味では呼び水というべきなのかどうか分かりませんけれども、そういうことが一つ挙げられるのではないかなと思います。
  それから、きょうの文言の中ですと、5ページで、我が国の授業研究が、国際的に大変高い評価を得ているということは私も耳にしたことがありますし、そういうことで評価してもいいのかなと思います。ですから、この文言を修正するとか、訂正するということではなくていいと思うのですが、ただ、この国の長年蓄積した授業研究を、どう評価するかということは、しっかりとした認識をしておく必要のある視点かなと思います。それはどういうことかというと、この国の質を支える、そういう貴重な、それをこの国の先生方は長年歴史を積み重ねながら、そういう形でしてきたという、それ自体は評価していいと思うのですけれども、一方においては後の文脈からすると、どちらかというとこれまでは、授業の比較的狭い範囲の中の方法上の工夫としての授業研究がかなり発達してきた。その点からすると、もう一つにおいては、例えば、教科間を、今回志向している「横断する」とか、あるいは教育の中身とか教材を研究するというのが、どちらかというとむしろ弱くなってしまった。それはいろいろな原因、要因があるわけです。それはともかくとして、そういう点からすると、むしろ志向すべきそれというのが、15ページのところにはきちんと書いてあるのですね。そういうことで、教科を超えて指導計画を比較するとか、教科横断で内容を関連付けるとか、こういう授業研究がこれからより広がりを持つことが、この国の学校にとっては大切だということがあって、けれども、こういう授業研究がなかなかできてこなかった、できなかったという辺りに、現状があるわけで、どういうふうにこういう方向に開いていただけるかどうか、展開していただけるかどうか。その辺りには何をどういうふうにしていくと、こういう方向にしていけるかどうかという辺りのところだと思うのですけれども、これは先ほど前半、御発言いただいた、教科を勉強する、学習することと、教科横断を学ぶことが、教育課程の中である意味でバランス良く展開していくのは、言い得てなかなか難しいというか、多く困難な部分も抱えていると思いますので、それをどういうふうに乗り越えていくのか、どうなのか。そのための授業研究の在り方として、あるいは、教科と教科横断の関係をどういうふうにバランスを取って授業展開していくのか、どうなのか。こういうことについて開いていけるような方向性について、この辺りに言及しておくといいのかなと思いました。とりあえずですけれども、ほかの委員の方、いかがでしょうか。他のところでも結構です。まだ少し時間がありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  そういうことで、もう一つ、私から加えさせていただきますと、12ページ以下、個に応じた指導とか特別支援関係といったものが出てまいります。これらのことをここにこういう形で記していく位置付けについては、異論はないわけですけれども、どうもこういうことについてのもう一段視点を、私の言葉と言うべきなのか、例えば、多様性ということへの目配せというのでしょうか。そういうものがあって、「個に応じた指導」とか、「特別支援関係の」ということが、そのための具体的な手立て、対応で必要なのかなと思うのです。なぜこんなことを申し上げるかと言うと、どちらかというと、学校は標準化とか、あるいは多くの人たちに共通な知見、知識を伝えることが大前提になるわけです。そういう中で昨今のいろいろな社会的状況とか、様々な在り方からすると、まさに「個に応じた指導」とか、こういう立場に置かれている子供たちへのまなざしが必要になってきたのだということで、具体はこういう意味であると思うので、学校に何が必要になってくるのか、むしろ、そういう視点の問題意識を深めていくとか、強めていくことであって、いろいろな手立て、配慮というのは、ここのところにそれぞれが記述されているということですけれども、問題意識を維持していくとか、高めていくことの必要性があるのではないか。そうすると、ここのところに記述するのか、むしろ総則の方にその旨のそういう方向性とか、視点をどこに置いたらいいかどうかはまだ検討しなくてはいけないところはあるかもしれませんけれども、そういう視点も必要なところかなと思いました。
  清水委員、どうぞ。
【清水委員】    二つお願いしたいと思います。
  一つは、資料2-1の総則の改善イメージのたたき台案の第1の2のところで、「生きる力」の理念に関するところがございます。総合的な学習の時間の検討状況について、私は詳しい情報は持っておりませんけれども、心については道徳科を要にしているということであれば、学力、知の部分は、総合的な学習の時間が要になる、したいという気持ちがあるわけです。それが出せるかどうか。もし出せるのであれば、そのようにしていただくと、見方・考え方を束ねることもありますし、アクティブ・ラーニングの基本的なものが、そこで統合される可能性も十分ありますので、時期尚早かもしれませんけれども、そのニュアンスを入れていただけるかどうかということです。
  それから、授業研究については、算数とか数学は、比較的言語の阻害が低いものですから、10年前からAPECのプロジェクトでずっとやっておりまして、日本に対する期待評価と、外国での頑張り、一定の成果を上げているところであります。授業改善という話と、それを学問の研究対象としてどうするかという問題は、今、大きな二つの問題としてどうそれぞれを進め、それを相互に活かしていくかというのが大きな課題になっておりますけれども、そういう意味では、授業研究という言葉がしっかりと位置付けられたことが大変ありがたいことだと思います。
  しかし、一方で、一定の評価は頂いているのですけれども、我が国としてはまだ授業研究の課題を幾つか持っていますので、その辺のバランスを少し配慮していただけたらと思います。
  それから、もう一つ、5ページの「どのように学ぶか」の括弧の中で、「指導案」と書いてありますけれども、これは「学習指導」とすると限定されてしまうのか。特段配慮が必要であれば別ですけれども、できれば「学習指導案」としていただいた方がいいかなと思います。小さなことでした。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  無藤委員、どうぞ。
【無藤教育課程部会長】    カリキュラム・マネジメントの辺りの2ページから3ページの記述に関わるのですけれども、ここに書くか、中教審の全体の報告に書くかは別として、最近、カリキュラム・マネジメントについて、多少、現場の先生に説明することもあるのです。中身は理解されていると思うのですが、わざわざカリキュラム・マネジメントをなぜ強調するかということが、ぴんと来ない部分があると思うのです。それは、これまでの流れの中で、そもそも学習指導要領が、最低基準であることが明確に既にされている中で、言うなれば各学校の裁量の余地は、それなりに結構あるのだと、常にあるのだと思うのです。そういう中で、指導要領としてあるべきことをきちんとやりながらも、それぞれの学校が、言うなれば、かなりめり張りをつけて重点化できる部分が多いと思う。そういう中で、各学校の持つ教育の目標と、それを目指すための教育課程等の編成をしっかりもう一度考え直すのだということが、それをもっと自覚的にやっていくことが、カリキュラム・マネジメントの出発点だと思うのです。それは、今回の中教審の議論の前提みたいな話なので、書かなくてもそうなのですけれども、改めて確認しておいた方がいいのではないかと思います。もっと平たく言えば、カリキュラム・マネジメントが各学校でなぜ必要かと言えば、一律のやり方で細かいところまで各学校がやるのではなくて、結構各学校が変えられる部分があるよと、そういう話のはずですので、そこら辺を今のようにきちんと書いていただくと分かりやすくなるかなと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ほかに委員の方、よろしいですか。
  長谷川委員に御質問させていただきたいのですけれども、それは4ページのところです。この「何を学ぶか」、各教科等を学ぶ意義と、教科横断的な視点を踏まえた教育課程の編成ということで、先ほどのプログラミング学習のところの御発言が大変強く印象に残っていまして、各教科を学ぶことと、ここにありますように横断的な、先ほどの場合ですと、プログラミング教育が具体例としてあったわけですけれども、そういう教科を横断しながら学ぶということと、それこそ先ほどの委員の御発言の中には、各教科の本質を学ぶということとの、両者の関係等が言い得て、いろいろなことを考えなければいけない点があるのではないか。そういう御発言からすると、ここの4の記述について、例えば、委員のお立場からすれば、もっとこういう視点があるのではないかとか、あるいは、ここら辺どうなのだろうかとか、そういう件については、いかがでありましょうか。
【長谷川委員】    先ほどの天笠主査からの御発言の中に、要するに「横断的な」というところがありました。それぞれの教科がその教科を通して学ぶべき内容があるわけですが、それを通して、どういう子供を育てていくのかという資質・能力の部分に教科等の中でシフトしてきていますよね。そのときに、それぞれ教科が学ぶべきもの、その教科の特性、そういうものがみんなあるわけですけれども、それを必ず横断的に学習するというのは、総合もそうですが、総合の目標やねらいが大きなところになると思うのです。その中に必ず教科の内容が含まれたものとして、きちんと位置付けられて横断的な学習が進んでいかなければいけないと思っております。そのときに、ともすると学習は時間が必要ということがあるのですけれども、横断的な学習をするために、教科等が連携していく中で、きちんとその内容が位置付けられないままに、音楽で言うと、音楽的だからと、絵を描けば、これは美術というか図工だからという形で、何となくきちんと内容が押さえられない中で、その横断的な学習が進んでいってしまうことも危惧されるところなのかなと考えています。それで、これから教科等でそういうことをきちんと押さえていただけるのだと思うのですけれども、その本質を押さえて、「プログラミング的思考」もそうですが、そこをきちんと踏まえた上で、しっかり進めていかなければいけないということを私自身も考えてはおります。
【天笠主査】    小学校はもともとというか、これからも基本的には学級担任制という指導組織の前提の中で授業をしていくというやり方を取っていっているわけです。そういう中で今の話からすると、それぞれの教科をしっかり押さえながら、でも、担任がやるように、ある意味で言うと、指導システム上は比較的融通が利くような形前提でこれまでもやってきたわけです。その辺りをもう一度、教科を指導するということと、教科を横断するということ、それを学級担任の方にお願いするという、その辺りのめり張りをしっかりともう一度確認しなくてはいけない部分もあるのかと思います。そういう点からすると、改めて教育課程を通して、あるいは教育課程全体でという辺りが、また一つのキーワードにもなってくるのかなと思います。
  また、もしこの件について御意見等がありましたら、お願いできればと思いますけれども、ほかに委員の方、御発言等ありますか。
  なければ、そろそろ会を閉じさせていただこうかと思うのですけれども、その前に事務局にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは、局長の藤原が参りましたので、御紹介申し上げます。人事異動に伴いまして、着任いたしました、初等中等教育局長の藤原でございます。
【藤原初等中等教育局長】    おととい付けで初等中等教育局長になりました藤原でございます。いろいろお世話になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【天笠主査】    御意見よろしいでしょうか。それでしたら、この議題については閉じさせていただきたいと思います。改めまして、御意見、御質問等がありましたら、事務局等にお願いしたいと思いますけれども、本日頂きました御意見も踏まえ、総則・評価特別部会へ報告をさせていただきたいと思います。
  今申し上げましたように、どうしても言い尽くせなかった点もまたおあり終わりではないかと思いますので、何かまたこの後でもお気づきの点がありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。
  そして、お諮りいただきたい点があります。それは、この後の文言の調整等については、私の方で事務局と相談させていただく形で御一任させていただきましてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【天笠主査】    御了解いただいたということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  それでは、よろしくお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは皆さん、まことにありがとうございました。事務局を代表いたしまして、初等中等教育局長の藤原より御礼の御挨拶を申し上げます。
【藤原初等中等教育局長】    藤原でございます。遅れて来て、大変恐縮でございました。この小学校部会の区切りに当たりまして、私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。
  天笠主査をはじめとする委員の先生方におかれましては、この部会の委員をお引き受けいただきまして、また、非常に御多用中のところ、熱心に御議論をいただきまして、大変ありがとうございます。
  昨年の11月の第1回会合以来、既に8か月にわたりまして、7回の議論を重ねてこられたと聞いております。この部会におきましては、今後の小学校学習指導要領の方向性についてお示しいただくということでございまして、委員の先生方には大変感謝しておる次第でございます。これから教育課程部会などにおいて更に議論を重ね、最終的には今年中に中教審の総会で答申を取りまとめていただくと聞いております。今後、学習指導要領の改訂に向けまして、更に議論が進められていくことになると思いますが、引き続き委員の先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、私からの御挨拶といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
【石田教育課程企画室専門官】    委員の皆様、7回にわたり貴重な御審議を頂き、ありがとうございました。
  事務連絡でございます。先ほど主査からも御発言がありましたとおり、今回で小学校部会におけます取りまとめの議論については、いったん終了とさせていただきたいと考えております。
  ただし、その後の状況に応じまして、本部会での調整が必要になった場合には、また御参集させていただくこともあろうかと思いますので、その際は別途御連絡させていただきたいと考えております。
  また、主査からもお話がございましたように、今回どうしても言い尽くせなかった点、あるいはお気づきの点がございましたら、6月30日、来週木曜までに事務局まで御意見をお寄せいただければと思います。頂きました御意見については、天笠主査とも御相談の上、適切に反映させていただきたいと考えております。
  なお、本日の配付資料は机上に置いていただければ、後ほど郵送いたします。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、本日の小学校部会をこれで閉めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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