資料2-7 教育の強靭化へ向けて(平成28年5月10日 文部科学大臣メッセージ)

教育の強靱化に向けて

平成27年10月に文部科学大臣に就任して以来、約半年が経ちました。この節目の時期に当たり、子供たちの未来のために、「次世代の学校」を創生し、教育の強靱化を必ず実現するとの決意を新たにしているところです。

AI(人工知能)の進化など情報化・グローバル化が急激に進展する不透明な時代を、たくましく、しなやかに生きていく人材を育てるためには、学校教育を進化させていくことが必要です。

以下に、今後の学校教育の充実に不可欠な「学習指導要領改訂」と「次世代の学校・地域創生の実現」の一体的な推進のためにこの夏に向けて取り組んでいく当面の重点事項を掲げました。
これらの重点事項につき、教職員の方々はもとより、学校教育の関係者の皆さんに広く知っていただき、皆さんと力を合わせて、学校教育の充実にしっかりと取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。


一、 学習指導要領改訂による「社会に開かれた教育課程」の実現

  〔改訂に至る背景と中央教育審議会への諮問〕
     将来の変化を予測することが困難な時代を前に、子供たちには、社会の変化に受け身で対処するのではなく、現在と未来に向けて、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、自らの人生を切り拓き、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが求められています。
     そのために必要な力を子供たちに確実に育むため、平成26年11月に中央教育審議会に対して諮問がなされ、次期学習指導要領について議論が重ねられているところです。
   
  〔「論点整理」とその内容〕
         教科や学校種の枠を超えて、これからの教育課程が目指す方向性を共有しながら改訂を進めるため、昨年8月には、中央教育審議会において「論点整理」がとりまとめられました。
      この「論点整理」においては、①学校教育を通じて育む資質・能力(知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力や人間性)と各教科等を学ぶ意義の明確化、②資質・能力を育む教育課程の実現に向けた「カリキュラム・マネジメント」の充実、③資質・能力の育成に向けた「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善等について提言がなされています。
 
  〔検討状況と今後の予定〕
     現在、この「論点整理」を受け、学校段階別や教科等別の部会において議論が進められています。教育界のみならず、経済界や大学、地域関係者など延べ470人の英知を結集し、これまで合計126回、約260時間(本年5月9日現在)に及ぶ議論を積み重ねていただいているところです。
     今後は、これらの議論をもとに、全体的な取りまとめの段階に入るところです。今夏を目途に「審議のまとめ」を行い、年内に答申、その後、学習指導要領の全面改訂を進めていくこととしています。
     これまでのスケジュールを踏まえれば、小学校において2020年(平成32年度)から、中学校においては2021年(平成33年度)から全面実施、高等学校においては2022年(平成34年度)から年次進行により実施となる予定です。
〔学習指導要領改訂のポイント〕
二、 「次世代の学校・地域創生」の実現

平成28年1月25日に、「次世代の学校・地域」創生プランを策定しました。このプランで掲げられている以下の事項について、引き続き、着実に取り組んでまいります。

〔学校の指導体制の充実〕
教員が総合的な指導を担う日本の学校の特徴を生かしつつ、日本のこれからの時代を支える創造力をはぐくむ教育へと転換するとともに、複雑化・困難化する課題に対応できる「次世代の学校」を構築し、教員が今まで以上に、一人一人の子供に向き合う時間を確保し、丁寧に関わりながら、質の高い授業や個に応じた学習指導を実現できるようにするべく、教職員定数の戦略的な充実を通じ、学校の指導体制を充実させます。

〔教員の質の向上〕
学校教育の成否は教員に懸かっています。次期学習指導要領の実施に先駆けて、新たな教育課題に対応できる知識・ノウハウを備えた教員の育成環境を整えるとともに、大量退職・大量採用を背景とした年齢・経験年数の不均等による若手教員への知識・技能の伝承の停滞を克服するべく、養成・採用・研修の一体改革を着実に進めていきます。

〔チーム学校の実現〕
      複雑化・多様化する学校の課題に対応するとともに、子供たちに必要な資質・能力を育むためには、学校のマネジメントを強化し、組織として教育活動に取り組む体制を作り上げるとともに、学校において教員が心理や福祉等の専門家と連携・分担する体制を整備することにより、学校の機能を強化し、「チーム学校」を実現します。
     
〔「地域とともにある学校」への転換〕
地域と学校の連携・協働の下、幅広い地域住民等(多様な専門人材、高齢者、若者、PTA・青少年団体、企業・NPO等)が参画し、地域全体で学び合い、未来を担う子供たちの成長を支え合う地域をつくる活動(地域学校協働活動)とコミュニティ・スクールを全国的に推進し、高齢者、若者等も社会的に包摂され、活躍できる場をつくるとともに、安心して子育てできる環境を整備することにより、次世代の地域創生の基盤をつくります。



平成28年5月10日 文部科学大臣 馳 浩

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(スポーツ庁政策課学校体育室指導係)