教育課程部会 国語ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年5月17日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【北原主査】
 これから、第7回のワーキンググループを始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語ワーキンググループというのが正式の名前でございます。ただいまより開催いたします。
 皆様、本日はお忙しい中、また、本当にきょうを選んで降ったような雨の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは最初に、事務局から、配付資料について確認をお願いいたします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料3、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局にお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や関係資料等をデータで入れております。詳細は次第の裏面の目次をごらんください。
 以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございます。
 それでは、これから議事に入りますが、初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めることになっておりますので、そういたします。よろしくお願いいたします。それから、第6条に、議事録を作成し、原則公開することになっておりますので、そういう取り扱いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者から会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日は、資料2「「学年別漢字配当表」の取扱いについて(案)」と資料3「国語WGにおける取りまとめ(案)」につきまして、意見交換を行う予定でございます。
 意見交換に入る前に、校種別部会など全体に関する議論の状況を説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から、資料1「学校段階等別部会等の議論の状況について」と、参考資料「教育の強靱化に向けて」という大臣メッセージについての説明をいただきたいと思います。
 では、大杉室長、お願いします。

【大杉教育課程企画室長】
 それでは、まず、資料1をごらんいただきたいと思います。総則の構造につきまして、かなり抜本的な見直しが進んでおりますので、御参考まで紹介をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきますと、小学校・総則の改善のイメージということで、左側が現行でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」の考え方に立って総則を見たときに、今回の指導要領の改訂が目指している方向性でありますとか、教育課程全体が目指している資質・能力の育成など、基本的な考え方が社会に対してもしっかりと示せるような構造にしていくべきではないかという指摘を教育課程企画特別部会でも頂いていたところでございます。
 それを踏まえまして、右側のように、例えば前文のようなものを示して、「社会に開かれた教育課程」の考え方を示してはどうか。あるいは小学校教育の基本ということで、育成すべき資質・能力や、それらと関係法令、「生きる力」の関係性をしっかりと示してはどうか。あるいはカリキュラム・マネジメント、学校種間の接続、アクティブ・ラーニングの視点、特別教育の視点や、様々海外から帰国した子供たちへの適切な指導の視点、また、学習活動の充実のための基盤としての学級経営やキャリア教育などについて、このように構造化して示したらどうかという御議論が進んでおりますので、御参考まで紹介をさせていただきます。
 また、一番下に別表とございますけれども、現在、各教科で御整理いただいている見方・考え方につきましては、このような形で、総則で一覧的に示してはどうかという御議論も頂いているところでございます。
 次のページは、それを少し詳細に示したものでございます。
 さらにおめくりいただきますと、高等学校のイメージも付けさせていただいております。高等学校・総則の改善のイメージの次のページでございますけれども、高校は一部、単位の詳細な整備が第2款で必要になってまいりますけれども、基本的には小学校と同じような考え方で、ごらんのように整理してはどうかという御議論を頂いているところでございます。
 それから、「アクティブ・ラーニング」の視点につきましても、少し議論を深めていただいております。その次のページでございます。主体的、対話的で「深い学び」の実現についてということで、上の半分にございますのが論点整理の内容でございますけれども、下のピンク囲みのような形で、総則・評価特別部会等の議論を少し集約させていただいております。「深い学び」に、教科等の特質に応じた見方、考え方ということを位置付けていること、「対話的な学び」に、もともと、他者との協働や外界との相互作用と記してございましたけれども、これを少しかみ砕きまして、子供同士の協働、教師や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えることとしておること、また、「主体的な学び」に、キャリア教育の視点ということで、自己のキャリア形成の方向性と学びを関連付けていくという視点を入れていただいております。
 その次のページ以降は、まだまだ整理の最中でございますけれども、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」を進めることによって、資質・能力の3つの柱は、生きて働く知識・技能の習得であったり、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成であったり、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等の涵養ということ。
 次のページは、学校で設定いただく資質・能力の全体像と各教科の関係性、例えば、総合的な学習の時間や特別活動というものがカリキュラム全体の中でどのような位置付けを有しているかということも含めて、少し整理をしていただいている最中のものでございます。まだまだ変わり得るものでございますけれども、取り急ぎ、議論の状況として御紹介をさせていただくものでございます。
 続きまして、一番後ろについてございます参考資料「教育の強靱化に向けて」ということで、ごらんいただければと思います。先日、馳大臣から公表させていただきました資料でございますけれども、馳大臣就任以来、約半年という節目であること、また、学習指導要領の議論も、本ワーキングも含め、取りまとめの段階に入ってきていること、そうした中で、一部、アクティブ・ラーニングの捉え方などについて、少し誤解があるかもしれないというような懸念もございましたので、この際、指導要領が目指す方向性と、それに必要な次世代の学校創りということを、セットで改めて大臣メッセージとして発しさせていただいたところでございます。
 「教育の強靱化」、大臣の命名でございますけれども、次世代をたくましく、しなやかに生きていく子供たちに必要な資質、能力を育てていく、そうした資質、能力を育てる、強く、しなやかな教育環境創りというようなことも含めて、「教育の強靱化」ということで、今回、メッセージを発しさせていただいたところでございます。
 1ページ目は、本ワーキングの検討状況も含めて、これまでの中教審における議論の状況を整理させていただいております。
 2枚目でございますけれども、学習指導要領改訂のポイントということで、子供たちに未来の創り手となるために必要な知識や力を育んでいく。その中で、「ゆとり教育」か「詰め込み教育」かといった二項対立的な議論に戻るのではなく、知識、思考力など資質、能力をしっかりとバランスよく確実に育んでいくこと、学習内容を削減して活動を重視するような方向性ではないということ。
 一方で、「アクティブ・ラーニング」の視点でございますけれども、現行の学校教育のよさをさらに進化させることを目指し、知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身に付くよう質の高い理解を図っていくための学習過程の質的な改善を行うということであります。こうした方向性の下、必要な教科内容の見直し等を行っているということで、一部、こうした点について、知識量を削減して活動を増やすような改訂が行われるのではないかという誤解が一部見られるような懸念もあったことから、改めて、このような論点整理を踏まえたメッセージを出させていただいたということでございます。
 次のページには、「次世代の学校・地域創生の実現」ということで、社会に開かれた教育課程を実現するための「学校の指導体制の充実」、「教員の質の向上」、「チーム学校の実現」、「地域との連携・協働」、これらをセットで進めていくという方向性でございます。
 次のページ以降は参考資料でございます。
 私からは以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 大臣メッセージの「教育の強靱化に向けて」と学校段階等別部会のいろいろな進捗状況を説明していただきましたが、何か御質問があったらどうぞ。
 それでは、今の段階では質疑がなかったことにいたまして、次にまいりますが、資料2、「「学年別漢字配当表」の取扱いについて(案)」について説明をしていただきます。
 では、小林補佐、お願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、「「学年別漢字配当表」の取扱いについて(案)」ということで、資料2をごらんください。
 この取り扱いにつきましては、教育課程企画特別部会の「論点整理」におきまして、国語のところで平成22年に常用漢字表が改定されたことを踏まえ、小学校において、実生活や国語科以外の各教科との関連を考慮しながら、漢字の学年別配当の見直しの検討が求められるとされております。
 こういったことを受けまして、今の学年別漢字配当表の現状でございますが、資料の下半分の部分になりますが、観点ということで4つばかり挙げております。当該学年の児童、生徒の日常生活及び学校生活に必要な情報を表記する漢字であること。その際、国民としての将来の社会生活に必要な用語を表記する漢字についても考慮すること。また、丸2につきましても、国語科及び他教科等において必要な学習用語を表記する漢字であること。丸3、従来の習得率及び定着率から見て無理のない漢字であること。丸4につきましては、字形、字句について、次の事項を考慮することということで、現行のこういった観点から各学年に配当してある学年別漢字配当表であるというものでございます。
 2枚目にいきますが、2ポツ「学年別漢字配当表」に示す漢字の総数というものがございます。昭和33年改訂から見ますと増えており、平成20年改訂1,006字という現状でございます。
 3ポツにつきましては、児童、生徒の状況ということで、各種調査結果から鑑みますと、児童、生徒の漢字の読み書きの習得状況は全体として向上している傾向にあるが、学年が進むにつれて正答率が低下傾向にあるなど、習得状況にも課題があることが分かる。(参考)にあります総合初等教育研究所の調査によりますと、平成15年と平成25年時の正答率を比較しますと、300字で比較した場合、79%の漢字が合っている状況。また、ベネッセさんの調査によりますと、小2、小3、小4と学年が上がるにつれて、正答率は低下傾向にあるという状況を挙げさせていただいております。
 こういった現状から鑑みまして、4ポツ、一番下でございますが、このため、まずは現行の「学年別漢字配当表」に示す漢字の習得に向けて、指導の改善・充実を図るとともに、指導する字数の増加については、児童の学習負担を考慮し、極力抑制する必要があるのではないかということであります。
 続いて、3ページ目でございます。これらの現状を受けまして、5.次期学習指導要領におけます「学年別漢字配当表」については、以下のとおり考えてはどうかということでございます。平成22年に改定されました常用漢字表により、新たに常用漢字となりました漢字のうち、11字は都道府県名に用いる漢字であります。47都道府県の名称と位置につきましては、特に教育基本法に掲げます「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」など、広い視野から地域社会や我が国の国土に対する理解を一層深め、日本人としての自覚を持って国際社会で主体的に生きていくための基盤となる知識・技能を身に付けることを重視し、小学校社会科において学習することとされており、その定着を図る観点から、小学校国語において、都道府県名に用いる漢字を学習することが必要ではないかということ。なお、「常用漢字表」においては、原則、固有名詞は対象外としておりますが、特に公共性が高い、都道府県名に用いる漢字については、平成22年の改定の際、例外として追加されているものであります。
 また、1枚目ですが、現行の「学年別漢字配当表」の学年配当の観点を鑑みても、他教科等の関連ですとか、将来の社会生活に必要であるといった面からしますと、都道府県名に用いる漢字を配当することは妥当であると考えられるのではないかということでございます。
 参考といたしまして、現行の「学年別漢字配当表」にない都道府県名に用いる漢字が下に掲げられてあります。
 また、都道府県名に用いる漢字を国語科において指導することとした場合、都道府県名は社会科の学習用語でもあるということで、児童が当該漢字を社会科の学習と関連のあるものとして学び、その定着が図られるよう、社会科と連携して指導することが求められると考えております。
 以上、現状等を踏まえまして、今回の次期学習指導要領における「学年別漢字配当表」の在り方につきまして、こういった形でまとめましたので、特に漢字指導等の観点からも御意見を伺えればと思っております。
 以上、よろしくお願いいたします。

【北原主査】
 ありがとうございました。資料2ですね。教育用の漢字、義務教育で書けて、読めることを目標にして、学年別に配当してある漢字で、世間では「教育漢字」と言っているわけです。それを含むものとして「常用漢字」があって、文化審議会の国語分科会が原案を作って、平成22年度に、少し増やしたわけでありますが、その中から小学校で読み・書きできるものを俗に「教育漢字」として学年別に配当する、これが「学年別漢字配当表」でございます。
 その基準が、資料にある「現行の学年配当の観点」というもので、こういう観点から配当されているわけですが、このたび、常用漢字の中に、固有名詞の例外として、都道府県名で常用漢字に入っていなかったものが入りました。それを教育漢字でどうするかということで、資料の3枚目に紫色で書いてある漢字が当たるわけですが、小学校第3学年及び第4学年の社会科において、都道府県の名称と位置が指導されるようになっております。その定着を図る観点からも、入れる必要があるのではないかというのが、この資料の考え方でございます。これについて御意見を頂きたいと思いますが、例によって、名札を立てて、発言の御意思を示していただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、中村さん、お願いします。

【中村委員】
 これまでも、学校現場では、地域の地名など、そこで生活する子供が必要な漢字は適宜扱ってきているということがあろうかと思います。そういう意味では、習っていないからといって、その部分は平仮名に開くのは、かえって不自然といいますか、そういうことを考えると、先ほど説明にあったような社会的な必要性の高い漢字に限って今回見直しをかけていくというのに、私は方針としては賛成です。
 その一方で、漢字配当表を見直すといいますか、字数を増やすということが狙いではなく、漢字学習の在り方といいますか、改善、充実の一つとして配当表の扱う漢字を見直す。併せて、常用漢字表のお話がありましたけれども、常用漢字表の前書きや付表で示されている漢字を手書きする意味でありますとか、あるいは字体、字形に関することについて、もう少し、教育現場で、それを踏まえた指導をしていったり、あるいは先般、公表された字体、字形に関する報告を踏まえた指導の改善という、全体の中の学年別漢字配当表の見直しというような形で盛り込んだ方が、より実効性があるかと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございます。盛り込んだ方がいい。それに付随して、いろいろなことを、漢字指導全般についても考えた方がいいということですね。
 本来、常用漢字からは、固有名詞は除いてあります。固有名詞は、字体も読み方も多様なので。だから、「佐藤さん」の「佐」は、日本中で使いますけれども、固有名詞だから入っていなかった。今回、「佐賀県」の「佐」として、都道府県名だから入れてはどうかということになっているということです。
 では、お願いします。

【大野委員】
 小学校の現場の思いということで少し申し述べます。
 提案にあったこの20字を増やすことについては、あくまでも都道府県名に用いられている漢字ということと、あと、常用漢字表に導入された経緯などを踏まえれば、これは妥当ではないかなと思っております。また、御説明にもありましたけれども、4年生の社会科の学習の中で、これは機械的に覚えるということではございませんけれども、我が国の都道府県の名前を覚えながら、自分の地域とのつながりを考えたり、あるいは、その地域の特色について学び合ったりという学習が実際に行われているので、社会科で地名の学習を行っていながら、その基盤となる国語科において、これまで、この文字の学習というものをあえて取り上げてこなかったということになっておりますので、今回の学年別漢字配当表を見直すという御議論の中では、見直してみるということについて、是非考えていくこともいいのではないかなと思っております。
 実際に、学校の現場では、漢字の学習そのものに対する興味、関心が高いお子さんは結構多くて、また、漢字の学習であれば、読解力とか想像力といったものよりも、漢字が書けるようになったとか読めたという実感を得やすいので、そういった意味で、積極的に学習に取り組む子供たちも多くいるということは事実です。
 ただ、漢字の字数が増えるということで、実際問題としては、読むことはできても書けない、書けないだけではなくて、自分の身の回りで使えないといったお子さんもいる。そういったことで、結局、漢字を書くのが面倒で、漢字を使わない、苦手になってしまうお子さんもいらっしゃることは確かですので、教える側の私たちの漢字の学習の指導の在り方といったものを改善していく必要はあるかなと思っています。漢字を何度も機械的に書いて練習させたり、あるいは家庭学習でその定着を図るように強いていくということだけでは、漢字が身に付く、楽しく使えるようにはならないと思いますので、私たちも、そのあたりの指導法の改善というものは求められてくるかなと感じています。
 ただ、都道府県の文字の字数の範囲内でということならいいと思いますけれども、これ以上に漢字を増やすことについては、教師の負担あるいは子供たちの学習負担ということを考えると、これ以上は増えない方が望ましいかなと思いますけれども、都道府県名の漢字については、今申し上げたような実際の学校現場での他教科との関連ということから考えれば、見直すことは妥当ではないかと考えているところです。

【北原主査】
 ありがとうございました。小学校の現場を踏まえた御発言であります。要するに、賛成であるという御意見でございますね。
 ほかにいかがでしょうか。
 漢字指導全般についての御意見も一緒に承りたいと思います。
 宮澤委員、お願いします。

【宮澤委員】
 どんな漢字が増えるのかなと、ある意味、興味津々でいたわけですが、若干、予想していたものが出てきたなと思っております。今のお二人の先生の御意見に全く同感でございまして、この20字が小学校何年に配当されるか分かりませんけれども、妥当ではないかなと思います。
 配当漢字と若干ずれるかもしれませんが、今、主査が漢字指導全般と言ってくださいましたので、ちょっとお話ししますと、大学生などでは、読みに関して、音読みは非常によくできる、しかしながら、訓読みの成績が非常に悪いという実態がございます。漢字の音に関しては非常に成績がいいんですが、訓読み、和語あるいは大和言葉というようなものに関しては非常に悪い。そうすると、読めるけれど、意味が分からない。訓読みができないということは、意味が分からないというような状況にもなると思います。やはり、これは漢字指導の中で考えていくべきことであろうと思います。
 それから、漢字の成り立ちに関してですけれども、ややもすると、漢字が象形文字だということで終わってしまって、いわゆる六書の知識が全くなくいくものですから、どうしても形成文字の造りが理解できていないために、漢字そのものの理解が深まらないというような状況があろうかと思います。例えば、「青い」という字を使った場合には、「清潔な」とか、そういうのがあるわけですけれども、音と、それから、文字の全体を具体的に持っていくような、そういうものをもっともっとやれば、漢字は系統性が出てくるのではないかと思います。
 今度の都道府県名も、県名で使われる音訓だけでいくのか、それとも、またいろいろなものが意味として出てくるようなものになるのか、そこはまた御検討いただくことになろうかと思いますが、おおむね賛成ということと、それから、漢字指導について、少し申し上げました。

【北原主査】
 貴重な御意見をありがとうございました。 ほかにいかがでしょう。
 子供たちが興味を持つように、先生方も漢字のことは非常に興味があるんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうかね。指導全般について。
 高木さん、どうぞ。

【高木(ま)委員】
 私も、結論的には、増やすのであれば、この字数で、この漢字というのは賛成でございます。
 ちょっと別の観点から申し上げますと、大分前になりますけど、国立国語研究所の漢字調査を御一緒したことがありまして、そのときのことを思い出していたんですが、例えば4年生で学習した漢字が、5年生で書けなくなるという傾向があるんですね。その後、6年生、中学校1年生となるにつれて、また成績が上がっていく。それをいろいろ解釈してみますと、4年生の国語の教科書で出てきた漢字というのは、多分、その学年で1回か2回ぐらいしか使わないので、次の学年にいった頃には、もう忘れている。だけど、生活や学習の範囲が広がることで、使う、あるいは目にする場が増えてくる。そうすることで自然に定着してくるという部分があるんだろうと思っております。そういうことからしますと、社会科で既に教えるような対象になっていることを国語でも同時に扱うということで、定着という意味でいいますと、学習する、あるいは目に触れる場が増えるということになりますので、際限なくやってしまうと大変ですけれども、こういう公共性の高い漢字に限っては、是非とも、いろいろな場で目に触れることができるよう、工夫していくことも大事かと。
 それから、中村先生がおっしゃったように、併せて漢字の指導の在り方ですね。それから、今の訓読みの問題もそうですけれども、いわゆる漢字が苦手な子たちって、本当に記号として覚えているようなところがありますので、改めて、漢字の成り立ちという観点からの指導も含めた全体の中で、あるいは学習の場を増やすという意味でも、見直すということで、これらの漢字について増やすことについて賛成いたします。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 ほかに。
 では、藤森委員、お願いします。

【藤森委員】
 私も基本的に、配当漢字表の量としては、これで適切ではないかと思います。それに関わる指導の在り方について、私見を2点申し上げたいと思うんですけど、1点目は、どの本でこれを読んだのか、ちょっと失念してしまったのですが、字画の多い漢字ほど覚えにくい、使いにくいとは限らないという話を聞いたことがあります。むしろ、例えば「蜂」とか「蝉」のような漢字の方が、子供たちは案外よくマスターしていて、逆に字画が少なくても、抽象度の高い、概念的な漢字であると、なかなか習得に苦戦する。そういった意味で、配当は配当として、漢字の習得をどういう視点から扱っていくのかというところを、特にベネッセで59%の正答率というお話がありますけれども、逆に子供たちが習得に非常に苦戦した漢字の傾向はないのかどうか、このあたりの分析が付随するといいんじゃないかなと思いました。
 2点目は、中学、高校では漢字の成り立ちとして、今、宮澤先生がおっしゃったような六書の学びがありまして、教科書にも載っておりますし、小学校でも、それについては、時限を含めて扱われていますけれども、漢字は圧倒的に形成が多いですよね。形成のメカニズムを知っていると、音は類推でかなり読めたりする。そういった意味で、初等教育の段階から、実は漢字というのは、極めて意味と記号性に富んだ、文字の中でも非常に重要な存在なのだということ。特に音の場合は、呉音、漢音を含めて、いろいろな歴史的な経緯も全部含まっている、いわば文字のタイムマシンだというイメージで、漢字への親しみをより啓発できるような視点を入れながら進めていくのはどうかなと思いました。
 以上、私見でございます。

【北原主査】
 いい御意見、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 吉田先生、お願いします。

【吉田委員】
 賛成の意見がずっと続いていまして、私もそれに屋上屋を重ねるようなことになるかも分かりませんけれども、きょう、1、2、3、4、5という項目で説明をされているわけですが、4と5のところで、「字数の増加については、児童の学習負担を考慮し、極力、抑制する必要がある」。小学校の先生にお伺いすると、やはり、ここのところは非常に現実的な問題で、字数が多少増えても、そんなに負担は多くはないんじゃないかと一方で考えがちなんですけれども、現状、非常に多くの課題を抱えているということで、大変難しい状況にある。そういうことでいうならば、やはり、字数を増加しないということが、子供たちあるいは授業、漢字の指導についても、1つの基本線になるのかなと思っています。
 そのことを前提に置いて、5つ目の項目の次の学習指導要領において、学年別漢字配当表をどのように考えていくのかというところで、今、社会科の都道府県名に用いる漢字のことが出てきたんですけれども、1ページ目にあった「現行の学年配当の観点」のところを見ますと、4つの観点が示されているわけですが、その2つまでが「必要な」、「必要な」という、要するに、必要であるから教えていくという、非常に大事な観点が出ていると思うんですね。だから、単なる字数の量的な問題ではなくて、実際に、その漢字が学習に必要であったり生活に必要であったりすると、やはり、そのことを学びの対象にしましょうという観点が示されていると思うんです。ということは、結局、都道府県名というのは、社会科の学習用語としても、それから、公共性の高いというのがありましたけれども、その点から考えてみたときに、やはり、このことは量の問題ではなくて質の問題として考えていくべきではないか。と思うと、学習負担を考慮しながら、最低限のこととして、学習の効率的な観点から考えてこのことを含めていくという、これは、やはり妥当なのかなと思っています。

【北原主査】
 ありがとうございました。 酒井委員、お願いします。

【酒井委員】
 先ほど藤森委員から出た抽象度の話で思い付いたので、ちょっと追加なんですけれども、たしか教材の担当者から聞いた話なんですが、やっぱり、子供の認知能力というのは、必ずしも大人の考えるような概念と違いまして、例えば「鳥」は2年生で学ぶわけですけど、「鳩」という字の方が早く覚えるというようなことを言っていました。実際は、「鳩」の方が、漢字の構成上、非常に自然ですし、覚えやすいわけです。ですから、数は妥当だと思うんですけれども、もし、中で若干変えられるなら、1ページ目にあります「意味上の対応関係から見て適切であること」というところに、適切な、子供にとっての概念化といいますか、抽象度が余り高過ぎるものを基本的だからと考えて低学年に入れるのは、かえって難しいということを申し上げたいと思います。つまり、大人の発想から見ると、明らかに「鳥」の方が「鳩」よりも基本的なわけで、それを最初にやるべきだと思うんですが、子供から見ると、それは逆転しているということを付け加えます。

【北原主査】
 分かりました。「鳩」は「九」と「鳥」だという話だけではなくて、やっぱり、「ハト」という言葉の意味と漢字の「鳩」の関係はどうなっているかということも大事なことだと思いますね。
 ほかにいかがでしょうか。
 高木さん、お願いします。

【高木(ま)委員】
 基本的に賛成なんですけど、一応、懸念を申し上げておきますと、これらの漢字を、何年生に配当するか。まとめてやるとすると、国語の教科書に、ある学年に都道府県名がずらっと出てくるような出し方になる。そういうあたりも含めて、配当の問題、漢字自体はいいと思いますけれども、まとめて出すのか、あるいは少し散らすのか──でも、散らすとなると、うちの県の名前が後になったとか、いろいろな議論があるかもしれませんので難しいところではありますけれども、学習負担のことも含めてですけど、ちょっと工夫もあった方がいいのかなと思います。4年生の配当を見ますと、200字で一番多い学年でもありますので、そういうことも考えて、少し調整は必要なのかなとは思います。

【北原主査】
 ありがとうございます。確かに大きな問題ですよね。
 大体予定しておりました時間で、皆さん、都道府県名に用いる漢字については、学年別漢字配当表に入れるのがいいという御意見ですので、きょうの結論は、そういうことでお願いしたいと思います。
 それから、いろいろ承りました漢字の指導全般についての御意見もちゃんと記録にとどめるということで、この議論については、以上にさせていただきたいと思います。
 次に、我々国語WGにおける議論の取りまとめになるわけでありますけれども、資料3、まず、全般について説明をお願いしたいと思います。小林補佐からかな。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、資料3について説明いたします。きょうの配付資料の中で、資料3と資料3(別紙1)、(別紙2)、(別紙3)というセットになります。

【北原主査】
 カラー版ですね。

【小林教育課程課課長補佐】
 はい。資料3が縦長でホチキス留めと、資料についての横長のカラー刷りの資料、別紙になります。
 今回、第7回になりましたが、今までの議論を踏まえまして、各ワーキングの取りまとめをすることになっておりまして、国語WGにおける取りまとめ(案)ということで、今回、まとめさせていただいております。
 きょうの資料については、14ページございまして、実際の構成につきましては、1ページ目に、1.現行学習指導要領の成果と課題というものがございまして、2ページに、2.育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について、8ページ目に、3.資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実、11ページになりますが、4.学習・指導の改善充実や教材の充実、最後のページに、5.必要な条件整備等についてということで、1から5の大きな柱立てとなっております。
 まだ全部完成というわけではなくて、今回と次回の議論を踏まえまして完成していきたいと思っております。
 それでは、簡単に説明させていただきます。1.現行学習指導要領の成果と課題でございます。上の1から3つ目の丸が、国語科における成果となっております。PISA調査の読解力の平均得点が最も高くなっている成果等もあるということや、また、言語活動を適切に位置付けた学校の割合も、小、中学校ともに90%となっている現状もある。また、丸の4つ目以降でございますが、課題というものも挙げさせていただいております。ここでは、全国学力・学習状況調査の結果で、小学校、中学校のそれぞれの課題といったこと、また、高等学校につきましても、科目構成の話等もございましたが、課題ということで、ここに挙げさせていただいております。また、児童、生徒の読書状況につきましても、読書数、平均読書冊数の話と、また、小、中学校に比べて高等学校の読書活動は改善が見られない状況にあるということで、今回、成果と課題ということで、主に1ページ目にまとめさせていただいております。
 続いて2ページ目、特に(1)教科等の特性に応じ育まれる見方・考え方でございます。これは前回の国語ワーキング等の議論も踏まえまして、総則・評価特別部会において、見方・考え方というものとして議論されておりまして、上から3つ目の丸でございますが、本ワーキンググループといたしましては、丸1、創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、丸2、感性・情緒の側面、丸3、他者とのコミュニケーションの側面から言葉の働きを捉え、自分の思いや考えを深めたり表現したりすることが、国語科において育むべき「言葉に対する見方・考え方」であると整理しております。こういった形で、見方・考え方というものを少し整理させていただいておる状況でございます。
 続きまして3ページ目、(2)小学校、中学校、高等学校を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方でございます。これは先ほど私から伝えました資料3(別紙1)の部分でございます。国語教育のイメージ(5月17日版)というものがございまして、一応、ここの資料にあるものを国語教育のイメージというもので、国語ワーキングにおいては、各学校段階ごとに育成すべき資質・能力について、別紙1のような整理ということでございまして、本文にもその部分を記載しておる状況でございます。小学校、中学校、高等学校という形で整理しております。
 また、学校別に整理しておるということと相まって、4ページ目の一番上の丸でございますが、小・中学校、高等学校においては、高等学校芸術科のつながりを意識するといった部分、また、上から2つ目の丸でございますが、幼児教育で育まれる部分と十分に意識するということであるとか、また、それぞれの学習段階におきまして、国語科でどのような資質・能力を身に付けさせるのかを明確にしていくことが必要であるとしております。これらの資質・能力につきましては、言語能力の向上に関する特別チーム等の整理等も受けまして、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力や人間性等」の3本の柱に沿った整理を行いまして、(別紙2)になりますが、国語科で育成すべき資質・能力というもので、3本の柱に沿った整理を行っておるものでございます。こちらも、今まで議論していただいた資料でございまして、この資料について、主に文章化したものを書かせていただいたものになっております。
 4ページ目の「知識・技能」には、一番下の部分、「特に」とありまして、「言葉の働き、役割に関する理解」といったもの、言葉そのものに対するメタ認知のことであり、言語能力を向上させる上で重要な要素であるといったことなどを文章化して、まとめさせていただいております。
 5ページ目、「思考力・判断力・表現力等」ということでも、言語の働きを捉える3つの側面があるといったこと、また、それらについての説明をここでいたしております。
 また、柱の3つ目になりますが、上から4つ目の丸、「学びに向かう力、人間性等」につきましても、この柱の中の整理というものをここに書かせていただいております。
 一番下の丸でございますが、資質・能力、3本の柱というのは、相互に関連し合ったものであるため、その育成に当たっては、別々に分けて育成したり、知識・技能を習得してから思考力・判断力・表現力等を身に付けるといった順序性を持って育成したりしないよう留意する必要があると書かせていただいております。
 6ページ目、(3)資質・能力を育む学習過程の在り方でございます。こちらは特に資料の(別紙3)の部分になります。国語科における学習活動(イメージ案)、こちらも特に資料の解説ということで、文章化したものとなっております。資質・能力を育む学習過程の在り方ということで、(別紙3)のとおり、3領域における学習活動の中で、3本の柱で整理した資質・能力はどのように働いているかを含めて図示したものでございます。ここでは例示として、読むことの領域についての話です。
 また、6ページの一番下の部分でございますが、(別紙2)で整理された3本の柱のうち、「学びに向かう力、人間性等」が大きな原動力となること。また、「学びに向かう力、人間性等」で挙げられている態度等が基盤となって、子供がみずから次の学習活動に向かおうとする意識が生まれ、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力等」の育成が図られるということも記載しております。
 続いて7ページ目、(4)「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方ということでまとめさせていただいております。前回、国語ワーキング等でも議論していただきまして、「目標に準拠した評価」の実質化を図るとともに、教科・校種を越えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、観点別評価の観点については、資質・能力の3つの柱を踏まえたものとすることが求められていること。「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、また、「学びに向かう力、人間性等」ということでの整理となっておりまして、特に「学びに向かう力、人間性等」につきましては、「主体的に学習に取り組む態度」として観点別評価を通じて見取ることができる部分と、観点別評価や評定にはなじまず、個人内評価を通じて見取る部分もあり、ここでは観点別評価として見取るべきものを挙げさせていただいているということでございます。
 次、8ページ目、3.資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実でございます。(1)科目構成の見直しで、高等学校の国語教育ということで、課題の解決を図るために、今回、(別紙2)に示された資質・能力の整理を踏まえ、以下のような科目構成にすることとしたということで、実際に議論していただいた内容をここに書かせていただいております。
 特に、高等学校国語科の科目構成ということで、必履修科目につきましては、「現代の国語(仮称)」、また、「言語文化(仮称)」、2つの科目を全ての高校生が履修する必履修科目として設定することが考えられるということでございます。
 その中で必履修科目の説明をいたしておりまして、9ページ、必履修科目、「言語文化」について、我が国の言語文化への理解を深める科目として、「知識・技能」では「伝統的な言語文化に関する理解」を中心としながら、それ以外の各事項も含み、「思考力・判断力・表現力等」では全ての力を総合的に育成することが考えられるといったことなどを書かせていただいております。
 9ページの上から3つ目の丸でございますが、必履修科目であります「現代の国語(仮称)」、「言語文化(仮称)」において育成された能力というものは、特定の選択科目につながるわけではなく、全ての選択科目につながる能力として育成されることに留意する必要があるということでございます。
 その下に、選択科目として、「論理国語(仮称)」、「文学国語(仮称)」、「国語表現(仮称)」、10ページ目にいきまして、選択科目の「古典探求(仮称)」といったものを挙げさせていただいております。
 10ページ目の上から3つ目の丸でございますが、高校生の読書活動ということも、それぞれの各科目において、読書の意義や価値について実感を持って認識することにつながるような指導の充実といった展開が必要であるといったことを書かせていただいております。
 10ページ(2)資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化につきましては、今回ではなく、今後、記載予定となっております。
 続いて、(3)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しということで、まず、読書活動の充実を挙げさせていただいております。子供たちに読書をする習慣が身に付くような取組をする推進する必要があるといったこと。また、一番下のところですが、語彙量を増やしたり語彙力を伸ばしたりする指導の改善・充実が重要であるが、そのためにも、読書活動の充実を図る必要があるといったことを挙げております。
 続いて、11ページ目でございます。(学年別漢字配当表の見直し)ということで、また、本日の議論等を踏まえて記載する予定でございます。あと、(伝統や文化に関する学習の改善)、また、(言語能力の向上のための外国語教育との連携)につきましても、今後、記載予定とするものでございます。
 また、(その他)というところでも、実際の資質・能力を育成する中で、総合的に育むことになる能力といったものを挙げさせていただいております。
 続いて、11ページ目の4.学習・指導の改善充実や教材の充実、(1)特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実でございます。特に国語科の目標の実現を目指す上で、国語科の学習過程や言語に関する見方・考え方を踏まえ、具体的な学習の場面で考えられる「困難さの状況」に対する「配慮の意図」と「手当て」の例について、以下のような形で学校現場に明示していくのが適当であるということで、その例示を12ページ目に書かせていただいております。
 また、個に応じた資料ということも、1つ目の丸の部分で、個に応じた語彙の拡充のための支援を継続的に行っている実践などがあるということで、実践例示を書かせていただいております。
 続いて、12ページ目の一番下、(2)「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実でございます。国語教育の改善充実のため、「アクティブ・ラーニング」の3つの視点から、以下のような学びが実現できているか、その学習過程の質的改善を不断に見直し続けることが重要であるということです。
 1つ目、2つ目、3つ目ということで、それぞれ「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」ということで、国語科における例えばということの例示をここに挙げさせていただいております。
 こういったことを通じまして、次期学習指導要領においては、国語の能力の向上のため、より一層、言語活動の充実を図る必要があるという形で書いております。
 また、13ページ目の一番下の部分でございますが、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実のために、ICTを活用することも効果的であると考えられるということで、そこに例示を書かせていただいております。
 最後の14ページ目、(3)教材の在り方ということで、3.に示された資質・能力の育成に向けた教育内容の改善充実のためには、教材の在り方を見直すことが必要であるということが書いてあります。実際にここでも頂きました意見等も踏まえまして、ここには記載しておりますが、本日また、さらにこれに加えた意見というものを頂ければと思っております。
 その下の5.必要な条件整備等についてということで、国語科において、2.に整備された資質・能力の育成を図るためには、教員養成、教員研修による教員の資質・能力の向上、学校図書館やICT環境の整備・充実などの条件整備が求められているということで、研修の充実であるとか、教員養成課程においても、趣旨を十分踏まえたカリキュラムが図られることが求められるといったこと。また、一番下の部分でございますが、蔵書の充実や、学校司書等の配置や資質・能力の向上など、一層の条件整備が求められるといったことを書かせていただいておりますが、さらに、本日、特に、教材の在り方、必要な条件整備等についての意見を伺えればと思っております。
 以上、説明でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 今までの議論のまとめですから大変ですけれども、こういう方法でお願いしようかと思っております。14ページから成っておりますが、何も赤が入っていないで、本当のまとめですので、8ページの3ポツの前までを1区切りにして、むしろ、3ポツからの方が赤い、これからの議論とかいう、5月17日の議論というのは、きょうの議論を生かしたいということもありますので、そちらにも時間を取りたいと思いますので、まず、1、2についての意見交換をお願いしたいと思います。質問というよりも御意見を頂きたいと思いますが、どうぞ、よろしくお願いします。
 どうぞ、先生。

【荒瀬委員】
 7ページの下から3つ目の丸に、「別紙4のとおり観点を整理したところである」とありますが、別紙4というのは、きょうの資料の中にありますでしょうか。

【小林教育課程課課長補佐】
 これは、前回の資料のことで、今回は付けない予定の記載が残ってしまいました。また、文面を調整いたします。失礼いたしました。

【北原主査】
 ほかにいかがでしょうか。
 高木さん、お願いします。

【高木(ま)委員】
 まとめに入っていかれるようなので、ちょっと細かいのかもしれませんが、申し上げたいと思います。
 まず、2ページの丸の4つ目ですが、3行目で、「そこでは、言葉と対象をつなぐことと、そのつないだ関係性を言葉を通して問い直して」とあって、これ、大事なことなんですが、国語なので、言葉と言葉の関係性ということもあるのではないかなと思いましたので、一応申し上げておきます。それも含むという表現、意図であれば、別に問題はないと思いますが。
 それからもう1つですが、3ページ以降、小、中学校のところになります。言いたいことは分かるんですけど、小学校、二重丸のところ、例えば、「国語で表現し理解することを通じて」云々とありまして、「言葉の働きを捉える言葉に対する見方・考え方を働かせ」ということで、これは今回、すごく肝になるところだと思いますけれども、表現として、ちょっとくどいような気がするので、こういうふうに言い換えてしまってはだめなのかもしれませんがということでちょっと考えてみたんですが、「人と人との関わりの側面から言葉の働きを」、例えば小学校だったら「知り」ぐらいにして、中学校では同じところを「広くし」、高校では「深め」というような、「言葉に対する見方・考え方」というのは、今までの議論からすると当然そうなるのかなと思うんですが、表現としてどんなものかなと思ったので、そのあたり、意図がねじれなければどうだろうか、修正してもいいのではないかと思いましたので、小さなことかもしれませんが申し上げておきます。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。考えてください。
 ほかにいかがでしょうか。
 酒井先生。

【酒井委員】
 (別紙1)で、小、中、高で非常に同じ表現が使われていて、よくよく読むと、二重丸のところなんですけれども、小学校が「人と人」で、中学校が「社会」で、高等学校が「社会や他者」で、ここで議論したことか、ちょっと記憶が定かではないんですが、小学校で「人と人」といって、多分、特定の人、分かりやすくイメージがしやすい人、また、関わりを力点を置くというのは分かるんですけど、その次に、中学生で「社会」にいくんだというのは、なぜ、高校で「社会や他者」と、付け加わっているので高校の方が高度な感じはするんですが、「他者」より「社会」の方がレベルが上なので、何となく違和感があります。ですから、中学校でもうちょっと広い、どうなんでしょうね、この言葉、非常に考えて付けられたんだとは思うんですけれども、中学はむしろ「他者」で、高校で「社会」だけでもいいのかなと思いました。一応、感想です。

【北原主査】
 ありがとうございました。3ページですね。
 ほかにいかがでしょう。
 藤森さん、お願いします。

【藤森委員】
 2ページの2つ目の丸のところなんですけれども、私の読解力不足でしたらお許しいただきたいんですが、最後の部分で、「国語科固有の視点を踏まえ、自分の思いや考えを深めたり表現したりするために思考することが、「国語科ならではの思考の枠組み」」というこの係り受けが自分ではよく分かりにくいです。と申しますのも、この場合の枠組みというのが、例えば、他の教科とどこが異なっていて、どこにその境界やテリトリーがあるのかという意味での枠組みであるなら了解するんですけれども、「国語科ならではの」の後が「思考の枠組み」まで全部含まれているとすると、思考することが思考の枠組みというのは、この係り受けとして違和感があるんですね。この場合、「国語科ならではの思考」で区切られるのか、それとも「思考の枠組み」とまでいくとすると、例えば、そのように表現することで一体何が明らかになるのかが分かるスキーマですとか、こういったレベルの話になってきますので、このあたり、表現を御検討いただければなと思います。ただ、私の理解が誤読であるならば、このまま流していただければと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。考えてください。
 確かに、文言がしっかりしていないと伝わるのがあれですので、そういうワ-ディングもよろしくお願いしたいと思いますが。
 どうぞ、児玉先生。

【児玉委員】
 今の藤森先生の立ち止まったところと、僕も似たような感じになるのかもしれませんけど、同じ2ページの3つ目の丸、これは国語科の教科特性の定義に当たるところだと思うので、あえて丁寧に読ませていただいたんですけど、やっぱり、僕もちょっとよく分からないところがあって、どういうことかというと、2行目から3行目に「言葉の働きを捉え、自分の思いや考えを深めたり表現したりすること」が見方・考え方である。この係り受けも、ちょっと日本語として据わりが悪い感じがするんですね。見方・考え方と体言で止めるのであれば、もうちょっと違う前の部分があるんだろうと思うんですが。これは言語能力の向上に関する特別チームの3つの観点と関わらせるということ自体について反対しているわけではないんです。これはこれでいいと思うんですが、ここの日本語の据わりが悪いところがちょっと気になりましたので、御検討いただければと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 どんどん出していただきたいと思います。
 では、酒井委員。

【酒井委員】
 今の2番目のところなんですけれども、私がひっかかるのは2行目ですけど、わざわざ、「理解することを目的とするのではなく」と排他的に書く必要はないのではないか。つまり、国語科は自然科学や社会科学と違うのだと言いたいのは何か、そうすると、ほかの科目に対して、もっと基礎的な役割を果たしているというところが逆に見えにくくなってしまって、当然、教科書の題材に使うものにしても、社会科学や自然科学の題材が使われるわけですから、そうしたときに、その理解は目的としないというのは非常に変ですから、それは削除した方がよろしいように思いました。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 また後で戻ってもいいので、後半にまいりましょうか。
 先ほどお願いしましたように、8ページの3ポツからでございますが、ここをもう一度、小林補佐、説明、簡単に繰り返していただけますか。お願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 3ポツ目以降で、今回、特に赤い字のところがありますが、10ページ目、11ページ目にある「今後、記載予定」と書かれているところについては、本日議論できないので次回ということになりまして、今、記載してある内容と、14ページ目にあります(3)教材の在り方と5.必要な条件整備等について、もう少し記載を加えたいと思いますので、特に、このあたりについて意見を伺えればと思っております。
 以上、よろしくお願いいたします。

【北原主査】
 ありがとうございました。
   では、佐藤先生、お願いします。

【佐藤委員】
 まず1つは、感想としまして、8ページ以降の高等学校国語科の科目の構成のところですね。選択科目の構成、今回の内容を見ますと、ちょうど資料1の(別紙2)の「思考力・判断力・表現力」の中の3つの側面にそれぞれ対応しているということが分かりまして、非常に内容が明確になりましたので、個人的には、これは非常にいいなと思っております。
 1点、提案になるんですが、1ページ目の最後の方の読書状況についての高等学校の課題に関して、多分、最後の14ページの状況説明に当たると思うんですが、やはり、高校では読書状況がかなり悪い。多分、大きな原因はスマートフォンの普及があると思うんですが、そう言っている場合じゃないので、1つ言いたいことは、現行の指導要領にも、総則のところ、それから、国語の科目の中に、学校図書館の利用については触れてあります。実は今、学校図書館って、条件整備のところにもあるんですが、司書の配置等、なかなか厳しい面がありますので、学校図書館はもちろんそうなんですが、いわゆる行政の図書館についてもどこかで触れて、図書館の利用の拡大をした方が現実的だという気はしています。もちろん、条件整備したものが一番いいんですが、実際、私の学校でも、結構、近隣の図書館と連携していまして、そういった意味では、読書活動の活性化になりますので、1つは、その辺を考えていただきたいということですね。
 あともう1点が、今の指導要領でいいますと、選択科目の中の言語活動例として、学校図書館の活用についても触れてあると思います。これを、もし本当に踏み込むのであれば、選択科目ではなくて必履修科目、現代の国語科ないしはもう1個の方、どちらかになる。ですから、そこに何らかの形、指導事項は難しいと思うんですが、もし言語活動例があるのであれば、そこで触れるような形にしておいた方が、実際、図書館の活用により結び付くのではないかと考えました。
 これが一応、意見です。
 あともう1点、質問で、ちょっと前に戻ってしまうんですが、3ページ、小、中、高それぞれ丸1のところの文言で、例えば小学校でいえば、「日常生活に必要な国語の特質(仮)」とありますが、この「国語の特質(仮)」というのは、個人的理解に非常に苦しんでおりまして、(仮)とあるということは、要するに、変わる可能性があるのか。あるいは、むしろ、これを挙げるのであれば、それぞれの校種の特質はどのようなものかを例示した方が読む方としては分かりやすいのではないかと感じました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 前半も含めて、有り難い御意見ですね。
 ほかにいかがですか。
 では、児玉委員。

【児玉委員】
 14ページの5.必要な条件整備等についての1つ前のところの4つ目の丸です。「国語科の学習において扱うべきジャンルとしての韻文や散文が」というくくりでジャンルを見ておられるんですけれども、これがどういった議論でここに入っていたのか、ちょっと僕も記憶がなくて申し訳ないんですけれども、小、中、高でどう位置付けられるべきかということは、もちろんこれは検討に値するなと思いました。ただ、現行では、例えば、学習指導要領などは文学的文章と説明的文章というふうに分けたり、実際の教科書教材では、詩歌、物語、小説、説明文、評論、古文、漢文と分けたり、あるいは現代文と古典と分けたり、様々な分け方をしている中で、あえてここで韻文と散文とくくって、そういう注目の仕方でジャンルを見ておられる。何か意図があるのかなと思ったんです。その意図があれば、それはそれでいいんですけれども、もしそうでなければ、今までのジャンルの分け方というのも念頭に置いた系統性というのが検討されるといいのかなと思いました。
 以上です。

【北原主査】
 
 では、横山委員から。

【横山委員】
 14ページの5.必要な条件整備等についてで、最後の学校図書館のあたりなんですけれども、幼児教育の現場だと、学級文庫ではないですけど、部屋の中に本コーナーを作ってくださっていて、先生が読んでくれた本をそこに置いてくださると、子供たちがまず一番に手にするということがありますので、是非、学級文庫というものも小学校以上のところで、今、行政のこともお話しくださいましたけれども、身近なところに本をというところを一緒に考えていただければよいかなと思います。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 では、森田委員、お願いします。

【森田委員】
 私からは、14ページの5.必要な条件整備等について意見を申し上げます。
 まず、1番下から2行目ですが、「蔵書の充実や、学校司書等の配置や資質・能力向上など」と書いてあって、大変有り難いなとは思いますが、ただ、これだけの表現ですと、ちょっと少な過ぎるかなと。と同時に、ここだけでは現状を追認するだけで、今後の学習指導要領のいわゆる学校図書館を発展させる、すなわち、それに伴って広報機能を充実させるということには、ちょっと結び付きにくいかなと感じました。そこで、最初の蔵書の充実、蔵書といいますと、どうしても紙の本だけを思い浮かべることが多いのではないかなと思っております。司書教諭の講習規程では、紙の本だけではなくて、学校図書館に関して言えば、ここでは「学校図書館メディア」という文言を使っておりますので、「蔵書」ではなくて「学校図書館メディア」という、既に使われ、定着している用語を使った方がいいのではないかなと思っております。そうしますと、蔵書は紙の本だけではなくて、今、大変購読率も少なくなっています新聞、それから、今後増えるであろうデジタル資料等々も含まれていくかなと思っております。
 それから、次に、「学校司書等の配置」と書いてありますが、ちょっと違和感を覚えたのは、学校図書館は、そもそも学校図書館法が昭和28年に制定されたときから、司書教諭を全校に配置するという必置が国の法律で決まっております。学校司書がようやく法制化されたわけなんですけれども、やはり司書教諭と学校司書の配置促進、配置をしていくということが、この条件整備については最も重要ではないかなと思っております。
 それから、懸念の1つを申し上げますけれども、「学校司書等」、この「等」が一体何を指しているのかなと考えましたところ、もしかしたら、これは学校司書と外見的には仕事内容がちょっと似ている、いわゆるボランティアも指しているのかなと感じまして、これは困ったなと。今後、非常に重要になる学校図書館は、やはり司書教諭、学校司書という専門職が担うべきものであって、ボランティアは本当にお手伝いですので、こういうところに「等」でボランティアを連想させるような表現というのはいかがなものかなと感じました。
 先ほど佐藤委員から、公共図書館についても触れた方がいいのではないか、また、事実上、公共図書館の方が今の学校図書館よりは使い勝手がいいという趣旨の御発言があったかと思います。確かに現状ではそうなっている面もありますが、実情におきましては、今、学校図書館は大変発展といいますか、発達しておりまして、一方においては、一部の公共図書館を凌駕するような学校図書館も、蔵書面も、人の面も、利用の面もありますし、反対に鳴かず飛ばずのところもあります。いわゆる格差がどんどん開いております。格差があるということは分かるんですけれども、学習指導要領はその発展のためのものですので、公共図書館については、「学校図書館と連携して」という表現が最もよろしいのではないかなと思います。
 以上、長くなりましたけれども、是非、こういう付け加えのことも入れていただくと有り難いなと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
   藤森さん、お願いします。

【藤森委員】
 1点、8ページから9ページにかけての必履修科目について、若干、語弊のある表現をお許しいただきながら、簡潔に申し上げます。
 これまで十分な議論は、私自身がきちんと申し上げられなかったという反省をしているんですけれども、私の理解では、現代の国語は、日々の生活に生きて働く実践的な側面としての国語の学びであり、それから、言語文化は、高校生として最低限求められる教養としての科目である。その方法知と教養知の2つが掛け合いになって成長させていく科目だと思っているんですね。
 ところが、ちょっと、語弊をお許しください。9ページの言語文化の文章を読みますと、私は、パワーアップ版の古典教科書を作れという印象を受けます。実際に、(別紙2)で、知識・技能の中では伝「統的な言語文化に関する理解」とあって、一方、学びに向かう力、人間性等では、「我が国の言語文化を」とありますので、そこを盛り込んでここに書かれていると思うんですが、例えば、現行の現代文A、それから古典Aの学習指導要領の内容を見ますと、我が国と外国の文化あるいは我が国と中国の文化というふうに、国際化のグローバル化が非常に進んでいく中で、各国の文化とどういうふうに関わりがあるのかというこの視点が既にあるにも関わらず、この文章にその含み合いが見えないんですね。
 さらに言うならば、これだと、あたかも古典からの連続性がなければ、言語文化といえないような印象を私は受けます。例えば、新たに生まれた、「サブカル」と言われるかもしれませんけれども、新しいカルチャーとしての言語文化というのも当然視野に入れるべきであって、それらを含んだ内容知、教養知としての言語文化の総体が、ここで求められるべきものではないかなと思うんです。
 学習指導要領の解説を見ましても、基本的に、例えば小学校学習指導要領改訂の28ページに言語文化の説明がありますけれども、そこでは、決して古典に傾斜した文化であると言っていないんですね。その意味で、この部分の記述は、このままだと、恐らくマスメディアは、パワーアップ古典の教科書ができるんだなという印象をきっと受けられるんじゃないかなという懸念を申し上げておきたいと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 では、中村委員、お願いします。

【中村委員】
 14ページに関して、2点、簡潔に申し上げます。
 1点目は(3)教材の在り方についてですが、国語は、やはり教科書に授業が依存したり、あるいは実際、児童生徒が手に取ることが非常に大きい教科であると思いますので、より言語活動を充実していくという方向が実際の授業で実現していくように、教科書における教材提示の在り方や、あるいはそこで言語活動が複数選択できたり、あるいは様々な資質、能力を教師が指導に応じて選べるような形の教材のありようということ、使いこなせるような教科書というんでしょうか、そういう側面が1つ必要かと思います。
 それは条件整備の2点目に関わるかもしれませんが、7ページから8ページに関して、今回、評価観点が変更になるということ、あるいは12ページからの「アクティブ・ラーニング」の3つの視点による学習過程の充実を通して、この3つの資質、能力を高めていくという、この3掛ける3の視点で授業を創っていくというのは、学習指導過程の大きな変更といいますか、変わり目になろうかと思います。そうすると、評価も変わるということは目標も変わるということになりますので、国語の授業を創っていく、学習指導案の書き方から教員養成まで含めて、大きな変更になると思いますので、必要な条件整備等についての白丸の2つ目に「高等学校の科目編成の見直しに関して」とありますが、これと同じように、やはり小、中学校を含めた国語の授業、今回描いているこの方針が実際の授業の中で具体化していくためには、この白丸にありますような、様々な条件整備が必要だということが入ってもいいんじゃないかと思います。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 北村委員、お願いします。

【北村委員】
 教材の話がいろいろ出ておりまして、韻文という話もございましたけれど、短歌、俳句、非常に扱われることが少なくなっております。非常におもしろいのは、短歌、俳句なんかだと様々に解釈がされる教材等がありまして、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」ということからいいますと、従来、割と我々が扱ってきた教材なんかですと、指導書なんかで1つの正解を導かれるようなもの、そうではなくて、多様な解釈をも許すような教材というものも、この学びに関しては貴重なのではないか。
 芥川龍之介が子供の頃、海の絵を泥色に描いたら、海は青いんだと。僕が見たのはこれだったのにと。吉行理恵さんは、小学校の授業で先生が「上品な色は何ですか」と聞いて、「灰色です」と答えたら、「ネズミの色ですよ」と言われて教室中が笑ったと。2人とも深い傷になったんですね。先生がそういうふうにということを考えていくと、質問する力や判断力というのは生徒以上に教員に求められてきて、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」をやっていくということは非常に難しいことかと思うんですが、そういう中で、教材なんかにも、ある意味、率先的に、具体例は挙げられますが、それを挙げていくと大変な時間になっちゃいますから言いませんが、非常におもしろい、様々な別解のあるような教材なんかも取り上げるということは、このような学びの有益な教材になるかと思います。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 では、野秋委員、お願いします。

【野秋委員】
 10ページ、(読書活動の充実)の2つ目の丸です。小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある、これを伸ばしたりする、指導の改善・充実をしていくために読書活用の充実を図る必要がある、これについては、そのとおりであると思います。
 加えて、学力差に大きく影響していると指摘してくださっている語彙量を増やしたり、語彙力を伸ばしたりする指導の改善、充実のための教材の在り方について記述があると、有り難いと思いました。実際に、小学校低学年といわず、入学時における語彙の違いというのが、その後の学校生活、学力というものにいく前の学校生活そのものに影響しているなということを実感しています。幼児教育において育む資質、能力というところにも、言葉の使い方とか、言葉で表現することの楽しさということが書かれておりますので、それを受けて、小学校の低学年ではどのような指導が必要なのか、そのための教材はどのようにあるべきかということが盛り込まれるといいのではないかと思いました。
 もう1点、特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実という欄が11ページからございます。これについては、学校現場では、特別な配慮の必要な児童、生徒が通常の学級の中で学んでいるという実態を考えたときに、その児童、生徒も含めた充実した指導が行われるためには、我々教員がこうした配慮の例をきちんと学んでいくといった意味でも、こういった記載というのは非常に重要であると思いました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 では続いて、井田委員、お願いします。

【井田委員】
 感想と提案を申し上げます。
 感想ということでは、私、国語の勉強をちゃんとしてこなかったせいなのでしょうが、正直申し上げて、この取りまとめは、理解するのが物すごく難しいです。アナウンサーという職業柄、声に出して読んで、聞いてもらって、理解、お伝えしたいなと思いますけど、これをテレビで読んで、チャンネルを変えられずにいられるだろうか、そういうふうに読めるだろうかと思うと、大変ハードルの高いものを感じております。もちろん、基本方針ですから、厳密に、しっかりとしたものをということでこうなっているんでしょうけれども、例えば、中学生、高校生に、君たちはこういう方針の下に教育を受けているんだよと説明できる、かみ砕いたものが、これを基に作れるだろうか、話し言葉にできるだろうかという点で、本当にここにいらっしゃる先生方のお知恵をお借りしたいと思うくらいです。
 その中で1つ思いましたことは、9ページにあります高校の科目の(仮)の名前ですが、私は必履修科目の仮称である「言語文化」と「現代の国語」、これよりも、選択科目の「論理国語」、「文学国語」、「国語表現」の方が分かりやすくて好きです。この選択科目3つで大体網羅できるんじゃないかなという直感的なものを感じておりますので、こっちの方が受けはいいんじゃないかなという感想を述べさせていただきます。
 もう1つ、提案といたしまして、これも提案になっていない提案かもしれませんが、14ページの5.必要な条件整備等について、もちろん小、中、高の中を固めるということが大事だと思うんですけれども、このところ、若いアナウンサー連中と学校での国語の話などをするんですが、みんな、大体、「漢文は高校1年生の1週間目ぐらいで捨てた」と言うんですね。なぜか。大学受験と余り関係がないから。結局、大学受験で何が出て、何が評価されるのかということが、高校生の学びの意欲というんでしょうか、必要ですね。限られた時間の中で何を学んでいくかというとときに、好きとか楽しいというよりも、大学受験にこれは要るぞというのも1つの大きな動機付けになるということですね。そういう意味では、条件整備というのは大学入試ということを含めて考えた方が、実際の学習効果というんでしょうか、学力は上がるのかなと、非常に世知辛く、現実的で、身もふたもない提案を申し上げます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 荒瀬委員、お願いします。

【荒瀬委員】
 ほかのところとも関わるような中身なので、是非御検討頂きたいと思いますが、最初に御説明いただいた資料1の終わりから3枚目のところに、「アクティブ・ラーニング」の視点の検討が進んでいて、こういった形で整理できるのではないかということが大変分かりやすく書かれています。
 それと関わった部分が、今のまとめの13ページのところに3つの視点を重ね合わせて書いてあるわけですが、もともとの「アクティブ・ラーニング」の視点、昨年の論点整理の時点では、「深い学び」について、「問題発見、解決を念頭に置いた深い学びの過程」という表現がしてありまして、それが教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせてということで、その中に「深い学び」の意見、内容が、とりわけ問題発見、解決ということが含まれていると私は読んでいます。それで間違いないかどうかというのは、ちょっとよく分からないんですけれども。
 さっき、井田委員がおっしゃった大学入試との関わりというので、ちょっと意味が異なりますけれども、高大接続システム改革会議がこの3月にまとめた最終報告の中でも、なぜ、高大接続改革が必要なのかという議論の中で、これまでは、整理された形で問題が提示されて、それに対して早く正確に答えるという能力が専ら必要であった。そういう表現ではありませんでしたけれども。ところが、これからの社会を生きていこうと思うと、まず、問題を発見して、それを解決するための課題として設定していくという、まさに問題発見、課題設定の能力、そして解決していく能力が必要だというときに、この「深い学び」というのが問題発見、解決というこのプロセスを非常に重視しているという点で、私は非常に意味があると思っています。それが今回──今回といいますか、今、議論の中で、このような形で、それを含めた内容となっていると思うのですが、13ページに書かれたローマ数字の小文字の1の部分で、これは「深い学び」になりますけれども、この「深い学び」の説明の4行目のところで、「その際、子供自身が、自分の思考の過程をたどり」というあたりに、問題に気付いて──例えば問題といいましても、詩を読んでいて、詩にはリズムがあるなどと授業で聞いたけれども、一体、この散文詩にはどんなリズムがあるんだろうか──散文詩といいますか、現代詩にはどんなリズムがあるのだろうかなどというようなことを考えていくと、あっ、こういうことがリズムなのかなということで気付いたことを言葉にするというのは、非常に大切なことではないかと私は思っております。そういったところをこのまとめの中に書く必要があるのかどうかというのは分からないんですけれども、意識されているのは、「自分の思考の過程をたどり」という部分なのかなと思うのですが、もしそうであるならば、ここのところはもう少し強調して書いていった方がよいのではないだろうかと思いますというのが1点と、あと、同じことで、「アクティブ・ラーニング」の視点の点で、ローマ数字の2とローマ数字の小文字の3が並んでいますが、とりわけローマ数字の2の方は、ここに書かれた「アクティブ・ラーニング」の視点が2行で書いてあって、その後の3行は、失礼な言い方ですが、この2行をただ言い換えただけになっていはしないかなと。ここのところ、やっぱり、国語科において、「対話的な学び」というのはどういうものなのかということをもう少し書き込む必要があるだろう、あるいはまた、3ですが、国語科においての「自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら」と、これは非常にすばらしいことだと思うんですが、ところが、それが実社会や実生活との関わりを重視した学習課題を設定することなどが考えられるというだけでは十分に現場に伝わりにくい。とりわけ現場どころか社会に開かれた教育課程にしていこうということであるならば、ここのところはもう少し書き込むべきではないかと思いました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 時間も迫ってまいりましたけど、酒井委員、お願いします。

【酒井委員】
 14ページの3つ目の点なんですが、「ミックスされているものが多い」という、映像表現とかそういうことのようなんですけど、どうもポイントがよく分からなくて、文字と映像がダブっているのも要するにダブりなわけであって、それで結論を「適宜、多様なメディア表現を扱うことが重要である」と、多分、現場は困惑すると思うんですね。ですから、むしろ大事なことを申し上げるので整理していただきたいと思うんですが、それから、まず、映像、音声の順番を変えていただいて、文字が1番目で、2番目が音声、3番目が映像です。この理由は、情報量の段階があるからです。ですから、最初の「ミックスされているものが多い」というところをやめて、「子供たちが実際の社会生活で経験する言葉は」まで同じですが、「文字・音声・映像という情報量の段階がある」ということです。それだけで十分、多様な表現になっているわけです。
 結論としては、「発達段階に応じて」以降ですけれども、「想像力を豊かにするための手法を考えることが重要である」。つまり、言葉というのは確かにいろいろな表現が可能なわけですが、映像の中にもちろん音声も入ると思いますが、どう使うかというところが大切なのです。ですから、このもともとの表現では、ただ、多様なメディア表現を与えていれば楽しいだろうということになってしまって、そうではないわけです。もし、言葉を足していただけるなら、なぜ想像力を豊かにするためにその使用法を考える必要があるかというと、むしろ文字しかないという限定された入力から、我々は、一体この人はどういう心持ちでそういうふうに表現したんだろうということを想像するわけですね。それを補って、初めて行間の読みができるわけです。ただ、それを音声化すると、大分、心情が入りますので、情報が増えます。当然、映像を見れば、さらに、その人がどういう服装をして、情景も全て表現されるために、ほとんど想像力の余地がないくらい、はっきりしてしまうわけです。ですから、何でも情報が多ければよいのではなくて、むしろ情報を限ったからこそ文字や音声のメディアが意味を持つので、そこら辺の教材の在り方ということを、やっぱり、きちっと提示することが大切かなと思いました。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 今の酒井先生のところで、やっぱり注意すべきは、我々は言語による情報の伝達をするということですよね。絵画の資料も、これも言語による伝達を助けるためならいいけれども、絵を見て、分かったということでは、美術の時間になります。それから、映像に余りにも寄り掛かったら、言葉の指導にはならないというのが14ページのここに表れています。
 よろしいでしょうか。ここでの御意見の発表はこれまでとします。追加の御意見がありましたら、事務局にお知らせ頂ければ有り難いと思います。きょう、論点を頂いたところを生かした文案を次回また議論していただくということであります。 本日予定された議題はここまでですので、終わりといたします。
 最後に、次回以降の日程について、事務局から説明をしていただきます。お願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 次回の日程につきましては、5月31日、火曜日、15時から17時、場所はここ、3F1特別会議室です。また、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えております。ファクスまたメール、郵送でも結構です。なお、本日の配付資料は、机上に置いておいていただければ、後ほど郵送いたします。
 以上です。

【北原主査】
 それでは、本日の国語ワーキンググループは、これにて閉会といたします。御協力ありがとうございました。

―了―

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初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

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