教育課程部会 国語ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成28年1月19日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【北原主査】
 おはようございます。定刻になりましたので、始めたいと思います。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語ワーキンググループでございます。第3回になります。
 御出席、ありがとうございました。
 まず最初に、事務局から配付資料について、確認をお願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から6、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中にはワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や関係資料等をデータで入れております。詳細は、次第の裏面の目次等ごらんください。
 また、本日は、国語ワーキング第2回の主な意見を配付しておりますが、昨日、メールで同じものを送付いたしておりますので、期限までに御確認ください。
 以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 これから議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等について、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただくこととともに、第6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。議事の公開と議事録の公開、御了承いただきたいと思います。
 なお、本日は報道関係者から会議の撮影及び録音の申し出があります。これを許可しておりますので、御承知ください。
 それでは、本日は、資料1から5についての意見交換を行いたいと思います。前回、高等学校の科目構成について議論するということをお伝えしておきましたけれども、国語科で育成すべき資質・能力について前回の議論だけでは十分ではなかったということですので、事務局と相談しまして、本日議論をいたしまして、共通理解を得た上で、高等学校の科目構成の議論に進むことといたしました。
 本日の議事の流れとしましては、ほかの部会の議論の状況を説明いただいた後で、資料1、2、それから資料3、4、そして資料5の順で意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、事務局から資料に基づき説明をいただいた後に、皆さんで自由討議を行いたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたしますが、まず初めに、教育課程部会の総則・評価特別部会というのがございまして、そこにおける審議の状況の報告をいただきまして、その後に本日意見交換を行う資料1から4について説明をお願いすることにします。大杉室長、お願いします。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。それでは、お手元に資料6を御用意いただければと思います。クリップ止めを外していただきますと、後ろに資料を幾つかつけてございますけれども、大きく四つございます。一つは特別支援教育、それから、情報に関わる資質・能力、それから、健康・安全に関わる資質・能力、それから、言語に関わる資質・能力でございます。今回、全ての教科におきまして、これらを御紹介させていただいております。
 社会に開かれた教育課程という観点から、横のつながりということもしっかり図っていく必要があるということで、こういった御説明をさせていただき、いずれの資質・能力におきましても国語による理解力、表現力ということは全ての基盤になるということもございますので、こうしたことも踏まえながら御検討をいただければというふうに思っているところでございます。
 それでは、資料6の表紙を外していただきますと、特別支援教育部会における検討事項、右肩に12月22日、資料2-1という枠囲みがあるものでございます。これは主に特別支援教育部会においてこれまで御検討いただいた成果をまとめさせていただいたものでございます。特別支援教育部会におきましては、特別支援学校における教育の改善ということのみならず、幼稚園、小学校、中学校、高等学校における各教科における様々な配慮事項ということも検討されてきたところでございます。特にことし4月からは障害者差別解消法が施行になるということで、教育現場におきましても様々な合理的配慮の提供ということが求められるということを教育現場でもしっかりと共有していく必要があるという観点でございます。
 1枚おめくりいただきますと、「特別支援教育部会における検討状況(第4回まで)」というペーパーがございます。マル1の各教科については後ほど少し御説明をさせていただきます。マル2、マル3、マル4、マル5、これは主に総則に関わる事項でありますけれども、例えば通級による指導や特別支援学級における様々な教育課程編成方針等、これにつきましては、これまで学習指導要領の記載内容と省令あるいは告示の記載内容がある意味少しすみ分けをされていたというようなこともございまして、指導要領を見ただけではなかなか全体像が捉えにくいというような課題もあったところでございます。今回これを改めまして、指導要領の総則におきまして通級による指導の目的や構造、配慮事項、特別支援学級における編成方針等も具体的に示すというような方向性が示されているところでございます。
 また、マル3にございますような障害者差別解消法の施行に伴う教育現場でも求められる合理的配慮ということにつきましても、4ページにございますように、総則等においてその基本的な考え方や必要な合理的配慮の提供について記述するという方向性でございます。
 あわせて特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の在り方、5ページにございますような共生社会の実現に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実ということに関しましても、記載を充実するという方向性でございます。
 このような方向性の中で、各教科も含めた検討の方向性でございますけれども、同じ資料の18ページをごらんいただければというふうに存じます。18ページ、カラー刷りの資料でございますけれども、おめくりいただきまして、18ページの上の段のところでございます。各教科等における障害に応じた配慮事項について検討例とございますように、これまでは総則のみにおいて、障害別の配慮の例を示してきたところでございます。インクルーシブ社会の実現というような今後の方向性も踏まえまして、改善の方向性というところにございますように、総則に加えて、各教科等別に、また、障害別の配慮のみならず学習の課程で考えられる困難さごとに、こういった配慮事項を示してはどうかという方向性でございます。
 具体的には次の19ページ目の上の段にございますように、これは小学校の例につきまして、国語の先生と特別支援教育の専門家と御相談しながらまとめさせていただいたものでございますけれども、困難さの状況、赤字の部分、例えば文章を目で追いながら音読することが困難な場合に対する配慮の意図、自分がどこを読むのかが分かるようという意図を持って、青字にございますような手だてを講じていく。こうしたことを指導要領本体及び解説、併せて示していくということを全ての教科で是非御検討いただきたいということでございます。
 本日は小学校の例のみをお示ししておりますけれども、今後順次、様々な専門家の御協力を得ながら、中学校、高等学校についても整理をさせていただく予定でございます。
 続きまして、情報に関わる資質・能力についてでございます。次の資料の束でございますけれども、右肩に1月18日、資料2-1という枠囲みのある資料をごらんいただければというふうに存じます。
 今後の社会においては、子供たちが情報を主体的に収集等しながら、様々な課題に必要な解決を図っていく。そのために情報に関わる資質・能力というものは極めて重要になってくるという観点から、教科横断的にこういった力を向上させていく方向性を考えていく必要があるということでございます。
 大きく二つございまして、一つは各教科で御検討いただいている学習活動、そのプロセスの中で積極的に、前回改定でも積極的にということでございましたけれども、より積極的にICTを活用していけないかということでございます。二つ目は、これまで情報活用能力と言われておりましたけれども、情報や情報技術を使いこなす力を各教科の教育を通じて向上させていきたいということでございます。
 1枚おめくりいただきますと、一つ目の学習の課程においてICTをより積極的に活用するということについてでございます。ICT活用の特性、強みということを、主に情報ワーキンググループにおいておまとめをいただきました。一つには多様で大量の情報を収集、整理・分析、まとめ表現することなどが容易であるということ。二つ目は時間や空間を問わずに、音声・画像・データ等を蓄積・送受信できるという様々な時間的・空間的制約を超えるということができるということ。また、距離に関わりなく、相互に情報の発信・受信ができるという双方向性を有するということ。こうしたICTの特性・強みということを下にございますようなアクティブ・ラーニングの視点に立った学びの実現、個々の能力や特性に応じた学びの実現、地理的環境に左右されない教育の質の確保、こういったことに生かしていきたいということでございます。
 3ページ目には、例えば理科の例がございますけれども、理科の問題発見、解決のプロセス、現象の中に問いを見いだし、仮説を立て、観察、実験を行い、振り返って次の学びにつなげる。こういったプロセスの中でICTを効果的に活用することによって学びも深まり、情報活用能力の育成にもつながるのではないかということ。
 4ページ目をごらんいただきますと、少し効果的活用の例ということで整理をいただいておりますけれども、例えば対話的な学びの実現という観点からは、他校の子供たち、外国の子供たちとの交流やチームでの協働の意見の整理やプレゼンテーション、協働制作、深い学びということでは、課題を把握しやすくしたり、シミュレーションの活用、データ分析、様々な調べ学習、主体的な学びの実現ということでは、記録を活用して自らの学びを振り返る、あるいは個に応じた学習、遠隔教育などなど、こうしたことによりICTを積極的に活用していただきたい。こうしたことも踏まえながら、国語ワーキングにおいても今後学習課程の在り方を御議論いただく際に併せてICTの活用についても御議論をいただければということでございます。
 5ページ目からは資質・能力でございます。これまで情報活用能力という形で整理されております情報活用の実践力、科学的な理解、参画する態度という、小さい字で恐縮ですけれども、上の枠にございますものを、今回論点整理の三つの柱に沿って整理をし直したものが5ページの下の1、2、3というところでございます。
 例えば情報を活用して問題を解決したり、考えを形成したりする過程や方法、様々な情報手段の特性についての理解、情報の特性の理解などが個別の知識・技能というところに当たるものであり、また、2段目にございます情報を活用して自らの考えを形成したり、人間関係の形成を行ったりする能力ということが思考力・判断力・表現力として整理される力であったり、あるいは情報を多角的、多面的に吟味し、その価値を見極めていこうとする情意や態度等が学びに向かう力、人間性に対応するものであったりということで、6ページ目の図にございますように、これまで情報教育の三つの観点から整理されてきた情報活用能力を論点整理の三つの柱に沿って整理し直したものが5ページ目の表になるものでございます。
 これらを小中高の発達段階に応じて、7ページにございますような段階を追って育成していくということでございまして、例えば小学校をごらんいただきますと、様々な問題の発見・解決の学習を経験しながら、そこに情報や情報手段が活用されていることや、身近な生活と社会の情報化との関係等を学び、情報や情報手段によさや課題があることに気付くとともに、情報手段の基本的な操作ができるようにするなどという力を小学校段階から、そして、中高と順を追って育んでいくということ。その中で社会との連携ということも重要であるというおまとめをいただいております。
 そして8ページ目からは、こうした情報に関わる資質・能力、全ての評価に関わるものですので、特にこういった点から検討をお願いしたいというイメージでございます。何か新たなものをお願いするというよりは、今御検討いただいている方向性を情報という観点から捉え直すとこういうことになるということ。一方で、各教科における検討も、こうした情報に関わる資質・能力につながっていくのだということの観点から是非御議論をいただければということでございます。
 総則におきましては、教育課程全体を通じて情報に関わる資質・能力を発達の段階に応じて育成することができるよう各教科の特性に応じた指導内容の充実を図るとともに、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動においてICTを効果的に活用した学習が行われるようにすることということでございます。
 特に小学校段階において情報手段の基本的な操作をできるようにしていけるということが、今まさに例えば大学入試においてコンピューターベースの入試ということも議論されている中で、ますます必要になっていくということでございます。前回改訂におきましても国語におきまして、例えばローマ字の指導については情報機器の活用等との関連を考慮しながら、従来の4学年から3学年に移行するというような見直しも既に行っていただいたところでございますけれども、そうした関係性をより見えやすくするということで、例えば国語におけるローマ字学習、総合的な学習の時間において、様々な教科横断的な学び方を身に付けるということ。社会科において、様々な資料の収集などの活動を行うということ。算数における図形やグラフの作成、理科における実験、仮説の記録、こういった各教科の学びとも関連させながら、こういった情報手段の基本的な操作をできるようにしていくということをカリキュラム・マネジメントの中で明確にすることということでございます。
 そして、国語につきましては、現在も既に資質・能力の議論の中で御議論いただいておりますけれども、様々なメディアによって表現された情報を理解したり、様々なメディアを用いて表現したりするために、信頼性、妥当性なども含め、情報を多角的に吟味して構造化する力、メディアの特徴や効果を理解して活用する力を育成すること。出典の明示など情報を引用する際に必要な決まりを身に付けること。ローマ字学習と先ほどの情報機器の関係性を関連付けること。アクティブ・ラーニングの視点に立って、ICTを効果的に活用していく方向性。検索の仕方や発表資料の作成など、情報収集や情報発信の手段としてICTを活用する機会を設けること。こういったことを既に御議論いただいている方向性でございますけれども、改めて情報に関わる資質能力の育成という観点からの重要性も踏まえて御議論いただければということでございます。
 続きまして、健康、安全に関わる育成すべき資質・能力ということでございます。次の固まりでございまして、資料3-1という枠囲みが付いているものでございます。これにつきましては、総則・評価部会におきまして、こういった健康、食育、安全に関わる資質・能力、総則におきまして教科横断的に育んでいくということにしておりますので、例えば9ページをごらんいただければと思いますけれども、安全に関わる教育ということを保健体育、特別活動、社会科、理科などの様々な学習をしっかりと関連付けながら実施していくということ。同様に17ページの上の段でございますけれども、食育につきましても様々な教科の関連性を図りながら実施していくということ。それから、健康に関しましても23ページ目の上の段、スライドの22というところでございますけれども、個別指導も含めた様々な教科の関連性の中で実施されるということ。こういった構造を今後分かりやすく示していくというようなことでございます。
 続きまして、最後の束でございます。言語に関する資質・能力でございます。今国語でも御検討いただいておりますような三つの柱ということを踏まえながら、言語に関する資質能力についても御検討をいただいているところでございます。個別の知識、技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性等、国語で御議論いただいている方向性と、それに沿うような形になってございますけれども、そういったような、ごらんのような三つの柱において御議論をいただいており、また、1枚おめくりいただきますと、資質・能力の要素ということで、テクスト・情報の理解、文章や発話による表現、これが構造と内容の把握、吟味と解釈、考えの形成、下の段に行きまして、テーマの設定、内容の検討、考えの整理、構成、表現形式の検討、表現というようなそれぞれの要素の中で黄色の枠囲みのような資質・能力の要素が働いているというような構造を整理いただいたものでございます。
 1枚おめくりいただきますと、「言語能力について」というような整理メモをお作りいただいてございます。これは繰り返しになりますけれども、教科構造云々というような議論ではなく、今後、校種別の議論も開始される中で、資質・能力、様々ございますけれども、その中で言語というものの役割というのがかなり重要であるという観点からお示しをいただいているものでございます。そういった意味では、今後、むしろ国語教育の重要性を議論していくというようなことに、そういった後押しする議論につなげていく、そういったものになるのではないかと考えているところでございます。
 言語能力について整理をいただいております。言語能力とは何かというところについては、文化審議会の国語力答申でありますとか、言語力に関する報告なども踏まえながら、創造的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、こういった側面から今後整理していくというような方向性でございまして、本国語ワーキングで御議論いただいていることともかなり沿ってくるということになってくると考えております。
 また、下には資質・能力の育成と言語能力との関係についてということで、子供が発達の段階の中で言語に関する力を獲得していくということの中で、子供の学習や生涯にわたる生活の中で言語が極めて重要な役割を果たしているということ。1ページ目から2ページ目にかけては資質・能力の三つの柱、これらを獲得していくということの中でも言語というものは欠かすことのできない極めて重要な役割、学校における学びの質を左右する重要な課題であるということでございます。
 また、ここのペーパーにはまだ整理しておりませんけれども、御意見の中ではやはり母語ということで思考を行うということが基盤になってくるという意味での国語教育の重要性、あるいは外国語教育というものを行うことの中で、客観的に国語の働きや仕組みを捉えていくというようなことの相互の関連性というようなことも御意見を頂いているところでございます。
 2ページ目はコミュニケーション能力との関係。文部科学省では、コミュニケーション能力をいろいろな価値観や背景を持つ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない課題について、対話して情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成、課題解決する能力と定義されておりますけれども、こういった観点からは1枚目でごらんいただいたような三つの側面、それぞれ全てが重要になってくるということ。一方で、言語以外の非言語による伝達手段ということも重要になってくるということ。3ページ目にありますように、そういった観点からは例えばイメージ、音、身体というような言語以外の様々な手段ということを豊かにしていく。それが言語能力とも相互に関連してくるということで、国語教育、外国語教育はもちろんのこと、芸術教育や体育の充実ということも極めて重要であるということ。また、こうした言語能力の育成のために前回改訂で重視されました言語活動、あるいは体験活動ということをアクティブ・ラーニングの視点からの授業の改善の中で充実を図っていくことは引き続き重要であるというような整理もされているところでございます。
 以上、大変長くなりましたけれども、各ワーキング等における議論の状況を紹介させていただいております。この後、言語に御参加いただいている先生からも少し補足の発言をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【北原主査】
 ありがとうございました。

【高木(展)主査代理】
 ちょっと今の御報告について。

【北原主査】
 じゃ、補足をお願いします。

【高木(展)主査代理】
 今、大杉室長さんからも話がございました。言語に関する特別チームに出ている者として、少し屋上屋を重ねるような点もありますが、発言をいたします。
 今も御説明がありましたけれども、言語能力の向上に関しての特別チームでは、少し言語を大きな側面から捉えまして、認知や思考の側面、それから、言語能力の議論をしてきております。日本語教育の方や外国語教育、英語教育の方、それから私ども国語教育の者も入っておりまして、国語教育と掛け離れた議論をしているわけではないということをまず、この部会の委員の方々に御理解をいただきたいなというふうに思っています。それぞれの言語教育、例えば私の立場で言えば国語教育に必要なものは何か。さらに国語教育に資することはどういう観点から考えていくか。そういった議論や発言をしてきているということを是非御理解いただきたいなと思っております。きょうの国語ワーキングの議論の中でもここに出てきたことを次の言語チームにつなぎ、さらにそこでの議論もしていって、国語教育の内容も特別チームの方で御理解いただきたいなというふうに思っておりまして、ある意味でキャッチボールしながら、国語教育の在り方を全体的な検討の場に上げて考えていく、そういうことをしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 それでは、いよいよ資料1から4についての御説明をいただけますか。お願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、本日の議論いただく資料でございます。資料1から4を、お願いいたします。資料の大きさがまちまちになっておりますが、資料1がA4で、資料2がA3になります。これ、折っておりますが。資料3がA4でございまして、また、資料4についてもA3の大きさになっております。先ほど主査からもお話がありましたように、高等学校の科目構成の議論という話もありましたが、今回、小中高等学校を通じて、国語科においてどのような資質・能力が必要になるかということにつきまして、新科目の検討前にさらに議論が必要ではないかということもございまして、今回議論いたしたいというふうに思っております。
 まず、資料1と2について御説明させていただきます。前回の御議論や先ほどの言語能力の向上に関する特別チームにおける議論を踏まえて修正したものが資料1と2になっております。資料1についてでございます。前回三つの柱で議論いただいたところですが、今回資料1につきましては、特に思考力・判断力・表現力等の部分で三つの側面という部分で整理をし直させていただきました。創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、また、感性・情緒の側面、また、他者とのコミュニケーションの側面ということで、テクスト・情報を理解する力、文章や発話により表現する力ということをその三つの側面に分けたということと、あと、その下に考えを形成する力ということで記載させていただいております。一応、こういった整理で今回出させていただいております。
 これらを受けまして、資料2についてでございます。A3の資料になります。前回、国語科における学習プロセスということで御意見を頂いたところでございますが、前回のプロセスにつきましては、実際に授業で使われる学習要素ではないかといった意見や学習指導要領の実際の内容を表しているのではないかといった意見も頂きまして、今回「国語科における学習活動の要素(イメージ案)」ということで表題を付けさせていただいております。それぞれ話すこと・聞くこと、書くこと、読むことの3領域それぞれの要素を整理しまして、前回それぞれの段階で思考・判断、どのように働いているのかといった検討も必要であるといった意見や、知識・技能などが3領域における位置付けの中に見えるようにした方がよいといった意見など、また言語能力の特別チームの意見、議論等も受けつつ、資料1の国語科で育成すべき資質・能力の個別の知識や技能、思考力・判断力・表現等にある要素が、資料2の特に黄色い部分に入っています。その黄色い部分の要素とそれぞれの領域の要素とつなぐ形で、中身が見えるような形にしているという学習活動の要素の資料ということになっております。
 これらの要素につきましては、なぜこのようなものをという話になってくると思うんですが、ちょっと今回の机上資料、タブレットの下にA3の資料がございます。こちらは現行の学習指導要領の系統表になっております。一番上に小中高等学校の目標が入っておりまして、特に、向かって一番左側に要素がありまして、その右側の方に実際の指導要領の内容ということになっております。特に一番左の要素の部分でございますが、2枚目の書くことですね。書くことの一番左側になりますが、左側の要素がございます。課題設定や取材、構成、記述、推敲、交流といった要素があります。現行でもこういった整理はなされておるところでございますが、今回、次期の改訂を見据えまして、また、こういった学習活動の要素を基に整理していきたいということで、今の作業を進めております。是非こちらについても前回から直したものとして意見を頂ければというふうに思っております。
 続いて、資料1、2に続きまして、資料3、4について説明させていただきます。資料3につきましては、国語科で育成すべき資質・能力につきまして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校ということで、発達段階ごとに整理したものが資料3になっております。資料3につきましては、それぞれ幼児教育から始まりまして、小学校、中学校、高等学校というふうになっております。特に小学校、中学校、高等学校という部分になりますが、1、2、3の整理の部分でございます。それぞれ学校段階のマル1につきましては、今の各学校種の目標の一部を引用というか、記載しております。目標につきましては先ほどの系統表の上に記載しております。
 マル2につきましては、先ほどのというか、こちらは資料4の方になりますが、資料4の思考力・判断力・表現力等の要素を入れて作っております。マル3につきましては個別の知識や技能の一部ということで、資料4の左の部分、個別の知識や技能の部分を、一部を引用しているという形になっております。
 済みません。いろいろ飛んでしまったんですが、資料3はそのような考え方で作っておりまして、特に資料4を参考に、今回、資料3を作ったということになっております。資料4につきましては、先ほどの資料1がございます。資料1を各小中高等学校の中身を具体に記載した表が資料4になっております。それぞれ要素の下に色で分けております。赤い字が小学校、緑色が中学校、青い字が高等学校という形になっております。傍聴の方の資料につきましては白黒でございますので、印で分けさせていただいております。このような具体にあくまで、今回、整理のために分けた資料でございまして、これらの要素を基に資料3を作成したというものでございます。
 特に、資料、事務局でこういった形で作成しておりますので、今回の議論の中で資料3につきまして特に議論いただければというふうに思っております。
 資料の説明については以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 資料1と2、3と4と説明していただきました。資料1は言語部会の資料と基本は同じですが、白い部分が我々が検討すべきところだろうと思うんですね。枠は、ずっとほかのところと共通している面がありますが。皆さん、私、今大杉さんの説明のときに思ったんですが、やはり「言語」と「国語」、あるいは「言葉」、それが出てきたところを十分押さえていかないと。我々は国語科のワーキンググループなんですが、国語しかなかった時代はよかったんですけど、言語と言おうが、言葉と言おうが、日本語と言おうが、みんな国語科でやるんですけれども、今度、言語能力なんていうと国語科とどういう関係があるのか。書いたものを読むときも「言葉」と「国語」と「言語」と、この言葉の何を表しているかということをしっかりと考えながらやっていかないと。これは大いに気を付けなきゃいけないだろうと思っております。例えば言語に関するという言語部会でやったところに「文の成分」なんていうのが出てきますけれども、英語では「文の成分」なんてあまり言わないんじゃないかな。フレーズという言葉はありますけれども、フレーズが文を構成するなんていう考え方もあまりないとか、そんなことも踏まえて気を付けなければいけないと思います。
 これから意見交換に入りたいと思います。まず、資料1と2についてですが、一応、最初、2をということでもないと思いますけれども、1と2を中心に御意見を頂きたいと思います。例によって、いつもそうですが、名札を立てていただきまして、そうしましたら私が指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。それから、発言のときにはここを押して、終わりましたら、また切ってということでお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【藤森委員】
 信州大の藤森でございます。
 資料1と2に関連しまして、大きく三つ申し上げます。
 まず1点目ですけれども、資料1でございます。資料1の学びに向かう力、人間性等のところでございますけれども、先ほど大杉さんから特別支援部会についての御報告がありました。ついこの間、全盲全聾の教授でいらっしゃる東大の福島智さんの、彼の対談記事を読みましたけれども、その中で、困難に出会ったときに思索して、言葉によってたくましく生きていく。それが何よりも大事だという言葉があったんですね。困難に出会っても、言葉によってそれをたくましく克服していく力。その文言が入ってくることでインクルーシブ教育としての側面がより強調されるのではないかと思いました。
 2点目。同じ枠の下から2番目に、我が国の言語文化に対する関心についての記述がございますけれども、言語に関する資質・能力の部会の答申にもありますように、異なる言語文化に対する関心や共感というこの要素も重要になってくるかと思います。この側面を含めるべきではないかというふうに思いました。
 最後にもう一点、今度資料2でございます。学習活動の要素を今回お示しいただきました。これはタイトル、見出しの問題ですけれども、話すこと・聞くことの話すこと、それから書くことの中に情報収集という枠がございます。ただ、この下部構造を見ていますと、単に集めるだけではなくて、集めたものを加工したり、それを自らもう一度評価したり、いろいろなものが入っております。そこには「情報の収集」のみならず編集、エディティングという要素が入っていると思いますので、できれば情報の収集・編集等、この文言はもう一度検討なさった方がいいんじゃないかなと思いました。
 以上3点です。

【北原主査】
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【島田委員】
 それでは、私も細かいことを幾つか申し上げたいと思います。まず資料1です。左側の個別の知識や技能の欄でありますけれども、一つ目の丸、二つ目のポチの中に言葉の位相というのが入っております。話し言葉、書き言葉、言葉の位相というふうに並んでおりますけれども、言葉の位相というのがまず上に来て、その例として書き言葉や話し言葉、あるいは敬語、あるいは若者言葉とか、そういったようなことになるのかなというふうにまず一つは思いました。
 もう一つ、そのポチの三つぐらい下でありますけれども、文と文の関係、それから段落と文章の関係というふうにございます。先ほどの指導要領の系統表等も見ていてちょっと思ったんですけれども、文と文の関係の次に段落と文章の関係が出てくるのは一つ飛んでいると。それは段落というのがどういうものなのかということが、これまで余り議論されていないというか、明確でなかったというところがありそうな気がします。国語における段落というのがどういうものなのか。いろいろな文章の中でも意味合いが違ってくるかもしれませんので、ある種の文章における段落とはいかなるものなのか。どのような条件を満たしていれば、それは段落と呼べるのか。構造、あるいは内容的にどういうときにそれが段落になるのかということがまずどこかに位置付けられていいように思いました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 ついでに言えば、文の成分と構造のところに僕は文の成分と文の構造。構成か構造か。構成がいいと思いますけれども。文の成分が文を構成することなので、ここに「文の」を入れた方がいいような気がいたします。
 ほかに。中村先生。

【中村委員】
 失礼します。細かいことですけれども、資料1の一番右側の学びに向かう力、人間性等の部分は、その下に情意、態度とありますので、全て文末が態度ということになりますけれども、ある部分、これは学びに向かう力というふうに上に大きい表題が出ているので、態度ではなくて、力的に捉えるという観点も必要なのかなというふうに思います。といいますのも、資料2の方に学びに向かう力の要素というのはなかなか位置付けが難しいかと思いますが、しかし、結局、話す・聞く、書く、読むの学習活動を通して、学びに向かう力を育てていかなくてはならないということになった場合に、もう少しどう整理したらいいかまだ考え途中なんですけれども、この部分がより力的な観点も含めて細分化されていくことで資料2の中に位置付いたり、また、後半議論になると思いますが、資料4のところの柱もやはり学びに向かう力の部分というのは、細かく分解できないというか、だから、小中高の分け方もできにくいと思うんですけれども、もう少しここを分解することによって今言ったようなことも可能になるかというふうに考えます。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 みんな文末が態度になっていますけど、そこについて。

【高木(展)主査代理】
 ちょっと今のところでよろしいですか。今、中村委員の発言の中で出てきていることで、これは前回も出てきたと思うんですが、論点整理の中の資料27のところですね。下に三角形の図がございます。今、たたき台は、まさにここの部分が出てきている。もう一つ、学校教育法30条2項の中で言われている基礎的・基本的な知識・技能の習得、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力と、もう一つ主体的に学習に取り組む態度というのがあります。この辺の関係を是非考えていただけると、どういったものが出てくるかというところが少し出てくるんじゃないかと思いますので、ほかの委員の方も是非そのあたりを視野に入れながら、その違いというのを是非教えていただけると大変ありがたいと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 そうですね。学びに向かう力、人間性等という、これはこのワーキンググループだけじゃない、いろいろなところとも関係しますが。
 いかがでしょうか。高木さん、お願いします。

【高木(ま)委員】
 これはちょっと質問にもなるかもしれないんですが、個別の知識や技能と思考力・判断力・表現力というところの境目は非常に難しいと思うんですが、そこの中で一番左の個別の知識や技能、つまり、何を知っているか、何ができるかの欄を見たときに、これは深い理由があるのかもしれませんけど、読み方に関することがここに出ていないというのがあって、もしかしたら情報活用の中に吸収されるのか、あるいは言葉の特徴やきまりのところに関わっているので出ていないのかもしれないんですが、例えば学力調査のA問題なんかでは、読み方に関するA問題というのがあるわけで、一定の知識、基本となる知識的な読み方みたいなものがあるものと想定されているんじゃないかなというふうに考えると、ここのところに読み方ということに関わって何かなくていいのだろうかということを思います。
 そのことを考えたときに、思考力・判断力・表現力、あるいは知っていること、できることでどう使うかというところに、読み方で持っている知識をどう使うかというふうに置き換えてこれを整理したときに、真ん中の列にある論理の吟味、構築とか、そういうあたりをもう少し分けられて整理できるのか、そのあたりの吟味をする必要があるのかなと思います。ただ、根本的に僕が言っていることが間違っていれば、ちょっと違うかもしれませんけれども、読み方に関する問題をこの中でどう扱うかというのが一つ大事なポイントじゃないかなと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。読み方を入れるべきだという。
 どうぞ。

【平野教育改革調整官】
 よろしいでしょうか。事務局から。今、御質問も頂いたと思いますので、事務局の方で作らせていただいた資料2の方をごらんいただけますでしょうか。一番下の読むことのところの構造と内容の把握というところから線を引かせていただいて、「言葉の特徴やきまりに関する理解と使い分け」ということで書かせていただいておりますけれども、読むときに使う技能的なものというのはこの部分でかなりカバーできているのではないかということで、あえて読むことに関する技術というような項立てはしなかったところでございますけれども、こういったものではカバーし切れない読むことに関する技能的なもの、あるいは知識的なものがあるとすれば、是非御意見を頂ければと思っております。

【北原主査】
 高木さん。

【高木(ま)委員】
 恐らくこのことを踏まえていらっしゃったんだろうなと思ってはいたんですが、例えば詳しくはないですけど、心理学ではスキーマ、既有知識のことをスキーマとして位置付けながら使っていくというのがあります。例えば主人公の気持ちを読むときにどういうところを根拠にするのかというのは、知識として積み上げていって、子供たちはその心情を読み取るようなことができていくようになっていく。多分、国語科って余り学習用語が明確じゃないところもあって、知識としての面が、特に読み方なんていうのは非常に曖昧で、表現だと、構成だとか、段落だとか、非常に分かりやすい言葉があるのでいいんですが、読むことに関してはそういうものが非常に曖昧なところがありますので、意識されにくいと思うんですが、実際はそういう知識を子供たちは文章に直面したときに賦活するというか、活性化させて読んでいくのではないかなというところがあって、かなり言葉のきまりはそれに近いものがあるんですけれども、その部分を知識としてためているんだということも意識する必要があるのではないかなと思っているので、ちょっとそういうふうに申し上げてみました。これで全てこれに解消されるのかどうか、ちゃんと考えなきゃいけないポイントなのかなというふうに僕は思いますけど。

【北原主査】
 思考したり、判断するときにもう一つ、味わうとか、感じるというのも特に文学作品なんかの方向に行くわけですけれども、味わうとか、感じるというのは何ができるか。言語によって味わうというようなものもちょっと読むことと関連するかもしれませんね。
 児玉さん。

【児玉委員】
 今の御議論と関連するんですけれども、ちょっと今の御議論、逆の立場から少し質問の形になるかもしれませんが、教えていただけたらと思っています。資料1の個別の知識や技能のところに、下から2番目に、「話合いや話し方・発表に関する知識・技能」というところを設けておられる。ここがあるがゆえに、じゃ、インプットの方はどうなるんだろう。読むことはどうなるんだろうというふうに見えてくるという面があるのではないかと思ったんです。これが逆に、上の言葉の特徴やきまりに関する理解や使い分けに収れんされない、別立てをしなければならない、何か特徴的なものというのはどういうものを想定しておられるのか。そのあたり、ちょっと御説明いただけるとありがたいなと思ったんですが、いかがでしょうか。

【北原主査】
 じゃ、事務局、お願いします。

【平野教育改革調整官】
 「話合いや話し方・発表に関する知識・技能」の中で想定されますのは、実際に話し合うような場面のお作法的なもの、ルール的なものというのは、多分言葉の特徴やきまりにはなかなか含みにくいだろうということで、外出しさせていただいたというものでございます。

【北原主査】
 よろしいですか。
 じゃ、横山先生。

【横山委員】
 横山です。幼児教育の立場から、ちょっと話が変わってしまうんですけれども、学びに向かう力の人間性の最後のところに読書というのがあります。幼児教育では絵本とか、物語を聞くということなんですけれども、絵本とか、物語を聞くときには、想像する楽しさを味わうということを目指していくんですね。想像するということは、思考力・判断力・表現力のところの中に入っているんですけれども、本の世界を想像してたくましく生きていく、困難を乗り越えていくというところにも想像する力が入ってくると思います。ですので、三つの柱に分類して分けるだけではなく、相互に関連するようなところも取り上げていただけるとよいと思います。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 じゃ、吉田先生。

【吉田委員】
 ちょっと戻してしまうかもしれないんですけれども、資料1と資料2に関連して二つ申し上げたいと思います。一つは、資料1の個別の知識や技能のところで先ほど来話題になっている丸が5ほどあるんですけれども、最初のところの丸はいいんですが、あとの書写から情報活用に関する知識・技能のところは、きょう御説明いただいた言語能力に関する特別チームの資料の中では、上のところの「言葉の特徴やきまりに関する理解と使い分け」というところに関してはそのまま、こちらの資料にも援用されているんですけれども、下の書写に関する知識・技能以下は、言語の特別部会では既有知識という形で一括されていて、こういう細かな分け方になっていないというところがありますね。私は、ここが迷いの跡であってみたり、苦しみの跡であってみたり、一緒に考えてみたりというぐあいにやっているところかなと思って。だから、そういう意味では、今、話題になっている書写以降の、とりわけ話合いや話し方、言語活動になっていって、じゃ、読み方はどうなの、あるいは書き方はどうなのというところがやっぱり出てくる可能性を持っていると思います。でも、このあたりはちょっと悩ましいところ。多分、ここのところに関しては、上の言葉の特徴やきまりというところは割合簡単に合意形成ができそうなんですけれども、下の書写以降、つまり、これは領域的なものでしょうか。このあたりはこれから先、みんなで考え合っていかなきゃいけない部分を残しているところかなというぐあいに思いました。
 これは大きな問題になるかも分からないんですけれども、国語科、あるいは言語、そういったものに対して知識、言語能力において知識とは何を指すのか。あるいは言語能力において基本というのは何を指すのか。基礎・基本というのはそんなに違わなきゃいけないのというところまで考えるべきなのか。私たちはこれまで基礎というところでは、言語知識だとか、言語要素だとか、言語事項だとか。だから、文字だとか、音声だとか、語句だとか、あるいは言語生活に関わる敬語法だとか、方言だとか、そういうことに対する知識。文字の中の漢字で言えば、漢字が読めたり書けたりという、漢字についての知識と漢字が実際に作文の中でどう使えるか。あるいは読むことの中でその漢字の知識がどのように使えるかというようなことで、多分知識と技能とを分けて考える考え方があったんじゃないかと思うんです。つまり、それは基礎というのと基本というのを分けて考えるというのに近くて、だから、基礎の部分は言語事項、言語要素、言語理解に関するものですよね。それに基本というときには読んだり、書けたり、聞いたり、話せたりという、いわゆる言語活動、言語行為のことを多分捉えて、分かりやすく考えようとしてきたんだと思うんです。学問的に言えば、それらは分けられないのかもしれませんが、国語教育の中では、いわゆる基礎に関わるもの、基本に関わるものというので、今のような知識の部分をどちらかというと基礎。活動だとか、行為だとか、できるというその部分を基本というふうに考えてきたと思うんですね。そこのところを考えると、知識や技能というところを一括して一つの中に含めて考えていこうとするところは、ちょっと困難で難しいところなのかな、その辺をどのようにクリアしていくのかというのが一つあるのかなというように思いました。
 だから、個別の知識や技能、あるいは思考力、判断力、表現力等というのは決まっていることですから、これについて、国語科の中ではこれをどう適用していくか。今のような知識というのと技能、とりわけ技能の方、何ができるかというところはかなりにおいて、真ん中の枠に近いというのか、そこを含んでいるというのか、この辺をどのようにクリアにしていくのかというのは一つ考えていかなきゃいけないところかなというぐあいに思いました。
 二つ目は、学びに向かう力、人間性等、これも話題になっているところなんですけれども、資料2のところの表をみたときに、黄色の枠の部分というのが、欠けているわけですね。これは御指摘のあったとおりで、気になっていました。それと同時に、資料2のところの黄色の枠というのは資料1の内容がほとんど生かされているんですけれども、三つ目の学びに向かう力、人間性等というのが欠けている。分かりにくさを増しているのは、資料2における黄色の枠のところが三つありますが、この三つが個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力等、それから学びに向かう力、人間性等というのに分けられているのかなというような錯覚を覚えやすい。そうじゃなくて、黄色の枠の真ん中と右側というのは、実は、思考力・判断力・表現力等の二つをそちらに分けている形になっているので、この辺のところをどう可視化するのか、をどのように書き表していくかという、やっぱりここも一つ課題なのかなというぐあいに思いました。質問というよりも、ともに考えていかなきゃいけない、そういう点がここの二つに潜んでいるかなというぐあいに思いましたので、発言しました。

【北原主査】
 ありがとうございました。とても基本的なことを──基礎的なことかな。発言いただきましたけど、事務局、何かあれですか。御発言ありますか。

【平野教育改革調整官】
 何人かの先生方からきょう御指摘いただきましたけれども、知識・技能の部分が前回の資料はかなり言語事項に寄った形で薄いものになっているというような御意見も頂いておりましたので、できるだけ思考力・判断力・表現力等に含まれ得るようなものも、例えば理解と使い分けというようなことができるというところまで含めて、左側の個別や技能というところに持ってくるようにしております。ただ、やはり御指摘いただいたように、境界線というのは非常に分かりにくいというような課題はあろうかと思いますので、その辺もいろいろ御意見を頂ければと思っております。
 あと、資料1と資料2の対比をさせたときの見せ方、分かりやすさというところについては、なかなか我々もアイデアがない状況でございますので、具体的にこうしたらというような御提案があれば、是非いただければと思います。

【北原主査】
 たくさんですね。じゃ、野秋さん。

【野秋委員】
 お願いします。前回の資料1に当たるたたき台のところと、今回のものを比較するような形で拝見したわけですけれども思考力・判断力・表現力等というところで、言葉そのものを学習の対象としている国語科における思考力・判断力・表現力とは何なのかというところを、実際に授業をする立場で考えています。思考・判断をするとき、言葉を頭の中でどう操作しているのか。どんな操作する力を育成していくのかというのを、学校段階別に明らかにしていくというのが必要なんだろうと考えました。その意味で見たときに、資料4を先に見て、資料1を見ると、非常に分かりがいいと思います。
 まず、他者とのコミュニケーションの側面というところに書かれている内容の中で、相手の心を想像する力というのがあるわけですけれども、想像した上で、では、自分の考えをどう表現していくのかというところをもう少し加えていく必要があるのかなというのを一つ思いました。
 もう一点は、前回のものには思考力・判断力・表現力等のところに感性、情緒の側面という部分が余り見えてこなかったんですが、今回その側面が書き込まれています。ただ、母国語を学ぶことで日本人としてどんな感性や情緒を育みたいのかというところは、当然、この表の中には直接的には書き込まれていません。言葉にするのは非常に難しいし、幾つかに集約できるものではないということも分かっているんですが、我々が実際授業をやるときに日本人として育みたい感性や情緒というものについてある程度イメージを持っていないと、何を感じても何を想像してもいいというような授業が実際に展開されてしまうという危険性があるなというのを感じています。それは自分が授業をやっていた中で、10年、20年前だったらこういう感じ方というのはしなかったはずのものが、今の子供たちの中に起きているということを実感しているからです。どんな感性や情緒を育んでいきたいのかというところも議論していく必要はあるのではないかと思いました。

【北原主査】
 ありがとうございました。西さん、お願いします。

【西委員】
 よろしくお願いします。2点大きく申し上げます。主に資料1ですけれども、既に御意見が出ているところではありますが、個別の知識・技能の書写以下の部分がやはりどういうふうに資料2で位置付けられるのかが、もう少し生かせる作り方が必要じゃないかというふうに思いました。
 第2点目ですが、思考・判断・表現力の感性・情緒という、この項目ですけれども、先ほどから読書に関してであるとか、我が国の言語文化という、学びに向かう力との関わりの中でどういうふうに位置付けていくのか。例えば文学作品を読むというようなことを考えていったときに、読書で読解するだけではない読書というのが当然あるわけであって、そういったときに想像する力であるとか、論理性よりも、そういった文学作品としての表現を読む、味わう、鑑賞というようなことが当然必要になってくる。そのあたりがうまく連動していくことで学びに向かう力、人間性というあたりは資料2の方で生かしていけるんじゃないのかと思います。
 それに関わって学びに向かう力、人間性の下から二つ目の、言語文化に対する関心という言い方で、個別の知識・技能の方では伝統的な言語文化と現行の指導要領の文言がそのまま踏襲されていますけれども、この部分、我が国の言語文化と。通時的に私たちの母語としての日本語というのがどういうふうな変遷をたどっていて、どういう特質があるのか、そんなあたりを多分見通したいのだろうというふうに私は今理解して、我が国の言語文化という文言を理解しております。そのあたりがもう少し感情、情緒であるとか、他者とのコミュニケーションというところにも多分この用語というのは関わってくると思うので、そういうところにうまく学びに向かう力、人間性をうまく活用する形で生かしながら、資料2の方に流し込めないかなというのはちょっと考えていたところでございます。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 それじゃ、森田委員、お願いします。

【森田委員】
 私の方から資料1について御意見を申し上げます。資料1の右側、学びに向かう力、人間性等の一番下、読書のところでございますが、前回よりかなり詳しく触れてありますので、これはすばらしいなと思いましたが、今回見て、これを読みますと、知らないことを知る、経験のないことを体験する、新しい考えに触れたりするということで、具体的に言いますと、本に書かれていることをそのまま素直に全部受け入れるということになっているかなと思います。ただ、それで果たしてよいだろうかということが近年言われております。例えば私ども学校図書館の方では、よく調べ学習というのを行っております。調べ学習のときに資料、情報として本等を活用するんですけれども、必ず私どもが言っているのは複数の情報源から情報をとりなさいということですね。一つの情報源だけですと、それが誤ったりしているところがあります。年度が違うことによって統計資料が違うということも多々あります。それから、著者の立場によっては力点の違うということもありまして、なかなか真実のところは見られない。そこで、読書というのは書かれているものをそのままではなくて、やはり批判的に読み取るという、その側面が今後ますます大事になってくるのではないかなと思っております。
 批判的な読みといいますと、言葉としてきつくて、批判というのはけなすのではないかということと同義語に使われているところがありますので、文章表現は難しいと思いますが、批判的な読みということもここに入れていただけたらなと思います。
 もう一点ですが、読んだだけ、読んで人が考えた、まとめた知識をただそのまま受け入れるというのは、初等教育では必要でしょうけども、校種が上がるに従ってクリエーティブな読みが必要ではないかなと思っております。それをこちらに、多分思考力・判断力・表現力の一番下の方に考えを形成する力というところに包含されているのかなと思いますが、念のためにも右側の方に創造的な読みということも入れていただくといいのではないかなと思います。
 私の方から以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 まだ酒井委員と佐藤委員が発言の御意思を示されておりますけれども、次に行って、そこで併せて御発言いただくことにして、恐れ入りますが、もう一つの資料3、4について御発言いただきたいと思います。酒井先生、よろしいですか。

【酒井委員】
 もちろん資料3についてお話ししようと思っていたので。
 最初に主査がおっしゃった、基礎的なことの混乱が若干資料3にあるように見受けられたものですから。つまり、国語、日本語、言葉、言語能力、言語文化という、それぞれの言葉がうまく整理されないまま使っているような印象を受けました。ですから、試みとして、私の考えですから御批判いただきたいと思うんですが、まず、低レベルにあるのが日本語。これは言葉と同義と置き換えてよいかと思います。ですから、基本的な考え方としては三つ階層があって、一番下の階層が日本語ないし言葉というものを定義します。ですから、外国語であれば、例えば英語とか、そういうものが入ればいいわけです。2番目は思考と表現というレベルがあると考えます。3番目に言語文化というものを位置付けると。それが文学、そういうものが入ってくるということです。この三つに対する上位概念が国語だと位置付ければすっきりするんだろうと私は思うんですが。
 それから、同時に言語能力というものも三つに対する普遍的な上位概念であるというふうに位置付ければよいわけで。ですから、国語というものと言語能力というものは上位概念同士でほぼ置き換え可能なものだというふうに整理すればよろしいのではないでしょうか。
 そのような考えで資料3を見てみたいんですが、私が最初に引っ掛かるのは、「国語を尊重し」という言葉が小中高に現れているという、そこの点です。尊重するのは、言語文化を尊重することは十分ですが、国語を尊重するというのは私にとっては違和感がかなりありまして、それだったら数学を尊重するとか、科学を尊重するという言い方はまずしないので、国語を尊重するという言い方は響きの問題を感じます。それは恐らく言語文化というか、我々のカルチャー、社会、そういう慣習、文化的なものを尊重するというふうに整理すれば置き換え可能であろう。つまり、ここに「国語」を使わない方がよいのではないか。
 それから、マル1の一番基本的なところで、小中高を順次見てまいりますと、まず小学校は国語に対する関心、中学校は国語に対する認識、そして、高校では言語文化に対する関心という形で微妙に使い分けがされているのですが、もし国語というものが上位概念であるなら、小中でそれをざっくり全部合わせてしまうというのは変で、むしろ小中では国語と書いてある冒頭のマル1の部分は日本語や表現、先ほど私の整理した行き方で言えば、階層1と階層2に対する関心や認識を深める。この表現はそれでいいと思うんですが、それが小中、義務教育の段階で、さらに高校に上がったときには言語文化に対する関心を深め、生涯にわたり、それを尊重しという、そういう形でつなげていけば、階層と国語というものがきっちり整理されるのではないかと思ったんですね。
 もう一つは、私は理系ですけれども、科学とか数学の場合には積み上げ的に学習していくわけなので、当然、一番左にあるような学力テストをやると、知識や運用能力が高まれば当然成績は上がっていくわけですが、国語の場合には伺ったところによると高校1年生と高校3年生では余り成績に差がないという結果もあるそうで、それを考えると、もしかすると頭打ちになっているという楽観的な見方もあると思いますし、それから今の国語の現状で、もっと国語で何を引き上げるのかということに対する問題意識でもあると思うんですね。ですから、高校のマル1で言語文化だけを引き上げればそれでよいのだということに関して多分先生方も御異論があると思いますので、一体高校の国語でこれをやらなきゃいけないんだと。つまり、ベースにある言語表現とか思考がある上で、高校ではこれを伸ばしていかないといけないのだということを、ここはちょっと私の力に余るところなので、是非教えていただきたいと思います。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 じゃ、佐藤委員。

【佐藤委員】
 では、よろしくお願いします。私の方から主に資料1と資料4ですね。主に疑問点になってしまうんですが、先ほど事務方から御説明がありましたとおり、情報に関わる資質・能力について、教科横断的に育成すると。それは当たり前であって、ICTの活用についても重視する。これも当然だと思っています。国語もそれに深く関わっていくと思うんですが。実際、国語科として何をすべきかという話になっていくと思うんですが、恐らく高校の場合は社会人として必要な資質・能力の点から見ていきますと、資質・能力が知識・理解になるか分からないところなんですが、実際には社会に出た場合には当然インターネット、メール等のスキルや知識がないとやっていけないという。それを高校の間に付けなきゃならないというふうに考えました。そう見た場合に、資料1になっていくんですが、情報活用に関する知識・技能が一応ここに入っているんですか、じゃ、国語としてどこまで踏み込んでいくのか。うまいこと見つからなかったんですが、例えば単に今言ったとおりインターネットの検索の知識・技能を身に付けるのか、それともアプリケーションの操作を身に付けるのか。それによってどんな能力が付くのかと考えていくと、資質・能力で考えちゃいますと、アプリケーションに対する知識を持っていないと、十分に能力を発揮できない側面ってあると思います。
 もう一点は、ハードウエアのものがありますので、例えば都道府県であるとか、市区町村によって普及状況が大きく違うと思いますので、そこをどの辺でそろえて指導要領を作っていくのか。その辺、非常に疑問に思いました。
 あともう一点は、資料4を見てみたら、同じ部分です。個別の知識や技能のところの最後の丸のところの情報活用に関する知識・技能のところ。これは高校のが全く抜けちゃっているんですね。多分現行の指導要領ですと、国語表現の中にコンピューターを活用して云々という文言があると思うんですが、なぜこれが抜けちゃっているのかというあたりが、もし何か理由があれば教えていただきたいと思いました。
 以上、疑問等を中心のです。以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 どうぞ。発言してください。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。情報活用能力の先ほどの資料の2-1を、済みませんが、再度ごらんいただければというふうに思います。その7ページをごらんいただければというふうに思いますけれども、これは学校種別に示したものでございますけれども、発達の段階で申しますと、小学校段階におきましては、様々な教科の学習をする中で、情報手段でありますとか、情報の意義ということを知っていく。そして、中学に上がりますと、技術家庭科の中に技術分野がございますので、ここにおける情報の活用と情報の技術ということも核にしながら学んでいく。そして、高等学校になりますと、今度情報科におきまして今回共通必履修科目を作ろうというような議論がされてございます。今情報や情報技術を問題解決に生かすということは、選択科目の情報の科学の方でされている。社会と情報の方では余り扱われていない。これを全ての高校生が学ぶものとして扱っていこうというような、こんな全体像がございます。という全体像の中で18歳までに必要な力を身に付けていく。では、各教科の意義の中で情報活用能力というものをどう扱っていくか、そんなことになろうかと思います。
 そういう観点から8ページ目をもう一度ごらんいただきますと、これは正直いろいろな議論がございまして、例えばタイピングやそういうデータの保存ですとか、そういうことも含めて国語でやるべきだというような御意見から、それは国語とか教科ではなくて、カリキュラムの外でやるべきだという意見から、様々御意見あるところでございますけれども、情報ワーキング、総則・評価部会において御議論いただきました成果として8ページ目に出てきましたのは、文字入力やデータ保存などの情報手段の基本的な操作につきましては、各教科においても少しずつ関連付けて触れていただきながら、そういった力を子供がカリキュラム全体の中で育めるように、カリキュラム・マネジメントの中でしっかり学校がこの教科でこれをやる、この教科でこれをやる、それを関連付けようということをしっかりしていけるようにしようということが今回の改訂においては目指すべき道なのではないかということでございます。そういう意味では、国語におきましてはローマ字学習との関係でありますとか、様々な図書館や検索なども含めた情報活用、国語ならではのそういった力を育むということの中で、より情報活用能力ということを意識しながら充実を図っていただく。他教科においても同じようなことをしていただく。トータルで情報活用能力を育んでいこう。そういう中では、かなりカリキュラム・マネジメントということがキーになってくるというのが今回の構成であるということでございます。まだまだ議論の最中でございますので、是非御意見も頂きながらと思います。
 資料4の中で高校の扱いというのはございますかね。

【大滝教科調査官】
 失礼いたします。高等学校の情報活用に関する知識・技能の中に高等学校の部分がないというようなお尋ねでございましたけれども、現在、この表を整理させていただく中で、あくまで国語科における個別の知識や技能ということで、高校における情報活用に関する必要であるべき知識や技能というものを提案させていただいていると。現行の国語表現の指導事項そのものの中に情報活用、例えばコンピューターを使って情報を発信するとか、そういったこと自体が示されているわけでもございませんので、今回あくまで資質・能力ということでお示しさせていただいたということで、基本的に原案としては義務教育で高めていただいた知識・技能というものを高校でもより使っていく。そういった整理の案をお示ししたということでございます。

【北原主査】
 よろしいでしょうか。
 それでは、藤森先生。

【藤森委員】
 若干ラジカルなことを申し上げます。先ほどの酒井委員の御指摘とかぶる部分でございます。マル1の小中高の目標設定でありますけれども、恐らく「国語を尊重する」というところは、豊かな歴史を持った言葉を大切にしていこうと。こういう態度を育てたいという、こういう思いで、これまでずっと学習指導要領でもうたい続けていると思うんですね。
 申し上げたいのは、特に高等学校と中学校のマル1の記述でございますけど、言語文化については、先ほど酒井先生から御指摘がありましたが、学習指導要領では試案の段階で既に中学校の学習指導要領で掲載されて長い歴史を持っている言葉ですね。平成20年度の現行の学習指導要領の定義では、これは余計なことになりますけれども、三つの定義があって、文化としての言語、言語生活、それから、言語芸術とございますよね。そうすると、言語文化というのは非常に幅広い意味を持っていて、国語と言語文化との上位、下位の概念というのはもう一度考える必要があるだろうと思うんです。
 言語文化といった場合、恐らく社会生活との関わりが欠かせない。現行の中学校の学習指導要領を見ますと、小学校で日常生活というのを基盤にし、中学校では日常生活から社会生活へというふうに視野が広がるんですね。と考えると、今高等学校でうたっている「言語文化に対する関心を深める」というのは、もはや中学校のマル1ではないかと私は思っています。そうしますと、高等学校の場合はどうなるかというと、もはや高等学校ではある意味で言語文化の担い手だと思うんですね。その意味でいうと、言語文化に対する関心を深めるのは高等学校では遅過ぎると思います。むしろ「言語文化に対する認識を深める」のが高等学校の段階で、言語文化に対する関心を深めていくのは中学校。小学校では文言の工夫が必要になると思いますけれども、例えば「母語としての日本語に対する関心」というふうに言ったらいいか分かりませんが、現在様々な国籍を持った子もおりますので、それも視野に入れつつ、母語としての豊かな文化を持っている日本語に対する関心をまずは小学校で持たせて、それから先、中学校、高等学校では今申し上げたような言葉の見直しが必要になるのではないか。ただ、その際、これまで言語文化がどういう文脈で使われてきたかという歴史的な経緯がありますので、その辺を意識しつつ、特にマル1の表現については大きく再考してはいかがかというふうに思っております。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。非常に基本的な御発言ですが。
 ほかにいかがでしょうか。高木委員、どうぞ。

【高木(ま)委員】
 資料3につきまして三つですか、ちょっと申し上げたいと思います。これは非常に重要な表だろうと思いますので、申し上げますけれども、例えば、まず整合性というんですかね。中学、高校なら中学、高校の差を付けるのをどう付けるかという問題になるかと思いますが、例えばマル2の文章同士を比べたときに、最初のフレーズの方はいいとして、中学校のところを見ていきますと、最初のフレーズになりますかね。「内容や展開を根拠に基づいて解釈したり」というふうにありますが、じゃこれを実際にどうするかと考えると、高校のマル2の文章の「それらに含意された意味を、論理や既有知識に基づいて解釈したり」ということを結局することになるだろうなというふうに思うと、説明としては詳しくなっていますが、実際には同じことをするのではないかというふうに思えるので、このあたりの高校と中学校の記述の仕方をどういうレベルで整理していくのかということが一つのポイントになるのかと。これは非常に難しいので、言っている方は簡単なんですけど、なかなか難しい点があるなということが一つ。
 それから逆に、例えば小学校のマル2の部分の二つ目の終わりの方を見ますと、「更に確かめたいこと、調べたいことを意識化するなどして」というのは、それに該当するものは中学にも高校にもないような気がするんですが、発達の過程においてなくてもいいということもある、あるいは前提となっているということも考えられますけど、これはかなり主体的に学習を進めるという場合には必要な要素のような気がしますので、だとしたら、これは上の学年のところになくていいのかなということもひとつ考えていく必要があるのかなというふうに思いました。あるいは言い方を換えてというとまた同じようなことを繰り返すことになっちゃうかもしれませんが、どの校種でも必要なことなのではないかなというふうに思ったということでございます。
 もう一点ですが、これは全体に関わってですが、各学校種の段階の最終的なイメージということで捉えますと、小学校のものは、中学校1年生にほぼ近い状態を指しているとか、中学校の状態は高校1年生の段階に近いのだろうというふうに見ていくということが必要なのかなというふうに思います。そういうふうに考えましたときに、中学校というのは例えば義務教育の最終段階として、ここから多く社会へ出ていくというようなこともあります。それから、これはあってはならないことですが、現状では高校ではなかなか表現に関する指導が行われない。そのまま大学へ入ってしまったりする子も実はかなりの数がいるということを考えますと、中学校である程度責任を持って、義務教育として責任を持てる範囲はどうなのかということを吟味するということは非常に重要なポイントにもなってくる。もちろん、高校の基礎学力テストとか、いろいろありますので、PISA調査とか、そういうことも見据えつつ、高校自体ももちろん大事なんですけれども、ただ、それらの調査も中学校までの学力というのが支えている部分も大きいというふうに思いますので、その観点で義務教育として責任を持てる範囲はどこなのかなということを見ておく必要があるのかなというふうに思います。
 そういうふうに考えたときに、人によっていろいろな御意見があるかと思いますけれども、例えばですけれども、先ほどメディアのことが出てきておりましたけれども、マル3などのところにメディアの使い分けとか、そういうようなことも一つ入ってもいいのかとかというようなことを思ったりとか、細かい言葉についてはいろいろありますけれども、そういう中学校義務教育段階の最後のところをどうするのかということを意識的にもう少し行って──されているかもしれませんけれども、そこをもうちょっと意識する必要があるようにも感じたというところです。
 以上3点申し上げました。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 済みません。お待たせしました。大野委員、お願いします。

【大野委員】
 大野です。小学校の立場で感じていることを申し上げたいと思います。まず資料3についてですけれど、小学校の立場から高等学校のことをお話しさせていただくのはちょっと失礼かもしれませんけれども、既にこの夏から18歳で選挙権が与えられているということになって、社会が大きく変化してきておりますし、恐らく現在の高校生の意識の中にも大きな変化がもたらされているのではないかと思います。その18歳の高校生がこれからどのような社会や文化を形成していくのか。今までは20歳、これからは18歳ということになると、高校3年生の段階からこれからの自分の住んでいる国や社会、あるいは世界とどう向き合って、どういったものを作り上げていくのか、そういったことを意識させていくことが大切になるんだろう。それを国語を通してどうしていくのかということになると、やはり自分の考えたこと、判断したことを相手に説得力を持って伝えていく。それは言葉で言語を通してやっていくことが中心になるだろうと思います。そういうふうに考えていくと、この資料3の高等学校のマル1のところはやはり先ほどお話にも出ておりましたけれども、関心を深めるというところにとどまるのではなくて、もっと積極的にこれからの社会や文化をどう形成していくのかといった、そういった創造的な姿を求めていくというところも一部には必要になってくるのではないかなと思います。確かに高校生は若者言葉などは積極的に作り上げるところはあると思いますけれども、そういった狭い部分ではなくて、もっと大きな視点から言葉を通して、どういった社会、文化を作っていくのか。そういった姿勢を求めていくことも必要ではないかと感じることがありました。
 それから、ちょっと前に戻ってしまって恐縮ですけれども、小学校ではいろいろな学校でPISA型読解力で指摘されていることを基に授業改善に取り組んできております。その中のPISA型読解力で言われている情報の取り出しということだけを視野に入れていくと、どうしても個別の技能や知識といったものに偏りがちですけれども、それをもっと幅広く自分の経験や知識と関連付けてテクストを解釈したり、あるいは判断、評価をしたりしていくということが大切だということで、授業改善に取り組んできております。そういった視点で資料2を拝見させていただくと、解釈といったようなことや熟考・評価といったようなことというものが、この真ん中のあたりに吟味と解釈という言葉で出ているだけですけれども、もう少し幅広く捉えると、創造的思考ということもそういったことを意識されて表現されているのかなと、そのように思いましたが、もう少し表に出しても、これからの時代に求められる授業改善の大切な視点だと思いますので、いかがかなと思いました。
 それから、三つ目は、現行の指導要領でも先ほどお話にもありましたが、読むこととか、書くこと、こういったものはとても大切に扱われているわけですけれども、これは表現上のことだけかもしれませんが、こちら資料1の個別の知識や技能のところで、話合いや話し方、発表に関するということはありますけれども、情報活用というところで、読むことや書くことも含めているのかというような御質問がありましたけれども、想像して読むとか、こういったものというのはとても小学校では大切な学習活動だろうと思いますので、音読であるとか、朗読であるとか、こういった読むということ、あるいは聞くということ、こういったこともどこかに踏まえていかれる方が初めて見る国語以外の先生方には方向性がより明確に示されるのではないかなというふうに感じられました。
 最後になりますけれども、冒頭主査がお話しされていて、先ほどの議論の中でもありましたけれども、例えば学びに向かう力の人間性等とあります。その一番上のところに国語を通じて自分の物の見方、考え方を深めようとございますけれども、国語を通じてなのか、あるいは言葉を駆使してなのか、このあたり、表現上のことではありますけれども、先ほどのお話もありましたように、国語とか言語とか、言葉とか言語能力とか、様々な使い方がされますので、整理をしていただけると大変ありがたいなというふうに感じました。
 以上です。ありがとうございました。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 井田委員、お願いします。

【井田委員】
 資料3についてなんですが、一番下の幼児教育のところ、これは直接国語ワーキンググループの検討の範囲外かとは思いますけれども、そこだけに楽しいとか、面白いとか、味わうという言葉が出てきて、それが小中高になるとないんですね。尊重する態度を養うとか、認識を深めるとか、関心を深める。楽しんだり、味わったり、面白がったりすることの結果として国語に興味を持ったり、認識が深まったり、ああ、言葉って大事だな、日本語ってすてきだなと思うのではないかと思うんです。となりますと、小中高の中にももう少し楽しもうよということを、もちろんこうありたい、あらねばならぬということのために検討した厳密な言葉、並び方の結果として出ているのかもしれませんが、幼児教育で楽しむんだったら、高校で楽しんでもいいというか、高校はもっと深く広く楽しむことができる人たちが育ってくれればなと私は思いますので、そういう面というんですか、ニュアンスも取り入れていただければと感じました。

【北原主査】
 ありがとうございました。本当に面白さとか、楽しむとか。
 中村委員、どうぞお願いします。

【中村委員】
 今の井田委員の幼児教育のところの話と重なりますが、既に目標レベルといいますか、かなり厳密な言葉の使い分けについての議論をしなくてはならないかもしれないんですが、一方で、これは今、イメージについて議論されているということを考えますと、今のような観点からの発想ということもあるのかなと思います。高等学校の内容については次回ということなんですけれども、高等学校での国語教育のイメージとして論点整理の後半のスライド資料がたくさんある方に210ページというスライド番号のあたりに、高等学校教育の力、方法、環境について抜本的に見直しをするというふうにありますので、小中の積み重ねの上の高校という発想からの現在のイメージとともに、例えば高大接続の観点から社会人基礎力とか、学士力の育成に例えば高等学校の国語教育がどういうふうなイメージを持っていくのかというような、そこからのイメージ作りというのも一つ可能性としてあるのかなというふうに思いました。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 吉田先生、お願いします。

【吉田委員】
 資料3に関わってです。これは国語教育のイメージとして、幼児教育から小中高等学校という非常に分かりやすい形で示してくださっています。先ほど来、国語という用語に関してのことがありましたけれども、ここで何々に対するというところは大事なところになるんじゃないかというふうに思いますので、思い切ったことを申し上げますと、小学校のところでは多分、日本語とはどういう言語であり、日本語はどんな規則やどんな特徴を持っているのかという、そういった基礎的なところに関わる部分が中心になるのじゃないかというように思います。中、高等学校に比べてみてですね。となると、小学校のところでは御提案どおり、国語に対する関心なのか、認識なのか、細かく分けなきゃいけないかも分かりませんが、とりあえず今は国語に対する関心・認識を深めというような形で置いておいて、中学校では高等学校は言語文化というのを使いたいと思いますので、中学校をどのように変えていくかというと、言語生活にする関心・認識を深めとかというようにして、少し活動のところにウエートを置くというように考えていけば、言葉のすみ分けを考えていくと、小学校は国語、中学校は国語生活でもいいんですけれども、言語生活、高等学校は言語文化。それぞれ関心・認識を深めというところは同じようにして、対象は変わっていく。ただ、そんなにきれいに分けられるものではないということを思いながら、そのように小中高等学校のイメージ、小中高の国語科のイメージを考えたときに、小学校で何をするの、中学校では何を学ぶのという形で言えば分かりやすくなるかというように思います。
 どちらにしても国語科の場合はこれまで言われていますように、らせん的に習っていくものでもあるし、繰り返し学習して行うことでもありますので、今のことで言うならば、とりわけ小学校では、とりわけ中学校では、でも全体的な流れでは国語を基本にしながら、国語で培われた言語生活、言語文化を学習していくという意味合いにおいては小中高は通じている。その基礎に幼児教育があるというように考えていくと、ちょっとイメージとしては分かりやすいのかな。国語で一体何を勉強しているんですかという問いに答えたいというのが今の大胆な思い付きに近いかも分かりませんけれども、発言でした。
 もう一点、これに関してなんですけれども、小学校6学年を一括しようとするとちょっと難しい点があるのかなというぐあいに思って、これもイメージですから、小中高というようにして考えていかなきゃいけないんですけれども、小学校6年間は結構長い。しかもかなり発達が大きく見られるところじゃないかと思うので、例えば小学校は小学校で今のような一括でいいんですけれども、細かく分けた場合はという形で、小学校前期、後期というような形で、例えば小学校前期というと、3年生でという形になりやすいんですけれども、小学校は10歳というんですか、中学年で、1年生から4年生、5年生から6年生という、そういう2区分。前後期2区分というような形で、後期の5、6年生はかなり中学校に近いというようなことを考えていってもいいのじゃないかというように思います。つまり、二つ目は、小学校6年間で一括できればそれはそれでいいんだけれども、なかなか現実的に言えば少し一括するのは難しい。あるいは一括すべきことでもないかもしれないと思うと前期後期2区分説というのもあり得るのかなというぐあいに思いました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 児玉委員と。じゃ、お願いします。酒井委員とお二人で。

【児玉委員】
 失礼いたします。先ほどは質問だけさせていただいたので、今度は感想のようなものを申し上げさせていただきたいと思います。資料4に関わって、関連して資料3にも関わるお話なんですけれども、先ほど野秋先生から言葉を操作する力としての思考力という言い方が出てきて、なるほどなとはっとさせられたんですけれども、思考力・判断力・表現力という真ん中の列に関しましては、教科等の本質に根差していることが大事なんだと、こういうことでございます。そうなってきますと、やはり言語、あるいは言葉というものをどういうふうにいろいろなところに確認していくかというのが大事なように思います。具体的に申し上げますと、言葉を理解する。例えば一番上の四角ではテクスト、情報を理解する力。テクストというのがありますので、これは言葉を理解する。そして、次のところには文章や発話により表現する。つまり、言葉で表現する。言葉を理解し、言葉で表現するという、ここの部分は国語科としての特性を強く出しているネーミングになっているように思います。
 その下のところを見ましても、そのように、言葉を、言葉でというところにこだわった文言がずっと連なっているんですけれども、後半の方に行きますと、意図的でしょうか、それを少し薄めておられる印象がありました。具体的に言いますと、資料4の後半の2枚目の相手とのコミュニケーションの側面というところになりますと、相手の心を想像する力というところには、言葉を、言葉でという要素は基本的には意図的か分からないけど、抜いておられるように思います。その下の構成・表現を評価する力というのは、言葉の問題だろう。その下の考えを形成する力というところを拝見しましても、言葉を、言葉でという要素がはっきりとは出てきてないような印象があります。
 このあたりをどういうふうに考えるかというのは、僕なりに宿題になるなと思っていました。つまり、とりわけ後半に行けば行くほど他教科との関連が強く出てくるところではあろうと思うんですね。そうなってきますと、国語科でこのことをやるとすると、ここは譲れないところなんだ、こだわらなきゃいけないところなんだというところを明確に出しておく必要があるだろう。それは言葉を、言葉でという要素を活動の中に、あるいは要素の中に入れていくことかなというふうに思ったわけです。
 その意味で、資料3に戻りますと、小中高幼稚園から、発達の中にも言葉を、言葉でという要素をどういうふうに中に一本入れて、国語科としての背骨を作るかという。系統性の問題と同時に背骨の問題というのもあるのかなというふうに思いました。具体的にはどのようにするか、今すぐにはちょっと申し上げられないんですけれども、そのように感じたということでございます。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。
 じゃ、酒井委員、お願いします。酒井先生で最後にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【酒井委員】
 手短に。先ほど自分の言った三つのレベルを資料にどう反映させたらいいかと悩んでいたところ、実はもうそうなっているということに気付いたわけで、資料1と資料4のずっと議論してきた左、真ん中、右というのがちょうどそのレベルに対応していたんですね。ですから、タイトルの文言を少し変えていただくだけで、その上に来ているのが上位概念という形に既になっていますので、具体的にはまず左は「個別の」というのはちょっと意味がとりにくいので、「言葉の」と入れてしまって、左の部分にレベル1とか、階層1とか、何らかの形で階層を示すような番号を入れていただきたい。真ん中にはレベル2として、思考力・判断力・表現力。「等」という言葉は何でも入っちゃうので、とった方がよいと思います。右はレベル3として、学びに向かう力、人間性と文化という、そこに言語文化という表現を入れれば、タイトルとして三つのレベルがあって、上位概念に国語科で育成すべきということになります。
 それから、資料1、資料4、同じですね。言語能力の資料2を見ますと、全く同じ表現が使われているわけで、私は言語能力の委員もやっているので、また同じ発言をするのは時間のむだなので、できれば次回のときにここの部分を統一的に変えていただくと、今のことが国語科から上がってきたのが、そのまま言語能力の上位概念として使えるということで整理できて、混乱は大分減って、これが少なくとも我々のたたき台としてははっきりしたものとして打ち出されたことになるかと思いました。
 以上です。

【北原主査】
 ありがとうございました。確かに言語との調整で、「個別の」じゃなくて、「言葉の」の方がいいだろうと思っていましたけど、そのほかいろいろまたお願いしたいと思いますが。
 貴重な御意見を頂戴しまして、もう少し議論を詰めたかったところですが、時間が参りましたので、以上で資料1から4までについての御議論は終了いたしたいと思います。
 それでは、続いて事務局から本日の意見交換を行う資料5について行いたいと思ったんですが、時間がありませんが、資料5について説明だけお願いしたいと思います。資料5、言葉の働きと仕組みについてですね。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、資料5でございます。本ワーキングでも意見を頂きました言葉の働きと仕組みという部分でございますが、そういったものも大事ではないかという意見も頂いておりまして、その中で、実際の紹介といいますか、そのことについてちょっとお話ししたいと思います。資料5でございます。
 現行の学習指導要領におきましては、資料5の一番下の部分になりますが、言葉の働きに関する現行の学習指導要領における主な記載ということで、小学校、国語科、「言葉には、事物の内容を表す働きや、経験したことを伝える働きがあることに気付くこと。言葉には、考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。」ということとなっておりますが、その中で、各学校で指導するということになっておりますが、そういった教員の認識というか、そういったものを子供たちが自分たちのものとして受け取っているものかということに若干課題があるのではないかということもあるかと思います。
 ここで紹介するのは言葉の働きということで、ヤコブソンの6分類というもの、主情的機能、働きかけ機能、指示的機能、詩的機能、交話的機能、メタ言語的機能という部分でございますが、ヤコブソンの6分類につきましては、特に思考のための内なる言語というものが含まれていないということがありますので、そういったことにも留意する必要があるということでございます。
 また、国語力ということで、国語の果たす役割、個人にとっての国語としての三つの分類ですね。知的活動の基盤、感性・情緒等の基盤、コミュニケーション能力の基盤ということで、こういった働きもあるということを紹介しております。
 また、2枚目でございます。言葉の仕組みでございます。日本語や英語をはじめとしますそれぞれの言語というのは、共通の基盤である言葉の普遍性、またそれぞれの固有の特徴である個別性というのがあるということでございます。
 四角の中にそういった違いというものがこういった分類で出てくるというものでございます。一番上が音声、日本語の母音や子音と英語の母音や子音には違いがあるという部分。
 また、その下の語の部分でございますが、単語は日本語と外国語が一対一で対応しているわけではないという部分もあるかと思います。水とお湯とか、waterという形で、そういった対応をしているわけでじゃないということ。
 また、テクストの構造ですね。日本語と英語では語順の自由度に違いがあるということ。
 また、その下のテクストの文脈上の意味ということで、テクストの意味というのは文脈によって変化するもの。このことは全ての言語に共通する。「電話が鳴っているよ」ということで、何を意味するかということがあるかと思います。
 また、文字、表記の在り方ということで、言葉の表出は、音声と文字に分かれるが、文字を持たない言語もある。あと、実際こういった違いというのもあって、また、一番下になりますが、全国学力・学習状況調査の結果によりましても、文の中における主語を捉えることに課題があるということですとか、登場人物の相互関係を捉えることに課題があるということもございまして、こういったものも国語、英語といことで、国語科にとっても非常に大事な、有意義なものになっていくんじゃないかということにつながるのではないかということで、以前、御意見いただいたものにつきまして、紹介させていただいたところでございます。これについて、また意見がございましたら、きょうは時間がございませんが、また後で意見を頂ければというふうに思っております。
 以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。きょうは時間がありませんので、これについては御意見は頂かないことにいたします。
 時間が参りましたので、この辺にしたいと思いますが、本日お出しいただいた御意見については事務局で論点ごとに趣旨を整理していくようにお願いしたいと思います。
 それから、きょう時間の関係で御発言なさらなかった方もいらっしゃいますが、御意見がありましたら、あるいはお気付きの点がありましたら、どうかペーパーで事務局にお送りいただければと思っております。
 最後に、次回以降の日程などについて、事務局から説明をお願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 次回につきましては、本日の配付資料の一番下にございます。次回の開催につきましては2月19日金曜日、13時から15時の開催を予定しております。場所は15階の特別会議室になります。この会場とは違いますので、御注意ください。
 なお、次々回以降、3月14日、28日というふうにお伝えしていたところですが、14日について開催いたしまして、3月28日につきましては4月以降に開催延期ということにさせていただきます。4月以降の日程につきましては後日調整させていただきます。
 また、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる御意見も頂戴いたしたいと考えております。ファクス又はメール、郵送でも結構です。
 なお、本日の配付資料につきましては、机上に置いておいていただければ、後ほど郵送いたします。
 以上でございます。

【北原主査】
 ありがとうございました。本日のワーキンググループを終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2076)