特別活動ワーキンググループ(第3回、平成28年1月20)における主な意見(未定稿)

1.特別活動において育成すべき資質・能力について

○ リーダーシップやフォロワーシップは、三つの柱で整理しにくい。
○ 学級活動には、自治的な内容、生徒指導の内容、キャリア的な内容の三つが入っていることが分かりやすくなるように示すべきだ。
○ 現代においては、グローバル化などの影響で、想定外のことが起こったり、異質なものが入ってきたりした場合に対応していく能力を育成すべきだ。
○ リーダーになれない子供たちの個性をどのように大事にしていくかという視点が重要。
○ 話合いをしっかり成立させるためには何が必要なのかということなど、何を知っているか、何ができるかということを明確に示さないと、担任によって指導の質に差が生まれる。
○ 特別活動では、自己理解を深め、それを相手に伝えるために言葉で表現していくことになり、言語能力が基盤になる。
○ 他者を理解し、他者を受容するこういったことが人間関係を形成していくコミュニケーション力の中身になってくる。そうした意味で、自然の中で集団宿泊活動は、学級という日常を超えた非日常の中で、自分やクラスメートの新しい側面を見ることができる場でもあり、有効な活動である。
○ 教育基本法に示されている教育の目標である、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い」ということはとても大事。何が正しいのか、何がよいのかということは、立場が変わったり、時間がたったりすると変わってくる。そのような中で判断をしているということを理解することが大事。
○ 失敗することや間違えることを恐れ、挑戦を避けることがあるのではないか。失敗を受け入れ、自分の中で気持ちの整理をして、どうして失敗をしたのか分析し、次の方策を立てる力が大切であり、三つの柱に整理する必要がある。
○ アクティブ・ラーニングにおける協働的な側面は、特別活動こそが担うべきもの。
○ 低学年から、自治や集団の意義をきちんと理解した上で、それをどのように自分たちの力で民主的な集団を作っていくのかということを明示すべきだ。
○ 徹底的に納得させるまで話し合うことが、想定外のことに対して対処したり、グローバル社会の中で異質なものに対応したりすることにつながる。多数決で決めるだけではなく、少数派の意見もよく聞いた上で、みんなで話し合っていくということが特別活動の本質であるが、十分な時間の確保が、現場としては本当に大切なところであり、教育課程をどう組んでいくか、カリキュラム・マネジメントという部分が、教師たちが自覚的に考えることにつながる。
○ 特別活動における「何を知っているか、何ができるか」ということについては、例えば、自分と異なる異質な他者が存在していて、そういう人たちと一緒に社会で生きているんだということなど、そのような多様性や協調性などだと考える。そのため、教科で育てる知識と、特別活動で育てる知識は、質的に違う部分もあるのではないかな。学校の先生方にも分かりやすく示さないと、多様性を教え込めばよいのだということにもなりかねない。
○ 自己を生かす力については、自己実現能力のことは思い浮かべやすいが、自己実現能力と自己主導能力セットと見なされているとするならば、例えば感情を制御する力や、中期的・長期的目標に向かってやり抜く力の基礎となる知識・理解もここに入るのではないか。
○ 「知っていること・できることをどう使うか」ということについて、友達と協力してよりよい学級や学校生活を作ると、学級や学校もよくなるし、友達との関係もよくなるということを知っている子供たちは、新たな課題に向かってよりよい生活を作ろうとしていく。そのような学級経営の中に、そのような機能があるということを担任が理解してやっていくことが必要。
○ 小学校は全体的に話合い等も盛んに行われ、全体の折り合いをつけながら、集団決定等をする場面がある。ところが、中学校、高等学校と上がるにつれて、そういう場面は余り見られない。どちらかというと淡々と決めていく傾向がある。現在の状況は、学年が進行するにつれて、なかなか話合いができていないという状況があり、そのような現状を理解しながら考えていく必要がある。特に高等学校のホームルームの話合い活動は、なかなか集団で何かを決めるということがないように感じている。
○ 活発な話合いを行うには、多様な意見や、多面的な意見を認めることが必要である。クリティカルということを打ち出さなければ、子供たちは面白くないので論じないということになる。論議した意見は、どこかで役に立ったり反映されたりするということがないと、話合いの質が低くなる。
○ 集団は個の集合体としてでき上がっており、よりよい集団、よりよい人間関係というのは、その集団を形成している一人一人の自己がよりよくならなければ、よりよい集団というのはできない。集団と個というのは、お互いに相互に影響し合って存在しているという関係がある。それぞれのよりよく自己を生かしていこうとする個人が集まったときの集団というのもよくなるので、自己を生かす力はしっかりと打ち出すべきだ。
○ 特別活動は、自主的・実践的とか、自治・自発、自ら進んで行うことなどが特別活動の理念であり、そのようなことは外すことはできないと考える。
○ なぜ学級活動をするかというと、学級という集団を、目的を持った、いわゆるフォーマルなグループを作るためであり、そのために係活動をしたり、学級活動で役割分担を話し合ったりする。それがいじめをなくしていく力になるということを、示してもよいのではないか。
○ 知識という基礎がなければ活発な議論はできないので、特別活動の固有性だけでなく、教科とのつながりも意識する必要がある。

2.特別活動において育成すべき資質・能力と投票権年齢の引下げとの関係について

○ 地域によっては、小学校段階での選挙というのは行われなくなっており、その背景には、小学校段階では、人気投票になってしまうとか、発達段階に合わないのではないかという考えがあったと思われる。ただ、自分たちで自分たちの集団を選んでいくことや、自治を自分たちで作っていくということは、小学校段階であっても、投票をすることによって、自分たちのリーダーを選んで、そして決まったことには従わなくてはいけないのだといった、社会の基本的な仕組みを身をもって体験していくことなり、とても大切である。小学校段階でそのような児童会活動が実質的になかなか十分に行われなくなったことによって、中学校に進学してもなかなかリーダーを選ぶことができないとか、リーダーが育たないなどの悩みもよく聞く。
○ 児童会の選挙が余り行われなくなった背景には、各学校段階における自治的活動の範囲はどこまでなのかという問題がある。今後の在り方を検討する際には、歴史的な経緯を十分に踏まえる必要がある。
○ 児童(生徒)会活動の基本は、学級会である。
○ 主権者教育の内容で、義務教育の段階で伝えておくべきこともある。
○ 意味組織的に問題を解決していくということは、社会科などで、選挙やその意義について学習はしますが、それは知識としての理解で終わっている。児童会や生徒会の活動は、委員会活動などとその知識が結び付くことで、それが社会を動かしていく重要なことであり、集団の中で一人一人が役割を持って生きていく、社会を担っていくということを実感できる場として、大事なのではないか。
○ 問題解決として話合いをするときには、例えば国語科で学習する論理的な思考力や表現力など、他教科の学習成果をここで活用するということが大切である。また、実感のある体験をさせるという機会としても重要である。
○ 合理形成の困難さも経験することが大事。失敗から学ばせるというような場としても、活用できるのではないか。
○ 子供が積極的に投票について考えることによって、親も動くことにつながり、投票率の向上にもつながりうるので、積極的な意味合いを示すべきだ。

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