生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第3回、平成28年1月12日)における主な意見(未定稿)

1.生活科と小学校低学年との横のつながり、生活科と小学校中学年との縦のつながりの在り方について

○ 各教科とのつながりの強さは教科によって差があり、生活科は特に国語科とのつながりが強いと考える。生活科で豊かな体験をすると、子供たちの伝えたいという気持ちが強くなり、高い表現力を発揮する。国語科とのつながりについて議論を深めたい。
○ 各教科でのインプットを生活科での学びにつなげるイメージで、表現力の部分をより際立つようにしてはどうか。
○ 生活科は、低学年の教科のベースになるものである。
○ 幼児教育において、日々の暮らしの中で子供たちの遊びというのは、暮らしを変革し、自己を変革するようなクリエーティブな活動。子供は遊んでいると思っているが、それを通して今の自分を感じ、他者と関わり合い、自分の暮らしを更新していく。いわゆる生活の拡充をしていくのだと思う。その上に生活科というのがのってくるという点で、幼児教育とのつながりがある。
6歳、7歳になってくると、幼児期の遊びとはもう少し質が変わってきて、遊びというよりは、こんな暮らしがしたい、こんな学校にしたい、こんな毎日にしたいとか、こんな地域の関わりにしたいと、もっと意図的で、長期的で、計画的で、組織的に意図する生活を自力で創造するようになる。それがより価値的な方向に向かうように教師が支援したり、場を作ったりしていく。それが社会科にもつながっていくと思う。そういうことをよりきちんとやるために、私たちは学問や科学の力を使う。生活科は、楽しい活動や、幼稚園の遊びの継続ですが、幼稚園の遊びがどういう意味で継続されて6、7歳児に至るかということの検討が必要で、その意味で、他の教科とは違うということだろうし、他の教科全ての基礎となるし、他の教科で培ったことを現に使ってみる場になると思う。この構造が、総合的な学習の時間にもつながっていくのではないのか。
○ 今回の改訂では、将来にわたって子供に必要な力は何で、それをどういった教科や時間において、個別に、あるいは関連的に育てていくのかということを考えなければいけないので、現行の教科の目標や内容に関しては、一旦置いて議論する必要がある。
○ 現在、他教科等においても議論が進められており、他教科等とのつながりを検討する際には、その教科等のこれまれの姿ではなく、これからの姿をイメージして議論する必要がある。
○ 生活科は、暮らしや生活を通して様々なことを学ぶ。1年生、2年生の段階では生活科が中心で、そこに必要な要素が教科としていろいろあるのだと子供たちに気付かせることが、教科の学びへの意欲の向上にもつながる。このことは、教員にとっても同じことである。
○ 幼小のカリキュラムの連携を図っていく際、生活科は、5歳児と小学校1年生の育ちや学びをつなげる役割がある。
○ 生活科とは、子供たちが本物の生活をよりよいものにしていく中で私自身もより納得のいく存在になっていくというものである。他教科等についても、伝統的な教科の見方を変え、伝統的な見方が単なるコンテンツの缶詰ではなく、そのコンテンツは暮らしに開かれ、人間に開かれ、文脈性を持っているのだと捉える必要がある。同時に、生活科については、極めて断片的で、場面的な文脈の中でどのような楽しい活動をさせるかということではなく、もっと子供が自覚的に自分自身をどうしたいか、世界とどう関わっていって、よりよい世界を作るかという在り方にすることが重要。
○ 各教科等で、資質・能力の整理が行われていく中で、生活や総合的な学習の時間がいかに要の教科や時間であるかというのが見えてくると思う。
○ 好奇心があるから、人と違う生き方が可能になるのであり、生活科の中で好奇心旺盛な子供をどのような活動の中で育てていくのかという点を明確に示す必要がある。
○ 生活科は小学校低学年で2年間あるが、2年間で育成すべき資質・能力を検討する際、1年生と2年生という二つの区切りがよいのか、1年生の前期・後期、2年生の前期・後期のような区切りがよいのかということについても考える必要がある。
○ 低学年で実感を通して学ぶことが大きな体験のもとになって、やがて中学年、高学年、中学校へとつながっていく基礎となる。
○ 生活科において、言葉で理解をしたり、自分の表現をきちんとまとめたりできた子供は、理科においてもすんなりと自分の考えを表現することができる。
○ 生活科が幼小の接続の方、つまり、生活科前期の方なのか、それとも3年生につながるような生活科後期なのかで、整理の在り方が違ってくるのではないか。内容だけでなく、資質・能力も幼児教育からつながりの方の示し方と、3年生以上の学びにつながる方の示し方は違ってくるのではないか。
○ 他教科等のワーキンググループでも進められている、資質・能力ベースの検討の成果を互いに整理することで、各教科の位置付けや関連が明確になるのではないか。
○ 学習指導要領の1、2年生に関する内容は、算数以外は、1、2年生がまとまって記載されており、横断的に学習指導要領の表現を改めていくことも可能ではないか。それにより、低学年において、教科の縦のつながりだけではなく、横のつながりが意識されるようになる。
○ 生活科の内容は、理科の3年生の初めの頃に学ぶ内容と重なる部分があり、生活科はどこまで指導するのか、経験させて終わりなのか、どこまで整理するのかという問題がある。余り高度な内容にしてしまうと、理科の下請のような教科になりかねないので、自然で豊かな体験をもとにしながら、どのように確かな学力を育成するのかということを考える必要がある。
○ 幼児教育をしっかり踏まえながら生活科を考えていき、やや薄い形で上の方も見ていくことが大事。
○ 生活科の内容は、平成10年の改訂で、より長いスパンで子供の成長を見ていこうという考えから2学年まとめて示すこととした。余りにも細切れに内容を示してしまうと、その趣旨が誤解されてしまう可能性がある。

2.生活科で育成すべき資質・能力について

○ 子供自身の自ら学ぶ力を育むべきもの捉えるような見方があるが、子供が関心を持たないとか、意欲を持たないとかいうことがもしあるのならば、それは指導する側の問題ではないか。
○ 全ての子供が初めから関心を持って学ぶことはなかなか難しいので、生活科である程度まで実際にやってみることを通して、意志力や難局を乗り切っていく情意的なスキルを育成することが重要。
○ 「クラスみんなで共通の目的をもって話し合ったり、役割を分担したりして、実現に向けて力を発揮しやり遂げる」という幼児教育で育つ力は、本来、生活科でもすごく大事にしてきたものである。
○ 学びに向かう力や人間性などが、生活科の基盤である。
○ 学びに向かう力を育成するためには、正しいか間違いか、できるかできないかで判断しないようなテーマや例で取り組むべきだ。子供は、自分が違っていると思った瞬間に、思い切ってできなくなる。
○ 遊びや生活という言葉が、どの年齢段階で具体的に何を示すのかということを整理する必要がある。

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