資料2 委員発表資料

中学校における特別支援教育の現状と課題

守谷市立御所ケ丘中学校   大谷 尚之


1 中学校における特別支援教育の現状

(1)特別支援学級における取組
 ○ 成果
 ・在籍生徒の個別の指導計画・個別の教育支援計画が作成されている。それらによって個に応じた指導や学習評価を工夫して成果を上げている。
 ・自立活動を行う中で不登校生徒が学校に復帰できるようになっている。また、集団不適応の生徒も集団の中に入れるようになった。
 ・交流及び共同学習が積極的に行われている。
 ○ 課題
 ・特別支援学級担当者が2~3年で変わっていく現状がある。教育課程の編成に毎年のように苦慮している。(各教育委員会、教育センターが対応)
 ・「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考に」「実情にあった教育課程を編成」では、教育課程の編成の手掛かりがつかみにくい。 
 ・教科担任制の中学校では、教科指導に重点が置かれ、キャリア教育の視点が乏しい。保護者の要望も強い。
(2)通級による指導の取組
 ○ 通級による指導教室が少ない背景 (中学校8386人・・約1割) 【第1回資料9p.3】
     以下のことが背景として考えられる。

 ・小学校での通級による指導により成果が上がり必要としなくなった。
 ・引き続き指導が必要な生徒は、中学校では、自閉症・情緒障害特別支援学級に入級し、「当該学年また下学年の教科等の内容+自立活動」で教育課程を編成、実施している。          88%(平成25年全特協全国調査より)
 ・自閉症・情緒障害特別支援学級の指導の形態において「生徒の状況によって、通常の学級の生徒と行っている」割合が78%
                                                (平成25年全特協全国調査より)

  ○ 中学校では学力向上(教科の補充指導)への期待が大きい。
(3)通常の学級
 ○ 現状
 ・学校教育法施行令第22条の3条該当生徒や発達障害の可能性のある生徒が在籍している。

 ・個別の配慮が必要とする生徒が約10%在籍していると思われる。

 ・この生徒たちへの授業への参加、理解について苦慮している現状がある。

 ・この現状に対して、すべての生徒の授業への参加、理解、習得、活用を目指し授業の焦点化、視覚化、共有化に力点をおいて授業改善に取り組んでいる学校が増加している。各都道府県の教育センター等で研究が進められており、研究会もでき全国的に広がっている。【第1回資料9 p.7】
 ・この現状の中で、特別な配慮が必要な生徒に対して、合理的配慮も明記した個別の指導計画・個別の教育支援計画の作成が必要になってくるがまだ不十分である。【第1回資料9 p.13~14】

(4)その他の課題
 ・個別の指導計画・個別の教育支援計画等の作成や合理的な配慮を提供するにあたり、学級担任や特別支援コーディネーター等の組織的な取組が不可欠であるが、十分に機能していない。
 ・中学校の校内支援体制が機能しにくい理由は、一つに校内組織が多岐にわたっている。
        (生徒指導・いじめ対策・不登校対策・教育支援・コンプライアンス委員会)
          これをどう統一していくかが課題である。
 二つ目は、発達障害等の特性が隠れて見えにくくなっている。(二次障害へ)教員の障害者理解(専門性)が問われている。生徒指導上、問題がなければ良しとしてしまいがちである。
 ・小・中学校間における支援の継続、連携が不十分である。 

 ・中学校特別支援学級から高等学校への進学者が増加している。【第1回資料9 p.12】
          知的障害特別支援学級     ・・・22%
          自閉症・情緒障害特別支援学級・・・26%(平成25年全特協全国調査)
          平成20年度・・・約150人  平成26年度・・・310人
                                                         定時制 92人
                                                         通信制 63人
                                                                  (茨城県調べ)

 ・この現状から、高等学校への個別の教育支援計画等の引継ぎが必要になってくるが、まだ不十分である。
2 提案  <教育課程の編成について>
 ・特別の教育課程編成の考え方や手続きを中学校学習指導要領や解説等で、分かりやすく具体的に説明する必要がある。【第1回資料9 p.18~19】

  <自立活動の内容について>
  ・自立活動の内容も更に分かりやすい実践的な説明が必要である。【第1回資料9 p.21】

  <個別の指導計画・支援計画について>  
  ・特別支援学級在籍生徒は、既に作成している現状がある。通常の学級における特別な配慮や合理的な配慮が必要な生徒についても作成の必要性を更に明確に示していく。(合理的配慮を盛り込んだ)【第1回資料9 p.16~17】
 ・特別支援学級の卒業生の進路先でもある高等学校でも、個別の指導計画・個別の教育支援計画作成の必要性を更に明確に示していきたい。また、高等学校においても、特別な教育課程が必要になってくるのではないか。

 ・支援計画をもとに小・中学校間の連携を密にするよう強く示したい。
 <通常の学級の中での配慮について>

 ・10%近い配慮が必要な生徒に対して、学習の補償を目指す授業の改善方法を教科ごとに具体的に示していきたい。【第1回資料9 p.7】ような実践を広めるよう示す。

  <校内の支援体制について>
 ・中学校学習指導要領総則の中で校内の支援体制が十分に機能するようなシステムを具体的に示していきたい。(校内組織の統一、特別支援コーディネーターと生徒指導主事のセット等)【第1回資料9 p.16~17】

 <障害者の理解について>

  ・共生社会の形成に向けた障害者理解教育の一つとして、道徳教育に明記したい。
  (4-3正義、公正、公平、差別や偏見のない社会の実現・・・この項目に障害者の理解を示したい)また、教科書の中に障害者理解の資料が取り入れられることが望まれる。
  ・学級経営の充実・・・支持的風土のある学級集団の醸成を強く示したい。

 

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(初等中等教育局特別支援教育課)