教育課程部会 特別支援教育部会(第9回) 議事録

1.日時

平成28年5月30日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 特別支援教育部会における議論の取りまとめについて
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会特別支援教育部会(第9回)

平成28年5月30日


【宍戸主査】  皆さん、おはようございます。時間になりましたので、第9回の特別支援教育部会を開催したいと思います。いよいよ大詰めで、委員の方々の意見を頂くのも今日が最後になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育部会の第9回を開催したいと思います。議事に入りますが、前回に引き続き、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があります。これを許可しておりますので、御承知おきください。
それでは初めに、事務局より配付資料の確認等をお願いいたします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  おはようございます。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。第9回の議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料3まで、それから参考資料を配付させていただいております。また、委員の皆様のみに机上に資料2の見え消し版という形で、赤字で修正したものを用意させていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申し出いただけたらと思います。
以上でございます。
【宍戸主査】  本日は資料2に基づいて御意見を賜るということが主になるかと思います。
それでは、事務局から教育課程企画部会ほかの検討状況につきまして御説明をお願いしたいと思います。
【西川教育課程課専門官】  それでは、失礼します。お手元の参考資料を基に教育課程部会の下にあります総則・評価特別部会と小・中・高等学校の学校種別部会の検討状況について、本部会の検討にも関係するものでございますので、御報告させていただければと思います。
参考資料として横に「学習指導要領改訂の方向性(案)」というものがございます。カラーになっているものでございますが、総則・評価特別部会等におきまして、今回の学習指導要領改訂の方向性、これまで昨年の論点整理、それから、各教科等における検討状況を踏まえて大きな方向性として現在整理しているものでございます。何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかということを明確にし、その中で開かれた教育課程を実現していく。また、各学校においてカリキュラム・マネジメントを実現していくという論点整理以降の方向性について、基本的にはこの1枚で御説明できるというふうに考えております。これを踏まえまして、何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかということを具体的に各小・中・高等学校の学校種別部会におきましては総則という形でどのように落とし込んでいくのかという議論をさせていただいております。
めくっていただきまして、裏面でございますが、「学習指導要領総則の構造とカリキュラム・マネジメントのイメージ(案)」というふうにさせていただきました。何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかということ。更に評価ということを考えますと、何が身に付いたか。実際に個々の子供の発達をどのように支援するか。そして、実施するために何が必要か。主には学校における学習の基盤や、家庭・地域との連携という趣旨でございますが、こういったものを総則の構造として位置付けていく必要があるのではないかという議論をさせていただいております。
これを踏まえまして、実際の総則のイメージということで、小・中・高等学校の総則について、一度各小・中学校の部会におきまして御議論いただいたものを添付させていただきました。まず3ページが現在の小学校の総則のイメージでございますが、右端にありますピンクなり、オレンジで色が付いている部分については、総則・評価特別部会で、こういった観点で論点整理を踏まえて総則についても改善していく必要があるのではないかという形で御指摘いただいた事項についてでございます。例えば学校生活の核となる教育課程の意義、あるいは小学校の教育課程全体を通じて育成する資質・能力であるとか、その他、カリキュラム・マネジメントの視点や、アクティブ・ラーニングの視点といったものをどのように総則の中に織り込んでいくのかといったことが検討事項として御指摘いただいたものでございます。
これらを踏まえまして、小学校については2度ほど御議論いただいておりますので、大きくなっておりますが、4ページ、5ページを見開きで見ていただければと思います。先ほど構造のイメージということで、何ができるようになるかから御紹介させていただきましたが、それを総則の第1から順にその趣旨のことを規定していくというような考え方に立ってはどうかということでございます。実際には、第1が小学校教育の基本として何ができるようになるか。第2が教育課程の編成、何を学ぶか。第3が教育課程の実施と学習評価、どのように学ぶか、何が身に付いたか。第4として個々の児童の発達を踏まえた指導ということで、どのように支援するか。更に第5として学習活動の充実のための基盤として実施するために何が必要かということをそれぞれ整理して位置付けていくというイメージでございます。現行の総則から大きく違っている分、変わっていきますけれども、特に幾つかのポイントについて御紹介できればと思います。
まず第1におきまして、3として小学校教育を通じて育成すべき資質・能力ということを規定するということを御議論いただいています。各教科ワーキングにおきまして、教科において育成する資質・能力の3本柱ということを御議論いただいているわけですけれども、これを踏まえて、小学校教育全体を通じて育成すべき資質・能力について、総則において位置付けていってはどうか。三つの柱、さらには、幼・小・中・高等学校全体を通じた上での小学校の位置付けということについて規定していってはどうかというような御議論を頂いています。
また、4として資質・能力の育成をするためのカリキュラム・マネジメントの実現ということで、今申し上げた何ができるようになるかということから始まった、そういったカリキュラム・マネジメントについて位置付けていく。具体的には各学校においてそういった目標というものをきっちり定めていく必要があるだろうと。
4の二つ目の中点を見ていただきますと、小さな字で恐縮ですが、各学校において学校教育目標を設定し、それらを踏まえて、教科横断的な視点で教育課程を編成していくというような趣旨を位置付けてはどうか。
さらに、第2としまして、教育課程の編成におきましては、今申し上げた学校教育目標に基づいた教育課程の編成ということの重要性というものを位置付けていく。さらに、飛びますが、3として、学校段階間の接続についても総則の中できちんと示していく必要があるだろうという御議論を頂いています。
また、第3、実施と評価の部分でございますが、一つは第2章に示す教科等の内容のまとめに基づきまして、育成すべき資質・能力について、どのように具体の計画にして指導していくのかということ。さらには、教育課程の実施上の留意点としてICTの活用ということについても整理をしていく必要があると考えています。また、個々の児童の発達を踏まえた指導ということについて、いわゆる個に応じた指導という観点の部分と特別な配慮を必要とする児童への指導ということについて、整理をして位置付けていく必要があるだろうという御議論を頂いていまして、また、5としては学習活動の基盤として学級経営の充実、あるいは校内の研修体制となりますけれども、そういったことについても、現行、総則には規定しておりませんけれども、そういったことをきちんと位置付けていこうという御議論を頂いております。
今回、総則についても各教科ワーキングでの御議論を踏まえて、大幅に改善していこうというふうに考えておりまして、これらを踏まえて特別支援部会におきましても御議論いただければ有り難いと考えております。
以上でございます。
【宍戸主査】  参考資料を基に、現在行われている学習指導要領の構造をこんなふうに見直していきたいということが、小学校、中学校、高等学校とそれぞれまとまりつつありますので、説明を頂きました。
それでは、特別支援教育部会として本日の議論の方に入りたいと思いますが、前回十分な時間がとれませんでしたが、特別支援教育部会における意見の取りまとめについて、前回に引き続き御議論いただきたいと考えております。前回の会議の際の御意見、それから会議後にペーパーやメールにて御意見を寄せていただきました。議論の取りまとめ案、今回の資料2につきましては、変更した点なども含めてまとめてあります。事務局から説明をお願いします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  それでは、資料2と資料3をまとめて御説明させていただきたいと思います。まず資料2でございますが、皆様のお手元に資料2と委員の皆様のみに資料2の見え消し版、前回の第8回資料から変更点を赤字、下線で示したものを御用意させていただいておりますので、主に見え消し版をごらんいただければと思います。また、前回の会議でも皆様から非常に短い時間でしたが、御意見を頂きました。それから、会議後にメール等にて委員の皆様から御意見を寄せていただきましたが、時間的な制約もあり、残念ながらまだ事務局で文言等を検討している途中でございまして、十分に反映できてないところが多々ございますので、その点を御了承いただければと思います。また、きょうの御意見を踏まえて、前回頂いた意見も引き続き検討していきたいと思っております。
それでは、資料2の方を御説明させていただきたいと思います。時間の制約上、変更点を中心に御説明させていただきたいと思います。1ページ目でございますが、「はじめに」のところは表現を少し修正したものでございます。
1ページ目の下の段の1の特別支援教育の意義でございますが、これは前回の御意見を踏まえまして、順番を1番目にインクルーシブ教育システムと変えさせていただいております。
ページをめくっていただきまして、2ページ目でございますが、これも前回御意見を頂いたのですが、表記の順番として、現在、特別支援学級、それから通級による指導、通常の学級というような形の順番で掲載しておりますが、この点についても通常の学級の後に通級による指導というような順番にした方がいいというような御意見もありましたが、引き続き検討しており、反映しておりません。
3ページに行っていただきまして、一番上の丸でございますが、特別支援学級の教育課程編成の課題ということを、表現を少し修正させていただきました。
通級による指導につきましても表現を修正させていただきましたが、四つ目の丸の中学校における通級の指導を受けている生徒の割合が低いというところで、最後の部分で、中学校段階でも継続して通級による指導を受けられるようにすることが求められるというようなことを追加させていただいております。
それから、通常の学級でございますが、二つ目の丸で、音韻認識や視覚認知の弱さ、協調運動の困難さに加えて、全部は御紹介できませんでしたが、委員から御意見を頂きました、対人関係、コミュニケーションの課題なども追加で加えております。
また、二次障害にも留意しながら指導することが求められるということを追加させていただいております。
最後に三つ目に「さらに」というところでございますが、最後の部分で、表現を配慮というような形で表現しておりましたが、「児童生徒の障害の状態等に応じた指導の工夫など」というような表現に修正しております。
進んでいただきまして、4ページでございます。4ページの一番上の丸でございますが、文部科学省では、これまでに高等学校における特別支援教育の充実に関する事業ということで、先日、委員から御紹介いただいた、過去に行った事業と、現在個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育事業というのを実施しているわけですが、この事業は特別の教育課程を編成してということで研究開発事業として実施しておりますので、そこを少し加えております。
4ページの下の段の5の個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成のところも赤字で書いておりますが、「児童生徒一人一人の教育的ニーズを明らかにしていこう」という中で、表現を修正しております。
それから5ページ目でございますが、真ん中ぐらいの2で幼稚園における特別支援教育ということで、三つ目の丸で表現を少し修正しております。ここも「『困難さ』とそれに対する『指導の工夫の意図』」ということで、以前、配慮としていたものですが、表現を修正しております。
また、幼稚園における特別支援教育は、第2回でも御議論していただきましたが、具体例が、課題はたくさん挙げていただいたと思っておりますが、すぐれた取組ですとか、幼稚園における特別支援教育の実践例とか、もう少し紹介できたらと思っておりますので、そういった事例などもお持ちの先生から少し御紹介していただけると有り難いと思っております。
6ページの高校における通級による指導についてでございますが、ここは赤字と下線が多くなっておりますが、表現を少し修正しております。
高校通級の三つ目の丸、下の段から一つ目の丸でございますが、「通級による指導と各教科等の指導に関する教師間の連携の在り方」ということを追加しております。
それから7ページでございますが、これは各教科の授業における取組でございますが、ここも幼稚園と同様に配慮という表現を少し工夫して、「指導の工夫」というような形で表現を修正しております。また、現在も国語の例を載せておりますが、更に各教科のワーキングの方で、それぞれの教科等における指導上の工夫について御議論していただいております。そういったワーキングの議論の状況なども踏まえながら、ここのところを引き続き整理していきたいと思っております。
8ページに行っていただきまして、8ページ目の真ん中ぐらいからは、「3.特別支援学校」でございます。ここも表現の修正でございますが、四つ目の丸で個別の教育支援計画、個別の指導計画について、前回の改訂で全ての幼児児童生徒に作成という改善を行いましたので、そこを加えております。
それから、9ページでございます。9ページの真ん中ぐらいの知的障害のある児童生徒のための各教科でございますが、こちらにつきましても委員から御意見を頂きまして、知的障害のある児童生徒の特性としまして、「生活に結びついた具体的・実際的な学習活動の下では指導内容が身に付く、など」という形で、加えさせていただいております。
三つ目の丸でも、「各教科の目標及び内容が大綱的に示されているため」ということを加えております。
さらに、四つ目の丸で「評価規準を設定し学習評価を行うことにより、学習指導の改善に生かす、先行的な取組が行われるようになってきている」ということを加えております。
10ページ目、(2)の改善の方向性のところですが、1の二つ目の世界保健機構が採択したICFのところは自立活動の方に以前あったところを移動しております。
それから、11ページ目でございますが、4の知的障害のある児童生徒のための各教科というところで、4の三つ目の丸で、「その際、各教科の目標の系統性を重視し、連続性のあるものとして整理する」という言葉を加えております。
四つ目も、前回連続性のところで御議論いただきましたが、教科の各段階の領域ごとに目標を示すということを加えております。
それから、下の段の六つ目、七つ目辺りも前回御議論いただいたことで、小学校第一段階について、第二段階の目標との系統性ですとか、幼稚園教育に示す内容との関連を踏まえ、発達の初期段階に関する研究なども参考にして目標を整理することが必要であるですとか、第一段階の目標と自立活動の目標との関連を具体的に解説するといったことを加えております。
もう一つ、各教科の内容について、これは現在、別途行っている社会・地理歴史・公民ワーキングでの改善の方向性で使っている表現に合わせて修正したものでございます。
12ページでございますが、これも前回御提案させていただいたところを一つ目の丸に書いておりますが、「既に各学部の段階の目標を達成している児童生徒のために、特に必要がある場合には、個別の指導計画に基づき、各学部に対応した学校段階までの各教科の目標及び内容について、小学校学習指導要領等を参考に指導できる」ということを加えております。
その下の二つ目は前回御意見が出たものでございますが、「教員が、教科別や領域別に指導を行う場合の基本的な考え方を十分に理解し、その上で、各教科等を合わせて指導が行われるよう、学習指導要領等における示し方を工夫することが必要である」ということを加えております。
三つ目のところも少し御意見がありましたことを踏まえて、最後の部分ですが、「将来の自立や社会参加に向けて必要な資質・能力を育成する視点が重要である」ということを加えております。
12ページの6の指導方法の改善・充実のところは、現在、総則・評価部会で使っている表現でアクティブ・ラーニングのところの表現を修正しております。
13ページ目でございますが、二つ目の丸で、ICTの活用について、これはこの部会でまだ余り御議論いただいてないところを事務局で加えさせていただきましたが、今、各教科のワーキングでも、以前、各教科等ワーキングの議論の状況を御紹介させていただきましたが、各教科でもICTの活用ということを今回重視しておりますので、そういった視点でも書く必要があるのではないかということで加えさせていただいております。もう少し具体的に書けたらと思っておりますので、この辺りも御意見を頂ければと思っております。
7のキャリア教育・職業教育の充実のところでは、最後の五つ目の丸でございますが、就労支援コーディネーターのことを紹介させていただいております。
4番の幼稚園、小学校、中学校及び高等学校と特別支援学校との連続性につきましては、前回の御意見や私どもからの提案を踏まえて、少し書かせていただいております。13ページの(1)は現状と課題ということで、転学が増えているですとか、中学校の特別支援学級から卒業後に特別支援学校の高等部に入学している子供が増えているですとか、それから、特別支援学校の教育課程では、様々な教育課程の取扱いがあるために小・中学校と特別支援学校の間での学びの連続性を確保することが求められているということを課題として挙げさせていただいております。
14ページでございますが、更にそういったことから連続性を分かりやすく整理して示すことが必要であるですとか、各学校でうまく円滑な接続が図られるように、個別の教育支援計画、個別の指導計画を基に、引継ぎですとか、活用についての考え方や留意点を示すことが必要であるということを加えさせていただいております。
5番の特別支援教育の改善・充実を支える方策ということで、5番につきましては、前回箇条書で示させていただいておりましたが、特に後段の15ページ以降、少し具体的な文章を書かせていただいております。この辺りも委員の先生から頂いた意見を基に特別支援教育コーディネーターの役割といったことですとか、学校における教員定数等の改善、それから、小学校、中学校、高等学校への相談や支援体制といった、特別支援学校のセンター機能のこと。それから(3)としまして、やはり学校だけではなく、家庭や地域、関係機関との連携ということで、開かれた教育課程にふさわしい、そういった連携や協力が求められるといったことですとか、支援に当たって、特に医療、福祉、労働行政との協力や支援が一層求められるといったことを加えております。
また、前回、外国籍のお子さんが増えているということも踏まえまして、こういった国際化への対応ということも求められてきているということを加えさせていただいております。
(4)としまして、高校入学者選抜ですとか、大学入学者選抜における調査書の改善ですとか、これはお願いすることになりますが、雇用の改善ですとか、最後に16ページとして、教科用図書、教科書や教材支援機器等の充実ということで、以前から行っていることや、昨今、文部科学省で取り組みました学習上の支援機器のことですとかということを紹介させていただいております。
(6)としまして、これから学習指導要領を改訂して、新しい学習指導要領の下で実施することになりますが、そういったものをきちんと実態把握して、そういった教育課程の改善・充実につなげていくということを支援していくということの必要性ですとか、更にもっと長期的な視点で、将来の学習指導要領の改訂に資するような研究や把握・分析が必要だということを書かせていただいております。
議論の取りまとめについては以上でございます。冒頭申し上げましたが、まだ十分に反映できてないところがございますので、現時点のものということで御議論していただければと思います。
時間がない中で恐縮でございますが、もう一つ、資料3をごらんいただければと思います。横長の資料3の「特別支援学校学習指導要領改訂の方向性(案)」ということで御用意させていただきました。
最初の目次にあります1、2は先ほど教育課程課から御紹介させていただきました総則・評価部会での現在の議論の状況に関連する資料でございます。先ほど御紹介したとおり、総則・評価部会等におきまして、小学校学習指導要領の総則の在り方について現在議論しているところでございます。
それを踏まえまして、6ページになりますが、特別支援学校の学習指導要領の改善イメージということで、少し小学校の改善の方向性を参考にしながら、事務局の方で用意したものが6ページの資料でございます。これは表題が正しくないところがございますが、特別支援学校小学部・総則の改善イメージとなっておりますが、現在、先生方御案内のとおり、特別支援学校の学習指導要領は特別支援学校小学部中学部学習指導要領というような形になってございます。今回、御用意したのは、小学校との関連で作らせていただいておりましたので、小学部に関連する部分を抜き取って作ったものでございます。
また、中学校なども参考にしながら、中学部を作って、小学部、中学部というような形で一体となったような構成になろうかと思っております。
まず、先ほど御紹介しましたとおり、小学校総則部会で、今、小学校学習指導要領について検討を行っておりますが、このページでは赤字部分が小学校の改善を踏まえた、同じように特別支援学校でもこういった改善が必要であるということで書かせていただいております。
青字部分が現在の特別支援学校独自のといいますか、小学校学習指導要領にはなく、特別支援学校学習指導要領に掲載されているものでございます。小学校の改善の方向性を踏まえつつ、全体の構成ですとか、こういったものも必要だということで、これまで特別支援教育部会で様々な御意見を頂いたことも総則の方に反映させていきたいというふうに考えております。
また、教育課程の連続性ということで、特に教育課程の編成、第2の辺りが総則・評価部会でも今議論いただいておりますが、特別支援学校でも、例えば重複障害の児童生徒のための教育課程の取扱いについてということで、現在、第4の2辺りで御紹介しておりますが、どこに書いた方がより学校現場の先生に読んでいただけるのかということも踏まえて、また検討していく必要があるというふうに考えておりますので、こういったところも御意見を賜れればというふうに思っております。
最後に、1ページめくっていただきますと、ページが1ページとなっておりますが、このページ以降が現在の幼稚園、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領と特別支援学校学習指導要領の比較でございます。下線の部分の直線のところが特別支援学校学習指導要領に記載がない、幼稚園、小学校のみにある部分、それから、ちょっと見にくいのですが、波線の部分が特別支援学校学習指導要領のみに記載されている部分ということで、これは現在の学習指導要領を整理して載せたものでございます。御参考にしていただければと思います。
資料の説明は以上でございます。


【宍戸主査】   それでは、今の事務局からの説明を踏まえまして、意見の取りまとめ、資料2について議論を行いたいと思います。全体を二つに分けて議論したいと思います。前半は特別支援教育の意義、それから、幼稚園、小・中学校、高等学校における特別支援教育ということで、「はじめに」も含めて、1番と2番のところについて御議論をお願いしたいというふうに思います。後半では、3、4、5と今説明のありました特別支援学校の学習指導要領のうちの小学部のイメージ案についても御意見を頂ければと思っております。全体を二つに分けて行うということで、時間をとりあえず前半は10時5分、10分辺りをめどにお願いしたいと思います。
それでは、議論に入りますので、御意見のある方は名札を立てていつものような形でお願いしたいと思います。金谷委員からお願いします。
【金谷委員】  資料2の幼稚園、小学校、中学校、高等学校の現状と課題の幼稚園というところで、現状についてが、言葉が中途半端で終わっちゃっているような感じがするので、少し加えていただきたいなと思っている点が何点かあります。加藤先生からも後で御意見があると思うので、私はまず1点だけ。
2の「半面、乳幼児健診などの情報を得ることが難しく、入園当初からの支援に苦労している園もある」とありますが、だからこそ、医療、福祉等関連機関との連携がなお一層求められるというような文言をもう少し足していただければと思います。それは改善の方向という方に反映させていただけるといいなと思っています。
【宍戸主査】  加藤委員、お願いします。
【加藤委員】  今、金谷委員がおっしゃったことにつながることですけれども、特に幼児期の問題ということで言わせていただきますと、子供たちの一人一人の対応とか、個別的な対応とかというような言葉があちこちにあるわけですけれども、この時期からしっかりと子供のアセスメントといいますか、発達に基づいたアセスメントというのをしっかりしていかないと、なかなかそうした一人一人のとか、個別的なというような言葉につながっていかないのではないかと思います。ですから、そういう意味ではその辺のことについても少し触れないと、言葉が分かったような形で上滑りで行ってしまうのではないかという気がして、実際的に実効性のある変革、対応にはなっていかないような気がしています。そういう意味で、是非その辺についてもどこかで触れていただけるとよろしいかと思います。
それから2点目ですけれども、今の2ページの話ですけれども、文言が駄目だ、うまくいっていないというだけで終わってしまっているので、これについても、だからどうしたらいいというような、少し方向性が、光が見えるような表記にしていただくとよろしいかと思います。特に三つ目の丸のところで、保護者とのコミュニケーションがうまくいかないという話ですけれども、それはひたすら何かこの文章を読みますと、保護者が駄目だというような印象を得てしまうのですけれども、そんなことはないわけで、学校側といいますか、幼稚園側の対応の在り方、あるいは理解の在り方、特に先ほど申し上げましたアセスメントという意味でいけば、指摘されていることが何を根拠にして言っているのかというのは、昨今の親たちというのはそれなりの視点なり、スキルを持った親たちが結構いますので、教員側がしっかりとした科学的なアセスメントに基づいた根拠のある指摘なり、問題提起をしていかないと、教員との信頼関係というのが崩れちゃいます。そういう意味でも親だけが駄目だというような、そういう話は何も解決にならないというふうに強く思いますので、その辺についての表現の仕方についても、是非御検討、修正していただけたらよろしいかと思います。
【宍戸主査】  現状と課題について、読み手がどういう読み方をするかということも含めて表現を工夫してほしいということと、方向性についても述べてほしいという意見かと思います。
川合委員、お願いします。
【川合委員】  これはこの部会で話し合えなかったことかと思うのですけれども、つい最近成立しました改正発達障害者支援法についてだと思うのですが、小・中学校で、今後発達障害児の個別の指導計画の作成を進めていくような義務付けがなされるということと、卒業後の支援の在り方についても義務付けがされていくということになってまいります。私も不勉強でこれがいつ施行か分かっていないのですけれども、成立したということを踏まえての今後の支援の在り方、小・中学校における発達障害のある子供への支援の在り方というのをもう少し具体的に書いていく必要が出てくるのではないかと思われます。ここは時間がない中でつい25日に成立したというのがあるのでというのもあるかと思いますが、少し考慮する必要があると思いました。
あと発達障害者支援法に絡めてですけれども、これはここの教育課程とはちょっと関連しないかもしれないのですけれども、施行令の第1条の中では、言語の障害、協調運動の障害ということで、小学校の中にも、そういった明らかな障害とはされていないもののということで書いていただいているわけなのですが、そもそもの厚労省は既に発達障害の一部として言語障害というのを取り扱い始めているのですけれども、教育の場、文科省ではどのように言語障害を取り扱っていくのかということも今後考えていく必要があるかと思いました。
あとは細かい点で、文言についてですけれども、3ページについて、通常の学級の中にいわゆる二次的障害についても留意をしながら指導を行うというのが、二つ目の丸の中に付け加えていただいておるのですが、3のその下の高等学校の中に二つ目の丸の一番下ですけれども、自尊感情の低下等の二次的な課題ということが3ページから4ページにかけて書かれております。ここについては、後で通常の学級の方で二次的障害という言葉を付け加えていただいたのでというのもあるかと思いますが、同様の意味ということですので、通常の学級のところを例えば自尊感情の低下等の二次的な課題(二次的障害)として、高等学校の方を二次的障害としていただくと流れがスムーズかなというふうに思いました。細かい点と大きい点ですが、以上です。
【宍戸主査】  中田委員、野口委員の順でお願いします。
【中田委員】  大きい話が二つあるのですが、一つは、後半の議論ということになっていますが、10ページの特別支援学校の改善・充実の方向性の中の改善の基本方針の上から2番目の丸で、WHOのICFについてなんですが、ICFに関する記述を特別支援学校の改善の基本方針という論点だけでいいのかというのをこの間私は言ったつもりだったのですけれども、実は幼稚園、小学校、中学校及び現在話題となっている2番のところです。高等学校における特別支援教育の改善・充実ですから、5ページの改善・充実の基本方針のところにも実情に合った記載があるべきだろうと。もっと広く言えば、最初の特別支援教育の意義というところです。障害観の完全なパラダイム転換のような側面があると思いますので、その辺の意義について大きく特別支援教育の意義で説明しておいて、それぞれの改善充実方策のところでももう少し具体的にやっていかないと余り定着しないのではないかと思いますので、記載の仕方について、特別支援学校の論点のみでICFを語るということではなくてという方向で検討していただきたいと思います。
以上が1点目です。
もう一点は、8ページの3の小学校及び高等学校までの特別支援教育の最後です。8ページの7です。校内体制。校内体制については、課題の記述とこれがほとんど前進していない印象がどうしてもあるのです。私の読み込み不足かもしれませんが。校内体制についてこれからはこうやっていくという部分ですので、従来の論理の繰り返しではなくて、新たな論点、例えばですが、2ページ目の特別支援教育の意義の最後のところに合理的配慮についての記述があります。ここで合理的配慮については児童生徒や保護者と建設的な対話という言葉が出てきますよね。合理的配慮の問題だけ対話するということはほとんど組織的には不可能なので、日頃からやっていないと実効性が上がらないのは当たり前ですので、校内体制のところに生徒、保護者との対話というような論点も組み込んだ形でやっていかないと、どうも校内体制はこれからどうやっていくのかというと、今までどおりやっていればいいような印象がありますので、その辺は合理的配慮の問題もありますし、アクティブ・ラーニングの話もあります。学校の組織として対話は余り重視しなくて、授業だけ対話をしましょうというのも、何かこれもおかしい感じがしますので、対話とか、参加とか、協働という形で一歩踏み込んだ表現を盛り込むべきだと思います。
以上です。
【宍戸主査】  校内体制のところは検討していく余地があるかと思いますが、その前段にありましたICFの問題について、何か事務局ありますか。今のところ。特別支援学校だけではなくて、もう少し広く記載した方がいいのではないかという意見がありましたが。
【太田特別支援教育課課長補佐】  現時点でこういうふうにしたいというものはまだ持っておりません。今日頂いた意見を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
【宍戸主査】  中田先生、何かありますか。
【中田委員】  1点だけ。障害について余り考えてこなかった人にとって、ICFという考え方は、逆に非常に分かりやすいところがあります。生活機能上の問題は誰にでも起こり得るものなので、ICFは特定の人々のためのものではなくということで、連続的な側面があります。是非うまく盛り込んでいただいて、障害についてきちんと考えていくという構えを全ての人にやっていくためにはとても重要なコンセプトだと思いますので、是非前向きにどんどん取り込んでいただきたいと思っています。
以上です。
【宍戸主査】  障害の見方、考え方について一般の方々にも理解していただく一つの手だてとして考えてみてはどうかという意見かと思います。
野口委員、お願いします。
【野口委員】  2点あります。1点目は具体的にどこという話ではないのですけれども、震災前に2年間ほど仙台市の方の指導困難学級ということに関して取りまとめをさせていただいたのですが、あと一方で、仙台市の巡回相談ということで小・中学校も十数年、回らせていただいていて、中で、実際に指導困難学級、あるいはそこまでいかなくても、少し大変な状況になっているという学級が少なからずあると。幾つかそういった状況が起こるのにはパターンがあるかと思うのですが、そのうちの一つが、少し気になるのが特別支援教育にすごく熱心な先生の学級でそういった状況が起こっているということがあります。支援が必要な子供たちに一生懸命関わろうとする先生が、その子たちに一生懸命関わるが故にほかの子供たちが耐え切れない状況になっているというか、そういったことによってクラスが大変な状況、あるいはそこまでいかなくても、子供たちが爪をかんでいるとか、そんな状況が起こっているというのが実はあります。
何が言いたいかといいますと、特別支援教育に関してかなり明確に書いていくということで、先生方の意識がそちらに向いて授業に取り組んでいただけるというのは、もちろんそれはすばらしいことなのですけれども、一方で、クラス全員の方にきちんと目を向けていくのだということも考えていかないと、実は二次的な障害のことも含め、障害理解のことも含め、正しい方向には行かないのではないかなという、そういった思いがあります。ですので、そういった点について特にというわけではないのですけれども、念頭に置いていただけるとよいという、そういった思いがあります。
もう一点は、コーディネーターの件ですけれども、コーディネーターの先生方も特別支援学級を担当しながら、あるいは通常の学級を担当しながらということで、かなりお忙しい中でいろいろ努力されております。仙台市の中では実は2校ほどですけれども、比較的フリーな形でコーディネーターを担当できるという、そういった学校があります。そこは実は先生方、かなり一生懸命されていますし、非常にいい形で物事が進んでいるということがございます。ですので、コーディネーターに関して少し具体例を調べていただいて、どういった形が望ましいのかということについて、実際には不可能な部分もあるかもしれないのですけど、少し方向性を示していただけるとよいかと思っております。
以上です。
【宍戸主査】  コーディネーターの件、それから、先ほどありました障害のある子だけではなくて、周囲の子供との関わりも含めて、何らかの形で付け加えていただけると有り難いという意見だったと思います。
村上委員、お願いします。
【村上委員】  どこの部分の議論になるのか、よく分からないままに発言します。全体を通してになるのかもしれません。資料1のところで、アクティブ・ラーニングと括弧書きでわざわざ出て、視点に立って指導と。今見え消しの部分等も含めて、先日送られてきたのを読んでみても、アクティブ・ラーニングの視点に立った何かポイントというか、それがどうも見えないというか。大きな意味で今アクティブ・ラーニングは大事なことですし、特に大学などで一番大事ではないかなと思っているくらいです。では、特別支援教育、小学校、中学校等も含めて特別支援教育の中でのアクティブ・ラーニング的な視点と、それから、カリキュラムのマネジメントというのを、どのような形で反映するのかというのがどうも議論の中でなかなか見えないというのが率直な印象です。そうなると、大きく枠組みとしてアクティブ・ラーニングということを出していますので、その取扱いについて大枠を最初の方にでも言っていただけると分かりやすいかと思いながら、先日来送られてきた資料を読んでおりました。私の読み込みが足りないのかもしれません。
以上です。
【宍戸主査】  アクティブ・ラーニング、それから、カリキュラム・マネジメントもそうですが、特別支援教育とか、特別支援学校としてどういうふうに考えるか。ここで書くか、解説等、また具体的に時間を持って検討した上で書くかということがあるかと思いますけれども、そういう視点も考えてほしいということかと思います。
田中委員、品川委員の順でお願いします。
【田中委員】  私は、個別の指導計画と個別の教育支援計画についてなのですが、これらの活用、評価、計画の見直し等につきまして記述していただいております。現状と課題の4ページの5にも書いてございますし、それから、改善・充実の方向性でも7ページ、5で記述していただいております。これについて、今までも議論になったのですが、誰が評価し、進めていくかというところなのですけれども、学校だけでは非常に厳しいものがあるというのが現実だと思います。ですので、個別の指導計画については、通常の小・中学校であれば、そこに特別支援学校のコーディネーター等の力を頂いたり、また、教育の専門家に入っていただいたりする。更に個別の教育支援計画については、医療、福祉等の専門の方のお力も必要かと思います。そのような外部の専門家による第三者評価の視点まで記述していただけると有り難いと思います。特に6ページの高等学校における通級指導に関しましては、この個別の指導計画に基づいた指導がもしも卒業単位になるということであれば、なおさら、ここのところは強調されるべきかと思います。
以上です。
【宍戸主査】  品川委員、お願いします。
【品川委員】  事務局におかれましてはすごく分かりやすくまとめていただいてお礼を申し上げます。
申し上げたいことが3点ほどあります。これは私、資料を出すのが遅かったので、いたく反省しているのですが、今回の学習指導要領の変更において一番大事なのは、実は意義のところだと思っているのです。特別支援教育の意義が大きく変わったからこそ、指導要領というのは変わってくるわけで、企画特別部会でもその議論がすごくなされているのですが、これを拝読すると、意義のところがすごく少しだけで、残念に思っています。前回も申し上げましたし、先ほど中村先生もおっしゃっていましたが、ここでこそ障害観が変わったということをしっかり打ち出す必要があるというふうに私は考えております。先ほど1のところにICFモデルをという御意見があって、全く同感で、ここにこそ障害というのは医学モデルから社会モデルに変わったのだ。だけど、社会モデルということはただ単に環境因子を何とかするという話ではなくて、環境因子ももちろん変えていくけど、個人、コーピングスキルも付けていくのだという、あのモデルがあると、あらゆることの説明がつくのです。
過日、ある自治体の特別支援学級と通級指導教室の新任になられた先生の研修をやったときに、300人ぐらいいらしていたのですが、ICFモデルを御存じの方といって「はい」と手を挙げられた方がたった4人しかいらっしゃらないのです。それでどういう教育をしていかなきゃいけないかという話をしましたら、その後、相変わらず特別支援教育はゆっくり、丁寧に、分かりやすくやるものだと思っていらっしゃる方が非常に多いのです。そうではなくて、実は一番科学的根拠を持っているのがこの分野なのです。認知神経とか脳科学とか、私のようにディスレクシアをずっとやっていますと、発達障害の取材とかをずっとやっていますと、海外ではワーキングメモリーの専門家が入ってきて、認知神経の専門家が入ってきて、一番エビデンスが詰まれているのはこの分野なのに、なぜかそういった書きぶりになっていないのが非常に残念であるというふうに思っています。そこは是非突っ込んで書いていただきたい。これは何につながるかといったら、実は、今、田中先生がおっしゃった例えばアセスメントなのです。いかにエビデンスベースのアセスメントができるかということがこれからものすごく大事になってくる。それが実は支援計画も大事なのですが、私はまさに指導計画だと思って、いかに指導していくか。そこにアセスメント。アセスメントだけではなくて、心理検査をやれば全部分かるわけではもちろんないわけで、やはり教員が行動観察できるというか、教員が子供の教育的ニーズを見ることができる目を育てていくということも大事かと思っています。それがまず1点目です。
それから、少しつながるのですが、今度ここに2ページ目のところに合理的配慮ということを書いていただいているのです。これも慎重に書かなければいけないのは、合理的配慮というのはやればいいという問題ではないし、これは前の特別支援教育の在り方を考える委員会のときに、しっかりと、一つの合理的配慮をずっとやるわけではないのだ、子供の発達に応じてこれは随時変えていくものだと入れているにもかかわらず、全く知られていなくて、1個やったらずっとやればいいとか、あるいは発達障害、特にLDのお子さんだったら、ディスレクシアのお子さんだったらICTを渡せばいいのだという、iPadとか、タブレットができれば、それで問題は解決だというような、非常に偏ったというか、誤解に基づいたところがものすごい勢いで広まっているので、そこも書きぶりは慎重にしていただく必要があるかと思っています。
とりあえず以上です。
【宍戸主査】  続いて、山中委員、一木委員の順でお願いします。
【山中委員】  現状と課題のところの通常の学級のところで、音韻認識とか、視覚認知の弱さ、協調行動の困難さ、対人関係、コミュニケーションの課題などというのは具体的に挙げていただいたので、通常の学級にもこういう子供たちがいるというのが明確になったところはとても有り難いところだと思います。ただ、通級の方の指導のところで、6ページのところです。最初の丸のところの最後の部分で、「『通級による指導』と各教科等との関係性をわかりやすく示す」というふうに書いていただいたので、通級による指導で、各教科等との関係、そういったところを具体的にやらなければいけないということが分かってくると思うのですけれども、先ほど通常の学級でこういう課題のある子たちがいるということが分かってきたということで話をしたのですが、通級、特に学習障害とか、注意欠陥多動性障害、自閉症などの子供たち、通級指導の自立活動でどういったことを教えていくのかという具体的な内容というのはまだまだこれからだと思うのです。特別支援学校に自立活動がもちろんあるのですけれども、通常の学級での課題というようなことを考えていくと、通級による指導の自立活動というのは、自立活動のくくりでももっと違う側面があると思うのですが、教科との関連性だけではなくて、自立活動のところが、通常の学級での課題とか、そういったことともう少し関連させたように書き込んでいただけると、通級による指導が今後目指していく指導内容の方がもう少し具体的になるかと思いました。
以上です。
【宍戸主査】  一木委員、お願いします。
【一木委員】  用語について1点です。今お話しいただいたことと関連するかと思いますが、通常学級ですとか、幼稚園、それから高等学校も含めまして、実際必要とされる指導、これは自立活動を意味するのだろうということ。だけれども、自立活動の4文字が出てきていないという記述があるかと思います。例えば当該生徒の障害に応じた特別な指導ですとか、幼稚園で気になる幼児の課題を総合的観点から継続的に実態を把握するための視点。実際自立活動が生かせる部分だろうと思うところです。本部会でも自立活動の必要性については多々意見が出てきたところですので、是非積極的に自立活動という文言を用いていただければと思うところです。
以上です。
【宍戸主査】  大谷委員、金谷委員、そして、川合委員、安藤委員という順でお願いします。
【大谷委員】  通常学級の現状と課題というところで3点挙げられているのですが、それの改善・充実というところで、通常学級については、改善と充実の中では教科の授業においてという点しか書いてないのですけど、二次障害であるとか、こういう指導をする基盤は野口委員からも出たと思うのですけど、学級経営をきっちりと担任がやっていくというのが基盤ではないかというふうに、通常学級の中にそういう学級経営をきっちりやるという視点を是非とも記入してほしいというのが1点です。
もう一つは、これも中田委員からあった校内体制について。やはりこれは現場としては一番喫緊の課題で、特に中学校はまだ機能していない。そういう意味でももっと突っ込んだ、特に校長がリーダーシップをとってやっていくのだという。特に中学校の校長がこれはやらなくてはいけないというような記述を是非してほしいと思っています。
以上です。
【宍戸主査】  金谷委員、お願いします。
【金谷委員】  この部会でも全然出てこなかったことで、どこかで触れていただきたいと思っていることがあります。それは災害への対応ということで、学習指導要領でどこにそういう災害への対応とか、そういうのが出てくるのか、調べていただいたのですけれども、中学校の学習指導要領の保健体育、ここには載っているということなのですけれども、3.11の東日本大震災のときも手帳を持っていらっしゃる方の死亡率がすごく高かったということも踏まえて、防災教育とか、そういう災害等の危機への対応、そういうものをどこかで触れていただいて、全国どこで災害が起こってもおかしくないという状況ですし、特別支援学校が福祉避難所になるというような状況になってきていますので、そういうことも含めて、そういう災害が起こってしまったときの対応と防災的な、それ以前にどうするかという問題について、安全教育的なことです。そういうことに是非どこかで触れていただきたいと思います。
以上です。
【宍戸主査】  川合委員、お願いします。
【川合委員】  校内体制というところと、ICTの活用というところについてなのですが、校内体制についてコーディネーターを中心ということはもちろん大事なのですけれども、コーディネーターが孤立したりとか、コーディネーター自体がどういうふうに専門性を高めていくかというところの研修体制がうまく機能していなかったりとか、あとは特に小・中学校等においては、野口委員からお話がありましたように、担任しながらコーディネーターをするということで専任ではない方が多いかと思いますし、地方に行きますと一人しかいないということで、指名されたけど、よく分からないということもありますので、そういった特別支援教育コーディネーターを支える体制というところも教育委員会との連携の中でやっていく必要があるということも何か文言としてあった方がよいのかということ。
あとは特別支援教育に係る支援員ということが特にこの中では記載されていなかったように思うのですが、学級担任と支援員についてのコミュニケーションであるとか、支援員の専門性向上であるとか、そういったところもやっていくことで、特別支援体制というものが通常の学級の中でも、あるいは通級。特に今後、高校における通級というのが始まるということなのですが、特に高校の先生にいきなり通級、指導教室の担当をやりなさいといってもなかなか難しいところがあると思うのですけれども、例えば小学校の通級指導教室で長らくやってこられて退職された方に支援員として入っていただいて、どういうふうに言語障害、発達障害の子供等に対応していくかということを何か学び合える機会を設けるとか、そういう活用の在り方ということも併せて考えていくと、特別支援教育体制というものがとりやすいのかと思いました。
あとはICTの活用のところですが、ICTの活用については、誰が活用するのかというところを、先生も活用するし、子供たちも活用できるようにというふうにしないといけないと思うのですけれども、まずは先生方がICTを使うことの意義、あるいは教育効果、こういったことをまずは実感を持つ機会を設けないと、活用しないといけないと書いているものの、実際先生が日々忙しい中で新たなことにチャレンジするかというと、なかなかしないと思うのです。そういった意味では、活用することの意義や意味が持てる機会にどういうふうに持っていくかということも大事ですし、あとは、先ほどワーキングメモリーの話も出てきましたけれども、拡大教科書であるとか、教科書をICTを用いて拡大表示することの意義ということですけれども、単に字が大きくなって読みやすいですというふうに思われる先生が多いのですけれども、そうではなくて、文字が大きくなることで、表示される情報が限定されるということで、いわゆるワーキングメモリーが弱いお子さんでも限定された情報の中で読み取る。それによって書かれていることが理解しやすくなるという効果もあるわけなのです。ですから、そういったICTの効果というものが、こういうことが実はあるのですということをきちんと先生方にお伝えする機会をどういうふうに持つか、このあたりも突っ込んで考えていかないと、活用しましょうと書いているけれども、なかなか現場が動かないのではないかなというふうに思いました。
以上です。
【宍戸主査】  具体的にワーキングメモリーという言葉を使うとか、支援員という言葉を表記するとか、そこまで行けるかどうか分かりませんけれども、そういうことがいずれどこかで話題になるような形での芽出しをしていくような工夫はあるとよいかと思います。
安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  大分時間も押していますので、私の方から、先ほど一木委員からの指摘がありましたことについて、少し具体的にお話しできればよいかと思っております。自立活動については、これまでの議論を踏まえ、極めて重要な領域であるということは、皆さん、多分同意されるところであると思うのですけれども、やはりこの中で、自立活動という用語を明示するということは非常に重要であるという観点に立ちますと、2ページに特別支援学級について自立活動という文言が出てございます。これは現状と課題です。ほかに改善・充実の方向性というところで、同じように探してみますと、このことについて記載がないということを考えますと、是非具体的なところに自立活動という文言を入れてみてはどうかと思います。
例えば6ページの一番上のところです。通級による指導。先ほどは特別支援学級ですけれども、高等学校にも今後導入されることを考えた場合、より具体的にそれを示すという意味では、この辺りが一つ適当かと。例えば2行目の改善・克服する自立活動の指導であることをより明確にするためというふうにすれば、内容そのものはまさにそれを指し示している問題でありますので、そこに入れても特に支障はないのではないかと。具体的にお話し申し上げました。
以上です。
【宍戸主査】  小・中学校の方に特別支援学校の指導の領域である自立活動についてということもどこかで知っていただくような名前を書くということも必要ではないかという意見かと思います。
砥柄委員、お願いします。
【砥柄委員】  ありがとうございます。私の方から2点ありますが、1点目は、先ほど中田委員、それから品川委員の方からお話があったICFの考え方をもうちょっと前面に位置付けてやる必要があるということが1点目です。そのことと合理的配慮の言葉の説明というか、その関連付けをその中できちんとやる必要がある。今、かなり現場でもそういう声が求められているところがあるものですから、そこは是非記述の形でお願いできればと思いました。
2点目は、今回、最後ということなので、どこでどういうふうに言ったらいいのかというのが出なかった、ちょっと自分の反省もあるのですが、特別支援学校の知的障害教育の中に自閉症の子供たちの割合がかなり多いのですが、そのことへの自閉症の特性への配慮、教育課程も含めて、その部分が今回は学校教育法自体も障害種別で自閉症というのは取り上げられていませんので、今後のこととして実態に合った教育課程編成という意味で、また課題としていただければ有り難いと思っています。
以上です。
【宍戸主査】  今、知的の方に自閉のお子さんも多いのではないかということで、これは以前から話題になっていました。次の後半の部分で特別支援学校の教育課程についても御議論いただきますので、その中で関連することがあればお出しいただきたいというふうに思います。
とりあえず前半の部分は以上で打切りにして、後半の方に移りたいと思いますが、よろしいですか。先ほどから出ていますICFの問題、それから合理的配慮との関連につきましては、事務局の方で、特別支援教育の意義というところにどのように書けるかということも含めて、御検討いただければと思います。それでは、後半の、今度は大きな数字で3、4、5に移ります。併せて資料3の特別支援学校の総則のイメージも示してありますので、それも加えて御意見を頂ければと思います。
尾崎委員からお願いします。
【尾崎委員】  私からは、特別支援学校全体に関わることで2点、知的障害教育に関わることで2点お話ししたいと思います。全体に関わることで言えば、10ページの2の小学校等に準じた教育課程の中で、学習評価のことが書かれています。現行の特別支援学校の学習指導評価も小・中・高等学校に準じて行うということは明記されてはいるのですけれども、実際学習指導要領の解説の中には、残念ながら観点別学習評価の解説がないのです。ということは、後半の中教審で言っている一人一人の学習状況を一層丁寧に把握し、工夫が必要であると、これは書かれているのですけれども、それをそのまま受けてということなのです。そうすると、結果的には、学習評価が目標に準拠したとか、観点別に評価するということが一般的に行われていなくて、個別計画上の目標とか、学習状況を丁寧に把握するということが行われて、それが学習評価だというふうになっていますと、考え方が通常の教育の学習評価の考え方と異なってしまうというおそれもあります。
今回は、評価の在り方も、小学校等々の評価の在り方と同じように変わっていかないと、インクルーシブ教育における特別支援学校の教育は担えませんので、そこはきちんと強調してほしいというのが1点目です。
それからもう一つ、12ページの指導方法の改善・充実のことです。先ほど村上委員からも出たアクティブ・ラーニングの件なのですが、私も、ただこのように書かれているとそうしなさいと言っているだけで、具体的には何も分からないということがあります。それで、是非検討していただきたいのは、本文に書くのか、解説に書くのかはともかく、障害種別にアクティブ・ラーニングの主体的、対話的な学びというのは具体例をどういうことが必要なのか、それを是非記述していただきたいと思います。話として前に合理的配慮についても障害種別にどういうことが考えられるのだということを書いたことによって、特別支援学校でも合理的配慮をするのは当たり前だという理解が非常に広まったという経緯もありますので、そこも踏まえていただきたいのが1点目です。
大きな2点目は、知的障害教育に関わってです。9ページのところに知的障害のある児童生徒のための各教科の考え方、それから、前向きに書いてほしいというようなこと。理由も入れてほしいというようなことを全て入れていただきました。ありがとうございました。ただ、一つだけなのですが、一番下の丸なのですけれども、これは各教科と併せた指導を行う場合でも、各教科等で行う場合でも、学習評価というのが行われれば、学習指導の改善に生かすということができるのだということを実践していますので、そこは明確にしていただきたいというのがお願いです。
それから、それに関連して、12ページです。12ページの見え消し版の上の二つ目の丸なのです。赤字で書いてあるところなのですが、「教員が、教科別や領域別に指導を行う場合の基本的な考え方を十分に理解し、その上で、各教科等を合わせて指導が行われるよう」というような、これについては賛成なのです。ただし、プラス教科等を合わせた指導を行うことによってのメリットもたくさんあるのです。特に今回教科等横断的な資質・能力をどう身に付けるかというようなことも議論されていますし、アクティブ・ラーニングということも議論されているので、ただ単に考え方を十分理解するだけではなくて、合わせて指導を行うよさみたいなものもきちんと論説してほしいというのがお願いです。
以上です。
【宍戸主査】  幾つか御提案がありましたが、まとめに書くことなのか、解説等で具体的に示すことなのか、その辺はまた事務局で検討していただければと思います。
堀江委員、村上委員の順でお願いします。
【堀江委員】  それでは、13ページのキャリア教育・職業教育の充実の一番下の赤で書いてあるところの就労支援コーディネーターの配置というところなのですけれども、これについて、実効性ということを考えたときに就労支援コーディネーターの資質ですとか、養成ですとか、そういうことをきちんと検討する必要があるということを書いていただいた方がいいと思います。就労支援の現場で見ていますと、どうしてもここに企業や労働機関と連携したということ、そして、就労支援コーディネーターという言葉があると、就職斡旋という意味がすごく強くなる要素があると思うのです。そうすると、どうしても企業や個人の人の価値観でそこが左右されていくということが現場で往々にして起きがちというか、私たちが活動しているエリアでも就職先の開拓というところで、開拓してくださる人たちは障害についてよく理解しているかというとそうでもないし、そうなると、就職が求人に合わない人たちは価値のない人というふうに捉えられがちになってしまったりするので、この就労支援コーディネーターという言葉はもしかしたら誤解を生みやすいのではないかなと私は思うので、ライフプランというか、生涯にわたってきちんと設計できる職業リハビリテーション、教育、両方分かった人がやる。それから、ハンドリングについても企業とか外部委員の人にやってもらうのではなくて、先生方がきちんとハンドリングしていただいて、外部機関を活用していただくというような方向性があった方がよいのではないかと思います。
それから、15ページのところに指導体制のところで、コーディネーターについて文言が反映された内容に思えますので、御検討いただければと思います。
それから、15ページ、同じく一番下のところに企業等の雇用における取組の充実というところにあるのですけれども、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえた、少し漠然として分かりづらいところがあると思いますので、お子さんたちのライフプランを見据えた、ただ就職するだけではなくて、その人たちが社会で生きるというところも入れて、また、企業でお勤めになったときに、就職がゴールではなくて、その中でその人なりのキャリアが企業の中で形成されるようなという視点がないと、就職がゴールになってしまうというような、そういった懸念を感じました。
以上です。
【宍戸主査】  具体的に幾つか表現の工夫を御提案いただきましたので、事務局、また堀江委員の意見も具体的に聞きながら御検討いただければと思います。
村上委員、お願いします。
【村上委員】  2点です。1点目は今堀江委員がおっしゃったこととかなり関係します。キャリア教育と職業教育が並ぶ感じになりますと、どうしてもどこかの作業所なり、企業にということの方向だけが強く残ります。そうなると、おっしゃったようなライフプランの中でどのようにキャリア、あるいはその意識を育てていくのかという視点が、どこか探せばいいでしょうみたいなものになりかねない部分があります。これについては、キャリア教育、何年もずっといろいろなところでやられていますから、小・中・高等部、そこでのいかに充実させるかという視点を踏まえた書きぶりをしていただいた方がよいのではないか。特に重度の子供さんについてですと、ここでの書きぶりですと、なかなかキャリア意識の育成というところには考えが至らないだろうという印象があります。
2点目です。これはICTの活用について、赤字で入れていただいて、とても有り難いと思いました。ここに児童生徒のコミュニケーションの手段というふうに書かれていますが、先ほど川合委員、あるいは尾崎委員もおっしゃっていた部分も関わるのですが、ただ単にコミュニケーションの手段ということにはならないだろう。恐らくは認知発達の基盤というか、出力系統、入力系統を含めて、認知発達の基盤という視点がないといけないのだろうということになると思います。そうしないと、コミュニケーションの手段になるようなものだけが取り扱われて、応答性、あるいは活動性を引き出すような要素を持ったものに教員の意識がなかなか向き難いと考えます。
それからもう一つ、特に病弱の領域では、セキュリティーの問題はいろいろありますが、社会との接点という視点がICTを使うことによって拡大していきます。子供たちの中に広がっていきますので、その点も含めて文言を多少加えていただければ有り難いです。
以上です。
【宍戸主査】  野口委員、お願いします。
【野口委員】  今、村上委員から話がありましたICTに関わるところなのですけれども、今のコミュニケーション手段としてという部分に関して特になんですが、恐らく学んでいく中で、将来的に自分も活用していくという方向につながっていくのだとすれば、それこそ自分を守っていくといったらいいのか、そういったこととして、ネットモラルですとか、ICTを使う上での様々な知識といったらいいのか、そういったことをきちんと教えていかなくてはいけない。実際にいろいろなトラブルに巻き込まれたという例も承知しておりますので、そのあたりの意識をどう明記していくかということが必要になってくるのかなという気がいたします。
あと、それに関してなんですけれども、ICTの活用に関しては、ここの特別支援学校と通常の学級に関してICTという文言が出てくるのですが、特別支援学級、通級に関しては、その点が書かれていないように思います。実際には特別支援学級、通級において非常に有用なものであるということ。実際に数年前に文科省からの委嘱事業でICTの活用に関して調べさせていただきましたけれども、その点からしても非常に有用なツールであるということが分かってきておりますので、そちらでも何かしらの形で文言を入れられるとよいというふうに考えております。
以上です。
【宍戸主査】  横倉委員、中田委員、田中委員、品川委員の順でお願いします。
【横倉委員】  事務局におかれましては本当にいろいろな意見を入れていただきまして、ありがとうございます。私からは3点お話をしたいと思います。まず特別支援学校全体に関わることで言うと、特別支援学校、いろいろ特徴があるのですけれども、今校長の立場で言うと、これだけ管理スパンが大きい学校になってしまっているという、そこの部分はどこかで触れておいていただけないか。例えば、所属の教員が100人いるのが当たり前で、ある学校では200人ぐらいの教員を少数の管理職とミドルの主幹主任層が学校を動かしている。組織的な対応をという、特別支援教育の推進自体が組織的な対応を求められているところで、その部分で、特別支援学校自体の管理スパンといいますか、規模、そういうところについては是非どこかに位置付けていただきたいなというふうに思います。
もう一点が9ページの知的障害のある児童生徒のための各教科のところであります。自立活動の上の赤い丸でございますが、評価規準を設定し、学習評価を行うことによりうんぬんの部分、これは非常に大事なところで、知的障害の教科を今後考えていく上では、ここの部分を抜きには恐らく授業の改善とか、具体的な教育の中身の改善というのは難しいのではないかなと思います。是非評価規準を設定し、学習評価を行うというこの部分を例示するなり、具体的な事例で頭に持ってくるなり、そういうようなことで項目出しをしていただくと、非常に分かりやすいメッセージになると思います。是非そこの部分は具体的に少し例示をお願いしたいと思います。
それから、15ページであります。(2)学校の指導体制のところで、最初の丸のところです。本当にありがとうございます。コーディネーターというのは学校の中でキーになっている職層なのです。コーディネーターの職務をずっと見ていますと、当初私たちは障害に対する専門的な知識や知見を中心にその職種の中身を考えてきたわけですけれども、ところが今見ていますと、教務主任と同じような資質・能力が必要になってきているというのは確実に言えることで、あるものとあるものをつないでいく、あるいはその子供が必要な資源を幾つかつないでくる。まさしくそこは校内で言うとやはり教務主任と同じぐらい重要なのだ。そういう資質が求められているのだというところで、当然、研修の内容が今そことマッチしているどうかというところは、私たちはそこの部分はしっかり見ていく必要があって、その部分についても是非この中にどこかで位置付けていただければと思います。
私からは3点です。よろしくお願いいたします。
【宍戸主査】  幾つか学校経営という視点から御意見をもらいましたので、それについて、事務局で御検討をお願いしたいと思います。
中田委員、お願いします。
【中田委員】  三つあります。一つ目は、13ページの4番です。幼稚園、小学校、中学校及び高等学校と特別支援学校との連続性という話なのですが、高等学校という名目は入っているのですが、高等学校の現状と課題のところに通級による指導を受けてきた者が入学しているとか、そういうような文言を書かないと、通級を始めるというところとつながってこないので、これは是非高等学校においての現状ということはひとつ載せていただきたいということはあります。非常に多岐にわたった学校です。連続性を持って渡り歩いてきた子たちが、最後に高校に来るという子が多いわけですから、その辺のところも現状として書いていただきたいなと思っています。
2点目ですけれども、この部会の検討事項ではなかったということなのですが、それではそれはどこでやるのかということも含めて質問の形でお聞きしたいのですが、実は、3番の特別支援学校のところで、最後のキャリア教育・職業教育の充実というところがあります。企業や労働関係機関と連携したという最後の丸がありますけれども、これは実は全く同じ話が高等学校でも要求されている部分がある。人数的にはちょっと違うかもしれないけど、重要な仕事として出てくるので、これに関する記述がもしこの部会で出ないならば、キャリア何とか部会というのがあって、そういうところでやっていればいいのですけれども、もし抜け落ちているとするならば、最後は特別支援学校でやらないといけないのですというようなメッセージになるおそれもあるので、中には高等学校で行った方が進路を見いだせるという可能性がある子もいますので、その辺のところは記述の仕方です。全体を見ていますと、これが抜け落ちているのはきついという感じがしました。高校通級の部会の方でも若干は使ったのですが、通級とはなじまないというような話があって、どっちつかずで切り離されてくる。しかし、後期中等教育機関としてどこに進みたいかということを考える。それから、そういう子を受け取って、どういうふうに責任を持ってやっていくかということを視点に入れると、この記述がどこにもないということがもしあったら、かなりまずいと思ったので、そこは触れておきました。
最後3点目です。コーディネーターは私もずっと仕事としてやってきましたけれども、障害の知識とか技能はある程度必要です。しかし、先ほど横倉委員がおっしゃっていましたけれども、それをどのようにマネジメントするか、組織的な展開をするかということについては全く障害ということではないような分野のマネジメント論的なところの研修を多くしていかないと回らないと思っていました。
以上です。
【宍戸主査】  高校のキャリア教育というか、そういう部分で何かございますか。事務局の方で。
【西川教育課程課専門官】  失礼します。高等学校におけるキャリア教育という観点については、高等学校部会の中でも少し議論させていただいておりまして、大きな観点で言えばアクティブ・ラーニングの視点ということを考えたときに、今、主体性、対話性、それから深い学びということを言っておりますけれども、主体性という観点になったときに、学びに向かう姿勢ということをキャリア教育の、キャリア発達の観点から入れていくということも必要だろうという御議論はさせていただいております。
【宍戸主査】  どうぞ。
【中田委員】  数年前に高校のキャリア教育という冊子があって、読ませていただいたのですが、主体的な本人の構えなどということを、力を入れて教育するということも重要なのですけれども、特別支援学校でやっているような、さっきのICFで言うと環境因子です。どうやってそれを支えていくのかということについて非常に手薄であるということがありますので、特別支援学校についての最後の丸の部分を高等学校でキャリア教育という部分で、あるいはキャリア発達支援という領域でどういうふうに論点として組み込んでいくかということを是非検討していただきたいと思っています。実際に学校現場の教員はここで実績にできないということになりますと、子供の進路に関わる話ですので、是非組織的な取組で特別支援学校の参考にしてというような形で組み入れていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
【宍戸主査】  事務局で御検討ください。
田中委員、品川委員の順でお願いします。
【田中委員】  2点です。知的障害の教育課程と小学校等の教育課程の連続を考えていただきまして、大変有り難いと思います。そうした場合に特に中学校、高等学校段階で中学校、高等学校の教科等の免許状が基礎免の教員が知的障害の子供たちを指導する際に、やはり小学校全科の全てとは言いませんが、教科の系統性等を学ぶ、そういう教員養成の必要があると思います。ですので、それが現職教員の養成であっても必要というふうに日々市単位で中学校の特別支援学級を見ておりますと、感じるところなのです。そうしますと、今度逆に例えば小学校全科の免許状が基礎免許のものが中・高等学校で教えることができない現状があるわけですが、現職で中高の心理とか、それはいろいろ科目があるでしょうけれども、そこを学んだときに小学校全科が基礎免許であっても、中学校、高等学校で教えられるというような、そんなシステムも提案できるとよいかと思います。この部会で話し合うことではないかもしれませんが、是非そちらの方向性についても御検討いただきたいと思います。
それからもう一つ、コーディネーターの件なのですけれども、日々見ていますと、市町村レベルの範囲でコーディネーターが医療、福祉の分野と連携できるという、そんなようなベースが必要だと思います。ですので、そういう意味では地域の援助も得ながら、市町村レベルの教育委員会がコーディネーターの養成に携わるということも非常に重要かと思います。
以上です。
【宍戸主査】  品川委員、お願いします。
【品川委員】  先ほど申しそびれたことと併せてまた付け加えたいと思っています。何度読んでも意義のところにインクルーシブ教育という単語がばんと出てきて、そうすると、何でも一緒にしちゃえ、場の共有というふうに誤解が広まっているので、場の共有だけではなくて、ちゃんと個々の能力を最大限伸長させる教育とか、先ほど言った特別支援教育の在り方の最終報告にも書いてある、社会参加を踏まえてアからカとあったと思うのですが、あれをここにしっかり書いていただきたなということを改めて申し上げたいなというのが1点目です。
2点目は、これを読んで気付いたのですが、では、障害のある子供、ここで言う特別支援教育のターゲットになる子供たちはどういう資質・能力を付けるのだろうということが、ここに書かれていないような気がするのです。企画特別部会ではそこがすごく議論になって、障害のある子供たちだって、当然同じように、知識・技能だけではなくて、それこそ思考、判断とか、表現とか、あるいは人格、性格、ということは必要になってくるわけで、それがこの特別支援教育でもターゲットなのだということを書いておくことが大事であり、かつ特別支援教育を全く分からない、一般の先生方にも正しくメッセージが伝わるのではないかというふうに考えていますので、是非御検討いただければと思っております。
それから、5ページ以降の改善・充実のところなのですが、拝読すると、主語があいまいなのです。つまり、それは誰がやるのか。例えば「校長は」なのか、「担任は」なのか、「コーディネーターは」なのかというところが分かるような書きぶりになると、もうちょっと読み手にとっては理解しやすい文章になるのではないかというので、これは御提案です。
先ほど来から話題になっているキャリア教育なのですが、キャリア教育イコール職業教育ではもちろんないし、就業教育でもないわけで、そこには社会参加、人生参加という視点が必要だと思うのです。それがちゃんと書いてあれば、先ほどどなたか先生が重度の障害のあるお子さんの話をされていましたけれども、重度の障害のあるお子さんたちの社会参加、人生参加というのは、もしかしたら職業とは違った方向性が十分可能であるわけで、そうするとそれを書くことによって特別支援教育における芸術教育や、保健体育の教育というものにも波及していけるのではないかと思います。それも是非検討していただければと思います。
それから、ICTなのですが、ICTをはじめとする外部脳について書くということも非常に大事だと私も思っております。LDやADHDの子供たちだけではなくて、知的な課題のあるお子さんや、重い自閉系のお子さんでも今の子供たちは本当にすごくて、iPhoneを物すごい、私ではできないくらいの機能の使いっぷりなんです。ですが、一方で、実は非常に多くのケースが犯罪に巻き込まれて、被害に遭ったり、あるいは加害になったりしているのです。ということはICTをただ使えばいいということではないので、それはどこかで議論しなければいけないと思いながら場が分からなかったので、前は少しお話ししたのですが、ICTを使う以上は、例えば定型発達の子供たち以上に慎重さであるとか、例えばセルフコントロールであるとか、あるいは法教育です。あるいは規範意識というものも併せて教えていくということが大事かと思っていますので、是非それは明記していただきたいと思っています。
最後は、校長先生のところです。14から15ページ。さっき、私が意義がすごく大事だと申し上げたのですが、意義と併せて大事なのは、改善・充実を支える方策のところだと思っていて、コーディネーターのところは手厚くなっている割には校長先生のところがたった2行で、これはちょっと悲しいと思っております。実は校長先生ほど特別支援を御存じないと、幾らコーディネーターが頑張っていても、コーディネーターお一人で結局つぶれてしまうという事例がまだまだ全国にはたくさんございますので、学校はチーム学校としてやるということがさんざんほかのところでも言われていますし、国も打ち上げているわけですから、チーム学校として校長が何をやるべきか。それはしっかりと書いていただきたいと思います。
ここに特別支援教育に関する認識を持ち、リーダーシップを発揮するための研修と書いてあるのですが、校長こそ法の理念、権利条約は何を言っているのか、差別解消法は何を──ただ合理的配慮をしなさいなんて一言も言ってないわけですから。そういった理念です。それから、先ほど申し上げたような学習のプロセスを踏まえた科学的根拠のある指導のせめていろはは知っておいていただきたい。校長先生に視覚認知とか、聴覚認知とかいって、きょとんとされると、非常にがっかりするのです、私としては。先ほど申し上げたワーキングメモリーだとか、それから、衝動性とか、多動性ということを踏まえて、障害があろうが、なかろうが、関係なく、校長先生たちには必要な知識だと思っています。組織経営はもちろんのことながら、そういったことも踏まえていただければよいかと思います。
以上です。
【宍戸主査】  14ページの5番、特別支援教育の改善・充実を支える方策についてというところはまだ十分に練り上げていないところもありますので、きょう幾つか頂いた意見を基に文章としてまとめて練り上げていくということを事務局の方にお願いしたいと思います。
一木委員、加藤委員、川合委員の順で、こちらの方からお願いします。
【一木委員】  5点ありますが、簡潔に述べたいと思います。まず1点目です。今回のポイントは、学びの連続性、これはキーワードだろうというふうに理解しています。その連続性の実現に向けて何を担保するのか。ここを明確にしたい。現行では、二つの教科の目標の系統性に連続性がない。その現状に対して、国としては各教科の目標の系統性を一本化して示す。そのことによって教育実践、子供たちの学びの連続性の実現を目指すのだ。その点を明確にしていただきたいというのが1点目です。
それから2点目です。そうなったときに次期学習指導要領においては知的障害の各教科の位置付けの説明の仕方が非常に重要になるというふうに考えています。これは知的障害の学校に限らず、各特別支援学校は、国が示す連続性のある目標の系統性を踏まえながら、自校の子供たちの達成水準を想定して、各教科についてどの目標、内容まで卒業時までに扱うことができるのか。これを検討し、実施するカリキュラムを編成することになります。その上で、実際の授業レベルにおいては、ここで障害特性、生活年齢を踏まえて指導内容を設定するということになります。この手続、観点に照らして知的障害の各教科の位置付けを説明する必要があると考えています。
なお、この説明に際しまして、どのような子供を想定し、知的障害の各教科は設定されているのか。この点についても明確にする必要があると思っています。つまり、知的障害の各教科を学ぶ子供、実際に非常に多様なわけですが、教科の設定に際して検討されている、想定されている子供たちの中には重複障害のお子さんですとか、下学部適用が必要なお子さんというのは想定されてない。この点も踏まえておくことが必要だと思っています。
3点目です。教科用図書についてです。15ページになりますが、各学校が教育内容を自覚して、実践を工夫するためにも知的障害の各教科の教科書、現行では、国語、算数、音楽になるかと思いますけれども、こちらの教科書の充実を図っていただきたいという点です。
それから、前後して申し訳ありません。4点目、11ページですけれども、知的障害の各教科の第1段階の目標と自立活動の目標との関連を具体的に解説することも必要と書かれていますが、自立活動は特定のスコープ、シークエンスを前提として指導目標を設定するものではありませんので、不可能ではないかというふうに考えています。改めて教科と自立活動において指導目標設定の手続が違うのだ。その違いを明確に示すということをしていただければと思います。
最後5点目です。14ページ、教職課程における教員養成、あるいは管理職等の教員研修についてです。これまでの議論の中にも出てきたかと思いますが、是非自立活動の科目の必要性ですとか、自立活動に関する研修の必要性を明記いただければと思います。
以上です。
【宍戸主査】  加藤委員、お願いします。
【加藤委員】  今まで委員の先生方からたくさん御指摘を頂いているので重複するかもしれませんが、一応14ページ、15ページのことについて2点ですか、3点ですか、になります。よろしくお願いします。
一つは連携というキーワードがありますが、これについては今更言をまたない、教育だけが自己完結的に地域の中で孤立していたのではいけないということは明らかであります。そういう意味では地域の様々な関連機関、関係者とのネットワークということが求められているということは間違いのないことですけれども、先ほど品川委員がおっしゃいましたけど、私は全く同感で、その辺の連携の必要性とかについては、むしろ現場の教員の皆さんはその辺の必要性というのはある意味では分かっておられるのですけれども、管理者がなかなかそこに理解がないために結果として現場の教員が動けないみたいなところがあるのです。ですから、そういう意味では研修というのは現場の教員たちだけのためではなくて、むしろ管理者のための研修というのもかなり強化しないと、なかなか現実的には進まないのではないかということを非常に強く実感しております。
2点目は、つながるのですが、今までたくさんの委員の方がおっしゃいますが、学びの連続性という言葉もこの中にキーワードとして出てきているわけですけれども、これも現実的には私の知る範囲では、小学部、中学部、高等部はそれぞればらばら、自己完結的に没交渉、非連続に機能しているみたいなことは珍しくないというようなことをお聞きするのですけれども、これは他の出口、入り口、私の場合は入り口の部分ですけれども、その辺とも含めて、連携をする、あるいは連続性を持たせるというためにはツールが共有できないといけないと思うのです。ところが、現実的には縦割り行政等々もあって、なかなかそれが難しい。学校の中でも、なかなかうまくいかないということがあるわけですけれども、だから、その辺についてもデータの共有、情報の共有ということは個人情報の問題もあるかもしれませんけれども、もう少し一歩踏み込んで学部間の情報の共有、あるいは他の地域の機関との情報の共有というようなものを一歩踏み込んで記述しないと、皆さん自分の私物化したような感じで膨大な記録が埋没してしまっているというようなことが現実にあるのではないかと思います。そういう意味でも是非そのことについても一歩踏み出して記述していただくと、その辺が突破のきっかけになるかなというふうに思います。
それからもう一点は、先ほど来出ています特別支援教育コーディネーターですけれども、これも現実的には末端では余り機能していません。私はそういうふうに実感しています。それはそれで頑張ってほしいのですけれども、それが今回の学習指導要領の改訂できっかけになればということを強く願うわけですけれども、もう一方で、厚生労働行政の中で縦の継続性といいますか、連携というようなことが、縦横連携ということを強調しているのですけれども、そのときに地域には子供をめぐって、例えば厚生行政の中では障害児相談支援事業所、あるいは支援者、支援専門員という方がちゃんと位置付いているのです。まだまだ十分なというレベルではないにしても、同じようなことを考えて、そういう機関なり人が地域の中で今定着しようとしているということを考えますと、例えば特別支援教育コーディネーターの研修とそういう人たちの研修をリンクして考えるとかというようなことも、コスト面的にも考えるべきだろうと思いますし、そういうことも一歩踏み出して記述していただくと、もう少しショートタームに効果がいろいろな形で広がりを持って期待できるのではないかと思います。その辺についても検討いただければと思います。
【宍戸主査】  今お話しいただいたことについては、家庭や地域、関係機関との一層の連携というところで、増えてはいますけれども、更にそこを言葉として加えるかどうかということがあろうかと思います。
今、ずっと話を聞いてきまして、もう一つ資料3の総則の改善イメージということについて特に御意見を頂ければというふうに思います。川合委員、その点はいかがですか。
【川合委員】  済みません。まだ資料2の方でありました。申し訳ありません。資料2なのですが、専門性の向上という5のところです。今後の改善・充実についてというところなのですけれども、例えば先ほど村上委員などからもお話がありましたように、いわゆる専門性、特にコーディネーターであるとか、管理職の専門性というのは、もちろん特別支援自体の専門性についてもなんですけれども、特にビジネスモデルについて例えばコーチングであるとか、ビジネスコミュニケーションであるとか、マネジメント、ああいった知識、スキルについて、例えば大学であるとか、企業、こういったところのノウハウであるとか、専門性というものをうまく活用しながら現職の方のインサービスというものを充実させていくということもあるのかというふうに思いました。自分の首を絞めるようで、余り大学のとは言いたくはないですけれども、教員の専門性向上の中に例えば5の(1)の2番目の丸のところです。例えば大学や企業の専門性、ノウハウを活用しながら地域において指導的立場に立つ指導主事や教員を対象とした専門性研修等です。もちろん特総研さんの方でもやっていただきつつ、地方から特総研まで行くのは大変だということもありますので、地域でもそういったことが充実するような方策というものを提案してもよいのではないかと思いました。
あとは、教員の専門性ということで、1、2と続きますが、2の幼小・中・高等学校の教員についてですけれども、通級指導教室担当者についても特別支援学校の教員免許状が合うか合わないかは別として、特別支援教育の専門性を高める担保として通級の先生方にも取得を勧めていくということを書いていいのではないかと思いました。あとは支援員であるとか、先ほどの就労支援コーディネーターについても括弧書きで専門性の向上ということを何か付け加えればいいのではないかと思いました。
以上です。
【宍戸主査】  時間も大分詰まってきましたので、できるだけ簡潔にお願いできればと思います。安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  私は、1、2という分け方で議論を始めておりますので、皆さんの御意見が出なくなったところで申し上げようと思ったのですけど、つまりそれ以外のところで全体を通してということになりますが、それでよろしいですか。
【宍戸主査】  はい。
【安藤委員】  最初に、この資料を拝見して、これまでの議論を踏まえて、事務局で大変多くの時間を使っておまとめいただいたことについて敬意を表します。ありがとうございました。
それで、この構成を拝見すると、まとめの構成です。一つは幼・小・中・高等学校の観点から、もう一つは特別支援学校の観点からそれぞれ現状と課題、それから、改善の充実の方向性という視点、それから、両者の教育課程の連続性の観点から現状と課題、改善・充実ということでまとめられているというふうに理解いたしました。この中で私感じるのは、連続性のある多様な学びの場という位置付けにある特別支援学校の機能に活用するとか、充実するということをもう少し明示してもいいのではないかと思いました。具体的に申し上げますと、幼・小・中・高等学校の特別支援教育の充実に、例えば特別支援学校のセンター機能を活用するのだとか、特別支援学校にあってはその機能を充実するのだということの書き込みです。既に例えばこのことについては15ページ、14ページにそれを示唆する、あるいは直截的な記述があるわけですけれども、例えば例として難聴の例を挙げるなど、全体を通した説明にはなっていないようには思います。そこで、改めて私の方からこうするといいのではないかということを僣越ですが、提案させていただくと、具体的に申し上げると、幼・小・中・高等学校のところでは、改善・充実の方向性として1に改善・充実の基本方向が一つ記載してありますけど、ここにもう一つ加えて、特別支援学校の機能をどう活用するかということを記述してもいいのではないかということです。
それと同じように、特別支援学校のところでも当該の欄、つまり、改善の方向について同じように今度機能の充実ということを書き込むことで、この構成のかなり具体的な記述はあるのですけれども、全体として特別支援学校の機能をどう活用・充実するかということの関係が読み取れるようにそのような補完をするといいのではないかと思いました。一つの意見ですので、是非検討いただければと思います。これは改めてここで確認するまでもなく、学校教育法の74条が示されて、この規定の確認とこのことの具体化を今後する上で、特別支援学校の機能というものは非常に重要であろうという、そういう考え方に基づくものです。
以上です。
【宍戸主査】  特別支援学校の持っている機能といいますか、知見を小・中学校等へ活用してもらう。利用してもらうという記述があるといいのではないかということです。
山中委員、村上委員、野口委員ということで、流れは。では、簡潔にお願いします。山中委員から。
【山中委員】  先ほど言い忘れたことと、自立活動のこと、2点です。1点は、幼稚園、小学校、中学校の現状と課題のところで、通常の学級のところで肢体不自由と病弱、身体虚弱のお子さんのことが取り上げられているのですけれども、小・中学校、高等学校も含めてですけれども、いわゆる知的障害とか発達障害だけでなく、病弱のお子さんなどの問題も非常に大きいところがありますので、現状と課題だけではなくて、改善・充実の方向性にもそういった病弱とか、身体虚弱のお子さんのことも書いていただけたらと思います。通常の学級では病気のお子さんに対する考え方というのがまだ浸透していないところがあるので、それも記述していただければと思います。1点です。
2点、自立活動のことで、これは特別支援学校の自立活動のところになるのかどうかなのですが、先ほども言いましたけれども、通級による指導で自立活動を特別支援学校の学習指導要領の中から自立活動を行っているわけなのですけれども、通級による指導は通級による指導で、自立活動は、特別支援学校と同じものではないような内容をもう少し考えていかなければいけないかと思っているのですけれども、今の状況ですと、PTとか、OTとか、いろいろ専門家がいるのですけれども、専門家がやっているものをセラピーとか、治療を自立活動と混同するような向きもあるので、学校教育として自立活動をやっているというところをきちんと押さえていく必要が今後もあるかと思いますので、自立活動のところも例えば医学用語とか、もちろん学習指導要領にそういうことがあるわけではないのですけれども、医学用語とか難しい言葉を軽々しく使うということではなくて、学校教育の中で教員としてできる、やっていくものというような考え方の書きぶりに今もなっているとは思うのですけれども、通常の学級も意識していただいて、自立活動も書きぶりになっていけばいいと思っています。
以上です。
【宍戸主査】  村上委員、お願いします。
【村上委員】  まず山中委員に病弱のことを言っていただいてありがとうございます。いつも忘れられるので、感謝します。
先ほど全体の資料3を含めたところでということで1点です。改善のイメージというところで、小学校、中学校と共通しているのですけれども、何ができるのかという、大事なテーマだと思います。目標についてです。ただ、特別支援教育においては、何ができるようになるのか、これはとても大事なことですけれども、もう一つは我々の理念としては何ができるようになってほしいのかということを忘れてはいけないのだと思います。これは一木先生がおっしゃったスコープとか、あとはここでずっと議論されてきていたアセスメントの問題をどこでどのように位置付けて、どっちの方向から考えるのかということと、常に連動する話です。小学校ならば、何ができるようになるのかということ。中学校はもちろんそうですけれども、特別支援教育においてはそれだけでは済まない。もちろん何ができるようになるのかということと、何ができるようになってほしいのかということは表裏ですけれども、ここは特別支援教育の独自性という部分は、きちっとうたった方がいいのではないかというふうに感じました。
以上です。
【宍戸主査】  野口委員、お願いします。
【野口委員】  短く1点のみですが、教員の専門性向上というところで教員養成に関わる記述がございますけれども、現在、開放制をとっている免許制度の中でどこまで実効性のあるものができるのかということに関して若干心配があるというか、そういった点からすると、養成段階と現職段階との連続性みたいなものをきちんと考えて、どこで何を学んでいくかということを少し整理していった方がいいのかもしれないということです。
以上です。
【宍戸主査】  大谷委員、加藤委員。大谷委員、お願いします。
【大谷委員】  では、総則の改善イメージというところで、小学部、第4の個々の児童の発達、資料の中で第1は赤字で個々の児童の発達の支援ということで、学級経営の充実、ここを書かれてあるのが非常に有り難い。これが小学部だけということ。どうしてかと思ったら、小学校の総則の第4、学級経営の充実が青字になっているので、青字というのは中学校学習指導要領には記載されていない観点だと。僕は中学校こそ必要だと。小・中学校で、学級経営の充実というのはうたわれなくちゃいけないと思いますので、是非検討をお願いしたい。インクルーシブ教育の原点は学級経営だというふうに思いますので、小・中学校共通して学級経営の充実を是非うたってほしいというふうに思います。検討をお願いします。
【宍戸主査】  これからの作業では小学部は小学校の学習指導要領を下敷きにして構成を整理していくと。中学部は中学校の学習指導要領を基にして構成を整理していく。特別支援学校の場合はそれを合本しなきゃいけないのです。だから、小・中学部ということになりますので、小学校の内容も入ってきますし、中学校の内容も入ってくるということで、整理の過程は大変になりますけれども、今話があったように、中学校でも大事ですよということは意識していただければというようにしたいと思います。
皆様から活発な意見を頂きまして、時間となりましたが、本日はここで切らせていただきたいと思います。第9回の討議はここまでとしたいと思います。そして、前回も申し上げましたが、本部会は第9回まで、本日までの議論で一区切りとさせていただきたいと思います。6月に入りますと、教育課程企画特別部会、教育課程部会に対して特別支援教育部会の報告もしていくということになります。議論のまとめにつきましては、今度事務局は大変ですけれども、まとめの方で御尽力いただきたいと思いますが、事務局から今後の在り方等につきまして御説明をお願いします。


【太田特別支援教育課課長補佐】  本日も貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。冒頭申し上げましたが、前回までの頂いた意見やまだ反映できていないところもございます。本日もたくさんの御意見を頂きましたので、この議論の整理の方に反映させていきたいと思います。先生方から頂いた意見について、もう少し具体的にこういうふうに書けるのかということを個別に相談させていただこうと思いますので、その際はいろいろアドバイスを頂ければと思います。
また、今主査から御案内がありましたとおり、一応特別支援教育部会としては、今回第9回までとさせていただいて、今後、総則・評価部会ですとか、教育課程部会の方にこの部会の議論の結果を御報告して、全体の議論の中で検討していくような形になります。また、この部会はこれからしばらく開催しないような形になりますが、教育課程部会ですとか、総則・評価部会での議論の様子なども皆様の方にお伝えしていきたいというふうに思っておりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【宍戸主査】  丸山課長、お願いします。
【丸山特別支援教育課長】  きょうで一区切りということなので、私からも一言だけ。これまで9回にわたりまして、非常に熱心に御議論いただきましたことを本当に感謝を申し上げたいと思います。それから、毎回いつも思っていたのですけれども、非常にタイトな日程の中で意見出し等、メール等で送っていただいておりまして、皆さん方本当に忙しい先生方なのですけれども、その辺りも真摯に御対応いただきまして、本当にありがとうございます。先ほど主査からも御説明がありましたけれども、これから議論が一つ上の部会でいろいろ展開されていくということになりますけれども、まとめを行っていく中では、たくさんの意見も頂戴しておりますので、個別にいろいろ御相談させていただきながら、しっかりと先生方の御意見を踏まえた形のまとめということをやっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【宍戸主査】  ありがとうございます。少し時間は過ぎておりますが、きょうが最後ということで、古川主査代理にもこの部会の感想も含めて一言お願いしたいと思います。
【古川主査代理】  失礼いたします。全体的に今のインクルーシブ教育システムの構築ということの中で、学習指導要領を今後どういうふうに考えていくのかという機転で、特別支援学校だけではなくて、幼・小・中・高等学校も含めて、非常に前向きに議論がされていったというふうに思っています。今回の議論の中で小・中学校の部会に、あるいは高等学校の部会に書き込みをしていただくようなことが多々出てきているわけでございますけれども、是非これをうまく小・中学校の部会等に伝えていただいて、そういった記述についても考えていかなければと思っています。今回、特に小・中・高等学校の教科の中に、教科の配慮事項ということで一つ大きく入っていったというのはすごく大きい発信かなというふうに思っていますし、そういう意味で小・中学校の中での教科指導の充実ということも図られていくのかなというふうに思っているところです。
あと通級による指導ということを今回新たに政府的に作っていこうということで今提案されているわけでございますけれども、このことは中学校まで受けてない、高等学校段階でのニーズの必要性のある子供たちがいるわけですから、是非前向きに進んでいければと思っています。ただ、実際誰が指導するのだろうという話が必ず裏返しに出てくるわけで、人の話はどうなのという理屈が出てくると思いますし、また、中学校も通級の人の話になってくるのですけれども、そこら辺が学習指導要領の中でこういうふうな形で入ってくれば裏打ちになってくるのだろうというふうに思っています。それについても特に通級の高等学校は定数の話ではないでしょうけれども、義務の段階では過配ではなくて、できれば定数的に配置ができるような仕組みができれば、すごくきちんとした形で入れていけるのではないかという思いもあります。高校の場合は恐らく一代措置の形で入っていくのかと思うのですけれども、そういった中での裏打ちということを是非並行して進めていただければなというふうに思っているところです。
それと、特別支援学校ですけれども、本体の学習指導要領につきましても幾つか議論が出てきた中で、私、今回の目玉というのはインクルーシブの教育システムを構築するという中で、小・中学校の教科と連続性の話が出てきました。そこが一番のポイントかと思っているのですけれども、特別支援学校小・中学部の、特に知的の教科について、その在り方みたいなことがいろいろ議論されております。今の教科で見ていきますと、現行の教科でもし連続性ということを考えていくのであれば、目標をきちんと示していかないと、目標の系統性があって初めて連続性という問題が生まれてくるというふうに思っていますので、要するに、内容のレベルではなくて、目標としてきちんと系統的に積み上げをして連続性ができるという、課題としてはかなり難しい課題かと思うのですけれども、是非そういった視点で改訂に向けて考えていただければという思いがあります。そうしないと、結局は評価規準を作ってうんぬんかんぬんという話をしても、やはりそこに目標と評価がないと評価規準というのはそこには生まれてこないのだろうと思いますので、今回新しく、資質・能力というのを三つの切り口から求めているわけですから、そこを踏まえて考えていったときに、教科できちんとした形の目標が立てられる、連続性のある、継続的な評価ということを示していかなければいけない。それと指導についても、そういう切り口で見ていくということは、教科を大切にしていくという発想を今からもっと入れていかなければいけないと思うのです。
ややもすると、前回もお話ししたのですけど、解説のレベルで合わせた指導が先に展開されている。当然そうしたら合わせた指導が先にあるみたいな発想で現場というのはやっていくわけですから、それじゃないのだろうと。教科別、領域別の指導が先にあって、それが必要に応じて合わせて授業を行うことも可能だという言い方をしているわけですから、そこをきちんとしていかないと、実際に学習評価というのも成り立っていかないのではないかと思います。だから、そういった切り口での教科の目標の系統的な見直しということを是非お願いしたいという思いでございます。もちろんここにも書いてあるので、そういった切り口でお願いしたいというのと、もう一点は自立活動が特別支援学校の専門性って何かと言われたときに、私は教科の指導と自立活動というふうに思っているのです。自立活動の指導が、実は小・中学校の方からも出たのですけれども、分かりづらいとか、今回は小・中学校の方にも自立活動という切り口から必要性があるのだということが出てきているわけですから、だとすれば、自立活動の指導について、書き込みをしてあるのですけれども、具体的に何が一番ネックかというと、目標設定をどうしていくかというのが実はなかなか分からない。目標が先にありきではじゃないのです。目標をどういうふうに、どういう切り口から見ていって、目標を設定していくのか。例えば訓練をするように、今話が出ていましたけれども、訓練するのが自立活動ではなくて、教育活動として組み込んでいくわけですから、だとすれば、実態をきちんと把握して、実態の中から必要な目標というのは何だろうということを、きちんとそういうプロセスを、目標を設定していって、具体的にこういうふうな展開をしていくのだと。現行の解説にも書いてあるのですけれども、最初の目標設定のところまでのプロセスが少し薄いのではないか。どういうふうにとっていけばいいのかと、実は現場の先生方は一番そこが分かりづらいところがあるのではないかというふうに感じますので、そういったプロセス等もより強化して示していただければ、小・中学校も活用する際に非常に活用しやすいのではないかと思っているところです。
いろいろと言いましたけれども。あとほかにいろいろな形でのニーズ、特別支援教育コーディネーターの配置だったり、就労支援のコーディネーターであったりということのニーズが出てきているのですけれども、この辺についても、今度は裏打ちの話で課題も大きいかと思うのですけれども、学校の実際やっている、かなり充実してきていて、まだそのために必要な部分というのがあると思うので、学習指導要領の中に示していただきながら、必要性というのを強調していただければと思っているところです。ほかにもいろいろな形で、非常に前向きに示してあるまとめ案と思うのですけれども、きょうもいろいろ意見が出ましたので、事務局の方、大変かと思うのですけれども、整理していただきながら、是非これを今回の一つの特別支援学校でなくて、インクルーシブ教育システムの構築ということの一番のベース、学習指導要領の改訂の小・中・高等学校、基本は一緒なのですけれども、その上に立ってインクルーシブ教育システムの構築というのが我々の一つの大きな発信の材料かと思っていますので、そういったことでまとめていただければと思っております。
大変お疲れさまでございました。
【宍戸主査】  私から一言だけ。9回のこの会議に当たり、委員の皆様には積極的に御発言いただき、様々な知恵を出していただきまして、ありがとうございました。まとめを作るということと、今度は学習指導要領の案文を考えなければいけないということになりますけれども、今後ともまた御支援、御指導いただければと思います。本当に第9回まで御協力ありがとうございました。これで終わりにさせていただきます。以上です。

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