教育課程部会 特別支援教育部会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年12月16日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

スタンダード会議室 虎の門ヒルズFRONT店 5階小ホール

3.議題

  1. 特別支援学校の教育課程について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会特別支援教育部会(第4回)


                                                            平成27年12月16日


【宍戸主査】  それでは、お約束した35分になりましたので、第4回を始めたいと思います。
3回に引き続き、報道関係者より、会議の撮影及び録音の申出がありますので、それを許可しておりますので、御承知おきください。
小枝委員が、第4回、これからの会議から御出席いただいております。ありがとうございます。また、飛行機等の都合で、古川委員、それから、一木委員等が会議の途中で退席するということですので、御了承ください。
それでは、最初に、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  配付資料の確認をさせていただきます。第4回の議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料5、それから、参考といたしまして、平成24年に国立特別支援教育総合研究所が実施しました、特別支援学校における新学習指導要領に基づいた教育課程編成の在り方に関する実際的研究の抜粋を参考として用意しております。また、不足等がございましたら、事務局の方までお申し付けいただければと思います。
以上でございます。
【宍戸主査】  それでは、早速ですが、これより議事に入らせていただきます。第4回では、度々申し上げてきましたが、今度は特別支援学校の教育課程の改善・充実について御議論いただきたいと思っております。今回も、委員の方から御発表をお願いしております。特別支援学校における教育の現状についてということで、横倉委員から御報告を頂き、議論を進めていきたいと思っております。
配付資料につきまして、事務局から御説明をお願いします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  配付資料の説明をさせていただきます。
最初に、資料2を御覧いただければと思います。資料2は、特別支援学校の教育課程に係る検討課題例でございます。この資料は、第1回にお示ししました特別支援教育部会としての検討事項例から作成したものでございまして、枠囲みの丸1から丸3の部分が、既にお示ししたものでございます。その下に丸が二つから五つぐらいずつ例示をさせていただいておりますが、示した検討課題例は、もう少し具体的に事務局の方で用意したものでございます。
最初の丸1の幼児児童生徒の発達の段階に応じた自立活動の改善・充実でございますが、幼児児童生徒の発達の段階や障害の重度・重複化、多様化に応じて、どのような改善・充実が必要か。特に、幼児児童生徒が主体的に改善・克服しようとする取組を一層充実していくためには、どのような工夫が考えられるか。それから、実態把握や評価までの手続を含んででございますが、指導目標の設定、具体的な指導内容の設定について、どのように示していくことが考えられるかということを、一つ目の丸について例示をさせていただいております。
二つ目でございますが、これからの時代に求められる資質能力を踏まえた、障害のある幼児児童生徒一人一人の進路に応じたキャリア教育の充実でございます。高等部のみならず、幼稚部・小学部・中学部からキャリア教育を充実していくために、どのような改善が必要か。また、重度・重複障害のある児童生徒へのキャリア教育を教育課程との関連の中でどのように充実していくかということを示させていただいております。
三つ目が、知的障害のある児童生徒のための各教科の改善・充実でございます。こちらも、これからの時代に求められる資質能力を踏まえ、知的障害のある児童生徒のための各教科の目標、内容、指導方法、配慮事項、学習評価などをどのように示していくことが考えられるか。障害の状態等に応じた指導の充実を図るために、小学部・中学部・高等部の知的障害のある児童生徒のための各教科について、どのような充実が必要か。それから、特別支援学校だけではなく、小学校・中学校における特別支援学級に在籍する児童生徒、これらの教科を学ぶ児童生徒のために、どのような示し方の改善が考えられるか。それから、小学部の外国語教育について、児童の実態を踏まえ、どのように取り扱うことがよいか。それから、高等部の道徳教育の充実を図るため、どのような改善・充実が必要かということを示させていただいております。
1枚めくっていただきまして、2ページ目には、これ以外にも、「論点整理」に示されたもの以外として、このようなことも検討していく必要があるのではないかということで示させていただいたものでございます。あくまでも例でございますので、これ以外にももっと特別支援学校の教育課程に関連して検討すべきことがあろうかと思いますので、三つ示したものに関連付けて、また御意見を頂ければと思っております。例示させていただいたものは、特別支援学校の教育課程の枠組み(教科等の構成や時間数の在り方)ですとか、重複障害者等の教育課程の取扱いの改善・充実、それから、各障害種別に示している指導上の配慮事項の改善・充実、それから、幼・小・中・高でも議論しましたが、特別支援学校においての個別の教育支援計画、個別の指導計画の改善・充実などを示させていただいております。
また、この特別支援学校の教育課程につきましても、幼・小・中・高と同様に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等との間で、子供たち一人一人の学びの連続性を実現するための教育課程の円滑な接続の実現ということも視野に入れて、また御議論いただければと思っております。
以上が資料2でございます。
続きまして、資料3を御覧いただければと思います。こちらの資料につきましては、第1回でお配りした資料でございますので、適宜議論の際に参考にしていただければと思いますが、一枚めくっていただきまして、裏面の3ページで、これももう皆さん御案内のとおり、特別支援学校に在籍する児童生徒数がずっと増加傾向にあり、平成26年度現在、1,080校で13万2,570人の幼児児童生徒が在籍しております。
4ページを御覧いただきますと、特に高等部に在籍する生徒が増えているというような現象があります。
5ページでございますが、卒業後の状況ということで資料を加えておりますが、就職者の割合が27.7%。平成15年と比べると、大分就職する割合が高くなってきてはおります。また、施設・医療機関へ進む生徒の割合が63.9%というようなデータを示しております。
続きまして、6ページでございますが、こちらも資料だけ御紹介させていただきますが、医療的ケアが必要な幼児児童生徒数ということで、特別支援学校の場合は6.1%、また、小中学校でも必要な生徒が増えているというような状況でございます。
また、これから特別支援学校の教育課程について議論していただくわけでございますが、こちらも確認のために用意しておりますが、現行の特別支援学校学習指導要領を改訂したときの改訂のポイントでございます。主な改善事項としまして、障害の重度・重複化、多様化への対応、一人一人に応じた指導の充実、自立と社会参加に向けた職業教育の充実、交流及び共同学習の推進というものを改訂のポイントとして、現行の学習指導要領を改訂したような形になっております。
8ページ目が、これは先般、私どもの特別支援教育課の方で、各県の指導主事等を集めた研究協議会を開催しまして、そこで現行の特別支援学校学習指導要領の成果はどんなものが挙げられるかということをアンケートしたものを少しまとめたものでございます。
障害の重度・重複化、多様化への対応としましては、自立活動の区分に人間関係が加わったことによって、具体的なコミュニケーションの場面におけるスキル獲得に向けた指導内容が充実したですとか、全ての児童生徒に作成することとなった個別の指導計画の作成について、内容表の整理ですとか作成手順の見直しが行われるようになったですとか、知的障害以外の特別支援学校高等部において、知的障害を併せ有する生徒について、特別支援学校(知的障害)の各教科の履修が実施できるようになったことによって、より個々の実態に応じた指導が可能になったといったような成果として挙がってきております。こういったような形で、1番から5番までが、特別支援学校の改訂に係るポイントに関しての成果として挙がってきたアンケートの結果でございます。
この後は、特別支援学校に関連して、近年の動きとして、権利条約とか、中教審の平成24年の報告とかを付けさせていただいております。詳細の説明は省略させていただきたいと思います。
続きまして、資料4を御覧いただければと思います。こちらも第1回のときに示させていただいておりますが、特別支援学校の教育課程ということで、特別支援学校の教育は学教法において、幼・小・中・高に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とするというようなことが規定されていることを踏まえて、学習指導要領が編成されております。
教育課程を見ますと、幼稚園に準じる領域、小・中・高に準ずる各教科、特別の教科である道徳、特別活動、総合的な学習の時間のほかに、障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とした領域である「自立活動」で編成するということになっております。また、知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校については、各教科を別に示しております。
各教科の構成については、1ページの後段から2ページ目にかけて掲載させていただいております。3ページ目ぐらいには、高等部の知的障害以外の専門教科についても示させていただいておりますが、視覚障害や聴覚障害で資格を取得するための、養成するための教科なども示して教育が行われております。
また、自立活動については、3ページ目の4番から示させていただいておりますが、4ページ目に示させていただいておりますが、自立活動の内容として、人間としての基本的な行動を遂行するために必要な要素と、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な要素として、6つの区分の下に26項目のものを示して、この指導要領に示したものから、幼児児童生徒の実態に応じて必要な項目を選択して、それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定するというような形で自立活動が行われております。
5ページ目の5番のところから、重複障害者等に関する教育課程の取扱いについて記させていただいております。こちらにつきましては、障害の状態に応じて各教科の目標・内容の一部を取り扱わないことができるといったような規定を設けておりますが、この資料4の一番後に表にしたものを用意させていただきましたので、こちらを後ほど御覧いただければと思います。
あと、別添として、7ページには、知的障害者である教育を行う特別支援学校の小学部の教科の例として、算数の例を示させていただいております。
別添2は、高等部の専門教科について示させていただいております。
以上が資料4でございます。
続きまして、資料5を御覧いただければと思います。横長の表でございます。これは特別支援学校の教育課程の編成例ということで、1ページおめくりいただきますと、具体的に、長崎県立諫早特別支援学校の教育課程の事例を今回用意させていただきました。この特別支援学校の教育課程の例としましては、教育課程の編成の類型についてというところを見ていただくと分かるんですが、非常に様々な類型を用意して教育課程を編成しております。1類型では、小・中・高の学習指導要領に準じた教育課程、ローマ数字の2課程では、教科の目標・内容の一部を下学年・下学部に替えた教育課程、3課程では、知的障害特別支援学校の教科に代替した教育課程ということで、それもAからCまでの三つの類型を設けております。四つ目の課程として、訪問による教育課程というものを示しております。こちらは本当にそれぞれの学校としての、あるいは、部としての目標をきちんと掲げて、それに基づいて、きちんと教育課程を編成して、これまでも長崎県内でも教育課程の編成について研究実践をされてきた学校だというふうに伺っております。また、後ほど古川委員からも補足説明をしていただければと思っております。
それから、参考資料としまして、国立特別支援教育総合研究所が実施したデータを付けさせていただいております。各学部での授業の一単位時間ですとか、2ページ目以降は、教育課程を編成するに当たって、特に重視している課題ですとか、4ページ目以降は、個別の指導計画の目標に反映された内容ですとか、アンケート調査で実施した調査結果について、抜粋ではございますが、付けさせていただいておりますので、適宜御参考にしていただければと思います。
ちょっと駆け足でございますが、説明は以上です。
【宍戸主査】  今、資料について説明をしていただきました。
それでは、早速、横倉委員の方から御発表をお願いしたいと思います。10分から15分程度でおまとめいただきますようお願いいたします。
【横倉委員】  今回は、全国特別支援学校長会の立場で、特別支援学校における教育の現状ということで、何枚かまとめさせていただきました。非常に枚数が多いですので、はしょってお話をさせていただきたいと思います。
まず、先ほど御紹介もあったのですが、特別支援学校に在籍する幼児児童生徒の数であります。平成19年、ちょうど特別支援教育が始まったときに比べて、全国的に25%の在籍が増えておりまして、13万5,000人です。今、それが伸びがとどまっているという方向ではなくて、逆に、どんどん微増、右肩上がりで増えている、そういう状況であります。
以下に、特別支援学校の学習指導要領の改訂の方向性、これが示されていますので、再確認をしたいと思います。
まず、教育課程企画特別部会の論点整理の中で、2点、連続性のある「多様な学びの場」において十分な学びを確保していくこと、それから、もう一つが、発達段階に応じた学びの中で、地域や社会と関わり、社会的職業的自立に向けた学びを積み重ねていくことが、新しい学習指導要領、これが目指す姿なんだということを述べています。さらに、「各学校段階、各教科等における具体的な方向性」においては、発達の段階に応じた自立活動の改善・充実、障害のある幼児児童生徒一人一人の発達の段階や進路に応じたキャリア教育の充実、それから、知的障害の教科の改善・充実、これらを図っていくこと、2点目が、幼・小・中・高等学校の間で教育課程が円滑に接続していることを示すことという、そういうことが示されています。さらに、社会情勢として、障害者の権利条約の批准、あるいは、障害者差別解消法の施行、こういったことで、特別支援学校にも「合理的配慮」の提供、あるいは、「基礎的環境整備」の充実が一層求められている、そういう状況にある。こうやって、先ほど来いろいろ議論に出てきた障害者基本法の第16条、交流及び共同学習の趣旨、こういったものを踏まえて、通常の学級・通級による指導・特別支援学級・特別支援学校における教育活動の在り方と相互の連続性を改めて可視化していくこと、全ての学校現場において共有すること、そして、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・活用を通じて、育成すべき資質・能力を目指して、子供たちの学びの連続性を実現していくことが、現在、特別支援学校には求められていると私たちは思っています。
続いて、特別支援学級における教育課程の現状について述べさせていただきます。
(1)自立活動の現状及び課題であります。現行の学習指導要領には、自立活動の目標について、「個々の児童又は生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う」と明記されているわけです。この目標を達成するためには、自立活動の内容を6区分、それから、26項目が示された。先ほどの資料説明にあったとおりであります。
一方、知的の特別支援学校においては、各教科等を合わせた指導の中に、自立活動の目標・内容を位置付けて教育課程を編成している学校も少なくないということです。資料のところには、委員の先生方には、東京の社会性の学習、自閉症の児童生徒を中心とした学級の取組を資料として載せておきましたので、御参照ください。
それから、この中での課題のまず一つ目であります。学習指導要領には、「自立活動の指導に当たっては、指導目標及び指導内容を明確にし、個別の指導計画を作成するものとする」と定められているわけですが、自立活動を行えば、すなわち合理的配慮が提供されたものと捉えている、正確でない理解が学校現場に散見されます。先ほど品川委員が指摘されたとおりです。合理的配慮が、障害のある子供に対して、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるものであることや、「意思の表明」、合意形成が重要であることなど、自立活動と合理的配慮の考え方について整理することが必要となります。
それから、課題の二つ目であります。特別支援学校の学習指導要領を参考に小・中学校の特別支援学級の教育課程を編成することが可能になっておるわけですが、この考え方が十分に理解されているとは考えにくい側面があると思います。そのために、小・中学校の学習指導要領総則等において、このことについてしっかり書き込んでいくことがやっぱり必要だろうと思います。加えて、高等学校における通級による指導の必要性が高まってきて、検討委員会も現在立ち上がっているところだろうと思いますが、さらに、高等学校の学習指導要領においても、これらの考え方を示していくことが求められるのではないかと思います。
それから、課題の三つ目であります。新しい時代に必要となる育成すべき資質・能力との関係から、「学びに向かう力」について内容を充実させていくことが重要だと思っています。一般にメタ認知とかクリティカル・シンキングとか、論理的思考等の認知面とか情意面については、学び方の違いを含めて、その方略等に関する内容をより充実させていくことが重要となるわけです。現行の学習指導要領の解説には、「一人一人の認知の特性に応じた指導方法を工夫し、不得意な課題を少しずつ改善するよう指導するとともに、特に大事な、得意な方法を積極的に活用するよう指導することも大切である」というふうに記述されています。この記述が、各教科等の配慮事項にも指導方法の工夫の仕方がより具体的にイメージできるように記述していくことが必要なのではないのかなと思います。
続いて、知的障害の各教科の現状及び課題について述べさせていただきます。知的障害特別支援学校の各教科においては、小学部は3段階、中学部は1段階、高等部2段階で示されているわけですが、個々の児童生徒の実態に即して、各教科の内容を選択して指導しやすいように構成されているわけです。
各教科等を合わせて指導を行う場合というのは、各教科、道徳、特別活動及び自立活動の全部又は一部を合わせて指導を行うことを指すわけです。知的障害特別支援学校においては、この各教科等を合わせた指導を行うことが非常に効果的だと、そういうふうに言われているわけですが、従前より、日常生活の指導とか、遊びの指導、生活単元学習、作業学習などとして実践を積み重ねてきているわけです。それらは「各教科を合わせた指導」と呼ばれてきているわけですが、法的な根拠については、学校教育法施行規則の130条の2項の規定で各校行われているということです。
課題の一つ目でありますが、冒頭申し上げた、連続性のある多様な学びの場においては、各教科の学びの連続性についても整理することが非常に重要だと思っています。特に「社会に開かれた教育課程」の編成と実施が求められているわけですが、「知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科」と小・中学校の各教科の本質が異なるのか、あるいは同じなのか、これはやっぱり明らかにする必要があると思います。共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築において、特に重要となる「交流及び共同学習」の推進やその内容の充実を図る観点から、合理的配慮の提供を前提とした「知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科」と小・中学校の各教科の指導内容のつながりを図っていくことが非常に重要だと思います。
課題の二つ目です。知的障害の特性を踏まえた学び方の違いについてですが、どのような指導内容や指導方法の工夫が考えられるのかについて具体的に示すことが重要だと思います。また、知的障害のある児童生徒においては、生涯にわたって学習する基盤となる力等を育む観点から、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)の在り方について、その考え方を具体的に例示すること、これが重要だと思っています。
それから、課題の三つ目です。各教科を合わせて指導する場合には、指導の意図、あるいは、具体的にどのような力を身に付けようとしているのかが明確ではない場合があります。これは合わせた指導等について、改善すべき課題として指摘されていることだと思いますが、育成すべき資質・能力を明らかにすると同時に各教科の個別の知識・技能や思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力など育成すべき資質・能力の育成に向けた学習過程を重視した学びを確保することの必要性について言及しておくことというのは重要だと思っています。
それから、キャリア教育・職業教育と進路指導の現状と課題については、幼稚部から小・中・高等部までキャリア発達を支援する教育の重要性について、教職員の意識を高めていくこと、これは大きな課題です。
それから、幼稚部・小学部からキャリア発達支援について、カリキュラム・マネジメントと連動させながら、将来の社会的・職業的自立、あるいは、それぞれのライフステージに応じた自立や社会参加を促していく観点から、自尊感情を適切に高めたり保ったりする具体的な成功事例、これも指導要領解説等に示していくことが重要だと思っています。
次に、(4)は、ここを見ていただくということでお願いします。
3ページを終わって、次は4ページです。(5)学習評価及びカリキュラム・マネジメントの現状について述べさせていただきます。カリキュラム・マネジメントについては、児童生徒の学習評価をもとに、授業の評価や改善、あるいは、単元計画や年間指導計画を柔軟に見直していく、こういった視点が大事なわけですが、全国の知的障害の校長会の調査によると、教育課程の編成のときは、計画的にそこの部分は行っているんだけれども、改善に関する手続やスケジュール、これについては、各学校で明文化されていない状況にあるという結果が出ています。また、校内で教育課程を見直す機会とか、会議を重層的に設置している学校ほど教育課程が改善されていると認識される割合が高くなっている。そういったことから、学習評価や学校評価等のデータに基づきながら、全教職員の参画のもと、組織的・体系的なカリキュラム・マネジメントを図り、学校教育目標の具現化に努めていくことが非常に重要であると思います。
課題としては、特別支援学校においても育成すべき資質・能力の三つの柱に従って分析的に捉える観点別評価を軸に評価の取組の工夫を図っていくこと、これが大事だと考えています。
また、児童生徒の学習を結果の側面から保障していくと同時に学習評価に基づいて授業改善を図る継続した取組を充実させること、あるいは、各教科等における単元計画とか年間計画等の柔軟な見直しを図るシステムを学校組織として体系的に構築して、カリキュラム・マネジメントを促進していくことが重要であると思います。とりわけ特別支援学校においては、合理的配慮の提供とか、あるいは個別の支援計画とか、個別の指導計画の作成、あるいは活用、そういったものを盛り込んだカリキュラム・マネジメントを構築していくというのは非常に大事なことと思っています。その根幹となります特別支援学校の取組は、カリキュラム・マネジメントスタイルというか、特別支援学校のカリキュラム・マネジメントを確立する、そういったことが非常に急務だなと思っています。
センター的な機能についての現状です。センター的機能の業務内容については、学校教育法74条を始め、インクルーシブ教育システムの中で果たすべき特別支援学校の役割や意義を教職員間で十分に理解・把握できていないことがあります。
地域の小・中学校の支援ニーズを十分に把握しきれていないこと、これも課題であります。
教職員の世代交代が非常に速いスピードで進んでいる。特別支援学校における指導・支援の考え方や具体的な指導の工夫、これが地域の小・中学校等の支援、あるいは指導に役立てているわけですが、そういった大量退職の後の校内の専門性みたいなところを磨いていく、そういった組織体制を構築していくことが求められるということです。
それから、特別支援学校の教育課程の充実に向けてということで、これはざっくりとお話をさせていただきます。
3-1、教育課程の充実の(1)では、障害の状況の多様化に対応した教育課程の充実について述べさせていただきました。
それから、(2)では、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機として、連続性のある「多様な学びの場」における子供たちの十分な学びの充実について、この時期を捉えてしっかり取り組んでいく、そういうようなことも述べさせていただきました。
それから、3-2、教育課程の充実のための条件整備のところでは、(1)のところでは、医療的ケアが必要な幼児児童生徒の増加に対応した教育の充実について述べさせていただきました。
それから、(2)では、特別支援学校の併置化、障害部門が幾つか併置をされた特別支援学校が今どんどん増えてきている状況であります。20%ぐらいが併置化をされているわけですが。それから、大規模化に対応した、是非、校長の裁量権、これを拡大していただきたいということ。それから、学校の組織マネジメント、この機能の充実・強化、これについて述べさせていただきました。
それから、(3)では、教員免許法の附則16条の廃止を見据えた教員免許制度の改革による専門性の充実についても述べさせていただきました。
(4)、これは県ごとに教育資源が少数しか存在しない、視覚でありますとか、聴覚でありますとか、病弱・身体虚弱の特別支援学校等における教員の異動による――1県に1校しかないわけですから、次に異動するときには違うところに出ていくわけですよね。そうすると、その希少障害の専門性をどういうふうに担保していくかというのは、大きな課題なわけです。この専門性の維持・継続の問題についても述べさせていただきました。
最後に、先ほども古川主査代理からもありました、教員養成段階における特別支援教育関係の基本的理解の充実について、これを述べさせていただきました。少なくとも必修単位で、教職課程の中に特別支援関係の科目、これは絶対位置付けるべきだと。在校している子供たちの10%は特別支援の範疇(はんちゅう)の子供たちですから、当然、国の政策として、そういうような政策の展開をお願いしたいと。そういう全特長で言うことはたくさんあるものですから、そういう時間を取らせていただいて、発言をさせていただきました。ありがとうございました。
【宍戸主査】  横倉委員、ありがとうございました。
現在、時間が4時15分ですので、今度はお尻は5時半ということで進めたいと思います。
これからの流れですが、最初に、横倉委員に御発表につきまして御質問等を受けたいと思います。教育課程そのものの課題もありますが、教育課程を取り巻く特別支援学校全体の現状や課題も話題提供ありましたが、後ほどは教育課程に絞って御質問等を頂ければと思います。
それから、その教育課程のイメージを持っていただくということで、諫早特別支援学校の教育課程の具体的な資料も用意していただいていますので、それについては、古川委員から少し具体的な説明をしていただこうと思います。
3番目として、検討課題(案)につきまして、今日は順番に三つ提示されていますが、その三つだけにとどまることなく、そのほかのことも含めて、全体的に御意見等を頂ければと思います。丸1、丸2、丸3の細部につきましては、テーマを設けて、次回以降、また議論していただくという形にしたいと思います。
一応三つのことを順に進めていきたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
それでは、最初に、横倉委員の御発表につきまして、御質問ありましたらお願いします。また、名札を立ててお知らせいただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
【中田委員】  高等学校で校長をやっているときに、特別支援学校の方から、最近、生徒指導で今までにないような案件が結構出てきていてという問題があって、お聞きすると、知的障害としては重い・軽いという言い方をすれば、かなり軽いという子たちが結構たくさん入ってきて、先生の今のお話の中で、25%ということで、かなり増えてきているという。中身としては、重度ということもあると思うのですが、その方面もあると思うんですね。
そういう子たちについては、極端な場合には、手帳は持っていないとか、ある意味、高等学校で学習に困難を持っている子供たちがたくさん集まる学校の生徒層と、かなりまだら模様、結構かぶる部分があるというところで、高等学校の方としても、特別支援学校的な要素を取り入れる必要があるかなということで、自立活動とか、そういったことも勉強しなくちゃいけないかなという段階にあるわけですが。特別支援学校としては、教育課程の中に、今までの教育課程で十分にそこで吸収できていけるのか、それとも、もうちょっと、今までいなかったようなタイプが来ているわけなので、どのような対応が考えられるのかということをちょっとお聞きしたいと思いました。
以上です。
【宍戸主査】  横倉委員、お願いします。
【横倉委員】  本当に、今、まだら模様というふうにおっしゃいましたが、前もお話しましたが、高等学校の東の方15校、足立区、葛飾区の高等学校を担当していたんですが、知的障害の高等部と足立区、葛飾区、あるところの高等学校の定時制や三部制やチャレンジの生徒さんと見比べると、むしろ特別支援学校の高等部に在籍するお子さんの方が学力的には上だなという気がします。特徴的な部分で言うと、ある専門高校の定時制の学習の中身は、四則の計算でしたね。四則の計算も、しっかり2年生の3学期まで身に付けるというような内容、それがそういう内容でした。
今の話の内容から言うと、非常にそこらはまだら模様で、逆に言うと、知的障害の高等部の教育課程がこれでいいのかどうかという逆な見方があって、双方から本当に加点付けていくというのか、そういう部分は非常に重要なのかなというふうに思いました。
私もこの中で書かせていただいたんですが、本当に通常の学校の教科と、それから、知的障害の教科、これが本質的には違うのかどうかというところは、しっかりと議論をしていくと、自(おの)ずから解決を見てくるのかなというようなことなんですが、よろしいでしょうか。
【宍戸主査】  ありがとうございます。中田委員、何か今のに、いいですか。
じゃ、安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  最初ですので、特に学習指導要領というところではなくて、むしろ今御提案いただいた中で、関連するところで、非常に私自身も関心を持っているところで質問させていただきたいと思います。
最後に書いてある教員養成段階における特別支援教育関係の基本的理解の充実というところでございます。今の話題では、小・中・高等学校の教員の養成段階においても、特別支援教育についてはきちっと学ぶべきだろうという御提案だと思いますが、これまでもこういうことは度々話題に出ておりますし、例えば、筑波大学では、600人とか、800人とか教職を取る学生はいますけれど、これは全て必修で、障害児教育指導法というのは受けさせるようにしているんですね。我々が全部担当しているんですけど。そういう、まだ必要であるというところの努力に負っているところが多いと思うんです。そういう意味では、今の提案というのは、今後の特別支援教育を見据えたときには重要かなと思いますとともに、質問は、じゃ、特別支援学校の教員の免許状が現状でいいかという問題も僕は提案したいんですけどね。
これは、私も一応課程認定を受けている大学の教員として、教員養成に携わるという認識のもとでお話するんですけど、例えば、これまでずっと話題になっていた自立活動について、実は、現行の免許法上では、特出しして指導しなくてもいいようになっているんですね。基礎理論の中でちょろっと触れられたり、指導法の中で触れられたりというので、体系的に学ぶことが基本的にできていない。
そういう中で、私も時折初任者研修や10年研の研修などで、いろんな自治体の先生方とこのことについて研修等を担当することがあるんですけど、非常に残念なことなんですけれども、基本的なことを御理解いただいていない先生が特別支援学校においてもある。これは非常に憂慮すべきことで、個人的に、今は電子シラバスですので、全国の教員養成系の大学のホームページへ入って、どういうカリキュラムを編成しているか、全部のぞいてみました。そうしたら、自立活動という科目を設けている大学は、3大学しかありませんでした。これが現状ですよね。ちなみに、筑波大学は私が担当して、ちゃんと学ぶようにさせております。
そういうことから、先生、今、現場をお預かりになる立場から、僕は特別支援学校の教員免許状の取得においても、今後を見据えたときに、やっぱり何らかの形で自立活動についてきちっと明記すべきじゃないかなと思っているんですけれども、いかがでしょうかということでございます。
【宍戸主査】  横倉先生、お願いします。
【横倉委員】  まず2点質問があったかと思うんですが、特別支援学校の教員免許が現状でいいのかどうかという部分ですが、今、附則の16条、これを平成32年までに廃止していこうという、そういうようなことで政策が動いてきていると思うんですが。実際、免許状の取得率とかを見ますと、東京とか大阪は非常に低いわけで、今、更にそのハードルを上げてしまうことで――ハードルを上げるというのは、特別支援教員免許の取得を難しくする、あるいは、単位数を増やすということで、そこの部分はどういうふうになるのかな。恐らく安藤先生が御心配なさっている部分は、少なくともみんなベースで理解していく、あるいは、資格を持っていく者と、そこを専門的に担っていく教員とで、少し分けて考えていくような、そういうような方向はどうなんだろうかとか、そういうふうに思っています。
自立活動については、まさしくおっしゃるとおりで、是非、そういうふうな中身が、教職課程を履修している先生、学生は、必ずその中身について理解するとともに、特別支援学校の教員免許を取得する先生については、あるいは学生については、必ず自立活動について単位を、あるいは講座を履修する、そういうことが必要になってくるのかなというふうに思います。
【宍戸主査】  それでは、小枝委員、そして、山中委員、中田委員で、横倉委員の発表に対する質疑応答を一応けじめをつけたいと思います。
【小枝委員】  ありがとうございます。小枝でございます。手短に。
御説明、どうもありがとうございました。説明の中に、東京都の資料として、自閉症学級の設置の資料がございますが、これを設置して、その効果なんかは把握しておられるのか。把握しておられたら、その効果はいかがなものかということをちょっと教えてください。よろしくお願いします。
【宍戸主査】  お願いします。
【横倉委員】  そこの資料の中にもありますが、子供たちが非常に落ち着いて学校生活を送ることができるようになった。それから、いろんなスキルを積み上げていけるような、そういう試みが継続して取り組まれるようになった、そういうような報告がなされています。非常に構造化した教室で、子供たちが落ち着いて学校生活を送るようになってきているという、そういう報告は各学校から成果として上がってきています。保護者の満足度も非常に高いということです。
【小枝委員】  そのアンケート調査結果なんかはありますか。保護者の満足度が上がったとか。
【横倉委員】  例えば、今の時期ですと、ちょうど学校評価とか、そういうところと連動して上がっているところがあると思います。具体的にどうかという部分はお示しすることはできないんですけれども、そういうところで……。
【小枝委員】  把握はしておられるということですね。
【横倉委員】  はい。
【小枝委員】  ありがとうございます。
【宍戸主査】  山中委員、お願いします。
【山中委員】  質問と意見というか、感想というか、4点あるんですけれども。
1点目は、これはちょっと意見ということになるんですけれども、自立活動のことですね。特別支援学校の方から横倉先生に報告していただいたわけなんですけれども。これ、さっきのところで言うべきだったかなと思うんですけれども。先ほどの小・中学校の方の各教科に配慮事項をというのも、配慮事項なんですけれども、自立活動の考え方がやっぱり入ってきていると思うんですが。小・中学校の例えば通級だったり特別支援学級だったりする先生は、自立活動ということが分かっているわけなんですけれども、小・中学校のほとんどの教員は、自立活動というのが分からないわけなので、できれば、小・中学校の学習指導要領の方にも、特別支援学校の自立活動を参考にしてとかという文言が入るといいなというふうに思います。意見です。一つ目です。
それから、二つ目も意見で、知的障害者である児童生徒に対する各教科のことなんですけれども、これも横倉委員の方から報告があったものの中なんですけれども、特別支援学級、特に知的障害の特別支援学級は、特別支援学校の学習指導要領を参考にできるわけなんですね。就学先決定の仕組みの在り方が変わって、その中に、就学先が決定した後も、柔軟に転学ができるようにということも書かれているわけなんですね。そういったときに、実際そういうことが発生してきたときに、やはり特別支援学校と小・中学校特別支援学級も含めて、やっぱり教育課程のところが、特に各教科のところの取扱いのところで、うまくいかなくて、なかなか転学がスムーズにいかないという例もありますので、是非、この各教科の考え方というのも今後検討していただければなというふうに、連続性についても検討していただけるんだなというのが二つ目です。
三つ目は、質問と意見なんですけど、センター的機能についてなんですけれども、センター的機能についても、特別支援学校の学習指導要領にも書かれていますし、学校教育法にも書かれているんですけれども、これは質問なんですけど、特別支援学校として、センター的機能のために教員をいろいろやり繰りしていただいていると思うんですが、その辺の現状についてのことと、小・中学校の方は、特別支援学校のセンター的機能を大分活用してきていて、こちらとしてはかなり活用させていただいていると思うんですが、先ほどの各教科の連続性とかを考えたときに、小・中学校の教員が特別支援学校の方に行って、各教科について、例えば、先生に各教科の考え方なんか話したり、向こうのお子さんに何とかって、そういうようなことで何か試みというか、お考えとかあるでしょうかという。センター的機能として、特別支援学校から小・中学校が受けているだけでなくて、今後、教科のこととかを考えたら、小・中学校の教員が特別支援学校の方へという考え方もあっていいのかななんて思っているんで、その辺のところが一つですね。
それから、あとは、これが四つ目、最後なんですけれども、先ほど自閉症のことが出ていましたが、今、自閉症の特別支援学校がつくれるわけではないので、学習指導要領の中に自閉症というのが一つあるわけではないんですけれども、東京都は、特別支援学校知的障害の方で自閉症学級をやられているということもありますが、自閉症について、特別支援学校としては、自閉症の学習指導要領ではないですけれども、そういうものが必要とかというお考えはどうでしょうかということで、センター的機能と自閉症のことについて質問したいんですが。
【宍戸主査】  横倉委員、お願いします。
【横倉委員】  私の報告のところにも書かせていただきましたけれども、4ページ、(6)センター的機能の現状であります。小・中・高等学校のコーディネーターの派遣とか、そういうものが現状どうなっているんだという部分で、知的の校長会が調査を行って、大体1校当たり3名のコーディネーターが指名されていると。このうち専任は1を切って、0.62人なんですね。つまり、授業の軽減とか、あるいは、授業の軽減なしで、空き時間で支援をしているとか、そういった加配で教員が付いている場合もあるし、加配で付いていない学校もあるということで、全国的に見ると、非常に状況的には厳しいんだと。
それから、知的の特別支援学校は、1年間で1万件ぐらい相談件数が伸びているんですね。全国で全てカウントしていくと。今、青天井でどんどんニーズは高まっているんだけれども、人的な部分では厳しい状況が続いているということ。
それから、交流の人事といいますか、それで先ほどのお答えになるかと思うんですが、東京都は、異校種の期限付異動というのをしていまして、3年間あるいは1年間、通常の小学校、中学校、高等学校に特別支援学校の教員が異動して、そこで、例えば、教科指導のノウハウを学んできたりとか、部活をいろいろ担当したり、逆に、1年あるいは3年間、普通学校にいて、特別支援のノウハウを伝えたりと、そういう制度があります。
逆に、小・中・高等学校から特別支援学校に1年間あるいは3年間異動という形で異動してきて、そこで特別支援の支援のノウハウとか、あるいは、いろんな具体的な中身を経験し学んで、通常の元勤務していた学校に戻っていく、そういう制度があります。
ちなみに、うちの学校で言うと、通常の小学校から来ている先生が5人います。それから、区立の小学校、中学校に出ている先生が3人いるという。これが年次ごとに帰っていく。そういうことで、相互にそれぞれの専門でやってきたことを高め合っているという、そういう制度をとっているということです。
それから、自閉症の教育課程に対するニーズという部分で言うと、成果は一定、先ほど小枝委員からも質問がありましたように、成果としていろいろ発信している部分がありますので、学級編成のところで、改めて教員が定数として付くとか、改めて学級編成がなされるということでは予算的な裏付けはないわけですが、そういう課題に応じて学級編成をしていったりという部分は、特別支援学校の学級編成の中では、知的の特別支援学校を中心に、そういった取組がなされているという、そういう現状があります。
教育課程をという部分では、まだまだこれからの検討かなと、そういう現状です。
【宍戸主査】  ありがとうございました。
じゃ、中田委員で、とりあえず質問の方は打ち切りたいと思います。
【中田委員】  センター的機能について、二つお願いします。
一つ目は、いわば小・中・高等学校からすると、外部資源として入っていただくということになるわけですけれども、その中で、ニーズを十分把握しきれないということが課題であるとありましたけれども。その入り方ということについては、例えば、小・中・高等学校でやるケース会議に参加するというような形もあると思うんですね。今、どういう形態で入られていて、そういう課題が出てきているのかなということをお聞きしたいと思いました。これは1点目です。
それから、2点目は、地域支援の担当が走り回るという形態だけではやはり薄いという気がするんですね。先ほど大内委員からお話がありましたけど、地域学校群という発想に立てば、地区ごとの校長会の中で、センター的機能についての話題が毎月の校長会で、特別支援学級学校の校長と高等学校の校長が話し合うとか、そういう機会があることによって、かなり促進される側面もありますし、そのほかもいろいろ考えられると思うのですが、そのあたりについてお考えをお聞きしたいと思いました。
以上です。
【宍戸主査】  お願いします。
【横倉委員】  まず、支援に当たるとき、どういう形態で入っているのかという部分は、今、中田委員がおっしゃっていただいた、ケース会議に参加して、助言に没する。あるいは、具体的に問題行動とか不適応のお子さんに他人が手を挙げてしまって、どうしていいか分からないと。だから、この時間のここに来てくれということで、実際、臨床場面というか、指導場面に行って、そこでいろいろ対応等をしているという、そういうような二つのタイプの支援の仕方があると思います。どちらがというわけではないんですが、概して多いのは、支援会議のところに行って、通常の学校の状況が全体的に視野に入らない助言がなされて、金谷委員からも先ほどありましたが、そういった状況は度々耳にする状況ではあります。
それから、地区ごとの交流会が、やっと校長先生方とその辺はできつつあるところで、東京は教育委員会が一元的に学校を管理しているといいますか、しているわけではなくて、東京を6つに分けた学校経営支援センターというものが都立学校を支援していますので、そこで同じ地区の高校の校長さんと特別支援の校長が同じチームにいますので、そこで学校経営支援センターが中心となって、そこでいろいろやりとり、支援の関係が生まれてきているという部分はあります。実際には、校長とのフェース・トゥ・フェースで、どうにかならないか、じゃ、こうしようかと、まだそういう部分も多分にあると思います。
【宍戸主査】  東京都の例ということで御紹介がありました。
横倉委員の御発表に対する質疑は、ここで打切りにさせていただきまして、教育課程の具体的な例として、長崎の諫早特別支援学校の教育課程の編成例が出ておりますので、それについて、簡単に古川委員から説明してもらおうと思います。
【古川主査代理】  失礼いたします。資料4の方を先に見ていただきたいと思うのですが、資料4の一番後ろのページに、先ほども事務局の方から説明がありましたけれども、特別支援学校における教育課程編成についてという横長の表がございます。資料4の一番後ろのページです。
要は、特別支援学校の教育課程の、特に重複障害者等の特例を使った教育課程の編成ということです。こういった形で、基本は小・中学校に準じた教育課程というのがあるんですけれども、ただ、やはりそこでは子供たちの実態からして、非常に難しいという場合に、そこに書いてありますように、特別支援学校の、知的障害はちょっと外しまして――私、実は前にここの学校の校長でして、その関係で、多分少し説明をせよということだったと思います。諫早特別支援学校というのは肢体不自由の学校でございます。その左側のフレームの中で、重複障害の教育課程を編成していくということになっていくと思います。学習指導要領上は、こういった教育課程の編成が認められておりますので、そこをベースに教育課程は編成していくんですけれども、それで、いわゆる教科を扱わないところとか、あるいは、前の学年、あるいは、下学部の内容を扱ってもいいですよとか、あるいは、知的障害の教科に替えてもいいですよとか、あるいは、自立活動を主として教育課程を編成していいですよという、教科を替えて、そういったフレームがございます。それで、特例で、こういった教育課程編成が認められているところでございます。
こういったことをベースにしながら、資料5の方に移っていただきたいと思います。4年ほど前、私、諫早特別支援学校に校長として赴任したときに、特別支援学校が、インクルーシブ教育システムの構築の中で、今一番やっていかなければいけない部分は何だろうということで、すごく考えました。要は、学校が教育課程をやっぱりきちっと説明できなければ、多様な教育形態と言われる中で、特別支援学校としての存在ってどうなるのかということを、実は先生方にしきりにその説明だけしたときがございます。要するに、学校として、例えば、諫早特別支援学校として、どんな学校であるべきなのか、どういった子供を育てようとするのか。だからここに来るんでしょうという話をしたことがございます。だから、子供たちにとって、本当に将来を踏まえて、どんな力を付けさせていく学校であるべきなのか、あるいは、学校として、子供たちのビジョンをどういうふうに持ってあげるべきなのかということで、ここの教育課程の基本方針というのを示させていただきました。いわゆる目指す子供像ということを3点ほどそこに書いているんです。
これをベースに、いわゆる子供たちの卒業後の生活というのをどういうふうに考えるんだろうと。子供たちが生活している姿というのを、あるいは、その保護者の意見とかを聞いた中で、やっぱり学校の中でこんな力を今付けさせていかないといけないよねということを、先生たち一人一人が実感しないと、なかなか実際の指導の中には生かしていけないということがございましたので、まず子供たちの目指す姿、そして、実際に子供たちの卒業後の生活ということを踏まえたときに、どんなことが必要か。これはある意味、トップダウン的にキャリア教育の観点も踏まえて、卒業後の生活を目指したときに、どういった段階で、どういった観点で指導が必要かということを考えていく材料ということで、いわゆる目指す姿、子供たちに付けさせたい力のマトリックスというのを作って、教育課程でこんな力を付けるんだよということを、大きな枠を作ったところでございます。
それをベースに、今度は、教育課程を具体的に作っていくんですけれども、例えば、小学部でもいいんですけれども、1・2課程という子供たちは、要は、小学校の教科に準ずる、いわゆる教科ができる子供たちです。基本は小学校の教育課程に準じた教科を持ってきて、それプラスの自立活動、あと総合的な学習の時間、外国語指導ということで、1課程を基本置いています。いわゆる準ずる教育課程と言っているんですけれども、2課程は、それに少し内容的には、いわゆる教科が、例えば、3年生だけど、1年生の段階の教科が積み上げがまだ必要だ。いわゆる準じた教科のできる子供たちの積み上げの教育課程ということで、1・2課程の教育課程を編成した。
次に、3課程というグループなんですけれども、これは子供たちが、準じた教科ではなかなか難しい。より生活に密着した力をやっぱり付けさせるという観点から、知的の教科と代替して教育課程を組んでいこうという学習グループでございます。だから、知的の教科をベースに持ってきて、そこの中で、合わせた指導も含めているんですけれども、自立活動の指導と教育課程を編成している。
同じように、実態的に同じような知的の教科に替えている子供たちなんですけれども、比較的ある程度の積み上げができている子供たちについては、A類型、そして、もう少しそれよりも段階的には――これは多分、知的の教科の2段階ぐらいになると思うんですけれども、B類型、そして、C類型ということで、少し重度重複の子供さん向けに教育課程を類型したところでございます。
その中で、知的の教科に替えて、C類型をちょっと見ていただきたいと思うんですけれども、C類型は、実は、当日、教育課程の中で、自立活動に替えていいですよと言っているものですから、自立活動中心の教育課程を作っていたんですけれども、ただ、全て自立活動と合わせた指導とで構成されていたんですけれども、実は、本当に教科の指導って要らないのという論点を、やっぱり我々はもっと考えていかなければいけない。
それはどういうことかというと、卒業後の生活を見据えたときに、読み書き算数のニーズってどんな重度の子供さんでも必要ですし、そこに向けていきたいという積み上げ、系統的に作っていく必要性のある部分と、それと、もう一つは、やはり障害が重度であるので、自立活動、ここは完全にボトムアップ的な、個からの実態を踏まえた内容になってくると思うんですね。そういったトップダウンとボトムアップ的な観点から、教育課程はやはり構成していかなければいけないのではないか。付けさせたい力を、じゃ、教科の内容をこういった内容で積み上げていけるように、教科をもう一回教科の切り口から見ていこうねということで、構成を少し変えていったところでございます。
中学部は、もう教科を、今までは自立活動を主でしていたのを、これを国語と数学ということで、教科を取り出す形をして時間を設定したりとか、小学部の段階では、まだそこまでは行かずに、合わせた指導の中でするんですけれども、しかし、そこにはちゃんと教科の目標があって、教科、国語とか数学とか、あるいは、ほかの教科を合わせて指導する中に、きちっと教科の目標を入れ込んだ形での展開をしているところでございます。
これは教育課程としては、まだ私はでき上がっているとは思っていなくて、よりもう少し教科の切り口からきちっと見ていって、じゃ、何で教科の切り口から見ていったかというと、逆に言えば、自立活動に替えてもいいですよと、何でも自立活動でいいのかという話でもないんだろうなというのが一つあります。高等部の段階、高等部を卒業した後に、重度重複の子供さんが自立活動だけでいいという話ではなくて、やはりそこには将来の生活のことを考えると、教科的な積み上げも必要だろうし、自立活動としての内容も必要だ。だから、そこを両面の切り口から見ていかないといけないんじゃないかなということを考えて、今、教育課程をこういうふうに構成しています。
この構成に当たっては、実際にどんな力を付けさせたいのかということを先生たちにやはり意識させて、マトリックス的に見ていったと。それを個別の教育支援計画の中で、本人の目指す姿として個別の教育支援計画にそこを埋め込んでいきます。それで、その個別の教育支援計画に埋め込んだものをベースにして、次に、個別の指導計画に全ての教科、指導の領域、いわゆる自立活動を踏まえて目標内容を書いていく。そして、それについて、いわゆる評価をしていくという形で、先生たちが実際の目標設定して授業をする部分を、きちっと授業反省会の中で評価していきながら、そして、それを教育課程にどういうふうに生かしていこうかという、いわゆるPDCAのマネジメントサイクルの中で、先生たちが意識的に教育課程を考えきれるということがすごく大切ではないかなということで、今、動いているところです。
ちょっと時間は長くなりましたけれども、こういった構成にしているところです。その中で、特に今議論になっているのが、合わせた指導というのが、日生、生単、遊びとか残っているんですけれども、果たして――これは方法論の話なので、別に構いはしないと思うんですけれども、やはりそこにはきちっとした教科の目標があって、どういうふうにそれをうまく合わせて指導を展開できるかということをやっていかないと、ややもすると、いわゆる生活単元学習の中で意欲的に取り組んだとか、評価の観点が非常に狭い範囲での教科の観点しか評価がなかったりとかいうことがございました。
実は、これをすごく感じたのは指導要録でございます。指導要録を見るときは、各教科で評価していくんですけれども、そのときに、いわゆる合わせた指導の展開の中で、どうしてもその中身が関心・意欲・態度的な要素が非常に多くて、実際に知識・技能というのがどれだけ付いているかというのが、実は指導要録上見えてこない。これは全く、それでいいのかという議論が取っかかりなわけなんですね。それをきちっと見ていくためには、教科として切り口を見ていかなきゃ駄目よ。もっと裏を返せば、それを評価しなきゃいけない。だから、目標を設定しないと評価というのは出てこないので、目標の設定をどうするかということで、個別の指導計画の中にきちっと生かしていく。だから、各教科、道徳、総合、自立活動という個別の指導計画の枠がありまして、そこの中に目標をきちっと全て入れていく。そして、その次に、合わせて指導を展開するのであれば、その合わせた指導の展開の中で、どういった活動を展開していくのかというのを、次のステップとして、どういった内容で構成されているのかということをやっていきながら、それで、また元に戻していくという、そういうサイクルの中で、先生たちの中に、自分の子供たちに返る、子供たちに付けさせる、フィードバックできる教育課程というのを考えていかなきゃいけないんじゃないかなということで、もう今、私、校長ではないですけれども、今、まだ現段階では、そういったことで議論されているところかなと思っております。すみません、ちょっと時間を長く取りました。
【宍戸主査】  これから、特別支援学校の教育課程を考えていくときに、今も出ていましたけれども、知的の教科と小・中学校の教科をどういうふうに関係性を考えるかとか、あるいは、下学部適用とか、下学年適用とか、自立活動に替えるとか、やっぱりそういう独特の表現、言葉が出てきます。そのことについては、この諫早特別支援学校の教育課程を一つ共通の基盤として考えるといいかなという意味で、説明をしていただきました。
自立活動しようと言っても、何のことかよく分かりませんよね。それは、だから、これから徐々にそれを考えていきたいと思いますし、ここにある1課程、2課程、3課程、A類型、B類型、C類型は、これは学習指導要領で示しているものではありません。これは特別支援学校、特に諫早特別支援学校でこういうふうにナンバリングして経過しているということですので。その右側にある下学部適用・下学年適用、それから、準ずる教育とか、自立活動主とか、知的の教科に替えるとか、そういうことは学習指導要領の中に示されております。
なかなか特別支援学校の教育課程を考えるというのは、多方面から考えないといけないということで、できるだけ基盤を共通化して議論できたらいいかなと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、3番目のこととして、検討事項(案)が出ておりました。資料2かな。それ全体については、また回ごとに、これから第5回以降議論していただきますが、今日は、丸1、丸2、丸3にこだわらず、あるいは、四角囲みにこだわらず、全体を通じて、今ここで思っていらっしゃるお考えを聞くという時間にさせていただければと思いますので、5時半には終わりたいと思いますので、簡潔にお願いできれば有り難いと思います。
それでは、尾崎委員、田中委員、一木委員の順番でお願いします。
【尾崎委員】  検討課題ということでお話をしたいと思います。
今、古川主査代理の教育課程の考え方については、私、多分、異論があるんですけれども、細かいことについては、また別な機会でさせていただきたいと思って、今日は包括的なお話をすればいいということで、よろしいでしょうか。
【宍戸主査】  はい。
【尾崎委員】  それでは、まず1番目の方のことなんですが、自立活動の改善・充実ですけれども、自立活動が始まって、私はいろいろな、特に今回の改訂で、人間関係の形成も含めて入ったということで、特別支援教育の関係者だけではなくて、ほかの人にも理解されるような内容が入ってきていると思っています。
ただ、自立活動そのものは、目標から、内容から、学習上の困難、それから、生活上の困難の改善・克服と言っているわけですよね。もしそうだとしたら、主体的に改善・克服しようとしたときの成果が、学習上の困難でどういう成果があったのか、それから、生活上の困難でどういう成果があったのかということが児童生徒本人に実感がなければ、なかなか自立活動をやってどうだったかというのが出てこないかなというように思います。是非、自立活動の指導を充実していくためには、他教科との関連も踏まえて、この取組によって自分もこういうことができるようになったとか、生活上の困難がこういうふうに変わってきたんだとかというようなことが実感できるような積み重ね、そういうものを考えていくというのが、これから指導上必要ではないかなと思っていますし、そういう趣旨で自立活動という名称になっていると、私はそれを再確認する必要があるんじゃないかなと思います。
それから、2点目、キャリア教育の充実ということですけれども、今回、キャリア教育の充実については、何も特別支援教育だけではなくて、小・中・高等学校全てにわたって言われているわけです。今回、小・中・高の各教科の内容についても、育成すべき資質・能力というのが考えられていて、それで、教科間の連携とか、縦の連携とか、横の連携とかということも論点整理で論じられているわけですね。私は、同じように、キャリア教育の視点で特別支援学校の縦の連携、横の連携、それをきちっと考えていくことがキャリア教育の充実につながっていくのではないかなと思っています。
特に、今までの学習指導要領が知識・理解偏重で、それを積み上げるという形だったんですが、今回からは、育成すべき資質・能力、前から言われれば、コンピテンシーという考え方、その考え方で能力が変わっていくということであれば、小学部段階から積み上げたものが、高等部段階でどういうふうな力につながっていくのかということが議論しやすくなるというふうに私は思っています。そういうことで、全ての各教科等の内容の中の連続性の中でキャリア教育をどう進めていくのか、これを明確にしていく必要があるんじゃないかなというふうに……。
【宍戸主査】  尾崎委員、済みません、5時ですので、あと30分しかありませんので、簡潔にお願いします。
【尾崎委員】  それじゃ、最後に一言だけ。知的障害の各教科の方はたくさん言いたいことがあるので、後日ということで。
【宍戸主査】  ええ、これは回を設けて、そこで重点的に議論することになると思いますので。
【尾崎委員】  分かりました。じゃ、最後に一つだけ。
重度重複のキャリア教育ですけれども、どんな児童生徒にとっても、障害が重かろうが、なかろうが、キャリア教育は重要だという視点が一つと、それから、もう一つは、一つ一つの経験を本人がやり切ったという経験を積み重ねることが、その人のキャリア発達の支援につながるのではないかなというような思いがありますので、そこにも注視しながら、教育課程、学習指導要領を考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございます。
じゃ、田中委員、お願いします。
【田中委員】  丸3の知的障害のある児童生徒のための各教科のところで、特に小・中学校における特別支援学級のお子さんへの教育課程というところで発言したいと思います。
前回、第2回のときにもお話しさせていただいたのですが、特に特別支援学級、小・中学校の場合には、通常の学級にまずは就学をして、そして、かなり通常の学級で様々な困難さが増して、転学をするお子さんが多いです。そのお子さんたちの中には、厳密な意味での知的障害だけではなくて、知的障害は非常にマイルドであったり、中には、知的障害という枠には入らない、けれども、検査などを取ってみるとアンバランスがあって、生活上の困難さのあるお子さんがいらっしゃいます。
その子たちの将来を考えたときに、さっき横倉委員がおっしゃった、この子たちの各教科の本質というのが通常の学級と同じなのか、違うのか、特別支援学校の場合はどうなのかというところなのですが、特別支援学級の場合には、今、特別支援学校の教育課程を使う場合と、それから、などを参考にしながら作っていますよね。そこで、今、長崎の特別支援学校は、肢体不自由の学校の教育課程だったんですけれども、この2課程の教科の下学年適用の部分、プラス、3課程のA類型、特別支援学校の当該学部段階の各教科の内容、ここの部分を強化していくのが、多分、小・中学校における知的障害特別支援学級の子供たちの教育課程に必要なところなのではないかと思いました。ですので、そこの議論をしていただきたいというのが1点。
それから、自立活動に関しては、やはり特別支援学校の教員免許というような枠組みで、これからも教員養成をしていくのであれば、全ての障害について、特に発達の段階、それを学生が学ぶような、学生の養成課程の中で発達の段階を学び、そこの上にアセスメントがあり、実態把握ができるという、そういうカリキュラムを作っていただきたいと思います。
その場合には、多分、今のような特別支援学校の教員免許状の制度というよりも、多分、大学院レベルの学びが本当ならば必要なのではないかなとは思いますが、少なくとも、今のレベルに合わせるにしても、発達の学びというのを是非強調していただければと思います。
また……。
【宍戸主査】  すみません、簡潔にお願いします。
【田中委員】  はい、急ぎます。自立活動については、さっきの山中委員の御発言に賛同です。通常の学級の学習指導要領の中に、是非記述をお願いしたいと思います。
以上です。
【宍戸主査】  都合で、一木委員と古川委員が途中退席されますので、そちらを優先させていただきたいと思います。一木委員、お願いします。
【一木委員】  すみません、失礼します。
まず、どのような力を育むのか、そのために子供たちが何を学ぶのか、どのように学ぶといいのかということが議論されるわけですね。キャリア教育ではどのような力を付けるかというようなことがよく議論されます。どのようにといったことについては、現在、アクティブ・ラーニングがよく議論されるところですけれども、私は、改めて教育内容、何を子供が学ぶのかという議論が非常に重要だと考えているところです。それがなければ、以前も申し上げましたけれども、カリキュラム・マネジメントというようなことも成立しないと。そういったときに、各学校の教育課程等をホームページで拝見しますけれども、指導形態と教育内容というのが混乱している。あるいは、教育課程と時間割というのが混乱しているというような現状があると。改めて教育課程というのは、外から見ると学校の決意表明ですから、教育内容と指導時数でしっかり示していただけるようになるといいなと思っているのが1点です。
それから、何を子供たちに学ばせるのかということで、教育内容を選定するわけですけれども、子供が実際ちゃんと学べているかと。ここを把握するときに、先ほど議論になりました評価規準というようなことも必要になってくるわけで、この評価規準の理解が特別支援学校は非常に弱いと。ここはしっかりできてこないと、幾ら多様な学びの場、学びの連続性と言っても、なかなか保護者本人にとってはそう映らないということになるだろうと思うところです。
是非、今回、学習指導要領改訂に向けて、次の指導要領で発信していただきたいなと思っているポイントは二つあります。
一つは、先ほど教科の配慮事項をこんなふうに変えていくという提案がなされましたけれども、いわゆる障害名から子供を理解するのではなくて、教科の学びって何なんだと。じゃ、その学びがその子の中で成立するためには、どんな手立てが必要かという見方で子供を見ていくと。そうすると、教師には教科の学びとは何ぞやということが、その理解が求められるということになります。このメッセージが一つです。
それから、先ほども学びにくさの背景によって手立ては変わるというお話がありました。学びにくさの背景を理解する、そのときに必要な視点が自立活動ということになります。そういう意味で、自立活動の視点の重要性というようなことを、小・中学校も含めてになりますが、しっかり示していただければと思うところです。
最後に、先ほど教員養成段階で特別支援教育基礎理論のお話、筑波大学ではやっているというお話がありましたけれども、私、福岡教育大学、やりましょうとまだ言い切れない立場にありますが、特別支援教育概論という授業を担当していまして、そこの中で扱うことはしておりますが、自立活動という科目はまだ立ち上げ切れずにいるというところです。
現状においては、各障害の種別の指導法の中で取り上げられるということはあるんですけれども、私はそれに余り賛成ではありません。というのは、障害別に自立活動があるのではなくて、共通の見方があって、結果、障害に対応した指導が成立するということです。そうすると、障害別の指導法の中ですと、ややもすると、特定の発達検査ですとか、特定の指導法によったものが15回の授業で展開されるということになります。ですので、是非、養成段階でこういう科目が必要だというメッセージを投げていただく際には、特別支援教育について学ぶことが大事なんだというメッセージではなくて、特別支援教育を担うためには何に、例えば、先ほどの話ですと、自立活動について少なくとも学んでいただく必要があるんだというメッセージを投げていただければと思います。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございました。
じゃ、古川委員はいいですか。それでは、先に退席される方に意見を聞かせていただきました。
それでは、加藤委員、そして、安藤委員、村上委員、堀江委員の順で御発言をお願いします。
【加藤委員】  ありがとうございます。私は、この資料2の丸1のことを中心にお話をさせていただきたいと思います。
子供の育ちだとか教育という世界においては、今日的には、自立だとか、自主性だとか、主体性だとか、そういうことというのはまさにキーワードで、誰もこれを否定する人はいないかと思うんですが、問題は、そうした主体性とか自立という話は、スキルを幾つ積み上げてもそういうものにはならないんじゃないかと思うんですね。もっとベーシックなところで大事なことがあると思うんですね。それは、私、有用感、エフィカシーといいますか、エフェクタンシーといいますか、そういうものがベースになくてはいけないと思うんですね。ところが、ハンディを背負って生きている彼らの場合には、その有用感がなかなか日常生活、あるいは学びの場で実感できない中で生かされているということが基本的にあるんじゃないかと思うんですね。ですから、そこの部分にメスを入れない限り、幾ら上にこういう項目的な単科的なものを幾ら積み上げても、私はそれは絵に描いた餅だろうと思います。
そういう意味でも、例えば、自立活動にここに6つあるわけですけれども、これらはもちろん項目としては重要なものであるんですけれども、しかし、やっぱりこれらの背景に必要なのは、私は、一人一人の子供がどんな状態で生きていようとも、かけがえのない命として大切にされている、評価されている、注目されている、期待されているという、そういうフィロソフィーが大事であって、スキルじゃないと思うんですね。だから、そこを誰が伝えるのかという。養成においても、スキルは皆さんいっぱい学ぶわけですけれども、大事なのは、そうじゃない。もっとそのベースのフィロソフィーを誰が伝えるのかというところが大事なことであって、だから、是非、そういう視点のことも盛り込んでいただけたらと思う次第です。
【宍戸主査】  ありがとうございました。
【安藤委員】  私は、この会の趣旨から、今後、各論について議論する上で、その前の段階でちょっと意見を申し上げさせていただければなと思いまして、マイクを取った次第です。
御承知のように、学習指導要領は、教育課程の規準として、戦後、何度の改訂を経て、今日に至っているわけですけれども、基本的なスキームというか、それは多分45年の指導要領の改訂のときに、現行の基本的な枠組みはできたと思うんですね。それ以降、特別支援教育へ移行する平成11年の改訂や前回の改訂などで、当然、制度の転換を伴う修正が加えられたということだと思うんです。
その中で、私、感じているのは、やっぱり修正を重ねていく中で、どうも論理的に整合しないことがぼちぼち見られるようになってきている。つまり、屋上屋を架する※ところが出てきて、全体として何か整合しないようなことが最近はあるんじゃないかなと思っています。今、非常に重要な意見が加藤委員からあったと思うんですけれども、やはり本質のところで、教育課程の規準としてどうあるかというときに、今あるものを前提として考えるんじゃなくて、あるところは、特別支援教育、これまでの議論を踏まえて、根本から見直すところもあるのかなと思って。
例えば、一例で、先ほどの学習指導要領の例で言うと、重複障害者等に関わる教育課程の取扱いのところも、あれは各学校や教員によって、解釈の仕方によって、実はいろんな教育課程の具体化がされているという現状がありますよね。例えば、中学部3年生の子が教科学習ができると。1年生の学習をしていますと。小1の、それができると。じゃ、それは下学年適用ですとか、あるいは、準ずるですと位置付けます。ところが、子供の発達を評価していったときに、生活年齢が14歳の子に7歳の学習内容をやっていて、果たしてこれが準ずると言っていいのかという問題とかですね。それは学校によって、それは準ずると位置付けしたり、いや、これは知的障害があると見なして、知的障害と位置付ける。結局、今の規準の中で、どうも各学校の取り方によって、解釈によって、大きく学習内容が規定されてしまうということまで起きているわけですよね。
ですから、そういうことも含めて、授業時数もそうですよね。それぞれ相当する小・中学校の各学年の総授業数に合わせるというんだけど、教育課程の編成上は自立活動を加えるから、自立活動を行う時間分だけ教科の指導が減ってくるという現状もあるとか、そういう幾つか、やっぱり大きな視点からもう一回、どういうところに穴があるのかも一回見据えた上で、今後各論もしていくのが必要かなと思いまして、そのことについて意見を述べさせていただきました。長くなりましたが。
【宍戸主査】  ありがとうございます。
それでは、村上委員、堀江委員、品川委員、それで、大内委員という順番でお願いします。
【村上委員】  2点ほどです。
自立活動の中でも、知的障害の子供さんたちに対する自立活動。前の改訂のときに26項目になって、様々なものが位置付けられるのだろうなと思っていたのですが、残念ながら、実際は総花的になってしまって、言ってしまえば、何でもありかなという、そういう印象が各幾つかの学校を見ると強いです。中には、全部入れなくてはいけないのかみたいな、そういう非常に疑問と言ったらいいのか、そういうふうなお考えを持たれている先生方もいらっしゃるような印象を受けます。ですから、あの中の項目の中で、この子供さんにはこれが大事ですよねというところをもっと強調した形での書き方でも、自立活動の中身は編成できるのだということをどこかではっきり述べた方が――今でも述べられていると私は思うんですけど、なかなかそれが浸透していない印象があります。
もう1点です。重い子供さんに対するキャリア教育という発想のところですが、学校の現場で子供さんたちを担当している先生方は、目の前の発達の水準にどうしてもこだわってしまうというか、重度の子供さんの10年後、20年後の姿というのがなかなかイメージできない。そうなると、目の前で何か楽しくて活動的な。そうなると、先ほど横倉委員がおっしゃったように、興味・関心・態度というようなところに収束するような様々な活動に終始してしまって、将来この子はどのような生活をするのだろうと。もしかしたら、将来的には、今の時代ですから、何かの職業に就けるかもしれないという、そういう発想も持ってもらいたいと思うんですが、残念ながら、先生方の担任のサイクルは2年、3年というところで、将来の生活をイメージしないままの教育活動に終始してしまう、そういう印象を持つこともあります。なかなか説明が難しいのですが、日頃感じているところです。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございます。
堀江委員、お願いします。
【堀江委員】  私は就労支援の担当ですので、是非、学校を出た後の生活をイメージしていけるような手掛かりをこの中に入れていっていただきたいなと思います。
キャリア教育という丸2のところですね。これからの時代に求められる資質能力というところなんですが、時代が変わると求められる能力も変わっていきます。今、知的障害の軽度の人たちが非常に就職が活発なんですけれども、その中で、新たに、ゆっくりですけれども、皆さん力を付けてこられまして、パソコンの技能ですとか、それをまた学び直しをしたいというときに、そういう相談も結構あります。特別支援学校出身の方が、じゃ、もう一度専門学校でやりたいといったときに、もう一度高等学校に入らなくてはいけないだとか、そういった制度上の壁があるなと感じていまして。特に軽度の人たちの場合については、今、障害年金が8万人ぐらいカットというような流れの中で、基礎年金がもらえない卒業生がこれからどんどん増えてくると思うんですね。ですから、やっぱり学びを継続して補完できるような制度のつながっていないところは、また単位を取れば勉強ができるだとか、専門学校に入れるんだというような、制度的に見直しをしてもらえるといいなと思っています。
あと、キャリア教育のところについては、スキルについて高めるということは非常にいろんな取組がされているので、あわせて、私たちの現場で感じていることとしては、その進路選択が御自分の意思決定による納得した意思決定なのか、それも障害の受容にも関わってくるところなんですけれども、様々な学校の活動や学習の場面の中で、選択をして、選んで、自分でその結果を引き受けるという経験を、音楽の授業でも、体育の授業でも、様々な場面で経験をしていっていただくと、私たちのところにバトンタッチされたときに、自分自身の形というか、納得をした上で社会に出てこられるんじゃないかなというふうに感じる事例が非常に多く感じています。
それから、先生方の資質ということも先ほど来お話があるんですけれども、今後の養成は、是非、どの教科の先生にも特別支援を勉強していただくと、生徒の理解に非常に有効だというふうに感じますし、何ですが、今のところいらっしゃる人たちへというところで、是非、御自分が何か全てをやるというのではなくて、例えば、障害者職業センターとの交流ですとか、あるいは、福祉事務所だとか、御自分たちで全部解決するのではなくて、そういうプロの人たちのところでどんな仕事をしているのか、どんな社会資源があるのかと知るだけでも、生徒さんたちを、御家庭を社会へつなげるということができると思うので、全て家庭の中で身に付けるというのはとても難しいことだと思うので、社会資源をどう活用するかというようなところで、補完できることもあるんじゃないかなと思います。
あとは、今後、合理的な配慮が始まっていきますので、そのときに、やはり御本人から伝えていくということが合理的配慮のスタートになりますので、既に東京の特別支援学校の中では、そういう取組を江東特別支援学校などではやっていらっしゃいますので、そういったものが、私たちも現場も拝見させていただきましたら、非常に使いやすいものが現場レベルででき上がってきているので、そういういい事例はどんどん広げていっていただけるといいなと感じております。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございます。
続きまして、品川委員、お願いします。
【品川委員】  ありがとうございます。私も議論に先立って、総論的な話を幾つかさせていただきたいと思います。
一つは、先ほども申し上げたように、特別支援学校における指導要領の方も、やっぱりICFモデルのことをしっかりと前段で書いていく必要があるだろうなと思っています。幾つか皆さんの中の御意見にもあったんですが、実は、障害のある子供たちの自立と社会参加をどう考えるのかということをしっかりと詰めて、言語化して、明文化していく必要があると痛感しているんですね。
先日、全然教育とは関係ないんですが、国際ロボット展の取材にちょっと行ったんですね。そのときに行って、やっぱり技術の驚異的な進歩を見て、非常に衝撃を受けたと同時に、私はずっとこうやって不適応を起こす子供たちとか障害のある人たちの取材をしていますが、従来どおりの指導では、もう確実に彼らの行く場がないだろうなということを非常に危機的に思いました。例えば、障害の重い軽いというのは本人の意識ですから、あえて言うと手帳ですよね。重い手帳を持っていらっしゃる方はあれかもしれないんですけれども、いわゆる軽度の手帳の人たちというのは、今のお話にもありましたが、年金も余りない。だけど、働く場はどうなるんだろう。確かに数年後はいいかもしれないけど、10年、20年を考えたら、確実に全部パソコンだのコンピュータだのロボットに持っていかれていくわけで、本当にこれは大変になるなということを痛感したんですね。
とは言っても、先ほど事務局から頂いた資料を拝見すると、子供の数全体は減っているのに、支援学校に在籍している子供はどんどん増え、かといって、じゃ、就労場面が増えるかと言ったら、そうじゃないわけですから、やはりまず教師が、あるいは、教員だけではなくて、保護者もそうなんですけれども、子供に関わる人たち全員が、何を障害のある子供たちの自立とし、社会参加とするのかというところを意識共有をしないと、今あるままではもう全然明日はないということを結構危機的に思う必要があるだろうなということは、これは定型の子供たち以上に、ちょっと危機的に私は考えていますので、是非、そこを御議論というか、皆さんの御意見も是非伺いたいなと思っています。
でも、実は、しっかりとベーシックスキルがあれば、例えば、今までだったら余りなかった、ICTを使うことによって全盲の方がイラストレーターになったりとか、今まで彼らが意識しなかったような職業の選択も十分あり得るわけですよね。だからこそ、私たちは、やはり彼らの自立を踏まえた、本当の意味でのベーシックスキルをしっかりと付けていく必要があるだろうなと思っています。
じゃ、それは何かということなんですが、これは実は企画特別部会の方でも提出したんですけれども、私の背景というのは犯罪学なので、やっぱり不適応を起こさない。そして、ちゃんと社会参加していくためのエビデンスというのは、比較処遇論の中にはあるんですね。先ほど加藤先生がおっしゃったセルフ・エフィカシーは、自己効力感と訳したりもすると思うんですけれども、自己効力感は、保護要因のとても大事な要素だったりするんです。だからこそ、そういったものを――これは追ってこちらの会議でも出そうと、お話を聞きながら思ったんですが、そういったベーシックスキルをしっかりと付けていくことこそが、彼らの自立や社会参加にやっぱり直結するだろうな。あるいは、規範意識ですね。現状も皆さんも御存じだと思います。やっぱり障害があって不適応を起こす人たちは決して少なくはないですし、今、実際私が関わっているケースも、知的のある自閉の子供が詐欺に遭うんですが、彼に詐欺行為をした相手も障害のある人だったりするんですね。こういったことがなかなか公の場で議論されずに、保護者とか本人たちは苦しんでいたり困っていたりするんですけど、やっぱりそうさせていかないための、ちゃんと社会の一員としての力というのを付けていく必要があり、それをやっぱりここの指導要領の中に書いていく必要があるなと思っています。また詳細は追ってお話ししていければなと思っています。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございます。
じゃ、大内委員、お願いします。
【大内委員】  1と3について意見を述べさせていただきます。
まず1の自立活動の改善・充実ということですけれども、自立活動は、主体的に改善・克服しようとする取組ということなんですけれども、やはりきちんと一人一人の子供の落ち込んでいるといいますか、苦手としているところ、あるいは得意としているところをしっかり見て、個に視点を当てた指導をきちんとしていくことを盛り込む必要があるのではないか。場合によっては、自立活動が教科指導と同じように、一斉に集団で指導しているんです。同じ内容を同じ時間に指導しているようなケースもあるわけですけれども。それから、年間に、もう4月に指導計画をばっちり作ってしまって、柔軟に子供の状態に応じて対応できないような自立活動になってしまっているというのでは、これはこの主体的に改善・克服しようとする、子供の実態に応じて適切に対応していくってなかなか難しいので、この辺の自立活動に関する考え方をしっかり書き込んでいただくということは、やはり教科等の指導とは違うんだということを入れていただかないと、このところは、特に小・中学校の先生にこのことをお伝えするのだと理解はしていただけないのではないかなと思っています。これが1点です。
それから、3の知的障害のある子の各教科の改善・充実ですが、これは、私、幾つかの学校運営委員とかをさせていただくと、保護者の方が、小学校でやったことを高等部でまたやっているというようなことを聞いたりすることが度々といいますか、少なくなくあるわけですけれども。やはり個別の指導計画を活用するなりして、校内で一人の子供を長期的に適切な見立てをして、適確な対応をしていくというですね。目先のこと、先ほど村上委員の方から重度のお子さんの今できるところでの対応というようなことがありましたけれども、そうすると、なかなか次の策って、同じことをずっと繰り返していくことになってしまうわけですね。でも、その子のわずかな変化を見立てて、5年とか10年とか先を見通して、こういうふうにしたい、この子はこうなるはずだという計画を立てて対応していけば、いろいろ伸ばせるんじゃないかなと思うんですが、そういうような指導をするというところをしていく。そのためには、やはりきちんと子供の実態をアセスメントする。それから、指導したことを評価するという、そういうようなエビデンスベースできちんと対応していくという仕組みを作っていく必要があるのではないかなと思うんですが、その辺のところを、やはり知的障害の教育の中でもしっかりやっていく必要があるのではないかということを強く感じているところです。
以上です。
【宍戸主査】  ありがとうございました。
様々な御意見を頂きましたが、時間も大体終わりに近づいていますので、第4回はここまでとしたいと思います。
次回からテーマを決めてという話をしましたが、先ほど安藤委員、それから、品川委員から、もう少し全般的なことで考えることも必要だということがありました。是非、その点につきましては、書いたもので事務局にお出しいただいて、次回、年が明けてから第5回の議論が始まりますけれども、それまでちょっと時間がありますので、どういう進め方をすればいいか、事務局でまた検討していただけると思いますので、そういうアイデアを今日頂いたものの、もう少し具体的なものをお書きいただき事務局の方へお届けいただければ有り難いと思います。
今日頂いた意見を事務局の方で整理していただき、なかなか整理するのも大変だと思いますけれども、次回の議論に結び付けていきたいと思います。
最後に、次回以降の日程などについて、事務局より御説明をお願いします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。
次回は、年が明けて1月20日水曜日13時から15時半まで、場所は文部科学省3階の3F1特別会議室で開催いたします。議題といたしまして、主査からもお話がありましたとおり、5回目以降は、自立活動ですとか、キャリア教育、知的障害のある児童生徒のための各教科など、テーマを絞って御議論していただきたいと思っておりますが、また今日の様々な御意見がありましたので、これをちょっと整理して、第5回でどのようなテーマにするか、主査とも相談して決定して、御連絡したいと思っております。
また、これから第5回にかけて、また先生方もお考えを深めていただく中で、またペーパーによる御意見等も頂戴できればと思っておりますので、FAX又はメール又は郵送で頂ければと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
【宍戸主査】  それでは、今日、第3回・第4回の部会をこれで終了させていただきます。長い時間にわたってありがとうございました。

 ― 了 ―


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