教育課程部会 総則・評価特別部会(第5回) 議事録

1.日時

平成28年2月24日(水曜日) 10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【羽入主査】    おはようございます。委員の皆様お集まりでございますので、始めさせていただきます。第5回の総則・評価特別部会でございます。本日は、特に年度末でお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
  まず、事務局から配布資料についてお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。本日、配布資料でございますけれども、議事次第に掲載させていただいておりますとおり、資料1から資料4-2、参考資料の1から3、その他、机上に参考資料を置かせていただいております。また、委員の先生方の机上に、梶委員から御提供いただきました、神奈川県の教育委員会の県立高校改革実施計画の資料を配付させていただいております。全体というものと、実施計画1期というものと両方ございますけれども、全体という方をお開きいただきますと、今、神奈川県で進めていただいております改革の基本的な考え方と実施計画ということでございます。基本計画を御覧いただきますと、全ての子供たちに自立する力、社会を生き抜く力を育成するということでありますとか、子供たちの個性や優れた能力を伸ばす教育に取り組むことでありますとか、インクルーシブ教育の推進でありますとか、次の学習指導要領の形も見据えたような形で進めているということでございますので、又三つ目の議題のときに、梶委員から適宜御紹介いただくと思いますけれども、お配りをさせていただいているところであります。資料に不足がございましたら、事務局にお申し付けください。
  また、タブレット端末をいつものように置かせていただいております。審議会の答申関係資料等でございますので、詳しくは目次の方を御覧いただければと存じます。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は、議事次第にございますとおりに進めていきたいと思います。まず、各ワーキンググループの検討状況の報告をいただきまして、それから、前回に引き続いて学習評価に関する検討状況についての意見交換を行いますが、更にこれと併せてアクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の関係性についても御意見を頂きたいと思います。
  また、今後の予定ですが、次回第6回それから第7回は、各教科等の特別ワーキンググループの検討状況について、主査の方々からお伺いしながら議論をしたいと思っております。そしてその後、第8回に本特別部会としてのまとめの審議に入るという予定でございます。
  こうした今後の予定を踏まえまして、本日の後半は特にテーマを設定することなく、この総則・評価のグループでフリーにディスカッションをする時間にいたしたいと思っております。
  なお、本日、報道関係者の皆様から会議の撮影、録音の申出がございまして、許可しておりますので御了承ください。
  それでは、事務局から資料に基づいて、まず他のワーキンググループ等の検討状況について御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の1をお手元にお出しいただきたいと存じます。各学校段階等別・教科等別ワーキンググループにおいて、熱心に御議論を進めていただいているところでありまして、その状況を少し、現時点のものでおまとめさせていただいたものでございます。それぞれのワーキングの進捗状況、回数も含めてそれぞれでございますので、まだ横並びで体裁が整っているというような状況ではございません。正に議論していただいている最中のものを、エッセンスのみピックアップさせていただいたものでございますので、そのようなものとして御覧いただければと存じます。
  目次が3枚ございまして、おめくりいただきますと1ページ目は本総則・評価特別部会の検討事項ということで、これまで御審議いただいた内容でございます。ページ数が見えにくくて恐縮なのですけれども、右下に3ページ、4ページ、5ページ、これは総則についてどのような観点から、特に資質・能力ということをより見えやすく御紹介していくという観点から、あるいはカリキュラム・マネジメントの視点ということを位置付けていくというような観点から、今後総則にしっかりと入れ込んでいくべき視点ということで御議論をいただいたものでございます。
  また、6ページ目、7ページ目、本日も御議論いただきますけれども、学習評価の論点メモのみ付けさせていただいております。
  また、9ページ目以降は既に総則・評価部会におきまして御議論をいただきました、特別支援教育の件でございます。総則において分かりやすく示していくこととともに、13ページ目、14ページ目以降にございますように、特に14ページ目以降でございますけれども、各教科においても、学びの中で考えられる困難さに対する配慮の意図と手立てを、また先生方が指導の工夫のきっかけとなるような、ヒントとなるようなことを解説を含めて入れ込んでいくべきということで、これは既に各教科等別ワーキングにつながせていただき、検討をいただいているところでございます。
  17ページ目も同様に、情報に係る資質・能力、既に御議論をいただいた内容でございます。
  19ページ目、20ページ目が各教科の学びのプロセスの中でICTを効果的に活用していくということ。
  21ページ目が情報活用能力を論点整理の三つの柱に沿って整理したものでございまして、これを23ページ目にございますような発達の段階に即して、あるいは24ページ目以降にございますような、各教科の特性に応じてしっかりと育んでいくということ、これも既に各教科等別ワーキングにつながせていただいておりまして、検討を進めているところでございます。
  28ページ目以降も同様でございまして、健康・安全についても既に御議論をいただいた内容、これも既につながせていただいているところでございます。
  32ページ、幼児教育でございます。幼児教育を通じて育む資質・能力とは何か、あるいは、それを小学校以上の学びとどのように接続していくかということで、35ページ目にございますように三つの柱を捉えつつ、それらを総合的に育む。また、幼児教育の特性にふさわしいような表現ぶりを考えていくということ。また、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを明確化することによって、小学校以上の学びにつなげていくというような御議論をいただいているところでございます。
  また、36ページ目、37ページ目、幼稚園における子育て支援、預かり保育というようなことについても御議論をいただいているところでございます。
  38ページ目、特別支援部会でございますけれども、特別支援部会につきましては、先ほど御紹介をさせていただきました。
  39ページ目、言語能力の向上に関する特別チーム、これは国語科、外国語科を通じて育成すべき言語能力の在り方を御検討いただいております。40ページ目にございますように、創造的思考と、それを支える論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面という三つの側面に照らしまして、資質・能力の在り方、あるいは41ページ目にございますような言語に関する資質・能力の要素ということで、認知から思考へ、思考から表現へという、人間の言語を使った活動をイメージしながら、その要素を明らかにしていくということをしていただいております。
  それを生かしながら、42ページ目、国語ワーキングの検討を進めていただいております。国語ワーキングにおきましても、43ページ目のような資質・能力、言語のところと同じ側面に沿って整理をしていただいております。
  また、それを小・中・高とどのようにということが、44ページ目でございます。このマル1、マル2、マル3が資質・能力の三つの柱に対応するものでございます。それをより小・中・高でブレークダウンしたものが、45ページ目、46ページ目。
  そして47ページ目は、国語科の学習活動ということを、先ほどの言語能力の個別チームのプロセス図もイメージしながら、再び整理をし直してみているということでございます。47ページ目、話すこと、聞くこと、48ページ目、書くこと、読むことそれぞれの領域において資質・能力の要素を明らかにしているということでございます。
  また、高等学校国語科の科目構成の見直しということも進めております。49ページ目にございますように、話すこと、聞くこと、書くことにおける活動が少し低調ではないかということも含めて、50ページ目にございますように、共通必履修科目を二つに分けるということ、それから四つの選択科目、これは既に論点整理でも、このような方向性を出していただいておりましたけれども、それをより精緻化するような形で検討を進めていただいております。
  それから51ページ目、外国語ワーキングでございます。外国語ワーキングにおきましても、53ページ目のような資質・能力の三つの柱、それから54ページ目にございますような、特に外国語科は言語の三つの側面のうち、コミュニケーションの側面を軸にしながら、他の側面もしっかりと入れ込んでいくということでございますので、そのような特性に応じたプロセスの在り方ということでございます。
  55ページ目は地歴・公民の高校の新科目の検討をしていただいております。これも論点整理に沿った形でございますけれども、56ページ目は歴史総合の方向性でございます。歴史を考察する手立てや方法、比較、因果、相互作用とございますけれども、そのようなことを用いて、現代の諸課題の歴史的背景を追究する力などを育成するということ。その中で、57ページ目にございますような構成イメージでございますけれども、基軸となる問いということを追究することを通じて必要な力を身に付けていくというような構成でございます。
  また、58ページ目は歴史総合と選択科目、世界史、日本史との関係性を示したものでございます。
  59ページ目は地理科目でございます。これも地理的な見方や考え方ということをしっかりと育んでいくという視点から構成、それから60ページ目にございますような問いと授業展開のイメージ、それから61ページ目にございますような選択科目との関係性ということでございます。
  62ページ目は新科目、公共でございます。「公共」の扉ということ、それから自立した主体として社会に参画し、他者と協働するといったこと、この二つを軸に、それから64ページ目には、持続可能社会づくりの主体となるためにという、このような構造を中心に内容構成を御検討いただいているところでございます。
  また65ページ目にございますように、新必履修科目「公共」と選択科目「倫理」「政経」との関係性を示したものでございます。
  66ページ目、67ページ目は、その倫理、政経に関する新科目のイメージでございます。
  68ページ目は、社会科ワーキングでございます。社会科ワーキングにおきましては、社会科それから高校の地歴、公民を通じて育成すべき資質・能力の在り方を御検討いただいているところでございます。
  69ページ目にございますように、これらを通じて育む思考力、判断力、表現力をマル1からマル4としてイメージしまして、それらを小・中・高を通じてどのように育んでいくかということを御検討いただいております。
  また、資質・能力の中核となるのが、見方、考え方であるということで、70ページ目でございますけれども、社会的事象の見方や考え方、これも地理的な見方や考え方、歴史的な見方や考え方、現代社会を捉える見方や考え方ということがそれぞれ歴史分野、地理分野、公民分野に当てはまるわけですけれども、このような資質・能力の中核となる見方や考え方を育てていくというような視点で御検討をいただいております。
  71ページ目には、少し字が小さいのでイメージだけ捉えていただければと存じますけれども、そうした見方や考え方の例ということと、育まれる知識や概念ということの関係性をそれぞれ小・中で整理をしていただいているものでございます。
  また、72ページ目にございますように、社会科ならではの学習プロセスということの中で、上半分が学習過程ですけれども、下半分が、その中で三つの力ということが資質・能力の柱ということが、どのように育まれていくのかということでございます。知識の習得も、事実に関わるものと概念に関わるものが、知識同士が構造化されて概念として育っていくということもイメージしながら、関係性を少し示しているものでございます。
  73ページ目は、新科目「数理探究」についてでございます。高校においてSSHの取組なども参考にしながら、新たに設ける選択科目でございますけれども、74ページ目にございますように、数学的なものの見方、考え方と、科学的なものの見方、考え方を総合的に活用しながら、価値の創造ということにつながるような力を養っていくというような探究科目ということをイメージしながら御議論をいただいているところでございます。
  75ページ目、算数・数学ワーキングでございます。76ページ目にございますような、これもマル1、マル2、マル3が資質・能力の三つの柱に対応しますけれども、これを小・中・高を通じてということ。少し詳しく見ますと、77ページ目にございますような三つの柱ということでございます。
  また、78ページ目、算数・数学の問題発見・解決のプロセスということは、事象を二つ置いてございますけれども、日常生活の中から数学化して問題解決をしていくということと、数学の事象について統合的・発展的に考えて、数学の概念を形成していくということ、このような二つの思考のプロセスということが考えられるのではないかということ。
  その中で、79ページ目にございますような思考、判断、表現力をそれぞれABCDEまでございますけれども、育んでいくことが必要であるというような御議論をいただいているところでございます。
  80ページ目、理科ワーキングでございます。理科も同様に、81ページ目、これも少し細かくて恐縮ですけれども、81ページ目にございますような小・中・高のつながりの中で、より詳細に見ますと82ページ目のようなものでございます。
  また、社会科と同様に、理科についても科学的な見方や考え方ということを検討していただいております。四つの領域が理科にはございますけれども、それぞれの中で主に育まれる見方や考え方というものがあるのではないか。エネルギー分野であれば、量的・関係的に捉えるということ、粒子であれば、質的・実体的に捉えるということ、生命であれば、共通性と多様性の視点、地球であれば、時間的・空間的な視点ということで、このような見方や考え方を小・中・高、84ページ目でございますけれども、それぞれの学習内容と照らし合わせながら育んでいくということが重要であるということ。
  また、そうした見方や考え方を働かせながら、85ページ目のような問題解決のプロセスの学習過程を行うことによって、真ん中にございますような資質・能力を育んでいくことが重要であるという議論をいただいているところでございます。
  86ページ目、芸術ワーキングでございます。書道からですけれども、87ページ目、三つの柱ということでございます。
  また、88ページ目が書道における学習のプロセスと、資質・能力との関係性でございます。学びの表現領域と鑑賞領域の関係性、それから、そこで育まれる思考力、判断力、表現力や、知識・技能との関係性を示したものでございます。それらが豊かな情操や社会における文字や書に豊かに関わる資質・能力の育成ということにつながっていくということでございます。
  89ページ目は、図画工作・美術でございますけれども、これも三つの柱に照らして、89ページ目、90ページ目、91ページ目のような整理をいただいております。
  92ページ目も工芸でございます。
  そして93ページ目のように、発想や構想をするということと、作品などのよさや美しさなどを感じ取り味わうということと、創造的な技能を働かせるということが相互に関連し合いながら学習が進んでいくということ。それらの真ん中にございますけれども、形や色、イメージなどといった全ての学習活動に共通に働く資質・能力ということがそれぞれに関わってくるということ。
  また、言語活動との関係性も示していただいているところでございます。
  それらがぐるぐると回っていくことによって、94ページ目にございますような、形や色、イメージなどの視点を持ち、生活や社会と豊かに関わる資質・能力、豊かな情操というものにつながっていくというイメージ図でございます。
  音楽につきましても、95ページ目、96ページ目、97ページ目にございますような三つの柱、それから98ページ目にございますような学習プロセスと資質・能力の関係性、表現領域と鑑賞領域それぞれと相互の関係性。また、共通に働く事柄について整理をいただいておりまして、それが学んでいること、学んだことの意味や価値、社会生活の中の音や音楽の働きなどの自覚につながっていくというイメージでございます。
  99ページ目、家庭、技術・家庭でございます。100ページ目が技術分野でございます。技術分野は中学校のみでございますけれども、中学校で学ぶことに、小学校のどのような学びがつながっているか。あるいは高校の情報科目にどのようにつながっていくかというイメージ図でございます。
  101ページ目が三つの柱に沿った整理でございます。102ページ目は、技術分野の見方や考え方を整理していただいているものでございます。これも技術分野のそれぞれの領域に沿って整理をいただいているところでございます。
  また、103ページ目にございますような問題解決のプロセスの中で、どのような力が育まれるのかということ。
  104ページ目は家庭分野でございます。これも小・中・高ということで整理をいただいておりまして、三つの柱が105ページでございます。
  また、106ページ目に学習プロセスの在り方として資質・能力の関係性ということが整理いただいております。
  107ページ目、情報ワーキングでございます。情報ワーキングにつきましては、情報科において新たに共通必履修科目をということで、論点整理で御提示をいただいておりますので、それについて御検討をいただいております。
  109ページ目が、情報科において育む資質・能力の三つの柱ということ。また、111ページ目にございますプログラミングに関する学習、情報セキュリティーに関する学習ということが強く求められておりますので、これをどうしていくかということ。
  また、113ページ目以降にございますように、情報に関わる力を問題解決的に育んでいくためには、どのような学習課題の設定が考えられるかということ。こうした御議論もいただいております。
  また、115ページ目、116ページ目にございますように、特別支援教育との関係性についても御議論をいただいているところでございます。
  117ページ目、体育・保健体育ワーキングでございます。118ページ目にございますような小・中・高の見通しの中で、運動やスポーツに関わる力を育んでいくということ。
  119ページ目に三つの柱ということを、運動領域、保健領域それぞれ整理をいただいているところでございます。
  また、122ページ目には、問題解決的な体育・保健体育科の学びのイメージと、資質・能力の関係性、あるいは124ページ目にございますような、深い学び、対話的な学び、主体的な学びというアクティブ・ラーニングの三つの要素と、体育の学びの関係性でございます。
  126ページ目は生活・総合ワーキングでございます。カリキュラム・マネジメントの中で、各学校でこれから育成すべき資質・能力ということを考えていく必要があるわけですけれども、総合的な学習の時間はもともと各学校で育成すべき資質・能力を設定するという教科の領域になってございますので、そうしたことを生かしながら、カリキュラム・マネジメントの中核として、総合的な学習の時間を位置付けていくことが考えられるのではないか。
  また、128ページ目、現在各学校で設定する資質・能力の学習方法、それから自分自身に関わること、他者や社会に関わることということに分類の整理をされておりますけれども、それらの相互の関係性ということを考えながら、総合で育む資質・能力の在り方を再整理していくということでございます。
  また、129ページ目にございますような総合で育む三つの柱ということも御議論をいただいております。
  130ページ目、特別活動ワーキングでございます。これにつきましても小・中・高、特に人間関係を形成するということ、社会参画ということ、自己を生かすということ、この三つの視点を大事にしながら整理をいただいているところでございます。
  産業教育ワーキングにおきましても、133ページ目が、これも高校だけでございますけれども、義務教育の学びがどのようにつながっていくのかというイメージ。また、134ページ目にございますように、もともと問題発見・解決のプロセスを大事にしながら職業に関する専門教科を行われておりますけれども、その中で働く視点、それぞれの本質に根ざした見方や考え方というものは、どのような視点が見に付いていくのかということの御議論もいただいているところでございます。
  かなり分厚いものを、ざっと御紹介申し上げましたので恐縮ですけれども、以上になります。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  今、御説明いただきましたのは、各ワーキンググループの検討状況で、今後、次回にわたって説明をいただく、いわば導入というように受け取っていただければと思います。まだこれは議論の過程にございますので、このようなことが各ワーキンググループで議論されているのだというようなことを、ざっと伺っておくというので、現時点ではよろしいかと思います。
  とはいえ、御質問があろうかと思いますので、どうぞ。
【天笠主査代理】    失礼いたします。それぞれのワーキンググループが大変精力的な議論、そして、それをこのような形でおまとめいただいていることについて、敬意を表させていただきたいということがまず1点であります。
  その上で、それぞれ御報告いただいたことにつきまして、更にこのような観点からの詰めというのですか、議論をお願いできればということで申し上げさせていただきたいと思うのですけれども、それはそれぞれのワーキンググループが幼・小・中・高、あるいは小・中・高という、ここで示されているようなことでそれぞれ整理されているわけですけれども、今の私の課題認識の一つには、学校種間の連携とか、学校種間の接続とか、そのようなことがテーマになっていると私は捉えております。
  そのうちの、少なくとも幼・小については、かなりの痕跡がここに示されているように思いますけれども、そのような視点で見たときに、小・中の間の検討はどうなのか、あるいは中・高の関係はどうなのか、あるいは高・大接続ということも話題になっているわけですけれども、今日御報告いただいた、これは一つの基盤、定番で、この上に、今申し上げたような学校種間の接続というような、あるいは円滑の移行というような言い方もありますけれども、各ワーキンググループで少し濃淡が、学校間の関係についての審議の捉え方、進め方があるように思うのですけれども、改めて、いわゆる義務教育学校がスタートしたり、中・高とか、そのようなことへの目配せというのを、資質・能力等の検討のそれぞれの場においても、是非そのような点も、この中に加えていただくというか、あるいは、そのような視点からこれらの整理の仕方も、もう一段申し上げたようなところからあるといいかなと、あるいは期待したいと申し上げさせていただきたいと思うのです。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  ほかに。どうぞ。
【根津委員】    すみません、御説明があったのを聞き落としたかもしれないのですけれども、中学校部会と高等学校部会が開催されていない理由は、どのようなところにあるのですか。
【大杉教育課程企画室長】    小学校部会につきましては、論点整理で少し宿題が出ていたという状況ですので、それをやっていただいておりますけれども、中学校部会、高校部会は年度明けからスタートを予定しております。これらの教科等別の議論を少し先に進めていただかないと、議論の基盤となるようなものが、まだ出てこないということですので、大分出そろってまいりましたので、このようなことを踏まえて、年度明け以降にお願いをする予定でございます。
【根津委員】    先ほどの御要望とも関連するところですので、お尋ねをさせていただきました。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  ほかに何か。
【荒瀬委員】    欠席をしておりましたので、その間にお話が出たのかもしれないのですが、先ほど天笠先生がおっしゃいましたように、大変丁寧に、精力的に議論が進んでいることに対して、本当に私も敬意を表したいと思うのですが、細かいことで申し訳ないのですが、93ページをお開けいただきますと、これは図画工作科、美術科、芸術科というところの部分でありますが、単純な言い方で非常に失礼ですが、大変見づらいのです。これは多分外へも出ていくわけでありますので、いろいろな工夫をしてくださっているのは十分分かるのですが、もう少し見やすくしていただけると大変ありがたいということを申したいのです。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。私も一面美しいなと思いつつ、もしかしたら、これは印刷等のコンディションによって見にくいかもしれないと思いました。ありがとうございます。
  どうぞ。
【宍戸委員】    済みません。各部会のワーキンググループの報告をお聞きしながら、総則・評価部会で最初の頃、支援の必要な子供さんについても各ワーキングで話をしてほしいということをお願いして、それがそれぞれのワーキングの進捗状況に応じて着実に話し合えているということに対しては、特別支援教育関係者としてとても感謝申し上げたいと思います。
  実は、このように配慮の必要な子供さんが通常の学級にもいるということが認識されることが初めてですし、そのことを全体としてこのように話し合えることも全く初めてのことでありますので、このようなことが日常の子供たちの指導に役立つようになることを願いながら、又審議をお願いしたいと思っています。感謝の言葉です。
【羽入主査】    ありがとうございます。それは心していかなくてはいけないことだと思います。
  ほかに。
【市川委員】    今回、論点整理からずっと引き続いて、教科の本質という言葉はかなり使われていると思うのですけれども、教科の先生に、おたくの教科の本質は何ですかと聞いても、なかなかずばりと答えが来ることは少ないのではないかと思うのです。特に小学校の先生は、いろいろな教科を持っていらっしゃいますので、それぞれの教科の本質は何ですかと聞いたときにも、どうそれらを区分けして、算数の本質はこうです、国語の本質はこうですというようなことを明確に答えることは非常に難しいように思えるのですが、これだけたくさん教科の本質という言葉が出てくるからには、どこかに、例えば文部科学省の資料なり、あるいは今度の指導要領なり、それぞれの教科の本質はこうですよというようなことを明確に示すのですか。あるいは、もうどこかに示されているのですか。
  それから、各教科がそれぞれ独立に自分の教科の本質は何々ですと決めるのでは、それぞれの関連性が見えてこないのです。それはうちの教科でも本質ですよというのが出てくるかもしれない。ダブりも出てくるかもしれないし、教科の本質とは何かということは、既に何かで文部科学省なりの見解として示されているのであれば、済みません、私の不勉強です。
  あるいは、今度はそのようなものをはっきりと構造化して示す方向に行くのか。このあたりはどうなのですか。
【羽入主査】    ありがとうございます。私の知る限り、教科の本質というのが公的にどこかで定義されているということはないのではないかと思います。それに対して、ここでそれだけ多用しているということは、私たちがそれに対して何らかの表現をしなければいけないということがあろうかと思います。恐らくこれは、ここか、あるいは企画部会か、そのようなところで議論をしていく必要があろうかと思いますが、前に奈須先生が少し関連することをおっしゃっていたような気がするのですが、思い違いですか。
【奈須委員】    浅学の私がと思いますが、定義されてはいないと思いますけれども、戦後の文科省の方でもそうでしょうし、あるいは各教科に関わる公的な、あるいは民間の研究の中でもよく使われてきた言葉でしょうし、一体この教科がどのような認識論的な、あるいは学問的な特質を持っていて、それを子供に教えることがどのような社会的な意味を持つかということは、ずっと議論されてきて、各教科の中にはしっかりした議論はあると思います。
  ただ、市川先生御指摘のことは、各教科教育ごとの別な文脈でなされているので、相互に比較したり、統合したり整理することができていないのではないかという御指摘だろうと思います。それは全くそのとおりだと思っています。
  教育学の中の議論でいうと、各教科教育はあるけれども、教科教育はないという御指摘あって、つまり教科教育一般というものは存在しないのではないか。出来るのかという議論もありますけれど、何らかの形でそれは整理していかないと、教科がばらばらにそれぞれの論理で分立することを、このようなことが出来ないのだろうと。その作業を今回やる必要があると思いますけれども、ただ、以前の資質・能力に関する検討会議、無藤先生、市川先生、それから天笠先生も御一緒させていただきましたけれど、そこで議論された中で、教科の本質という言葉に一定程度の分節化はされていたようには思うわけです。
  一つは、各教科領域の中で使われる鍵概念というか、いろいろな独自なコンテンツを整理統合して認識するような概念、それはもう既に教科の中で使われて、先ほどの御報告の中でも、理科の生物の領域などで、このようなことだというのがあったのは、あれは一つ、そうであろうと思いますし、もう一つは、各教科の背後にある科学、学問、芸術ならではの認識なり、表現なりの方法論があります。理科には自然科学的な方法論、社会科には社会科学的ないろいろな方法論があろうと思いますけれど、少なくともその二方面で分節化することぐらいは、多分共有できるのだろうと思いますけれども、もう少しそれをきちんとした概念や用語で焼き付けていく。
  ただ、余り上からトップダウンで、このようなことで考えなさいというと、その教科によってはその側面の軽重があったり、ここがどうしても独自に大事なので、その言葉には乗りにくいということもあるでしょうから、それは相互にキャッチボールをしながら、あるいは今現在整理されている各教科ならではのものがだんだん出てきていると思うのですけれど、それを正にこの部会などで見て、こことここは同じような概念に統合できるのではないかとか、これは軸が違うのではないかという概念的な整理をする必要があるのだろうと思っています。
【羽入主査】    ありがとうございます。私たちの検討課題として、継続的に問題意識を持っていきたいと思いますが、無藤先生。
【無藤教育課程部会長】    市川委員の御指摘に沿っているかどうかは、私の考えなので分かりませんけれども、教科一般が何かという定義は、確かにはっきりしていないところもあるのですけれど、各教科は何かというのは法令的にいえば学習指導要領の目標が、それぞれ社会科とか理科とか最初に示されるので、たった1行ですけれど、それがそうだというのは、形式的に答えればそうだと思うのですけれど、ただ、先ほど説明していただいたワーキンググループなどの議論というのが、論点整理を受けて細かくやっていただいているわけですけれど、私はそれぞれの教科におけるイメージ図のようなものがそれぞれ出されていて、つまりその教科における考え方とか思考力など、あるいはそこにおける知識はこのようなものだという要点が示されていると思うのです。それが本質というかは分かりませんが、理科とか社会科とか国語科の骨子というか、骨格になってくると思うのです。
  私、今回の中教審での議論の非常に大きな特長は、教科の骨格を明確にしていくという作業なのだと思うのです。つまり、肉付けしていくというか、教えるべき内容といいますか、教えたい内容というのはどんどん年単位で増えていくわけですけれど、それを改めて整理して骨格を明確にする。その骨格というのに当たる整理が、論点整理だと思いますけれど、それはすごく平たく分かりやすく言えば、その教科固有の思考力はと何かとか、その教科固有の概念構造とは何かということを問い直して結び付けていくことなのだと思うのです。
  私は、先ほどこの概略の説明で、それぞれ非常に苦労されながらも、そちらに踏み出して作りつつ、それが見えてきていると思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。
【市川委員】    済みません、一言いいですか。一方では教科横断的に資質・能力を育てるという話が出ているわけです。それはかなり各教科を通じた抽象的なレベルで丸々力を育てる、このような力を育てるということがあって、これは各教科にかなり共通するものがあるのだろう。
  ところが一方では、内容的に教科固有の教えるべき知識・技能というものがあって、これは一番細かいレベルで、当然教科によって違う。その中間がかなりグラデーション的に、これは割とこの教科では重点を置いているものというのがあります。ただ重点を置いているのだけれど、ほかの教科ではそのようなものを扱っていないかというと、そうではなくて、例えば、算数や数学が大事にしている本質的なものは論理的な思考力ですといっても、ほかの教科でも、うちでも論理的思考力は大事にしていますというのが出てきて、何も算数、数学だけの話ではありませんというようなことも、突き合わせてみると出てくるかもしれない。
  かなり教科横断的な抽象レベルから、領域固有のものまで並んでいる中で、どこで区切って本質というかというと、かなりこれは悩ましいところで、この公文書の中でこれだけ出てくるからには、質問も来るでしょうし、教育委員会も説明する立場になる。もちろん文科省もそうだと思いますが、我々も委員なのですというと、本質とは一体どこからが本質なのですかというようなことは聞かれることもある。
  ですから、これを奈須委員がおっしゃったように、確かに各教科のいろいろな学会とか研究会の中では、確かに議論はされているので、そのようなものを御参照くださいということで、ある程度委ねてしまうのか、こちらで何らかのガイドライン的なものを示していく必要があるのかというのは、これは検討課題かなと思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  天笠委員。
【天笠主査代理】    市川先生のおっしゃる本質ということと、申し上げることは少しずれるかもしれませんけれども、今の話を私なりに理解させていただくとすると、それぞれの教科等の教育課程上の位置付けという、そのような私なりの言い方になるのかもしれません。
  先ほど私は、小・中、中・高の学校間の接続、連携云々と申し上げましたけれども、どちらかというとそれは縦の視点、発想であります。今の話というのは、私の整理の仕方ですが、横ということで、御承知のとおりカリキュラムは縦と横を整えるということで、そういう意味では、このワーキンググループの今日御報告いただいた、これを縦と横を整理することが、いわゆる構造化という言葉につながっていくのではないかと思いますし、その仕事をするのが、この部会なのかなと思いまして、ようやくこの部会のなすべき仕事が、このレベルで言葉になってきているのかなというのが、今の先生方のやりとりを伺っていて、私なりに整理すると出てきているのかなという受け止め方をしております。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  鈴木委員。
【鈴木委員】    今、市川先生から始まった御議論ですけれども、今、欧米で行われているカリキュラム論争の一番の問題点は、市川先生が先ほど最初に御質問されたように、教科はどのように出来たのか。我が国はともかく、現在の教科というのは学問領域、ディシプリンを中心に作られている。
  ただ、今何が論争になっているかと申しますと、そのディシプリンで教科を組み立てるだけではまずいのではないか。生徒の実際生活や、経験にもう少し基づいた対応をしないと、ディシプリンに基づいた教科だけでは不十分だという認識が広がってきたり、今カリキュラムの改訂を少しずつしようとしていると思っております。
  同じことは我が国にも現在起こってきていて、各教科独自の視点だけではなくて、教科を束ねて総体としてカリキュラム全体で何を目指すかということが、論点整理でいえば横の関係を付けるべきだということで登場しているのだと思います。
  今、各教科の御議論を聞いておりまして、このままいくと、又教科固有の論が強くなってしまって、全体としての整合性、横の関係というものがこれ以上進むと付けにくくなるのではないか。
  ですから最初のときに申しましたが、中間的な目標といえるものがいいかどうか分かりませんけれども、現在の三つの柱だけでは、果して横の関係を十分作ることができるかどうか問題ではないかと思います。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  渡瀬委員。
【渡瀬委員】    お願いします。天笠先生がおっしゃった縦と横の関係という点からしますと、縦の関係の話になりますけれども、どうしても縦の関係を考えたときに、各教科のワーキンググループでは小学校、中学校、高校というまとまりでものを考えていると思うのです。それで、今回お配りいただいた資料の69ページに、社会科、地歴、公民における思考力、判断力、表現力の育成のイメージというのがあって、それぞれの観点別に小・中・高と矢印が出ていて、これは小学校、中学校、高等学校ごとにこれこれの観点をカバーしていきますというものですけれども、この観点について、例えば3歳、4歳、5歳、1年生、2年生、3年生、12年生までの中で、この観点は例えば4年生から8年生までで育てたい観点だと矢印を引っ張る。学校種ごとではなくて、年齢ごとに、学年ごとに引っ張ることで、きっとそれぞれの観点は学校種の中では区切れないものだと思いますし、非常に基本的なものは、ひょっとすると3歳のところから6年生のところまで引っ張らなければならないような内容もあるかもしれないと思うのです。
  それが出来ることで、この観点を育てるということで幼・小の連携とか、小・中の連携ということがおのずと出てくるかなと思うので、このワーキンググループがどうしても幼稚園、小学校、中学校、高等学校と考えるところを発想を変えて、細かくなって大変ですけれども、年齢とか学年というところで矢印を引っ張ってみるというのはどうかなと思います。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  根津委員。
【根津委員】    各部会ワーキンググループにカリキュラム研究者がもっといればいいなという気もするのですけれど、それはさておき。情報の流し方として、学校段階等別・教科等別ワーキンググループ等の進捗状況、この資料1ですけれども、これは各部会ワーキンググループ等でも共有されているものですか。事務局へのお尋ねになろうかと思います。
【大杉教育課程企画室長】    議論の状況に応じながら、この形で提供させていただいているのは、まだ小学校部会とこちらだけになりますけれども、適宜横の状況もお伝えしながら進めさせていただいております。
【根津委員】    恐らく、先ほど頂いたような御説明が各部会ワーキンググループ等で又共有されることによって、他教科との関連、あるいは領域との関係というところもおのずと出てくるのかなという気もするのです。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
【無藤教育課程部会長】    すみません、大事なところなので、二度になるのですけれども、例えば、論理的思考力というものを考えたときに、どのような教科でも論理的思考を使わないはずはないので、全ての教科に共通する力になるのだろうと思うのです。例えば、たまたま見ているのですけれど、79ページに数学の話が出てきますけれども、そうすると79ページの真ん中に、論理的にと推論をする力、帰納、類推、演繹とありますけれど、例えばこのような力はどんなところでも使うので、国語は使わないとか、そのような話はないわけです。どんな教科でも共通するというところで、汎用性があるというべきか、教科横断的学力というべきか、あると思うのです。
  ただ、そこに多分何段階か、何種類か、グラデーションのようなものがあって、例えば、その上に、的確かつ能率的に処理する力というのがありますけれど、このようなやり方は数学がかなり得意なところだと思うのです。国語でも出来ますけれど、どちらかといえばそれが得意だと思うのです。
  更にその上に、目的に応じて数式云々というのは、これは数学固有なのです。理科でも使うとか、それは社会科でも使うというのは、そうなのだけれど、数学こそがこれを中心とするわけです。
  そういう意味で、思考力というのは全ての教科に共通する教科横断性が強いけれども、どちらかというと、ある種の力はこの教科が強いとか、あるいは思考の仕方をするときに、数学的表現が要ですけれども、それを正に数学科でしか出来ないわけで、しかしながら、数学的表現を学べば、先ほどの数理探究でもそうだし、いろいろなところで数学的表現は活用できるわけです。
  つまり教科それぞれで議論していただいたものを、横に横断的に再整理して、全体が、先ほど申し上げた言い方で言えば、骨格が見えるような作業が必要で、多分それが出来るのは総則の部分だと思いました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。非常に重要で貴重な御意見を皆様から頂きました。この総則部会の役割だと天笠先生にもおっしゃっていただきましたが、今後、各ワーキンググループからお話を伺いながら、そこのディスカッションでも、ここで考えるべきこと、つまり縦と横の構造化についても、直接私たちの考えを発信していくことも重要ではないかと思っております。
  ひとまず、この議論は私たちの課題として残しておくということにしつつ、少し先に進めさせていただきたいと思いますが、鈴木先生、どうぞ。
【鈴木委員】    渡瀬委員が言ったところが非常に重要だと思いまして、少し言わせていただきます。知識部分は学年ごとに区切れますけれども、思考、判断、表現の部分については学年では区切れないという論点は、非常に重要だと思いました。
  社会科で、先ほど御指摘のあった69ページのような矢印を引いた、学年を超えた発達段階というものの例を示していただいておりますが、各部会でも思考、判断、表現に関しては、必ずしも学年で区切れるものではない。ないしは、小学校から高等学校でどのような発達段階で育成していくかという視点を是非持っていただきたいと思っております。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  それでは、まだ御意見もあろうかと思いますが、後ほど伺うことにいたしまして、次の事項でございます。アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の関係性についてでございます。事務局から、まずは資料を基に御説明をいただきまして、意見交換をしたいと思います。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料2-1、それから2-2、2-3を基に御説明をさせていただきますけれども、次の論点であります3-1にも少し関わっておりますので、3-1も横に置きながら、2-1、2-2、2-3を御覧いただければと思います。
【羽入主査】    もしよろしければ、全部まとめて説明していただいて。
【大杉教育課程企画室長】    よろしいですか。では、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の関係性について2-1と、それから学習評価の改善に関する考え方のポイント3-1でございます。このペーパーの目的でございますけれども、各教科のワーキングの方にこれもつながせていただいて、横を見ながら、全体像を見ながら議論を進めていけるようにさせていただきたいということでございます。
  まず2-1でございますけれども、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成についてということでございますけれども、各教科ワーキングの状況を拝見しておりますと、学習プロセスの在り方と資質・能力の在り方それぞれを御検討いただいているわけですけれども、先ほど少し御覧いただいたペーパーにもございましたように、プロセスの中でその資質・能力がどのように育まれているかという、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力を関係付けながら議論を進めているワーキングもかなり出てきているところであります。
  一方で、論点整理の受け止められ方でございますけれども、アクティブ・ラーニングという言葉で示されている活動の部分と、資質・能力というものとの関係性が必ずしも一体的に捉えられていないのではないかということもございますので、改めて資料2-1のような形で、それらがつながっているものであるということを、出来れば明らかにしながら検討を進めていただくきっかけにしていただければと考えて御用意をさせていただいております。
  それでは資料2-1でございます。1ポツでございます。アクティブ・ラーニングの視点、昨年8月の論点整理におきまして、資料2-2の3ページ目でございますけれども、深い学び、対話的な学び、主体的な学びという三つの視点で整理をいただいたところでございます。こうした提言を踏まえて、既に様々な取組が広がりつつある一方で、この型を取り入れなければアクティブ・ラーニングではないということでありますとか、あるいは既に話し合い活動やフィールドワークをやっているので、新たに検討する必要はないというような、論点整理の不断の授業改善に流すという提言の目的からは少し離れた解釈も見受けられるところであります。
  このような誤解を解消していくためには、活動の在り方のみに着目するのではなく、資質・能力の総合的な育成のために各教科の本質に迫る学びということが必要であり、そのために提言されたのがアクティブ・ラーニングの視点であるということを示していく必要があるのではないかということでございます。
  その関係性をイメージで示したものが、2-1の一番最後の矢印でありますけれども、このような図に似たものが、既に先ほど資料1で御紹介させていただいた各教科の検討のペーパーの中にもございますけれども、教科の本質に根ざした見方や考え方、これは次に御説明させていただきますけれども、これを使いながら本質に迫る学び、深い学びをしていくことで資質・能力が育成されるということ、このようなことを少し丁寧に説明していく必要があるのではないかということであります。
  それを文字にしたものが、戻っていただきまして1ページ目の2ポツでございます。論点整理を踏まえて、各教科等を学ぶ本質的な意義について、資質・能力の三つの柱や学習プロセスの在り方について、先ほど御紹介させていただいたとおり、議論されているところであります。
  そして、この中で見えてまいりましたのが、先ほど理科や社会科、それから技術家庭のところでも、見方・考え方の整理ということをされていますけれども、各教科等の本質に根ざした見方や考え方、先ほど奈須委員からも概念と方法論という御紹介がございましたけれども、このようなことが重要であるということが各教科の議論の中で少し見えてきているところであります。
  これは全く新しい話ということではございませんで、これまでの指導要領の中でも、資料2-2の4ページ目以降に現行指導要領の中で見方や考え方というものが使われている、例えば小学校の社会科ですと、社会的な見方や考え方、それから理科ですと、科学的な見方や考え方というようなことでありますけれども、こうしたことを美術においても独創的、総合的な見方や考え方といった形で、現行の指導要領の中にも少し現れてきているところでありますけれども、それが何かというのは、まだいま一つ明らかにされていない状況であろうかと思います。
  また、幼児期はそれらを総合的に育むということでございます。
  資料2-1の1ページ目下でございますけれど、見方や考え方とは何かということでございますけれども、論点整理あるいは本部会における議論なども踏まえて考えますと、様々な事象を捉える教科等ならではの視点や思考の枠組みということで考えられるのではないかということ。こうした見方や考え方と、育成すべき資質・能力の関係については、このような整理ができるのではないかということですけれども、知識ということに照らして考えますと、技能はこのような形で又整理できるか。知識を構造化して身に付けていくために、そのような見方や考え方が不可欠なのではないか。見方や考え方を働かせながら習得したり、探究したりすることによって、知識を他と関連付けて定着させたり、構造化された概念的な知識として獲得したり、技能を熟達させたりすることができるのではないかということ。
  それから社会科の整理にもございましたけれども、見方や考え方の成長により、思考力、判断力、表現力が伸びていくというようなこと。また、社会や世界をどのように捉えるか、そしてどのように関わっていくかという情意、態度ということに対しても、見方や考え方というのは大きく作用しているのではないかということであります。
  それを単純に図で示したのが、先ほど御覧いただいた一番最後のペーパーということになります。
  そしてアクティブ・ラーニングの視点との関係性でございますけれども、例えば深い学びというのは、子供たちが見方や考え方を働かせながら、それを成長させていけるような学びであるといえるのではないかということ。学習のプロセスの中で、教科ならではの視点で事象を捉え、思考の枠組みで思考、判断、表現することなどを通じて、子供たちの見方や考え方が成長していくように学習をデザインすることが欠かせないのではないかということ。
  また一方で、特別支援教育という観点からも、子供たちの一人一人の見方や考え方を培う上で、困難さを捉えて必要な支援を工夫していくことも重要ではないかということ。
  そして各教科の多様な見方や考え方ということと、教科横断的な学習との関係性でありますけれども、教科の見方や考え方、これは汎用性があったり、正に教科独自であったりというグラデーションがある部分もあるとは思われますけれども、それらを例えば総合的な学習の時間などを通じて総合的に育成していくということで、社会や世界の様々な事象を捉えたり関わったりするということは、様々な見方や考え方を活用しながら可能になり、そのようなことを統合的に働かせることによって多様な角度から捉えたり、考えたりすることができるのではないかというようなことでございます。
  こうしたことを踏まえながら、学習評価の方の3-1を御覧いただきますと、正にそうした資質・能力や見方や考え方ということと、評価の在り方を一体化していく必要があるわけでありますけれども、3-1の冒頭、三つ目については、これは評価の在り方というよりは、資質・能力と見方・考え方でございます。各教科のワーキングにお願いする事項として、これも既に取り組んでおりますけれども、資質・能力の三つの柱に基づいた構造化、それから教科の本質とは何かというところで、これも既に教科によっては議論を進めていますけれども、本質に根ざした見方や考え方ということは何かということ。また指導内容についても、そうした資質・能力に基づき構造化できるような工夫を考えていただきたいというようなことにつながってくるような議論でございます。
  少し議論が行ったり来たりして恐縮ですけれども、資料2-1に戻っていただきますと、アクティブ・ラーニングでございますけれども、よくいわれますのは、言語活動や体験活動ということとの関係性を整理してほしいということをよくいわれるところでございます。これについて、整理のきっかけとして事務局で用意させていただいたものが3ポツですけれども、言語活動につきましては、資料2-3を御覧いただければと思いますが、資料2-3は、これは言語能力の向上に関する特別チームでおまとめいただいたものでございます。
  1ページ目の真ん中から2ポツで、資質・能力の育成と言語能力の関係についてでございますけれども、子供は乳幼児期から身近な人との関わりの中で言語を獲得していき、思考、判断をしたりする力を獲得していくということ。そして、言語能力というものは、国語科や外国語科のみならず、全ての教科等における学習の基盤となるものであり、資質・能力の三つの柱に照らしてそれぞれを育んでいく重要なものであるということ。
  2ページ目の真ん中あたりにございますけれども、言語は全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤として重要な役割を果たしており、言語能力の向上は学校における学びの質や、教育課程全体における資質・能力の育成の在り方を左右する、重要な課題として受け止める必要があるというおまとめをいただいているところでございます。
  こうしたことを踏まえながら、資料2-1の2ページ目の下の部分でございます。言語活動について、一つ目の丸は、正に先ほどの言語能力の特別チームのペーパーをそのまま引かせていただいております。また、3ページ目の上でございますけれども、これも同様でございます。
  「したがって」というところでございますけれども、言語活動についてはアクティブ・ラーニングの視点からの学びを支える中核的な学習活動として位置付けることができるのではないか。言語を用いた言語活動と資質・能力の育成の関係については、以下のように考えられるのではないかということで、これも言語能力の特別チームの整理を引かせていただいておりますけれども、教科等の本質に根ざしたものの見方や考え方の獲得は、各教科等固有の学びのプロセスを通じて行われる。このプロセスにおいては、情報を読み取って吟味したり、情報の知識と関連付けながら構築したり、表現したりすることになるけれども、いずれにおいても言語というものは重要な役割を果たしているということ。これは教科によって言語以外のものもございますけれども、言語というものも中核になっているということでございます。
  学習内容につきまして、言語を用いて表現されているということ。新たな知識の獲得は基本的に言語を通じてなされているということ。言語を通じて知識の間のつながりを構造化したり、概念の理解をしたり、具体的な体験が必要となる技能についても、熟達に必要な要点等を言語を用いられて理解されることも多いのではないかということ。
  また、メタ認知の獲得ということも、思考や心理のプロセスの言語化を通じて行われる。また、コミュニケーションということにも重要であるということで、このようなことを踏まえながら、アクティブ・ラーニングの中核的な活動として言語活動を位置付けてはどうかということでございます。
  また、言語と併せて重要な体験活動でございますけれども、これにつきましても、3ページ目の下からでございますけれども、周囲の環境との相互作用によって発達や生活というものが行われるということ。具体的な体験を通じて事象と関わることにより、事象から影響を受けたり、また、事象に影響を与えたりすることが、学びということにつながっていくということ。こうしたことを踏まえながら、3ページ目の下でございますけれども、これも資質・能力の育成との関係と体験の関係を少し示させていただいたものでございます。
  4ページ目の矢印でございますけれども、言語活動や体験活動自体を目的とするのではなくて、これも資質・能力とも結び付けながら、アクティブ・ラーニングの視点からの不断の改善の重要な要素として、言語活動や体験活動を捉えていくということ。
  また、そうした視点から、学習の過程で言語活動や体験活動を効果的に続けていくことが必要ではないかということでございます。
  たたき台としてですので、まだまだ不十分でございますけれども、本日、様々御意見を頂ければと思います。
  それでは、続きまして、学習評価についても御説明をさせていただきます。資料3-1でございます。学習評価について、これまで頂いた御議論を踏まえて、各教科ワーキングに、このようなことを伝えさせていただいたらいいのではないかということで、御用意をさせていただいたものでございます。
  目標に準拠した評価ということを実質化していくために、以下のような方向性についてということで、まず目標の中で資質・能力に基づく目標の構造化ということを行っていくということ。また、先ほどの本質に根ざした見方や考え方というものは、各教科なりに考えるとどうなのかということを明確化していくということ。それから、指導内容についても、資質・能力との関係性を明らかにしていくということ。また、別添イメージを踏まえつつ、観点別評価の観点を検討することということで、3-1の一番最後に、評価の観点のイメージということで示させていただいております。
  論点整理を踏まえまして、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度、この三つで観点を考えていただきたいということ。具体的な表現ぶりは各教科によって様々バリエーションは出てくる可能性はございますけれども、基本的な考え方のイメージとして、これをお伝えしてはどうかということでございます。
  それから、観点別評価について、1ページ目に戻っていただきます。丸の五つ目でございます。観点別評価について、毎回の授業で全てを見取るのではなく、カリキュラム・マネジメントの考え方の下、単元を通じたまとまりの中で、学習指導内容と評価の場面を適切にデザインしていくことが重要ではないかということ。各教科で検討している学習プロセスの在り方の中で、評価の場面との関係性も明確にできるようにする工夫すること。
  それから知識・技能に関しましては、事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識の獲得に向かうということも重要であることに留意しながら、各教科等の特性や発達の段階に応じて、どのような知識・技能を獲得することが求められるのかを明確にするよう工夫すること。
  発達段階の初期においては、事実的な知識の習得を中心にすべきだというような教科特性があるというものも考えられますけれども、それが発達の段階の中で概念的な知識の獲得に向かっていくというような、教科ごとにそのようなことも明らかになるような工夫が求められるのではないかということでございます。
  それから、資質・能力の三つ目の柱、学びに向かう力・人間性と観点別評価の関係性でございますけれども、これを主体的に学習に取り組む態度という観点と、学びに向かう力・人間性の関係性でございますが、主体的に学習に取り組む態度として観点別評価を通じて見取ることができる部分と、観点別評価では示し切れないことから、記述のような個人内評価を記述式で表現するような部分を通じて評価していくというような部分があることに留意する必要があるのではないかということでございます。
  また、主体的に学習に取り組む態度については、学習前の診断的評価のみで判断したり、挙手の回数やノートの取り方などの形式的な評価で判断したりということがないよう、子供たちが知識・技能を獲得しようとしたり、思考・判断を表現しようとしたりしているかどうかを、子供たちが学習の見通しを持ち、学習したことを振り返る場面を学習プロセスの中で適切に設定していく必要があるのではないかということであります。
  また、資質・能力を三つの柱で整理をしておりますけれども、これらはばらばらというよりは、相互に関係し合いながら育成されるという視点も重要でありますので、そのような関係性を総則などでしっかり示していく必要があるのではないかということでございます。
  それから2ページ目でございます。現行の観点別評価の観点において、別添イメージ記載の観点のうち、示していないものがある教科、例えば教科のある分野について、知識というものの在り方を示していないでありますとか、技能の在り方を示していないという、それは教科特性に対してなかなか示しにくいということがあったわけでありますけれども、今回この三つの柱の在り方を踏まえまして、知識や技能の在り方、技能と表現との関係等について、教科の本質ということを検討する中で御検討いただいて、相互に関係するものであることを前提としつつ、観点を明確にする方向で御検討をいただきたいということでございます。
  また、このような方向性を踏まえた指導要録の在り方については、専門的なグループを作られていただいて検討していく必要があるのではないかと考えております。また、指導要録で全てを表すということではなくて、子供一人一人が自らの学習状況やキャリア実現を見通し、振り返ることができるような、何らかの別の仕組みということも考えていく必要があるのではないかということであります。
  まだまだ学習評価に残された論点もございますけれども、これについては教科等ワーキングの議論の状況を踏まえながら、総則・評価特別部会において引き続き議論をしていくということではないかということでございます。
  長くなりまして恐縮ですけれども、以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。二つまとめて御説明をいただきました。資料2-1と、資料3-1についてですが、この扱いですけれども、これは今後、各ワーキンググループにお知らせする内容ということになります。したがいまして、どのような表現がより議論をする際の材料として適切かということの御意見を頂ければと思います。
  皆様の御意見を頂く前に、先ほど議論がございました、各教科の本質、あるいは教科の本質ということについて、一応暫定的にでも整理しておかないと。資料2-1の項目に既に掲げられていますので。そこで提案です。2ポツの、「各教科の本質に根ざした見方や考え方について」のところです。これで恐らく通じるのだと思いますけれども、「本質」ということの具体的な意味が、一つは、先ほどの議論からも、特色とか特性ということであり、もう一つは、本当に教科の本質として共通の根底にあるものという、二つの意味が一緒に使われているのではないかと思います。
  それで、ここの2ポツのところは、恐らく各教科の特性、特色に基づいたということの意味ではないかとも考えられます。暫定的な提案として、もしこのように受け取っていただけましたら、そのような理解の下で議論を進めていただければと思います。
  それで、まずは資料2-1についての御意見を是非伺いたいと思いますので、お願いいたします。いかがですか。このまま各ワーキンググループに伝達していただきます。
  では、奈須先生。
【奈須委員】    よろしくお願いします。基本的には私はこの資料2-1については、この整理でいいのではないかと思っているのですけれど、一つ、今後重要な言葉になってくると思うのですが、見方や考え方が成長するという表現が使われていて、つまり各教科ごとにそれぞれの教科の本質に根ざした見方や考え方が獲得されていくのですけれど、それで終わることなく、成長していく。その中で、思考力、判断力、表現力が育成されていくと書いてあります。汎用性を持っていく、生きて働くようになる、教科の中だけにとどまるものではなくなっていくということだと思うのですけれど、成長ということの具体的なイメージについて、多分考える必要が出てくるのだろう。また、それがアクティブ・ラーニングをどのように展開するか、あるいは各教科ごとの取組と、それが更に横断的に使われる総合的な学習や特別活動との関係性や、移動に関わってくるかと思うです。
  例えばということですけれども、たたき台ということで考えてみたのですが、三つぐらい成長ということがあるかなと私は思うのです。まず、比較関連付けによって教科間でのいろいろ学んだものが整理統合されるということがあるかなと思うのです。例えば、各教科ならではのものとして見方や考え方は学び取られると思うのですけれども、それが相互に比較されたり関連付けられたりする。それぞれのよさと限界、あるいは相互の移動や特質が一層明らかになることが多分大事だろうと思うのです。
  それによって、より自覚的な理解として子供のうちに定着するでしょうし、あるいは自在で的確な活用ということになっていくのではないか。いろいろな教科で、いろいろなものの見方、考え方、方法を学んだのだけれど、それがどのようなものかということが相互に整理、統合されていくことがあるかなと。そうならないと自在に使えない、適切な場面で適切に使えないということだろうと思うのです。そのような学びになっていくということが一つあるのかなと思います。
  それから二つ目として、対象や領域の創造的な拡張ということがあるだろうと思うのです。当初その見方や考え方を学び取る際には、その教科ごとの対象や領域を使うわけです。例えば理科の、先ほどの資料2-2の5ページのところにありますけれども、下線部ですが、身近な物理現象、電流とその利用、運動とエネルギーなどについて理解させ、これらの事物・現象に対する科学的な見方です。つまり理科でやるのは、あくまでも理科的な現象、自然科学的な現象について、それを科学的に読み解いたり、表現するということを学ぶわけですけれども、理科的なそのような能力というのは、自然科学的な対象以外、社会科学的なものにも適用できるし、むしろそれが汎用性であったり、新たなイノベーションということでは大事なのだろう。
  あるいは美術のところもそうなのですけれど、独創的、総合的な見方や考え方を培いとあるのですけれども、美術ですから、あくまでも美的な造形活動とか、それを鑑賞するという対象や領域に対して、これが形成されるわけで、それが、それ以外のものに適用されるまでは若干距離があると思うのですけれども、そのような学びが、成長という場合に必要なのかなと。
  つまり、当初その見方や考え方を学び取った対象や領域を超えて、広範なものに使われる、あるいは意外なものに使われる。意外なものに使われるというのが、正にイノベーションだと思うのですけれど、そのようなものを通して、各見方や考え方に潜在するさらなる適用可能性、それは各教科を超えていくような可能性、あるいは意義に気付く。その際に、又変換が必要だと思うのです。自然科学の対象に、科学的な方法論を用いるのと、社会的な事象に用いるのでは、何らかの変容が必要だと思うのですけれど、そのときの変換の方法や原理とか、適用の際に留意すべき事項について理解を深めるとすると、学んだことが汎用性を持つのかなと思います。
  それから、もう一つ考えたいのは、現実場面で使う。その場合には、複数の見方、考え方を組み合わせて使うということがあるだろうと思うのです。いわゆる答えがないとか、一つに定まらない現実の複雑な問題の解決ということが最終的には要請されてくる。総合的な学習の時間や特活ではそのようなことが模擬的にというか、ある程度の水準でやられるのだろうと思いますけれど、そのようなことに向けて、児童生徒が長期的に展開されるような探究的な学習活動をするのだろう。その中で、複数の見方や考え方、つまり複数の教科で学んだものが、横断的に使われる。それは同時に使われることもあるでしょうし、時間的に、段階的に、いわゆる形式的に組み合わせて適用されることもあると思いますけれど、その際の適用のポイントとか、留意事項ということについて、子供たちが理解を深めていく。
  それによって、各教科で身に付けた見方や考え方を駆使するということによって、現実の複雑な問題でもよりよい解決の方向に導くことができるのだという自信や信念、前向きな態度ということが形成されるでしょうし、メタ認知を働かせて粘り強くやるといったことも、そのような中で養成されるでしょうし、多様な他者と協働して問題解決に取り組むというのはどういうことかということが見えてくるのだろう。
  三つ申し上げましたけれど、まず各教科ごとに形成されたものが、相互に比較関連付けられて整理・統合されるということが大事かなと。それから、対象領域を、当初の領域から創造的に拡張する。特に意外な領域にまで拡張してみるという経験が大事かなと。あるいは現実の複雑な問題に対して複数の方法を組み合わせて適用するということが大事かなと。
  何か成長ということがあっさり書かれているのですけれども、成長ということの具体的なイメージや内実を明らかにしていくことによって、各教科の中で、それはどこまでやれるのか。各教科では手に余るということであれば、それは総合的な学習や特活でやるのでしょうけれども、だとすれば、それは総合や特活でどのようなアプローチが既に出されていて、今回では拡張する必要があるのかという議論ができるかなと。
  そうすることによって、各教科の本質と、目指すべきより広範で複雑な資質・能力との関連ということが見えてくるでしょうし、そこにおいて要請される教育方法的な工夫としてのアクティブ・ラーニングの筋道も見えてくるかなと思いました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
【天笠主査代理】    失礼いたします。今の奈須先生の御発言と重なる部分が多分にあると思っておりますけれども、また、お示しいただいたペーパーで、これでよろしいのかなと思ったのですけれども、それはどういうことかというと、2ページの真ん中のところにある部分です。見方・考え方が総合的に育成される云々、このようなことでもいいかなと思ったのですけれども、技術的にここのところをもう少し、ある意味で格上げ、2の各教科の本質に根ざした見方・考え方についてということで、この文脈の中でこれが位置付くということもよく分かるのですけれども、もう一つは、論点整理の中でたびたびいわれているし、既に今のこの会での発言にもあるかと思うのですけれども、教科を横断してとか、教科を関連して根ざす見方や考え方、育てる見方・考え方という、教科の本質に根ざしたという、この文脈の中に位置付けるのも分かるのです。
  もう一つは、例えば3として、各教科を超えてとか、教科を超えてというような明記の仕方も、各ワーキンググループに対して出すという意味において、意味を成すのではないかと私は受け止めております。
  要するに、先ほどの議論ともつながるのですけれども、当然、各教科等はそれぞれの教科の枠の中において議論を重ねてきているわけで、他の教科の関連等々をそれぞれのワーキンググループに問い掛けるという意味において、そのような点からすると、その教科を軸にしながらも、その各教科等の関連というところが、どのように資質・能力に展開していくのかどうなのかということを、それぞれのワーキンググループのところで考え方を明示していただくというのも、また、それを我々のこの部会で受け止めるという意味合いも込めて、そこのところは技術的に強調してもいいのかなと思いました。
  そのことは、ここには余り触れていないのですけれども、アクティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントというのが別立てではなくて、アクティブ・ラーニングの展開ということと、カリキュラム・マネジメントのそれが通底するというか、重ね合っているということで、今回のカリキュラム・マネジメントの強調点というのも、一番挙げたのは、各教科を横断する環境を整えていくとか、そのような学習環境を支えていくカリキュラムの在り方という視点で、カリキュラム・マネジメントを提唱しているわけですので、そのような点からすれば、アクティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントは互いにつながり合いながらということですから、その点からすれば、いわゆる見方・考え方を育てるに当たってアクティブ・ラーニングの展開を支えていく、あるいはそれを生み出していくカリキュラム・マネジメントの在り方ということへの言及というか、視点の検討という意味において各教科横断するとか、こうやって云々というあたりのところについて御検討いただければと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  市川先生、どうですか。
【市川委員】    このアクティブ・ラーニングの視点として資質・能力の育成についてということなのですけれども、私、このように捉えていたのですが、アクティブ・ラーニングをなぜ導入するのかというときに、一つには、アクティブ・ラーニングを導入することによって、それまでの単に先生の話を一生懸命聞いて、そしてノートを取ってテストを受けるという学習に比べて、はるかに深い習得とか深い探究に至ることができる。これはどちらかというとアクティブ・ラーニングを手段として見ていると思うのです。
  ただ、それだけではなくて、アクティブ・ラーニングそのものに一種の目的性のようなものもあって、アクティブ・ラーニングによって育つ力というものがある。アクティブ・ラーニングを通してこそ、内容的な理解ももちろん深まるかもしれないけれども、何らかの資質・能力がアクティブ・ラーニングとして育っていくのだという、それが資質・能力に当たる、そちらの側面かと思っています。
  そのときに、言語活動とアクティブ・ラーニング、これはここに書いてあるとおり、物すごく大事なこと。アクティブ・ラーニングを通じて、言語力に磨きを掛けていくという面もあるわけですから、これも資質・能力を育てるという、そちらの面から見ても、アクティブ・ラーニングは大事。
  また、言語力を備えていないと、有効な内容が深まるようなアクティブ・ラーニングにならないという意味もあって、その両方の面から言語活動が中核だというのはよく分かります。
  ただ、そのときに、アクティブ・ラーニングをするのに必要な言語力というのは、一体どのような言語力なのか。あるいはアクティブ・ラーニングを通じて磨かれる言語力というのは、どのようなものなのかというのを、私はもう少し検討して書き込んでいった方がいいかなと思っています。
  私も最近、ある原稿を書くのに、そのようなお題を与えられて、考えたのですが、一応私は四つのことを書いたのですけれど、いずれもこれまでの国語教育なり、あるいは各教科の中で教科横断的に言語力を育てるといっても、ダイレクトに取り上げられることが少なかったのではないか。一つは、まず説明するということなのです。自分が知っていることを、人に分かりやすく説明する。ところが、分かりやすく説明するというのは、一体どのようなことか。分かりにくい説明というのは、どのようなものか。国語教育の中でも、分かりやすく説明しましょうとは言うのですが、どのようなものが分かりやすい説明で、どのようなものが分かりにくい説明か、どのような要件を備えていないといけないかということを、余りダイレクトに私たちも習っていない。今も教科書にずばりとそれが出ていないのです。
  それから2番目は、質問するということです。説明を聞いて分かりにくかったら突っ込むということになるのですが、どうも質問するというのが日本で学会などを見ていても、余り日本人は質問するのがうまくないといわれているのです。分からないときには堂々と質問していくということが、より有効なアクティブ・ラーニングにもなる。
  それから3番目は、主張するということです。自分の意見を主張する。国語教育の中で自分の意見を主張するときにはどうするか、ある程度はもちろんありますけれども、主張する、これも日本人にとって余り上手ではないといわれている。
  最後は、主張を聞いたら反論するとか、批判する。これは内容面でも、どうやって反論するかというのはきちんと教えた方がいいと思いますが、感情的に言い方の問題というのもあります。結論だけ取り上げて、私は反対ですというのでは、議論にならない。
今、私が申し上げた、説明する、質問する、それから主張する、そして反論するというようなことが、国語教育の中でもいつも4技能を挙げているだけではなくて、より詳しくアクティブ・ラーニングをするのに、今の四つ全部必要なことだと思うのです。これをしないと、有効なアクティブ・ラーニングにもならないし、また、アクティブ・ラーニングを通じて、このような四つの技能も磨かれていくのだろう。それを国語を中心に、そして各教科の中で、更に各教科に応じた説明の仕方とか、主張の仕方とか、反論の仕方のようなものも、各教科ごとにも何らかの特徴があるかもしれません。理科と社会では違うかもしれない。国語では違うかもしれない。
  そのようなことを、更に肉付けしていくというような検討を、言語活動ということに関連してやっていただければと思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  何人か札を立てていただいていますが、無藤先生、今村先生、鈴木先生、藤田先生、根津先生の順で、無藤先生からお願いします。
【無藤教育課程部会長】    これまでの委員の御発言等では、同じように思ったので、それは省きまして、二つ申し上げたいと思うのですけれども、資料2-1の部分について、ここに書いてあること自体は全く賛成なのですが、もう少し加えた方がいいかなと思うことがあります。
  一つは、2番目の各教科の本質に根ざした見方・考え方のところですけれども、カリキュラムにおいて教科以外に総合的な学習の時間と特別活動がありますけれども、それらも教科の本質というのとは少し違うのですけれども、独自の捉え方があると思うのです。私の理解では、簡単に言えば、総合的な学習と特別活動は、言うなれば、子供が現実の世界をどう生きるかということに関わることだと思うのです。各教科というのは、この現実をその教科の視点から切り取るものだと思うのですけれど、総合的な学習の時間は、様々に切り取られたものを、逆に総合する、結び付けるものだし、特別活動は、その場を正に当事者として生きることを核としていると思います。
  そのようなことについて触れていただいた方がよろしいのかなというのは、一つ思っております。
  もう一つは、言語力のことで、前にどこかで申し上げた気もするのですけれど、言語力の言語というのは、この書き方であると当然のように日本語、あるいは時に英語となると思いますけれども、もちろんそれが中心ですが、それ以外の記号表現です。例えば、典型的には音楽と数学だと思うのですけれど、その二つの教科は独自の記号表現を開発することによって成立した社会的活動だと思うのです。音楽は、正に楽譜、また、それに基づく様々な表現ですけれど、数学はもちろん数字表現です。
  実は、それ以外の教科でも、独自のある種の記号表現とか、体育であれば様相的身体表現だと思いますけれど、あります。つまり、私は現実のいろいろな授業を見ている中で、音楽や体育などは特に思いますけれど、時々無理に日本語に直し過ぎているのではないかと思うときもあって、譜面とかのイメージの絵による方がいいのではないかという感じもありますので、その辺は少し広げた方がいいかなというのは、余分なことですが、思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、今村先生。
【今村委員】    私自身の見方・考え方が正しいのかは不安なのですけれども、発言させていただきます。このアクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の関係性についてという資料の中で、追加で触れていただいたら分かりやすくなるのかなと思う観点なのですけれども、学校の先生方と関わったり、私自身も指導していると、一番難しいのは、やる気がなくなってしまっている子に対する内発性をともすということ自体が一番難しいと思っていまして、3歳から学力格差が生まれていっている中で、大人が描いた、我々が描いた段階的な能力、知識を習得していっている状態というのも、それほどうまくいかないという前提に立ったときに、様々な子供たちが学級の中でいるときに、このアクティブ・ラーニングという方法は、それ自体が型なのではなくて、どのような段階の子供たちも教科や学びに対する興味を持ったり、内発性をともせる架け橋になる選択的な手法なのだということを書くと、先生方にとって、これは型をたくさんやらなければいけないという認識ではなくて、お困りの内発性をともすという部分に役立つ考え方なのだというところを強調されるのがいいのかなと思いました。
  ただ、1個不安で別の観点なのですけれども、アクティブ・ラーニングということをうたう余り、一部先生方とお話ししたときにおっしゃっていたのは、自己調整学習能力というものが軽視されていく時代が来るかもしれないという話をしていた方がいて、自ら学び続ける、要は習得的な学びを自らずっと黙々とやっていくということは、大人が楽しい場を作り続けないと、子供たちが学びを続けられないという日本の学校になったらどうしようなどということを勘違いされている方もいらっしゃったので、学びに対する架け橋になるアクティブ・ラーニングがあって、しかも社会に開かれた指導要領の中で、子供たちがいつ、どのタイミングからも、どのような段階の困難を抱えた子たちも、学ぶということは楽しいということを思える、その戦略としてのアクティブ・ラーニングからの、自分が自分で、自分の意欲をともせる能力を最終的には持った状態で、全ての人が大人になっていくということ自体がキャリア教育だと思いますので、そのための重要な戦略だということが明記されたらと思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  鈴木先生、どうぞ。
【鈴木委員】    先ほど奈須委員がおっしゃったことに続いて、付け加えさせていただきます。奈須委員がおっしゃったことのアクティブ・ラーニングの中の2ページ目の、見方や考え方が成長するというところをおっしゃったわけですけれど、正にここがアクティブ・ラーニング以外にも一番重要なところではないか。
  要するに、見方や考え方がどう成長するかということが、今はっきりしないものですから、学校教育で観点でいうと思考・判断・表現の評価に苦労しているわけでして、今、奈須委員が比較とか、例えば拡張とか、新しい関連性を見付けるとか、一つの発達の成長の例をおっしゃっていただきましたが、それをもう少し細かに時系列的に、各学校段階ないしは年齢段階でどのように成長させるかということをはっきりさせることが、今回の教育課程の一番重要な点ではないかと思いまして、奈須委員のおっしゃったことに、もう少し付け加えさせていただきたいと思います。
  二つ目が、アクティブ・ラーニングの事務局がおっしゃったところですが、言語活動をアクティブ・ラーニングの中核として考えるとおっしゃったように思いますが、間違っているかもしれません。アクティブ・ラーニングは、もちろん言語活動を中核に位置付けるということもあり得るわけですけれども、最も重要なのは、私は今申しました見方や考え方の成長をもたらすことの方が重要ではないかと思います。
  プラス、今、今村委員がおっしゃったように、いわゆる主体的に学習する態度といいますか、英語で最近これをエンゲージメントと申しますけれども、アクティブ・ラーニングとエンゲージメントが、どちらが先が分かりませんが、アクティブ・ラーニングの一つの重要な目標は生徒のエンゲージメント、主体的な学習を促進するということにあるのではないかと思います。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、藤田委員。
【藤田委員】    3点ほど申し上げたいと思います。この資料2のところですけれども、要はアクティブ・ラーニングというような、いわゆる新しい用語というのが初等中等教育の中に高等教育から降りてきたようなイメージで、先生方が捉えられていることがあると思います。
  そういった中で、学習指導や活動の側面のみに着目するというのは、いわば、これまでの文部科学省からの情報発信、特に3本柱の図を描くときに、真ん中にどのように学ぶのか、アクティブ・ラーニングの視点からというものが前面的に出されてきたこと、これがいわば助長してきた側面ということもあるのではないか。そのようなもので、これからの情報の発信の在り方ということを考えていく必要があるのではないかと感じました。
  その際、先ほど市川先生から御指摘がありました、アクティブ・ラーニング自体が目的となるような、そのような学びがあるのではないか。この考え方は私は非常に重要だと思ってはいるのですけれども、そのときの言い方も、アクティブ・ラーニングの目的化というよりは、アクティブ・ラーニングが最適な手段となるような学び、あるいは資質・能力の育成というような言い方にして、アクティブ・ラーニング自体は手段であるという切り分け方を前面に出していくことがよりよいのではないかと感じた次第です。これが1点目です。
  2点目ですけれども、資料2-1の冒頭の段落ですけれども、既に話し合い活動やフィールドワークを取り入れているので、検討する必要はない、これは誤解だという指摘があるわけですが、確かにそのとおりで、やっていればいいというものではないのですが、言い方はもう少し変えなくてはいけないのではないか。これまで現場の先生方がなさってきた話し合い活動や、フィールドワーク、体験的な活動というのはそこにあって、その重要さはある。しかしながら、それが活動の側面のみに捉えられているとするならば、そこにおいては改善の必要がある。つまり先生方をエンカレッジする必要があるのであって、だめですという言い方ではないのではないかということを感じました。
  3点目です。これは先ほど直前に鈴木委員から御指摘があったところですけれども、アクティブ・ラーニングの目的がエンゲージメントである、これは非常に重要な御指摘だと思いました。つまり、学びに対する意欲、あるいは興味・関心、あるいは深い学び、そのようなものをエンカレッジしていくものがアクティブ・ラーニングだとするならば、私個人は、先ほど奈須委員がおっしゃってくださったように、領域や対象を創造的に拡張したり、現実の面で活用することというのは、心から重要だと思っているのですが、長くなってしまいますが、実は先日、ある大学で非常勤講師で集中講義をさせていただいたのですが、理系の大学なのですけれども、テストをして非常に真面目に真摯に書いてくれて、点数も高かった学生のうちの一人が、余白に感想ということで、学んだものを社会に活用したり、あるいは社会との関連性で捉えていくことについて、私は全く納得できないと、私は数学そのものが楽しくて仕方がない、数学をやっていると身が震えるほど興奮する、そのようなことを言っていた学生がいたのです。
  そのような中ではディシプリンに向かっていく学び、そこでエンゲージしていく学びということは、必ずしも否定されるべきではなくて、そのような学びも十分認知した上で、これまで足りなかった部分、あるいは軽視されていた部分としての3本柱であるということをどこかで書いておかないと、ディシプリンの中に知的興奮を見出していく若者たち、そのような若者たちを半ば否定してしまう可能性もないことはないのかな、そのようなことを感じた次第です。
  以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では根津委員、お願いします。
【根津委員】    私も3点、4点ほどですけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。まず、各教科の本質、資料2-1の先ほどの御議論からということもあるのですけれども、義務教育の場合には学校教育法第21条、今、学習指導要領の総則編の解説の付録にも付いていたのですけれども、こちらに教科名は出ていないわけですけれども、それぞれの目標という形で出ている部分がある。
  ただ、そうなってくると、高等学校の場合には、それに当たるものがどうなるのかということもありますし、そもそも小学校、中学校、高校で教科といっているものが同じものを指すのかどうかというところも、実は結構疑問であると。発達段階、成長等を考えると、小学校の先生がお考えになる教科と、高校の先生がお考えになる教科は、恐らく違う。科目構成もそうですし、免許制度、あるいは養成課程というところまで関わってくる、非常に本質的な議論なのではないかと感じました。
  関連してですけれども、2-1の資料が「各教科等」という言葉があったり、あるいは「各教科」という言葉があったり、あるいは「教科等」という言い方があったり、5ページの図のところでは「教科の」という言い方があったりということで、若干このあたりが領域と、あるいは教科横断的なところを含めた場合には、用語の統一を図る必要があるのではないかと感じた次第です。
  3点目は、資料2-1についての御意見が、この間多かったように思うのですけれども、資料3-1との関連でいうと、資料2-1と資料3-1の関連はどのようになるのかということで、資料2-1の中にも、本来評価の議論というものがあってしかるべきではないか。アクティブ・ラーニングが活動に終始するのではないかという懸念は、場合によっては授業改善の要となるのは学習評価なわけですので、そこは関連性ということにもなります。あるいは3-1の学習評価の改善の中にも、実はそれに対応する新しい学習指導の方法というところを加味していく必要があるのではないかということで、2-1と3-1の関連性についても、是非書き加えていただきたい。
  さらには、3-1、学習評価の改善に関する考え方のポイントの2ページの丸の二つ目です。指導要録について書かれているところなのですが、指導要録が基本的には学習者あるいは保護者に対して開示されることはあまりないわけです。アクティブ・ラーニングとの関連で私が最近考えているのは、通知票に代表される教育評価、学習評価というものは一種のコミュニケーションであろうと。そうなってきたときに、教育評価や学習評価の説明をどのように保護者等に行っていくのか。それが自らの学習状況やキャリア実現を見通し、振り返ることができるようにするための仕組みの在り方というところにもつながってくるのではないかと思いますので、御議論いただければと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。根津委員から3-1についても言及がございましたが、これからそちらに議論を移していきたいと思いますが、その前に、宍戸先生どうぞ。
【宍戸委員】    済みません、1点だけ話をさせてください。アクティブ・ラーニングを通して見方・考え方を育てていくということが今回主張されるわけですけれども、障害のあるお子さんとか、何らかの支援の必要なお子さんを考えた場合には、見方・考え方を育てるという視点が強くなり過ぎますと、もしかすると、その子が持っているその子本来の見方や考え方があるかもしれない。そのことをきちんと教師側が気付くとか、周りの人間が気付いて、それで見方・考え方を大事にしながら育てたい力として先を考えていくことも必要ではないかと思いますので、育てることも大事だけれども、待つ、気付く、見取るというところが必要ではないかと思いました。
【羽入主査】    市川委員、どうぞ。
【市川委員】    藤田先生に指摘されて、私も訂正しておきたいと思います。先ほど言いたかったことは、アクティブ・ラーニングというのが一つは内容理解とか、探究を促進するという、かなり内容面を促進する手段となるということと、もう一つは、アクティブ・ラーニングをすること自体がコミュニケーション力であるとか、そのような広い意味での資質・能力を育てるということにもなっているということで、それ自体が目的という言い方は間違ったので訂正したいと思います。アクティブ・ラーニングをすること自体が目的だというのではなくて、手段なのですけれども、手段のターゲットとしているものが内容的な側面なのか、より広い資質・能力なのかということであって、それも手段ですので、先ほどの「目的」という言葉はよくなかったと思いますので、訂正させていただきます。
【羽入主査】    ありがとうございます。先ほどお名前が出たときに、市川先生に御意見を伺おうと思っておりながら、先に進めてしまって失礼しました。
  アクティブ・ラーニングの資料2-1について御意見頂きましたので、これを反映させていただくことにしたいと思います。その際に、幾つか注意しなければいけないことがあろうかと思いますが、細かい表現の統一性、整合性については当然のことでございますけれども、考え方として三つぐらいあるかなと思いました。
  このアクティブ・ラーニングということを通じて教科を横断するという、その意図が伝わるようにしていただきたいということです。
  それから、ここには言語活動ということでまとめられていますけれども、それは単に言葉の問題というだけではなくて、様々な表現形態を考慮していただきたいということがあったかと思います。
  それから、アクティブ・ラーニングが今、市川先生が最初に御指摘くださいましたように、それは目的化しないということが重要であるということは当然なのですけれども、委員の皆様がおっしゃっていたのは、学びに対する架け橋、きっかけになるものになることが必要だということ。あるいは、ここで成長という言葉が書かれていることに御意見がありましたけれども、そもそもそれを通して成長するというのは、どういうことかということも議論しなければいけないことである。
  そして何より、子供たちがそれによって主体的に学ぶ意欲を持つためのものであるということが必要かと思います。その際に、最後に宍戸先生御発言いただきましたけれども、主体は子供たちなのであって、子供を見る視点というのも常に持っていなければいけないということは、これはアクティブ・ラーニングのみならず、教育課程全体の中の問題かと思いますが、そこも御指摘いただくようにと思います。
  そのようなまとめでよいですか。まだいろいろ御意見ございましたので、事務局の方で反映させていただきたいと思いますし、また、先生方、委員の皆様、お気付きの点は、どうぞ具体的に事務局の方にお伝えくださいますようにお願いいたします。
  それでは、3-1の方に議論を移したいと思います。3-1について御指摘いただきたいと思います。先ほど根津委員が既に少し御意見おっしゃってくださいましたけれども、議論の過程で、2-1の方に反映させるべきこともあろうかと思います。
  藤田委員から、どうぞ。
【藤田委員】    恐れ入ります。ありがとうございます。非常に小さい点が1点と、あと、考え方について1点申し上げたいと思います。3-1の2ページ目の下の方、後半なのですけれども、キャリア実現という言葉があるのですが、これは成熟した用語ではないと考えます。キャリア形成、あるいはキャリア開発、あるいはキャリア発達、そのような言い方はございますけれども、キャリア実現という言い方は、少なくとも成熟した市民権のある用語ではないので、御検討いただきたい。これが小さい点で1点でございます。
  教えたいことは十分理解はいたしました。賛成でございます。この賛成の立場に立って思ったことなのですけれども、自らの学習状況を振り返る、そういった仕組み、先ほど根津委員がコミュニケーションという話がありましたけれども、子供たち自らが自分の成長を振り返り、自己評価をしていけるような仕組み作りということが、今後求められてくるのではないか。
  これは私、まだ十分提案できるほど頭の中が整理できておりませんけれども、幾つかの自治体では、キャリアノートですとかいう名称の中で、ポートフォリオを学校段階を超えて引き継いでいくような流れも出来ている。そのようなものを、経済的な評価も含め、あるいは子供たちの自己評価も含め、そのようなツールとする方策ということも今後検討する必要が、ここに示唆されているのではないか、そう感じたことを1点申し上げたいと思います。
  以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。先ほどの関連でも結構です。
  それでは、奈須先生。
【奈須委員】    少し細かいことになるかと思いますけれども、学びに向かう力、人間性ということをどう評価するか、難しいことだと思います。いわゆる情意とか態度の評価です。でも、今回の論点整理の中で議論されていることとして、これが興味とか関心という言われ方をしてきたのに対して、意思というような表現が出てきた、これは実はかなり重心をずらしているのだろうと思います。これはこの間の心理学等の研究の中で、情意とか態度といわれていたものが、何か変えようのない性格特性のようなものではなくて、十分に教育的に開発が可能なもの、とりわけ認知的な、あるいは言語的な介入によって、正にものの見方・考え方です。意欲を持って取り組もうとか、物事に挑戦するとか、うまくなし遂げるということはどういうことか。あるいは自分の能力に関する理解のようなことです。一種のメタ知識のようなことですけれども、そのようなことを形成することで、それが結果的に好ましい情意とか、適切な感情の自己調整であるとか、粘り強く多角的に工夫をしながら問題解決に挑んでいく行動につながってくるということが、この間いろいろな研究であるのかなと思っています。
  その意味では、観点という話ではないのですけれど、主体的に学習に取り組む態度の中に何か情意的なものだとか、行動傾向であるという見方だけではなくて、それを支えているのは思考であったり、言語であったり、あるいは自己に対する知識や、人間に関する理解であるということを少し入れていくと評価しやすくなるのではないかと思っています。
  例えば、マインドセットというようなことが、このところいわれていて、人間の能力というのは不変にして変わらないものだというマインドセット、構えを持っている人は、どんどん失敗になったら落ち込んでいくし、自分がだめだということになっていくのですけれども、人間の能力というのはどんどん拡大して変化していくものだというマインドセットを持っていると、失敗というのは次に何をすればいいかという情報を告げてくれることになるし、万事において前向きになっていくのだという研究が、このところ動機付けの研究の中でありますけれど、つまり認知や言語的な知識、理解が、情動や行動を規定するという一種のモデル、それが全てというわけではないのですけれど、そのような枠組みの中で、学びに向かう力ということを考えることが、今回一つ追加的に大事かなと思っています。
  そう考えることで、この後にありますけれども、挙手の回数とか、ノートの取り方というようなことにはおよそならないだろうし、逆に何を育成していくことが主体的に学習に取り組む態度や力を育成することにつながるかということの青写真が、もっと正確に見えてくるのではないかと考えております。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    評価についてですが、今、我々がやっているのは、学習指導要領の構造の中での評価ということ、ここを外しますと、要するにこの学習指導要領の中の評価という概念を統一しておかないと、それぞれの評価という言葉自体が持っている評価観の中で評価をどうしても語ってしまう。
  例えば、気を付けなければいけないのは、授業の中で子供たちを学習プロセスの中で育成していく、そのような場面の中で伸ばすという評価、それと資質・能力をどのように育成していくか、その、ある意味での到達点を評価の現れとして見ていくということと、そこでの評価観の違いが大変重要になってくると思うのです。
  例えば、先ほど藤田委員がおっしゃいました、自己評価、相互評価というのは、現行の中での学習活動として位置付けられている言葉であり、例えば現在の学校の授業などを見ますと、自己評価、相互評価そのものをもって評価に当てはめていくという事例も出てきていますので、評価という言葉を、きちんと学習指導要領の構造にある評価という言い方で押さえておかないと、様々な評価の視点が出てしまうので、このあたりは相当気を付けてかからないといけないのかなと思っています。
【羽入主査】    ありがとうございます。髙木先生、もし、その点から考えて表現を具体的に変えた方がよいのではないかということがございましたら、後ほどでも結構ですので、御提示いただければと思います。
【髙木委員】    原則的には今回の3-1に出てきた評価というのは、私はこれまでの平成13年から積み上げてきた観点別評価、目標に準拠した評価の中の観点別評価が発展的に非常に整理されて出てきたとは思っています。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、鈴木委員。
【鈴木委員】    資料3-1の1ページ目の真ん中にあります、資質・能力の三つの柱のうち、知識・技能における知識についてはというところですが、その一番最後のところに、各教科の特性や発達の段階に応じてどのような知識・技能を獲得することが求められるかを明確にできるように工夫することと書いてあります。もちろん、これはそのとおりなのですけれども、これを知識・技能ではなくて、思考・判断・表現についても全く同様であるということが抜けているのではないか。その方が、どちらかといえば重要ではないか。知識・技能で強調するならば、思考・判断・表現も、発達の段階に応じてどのように獲得するかを明確化できるように工夫することというのが是非とも必要ではないかと思っております。
  それから、先ほど藤田委員がおっしゃったのですが、キャリア教育や自己学習のコントロールというようなことに関しては、一度イギリスでレコード・オブ・アチーブメントというものの国家版の、国レベルのナショナルレコード・オブ・アチーブメントというものを作ってみたのですけれども、学習目標の設定や、自分の学習活動のコントロールを目指した一種の評価の方法なのですけれど、余りに負担が大きくて、2000年頃まではやっておりましたけれども、大変時間が掛かって難しいということで、やめてしまったという事例があります。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  梶委員。
【梶委員】    資料の3-1の学習評価の改善に関する資料を拝見し、またこれまでの議論を伺う中で、学校では、今回「論点整理」で示されたアクティブ・ラーニングの導入や、3観点など新たな学習評価への対応ということで、まさにカリキュラム・マネジメントを有効に機能させていくことで、不断の授業改善を進めて対応してことの必要性を認識し、それらへの対応をこれから検討していくことを期待しているところです。
  資料3-1の最後にございますけれども、三つの観点が示されています。前回にもお話をさせていただいたように、小・中学校と比べて高等学校は幾分この観点別の評価の取組、また理解やスキルといった点で学校間の温度差があるという状況は文部科学省の調査でも明らかなところではありますけれども、今の現行の四つの観点で、関心・意欲・態度については、ほかの三つの観点と関連付けを図りながら、評価の取組が具体的に進められているという状況にあり、神奈川県でも、県立高校では、この三つの観点が論点整理の中で示されたことで、早速、先行的に研究しはじめた学校も伺え、それらの取組を見ていますと、主体的に学習に取り組む態度を、知識・技能、あるいは思考・判断・表現と関連付けを図りながら、単元のまとまりで指導と評価の計画を立て、試行実践を通じて、具体的に取り組んで行けるという自信を持った見方も伺え、四つから三つに観点が改善されても、しっかり教職員に実践事例を示すなどすれば、円滑に進むのではないかと期待できると見ています。むしろ、こうした学校の取組を支える点で、教育委員会など指導行政の役割と指導のあり方が重要であると考えています。
  それで、この資料の中の2ページ目、これも前回お話しさせていただいたように、丸の下から二つ目、指導要録の在り方です。現在、高校の通知表も、教育委員会の指導や学校の工夫によって様々なタイプがあります。その中で、観点別の評価については通知表に欄を設け、高校においてもABCの三段階の記載をしています。通知票に観点別の評価を記載することで、生徒や保護者に説明する際に、観点ごとに学習状況についての理解を図り、また努力を要する観点について今後の学習改善を指導する拠り所となっています。通知票に観点別の評価を記載しているものの、高校の場合、現状、指導要録には観点別の記載が様式の点からも示されていません。指導要録の書式について検討を図り、高校においても学校での授業実践を通じて評価を行っている観点別の記録も、指導要録に残す方向で検討していく必要があると考えます。
  それでもう一つ、1ページ目にお戻りいただきまして、下から二つ目の指摘事項の中で、主体的に学習に取り組む態度としての観点別学習を通じて見取ることができる部分ということで、マル2の観点別評価や評定になじまず、こうした評価では示しきれないことから個人内評価というところでございます。学校の今の生徒の状況を見てみますと、本日の会議でも、校種間の連携、接続ということ、天笠委員からも指摘されていた部分ですけれども、たいへん重要であると考えております。中学校サイドでも、小学校までの学びの定着、学び直しの必要性が、中学校の教科教育の段階でも出てきます。また、高等学校においても、学習指導要領の総則にもございますように、学び直しが入っているということを考えると、特に生徒個々の状況を見ると、個々の状況に応じて個人内評価を生かして、まさに生徒の学びの意欲や関心を高めながら、確かな学力の定着につなげていくということで、重要な取組みであると考えます。様々な課題を抱え、支援を必要とする生徒への対応として、発達障害の生徒など、こうした個人内評価を十分に生かしていく取組などが、学校として教職員全体のスキルアップをしていく必要があると実感し、そのような思いで資料を見せていただきました。
  以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  次、天笠先生。
【天笠主査代理】    観点別評価についてということについて発言させていただきますけれども、1ページの五つ目の丸、ここに書いてあります、毎回の授業で全て見取るのではなくて、単元(題材)を通じたまとまりの中で指導と、それから評価等を適切にデザインしていくという、正にこの重要性ということなのですけれども、先ほどの御発言もありましたように、これは今回出てきたのではなくて、ある意味では長年目指してきたところだと思います。
  そのような点で、学習評価の改善ということを議論していくに当たって、現状をどのように捉えるか、そこをしっかり押さえた上で在り方を議論していくというのが非常に大切なのかなと思います。
  そうしたときに、幾つかの層があるかと思っています。学習評価に関して非常に先端的な取組でとか、実践事例ですとか、あるいは学会等の発表というのは割とそのようなことに出会うときがあるわけです。
  片や、観点別評価というときに、これ自体が果たしてどれほど定着しているのかどうなのか、浸透しているのかどうなのか、そのような視点。確かにいろいろな調査等々を見ると、このようなことについては、ある意味では一般的になっているのだというデータが出てくることが、これまで少なからずあるわけで、それを見る限りにおいては、もう改めて留意することと柯、このようなことよりも、これを前提にした上で、以下改善の在り方ということへの展開があるのだと思うのですけれども、私の実感としての認識は、まだまだここのところが、質的なものを含めて、行き切れていないのではないかという思いに駆られるときが少なくないのです。
  確かに先端的ないろいろな学校評価など、それはそれで非常に意味があることだと思うのですけれども、どのように底上げをしていくのか、あるいは全体的な学習評価に関わっての水準の維持、そちらへの目配せというときに、この観点別の本時中心ではなくて、単元、題材の構成の中で評価の在り方を考えていく。これは随分前からいわれている、指摘されていることなのですけれども、その定着をどのように図っていくと、そのあたりのところがしっかりと担保できるのかどうなのかということも、この改善の検討の中には位置付けておく必要が、私の認識では、まだあるのかなと思っていて、今回そのあたりのところをしっかりと超えていくような取組として、ここのところに位置付けて検討することは、課題上の位置付けとしてあるのかなと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  一つ質問なのですけれども、2ページ目のところ、先ほど根津委員からも御指摘がございましたけれども、指導要録の在り方について専門的に検討するというのは、これは検討の場所はどこですか。
【大杉教育課程企画室長】    大きな方向性については、この場で御検討いただきまして、実際どのような体裁にしていくですとか、構造にしていくという具体的な在り方については、恐らくもう少し作業的なワーキングを作っていく必要があるのではないかと考えています。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、無藤先生。
【無藤教育課程部会長】    この3-1の方向、私は非常によい方向だと考えているのですけれども、幾つか新しい、これまでの議論をより明確にした部分があるわけだと思います。一つが、知識・技能について、構造化された概念的な知識というものをきちんと見ようという話と、それから思考力などについては明確に書いてないので、それは必要だと思うのですけれども、それについては鈴木委員が御指摘だったと思いますけれども、大分以前の教育課程部会の報告書はお手元にあるのですけれど、見たい方は37ページですが、その中に、思考・判断・表現に関わる能力について、学年単位ではなくて、長期間を掛けての成長のレベルを幾つか想定して評価規準を設定していくことが大事で、それを研究してほしいというように書いてあるのです。要するに、この時点ではまだ明確にはできなかったということなのですけれど、そろそろそれを実際に組み込まないと、思考力を育てるのができないのではないかと思います。
  それと絡んで、多分パフォーマンス評価のようなものも具体化する必要があります。
  3番目が、今日出てきた、主体的に学習に取り組む態度で、これも最後のところで子供が学習の見通しを持ち、学習したことを振り返る場面というもので見ていこうという、非常に重要な指摘があると思います。
  今後なのですけれども、その三つをどのようにしたらいいかということが、今後、学校現場などでも議論が進むと思いますけれど、二つ、私としてはお願いがあります。一つは、この総則部会の資料として、それに関連する実践例とか研究例、国内にあるもの、それから鈴木委員はよくオーストラリアやイギリスの例も紹介していたと思うのですけれど、そのようなもので適切なものがあれば、何か資料として出していただけると、議論が具体化すると思います。
  2番目は、将来的な話ですけれども、指導要領なり総則に書く範囲としては、評価はこうだというような、この程度の言葉でしか書けないと思うのですけれど、これまでも要録との関係もありつつ、指導資料のようなものとして具体的な評価規準のようなものを、国立教育政策研究所の方で出してきたわけです。それについて早目に準備して、具体的にはこう出来ると、こうしなさいという意味ではないけれども、このようにも出来るし、あのようにも出来るということを出してほしいと思います。
  というのは、それぞれの三つも各教科ごとに、また各学校段階ごとにきちんとやろうとしたときに、膨大な作業が必要で、国立教育政策研究所にも是非お願いしたいですし、同時に、全国の教育委員会や様々な専門の研究者が、正に一斉に検討していくと思いますが、スタートとして具体的なものが見える必要があるということで、お願いでございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    先ほど学習指導要領の構造化の中での評価ということを申し上げました。それは実は前回のこの会のときに、学習指導要領の内容と評価について少し発言しましたが、そこでどのようなことを申し上げたかというと、学習指導要領の内容の指導事項そのものが、評価の内容になる。要するに、学校の先生方は今、例えば目標とか、身に付けさせたい力というものを指導案に挙げてまいりますが、それが学習指導要領の内容をそんたくしながら、目の前にいる子供たちの現実に合うように書き換えてくるわけです。そうしますと、かなり指導要領の内容とのずれが生じる場合もあったりしますので、今回、できたら指導要領の内容、特に指導事項の項目に、例えばここに書かれている知識・技能であるとか、思考・判断・表現という項目については具体的な内容、先生方がそのまま、言い方は非常に悪い言い方になりますが、コピー・アンド・ペーストできるような内容できちんとものを示していただく。それによって先生方は単元の指導がしやすくなる。
  その際に、例えば今まで御議論いただいていたような知識・技能や思考・判断・表現、更に言えば、今日示されている主体的に学習に取り組む態度、この3観点はトータルに一つの単元の中で見ていくという構造化をすれば、私は実は、国研が今出している児童生徒の学習評価の在り方についての指導事例集が、要らなくなると思っています。逆に、あれがあることによって、学校の先生方は、ある意味での混乱を起こしており、一つの事例をきちんと示すことによって、それをきちんと具体化して授業をしていくという方向。幾つもいろいろな評価の仕方や評価の在り方を示すことによって、それは視野が広がりますし、大変意味のあることだと思っておりますが、できるだけシンプルな形にしておいた方が、学校の先生たちの今の忙しさの中でいえば、非常にやりやすくなっていくだろう。
  だからこそ、逆に言えば学習指導要領の内容や構造が、今回大変私は大きく考えなければいけない、重要に考えなければいけないことであるので、その学習指導要領、又今日も議論がありましたが、各教科との間で内容の往還ややりとりや評価の間のやりとりを、この部会でやりながら固めていくという方向が、今回は非常にいいのかなと思っております。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  市川委員、お願いします。
【市川委員】    少しずれたことを申し上げるかもしれないのですけれども、今回の資料3-1については、私はこの方向ですごくいいなと思っています。また、これまでの4観点というのも、この3要素に整理していって、ある種の簡素化を図る。
  ただ、この話は学習評価といっても、あくまでも外から先生は子供をどう評価するかという話なのです。今回、これだけ主体的な学びとか、見通す力とか、振り返る力ということが出てきていますので、自己評価ということをもっとどこかで書き込めないかという気がしています。
  私は究極の評価は自己評価だと思っているのです。先生からどのような評価を受けようが、結局それを自分が情報として受け取って、自分の学習をどう改善していくか、そして出来ぐあいがどうであったかということを自分で評価して次に生かす。今PDCAサイクルという言葉がよく使われますけれど、教師がPDCAをするだけではなくて、各学習者が自分でPDCAを回す。それが自己調整学習ということだと思っています。
  そのときに、例えば実践例としては、総合的な学習の時間などではふだんからポートフォリオを自分で充実させていって、ひとまとまりの学習をしたときに自分で自分を評価する。それを先生とも突き合わせながら、それを基に対話しながら、先生と一緒にこれからの改善を考えていくというような実践があります。
  それから、これは本当に一人の特別な先生なのですけれども、通知票を自分で作らせるという実践があります。自分で自分の通知票を1学期のことをまとめて自分で書きましょう、所見欄なども自分で書くのです。ただ、それもやりっ放しにしないで、先生もそれを見ながら一緒に先生と対話をしながらというような実践をしている先生もありました。
  今回、自己評価、これをどう促すかということと、それをどう使うのかということは検討の余地がかなりあると思いますけれども、とにかく主体的な学びをするというからには、人から評価してもらうというだけではなくて、それはあくまでも情報である、自分でそれをどう生かして学習を回していくかということにつながるような自己評価を促すということが何らかの形で、今回は特にこれだけ主体的な学びということを言っているのですから、入ってくるといいかなと思った次第です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  それでは鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】    今、市川委員がおっしゃっていました自己評価の件ですが、先ほど藤田委員の御意見にも関連したことですけれども、イギリスでやっていたレコード・オブ・アチーブメント、及びナショナルレコード・オブ・アチーブメントは正に自己評価が出ておりまして、そのような方法もあり得るとは思います。
  ただ、その内容によっては非常に負担になるので、非常に簡略化しなければいけない。例は、そのような例があります。
【羽入主査】    ありがとうございます。資料3-1につきましては、個別に御指摘をいただきましたので、それを反映させていただくようにお願いいたします。その際に、基本的な考え方としては、髙木委員がおっしゃっていましたけれども、指導要領というのは私たちが縦横に構造化するということを考えてまいりましたが、その指導要領の中で評価が示されるような、そのような方向で各評価を考えていただきたいということが、一つあろうかと思います。
  それからもう一つは、評価の水準を考えていくということも、新しい視点としては重要ではないかと思います。
  そのようなことで、3-1についてはよろしいですか。
  それでは、残りの時間が余りございませんけれども、今日の議論を踏まえてでも、あるいはそれ以外のことでも、これからまとめていくに当たって、あるいはワーキンググループの皆様から状況を伺うに当たって考えておくべきところ、あるいは、全くそれらとは関わりなく御発言いただければと思いますが、竹原先生、今までのことでも、どちらでも結構ですので、お願いします。
【竹原委員】    前回お休みをさせていただきまして、今キャッチアップをしていました。そして、この一、二か月で皆さんに御報告したいのですけれども、相次いでいろいろな相談を受けました。それは福祉分野の方たち、それから産業界の方たち、農業関係者、本当に立て続けに、二、三日おきに、学校と今までいろいろなことをしていたけれども、今後どうしたらいいかと思っている、次のステージは何だろうかというようなことです。本当に皆さん同じことを考えていらして、この部会の動きとか、教育課程のことを御存じない方が動き出しているというので、御報告したいと思います。
  例えば福祉部門では、小学校でこのような出前講座をしています、中学校ではこのような体験活動を提供しています、それからキャリア教育も高校、中学でしていますということだけれども、ある先生が、ある学校が動いているだけではなくて、これは学校と自分たちのフィールドでどうつながれるのかということを、既に地域は考え始めているということです。
  例えば、小学校3年生がまち探検に、ある先生は来るけれども、隣の教室の先生は来ないとか、次の学年では、もう来ないとか、次の年には来ないとか、そのような今の状況で、それではないだろうというのは、現場でキャッチをされています。そのときに、どの教科にも共通して、社会に開かれたつながりをどう作るかというプロセスを、もう1回ここの総則で提案しておかないといけないのではないかと思っています。
  いかに実現するか、そのプロセスで、どのように社会に開かれた教育課程が出来るのかということを出していったらどうかと思っています。それがアクティブ・ラーニングの一つの場面であるかもしれないと感じています。
  そのときに、社会総がかりで地域とともにある学校というので、今随分コミュニティスクールも各地で広がりつつあるのですけれども、教育の理念とか教育課程の方向性を、教育関係者だけが読むのではないということ、そしていろいろな立場の人がそれを理解して、よりよいプログラムなり教育を提供しようと努力している。毎年キャリア教育を受けている人たち、職場体験を受けている人たちは、社内会議をし、プロジェクトチームを作り、そしてどうしたらいいかということを本当に考えてくださっているところもあります。そのような方たちにもメッセージがきちんと届くように、この総則は読まれると思います。各教科ではなく、多分総則が読まれると思います。
  そのことを教育関係者はみんな自分たちだけが読むのではなくて、社会のあらゆる立場の人が読むということも、この総則で書いておかないと伝わらないのではないかと思っていますので、今回検討の(3)の中に社会とのつながりというので、別立てであるのですが、実はこれは全体につながるのではないかと思いながら、私は今おります。
【羽入主査】    ありがとうございます。今、御指摘のように、論点整理をしている際にも、広く読まれることを願って書きましょうということでございましたので、それが実現するように引き続き努力しなくてはと思います。
  鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】    前回の指導要録の議論のときも申しましたが、10年たっていませんが、言わせていただきたいのですが、観点、先ほどの三つの柱で整理するのはもちろん結構なのですけれども、個別の問題がいろいろありまして、外国語が同じ言語活動にもかかわらず、国語は書く、話す、聞くで1観点、書くで1観点、読むで1観点なのに、外国語に関しては外国語表現の能力で一つ、外国理解の能力で一つ。同じ言語なのに、観点の分け方が異なっておりますが、本当に外国語の部会はこれでいいのかどうかということを考えていただきたいと思います。
  同じような問題は、小さい問題ですが、これも大きな問題かもしれませんが、資料6-1の学習評価の改善に関する主な論点の4ページ目に、教科の特性によって観点の具体的な表現や内容は多少異なるということが、そこに指摘されておりますけれど、この点も各教科もう一度よく考えていただきたいと思います。
  一番大きい問題は、外国語が今の観点で本当にいいのかどうかということです。その他の教科でも、細かな点で多少のバリエーションがあるのではないかと思います。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  ほかに委員の皆様、どうぞ。
【野津委員】    私からは、技能ということでございます。アクティブ・ラーニングのところにおきましても、学習評価というところにおきましても、一歩踏み込んで書いているのは知識でとどまっていて、技能ということをもう少し具体化した形で書き込むようなことをお願いしたいと思います。
  もちろん各教科のワーキングの中で、その教科独自の特質に応じたところでの技能にについては議論されていると思いますが、技能に深く関わる教科で共通するところについて、ここの総則・評価に是非書いていく必要があると思います。
  例えば、知識に関しては、構造化というようなことが評価のところの1ページ目の丸の真ん中あたりにあり、事実的な知識のみならず、概念的な知識の獲得などという表現が見られますが技能に関しても構造的に習得をしていくというようなことがあろうかと思いますので、そのような視点での書き込みが必要ではないかと思っております。
  よろしくお願いします。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、梶委員、今村委員。
【梶委員】    フリーなテーマということなので、総合的な学習の時間と特別活動のところの分野、ここの分野に少し着目させていただきます。まず、キャリア教育についてです。現行の学習指導要領にキャリア教育が明記されているとおり、生きる力の育成にとって、これからも一層重視していく必要があるという立場で発言させていただきます。
  その中で、今回新科目として「公共」が検討されている中で、キャリア教育も大きく構造上の変化が出てくるのではないかと考えています。キャリア教育にとっても新科目の「公共」のあり方、18歳選挙権なども含めて、これからの現代社会を生きる上で基幹的な科目として位置付く一つの要素でもあり、キャリア教育全体の構造上の課題も出てくるのかなと考えています。
  また一方で、キャリア教育にとって教科横断的に、アクティブ・ラーニングを生かして資質・能力を育てていく上で、これからの総合的な学習の時間のあり方として、生徒自ら課題を発見し、課題を解決するという学習活動をここの時間をあてていくという方向になると考え、改めてその位置付けを明確にしていく必要があると思っています。
  現在、学校では、とりわけ中学校や高等学校に注目すると、キャリア教育は総合的な学習の時間を中心に展開している実態があります。その中で、キャリア教育に含まれる進路指導の部分については、本来、特別活動で行われるところですが、その切り分けがどうもうまくない状況が伺えます。総合的な学習の時間において、キャリア教育の視点を含めた課題学習をしっかり実施していく上でも、進路指導の位置付けを改めて明確にして、今回の総則の中で整理をしていく必要があると考えます。総合的な学習の時間を有意義な活動の時間とし、併せて特別活動の役割を明らかにして各学校で実施していく上でも重要な視点と考えております。
  次にお話したいのが、特別支援教育の分野です。以前に特別支援教育の部会の方から、また宍戸先生からもお話をいただいたところです。現在の高等学校の状況の一部となりますがそれをご説明すると、中学校から高等学校に入るときに、高等学校では入学者選抜がございますので、それを経て入学し在学している状況にあります。障害のある生徒については、肢体に障害のある生徒、また発達に障害のある生徒など様々な状況が伺えますが、近年、発達障害の生徒の状況を見ますと、たいへん多様となっております。そうした支援を必要とする生徒につきましては、従前、高等学校の学習指導要領の記載に基づきまして、個別の教育支援計画あるいは指導計画により、個々に応じた指導や支援を適切に行っている現状がありますが、今後益々より一層個々の生徒の状況に応じたきめ細かな対応が求められると実感しています。その意味でも、これから、そうした計画をしっかり作成でき、指導できる教員の資質や能力、とりわけ指導に必要な知識とスキルの育成や向上が必要になってまいります。今回の学習指導要領の改訂にあたっては、幼稚園から高等学校まで、連続性のある特別支援教育の展開と各校種における教育機会の提供・充実に向けた記載内容が必要であると考えます。今回の指導と評価の面を検討していく上で、障害のある生徒など、支援を必要とする生徒への指導や評価のあり方についても検討していく必要があると考えています。
  また、本日、文部科学省の方で御用意をいただきましたが、神奈川県では今年の1月に、平成28年度より12年間にわたって取り組む県立高校改革の実施計画の資料を参考に少しお話させていただきますと、全体の計画の中の15ページに、本県で取り組む高校におけるインクルーシブ教育について紹介させていただいております。
  県立高校全体では、すでに発達障害の生徒など支援を必要とする生徒への教育にも取り組んできたところであり、今後はさらに知的の障害のある生徒への高校での受け入れにも取り組んでいくことを計画し、こうした生徒の高校での学習機会の拡大に取り組んでいきます。
これは特別支援学校の地域センター機能や外部関係機関をも活用しながら取組を進めていこうとするものです。高等学校の場合、小・中学校のように、通級指導や特別支援学級ということが学習指導要領の中に記載されていませんので、通常の学級に在籍して教育を受けるところとなります。この他、外国につながりのある生徒についても、県立高校での受け入れを拡大するなどして、きめ細かく指導や支援を行えるよう、今回の改革では計画をしております。今後の検討の参考に本県の改革計画を御覧いただければと思います。
  以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、今村委員、どうぞ。それから根津委員。そこで藤田委員もですが、では、恐縮ですが、一言ずつでお願いします。
【今村委員】    分かりました。私からは、キャリア教育という観点で、今回の教科ごとの検討の資料の中で、キャリア教育の中核機能という言葉が公共のところに記載されているのですけれども、論点整理の議論の中でずっと話題になっていた、全ての教科はキャリア教育を担っているのだという、教科の中でこそ、思考力、判断力というものそのものがキャリア教育としてすごく重要なものなのだということを、先生方がきちんと理解できるように、総則の中では先生方がその観点を持って生徒と接していただけるような記載をしていただけたらと思いました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、根津委員。
【根津委員】    部活動についてなのですけれども、教育課程全般のバランスを見たときに、特別活動との絡みもあり、具体的に記入することは難しいかと思いますが、現行学習指導要領で、部活動についての記載は中学校と高等学校で寸分たがわぬといいますか、同じ扱いになっています。特に中学校については公立が非常に多いということもございますので、義務教育での部活動の在り方というものは、若干高校と表現を変える必要があるのではないかと考えます。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、藤田委員。
【藤田委員】    時間が限られておりますので、十分な説明はできませんけれども、梶委員からも今村委員からも御指摘がございました、キャリア教育の点でございますが、まず今日の資料1の63ページの公共の説明のところで、キャリア教育の中核機能として特に経済的主体となる私たちというところがあるのですが、これは若干誤解を招く表現なのかと。いわゆるライフウォールを全て包含するものとしてのキャリアですので、政治的主体であったり、あるいは家庭での役割であったり、そのようなものを含んでいくキャリア教育の位置付けというのは、平成23年の答申以来継承されているかと思いますので、その整合性を図っていただきたいということが1点でございます。
  それから、先ほど特に梶委員から御指摘があったところですが、新しい公共、仮称ですが、公共と、それから特活、総合との関係ですが、公共又はその他の教科は、中心としては何を知っているか、何が出来るかというところになってくるかと思います。それがどのように世界と関わっていくか、よりよい人生を送るかというところに軸足を置くものが、恐らく特活になっていくのだろう。
  総合の扱いですが、総合は各学校で目的や内容を決めていくので、ここをどのように続けるのかということは極めて難しいだろう。ただ、先ほど正に梶先生が御指摘だったとおり、総合が探究的なアカデミックな学習活動であるにもかかわらず、いわゆる特活との変わりがないような扱いになってしまっているところが見て取れる。それについては是正を求めていく必要があると感じました。
  以上でございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。貴重な意見を頂きましたが、恐らく先生方、まだまだ御意見があろうかと思いますので、どうぞ事務局の方にお寄せいただきたいと思います。
  改めまして、今日出た御議論がそれぞれのワーキンググループに又反映されるかと思いますが、当初ここで考えておりましたように、縦と横の連携、つまり教科間の連携、それから学校種というよりも、発達段階を超えた連携というのが図られるべきであるということを改めてお伝えいただければと思います。そのために、カリキュラム・マネジメントという言葉を適宜私たちは使ってまいりましたけれども、そのような意図で改めて御議論いただきたいとお伝えいただきたいと思います。
  それでは、少し時間が過ぎておりますけれども、議論はここまでにさせていただきまして、次回以降ワーキンググループの検討状況を伺うことにいたしますが、では、今後のことを事務局からお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございました。次回3月14日、13時から15時半の開催、本日と同じ第二講堂、こちらでございます。主査から冒頭お話しいただきましたとおり、3月14日、それから4月4日を予定しておりますけれども、2回にわたって各教科等別ワーキングからのヒアリング的なことを実施させていただきたいと考えております。
  また、本日の御議論、若しくはそれ以外に関しましても御意見ございましたら、ペーパーでもメール、ファックスでも構いませんので、事務局までお寄せください。
  また、本日の資料、机上に残しておいていただきましたら、後日郵送にてお届けいたしますので、よろしくお願いいたします。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  それでは、長時間にわたりまして御協力いただき、ありがとございました。これで本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。

──  了  ──

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