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理科ワーキンググループ(第2回)における主な意見

1.理科を通じて育成すべき資質・能力について

(1)理科を学ぶ本質的な意義や他教科との関連性について
○よりよく豊かに生きるために理科が必要だという思いを心の中で思いながら授業をしている。

○自然の不思議さとか、面白さとか、そういうものを伝えたい。こういうことを知識として持っていたら、豊かな生活になるということを伝えたい。また、社会に出て、いろいろな人生を送っていく中で、未知の課題が出てきたときに、観察・実験を通して得てきた課題を解決していく能力というのは、そこできっと発揮されるのではないだろうかという期待も持ちながら、授業をしている。

○何を理科として残していきたいかと言ったら、地球が平和で存続していくようなものであってほしいなと、それを強く思うようになった。だから、理科は科学の必要性とか、そういうことも年代を追って最終的に地球人として、生きていく者として必要なのだということを大事にするようなものであってほしいと思っている。

○理科の教科書で扱われるような課題研究とか、そういうものだけに限らず、社会問題であったり、日常生活の中で種々、問題になるような小さなことも含めて、科学的に判断ができることというのが求められている。そういう資質・能力を身に付けさせていくということが理科に託されているのではないかなと思う。

○理科における資質・能力で必要なものと聞かれたときに、現行の学習指導要領にある問題解決の能力であるとか、探究する能力、態度が挙がるのではないかなと思う。

○理科の場合は高校が最終的に資質・能力の総仕上げになるが、課題を科学的に解決する力、これに尽きると思う。その際に非常に大事なのが、科学的な物の見方、考え方ということになる。

○子供たちが自然事象に働き掛けることを通して、実証的に考えるということ、根拠を基にして考えるということ、方法的に妥当であるか考えるということ、論理的に矛盾がないか考えることなどということが、特に大切にされていることだと思っている。このような科学的な見方や考え方を養ってあげることで、これから子供たちがコミュニケーションをしていく中で、ある程度意見が違っても、好き嫌いではなく、事実に基づく論理で話を進めていける態度ということも育成できるのではないかなと思っている。

○仮説を立てさせる、予想を立てさせることではなくて、自分の問いを何か現象でみんなに説明したいのだというために、実験・観察するというところまで追い込まないといけない。子供自身がアクティブ・ラーニングで言われているように主体的になるということは、自分はこんなことを説明したいのだ、こんなことをみんなに知ってほしいのだというところまで追い込まないと、多分どれだけ問題解決のプロセスを緻密にしても、私はだめではないかと思う。

(2)幼稚園・小学校・中学校・高等学校を通じた理科において育成すべき資質・能力の系統性について
○資質・能力論としては、どう考えなければいけないかというと、例えば小学三年生は比較とか、関係付けとか、条件制御という形で出てくるが、中学校でも分析・解釈というような、小学校と同等なものを出す必要はない。資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)で分かるように、中学校の一番最後に「例えば」と書いてある。中学一年生は、自然事象に進んで関わり、その中から問題を見出すという形の資質・能力レベルでよいのではないかと思う。中学校の場合は、小学校で扱ったものを統合的スキルとする方法が一つのやり方ではないかと思う。そういうふうに考えるならば、この資料4というのは非常にうまくできていると解釈した。


○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)に提示されたことは基本的には賛成である。その理由が三点あり、一点目が、小学校段階では、学年目標に位置付けられている比較や関係付けなどということは、問題解決の過程において、自然事象に働き掛ける視点として、かなり小学校理科では先生方に根付いているという点、二点目が、中学校の中では、特に分析・解釈という文言が独り歩きしているといった御意見が出されており、今回の資料4は、学び方の視点というつながりが明確に示されているという点、三点目は、小学校では、育成すべき資質・能力ということを、学習活動に埋め込んで意識して指導を行っている。何のために比較するのかとか、比較することでどのようなことが明確になるのかということで、比較すること自体が目的となっていたということがある。そういった点で、今回の資料4では、小学三年生で比較することに関して、問題を見出すことを育成することなのだということ、小学四年生で既習学習や経験と関係付けることは、予想や仮説を発想する力につながることなのだと。このように、何のために比較するのかということが明確に示されたことは賛成できる点である。ただ、比較ということが限定的に扱ってよいかどうかということは、今後、また議論の余地があるかと思う。

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)の各学校種の段階に、他者と協働して取り組む力というのを資質・能力に加えるとよいのではないかなと考えている。これは、社会人の学びも同様なことが言えるのではないかなと感じている。

○小学校で大事にしないといけないのは、「子供自らが主体的に問題解決をする力を付けるということ」「仲間、他者と協働して問題解決をしていく力を付けるということ」「探究することの面白さを感じる、そういう態度、心を身に付けるということ」「自然を愛するという環境保全の態度を養うということ」の四つが大切であり、こういった力を育成するには、教室を社会に開いていくということが非常に大事なことである。理科の学習内容を純粋に科学の系統性に沿って学ぶということのみではなくて、社会や生活と関係付けて構成していくということが大切なことではないかなと思う。

○小学校の先生は学びのプロセスというのはすごく大事にするが、知識やスキルに弱い傾向がある。科学的な用語や概念をしっかり理解するということ、数理的な力や算数で使ったことをしっかり理科で生かしていくということ、実験の操作や技能を身に付けるということが大事なのではないかと思っている。

○身近な自然や生活の中から問題を見出す力、これがすごく大事である。先生が「今日の課題はこれです」と黒板に貼って授業が始まるのでは、子供たちは理科の楽しさというのは味わえないのではないかと感じている。

○粘り強く課題を追究していく力、他者と協力して課題を解決していく力、学んだことの根拠を示して他者に説明する力、学んだことを使って、新たな課題に挑戦していく力、さらには、学びのプロセスや成果を振り返って、メタ認知できる力、そういった力が必要ではないかと感じている。

○学んだことを生活の中に生かしていこうとする態度、生命尊重であるとか、環境保全の態度、そういったことが大事なのではないかということを感じている。

○現行の学習指導要領解説で、小学校の各学年で位置付けられている、比較であるとか、関係付けたり、条件を制御したりしながら調べていくという力、こういったものが小学校の先生方に、特に理科の免許を持っていない方にも浸透していっているのではないかなという実感がある。これらの問題解決の能力というのが、比較をしたり、関係付けたり、条件に目を向けたりといった思考の方法というものが小学校の先生方にとって分かりやすいからではないかなと感じている。

○小学六年生になると、推論しながら調べるということが出てくるので、特に理科の免許を持っていない方が“はてな”になってくると感じており、分かりにくさというものがあるのではないかなと思う。資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)で多面的に分析・考察するという表現が小学校の先生方にとっては受け入れられやすいのかなと感じる。

○中学校で、資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)にあるように、小学校からの接続を意識して、小学校を基盤としながら、資質・能力の系統性というものを表現していくことは、分かりやすさに寄与するのではないかなと思う。

○小学校三年から理科の学習を始めて、三、四、五、六の四年間で小学校の内容をやろうとすると非常に厳しく、三年生の導入は緩やかでも、五年、六年になると急激に小学生にとっては内容が難しくなるので、初めは好きだった子が嫌いになっているのではないだろうか。徐々に科学的な物の見方が身に付くような科目に変えていく、緩やかに小学生に理科を学ばせていくことを考えてもよいのではないかなと思う。

○子供たちの中に、小学校から中学に上がると、理科が好きで理科が大切だと考えている子供の人数が減るということを考えると、なぜ理科を学ぶのかということを丁寧に、学年を追って盛り込んでいく必要があるのではないかと思う。

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)で人間生活への関わりへの理解というところが、もう少しはっきり分かる形で強調されてもよいのかなという部分と、将来の研究者、技術者になる子供たちにとってみると、非常に先端的な研究者の言葉がイメージされているのかもしれないが、まず科学的な思考力を付けることと、科学的に探究する態度と能力の育成ということが明記されれば、十分なのかなと思っている。

○高校理科では、必修科目があり、その次に選択科目があるが、多くの学校が学習内容の順序や取り扱いの程度の工夫に苦労しているというのが現状である。今、学校はそれぞれの課題に応じて、目の前の生徒に相応しい教育を展開しようと考えており、資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)の作りそのものが、非常にざっくりとし過ぎていて、生徒や学校が多様化している現状に対応しきれないのではないかという気がする。

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)で高等学校の基礎・応用・高度と三つ分かれているが、ここに書かれている力を養うということで、言葉は尽くされているのではないか。小・中・高と資質や能力が段階ごとに高まっていくような形ができていくとよいと感じた。

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)の高校の基礎の部分で、「根拠に基づく結論や意思決定を導き出すことができる力」が重要だと思う。言い方を換えると判断できる力、意思決定ができる力が重要で、そういう力を全員が理科の授業を通じて身に付ける必要があると思っている。

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)などで、「総合的な」という表現が、何を意図したものかが非常に分かりづらく、一つの科目を学ぶ中で総合的な物の見方が身に付くのか、あるいは必修の科目を複数する中で、総合的な物の見方が身に付くのかが明らかでないので、コメントしづらいということがある。

○プロセス順に課題を解決する力を見ていくと、まず課題設定能力。次に、その課題あるいは自然全体を偏りのない目で見る、観察する力。更には理科的な手段を使って調べる調査実験能力。そして仮説を検証する力。その次に、調べた結果を論理的に思考、判断する力。更には図、表、グラフによって表現する力、あるいは数式化する力。更にはモデリング、モデル化する力。最終的に、まとめた結果を人に伝える力、表現する力というプロセスをずっと辿ると、自分で課題を解決し、人に伝えることができるという一連のプロセスになろうかと思う。

○身に付けるべき資質・能力、課題を解決する力を構造化して折り込んでいくことが必要で、現行の学習指導要領を更に探究活動などを充実したものにする必要があると思う。

○理系に行くとか文系に行くとかに関わらず、資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)の全体に書かれているような科学的な知識や技能を使って、状況を理解して意思決定ができる資質・能力を身につけることが非常に大事だと思う。そのためには、科学的な知識や、あるいは世の中との関わりといったものも当然学んでいかなければいけないと思う。また、理科教員の専門性が確保されていることも重要だと思う。根底にあるのは、自然が好きであったり、世の中が好きであったり、人が好きであったりということで、そういう子供を育てていく必要があると思う。

○高等学校で、「現行の探究する能力と態度」はなかなかイメージしにくいのではないかなと思う。小・中学校を基盤とするような表現にするとしたならば、帰納、演繹、類推、こういった推論の形式というのを明確に扱うことによって、それを探究活動などの実験の中に埋め込んで扱うような表現というのが一つ分かりやすさに寄与するのではないかなと思う。教師が資質・能力の育成というのを意図して明確に探究活動の中で行っていく、その中に埋め込んでいく必要があるのではないかなと感じている。

(3)三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化について
○学習指導要領でうたわれているように、小学校では問題解決の能力、中・高においては探究の能力の育成ということになるが、自然の事物・現象への働きを通して感じた疑問、不思議だなという疑問を観察・実験で解決できる問題に作り替えなければいけない。資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)などにも、「自ら問題を見つけ」という文言にあるように、重要視されており、このことを忘れてはならない。

○実験などでの問いは、理科で扱う以上、科学的に扱える問いに変えなければいけない。問いの変換をきちんとするということがすごく大事であり、現場の先生方にメッセージとしてうまく伝えることが大切であると思う。そうすると、それぞれの学年の問いが少しずつレベルアップして、それに追随して能力も少しずつ伸びていくのではないかと思う。

○学習のプロセスの中で三つの柱をやるとなると、どういう順番かというと、「学びに向かう力、人間性等」、「思考力・判断力・表現力等」、「個別の知識や技能」という順番を使いながら、子供たちが教室で学んでいくことによって結果として三つの柱が修了時点で身に付くというものが、今、日本で求められているのだろう。

○三つの柱の中で、「学びに向かう力、人間性等」ということで、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」、これが一つの柱として確立されたということが今までから見て大きな変化なのではないかなと思う。学びのプロセスの中で、この三つの柱を実践するときに、「学びに向かう力、人間性等」、「思考力・判断力・表現力等」、「個別の知識や技能」の順がまさに今求められているものではないかと感じている。

○資料5(学習指導要領等の構造化のイメージ(論点整理補足資料より抜粋))であるように、どのような問題に対しても、これから生きていく上で解決していく、チャレンジしていかなければならない場面が出てくる。そのときに、一つ科学的な視点を持って、科学的な根拠に基づく判断ができる力を一つの要素として取り入れられるということが望まれているような気がする。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の「個別の知識や技能」に「科学とは何か」ということを入れていただきたい。日本で科学とは何かという部分が学習指導要領にはあまり書かれておらず、日本もちゃんと扱った方がよい。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の「思考力・判断力・表現力等」では、小学校三年で「差異点や共通点に気付き問題を見出す力」ということで、限定した書き方をしているが、学年レベルで限定しまうのには反対である。比較する場面がたくさんあるのに、小学校三年に問題を発見する力に限定してしまうと比較というすごく大事な資質・能力が四年生以降の学習に生きなくなってしまうと考えるからである。小学校三年では「比較」のままにして、例えば単元レベルで具体的な能力を書き込んでいくのが良いと思う。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の「思考力・判断力・表現力等」のところに関して、小学校では問題を見出すとか、実験を企画する前に、方法論に近いものが出ている。どんな予想の立て方をさせるかとか、どんな問題を見出させるかということが、ここ20年ぐらいの理科教育の流れの中で、小学校の先生たちに定着してきていると思う。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の「学びに向かう力と人間性等」の中で、理科の特性としてどうしても知識に裏打ちされた感性があるような気がする。つまり、同じ対象を見ても、知識を得たもので見ていけば、どんどん進化したり、発展したりしていくのではないか。日本人の特性を考えるときには、非常に重要なキーワードではないかと思う。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の、「学びに向かう力、人間性等」に書かれている項目があるが、一つキーワードとして、科学にも限界があることを認識してというような要素を組み込んでいくと、科学が全てではないというところをやはり子供たちにも、あるいは私たちも意識していかなければならないことかなと思っている。

○科学には限界があるのだけれども、地球が抱えている様々な課題を解決する上で、科学は有用なのだというメッセージも加えていかないと、子供たちが科学に目を向けていくのは難しいだろう。科学の有用性では、科学技術がこれだけ発達して、便利になったという視点と、科学的な物の見方や考え方というのは理科だけではなく、皆が大人になって、社会で生活していくときの課題解決で役立つという視点とがあると思う。そのあたりを教員は子供たちに伝えてきたのではないかなと思う。

○資料7(小・中・高を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)【たたき台】)の「資質・能力の育成のための重視すべき学習過程等の例」のところで、小学校では「仮説」という言葉が難しいので、「予想や仮説」と書いてあるが、中学校・高校になった場合は、「予想」と「仮説」という言葉をきちんと分けて使った方がよいと思う。

○小学校六年の「推論」や「分析・解釈」については、もう少し具体的にどういうことを行うのか書いたがよいと思う。例えば、分析・解釈というのは、分析と解釈が一緒なのか、それとも分析と解釈は違うものを指しているのかが分かりづらいという指摘を、受けたことがあり、分析するというのは何か、解釈するというのは何かというのを単元レベルや解説等できちんと書いた方がよいのではないかと思う。

○科学的に探究するということをもう少し具体的に示して、小学校の比較や条件制御と同じようなレベルで中学校・高校の内容を示していかないと、現場の先生が分かりにくいのではないかと思う。

○小学校・中学校の連続性は付いてきたと思うが、次の改訂では、高校とのつながりが大きな課題になると思う。高校の場合、習熟度的に見ると基礎的な学力を付けることが課題になる学校もあれば、SSHのように研究者に直結するようなところもあるが、共通なことは、科学は学ぶ価値があることだということを理解させること、科学的な探求の方法を身につけさせることである。そのための指導を小学校・中学校、高校でどうするかという議論が今回大切ではないかと思う。

2.アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について

○問題解決や探究における観察と実験の違いを明確にしておく必要がある。実験では原因と結果の関係について、何々の条件を変えると、結果はこうなるだろうという作業仮説を立てて検証を行う。一方の観察は、条件は制御できないので、自然の事物の形や作り、現象の変化の様子を言葉やスケッチで記載して考察する。観察では、作業仮説は立てられない。このように実験と観察では、問いの立て方や問題解決等のプロセスが違ってくるので、それぞれで育成できる資質・能力は異なってくると考える。

○理科というのは、観察・実験があるので、他者と協働するシーンというのは多いので、扱いやすいのではないかと思う。ただし、そのときに、教師が明確に資質・能力の育成の意図を持って、観察・実験の場面でそういった手立てを埋め込んでいくという必要があるのではないかなと感じている。

○子供たちの中で、探究的な学習や疑問を解決することが楽しいと沸き上がってくるような指導のプロセスが必要なのではないと思う。それが非常に足りないなと思っており、理科が役に立つとか、何のためにやっているのかとか、そういった非常に浅い議論になる。理科に対する社会全体の認知も上がらないし、子供たちが学ぶためのインセンティブもできないということが起こっているのではないかと思っている。

○小・中・高と800人ずつぐらいの先生方の東京都のアンケートを取って、分析をして、そして何が指導に課題があるのかということを2年前にやったときに、小学校の先生は考察をするとか、あるいは仮説を立てるとか、こういうものに抵抗感がなく、指導法とリンクしているが、中学校や高校の先生は、その割合が2割から3割ずつ減っていく。話を聞くと、そういう手法と問題解決の能力とがリンクしていないのだと。小学校の学び方を、直接、中学校や高校の先生たちも知っていて、一緒に小学校の授業スタイルを生かして、中学校でどう使うかということを知っていれば、それが基礎基本の学ばせ方の力だということで使っていけると思う。小学校の授業は小学校、中学校は中学校、だから、共有化が図られてない。今後、どういうふうにすれば、子供からすれば学び方がつないでいけて、教師からすれば、共有した学ばせ方が身に付いていくということは、重要なポイントだと思っている。

○小学校の場合には、自然体験が減少してきているので、家庭でもなかなか体験を深められない。それを学校でどう補完していくかというのが特に小学校低学年では、科学の学習の入り口としては大きな課題になっていると思う。

○子供たちが探究的に学習をしていく場合、どういうふうに探究すればよいのかという方法がなかなかつかめないし、教員の方も伝え切れない。論理的な思考、順序立てて説明したり、考えたりするのが苦手な子供がいる。そこで、小学校では発言するときに結論をまず言って、その後、理由として何々だからですと発表形式を立て、そこに内容を組み込ませるような形で最発表させることもある。子供たちに科学的な探究活動をさせるなら、教員自身が論理的に考えるというのはどういう活動なのかということを押さえていかないといけない。論理的な思考にどう位置付けていくのかを押さえておかないと、一つ一つの具体的な資質・能力の項目が関連なく独り歩きしてしまうという恐れもあると思う。

○現行では、中学の第7単元それぞれと、それから高校の科学と人間生活で、自分たちの生活に即した科学、あるいは理科の学び方ということが示されているが、中学校の第8単元は、本当にやられているのだろうか。科学と人間生活をどのくらいの子供が学ぶのだろうかということを考えると、理科全体でそういった問題を内包していくようなプロセスが必要なのではないかと考える。

3.資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について

○資料4(幼・小・中・高等学校を通じた理科教育のイメージ(案)【たたき台】)の左側にあるPDCAのサイクルの回転を促進させる要因として、他者との関わりというのが重要ではないかなと考える。この他者と協働する力に加え、探究などの過程で他者の視点を入れるということで、自己の振り返りが促されていき、持論化が促進されるということによって、見通しを持つことができるようになるのではないかなと思う。振り返りの中では、自己評価をしていくわけだが、そこに他者評価を入れたり、相互に評価をするようなことを入れることによって、この振り返りというのが促されていくのではないかなと思っている。

4.その他

○現場の先生方は、自分が行っている指導でよいのかどうかと考える。子供たちがこのように変容していたら指導の成果があったとか、こういう授業技法を用いるとよいなどのアドバイスが必要である。学習指導要領の解説はある程度法的な制約があると思うが、それとは別に指導方法や評価技法について、子供たちがこういう姿になっていたら、その手法はよいのだというふうに、先生方が自分の実践に自信が持てるようなメッセージ性のあるものも必要なのではないかなと感じる。

○以前の学習指導要領の改訂で探究活動や課題研究を高校理科では強調していたが、教科書と現場では無視されてきた。今回また同じことをやっても、また無視されてしまい、そうではないものができる、そうではない教科書ができて、そうではない先生の学校での毎日の活動が行くように、どう学習指導要領を作り込むか。今回の諮問を正面からやれば、教科書会社も現場の先生も、今までみたいに無視できないように持っていけるのではないかと思う。

○高校で必修科目というのを設定するのか、しないのか。本来は資質・能力を明確にしてから教育課程の科目というものを考えるべきなのだろうが、資質・能力の在り方を考えるときに、高校の理科であれば、必修科目、あるいは必履修科目というのをどうするのかを踏まえて考えていきたいという感想を持っている。

○高校における安易な総合科目の創設などは慎重であるべきだと思っており、今後、科目の検討をするときがあれば、非常に慎重に議論をしていただきたいと思う。

○物理では、物理基礎から必ず始めないといけないのだが、体系的に物理を学習する中で、理系で応用のレベルに進もうと思う子供たちにとっても、目標としているようなことが身に付けばよいわけで、学習内容や項目がもう少し自由に構成や展開ができて、自分の学校の生徒に相応しい到達目標が設定できるような学習指導要領にならないのかなという気はする。

○それぞれ小・中・高・大学の立場で、同じテーマに向かっているが、かなり意見がばらばらだが、科学的な見方、考え方をどう子供たちに育てようか、身に付けさせようか、そこに向かっていることは共通だと思う。ただ、探究に関しても、これまでずっとやってきて、それが現実問題としてなかなかうまく機能していないので、そういうところを、どこかでしっかり議論し、あるいは小・中・高・大の接続で、それぞれ問題だというところを、下との接続ではどうなのだろうか、上との接続ではどうなのだろうか、と言うところの議論に、具体的な改善の芽を見つけられるのではないかと思う。それが、よりよい改訂の方向性に結び付いてくるのではないかなと思う。


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