教育課程部会 幼児教育部会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年1月21日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3階3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼児教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】  皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会第4回を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただき、ありがとうございました。
それでは早速、議事に入ります。
本部会の審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただいてございます。そして第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱っておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日、報道関係者より会場の撮影及び録音の申し出がございましたので、これを許可しております。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料6、それから参考資料1、その他、机上に教育課程企画特別部会の論点整理をはじめといたしました参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局の方にお申し出いただきたいと思います。
なお、いつものように机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本部会の審議に当たり参考となる幼児教育に関する諸資料、小学校学習指導要領の解説、関係する審議会の答申、それから本部会の過去の配付資料のデータを入れてございます。御参照いただく場合は、お手数でございますけれども、机上に配付しております使用方法を説明したペーパーをごらんいただきたいと思います。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
次に、配付資料の御説明をお願いしたいと思いますが、その前に、教育課程部会総則・評価特別部会から、本部会に対して情報に関わる資質・能力や健康・安全等に関わる資質・能力に関連して共有すべきことがあると伺ってございますので、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程課教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、資料5と資料6をごらんいただければと存じます。
資料6にございますように、現在、各部会、ワーキング等、議論をさせていただいているところでございますけれども、今回、社会に開かれた教育課程という観点から、学校種を越えて、あるいは教科等を越えて共通に目指していくべきものということを御議論いただくということで、教科横断的な、あるいは学校種を越えた議論についてまとまったものから順次、御説明させていただいているところでございます。
既に特別支援に関しましては御説明させていただいたところでございますけれども、今回、新たに1月18日の総則・評価特別部会におきまして、情報に関わる資質・能力、健康・安全に関わる資質・能力について議論いただき、おまとめいただきましたので、御報告させていただき、幼児教育部会における今後の議論にも役立てていただきたいと存じます。
資料5の1枚おめくりいただきますと、情報に関わる資質・能力ということでございます。今後の社会のありようを考えますと、主体的に情報を収集し、まとめていき、自分の考えをまとめたり表現したりしていくというようなことが極めて重要になってくるわけでございますけれども、1枚おめくりいただきまして、2ページにございますように、ICTの特性を生かした学習ということを現在、各教科等、学校種等ごとに学びのプロセスの在り方ということも御議論いただいているわけですが、その中で積極的にICTを活用していくという視点を持ちながら御議論いただきたいということが1つ目でございます。
2ページ目にございますようなICTの特性、強みを生かした深い学び、対話的な学び、主体的な学びの実現、あるいは個々の能力や特性に応じた学びの実現、地理的環境に左右されない教育の質の確保ということでございます。
3ページ目には、理科の例ということで記させていただいておりますけれども、現在、各教科ごとにこうした学習プロセスの在り方ということを御検討いただいておりますけれども、ここでICTを効果的に活用するためにはどのようなことが考えられるかということ、4ページ目にございますように、ICTの効果的活用の例といたしましては、例えば他校との交流、海外との交流、協働での意見の整理やプレゼンテーションといった対話的な学びを促進する。あるいは課題の把握、協働制作、シミュレーション、データ分析等の深い学びを促進する。あるいはみずからの学びの振り返りなどの主体的な学びを促進する。あるいは下の左側にございますような全てのプロセスに当てはまるような学びを促進するという側面もございますので、これをより今後それぞれの部会においてこういったことも踏まえながら御議論いただければということでございます。
情報に関わるものとして、2つ目は、情報に関わる資質・能力でございます。5ページ目にございますように、5ページ目の上の段でございますけれども、これまで情報活用能力ということで、その情報活用の実践力、科学的な理解、情報社会に参画する態度というこの3つの柱で整理されてきたところでございますけれども、これをより今回の論点整理に即しまして、資質・能力の3つの柱から整理をし直したものが5ページ目でございます。
これは情報ワーキングにおいて御議論いただいての結論を頂いたものでございますけれども、こうした整理を踏まえながら、7ページ目にございますように、各学校種・発達の段階に応じて資質・能力の育成を図っていこう、あるいは社会との連携の中でそれを実現していこうということでございます。
幼児教育において培われる基礎というのは、少しまだ中身が入ってございませんので、今後、事務局としても整理させていただきながら、必要に応じ、この部会でも御議論の中で触れていただければと考えてございます。
御参考まで、8ページ目でございますけれども、各教科ごとに情報に関わる資質・能力、それぞれどういったことを重視し、それらをどうつなげていくかということでございます。教育課程全体を通じて、発達の段階に応じて、各教科の特性に応じた指導内容の充実、あるいはアクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動においてICTを効果的に活用していくということ。特に小学校段階における情報手段の基本的な操作ということに課題があるということがこれまでの調査でも見えてきております。既に総則には書かれている事項でございますけれども、より各教科の学びとの関連性ということをしっかり図っていく必要があるということ、あるいは社会との連携の中で、民間の様々な知見も活用していくということでございます。
以下、例えば国語における様々な情報を理解し表現していくというような力、出典の明示などなどということで、各教科等における活用の仕方、あるいは充実の方向性ということを整理していただいているところでございまして、現在これに沿って各ワーキングで更に議論を深めていただいているという状況でございます。
続きまして、健康・安全に関わることでございます。情報に関わる資料が46ページ目までございまして、そこまでおめくりいただきますと、その次に健康・安全等に関わる育成すべき資質・能力ということでございます。健康・安全に関わる資質・能力に関しましても、これも総則に既に「体育・健康に関する指導は」とございますように、教科横断的に、あるいは学校種に応じて、発達の段階に応じてということで育成されるということでございますけれども、例えば東日本大震災を受けた防災に関する記載ということの充実など、さらなる充実を図っていく必要があるということでございます。
2ページ目の下にございますように、各学校においては、学校安全計画ということを法律に基づきまして定めていただいておりますけれども、これと教育課程ということとの関わりをより明確にしていく必要があるのではないかということ。あるいは4ページ目の上にございますように、安全に関する資質・能力ということを、3つの柱に沿って中身を整理していく必要があるということ。それに沿いまして、5ページ目の下にございますように、様々な教科が関わってくるということでございます。体育・保健体育科を中核としながら、特別活動で主体的な行動を育む、あるいは社会科、理科でそれぞれの教科特性に応じた安全というものに対する力を育む、理解を育むということでございますので、こういったカリキュラムマネジメントということの中で、各学校がしっかりと安全に関わる資質・能力を育んでいけるように、その支えとなるような考え方をしっかりと指導要領で示していくということでございます。
6ページ目以降の食育に関わることも同様でございまして、8ページ目の上にございますような資質・能力を、9ページ目上にございますようなカリキュラムマネジメントを通じて実現していくということ。保健に関しましても、11ページ目の上のような資質・能力を、12ページ目上のようなカリキュラムマネジメントを通じて育んでいくということでございますので、今後、幼・小・中・高を通じたということも必要になってこようかと思いますので、これも順次、整理をさせていただきたいと存じます。
続きまして、資料6は簡単に触れさせていただきます。総則・評価特別部会におきましては、本日、先ほど説明させていただいたような御議論、それから学習評価の在り方についても同時並行で御議論いただいております。
評価の観点別評価ということが4観点ということで現在なっておりますけれども、もともとは学力の3要素から来るものということ、それから論点整理で3つの観点ということにしていこうという方向性が出されたことを受けまして、知識、技能、思考、判断、表現、それから主体的に学びに取り組む態度ということの3つの観点から、観点別評価を整理していくというような方向性の御議論を頂いております。
関心、意欲、態度につきましては、そのままですとなかなか趣旨に沿った評価が現実としてされていないというようなこともございますので、主体的に学習に取り組む態度というようなことでありますとかメタ認知というようなこと、そうしたことも踏まえて、よりその評価の観点の在り方ということをしっかりと考えていくというような御議論を頂いているところでございます。
それから小学校部会が昨日から立ち上がってございます。ここにおきましても幼・小連携の観点、幼児教育部会の様々な資料も御紹介させていただきながら、今後、議論を深めていただくところでございます。
それから言語能力の向上に関する特別チーム、これにつきましては、詳細資料は付いてございませんけれども、現在、言語の役割ということを創造的思考の側面、感情・情緒の側面、コミュニケーションの側面ということで整理していただいているところでございますので、幼児教育とのつながりということも今後、意識していく必要があろうかと考えております。
それから、42ページにございます社会・地歴・公民ワーキンググループでございます。ここにおきましては、社会科における見方や考え方ということがどのようなものなのかということを御議論いただいているところでございます。
また理科ワーキングにおきましても、科学的な物の見方、考え方について整理いただいているところでございます。
そして生活・総合ワーキングにおきましては、一方ではこうした社会的な見方や考え方、理科的な見方や考え方と、生活科において育む力ということをどのようにつなげていくかという観点、そして一方では、幼児教育の構造ということと生活科の構造をどのようにつなげていくかという観点を御議論いただいているところでございます。
生活科につきましては、本幼児教育部会でも御議論いただいております3つの柱の括弧の中の言い換えの部分を、幼児教育と生活科で共通させていきたいという方向性で御議論いただいております。一方で、遊びと生活というものの捉え方、幼児教育における捉え方と小学校以上における捉え方、いずれも重要ということには変わりはないんですけれども、若干その発達の段階に応じた違いということがあるということで、それをクリアにしていくということが重要ではないかという御議論を頂いております。
また心情、意欲、態度につきましては、先ほどの総則・評価特別部会における学習評価、関心、意欲、態度の観点の見直しの方向性と合わせて、心情、意欲、態度ということでよいのか、この言葉を見直していく必要があるのかということを生活科の構造の中で御議論いただいているところでございますので、また随時、幼児教育部会の議論ともしっかりとつなげていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。特に幼児教育部会の議論に直接関わる部分もございましたので、よろしくお願いいたします。
それでは次、説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、残りの資料1から資料4の方の御説明をさせていただきたいと思います。資料1をごらんいただきたいと思います。本日は、桶田委員、それから渡邉英則委員の方から、幼稚園における子育ての支援、それから預かり保育の御発表を頂いた後に、前半の時間を使いまして、資料1の1ですけれども、幼稚園における子育て支援の在り方についてを御議論いただきまして、後半の時間を使っていただきまして、2ページ目の2、幼稚園における教育課程終了後等に行う教育活動、いわゆる預かり保育の充実について御議論いただきたいと考えてございます。
1の幼稚園における子育て支援の在り方のところでございますけれども、現在、子育て支援につきましては、学校教育法の24条、それから幼稚園教育要領の総則、それから第3章に関連の規定がされているところでございます。
また近年、子育て支援につきましては、社会の労働環境の変化、地域における連帯感の希薄化等による家庭や地域の教育力の低下等によりまして、家庭・地域と学校教育がより連携を強化していくということがますます重要になってございます。
それから、教育課程企画特別部会の論点整理におきましては、幼稚園における子育て支援等について、具体的な留意事項の在り方について検討するという必要があること、それから幼稚園教育要領においても、社会に開かれた教育課程を実現していくことに資するものでなければならないといった提言を頂いているところでございます。
これらを踏まえまして、幼稚園における子育て支援について、具体的にどのような留意事項を設けていけばよいかといった点について御議論いただければと考えてございます。
それから、2ページ目の2の幼稚園における預かり保育の充実のところでございますけれども、現在、預かり保育につきましては、学校教育法の25条、それから幼稚園教育要領の第1章、それから第3章に関連の規定がございます。また、預かり保育に関しましては、我が国の子育て環境の変化等から、その要望は年々高まってきておりまして、実施率も増えてきているところでございます。
このようなことを念頭に置きながら、預かり保育について、例えば教育課程に基づく活動との関連など、学校教育法や幼稚園教育の基本を踏まえまして、幼稚園の教育活動として適切な活動となるよう、充実すべき点や留意事項として加えるべき点はないか、その際、幼稚園が社会に開かれた教育課程を実現していくことに資するという観点から考慮すべき点はないかということについて御議論いただければと考えてございます。
続きまして、資料2でございます。こちらは本日、御議論いただきます子育ての支援、それから預かり保育に関する関係の資料でございます。
スライド1からスライド3は、関係の法令、学習指導要領に関する資料でございます。
それからスライド4のところでございますけれども、こちらは預かり保育に関する実施率のところでございまして、公立、私立の差はございますけれども、全体で8割強の幼稚園で実施されているという状況でございます。
それから、スライド6のところでございますけれども、こちらは預かり保育の実施日数のところでございまして、平日で大体5日というところが8割台の半ば、それからスライド8のところでございますけれども、長期休業中の実施率は8割弱という状況になってございます。
それから、飛びまして、スライド12のところでございますけれども、こちらは子育て支援の実施率でございまして、こちらは公・私ともに大体9割弱ということで実施されているということでございます。
それから、スライド17から22のところは、こちらは市町村が市町村子ども・子育て支援計画に従いまして実施いたします地域子ども・子育て支援事業でございまして、幼稚園における子育ての支援、預かり保育に関連する事業を掲載してございます。
それから、スライド23から27でございますけれども、こちらはベネッセの研究所の方で実施しましたアンケート調査の中から、子育ての支援に関連するものを掲載させていただいてございます。
それから、資料3、資料4は、本日、御発表いただきます桶田委員、それから渡邉英則委員の御発表の資料でございます。
配付資料の説明は以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、今の御説明を踏まえた上で、幼稚園における子育ての支援の在り方、また幼稚園における預かり保育の充実についての議論を進めたいと思います。その議論に先立ちまして、お2人の委員に御発表をお願いしてございます。桶田委員には子育て支援を中心にですかね。また質疑の後に、渡邉委員にも御発表いただくということで、お2人の資料がお手元にあるかと思います。
それでは、桶田委員より資料3ですね。御発表をお願いしたいと思います。10分ほどでよろしくお願いいたします。
【桶田委員】  よろしくお願いいたします。第一幼稚園の桶田と申します。公立幼稚園、地域、園によっていろいろ事情が違いますので、本園の様子ということでお話ししたいと思います。
まず預かり保育についての前に、子育ての支援についてですが、保護者の実態、管理職になって12年目になるんですが、やはり変わってきたなと思うところは、イクメンと言われるお父さん方の参加、園への送り、それから入園式、修了式、園行事への参加は増えているんですが、実際におうちの中でどれだけ手伝ってもらえているかというと、やはり土日は疲れているとか仕事に行っているということで、お母さんが1人で頑張っているという実態は変わらないのかなと思っております。
そして、お父さんも前よりお母さん化してきているというか、口をいっぱい出してくださるようになったり、祖父母の方も今は若くて元気なので、お母さんに向けていろんな子育てのアドバイスをいっぱいしたりということで、情報以外にもいろいろなところの縛られることが増えてきたので、保護者の方がますます、そういう意味ではちょっと負担を感じているところがあるかなと。良い子に育てたいという思いがますます強くなって、その分が負担になったり疲れになったりしているのではないかなと思っています。
それからあと保護者の方自身がやはりまじめに勉強してきている世代なので、人との関わりがちょっと苦手だったり、遊んできていないので、そういう遊び以外の面の子供との関わり方がちょっと未熟だったりというようなところも変わってきているかなと思っています。
それで、子育ての支援の必要性ということなんですが、公立幼稚園で捉えている子育ての支援ということは、就労支援でもなく、それから子育ての肩代わりのサービスでもなく、仕事をしている、していないに関係なしに、保護者の方は本当に子育て大変なんだけれども、それを共有しつつ、子供のかわいさ、それから成長していく楽しさというものを保護者の方が感じてくださって、子育てに向かっていけるようになっていけばよいな、それが子育ての支援かなと捉えております。
本園の支援活動ですけれども、在園児に向けては特別なことは特にしていません。保護者会、保育参観、それから父親の保育参加活動、子育てトーク、子育て相談、講演会、それから園庭開放などです。未就園児の親子に向けては、施設開放ということで、園庭、室内の開放、それから夏のプール開放、子育て相談や園行事の一部参加というようなことを行っています。
実際にそういうことをやってみて、子育ての支援のよさかなと感じていることは、やはり在園児も、それから地域の未就園児の親子の方も、どうしても我が子ばかりを見てしまうので、その方たちがほかのお子さんを見ることで、あっ、うちの子だけ特別じゃないとか、ほかの子も大変なところもある、いろんなお子さんがいるんだということを知ることができるという機会になると思います。
それから、保護者同士も、ああやって子供に関わるんだなという関わり方をほかの保護者から知るという機会にもなっていると思います。どうしても情報はすごく集めることができるお母さん方なんですが、情報と違ってしまうと、うちの子だけ何かおかしい、私がおかしいというふうになってしまいがちなところを、いろんなお子さんもいろんな保護者の方もいるよということを実際に見ることができる機会になると思います。
それから、自分と同じような悩みを持っているお母さんたちに出会うこと、それで自分がちょっと気持ちを聞いてもらえる相手に出会える、保護者が友達ができる、子育ての友達ができる、仲間ができるという機会も子育ての支援としてはあると思います。
実際に課題の方なんですけれども、在園児の保護者で特に感じているのは、やはり自分の話を聞いてほしいという思いをすごく持っていらっしゃる。だけど自分から担任に話しに行くかというと、話してもらうのを待っているというところがあって、教職員、担任も若くなってきているので、人との付き合い方が上手でない世代という意味では、ある意味、同じところがあるので、ちょっと相手の気持ちを酌み取れなかったり、それから相手に分かるように伝えるというところがまだまだ苦手な部分もあるので、そういうところが子育ての支援に向けた教員の育成という意味では1つ課題があるのかなと感じています。
それから、未就園の方に関しては、施設を開放して、地域のセンター的役割ということで、園としては子育ての専門家である教員が関わるということがその役割だと思うんですが、実際、自分のところで言いますと、園内の特別に支援の必要なお子さんの手の掛かるところにどうしても管理職等は行かなくてはいけなくなると、どうしても未就園の方たちは、安全に遊んでいてくださいねというような形の、本当に施設の開放しかできなくなってしまっているところがある。そうすると、お母さん方は集まるんですけれども、やはりその中で飛び交う情報を取捨選択できないで、具体的な話にしても、それが本当によいことなのかどうかということができずにいるというところがありますので、本当はそこに誰か子育てのアドバイスができる人が、毎日じゃないにしてもいてもらえると、お母さん方の悩みを聞き、判断の仕方も伝えることができるのになと思っています。
それから、今、施設を開放しているんですが、行政の方から地域の保育所、特に園庭の小さかったりする小さい保育所がどんどんできていますので、そういうところに施設を開放してほしいというような依頼も来ています。園によっては園庭を保育所の人が使えるようにしてあげたりというようなこともしていますので、そうすると、その大勢の方、誰を優先するかというようなこともあって、前よりも施設開放がうまくできなくなってきている地域の幼稚園もあります。
それから、虐待関係でいうと、おうちの中にこもっているお母さん方に出てきてほしいと思うんですが、来た方に関しては関わることができるんです。それから地域の子育て広場だとか、それから児童館の幼児クラスとかそういうところとは連携取って、お互いにいろんな催し物をやっていることを伝えたり、気になるお子さんのことは情報を共有したりができるんですが、本当に一歩、家から出てこられない方に関しては、やはり幼稚園というのは手を出すのは難しいなと思っています。
それから、預かり保育のことについても少しお話しさせていただきます。文京区の幼稚園、10園あるんですが、21年度から10園全園が預かり保育を始めています。最初は子育ての支援ということで始まりましたが、2年目、22年度から就労支援ということが目的になりまして、現在、18時まで25人定員でお受けしています。土日以外、幼稚園の振り替え休業日はやっていませんが、年末年始以外、長期期間中も受け入れています。現在は非常勤が担当していますが、来年からは8時からも受け入れることになりましたので、正規教員が、担任が教育課程以外の時間は順番に入るということで、1日担任が関わることになっています。
預かり保育のよさとしては、教育課程内とは違う遊びができる、なるべく家庭的な遊びということを意識していますので、教材も用意していますので、また違う体験ができる。それから異年齢で交流できますので、昔の地域で路地で遊んでいたような、そういう関係を子供たち同士がつくることができる。それから、今は非常勤中心にやっていますので、担任とは違う人と関わって、その人に愛される経験ということができるかなと思っています。
保護者にとってのよさとしては、就労している保護者でも幼稚園教育を受けさせたいという方にとっては、その思いをかなえることができる。それから就労していない方にも一時利用ということで空き枠は提供していますので、安心して自分の用が足せたりリフレッシュの時間に使うことができる。それから園や教員にとっては、教育課程内とは違う姿の子供たちを見ることができるので、きっとおうちでもこんなところがあるのか、またそれとも違うかもしれないんですが、ちょっと違う姿で、ああ、あの子はああいう面も持っているんだなという幼児理解が広がるというところがあると思います。
課題として考えていることは、やはり幼児はどうしても長時間、過ごすことになりますので、どんなに環境を配慮しても疲れというものはどうしようもないなと感じています。
それから、保護者の方の一部なんですけれども、幼稚園に入る前の保育所の経験がどうしても小規模で、サービス的な経験をなさってきている方にとっては、預けたら子供を育ててもらえるというような思いでいらっしゃる方もいますので、その方たちに、幼稚園に来て、一緒に子育てしましょうよと、意識を少しずつ変えていっていただくというようなこともしていかなくてはいけないなと思いますし、また逆に、働いていない方たちにとってみると、預かりの方が増えることで、PTA活動だとか園の手伝いだとか、自分たちに負担が増えてしまうのではないかという不安や、それから自分も社会に出て働かなくてよいのかという、自分が自立していないんじゃないかというような、ちょっと今の保護者の方、自己肯定感、低いところがあったりしますので、そういうような見方をしてしまうという姿もちょっと見られてきています。
それから、今うちの問題なんですけれども、とても教育熱心な地域ですので、昔だと保育所に、働いている方も習い事をさせたいということで自分が年休を取ってお迎えに来て、習い事に連れていったということがあったんですが、最近は預かりも含めた習い事の保育サービスも出てきていますので、幼稚園に英語の先生が迎えに来て、それを保護者が頼んで連れていくというような形もありますので、園の中での教育活動環境として、課外活動ではなく過ごさせたいということをやっているんですが、ほかの場所で行ってそういう活動になってしまうというところが何かちょっとちぐはぐになってきたなと思っています。
それから担当者ということですが、今、非常勤だけですので、なかなかよい人材を集めるのが時間的・賃金的に難しいというところがあります。また、担当者の資質向上を狙いたいところですが、やはり子供たちと向かっている時間しかないので、OJTじゃないとなかなか資質向上が向かうことができない。それから来年から正規教員が入ることになりますが、担任として自分たちのやっぱり教育課程の時間もあり、それ以外の研修、研究、教材準備、その他いろいろなことに関しての時間がなくなる中で、教育課程の質の向上・維持というところもどうやっていったらよいのだろうかということが今、一番の課題になっています。
それから場の問題で、先ほどもお話ししましたが、子供たちに少しでも負担がないようにということで、環境を整えているんですけれども、やはり既存の園舎内では空き教室、空き部屋がない園もありますので、そうなると、広い遊戯室しか空いていないとか、家庭的な雰囲気で落ち着いてやっていきたいと思っても、大勢受け入れていることで、子供たちが安心して過ごせる、ゆったりして過ごせるところにしていきたいと思いつつも、なかなかできないという、片や課題を抱えています。
【無藤主査】  ありがとうございました。子育ての支援などの全般的な議論は後で時間を設けますので、今の桶田委員の中身についての直接的なご質問があれば、お受けしたいと思います。いかがでしょう。
どうぞ、神長委員。
【神長主査代理】  よろしいですか。ありがとうございます。園の様子、預かり、ないし子育ての支援の様子が大変よく分かりました。
1点だけなんですけど、預かりを担当する先生方は、非常勤の方が多いということですけれども、何か連携とか、その先生方のための資質向上に関わるような取り組み等は実際にはなされるのでしょうか。
【桶田委員】  それは現在の状態ででしょうか。
【神長主査代理】  先生のところの現在でもよろしいし、そういうところがあるのか、ないのかという。
【桶田委員】  文京区の場合は、必ず非常勤でも保育士又は幼稚園免許を持っている人ということになっていますので、ある程度の質はあるんですが、やはり実際に子供と関わったことはない方たちもいらっしゃいますので、必ず打ち合わせをするときには管理職が入るようにしながらアドバイスをしたり、それから担任も全く今お任せではなくて、やはり様子を見に行く。気掛かりなお子さんもその中にいますので、そのときの対応について、預かりの人も困っているところがありますので、それは日々、連携を取ってということでやっております。
【神長主査代理】  ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。ほかには。
私もちょっと勤務体制で、例えば来年度、先生の園なんかだと、要するに担任が18時ぐらいまで預かりも担うわけですよね。
【桶田委員】  はい。
【無藤主査】  そうすると、1人の幼稚園教諭、正規になって担任をしている方は週に何回ぐらいそれをするというふうになるんですか。
【桶田委員】  園の規模がありますので、うちのように来年5学級になるところを考えると、1人1回になるんですが、実質、1日の中で3人が関わるような形になるんです。早番の人、午後関わる人、それから夕方関わる人とおりますので、週、時間は短いですが、2回は。
【無藤主査】  なるほど。そうすると、子供を直接相手にする時間が平均的に週に5時間とか、五、六時間増えるみたいなふうな理解ですかね。
【桶田委員】  そうですね。はい。
【無藤主査】  要するに人手を増やしてくれなかったという、簡単に言うと、そういうことですよね。
【桶田委員】  はい。
【無藤主査】  なるほど。
ほかにございますか。どうぞ。
【宮原委員】  私も職員の方の疲労感と言いますか、労働時間と言いますか、そこに非常に関心がありまして、これは中学校とか高校にも言えているかもしれませんけど、こういったことに力を入れる半面、職員の方の労働時間とか、あるいは有休しっかりとれているのかとか、そういった状況なんていうのはいかがなものでしょうかね。
【桶田委員】  もともと幼稚園教諭はまじめですので、年休は夏休みぐらいにしか取らないような働き方をして、時間も遅くまで残ってしまうような傾向はあるんですが、実際、来年度からの勤務時間に関しては、今8時20分から17時5分までが勤務時間になっているんですけれども、8時から受け入れますので、8時から16時45分までの早番の人が1人、それから普通に関わっている人が1人、それから現在も、園長は先に来ていますので、副園長が9時半出勤の18時15分、預かりの最後まで見届けるというような勤務になっています。
そこで早番で出た担任が朝の8時、それから午後の1時間は見る。休憩も取らなくてはいけないので。それで午後の人は午後の保育が終わった後の2時間を見る。それから最後は5時5分までしか勤務時間はありませんので、最後の1時間は副園長が毎日入って、保育をするというような形で来年スタートすることになっております。
それで、超過勤務に今もなっているところを、働き方を変えて、今からなるべく入るような習慣を付けていこうと努力はしているところです。
【宮原委員】  ありがとうございました。
【無藤主査】  そういえば、でも文京区の公立幼稚園で2クラスとか3クラスってなかったでしたっけ。
【桶田委員】  2クラスのところ2園あります。
【無藤主査】  ありますよね。そうすると、1日交代で……。毎日やらなきゃならなくなるんですか、そういうところは。
【桶田委員】  はい。そこに関しては今、配慮もお願いしていますし、あとそれから特別支援に必要なお子さんに対する加配が、数人ですが区としてありますので、その辺のところを、できたらばそういうところに優先してもらえないかというようなお話もしていますが、そこは今、教育委員会にいろいろお願いしている最中です。
【無藤主査】  なるほど。分かりました。
じゃあ、よろしいでしょうか。とりあえず。また後で議論するときに出てくればお出しいただいて構いません。
それでは、次でございますけれども、渡邉委員の方に御発表をよろしくお願いいたします。
【渡邉(英)委員】  では、発表させていただきます。
私の方は、私立の幼稚園と、それから認定こども園で、港北幼稚園は私立幼稚園ですので、まだ施設型給付になっていないんですけど、ゆうゆうのもりは認定こども園になっているというところで、2つの園を今、運営しています。どちらも横浜型の預かり保育という、待機児童対策の中でいうと、横浜が打ち出したような預かり保育をやっていて、ゆうゆうのもりは朝の7時半から夜の7時半まで、港北幼稚園は朝の7時半から夜の6時半までをやっています。
ただ、僕はゆうゆうのもりを開園する前までは、預かり保育を何もしておらず、幼稚園だけだったので、ゆうゆうのもりは横浜市の公募になって手を挙げたところからちょっと驚きがあって、そのことを先に、幼稚園における預かり保育とか子育ての支援というのをどういうふうに考えるかというところで、その辺のところをまずはお話ししたくて、先にこの1枚目のところ、資料を付けています。
横浜市に出されたのが、乳児は朝の7時半から夜の7時半まで全部保育ですよといって丸が付いていて、幼稚園は9時から2時までが丸ですけど、あとはみんな預かり保育でやってくださいというのが横浜市の説明だったんですけど、この図が結構ずっと頭の中に、今でもまだ印象にあるんですけど、5時間だけ子供がいるところがきちんとした保育で、保育というか、ここでいくと学校教育とか幼児教育なんですけど、あとの7時間は付け足しみたいな形で本当によいのかなというのが、保育と教育という言葉の中でもずっと入っているし、子供たちの生活というところも考えてはいます。
それで一応、開園当初、考えたのは、幼稚園が9時から2時までというところが、4時間とか5時間はずっと制度として保ってきたのは、本来的には子供たちが家庭に帰ったり地域に帰ったら子供たちの居場所があって、そこで子供たちが生活をしていたと。それが親の就労等でできなくなってきたりとか、それから就労でなくても子供たちがいなくてビデオだったりとかゲームとかってやっているんならば、園の中にそこをきちんと位置づけるような子供の居場所を作ろうという形で、2番目のパワーポイント、見にくくて申し訳ないんですけども、もう24時間を考えていったときに、おはよう保育という7時半から9時ぐらいまでの、その子供たちに対してどういう保育を行うか。
9時から2時までは、幼稚園教育というところでいけばそこの保育をどういうふうにするか。そこは就労している方も就労していない方もみんな来る。それで2時以降のところでは、帰っても帰らなくてもよいけど、昔、広場だったりとか原っぱだったりとか、寄り道をしていたりとか子供たちが遊んでいたような空間を園の中に作ろうとなると、預かり保育の中身の中に地域ということが意識されて、そこでお母さんが呼びに来たりして、もし寂しい思いをするとすると、5時半とか6時ぐらいから、ぬくもり保育という言葉というふうに、それぞれの時間に合わせて子供のことを考えようということをしました。
僕はそれはやっぱり多分、預かり保育のことではあるんだけど、お母さんたちとかお父さんたちとか保護者の方が乳幼児期の子供の生活はどうすべきかということを考えてもらうというのにも1つの大きな意味があるかなと思っています。
3番目のところで、学校教育と保育という言葉とかが認定こども園の中でも議論になったときに、認定こども園みたいなところとか、それから預かり保育で就労している方たちが入ってくると、多様な価値観を持っている保護者の人たちが入ってきます。それは桶田委員の発表と同じだと思います。
多様さというのは、1面では大変さ。どうやってやってよいか分からない。だけど地域にいろんな人たちがいて、いろんな子供たちがいるというところでいくと、地域とか家庭の教育力もどう上げていくか。それから預かり保育的なところの中で、子供たちの生活をどう充実させていくか。それから本当は乳児のときの生活をどうしていくかとか、何か幼稚園で今までずっと取り上げてきた9時から2時までだけをどう質の向上を図るかという話じゃなくて、子供たちの生活そのものをどう上げていくかということを考えていかないと、そこの9時から2時だけを一生懸命、指導計画で考えても、保護者もそうですし、多分、子供たちもそうですけど、そこでは変わらないだろうという発想で、預かり保育とか子育ての支援を考えました。
次のページの方に入っていきます。それで、長い時間を預かるというところで見えてくることというのは結構やっぱりあったりするんですけど、でもやっぱり長く預かればよいとか、幼稚園の教育がすごくよくて、預かり保育は付け足しだみたいな話は、僕は、横浜市幼稚園協会の中での話でもそうですし、ほかのところに行ってもそうですけど、何か付け足し的という話になってくると、子供がいろんなところで生活をしているし、その生活をどう保障するかという発想はやっぱり必要だろうと思ってはいると、付け足し的では全然なくて、それぞれの子供たちがというところがやっぱり十分に、ある意味では自分を発揮できたりとか居場所になってくるという発想は大事だろうと思います。
そうすると、預かり保育を誰が担当するかって、一般的にはやっぱりパートが多かったりとか、それから新人の保育者が持っていたりとか、朝から晩までずっといて、本当に休む暇もなくてやっていますという話が出てくると、そういうことで預かり保育は本当によいのだろうかという話になってきます。
クラス担任とかが移動の形で預かり保育を担当すると、力がある人間は、幼稚園の時間の中で指導計画を立てたり何かするような力を預かり保育のところで発揮すると、午後の時間の使い方がやっぱりおもしろくなってくるとか、毎日のように近くの山の方に行ってみて、森の幼稚園みたいな活動をしたりとか、いろんなことができたりすると、9時から2時までの保育が割と一般的には私立幼稚園っていろいろがちがちだったりするときに、預かり保育を充実させている中で、ああ、こういう、子供っておもしろいんだとか育っていくんだとかというような、何か園全体を変えていく起爆剤的になるのが預かり保育という、そういうおもしろさを持っているんだろうなと思ってはいます。
ただ、そのためには研修の機会がなかったりとか、午後出られませんから、そういう問題もあったりしてというところが、資料の3番目のところにだんだんかかってくるんですけど、おやつがとかというのと、午睡はどうするかとかといって、今まで幼稚園が余り考えていなかったようなことも入ってきたりとか、それから配慮の必要な子が、長時間になると、これも僕は初めて分かったんですけど、何か保育園的なお子さんが入ってきたときに、長くいればよいというんですけど、長くいればいるほど、人との関係の中で疲れてくると、4時、5時ぐらいになって、本当に泣き出したりけんかしたりとかってなると、この子たち、幼稚園の時間で帰った方がよっぽど何かきょうはすごく楽しかったですと言えたのにとかという話とかというのがあると、そういう子たちをどうするかとか、それから地域を巻き込んでいくというと、うちの園では小学生ボランティアって、これを文科省に出したら、「間違いですか」とクエスチョンで来たんですけど、卒業生がボランティアで来いと今言っていて、毎日三、四名か四、五名入ってきていて、年長とか年中とか年少の子供たちと一緒に遊んでくれると。
もちろん中学生とか高校のボランティアも来ていたり、保護者の方も来てくれたりはするんですけど、小学生が来るというのは、ドッジボールの球が投げられたりとか、それを取ってくれたりとか、子供たちが地域で遊んでいたような雰囲気をどう作るかというところでも大事にしているというところです。
それから、預かり保育の中で、家庭的な雰囲気というところで、家庭的というところでは、もっと本当は地域に行ったりとか遊んでいたりするのがよいとか、4月、5月の子たちが本当に長い時間がよいかという話とか、それから長期休暇のところでどうするかという話とかというところでも、毎日プール、プールというわけにはいかなかったりすると、何かチームで作っていったりとかいろんなところで話し合いながら、園内研修にもなっていったりします。
それから保護者の方の問題としても、やっぱり保護者に理解してもらって、小学校の例えば何か行事がありますというと、保育園的なお母さんたちは、みんな子供を置いていくんです。だけど幼稚園的なお母さんは連れてくる。それで、僕らは幼・小を同じく大事にしようといったら、やっぱり小学校を子供たちが経験するとかというのも大事だったりすると、どう保育を伝えていくかということも問われているかなと思います。その辺のところが預かり保育の話です。
子育ての支援については、これも僕は幼稚園というところは本当は保護者との関係が密であるというところでいけば、保護者と一緒にというところは、そこを最大限にやっぱり生かしていく。それで、何か子育ての支援って、特別な活動をするというより、保育そのものをちゃんと分かってもらって、保育に参加してもらって、子供のことを本当に分かってもらうというのが子育て支援だろうと思うんですけど、何か子供を預かるとかという話になっちゃうんですけど、子供の魅力をどれだけ伝えられるかと。子供ってこんなにすごい、いろんなことをやっているんだということを園がどれだけ発信できるかというところでいけば、子供の存在というのが多分、大事にされて、もっと子供を、どうか分かりませんけど、子供が大事にされる社会を作っていくことになるんだろうと思います。
そのためには、子供が育つとはどういうことかというのを分かってもらうとか、子供のおもしろさを分かっていくというところで、園を開いていくということも大事ですし、それから親同士が知り合いになっていくときに、サークルとかをやると、違う学年の親たちが作ると、私、これで悩んでいますというお母さんが、すかさず先輩のお母さんが「私もそうやって悩んでいるの」とかという話をしてくると、そこで子育て支援ができてしまうみたいなところがあったり、自分の子供だけじゃなくて、いろんな子たちと一緒に子供は育っていくって分かると、そこが地域につながっていたりという話になると、最後のページになるんですけど、やはり親が親になっていくという、小学校以上になってPTAとかをしなきゃいけないんじゃなくて、何か子供と関わりながら、そういうところに関わっていく中で子供たちが育っていくという、その親たちをどういうふうに育てていくかというところが大きいかなと思っていたり、この子育て支援の「支援」というのは、これはある先生が言われたんですけど、子育て支援をするだけではなくて、子育て支援を園でしてしまって、行政とか園がしてくれるという話ではなくて、親同士が子育てをし合うような形。
お母さんが病気だったら、ちょっと預かってあげるわよとか、御飯作ってくれるよとかという話とか、昔の地域の復活はできないとしても、親同士がそうやって一緒にキャンプに行ったりとかをしていくと、孤独の子育てから脱したりとかということができてくると、そういうような、ある意味、園を通して子育ての輪ができていくみたいなところが大事なのかなと思います。
ある保育園を卒園させたお母さんが、園で全部いろんなことをやってもらって、すごく助かりましたと言うんですけど、エピソードはといったら、何も黙ってしまったときに、幼児期こそそういう子供のエピソードがいっぱいあってとかという、そういう生活が豊かな生活だろうと思います。
最後に、入園前の保護者に対する子育て支援で、幼・小の連携とかというのが騒がれるときに、保育園に入ってくる、ある意味では子ども・子育て支援の新制度の中で0号とか4号とか言われているんですけど、0・1・2歳の親子たちをどういうふうにサポートしていくかということも園は考えていかなきゃいけないときに、配慮が必要な子だったり、子育てがうまくいかない人たちが0・1・2歳でずっと困っていたら、その子供たちを引き受けるのはやっぱり幼稚園だとすると、4月の時点で大変になってしまうってなると、そういう子たちではなくて、もっと、何と言うんですかね、そんなに苦しまなくてよいのだよというような場を作っていくとか、それから集いの広場事業とかそういうところとか、子育て拠点のところに砂場があるだけで、泥んこになってもよいとかって、お母さんたちはそういうことでよいのだというふうに思ってくるというように、何か情報発信の仕方を、遊びの中で子供は育ちますよということが幼稚園教育の基本になるならば、そのことの本当の何か大事さというのは、0・1・2歳の親たちにきちんと言わないと、預けた方がよいとか、何かさせた方がよいとか、そこで迷っている親たちがいっぱい居るとすると、そこにどういう手立てができるかということも、子育て支援としては大きな課題ではあるかなと思っています。
以上です。ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございました。それでは、先ほどと同じように、ただいまの渡邉英則委員の御発表に対する直接的な質問があれば、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
では私から、事務的に近いんですけど、先生の園とか横浜市の市立幼稚園の多くで預かり保育をやっていると思うんですけれど、その場合に、いわゆる1号認定のお子さん、幼稚園では1号認定ですよね。その場合に、2号認定になり得るようなというか、就労している人というか、そういう人を1号認定で預かり保育を利用するケースというのは結構あるんですか。
【渡邉(英)委員】  これはちょっと制度の話になっちゃうんですけど、3号でいらしている方が2号認定に上がるか1号に変わるかというのは、多子減免の制度でこれが文科省と厚労省の話になってしまうのです。要は小学校3年生まで幼稚園は多子減免ができるので、お兄ちゃん、お姉ちゃんが小学校3年生までいるならば、1号に入って多子減免になった方が保育料が半額になると。
そういう意味では、3号の方たちから1号になりたいという人たちがすごく多い。1号で横浜市の預かり保育を使いたいという方たちが増えたりとかというところで、ちょっとその2号と横浜市の預かり保育の関係というのは微妙なんです。
ただ横浜市の預かり保育は、夏休みだけとか園で比較的自由にできるので、1号の預かり保育をどう使うかによって、本当にパート的なお母さんたちの就労を応援できるというメリットもあったりするので、その辺のところが結構混乱しているところでございます。
【無藤主査】  分かりました。ありがとうございます。
ほかにいかがですか。神長先生。
【神長主査代理】  大学が横浜ですので、横浜の現場についてお話を伺うんですけれども、預かり保育としてすごく充実した形にはなっていると思うんですけれども、それをその教育の施設の中で行うときに、先生のところでは横浜型の預かり保育にならないわけですよね。
【渡邉(英)委員】  いや、どっちもやっています。ゆうゆうのもりは、認定こども園で2号もいれば1号の預かり保育もいます。
【神長主査代理】  それで、いわゆる先生方の負担ということは、全く幼稚園の教員の方は、いわゆる生活をどう作っていくかということに関しては関心を持つけれども、実際にはそこに入っていかないのですか。パートの方がなさるということがここに書かれていますが。
【渡邉(英)委員】  うちの園は、パートではなくて、光の時間の担当する保育者と、風の時間を担当する保育者って分かれているので、11時ぐらいに出勤して、夜の7時半とかまでを担当する職員と、それを1年間ちゃんとある意味では指導計画的なものもやりながらという、風の時間をきちんと受け持つ職員と、あと幼稚園的な担任を受け持つ職員と分かれてはいるので、そこは一応分かれているんですけど、一般的には結構、人数が例えば幼稚園規模が私立幼稚園って多いから、急に一時保育的にぼんと入ってきたときに人の対応ができないとか、パートの人しかいないとかってなると、結構ドタドタしたりとか、結果的には園庭に出ていっちゃいけないとか、1室の中で遊びなさいとかというような、そういうような保育になりやすいというのが預かり保育の中では見られます。
【神長主査代理】  やはり先生の園のように、職員でいらっしゃって、園全体の教育活動ないし保育活動の全体が見通せると、ある意味ではそこの、ある時期、どっと入ってきたときに混乱になったときでも対応が可能であるということですね。
【渡邉(英)委員】  人数をどれだけ制限するかというのはもちろんあったりはしたりとか、いろんなやり方はあるんですけど、ただ少なくとも風の時間の子供たちのことを丁寧に見ようとすると、光の時間って言いやすいから言っちゃいますけど、何かそこで例えば踊れない子が、丁寧に関わる中で踊りが好きになってという形だとか、様々な、人数が少ないところとみんなで生活するところというところがうまく機能していくと、やっぱりそこは豊かな園生活が1つは可能になるだろうという可能性を持っていると思うんですけど、その体制をきちっとしないと、大変だという方だけがクローズアップされていくかなとは思います。
【神長主査代理】  あともう一点なんですけれども、0・1・2歳を小規模の保育室で過ごしている御父兄の方もいらっしゃるということですか。
【渡邉(英)委員】  うちの園は、0・1・2歳の小規模から来たときに、役所に出して、2号と認められたら、利用調整なので、入ってこられちゃうんですよ。今現在、移動しようと思えば。だけども連携をしているわけではないので、小規模から直接うちが入れますというようなのをするのではなくて、利用調整を経て来る可能性の子たちはいます。それから来た子もいます。
【神長主査代理】  そのときに、保護者に、小規模でないにしても、今まで保育所で生活して、いきなり幼稚園の中での預かり保育という形になったときに、保護者に対応するときに気を付けていらっしゃることというのはどんなことをやるんですか。
【渡邉(英)委員】  これは認定こども園という、国の方は言うと思うんですけど、やっぱり幼稚園的な1号というお子さんがいるということと、それから単純にみんな保育園のお子さんがいるというところでは、全く行事のやり方とか園の文化が違っていたり、それから園によっても、うちの園とほかの園とまた違っていたりするから、うちの園の保育方針だったりとか、幼稚園的な保護者もいたり、保育園的な保護者もいたりとか、そういうふうになりますよとか、やっぱりそこに納得していただかないと、どうしても、桶田先生も言われていたと思うんですけど、保育園でやってもらっていることが当たり前と思っていると、1号の子たちが突然たくさん入ってくると、保育園ではあり得ないような、例えば新入園児が3歳から入ってきたりとかという話とか、そういうような何か文化がちょっと違ってくるということに関して、どれだけ理解してもらうかということを分かってもらったり、もうちょっとうちの園でいえば、それこそお子さんと関わるような機会があったり、お弁当を作る日もあったりとか、それから保育参加に来てもらいますよとか、そうやって子供の方に目を向けていただくような仕組みを大事にしているとかということもきちんと伝えておかないと、後で無用なトラブルになったりとか、その方自身も苦しんでしまうということがあるかなと思います。
【神長主査代理】  ありがとうございます。
【無藤主査】  それでは、田中委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  先ほどの無藤先生の御質問に、私は京都なんですが、京都で調べたところだと、私立幼稚園の就学助成型のところって、大体2割から3割は、申請さえすれば保育所に入れる方がほとんどの園でいるというのがほぼ実態だと思います。ですから、それじゃなく、申請しないで幼児教育をベースに置いて預かり保育を利用してやっているという方がそこそこいるということですね。
もう一つ難しいのは、私立幼稚園の場合には、園による差が非常に激しいです。私の園で言いますと、預かり保育をするとか、例えば2歳は親子登園もしているんですけれど、8組で先生2人でやるというような、子供が育つって何なのかなと思いながらやっているところと、やらざるを得ないところと、何も考えないでやっているところとさまざまのピンからキリまで恐らくあるだろうと。
それともう一つは、横浜の問題というか神奈川、関東の問題と、やはりそれ以外の地域の問題はもう少しきちっと考えていかないとならないんじゃないだろうかと。例えば今回の子育て支援の制度の中でも、11時間が標準認定にしちゃったわけですね。私はその11時間を標準にするという子供を実験台にしてよいのかというのがやっぱり最大の課題だったと今回は思っています。
今、渡邉先生言われたように、例えば地域の教育力が低下している。その機能を、教育基本法で定義されている幼児教育とはというと、施設における教育と、地域における教育と家庭における教育と、この3つが合わさって幼児教育というものが定義されている中で、地域における教育が低下していて、その役割が幼稚園を担うということは、当然のこと、あってよいと思いますし、それは重要な役割になっている。また0・1・2歳の家庭の教育を幼稚園がサポートするという役割も大きな役割があるということだと思いますが、その延長にあって、現状、特に東京圏の11時間開かないといわゆる就労支援にならないということを全国一律の制度にしてしまうということが本当はどうなのかというところまでは、私はこの部会である限りは、教育の視点から子供がそういう施設にいるのはどれぐらいが限度なのかということは真摯に議論するべき内容であろうというように思います。
8時間とかという部分の地域における幼児教育の支援という役割が、幼稚園があるということは私立幼稚園のほとんどが認識していて、預かり保育については95%ぐらいのところがやっているというのが現状だということだと思います。
【無藤主査】  ありがとうございました。それでは、質問はここまでにさせていただいて、全般的な議論に移りたいと思います。
桶田委員と渡邉英則委員から御発表いただきました。それも踏まえ、また資料1、先ほど御説明がありましたものですけれども、その検討事項で、幼稚園における子育ての支援の在り方というものがまず1番目の議題になりますので、それについて前半で議論させていただきたいと思います。
それでは、どなたからでも御自由に意見をおっしゃっていただきたいと思いますので、名札を出して。じゃあ、大方委員、どうぞ。
【大方委員】  ありがとうございます。子育ての支援ということの議論だと思うんですけども、幼稚園における子育ての支援とは何かということの一定の整理をしておく必要があるのかなと思っています。言葉の使い方そのものも、幼保連携型認定こども園教育・保育要領は保護者に対する支援という枠組みになっていますし、保育所保育指針も保護者に対する支援ということの中に子育て支援というのが入っていて、幼稚園教育要領は、教育課程外の教育活動としての中の子育ての支援の部分が入っているという、そこら辺のところをきちんと議論して、今回、改訂の中で位置付けをどうしていくかということの確認がまずは要るのかなと思っています。
特に子育ての支援という部分に関しましては、私も自宅を開放して30年ぐらい、地域の子育て支援、未就園の子供さんを長く預からせていただいたりとか、保護者の相談、又は情報提供、又は地域のいろんな場所へのつなぎというようなこともしてきたんですけれども、未就園の方々に対する幼稚園に来るまで、3年保育なのか2年保育なのか、2号から1号になるかということも踏まえて、地域の未就園の方々がこの時期にどういうことが家庭教育として大事なのか、又は遊びというものに子供の育ちにどういう意味があるのかとか、どういう体験をしておくことが次の幼児教育なり学校教育につながっていくかという情報提供、又はインクルーシブも含めまして、しんどい子供さんがいたときにどこの窓口につなげたらよいかという提供を、いわゆる幼児教育センター的な位置付けとして現在も位置付けられているところがあるんですけども、より明確にしていく必要があるのかなと思っています。
その中で、私自身もいろんな保護者の御相談に乗る中で、子供自身のことがよく分からない、一体、子供って何者かということがよく分からないということが、未就園の場合は非常に多いという部分と、それから一生懸命、保護者としても関わりたいんだけど、どう関わってよいか分からないとか、幼稚園を選ぶときにも、何を基準に選んでいくことが将来の子供像として大事かということの意味が分からない。その辺のところも幼稚園の役割として、よい意味で連携していくことが、今後の幼児教育の質的向上やその次の小学校との接続においても非常に重要なベースになる体験が家庭教育にあると思いますので、たとえ就労されたとしても、その基盤形成ということは原則として幼稚園教育要領の中であったらよいのかなと思っています。あくまでも子育ての支援というふうに位置付けてきたことの意味というものがここでは問われるのかなと思っています。
それから、教育課程外のことはまた後ほどの議論になるかと思いますので、預かりのことはまた後ほどお話しさせてください。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。じゃあ、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  桶田先生と渡邉先生、ありがとうございました。渡邉先生のお話の中で、保育を分かってもらうとか、子供の魅力をどう伝えられるかというのはやっぱりすごく大きいなと思いました。
ちょっと先日経験した2つの例を簡単に話をさせていただきます。私はある園で、お母さんのメッセージというのを読ませていただいたんですけど、園児が弟に対して注意をしているときの口ぶりが、母である自分や父親とも全然違うと。それで、その弟の気持ちというのをすごく受け止めながら話をしている。これはきっと幼稚園で先生がそうしてくださっているんだろうということに気が付いたというようなメッセージを読ませていただて、気付いたお母さんもすてきだなと思ったんですけれども、幼児期の教育、幼稚園での教育が本当に子供を通して親に伝わっていくという、そういう1つの例かなと思いました。
もう一つは、ある私立幼稚園で、ちょっと去年、園児数が減ったので、お母さんたちが集まって、アンケートを取った。それで「ママズボイス」というパンフレットを作って、「この園に来るとお弁当を作るの大変じゃないですか」とか、「親の出番が多くないですか」みたいなFAQをパンフにして、最後にパパズボイスも入っていたんですけれども、そういうのを配って、園見学に来た御家庭に配った。就園前の御家庭に対して、そういうふうにアプローチをしていく。
それがよかったかどうか分からないけれども、入園児数がすごく増えてきた。それで、その幼稚園の中で子供と同時に親も育つというところがあって、1つは子供を通して保護者自身が子供の魅力だったり、あるいは幼児期の教育に気付くことと同時に、それが地域へ広がっていくということで、子育ての支援のやっぱり根幹は保護者自身をエンパワーすること、エンパワーメントしていくことがすごく大事なんじゃないかと思っています。
今後、中教審で今、言っているような地域学校協働本部の中核を担っていくのは、恐らく幼稚園の保護者だと思うので、その地域学校協働本部の担い手としての保護者をやっぱり大切に、連携を持って育てていくということが子育ての支援に埋め込まれるとよいかなと考えています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。じゃあ、山下委員、お願いします。
【山下委員】  桶田先生、渡邉先生、ありがとうございました。私は今、鈴木先生、大方先生のお話を伺いながら、やはり今、保護者にはいろいろなニーズがたくさんあると思うんですが、それに全て対応していくことは当然、機能的にも難しいことだと思っています。
今、いろんな幼稚園の先生方と話す中で、子育ての支援なのか、子育て支援なのかというところが今すごく曖昧になってきているのではないかなと思っています。幼稚園教育というのはそもそも子育ての支援ということを基本に置いてこれまでもやってきているわけですから、このスタンスはやはり大切に受け継いでいかなければいけないだろうし、教育基本法においても10条でこの教育については第一責任があるというようなこともやっぱり位置付いているわけですから、こういった理念を踏まえて、今の時代に対応した子育ての支援はどうあるべきかということをまず論議していくということがその1つではないかと思っています。
2つ目には、今、幼小の接続ということで、子供たちをどうつないでいくのか、切れ目なくどう支援していくのかというようなことが論議されていく中で、もう一つには、やはり親もきちんと小学校につないでいくという視点が要るのではないかなと思っています。
やはり小学校という制度の違う中に親も入っていくわけですので、いろいろな悩みや不安、葛藤があるわけですね。ですから子供と親をつないでいくという、そういう接続の視点を今後、子育ての支援の中の1つとしては要るのかなということを思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、小枝委員、お願いします。
【小枝委員】  今いろいろ伺っていて思いましたのは、幼児の特性ということを考えたときに、いわゆる預かり保育の時間の上限については、これまでどんな議論があったのかなということをちょっと私、知らないので、もし事務局の方で御存じであれば、それを皆さんで共通理解しておきたいなというようなことを思いました。幼稚園の教育の時間が4時間ですか、決められているんですけども、預かり保育は当然、幼児の年齢とか体力とかいったことを考えて、上限があるはずなんですけども、それについてはどのような議論で、どう決まっているのかというあたりをちょっと知っておきたいなと思いました。
それから、資料2のスライドの17というところに子育て支援事業というようなことが書いてあるわけですけども、その中に、やっぱり「育児不安」という言葉が出ているんですよね。育児不安を解消するのは子育て支援だというようなことのイメージが随分長く言われてきていますけれども、もう時代は移って、もう一歩進んで、もちろん子育て不安に対応することも大事なんですが、もう一歩踏み込んで、育児困難感というのが今、出てきているんだと思うんですね。不安ではなくて、困難感があるんだと。だからそこに手を伸べるという、そういう一歩踏み込んだ考え方を取り入れるということも大事なのではないかなというようなことを思いました。
それに付随することですけども、全てこの子育て支援を幼稚園の教育分野だけでやろうとせずに、心理の方であるとか、それから保健分野、小児保健の分野とか、福祉、医療の方からトータルでチームを組んで子育て支援に当たるという、そういう考え方なんかも取り入れてよいのではないかなというようなことを思いました。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
預かり保育の時間などは、上限って具体的には決めていない気がしますが、どうですか。心身の負担に配慮するという文言はあるんですが。
【沓澤子育て支援指導官】  今、無藤先生おっしゃったように、要領上は「心身の負担に配慮すること」というふうなことはございますけれども、何時間以上やってだめということは、預かり保育に関してはございません。
それで今、実態がどうなっているのかというのは、本日お配りしております資料2のスライドの8のところで、預かり保育に関する実施時間数というのがございまして、実態といたしましては、ここにございますとおり、7ページのところでございますけれども、オレンジのところでございますけれども、午後5時から6時で終了するというのが一番多いということになってございます。
【無藤主査】  いずれそれは議論しますけど、また。
【小枝委員】  ありがとうございます。やはり上限はなかったということなんですけど、上限をやはり議論しておく必要があるんじゃないかなと思っております。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、嶋田委員、斎藤委員、田中孝尚委員というところで一区切りさせていただきたいと思います。
嶋田委員、どうぞ。
【嶋田委員】  私は、幼稚園における子育ての支援についてなんですけども、行政におりますので、まず子育ての支援の中に、親の育ちの支援というのと、子供の育ちを支援するということがあるかと思います。今ここでは親の育ちの支援という活動について、本市の幼稚園、それから保育園も含まれているんですけれども、連携について少しお話しさせていただきたいと思います。
本当に具体的な話になるんですけれども、教育委員会の方でも家庭教育で大切なことということで、家庭への啓発を行っているところです。具体的には母子手帳の交付時ですとか、3カ月健診であるとか、3歳、つまり幼稚園の入学前に子育てに関する啓発活動を行っています。
その中には、やはり親が子育ての中で子供の成長に見通しを持てないというような不安が非常に多いというところ、それから子供の健やかな成長のために、親の関わりが分かりにくいというところで、その2点と、あともう一点、先ほど小枝委員のほうからもありましたけれども、様々な多様な子育ての困難さ、あるいは不安を感じているところで、どの窓口に相談すればよいかというようなところも含めて取りまとめて、リーフレットで配布しています。
その内容については、行政として子育て講演会等の中で周知したりとか、あるいはその内容に適した講演を実施したりというようなところにやっているんですけども、どうしてもやはり年に数回という、年に草加市の場合は教育委員会が実施しているのは3回になるんですけれども、本当に実際に周知するところというのは、直接的に保護者に関わっている幼稚園の先生なのかなと考えています。
そういう中で、行政機関と積極的に関わるというところが大事ではないかなと思います。そこで、様々なニーズに対応する関係箇所との連携を、行政機関がコーディネーターになって園に情報提供をしていくというような関わり、つまりこの幼稚園教育要領の中にも、関係機関との連携というところがありますし、解説書の中にも少し具体的に触れられているんですけども、やはり積極的に関わっていただけると、我々も情報提供しやすいですし、あと市の行政側としては市民一般に周知できる機会になるかなと思っています。それが教育委員会のやっていることですと、小学校、あるいはその先の義務教育の最後の形の中学校に子育てが1つの流れとしてできていくのではないかなと思います。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、斎藤委員、お願いします。
【斎藤委員】  ありがとうございます。先ほどの桶田先生と渡邉先生のお話の中で、子供の成長していく楽しさを感じていくということや、保護者に幼児教育のことを伝えていくことが本来の子育ての支援という、その考え方について、福井県でもその考え方が基本であるととても共感して聞かせていただきました。
地方でいろいろな実態があるというお話も出ましたので、初めにそれをお伝えしたいと思うんですけれども、福井県の場合は、女性のお仕事をしている率というのが大変高く、共働き率も全国トップクラスで高いということになっております。ということはどういうことが起きているかというと、0歳で12%が保育所、認定こども園に入っております。1歳で54.2%が入っています。2歳で69.5%、3歳で86%という率が保育所、認定こども園に入っているという状況です。
じゃあ、小学校に上がるときのその率がどうなるかと言いますと、5歳児の園児数は18.7%が幼稚園、それ以外は保育所、幼稚園を卒園して小学校に上がられるというのが福井県の実態になっております。このような背景から、福井県は幼稚園に特化した子育ての支援とか預かりというのを都道府県として、広域行政として考えるのは難しい状況にあるという、そういう背景があります。
ただ、うちの幼児教育支援センターの方で、例えば園の先生方に、この子育ての支援を考えるときの基本的な考え方としてお伝えしている、それは園種に関わらず、公立・私立に関わらずお伝えしていますのが、保護者の方は、我が子の育ちを共感的に喜び合う、この子が育っていることを理解し、そして喜び合う方を一番信用すると。それがベースであるというところについては、どの園種の先生方とも共有しております。
それで子供の育ちが保護者に対しても、もちろん小学校とか園の中でもそうですけれども、子供の育ちがしっかりと語れる、伝えられる力を付けるということが子育て支援にもつながっていくと考えております。
それから、保護者の方の困難さというお話も先ほど出ましたけれども、やはり福井県のように就労していて一生懸命頑張っている保護者の方の思いというのも共感的に理解する必要があるのではないかと考えています。福井県では、1年生の保護者に対してアンケートをしまして、乳幼児期の子育てでどんな困難さがあって乗り越えたかというような体験談というものも集めていまして、センターが子育て講座をするときには、その保護者に対してこのあたりのエピソードがこの保護者の共感を呼んで、一番理解いただけるのではないかというようなところについてもエピソードを幾つかそういう場面でお伝えしています。
理論をお伝えすることももちろんしていますけれども、例えば体験談の中には、3歳だけれど、園に行くのを嫌がっている、それで自分も仕事を抱えてこの子に自分が関わっていないことがこの姿になっているのではないかと思うと、それでお昼のお弁当だけではなくて、朝のおにぎりとかの弁当を作って、川の堤防でそれを早く出て子供と一緒におにぎりを食べて、園に連れていったところ、喜んで行ってくれるようになったと。そういうようなエピソードを園のそういう機会にいろいろなお話とともにお伝えしますと、あっ、自分にもできることがある、自分が葛藤しながら頑張っている、それを否定されているのではないというところでまた頑張るエネルギーを膨らませていただける、そんなことがあるのではないかと思います。保護者の中には、頑張っている、そして今の保護者のよさというものもありますので、そのあたりに着目する必要があるかと思います。
福井県は今の時期、雪も降り、洗濯物も乾きませんので、地域にコインランドリーというものがあります。週末、山ほどの洗濯物を抱えて、子供を連れてそういうところで一気に大きなものを乾燥させるという、そういう文化もありまして、そんな中、子供に荷物を持たせて、そしてそこで一緒にタオルを畳んでいる姿を見ると、もちろん福井県も様々な課題を抱えてはいるんですけれども、そういうことを具体的に、こういうことってすごく大事なことですよねということを言葉にして、園の先生方が発信することも必要なのではないかと考えています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、田中委員。
【田中(孝)委員】  桶田委員、渡邉委員、ありがとうございました。大変、きょうは共感的に聞かせていただいたんですけれども、言うまでもないかもしれませんけれども、子供の育ちのために子育ての支援があるんだということは大事に考えたいなと思います。お2人の話の中にも幾つかそいうったことが出てきたんですが、やっぱり子育ての、子供という存在がどれだけ魅力的かを伝える役割を果たすんだというお話であったりとか、幼児教育のよさというものを伝える場ということも、そこのところが特に在園の子供たちの保護者にとってはすごく大きな意味合いがあるんだろうなと思います。
ただ、一般的にはどうしても子育ての支援というのが、またこれからの議論になると思うんですが、教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動、そっちの方に意味合いが重きを取られてしまう傾向はやっぱりどうしても強くて、うちに来る保護者の中にも、いろんなところに、幼児教育の施設に行くときに、その教育課程終了後のことの充実を前面に押し出して説明がなされることも多く聞きます。それに乗っかってしまうというような保護者の方も中にはいらっしゃると思うんですけれども、そうではなくて、本来、子供たちのためにどれだけのことを考えてしているのかということに重きを置いて考えてくださっている保護者もいらっしゃるので、そちらの方向に保護者の気持ちが向かうような子育ての支援でありたいなと思います。
ということを、一般的な留意事項の8番のところがそれに当たると思うんですが、そこらあたりの子育ての、教育課程の時間内に行っているような、例えば保育参加であったりとか、実際に参加して、ほかのお子さんの様子であったりとかほかの保護者の方の関わりの様子を見ながら、自分の子育てについて見直して、保護者の方が子育てについて前向きになっていくような、そこらあたりの実際に教育課程内に行っているようなことの重要さみたいなものももう少し前面に出るような方向で充実していけるとよいなということを思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
まだおありかとは思いますけれども、次の預かり保育の方についても少し御意見、頂きたいと思います。子育て支援の方は、事務方の方でいろいろ整理していただいて、皆様方の補足意見なども入れながら、またどこかで御意見、頂戴できるかと思います。
次ですけれども、幼稚園における預かり保育の充実についてでございますので、また御自由に御発言、お願いしたいと思います。どなたからでも、よろしくお願いいたします。
では、神長委員、どうぞ。
【神長主査代理】  前の子育ての支援とちょっと重なるところもあるんですけれども、認定こども園になって長時間の子供を預かるようになった園長先生の言葉なんですが、印象深く残っている言葉がありまして、いわゆる0・1・2歳のときの長時間のお子さんと、3・4・5歳の長時間の子供を預かる際に、知っておかなきゃならないことがあるということをその園長先生が私に教えてくださったんですけれども、0・1・2歳のときには、お母さん、お父さんかもしれませんけれども、朝、園に来たときに、いわゆる保育士さんがひざに抱えるなり手をつなぐなりして、お父さん、お母さん、行ってらっしゃいと言って声を要するに一緒に出しながら送り出すと。
でも3・4・5歳になると、もちろんそういう「行ってらっしゃい」という言葉はあるんですけれども、子供が「行ってきます」と言って園に来ることがすごく大事で、そう考えたときに、2歳から3歳の移行って、3歳の3月31日から4月1日へ、いきなり「行ってきますと言いなさい」と言って、できることじゃないので、いかに子供の自立に大人が関わっていくかということを、いわゆる保護者の立場からとか、園の先生の立場、保育士さんや幼稚園教員ですけれども、の立場から一緒に考えられるような体制にならないと、子供が「行ってきます」となかなか言えないんだという話を聞いたときに、ああ、確かに「行ってらっしゃい」って、本当に泣く子を抱きかかえながら「行ってらっしゃい」と、私自身も子供を預けてきた立場からすると、小さいときには、本当にそう言いながら自分が送り出されたなと思うんですけれども、でもいつの間にか子供は「行ってきます」と言って園に行くようになるわけですね。
それは幼稚園だから、認定こども園だから、保育園だからではなくて、やはり集団の生活の場はとても魅力的だし、園に行くと自分でやらなきゃならないことは自分でやるという気持ちが育ってくると「行ってきます」という言葉が言えるんだと思うんですね。先ほど川原でおにぎりを食べてから行くという、やっぱりそういうぬくもりの中から、子供って自立というものが生まれてくると、やはり預かりだからとか、先ほどの4時間と7時間の渡邉先生のお話ですけれども、それと非常に関連するんですけれども、やはり4時間の教育はしっかり行うということもものすごく大事なんですけれども、保護者と一緒に、やはりそういう中で子供の自立をどう支えていくかということが考え合えるような体制作りというか、連携というものが大事かなと。預かりの問題を考えるときに、そういう問題もしっかり理解するということも大事かなと思うんです。
ただし、私も養成校におりますから、本当に若い先生がそこまで行くかというと、本当に大変です。保育とは何ぞやという話で4年間終わっているようなところもありますし、それだからといって、初任の先生ができるかというと、そんな簡単に、理屈では分かってもできないしというところなんですね。
それで、いわゆる子育て支援を長くやっている先生のお話を伺ったときに、子供をよく見なさいと言うのはとても簡単なんだけれども、よく見て、何を見るかでどう変わるかというところに気付くまでにものすごく、その保護者によってアドバイスの仕方って難しいんだという話なんですが、幾つかの段階なりパターンなりがあるんだと思うんですけれども、例えば遊びをよく見ていてごらんなさいと言うと、本当に不安感というか困難感、先ほどの困難感という言葉もありましたけど、抱いているお母様方は、対面で子供の遊びを見ているんだそうですね。
それで、いわゆる後ろからとか横からという保育の中の遊びに対する援助ですけれども、そういう状況に応じては一緒にやるけれども、見て見ぬふりという関わり方も1つというようなことに気付いていくためには、そういうアドバイスができるためには、そのいわゆる幼稚園の先生がそれなりの保育の中での自分の子供との関わりを対象化して話せるようになっていかないと、なかなか、いわゆる教員の資質として、新任の先生がいきなりそこができるかというと、やはり自分もこんとんとしながら、幼稚園教員の立場としての資質を身に付けているときに、子育てのアドバイスで成長をよく見ましょうと言っても、具体的なアドバイスができないというようなことも現実的にはあると思います。
ですから、こういったことを考えると、課題ということは、やはり子供の自立をどう支えていくかというための保護者との関係作りというのもすごく大事なことですし、それに見合うような、私は最初に連携ということも質問させていただきましたけれども、やはり体制作りというのは大きな課題かなと思っております。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、宮原委員、お願いします。
【宮原委員】  私は民間の立場から発言させていただきますけども、去年の少子化大綱ですとか、あと昨年の男女共同参画、第4次の基本計画になりましたが、この第1章で、「男性の意識改革」なんていう言葉が記載されていまして、資料2にもありましたように、幼児の生活の現状を見ると、やっぱり母親に随分偏っているなという感じがしました。桶田委員からもありましたけど、イクメンは増えつつもありますけど、まだまだ少数派でございまして、私はやっぱり家庭における父親の育児参画というところをもっとこの幼児部会の中でも取り上げてもよいのではないかという気がしています。
ちょっと資料はお手元にないですけど、諸外国とも比べて、6歳未満児を持つ父親の平日の育児時間って30分。家事も実は30分で、欧米なんかに比べると、非常に劣っているということで、それがやっぱり最大の障壁、長時間労働ということがありまして、やはり幼児期というのは、父親にとっても、「パパ、パパ」という、一番、子供のかわいい盛りでもありますし、これが中・高生になってきますと、逆に一緒に歩くのも嫌だとか、いずれ子離れも、子供の方から離れていくような傾向も聞くこともございますので、幼稚園に行く父親のドライブが掛かるような何か仕組みを考えてですね。文京区はたしかファーザーリングジャパンというところがあるかと思いますけど、そんな父親、小学校に入ったらPTAとかこういった活動に参画できるような世の中にしていくようなムーブメント、こんなところでも問題提起できたらなと思っております。
そのために、我々も企業で働き方見直し研修などもやっておりますけども、企業においてもそういうことを啓もうしていくことも重要かなと、一つの意見として述べさせていただきます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、大方委員、お願いします。
【大方委員】  ありがとうございます。預かり保育長時間、いわゆる教育課程外ということで考えたときに、今後ますますこの2号の子供さんも含めて、就学前の長時間化ということを前提にすればするほど、教育課程外の教育内容という活動内容の一定の整理なり示唆というものが明記されておく必要があるのかなと思っています。
預かり保育の試行が始まったときに、豊中市の方で文部省の委託研究がありまして、3年間、本当にまだ始まりの段階で参画させていただいたりしたときに、初めは非常に反対が多かったという経緯があります。なぜそういうことをしなければいけないかという。
そのときに、じゃあ、本当に4時間終わって家に帰ったときに、子供たちは心地よく過ごしているのか、どういう活動をしているのか、本当に地域に出ていっているのかということを現場の先生方と一緒に調べたときに、意外ともう帰ったらゲームをしているだけとか、ごろごろしているだけとか、お手伝いをしているわけでもないとか対話をする相手がいないというような、この幼稚園教育要領の改訂の時点で既にそういうことが起こっていて、現在はよりそのバージョンが上がってきているということを考えたときに、この教育課程外の時間の中で、先ほど渡邉委員もおっしゃっていましたけども、疑似的かもしれないけども、本来、特に小学校のこの端境の目標を考えれば考えるほど、教育課程外の時間をよい意味で活用して、体験の質を向上させていくという視点が必要になるのかなと思っています。
そのときに、先ほど労働の問題がありましたけども、これは2号の方もそうなんですが、できるだけ同じ担任の先生との関係性だけではなく、これだけ保護者から離れれば離れるほど、違うタイプの方と対話をするとか、違うタイプの方の言語を聞くとか、そのことによるまた認知力が変わっていったり、社会への適応力が高まっていったりということがありますし、心地よい関係でなければいけないんですけども、そのところも踏まえると、よい意味の学生の活用であったりとか、地域の方々、セーフティネットは掛けつつ来ていただいたりとか。
豊中市の場合も、予算がありませんでしたので、100%地域の方とか学生ボランティアということを前提にカリキュラムを作りました。そのときに、その地域性もありますので、必ずしも地域の方々が来ていただいたらよいという成果があるわけではないんですけれども、子供たちがごっこ遊びとしてやっていることが教育課程外の中で疑似的に体験したりお店屋さんに園に来てもらって体験したりとか、違うタイプの方の話を聞くことで、昼間の教育課程の子供たちへの影響も心地よく出てきて、「きのうこういう遊びをしたんだけど」というやりとりが始まり、昼間の教育課程の子供たちの遊び力も上がり、家に帰ってからの体験がまた教育課程外にいた方々への影響になりということがありました。
さっき、これも渡邉先生がおっしゃったんですけども、困難ではなくて、違うタイプの方が交流する。ただしそこには、そこにいる教師の役割というものが非常に大事になってくるんじゃないかなと思いますので、その辺の研修の視点なり、先ほど神長先生もおっしゃったように、学生にこれをやれと言ってもなかなか困難さが付きまとってくるという課題はあるとは思うんですけども、ちょっとその辺の整理はしていただいた方がよいかなと。
実際にやってみると、おやつを家から持ってきてもらうのかとか、アレルギーの除去食はどうするのかとか、お迎えの時間はどうするかとか、1号の場合、幼稚園型の場合、毎日利用する人ではないので、どうするかとか、いろんな課題はたくさん出てきて、現場の先生はそれを工夫しながら多分なさっているんだと思います。
それからもう一つあるのは、その教育課程外にどういう活動をしたかということを、利用されない方々にもやっぱり発信しなきゃいけないということがありまして、豊中市で試行したときには、「クマチャンタイム」だったと思いますが、それを、こういう体験をしたんだよ、こういうことは本当はおうちでも必要なんだよという発信をしていったという経緯があります。
それから、最後になりますけども、教育課程と教育課程外の時間の子供たちの負担感というものも調べたときに、やっぱり運動会の練習とか夏暑いときの教育課程をしたときは、教育課程外の時間はやっぱり静の時間にしていくとか、そのウエーブも考えておかないと、いつも教育課程外を同じトーンでがーっとやっていってしまったり、何となくいればよいという形にしてしまうと体験の質の向上にはならないので、2号が増えれば増えるほど、この辺の整理をしていただけたらよいのかなと思いました。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  砂上です。預かり保育ということについて、これまでもかなり実績があるというか、進んできているところなので、各園、様々な工夫がされているかとは思うんですが、今後この預かり保育の部分で保育を受ける子供たちが増えていく、また時間も長時間化の傾向があるかもしれないというようなことを踏まえていくと、一つは、やはり子供が1日の園生活の中で様々な先生方に関わっていただけるというよさがあると同時に、やはりそれぞれの時間、早朝であって、教育過程の時間があって、また午後、更に夕方という、それぞれの時間で子供がどのように生活をしていたかということ全体を把握するとか見通しを持つということが園としてやはりすごく重要になっていくと思うので、そのあたりの保育者間の連携の在り方、実際には様々な工夫で行われているかとは思うんですが、そこの連携というか、そこのところが一つ必要にはなってくる。
それぞれが細切れに変わっていくということではなくて、やはり1日の園生活全体をどう計画してデザインするかということの構想が必要ではないかということと、あと大方先生の御意見にも重なるところなんですが、やはり預かり保育の時間、教育課程外であるということがあるんですが、その保育内容というのがどうあるべきかということの整理ということで、今、幼稚園教育要領の解説等にも、幼児期にふさわしいとか、幼児にとって充実し、無理がない1日であるようにというようなことが書いてあるんですが、恐らく、先ほど渡邉先生の御発表等にもあったように、そこの体験の質、生活の在り方を充実させようと思えば、本当に可能性はすごくあると思うんですが、最低限のラインというか、ここはしっかり押さえるべきというところを決めておかないと、この時間をそれこそただ子供を預かっていればよいというか、けがせず安全に過ごせればよいというようなレベルで進んでしまってはいけないということがあるので、向上ということも一つあるけれども、その最低限のところで、何が保障されなくてはいけないのかということをもう少し明記しておく必要があるのではないか。
更に言うと、やはり幼児一人一人の個のニーズということが、よりもう少し午後、夕方の時間ということは尊重されなくてはいけないのではないかと感じています。預かりのよさは、異年齢の交流というところにあると思うんですが、そこですごくよい姿が見られるという事例は私もたくさん見てきてはいるんですが、やはり人数が多くなっていくと、異年齢であっても、やはり同じ活動の流れ、まず保育室から預かりのお部屋に来て所持品を片付けて、少しお部屋で遊んでからまたお外に行ったりおやつというような形で、結構時間の区切も細かくあったりして、でもそれは割と全員そろってお外行きますよとか、じゃあ、おやつだからというような形で、異年齢の子がいて、結構、集団規模が大きい中で、同じ時間帯、活動の流れで割と進められていくときに、そこで何か子供が追い立てられたりとか、一人一人のニーズがちょっと軽んじられたりすることがないようにというようなことで、そのあたりはやはりもう少し丁寧に見ていく必要があるのではないかということも感じています。
ですので、預かりを担当する教員の担当者のお話は、桶田委員の方からもあったんですけれども、預かりこそかなり見通しを持って、子供の1日の生活の見通しもそうだし、子供の育ちの見通しというようなことも持てる人が担当することが必要ではないかなと感じてもいます。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、田中雅道委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  家庭の子育ての支援というところも含めての話になるんですが、家庭教育と地域の教育と施設における教育、この全てを面として幼児教育としてどう捉えていくのかという発想で整理していく時代だろうと思っています。家庭教育と、例えば幼稚園のどう接続があるのかというところの中から、先ほどから出ている家庭をどう支えるのか、家庭の中で子育てを困難と感じている人をどう支えるのかという役割も、やはりこれは施設として行っている幼稚園、保育所の大きな役割の一つだと位置付けるべきだと思いますし、その面の発想で、もう少し整理できたらと思っています。
もう一点は、現場の発想で言いますと、一般論で済まない時代になっているなというのを思うんです。いろんなところによく今の保護者の方は情報を取られるんですが、その情報を取られる特性は、自分の子育てを肯定的にやっている情報は非常によく取られるんですが、そうでない情報に関して言うと、拒否されると。
だから園として一番大事な部分は、新たな子育てが、どちらかというとちょっとどっちに寄っているよと、そこをもう少しこういうふうに修正したらどうだというようなことを支えていける役割も必要な時代だろうと思います。
その辺で一つ思ったんですが、先ほど大杉さんが言われた情報のところで、やっぱりその情報機器をどの時代からするのかということについて、あるべき姿というのはどこかで提案していかないとならないんじゃないだろうかと。
先日、ある勉強会で出たんですが、ブログの中で、ある保護者の方が、「私の子供ってすごいよね」と、「ゲームで7時間ずっとしていた」と。「この集中力ってすごいよね」という発信したら、それから返ってきた答えが、「すごいよね。だから私、8時間にチャレンジする」と。幼稚園の子供に向かって、親がそういう情報の取り方をしている時代なんだということを、現実にもうなっているんだということをもう一度考えて、どうあるべきなのかということはやはりきちっと発信した上、だからその年代の生活がどうあるべきなのか、その中で我々はどういう役割をするべきなのかという時代を迎えているんじゃないのかというのを痛感しております。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、田中孝尚委員。
【田中(孝)委員】  失礼します。子育て支援も絡んでくるんですけれども、大事に今、解説の中でも言われているのは、地域の幼児期の教育のセンターとしての役割ということが大事なことなんだろうなと思うんですけれども、どうしてもやっぱり先ほども申し上げましたけれども、何か預かってもらうということのメリットみたいなものだけがひとり歩きしがちなところがあるので、そこらあたりに何とか警鐘を鳴らすようなことは必要なんだろうなと思います。すぐれた取り組みをされている例も実際に聞きますので、そうしたところがもう少し広まっていくということは大事かなと思います。
実際、データとかを見せていただくと、例えばこれは資料2の7番とか8番のところを見ると、本当に幼児の心身の負担に配慮されているんだろうかというあたりはやっぱり気になるところではありますし、スライドの9番から見ると、預かり保育のための人員の確保は6割弱しかないというのは現実問題としてあって、そこを何とか現場の先生方が苦労しながら取り組みを進めていらっしゃるというような現状があるんだろうと思います。
実際、10番では、預かり保育における保育担当者の状況みたいなものも、資格ないですよという方も実際、現実問題としていらっしゃる。これはまたそこを、資格はないけれどもうまく活用しているのか、それとも単に人がないからなのかというあたりが知りたいところではあるんですけれども、このあたり、実際に子供たちのためになっているのかどうかということの確認と、そっちの方向に向かうための方策というものは明らかに示していくということは要るのかなということを感じました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、横山委員、お願いします。
【横山委員】  横山です。先生方のお話を聞きながら、やっぱり一番は、子供は24時間を生きているので、コアの4時間であり、その後の預かりでありというのではなくて、全体1日じゅうを見た視点というのはとても大切なのではないのかなと思います。
子供たちも、幼稚園で見ていると、「きょうは私、預かりやねん」と、「俺もや」と、預かりなんて言ったりするんですけれども、渡邉委員もおっしゃっていましたけれども、そもそも「預かり」という言葉が保育の中に規定しちゃったりだとか、見え方を変えちゃったりというところもあるんだろうなとか、「教育課程外」というのがまた、外なんですけれども、何と言うか、言葉のところから見えてくる保育の中身、狙いというのがちょっとずれてきているものがあるのかもしれないので、言葉の領域ですので、是非そのあたりの用語の使い方というのも検討していただけるとよいのかなと思っています。
あとは、積極的に子供の24時間のそれぞれの時間帯の狙いであったり生活の過ごし方というのを、4時間もコアなんだけど、朝の時間だとどんなふうに子供たち過ごせばよいのかな、それで4時間終わった後、子供たちどういうふうに過ごせるのがその後に続くのに幸せなのかと、輪切りではなく、何か全体を通しながら各時間帯の狙いであったり生活のありさまというのを考えていっていただけるとよいのかなと思います。
あと一点は、保育者の養成の方におりますので、学生さんたちと話をしていると、4時間コアのところと、その後、いわゆる預かり、外のところというのは、保育者の援助というのは変わるんでしょうかと。家庭的と言うと、泥団子で遊んでいても違うんですか、援助の仕方ってどう変わるんですかという質問を受けたりもします。
あとは、卒業生の話を聞くと、4時間のときに担任を持っている子たちを預かりで担当するとき、私の立ち位置はどこに置けばよいだろうと。家庭的というときは、クラスみんなの前に立ってお話をする立場にいるんだけれども、個人的、家庭的というときはもう少し近寄っていけばよいのだろうか、私は距離感をどう置けばよいのかというような迷いもあるよねというお話を聞いたりもします。
そういうことを考えると、子供のやっぱり1日24時間の中で、子供たちどんなふうに過ごして、そこにどういう保育者の援助の在り方、狙いの持ち方というのがあればよいのかなというのをちょっと丁寧に見ていく必要があるのかなと感じております。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、阿部委員、お願いします。
【阿部委員】  阿部でございます。皆さんのお話を聞きながら考えることは多いですが、もう一つだけ、すき間のようなところがございまして、先ほどプレゼンで8ページのところが、長期休業中の預かりの時間帯が8時間以上ということがこれだけ多いことになっています。要は子供に目が掛かる、手が掛かる時間帯と、逆に言うと、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちは学校の方の、我々の札幌の方ではミニ児という児童会館のほうに預けられて、幼稚園の子たちはまた幼稚園というふうに、こういったところの支援なり、目が掛かっていくということも含めて、やっぱりそういうことを論議の中にも入れていっていただければなと。
小学校の先生方、そのニーズを受けている先生方も、そういった小さい子も預けてはもらえないのかというようなことも聞かれて、人手が俗に言う足りないと。人は抱えてあげたいけど、人手が足りないというようなことも含めますと、やはり人員の確保と、それからやはり先生方の勤務体制をどうやってこれから作っていくのかというのは喫緊の課題でもありますので、そういった論議もできるだけ多く声を上げていってほしいなということは思っております。
ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。最後に小枝委員。
【小枝委員】  お時間が来ているところで。
今までお話を伺っていますと、預かり保育を充実してというお話が割と多いかなと思うんですけど、私自身は、ほどほどでもよいかなとちょっと思うんですね。4時間一生懸命、幼児教育を受けて、あとは本当に預かり保育そのままで、家庭の代わりという視点もあってよいのかなと思います。
だから先ほど時間の上限がという話をしたんですけども、親が親になるチャンスを奪っちゃいけないと思うんですよね。なので、何でもかんでもよいものを提供してよいということではないんだろうと思うんですよね。親が親になるチャンスを奪うような預かり保育、私が見るよりも預かり保育に預けた方が子供が立派に育つというようなことでは、ちょっとやっぱり何をしているのか分からないという気がいたします。
ですから、きちんと正規の4時間に先生方に教育に専念していただく。そして預かり保育はやはり預かり保育として、子供がちょっとほっとする時間、そういったようなものが幼稚園の預かり保育であってよいのかなというようなことをちょっと思いましたので、最後に発言させていただきました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、きょうのところは議論はここまでとさせていただきますけれども、いろいろ出し尽くせない御意見等々おありかと思いますので、その点につきましては事務局に後ほどペーパーなどでお送りいただければと思います。それらを受けて、事務局として論点を改めて整理して、どこかでまたこの会議に掛けていただければと思っております。
【沓澤子育て支援指導官】  ありがとうございました。次回は3月7日月曜日、10時からの開催となってございます。場所は、文部科学省内の会議室を考えてございます。
また、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えてございますので、ファクスまたはメール、郵送でお送りいただければと考えております。取りまとめの都合上、2月4日木曜日までに頂ければ幸いでございます。
なお、本日配付しております資料につきましては、机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【無藤主査】  ということで、しばらく空くと言いますか、2月がないということになりますけれど、議論、意見として、いろいろお出しいただきたいことはたくさんありますので、様々な形で事務局に御連絡を頂戴できればと思います。
それでは、第4回の幼児教育部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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