教育課程部会 幼児教育部会(第3回) 議事録

1.日時

平成27年12月24日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼児教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】  皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会の第3回を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席を頂きまして、ありがとうございました。
まず、今回初めて御出席いただいた委員がおられます。事務局より御紹介をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、御紹介申し上げます。北村友人委員でございます。
【北村委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  志民一成委員でございます。
【志民委員】  志民です。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  田中孝尚委員でございます。
【田中(孝)委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  なお、北村委員におかれましては、11時半ぐらいに御退席される予定でございます。以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、早速、議事に入りたいと思います。
本部会の審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただいてございます。また、第6条に基づいて、議事録を作成し、原則公開するということで取り扱うこととさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日、報道関係者より、会場の撮影及び録音の申出がありました。これを許可しておりますので、御承知おきください。
それでは、議事に入ります前に、平成28年度政府予算案編成状況につきまして、御報告をお願いいたします。
【淵上幼児教育課長】  失礼します。
参考資料の後ろの方に、参考資料の2を付けさせていただいてございますが、幼児教育の無償化に向けた取組についてということでございます。平成28年度の幼児教育関係の予算について御説明を申し上げます。
参考資料2にございますように、既に報道などでも出されておりますけれども、幼児教育の無償化に向けた取組について、低所得世帯の1の多子世帯の保護者負担軽減、また、2のひとり親世帯などの保護者負担軽減ということで、合わせまして、文部科学省予算として22億円増の345億円を計上するということにしてございます。
具体的な中身は、この1の多子世帯の保護者負担軽減としては、360万円までの世帯につきまして、現行では小学校3年生までとされています多子の計算についての年齢制限を撤廃いたしまして、第2子の保育料を半額、第3子以降を無償化するということを完全実施するというものでございます。
ひとり親世帯の保護者負担軽減についても、第2階層、約270万円までの世帯の方については、第1子、第2子とも無償化と。第3階層の方々につきましては、第1子をおよそ半額、第2子を無償にするという措置を講ずる予定のものでございます。
このほか、本日、資料はございませんけれども、幼児教育関係予算として、都道府県に幼児教育センターを設置する、あるいは、市町村に幼児教育アドバイザーを配置する、こういったモデル事業を行っていただくための予算など、幼児教育の質の向上に関する予算を含めまして、幼児教育関係予算400億円余りが計上されているところでございます。
さらに、28年度には、国立教育政策研究所に幼児教育のナショナルセンターとして、我が国初めてのナショナルセンターとなります幼児教育研究センターを整備することも盛り込まれているところでございますので、併せて御報告を申し上げます。
以上、28年度の政府予算案等の御説明でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料の1から6、ただいま御説明いたしました参考資料の1、2、そのほか、机上に教育課程企画特別部会の論点整理を初めといたしました参考資料の方を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局の方にお申出をいただきたいと思います。
なお、机上にまたタブレット端末の方を置いてございますけれども、その中には、本部会の審議に当たり参考となる幼児教育関係の資料、それから、小学校学習指導要領の解説、関係する審議会の答申等のデータを入れてございます。
御参照いただく場合には、お手数でございますけれども、机上に配付しております使用方法を説明したペーパーの方を御覧いただきたいと存じます。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
次に、配付資料の御説明をお願いしたいと存じますけれども、その前に、教育課程部会総則・評価特別部会が本部会と並行して開催されてございます。総則・評価特別部会から本部会に対して、共有すべきことがあるということでございますので、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程課教育課程企画室長】  失礼いたします。
総則・評価特別部会、教科、学校種を見通した全体的な議論を取りまとめていくような場になりますけれども、こちらの方におきましては、各教科、学校種別ワーキング特別部会の議論の状況を随時、御報告をさせていただいているところでございます。
先日開催されました総則・評価特別部会におきまして、検討状況を報告させていただきましたところ、論点整理に沿った御検討を頂いているということに対して感謝の意を述べられますとともに、以下5点について、各チームにお伝えいただきたいということでしたので、以下、羽入主査に代わりまして、お伝えをさせていただきます。
1点目でございます。本日、議論いただくことにも関わることでございますけれども、各部会、ワーキンググループの検討事項のうち、他教科の検討にも関わる重要な内容に関しましては、可能な限り、早い段階で議論を行い、総則・評価特別部会及び各教科等ワーキングにおいても、しっかり検討できるようにしていただきたいということでございます。
お手元に資料の6-2というのがございますので、お手元に御用意いただければと存じますけれども、資料の6-2を御覧いただきますと、例えば、72ページでございますけれども、72ページには理科教育のイメージということがございます。小・中・高だけではなく、幼児教育からどのように資質・能力というものをしっかり育んでいくかということを、内容ベースというよりは、どのような力を育むかという観点から、しっかりとつなげていくというような観点から御議論を頂いておりますけれども、今回、全ての教科において、こういった形で、幼児教育で育まれたものがいかに各教科の中で生かされ、伸ばされていくかということをしっかり整理していこうという検討をさせていただいておりますので、そういう意味では、5歳児までに育みたい姿といったような整理が全ての教科の議論に影響を及ぼすということでございますので、こういった観点から、今日も御議論いただければというふうに思います。
続きまして、総則・評価特別部会からの伝達事項の2点目でございますけれども、社会に開かれた教育課程という観点からは、教育要領、指導要領の法的な性格というものは踏まえつつも、教員のみならず、例えば教職課程で教員を目指す学生さんでありますとか、地域で教育に関わるような方々というのが、教育要領、指導要領を読んで、十分、趣旨が伝わるというような構成や文章とすることを心掛けていただきたいということでございます。
3点目でございます。発達に応じた目標、内容の系統性という縦の軸と、現代的な課題に教科横断的に対応するという横の軸の双方を意識しながら、それぞれの部会、ワーキングで検討いただく内容が、その中で持つ意義ということを明確にするという観点から、育成すべき資質・能力について検討を進めていただきたいということでございます。
4点目でございます。学校卒業後、特定の学問分野や職業に進む場合だけではなく、どのような職業に就くとしても生かすことができるような、本質的な学びということを重視し、資質・能力の御検討を頂きたいということでございます。
最後の点でございます。各部会、ワーキングにおいて、各教育内容の特性や独自性を踏まえた御検討を進めていただく一方で、総則・評価特別部会や、年明けからは小・中・高の学校種別部会というのもスタートする予定でございますけれども、こうした全体的な構成に関わる議論の状況も踏まえながら議論を進めていただきたいということでございます。
以上がお伝えいただきたいということで言付かってきた事項でございます。
それから、前回の総則・評価特別部会におきましては、特に特別支援の観点から、学校種、教科を見渡すような議論を特別支援教育部会の議論を基に御報告いただいたところでございます。これも、資料の6-2を御覧いただければと思いますけれども、1枚おめくりいただきますと、1ページ、特別支援教育部会における検討事項についてというところがございます。この検討事項の2つ目でございますけれども、幼・小・中・高においてということで、1から5のような内容のことを御検討いただき、各部会につないでいただくということになっていたところでございます。幼稚園も含めた、特別支援教育の観点から、教育要領、学習指導要領に盛り込むべき内容のアドバイスを頂いたところでございますけれども、具体的には、資料を少しおめくりいただきまして、19ページになります。
19ページに、各教科等における障害に応じた配慮事項についてということでございます。19ページ下の方は幼稚園における障害に応じた配慮事項についてということでございますけれども、幼稚園教育要領、これまでは、障害別の配慮の例ということで、御覧のような、これまでの示し方という左側にあるようなことを示していただいたところでございます。
幼稚園教育要領、それから小学校、中学校、高等学校の学習指導要領も同様でございますけれども、右側の改善の方向性というところにございますように、障害別の配慮のみならず、学習の過程で考えられる困難さや幼児の活動を通じて考えられる困難さごとに、そこには情報入力でありますとかイメージ化、統合、処理といったことが例示で掲げられてございますが、こういった活動のプロセスの中で考えられる困難さというようなことも含めて、例示をお願いすべきではないかということでございます。
20ページをおめくりいただきますと、例えば小学校の例で、教科別に様々に示されてございますけれども、次期改訂におきましては、こういったように教科別に困難さの状況に対する配慮の意図や手立てということを示していくということも考えていくということで、御議論を頂いております。
22ページ目の一番下に、幼稚園の例ということでございますけれども、幼稚園におきましても、例えば、見えにくく、行動が制限される場合に、具体的な経験を豊かにできるように、青字にあるような配慮をするといったことを教育要領本体、若しくは解説も含めて盛り込んでいくということを御検討いただきたいということが総則・評価特別部会の前回の御議論でございます。
また、今日、御議論いただくうち、その中に関する議論は、特にスタートカリキュラムという観点からは、生活科における議論ともかなり密接に関連しておりますので、そちらの方にも随時、御報告をさせていただきながら、議論をつながせていただいているということを御報告申し上げます。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。以上の点は、是非、御議論の参考にしていただければと思います。
続きまして、配付資料の説明をお願いします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の方の説明をさせていただきます。資料の1から順番に御説明をさせていただきたいと思います。
まず初めに、資料の1の方を御覧いただきたいと思います。本日は、前回と同様に、前半の時間を使いまして、幼児期において育みたい資質・能力について御議論いただきまして、後半の時間を使いまして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化を御議論いただきたいと考えてございます。
なお、前回、幼児教育部会におきましては、2の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化につきまして、御議論いただく時間が少なくなったことから、本日につきましては、この幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化について、特に時間を割いて御議論いただきたいと考えてございます。
それではまず、幼児期において育みたい資質・能力について、先に説明をさせていただきます。
本日の論点でございますけれども、ここにございますとおり、前回の幼児教育部会における議論や幼児教育の特性を踏まえ、小学校の各教科等における教育の前倒しと受け取られないようにしつつ、幼児期において育みたい資質・能力の明確化を図るにはどのような工夫が必要かということで御議論いただくと。前回の部会では、幼児教育の特性に配慮した、幼児期において育みたい資質・能力をどのように明確化するかというような論点で、この資料1の3ページから4ページのところにございますとおり、数多くの御意見を頂いたところでございます。
本日は、これらの御意見を踏まえまして、幼児期において育みたい資質・能力を事務局の方で、次に御説明をいたします資料2に反映しておりますので、これを基に御議論いただきたいと考えてございます。
それでは、資料の2の方を御覧いただきたいと思います。カラー刷りのA4横長の資料でございます。ちなみに、2枚目の部分が前回の反映前の資料でございます。
今回、意見を反映させていただいた主なポイントといたしましては、この配付資料2の大きく幼稚園と書いているところの横のところでございますけれども、個別の知識や技能の基礎の部分を補足する説明といたしまして、前回、幼児期特有の活動がイメージできる言葉に置き換えていく必要があるといった意見でございますとか、気付くとか感じるといった表現があるとよいとの意見、それから、小学校教育の前倒しと受け取られないような表現の工夫が必要といった意見、こういった意見から、幼稚園特有の表現といたしまして、その下の赤字の括弧部分のところでございますけれども、遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて、何を感じたり、何に気付いたり、何が分かったり、何ができるようになるのかといった部分を加えてございます。
それから、その隣の部分の思考力、判断力、表現力等の基礎のところでございますけれども、こちらの方では、考えたり、試したり、表現したりという表現があると良いといった意見、それから、工夫するということを中心に考えると良いといった意見、それから、幼稚園教育要領の幼稚園教育の基礎にあるような内容を入れると特性が表れるといった意見、こういった意見から、幼児教育特有の表現といたしまして、その下の括弧書きの部分でございますけれども、遊びや生活の中で気付いたこと、できるようになったことなどを使って、どう考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするかといったことを加えてございます。
それから、その下の部分でございますけれども、学びに向かう力、人間性等の部分でございますが、ここでは、学びに向かう力、人間性等は幼児教育の基本だということを丁寧な説明が必要といった意見、それから、小学校以上の表現よりも、どのように環境に関わって、より充実した生活を送るかといった表現が適しているのではないかといった意見、こういった意見から、幼児教育特有の表現といたしましては、括弧書きの部分ですけれども、どのような心情、意欲、態度などを育み、よりよい生活を営むかといったことを加えてございます。
また、その下の部分のところでございますけれども、前回の幼児教育部会で、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿についても、育成すべき資質・能力の三つの柱に沿って整理する必要があるのではないかといった意見があったことを踏まえまして、幼稚園教育要領の構造化の観点から、こちらの方に、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の部分を図の中に入れてございます。
続きまして、資料の3でございますけれども、こちらの方は後ほど審議を行う際に御説明をさせていただきます。
それから、資料の4でございますけれども、こちらの資料は、前回、第2回の幼児教育部会でも同じものを配付してございますが、内容の方は、教育課程企画特別部会の論点整理の抜粋、それから、育成すべき資質・能力や幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する資料をまとめたものでございます。内容の方につきましては、前回同様の資料でございますので、割愛をさせていただきます。
続きまして、資料の5でございますけれども、こちらは幼児教育部会の第2回における主な意見をまとめたものでございます。こちらの方も、説明の方は割愛をさせていただきたいと思います。
それから、資料の6-1、6-2でございます。今回の審議におきましては、先ほど大杉室長の方からもございましたとおり、各学校段階、また各教科等の具体的な内容についても、学校教育全体の姿を常に念頭に置きまして、学校間、教科間、相互の連携、協働に努めることが重要とされております。このため、本部会では、幼児教育のみに議論を閉じるのではなく、総則・評価特別部会、小学校部会や特別支援教育部会などの各部会、それから各ワーキンググループとの議論を往還させながら議論を進めていくこととしてございます。
それで、資料の1、こちらはそのようなことでございますので、現在、審議が行われている部会、それからワーキング等の名簿を配付をさせていただいております。
それから、資料2でございますけれども、こちらの方は、現時点の各部会、それから各教科等のワーキンググループ等の検討事項や、特に幼児教育に関する資料等を取りまとめたものをお配りをさせていただいているものでございます。
資料の2で、幼児教育関係の部分で幾つか御紹介をさせていただきますけれども、まず、12月16日に開催されました特別支援教育部会では、この資料の4から6の方でございますけれども、こちらに基づきまして、聖学院大学の金谷委員から、幼児期の特別支援についての御発表がございまして、また、先ほどありましたけれども、2ページの方に戻りますけれども、ここにございます検討課題にありますとおり、1、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善、充実、それから、3のところでございますけれども、合理的な配慮の提供も含めた個別の教育支援計画や個別の指導計画の位置付け並びに作成、活用方策についての明確化、こういった検討事項に基づきまして、幼稚園における個別の教育支援計画や個別の指導計画、幼稚園における障害に応じた配慮事項について議論が行われたところでございます。
それから、72ページ、先ほど大杉室長の方からも御説明がございましたが、こちらの方で理科教育、それから、同じように76ページ、77ページ、こちらの方では、家庭科、技術・家庭科。それから、80ページでございますけれども、健やかな体の育成に関する教育。このように、幼児教育から高等学校を通じた教育の系統性について議論が行われておりまして、今後は、ほかの教科でも同様な議論が行われることになってございます。
それから、91ページでございます。生活・総合的な学習の時間のワーキンググループでは、この91ページにありますとおり、スタートカリキュラムのイメージ図でございますとか、それから、95ページ、96ページの方にございます表、幼小の接続についての資料、こういった資料に基づきまして、生活科について、81ページの検討事項の2のところにございますとおり、生活科について、カリキュラム・マネジメントの視点からのスタートカリキュラムの在り方でございますとか、幼児教育との接続及び他教科等との連携の在り方、それから、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿と生活科において育成する資質・能力との関連性などについての議論が行われているところでございます。
以上、時間の都合上、全ては御紹介できませんでしたけれども、今後ともこのような形で、各教科等別のワーキンググループの検討状況について御報告をさせていただきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。今、事務局から御説明いただきましたけれども、本日の前半におきましては、資料1の教育課程部会幼児教育部会第3回における検討事項、資料2の幼稚園教育要領の構造化のイメージ、仮案・調整中のもの、資料4の資質・能力等関係資料、この三つの資料を基に、前回に引き続きまして、幼児期において育みたい資質・能力についての議論を進めたいと存じます。
なお、もう一つの議題の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化に、より長い時間を割きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
どなたからでも結構ですが、御発言を頂きたいと思います。名札をお立ていただければと思います。なお、マイクの前にボタンがございますので、発言の際にボタンを押し、発言が終わりましたら、お手数ですけれども、ボタンをまた押して、消していただきますようお願いいたします。
では、どなたからでも結構ですが、お願いいたします。
【渡邉(英)委員】 ゆうゆうのもり幼保園の渡邉です。よろしくお願いいたします。
この資料2の構造化のイメージの中の、多分、前回、個別の知識や技能の基礎ということについて、結構、話はしたんですけれども、一番下にある、学びに向かう力、人間性等というところで、どのような心情、意欲、態度を育み、よりよい生活を営むかということになると、この言葉も大事だとは思うんですけれども、今の小学校以上の教科の話で幼児教育が入ってくるとすると、学びとは何かという話になってきます。学びの根本的な考え方は何かといったら、何がよいかというのを自分で探していくとか、よいと思ったことに対して自分を涵(かん)養していくというようなところが、幼児期には一杯あって、何が正しいとされているかとか、正しいとされていることを子供に強いて教えていくわけではない。このことがどんなことなのかとか、分からないことが分かったら面白いとか、自分がやろうと思ったことができるようになったとか、それが自己肯定感につながることでもあるんですけれども、学ぶということは、そもそもそういうことだということが幼児期に押さておく必要がある。正しいとされていることをただ上から教え込むとか、大人から教えてもらうことではないということをしっかり幼児教育が発信していくということが大事であるというのを、今の説明を聞きながら、改めて感じました。学びに向かう力とか人間性というところで、自分で正しさをいろいろ考えながら、そこで、本当にこのことは大事だと思っていくとか、こういうことは分かったら本当に楽しかったとかという経験を一杯することによって、小学校以上の教科につながっていくというところが打ち出せたらいいと感じました。
以上です。
【無藤主査】  重要なところをありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。奈須委員、お願いします。
【奈須委員】  これはむしろ幼児教育の先生方に教えていただきたいんですけれども、この表の中で、幼児教育が基盤とする活動というか営みとして、一つ、当然、遊びという言葉が出ていて、もう一つ、それと横並びに来る言葉として、生活という言葉があるんだろうと思うんです。赤字の括弧書きのところを見ると、遊びや生活の中でという表現があったり、生活を営むということがあったり、その下の方に行きますと、遊びを通しての総合的な指導となっていて、例えば、遊びや生活を通してのとか言った方が広がるのかなと思ったり、その遊びという言葉と生活という言葉をどんなふうな意味合いにおいて実質化していくかということかなと思うんです。小学校以降ですと、一つは生活ということを核にしつつ、それをよりよく支える知識としての科学、学問、つまり教科に分化していくと。
そうなったときに、教科というものが他人事ではなくて自分事、今、渡邉委員が言ったようなこととつながっていくんだろうと思うんですけれども、その基礎、基盤としての幼児教育において、その遊びという言葉と生活という言葉がどんなふうな意味合いとして整理したり、書き込んでいけばいいのかなということは、むしろ幼児教育の御専門の先生方の中でしっかりした御議論があるかと思いますので、教えていただいたり、ここで位置付けたらどうかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。その辺、特に神長委員と思いますけれども、どうですか。その前に、考える時間をおきます。
すごい基本的なことなんですけれども、お手元の解説の256ページが要するに幼稚園教育要領の総則ですが、言わずもがなのことを改めて申し上げると、総則で三つの実効が基本として上がっているわけですね。
その1番というところで、幼児期にふさわしい生活ということで、生活という概念がここに入れられるわけです。ただし、普通のただの衣食住というだけではなくて、幼児の主体的な活動を促すという意味での生活となるんだと思うんです。
2番目のところで、幼児の自発的な活動としての遊びとなっておりますので、恐らく幼稚園にいる間、当然ながら、全てが生活なんですけれども、その中で、とりわけ幼児の自発的な活動としての遊びが成り立つと。
そういう二段構えというのが、一応、構成だとは思って、これが幼稚園教育の基本の基本だと思うんですけれども、その上で、神長委員、解説を。
【神長主査代理】  ありがとうございます。今、無藤主査がおっしゃったとおりでして、実は、そのことの解説が、同じ解説書の中で、32ページにありまして、その二段で考えていくという考え方が最初の1行に出ているのです。幼児の生活はほとんど遊びによって占められていますという、生活を基盤にしながら、子供たちが何かを獲得し、学んでいくというのは、遊びを通して行われるものですよということを解説しております。その点、小学校の生活という教科との関係ではどうでしょうか。
【奈須委員】  生活科の中では、まだまだ子供たちの遊びの工夫とか、遊びの創造ということを通して、いろんなことに気付くとか、それが生活を豊かにしていく基盤だという考え方もありますし、実際の活動もそうだと思うんですけれども、その辺の、遊びを通しての無自覚的な学びから、前の幼保小の報告でいくと、自覚的な学びへと移行していく。その辺をどういうふうに幼児期、幼児期といっても3、4、5で変わってきますね。そこから、今度は6歳、7歳、低学年教育の段階に、どんなふうにグラデーションを掛けて、それが変化したり、深化したりするのかということの、これは幼児教育だけじゃなくて、多分、低学年教育まで含めた描き方。
さっき渡邉委員が言った、子供の学びというのはどういう質のものとして展開するか、あるいは、どういう質のものとして展開してほしいと願い、実際にカリキュラムや意図的な指導を構築するのかという話だと思うんです。そこで、遊びというのが3、4、5、6、7歳と、その辺りまでは、かなり遊びということが入ってくると思いますけれども、それをどういうふうにカリキュラム全体の中で位置付けていくかという話にもつながってくるかなと思っているということです。
もう一つは、小学校以降になると、遊びという言葉がここで書かれているような、すごい意味のあることとか重要なことであるとか、それが根になっていろんなことが生じてくるんだというふうには余り理解されていない節があって、生活科はそんなことはないんですけれども、ほかの教科はどうなんだろう。その辺、弱いような気もするんです。もちろん算数や国語でも遊び的な活動とか暮らし的な活動が入っているけれども、それはあくまでも手段的に見られているような気はしていて、その辺も含めて。
だから、まず幼児教育の中でどう意味付けるかということと、そこから6歳、7歳、低学年教育にどういう訴え掛けをしていくか。それも教科によって違ってくると思うんです。生活科なんかにはダイレクトにいくし、それを受けとめる基盤は生活科なんかにあると思いますけれども、これはスタートカリキュラムのことなんかも関係しますが、生活科を核にしてスタートカリキュラムを作り、そこをクッションにして、各教科の成立をいい形で、先ほど渡邉委員が言われたような本質的な学びという形で促すというか、スタートしていくということを考えると、遊びという概念が割と核のような気がして、それと生活ということがどうなのかなということを伺いたかったということです。
【無藤主査】  ありがとうございます。私も、注釈を加えると、小学校の場合には、生活科はまさに生活の科なんですけれども、幼稚園と多少違うのは、幼稚園教育で言う生活というのは、正に子供が幼稚園に来て帰るまでの全てなわけで、そして、その生活を通して、いろんなことを得ていくということですね。生活科の場合には、学校その他の生活の場を通して体験してという面とともに、生活科において、その生活を対象として見ると。つまり、学校生活とか家庭生活とか地域の生活を対象として考えるという面も含む意味で、認識面が広がっていると思うんです。その辺が幼児教育と生活科の違いなんです。
もう一つ、小学校教育で注目すべきなのは、特別活動の中では学級の生活というのが入ってくるので、それは正に学校、学級における人間関係その他の生活を作ることなので、そういった連続性の違いというのが多分あるので、今回は特に幼稚園教育と小学校教育のつながりが問題ですので、念頭に置きながら、改めて、是非、幼稚園教育の中の生活、それから遊びを考えてほしいと思います。
それから、もう一つ申し上げたいというか、私が思うのは、幼稚園の中で、例えば年長児ぐらいになってくると、もう遊びというか生活というか、例えば、自分たちの生活を作っていくみたいな。例えば、飼育当番であるとかお掃除、片付けであるとか、その他というような、ちょっと遊びとは違う気もするので、ただ単純な衣食住の生活でもない。正に生活主体になるみたいな部分がありますので、そういうことも、どう表現していくかも、是非御検討いただければと思います。
それでは、北村委員、お願いします。
【北村委員】  ありがとうございます。今まで出席できず、申し訳ございませんでした。
実は、今、無藤主査が御指摘になったことと同じようなことを申し上げようと思っていたんですけれども、小学校以降の教科と生活を考えたときに、もう一つ、先生が御指摘のような特別活動のような場も考えなければいけないですし、その中で、小学校以上で、共同体の中の一員としての義務と責任のようなことも非常に明確に意識するようになると思うんですが、そこにどういうふうに、この幼稚園の時代からつながっていくのかということを考えなければいけないのかなと思いまして、まさに今、主査がおっしゃったことと同じようなことを申し上げようと思った次第です。
【無藤主査】  ありがとうございます。お願いします。
【阿部委員】  北海道の阿部でございます。よろしくお願いします。
今のに関連して、今、生活科と特別活動と出ましたけれども、低学年においては、図画工作の方も、その幼稚園との関連で入っておりまして、遊びという言葉の中には、小学校6年間、造形遊びというのがありまして、その遊びというのは学習の中での遊びという捉え方が中心ですけれども、材料と関わるとか、そういったことから発想を広げたりするというようなことで、幼小の連携の中にも、その一つの大きな柱としては、図画工作というのも入っているということだけは御承知おいていただければと思っております。
【無藤主査】  ありがとうございました。
先ほど小学校の各教科等のところで、幼児教育についても検討されているということで、こちらに伝えられたわけですが、当然ながら、幼児教育側として、小学校、特に低学年から、理科、社会なら3年生、4年生ですけれども、望むとか、こうあったらいいという、もちろん提言を出せるわけでありますが、その際に、今、御指摘の、例えば図画工作なら造形遊びというのを前からしっかり作られてきているわけです。
似たものとしては、例えば体育ですと、運動遊びに類したものが低学年に既に入って、多分、拡大されていくと思います。同じような意味で言えば、音楽で言えば、音楽遊びとは言わないんですけれども、比較的、ただ歌うよりは、もう少し遊び的要素が低学年では入るとか。それから、最近、国語などは、教科書を見ても言葉遊び的な要素が非常に入ってきましたので、そういう低学年、あるいは1年生の教科ごとの、幼児教育で言うところの遊びに近いものが入ってきている辺りも、是非、お気付きがあれば御発言いただきたいと思います。済みません。
じゃ、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  千葉大学の砂上です。
資料2で示していただきました個別の知識や技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎、学びに向かう力、人間性等という、ここの三本柱がいかに関連するかということと、この三つの柱、それぞれどのように捉えるかということが非常に重要になってくるかと思います。恐らく、個別の知識や技能の基礎というところは、前回、無藤主査の方からも御説明があったように、やはりその対象との関わり方、ふさわしい関わり方が、子供が自分の体の中で体得していっているか。幼児期の知識や技能というのは、ここは知識、技能が並列されているんですが、幼児期の知識というのは多分に手続的で、説明したり名付けたりはできないけれども、獲得している、できるようになっているということが多いということがあるので、幼児期の知識の在り方というのはどういうものかということも一つ、ここで押さえて、まずは個別の知識や技能というのは、個別の対象とのふさわしい関わり方というのを子供が身に付けていくということなんだということとして捉えられるかなと思うんです。その残り二つ、思考力・判断力、あるいは学びに向かう力というものを捉えるときに、やはり保育の中で展開する、子供が行う活動の過程の質というところを捉える視点として、ここが重要なんだよというところが一つ、大切ではないかと思います。
知識や技能が身に付くとしても、それがやらされて身に付いたとか、それを身に付ける意味ということを子供が理解しないまま、大人が与えてしまうということでは、恐らく、それは幼児期の学びではないということもあるし、その思考力・判断力・表現力等も、子供が自分なりに考えて工夫しているかというプロセスがそこにあるのかということをしっかり見なくてはいけないのではないか。とすると、思考力・判断力・表現力等の基礎や学びに向かう力、人間性等が欠けた形で個別の知識や技能の基礎ということが成り立つということはなくて、この三つが関連した上でということをしっかり押さえるべきではないかということがあります。
あともう一つ、思考力・判断力・表現力等の基礎の赤字の表現のところで、気付いたこと、できるようになったことなどを使ってとあるんですが、これだと、できること、気付くことが先にあって、それを用いて子供が考えるという発想なんですが、恐らく幼児期は、できるようになったり気付いたりする、そのプロセスの中で、むしろ個別の知識や技能を獲得していく。その道具の使い方を習熟したから、じゃ、制作にいくかという話ではなくて、何か表現したいという思いとか、自分なりに遊びを面白くしたいと思って、考えている中で、知識や技能が身に付いていくというような学びの特性があるので、そこをしっかり押さえるべきではないかということがあります。
したがって、その過程の中で、様々な学びに向かう力や思考力、判断力を発揮しているうちに、個別の知識や技能が身に付いていくというプロセスもしっかり押さえていないと、知識、技能があって、その上で、それを組み合わせた思考力、判断力というと、少し幼児期の学びというものの捉え方が転倒、逆立ちしてしまうのではないかなというところは押さえる必要があるかと思います。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。ほかにもいかがでしょうか。お願いします。
【宮原委員】   ちょっとどこに入るのか難しい部分はあるかと思いますけれども、この学びに向かう力、人間性等というところでの、下のハの協同性という辺りが、どこかに入らないかなと思っています。例えて言うならば、幼稚園のときに、うちの娘もそうでしたけれども、例えば滑り台の順番とかを待つ集団があるとしても、必ず先に先にと抜いていくような人たちとか、あとはキックボードみたいなのも、本当は人数分ない幼稚園は、順番が来たら譲り合うようなところがあってしかるべきかなと思うんですけれども、なかなか親の世代も、公園なんかで遊んでいますと、自分の子供なんかを注意せずに、親同士でぺちゃくちゃしゃべっているようなところもありまして、何か協調性といいますか、時間が来たら譲るとか、そんな人間性みたいなところが、この学びに向かう力とか人間性辺りで培えないかなというところをちょっと感じたところです。そこも、そういう意味では、もしかしたら閉園後の活動かもしれませんけれども、何かお互いに仲よく譲り合って楽しくというようなところが入ってくるといいかなというふうに感じた次第です。
【無藤主査】  ありがとうございます。小学校以上といいますか、教育課程特別部会の論点整理の中で三つの柱というのがあって、今、議論しているわけですけれども、その中の学びに向かう力、人間性等の中では、協同性とか、人と協力することなどなども含めているようなんです。そういう意味で、ここの整理では協同性がとりあえず終わりまでに育ってほしい姿に入っておりますけれども、その辺りもちょっと検討の余地があるかなと思います。ありがとうございます。
志民委員。
【志民委員】  志民でございます。よろしくお願いをいたします。
今、関わりというようなことがキーワードとして上がってきたんですけれども、物と関わる、それからあと、人と関わることの中で、この赤字の中で書かれているのは、感じたりとか、そういう感性とか感覚といったものですとか、それからあと、試す中で自分の体の感覚を養う、磨いていくというようなことが行われていくのかなと思うんですが、磨いていく上で重要になるような関わりの質を高めていくというようなこと、そこの関わりの質を高めていくというのは、環境ですとか、人と関わるという中で、それが高められていくと思うんですが、基礎というよりは、それよりもベースとなるような土台として、そういう関わりの質をいかに高めていくかというようなところの視点も入れていただけるとよいのではないかと思っております。
【無藤主査】  ありがとうございます。最初の部分の大事さだと思います。
ほかにはありますか。はい、大方委員。
【大方委員】  大方でございます。
皆さんの御意見も非常に参考にさせていただきながらなんですけれども、この学びに向かう力、人間性というところにも生活があって、もちろんそうなんですけれども、どこに入れるかというところが若干あるんですが、自然への畏敬の念であるとか、それから好きな遊びをするという言葉もよく幼稚園の中にあるんですけれども、好きな遊びをする中で自己決定をする、自分で遊びを見付ける力であるとか、その辺のところの意味、好きな遊びをするということの中で子供たちがちゃんと遊びを見付ける、自分で見付けられるとか、それを力と言ってしまうと、また誤解があったらいけないんですけれども、その辺の意思決定ができる力を育んでいくというようなことを入れていくということが、思考力に入れた方がいいのか、学びに向かう力の方に入れたらいいのかというのは、ちょっとまだ、はっきりしないんですが。
それから、先ほどの、どのような職業にも生かせるということの中で、それは人間性のところにも含まれるかもしれないんですが、学級運営、クラス運営としての幼稚園の集団を考えたときに、やっぱり友達との関係力の育ちとか、社会に適応できる力であるとかということをある程度、書いておく方が、より担任の先生がクラスを運営していくときにも分かりやすいのかなというような気がいたしました。
それから、先ほどから出ている生活、遊びということの中も、生活というのも非常に守備範囲が広い部分もあって、また、誤解があったらいけないんですが、先ほど幼稚園教育要領の中にも、その活動を豊かにしなければいけないということに最終的には書いてあって、幼児の主体的な活動が確保されるようにということから考えると、どちらかというと遊び活動や生活活動的なイメージの生活、幼稚園という教育現場における生活活動や遊び活動というイメージの捉え方をしないと、ここのところも誤解がまた出てくるのかなと。ただ、書き方によっては、やらせなきゃいけないという誤解も出てくる可能性があるので、幼稚園教育にも活動ということは書いてあるんですけれども、その辺のところが、少し小学校にうまくつながっていくといいのかなという気がいたしました。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  白旗でございます。
つながっているところもちょっとあるかと思うんですが、私はすごく、幼児教育は本当に人が生きていく上での根本だなと感じておりまして、その中で、ここで言うと学びに向かう力になるかと思うんですけれども、この意欲という辺りです。この辺り、いろんなところに出てはくるんですが、是非強調していけないかなということをつくづく思っています。
先ほども教育要領の中にありましたが、自発的というすばらしい言葉があって、これはなかなか小学校、中学校と上がっていくと、どうしても自主的、主体的というような、目的があってという方向にちょっと変わっていくような気がしまして、ここを是非強調できないかなと思っています。
例えば、好きなものを見付けて、それに浸っていくとか夢中になっていくとか、そういうことがまずあって、気付きとか工夫が生まれていく学び。これができるのはやっぱり幼児教育なのかなと。小学校以降、結果が求められるところもあるんですけれども、失敗している余裕がないというんですかね。試行錯誤していることがなかなか難しくなっていく。そういう中で、学びの原点が意欲というところに非常にあるのかなと思っています。
体育の方で、全国体力・運動能力、運動習慣等調査というのがあるんですが、小学校5年生で運動への関心が低いという子たちは、やっぱり幼児期のときに楽しい、夢中になったという経験が非常に少ないということがデータでも出ています。どちらかというと、技能よりも、好きということがその後のスポーツにおける生涯学習を考えたときに非常に影響しているということがちょっと見えてきておりまして、そういうことからも、もしかすると具体的な姿で言うべきなのかもしれませんが、この意欲という辺りを具体的に強調できないかななんていうことを自分では感じているところです。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。まず田中委員。
【田中(雅)委員】  全体的には修正していただいたのでいいと思っているんですが、教育基本法に、幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培うという文章があって、教育基本法の中で人格形成という部分の基礎だということと、学校教育の中では、義務教育及びその後の教育、生涯にわたる基礎という形が書かれているんですけれども、その認知のずっと考え方でいくと、幼・小・中・高の積み上げだったのが、メタ認知的な考え方であるとか非認知的な能力の育成とかという形を重要視すれば、幼児期にたどり着いたという流れから見れば、幼児期の遊びを通しての学びというものが、実はこれからの高度成熟社会の中で求められている学力のベースが幼児期に引き継がれているんだというような、それは遊びを通して、又は生活を通しての、幼児期のその中で培われているものが、そちらにも結び付いているんだというようなところを総則かどこかの中で、もう少し明確に書けないのかなと。
小学校との接続の中だけで考えると、5歳の育ちの姿というものが、どういう道順であろうと、その工夫ができれば小学校の基礎になりますよねという論理におさまってしまうリスクがあるわけですが、生涯にわたる学びの基礎として幼児期に何があって、それは遊びを通してという道順の中で、一人一人の道順の中でそれが培われるんだという論理構成に持っていければ、余り5歳の育ちの姿にこだわらなくても、全体の生涯の培い、又は、その基礎が、いわゆる人格形成だけでなくて、学びの基礎というものが幼児期の中の遊びの中にあるんだという表現を、こちらから言うと、総則の中に入れてほしいなということです。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、山下委員。
【山下委員】  山下です。
現行の要領第2章に、この章に示す狙いは、幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情、意欲、態度と書いています。また、資料の学びに向かう力のところでも、心情、意欲、態度などを育みと書かれています。生きる力として、基礎として捉えている心情、意欲、態度と、学びに向かう力の心情、意欲、態度というとこをきちんと説明をしていかないと混乱してしまうのではないかと思います。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】  嶋田です。
この三つのバランス、非常にいいなというふうに思っています。前回も議論の中にあったんですけれども、この三つの柱の調和というのは非常に大切で、特に学びに向かう力、それから人間性を土台として個別の知識や技能、それから思考力、判断力、表現力の基礎というのが成り立っていくというような関係性というのは非常にいいのかなというふうに思っています。
もう一つは、土台としているものが、これは5領域が土台になっている。そして、5領域の修了間際の姿として、幼児期の終わりに育ってほしいという姿、こういった構図がこのようにイメージとして表れているんだなというふうに感じています。ただ、非常に分かりにくいのは、やはり5領域とこの三つの柱の関係性というのは、どこかに明らかにしていく必要があるのかなというふうに思います。
それから、先ほど渡邉委員の方からも、それから奈須委員の方からもありましたけれども、学びというのと遊びというところ、これは小学校側から見ても、遊びと書いてしまうと非常に誤解を生じるようなことになります。先ほど事務局の方からもありましたけれども、今回の幼稚園教育要領ですとか学習指導要領が他校種の先生たちが見ても、あるいは地域の人や一般の人が見ても分かるような形でというところで、やはりきちっと、この遊びというのが価値のあるものだということをどこかに示していく必要があるかなというふうに思っています。
小学校でも、白旗委員がいらっしゃる前であれなんですけれども、体育でも運動遊びとか跳び箱遊びだとか、かなり単元とかに遊びという言葉が使われているんですけれども、やはり小学校側が遊びということをきちっと理解せずに、どちらかというと従来どおりの教科の指導になりがちになるというような課題というのも出ているんではないかなというふうに思っています。
これは私の勤務していた学校現場だけなのかもしれないんですけれども、そういう意味では、価値を子供たちが見いだすものが遊びであって、実際には、各教科の学習というのは、大人というか教師、指導する側が価値を見いだして、子供たちに自発的に見付けたように環境を整えて学習を進めていくということが小学校では大事だと思うんですけれども、そういった意味でも、遊びというのを再認識するような言葉があるといいなというふうに思います。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。渡邊郁美委員。
【渡邊(郁)委員】  あいじつ子ども園の渡邊です。
先ほどから学びに向かう力の意欲のことですとか、遊びということについて出ているのですが、私たち現場では、本当に毎日、これとは直面しているんですけれども、第1章の総則の基本のところに、私たちはいつも戻るんですが、環境をとにかく用意しなければ、この幼児の自発的な遊びということはできないということがあります。その環境をどういうふうにして用意するのかということがあるとすれば、主体的な活動が確保されるように、とにかく私たちが環境を用意する。それはどうするかというと、幼児一人一人の様子を見ていて、行動の理解と予想に基づいた環境を用意するということで、初めてこの本質的な学びができる遊びができるようになるんだと思うんです。
それで、是非ともここに、一番、もともとのところです。この基本の1、2、3のところもそうなんですけれども、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とするという、環境を通しての教育というようなところを是非とも、一番上のところですかね、どこに入ってきたらいいかわからないんですが、前回もお話ししたと思うんですけれども、小学校で言えば思考、判断力、表現力のところの教科等の本質に根差した見方や考え方というようなところと同列の括弧書きの上の辺りに、環境による教育をどうしたというところ辺りを入れていただくと、一番、小学校で言う生活であるとか遊びであるとかというものの違いも少し分かるのではないか。説明がなかなか環境によるというのも、小学校で行う環境もあるので、難しいかと思うんですけれども、とにかく、もともと幼稚園教育要領の総則の最初に書いてあるものなので、ここをどこかにうまく入れていただくといいかなと思います。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。それでは、神長委員、それから小枝委員で、ちょっと一区切りさせていただいて、次の議題に行きます。
【神長主査代理】  ありがとうございます。私も、同じ、いわゆる遊びと生活という、最初に御質問いただいた奈須委員のことをずっと考えておりましたけれども、ここに遊びや生活の中でということを限定することによって、幼児期の教育ということがイメージはできるんですけれども、今、いろいろ議論を伺っておりますと、やはり遊びと生活という受け止め方が多様なところもあるのかなと思います。
生活科の中で遊びを使うとおっしゃった中に、やはり手段として遊びを取り入れていくことが、割合、生活科の中では多いのではないかなと思うんです。その辺は、目的的に使われているところもあると思うんですけれども、本当に幼稚園教育の場合には、遊ぶこと、そのことが目的的になっておりますし、3歳、4歳の遊びになると、まさに楽しいから遊ぶんだし、面白いものがあるから、そこに関わっていき、自発的な活動としての遊びが展開されるわけです。
そう考えますと、ここに遊びや生活の中でという言葉から始まるよりは、前回だと思いますけれども、無藤主査からお話があった、やっぱり環境と関わる中でとか、自発的な活動としての遊びはという総則の言葉も、つまり、遊びで始まってしまうと、いわゆる幼児期における幼児にとっての遊びの持つ意味というものがなかなか伝わりづらいというところがあって、わざわざここに自発的な活動としての遊びはということを付けているわけで、そういったニュアンスを伝えていくためにも、自ら環境と関わる中で気付いたりできるようになったことなどを使って考えを深めていくというように、例えば、ここに思考力、判断力、表現力というものが、既にあることを使うというよりは、自ら環境と関わる中で獲得してきたこと、気付いたこと、できるようになったことを使いながら、さらに、そこに考えを深めたり、試したり、工夫したりということが出てくるわけで、その過程を大事にするという意味では、生活や遊びの中でと限定するよりは、自ら環境と関わる中でという表現の方が幼児期の教育を言っているんではないかな、伝わるのではないかなという考えがあります。
下の部分に対しては、やはり生活や遊びを通してという形でもよいと思うんですけれども、特にこの三つの資質の中では、学びに対する考え方も、遊びに対する考え方も、伝わっていく書き方、工夫が必要ではないかなと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、小枝委員、お願いします。
【小枝委員】  小枝でございます。3点ほど申し上げたいと思います。
一つは、幼児期、幼稚園のこういった教育が人間の土台だというお話がございましたけれども、幼から小・中・高、大学も入れて、なかなか幼稚園で培った力が見えてきにくいんですね。だけど、親になったときにまた見えてきまして、子供とどう遊んでいいのか分からない、子供とどう距離感をとっていいのか分からないという親を見ると、小から大まで、それなりの教科の勉強はしっかりしてきたんだろうけれども、幼児期にどういう経験をしてきたのかなと思わせるような方が結構います。この幼稚園で育んだ力は、実はリプロダクトのところで見えてくるのではないかなというようなことを思っていますので、こういったものを作るときに、やはり幼稚園の教育がその後の、次の世代を育む、まずその土台になっているんだというのを私としては指摘したいと思います。
それから2番目は、この三つの力をまず包括するものとして、やはり環境というものがこの中にあってほしいなというのを思うんです。こうやって見ますと、やっぱりどうしても小学校以上の教科につながっていくような、そういう見えない線を感じてしまうので、やはり、よき環境の中でこういったものを育むんだというものが表れると良いのかなというふうに思っています。
それから、もう一つ、この三つの力は小学校で具体的に何につながるのかということを考えますと、生活科とか何かいろいろ出ましたけれども、そうではなくて、学校行事につながっているのではないかなと僕は思っています。いわゆる学校行事で、何をしていいか分からない、みんなで話し合うとか、運動会、学習発表会、それから遠足、そういったようなときにこそ、実は幼児期にこういった豊かな体験をした子の力が発揮されるというように思っていまして、幼児期のこの三つを小学校以上の教科に収束させるのではなくて、日本の教育で非常に大事なことをしている学校行事の方に実は表れてくるんだというような意識もちょっと持っていただいた方がいいのかなと思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。まだおありと思いますけれども、また次の段階でも御発言いただいて差し支えございませんので、よろしくお願いいたします。
それでは続きまして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化につきましての議論を進めたいと存じます。事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、資料の1、それから資料3の方を御用意いただきたいと思います。
初めに、資料の1でございますけれども、資料の1の2ページ目を御覧いただきたいというふうに存じます。本日の論点は、ここにございますとおり、前回の幼児教育部会の議論や幼児教育の特性を踏まえまして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化を図る際、以下の視点から改善すべき点は何かというふうなことで、ここに五つの視点を示させていただいております。
前回の幼児教育部会におきましても、ここに示してございます五つの視点から、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について御議論いただいたところでございますけれども、本日は、この前回の部会での委員の意見やメール等で頂いた御意見、それから、教育課程企画特別部会の論点整理の提言を中心に、事務局で新たに付け加えさせていただきました資料を、次に説明いたします資料3でございますけれども、こちらを基に、前回と同様の視点で、更に改善すべき点は何かということで御議論いただきたいと考えてございます。
それでは、資料3の方をごらんいただきたいというふうに思います。A4横長の資料でございますけれども、一番左の列が、このたたき台となってございます平成22年の幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方についての報告の参考例になってございまして、真ん中のところが改訂案、それから、右側の列が関係する小学校の各教科等を記載してございます。
主な改訂案についてでございますけれども、まず、1ページ目の一番下、真ん中の列の3つ目と、それから2ページ目の一番上のところでございますけれども、こちらの方は、委員の御意見、それから論点整理の提言等から、安全に関する内容を独立させるなどして、内容の充実を図ったものになります。
それから、3ページ目のところでございますけれども、自立心の最後のところでございますけれども、家族、友達、先生、地域の人々などとの関わりの中でと書いているところでございますが、こちらの方は、委員の御意見、それから論点整理の提言等から、自己肯定感に関する内容を追加させていただいているところでございます。
それから、4ページ目のところでございます。一番上のところでございますけれども、協同性の最後ですけれども、こちらの方は、論点整理の提言から、協同的問題解決に関する内容の充実を図っているところでございます。
それから、同じページの一番下、規範意識の芽生えの最初の部分でございますけれども、こちらの方は、委員の御意見から、規範意識の芽生えに関する内容の充実を図っているところでございます。
それから、6ページのところでございますけれども、いろいろな人との関わりのところの2番目のところですけれども、こちらの方は、中教審の答申、今後の学校におけるキャリア教育、職業教育の在り方について、それから論点整理の提言から、働く人々を入れるなど、キャリア教育に関する内容の充実を図っているところでございます。
それから、その下のところ、四季折々の地域と書いているところでございますけれども、こちらは、委員の御意見、それから論点整理の指摘から、地域の伝統文化に関する内容の充実を図っているところでございます。
それから、7ページ目の思考力の芽生えの上から4つ目のところでございますけれども、こちらは、論点整理の提言から、思考力の芽生えに関する内容を追加させていただいているところでございます。
それから、8ページの方に移っていただきまして、自然との関わりの最初のところでございますけれども、こちらの方は、論点整理の提言から、持続可能な社会づくりなどを含めました、自然への愛情に関する内容の充実を図っているところでございます。
それから、9ページ目の一番下のところでございます。言葉による伝え合いのところでございますけれども、こちらは、論点整理の提言から、言語活動の充実を踏まえた、状況に応じた伝えに関する内容の充実を図っているところでございます。
主な改訂案の部分につきましては以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。今、御説明いただきましたとおりですが、資料1が教育課程部会幼児教育部会第3回における検討事項、資料3が幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化について(仮案・調整中)、そして、資料4が資質・能力等関係資料でありまして、それらを基に、前回に引き続きまして、ただいまの幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化につきましての御議論をお願いしたいと思います。
また、どなたからでも結構ですので、御発言がおありの方は名札を立ててください。田中孝尚委員。
【田中(孝)委員】  田中でございます。
神戸大学の附属幼稚園等でカリキュラムの開発で、幼児教育の可視化ということで、いろいろ取り組んでいることと照らし合わせて見せていただいて感じたことをお話しさせていただきたいなというふうに思っております。
まず、1ページ目のところですが、健康な心と体の二つ目のところです。いろいろな遊びの場面に応じてというのがあるんですけれども、この文章だけだと、幼児期の終わりまでにということが、もう一つ、具体が見にくいかもしれないなということで、例えばですが、その場面に応じてというのがどういうことなのかということで、例えば友達の動きであるとか、遊具、用具、様々な地形に応じてというような、どんなものに応じて体を動かしていくのかという具体を入れてはどうかなというふうに思います。
体の諸部位を十分に動かすということにとどまらず、その中でどんなことを子供たちが経験しているのかといったことを加えてはどうかと思いまして、例えば、いろいろな感覚を味わうとか、体の動かし方や使い方を調整したりするというようなことを子供たちがしているなというふうに思いますので、そういったことを加えてはどうかというふうに思いました。
三つ目のところですけれども、最後の自分の体を大切にする気持ちを持つというところをもう少し具体的に表現するとすれば、体の成長を喜ぶとか、健康に過ごすために必要なこと、あるいは必要な理由を意識しているのか、自覚してという言葉がいいのか、意識して丁寧にしようとするというような気持ちを持って、子供たちの姿としてどういうふうに表れているのかということを加えてはどうかなというふうに思います。
続いて2ページ目のところですけれども、一つ目の新しく安全のところで切り離して考えてくださっているところの3行目のところです。適切な行動が分かり、安全に気を付けて行動したりというのが、「たり」ということで、複数、表現するべきなのかなというふうに思いまして、安全に気を付けて行動するということの並列で、例えば周りの状況や人や物に注意を向けて確かめたり、安全に気を付けて行動したりというような中身を付け加えてはどうかなというふうに思いました。
その下のところですけれども、衣服の着脱、食事、排せつなどの生活に必要な活動の必要性に気付きということが、ここは分かるのかなというふうなことも思います。ここは気付くという表現を使うのか、分かるという表現を使うのか、いろいろな場面で使われているので、ここら辺りは整理が必要かなと思うのですが、必要な理由が分かりとか、必要なことの意味が分かりとかということの方がいいのかなというふうなことを感じました。
その下のところですけれども、見通しを持って取り組むということで、集団での生活の流れに即して、ずっとあるんですが、自分たちの活動を見通しを持って取り組むということに、これに加えて、例えば、気持ちよく、使いやすくなるように生活の場を整えようとするというようなことが5歳の姿であるのかなということを感じています。
これは、ここなのか、方法のところです。方法の規範意識の芽生えの下から2番目の皆で使うものという表現と併せて考えた方がいいのかもしれないなと思いながら、一応、ここに考えてみました。
3ページ目ですけれども、一番上のところでは、満足感や達成感を持つということの前に、最後までやり遂げて、前とは違う自分を自覚してというような、前と違う自分を自覚するということが、この満足感や達成感を持つということに通じるのかなというふうなことを感じます。
ちょっとざっといってしまいますが、4ページ目のところですが、皆で共通の目的を持って話し合ったり、皆の考えをまとめたり、役割分担などをしたりして協力するということの続きで、協力したり、責任を持って役割を果たそうとするということが、子供たちの中で、役割分担を自分たちでやっていくと、その役割は責任を持って果たそうとするというような姿があるかなというふうに思います。
下の道徳性の芽生えのところでは、相手も自分も気持ちよく過ごすためにの後に、自分の行動を振り返るという言葉を入れてはどうかなというふうに思います。これは単に教えられてするということではなくて、遊びや生活の中で失敗しながら学ぶということを表現するべきかなというふうに思いますので、何か失敗を通して学んでいくんだというような表現の中身が欲しいなというふうに思いました。
5ページのところですけれども、友達と折り合いを付け、自分の気持ちを調整するというところがありますが、ここのところが、例えば、もう少し加えたら、人の気持ちを聞くとか、周りの状況を見るとか感じるということをして、よりよい方向に向けて友達と折り合いを付けるんだという方向性が欲しいなというようなことを思います。単に自分の気持ちを押さえるということではないとは思うんですけれども、自分にとっても、相手にもいいという、どういった方向なのかということを示していきたいなというふうに思いました。
いいですかね。7ページ目ですけれども、思考力の芽生えのところで、新しく付け加わっている二つ目なんですが、喜びや味わいというのがあるんですが、この味わいというのがちょっと見た感じ、入ってこなかったので、この味わいというのが一体何なのかなということをちょっと御教示いただけたらなというふうに思いました。
その次の赤文字と関係するんですけれども、この7ページ目の下から二つ目なんですが、物との多様な関わりの中で、物の性質や仕組みについて自分なりに考えたりの前に、その二つ上に、不思議に思ったことなどを探索するというのがあって、ここら辺り、大事なことかなというふうに思いました。ですので、不思議に思って、自分なりに考えたり気付いたりするという流れなのかなというふうに思いました。
その下では、いろいろな予想をしたりの次に、その二つ上の文章の中で、予想したり確かめたりという表現がありますが、ここら辺り、子供たちが確かめるということが問題解決に向かう姿としてあるのかなと思いますので、この7ページの一番下のところも、予想したり確かめたりということなのかなということを思いました。
8ページ目の自然との関わりのところですけれども、この自然の大きさや不思議さなどということで、例示として挙げられているんですけれども、この大きさということも、ちょっと自分としてはイメージがしにくい部分ではあったんですけれども、例えば自然から感じるものとして、美しさであったりとか、心地よさであったりとか、厳しさであったりとか、例示として適当なものを考えていくということが必要なのかなということを思いました。
その自然との関わりの最後のところなんですが、最後のところに自然の不思議さをいろいろな方法で確かめるというのがあるんですが、ここら辺り、子供が考えているような自然の不思議さから、この原因は一体何なんだろうかという原因を予想しているということがあるのかなということを思います。
その下のリの生命尊重、公共心等と、ここだけ「等」とあって、まとめてあるんですけれども、公共心ということの、もう少し具体的な中身を入れるとすれば、例えば、自分たちの関わっている子供たちの中では、自分の生活に関わる社会の人の役割に気付くというようなことがあったりですとか、公共の場での決まり事の意味ですとか、そこでの過ごし方を考えて、それらを意識して行動するというようなことが見られるのかなというふうに思っています。公共心ということは、もう少し充実するとしたら、そういうことがあるのかなというふうに思います。
また、生命尊重のところでは、季節によって、花とか実とか育つ野菜が違うことに気が付くということもあるなというふうなことを思います。気が付くなのか、感じるでいいのか、そこら辺りはちょっと検討したいかなと思いますが、あと、1年を通して、動植物の変化。動植物の変化も、1年を通して変化していくんだということを感じるということもあるなというふうに思います。
あと3ページ分ですが、9ページのところですけれども、友達同士で目的に必要な情報を伝え合ったり活用したりということが、例えばメディアの活用みたいなことも含まれるとしたら、三、四歳でしたら、教師が見ることを通して、知りたいことが図鑑や絵本に載っていることを感じる程度のことだとは思うんですけれども、ここら辺り、図鑑とか絵本などを使って、知りたいことを調べられることを子供たちは知っていくな、自ら調べようとするなということがあるなというふうに思います。
あと、数量、図形、ここら辺りは、もう少し言葉のことについては充実していく方向で考えた方がいいのかなということは思うんですけれども、例えば数量とか形付け、あるいは空間、もう少し表現としては詳しくしていってもいいのかなというふうに思うんですが、また具体は文章として提出させていただければいいのかなというふうに思っています。
その下の文字とか様々な標識という言葉についてなんですけれども、その最後に、読んだり書いたり使ったりするというのがあるんですけれども、ここらのところは必要に応じてというところが、その上の文章の中であります。やっぱり遊びや生活の必要から、読んだり書いたり使ったりするということの表現にしていかないと誤解が生じるのかなということを思いました。
残りのところはちょっと整理して、また発言させていただきたいと思います。
【無藤主査】  ありがとうございます。その辺り、多分、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿という形に入れる部分と、5領域の項目が当然ながらあるので、そちらの充実と、両面で何とかということになるかと思います。
それでは、北村委員、お願いします。
【北村委員】  ありがとうございます。11時半で失礼しますので、3点ほどコメントさせていただきます。
1点目なんですけれども、健康な心と体のところで少し気になるのが、表現が、今、改訂案のところで、体にかなり力点が置かれていて、心の面が少し足りないのかなと思いまして、もう少し、例えば困難を乗り越える、困難なことにつまずいても気持ちを切り替えてというのが、今のままですと、何となく自分ができないことを、具体的に行動としてできないようなことがあっても乗り越えてみたいなふうにとられがちな気がしますので、ここは、そういった体の面でできないことというのもあるかと思うんですが、心の面で困難に直面したときにも乗り越えるといった、先ほど少し出た自己肯定感なんかも含めてですね。
このことは多分、非常に大事だと思うのは、余りネガティブなことを書くのはよくないとは思うんですが、子供たちができないというか、うまくいかないということに対して、どのようにそれと向き合っていくのか。それは、例えば後ろの方の自立心のところとか、いろいろな人との関わりや規範意識のところとか、幾つか関わりがあるところはあると思うんですけれども、そこでどう表現するか分かりませんが、もう少し心の面で、困難に向き合ったときに、そこにどう向き合って乗り越えていくか、そういったところを書けたらいいのかなというのが1点目です。
2点目が、全体を通して非常に感じることなんですが、これから社会が非常に多様化が進んでいき、例えば、特別支援との関係もあるかもしれませんが、障害を持った子たちとの共同生活、それから、外国にルーツを持つような子供たちとの共同生活、そういった中で、社会の多様性が進む、そういったところに対する視点というのが余り明示的に出ていないので、これも道徳性の芽生えのところや、いろいろな人との関わり、公共心、そういったところで何か触れることができないかなということと同時に、この社会の多様性の問題で非常に大事なのが、異文化の尊重というか、自らの文化に誇りを持つということは、他の文化に対して、それを尊敬する、尊重するというところにつながるんだと思いますので、そういった視点も大事なのかなという意味では、例えば地域の話をしても、地域を大事にするということが最終的には自分たちの地域で、外あるいはもっと国を越えたりとかして、そういったところの理解、尊重につながっていくんじゃないかなと、そういった異文化理解の視点ももう少しあっていいのかなと。
その意味で、少し気になるのが、9ページのところで、公共心というところから、ここで特に国旗というのが取り上げられていますが、自分の国の国旗に誇りを持つことは私も非常に大事だと思うんですが、同時に、様々な国の国旗にも、例えばそれを尊重するとか、そういったことも含めて、今の書き方だけだと、何となく自分たちの国だけのことを見ているような気がしてしまいますので、国旗を例に出すのであれば、例えば、ここに様々な国の国旗についても触れた方が誤解がないのかなというような気がいたしました。
3点目はコメントなんですけれども、コメントというか、大きな感想で、特にこの文言ということではないんですが、小学校以降でも、特にこれからESDというようなことで、問題発見や問題解決型の学び、それから領域横断的な学び、それらを通して自立的な心、子供の成長を促していく視点があるわけですが、そこには心と体と頭のバランスといったものを非常に大事にするESDの考え方があると思いまして、先ほども御意見がございましたが、まさにこの幼児期の学びというのがESDの出発点だと私自身、思っておりますので、ESDで目指しているような人間像みたいなものも参考にしながら、どんなふうな姿に育ってほしいかというのは、ESDだけではないですが、この資料の4の方にあるようなキーコンピテンシーや新しい学力観等も含めてだと思いますが、そことももう少し照らし合わせながら、どんな姿に育ってほしいかということを考えることも大事じゃないかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。特に異文化理解とかESDの問題については、5領域のこれまでの内容項目に加える部分の検討も必要だと思います。ありがとうございます。
それでは、阿部委員、それから桶田委員、山下委員、砂上委員が今、挙がっているので、順番に。阿部委員。
【阿部委員】  阿部でございます。
今週の初めに芸術ワーキンググループがございまして、そこに出席する機会を得まして、幼稚園と小学校とのつながりということで、身体性ということがキーワードで、基本的にそのつながりの話をしておりました。ですから、知的なものだけではなく、身体性、全身の感覚とか全体でというようなものが一つのつながりになってくるんではないかなと思っています。
それで、もう少し加えていただければと思いながらいるんですが、資料2の方の5のところ、豊かな感性、これは感性だけでなく、表の方には感性だけになっていますが、表現まで入っているかと思うんですが、豊かな感性と表現の中の、小学校においても基本的に大切にしたいのは、自分の感覚ということで、よそから与えられた美しいものとか、よそから与えられた大人の感覚の美しいものを感じるのではなくて、自分の感じ方を大切にするというような趣旨がいろいろなところで含まれてほしいなということは思います。
ですから、美しいものというのは、美術や、そういった世界でも極めて難しい表現なので、よさや美しさとか、セットで考えていて、様々なもののよさ、もちろん子供の面白い表現もありますので、よさや面白さとかということを含めていって、美しさとなると、なかなか大人も含めて考えていくと難しい表現の中に入っているということで、そういったことを考えますと、自分のとか、自分がというようなものができるだけ盛り込まれるべきかなと思っています。
それで、ちょっとさきに戻りますが、資料2のところの個別の知識や技能の基礎というところの、今回、赤字で、何を感じたり、何に気付いたり、この「何」という言葉に具体的にどんなことをイメージして考えていけばいいのかということをこれから説明していくと思うんですけれども、基本的に、この「何」というところが、質の違いはやはりあるのではないかなと思っているので、対象を感じているという、大きくバックとしたところなんでしょうが、先ほど田中委員がおっしゃったように、この幼児教育が生涯にわたるというふうに考えると、もっと広い意味で基礎というものがなし得てくるので、単なる具体的に理解できたり、逆上がりができたりというようなことではないと思うので、その辺のところをどうやって説明していくのかは、生涯にわたるということを私たちは考えながら、物事を考えていかなければならないのかなということを、この感性とか表現もそうですけれども、そんなことを思っているところです。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、桶田委員、お願いします。
【桶田委員】  三つお話しさせていただきます。
一つ目は、今の子供たちは、自己肯定感がとても大切なことだということで、3ページ目の自立心の最後に入れていただいていると思いますが、自信を持って行動すると終わっていると、自己有能感の方のイメージを感じてしまいます。それよりもまず、みんなから愛されて、自分が大切だから、友達も大切というような、何かそのままのことがどこかに入らないかと思いました。
二つ目は、5ページ目の友達と折り合いをつけてのところです。先ほども御意見がありましたけれども、やっぱりあっさりし過ぎていると感じます。道徳性の芽生えの三つ目のところの内容にも近くなってしまうかもしれませんが、友達の気持ちを知って、自分の気持ちと向き合って、葛藤しながら、よりよい方向に向かうというような、何かもう少し、子供たちが挑戦するまでの様子、過程が入るといいと思いました。
三つ目は、8ページ目から9ページにかけてのリの生命尊重と公共心等のところですが、項目のことを言ってはいけないのかもしれませんが、どうも何か寄せ集め的な感じがしてしまいます。一つ目の生命尊重のことは、自然との関わりに入れてもいいのではないか、二つ目の情報のことは思考力の芽生えに入るのではないか、三つ目のところは、先ほど北村委員もおっしゃっていましたが、今、いろいろな国のお子さんたちが園に通って来ているので、運動会だから国旗ではなくて、やはり普段からいろいろな国のお子さんと関わっているからいろいろな国旗に親しむというのもあります。親しむだけではなくて、いろいろな国の人たちと親しむとか関わるとかというようなことを加えて、人との関わりに入るのではないかと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、山下委員、お願いします。
【山下委員】  山下です。
今回、議題となっている幼児期の終わりまでに育ってほしい姿で示されている12項目について、これまでの論議を踏まえて、例えば自己肯定感を持つことが大事などの内容が追記されています。幼稚園教育要領や学習指導要領改訂の大きな方向性となる教育課程の特別部会の論点整理で重視すべきこととして、提言されている内容を踏まえ提案していただいていることに、まずは感謝したいと思います。
その上で、表現の全体構成図で考えたときに、先ほど育成すべき資質・能力ということで論議がありましたが、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というのを見比べたときに、先ほど桶田委員も言ったように、例えば自然との関わりと生命尊重、公共心などのように、内容が重複した部分があるので、少し整理が要ると思っています。
また、そこの上にあります思考力、判断力、表現力等の基礎の部分も、例えば、赤字で、どう考えたり、試したりとか、工夫したりとかというようなことを書いていますが、もう少しそこを丁寧に、姿として表していくということが必要かなと思っています。例えば、思考力のプロセスにある探求心だとか好奇心、こういったようなことを入れることによって、メッセージ性が高まっていくのではないかなと思います。
そういう意味で、幼児期に育みたい資質・能力ということを踏まえて、もう一度、事務局の方で、項目も含めて、少し、一度、整理していただくと、論議がしやすいのかなというふうに思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、横山委員、お願いします。
【横山委員】  全体的に読ませていただいて、何ていい子なんだろうというか、こんなに育つといいなという、逆にちょっと息苦しさを感じたりというところがあります。それは何なんだろうと、卒園前のときまで、ここまで育ってほしいんだけれども、そこに至るまでの育ちの過程は、いろんなことを葛藤したりだとか、いい子じゃなかった部分もたくさんあって、今、桶田委員が、その辺りの子供たちの葛藤している様子があればいいですよねと言ってくださったところだと思うんですけれども。一気に飛ばないというか、ここに至るまでの育ちの過程が、ここの姿に書き込むのか、それとも解説の方に書くのか、あっていいと思うんですけれども、子供たちのマイナスの面、ネガティブな面も見えてくるようなところがあってもいいのかなと思ったところです。
あと、言葉のところについてお話をさせていただこうと思うんですけれども、伝え合いのところが重視をされているので、コミュニケーションとしての言葉がやはり強く出ていると思います。でも、言葉の機能としては、教育要領の方では言葉の楽しさ、美しさということがあるように、リズムであったりだとか響きであったりというところがあると思います。言葉そのものを楽しむということを考えると、そこから表現にもつながっていくと思います。音のリズムで身体性にいくだろうし、歌であったりということで、伝え合いも重要だけれども、その前にある言葉の豊かさというところも見ていただけると良いのかなと思います。
それともう一つ、言葉の働きで言うと、自分をコントロールするというところも言葉にあるように思います。「頑張れ、頑張れ、やればできる」と自分で思ったりだとか、友達からそういう声掛けがあったりということで、言葉が自己コントロールというところにもが関わっていくというところが一つ、観点として入っていると良いのかなと思います。
あともう一つ、文字についてなんですけれども、教育要領の中では文字「など」と、「など」が付いていたのが、ここでは全て落ちている。というのは、文字をきちんと書かなきゃいけないのかなというところにつながりかねないのではないか、と若干危惧しています。子供にとっては、鏡文字であったり、1本の線であっても文字であったりするので、個人差の大きい文字の習得に関わって、文字の部分をどういうふうにここに書き込んでいくか。必要感というお話もありましたけれども、ただ書いたり読んだりというだけではなく、そこにある子供の姿を見つつ、書き込んでいけると良いのかなと思っております。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  既にほかの先生方から出ている御意見も多数あるんですが、まず、書き方として、これを今度、現場の先生が広く理解していただくためには、やはり書き方の整理ということが必要かと思います。一応、タイトルが幼児期の終わりまでに育ってほしい姿なので、姿として分かるということを文末の表現として統一するというような、要するに、何か活動しているというようなレベルで文末はまとめるけれども、その手前のところで、心情、意欲、態度的なことを丁寧に書いていくというような、それぞれの文章の書き方の整理というようなところも必要になるかと思います。姿として、どう捉えて書くかということが一つあるかと思います。
内容なんですが、先ほど北村委員もおっしゃったかと思うんですが、健康な心と体というところ、最初のイの項目で、読んだ文章の感じとしては、記述としては、割と身体のというところが出てきているので、もう少し体、情緒的な安定というようなところや、その感情を率直に表したり、感じ取ったりというような、感情のコンピテンシーに関わるようなことを盛り込むということも必要ではないかなというふうに感じています。
あと、重要なところになるかとは思うんですが、自立心、協同性、道徳性の芽生え、規範意識の芽生え、更に生命尊重、公共心というような、割とここはやはり内容が似通っているところもあるので、各項目が何を指しているのか。自立心は、自分のことは自分でする。協同性は、人と一緒に活動する、何か具体的に活動するということで、道徳性の芽生えは、もうちょっと広く、ともに様々な人と生きるというところで必要なこと。規範意識は、割と明文化されたルールというようなものに対して、どう関わるのかというふうに、それぞれ少し言葉の整理とか定義が必要かと思います。そう考えると、ホの規範意識の芽生えの最後に入っている、友達と折り合いを付け、自分の気持ちを調整するは協同性の方に入れてしまってもいいのではないかとか、その辺は少し整理がされるといいかと思います。
恐らく、これが先ほどの三本柱になっている育成すべき資質というところと、このイからヲまでの項目がどう対応するのかというところの整理もなされた方がいいのではないかと思います。きれいに、このイからヲが三つの柱どれかに分かれるというよりは、恐らく重複しているかとは思うんですが、イの体を動かすとか、生活習慣に関わることと、チの自然との関わりからヲの豊かな感性まで以降は、どちらかというと個別の知識や技能の基礎に割と重きを置いて捉えることもできたりというような形で、あるいは、思考力の芽生えは、先ほどの思考力、判断力のところに特に深く関わるというように、このイからヲまでが、さっきの三つの柱とどう関連するのかというところも整理して、提示できるといいのではないかというふうに思っています。
割と書き方の表現が、分かり合いとか、友達のよさを分かりというようなところなんですが、友達のよさを感じとか、もうちょっと心が動くような、認知的に理解してやっているというよりは、気持ちの面で動いているという方が、幼児期の姿としても良いのではないかなというふうに感じたりしていました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、嶋田委員、それで志民委員、白旗委員と順番にいきます。嶋田委員から。
【嶋田委員】  私も3点ほどあります。
うち2点は、既にいろんな委員からもあったんですけれども、3ページの自信を持って行動するですとか、それから、6ページの自分が役に立つ喜びを感じるというような形で、人との関わりの中で自信や希望、それから夢を持って自己肯定感が育まれて、そして自己有用感が芽生えていくというような関わり、セットになっていて、非常にいいなというふうに思っています。これらのことは、やはり義務教育以降でも、とても大事にしていかなければいけないところではないかなというふうに思っています。
2点目の方で、最初に田中委員の方からもあったんですけれども、今、義務教育の中では、いじめの問題であったりとかというところがあります。そういう中では、生命の尊重というところで、先ほどありましたけれども、成長や変化という言葉を確実に入れて、変化の中には、小動物の死も含まれてくるのかなというふうに思っておりますので、そこを強調していくといいなというふうに思います。
3点目です。2ページの上の方で、安全教育に関わるところになっています。本当に遊びを通して、この安全に関する知識を身に付けるというようなことが強調されていきたいなというふうに思っています。だんだん子供が小学校あるいは中学校に行くと、教えるとか理解させるというような形になってきます。なぜならば、やはり事が大きくなるというような予測が教師側に立ってきますので、こういった学び方というか、身に付け方が義務教育以降の安全教育の在り方につながっていくんではないかなというふうに思います。
特に、ここではないんですけれども、5歳児ぐらいになってくると、自分の欲求が優先されてしまう、つまり、身に付いていたはずのものが、欲求が優先されるので、さぼるではなく、そっちに目が行かない部分があります。そういった部分を、やはり環境を通して、十分にして配慮すべきだというようなことも、きちっとどこかには書き込まなければいけないことではないかなというふうに思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、志民委員、お願いします。
【志民委員】  6ページのところなんですが、6ページのヘのいろいろな人との関わりというところで、文化のことに関して入れていただきまして、私は、とても良かったなというふうに思っているんです。ここですと、行事などへの参加ということ、かなり参加ということで強く感じられるんですけれども、そこまでいかなくても、例えば、周りの人間が口ずさんでいる歌に耳を傾けるであるとか、そういったようなことでも文化に触れる機会だと思うんです。口ずさんでなくても、そうやって身の回りの文化に触れていくというようなニュアンスでもいいのかなというふうに思ったところです。
もう一点なんですけれども、小学校の各教科等の関わりということで、別にひがんでいるわけではないですけれども、音楽が、最後のところの豊かな感性のところしかないんです。先ほどいろいろな委員の先生方から御指摘がありましたように、例えば身体であるとか、それから言葉であるとか、それから、私はやはり思考力に関しても表現するということは関わっているというふうに考えておりますので、その辺につながるということを入れていただくことによって、音楽表現がそのまま芸術音楽につながるということにイコールではないようなことが、もうちょっとメッセージとして伝わるんではないかということを考えております。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  先ほど意欲ということに関しまして発言させていただきましたので、また、それに関連してということでお願いします。
すごくいいなと思ったのは、思考力の芽生えというところです。7ページかと思いますけれども、なかなか思考力というと難しく考えがちなんですが、これの赤字のところなんですが、興味、関心、意欲というところがかなり盛り込まれたということで、非常に幼児期の学びということを捉えやすくなったんではないかなというふうに思いました。
逆に、1ページのところなんですけれども、少し具体的にお話をしたいなと思っているのが、1ページの健康な心と体のところでして、ちょっと読むと、結構、難しいですね。健康、体力というのは、体育という狭い考え方ではなくて、生きる力の三つの柱の一つであるということを考えていきますと、非常に幼児期は重要だなと思っています。
ですから、ここでも、ちょっと難しいですが、体を動かす様々な活動に目標を持ってと、目標という言葉が出てくるのはここだけだと思います。これは小学校の学習指導要領と見ると、結構、小学校の体育の中身に近い感じがしてしまいまして、それよりは、もっと意欲のことを枕言葉のように、一つ目のポチにいくのか、二つ目のポチにいくのかというのはありますけれども、例えば好きな遊びを見付けてとか、好きな遊びに夢中になって取り組む中でとかというような枕言葉のようにいくか、若しくは、上のもので言うならば、体を動かす様々な活動に夢中になって取り組んだりということの方が先なのかなという気がしています。
先ほどの中でも発言させていただいたのは、やっぱり楽しくとか、進んでとかということがないと、余り技能差は生まれないところなので、まずそこからスタートしていくところを重要視するべきじゃないかなという気がしています。
それからあと、ちょっと言葉のところになるんですけれども、この目標というのはここしか出てこないんですが、今度、目的を持ってというのは4ページの方に出てきています。目標と目的、当然、意味は違ってくると思うんですけれども、外に出ていきますと、違いは何なのかということに当然なってきますし、この1ページ目の一つ目で、主体的に粘り強く取り組むなんていうのもあるんです。主体的に。3ページを見ますと、積極的に取り組むとかがあって、主体的と積極的がどう違うのかと。体育の方で言うと、積極的というのは中学校に使っていて、主体的というのは高校体育にしか使わない言葉なんですけれども、当然、出ていくと違いはということになりますので、その辺の幼児教育としての定義もはっきりさせた方がいいなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  重要な指摘をありがとうございました。では、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  まず、育ってほしい姿の明確化ということで、丁寧に記述していただいたことをありがとうございます。これを読ませていただいて、ああ、大変だと、教師が大変だと思いました。こういう子供たちの姿を育てていくのねというところで、一つずつを拝見していくと、やっぱり先ほど砂上委員がおっしゃったように、三つの柱との関連であったりとか、健康領域であれば、健康な心と体の領域であれば、まずは安定した情緒の基にというところがあって、その後で葛藤の過程があってというようなところから指導をしていく側に立つと、是非お願いしたいのは、一つは指導者用資料ということをきちんと出してほしいと思っています。これまでも、もちろん、たくさんの資料を出していただいて、それがすごく良かったと思いますし、最初に室長の方から、地域や学生などにも趣旨が伝わるということもおっしゃっていただいているので、より具体化、よりプロセスを我々が感じ取れるというか、考えられるような資料がこれには絶対に必要だなというふうに改めて思いました。蛇足ではありますが、よろしくお願いします。
【無藤主査】  ありがとうございます。それじゃ、渡邉英則委員が先に。
【渡邉(英)委員】 さっきの資料2の図から入って、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というふうに流れがきたときに、幼児教育以外の人が分かるとか、いろんな話の中で、確かに育ってほしい姿を言うんですけれども、具体的には本当に自分の身近なものとか人とか社会とか文化に出会って、そこの面白さを感じて、自分を作っていったりとか、人との関わりを広げていくとかすることで、学びが起こっていく。そうだとすれば、自分の周辺に様々な出来事が起こり、それを取り入れていきながら、自分も作っていくし、人との関係も育てていくみたいなイメージがあっていいのかなという気がしています。そこで自分のよさを分かっていくみたいなところがあって、そうすると、前回のときに神戸大学の田中委員はいらっしゃらなかったんですけれども、神戸大学附属幼稚園のカリキュラムの中に、自分作りと人との関わりが核になって様々なことが起こっていく、学びが起こっていくというような言い方をしている。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というのを並列的にばーっと書かれていくと、どれか個別の項目は育てようとはしてしまいかねない。子供たちが育っていくというのは、本当に身近なところに豊かな環境があったり、ある意味ではものだったり人だったりとか、それから保育者も含めて、文化だったり社会があって、そこに出会い、子供たちが世界を広げていくような面白さ。世界を広げていったりとか、葛藤したりするけれども、そこで自分にもできたとか、やれたということが自己肯定感につながっていく。今、議論されている様々な文言の、子供の姿がこのように育っていくというような押さえ方をするというのは、構造化のイメージをするときには大事ではないかなということを改めて思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、大方委員。それで順番にいきますので、大方委員、どうぞ。
【大方委員】  ありがとうございます。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が明確化されるということで、分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございます。既に先生方から出ていらっしゃる意見に賛同する部分もあるんですけれども、これが最終的に、イからヲまである中で、子供の自己の身体性や精神性の育ちが、幼児期というのはばらばらではなく、全体的に育つという部分をどこかに書いておいていただかないと、また一つ一つを目指すような形にならないようなことが最初のところにあればよいのかなというふうに思いました。
それから、健康な心と体というところにも、体の諸部位を十分に動かすということはとても大事なことだと思いますが、幼稚園教育に指先を使ったりするような、又は自然、理科ということもイメージすると、五感の感覚器官の育ちであるとか、操作性のようなものも含まれるような部分も、ここに書くのか解説書に書くのかというのはあるんですけれども、体の諸部位ということを言うと、何かちょっと硬い感じがしたので、その辺のところも書いていただけたらと思いました。
それから、先ほど北村委員がおっしゃった他文化、異文化の共生ということは、家族のこととかを知っていくということやインクルーシブのことの中でも違う他者を理解していくというような、タイプの違う人との関係も作っていくということも、いろんなところに関係してくるんですけれども、書いていく必要性があるのかなと思いました。
それから、これも協同性にもあるんですが、いろんな友達と積極的に関わると言うと、何かこう、どんどん関わることだけがイメージされないように、積極的にというか、多様な友達、いろんな友達と関わりを深めながらとか、その中で自己の力を十分に、思いを出すというような部分も入ってもいいのかなということ。その中で他者を理解していくということにつながっていけばよろしいのではないかという気が若干しました。
それから、衣服の着脱中、生活習慣のところも、生活文化に必要なことに気付いて、自分でする心地良さに気付くとか、最終的に自分でする自立なんですけれども、やればいいというんじゃなくて、自分で主体的にする方が心地良いということにつながっていくことが大事なのかなというようなことを思ったような次第でございます。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、渡邊郁美委員、お願いします。
【渡邊(郁)委員】   大体、このイからヲまでですね。この項目については、幼小の円滑な接続の報告書の方でも、もう数年前に出ていたんですが、この項目でいいかなというふうに思っております。
それで、今まで様々な御意見を聞かせていただいて、それぞれが関わってくるというのはしようがないかなというふうに思っております。もう一つ、細かいところでお話しさせていただければ、リのところの生命尊重と公共心のところなんですけれども、どうしても、ここのところ、生命尊重のところが書かれていまして、是非とも公共心のところも、幼児であっても入れていただければなというふうに思っております。
細かいところで、その下の点のところでは、公共の施設を訪問したり利用したりというようなところが載っているんですけれども、最近、災害があったり、それから、今年は住宅地に飛行機が落ちたりとか様々なことがあり、そして、自助、共助、公助の精神とかも、いろいろ言われているので、やはり幼児のときから、公共のためを思う心であるとか、社会一般の利益を図ろうとする精神といったものを大事にするために、もう少し文章を足していただければというふうに思います。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、宮原委員、お願いします。
【宮原委員】  時間のない中で済みません。私は2点ほどございます。
先ほど北村委員もおっしゃっていましたけれども、これからは異文化コミュニケーションといいますか、恐らく今よりも、もっと進んで、外国籍の人たちが日本に住み、育ち、肌の色から、いろいろな人が入ってくると思いますので、ハの協同性辺りに少し、国籍を超えたとか、多様な民族の人とのコミュニケーションといいますか、そんな言葉がちょっと入ればと思っております。
同じく国旗のところがありましたけれども、こちらも、ほかの国々の方がいらっしゃると少し違和感もありつつ、感じられるところもありますので、異文化のコミュニケーションなんかにも親しむような機会というんですか、こちらが何か明記されているようなことがあれば。いずれにしても、中学校、高校で、これだけ海外留学とかが増えていますし、社会に出れば、国籍関係なく、今は働く方が増えてきていますので、何か少し新しめなところで、そういった外国籍とか、そういう言葉、文言が入ればなというふうに感じています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。では、神長委員、お願いします。
【神長主査代理】  もう時間のないところなので、簡単にと思っております。
もう本当にたくさんの意見があって、これから大変だなと思っております。皆さんから出てきた御意見の中には、共通していることは、やはり項目について整理していくことになるんだと思うんですけれども、そのときに、どういう視点から整理をしていくかということ、三つの柱のところからの視点や、ここにもありますように、これは例として出しているものなんですが、今まで教育要領や解説や、それぞれの園の教育課程の、特に5歳児の姿をイメージして書いてあるものなので、これまで出してきたものが、今の御意見などを伺うと、随分、誤解を生む言葉があったんだなというようなことを思って伺っておりました。
そういう意味では、やはりここで示したいことは、こういう育ちの姿を通して、次の学校段階、つまり小学校に移行していくんだということがイメージできるような表現が必要なんだなというように思っております。つまり、幼稚園教育の中だけで閉じるのではなくて、その先をいかに見通すのかということと、幼稚園教育の3歳、4歳、5歳の積み重ねをどうするのかという両方の視点から整理が必要なのかなというふうに思っています。
私は、2点だけなんですけれども、例えば、困難な状況に対して、いろいろ思いをめぐらせて、よし、やってみようという行動力というか、自信を持って行動するというのは、3歳、4歳の時期は、そんな周りの様子などを余り気にせず、非常に活発に行動できる子供が、ある時期になるとちゅうちょしながら周りの様子を見たり、相手の表情を見たりという、そういう姿を通して自信は持っていくんです。その辺りが、多分、5歳の姿の修了だけの自信を持つというところでいくと、むやみやたらと活発に行動する子供が自信を持っているかというふうに受けとめられてしまうので、多少、そういうときは育ちの姿をここの中に入れていかなくてはいけないなというふうなことを思います。
それとまた、やはり言葉の整理をするときに、言葉による伝えのところに、注意して聞いて、相手の話が分かるというような表現になっているんですけれども、子供が相手の思いが分かる過程の中には、やはり人間関係の育ちの中で関心を持って聞くという中から、その注意してという聞き方ができるようになっていくわけで、その辺りの、5歳の子供がそこの力を獲得するプロセスが見えるような書き方という工夫も必要なのかなというふうに思っています。
例として出されているものですけれども、その中で3歳、4歳の積み上げと、小学校教育にどう移行していくのかという流れの中で整理が必要なのかなと思っておりました。
【無藤主査】  ありがとうございました。
まだまだおありかと思いますけれども、意を尽くされなかった部分などなどにつきましては、是非ペーパーで、事務局にまたお出しいただければと思います。特に、最後の12の姿、たくさんの項目がありますので、個別の御意見は、多分、発言し切れなかったと思いますので、よろしくお願いいたします。
私の方としても、今、神長主査代理から御発言がありましたけれども、結局、幼稚園教育要領の最初の部分の原則が3つ示されているわけです。それに対して五つの領域があるわけで、その構造を変えようとしているわけではないわけですね。いわば、その上で、更に幼稚園教育の在り方を明確にしようということで、三つの柱を組み込む。さらに、年長児の12の姿を示そうとしておりますので、その間の関連とか書き分けとか、そういうことを念頭に置いて、事務局の方と私の方と相談しながら、整理を更に進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次回以降の日程につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  先生方、本日もいろいろな御意見、どうもありがとうございました。
次回は来年の1月21日木曜日、10時から開催予定としてございます。場所につきましては、文部科学省内を予定してございます。議題につきましては、現在のところ、幼児教育と小学校教育の円滑な接続と、それから幼稚園における子育て支援について御議論いただくことを考えてございます。
2月以降の日程につきましては、本日、資料番号なしでお配りしてございます「教育課程部会幼児教育部会 今後のスケジュール」のとおりでございます。
なお、先ほど主査の方からお話がございましたとおり、ペーパーによる意見等も頂戴したいと考えてございますので、ファクス又はメール、郵送でも何でも構いませんので、1月8日金曜日までを目途に頂戴できればというふうに考えてございます。
なお、本日の配付資料につきましては、机上の方に置いていただければ、後ほど郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、第3回の幼児教育部会を終了させていただきます。皆様,ありがとうございました。

── 了 ──


お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課