資料1 今後の学校と地域の連携・協働に関する主な意見

【論点】時代の変化に伴う学校と地域の在り方をどのように考えるか。

◇論点1◇
これまでの学校と地域の連携・協働に係る取組による成果と課題を踏まえ、どのような方向性で取組を推進していくか。

■中央教育審議会における主な御意見
<学校と地域の役割・機能について>
・地域住民等の学校への「参画」という言葉は学校の先生を刺激し、介入されるのではないかという抵抗感を抱かせるが、参画は子供の教育責任を社会的に分担するということである。これからの時代に求められるのは、学校運営に責任をもつ地域住民であり、学校運営に参画し、汗をかくことが求められる。それが学校と地域の連携の意味である。その力量の形成のためにはトレーニングが必要であり、誰もが参画できるわけではない。そのきっかけとして学校支援ボランティアやPTAがある。
・学校と地域が連携・協働するにあたってのポイントは、学校と地域がテーマでつながる、学校と地域をコーディネーターがつなぐ、学校と地域がイコールパートナーであること、学校と地域がプロセスを共有すること等である。
・コミュニティ・スクールは地域から支援を受けるだけでなく、地域にどう貢献できるかが重要であり、それが地域に愛着をもつ子供を育てていくことにつながる。
・学校支援地域本部は、学校課題の解決に寄与するだけでなく、同時に地域の課題に向き合い、解決していく住民を増やしていくことにつながるなど、住民の自治能力の向上にも寄与する。
・子供の貧困等の福祉の観点から、学校(コミュニティ・スクール)を基盤として、福祉部局等の首長部局やスクールソーシャルワーカー等と連携したプラットフォームを構築できないか。
・「開かれた学校」と「守る」という概念をどう一緒に進めていくかが課題である。
・地域住民は学校をしっかりと理解した上で学校に入る必要があり、そのことにより、地域の教育力も向上していく。
・社会教育が弱くなってきている感覚があるため、それを強めていく機能を求めることが今後の方向性ではないか。

<学校と地域の連携・協働に係る意識醸成について>
・学校と地域との連携については、それぞれに理解者を増やし、それを文化とし、住民として自覚していくことが重要である。
・教育の担い手となることが社会の文化となるためには、担い手になれない人たちが巻き込まれ、達成感が得られるような仕組みが必要である。
・限られた人たちだけでなく、どうやったら多くの人が一度でも学校へ足を運んでくれるかを考えなければならない。一度でも学校に足を運ぶと当事者意識が変わる。
・「大人が学ぶ」という観点や、リーダーが「この学校、この町をどうしていきたいという物語を語れるようにしていくこと」が重要である。
・PTAやおやじの会に参加していた人が学校運営協議会のメンバーになっている。PTAやおやじの会などの組織を育てていくことが将来の地域を支える人材育成につながる。

◇論点2◇
これからの教育改革や地方創生の実現のために、学校と地域の連携・協働の在り方、地域とともにある学校の在り方について、どのように考えるか。

■中央教育審議会における主な御意見
<教育改革、地方創生との関係について>
・地域創生の観点からも、学校では地域に目を向けた教育、地域で生きていく確信を持つ教育・学習を行うことが必要であり、地域は課題解決型学習やアクティブ・ラーニングの場となる。
・アクティブ・ラーニングが叫ばれているが、地域に出るとアクティブ・ラーニングをせざるを得ない。
・時代の激流、教育改革のうねりの中で、一方的に押し付けられるのではなく、自ら参加し、理解し、自分たちのものとして改革していく必要がある。形骸化していかないよう住民同士が模索していくことが必要であり、常にスクラップ&ビルドしていくことが重要である。
・小学校では学校支援ボランティアに来てもらうことが地域との連携であるが、中学や高校では地域に子供たちが出て活動していくことが連携の意味するところである。
・工業高校は特にまちづくり教育やまちづくり学習をしていて、地元に目が向いている。地域の課題解決にまで携わらないと子供たちは地元に戻ってこない。その経験が地域創生につながる。
・共助の再生を考える際、大学入試改革、人口流出等の課題は待ったなしであり、高校生、特に普通科の進学校に進む子を積極的に地域に出すべきである。その際、首長部局と教育委員会、高校との連携が鍵になる。高校生を地域に出すことで地域に対する当事者意識が高まり、地域のために専門性を身につけようと大学へ進学する。
・地方創生という流れの中で、今こそ、学校を核とした地域づくりを進めていくチャンス。総合教育会議もできて首長と話すこともできる。首長がつくるビジョンや戦略の中に、学校を核とした地域づくりの視点も入れていく必要がある。
・一方、子供が減っている現実の中で、統廃合の問題もあり、学校を核とした地域づくりという考え方と矛盾してくる。統廃合の視点を変えていかないと、地域づくりの考え方が理想論だけに終わってしまう。
・人口減少に対しては、コミュニティ・スクール等により、将来地域に貢献したい、住みたいという子供たちを育てることが重要である。
・小中一貫教育と地域連携は両方やる必要がある。子供の成長とともに、そこに関わる大人が連携しなければうまくいかない。

<社会の変化との関係について>
・時代が変化する中、学校の普遍的な部分は学びを支えている組織であるということ。他者性や異質性がないと学びは成立しないが、最近はそれが同質化してきており、社会教育も異質性がなくなってきている。そのため、連携・協働が求められているのではないか。
・現在は地域の次世代育成機能が弱くなってきたため、学校と地域の連携による地域教育力の向上が叫ばれている。共助の考え方を再生しないと新たなる協働はない。
・人生の中で学校教育が果たす役割そのもの、生涯学習社会における学校の役割が抜本的に変わってきており、著しく小さくなってきているのではないか。親や地域住民が育っていくこと、卒業してからも学び続ける、育ち続けられる子供を育てていくことが学校の役割となってきている。それを進めていく装置がコミュニティ・スクールである。

<様々な主体の参画について>
・地方創生、活力ある地域づくり、人づくりのためには、地域とともにある学校づくりを全県的に推進する必要があり、そのためには、知事部局と教育委員会の連携・協働が重要である。
・保護者の当事者意識を醸成することは重要であり、地域も学校に学ぶ必要がある。学校を理解しながら提案をしたり、協働したりすることができる立場になっていきたい。そこに関わる企業や首長部局も学校とつながることはどういうことなのか、社会総掛かりで教育に関わるというのはどういうことなのかということを学んでほしい。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 運営支援企画係

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 運営支援企画係)