地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第10回)・学校地域協働部会(第9回)合同会議 議事録

1.日時

平成27年10月26日(月曜日)9時30分~12時

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 答申(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

加治佐委員、明石委員、天笠委員、松田委員、浅原委員、生重委員、貝ノ瀬委員、黒瀬委員、貞広委員、竹原委員、田崎委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、松浦委員、宗岡委員、山野委員、飯塚委員、井出委員、浦崎委員、熊谷委員、関委員、平岩委員、牧野委員、若江委員

文部科学省

河村生涯学習政策局長、関政策評価審議官、徳田大臣官房審議官、岩本生涯学習総括官、塩崎参事官、里見政策課長、谷合社会教育課長、藤原学校運営支援企画官、渡辺地域・学校支援推進室長、枝家庭教育支援室長、助川民間教育事業振興室長

5.議事録

中央教育審議会
初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第10回)」
生涯学習分科会「学校地域協働部会(第9回)」
合同会議

平成27年10月26日

【加治佐主査】 
  皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会、初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」と生涯学習分科会「学校地域協働部会」の合同会議を開会いたします。本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
  合同会議は今回で3回目の開催となりますが、今回は便宜的に私が議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  本年4月に中央教育審議会に諮問された新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方については、両部会において精力的に御審議を頂いたところであり、去る10月5日の会議においてそれぞれの座長取りまとめを御一任いただき、審議のまとめとして取りまとめました。この審議のまとめについては10月9日の生涯学習分科会及び10月19日の初等中等教育分科会にて報告、審議いただき、その後パブリックコメントを11月6日まで実施している最中です。
  審議のまとめについては既に事務局から皆様に送付させていただきましたが、本日は両部会における御指摘を踏まえ、審議のまとめを更に修正した答申(素案)について御議論いただきます。
それでは、議事に入る前に配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
  皆さん、おはようございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
  配付資料につきましては、机上にクリップ止めで置いてあると思います。議事次第に基づきまして、資料1-1から参考資料6まで、お手元にあるかどうか御確認ください。そのほか机上配付資料として、それぞれの部会で使いましたこれまでの過去の資料をファイルで置かせていただいております。
  以上です。

【加治佐主査】 
  資料に不備等がありましたら事務局までお申し付けください。
  それでは、本日の議事に入ります。今回の会議が第1章から第4章まで、全体を通して御覧いただく初めての機会だと思います。まず、事務局より答申(素案)の全体等について御説明いただき、その後、章ごとに時間をある程度区切って御議論いただきたいと思います。特に第4章につきましては、第2章のコミュニティ・スクールの在り方、第3章の地域における学校との協働体制の在り方を踏まえ、両者の効果的な連携・協働の在り方について述べている部分です。今後、答申に向けて更に議論を深めていただく必要があると思いますので、特に第4章について、御審議をよろしくお願いいたします。
  それでは、事務局より答申(素案)及び生涯学習分科会、初等中等教育分科会での意見と、その反映状況等について御説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
  失礼いたします。事務局の方から資料の説明をさせていただきます。
  ただいま座長から御説明がございましたように、本日、答申(素案)ということで、第1章から第4章まで通じた形で皆さんに御覧いただくことになります。1章、2章の部分につきましては私の方から、3章、4章については渡辺室長から御説明させていただきます。全体30分程度の時間になりますが、御容赦いただければと思います。
  それでは、お手元資料1-1を御用意ください。答申(素案)でございますが、これにつきましては審議のまとめという形で、それぞれ初中分科会、生涯学習分科会の方に御報告し、審議していただいております。参考資料2に初中分科会における主な意見がございます。これらを一つ一つ御紹介することは時間的に難しいので、参考資料2で示された御意見については私の説明の中で、特に第2章の説明の中で触れさせていただきたいと思います。
  2ページからが第1章です。第1章につきましては、それぞれの作業部会において既にお目通しいただいておりますので、詳細な説明は割愛させていただきます。
  2ページから各背景として、教育改革、地方創生の動向等にも触れております。7ページ以降、学校と地域がパートナーとして相互に連携・協働していく必要があるということで、その理念の下で第2章、第3章が続くという格好になっております。いま一度確認というか御紹介ですが、8ページに第2節、これからの学校と地域の連携・協働の姿ということで、大きく三つの視点が書かれております。まず、地域とともにある学校に転換していくということ。これからの公立学校は、開かれた学校から更に一歩踏み出し、地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供たちを育む地域とともにある学校へ転換していくと。この理念の下、第2章においてコミュニティ・スクールのこれからの在り方が議論されてきたという状況です。
  一方で、8ページ二つ目の柱ですが、子供も大人も育ち合う教育体制の構築です。地域全体で子供たちを育んでいこうと、様々な関係機関、団体等がネットワークを図り、一体的な教育体制を構築していく。この理念に基づきまして、第3章におきまして学校支援地域本部のこれからの姿ということで、地域学校協働本部が御提示されています。
  3番目の柱、学校を核とした地域づくりの推進ですが、この点につきまして、前回、初中分科会で御意見がございました。学校を核とした協働の取組というフレーズを聞いたときに、学校が全て主体になった取組、活動というものが展開されていくのかという御意見を頂いたところです。そのことを踏まえて、9ページの(3)の2行目ですけれども、「学校という場を核とした協働の取組を通じて」と、若干文言を修正しております。すなわち全て学校が主体となった取組、活動が展開されるということではないと。学校と地域が協働した取組であるということで、「学校という場を核とした」という表現を加えております。
  こうした三つの柱に基づきまして、それぞれの在り方を議論してきました。11ページ、第2章からですが、これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策についてまとめています。第1節にコミュニティ・スクールの意義・理念等、制度導入から10年余が経過した今、新しい時代における学校と地域の連携・協働の姿を見詰めながら、その実現にふさわしい仕組みに転換していくということで、コミュニティ・スクールの在り方を作業部会において議論してきたところです。
  11ページからコミュニティ・スクールの現状、成果等があります。作業部会におきましては、できるだけ実態を踏まえた議論をしていこうと、コミュニティ・スクールの実態調査を改めて実施し、成果、課題、あるいはニーズを踏まえた議論を展開してきたところです。
  13ページからが在り方についてお示ししているところで、提言のポイントが四角囲いにまとめられております。まず、コミュニティ・スクールの仕組みにつきまして、大きく五つの提言がなされております。まず一つが、学校運営協議会の目的として学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めていく役割を明確化する必要があるということ。このことについては14ページ以降に書かれていますが、学校運営協議会の機能が、基本指針の承認、学校運営への意見、教職員の任用に関しての意見という三つの権限ですが、これらが現場において非常に脅威的なイメージを持たれています。学校のガバナンス強化を目的とした機能ということではあるのですが、この学校運営協議会というのを現状の課題を抱えている学校に照らし合わせてみれば、より学校を支援し、応援し、特色ある学校づくりを進めていくのだということの役割を、しっかりと明確化していこうということが議論されたところでございます。
  二つ目の丸ですが、現行の学校運営協議会の機能は引き続き備えるということとした上で、教職員の任用に関する意見に関しては柔軟な運用を可能とする仕組みを検討していくこと。これについては、後ほど詳細に御説明いたします。
  三つ目ですが、地域等による学校支援に関する総合的な企画・立案を行い、連携・協力を促進していく仕組みとするということ。
  四つ目が校長のリーダーシップ発揮の観点から、学校運営協議会の委員の任命というのは教育委員会が行うこととなっておりますけれど、校長の意見を反映する仕組みとしてはどうかということで御意見がございます。
  そして五つ目の提言です。小中一貫教育など学校間の教育の円滑な接続に資するため、現行の制度上は学校ごとに学校運営協議会を置くという規定になっておりますが、複数校で一つの学校運営協議会を設置できる仕組みとすることが御提案されています。
  これらの仕組みの方向性を踏まえ、制度的位置付けに関する検討ということですが、全ての公立学校がコミュニティ・スクールを目指していくという方向性を示しながら、学校運営協議会の制度的位置付けの見直しを考えていくということが御提言されているところです。この部分については、後ほど詳細に御説明いたします。
  このような提言がなされていますが、その中身について、少し詳しく御説明したいと思います。14ページから17ページで、先ほど現行の制度が持つ機能、権限の扱いについて御説明いたしました。
  丸1の校長の作成する学校運営の基本方針の承認、これは必須の機能です。校長は学校運営協議会の承認を得なければならないということです。二つ目が15ページにあります、学校運営に関する教育委員会又は校長に対する意見を述べることができるという権限です。最後三つ目ですが、教職員の任用に関して教育委員会に意見を述べることができる。この三つの権限、機能が現行の学校運営協議会制度に与えられているわけですが、これらそれぞれについて、意義あるいは成果等を整理し、あるいは実態調査から見えてくる姿を示しながら議論してきました。
  その結果ということで、16ページ一番下の行ですが、現行の機能の取扱いが書かれております。「現行の学校運営協議会制度は、『地域とともにある学校』の理念を実現させるための有効な仕組みであり、地域の人々や保護者が学校の運営に真(しん)に参画し、協働することを保障するために、少なくとも同協議会が具備すべきとされた機能が現行法に規定されている三つの機能である。」と、それぞれの意義、成果等を考えたときに、これら三つの機能は引き続き備えるべきであるということが結論として示されたところです。
  その次の行ですが、その上で、特に教職員の任用に関する意見というのは、現場、教育委員会あるいは学校において非常に抵抗感、警戒感が示されている状況であるという実態を踏まえたときに、これまでの心理的抵抗を払拭し、学校運営協議会を新たに導入しようとする積極的な検討を促す観点から柔軟な運用を確保する仕組みとしていくことも検討すべきであるということが示されたところです。
  続きまして、17ページ(2)です。学校支援の総合的な企画・立案の機能についてです。現行の機能は今申し上げた三つの機能ですが、現状において、学校運営協議会を設置しながら学校支援活動を実施している学校は多くあります。およそ7割の学校運営協議会において、支援の機能を持たせているという状況があります。この(2)のところに触れておりますように、様々な面で成果の認識は優に出ているという状況で、承認した基本方針の達成に向かって、単に意見を述べるだけではなく、共に前進し、行動していくということによって当事者意識の更なる向上につながっていく。また、それによって学校がよりよく発展していくということが、議論の中で出されたものです。
  地域住民等による学校の教育活動を支援する機能というのは欠かせない機能であるということから、学校運営協議会において、そのような機能を持たせるべきということが議論されたところです。
  18ページ中ほどに「こうした意義や成果等をふまえて」ということが書かれているところがあるかと思います。学校運営協議会が学校に対する地域の人々の理解、協力、参画を促進し、学校を支える基盤であるという観点を明確化していくことが必要だと。このため、学校運営協議会において、地域等による学校支援に関する総合的な企画・立案を行い、地域等における連携・協働を促進していく仕組みとしていく必要があるということが提言されています。
  「この際」とあります。以前の合同部会において御意見があったことも踏まえながら、このような仕組みを検討するに当たっては、当該機能がトップダウン型で一方的に展開されることなく、地域住民と教職員とが共同で企画したり、活動を実施したりするなど、学校と地域の協働的な活動が展開されるよう配慮することが必要であるという視点も加えさせていただいています。
  そして、その続きですが、20ページ以降がコミュニティ・スクールの仕組みの必置(ひっち)の検討についてまとめているところです。先般、3月に教育再生実行会議の第六次提言が取りまとめられておりますが、この第六次提言の大きな柱の中にコミュニティ・スクールの必置について検討を進めるということが提言されました。実行会議の提言も踏まえながら、作業部会におきまして必置の是非について御議論いただいたところです。
  観点としては、21ページの中ほど、学校や地域の状況、市町村や学校の規模との関係、幼稚園、高等学校、特別支援学校の特性を踏まえた在り方、小規模自治体における教育委員会と学校運営協議会の関係の取扱い、このような視点も踏まえながら、議論を進めてきたところです。
  22ページに学校や地域の状況について取りまとめております。現在の状況を見たときに、学校運営協議会と類似の仕組みが様々な形で、地域で展開されています。これらを踏まえながら、その成果、あるいは課題等について整理したところで、22ページ中ほどに、「このため」ということでフレーズが書いてあります。国は学校評議員制度からコミュニティ・スクールへの移行を積極的に促すとともに、丸々型コミュニティ・スクールなど、学校運営協議会制度によらずに地域の人々や保護者等が学校に参画する仕組みを構築している取組、これらについてもコミュニティ・スクールへの過渡的な段階の姿として捉え、コミュニティ・スクールへの移行を促進していくことが重要であるということが書かれております。
  制度、仕組みに基づく体制ということが継続性、あるいは組織的な持続可能性を持たせるという意味において、非常にメリット、魅力があるということも踏まえ、このような仕組みを取り入れていくことの重要性がここで示されているところです。
  (2)は市町村、学校の規模との関係ですが、特に小規模自治体におきまして人材が不足しているとか、様々な課題が示されたところです。これらを踏まえて、先ほど小中一貫教育のところで触れましたが、小規模な学校のネットワークをガバナンスの面から支えるという観点から、複数校における学校運営協議会の設置の有効性が、このフレーズの中で示されたところです。
  (3)として、幼稚園、高等学校、特別支援学校の特性を踏まえた在り方が示されておりますが、それぞれの特性を踏まえて、学校運営協議会はどうあるべきか等々について議論してきました。(3)の二つ目のパラグラフ、結論といたしましては、子供たちの生きる力というのは学校だけで育むのではないと。地域や社会の多様な人々と関わり育まれるということは、どの段階においても変わるものではないということを示しています。すなわち、学校種の特性を生かしつつ、幼児、児童、生徒の発達段階に応じて協働体制を構築していく。幼稚園は幼稚園ならではの体制の在り方、高等学校は高等学校の在り方ということで、それぞれ特性を踏まえた在り方を後ろに示しているところです。
  特に高等学校におきましては、地方創生の観点からも地域の課題解決、地域活性化に資するということで、生徒たちがどんどん地域に出ていくという観点も踏まえながら、これからの学校運営協議会の在り方が示されているところです。
  24ページに特別支援学校の特性というところがありますが、最後の行に、「また、センター的機能の役割を果たす」というとことの3行、そして、注釈の部分というのが初中分科会の審議を踏まえて、追加したものです。「センター的機能を有する特別支援学校は、その機能を活用することによって、地域の活性化に貢献していくのだ。」ということのフレーズを入れていただきたいという御意見がありました。
  (4)小規模自治体における教育委員会との関係についても整理をしたわけですが、これらを踏まえて、(5)これからの学校運営協議会の制度的位置付けの検討というところが示されております。この作業部会の議論の中では、学校運営協議会制度につきまして、25ページにありますように、学校と地域に様々なポジティブな影響を与える可能性があるということから「仕組みを必置とすることが望ましい。」ということなど御意見を頂いたところです。
  一方で、26ページ、一律に必置するということではなくて、取組を検証しながら進めていくべきだということがありました。作業部会におきましては、教育長関係団体6団体、校長・園長会5団体、計11団体のヒアリングを実施し、現場のニーズも踏まえた議論を進めてきました。26ページ中ほどに整理されておりますが、これらの関係団体からは、コミュニティ・スクールの仕組みの意義、あるいは設置の促進は必要であるという認識を示されている一方で、一律に導入を促進するということではなく、学校や地域の実情を踏まえた在り方ということを望む声がございました。
  これらを踏まえて、26ページ、これからの学校運営協議会の制度的位置付けと書かれております。現在の学校が抱える課題、複雑化、困難化している状況を踏まえると、これからの学校の協働の必要性というのが第1章等で示したところですが、27ページにありますように、これからの公立学校は、地域とともにある学校へと転換し、連携・協働体制を持続可能なものとしていくことが不可欠であると。今後、全ての公立学校において学校運営協議会制度を導入した学校を目指すべきであるという、目指すべき方向性を示しております。その上で、現在、任意設置となっている学校運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策を講じていくことが必要であると。その際、基本的には学校又は教育委員会の自発的な意志によって設置されることが望ましいこと。設置率という実態を踏まえる必要があること。そして、制度導入に対する拒否反応を丁寧に払拭していく必要があること。学校や、学校を取り巻く地域の状況は多様であることから、過渡的な段階を経た発展も考慮する必要がある。このような点も勘案しつつ、教育委員会が積極的にコミュニティ・スクールの設置の促進に努めていくような制度的位置付けの見直しを検討すべきであるということで、教育委員会に対して努力義務を課す制度的な見直しが提言されたところです。
  その上で、27ページ、一番下に「この際」ということで、コミュニティ・スクールの設置が円滑に促進されるよう教育振興基本計画等において国としての方針を明確化し、次節に記述する支援方策の積極的な実施と併せ、取組状況をフォローアップし、適切な時期に制度的位置付け、支援方策について検討し、その結果に基づき見直しを行うべきであるということで、制度的な見直しと併せ、今後国としてしっかりフォローアップしながら対応していく必要があるということが提言の中に示されたところでございます。
  最後に28ページ以降がコミュニティ・スクールの総合的な推進方策です。現状、実態を踏まえると、理想的な姿と現状、実態とは開きがあると。その開きを埋めていくためにしっかりと推進方策を示していくということで、29ページ、大きく六つの観点をお示ししております。提言のポイントがございますが、様々な類似の取組を取り込んだコミュニティ・スクールのすそ野の拡大、学校の組織としての総合的なマネジメント力の強化、学校運営協議会委員となる人材の確保と質の向上、地域の人々や保護者等、多様な主体の参画の促進、そして、体制面・財政面の支援ということで、学校現場における勤務負担の軽減のための教職員体制の整備、そして最後に幅広い普及・啓発の推進ということが推進方策として示されているところです。
  特に学校組織のマネジメント力の強化という部分について、学校の運営をしっかりと進めていくに当たっては、校長のリーダーシップの発揮が必要であること。特に地域連携について中心的に担当していく教職員の存在が議論されており、地域連携を担当する教職員の法令上の明確化が示されているところです。
  最後は、初中分科会の御指摘の中で、33ページの地域連携担当教職員の部分につきましては、四角囲いのところの「国は」と書いてあるところの4行目です。「学校全体の業務の効率化・最適化を図ること等を通じ、当該職員が地域との連携に力を発揮できる環境の確保を図る。」と書いてあります。すなわち地域連携担当教職員を明確化したとしても、その職員が業務多忙化につき、なかなか地域との連携・協働が進められないという状況を改善していく必要がある。しっかりと地域に向き合う時間を確保していく必要があるということの御指摘を頂いたところです。それを踏まえた修正を加えたところです。
  推進方策について説明が不十分ですが、全体を通じてこのようなことが作業部会において議論され、まとめられているところです。
  以上です。

【渡辺地域・学校支援推進室長】
  続きまして、私からは第3章、「地域の教育力の充実と地域における学校との協働体制の在り方について」及び第4章、「コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の効果的な連携・協働の在り方について」、答申(素案)の概要を説明させていただきます。  資料1-1の42ページを御覧いただけますでしょうか。まず第3章、「地域の教育力の充実と地域における学校との協働体制の在り方について」ということで、第1節、地域における学校との連携・協働の意義につきまして、地域の教育力に関する課題ということで、近年、地域課題や社会課題が増加している一方で、地域における社会教育関係団体の活動縮小などを背景に地域の教育力が低下しているということ。また、3番目の段落では、様々な状況により家庭教育を行うことが困難な家庭もあり、多様化する家庭の状況を理解することが必要であることが触れられております。
  次の2、地域の教育力の充実のために学校と連携・協働することの意義におきましては、地域が学校と連携・協働することは子供たちの教育環境の充実に資することにとどまらず、地域がその教育力を高め、持続可能な地域づくりにもつながるとしております。
  4番目の段落では、地域における学校との連携・協働を進めていく際には、子供たちの将来に向けて何よりも子供を中心の軸に置いて検討することが必要である。次代を担っていく子供に対して、どのような資質を育むのかという目標を共有して、地域社会と学校が協働して子供の教育に取り組んでいく必要があるとしております。
  次の段落におきまして、子供の教育という共通の旗印の下に、地域住民がつながり、地域と学校が協働することで、新しい人と人とのつながりが生まれ、地域社会の課題解決にも、地域の一員として学校も関わっていくことにつながる。このため、真の意味で地域と学校が協働することを目的としていく必要があるとしております。
  第1節、最後の段落に、まとめといたしまして、地域の教育力の再生・充実は、地域振興に向けた連携・協働につながり、持続可能な地域社会の源となり、そうしたことが「生涯学習社会」の構築に資するとしております。
  第2節は、地域における学校との連携・協働の現状等といたしまして、説明は割愛いたしますけれども、学校、家庭、地域の連携・協働に関する制度改正、予算、事業など、これまでの経緯などについて時系列に沿って整理しております。
  45ページを御覧いただけますでしょうか。(2)地域における学校との連携・協働の現状といたしまして、現在、学校支援地域本部が公立小中学校の約34%である約1万校、約4,200本部、放課後子供教室は公立小学校で約1万4,000教室と整備が進み、土曜日の教育支援活動なども広く実施されております。
  次の2、地域における学校との連携・協働の課題にありますように、二つ目の段落で、学校支援活動や放課後、土曜日の支援活動など、活動間の連携が必ずしも十分でないことや、次の段落で、コーディネート機能の大部分を特定の個人に依存し、結果として、持続可能な体制がつくられていない場合が多い。次の段落では、学校支援地域本部では、地域から学校への一方向の活動内容にとどまっており、子供と住民が共に活動することで地域の振興につながるという意識は必ずしも十分でないといった課題が挙げられるとしております。
  第3節におきましては、こうした現状と課題を踏まえ、地域における学校との協働体制の今後の方向性について整理しております。まず(1)といたしまして、今後の方向性として大きく二つのことが述べられております。第一に、国全体として目指すべき整備の方向性は、地域と学校がパートナーとして、共に子供を育て、そのことを通じて、共にこれからの地域を創るという理念に立つこと。「支援」を超えて、目的を共有し長期的な双方向性のある展望を持った「協働」に向かうことを目指す。三つ目の段落、第二に、活動やコーディネート機能のつながりを深め、多様な活動の違いを超えて総合的な運営を進める。いわば総合化が重要であるとしております。そして、最後の3行、「支援」から「連携・協働」、個別の活動から総合化を目指す今後の新たな体制を、地域が学校と協働する枠組みとして、「地域学校協働本部(仮称)」と呼ぶことを提唱したいとしております。
  (2)ではその「地域学校協働本部(仮称)」の在り方として、この本部は、地域の人々や団体により「緩やかなネットワーク」を形成した、任意性の高い体制としてイメージされ、より多くの、より幅広い層の地域住民に参画していただきつつ、参加者の世代交代なども経ながら永く持続していくものでございます。この本部体制の必須要素といたしましては、1、コーディネート機能を有するということ、2、より多くの活動をする地域住民が存在すること、3として継続的な活動が実施されていることの三つとなります。
  ここで資料3-3、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える仕組みというイメージ図を御覧いただけますでしょうか。この資料は第1章でも述べたこれからの学校と地域の連携・協働の在り方の基本的な理念を踏まえて、先ほど説明した第3章第3節の地域における学校との協働体制の仕組みの概念図として作成したものでございます。この審議のまとめでも強調しておりますように、今回の地域と学校の連携・協働の目的は未来を担う子供たちの成長を地域全体で支えていくということであり、将来を担う子供に対してどのような資質を育むのかという目標を共有し、地域社会と学校が協働していくということでございます。この図にありますように、学校があり、地域住民、保護者の方々を始め、様々な人がいて、様々な機関、団体、企業などがございます。子供たちの将来、成長に向けて、地域の中で学校支援、土曜日や放課後の活動、子供の学習支援、地域活動など、広い意味で社会教育に含まれる様々な地域学校協働活動により多くの幅広い層の住民、保護者、PTA、様々なNPO団体、企業など、この図の外側に青色で示したような様々な方々に参画いただき、地域にある学校の教育活動と連携・協働を図っていく。地域は子供にとって安全な場所にもなり得るというものでございまして、子供の成長を支えるという目的の下に、子供、保護者の支援という観点から、例えば子供の学習、生活習慣支援活動のような地域学校協働活動に地域住民や福祉関係団体などの方々にも参加いただき、家庭教育支援の活動とも連携・協働していく。そのような地域学校協働活動を推進していくための新たな体制が「地域学校協働本部(仮称)」となるものでございます。
  次に、資料3-4を御覧いただけますでしょうか。この図は、現在の地域における学校支援活動等の実施体制と今後の地域における学校との協働体制のイメージ案でございます。左側が現在の実施体制のイメージ図で、学校支援地域本部を置く学校においては、この本部が中心となって地域住民の参画により授業補助、花壇整備といった学校支援活動が行われ、そのほか、土曜日や放課後の支援活動や家庭教育支援なども行われている場合もございます。それぞれの事情にもよりますが、これらの活動ごとにコーディネートがなされ、必ずしも横の連携が十分ではない。コーディネート機能の大部分を特定の個人に依存し、持続可能な体制がつくられていない場合も多い。地域から学校への一方向の支援にとどまることなどが課題となっております。
  このため、今後はコーディネート機能の充実、「支援」から「連携・協働」へ、個別の活動の総合化を目指して、目指すべき協働体制として図の右側の「地域学校協働本部(仮称)」を提唱しております。この「地域学校協働本部(仮称)」におきましては、より多くの幅広い層の地域住民や団体の参画を得て、学校のパートナーとして、学校支援活動、土曜日の教育活動、放課後子供教室、家庭教育支援活動、さらにはより新しい活動としましては、学びによるまちづくりや地域社会における地域活動などにつきまして、活動ごとの横の連携を図りながら、学校と連携・協働していくことを目指すこととなります。先ほども述べましたが、この本部は地域の人々や団体により「緩やかなネットワーク」を形成した任意性の高い体制をイメージしておりまして、実際の活動についても地域の実情、特色に応じて行うこととなります。地域によって実情、特色、課題は実に様々であり、特に求められる活動はそれぞれの地域によって異なります。このため、放課後支援、学習支援、登下校の見守り、郷土学習、地域行事の共催など様々な活動が考えられる中で、こういった全てのメニューを実施するということを求める趣旨ではありませんので、できることから始めて、徐々に活動が広がって、活動間の連携を踏まえて内容もより充実していくということを想定したものでございます。
  資料1-1、48ページをおめくりいただけますでしょうか。2、地域における学校との協働体制の整備の方向性に示しておりますが、こうした「地域学校協働本部(仮称)」の整備目標として早期に全小学校区、約2万か所において構築されることを目指すとしております。
  次に第4節、地域における学校との協働のための取組の推進についてです。こうした体制整備におきまして、何よりも重要となるのがコーディネート機能でございます。コーディネート機能としては幾つかの段階が想定されますが、まず(1)学校区における地域コーディネーターにおきましては、これまで活動ごとに企画調整がなされるなど、活動間の連携が十分ではないという傾向が見られたという意見もございます。今後は地域コーディネーターの役割は、活動ごとの担当にとどまらず、より広い視野で地域における学校との協働体制を作っていくことが必要です。このため、地域コーディネーターの活動が将来的な、継続的な取組となるよう地域コーディネーター間の情報共有であるとか、研修の機会の確保など、人材の育成確保が重要となるとしております。
  コーディネート機能、第2段階といたしましては、次のページに(2)市町村単位での統括的なコーディネーターがございます。これは各小学校区の地域コーディネーターについて、ネットワーク化の促進や資質の向上、さらには、地域における学校と協働した取組について未実施地域の取組開始を促進するため、新たに、市町村全体の学校地域協働に関する統括的なコーディネーターが必要であり、この統括的なコーディネーターは未実施地域における立ち上げ支援であるとか、地域コーディネーターの確保や育成など、地域コーディネーターのいわばリーダー的存在となることが期待されるものでございます。
  50ページ、(3)におきまして、社会教育主事や社会教育委員は、その経験に基づき、統括的なコーディネーター等に対して必要に応じて助言等を行うことが期待されます。こうした様々な重層的な人的体制の整備によって地域と学校との連携・協働が進んでいくものと考えております。
  2.地域における学校との協働による活動の充実におきまして、(1)今後求められる活動内容等、次のページに(2)活動場所の確保等、(3)幼稚園、高等学校、特別支援学校、高等専修学校の特性を踏まえた取組の推進、さらに、52ページに、(4)子供たちの抱える課題への対応や、家庭教育支援の充実等のための地域における学校、福祉等との連携について述べております。
  53ページの第5節におきましては、これまで述べてきた地域と学校との協働を、行政としても強力に進めるということで、「地域学校協働本部(仮称)」の整備をはじめ、国、都道府県、市町村のそれぞれの取り組むべき施策を記載しております。まず国の役割といたしましては、(1)基本的な枠組みの整備といたしまして、「地域学校協働本部(仮称)」の全国的な整備の推進のため、基本的な目的、方向性について明確化すること、教育振興基本計画への位置付けなどを記載しております。
  54ページに、(2)地域コーディネーターをはじめとする人材の確保と資質向上、(3)体制面・財政面における支援の充実。(4)コーディネーター間の情報共有、ネットワーク支援等が示されております。
  55ページ、2、都道府県・市町村の役割と推進方策に関し、都道府県、市町村においても「地域学校協働本部(仮称)」の整備その他の必要な施策を講じていくということ。各自治体における教育振興基本計画等において地域における学校との協働活動の推進について基本的な方針を掲げることなどを記載しております。
  56ページ、第4章では、第2章、コミュニティ・スクール、第3章で述べた「地域学校協働本部(仮称)」との効果的な連携・協働の在り方について、これらの両者の関係、連携方策などについて述べております。
  5番目の段落、子供たちのために、また、地域創生の実現のために、コミュニティ・スクールの機能、「地域学校協働本部(仮称)」の機能のそれぞれを大切にしつつ、両者が相互に補完し、高め合う存在として効果的に連携・協働し、両輪となって相乗効果を発揮していくことが必要であり、こうした動きが進むことにより、コミュニティ・スクールと「地域学校協働本部(仮称)」の相互の体制整備が進むことにつながるとしております。
  さらに、コミュニティ・スクールや「地域学校協働本部(仮称)」の推進に当たって重要なことは、学校と地域の特色やこれまでの地域ごとの自律的・主体的な取組を生かしながら、学校と地域が協働して行う企画運営や活動を大切にしていくことであり、両者の関係は一律に示されるものではなく、当該学校や地域の置かれた実情、両者の有機的な接続の観点等を踏まえた体制を構築していくことが重要であるとしております。
  また、これらの両者の円滑な関係の構築のための方策としては、それぞれの活動の企画等の段階から、双方の運営方針や取組計画等の情報共有を行うこと、「地域学校協働本部(仮称)」の地域コーディネーターが学校運営協議会の委員も兼ねる。学校運営協議会の委員が「地域学校協働本部(仮称)」の活動に参加するといった「人的配置の工夫」も有効であるとしております。
  ここで資料3-5を御覧いただけますでしょうか。学校と地域の効果的な連携・協働と推進体制のイメージ案でございます。こちらは第2章、第3章及び第4章の提言内容を踏まえ、学校と地域の効果的な連携・協働と推進体制をイメージ案として整理させていただいたものでございます。
  図の左側にコミュニティ・スクール、すなわち学校運営協議会を置く学校を示しておりますが、学校運営協議会には委員として地域の住民、児童・生徒の保護者などが任命され、学校運営の基本方針の承認、学校運営に関する意見、教職員の任用に関する意見を述べるといった、いわば協議機能を持つこととなります。また、第2章でも提言されておりますように、学校運営協議会としても学校支援について地域の協力や地域住民の参画を促進していくこととしております。さらに、地域住民と学校側の総合窓口的な役割として学校運営協議会の運営業務等の調整などを担当する、学校において地域との連携を担当する職員、地域連携担当教職員(仮称)を整備することを現在検討しております。
  第3章で提言されているように、図の右側に「地域学校協働本部(仮称)」を示しておりますが、この本部では活動するより多くの地域住民の参画によりコーディネート機能を図りつつ、様々な学校との協働活動を実施することとしております。さらに、学校と地域側の総合窓口、学校支援等の地域活動の調整等を行う地域コーディネーターの機能を強化していくこととしております。
  学校運営協議会と「地域学校協働本部(仮称)」が、学校支援、放課後、土曜日の活動、学びによるまちづくりといった様々な地域学校協働活動の推進に当たって連携・協働を進めていくためには、まず学校と「地域学校協働本部(仮称)」の窓口である地域連携担当教職員(仮称)と地域コーディネーターとが、それぞれ学校側、「地域学校協働本部(仮称)」側との調整機能を果たしつつ、互いに円滑な連絡をとり合っていくことが重要であると考えております。
  それから、学校運営協議会における教育機能において地域住民側の意見が適切に学校に伝わるように、「地域学校協働本部(仮称)」のコーディネーターや主な住民ボランティアが学校運営協議会の委員を兼ねる、学校運営協議会の委員が「地域学校協働本部(仮称)」における活動に参加するといったことを通じて、有機的、効果的な連携を促進していくことが重要であると考えております。
  この資料3-5の図は目指すべきイメージとして整理したものでございまして、学校と地域との連携・協働を図る推進体制は、地域の特色、実情に応じて様々な形態で行われるものであることには留意が必要であると考えております。このため、本日は、後ほど答申(素案)第4章に関する審議におきまして既に各地において取り組まれているコミュニティ・スクールと学校支援地域本部などの活動、運営の実態、相互間の連携などにつきましても御意見を頂きながら、双方の効果的な連携・協働の推進につきまして御審議をいただければと思っております。第3章及び第4章の説明は以上でございます。

【加治佐主査】 
  それぞれのところから御説明ありがとうございました。
  それでは、御説明いただいた答申(素案)に対する自由討議に移りたいと思います。先ほども述べましたように、章ごとに時間を区切って進めたいと思います。まず第1章の時代の変化に伴う学校と地域の在り方に対してです。この第1章につきましては、既にこれまで両部会で議論をしていただき、かなり議論が尽くされているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  それでは、また後でおっしゃっていただいても結構ですので、とりあえずはないようですので、次に進みたいと思います。
  第2章です。こちらは地域とともにある学校の在り方の作業部会で検討してきたわけですが、これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策です。こちらについてはいかがでしょうか。特に学校地域協働部会の委員の方々、いかがでしょうか。関委員、どうぞ。

【関委員】 
  今回この提案の中で46ページに「地域学校協働本部(仮称)」という存在が出てきております。これは多分それぞれの地域の行い方、いろいろな多様性を認めるというようなお話が先ほどもあったわけですけれども、私どものような地方のエリアで言いますと、公民館的な機能がこれを従来担ってきたところではないかと考えております。
  しかし、現在、公民館という機能というか、公民館という施設は年々減少の傾向をたどっております。今回あえてこのような「地域学校協働本部(仮称)」なるものができたときに、この答申の書きぶりの中では、それが直接、公民館が今まで担ってきた機能というものが余りにも弱く表現されているという気がしてなりません。
  できれば公民館という社会教育の戦後できた中核機関がこの中にきちんと位置付けられて、それがこれから先もきちんと存続していけるような中身をこの中に組み込んでいただけたら、非常に地域の創生についても子供との関係性というものがより明確になってくるような気がいたしますので、その辺について御意見を聞かせていただけたら有り難いなと思います。

【加治佐主査】 
  ありがとうございました。今の御意見は、第3章についての御意見ではないかと思います。新しい地域学校協働本部との関わりも含めて公民館についても言及してほしいという御意見だと思いますが、第3章はこれから行いますので、そのとき事務局からなり、ほかの委員からでもお答えいただけますか。
  第2章についてはいかがでしょうか。それでは、藤田委員、どうぞ。

【藤田(裕)委員】 
  京都市の藤田です。22ページ、23ページの必置の在り方についてです。20ページからの「コミュニティ・スクールの仕組みの必置の検討について」のところで、校種ごとの取扱いについて、確認といいますか、一つの意見です。地域とともにある学校の方の部会でこの辺りを中心に検討していただいたわけですけれど、ここに書かれているように、必置に向けた取組をどのように有効にするかという全体的なトーンはこの部会でも共通していたと思います。私自身の意見も含めてですが、小学校、中学校における必置の必然性というか重要性と、幼稚園、高等学校、特別支援学校についての方向性というものは、将来の長い展望の中で求める姿としては必置ですが、今検討されている議論の中で言うと、少しトーンが違うのではないかなという気もしております。全ての校種においてそれぞれの特性を踏まえた在り方を念頭にしつつ、どのような記述をするのか。小学校、中学校で特に強く進めるべきであるという言い方をするのか。校種ごとに望ましい在り方を進めるべきであるという方向でとどめるのか。この辺りにつきましては、少し検討の余地があるのかなと思いながら拝見しておりました。

【加治佐主査】 
  藤田委員や浅原委員からこれまでもそういう御指摘がありました。おっしゃるように、この素案では、特に校種別の区別といいますか、もちろん小中学校だけではなく、特別支援学校、高等学校、幼稚園でも設けるべきだと。将来的には必置に行くべきだというトーンは一緒ですね。努力義務にするというのも一緒です。現状は、しかし、違うのではないかというお話ですよね。ところが、現状は違うということは書いてありますが、それによる必置に向けての扱いとかうんぬんを変えるということは書いてないわけです。そこはどういう考えだったのか、事務局からお願いします。

【廣田参事官補佐】 
  事務局の方からお答えさせていただきます。お手元の資料では23ページから24ページに各学校の特性を踏まえた在り方ということでお示ししているところでございますが、今座長からも御指摘ありましたように、それぞれの特性によってそれぞれの学校運営協議会の在り方、コミュニティ・スクールの在り方は異なるということで、特性を踏まえた在り方は整理しておりますが、全ての公立学校においてコミュニティ・スクールを目指していくという方向は校種によって分けてはおりません。すなわち目指すべきであるということであって、義務化するということではありませんので、これからの学校と地域の連携・協働体制を構築していく。より持続可能な仕組みを取り入れていく必要性というのは、校種によらずに全ての学校種において求められるということで、目指すべきであるということについてはその校種による差は設けておりません。その上で、この提言の中では、必置にかじを切るかということについては慎重な御意見等もございましたので、教育委員会が設置の促進に努めるということの位置付けを図っていくということで提言がなされております。努力義務で考えたときに、校種による差を設ける必要があるのかということにつきましては、必置ということよりはトーンが違いますので、特段校種の差を設けた記述は、現時点では加えてはおりません。目指していく方向を踏まえた形で努めていくということならば、高等学校及び特別支援学校、幼稚園においても努めていくということが求められるであろうということを考えているわけですが、その点はまた、御意見を頂ければと思います。

【加治佐主査】   
  よろしいですか。

【藤田(裕)委員】 
  全体の流れとしては私も承知しているつもりですが、第3章との関係も出てくるかと思います。地域との連携の在り方という内容で必置ではないとしても、コミュニティ・スクールという方向性をより強く打ち出すべき校種と大きなトーンとしてやっていく校種というのが少し違うのではないかなという気がしますので、何かそういうのがにじみ出す方法があればと思って発言しました。今の説明で結構です。

【加治佐主査】 
  ほか、いかかがでしょうか。
  それでは、またここも振り返ってもらって結構ですので、続きまして第3章に移ります。地域の教育力の充実とそのための地域における学校との協働体制の在り方についてというところです。こちらは学校地域協働部会で審議してきた、そしてまとめたところであります。
  それでは、先ほど公民館への言及ということについて、事務局の方から御回答をお願いします。

【谷合社会教育課長】 
  社会教育課長の谷合でございます。関委員から御指摘いただきました公民館でございますが、私も、公民館に学校支援地域本部が設置され活動している例を見たことがありまして、地域によっては公民館がかなり主体的に学校、地域連携の場になっているというケースを承知しております。
  私どもとしては、この「地域学校協働本部(仮称)」というのは非常に柔軟な組織だと思っておりまして、学校の中にある場合もあれば、公民館にある場合もあって、いろいろな形があり得る、あってよいと思っておりますので、あえて公民館というように書かなかったのですが、御指摘を踏まえまして、考えさせていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
  ありがとうございました。では、生重委員お願いします。第3章について。

【生重委員】 
  私の読み込みが甘いのかもしれないのですが、50ページの(3)の統括的なコーディネーターと社会教育主事等との連携のところなんです、前回まで社会教育主事の今後の有様とか、社会教育主事の資格制度の見直し、更新の見直しなどについては話合いが行われてきましたし、随時報告があったかと思います。社会教育委員の記述に関して、前回までの資料で、私自身の自覚が足りないのか、どこに書いてあったのかが分かりません。すごく唐突感がありまして、社会教育委員の方たちをこの役割にというのであれば、もう少し議論がなされるべきだったと思いますし、現状、私も社会教育委員を経験しておりますが、社会教育委員の現状が全国一律に今の新しい制度をきちんと理解した上で、審議する機能を持った団体として委嘱を受けているわけではない。それも踏まえて、もし社会教育委員が正式に社会教育主事とともに統括コーディネーターと情報共有を図って連携していきということが書き加えられるのだとしたら、このようなことがしっかり分かる社会教育委員が委嘱されて出てくるというようなことも、若干は条件に入っていないといけない気がします。その辺りは私の読み違いでしたら申し訳ないので、確認の意味も含めてお伺いしたいと思います。

【加治佐主査】 
  それでは、渡辺室長、答えられますか。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  先ほど私の説明で少し説明が足りなかった部分がございます。こちらの社会教育委員の記述につきましては、前回の学校地域協働部会の後の生涯学習分科会におきまして議論がなされたときに、委員の方から社会教育委員についても新しい仕組みにおいて役割があるのではないかということで、そこを踏まえてこの記載を加えさせていただいたところでございます。確かに社会教育主事と社会教育委員の役割が違うところを踏まえて、表現ぶりについて見直しが必要であれば検討したいと思います。

【加治佐主査】 
  今の件はよろしいですね。
  いかがでしょうか。熊谷委員、お願いします。

【熊谷委員】 
  46ページからの「地域学校協働本部(仮称)」について、確認と懸念も含めて、3点ほどお話ししたいと思います。  1点目は前回の会議の中で「地域学校協働本部(仮称)」、名前は前回と変わっていますけど、これと学校支援地域本部は違うんだということの確認がありました。新たに出た「地域学校協働本部(仮称)」というのは、緩やかなネットワークを形成したという形になっています。緩やかなネットワークということは、個々の活動があり、つながっていくということだと思っていたわけです。
  つまり、プラットフォームのような形かなというようなことを前の会議でも確認したのではないかと思います。そうなってくると、学校支援地域本部というのはあるのかどうか。学校支援地域本部があって、「地域学校協働本部(仮称)」というのがあるのかと思ったりしたのですが、どうもそうではないのではないか。学校支援地域本部が「地域学校協働本部(仮称)」に名称が変わって、協働ということで総合的な、個別、総合化を図っていくんだということで、本当にいいのかどうかということを確認させてください。
  2点目は、そうだとすると、「地域学校協働本部(仮称)」の中に、三つの要素が必須だとありますが、この要素の中に「協議する」ということが書かれていません。今まで学校支援地域本部の課題として挙がってくるのは、地域コーディネーターに頼ってしまい、本部の実態がなかった。地域教育協議会というものが機能してなかったというのが課題です。そういう課題を踏まえるならば、「地域学校協働本部(仮称)」の中に地域教育協議会というのが一体どうなっているのか。これだけ包括的に学校支援や土曜や放課後ということを含めるならば、これはネットワークだけということだろうかというのが2点目です。
  そうなってきて、協議の場は一体どうするのかというと、それは学校運営協議会でするのか。だから、あえてここには三つの要素の中に協議ということが書いてないのかというふうにも思えたのですが、これが3点目のところです。学校支援地域本部と「地域学校協働本部(仮称)」の関係を確認させていただきたいと思います。以上です。

【加治佐主査】 
  分かりました。3点ですね。1点目、2点目は地域学校協働本部の基本に関わるようなことですね。3点目は4章にも関わりますが、コミュニティ・スクールとの関わり。特に協議ということですね。これはどうしましょうか。谷合課長、お願いします。

【谷合社会教育課長】 
  まず、学校支援地域本部が新たに「地域学校協働本部(仮称)」に変わるのかというお話ですけど、変わるということです。
  つまり、二つ組織を作るということではなくて、新たに「地域学校協働本部(仮称)」という本部に変わるということでございます。機能や活動を更に充実したものとして従来の学校支援地域本部が新たな本部に変わるという意味でございます。
  2点目の協議ですけれども、「地域学校協働本部(仮称)」では、いろいろな活動を総合的に実施していくということになりますので、当然その中では協議が行われていくもの、そういう前提で考えておりましたので、余り明示的には書いておりませんが、当然その中で協議が行われることになると思います。例えばコーディネーターにしても、複数のコーディネーターが関わっていくことになると思いますので、当然その中では協議が行われていくと思います。
  それから、コミュニティ・スクールとの関係でありますけれども、第4章に書いてありますように、例えば、それぞれコミュニティ・スクールの委員と「地域学校協働本部(仮称)」のメンバーが人的にもそれぞれたすき掛けのように関わることで、当然そこは意思疎通を図っていき、両者の二つの体制の意思交換がなされるように、そこはうまく仕組みを考えていかなければいけない。どちらかがどちらかの上に立つということではなく、どちらも対等の立場で連携・協働していくということになると思います。

【加治佐主査】 
  よろしいですか。

【熊谷委員】 
  1点目のところに関しては、ということは、補助事業として学校支援地域本部ではなくて、今度は「地域学校協働本部(仮称)」と放課後子供教室ということが別々にあってということになってくるんでしょうか。
  2点目の協議の場につきましては、先ほども言いましたように、今までの学校支援地域本部は、本部という名称はあっても、今まで調査した中で実態がない。教育委員会にあったり、公民館にあったり、それはいいんですけど、実態の中に「協議する」ということがなかったということが課題だったので、それを拡大させてしまって、ネットワークにすると、本当に実態のないものになってしまうのではないかということが2点目の懸念だったということです。

【谷合社会教育課長】 
  補助事業については従来も学校支援地域本部に対する補助事業、それから放課後子供教室に対する補助事業、土曜学習に対する補助事業、それぞれ並立しておりましたので、そこは従来と、今のところ立て付けは変わらないと思います。従来の学校支援地域本部に対する補助事業が「地域学校協働本部(仮称)」に対する補助事業になっていくということになると思います。

【加治佐主査】 
  今までも学校支援地域本部は協議が余りなかったのでは。

【谷合社会教育課長】 
  ああ、なるほど。

【加治佐主査】 
  ネットワークが広がると、より機能しなくなるのではないかと。

【谷合社会教育課長】 
  これから活動間の連携をしていかなければいけないということが正に今回の提言でありますので、そこをこれから重点的に行政としても働きがけをしていかなければいけない部分だと考えます。

【加治佐主査】 
  分かりました。

【熊谷委員】 
  済みません。これで最後ですけど、そうなると、学校支援地域本部と「地域学校協働本部(仮称)」と何が違うのかなと。従来の補助事業として「地域学校協働本部(仮称)」というようなことになってくると、名称が変わっただけで、支援が協働へということなんですけど、そこの辺が伝わりにくいのではないかというところを懸念してしまって、学校支援地域本部とこういうふうに違うんだというところをもっとアピールしてもらうといいかなというふうに思います。以上です。

【加治佐主査】 
  その違いの表し方は、また検討していきましょう。

【谷合社会教育課長】 
  そこは御理解いただけるように丁寧な説明を心掛けたいと思います。

【加治佐主査】 
  それでは、この後、牧野委員、田崎委員、浅原委員、この順番でお願いします。

【明石部会長】 
  竹原委員。

【加治佐主査】 
  竹原委員。その順番で。それでは、まず牧野委員からお願いします。

【牧野委員】 
  全体としまして、ここで言うべきか、最後のところで言うべきか、ちょっと迷ってはいたのですが、現在の教育が抱える課題から出発して、それを地域コミュニティの課題に落とし込んで、将来へ向けてという未来志向のものが出来上がってきたのではないかと受け止めています。その意味で、大変御苦労があったのではないかと思います。
  その上で、そのように見ていきますと、熊谷委員からも御指摘がありましたように、第2章と第3章の間にまだ少し溝があるのではないかとも思います。さらに、先ほどの御説明の中にありましたように、学校を核とした地域づくりの推進ということが基本になっているわけですけれども、学校を核としたといったことが、学校にまた負担を重ねていくのかという懸念を呼ばないだろうかとか、どういう形で学校を核にしていくのかといったことがまだ分かりづらいのではないかと思います。その意味で、もう少し例えば、今回の答申案全体としては、学校を核とした地方創生という問題が関わってくるわけですが、大きな議論としましては、学校を核として、子供たちの育ちや未来の主権者としての在り方を軸に、更に地域と学校が連携・協働していき、そうしたものを基盤として自律的な地域社会を作っていくということがベースになっていると思いますので、そうした表現をどこかに入れていただくことをお願いできないかと思います。
  それから、資料3-5の図も、学校があり、地域がありという書き方で、これは実際の運用上はそうなっていくのだと思いますが、例えば「地域学校協働本部(仮称)」といったものが、ある意味では、この構想全体のプラットフォームになっていくといいますか、地域がもうちょっと足を学校の方に出していって、学校運営協議会も地域の一部であるという形の表現をして、子供たちの、例えばキャリア教育とか、さらには、18歳選挙権を見据えた上での市民性教育とか、そうしたものを地域が担っていくのだ、ということを明示できないでしょうか。さらに、学校で学んだ知識を、地域で大人と一緒になって、実践化していく、先ほどの第3章、第4章の文言の中にも、子供たち自身を、地域の積極的な主体として受け入れていくという表現があったと思いますけれども、そういう意味では、子供たちは従来のように保護され、教育される対象ということだけではなくて、彼らを地域における積極的な主体の一員として受け入れていきながら、新しい主権者を作っていく、また新しい地域の担い手を作っていくのだというような志向性があると思います。そうした内容をもう少し「地域学校協働本部(仮称)」の活動と絡めて書き込んでいかれたらどうかと思います。そういう形で少し従来の地域社会と学校との関係の在り方を変えていく。もう少し子供たちを地域で受け入れて、子供たちの成長を支えることを軸に、いろいろなアクターが関わって、新しい社会を自律的に作っていくのだというような、そういうような表現がなされたらどうかと思います。いかがでしょうか。

【加治佐主査】 
  お答えになりますか。非常に基本的な問題、根本的な問題が出されましたので、また御検討ください。
  それでは、田崎委員、お願いします。

【田崎委員】 
  熊谷委員、牧野委員のお話とも重なる部分があるのですが、現在の本県の状況を申し上げますと、学校支援地域本部事業自体に取り組んでいる市町村が半分くらいです。それについて、広げるような形で努力している現状で、この答申案でいきますと45ページの「地域における学校と連携・協働の課題」に書いてある、平成25年に策定された第2期教育振興基本計画に定められているように、全ての学校区で、学校支援地域本部を構築していくことを目指している状況です。そういった中、今回、これを緩やかなネットワークで統合された地域学校協働本部なるものが出てきていますが、現場として言わせてもらうと、すごく混乱する感じがしております。例えば、この答申の第4章56ページ、57ページに「また」以下で地域学校協働本部と書いてあるところを、学校支援地域本部に置き換えても全く意味が通ります。そういう意味では、今回、いろいろな活動を、それぞれ現場でやっている部分を統合するという気持ちは分かりますが、そこに新たな名称を付けて、新しいものができるというような答申にするというのは、私としては混乱を外部に与えてしまうような気がしております。どちらかと言えば、学校支援地域本部事業を充実するとか、新たに学校運営協議会の中で、これは17ページでありましたが、学校支援の総合的な企画・立案の機能も持たせるように提言の中に入っていますので、そういった方向からまとめていった方がいいような感じがします。

【加治佐主査】 
  基本的に否定されるような御意見ですね。どうしますか。明石部会長、何かお答えありますか。

【明石部会長】 
  今の田崎委員の意見も分かるんですけれども、学校支援地域本部というのは、世の中が非常に平穏無事なときは、そういう発想でよかったんですけれども、今、学校と地域が抱える課題というのは多様化して複雑化していますよね。単なる地域が学校を支援するだけでは問題解決にいかないんだという認識があるんです。
  ですから、今回でもスクールソーシャルワーカーとか、福祉の問題も含めたことが学校の中に出てきていますね。もう少し学校観の大転換をしなければいけないんだというのが1点あります。
  従来の学校を中心にして、地域が支援するんですよという発想は否定はしませんけれども、それだけでは水がたるから外に漏れちゃってどうしようもない学校の現状認識を押さえていただきたい。そのような時期だからこそ学校と地域と家庭のパートナーシップということをやっていかければいけないんだという認識であります。
  ですから熊谷委員の今日の提案は非常に貴重です。要するに、協議事項をどうするか、本部機能をどうするかというのは、これからもう少し詰めさせていただきます。非常に貴重な意見で、それが担保されないと、衣替えしても動かないということが気になりまして、それは検討させてください。

【加治佐主査】 
  分かりました。田崎委員、今の御意見でよろしいですか。

【田崎委員】 
  いや、今おっしゃったことは、十分私も理解できますけれども、そういう意味で言うと、46ページの第3節の1の(1)の最後にある支援から連携・協働、個別の活動から総合化を目指す今後の新たな体制を、地域が学校と協働する枠組みとして、地域学校協働本部と呼ぶことを提唱したい。今明石部会長がおっしゃった危機意識というのが出てない感じがします。単に連携・協働、そういう課題に対応していくために、地域学校協働本部というのを呼ぶこととしたい。その辺りを変えていただいて、今の学校支援地域本部事業ではいけないんだということをもう少し明確に書いていただければと思います。

【加治佐主査】 
  よろしいですか。

【松田副部会長】 
  今の御議論ですね。大変重要な御指摘だと思うんですけれども、一方で例えばどこが違うのかという議論、確かに重要だと思うんですけど、どこが同じなのかという議論もすべきなのではないかと思うんですね。
  どこが同じなのかというのは、どういうことかと言いますと、今までは駄目だから次はこうなるという議論に今の話だとなってしまいますね。むしろ学校支援地域本部という施策がある程度の成果を出してきて、真ん中に柱ができたがゆえに、次のステップに動いていけるという流れが、多分今動いていることだと思うんです。
  ですから、もちろん行政施策としてはどこが違うのかというところがしっかりと伝わらないと動きとしては作りにくいんですけれども、一方ではどこが同じなのかというところも少し併せて考えていくことが大事ではないかと思いました。

【加治佐主査】 
  分かりました。それでは、浅原委員。

【浅原委員】 
  山口県では、社会総がかりで子供たちを育てよう、小学校から中学校卒業までの子供の育ちの連続性を大切にして育てていこうという発想のもとに小中学校のコミュニティ・スクールを推進しています。単に100%設置を目指すことではなく、地域ぐるみでの教育を推進するための、ツールとして、その機能を生かした取組を進めています。さらに、「地域協育ネット」という教育支援ネットワークを中学校区ごとにつくり、地域全体で連携していく取組を進めており、その中で核となるコミュニティ・スクールを推進してきました。地域協育ネットは昨年度末に全中学校区に設置されたことから、コミュニティ・スクールと地域協育ネットを一体的に推進する山口型の地域連携教育を今年度から進めています。
  このたび、新たに提案された地域学校協働本部の理念についてはよく理解できるのですが、山口県の地域協育ネットは中学校区を単位としてネットワークを構築しています。コミュニティ・スクールの議論において、小中一貫教育という視点もありますし、幾つかの学校をひとまとまりとして学校運営協議会を設置する考え方もある中で、主に小学校区を想定されたのはなぜでしょうか。中学校区という一つのまとまり、15歳までの子供の育ちを視野に入れて、学校・家庭・地域が協働して子供たちを育てていこうという発想も、あるのではないかと思っています。都市部では小学校区が大規模になるので、小学校区での仕組みづくりが適切と考えられたのかもしれませんが、なぜ小学校区だけを想定されているのか。中学校区という考え方があってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  まず今の御質問にお答えいたしますと、確かに資料3-4の図におきましては、主に小学校区を想定と書いています。これはイメージ図を作るときに、主にということで、小学校区を想定した場合こういう形になるということで書いたものですが、先ほど私の説明でも申し上げたように、地域と学校との協働体制、地域の特色、学校の特性などを踏まえて行っていくものと考えておりますので、当然のことながら中学校区、若しくは小中一貫であるようなケース、それから、都道府県によっては高校などの中でそういった体制を作っていくこともあると思います。
  ですから、こちらの答申の素案の中でも、整備の方向性として全ての小学校区で整備というのは数多く、広くそれを整備していくというイメージで小学校区を想定してと書いておりますが、実際は地域の実情において様々なケースがあるというふうに我々も思っています。
  そういった意味で、本文の記述、それから資料3-4の図についての記述などももう少し配慮が必要かと思いますので、検討させていただきます。

【加治佐主査】 
  それでは続きまして竹原委員、お願いします。

【竹原委員】 
  ありがとうございます。9ページで「学校という場」が出されましたが、それに関連しまして、学校で行われる活動は、全て学校教育に関わるものではなく、様々な人が関わるという意味で、この「場」を入れられたことがとても良かったと思います。それと同時に、全ての人が関わるというときに、学校施設の可能性、ハードとしての可能性があると思っています。これからは学校や公民館など、学びの場を核にした地域コミュニティの形成ということで、第2期教育振興基本計画にもはっきりと書いてありますが、学校が学校教育のためだけではなく、まちづくり等への可能性があると思っています。学校と地域の連携・協働には、会議や熟議も大事ですけど、同時に「場」が機能します。人と情報がつながるのは会議だけではない。日常的な場がないといけない。そうしますと、3章の推進方策の中に「学校という場」に注目した書き方をされたらどうかと思っています。

【加治佐主査】 
  検討していただきますが、「場」をですね。協議も大事ですが、日常的な交流といいますか、そのようなものも大事だという御意見ですので。
  それでは続きまして、藤田委員。

【藤田(裕)委員】 
  2回目の発言で失礼します。私も学校協働本部のことで少し意見を申し上げたいと思います。
  この二つの部会をこうして合同でやっていただいたというのは、このような議論ができる一番大きな成果だと思って感謝しております。その上で、私自身は、学校支援地域本部を地域学校協働本部にされるということについては、肯定的に受け止めております。先ほどもお話があったように、学校支援地域本部という殻から脱却するためにネーミングを変え、意識も変えていくという前向きな方向ということで受け止めてやればいいと思うのですが、そのときに課題になってきますのは、例えば46ページにこういう学校支援地域本部から地域学校協働本部への脱却というか、変更が出てきた。上から4行目ですね。従来の学校支援地域本部がややもすると、地域から学校への一方的活動にとどまっており、地域の振興にもつながるという意識が十分でないということが書かれてありまして、この辺りのことが問題意識の前提になっているとすれば、実は学校運営協議会の在り方にも本当は関わってくるのではないかと思うのです。それが3章で学校支援地域本部の在り方ではこういうことが論議されて、地域学校協働本部にという大胆なテーマが提起されているにも関わらず、2章の学校運営協議会の方では論議は結構されていると思いますが、学校運営協議会の在り方、質をどう変えていくのか。学校が地域にどう貢献していく、次の世代を育成するという機能として学校運営協議会、コミュニティ・スクールがどう果たしていくのか。そして、そのために、学校が今の体制では負担ばかりが増大されてはいけないので、どう学校に対する人的、物的保障をしていくのか。こういう論議があったと思うのですが、その辺りが先ほど牧野委員がおっしゃった2章と3章の間で、断絶というのか、隔絶があるのではないかとに思いました。
  4章で述べられるのかもしれませんが、地域学校協働本部にすることに伴う学校運営協議会の在り方というようなことが論議されるべきではないかと思っております。

【加治佐主査】 
  なるほど。2章でも書かれていますね。ただ、3章を踏まえた関係の在り方というのは、少し分かりにくい。だから4章で、ということですね。
  それでは、若江委員、貞広委員、どうぞ。

【若江委員】 
  いろいろな委員の方々のお話を聞いておりまして、私自身は物すごくいろいろなことが整理されてきたなと思っております。ただ、ちょっと確認なんですが、資料3-4のところで、浅原委員からの質問の、なぜ中学校区でないんだろうということも同様な疑問を感じましたし、ちょっと分かりやすくするために、今までの学校支援地域本部という明石部会長の方からもお話があったように、これまでの学校支援地域本部は学校の活動を支援するための本部でありましたけれども、もっと地域には学校の活動を支援することもそうだし、加えて家庭の問題や、もっと地域自体に目を向けなければいけない要素がたくさん出てきていることから、今回、学校支援地域本部ではなく、「地域学校協働本部(仮称)」というような発想になってきているというのは非常に腑(ふ)に落ちております。
  その中で、資料3-4の右側、「今後」のところですが、学校の中にはそこに点線で学校支援活動のところは土曜日の教育だとかというようなことがあるんですが、要素としては学校の教育活動に関わることと家庭との連携に関わることと地域のことと、大きく分けると三つのことがあって、そうしていくと、上の三つの学校教育に関わるところというのは一つ今までの学校支援地域本部が主に担っていたところで、ただそのことについては今回学校側にはコミュニティ・スクールとして学校運営協議会ができますので、そこがもっと深く突っ込んだことを話していくところとの連携になるでしょうし、そうすると、今度は家庭教育ですね。貧困の問題とか、いろいろな問題ももしかしたらここには学校運営協議会のように家庭教育協議会みたいなものが何かあって、そこには専門のことについて話し合う機関が出てきたりするのではないかと思いますので、幾つかの要素が即学校のところにつながっているというよりも学校の中には教育に関わること、家庭に関わること、地域に関わること、全ての要素が入っているんだというような、ちょっとくくりが一つあると、今までの視点とは違うところがはっきりしてくるのではないかと思いました。となると、「地域学校協働本部(仮称)」というふうなことを考えたときに、ここにも分かりやすく全てを言うならば、地域・家庭・学校協働本部みたいな、そんな意味合いがここには含まれているのではないかと思いました。
  それともう1点、資料3-5のところで今学校の方にはこういう体制が整ってくるとなると、本当に校長のマネジメントスキルが重要だということが答申の中でもうたわれているところなんですが、右の地域のところでいきますと、地域コーディネーターという、この地域コーディネーターは統括的なコーディネーターを指しているのでしょうか。多分その中には、学校に関わるコーディネーターもいらっしゃれば、家庭教育だとか、そういうことに関わるコーディネーターの方だとか、いろいろなコーディネーターが今後出てくるのかなというような気がしましたし、地域のところの場となるのが、関委員からお話があったように、公民館等のというような、そういう機関が少し明示されてもいいのかなと思いました。
  ただ、そうしたときに学校の方が、学校長のマネジメントスキルが重要だとなってくると同時に、地域の方はこういうことを束ねていく、トップに立つ人というのが一体どんな方になるのかが私には少し分からなくて、連合町会長なのか、そういった社会教育に携わる方のマネジメントスキル、マインドのリセットというのも非常に重要ではないかなというふうに思いました。以上です。

【加治佐主査】 
  二つありましたけど、どうぞ。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  まず今の若江委員からの御質問につきましてお答えいたします。地域の新しい「地域学校協働本部(仮称)」におきまして、様々な活動があるということで、資料3-3、資料3-4という形で用意させていただきました。
  まず資料3-3は、学校教育、家庭教育支援、社会教育など様々な地域における活動を説明しております。この図にありますように、当然、学校支援、土曜日活動といって学校寄りの活動もあれば、もう少し家庭に近いようなイメージのものも考えております。この地域学校協働活動の中に学校教育と連携していくものというのが主に想定されているかと思いますが、私どもとしましては、家庭教育の支援とも連動していくような活動というのもこれから出ていくというのは重々承知しています。
  資料3-4につきましては、これまでとこれからがどう変わるかということを意識して作っておりまして、左の方が正に学校支援活動、土曜日の教育活動、放課後子供教室といった、学校の支援という活動が主、その中で家庭教育支援活動をやっている部分もありますけれども、こういった部分は今まではそれほど多くなかったのではないか。それで、右の方にあります学校支援活動、土曜日の教育活動などに加えて、今後は更に家庭教育支援活動や地域社会における地域活動などがこれからだんだんと実施されていくというふうに考えております。ですから、イメージとしてはこういったものをどんどん広げていくということですので、そこら辺が本文のところでこれまでとこれからがどういった形で変わっていくかということをもう少し説明していく必要があるというふうに感じております。
  それから、資料3-5に関しての御質問ですけれども、まず右側の地域コーディネーターが統括的なコーディネーターなるものを指すのか、それともいわゆる地域コーディネーターを指すのかという御質問につきまして、地域コーディネーターという形で、主に学校区におきまして活動されている方を基本的にはこの絵の中で想定しております。この絵では描き切れていませんが、統括的なコーディネーターというのは、それぞれの学校区の中で活動されているものを市町村全体で見渡して調整していくということでございまして、地域の、この絵でいうと、「地域学校協働本部(仮称)」で、ここの部分より外のところにあって複数のこういった「地域学校協働本部(仮称)」の活動を調整していくことになるかと思います。ただ、当然、統括的なコーディネーターがそれぞれの小学校などにおける活動にもサポートしていくということにはなるかと思っておりますが、基本的な整理としてはこの図の中での地域コーディネーターというのはいわゆる地域コーディネーターということを想定しております。以上でございます。

【加治佐主査】 
  学校運営協議会は校長のマネジメントを強調していると。地域学校協働本部は、中心になるのはコーディネーター、統括コーディネーター、あるいは地域コーディネーターです。これはマネジメントではなくて、コーディネーティングです。意味合いが違います。緩やかなネットワークということを言っているわけですから。学校組織とは違うということですね。だから、校長と同じ役割を求められるわけではないということですね。
  それでは、貞広委員と牧野委員お願いします。貝ノ瀬委員は後でよろしいですか。

【貝ノ瀬委員】 
  時間があれば発言したいのですが。

【加治佐主査】 
  順番がありますので。

【貝ノ瀬委員】 
  構いません。どうぞ。

【加治佐主査】 
  分かりました。それでは、貞広委員から。

【貞広委員】 
  ありがとうございます。4章で申し上げようかと思っていたのですが、先ほど浅原委員からお話が出ましたので、付け加えの意見を述べさせていただきます。
  両者の組織ですが、すそ野を広げていくためにも、取組が実質化されていくためにも、地域の課題や有様によって、両者の関係性に様々な有様を認めていくということが必要だと思います。4章や、48ページのところで地域学校協働本部が早期に全小学校区において構築されるという書きぶりをされていること、さらに、資料3-4と3-5の図を見ると、1小学校区の1対1の連携が強調されているような感じがして、発想を硬直化させかねないのではないかと思われます。また、藤田委員から出ていた、幼稚園や特別支援学校、高等学校の取組が想定外になってしまうような懸念があります。コミュニティ・スクールの方の議論をさせていただいているときも、小中一貫教育の議論をさせていただいていたときも、小学校区ということを前提として考えることの硬直性から脱却しなければいけないと強く思っていますので、その辺りを少し意識していただきたいと思います。
  例えば48ページのところを、全小学校区ではなく、全小中学校区というか、小学校区でやっても中学校区でやってもいいなど。どのように書いたらいいのかは具体的には言えないですが、ここの書き方を少し工夫していただきたいと思います。
  それと、私は特に3-5と3-4が気になるのですが、主に小学校区を想定とされているポンチ絵が出ると、「こうやってやる」ということになるので、もう少しバリエーションを考えていただくということと、「主に小学校区を想定」ではなく、あくまでも「1小学校区での連携・協働を想定した場合」と書いていただくと、一つの例だということが少し分かり、更にバリエーションを知恵で広げていいということが分かりやすくなると思いました。
  以上です。

【加治佐主査】 
  また、参考にしていただければと思います。それで、第3章につきましては、牧野委員、貝ノ瀬委員でとりあえず終わりまして、第4章は別に時間をとりたいと思います。

【牧野委員】 
  第4章の方でお願いします。

【加治佐主査】 
  第3章に限ってということでよろしいですか。では、お願いします。

【貝ノ瀬委員】 
  少し拡大するかもしれませんが、新しい、いわゆる地域学校協働本部について、最初私がこれを読んだとき、熊谷委員と似たような感想を持ちました。明石部会長から地域づくりということで危機意識を持っているという話がありました。そのこともよく分かっていて肯定的なのですが、ただ、それが十分に表現されていないということです。今までですと、地域学校協働本部が出てくる前は、どちらかというとコミュニティ・スクール、学校運営協議会が更なる充実を遂げて、コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへと。つまり、学校づくりから地域づくりへ移行していくというような、そういうイメージでもって取り組んでいたところが多かったと思います。しかし、同時に、学校が地域づくりまで担い、そして、校長のマネジメントが問われるとなると、大変に厳しいだろうという思いも一方でありました。そのような中で、地域づくりについて、地域の皆さんが主体的にこういう形を作っていくということであれば、これは非常にウエルカムだと思い、更にコミュニティ・スクールが強化されていくというふうに受け止めました。
  そのようになってきますと、地域学校協働本部が実体化していくということになっていくのでしょうが、そうなりますと、コーディネーターの方、また、統括コーディネーターもそうですが、調整というのは誰がするのか。教育委員会なのか、自分たちでやるのかということ。そこをはっきりしないと空中分解する可能性があります。同時に、先ほど若江委員もおっしゃっていましたが、誰が引っ張っていくのかということです。学校のマネジメントに関わったり、コミュニティ・スクールということになってくると、校長のマネジメントの力というのは相当大きいわけです。学校も地域の中の一つの存在だというような相対化して考えていくということになってきますので、そうなると、地域全体をコーディネートして、統括コーディネーターなりが、実際にその方が全体を引っ張っていくということになるのかどうか。ならないとすると、例えば今でもそうですが、公園で子供が遊んで、いたずらしているとします。そうすると、近所のお年寄りがその子供を捕まえて注意しますが、そのときにまず真っ先に「どこの家の子供だ。」とは聞きません。「どこの学校の子供だ。」と、すぐ学校なんです。そういう風潮の中で、明確な地域づくりのリーダーなり、存在なりがきちんと位置付けられていないと、本部としての実態もそうですが、結果的に学校に負担が行ってしまうことになるかもしれないし、そうなると消極的に後ろ向きになってくる可能性があります。すると、コミュニティ・スクールも地域学校協働本部も、両方ともなかなか進まないという悪循環に陥る可能性もあるということを指摘したいと思います。
  もう一つは、参考の図を見ても分かりますように、今まで学校支援地域本部事業の拡大に努めてきたわけです。先ほど田崎教育長もおっしゃったように。その中で、このように衣替えしていくことについて、参考図の中では見えません。では、従来の学校支援地域本部事業はやらなくていいのか、ということになるわけで、そのようなところもきちんと分かるように、分かりやすく「このように変わっていくのだ、変わっていかなければならない。」ということが表現される必要があるのではないかと思ったところです。
  以上です。

【加治佐主査】 
  今の御意見は、参考にしていただきたいと思います。
  今の御発言を受けて基本的なことをお伺いします。学校支援地域本部事業というのは文字通り事業です。制度化はされていません。今後、地域学校協働本部というのは法制化されて、コーディネーターや地域統括コーディネーターは、全て法的に位置付けられるのですか。誰がマネジメント、コーディネートするかということにも関わってくると思うのですが。その辺りの責任主体は。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  今、事務局といたしましては、答申の素案の内容を踏まえて、体制整備ということも含めて、国として今後どのような施策が必要になってくるかということを検討しているところでございます。
  この答申(素案)の中におきましても、国の役割という中で、このような新しい体制を作っていくために、その整備の推進のため、その整備の基本的な目的や方向性などについて明確化していくことが必要であると考えております。ですから、明確化していくといったときに、どういった形で明確化していくかということも含めて検討しているところでございまして、特にこういった新しい体制を全国的に整備していくということが一つ。もう一つは、今回新しく提案させていただきました統括的なコーディネーターというものにつきましては、新しいコーディネーターという役割ということになりますので、コーディネーターという方について、どういった形で明確化することが必要かということは検討しているところでございます。

【加治佐主査】 
  分かりました。
  それでは、次に第4章です。コミュニティ・スクールと地域における学校との協働体制、その効果的な連携・協働の在り方についてです。これについて議論していきたいと思いますが、既に幾つか出ております。そのようなことも踏まえまして、御発言いただければと思います。では、天笠委員、牧野委員、平岩委員、井出委員の順でよろしいですか。

【天笠副主査】 
  失礼いたします。1章、2章、3章を踏まえ、4章でこのような方向を出すことについて、私は基本的に賛成というか了解であります。ある意味、このような場が今設けられているの趣旨等も踏まえると、ここをできるだけしっかりと育ててお伝えするというのが前提になると思っております。ただし、本日出てきている文章は、全体を通したら、その辺りのところは非常に分かりづらい、あるいはそういう方向性がしっかりと伝え切れない段階になっているのかというのが率直な感想です。
  ですから、中身もさることながら、むしろ答申(素案)の作成の技法上の問題が一つテーマとしてあります。例えば、2章と3章の間のトーンがかなり違っていることは、どなたが御覧になってもお分かりいただけるところではないかと思います。もう一つ、例えば33ページのところですが、かくかくしかじか述べてきて、推進のための具体的方策というのをそれぞれ丁寧に、寄り添いながら述べているというところが2章の基本的な組み立て方ですが、3章はそういう展開の仕方をとっていません。ですから、基本的な趣旨とか、中身はそういう方向性と方策を立てているということですが、全体を通して、このようなトーンでまとめた方がいいと思っております。
  要するに、基本的にこういう手だて、方向、考え方についてはという形で、それぞれまとめていくというやり方をとる。4章についても、こういう方向性を具体的に実現するためには、それぞれについて、ここに記述されていることをめり張りをつけて設けるというふうに。例えば、33ページのところで人材育成に関わって教員養成の在り方が出ていますが、要するに、ここの部会での意思というか、教員養成課程の、教職課程の見直しへの求めというのでしょうか、提言、そのようなことと脈絡がつくわけで、先だっての教員養成部会の答申の原案のところには、既にその辺りの応答があります。そうしたときに、改めてこの部会の趣旨がしっかりと伝わり、そのような形での応答になっているかというと、教員養成に携わっている立場からすると、「申し上げたいことがある。」という思いにも駆られます。その辺りの応答というのが、ここにもこれはこれだということで位置付けられていいかと思います。全体を通してそのような手だてが必要だということですが、今の段階ですと、位置付けとか全体の構成の面で、意思、意図が非常に伝えづらい。そのようなところはメッセージを含め、弱い作り方、構成になっていないか。「はじめに」から「おわりに」まで、全体を通して手だてが必要だと思います。
  そのような意味からすると、最後は第1章の最初の数ページを、もう一度、4章との対の関係で何が言いたいのかメッセージを伝えるというのも一つだと思います。
  以上です。

【加治佐主査】 
  何かありますか。

【廣田参事官補佐】 
  全体の構成、構造については検討させていただきたいと思うのですが、今、天笠委員から教職員の教員養成課程の話が出ました。32ページから33ページのところに、組織マネジメントの強化の中で、教員の養成研修段階における方策が示されております。
  32ページに教員養成課程、教員の研修において、地域とともにある学校づくりの視点が適切に反映されるよう資質を養成していくと書いてありますが、教員養成部会の中間まとめの段階における記述として、この書きぶりになっております。おっしゃったように、教員養成部会においては、答申の案が既に今出ている状況ですので、最終的なこちらの答申の取りまとめにおいては、そういった様々な動きの最終段階の記述を反映していくということが必要で、その作業も併せてさせていただきたいと思っております。
  以上です。

【加治佐主査】 
  それでは牧野委員、お願いします。

【牧野委員】 
  今、天笠副主査がおっしゃったこととも関わるのですが、全体の在り方として、先ほど私も第2章と第3章には少し溝があるのではないかということを申し上げましたが、第3章の方を検討していた部会にいた者としましては理解されるのではないかと思っていたのですけれども、今日、皆さんのお話を伺っていまして、どうしても学校に引きずられてしまうというか、日本においては教育というのは学校教育中心で、どうしても学校をどうするという議論になりがちなのだなということを痛感しました。
  今までの学校支援地域本部という在り方から「地域学校協働本部(仮称)」へと変えていく。それは先ほど明石部会長がおっしゃったように、今この社会をどうするかというときに、せっぱ詰まった状態なのだということを、当然議論しなければいけない。議論しているはずなのです。そして、そのためには、学校を中心にしながらも、学校を支援するというよりは学校を地域の一員として置き直して、子供たちの将来を見据えて、地域がどう変わっていくべきなのかといったことが課題化されているのだということが言われているはずなのです。その意味では、当然、ここでは、地域の大人も学んで、変わらなければならないということが書かれていると思うのですが、余り強調はされていないように思うのです。その辺りをもう少し第4章で描き直しながら、私たちが今直面している課題が何であって、これは第1章に関わる問題なのですけれども、それをどう解決するために、実はこういう構想を出してきたのだ、その構想を実現するためには、学校教育中心ではなくて、むしろコミュニティに現実の課題を落とし込んで、生涯学習の観点からもう一度コミュニティの再生を考えざるを得ないような状況に今立ち至っているのだということを、少し強調した方がいいのではないかと思います。
  そうであれば、そこに当然、学校区の問題が出てきます。基本は小学校区であって、小学校、中学校、さらに、高校へと積み上げていくという議論もしていたはずですから、当然、小中高一貫12年間でどう考えるかという議論もしなければいけないと思いますし、さらに、そこに関委員がおっしゃった公民館の位置付けといったことも関わってくるだろうと思います。第4章辺りでそうしたことを、全体をレビューしながら答申案の方向性がこういうものなのだということを少し強調されたらどうかと思います。

【加治佐主査】 
  分かりました。またよろしくお願いします。
  それでは、平岩委員、お願いします。

【平岩委員】 
  今日改めて、初めて見るような視点というか、客観的な視点というかで、全体をもう一度聞いておったんですけど、その中で出てきた、自分の中での疑問に少し整理をつけておきたくて発言させていただきます。
  学校運営協議会と「地域学校協働本部(仮称)」、一体的にやってもいいですし、別々にやってもいいですし、いろいろな可能性が書いてありますけど、見ていると、原則、別々に存在していくようになりそうな気がしていて、別々に存在するメリットって何なんだろうとずっと考えていたのですが、もしその視点で、こういうことではないかという御意見があれば、参考のために教えていただきたいと思います。というのは、一体にやったときのメリットは幾つか思い付くところがあるのですが、成り立ちが違うので別々になる部分もあるのかなと思っていて、でも、一体的にした方がいいところがある。いや、別々にやった方がいいところがあるというのは、自分の中で理解を深めておきたくて、お聞きいたします。

【加治佐主査】 
  現在も一方しかやっていないところもあるわけです。それを併せてより地域の教育力、学校の教育力を上げようということだと思うのですが、その辺りは事務局の方で。

【廣田参事官補佐】 
  失礼します。先に発言させていただきます。第4章にありますように、学校と地域の在り方というのは様々である、多様であるという状況を踏まえると、一律性を持って示されるものではないと考えております。では、それぞれの機能というのがどちらかでよいか、あるいは別々でよいか、あるいは一体でよいかということについて、それも含めて、基本的には各自治体で判断されていくべきことではあるのですが、機能として、例えば学校運営協議会の持っている学校運営に真に参画していく、校長が定める学校運営の基本方針を承認するという行為を通して学校のビジョンを共有し、賛同し、それに向かって共に行動していくという機能自体は、現時点では地域学校協働本部の機能としてはありません。一方で、学校運営協議会の機能の中には、地域学校協働本部が持っていて、まさに地域を作っていく、まちづくりをしていくというような機能までは持ち合わせておりません。そういう意味では、それぞれがそれぞれ必要な機能ではあるものの、その体制としてそれが別々である、あるいは一体であるということについては、特段こうでなければならないということは、我々としては示そうとは考えておりません。
  第4回の合同会議ときの議論で、合同にするか、あるいは離れていくかということの一体化の議論がありました。特に小規模な自治体においては、もはや一体的に運営していくべきで、別々にあるべきではないというような御意見がある一方で、それぞれにそれぞれの持ち味があるので、それを発揮していくためには別々ということを認めるべきだという御意見がありました。それは総括すると、それらが一つでなければならないとか、別々でなければならないということは示すべきではないという結論を持っております。ただ、それぞれの機能は持ち合わせているべきだと。つまり、一体、あるいは別々という、在り方は横に置いておいて、機能として協議していく機能、あるいは実働していく機能というのは、いずれの学校においても持ち合わせていただきたいということが、メッセージとしてはあり得るのだろうと思っております。その辺りをできるだけ分かりやすく示していく必要がありますので、現在の報告の中で、その点は見直していきたいと思っております。

【加治佐主査】 
  社会教育課も答えられますか。簡潔にお願いします。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  今、廣田補佐が説明されたようなことが主な回答になるかと思います。「地域学校協働本部(仮称)」の中で地域を巻き込んでいく。特に地域づくりでありますと家庭教育支援といったところにおきまして、学校運営協議会の中のスコープを外れる、若しくはそれよりも地域に近いような活動を主にやっていくということもございます。ですから、それは別でやるというメリットはそういうところにあるのではないかと考えています。以上です。

【加治佐主査】 
  それでは、残り名札が出ている井出委員、生重委員、黒瀬委員、藤田委員、浦崎委員、この順番でよろしいですか。名札を上げたタイミングとは違うかもしれませんが。そういうことでお願いします。それでは、井出委員、お願いします。

【井出委員】 
  この議論を始める初期の段階で、私は2030年に学校が残っているかどうかという危機感を持っているという話をした覚えがあるんですけれども、学校が残っているかということは、例えば地域の期待に応えられる形で残っているかということもあるし、学校を支える地域そのものが残っているかという、両方なんですね。
  第1章から入っていって、危機感というのはある程度伝わってくるし、先ほど明石部会長からも説明があったように、どんな表現をするかは別にしても、これから学校とか、地域というのは本当に存在し得るのかということについての合意はどこかで形成しておいた方がいいだろうと思います。アプリオリにあったものがこれからも自動的に継続していく担保とか保証というのは決してないわけであって。そういうことから考えていくと、今何とかしなくてはいけないという危機感をまず共有して、どんなふうにしていくのかという作りになってきて、全体として足らないところもたくさんあるけれども、うまくまとまっているなと思ったんですが、この間の議論を聞いていて、メッセージとして支援から連携・協働へというこのいわば方向転換のように見える部分をどう理解してもらうか。「地域学校協働本部(仮称)」というふうに名前を変えた理由というのは、正に単なる支援ではなくて、連携・協働なんだということを分かりやすくするためにネーミングを考えたわけですね。そこには精神があるのであって、言ってみれば生き残り戦略として、連携・協働していかないと、どっちも立ち行かなくなりますよというメッセージを分かりやすく込めていく必要があるだろう。それをネガティブな形で書くか、希望的なポジティブな形で書くかは別にして、できれば希望的な表現にしていった方がいいと思うのですが、いずれにしても、メッセージが何を意味しているかということを読み手によく分かるように作る必要がある。そうすれば、かなり威力のある中身になっていくかなというふうに思っています。
  そこで、先ほど議論になった「地域学校協働本部(仮称)」に、協議の部分が抜けているという話があったんですが、ややこしいことで、ここで協議を色濃くしていくと、コミュニティ・スクールとの関係をどう整理するのかということになってくるんですね。
  56ページの下から三つ目のパラグラフのところに5行でまとめてあるんですが、コミュニティ・スクールの機能、「地域学校協働本部(仮称)」の機能のそれぞれを大切にしつつ、両者が相互に補完し高め合う存在として効果的に連携・協働し、両輪となって相乗効果を発揮していくことと、読んだとおりきれいにできているんですが、実は「地域学校協働本部(仮称)」が協議機能を持って、いわば本来コミュニティ・スクールがやるだろうと思っていたことをやり始めると、コミュニティ・スクールは何をしたらいいのかということになりますし、また、学校が本来やってきたことをここがやり始めると、学校は何をするのかということになってくる。ただ、やっていれば見えてくるんですね。これはあっち、これはこっち、先ほどコミュニティ・スクールと学校支援地域本部とどう違うんだという質問がありましたけど、先ほど、ちらしを配らせてもらいましたけど、学校支援地域本部に取り組んで10年やってきて、それが成熟していく段階に協議するという機能が加わってくるんです。協議というきれいな言葉ではなくて、相談とか、調整とか、話合いとか、連絡とか、これは格好よく言えば協議という形でくくれると思いますが、そういう協議とか、話合いとか、熟議とか、そういったことができるようになってきた段階でコミュニティ・スクールに移行していこうというのが杉並区の基本的な戦略なんです。ですから、余り議論は重ならないで済んでいます。
  そういうふうに考えていくと、最後のまとめのところが、確かに重要な両輪であると言っているわけですから、どういうふうに車軸の右と左に置いていったら、適切な両輪になるかという姿を見せてやらないと、前輪と後輪なのか、左右の車輪なのかという辺りも多分議論になるのではないかと思いますから、そこを整理する必要があると思っておりました。でも、それは可能なことだと思います。
  それで、最後に、先ほど本当に面白い指摘で、全くだと思ったんですが、資料3-5のところに学校と地域が書き分けられていて、学校は当然責任の主体は校長にあるわけですけれども、地域にはないという指摘がありましたよね。私はあってはいけないと思います。ここに人を置いたり、ここを制度にしてまとめたりすることは危険だし、やるべきことではない。なぜかといったら、地域というのはそういうものなんですね。つまり、形を作って制度化して、姿形を明らかにすればするほど地域というものは成り立たなくなる。つまり、悪い言葉で言えば、いい加減に出来上がっているのが地域であって、それをきれいにそろえて網をかぶせて、コントロールしていこうとしたら、必ず地域は疲弊していくし、活力は生まれてこない。かなり難しいことではあるけれども、新しい公共空間、学校も新しい公共空間として私は位置付けているんですけれども、地域がどういうふうに結び付いていくかというところをサポートしてやる機能を書いていけばいいのであって、それを統括する機能をどこかに書き表す必要はないかなと思って読んでいました。
  ちょっと話がまとまりませんけど、いずれにしても、資料3-4の左側から右側へ、これは成熟していく過程だというふうに読み取れば理解しやすい。つまり、左と右が違うのではなくて、左の図には更にその左側があって、左の図のような形に一定程度、姿形が明らかになってきて、そして、左の図と右の図の間にもうちょっとびらびらしたものがあって、右側の「地域学校協働本部(仮称)」のような形に成熟していくんだと。その成熟も自然に成熟していくというよりは、一定の意思が働いて成熟していく。その一定の意思というのは何かというと、さっきの支援から連携・協働へという、矢印のはっきりした意思を表現することができる。そんなふうに読めば、雑ぱくではあるけど、この間、10年間やってくる中で、こういった流れは理解できるので、是非多くの人が理解できるような形に書いてあげた方がいいかなと思います。以上です。

【加治佐主査】 
  ありがとうございました。また参考にしていただきたいと思います。
  それでは続きまして、生重委員。

【生重委員】 
  56ページの下段のところから57ページにかけてです。このような書かれ方は、かなり様々な誤解を生みます。先ほどの私の発言で、社会教育委員が唐突感がある。生涯学習の部会でちょっと出てきたところで、自分を責められるというのも私には理解できませんし、公民館とか、社会教育主事の有様というのはしっかり書かれた方がいいと私も思っています。それから、「自治会」で驚いたのですが、動かなかったものを、今の課題を解決するために新しい地域というか、子供たちを中心に置いてみんなでこれからやっていこうよと。これだとコーディネーターになる人が単体に読み取れるし、例えば学校支援活動をしているコーディネーターと、土曜学習をやっているコーディネーターと、放課後子供教室のコーディネーターをしたり、放課後子供教室は外部に委託していたり、そのようなやり方をしているところもたくさんあるわけです。
  ここのところに、一本ラインを入れていただきたいのです。これからますます重要になる家庭教育の支援活動は、例えば、文科省が推し進めている家庭教育支援チーム等の配置とか、チーム学校の中にも出てくるスクールソーシャルワーカーの配置とか、連携、協働、相談、そういうことの中で行われていく部分で、できることを協議しながらお互いに連携していくということであり、地域のコーディネーターが兼務してもいいんです。地域学校協働本部のコーディネーターが学校運営委員会の委員になっているというのは、私どもでもたくさんありますし、その方が様々な連携とか、仕事がスムーズに行くというのがあります。一人の人が企画調整担当も同時に務め、社会教育における地域貢献活動の企画運営の実施に参画するなど、このように書かれてしまうと、すごい人を配置しなければならないと思いますし、全国では、すごい人はほとんどボランティアです。誰も給料をもらわないでやっているのに、どうしてこのようにいろいろなことを要求されるのでしょうか。
  いろいろなところの研修を担当して、自分がやっているところを育てよう、頑張ろうというのは見えるのですが、協力しようよというと、協力する方向は見えてきます。しかし、「私が放課後もやる。」、「こっちの緑化推進もやる。」と言ったら、負担増になってしまいます。ボランティアなのです。
  ということは、これをもう少しきちんと書かなければならないし、あくまでも例だと思いますが、地域青少年育成会議の事務局が学校運営協議会の事務局も兼ねる。これは一番くたびれている組織のような気がします。同じことをずっと何十年も一律やってきてという状況にあるようなところを覚醒させなければならない。もう一度自分たちの役割を思い出させなければならない。それぞれが役割を担っていくんだということに重きを置くんだとしたならば、もう少しそういうところを意識して書いていただきたいです。
  公民館もそうです。全ての公民館が前向きではありません。うまくいっている公民館もありますが、ほとんど休眠状態で貸し館と変わらない状態になっているところが日本中にはたくさんあります。急に公民館と出てきても困る一方だと思います。こういうことを前向きにやる、今の新しい体制の中でどう取り組む、というアクションとか前段階がないのに、いろいろな関係機関の名前が出てくると、やっている側(がわ)も混乱していくのではないかと思います。もう少し最後の締めに向かっていくところの役割付けとして、その辺りをもう一度きちんと協議しなければならないのではないかと思います。

【加治佐主査】 
  分かりました。そういう受け止め方もされる可能性があるということですね。それでは続きまして黒瀬委員、お願いします。

【黒瀬委員】 
  失礼します。先ほど3章の議論の中にもありましたが、私も4章を読んでいて、学校と地域が1対1対応になっているのは、少し違うのではないかと思いました。今回のまとめでは、2章で小中一貫教育の視点で複数校同時に取り組むというのが何回も出てきています。学校支援地域本部は小学校区で取り組む例が多いかもしれませんが、私が関わっているところは小さな学校が多いからかもしれませんが、中学校で校区の小学校も併せて取り組んでおり、複数校で一緒に取り組んでいる例が多くなっています。ですので、最後の4章では、地域の中に学校は複数校あり、複数校が連携して地域を盛り上げているという視点が欲しいと思います。
  地域学校協働本部という地域づくりにも貢献していくという話になると、地域には学校が複数あるという視点が欠かせないのではないかと思います。

【加治佐主査】 
  分かりました。それでは続きまして、藤田大輔委員、お願いします。

【藤田(大)委員】 
  56ページの真ん中辺りに、「協働体制が子供たちの教育の質を格段に向上させることなどが期待される」と書かれているわけですが、その後57ページの上でも、先ほど生重委員の御指摘がありました、地域学校協働本部の組織的なものが明記されています。そのような構成がより積極的な連携のための介入、支援とか、目的としているということは理解できます。しかし、介入とか、支援の効果は、具体的には出ていますが、子供たちへの教育支援効果というものをどう評価していくのかという観点は、触れていただく必要があるのではないかと思います。特に、それぞれ現在、子供たちに直接的に関わっていく活動が行われていますが、活動の情報は、活動の間は共有されていません。情報の共有という観点を入れたコーディネート機能というものについても、学校支援地域本部の中で、できれば、教育再生実行会議に出ている、小学校、中学生の共助、公助の観点の育成を、教育の質のところに含めていただけるような形で御検討いただければと思っております。

【加治佐主査】 
  また御検討ください。それでは、浦崎委員。

【浦崎委員】 
  今日も協働について話題になっておりますけれども、協働の意味は高校段階を描くと非常に分かりやすいので、高校段階を描き、それを踏まえて小・中学校を描かれるということをしていただくと、伝わりやすいのではないかと思います。
  この部会からしつこいくらい強烈に出していただきたいメッセージがございまして、それは今までも出てまいりましたけれども、地域を担う人づくりは、地域の仕事である。もっと当事者意識、当事者性を発揮しなければいけないということを書いてあります。第1章を中心に書いてありますけれども、第2章、第3章、第4章を通してしつこいくらい訴え掛けていただきたいと思っています。
  といいますのは、ほかの部会で社会に開かれた学校、具体的には社会に開かれた教育課程というような議論が進んでおります。私も、学校の教員ですので、それがこの先どうなるかということをシミュレーションしたときに、多分社会、あるいはアクティブ・ラーニング的なものが、学校の中に入ってくる。ただでさえパンク状態のところに入ってくる。余計に機能不全を起こすという懸念を持っています。これからの活路は学びの場を地域に拡張することによって学校と地域が役割を果たし合っていくという方向性だと思います。ここの部会、作業部会がそういうメッセージを強力に発信していかないと、どうもそういうふうな、学校に更なる負担がかかってくる懸念性が大きいので、是非はっきり伝わるような書きぶりでお願いしたいと思います。以上です。

【加治佐主査】 
  分かりました。また参考にしていただきたいと思います。本日は12時までの予定です。時間がありますので、御発言があればお聞きして次につなげたいと思いますが、いかがですか。

【天笠副主査】 
  この文章をどこまで修正するのか、私もよく分かりませんが、事務サイドは事務サイドなりの進め方があるかと思います。それはともかく、私は、それぞれの委員の方々からの意見を集約したものというか、それをより鮮明にしたものを、1章の1節のところにむしろ差し替えるぐらいのつもりでいいのかなと思っています。要するに、中身はこの中に入っています。ですから、どれほど強く読み手に伝えるかどうかという1点にかかっているのではないかと思っています。ここがしっかりすれば、あとは最終の第4章までつながっていくように思います。ある意味、ぜい肉が付き過ぎてしまっている。例えば、教育改革と地方創生の動向等々については、脚注に回すとか。そういう扱い方ですとか、先ほど明石部会長が言われたようなことを詰めて、ここで伝える。何ゆえに支援から協働へというところを1章の1節のところでストレートに読み手に伝わるような形にするということが、最大の仕事ではないのかと思います。繰り返しますが、中身は既にこの中に入っているという認識を持っています。ただ、作業スケジュール的なことが、どこまで申し上げたことと対応できるかどうかは分からないので、とりあえず申し上げたということでよろしくお願いいたします。
  以上です。

【加治佐主査】 
  ありがとうございました。どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
  参考資料の3-3です。これを初めて拝見したときに、学校教育、家庭教育支援、社会教育ということで、地域学校協働活動。学校教育は校長がいるということで昔からはっきりしていますが、例えばコミュニティ・スクールを推進拡大していく上で、学校での経営責任は校長にあるということが少し薄らいでいたということがありました。何か地域に主導権をとられてしまうような、そのような受け取り方でコミュニティ・スクールがなかなか拡大しにくかったという面もあったということを考えたときに、参考資料3-3を見たときに、もし全体をコーディネートする、統括コーディネーターなる方がどなたかなるのでしょうが、ある意味大変な実権をもつというか、裏市長のような感じになるかなという感じを受けました。
  49ページに「地域コーディネーターは守秘義務を重視し、責任の所在の明確化を図る場合は」と書かれていますが、このような地域学校協働本部を作って衣替えしていくということになると、誰がということでなくても、どこでということで責任の所在が大事になってくるのではないかと思います。これも特定すると、確かに先ほど井出委員がおっしゃったように、悩ましいところがあります。しかし、責任の所在がはっきりしないと、教育委員会がいろいろなコントロールをするということになっていくのか。また、先ほど浦崎委員がおっしゃったように、学校に持ち込まれて、結局、校長に何とかしろということになっていくのか。地域と学校が協働という、言葉は協働というのはきれいですが、現実問題としてきちんと役割分担なり、ルール化しておかないと難しいと思います。ただ、地域づくりをもっと加速していくという意味で、このような本部的なものを導入していくというのは賛成なんですが。協働という言葉は、車の両輪という言葉で済まないところが相当あると思いますので、そこをもっと詰める必要があると思いました。
  以上です。

【加治佐主査】 
  制度設計にも関わってくると思います。そこは慎重にやられるということですので、また十分に検討していただきたいと思います。牧野委員、何か御発言されますか。簡潔にお願いします。

【牧野委員】 
  全体のまとめ方なのですが、時間の兼ね合いもあるかもしれませんが、イメージとしまして、ある種の枠といいますか、例えば臨教審の議論があったときに、従来の工業社会から情報社会への社会構造の転換が前提にあって、そして、その中で新しい社会を模索していくという動きの中で、市場化の議論が出てきたと思うのです。実際にはその当時の議論では、工業社会は格差を作っていってしまう。特に所得格差を作ってしまう。しかし、情報社会では誰もがアクセスが平等になっていくので、格差が縮小するだろうと思っていた。ところが、実はそうではなかった。むしろ情報のアクセスもその活用も共に格差を生み出し、広げることになってしまったという問題があるわけです。今私たちは、実はそこから更に次の時代に行こうとしている。つまり、それが消費社会に移っていく、又は金融資本を中心にした社会に移っていこうとする中で、従来のようなピラミッド型というか、上から引き上げていく社会ではなくて、下から横に広げつつ、ネットワークを作っていかなければいけない社会に入ってしまったのだということを前提に、地域の在り方をどう考えるかという議論をしているのだという認識を、共有していく必要があるのではないかと思います。そうしたことを国民に分かっていただけるような表現にしていくということが必要ではないかと思います。
  それからもう一つは、今のコーディネーターの議論ですけれども、多分、社会教育の方々は分かっているだろうと思いますが、例えば公民館主事的な役割を担っている方々が各地域にいらっしゃって、その方々は住民の中に入り込んで、学習を組織する役割を担っているのであって、指導したりする役割ではないわけです。学習を組織する、例えば住民が何を考えているのかを聞き取りつつ、あなたが言いたいことはこういうことでしょうとお返しをして、住民自らが学習していく、また議論がなされていくような形で支援するというか、コーディネートしていく役割をしている。そうしたものが基本的には想定されているのだろうと思います。その意味では、小さい単位で、例えば小学校区単位ぐらいでそういう方々を配置して、住民自らが学習して地域を変えていけるように支援しましょうということ、そこに学校との連携・協働を組み込んで、子供たちを地域全体で育て上げていくような地域を作りましょう、という議論で進んできたのだろうと私は理解してきました。ですから、もしその実感が間違っていないとすれば、そのような形で少し第1章に大きな課題を書いていただいて、第4章で上記のような形のまとめ方というのがあるのではないかと思いました。以上です。

【加治佐主査】 
  分かりました。また生かしていただければと思います。
  それでは、きょうは非常にたくさんの御意見を頂きました。それぞれの部会で分かれて審議し、一応のまとめを作りましたが、基本に立ち返らなければいけない、あるいは具体的にどう運営するか、どう仕組みを作るかということも含めて、かなりいい議論ができたのではないかと思います。事務局は正直に申し上げて大変ではないかと思いますが、是非また次につなげていただきたいと思います。
  それでは、本日の様々な御意見、そしてパブリックコメント。この意見も踏まえ、次回は答申(素案)を修正します。その上でまた議論を進めていただければと考えております。次回以降も引き続き合同会議となりますので、よろしくお願いいたします。
  最後に次回以降の予定について、事務局からお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
  多岐にわたる御意見ありがとうございました。お手元の資料4に今後のスケジュールが示されております。次回も合同部会になりますが、11月13日金曜日になります。議題として答申(素案)と書いてありますが、答申の案をお示しさせていただきますので、本日頂いた御意見を踏まえた修正、そしてパブリックコメントが11月6日までとなっておりますので、これらのコメントを踏まえた修正を御提示させていただきます。その後、初中分科会、生涯学習分科会、そして中教審総会等の御意見も踏まえながら、12月7日に更に合同会議を開き、答申として年内でまとめていくという段取りで動いていきたいと考えております。次回以降、どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
  どうもありがとうございました。これで終わります。

――  了  ――

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(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)