地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第9回) 議事録

1.日時

平成27年10月5日(月曜日)9時30分~12時

2.場所

文部科学省 3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

生重委員、貝ノ瀬委員、加治佐委員、黒瀬委員、貞広委員、佐藤委員、竹原委員、田崎委員、早川委員、松浦委員、宗岡委員、山野委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、徳田大臣官房審議官、谷合社会教育課長、塩崎参事官、鍋島地域・学校支援推進室長、藤原学校運営支援企画官、他

5.議事録

中央教育審議会 初等中等教育分科会
「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」(第9回)

平成27年10月5日(月曜日)

【加治佐主査】 
 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」の第9回の会議を開会いたします。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 前回の作業部会におきましては、事務局から提示された審議のまとめ(素案)について、様々な御意見があったところです。
 本日は、前回出されました御意見等を踏まえて修正しました審議のまとめ(案)が提示されていますので、これについて議論いただきたいと思います。本日の議論を踏まえまして、「審議のまとめ」として取りまとめ、10月中旬の初等中等教育分科会に報告したいと考えております。
それでは、議事に入る前に、配付資料の確認及び簡単な説明を事務局からお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 配付資料の確認をさせていただきます。お手元にクリップ留めしてあります資料があります。資料1-1、1-2、そして資料2、3、参考資料1-1、1-2という形で配付資料をお配りさせていただいております。そのクリップ留めしてあるものとは別に、1枚紙で机上配付という形で山口県教育委員会教育長の浅原委員から、この審議のまとめ(案)に対する御意見を頂いております。また後ほど御紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。資料に不備等がありましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、本日も報道関係者から傍聴及び録音の希望があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の審議に入ります。
 まず、前回の御意見等を踏まえて修正しました審議のまとめ(案)について事務局から説明いただき、その後、自由討議とさせていただきます。
 それでは、まず事務局から資料1について御説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。お手元に資料1-1と1-2がございます。1-2が前回会議からの見え消し修正版、赤字で修正されているところが前回会議配付資料からの変更点でございます。それらを全て反映させたものが1-1、溶け込み版というものになります。お手元の参考資料1を見ていただければと思いますが、前回、第8回会議の意見がそちらにまとまっております。これら参考資料1で示しております主な意見と、あと事務局内におきまして全体をいま一度精査させていただいたという状況を、先ほどの資料の中に全て反映という形をとらせていただいているところです。非常に見にくいのですが、資料1-2の見え消し版の資料を用いまして、前回からの変更点を中心に御説明させていただきたいと思っております。1-2を御用意ください。
 今回、審議のまとめ(素案)から審議のまとめ(案)という形で変更させていただいておりますけれども、全体の資料構成が若干変わっておりますので御紹介させていただきます。
 前回、第2章の中にコミュニティ・スクールと学校支援の取組の一体的推進という内容が入っておりましたが、今回の構成に当たりましては、第2章がコミュニティ・スクールの在り方と方策、第3章が地域側の協働体制の在り方ということで、学校支援地域本部等のこれからの姿について示されていくという状況から考えますと、一体的推進ということの内容は1章の中に入っているものではなくて、第4章という形で別途後ろに取り上げた方が良いだろうということで検討いたしました。目次を開いていただきますと、第4章という形で、コミュニティ・スクールと地域における学校との協働体制の効果的な連携・協働の在り方ということで章を起こさせていただいております。その点が大きく変わっているところです。あと目次を見てみますと、第2章第2節というところで、これからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方をお示ししております。
 開いていただきまして、1ページ目、「はじめに」がございます。こちらは前回示しておりませんで、今回新たに加筆した部分でございます。4月に文科大臣より中教審に対して諮問が行われたと。今後のコミュニティ・スクールの在り方、全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み、連携・協働した活動を展開するための方策等々について審議が要請されたという状況を踏まえまして、この初中分科会の下に本作業部会が、そして生涯学習分科会の下に学校地域協働部会が設置されたということでお示ししております。これまで実態調査の結果の分析あるいは関係者からのヒアリングを踏まえながら、必要に応じて合同審議を行うなど緊密な連携を図って、集中的な審議をしてきました。この審議のまとめは、それぞれ初中分科会、生涯学習分科会への報告案としてまとめるものだということをお示ししております。先ほども御紹介しましたが、第2章は地域とともにある学校の在り方に関する作業部会、第3章は学校地域協働部会で審議した内容を整理したということで、最終的にはこれらを全て一括した形で1章から4章までが構成される状況になります。
 開いていただきまして、第1章でございます。軽微な修正部分の説明は割愛させていただきます。2ページ中ほど、地域の状況ということの中で、これまで活躍してきた社会教育団体も、活動への参加者が十分集まらず、その役割を十分に果たせていないケースが見られるということ。あるいは地域協働部会で出た意見でございますが、これから地域のコミュニティを再生していくということのフレーズがあったのですが、かつての地縁を再生するという視点にとどまることなく、新たに地域コミュニティを創り出すという視点に立って考えていくことが必要だというような御意見を頂いております。
 3ページ、山野委員の方から御意見がございました。「このほか」ということで、子供が被害者や加害者となる様々な事件が発生していると。このようなことから、学校と地域の連携・協働を一層進めることが重要だということの御指摘でございます。
 3ページ目の一番下から、学習指導要領の改訂についての動きを、少しボリュームを持って加筆させていただいております。
 4ページ、御承知のとおり、この8月に「論点整理」が取りまとめられております。その中で非常に大きな理念として示されているのが、「社会に開かれた教育課程」ということでございます。その「社会に開かれた教育課程」というのはどのような観点を重要にしていく必要があるかということが、4ページ中ほどに書かれている内容です。社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、学校教育を通じてより良い社会を創り出すという目標を持って進めていくということ、そして、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り開いていくために求められる資質・能力とは何か、そういったことを教育課程において明確化していくということ。そして3番目に、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後、土曜日を活用した社会教育との連携を図ったりしていくということで、学校教育を学校内に閉じずに開いていこうという価値観です。また、「カリキュラム・マネジメント」ということについても示されておりますが、その「カリキュラム・マネジメント」の確立に当たっても、地域に開かれた「カリキュラム・マネジメント」を作っていこうというようなことが書かれております。
 5ページ、高大接続という部分についてです。これらに関しましては、高等学校の特性を踏まえた在り方ということが第2章第2節に書かれておりますので、それとの連動ということでお示ししております。
 6ページ、「教育委員会制度の改革」というところの中にワンフレーズ加えております。両者のパートナーシップの構築は、学校と地域の連携・協働を推進していく力となるということを加筆しております。
 7ページ、「学校と地域の連携・協働の必要性」ということで、こちらも山野委員から追加で御意見がございました。課題を抱えた保護者や子供の孤立に対応する観点から、保健福祉部局等との連携を図りながら、保護者、子供に必要な支援を行っていくということをお示ししております。
 8ページ、これは事務局内での文言の修正でございます。
 9ページ、先ほどの家庭教育支援、保護者への支援と連動して、(2)「子供も大人も育ち合う教育体制の構築」の中で、家庭教育の支援の観点からも連携や協働の必要性ということで、孤立感を抱えた保護者を含む多くの保護者に対して、学校との協働による活動に参画していく機会を作ることにつながっていくということをお示ししております。
 10ページからですが、これも全体の接続を考えたときのフレーズを加えさせていただいております。この前に「これからの学校と地域の連携・協働の姿」ということをお示ししておりますので、その姿を目指しながら、コミュニティ・スクールあるいは学校支援地域本部等の在り方を検討していくことの接続に触れさせていただいています。10ページ、2の一つ目の丸ですが、これからの姿を具現化していくためには、学校と地域の双方で連携・協働を推進するための体制を構築していく必要があるということで、その仕組みとして、コミュニティ・スクール、そして学校支援地域本部等の仕組みについて第2章以下述べていくということで接続をさせていただいております。
 先ほど申し上げたように、11ページ、黄色いマーカーが引いてありますが、「コミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的推進」、この部分についてはこの第1章からは削除し、第4章という形で作成させていただいております。
 12ページ、これも事務局内において加筆した部分ですが、12ページ中ほど、「コミュニティ・スクールの意義・理念等」の中で、第2期教育振興基本計画の目標設定について加筆させていただいております。その上で、第1章で述べたように、様々な教育改革、地方創生等の動向を踏まえながら、協働体制を築いていく必要があると。このような観点からコミュニティ・スクールの在り方について審議を進めていくということで、こちらも第1章との接続を書かせていただいております。
 14ページからが第2節、これからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方です。「提言のポイント」と書かれております四角囲いの部分を全て追加させていただいております。これまで御議論いただいておりました、これからの方向性ということを簡単にまとめたポイントでございます。これからの方向性として、学校運営協議会の目的として、学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めていく役割を明確化する必要があるということ。現行の学校運営協議会の機能は引き続き備えるとした上で、教職員の任用に関する意見に関しては、柔軟な運用を可能とする仕組みを検討していくと、これは後ほど御説明します。地域の人々の理解や協力、参画等が促進されるよう、学校支援の総合的な企画・立案を行える仕組みとする必要がある。校長のリーダーシップの発揮の観点から、委員の任命において、校長の意見を聴取する仕組みとする必要がある。小中一貫教育など学校間の教育の円滑な接続に資するため、複数校で一つの運営協議会を設置できる仕組みとする必要がある。そうしたことも踏まえながら、制度的位置付けに関する検討ということで、全ての公立学校がコミュニティ・スクールを目指すべきであり、運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策が必要だと。その際、基本的には学校又は教育委員会の自発的意志による設置が望ましいこと等を勘案していくということ、これも後ほど御説明いたします。
 15ページの1番、コミュニティ・スクールの仕組みの方向性ということですが、ややもすると、学校が地域住民や保護者の批判の的となるのではないかといった印象を持たれてしまうことがあると。学校運営協議会は、この三つの権限というのがガバナンス強化を目的としたものであるということによるものですが、そういった不安感、抵抗感があると。同制度は、各学校の運営に保護者や地域住民が参画することを通じて、地域ならではの創意や工夫を生かした特色ある学校づくりが進むことが期待されるものだと。そうした理念の適切な浸透を図っていく必要があるということを追加させていただいております。
 続いて、15から16、17と、三つの権限に関しての意義、あるいは方向性ということですが、18ページに、前回会議におきましてもこの三つの機能につきまして、その機能を持たせることが必要であるということの御意見も頂いております。そのようなことから、18ページ上の段ですが、この三つの機能についての取扱いについて結論を示させていただいております。現行の学校運営協議会制度は、「地域とともにある学校」の理念を実現させるための有効な仕組みであり、地域の人々や保護者が学校の運営に真(しん)に参画し、協働することを保障するために、少なくとも同協議会が備えるべきとされた機能が現行法に規定されている三つの機能である。現行制度が有する意義や成果等を踏まえると、学校運営協議会は、法律上の機能である三つの機能を備えるべきである。その上で、教職員の任用に関する意見については、柔軟な運用を確保する仕組みとしていくことも検討すべきであるとお示しさせていただいております。様々なヒアリング等も踏まえますと、三つの機能のうち、特に任用に関する意見につきましては非常に大きな抵抗感があるということです。当然、このことについては現行の制度上、しっかりと都道府県、市町村、そして校長との権限の分担ということがなされた上での機能だということはこの報告の中にも示されているところではありますけれども、柔軟な運用を確保する仕組みとしていくということについても引き続き検討していくということをフレーズとして書かせていただいております。
 18ページ中ほど、「学校支援の総合的な企画・立案の観点」についてです。この部分は、いかにこの機能が学校運営の改善あるいはより良い学校づくりに有効かということを少し補強させていただいたものです。18ページの下、「ある教育委員会では」ということを書いておりますけれども、学校運営協議会に、より良い学校づくりのために協議する機能に加え、より質の高い学校教育を支援する機能を持たせた上で、つまり協議の機能だけではなくて支援の機能も持たせた上で、承認した教育目標の実現に向けて、学校、家庭、地域、そして子供たち自身が熟議を行い、それぞれの立場でできることを具体的に示した行動指針を策定し、各々の組織・場で主体的な取組を実践することで、より質の高い学校教育の実現につながっているということで加筆させていただいております。
 19ページ、このような観点から、学校運営協議会が学校支援に関する企画・立案を行える仕組みとしていくということがお示しされているわけですが、19ページの赤字の部分、この際、こうした仕組みを検討するに当たっては、当該機能がトップ・ダウン型で一方的に展開されることなく、地域住民と教職員とが協働で企画したり、活動を実施したりするなど、学校と地域の協働的な活動が展開されるよう配慮することが必要であるということで、前回、竹原委員から御意見を頂いたことを踏まえながらの修正を加えております。
 20ページ、21ページは軽微な修正ですので飛ばせていただき、23ページ、「学校や地域の状況」ということで、丸々型コミュニティ・スクール、あるいは学校評議員との関係ということが触れられております。23ページ一番下、このため、国は、学校評議員制度からコミュニティ・スクールへの移行を積極的に促していくと。学校運営協議会制度によらずに地域の住民や保護者等が学校運営に参画する仕組みを構築している取組についても、コミュニティ・スクールへの過渡的な段階の姿として捉え、コミュニティ・スクールへの移行を促進していくことが重要だということに触れております。
 続きまして、28ページまで。最終的に26ページ以降がこれからの学校運営協議会の、制度的位置付けの検討ということに触れているところでして、学校運営協議会の仕組みの必置(ひっち)に対する意見、あるいは地域の実情を踏まえた意見、あるいはヒアリングで示された意見を踏まえて結論として示させていただいているところが28ページです。前回の会議におきましても、この部分はかなり集中的に御議論いただいたわけですが、その部分を整理させていただいています。現在学校が直面している様々な課題を解決し、組織としての力を発揮していくためにも、地域とともにある学校へと転換し、連携・協働体制を持続可能なものとしていくことが不可欠であると。今後、全ての公立学校において、地域住民や保護者等が学校運営に参画する仕組みとして、学校運営協議会制度を導入した学校(コミュニティ・スクール)を目指すべきである。このため、各教育委員会が、コミュニティ・スクールの設置の促進を図っていくよう、制度の位置付けの見直しも含めた方策を講じていくことが必要である。その際、学校運営協議会を有効に機能させるためには、学校と地域の信頼関係の構築が基盤となることから、基本的には学校又は教育委員会の自発的な意志によって設置されることが望ましいこと、現在の学校運営協議会の設置率は全公立学校の7%程度という実態を踏まえる必要があること、学校運営協議会が学校運営に混乱をもたらしかねないといった懸念・不安に基づく制度導入に対する拒否反応を丁寧に払拭していく必要があること、学校や学校を取り巻く地域の状況は多様であること等の点を勘案しつつ、制度的位置付けを検討すべきであると。法律に基づかない自治体類似の仕組みについても、コミュニティ・スクールへの過渡的な段階(コミュニティ・スクール化)の姿として捉えて推進していくことが重要であり、取組の充実・発展を促す中で、最終的にはコミュニティ・スクールとなることを目指して推進していくことが重要である。また、国においては、コミュニティ・スクールの仕組みがより魅力的な仕組みとなるよう、本節1.に示した基本的方向性の実現を図り、学校や教育委員会の主体性を大切にしながら設置を促していく必要がある。そのためにも、制度の趣旨や目的を始め、個々の機能の持つ意義や成果等に対する正しい理解が得られるよう周知を図るとともに、コミュニティ・スクールの設置を促進するための施策面・財政面等における総合的な推進方策を講じていくべきであると示させていただいております。前回、大きく取り扱われていたのが、コミュニティ・スクールというものをどういうものと捉えるかということが集中的な議論とされておりました。持続可能な仕組みとしていくということを念頭に置きながら、学校運営協議会制度を導入した学校を目指していくという方向性を示した上で、学校運営協議会制度によらないものについてはコミュニティ・スクール化、過渡的な段階の姿としてしっかりと認めつつ、発展を促していくということがここの中で示されているところです。
 29ページの第3節、前回、天笠副座長を始め、複数の委員から、推進方策としてしっかりとその効果、成果を示していく必要があるということをお示しいただきました。第3節、29ページの二つ目の丸ですが、全ての公立学校をコミュニティ・スクールとしていくことは容易ではない。教育委員会や学校から発せられる不要感、不安感、負担感など、様々な課題に対して、真摯に向き合い、解決に向けた働き掛けや支援を行っていくとともに、社会総掛かりでの教育の実現に向けた大きなうねりを巻き起こしていく必要がある。なぜコミュニティ・スクールとしていく必要があるのか、どんなメリットがあり、導入によって、子供たちがどう変わっていくのか。教育委員会や学校が動くための糸口は「共感」を得ることであり、関係者が熟議を重ね、仕組みの導入によって、子供たちが変わり、学校が変わっていくという成功体験を積み重ねていくことが重要である。コミュニティ・スクールをはじめとした地域とともにある学校づくりに関わる当事者にとって、それぞれの立場から関わる魅力は、以下のように整理することができるということで、子供にとっての魅力、教職員にとっての魅力、そして保護者、地域の人々にとっての魅力ということをお示ししております。こちらにつきましては、本年3月のコミュニティ・スクールの推進の協力者会議で示された部分を引用させていただいております。
 30ページ、こうした魅力を発信していくということで、どのような方策を講じていくかということの一つ目の(1)です。「コミュニティ・スクールの裾野の拡大」というところを大きく追加させていただきました。31ページから32ページにかけて、学校評議員あるいは学校関係者評価、あるいは学校支援の取組、自治体独自の類似の仕組み、様々な仕組みがあるという状況の中で、不要感ということがお示しされております。このような取組というのは、学校と地域の協働関係・信頼関係の土台となる大切な取組であるということを示した上で、組織的・継続的な体制を構築していくという観点から、コミュニティ・スクールに発展していくことの重要性をお示ししたものです。類似の取組などからコミュニティ・スクールに発展していくことによるメリットというのは、31ページ、四角で囲っているところでございますけれども、事業としての類似の仕組みから、法に基づく運営協議会を置くコミュニティ・スクールに発展していくことで、学校・家庭・地域の組織的・継続的な連携・協働体制の確立が可能となると。学校の人事異動に左右されない学校教育の実現が図られていくということなどなど、そこに魅力を示させていただいております。
 その上で、前回、天笠委員から御指摘いただいた、まずはやはり学校あるいは教育委員会が自らコミュニティ・スクールの道を選んでいくということを促していくことが重要だという御指摘に対して、31ページ下、学校や教育委員会が自らコミュニティ・スクールの道を選ぶことが最も大切なことである。ある県では、コミュニティ・スクールの導入に当たって、各学校が学校支援等の取組を通じ、家庭や地域と連携・協働しながら開かれた学校づくりの推進に努めている状況を踏まえて、まずは、コミュニティ・スクールに指定されていない学校が主体的に参画する協議会を設置していくと。熊本県の取組を念頭に置いておりますけれども、まずは学校が主体的に協議会を設置していくと。その上で段階的にコミュニティ・スクールへの移行につなげていくということで、学校の自主的・自律的な動きを後押ししていくということに対しても、しっかりと支援していくということを32ページに示しております。
 このため、「推進のための具体的方策」というところには、コミュニティ・スクールに対する不要感・抵抗感を指摘する声に対して、以下の取組を推進する。コミュニティ・スクールと学校支援地域本部等の一体的な取組に対する重点的な支援。学校評議員、類似の仕組みから段階的に発展していく取組に対する財政的な支援。あるいは最後に、学校運営協議会によらない形で地域の人々、保護者等が学校運営に参画する体制を構築している取組の収集と積極的な発信、段階的な発展プロセスの可視化ということを示させていただいております。
 (2)、学校マネジメントの強化について、ここは、マネジメント力とはどういうことを指すかということの注釈を新たに加えさせていただいております。33ページから、教職員の養成・研修段階における方策ということで、教員養成課程や教員の研修において、地域とともにある学校づくりの視点をしっかりと反映していくということと併せて、独立行政法人教員研修センターが実施していく研修プログラムの充実を図っていくということ。地域連携を担当する教職員の明確化ということに関して、34ページ、国立教育政策研究所や事務職員の研究・研修団体等と連携し、研修プログラムモデルの開発・普及を行っていくということをお示ししております。
 34ページ(3)、人材の確保、委員の人材をどう確保していくかということ。中ほど、学校運営協議会の委員を確保していくということに関して、学校運営協議会の委員としての資質を備えた人材を最初から求めることは難しいが、地域には学校に協力的で、子供たちとの関わりに熱心な人材は少なからず存在する。そうした人材を学校運営協議会に巻き込んでいくということの必要性をそこに示させていただいております。
 35ページ、藤田委員を始め、首長部局との連携・協働ということについて、これまで御意見を頂いております。(4)の中に、コミュニティ・スクールの取組は、地域コミュニティを持続的に発展していく観点からも有効であるということで、小中学校段階において、ふるさとの未来を託せる人材の育成ということを目標に、役場、農協等の関係機関との連携を図りながら取り組んでいる例、高等学校において、地元の自治体、企業、NPO等との協働による取組の事例を示した上で、地方創生という課題を始め、教育委員会・学校と首長部局等の関係者が、地域と地域の将来を担う子供たちの将来像を共有した上で、課題解決の取組を推進していくことが重要だということをお示ししております。これに伴って、36ページ、推進方策の中に、首長部局等との協働による課題解決学校モデルを構築し、その成果の普及と全国への発信を行うということを示しております。本年度から、この首長部局による新たな学校モデル構築事業というのを新規で立ち上げたわけですが、首長部局と教育委員会、そして学校がパートナーシップを組みながら課題解決学校モデルを作っていくというような事業です。このようなことをしっかりと全国に発信していくということを意図しております。
 体制面・財政面の部分におきまして加筆したのは、継続的・安定的な取組を保障するための財政支援の仕組みが必要だということの必要性の部分、中ほど、削除している部分がありますが、これは(1)に移動したことによる修正です。そのほか、都道府県・市町村の役割、推進方策が38ページ以降示されておりますが、赤字で加筆された部分というのは、以前浅原委員からプレゼンテーションいただいた内容等も踏まえながら加筆した部分です。
 最後に、43ページ第4章、これはコミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的推進ということに関連してですが、この第4章をお示しする上で、参考資料2をお手元に御用意いただければと思います。第3章につきましては、学校地域協働部会におきまして集中的に御議論されておりますので、参考という形で第3章部分を配付させていただいておりますが、この中で4ページから5ページにかけて、これからの方向性が示されております。学校と地域がパートナーとなって協働して地域振興についても推進していくということが示されておりますが、これまで学校を支援するという機能を持ち合わせていた学校支援地域本部につきまして、「学校協働地域本部(仮称)」という形で協働体制の新しいモデルが示されております。これまで様々な学校と地域の協働した活動ということがあったわけですが、それらの活動を充実しながら、活動の連携を促進することが可能なコーディネート機能を各学校に置くということで、地域のプラットフォーム的な体制を構築していくということが示されているものです。
 5ページの二つ目の丸にありますけれども、「学校協働地域本部」についての特徴は、社会教育のフィールドにおいて、地域の人々、団体により緩やかなネットワークが形成された、任意性の高い団体としてイメージされるものであるということで、コーディネート機能、活動する地域住民、継続的な活動の実施ということを大事にしながら、こういった体制を構築していくということが第3章で示されております。
 これとの連動をどう図っていくかということにつきまして、先ほどの資料1-2の第4章にその内容が書かれております。第2章ではコミュニティ・スクールを、第3章では地域の協働体制の在り方を示してきたと。それらの連携強化、一体的な推進ということで、三つ目の丸はコミュニティ・スクールの在り方、四つ目の丸が第3章で述べた地域の方の在り方です。このように、子供たちのために、地方創生の実現のために、コミュニティ・スクールの機能、地域本部の機能のそれぞれを大切にしつつ、両者が相互に補完し高め合う存在として効果的に連携・協働し、両輪となって相乗効果を発揮していくことが必要であるということで、相互の体制整備を進めることの重要性を示しております。
 その上で、44ページ、どのようにして連携・協働体制を構築していくかということで、ふだんからの情報共有という観点、あるいは地域コーディネーターというのが地域本部、そして学校運営協議会の委員も兼ねていくということで、「人的配置の工夫」ということが有効であるということをお示ししております。また、例えば上越市などでは、青少年育成会議というものが学校支援地域本部と同様な形として置かれているのですが、このようなものと学校運営協議会の事務局というのを兼ねているような事例もございます。様々な方策の中で、この両者を接続していく、連携強化を図っていくということをお示しした内容でございます。
 ということで、44ページ最後の「なお」というところですが、これらの今後の整備・発展が望まれる体制は、「地域でどのような子供を育てていくのか、どのような地域をつくっていくのか」というビジョンをしっかりと創り上げていこうということで、そのプロセスを大切にしつつ、連携・協働を深めていくという視点を持って進めていきましょうということが最後に示されております。
 説明が非常に長くなって大変恐縮でございますけれども、前回の会議における指摘事項からの変更点です。
 もう一枚、机上に配付させていただいております、山口県教育委員会の浅原委員の方から頂いている御意見でございます。
 教職員の任用に関する意見ということにつきまして、16ページの下から2行目のところ、学校運営協議会は、三つの機能を備えるべきと明記されており、それは良いと考えると。「教職員の任用に関する意見については、柔軟な運用を確保する仕組みとしていくことも検討すべき」の表記については、「任用に関する意見」の機能がもともと柔軟に運用されているものであり、この一文を載せる必要性は余り感じないということ。任用についての誤解を解くことを進めることこそが大切だという御意見です。
 また、これからの学校運営協議会の制度的位置付けの検討についてということで、今までの審議の経過、ヒアリングを基に総合的に判断すると、「現状の任意設置」から「目指すべきである」とすることは、現時点では適切だと考える。しかし、必置に向けて継続的に強力に後押ししていく必要があるという御意見でございます。
 三つ目ですが、二つ目の丸ということで、制度導入に対する拒否反応を丁寧に払拭していくことと併せて、三つの機能を有するからこそ、学校・家庭・地域のそれぞれが、お互いの役割を認識し、相互に連携・協働して学校運営を充実させることにつながっていくのだということをしっかりと丁寧に説明していく必要があるということ。
 四つ目の意見ですが、「制度的位置付けの見直し、検討」という表現につきまして、使い分け、あるいは「制度的位置付け」の意味について分かりづらいという御意見を頂いております。
 最後、地域連携を担当する教職員の明確化等教職員体制の整備ということに関して、地域連携担当教職員の法令上の明確化というのは、コミュニティ・スクールの推進と併せて、現場は重く受け止めるのではないかと思われるということで、このため、地域連携担当教職員の配置に伴う加配措置ということについても検討してはどうかという御意見を頂いております。
 御意見は以上です。

【加治佐主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、これからこの案につきまして議論していきたいと思います。前回までに様々な御意見を頂きまして、大方盛り込まれていると思います。ただ、その上で、またいろいろ御意見もあろうかと思いますので、お願いいたします。この部会として、この審議のまとめについて部会単独で議論するのは今回が最後になります。今後は、もう一つの学校地域協働部会との合同になりますので、我々が担当している、とりわけ第2章の部分ですね。これについて、部会のみでの議論は最後になりますので、その点も御留意いただきたいと思います。第1章、第2章、そして第4章とあります。時間は結構ありますので、節ごとに御意見を伺っていきたいと思います。
 まず、第1章の「時代の変化に伴う学校と地域の在り方について」ということで、二つの節があります。まず第1節の「教育改革、地方創生等の動向から見る学校と地域の連携・協働の必要性」、この部分についてはいかがでしょうか。「はじめに」も含めです。

【貞広委員】 
 主査、よろしいですか。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【貞広委員】 
 ありがとうございます。前回出席できませんでしたので、もう議論されていることでしたら申し訳ないのですが、15ページの加えていただいている直前のところに、赤字の中頃の直前です。「学校の管理運営の改善を図るというガバナンス強化を目的として導入されたものであることから」うんぬんというところがあるのですが、確かにコミュニティ・スクールというのは、地域と教職員と保護者と一体となって、全体でのガバナンスを強化して、地域の教育課題に対応していくということで導入された制度であると思うのですが、1章にそうしたくだりがないので、ここにガバナンス強化というのが出てくるのが唐突な感じがします。例えば、7ページの「学校と地域の連携・協働の必要性」であるとか、あとは新しい教育課題に個別に応えていかなければいけないという記載がある部分に、そういうガバナンスを強化していかないと、なかなか今の教育課題に十分に応えていけないというところを加えていただくと、併せて読みやすくなるのかなと思いました。
 以上です。

【加治佐主査】 
 よろしいでしょうか。確かにそうですね。本来の制度趣旨みたいなものが後から出てきているということになりますので、最初の方に出された方がいいのかなということですね。

【廣田参事官補佐】 
 対応させていただきます。

【加治佐主査】 
 どうぞ、生重委員。第1節ですね。

【生重委員】 
 14ページの提言ポイントのところですが、三つ目の丸のところで、「地域の人々の理解や協力、参画等が促進されるよう、学校支援の総合的な企画・立案を行える仕組みとする必要がある」とあります。これはいろいろなコミュニティ・スクール運営の状況を見ていくと、学校支援体制の整っていないところもありますので、コミュニティ・スクールの組織そのものでやっているパターンもあるということは、運営を話し合う委員だけではなく、地域住民を入れているからこそ、企画・立案にとどまらず、地域住民を巻き込むとか、協力を求めるとか、そういうことを促進していくような文章の方がいいのではないかという気がします。

【加治佐主査】 
 分かりました。一応お聞きしておきますけれども、今、第1章第1節ということですので、今のところは第2章になります。

【生重委員】 
 ごめんなさい。第2章に入っていたのですね。

【加治佐主査】 
 また後で御発言いただきたいと思います。

【生重委員】 
 はい。申し訳ありません。

【加治佐主査】 
 第1章第1節はいかがですか。よろしいですか。どうぞ。

【山野委員】 
 いろいろ意見を入れていただいて、ありがとうございます。3ページの(3)の上の二つ目の丸ところ、赤字で入れていただいたところですが、教員だけでは対応することが質的にも量的にも難しくなってきている。その後ろに「子供が」と書いてあるのですが、全体的に感じたことですが、子供が主体的に、コミュニティ・スクールにすることで、子供自身が結局、選択肢が広がったり、学校だけの視野ではない、地域とリンクしたりしていくことで育成されていくというようなポジティブな、教員が大変だからこれが必要だという書きぶりも必要かもしれないですが、前にポジティブな意味で、子供に選択肢を広げていくというような、子供を主人公にして入れていただくのはどうかと思いました。

【加治佐主査】 
 はい。お分かりですか。大丈夫ですか。事務局の方は、そこの表現を少し工夫していただくということでよろしいですか。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【加治佐主査】 
 第1節についていかがですか。よろしいですか。
 それでは、第1節、第2節はどうでしょうか。「これからの学校と地域の連携・協働の在り方」です。それでは、よろしいですね。
 第2章です。第2章の第1節の部分、「コミュニティ・スクールの意義・理念等」、ここはいかがでしょうか。
 それでは、第2節に入ります。第2節から、第2節、第3節というところが、この審議まとめのある意味根幹をなす部分かと思います。それでは、先ほど生重委員が御発言されましたけれども、済みませんが、もう一度おっしゃっていただけますか。

【生重委員】 
 第2節の「提言のポイント」の丸の三つ目のところで、地域の人々の理解、協力という文章のところです。「学校支援の総合的な企画・立案を行える仕組みとする必要」があります。この企画・立案にはアクションが伴わないと、誰かにやらせる上からということになってしまうと。委員会でも話し合っているのですが、どちらが上位組織でどちらが下の組織ということではありません。学校を運営する両輪として、支え手として、皆が一緒になってやっていくのだということを考えたときには、企画・立案として巻き込むとか、協力し促進していくみたいな、何かまとまった文章にはできないのでしょうか。そのようなニュアンスが入った方がいいのではないかと考えます。

【加治佐主査】 
 どうですか。この18ページからの(2)のところですね。この部分では、今おっしゃったようなことはいかがですか。事務局の方はどうですか。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。今の御指摘というのは、具体的な文章でいきますと、18ページから19ページのところの(2)の内容に関連するところかと思います。学校運営協議会は学校運営に関して協議をする機関であるということが基本的な位置付けです。このようなことから、学校運営に対して意見を述べていくということが機能として設けられているわけですが、そこに今回新たに、この会議におきましては、学校支援との連動を図っていくということの重要性が示されている中で、その企画・立案を考えていってはどうかという御意見があったと承知しております。一方で、今御指摘いただきましたように、単に企画・立案だけを行って、それで終わりかということにつきましては、しっかりその企画・立案した内容を実行に移していくということの接続が必要であると思っております。学校運営協議会そのものが実行まで全てやっていくということまではなかなか難しいものの、様々な機関に働き掛けを行っていくとか、企画・立案したものを実現に向けていくために協力を求めていくというようなことなどは十分に考えられることかと思っておりますので、御意見を踏まえながら対応させていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
 よろしいですか。

【生重委員】 
 済みません。大体の場合、委員になって出てきている方の背景には組織が、町会、自治会であったり育成会であったり子供会であったり企業であったり、様々な組織を皆さん背景にお持ちなので、それが有効にネットワーク化されていき、それぞれが実施していく。単に代表で出てきてつながらないパターンがすごく多いので、一文入るだけで、やはり有効に働くのではないかと考えます。

【加治佐主査】 
 少し加筆していただくということですね。
 いかがでしょうか。貝ノ瀬委員、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 ありがとうございます。制度的位置付けに関するところは、28ページですかね。

【加治佐主査】 
 そうですね。

【貝ノ瀬委員】 
 8ページ、比較的メインのところですね。

【加治佐主査】 
 そうですね。

【貝ノ瀬委員】 
 それで、ここだけでなく、全体的にも関わるのですが、このコミュニティ・スクールの設置促進、拡大ということについては全体のトーンがはっきりしているわけですが、今回のこのまとめの前に、去年、コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議が設けられていて、ここでも提言がなされているわけです。これも同じように設置、拡大、促進ということでまとめられている。今回、新規の軸としては、丸々型をどうするとか、必置について出てきておりますので、それについての検討ということで、新しく観点も付与されているわけです。少し経緯を考えますと、近いところでは平成25年の教育振興基本計画の中で、これは明確に5年間で10%という数値目標まで出された設置促進、推進です。そういうことを出された上で、去年のまとめももちろんあるし、それから、少し高めの球ではありますけれども、教育再生実行会議で必置について検討ということになりました。また、つい最近では地方創生の観点から、27年6月閣議決定された、まち・ひと・しごと創生基本方針2015、これは大臣も置かれているわけですけれども、ここでも、学校を核とした地域力強化の観点から、全公立小中学校において、学校と地域が連携・協働する体制を構築するために、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の取組を一層促進する旨が示されている。経緯を見ても、明らかに設置促進、拡大ということをうたってきているわけでありますが、ここにおいて、またまとめを出すということになると、そういう経緯を踏まえますと、学校運営協議会制度の導入を目指すべきということが任意というような範囲内で促進、拡大というようなことではなくて、もっと積極的に位置付けを見直すような、そういう提言にならないと、トートロジーではないですか。繰り返し、メリットはこうだ、デメリットはこうだ、なかなか拡大が進まないのでという、一部の慎重論の中で、「主体的な現場からの動きを待ちましょう」みたいなものも入れながら、ということでは、これは時代状況にマッチングしません。結局、なぜ今これが大きなテーマになっているかということを、廣田補佐が最初にしっかり述べられました。それらを考えると、もっと積極的なまとめが必要だと思いました。
 ですから、そのような表現に変えていくということであります。ただ一方で、一部の慎重論もありますように、現在の設置状況ですとか学校のいろいろな事情で、不安感といいますか、特に例えば任用に関するところなどについても、ほとんどやっていないところがそういう不安を持っていらっしゃる。やっているところは、不安はありません。しかし、そうは言っても、そのような学校や教育委員会が存在するということは現実ですので、そのことも勘案しますと、客観情勢というのは無視できないということは、一方で言えると思います。
 結局どうするんだ、ということでありますが、差し障りなくまとめてしまいますと、結局今までの設置促進、拡大ということの繰り返しになってしまう。経緯とか時代状況などを考え、また佐藤委員が精力的にエビデンスをしっかりとってくれていますが、そういったことを全部勘案しますと、教育委員会に対して設置の「努力義務」という一歩踏み込んだ位置付けをこのまとめに記していくということが、今回のこのまとめを作る意味があるのではないかと思います。ですから、必置は再生会議で出されておりましたけれども、これは私も先導した方ですので使いたいところですが、一部に慎重論というのがあったり、現実に7%というような状況も考えたりすれば、その上での積極的な位置付けとなると、努力義務というのが適切かと思います。同時に、教育振興基本計画は、また更新されていくと思いますが、前回は5年間で10%というようなことで、もう既に5年たたないうちに2,389校で、あと二、三年で5年ということになりますが、当然教育振興基本計画で国の方針を明確化するということも同時に必要です。取組状況をフォローアップしていきながら、今後、適切な時期に制度的な位置付けとか支援方策などを、再度見直しを図るということが必要だと思います。ですから、もう少し先ですけれども、適切な時期にまた更なる制度的な位置付けを考えていく。今回は少なくとも努力義務というような位置付けを明確にすることが、私は大事だと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。御指摘のとおり、これまで何度も同じようなことが議論されてきているわけです。そして、この部会の任務は、今御指摘のように、必置の提言があったわけですので、これに対してどう答えるか、応えなければいけないということが任務としてあるわけです。この28ページがその部分に当たるわけですけれども、ここでは、この赤字で書いたところの二つ目の丸の2行目に、「学校運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策を講じていく」と、こういう表現になっているわけです。もちろんその上の丸のところで、その大前提として、今後、全てが学校運営協議会制度を導入したコミュニティ・スクールを目指すべきだと、そういう方向性は明確にしているわけですけれども、ただ、将来はともかく、現状では見直しを含めた方策を講じていくべきだと、この表現にとどまっているわけです。今の御意見は、そこをもう少しより明確にするという意味で、努力義務、教育委員会が設置の努力を行う、努力するというぐらいの方向に持っていった方がいいのではないかということ。また、振興計画に明示されていますので、また必置に向けての制度の見直しとか振興策を講じていくべきだ、こういう御意見と受け取りました。これは非常に大事なところです。ほかの方、御意見いかがでしょうか。

【田崎委員】 
 熊本県の田崎です。今、貝ノ瀬先生からお話があった件について、私も非常に重要なことだと思っております。熊本県では、将来的には全てコミュニティ・スクールにしていきたいという前提で熊本版コミュニティ・スクールというのを今進めていますので、そういった意味での努力義務と、規定の中でしっかりその辺りを書いていくということは必要性を非常に感じているところであります。ただ、私が思いましたのは、現状として、各全国教育長協議会等の意見等を聞いたとき、私自身は出席できなかったのですが、その後の資料等を見てみますと、今日の中にも書いてありますが、学校運営協議会の意義は理解するけれども、現状としてそこの点について一律に導入を促すのは難しいのではないかとか、学校運営協議会を必置とすることは実現が困難であるとか、そのような意見が出されていることを踏まえると、現状として、必置というところまで踏み込むのはなかなか難しいのであろうと思います。
 あと、どういう書き方をするかということですね。努力義務として、今、事務局案としては「目指すべきである」ということがその方向性として出されているのではないかと思いますが、これが弱いということであれば、もう少しこの辺りについてしっかりした書き方をすることで、我々の意思というか、考えを示すことも可能なのかなという気はしております。

【加治佐主査】 
 分かりました。ありがとうございます。
 早川委員、どうぞ。

【早川委員】 
 現場といっても、私が主にお話しするのは市町村教育長ですが、少し様子が変わってきました。
 この前までは、「まずモデル校を作って、それを見てから」と言っていました。それに対して私は、「そんなすばらしいモデル校と同じことをやろうとしては大変ですよ」と言っていました。「もっと自校と地域との関係の中で考えていったらどうですか」という話をすると「もうそれは、じゃ、コミュニティ・スクールだ」というのが決まり文句だったというお話をこの会議でもしました。
 ところが数日前、同じ教育長とお話をする機会があって、今度少しトーンが変わってまいりまして、地域本部とどう統合していったらいいのかとか、それから、どんな着陸点にこれを持っていったらいいのかとか、脳みそをどう使っていったらいいかと、そういうふうに変わりつつあるというのを実感として感じました。それは、やる気が出てきたとか、やらざるを得ないとか、いろいろな理由があると思うのですが、恐らく大勢はそういうふうに流れているのだから、いつそれに踏み切るかとお感じになっていらっしゃると思うのです。その理由は主に二つあって、一つはやはりこの部会とか、それから各地で活動していらっしゃるそうした方々や文科省のメッセージによって、「うちはコミュニティ・スクールと同じような機能を持っているのだから、じゃあ、やればいいんだ」と思われたことが一つと、もう一つは、新教育委員会制度になって、新教育長となり、世代交代しています。今新しく教育長になられる方々は、国の改革のウエーブに乗っていこう、乗らなければいけないという世代がかなり増えてきているということです。だから、団塊世代や学生運動の世代の教育長は、とにかく義務教育というのは、当然それは大事なことなのですが、機会均等できちんと県内全部見渡してやって、手を携えてやっていくという考え方の教育長から、新教育委員会制度になって、首長の意向で義務教育の在り方が選挙公約の中に入っていく中での新教育長ということになると、どうしても自分の市町村に対してどういう責任を追わなければいけないかというような感じが少しずつ出てきているのです。
 ですから、それは全然この本文についての関わりは何もないので申し訳ないのですが、そうした雰囲気が今生まれつつある中で、どういう味付け具合でこの答申を出すかというのは大事なことだと思います。
 
【加治佐主査】 
 結局、結論を言っている28ページの表現の仕方が非常に重要だということですね。ちょっと雰囲気が変わってきて、行かなければいけないというか、行く方向に来ているということなので、それを妨げるような表現はするなということですね。

【早川委員】 
 するなというか、なるべくトーンを下げた方がいい。するなとまでは言いません。
【加治佐主査】 
 いかがでしょう。竹原委員。

【竹原委員】 
 今おっしゃったとおり、トーンが変わったというのは私も実感しています。やらなければというよりも、どうしたらいいのかというトーンになってきました。どうしたらいいかと揺れているところで、この文章を読み、やめても大丈夫と思ってしまうのが一番心配です。揺れていて、何とかしなければいけないと模索されているとき、ここで一歩踏み込んだ表現をすることはとても大事だと思います。

【加治佐主査】 
 もう少し踏み込んだ表現がよろしいということですね。

【竹原委員】 
 そうですね。やらなくて済む、やらなくてもいいですよというトーンが残っていると、拡大解釈するかもしれませんね。

【加治佐主査】 
 ほかの委員の方、いかがですか。
 それでは、この原案を作られた事務局の方、どういう御意見でしょうか。

【塩崎参事官】 
 ありがとうございました。今の先生方の御意見をお伺いしていますと、この28ページのところですが、赤字の一つ目の丸のところでは、全ての公立学校においてコミュニティ・スクールを目指すべきと書いてありますが、その次の丸では考慮すべき事項という形で書いてしまっています。それが拡大解釈というか、そちらが強調されているととられないようにということですので、例えばこの考慮しているところ、丸のところの最後、「等の点を勘案しつつ、制度的位置付けを検討すべきである」と書いてありますが、そこに一つ「教育委員会が積極的に設置に努める」というような文言を入れさせていただくことによって、どちらかというと目指すべきという方向性を出させていただいてはどうかということと、あと最初に貝ノ瀬先生からフォローアップ的な話がありましたので、下から二つ目の「また、国においては」という文章のところですが、その最後のところに、例えば基本計画等によって国の方針を明確化するということ、それからフォローアップをすること、さらには適切な時期に制度的な見直し等をするということを書かせていただくという形にさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【加治佐主査】 
 お分かりですか。最初に述べられたことは、努力義務という、教育委員会がより積極的に努力すべきだという表現を入れるということですね。

【貝ノ瀬委員】 
 同じ意味ですね。

【加治佐主査】 
 同じ意味です。
 いかがですか。御意見ございませんか。どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 私は教育再生実行会議の委員ですので、強く提言し、また第2分科会でまとめ、委員総意でもってまとめて、大臣も了解の上で安倍総理にお渡ししました。お渡ししたのは、結局のところ、そのようなものは受け取れないではなくて、しっかり受け止めますということでしたので、そういう意味では必置ということの文言の重みというのはあるとは思います。一方で、ここでずっと議論されてきたように、慎重論に表れているような面ですね。数字でいえば93%がまだそこに至っていないという、いろいろな状況がある中で、しかし積極的にということになれば、今の参事官のおっしゃるような、私が申し上げたことが、妥当なところではないかと思います。

【加治佐主査】 
 いかがですか。そういう方向で修正というか、追加するということでいかがですか。よろしいですか。また表現等は一任させていただきたいと思います。
 この28ページはそれとして、その前に、特に皆さん注目されたのは任用のところです。何ページですか。

【廣田参事官補佐】 
 18ページです。

【加治佐主査】 
 18ページの一番上の丸があると思います。この三つの機能ですね。三つの機能は備えるべきだと言っているわけです。そして、「その上で、教職員の任用に関する意見については、柔軟な運用を確保する仕組みとしていくことも検討すべきである」と、こういう表現になっているわけですが、ここも一つポイントになると思います。ここの部分についてはいかがですか。

【佐藤委員】 
 基本的には浅原委員のメモのように、ここは余りいじる必要はないかと。なぜなら、3年前まで、全国の学校運営協議会の設置規則を見ると、157を見て、そのうちの4分の1には任用規定はありません。現在、今回の調査で、調査の方法は違いますが、4割に実はありません。これが浅原委員のメモのように、実際には弾力的というか、そういうふうに運営されているというようなことで、さらに、法の中でここをどう柔軟にするか分からないのですが、柔軟にする場合、任意にしてしまうのかどうか。その辺りが非常に問題かなと。あるいは条件付けをするか。例えば実際の規則の中で、校長への事前聴取を経て教育委員会に任用に関する意見をというのが西南の地方に多いです。それはそれでいいので、そういう形にするのか、一切任意にしてしまうのか、その辺がはっきりしないので、特にどうでもいい、任意になってしまうと危険かなと。
 あともう一つ申し上げておくと、任用に関する意見は、今回の調査は六点数%です。昨年1年間で、97自治体です。結構多いと思いました。前の調査では、「過去に」と聞いて16%です。これは、1年間ではありません。
 あともう一つは、学校運営協議会で教職員の人事、校内人事とか教職員定数や、そういうものに関して議題として取り上げた学校の自治体には、任用に関する規定があるところが圧倒的に多いです。任用に関する意見の規定がない学校では、そのような問題をどうも避けている傾向があります。任用に関する意見以外の問題についても。そのような意味でいうと、この規定が今のままあるというのは非常に重い意味があるかなと私は考えています。

【加治佐主査】 
 どうですか。佐藤委員がおっしゃっているのは、結局、この表現は具体化するというよりも、これは取った方がいいという考え方ですか。それとも、このレベルの表現でいいという考え方ですか。

【佐藤委員】 
 結論から言うと、取って、今まで。

【加治佐主査】 
 取るということですね。

【佐藤委員】 
 特にいじる必要はないと。

【加治佐主査】 
 浅原委員と同じように、これは取る。

【佐藤委員】 
 そうです。はい。

【加治佐主査】 
 これについては特に言及はしないということになりますね。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【田崎委員】 
 確かに現状としては個別の任用等についての意見等はないというのが現状だろうと思いますけれども、そういう実態の中、現場では不安感といいますか、そういう点もあるわけです。今、「尊重する」という規定になっておりますので、法律で「尊重する」と書かれると、これ自体は都道府県教育委員会が任用権を最終的には持っており、それについての不安もあるわけです。柔軟な運用を確保する仕組みを検討するということで、「尊重する」という表現をどう変えていくかとか、学校長の意見を踏まえて提案するとか、何かそういう工夫をしないと、あまりにも学校運営協議会のメリットを強調することだけで、現状の7%しか導入されていないということを打ち破っていくには、そこまではまだ行っていないのではないかという気がします。何らかの工夫がここは必要かなと私は思います。

【佐藤委員】 
 よろしいですか。先生のおっしゃることは分かるのですが、逆に、不安感がある状態の中でここの権限を弱めると、「やはりそうなんだ」という認識が広がると思います。やはり問題があったのかな、あり得るのかなという認識が広がってしまうというのもあります。皆さんの中で、「人事に関してはどうだ」と非常に不安になっていると。その中でこの部分が弱くなるということに関しては、かなり懐疑心を高めるのではないか。そのような考えもあります。ただ、今先生がおっしゃったように、例えば校長経由とか、そういう形ならいいのかなと思うのですが、この表現が曖昧だと、その先どうなってしまうのか分かりません。もし、若干権限に関して軽くするのであれば、例えば校長の事前聴取とか、そのような形でもう少し明確にした方がいいと私は思います。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 基本的にはお二人はそんなに変わっていないんだと思ってお聞きしましたが、現状は、佐藤先生がおっしゃるように、任用に関して意見を出せるという任意の規定がちゃんと法律にあるにもかかわらず、40%がそれについて教育委員会規則に置いていません。つまり、軽視されているという状況です。ですから、それは結局のところ、この先、例えば新しくやるというところは、この規則があったとしても、やらなくてもいいのだとなります。つまり、三つの機能を備えるべきだということを明確にするべきです。将来的に、やらなくてもいいのではなくて、将来的にもこの三つの機能はしっかりと目指すべきだというふうに考えるべきだというのがここでの表現です。だから、前に座長が問題提起していただいたように、丸々型のところは過渡的なところだということを考えたときに、この人事の扱いについてもやはり過渡的に、それを今のところ任意とする。だから扱わないということもあってもいいけれども、将来的にはそこについても一定の議論がなされていくことが望ましいということで三つの法的な機能が出ているわけだから、法律は法律で三つの機能は残す。どうしてもそこに不安があるようですので、そこについてはテクニックとしていろいろなやり方はあるのではないかと思います。これを柔軟にする方法としては。先ほど佐藤委員がおっしゃったように、校長を経由するということがあったり、それから一定期間それについて留保したりするとか、そういうこともあるかもしれない。そういうのは、法律に書くというよりも、附則みたいな形にするのかどうか、それは技術上の問題ですけれども、何らかのそういう柔軟性は残しておいた方がむしろ、将来的にはきちんと目指していくということが明らかになっていいのではないかと、逆に私などは思いますけど、いかがでしょうか。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【生重委員】 
 私も三つの機能は絶対に必要だと思っています。先ほどから体制の議論のときにも出ましたが、三つの機能が書かれていないというのは、それで曖昧にしてしまうのはどうかと。中身はやりやすくていいんです。でも、一応柱立てとして、ここを目指しますというものがなくなったら、何でもいいのだととられてしまいます。私自身が学校運営協議会の委員をやっていて思うのは、きちんと学校経営者である校長先生が、学校の経営方針を委員に示し、それに伴う人事体制であると。「このような状況である」という説明を受ければ、我々がいたずらに「いや、校長先生、それは違いますよ」という話にはほとんどなりません。そのようなことはあり得ないし、逆に私は、何かピンチがあったときに校長を助けるのはこの制度なのではないかと思うくらいです。一朝事あるときに、我々学校運営協議会の委員側も一緒になって責任をとる。そのような地域の運営体制をとっていくということは、人事に関することも一緒に責任をとっていくよ、校長先生のバックアップをしていくよという意味です。これは逆に残していかなければいけない三つの意義だと思いますが。

【加治佐主査】 
 分かりました。
 では、黒瀬委員、どうぞ。

【黒瀬委員】 
 私は県校長会の役員をしているのですが、今年、県校長会から県教育委員会にいろいろな施策を提案する中に、コミュニティ・スクールの推進を入れました。要するに現場の校長は、コミュニティ・スクールは推進すべきだと、やらないといけないという認識になっています。ですが、懸案事項は教職員の任用に関することで、それについては私も多くの質問を受けています。やはり聞いてみると、不安を持っているようです。誤解されて情報が伝わっている面もあって、いきなり教職員の任用の問題に触れると、抵抗感も出てくるように思うので、この文章に書かれているように、柔軟な運用が求められると思います。要するに、権限としてはもちろんあるのですが、それをいきなり求めるのではなくて、段階的に取り組んでいくようにすれば、不安感も払拭できるのではないかと思っています。私は、この文章が適切だと思っています。

【加治佐主査】 
 では、貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】 
 私も今おっしゃったのと同じ意見で、やはりコミュニティ・スクールの理念、この3本の柱は大事ですが、成功体験を持っていない自治体がいきなりやる、これを全部やってくださいと言うと、なかなかコミュニティ・スクールにしていただけないので、そのような成功体験を少しずつ経ていくプロセスとして、学習経験の一つとして、この教職員の任用の部分は、柔軟な運用をする段階があって、「その先に」というような書き方がされているのがいいのではないかと思います。ですから、「柔軟な」というのが、ずっとステイしてしまいそうなので、将来的に三つの柱がきちんと確保された状態に移行していくという書き方にしていただければ、まずは少しドアを開けていただいて、その後まさに理想的なものに移行していただくというふうになっていくのかなと思います。

【加治佐主査】 
 ほかにいかがですか。この件についてはよろしいですか。
 当然ながら、この三つの機能の一つである任用について意見を言うと、これは機能させなければいけないわけです。ところが現実は、なかなかそうはいかないし、また、教育委員会の中の40%が実際には規則の中に盛り込んでいないというところもあるわけです。だから、今後これを機能させるための書きぶりをどうするべきか。皆さんの御意見は、将来的にはこれは完全に機能させるべきだということで一致しているわけです。ところが、今それをまた一層強めるような表現をしてしまうと、せっかく盛り上がってきているのに、かえって萎縮するのではないか、かえって後ずさりするのではないかと、そういう御意見だろうと思います。だから、今、貞広委員がおっしゃったように、今は多少柔軟な方向は認めるけれども、いずれは完全に機能させますよと。そのためには校長のそういう経営方針を明確に示すということが大前提になりますが、その方向に行くのだという表現にしていくのがいいのではないかということですね。事務局はいかがですか。今、地教行法の規定がありますよね。ここで任用の意見について何らかの言及をしないと、「三つの機能を備えるべき」で終わったら、恐らく法規定の改正には至りません。その法改正のことも含めて、どういうお考えでこのように書かれたのか、説明していただけませんか。

【塩崎参事官】 
 参考資料の25ページを御覧いただきたいと思います。ここに地教行法での関連部分が記載されています。一番上のところ、黄色い色で囲まれているところの第5項が学校運営協議会の任用に関することを書いているものです。更に6項のところに尊重の規定が書いてあるということで、これを見ますと、法律上は意見を述べることができる。出された場合には意見を尊重しなさいということです。今、委員の皆様から出されている意見を我々として総括して理解しますと、基本的に三つの機能というか、任用についての権限を持たせるという意味では、この関係法をいじる必要はないのかなと。ただ、柔軟な運用ということですので、例えば今後運用の手引であるとか、通知であるとか、そのようなところも考えられるということだと思います。一方で、関連条文の中でもう少し柔軟性みたいなところを打ち出せるのかどうかということについては、別途考えさせていただきたいということでいかがでしょうか。

【加治佐主査】 
 そういうことを行うためにこの表現にしたということですね。
 いかがですか。よろしいですか。どうぞ。

 【貝ノ瀬委員】 
 事務局が表現にしたって、これは私たちが意見を出して、多分こういうことだろうと思ってまとめてくれたのでしょう。

【塩崎参事官】 
 そうです。これまでの委員の皆様の意見をまとめさせていただきました。

【貝ノ瀬委員】 
 経過を。そういうふうに受け止めました。
 ほかのことでいいですか。

【加治佐主査】 
 ちょっと待ってください。それでは、この部分はこれでよろしいですか。
 それでは、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 やはり28ページ丸の二つ目、「法律に基づかない自治体類似の仕組み」、つまり、丸々型のコミュニティ・スクールというのは全国結構あります。県単位でやっているところもありますし、中にはしっかり自信を持って、「国のとは違う。何々型で、これで十分だ。」と自信満々のところも結構あって、なかなか話になりにくいところもあるのですが、このように「コミュニティ・スクールへの過渡的な段階の姿」として捉えると、これは画期的だと私は思います。こういうふうにまとめられるとなれば。これは非常に重要なことで、丸々型に取り組んでいるところについては、それに安住せず、やはり法律にのっとったコミュニティ・スクールを目指していく。そのためにはどういう方策をとったらいいのか、どういう研修なり啓発なりをやっていけばいいのかということを主体的に考えてもらうきっかけになると思います。ですから、この表現はとても明確でいいなと思っております。
 以上です。

【加治佐主査】 
 それでは、第2節のところはよろしいですか。
 それでは、第3節の「コミュニティ・スクールの総合的な推進方策について」、この部分についてはいかがでしょうか。
 どうぞ。

【田崎委員】 
 36ページ、「体制面・財政面における支援の充実」のところです。今回、書いてありますように、体制面・財政面での支援の充実についてしっかり書いていただいて大変有り難く思っております。特にコミュニティ・スクール導入に伴う教職員の加配措置ということまでしっかり書いてありますので、これについては非常に有り難いと思っています。
 もう一つ、お願いできるならば、いわゆる体制的な支援ということで、今のようなことで具体性がありますけれども、コミュニティ・スクール導入に伴う財政的な措置の充実について、現状としては充実という形で、括弧書きで、「コミュニティ・スクール導入を目指す地域における運営体制づくりの支援」とか「コミュニティ・スクールの取組の充実を図るための支援の充実」と書かれております。この部分で、例えば今、学校図書館の図書の充実でありますとか、ICT導入に伴う充実等で、交付税の中でそういうものを見ている部分があると思います。コミュニティ・スクールに取り組む学校については、市町村の方にそういう交付税の部分での配慮をするというような、何かしっかりしたことをもう少し書いていただければ有り難いなと思いますので、検討をお願いしたいと思っております。

【加治佐主査】 
 いかがですか。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。交付税ということに関して、36ページに「継続的・安定的な取組を保障するための財政支援の仕組みが必要である」ということは言及させていただいております。ただ、推進方策として交付税ということを具体的に言及するためには、一定程度の割合を踏まえての交付税措置への踏み切りということになります。総務省との関係において、現在7%という状況で、交付税を全国的に導入するということが難しい状況にありますので、今後そういったことも視野に入れながら、しっかりと我々としては支援の充実を図っていきたいということを考えております。現在は補助金という形で申請が上がってきたところに対してしっかりと支援させていただくという格好をとっておりますので、行く行くのこととして捉えていくことができればと思います。

【加治佐主査】 
 では、塩崎参事官。

【塩崎参事官】 
 今もコミュニティ・スクールの導入に当たって補助金を出させていただいておりますが、国が3分の1、それから都道府県若しくは市区町村が3分の1と3分の1、又は市区町村が3分の2ということですが、3分の2の補助についても今、我々の言葉でいうと裏負担ということですが、地財措置をさせていただいております。ですから、その延長で、将来的には、コミュニティ・スクールになる割合が増えてくれば、当然総務省との間で地財措置というような話合いはしていきたいということを念頭に置いております。

【加治佐主査】 
 それでよろしいですね。
 いかがでしょうか。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 
 先ほどの貝ノ瀬委員の発言にも関係するのですが、31ページの(1)の本文の6行目で、「類似の仕組みをベースとし、段階的にコミュニティ・スクールに発展していく」。あと三つ目の丸にも「コミュニティ・スクールに発展する」。この趣旨は分かるのですが、類似制度でも、例えば福井はかなり古いです。多分、制度化とそんなに変わらないです。そのほか、例えば市川市は30年以上前から、少し仕組みは違いますけどコミュニティ・スクールという名前を使って、横浜市もコミュニティハウスの場合はコミュニティ・スクールですよね。全然違う意味ですけど。文科省がある千代田区でもコミュニティ・スクールというのはありまして、学校、施設開放の事業のことを言っていまして、そういう意味で、それぞれ意味は違うのですが、このままだと少し、初めて御覧になる方は混乱すると思います。あるいは古くから類似の制度で取り組んでいるところは、「何だ」という感じがしなくもないということなので、この辺りは法に基づくとか、はっきりしていただいた方がいいかもしれません。

【加治佐主査】 
 改めてそういうことを明記された方がいいということですね。

【佐藤委員】 
 そうですね。

【加治佐主査】 
 コミュニティ・スクールの用語は様々に使われているということですよね。事務局、よろしいですか。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【加治佐主査】 
 いかがでしょうか。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】 
 大変細かいところで恐縮です。36ページの(5)の最後の丸の部分です。学校の予算についての裁量権を拡大することによって、よりガバナンスを強めていくというくだりの部分です。「特色ある学校づくりに関する予算や校長裁量予算の拡大」となっていますが、特色ある学校づくりに関する予算というのは学校裁量予算全体の一部分ですので、特色あるうんぬんではなく、ここは「学校裁量予算や学校財務における校長権限の拡大等、校長の裁量権を拡大する」とした方がより広がりが出ようかと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 今のは、それでよろしいですね。

【廣田参事官補佐】 
 はい。検討させていただきます。

【加治佐主査】 
 いかがですか。生重委員、どうぞ。

【生重委員】 
 この後の会議に参加されている岐阜県立可児高等学校の浦崎先生が取り組まれている「高校魅力化×地域創生」という、全国にわたって我々の仲間がやっているプロジェクトがあるのですが、高校がなくなると地方の町は消えていく。小中学校もどんどん減少が起こってくる。ひいては町に人が住まない。小中学校の段階でコミュニティ・スクール化して、町全体が本気で考える。ですが、高校の場もやはり首長部局と積極的に、今以上に一歩前に出て高校を残していくという観点を、35ページには記載されていますが、これが読まれることなく、地方魅力化、地方創生という観点で高校のコミュニティ・スクール化は有効であるというようなことを、もう少し象徴的に書いていただけるといいなと思っています。次のページの36ページで「首長部局等との協働による課題解決学校モデルを構築し、その成果の普及と全国への発信等を行う」とありますが、これは構成上でしょうが、これがこのままできればタイトルになるぐらいの勢いで来て、それでこれは重要だというような形にしていただけると有り難いなと思います。

【加治佐主査】 
 高校のことは最初の方でも言及があると思いますが、特に首長部局との協働、これをもっと強調すべきだということですが、いかがですか。

【廣田参事官補佐】 
 推進方策の中で、高等学校の強調はそれほどされておりませんので、2節を踏まえて、書きぶりについては検討させていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
 いかがですか。どうぞ、竹原委員。

【竹原委員】 
 表現の仕方です。30ページの「コミュニティ・スクールの拡大・充実のための推進方策」というタイトルに「提言のポイント」が、次に出てくる(1)から(6)までの番号が振っていないと意味がつながらないなど、初めて読む方が読みやすいように、書き方を少し工夫されたらどうかと思いました。

【加治佐主査】 
 確かに、そういう印象を少し受けますね。

【廣田参事官補佐】 
 対応させていただきます。

【加治佐主査】 
 いかがですか。よろしいですか。
 それでは、続きまして、これで主たる部分の第2章は終わりです。新しく出ました第4章です。第4章は、これはもう一つの部会との共同作業というか、もう一つの部会の案と絡めて書くことになりますよね。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【加治佐主査】 
 だけど、一応原案としてはこれでよろしいですか。
 
【廣田参事官補佐】 
 もう一つの部会での御意見も踏まえながら、両事務局、初中局と生涯局の事務局で調整の上でお示しさせていただきます。きょう午後、地域協働部会が開催されますので、そちらにおいても御意見を伺った上でまとめていくという作業で進めていきます。

【加治佐主査】 
 ですから、第1章、第2章以上に、特に第2章以上にまだこれは我々の意見が反映して変わる可能性もあるという捉え方でいいですね。

【廣田参事官補佐】 
 そうです。

【加治佐主査】 
 ということです。

【貝ノ瀬委員】 
 第2章で忘れていたことがあったのですが。

【加治佐主査】 
 第2章ですか。はい、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 38、39ページ辺りに関係するのですが、都道府県教育委員会のコミュニティ・スクール設置促進、拡大については、これは大きな力というか、影響力があります。先々月でしたか、熊本県高森町の研修会で機会を得たのですが、本当に小さな町ですが、教育委員会を挙げてというより町を挙げてコミュニティ・スクールに取り組んでいるだけではなく、教育改革全体に取り組んでいます。そこは佐藤教育長。佐藤さんという名前は、みんなコミュニティ・スクールに熱心な人が多いですね。田崎教育長の名前も出て、やはり県の教育長、県教委が背後にいるというか、励ましてくれているというので、自信を持って政策を推進できると、そういうふうにおっしゃっていました。そういうことも非常に大事だと思うのです。ですから、39ページ辺りに、「都道府県の中には、教育の振興に関する基本計画にコミュニティ・スクールの推進目標を掲げているところもある」という例にしていますが、国の教育振興基本計画にもきちんと位置付けているし、位置付けるのであれば、都道府県の計画の中にも位置付けることが望ましいぐらいの表現があってもいいのではないかと思います。それによって市区町村の教育委員会も非常に心強く推進していけるとなってくると思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 県が積極的なリーダーシップを発揮すべきだと。振興計画に明示すべきだ。どうですか。

【廣田参事官補佐】 
 今、39ページの「推進のための方策」という四角囲いの1番目のところに、「都道府県教育振興基本計画への位置づけなど」と書いてあるのですが。

【貝ノ瀬委員】 
 ごめんなさい。確かに書いてありますね。

【廣田参事官補佐】 
 ただ、本文中に何らかもう少し。

【加治佐主査】 
 本文中はないですよね。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【加治佐主査】 
 本文中はない。では、少し。

【廣田参事官補佐】 
 本文中は、こういった都道府県などがあるというところにとどまっていますので、この辺りの表現は工夫させていただきます。

【加治佐主査】 
 それでは、第4章はいかがですか。どうぞ。

【田崎委員】 
 第4章の確認ですが、これから第3章の議論とも関連して、学校運営協議会と例えば学校評価制度とかいろいろなものは、これまでの検討の中で、学校運営協議会の中で一体的にやっていくと書いてあったと思いますが、第4章を見ると、学校運営協議会と学校支援地域本部事業は車の両輪でやっていくという位置付けになるのでしょうか。その点の確認をさせていただければと思います。

【廣田参事官補佐】 
 今、第3章の部分で生涯学習分科会の下の部会で議論されている内容は、学校支援地域本部というものにとどまらず、地域社会における様々な学校との協働の仕組みというものを一つのプラットフォームにしていこうということが議論されております。したがって、学校支援にとどまらず、放課後子供教室あるいは土曜学習、あるいは家庭教育支援、様々な機能をプラットフォームにしていこうという考え方でいきますので、その地域の学校を助けていく、あるいは子供たちを支援していく、あるいは子供たちと学校と一緒に地域を創っていくと。その取組を全て学校運営協議会と一体的に推進していくというところに行きますと、学校運営協議会の議論がかなり膨れ上がるところがあります。したがって、学校支援との一体的な取組は進めていきながらも、それらを全て取り込んでいくという考え方というよりは、地域にそういったプラットフォームの体制を作っていくということと、学校内に地域との協働関係を作っていくということとがお互いに相まって連携を深めながら進めていくことが大事なのではないかということが議論としてありますので、ここでいう地域学校協働本部というのが、これまでの学校支援地域本部と完全に同一のものではないと、より機能化させたものだと御理解いただけたらと思います。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【田崎委員】 
 本県の中でも学校運営協議会を作って、学校支援地域本部をその中に取り込んで一体でやっているところもあるものですから、そういう形で車の両輪でやっていく形でやっていくということについては、もう少ししっかり書いておかないと、また少し混乱するような気もいたしますので、よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 地域や学校の実情に応じてその関係性というのは様々にあるとは思っておりますので、その辺りの配慮をどのように書き込むことができるか、また検討させていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
 これからまた出てくると思うのですが、今の時点で私もよく分かりません。第3章を読んでいないということもあるのですが、今おっしゃったように、機能を拡大させた地域学校協働本部というのが提言されているわけですね。一方で、第2章では、学校運営協議会の新たな機能として、学校支援の企画・立案とか、そういうのを入れるとありました。地域学校協働本部の中の学校支援の部分だけを企画・立案するのが学校運営協議会になり、その他、学校が地域づくりに関わるとか、社会教育での学校の関わりとか、そういうのは地域学校協働本部が担うと、そういう関係になるのですか。

【廣田参事官補佐】 
 少し分かりづらくて申し訳ありません。よく言葉として使っておりますのは、協議の機能と、あと実行していく機能ということがあり得ます。先ほど申し上げたように、学校支援の企画・立案というこの機能は学校運営協議会に持たせようと思っているわけですが、これは協議の機能であるということで、学校支援についての企画・立案を行っていくということになるわけですが、現在、19ページのところに少し補足が書いてあります。飽くまで学校支援の企画・立案ということではありますけれども、19ページの上から三つ目の丸、「学校と地域の協働的な活動が展開されるよう配慮する」とあります。「また、子供の学びを中心に据えた協働的な活動を通じ、地域づくりに発展していく取組を推進していく視点も有効であることに留意する」と書いてあります。学校を支援していく取組ということを中心に議論していく中で、自治体の中には、その支援の機能を使いながらも、どうやって学校と地域が一緒になって地域づくりを進めていくかということについての議論が行われるということはある話かなと思っております。いずれにしても、学校支援地域本部とのすみ分けでいきますと、協議する機関と実行する機関ということでの関係性であろうと。ただ、自治体によっては、先ほど田崎委員が言われたように、学校支援地域本部の機能を学校運営協議会の中に取り込んでいるというのは実態としてはありますので、そういったものを完全に否定するということではなくて、地域の状況によっては様々な形があり得るという前提の下で、社会教育のプラットフォームと学校教育の中における協議の機能というのをしっかりと両方持ち合わせていきましょうということが第4章で触れていく内容かと思っております。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【生重委員】 
 役割が全然違っていまして、私自身は全部に関わっていますので。それと、前回、事例発表した際に、ヒアリングをした各地の特色的なものをお示ししているので、そこはもう一度是非見ていただけると有り難いです。我々の学校運営協議会の機能というのは、学校経営に関する部分で、校長先生とともに総体的に方向性を見ていく。事例として、私が今関わっている小学校では、校長先生が「今年はインクルーシブな学校教育からまちづくりというところで学びを進めていきます」と示され、細かいものが出たとしたならば、それに対してジャンルごとにアンケートを作っていき、「保護者、地域、子供、それぞれこういう観点で1年間学校を見てください」と。それで、体験してきたこと全てをまとめてアンケートをとり、ここはうまくいったか、ここは足りなかったかのようなことを、PDCAサイクルで回すのを学校運営協議会がやるのです。学校支援地域本部、今度、地域学校協働本部と言われている支援機能のところは、それは学校の学年の先生や副校長、教頭や校長先生とともに、「では、道徳公開講座はこのようにしよう、土曜日はこの一連の流れのところから1年生から6年生までこういう授業を入れていくと有効だ。」というのは、実施する側としてコーディネーターを中心に動いていく部隊があり、なおかつ、土曜日は土曜日の委員会があるのです。それと放課後子供教室も実施している人たちがいて、そこの代表者が学校運営協議会に上がってきているというよう状況なので、学校経営に賛同しながら意見を入れて、アンケートをとって、PDCAサイクルを回している側は一定の方向は示します。しかし、それに対して、「担任陣と学校支援地域本部のコーディネーター陣がどういうことをやっていけば子供たちにとってより有効なのか」ということを考えていくことが混ざったことは一度もありません。各地でヒアリングさせていただいたときに、山口の事例を見せていただいても、一緒にやっているように外からは見えますが、中に入ると、きちんと先生が入り込んだ上で部会ごとに、教育的価値付けを高める、今課題なのは、何かを実施、実行していくのは、この学校経営母体とはまた違うところに「動く機能」を持っているということなので、プラットフォームのありようは各地域や学校ごとによって個性はあるでしょうが、両輪の機能としては、学校支援地域本部ではなく、今、(仮)の地域学校協働本部のような、共に考えて実施していく、こちらはそれを諮って有効かどうかということをきちんと示してくれる、だから両方がうまくいく、バランスがとれていくということなのではないかと思います。

【加治佐主査】 
 山野委員、どうぞ。

【山野委員】 
 今の御説明のようなことが第4章に分かりやすく書き込まれると、先ほどの疑問の質問にも答えていただけるのではないかと思いました。
 もう一点、もう一つの地域協働部会でプラットフォームの図を私も出させてもらってプレゼンさせてもらった一人ですが、そこで、ここの前段の方にあります、「チーム学校」が出ていますね。チーム学校との関係も、今の協議体と実行体があって、なおかつチーム学校との関係もどうなるのかというようなことも、例えば「推進のための方策」というところで首長部局との連携・協働であるとか、42ページや40ページとかに、各市町村の役割とか県の役割の中の「推進のための方策」に書かれていますが、チーム学校のことはこの中では触れられていない。前段に、書き込まれているので、チーム学校との連携なのか協働なのか、どのようなな関係で位置付けていくのかというのも、先ほど努力義務の話もあったので、触れておいた方がいいかなと思いました。コミュニティ・スクールが努力義務として拡充していくときに、全体が、今の学校支援地域本部との関係とか、チーム学校との関係とか混乱していかないようなものが、第4章にあればいいのか、この「推進のための方策」の中に入れていくのか、どこなのか分かりませんが、そこの関係性にも触れていただけたらと思いました。

【加治佐主査】 
 チーム学校について、最初、言及は当然ありますよね。それを第2章なのか第4章なのか、今後増えていくわけですから、その中で、学校の教職員とか、そういうのは形が変わりますよね。経営の様相が変わっていきますので、そことの絡みもまた改めて取り上げるべきではないかという御意見ですが。

【廣田参事官補佐】 
 2章での取上げということになりますと、学校の組織としてのマネジメント力の強化というところに、組織としてのマネジメント力を最大限発揮できるような体制整備ということが記載されております。このところにチーム学校という表現はありませんので、その部分については検討させていただきたいと思うのですが、一方で、第4章のところについては44ページのところです。チーム学校という言葉は出てきますが、チーム学校を支える観点から地域学校協働本部の整備を促進するということだけが書かれている状況にありますので、このところでコミュニティ・スクールという部分についても触れるかどうかということは再度検討させていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
 なるほど。はい、分かりました。
 どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 第4章については、これは別途ということになるようですが、田崎先生もおっしゃったけれども、現場の方としては多分、また新しいのが出てきたという受け止めでしょう。学校評議員制度がありますよね。それから、学校支援地域本部事業とはまた違う、地域学校協働本部ということで、多分、スクラップできるものはしてほしい、どこかまとめてほしいとかという声が出てくると思います。今でも出ていますから。したがって、少し整理してほしい。文言を見ていないのですが、そうしないと、学校の方、現場の方は非常に困惑するでしょう。学校に限らず、地域の方も。この学校運営協議会のコントロール下に学校支援地域本部事業は置かれるのではない、車の両輪だということになってくると。だから、そのときの説明の仕方が、非常に難しいでしょうね。言葉は両輪だけど、どのように分担して、相互にメンバーが関わっていますから、なおさら分かりにくい。はっきりと分かれていればいいのですが、分かれていませんので、そういう意味では、機能面とか、どこのコントロール下に置かれるかとか、最終的に責任は誰が負うかとか、そのようなことを整理しておかないと難しい。混乱が起きるのではないかと思います。その辺りのところが今後、議論されるでしょうが、楽しみにしていますから、よろしくお願いします。

【加治佐主査】 
 私も単純に同じような感想を持ちました。ぱっと見たとき、もう分からなくなるというか、複雑になる。学校支援地域本部ではない、また新しい機能が加わって、一方でコミュニティ・スクールというか、学校支援地域本部も拡張しなければいけない。学校支援の企画・立案を担うと。ぱっとのみ込めないというのは確かに感じました。そこをうまい具合に作って説明しないと、現場だけではなくて、大学の授業で説明する我々も非常に困りますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、全体を通していかがでしょう。ほかに何かございませんか。どうぞ。

【佐藤委員】 
 全体を通してですが、一応全ての公立学校に置くようにということで、当然、幼稚園、高等学校、特別支援学校も入るわけですが、しばらく見ていると、余り出てこなくて、二十何ページでしたか。高大接続は出てくるのですが、24ページ(3)で「幼稚園、高等学校、特別支援学校の特性」と、ここに出てきます。その前に例えば、園長という言葉も実際出てこないし、何となく小中学校のことをずっと言っていたのかなと思います。24ページ(3)で、小中学校以外の学校が何となく一緒にされていて。見出しの部分だけですね。その下には書いてありますが。あとは学校支援地域本部とかが出てくるので、どうもほかの校種、小中学校以外の校種に関して少しトーンが弱いのかなと感じます。もう少し前半に言葉も出てきていいだろうし、先ほどの24ページ(3)も括弧書きで独立させたらいかがかと思います。内容はこのままでいいのですが。
 実は私の地元のある県では、そう遠くないうちに県立学校は多分全校指定する可能性があります。そのときに、かえってこれを見たときに、高等学校は関係ないのかなという印象を持たれてもいけないので、前半の方で小中学校以外の校種についても、少し引っ張っていただいて、先ほどの柱立ても工夫いただけると、更に4章の方でもう少し小中高以外の他校種に触れていただくといいのかなという印象を持ちました。

【加治佐主査】 
 是非考慮してください。

【廣田参事官補佐】 
 検討させていただきます。

【加治佐主査】 
 いかがですか。よろしいですか。はい、どうぞ。

【山野委員】 
 とても瑣末(さまつ)なことで申し訳ないのですが、5ページの教員養成のところ、「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上に関する検討」というところですが、教員養成の中にもっと入れるべきだという意見はたくさん出たと思うのです。この中に福祉的な問題とか、前段にありました、今、孤立していたり貧困だったりという理解を求めるというのもありましたので、現状の家庭状況を理解できるような、そういう知識などを入れていくというのを何か書き込めないかということが1点です。それから、同じように、35ページの欄外のところ、このような様々な人材や専門家で構成され、「保護者への学び」と文章が続いているところですが、これも私ごとで申し訳ないのですが、社会福祉の立場で、社会福祉士も入れていただけたらなと思いました。
 
【加治佐主査】 
 よろしいですか。

【廣田参事官補佐】 
 5ページの部分は、現在、教員養成部会で議論されている内容を引っ張っておりますので、今の視点を加えるというのはなかなか難しいところではあります。一方で、学校の組織としてのマネジメント力の強化というところで教員養成に関係する記述がありますので、教職員課など、関係部署と協議させていただきたいと思います。

【加治佐主査】 
 2点目の方は大丈夫ですね。社会福祉士。

【廣田参事官補佐】 
 はい。そちらは検討します。

【加治佐主査】 
 いかがですか。よろしいですか。
 それでは、様々な御意見を頂き、ありがとうございました。本日の御意見を踏まえた上で修正を行いたいと思います。ただ、最初に申し上げましたように、今回、この作業部会単独での開催は最後になりますので、私に御一任いただいて、事務局とも相談の上、「審議のまとめ」として取りまとめをさせていただくということでよろしいでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

【加治佐主査】
 ありがとうございました。それでは、後日、最終版を作成しまして、皆様と事務局を通じて共有したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この辺りにしたいと思います。次回は答申(素案)について御審議いただく予定ですが、最初に申し上げましたように、生涯学習分科会の学校地域協働部会との合同開催です。
 次回以降の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 御議論ありがとうございます。
 資料3をお手元に御用意ください。今後のスケジュールをお示ししております。本日の御意見も踏まえ、審議のまとめ(案)を修正いたしまして、「審議のまとめ」という形で固めさせていただきます。10月中旬の初中分科会において、このまとめを報告後、学校地域協働部会の方での「審議のまとめ」と併せた形でパブリックコメントを実施することを想定しております。
 次回の会議のスケジュールですが、10月26日、月曜日です。学校地域協働部会と合同開催と。以降、11月、12月と3回にわたりまして学校地域協働部会と合同開催という形をとらせていただきたいと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 それでは、これで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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