地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成27年9月11日(金曜日)15時~17時30分

2.場所

文部科学省東館 15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 審議のまとめ(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

浅原委員、天笠委員、生重委員、加治佐委員、黒瀬委員、佐藤委員、竹原委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、松浦委員、宗岡委員、山野委員

文部科学省

藤原大臣官房審議官、関政策評価審議官、徳田大臣官房審議官、瀧本総務課長、浅田教育再生実行会議担当室長、谷合社会教育課長、塩崎参事官、鍋島地域・学校支援推進室長、他

5.議事録

中央教育審議会 初等中等教育分科会
「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」(第8回)

平成27年9月11日(金曜日)


【加治佐主査】 
 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」第8回の会議を開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 前回の作業部会におきましては、コミュニティ・スクールの総合的な推進の方策について関係団体からヒアリングを行い、様々な御意見があったところです。
 本日は、これまでの議論を踏まえ、審議のまとめ(素案)が提示されていますので、これについて議論いただきたいと思います。
それでは、議事に入る前に、配付資料の確認及び簡単な説明を事務局よりお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に基づき、配付資料としては6点。資料1として、審議のまとめ(素案)。資料2が、素案に関する参考資料。そして、資料3が、今後のスケジュールでございます。参考資料として、概算要求のポイント。そして、学校と地域の連携・協働関連の概算要求資料。そして最後に、前回会議における主な意見を資料として配付させていただいております。
 お手元に資料3を御用意いただければと思います。今後のスケジュールを1枚でお示ししておりますが、先ほど座長からお話がありましたように、前回、関係団体11団体からヒアリングという形をとらせていただいております。これまで1回から第7回までの御意見、御議論を踏まえて、本日、審議のまとめ(素案)を出させていただいております。
 資料3のスケジュール、次回、10月5日が、審議のまとめ(案)について御議論いただき、その後、10月中旬の初等中等教育分科会において、審議のまとめ(案)を審議し、パブリックコメントを実施していくという段取りで考えております。最終的には年内答申に向けて、精力的に御議論いただければと思っておりますので、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。資料に不備がありましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、本日も報道関係者から傍聴及び録音の希望があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の議事に入ります。
 まず、これまでの議論を踏まえて提示されました審議のまとめ(素案)等について事務局から御説明いただき、その後、三つの項目ごとに時間を区切って自由討議とさせていただきます。本日である程度の方向性を出したいと思いますので、御協力のほどお願いいたします。
 それでは、まず、事務局から資料1と2について御説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。資料1と2を使いまして素案の説明をさせていただく前に、参考資料1と2で来年度の概算要求に係る資料を配付させていただいておりますので、簡単に触れさせていただければと思います。
 参考資料1が、文科省全体の概算要求のポイントを示したものです。こちらはまた御覧いただければと思います。
 参考資料2、平成28年度概算要求の中で、学校と地域の連携・協働関連のものを抜粋したものをお手元に御用意しております。参考資料の一番後の13ページをお開きいただければと思います。学校を核とした地域力強化プランで、初等中等教育局、そして生涯学習政策局関連の補助金を一体的にまとめたプランをお示ししております。こちらは、今年度からこのプランという形で関連の補助金を統合したものでございますが、コミュニティ・スクールの導入等促進事業、あるいは学校・家庭・地域の連携協力推進事業ということで、この中に学校支援地域本部ですとか、あるいは放課後子供教室などの予算が盛り込まれております。そのほか様々なメニューがありますが、トータルとして今年度67億円の予算を来年度は91億円ということで増要求をさせていただいている状況です。
 コミュニティ・スクール導入等促進事業につきましては、全体で導入促進、未導入の促進ということで、390地区、つまり1170校分を積ませていただいております。また、学校・家庭・地域の連携協力推進事業ということで、関連の資料がその前の6ページ、7ページにございますが、地域コーディネーターの配置の促進、そして市町村に統括コーディネーターを配置するということが大きな特徴となっておりますが、そのような予算の要求をさせていただいている状況です。簡単に触れさせていただきました。
 では、お手元資料1、そして資料2を御用意いただければと思います。約二十数分に渡り、素案全体について御説明させていただきますので、御容赦いただければと思います。資料1というのが、審議のまとめ(素案)、資料2が、その関連資料ということで参考データ等をお示ししております。
 全体の構成ですが、資料1、「はじめに」の後、第1章で、時代の変化に伴う学校と地域の在り方についてお示ししております。御承知のとおり、学校と地域の連携・協働ということについては、初中分科会において設けられておりますこの作業部会と、生涯学習分科会の下に設置されている学校地域協働部会、この二つで合同審議等を進めてきたところです。この第1章の部分につきましては、両方の部会等に係ってきますので、別途、学校地域協働部会においても御議論されるという状況を御理解いただければと思います。
 第1章、学校と地域の連携・協働の必要性等について整理したものが1ページ目から6ページにかけてです。
 第2節、これからの姿、学校と地域がどのように進んでいくべきかということで、連携・協働の在り方を示したのが6ページから9ページにかけてです。
 第2章、10ページからですが、これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策ということで、連携・協働の仕組みのツールの一つでありますコミュニティ・スクールについて、この作業部会において議論されたことを踏まえて第2章をまとめております。32ページまでがコミュニティ・スクールの関連の部分でございます。
 そして、最後、33ページに第3章とございますが、学校と地域の協働体制の構築のための具体的方策、このタイトル自体を変更しますが、特に視点を地域に置いて、学校地域協働部会の方で議論される内容が3章として位置付けられるという構成をしております。3章の中身としては、これからの学校支援地域本部の在り方ですとか、学校と地域をつなぐ人材の配置、地域コーディネーター等の在り方について御審議いただいているところです。
 そして、終わりにという構成でございます。
 両方の部会で議論してきた内容のうち、第1章については両方が、第2章についてはこちらの部会、そして第3章は向こうの部会と、最終的な答申といたしましては、両部会の審議された内容が一つにまとめられるということで、全体の構成を御理解いただければと思います。
 それでは第1章、1ページにつきまして、ポイントだけをかいつまんで御説明させていただければと思います。これまで主な意見と今後の方向性ということでお示ししてきた内容の中で、そのポイントは全てこの素案に盛り込んでおりますので、その方向性の中で肉付けをした資料と御理解いただければと思います。
 1ページから、第1節ということで、教育改革、地方創生等の動向から見る学校と地域の連携・協働の必要性。1としまして、社会の動向と子供たちの教育環境を取り巻く状況等について示しております。急激な少子高齢化、あるいはグローバル化、情報化の進展、あるいは地域社会のつながり、支え合いの希薄化といった形で、社会の動向について1ページから展開しております。
 特に三つ目の丸でございますが、地域社会等のつながりや支え合いの希薄化ということによって、「地域の学校」「地域で育てる子供」という考え方が次第に失われてきたことが指摘されている。教育は、言うまでもなく、単に学校だけで行われるものではない。家庭や地域社会が、教育の場として十分な機能を発揮することなしに、子供の健やかな成長はあり得ないということで、地域社会の教育力の低下に伴って、子供の教育に関する当事者意識も失われていっていないかということを改めて問う内容がそこに記載されております。
 1ページから2ページにかけて、特に2ページの一つ目の丸というのは、むしろ家庭というところにスポットを当て、家庭を巡る状況としまして、孤立する保護者の増加、児童虐待の増加など、家庭教育が困難な現状が指摘されているということを触れております。
 (2)といたしまして、子供たちの教育環境を取り巻く状況でございます。学校統廃合、あるいは高等学校の再編・統合等が進んでいる状況の中で、各市町村の実情に応じた活力ある学校づくりの推進が求められている状況である。あるいは、規範意識、社会性、自尊意識などの課題、あるいは学習意欲、体力・気力の低下等の課題も指摘されている。一方で、子供たちは無限の可能性を秘めている、その可能性を最大限引き出し、開花させていくことが求められている状況であるということを示しております。そのほか、特別支援教育が抱える課題、あるいは不登校児童生徒の問題、様々な多様な生徒児童への対応が必要な状況にあるということと、教員が子供と向き合う時間の確保が十分にできていないという実態について、2ページ目に記載させていただいております。
 3ページからは教育改革、地方創生等の動向ということで、まず、現在、教育課程企画特別部会で審議されておりますが、教育課程の改革、授業方法の革新等の必要性ということについて一つ目に示しております。
 現在、この特別部会におきましては、論点整理の方向性といたしまして、二つ目の丸ですけれども、社会の変化に開かれ、教育が普遍に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」としての役割が期待されているということが、論点整理の方向性として示されている状況でございます。
 二つ目ですが、高大接続の動きについても触れさせていただいております。現在、高大接続改革実行プランが公表され、具体的な方策について検討されているところですが、その二つ目の丸でございますけれども、高校生を地域の活動に積極的に参画させ、地域課題の解決に取り組む学習というのは、「確かな学力」を構成する思考力・判断力・表現力等の育成に寄与すると、学びへの興味と努力し続ける意志を喚起することにつながっていくということの期待を示しております。
 チームとしての学校の在り方の検討ということで、こちらもまた別途、初中分科会の下に設けられている作業部会で検討されておりますが、学校の組織構造の転換ということが議論されております。教員だけの組織ということではなくて、4ページでございますが、専門家、関係機関、地域と連携しながらチームとして課題解決に取り組む体制ということについて議論されている状況です。
 次の動きですけれども、教員の資質能力の向上ということについて、教員養成部会において御議論いただいております。この議論の中でも、保護者や地域の力を学校運営に生かしていくという視点が必要である、教員の育成に当たって保護者や地域の力を学校運営に生かしていく視点、学校が地域づくりの中核を担うという意識を持ち、学校教育と社会教育の連携の視点から、連携・協働を円滑に行うための資質を養成していくことも重要であるということが議論されております。ということで、教育課程、あるいは教員養成、様々な動きの中で、学校と地域の連携・協働ということに関連することも議論されているという状況を触れております。
 そのほか、小中一貫教育の制度化の動き、教育委員会制度の改革の動き、まち・ひと・しごと創生総合戦略ということで、地方創生の動きなどについても触れさせていただいているところでございます。
 5ページから、2といたしまして、学校と地域の連携・協働の必要性ということでございます。教育は、地域社会を動かしていくエンジンの役割を担っている、教育によって、子供たちの一人一人の潜在能力を最大限に生かしていくことが大切であるということで、学校は、その基礎となる力を養う場であると。そして、地域の将来の担い手となる人材を育成する役割を果たしていく必要がある。一方で、地域は実生活・実社会について体験的・探求的に学習できる場として、その役割を果たしていく必要があるということを触れております。
 6ページ、両方の部会において、なぜ学校と地域の連携・協働が必要なのかということを御議論いただいたわけですが、大きく三つの視点を示しております。6ページ、一つ目の丸ですが、今なぜ、学校と地域の連携・協働が必要なのかということで、これからの子供たちに求められていく社会を、これからの未来を創り出し、課題を解決する力が求められているからこそ、学校と地域の連携・協働が必要なんだということが一つ目の丸です。
 二つ目に、学校が抱える課題を解決していくという観点に立ったときに、より一層地域に開かれ、地域と積極的に向き合うことで、地域に信頼される学校づくりを進めていく必要があるということ。
 三つ目ですが、地域の教育力を再生していく必要がある。地域住民の学びを起点とした地域振興・再生など、社会的な教育基盤を構築していく必要があるからこそ、学校と地域が連携・協働していかなければならないという理由を示しております。
 「こうした観点から」ということで、学校と地域は相互補完的に連携・協働していく必要がある。パートナーとして相互に連携・協働していくことを通じて、社会総掛かりでの教育の実現を図っていくことが必要であると示しております。
 では、今後の具体的な連携・協働の在り方ということですが、大きく3点の方向性を示しているところです。6ページ(1)、地域とともにある学校への転換というのが一つ目のこれからの方向性でございます。開かれた学校から更に一歩踏み出し、地域の人々と目標やビジョンを共有し、一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」へと転換していくことを目指していく必要があるということを示しております。
 二つ目に、7ページ(2)ですが、子供も大人も育ち合う教育支援体制の構築ということです。教育の担い手となることが社会的な文化となっていくためにも、一部の地域の人たちだけが参画し協力するのではなくて、地域全体で学びを展開していく環境を作っていくということで、子供との関わりの中で、大人も共に学び合い育ち合う支援体制の構築が必要であると示しております。
 地域には、様々な機関、団体がございます。また、あるいは個人として活躍している方々もいます。子供や学校の抱える課題に対応していくためにも、あるいは子供たちの生命、安全を守っていくためにも、子供を中心に据え、様々な関係機関、団体等がネットワーク化を図り、子供を支える一体的な教育支援体制を構築していくことが重要であるというのが二つ目の柱です。
 三つ目ですが、学校を核とした地域づくりの推進ということです。地方創生の観点からも、学校を核とした協働の取組を通じて、地域への愛着、誇りを育み、地域の将来を担う人材の育成を図っていく、あるいは地域コミュニティの形成・活性化を図っていくということで、「学校を核とした地域づくり」を推進していくという視点も持つことが重要であるというのが三つ目の柱です。
 このような方向性を持ちながら、具体的に、8ページ以降、2としまして、学校と地域の連携・協働を推進するための組織的・継続的な仕組みの必要性ということについて触れております。この部分については「構成等については調整中」と書いてありますが、(1)として、コミュニティ・スクール、学校支援地域本部の取組の必要性ということを少し触れております。この部分は、第2章にコミュニティ・スクールの在り方について、第3章に学校支援地域本部等の在り方について触れるに当たって、第1章にその頭出しをしていくということの必要性から、この2番のところを入れておりますが、この位置付け等についても今後検討していく必要があると思っております。
 (2)としまして、コミュニティ・スクールと学校支援の取組の一体的推進ということで、第4回の合同部会において集中的に御議論いただきましたが、コミュニティ・スクールと支援本部をどうやって一体的に進めていくかということについて、(2)のところに触れております。ここの部分につきましても、構成のどの位置にこの記述内容を入れていくかということについて、まだ調整中という状況です。
 9ページ、3といたしまして、学校と地域の連携・協働を推進するための体制整備ということで、教育委員会内、学校教育担当部局と社会教育担当部局との連携・協働体制の構築。
 二つ目に、首長部局との協働ということで、教育委員会と首長との協働体制を構築し、部局横断で子供の育ちを総合的・一体的に支援する体制の構築が必要だということ。
 そして学校内、そして地域の中に、相互の役割分担を進めながら、連携・協働体制を構築していく窓口を作っていくということで、地域連携担当教職員は第2章、地域コーディネーターは第3章で言及しているという形の構成になっております。
 第2章からが、この作業部会におきまして集中的に御議論いただいた内容でございます。10ページ、一つ目の丸にリード文を書いておりますが、この第2章をまとめるに当たっては、平成27年3月に取りまとめられたコミュニティ・スクールの推進等に関する協力者会議の提言を土台にしてございます。それを下敷きにしながら肉付けをしていくというような形で、この素案を作成させていただいております。
 第1節としまして、1のコミュニティ・スクールの意義・理念ということで、学校の閉鎖性、画一性、そういったところの背景から、より開かれた学校運営を求める声が寄せられた。このようなことを背景といたしまして、16年に地教行法が改正され、学校運営協議会の制度が導入されております。
 学校と保護者や地域住民が力を合わせて学校運営に取り組むことが可能となる仕組みとして、この制度というのはとても意義があるということですが、この制度導入から10年余りが経過をした今、コミュニティ・スクールの設置促進に向けて、改めてこの制度の意義、成果、課題等を検証した上で、制度面の改善、財政面の措置も含めた方策を講じていく必要があるということで、この後、現状等について整理し、その在り方を議論していきますということで展開しているのがこの一つ目のところです。
 2の現状ですが、(1)現状と成果。佐藤委員の方でおまとめいただいておりましたコミュニティ・スクールの実態調査の結果をできるだけエビデンスベースで示していこうということで、まず、現状ということで、コミュニティ・スクールに指定した理由につきまして、10ページから11ページに書いております。学校を中心としたコミュニティづくりに有効だと考えた、あるいは学校支援活動の活性化に有効と考えた、そのような理由をもってコミュニティ・スクールは指定されております。
 11ページの一つ目の丸ですが、成果認識ということについては、学校と地域が情報を共有するようになった、地域が学校に協力的になったなど、様々な成果認識が示されております。いずれも成果認識が7割を超えるものについて割合順に記載したものでございます。
 次の丸ですけれども、そのほかということで、教職員の意識改革、あるいは学力、学習意欲の向上等の成果認識、あるいは地域の活性化などの成果認識も明らかとなっております。こちらについては、教育委員会に対して調査したところ、そちらもおおよそ同じような成果認識が示されているところでございます。
 一方、(2)といたしまして、コミュニティ・スクールの課題ですが、導入・運営に当たっての課題認識として、一般の教職員の関心が低い、あるいは学校運営協議会の存在、活動が余り知られていない、管理職、教職員の負担が大きい。12ページに、活動費、委員謝礼などの資金が十分でないという財政面での課題を挙げておられる御意見もございます。
 未指定の教育委員会において調査した結果、その導入していない理由として、学校評議員制度等の類似制度がある、地域連携がうまく行われているといった、コミュニティ・スクールに対しての不要感などが示されています。
 また、少数ではあるものの、管理職等の負担が大きくなる、あるいは学校運営協議会委員の人材がいないといった理由、人事権の制約、特定の委員の発言で混乱するといった理由が挙げられております。
 ただ、こういったコミュニティ・スクールに対する課題認識というのは、指定前後において認識の変化を調査したところ、課題認識の多くは、指定によって一定程度解消されている傾向があります。
 制度面の改善、あるいは財政面の処置も含めた方策を検討するに当たって、こうした課題認識も踏まえた検討を進めていく必要があります。
 ということで、第2節からが、これからの学校運営協議会制度の在り方ということに関してでございます。1としまして、学校運営協議会制度の基本的方向性です。(1)学校運営協議会の役割と現行の機能の取扱いですが、学校運営協議会というのは、承認等の行為を通じて、校長のビジョンを共有し、賛同していくと、地域が学校とともに責任を負って行動していくという体制を構築するものでございます。
 一方で、三つ目の丸ですけれども、現行制度における学校運営協議会というのは、学校の教育方針の決定、あるいは実践に地域住民等のニーズを的確に反映していくということで、ある種のガバナンス強化を目的として導入されたものでございます。ここまでお示ししてきた学校の抱える課題等、あるいは、これからの教育活動を充実していくという観点から考えたときには、これまでの役割に加えて、学校運営の最終責任者である校長を支え、応援することで、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを推進するという役割を明確化していく必要があるということを、これまでの御議論の中でもお示しいただいておりました。
 現行制度の三つの権限について整理された内容が13ページからです。校長の作成する基本方針の承認ですが、こちらにつきましては、校長とともに学校運営に責任を負っていくという観点から、とても意義があるということがお示しされております。
 一方で、四つ目のぽつ、未指定の教育委員会や校長から、学校の自律性が損なわれるのではないかといった指摘があります。これについては、指定学校の校長というのは、承認された方針に沿って、教育課程の編成等の具体的な運営を行うことが求められていくものの、個々の具体的な権限の行使の在り方、内容について、指示や承認を受けるものではないと、校長の権限というのをしっかりと発揮していくということにおいて、学校運営協議会が、ある意味で最高意思決定機関として位置付けを持つものではないということをそこに示しております。
 丸2としまして、教育委員会又は校長に対する意見ということで、こちらについては、学校運営に適切な意見を反映させるという観点から、とても意義がある。実態調査からもその意義については示されているところです。
 ここについては大きな議論はございませんでしたが、14ページの丸3、教職員の任用に関する教育委員会に対する意見というところにつきましては、様々御意見がございました。現行制度上、その意義等については述べているところですが、14ページ、「一方」というところが中ほどにございます。未指定の教育委員会や校長からは、任用の意見の申出で人事が混乱するのではないか、学校運営協議会と都道府県教育委員会、市町村教育委員会、校長の権限関係があやふやであるといった指摘があるということで、その下、「これについて」と書いてあるところについては、現行制度上、それぞれの権限がどのように関係があるかということなどについて触れさせていただいているところです。
 15ページ、「このため」ということで、改めて、教育委員会等に対して上記も含めた周知徹底を図り、適切な理解を促していくことが求められる。一方で、依然として教職員の任用に関する意見に対する抵抗感が強く、学校運営協議会設置の足かせとなっている実態も存在することから、教職員の任用に関する意見の取扱いについては、柔軟な仕組みの在り方を求める声が強いということで、この作業部会におきましては、現行制度が有する意義、成果、課題等を踏まえ、引き続きその在り方を検討し、一定の結論を得る必要があるということで、この部分はまだ結論は書かれておりませんけれども、是非御議論いただきたいと思っております。
 15ページ(2)、学校支援の総合的な企画・立案の観点です。これについても以前より方向性は御議論いただき、共有化されておりますので、15ページ下ほど、27年度実態調査なども踏まえてエビデンスを追加したものです。
 結論としましては、16ページ、「こうした意義や成果等を踏まえ」と書いてあります。学校運営協議会が法律上有している役割の重要性を押さえた上で、校長を支え応援するという役割を明確化し、学校の総合力を高め、一層活性化させていくためには、学校運営協議会が、学校に対する地域の人々の理解、協力、参画を促し、学校を支える基盤であるという観点を明確化していくことが必要だと。学校運営協議会において、地域等による学校支援に関する総合的な企画・立案を行える仕組みとしていく必要があるということで、総合的な企画・立案の機能について方向性を示しております。
 (3)といたしまして、学校評価との一体的な推進の観点です。こちらについても、この作業部会におきまして、学校評価という機能を学校運営協議会の機能として位置付けるということについての御意見も頂いたところです。
 (3)の四つ目の丸、学校関係者評価の質を高め、より実効性を高める観点から、学校運営協議会の設置促進の観点からも、既にある学校関係者評価委員会を学校運営協議会に発展させていくことが有効であると。学校教育法体系上に位置付けられている関係者評価について、学校運営協議会と有機的に組み合わせ、両者を一体的に運用していくことを積極的に推進するということをお示ししているところです。
 17ページ、校長のリーダーシップの発揮の観点、こちらについても集中的に第3回の作業部会において議論していただいております。
 二つ目の丸、未指定の教育委員会や校長からは、現行の学校運営協議会の仕組みにおいて、校長と学校運営協議会の委員が対立しないか、特定の委員の発言で学校が混乱するのではないかという不安感を抱く声がございます。
 こちらについて、大切なのは、校長が学校運営協議会の委員に対して、子供たちをどのような方針で育てていくのか、学校の教育ビジョンを示し、その方向性の共有を図っていくことだと。学校運営協議会は、基本方針を承認した限りは、校長とともに責任感をもって行動する体制を構築していくことが重要だということで、その下、二つ目の丸でございますが、多くの教育委員会においては、学校運営協議会の委員の任命に際し、校長の推薦を得たり意見を聴取したりするなどの工夫をしている状況である、そういったことも踏まえながら、校長のリーダーシップの発揮の観点から、学校運営協議会委員の任命において、校長の意見を反映する仕組みとしていく必要があるということで、リーダーシップの発揮の観点からの、その仕組みの見直しということについて御意見を頂いていたところです。
 (5)小中一貫教育への対応など、学校種間連携の推進の観点です。こちらについても、前回までの御議論の中で、複数校に一つ学校運営協議会を置くことの必要性について御議論いただいたところです。
 結論だけですが、18ページの四つ目の丸です。「このため」ということで、小中一貫教育を一層推進する上でも、中学校区内の複数の小・中学校における一体的な学校運営協議会の設置を促進することが有効であるということで、小中一貫教育など学校種間の教育の円滑な接続に資する観点から、複数校で一つの学校運営協議会を設置できる仕組みとしていく必要があるということです。
 2といたしまして、コミュニティ・スクールの仕組みの必置(ひっち)の検討です。教育再生実行会議の第六次提言におきまして、全ての学校においてコミュニティ・スクール化を図っていくことを目指すということが示され、かつ国として、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について検討を進めるということが提言されております。
 このことを受け、この作業部会において、学校運営協議会制度の基本的方向性も踏まえた上で、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について審議してまいりました。大きくは、学校や地域の状況、あるいは市町村や学校の規模との関係等、書いてありますその4点について中心に御議論いただいたところです。
 学校や地域の状況ということで、(1)、学校評議員、あるいは丸々型コミュニティ・スクールといった類似の仕組みの取扱いについて御議論いただいたところです。
 学校評議員については、(1)の三つ目の丸でございますけれども、校長の求めに応じて、意向を把握していくという仕組みであるものの、学校評議員というものが実質的に形骸化しているというような指摘がございました。
 また、先般の実態調査の結果を見ますと、学校評議員を学校運営協議会に発展させていくことによって、学校支援活動や評価などの活動が積極的に展開できている、あるいは、その委員は当事者意識が高くなる、活発に意見を出す、そんなメリットが示されたところです。
 20ページ、丸々型コミュニティ・スクールといった名称で、独自に類似の仕組みを取り入れているところ、こちらにつきましては、その地域において、学校と地域の協働関係、あるいは信頼関係の土台ができている。こういった仕組みも含めて多様なコミュニティ・スクールの在り方を求める声が様々なところから出ております。
 学校運営協議会ということを考えたときに、類似の仕組みから、法に基づく運営協議会に発展するということのメリットは何かということについても、この会議で御議論があったところです。学校と地域の連携・協働体制というものを組織的・継続的に確立していくという、そのメリットが存在する。つまり、持続可能な仕組みとしていくという観点で、制度的な位置付けの意義というものは大きいということを御議論の中では示されたところでございます。
 こういった観点も含めて考えたときに、丸々型コミュニティ・スクールなど、学校運営協議会制度によらずに地域の人々や保護者等が学校に参画する仕組みを構築している取組についても、コミュニティ・スクールの段階的な姿として捉えて推進していくということをまず示しております。その上で、学校や地域の成熟を踏まえながら、学校運営協議会を置くコミュニティ・スクールへの移行ということについても促していくということが重要であると示しているところでございます。
 市町村や学校の規模との関係ですが、こちらについても小規模の自治体においての人材不足等が示されているところでございます。実態調査の中からも、複数の学校に一つ置けるようにしてほしいというような実態が示されたところですが、20ページの下から二つ目の丸、こうした実態や、小規模の学校においては多様な教育環境が十分に確保できていない現実があることを鑑みると、小規模の学校のネットワークをガバナンスの面から支える観点から、複数校における学校運営協議会の設置が有効だと示しております。
 ただ、その際に、御議論の中であったのは、単に小規模だからまとめるということではなくて、教育の円滑な接続を図るという観点をしっかりと要件として設定していくことが求められるのではないかということを意見としていただいております。
 21ページから、(3)幼稚園、高校、特別支援学校の特性を踏まえた在り方ということについても御議論いただきました。また、先般、団体ヒアリングということで、各校長会の方からも意見を頂いたところです。
 それぞれの特性を踏まえた在り方というのを下に示しておりますが、(3)の二つ目の丸、子供たちの生きる力は学校だけで育むものではない、地域や社会の多様な人々と関わりながら育まれているということは、どの段階においても変わるものではない。地域・社会を支える子供たちを育成していくためにも、学校種の特性を生かしながら、発達段階に応じて協働体制を構築していくということの必要性を示しております。
 以下、幼稚園の特性を踏まえた在り方、高等学校の特性を踏まえた在り方ということで、それぞれの特性を踏まえて連携・協働の体制を構築していくことの重要性ということを示しているところです。22ページには、特別支援学校の特性を踏まえた在り方を示しております。
 (4)小規模自治体における教育委員会と学校運営協議会との関係の扱いということですが、前回の議論の中でも、ここの部分については集中的に御意見を頂きましたが、小規模自治体であれ、学校運営協議会の持つ権限と教育委員会の持つ権限ということは法律上、異なっているということで、一体として捉えることはできないということが議論の中では示されていたところです。その接続という観点でいけば、教育委員会の教育委員におきましては、例えばPTA、地域の関係者、学校運営協議会の委員などを選任するということは重要だということはお示しできるということで、その記述を加えております。
 最後、(5)ですけれども、これからの学校運営協議会の制度的位置付けの検討です。コミュニティ・スクールの仕組みの必置を検討するに当たって、現行の学校運営協議会制度の位置付けについて審議を行ってきました。
 必置についての御意見ですが、学校運営協議会は学校と地域に様々なポジティブな影響を与える可能性があると、仕組みを必置とすることが望ましいという御意見。あるいは地方創生の実現の観点からも、地域とともにある学校に転換していく必要がある。その上で学校運営協議会の仕組みを必置として考えていくことが必要だというような御意見も頂いております。
 一方で、学校や地域の実情を踏まえた在り方に関する御意見ということで、実態に合った取り組みができるよう段階的仕組みとするべきである。あるいは小中学校は必置が一般的に望ましいが、それ以外の学校種というのは、広域で一律必置は難しいのではないかというような御意見なども頂いております。
 24ページ、教育委員会関係団体、あるいは校長会等から意見聴取を行ってきました。主な意見といたしまして、四角囲いが示されておりますが、これら総括しますと、24ページ二つ目の丸、意見の多くは、これからの学校運営に当たって、地域との連携・協働は不可欠である。そして学校と地域の連携・協働を推進するツールとして、コミュニティ・スクールの仕組みの意義、設置の促進の必要性ということの認識はどれも共通していました。一方で、一律に導入を促すのではなく、学校や地域の実情等を踏まえた在り方が望ましいといった意見があったというのが前回のヒアリングの概要です。
 24ページ下、「こうした意見を踏まえつつ」ということで、任意設置である学校運営協議会の位置付けの在り方について更に検討を深め、一定の結論を得る必要があるということを示しております。是非御議論いただきたいと思っております。
 最後、25ページからがコミュニティ・スクールの総合的な推進方策ということですが、一つ目が、学校の組織として総合的なマネジメント力の強化ということで、学校内の組織体制をどう構築していくかというようなことです。教員養成課程での位置付け、あるいは教員の研修の重要性、あるいは地域連携を担当する窓口の必要性などについても御議論いただいておりまして、その内容を25から26ページに示しております。
 (2)が、学校運営協議会委員の資質の向上ということについて、国として、資質能力の明確化、育成システムの整備を促進するということを示しております。
 (3)としまして、多様な人々の参画の促進ということで、地域で学校に関わっていただく方々をより広げていくという観点から、方策を示しているところです。
 (4)体制面・財政面における支援の充実ということで、教職員の負担軽減に関わる教職員の加配の措置ですとか、あるいは財政面での支援等について、27、28ページに記載しております。
 最後、(5)に幅広い普及・啓発の推進ということで、普及・啓発の必要性についてお示ししております。
 2としまして、都道府県・市区町村の役割と推進方策をお示ししておりますが、国の推進方策を受けた形で都道府県・市町村の役割、推進方策を示しているのが29ページから32ページまでです。
 説明が非常に長くなってしまいましたが、是非全般にわたりまして御意見を頂ければと思います。
 なお、説明を十分しておりませんが、資料2といたしまして、この審議のまとめ(素案)に関わる参考資料を示しております。社会的な環境の変化に関する参考資料ですとか、あるいはコミュニティ・スクールの実態調査の結果等について、資料2を示しておりますので、また御議論の際にお使いいただければと思っております。
 以上です。

【加治佐主査】 
 どうもありがとうございました。
 長時間にわたって、しっかり説明いただいたと思います。今の素案について、三つに分けて御意見を伺います。まず、1ページから12ページ、12ページの第2章の第1節まで。この部分は、学校と地域の連携・協働の必要性や、それから在り方とか、さらにはコミュニティ・スクールの意義・理念とか、現状とかいう、大きな方向付けはしますが、総論的といいますか、あるいは導入部分といいますか、そういうことになっております。ですから、それを一まとめにするということですね。これをとりあえず40分ぐらい議論いただきます。
 そして2番目に、12ページから24ページ、12ページの第2節、これからの学校運営協議会制度の在り方、要するに第2章第2節、これが24ページまで、この部分です。これが恐らく一番議論になるのではないかと思いますが、これは50分ぐらい。
 そして3番目が、第3節、すなわち25ページから、ここは総合的な推進方策についてということで、32ページまで。この三つに分けて、三つ目は30分ぐらい、こういうことで行っていきたいと思っております。
 それでは、まず1ページから12ページまでのところで御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 
 日本大学の佐藤です。
 4ページの下の方の、教育委員会制度の改革についてですが、何行か書いてありますけど、この辺りは、多分、今年度に入ってから大きく変わったところなので、もう少し具体的に書かれていた方がいいかなと思います。例えば、地方公共団体の長が総合教育会議に関わるようになったということと、あと、各学校で学校運営協議会を置いて、ある意味でのパワーバランスをとっていくというのでしょうか、そのような視点が必要かなと。その場合、二つの方向があって、例えば、総合教育会議でいろいろな方針が決まったことを、学校運営協議会で各学校の実態に即して具体化するという方向。あともう一つは、学校運営協議会の意見が、例えば総合教育会議等にも反映されるという、そういう双方向の何か関係性が分かるような記述というのも必要かなと。
 こういうふうに教育委員会が改革されたからこそ、学校運営協議会、要するにコミュニティ・スクールがより重視されるようになるというような、ちょっと私自身考えています。実は、教育委員会制度改革に関して、これは余り議論されていません。ですから、その辺りをもう少し何か議論いただいて強調されてもいいのかなというふうに思いましたので、申し上げたいと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 よろしいでしょうか。
 記述も少ないですよね。特に学校教育と社会教育の、それぞれの部署の、あるいは知事部局というか、市長部局との連携ということが非常に言われていますので、それを統合するのは総合教育会議、新しい教育委員会制度の特徴なので、そういうところも言及いただければと思います。

【廣田参事官補佐】 
 御意見を踏まえて対応させていただきます。

【加治佐主査】 
 いかがでしょうか。
 それでは、先ほど時間配分を言いましたけど、あの時間配分でいくと何だか時間が足りなくなってしまうことが今、気がつきましたので、それで次に進みたいと。また後で振り返ってもらってももちろん構いません。
 それでは、12ページから24ページ第2節、これからの学校運営協議会制度の在り方について、御意見をお伺いしたいと思います。いかがですか。
 これまでいろいろ意見を頂いています。そういうところがうまく反映しておりますか。もちろん結論が出ていないところもありますが。
 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 
 細かいことで申し訳ないのですが、13ページです。丸1、校長の作成する学校運営の基本方針の、承認の黒丸の二つ目ですが、「これは、学校運営協議会が、校長とともに学校運営に責任を負う」という表現はどうなのかなと。学校運営協議会が責任を負うことに対する、多分、抵抗が両方にあるのかなということと、もう一つは、これとの関連なのですが、17ページの(4)の二つ目の丸の、本文の4行目、「学校運営の責任者として教育活動等を実施する権限と責任は校長が有する」ということと、先ほどの13ページで、「学校運営協議会が、校長とともに学校運営に責任を負う」ということ、この辺をもう少し何か整合性をとった方がよろしいかなと思いました。
 以上です。

【加治佐主査】 
 どうですか。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。恐縮でございます。13ページのところの「学校運営に責任を負う」というのは、基本方針の承認という行為を通じて、対向的に、学校運営に対して一定程度の責任感を有するという趣旨でございます。確かに、おっしゃるように、学校運営そのものについての最終的な権限及び責任というのは校長にあるというのは明確でございますので、ちょっとこの部分の記述につきましては工夫させていただければと思います。ありがとうございます。

【加治佐主査】 
 なるほど。そうですね。
 竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】 
 学校支援のことが15ページ(2)で取り上げられています。その前に5ページのところを見ると、学校と地域の連携・協働の必要性というのが書かれていて、学校と地域は協働するパートナーであるということが丁寧に書いてあるにも関わらず、ここには一方的に学校を支援するような書きぶりが見えるので、もう少し協働というテイストを濃くしていただいたらと思います。
 更に16ページを見ますと、学校の総合力を高め、学校をいい学校にする、子供たちにいい教育をするというところの機能として、審議機関として学校運営協議会があり、学校支援地域本部がそのアクションをする機関としてあるならば、これは単に「校長を支え応援する」というだけではなくて、それぞれが担っていく。地域も学校もそれぞれが担う。保護者やほかの市長部局も担うものがあるだろうということで、学校支援機能だけがクローズアップされ過ぎているのではないかと思います。
 さらに、15ページの一番上の丸の最後の行ですが、学校支援に関する総合的な企画・立案を支える仕組みと書いてありますが、これはどういう意味かよく分からないんですけれども、学校運営協議会が企画・立案し、学校支援地域本部が、下請や実現に奔走するという図式にはなりたくないと思うでしょうし、そういうつもりで書いていらっしゃらないかもしれないですが、そこはきちんと書かなければいけないのではないかなと思っています。みんなで議論して、それぞれが異なった役割を担う。そして、学校支援地域本部が得意とする部分を担うということが書かれていないと、これから新しく始めるところに誤解されるのではないかと思います。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。御指摘ありがとうございます。15ページから16ページにかけてのこの記述に対する御意見かと思います。現状を踏まえましたときに、学校を支援する機能ということは、教育活動を充実していく上で欠かせない機能だというふうに考えていることから、こういったことについて、これまで御議論があったものと承知しております。
 ただ、16ページの上から二つ目の丸でございますが、学校支援の機能を考えていくということに当たって、学校と地域の協働的な活動が展開されるように配慮するということが必要であるということ、協働的な活動を通じて、地域づくりに発展していくという取組を推進していく視点も有効であると、こういったことに留意しながら、配慮しながら、ここの仕組みということについては考えていく必要があるということをお示ししておりますので、記述については工夫させていただきたいと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
いかがですか。
 藤田委員、どうぞ。

【藤田(裕)委員】 
 すばらしい素案ができていますので、こういうことを議論していたのかと今、振り返りながら見ているのですが、少し意見がまとまっていませんので、外れたことを言うかもしれないのですが、18ページのところには、コミュニティ・スクールの仕組みの必置のことが出てきて、これからの議論になるかと思うのですが、コミュニティ・スクールという概念と、学校運営協議会の在り方とか、学校運営協議会制度というものが何か議論されているときに時々混在してきたような気がしまして、この中でも、いわゆる開かれた学校とか、地域の皆さんが参加して、地域ぐるみで、社会ぐるみで、総掛かりで子供を育むというのがコミュニティ・スクールだということは共通していたと思います。それが具体的に学校運営協議会という、一定の役割を担った取組と必ず背中合わせでなければならないのかどうかという辺りについて、私自身、制度としてそうだということは分かった上で、学校運営協議会という制度を必置するのがコミュニティ・スクールの必置ということになるのだという議論でいくのか、コミュニティ・スクールというものの中には、いわば各都道府県なり市町村の教育委員会が、うちのエリアの学校は全てコミュニティ・スクールですという指定をすると。しかし、そのコミュニティ・スクールの在り方の中には、学校運営協議会を持っているところも、あるいは学校運営協議会の中で一定の権限を選択しているところも混在していますというようなものも認めるのかという辺りが、少しこの論議の中で、私自身、少し整理ができないところがあります。私の個人的な意見としては、コミュニティ・スクールについてはもう必置というか、全ての学校がコミュニティ・スクールだと。もっと言えば、これからの我が国の教育の中で、コミュニティ・スクールでなければ学校とは呼ばないんだというぐらいの宣言が、今回のこの提言の中で出てくるぐらいでもいいのではないかなと。
 ただし、その持っていき方とか、在り方は、地域実態もあるし、従来の学校運営協議会という、教職員の任用に関する意見とかも含めて、それがなければならないとか、もっと言えば、小中一貫教育制度と絶対一緒でなければならないとか、そういうことはないんですよという、ハードルを下げるという努力というのか、検討する余地がないのかなという思いがしました。
 それから、非常にこれは発言する機会があればということだけで、細かいことなんですけど、私の個人的な意識ですけど、2ページに、子供の無限の可能性という言葉があります。私は、子供の多様な可能性は分かるのですが、「無限の」という言葉がこういうところでぼんと使われると、この中で文章が浮いてしまうような気がするので、余り私個人的には好きな言葉ではないということと、もう一つ、3ページの高大接続の実現のところは余り議論した記憶がないのですが、全体的な教育改革、地方創生の動向の中では必要なのでしょうが、それこそ先ほどおっしゃった教育委員会制度の改革がわずかな量なのに比べると、随分何か展開されているなというか、学校運営協議会制度と、この高大接続というのは、私の中ではまっていないので、どういう背景なのかなということと御質問と両方でございます。

【加治佐主査】 
 それでは、最初の問題ですね。確かにそのとおりだと思います。私もそういうことを感じています。とりあえず、最初に、事務局の方でこういう素案を作られております。ですから、恐らく、そこには今の御指摘のコミュニティ・スクールと学校運営協議会が区別されているのかどうかとかということも含めて。

【天笠副主査】 
 ちょっとそれに関連して、今の件についてよろしいでしょうか。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【天笠副主査】 
 私も、今の件は大変大切な御指摘というか、御疑問だと思います。きょうは全体の構成が最初に付けるとよかったかなと、改めて今の段階でそれを思っています。まず10ページ第1節、コミュニティ・スクールの意義と理念で、そして、飛んで12ページ第2節として、これからの学校運営協議会制度の在り方についてということで、その1として、学校運営協議会制度の基本的方向性。そして、飛んで18ページに、ここに出てくるのが、コミュニティ・スクールの仕組みの必置化の検討についてということで、コミュニティ・スクールということと、学校運営協議会ということと、それからコミュニティ・スクールの仕組みということが、論理の構成をとって、それぞれについて仕組みの説明ということを試みて置かれているのではないかと思います。ただ、それが、読み手の方にどれほどその意図や、狙いが伝え切れているかどうかというと、かなり混戦模様のような形になってしまっています。認識としては、コミュニティ・スクールの必置でもあるし、学校運営協議会の必置でもあるし、何かコミュニティ・スクールの仕組みの必置、その辺りのところというのは要するに必置なんだなということになってしまうとすると、ということですが。
 ただ、その辺のところは、かなり丁寧に解いていかないと、あるいは理屈を、説明の仕組みを運んでいかなくてはいけないのではないかということですが、そうすると、今の節、項、章立ての説明の仕方が、これで果たして十分かどうかというふうなことについて、ある意味、類似の質問ということになるかと思います。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 作っていただきましたので、どういう使い分けをされているのかということですね。もし、そこをはっきりさせる必要があるのなら、これから議論しなければいけないと思われるのですね。まずは事務局の方からお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。御指摘ありがとうございます。まず、コミュニティ・スクールと学校運営協議会という言葉の持つ定義の違いということでございます。最初に、コミュニティ・スクールとは何かということを注釈で示しているところについては、現行の考え方としては、コミュニティ・スクールはイコール地教行法47条の5に基づく学校運営協議会を設置している学校、これをコミュニティ・スクールと呼ぶ、これがコミュニティ・スクールの定義になっております。
 その観点から、現行のコミュニティ・スクールということはどういうものか、意義、あるいは成果課題等を整理したという形になっておりますけれども、恐らく、今のことに関連して重要なのは19ページのところになろうかと思います。類似の仕組みの導入ということで、コミュニティ・スクールというものの中で多様な在り方を認めていく方向性について様々な意見、声がある中で、その整理を試みたというのが19ページから20ページにかけてでございます。ただ、正直、これは素案ということでございますので、結論を得たというものではなくて、これから是非皆さんに御議論いただきたいと思っているわけですけれども、20ページ、丸々型コミュニティ・スクールといった名称、様々な多様な取組ということについては、一定程度これをしっかりと認めていくということを考えていく必要があると思っております。学校と地域の協働関係・信頼関係の土台ができているということから、これをしっかりと認めていく上で、学校運営協議会制度によらずに地域の人々や保護者等が運営に参画する仕組みを構築している、この取組もコミュニティ・スクールの段階的な姿として捉えて推進していくということをお示ししております。
 そのときに、これらもコミュニティ・スクールの一つだ、この仕組みで十分だということの考え方に立っているかどうかと言えば、20ページの中ほどに書いてありますように、様々な取組があるというのは承知しつつも、それを持続可能な仕組みにしていくということの考え方は必要なのではないかということを思っております。つまり、様々な類似の仕組みがある、それらを認めていく方向性の中で、予算が切れてしまえば事業は終わってしまう、そういう取組ではなくて、学校が設置して、学校の校長が替わればその取組は終わってしまうということではなくて、制度、仕組みに位置付けられていくことによって持続可能性が確保されていくのではないか、連携・協働体制が確固たるものになっていくのではないかというような御意見も頂いているところでございますので、類似のそのような取組というのをコミュニティ・スクールの段階的な姿として捉えていく、一方で、その中でも学校運営協議会の設置を促していくという方向性は必要なのではないかなということを原案としてお示しさせていただいております。このことについても是非御議論いただきたいと思っておりますので、忌たんのない御意見を頂ければと思っております。
 章立て、節立てのところでの整合性、あるいは分かりやすさという観点につきましては工夫をさせていただきたいと思います。
 一方で、教育再生実行会議から言われておりますのは、学校運営協議会制度の必置ということではなくて、コミュニティ・スクールの仕組みの必置ということについて言われているということから、この後段のところは、学校運営協議会を置いたらコミュニティ・スクールということで、言葉の変化があったというところは御理解いただければと思いますが、いずれにしても、コミュニティ・スクールの制度以外のものも含めた議論が必要で、その結論を得ていただく必要があるということでございます。

【加治佐主査】 
 だから、今言われていることは分かります。分かるのですが、つまり、その必置について結論を出さなければいけないんですよね。そうすると、もっとシンプルに、要するにこの審議のまとめで言うコミュニティ・スクールは何なのか。必置というのは何なのか。その中で学校運営協議会というのはどうなのか。類似の仕組みというのはどういう。その整理を概念的にしないと、シンプルにそこを出さないと多分分からないというか、混乱するというか、混乱したままではよくないでしょう。混乱したまま、これでもみんな何とか行きそうだなというのではなくて、やはり明確な方向性を出さないと、たくさん増えていくという方向には行かないですよね。
 また、政策を打つときも、支援措置をするときも、ここまでの概念のコミュニティ・スクールにいくのだったらというか、ここまでの地域と連携・協働があれば付けるよと、これがコミュニティ・スクールだからとか、そういうふうになるわけですね。そういうのがはっきりしないと、その支援もできませんので。
 ちなみに、これまで、学校支援地域本部を置くもの、あるいはそれに類似したものと、そういうことで調査されて、そのときの使い方はどういうことなのでしょうか。それが、かなり皆さんが思っておられるのではないかと思うのですが。

【廣田参事官補佐】 
 これまで文科省が実施している指定状況の調査、あるいは今回のコミュニティ・スクールの実態調査の中で使われているコミュニティ・スクールの定義というのは、学校運営協議会を設置している学校という形で調査をとらせていただいております。

【加治佐主査】 
 それがコミュニティ・スクールですね。だから、学校運営協議会イコール、要するに地教行法の47条ですか、あそこに書いてあることを全て満たしたものがコミュニティ・スクールだと、そういう考えですね。
 どうぞ。

【生重委員】 
 私も同じ考えですけど、やはりきちんと学校運営委員会を置いてコミュニティ・スクールという、地教行法にのっとった体制で臨んでいるところに教員加配であるとか、そういうものが付くようにならないと。それと、どうしてもこだわりたいのですが、その三つの権限をきちんと学校運営協議会委員がしていくことで責任をとっていく、一緒に、共に取り組んでいきましょうということであって、それが欠けてしまったら、学校評議員とか、他に類似する今までの組織と何ら変わらない。形骸化をあっという間に招いてしまう。
 我がこととするということですよね、これからの地方創生は。自分のまちをどうするの、次世代をどう育てるのということで、これが重要ですということを、順次なっていくというのが若干許容の範囲だとしても、見てもいないお化けを怖がっている、混乱するとか言って。やっているところで混乱したのは最初の数例であったにすぎず、人には知恵があるので、今、安定的に、発展的におやりになっているところでそのような例はないわけです。それに対して、見えてもいないお化けを怖がるような、勝手な想像で、人事が混乱するとかということを盾にするのではなく、やはり必要最低限、社会総掛かりで、みんなで責任をとって次世代育成をしていくという体制をもう少し明確にして、いずれそうなっていきましょうよという促しの方がいい。これは個人的な意見なんですけど、そこをばんと書いてしまうときつくなるということもあるのかもしれませんが、そうでなければ、何のためにやっているのか、分からないという気がいたします。

【加治佐主査】 
 ですから、コミュニティ・スクールというのは、地教行法の47条の学校運営協議会制度そのものであると。

【生重委員】 
 そうです。

【加治佐主査】 
 だから、そこを目指すべきだと、そういう御意見ですよね。

【生重委員】 
 はい。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【浅原委員】 
 山口県の浅原ですけれども、私も全く同じ考えです。コミュニティ・スクールというのは、地教行法で定める三つの機能を有している学校を位置付けるべきだと思います。そして、段階的な状況はあっても、最終的に目指すのはそこでないといけないのではないかと思います。それは今、生重委員も言われましたように、地域の住民が学校運営の方針を承認するということを通して、自分たちもこの学校の運営に責任があるという意識をもってもらう。そして、みんなで学校を作り上げていくということが必要です。加えて山口県においては、学校が地域に貢献しようというところまで取り組んでいくということが必要と考えています。
 一つ質問ですけれども、18ページのコミュニティ・スクールの仕組みの必置の検討についてです。そこには平成27年3月に取りまとめられた第六次提言の中で、全ての学校において、「コミュニティ・スクール化を図り」という記述があります。そして19ページの上にも、「全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み」とあります。この「化」というのは、全ての学校をコミュニティ・スクールにするというのではなく段階的なスタイルも含めてコミュニティ・スクール化ということなのか教えていただきたいと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 第六次提言の、「コミュニティ・スクール化」という言葉はちゃんと使ってあるわけですね。

【塩崎参事官】 
 御説明させていただきたいと思います。先ほどから説明がありますとおり、この文章の素案におけるコミュニティ・スクールは、基本的には学校運営協議会というものを指して考えてございます。ここでコミュニティ・スクール化というのが、この「化」というのが、確かに、御指摘のとおり、みそでありまして、「化」の中には類似の取組も含まれているということでございます。ですから、あくまでもコミュニティ・スクールではないものも含まれる、そういった取組全体を含めて言っているということなんですけれども。
 最後に、その提言の中で言われているコミュニティ・スクールの仕組みの必置化、仕組みというところなんですけれども、その仕組みというのは、コミュニティ・スクールというのは学校運営協議会のことです。ですから、その仕組みということで、現行の法律上は三つの機能があるわけですけれども、その機能をある意味、仕組みと見ていただいて、その仕組みを緩めることによって、そういった類似のものも含めていくような方向性をするのか、それとも、現行のものをある程度維持をして、そこの方に入れていくということを含めて必置化にするのか、そういったところ全体を含めて書かれている答申だと我々は思っておりますので、そういう意味でいろいろな議論の仕方というのはあるのだろうと思っております。

【加治佐主査】 
 お二人の意見は、今の仕組みのままというか、今の3要件のまま必置を目指すというか、そういう御意見ですね。

【浅原委員】 
 そうです。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【佐藤委員】 
 全国調査をやっていて、一応気づくことなのですが、コミュニティ・スクールの成果という問い方をしているのと、あと、学校運営協議会の意見によって実現された事項と、一応二つに分けています。ところが、学校運営協議会の3権限に関して、法で定められていて、それ以外に付加的に学校支援、学校評価、これを規則に付けているところと、規則にも入れていないで独自に。

【加治佐主査】 
 教育委員会規則ですね。

【佐藤委員】 
 そうです。独自に付加的に活動しているところが出てくるわけで、そのときに学校運営協議会の成果、具体的に意見が実現したこととすると、それ以外の活動に関しては法に基づくわけではないので、その意味でコミュニティ・スクールの成果というふうになってしまいます。そういう意味でいうと、コミュニティ・スクールで最終的に成果があるとすると、その真ん中に説明する変数として、多分、学校運営協議会の活動、あるいは意見というのが一つ説明できると思います。そういった場合に、学校運営協議会の権限そのものを余り変えたりすると、コミュニティ・スクールの成果を説明しにくくなるというのでしょうかね、言い方は変ですが。学校運営協議会があるからこそ付加的な活動も展開されている、それがコミュニティ・スクールの成果に発展していくというような形なので、基本的には学校運営協議会を置くというのがコミュニティ・スクールの重要な条件なのかなと思います。
 あと、18ページの2、やや分かりにくいとすると、この見出しのところ、コミュニティ・スクールの仕組みとしての学校運営協議会の必置の検討という感じの方がいいのかなと。ですから、何となくタイトルだけ見ていると、仕組みが何かほかにあるのかなという感じなくもないので、少し長いわけですが、コミュニティ・スクールの仕組みとしての学校運営協議会の必置の検討というような、当然こういう読み方でいいわけですよね。ただ、長いからということで、こういうふうにされたのだろうと思いますけど、その辺、もし誤解を招くようであれば、あるいは、コミュニティ・スクールの仕組みとしての学校運営協議会の必置か、あるいは、学校運営協議会の必置の検討という方がすっきりするかなと、このように思います。

【天笠副主査】 
 基本的には、私はコミュニティ・スクールを増やすという、その立場においてはよしとするんですけれども、ただ、それについての戦略、戦術等々ということがもう少し知恵を絞る必要があるんじゃないかと。その点について、この文章はどこまでそのあたりのところに入れ込むのかあたりのところが一つ問われているのかなと思います。
 そうしたときに、一つは、先ほど来御指摘のような3権限を厳密化するという、それをより明確にここのところに盛り込んで、そして、これを出せばその方向になっていくのかどうかということについて、私はかなり現状認識が違っておりまして、むしろ、それですと現状維持に限りなくとどまる可能性が高いのではないかと、そういうふうに認識しています。もっと多様な方略とか、多様性というのを組み込んでおくような形になっていかないと、より裾野を広げていくというふうなことにはならないのではないか。
 そういう言い方をすると、恐らく、原理原則からするとというところでぶつかる可能性もあるのかもしれませんが、私は少なくとも、まずは、既にこの会でも、たしか類型化というのでしょうか、そのようなものを出していただいたことがあったのではないかと思うのですが、あれなんかは一つのヒントなのかなと思っております。そういうことを、ある意味では包括的に捉えていくような、そういうスタンス、見方というのも必要なのではないかと。そうした場合には、類似のものをより原理原則に沿わせるような方略というのでしょうか、戦略という記述の仕方になっていくのではないかと思います。
 一方、三つの権限を出してというならば、そうでない立場、考え方の人にどう説得する論理構成をもってそれを打ち出していくのか。例えば、これを読んで、コミュニティ・スクールになっていこうという思いに至る、そういう説得力とか、あるいはそういう状況認識とか、それをどこまで訴え切れているかどうかという辺りが、また問われるようなところではないかと思います。
 ですから、コミュニティ・スクールというのを、原理原則をより明確にするということの方がコミュニティ・スクールがより増えていくのか、そういうことはしっかりと押さえた上で、より裾野を広げていくような方略と、それから裾野を広げつつ、第47条に沿ったものに持っていくには何をどういうふうにしていったらいいのかどうなのかということです。第3節に関わってくるのかもしれませんが、そういう点からすると第3節もやや弱いような感じがして、どちらかというと全体的に静かに、それぞれを、全体を記述していくというのでしょうか、解説していくような方向で、よりコミュニティ・スクール、そして、というあたりのところをもう1段、我々はこれに思いを込めていく必要だと思います。その中には当然、なぜ必置なのかどうなのかということを、再生会議から言われたからということもですが、改めてこの委員会として、そのメッセージをどこまで生み出せるかどうか、伝え切れるかどうかという、そういう観点からの議論、意見もまた大切なのかなと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。
 藤田委員。

【藤田(裕)委員】 
 今の天笠副主査のお話とかなり重複してしまいますけど、私も、先ほどのお話も御意見も含めて、コミュニティ・スクールの一つのモデルケースというのか、あるべき姿とまで言うかどうかは別にして、最もティピカルなケースとして、学校運営協議会がきちっと機能して運営されているものをコミュニティ・スクールと言うという定義は当然あって、現在もあるわけですけれども、しかるべきだと思うのですが、ただ、そのときには、やはり学校運営協議会の要件の中で、校長の方針の承認のことであるとか、教職員の任用のことであるとか、そのあたりがもう少し柔軟で、ハードルが下がるというようなことも加味して行う必要があるのではないかなという気がしています。

【加治佐主査】 
 法改正ですね。

【藤田(裕)委員】 
 ということも視野に入れながら、学校運営協議会が、学校運営において、いわば校長先生の指導力といいますか、主体性を発揮する上で手かせ足かせに、実際なっていないわけですけれども、なるのではないかという危惧を一掃するような方策が要るのではないかなという思いがしています。
 同時に、大事なのは、先ほどの御説明と私の認識が少し違ったのですが、18ページのコミュニティ・スクールの仕組みの必置という部分で、私はどちらかというと、コミュニティ・スクールの理念に基づく、子供から見た、あるいは保護者から見た学校の在り方が変わるようなコミュニティ・スクールのシステムというか、そういう仕組みが全国津々浦々の学校で広がっていくということが目指されるべきなのではないかなという理解をしていましたので、そういうモデルケースの学校運営協議会を一つの目標というか、典型的な制度としつつ、それに類するものもコミュニティ・スクールとして、それが段階的なのか、別の様式なのかは別にして、仕組みの必置の中には当然入っているというようなことも認められていいのではないかなという意識はしています。
 ただ、そのときに、ここはもろ刃の剣で難しいなと思うのは、学校の意識です。この前、校長会の先生方の意見聴取をしていても、私の誤解かもしれませんが、そんな地域との連携までなかなか手が回りませんというようなオーラが校種によっては出ていたような気がします。そうではなくて、子供たちの育みのために、今そこに手を差し伸べなければ本来の学校教育が成り立たないんですよというのが、やっぱり1周遅れのところは、いや、目の前の子供のことがいっぱいで、親や地域のことまで手が回りませんわと、PTAの育成なんてほど遠いですよという校長先生の意識がやはり全国の多くの学校ではまだ残っているのではないかなと。それを一掃するようなことも同時にしなければならないので、そのためには、まずコミュニティ・スクールですよという網を掛けて、そこでそういうところも取り込んで、何か気がついたらそういう意見を聞かなければならないような環境になっていたというようなこともあるのかなという。先ほどおっしゃった戦略というのか、学校をその気にさせるシステムづくりというようなものも何か要るのかなという気がしました。長くなりましたけど。

【加治佐主査】 
 ちょっと確認しますが、一つは、コミュニティ・スクールが学校運営協議会の仕組みだとして、おっしゃったように、今は3要件、明確に書かれている、この3要件の表現を改めるとか、これが一つ論点としてありますね。そうすると、コミュニティ・スクール、つまり、学校運営協議会の仕組みというのが、内容は変わってきますよね、この概念の中身が変わりますよね。
 それともう一つは、それを明確にした上で、そこに持っていくための方策というか、戦略としていろいろなのがあると、そこの扱いをどうするかということだということですよね。

【藤田(裕)委員】 
 そうです。
 
【加治佐主査】 
 どうぞ、黒瀬委員。

【黒瀬委員】 
 公立学校は、地域との関わりは不可欠だと思っているので、地域との関わりを持たない学校はあり得ないと思っています。地域との関わりを持つのがコミュニティ・スクールだとすれば、ただそれだけでとどまったら余り前に進まないので、学校運営協議会を持つ学校をコミュニティ・スクールと位置付けて、それを広めていくというのが大事だと思っています。
 ただ、現状で学校運営協議会の3権限を懸念する声もあるわけですので、そのあたりを少し広げて、学校運営協議会を設立しやすいように門戸を広げる観点が大事だと思っています。そのために、学校評価の問題、小中一貫教育の問題など、権限を増やすというような方向と、人事の問題のように余り活用されていない権限は選択制にするなど、いろいろなことで包括できるような学校運営協議会にすることで広げていけるのではないかと考えています。

【加治佐主査】 
 任用部分は選択制ですね。
 どうぞ。

【浅原委員】 
 地教行法第47条の5に、学校運営協議会の3権限が示されています。一つは、学校運営の基本的な方針について、学校長が学校運営協議会の承認を得なければならない。これは、ならない規定ですね。その次の、学校運営協議会は、学校の運営に関する事項について、教育委員会又は校長に対して、意見を述べることができる。できる規定ですね。

【廣田参事官補佐】 
 お手元の資料2の28ページに47条の5の規定がございます。

【浅原委員】 
 最後は、教職員の採用その他の任用に関する事項について、意見を述べることができる。最後の二つは、できる規定ですよね。
 例えば、各市町の教育委員会が、教育委員会規則でこの学校運営協議会について定めるという場合に、できる規定の二つを外して、学校長が学校運営の基本的な方針について学校運営協議会の承認を得なければならないという機能だけを教育委員会規則で定めた学校運営協議会は、コミュニティ・スクールとして数えておられるのでしょうか。

【廣田参事官補佐】 
 文科省の調査においては、地教行法で定める、法律に基づく学校運営協議会を設置する学校をコミュニティ・スクールと呼ぶと。その学校が幾つ指定されていますかという聞き方になっています。その場合の判断基準といたしましては、教育委員会規則において、地教行法47条の5に基づく学校運営協議会であるという宣言をしていただいているということを要件としています。したがって、教育委員会規則の中身にどのような規定が設けられているかということを一つ一つチェックして、その設置状況を確認しているわけではありません。
 地教行法に基づく学校運営協議会であるということは、つまりは、この3権限については、制度に基づく学校運営協議会としてはその権限を持ち合わせているものだと。規則の考え方なんですけれども、できるという規定で、規則に定めていないということは幾つかあるんですけれども、実態としてはあるものの、法律に与えられている権限を委員が行使することを妨げるということはできないと。つまり、教育委員会規則に任用の規定がないとしたときに、任用に関する意見を委員は言ってはならないのかと言われた場合に、法律上はその権限が与えられているというわけですから、それを明文化していない、顕在化していないということの違いはあっても、地教行法に基づく学校運営協議会であれば、その権限は持ち合わせるという整理になっております。
 ただ、実質、規則に定めるかい否かによって、おおよそ、その権限の行使にはおのずと実態として差が出てきますので、あえて規則に定めないという選択をとっているところはあると承知しております。

【浅原委員】 
 ありがとうございます。ということは、できる規定をその他の項目に含めるということはあり得るわけですね。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【浅原委員】 
 だから、この3権限を位置付けた教育委員会規則を定めておられる市町もあるでしょうし、そうでないところもあるということで、実態としては若干の幅はそこにはもたされているということを確認しておきたいと思います。

【加治佐主査】 
 だから、47条の5を受け入れているかどうかということですよね。

【廣田参事官補佐】 
 はい。

【加治佐主査】 
 しなければいけないのは承認だから、承認は絶対ということですね。あと、できる規定の扱いは様々あるけど、この精神というか、この趣旨にのっとった制度づくりを利用しているということであると、コミュニティ・スクールというか、学校運営協議会があるというふうにみなしているということですね。
 どうぞ。

【生重委員】 
 私も、前回のヒアリングのときにすごく感じたのですが、お任せ、保護者もお任せ、学校側も家庭教育にお任せ、家庭側も学校教育にお任せの、この今の無責任な全体の、全部がそうだとは言いません。でも、それを変えなければいけないから、こういう審議を積み重ねてきているわけですよね。
 先ほど竹原委員がおっしゃったように、私もずっと学校支援とか放課後子供教室とかをやってきているので、やっぱりそれは、コミュニティ・スクールと言われる学校運営協議会の下の、下にあるという位置付けではなく、協働パートナーであり、それぞれの責任が、自分たちの中で実現可能なアクションを起こしていくというところで、皆さんの意欲とかやる気を引き出していく。
 それに対して学校運営協議会というのは、校長が立てられたもの、子供を育てていきたいというビジョンとか、ミッションにきちんと沿っているかどうかというところを評価、分析まで含めてやっていくわけですから、それは学校運営協議会の委員になるということは、今までのように評価、分析したのを聞いて、そうですか、そうですかと聞いて、お返事して帰るというのではなく、自分たちが学ばなければいけないんです。勉強しなければいけないんです。何ができるかを考えなければいけないんです。よそごとじゃなく、我がこととしようよということが、コミュニティ・スクールにおける学校運営協議会委員の絶対の要件なんです。
 それをしないで、今までどおりでいいというのであれば、本当に私は、次が絶望的だなと思ってしまうぐらいです。やはりここで今、これだけ回数を重ねて話をしてきた。昨年もやってきました。だったら、そのあやふやなところを法改正してしまおうなんて愚かはせずに、今のままでもきちんと承認しなければならない、具申権がある。いざというときには、どうしようもない時期が来るときもあるかもしれないのです。でも、人間には良識があり、きちんと相手の立場を重んじ、尊重し、そこで協働のパートナーになろうよと言っています。そこに対して、若干は具申、意見の交換はあって、校長の経営方針の中にこういう方針に沿った人事なんだという意見を聞いたら、ああ、それはいいですよねとか、「先生、この辺はどうするんですか。」というやりとりがなく、上意下達で一方的に言われたものを、はい、はいと言って聞いて集まってくるなら、学校運営協議会の委員なんて要らないと思います。
 だったら、やはり私は、この3要件は最低限残して、きちんと学び、良識を信じ、人と人とがきちんとつながる、「協働のテーブルでパートナーになろうよ」と言っていることを、「どちらも信じません」みたいなことになってしまうのは、ここまで回を重ねて話し合ってきているのだから、できれば私は避けたいなと思います。

【加治佐主査】 
 分かりました。
 それでは、またもちろん振り返っていただいても結構です。この次の推進方策ですね、25ページから最後までになりますが、このことも含めて御意見を頂ければと思います。一部はこのことも出ているわけですが、いかがでしょうか。

【廣田参事官補佐】 
 1点だけ補足をさせてください。先ほど藤田委員から高大接続に関しての御質問がありました。お手元の資料2の13ページに高大接続の関連の資料は入っております。確かに、この高大接続の議論については、これまで背景事情として本委員会にも御説明してきたものの、生重委員の方から高大接続の関連の御指摘はありましたが、全体として、ここについての御議論までは至っていなかったと承知しております。
 一方で、学校地域協働部会という、もう一つの生涯学習分科会の方の議論の中では、実は高大接続に関連して、高等学校において地域との協働をしていくことが、まさにこれからの高等教育改革の方向性に合致していくということの御意見、御議論もありました。そのようなこともあって、この第1章には高大接続の背景を若干手厚く書かせていただいているという状況がございます。

【加治佐主査】 
 無限の可能性はどうですか。

【廣田参事官補佐】 
 そちらについては検討させていただきます。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【藤田(裕)委員】 
 それはそれで全然不要なものだと思っていないのですが、ただ、前のときも発言しましたが、高等学校というのは、やっぱりそこで描かれているコミュニティという概念が非常に広いので、もちろん彼らが進学していく大学もあれば、就労していく企業もあれば、参画、連携していく分野が広くなるということでいうと、文科省の所管だから高大だけが入っているというのは、違うという気もします。コミュニティ・スクールの子供たちの育みの場として連携すべき視野が、特に高校生の場合、あるいは総合支援学校の子供の場合には、小・中学校とはまた広いエリアになってくるという趣旨がどこかに入った方がいいかなという気はいたします。

【廣田参事官補佐】 
 後段の、かなり距離がある位置にその御指摘を踏まえた対応がありまして、必置の検討の中で、個別の特性に応じた検討をしているところに飛んでしまっていますので、この点は工夫させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【加治佐主査】 
 いかがですか。どうぞ。

【藤田(大)委員】 
 コミュニティ・スクールの必置の方向性という形で今後進めていただくというのは、委員会としても基本方針であると思います。ただ、その際に、私も、学生と話をしている中で、理解がない大学生のレベルで、コミュニティ・スクールに対して言葉自体を理解していないという状況で、今後も教員養成部会等の中においてそういった対応を取り入れていただいているわけですが、一般の保護者となる対象についてどう考えるのかといったときに、例えば、次期学習指導要領の改訂等の中で、高等学校の公民科等の中でそういったコミュニティ・スクールという用語を教えていくということをやれば、今後、それを学習し、そのきっかけとなって次世代の学校運営協議会委員の育成等にもつながり、いわゆる持続可能性になっていくのではないかと思います。それが可能かどうかというのは、30年の学習指導要領改訂、時期的にも難しいかもしれませんが、そういった中で今後検討していただく、教育課程の中に取り上げていただくという形で検討していただく必要があるのではないかと思っております。

【加治佐主査】 
 一つの意見として、教育課程部会の方にまた出していただきたいと思います。これは推進方策の中で、今も少しお話があった、これから教員になる学生や保護者も出ましたけど、そういう人へのコミュニティ・スクールについての何か啓発というのは言葉は適切ではないかも、そういうところはいかがですか。

【廣田参事官補佐】 
 補足をさせていただきます。25ページの(1)ですが、学校の組織としての総合的なマネジメント力の強化というところに関連して、三つ目の丸でございます。コミュニティ・スクールを通じて、保護者や地域の力を学校運営に生かしていくということが、子供の学びを豊かにし、組織としての力を高めていくということを、教職員全体の共通認識としていく必要があるということを踏まえて、「このため」とあります。教員養成課程や教員の研修において、地域とともにある学校づくりの視点が適切に反映されるよう、大学と教育委員会との連携・協働の下で、学校と地域の連携・協働を円滑に行うための資質を養成していくことが重要であるということで、現在、教員養成部会において、教職員の在り方について審議がされておりますので、その接続に留意していくということをお示しさせていただいております。
 別途、教員養成部会の中間まとめにおきましても、教員養成課程等も含めて、この養成の段階においてこの視点を持っていくことは重要だということは示されておりますので、この点については、まずお答えすることができるのかなということです。
 26ページに飛びますが、地域の人々や保護者など多様な人々の参画の促進についてです。これは一部の人だけではなくて、多くの地域の方々を巻き込んでいく必要があるということで、27ページに、「このため、国は、」と書いてありますが、コミュニティ・スクールと一体で、学校支援地域本部など学校と地域が協働で教育支援に取り組む仕組みづくりを促進していくということ、コーディネーターの育成・機能強化を促進するということを書いております。これは、具体的には第3章の方で検討されることですので、そことの接続を図らせていただいております。
 また、広く学校・家庭・地域の関係者を集めたフォーラム等の開催を通じて普及・啓発を図っていくということなどが国の方策として書いてありますが、一方で、これは国だけでやっていくことではなく、都道府県や市町村も含めて、広く地域に対して普及・啓発を図っていくことが必要だという観点から、30ページ以降、都道府県の役割の中にも、地域に対しての普及・啓発ということ、市区町村の役割の中にも、同じように地域に対してということをお示しさせていただいているところです。国、自治体が一体となって地域住民の参画を促進していく動きを進めていく必要があると考えております。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。よく分かりました。
 竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】 
 今までの議論から、私たち大人が、社会が市民性を求められていると思います。今までの学校は、お上が作ってくれて、みんなはサービスを享受すればいいというようなスタンスが強かったかもしれませんが、コミュニティ・スクールとして、みんなで子供を育て、みんなで学校を盛り立て、学校を拠点としてまちをつくっていくということだと思います。そのためには教員養成、先生側の学びも大事ですが、私たち地域の者も、首長も、市長部局の人たちもみんな学ぶ必要があると思います。それで初めて学校運営協議会が機能するのではないでしょうか。
 そのときに、三つの要件は大事だと思います。ただし、みんなで協力して活動する、一緒に考える、熟議をするということが日常にあり、協働する中で、学校をよく理解して、子供に愛情がある人が物を言えば、学校にとってもプラス、校長先生にとっても応援になるはずです。あるときには辛口かもしれないけれども、みんなのためになる。そのようなベースがあれば校長先生も教育委員会も理解が進むのではないかと思います。

【加治佐主査】 
 ありがとうございます。
 そこらは十分意識されて書かれているわけですね。

【廣田参事官補佐】 
 むしろ、今の第3節ではなくて、第2節の学校運営協議会制度の在り方の中で、これまでの3権限にとどまらず、むしろ地域との協働を深めていくために、学校支援活動ということをしっかりと学校運営協議会の仕組みの中に位置付けていこうですとか、あるいは、校長のリーダーシップを発揮していくためにどのように今の仕組みを見直していくかというようなことが、その前に書かれております。今の学校運営協議会がこの3権限だけを強調しただけではなかなか魅力は伝わらないとすれば、それ以外のものも含めてどうパッケージで見せていくか、そのパッケージで見せて、あるいは見直した制度をどのように広げていくかというような観点でここまで議論されてきたのかなと思っておりますので、そのことをより明確に発信できるような記述を意識したいと思います。

【生重委員】 
 26ページに書かれている地域連携担当というのは、今、いろいろな都道府県で増えてきていて、ただ、地域連携担当の教員の研修に行くと、一様に会場から感じるのは、8割以上、戸惑いの意識です。「地域連携担当だよ、きょうから君は」と言われて物すごく戸惑っている様子が、会場の中で感じられることがあって。ベースは竹原委員がおっしゃったとおりです。子供を育てていくことに、何かしら自分ができる協力をしよう、一緒にやっていこう。だから、校長を非難する人ではなく、一緒に協働していこうという方たちがいるのです。「あなたたちが全部教え切れていないから、悪いじゃないか。」と誰も言いません。子供がこれだけ多様で、家庭環境がこれだけ複雑になったこの時代に、先生一人が全員の子供が100%分かる状況を作っていくのは今、無理なんだから、先日の会議で竹原委員から頂いた、近隣小学校の子供たちを募って、もう一度足し算、掛け算からやろうみたいな、そういう放課後学習会とか、そういうことを通じて、「先生が教え切れていないでしょう。」と責めるのではなくて、その背景をよく理解して、みんなでやっていくんです。そうすると、「先生の授業が面白い」、「授業を聞きに学校に行くのが楽しい」という子が増えていきますよ。
 やはり理解していくためには、子供一人一人の発達段階が違うから、そこをうまくみんなで総合的にカバーしようと。退職なさった教員もいるでしょう。教員を目指す大学生もいるでしょう。地域にはいろいろな方がいるということを説明して、連携担当の先生たちに、とにかく恐れずに、あなたたちは熟議をしてみてください。地域と話をしてみて、うちのエリアの子をどう育てるという共有のビジョンを描いて、ワールドカフェとかをやってみてください。1年目の役割は多分そこにありますよと。そうすると、自分に味方してくれるこんなに大勢の人がいるということが、御自身の実感で分かりますというのを研修会でお伝えすると、一様に、帰りにはほっとしてお帰りになるのです。
 やはり、都道府県、市区町村、教育行政の担当者もまだまだ肩肘張っています。自分たちに仕事がたくさん来るだろうと、どこかで思っています。でも、そうではなく、協働のパートナーになっていくのだという理解を、行政の人間も、学校経営者も、一般教員も、そして我々地域側にいる人間も、何ができるかということをきっちり描いていき、コーディネーターもしっかり養成していくということを、この中でうまく伝わるようにすることで、3権限があっても、プラスの面が理解していただけるのではないかと思っています。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【天笠副主査】 
 この25ページからの第3節についてですが、このことについてほぼ、異論があるということではありません。ただ、このような観点から見たときに、もう一つ、学校が自らコミュニティ・スクールの道を自らの判断で選ぶということが、私は今、このコミュニティ・スクールの課題を言うときに一番大切なことだと思っています。そのような、学校が自らコミュニティ・スクールの道を選ぼうという環境づくりとか、もちろん教育委員会との相談とか、地域との協議というのは当然あるわけですが、そのような過程を経ながら、自らがコミュニティ・スクールの道を選んでいこうと。
 どちらかというと、これまでは、いわゆる上から、あるいは外堀、内堀を埋められて、何となく不承不承やってきたというものもなくはないということで、まして必置というような言葉がちらついている前提になったときに、何が一番大切かというと、私は学校がそのような道を選ぶのだという、そのプロセスと意思だと思うのです。そのためにこれらの方策がうまい意味でリンクしていくとか、学校を支えていくとか、環境づくりに結集していくというふうな、そのような形で一つ一つが生かされていく、あるいは位置付いていくような形になっていくといいかなと思います。その辺り、項目が一つ一つが並んでいますが、改めて「何のためのことか」、あるいは「どういう心づもりでこれらがあるのか」というところが、今申し上げたような観点からするとやや弱いような感じがします。
 改めて、この部分を含めて全体を見て、それぞれの学校、あるいは地域、市区町村教育委員会が、やはりコミュニティ・スクールの道を選ぼうという思いに至るとか、あるいはそういう方向を、まなざしを開くという形のメッセージが伝えられる。そのためにこういう方策も用意していますとか、あるいはこのような形で整えようとしていますという、そういう文脈の書き方が必要な感じがするのですが、抜けているとすると、やはり学校がその道を選ぶという、この辺りのところへの目配せというのでしょうか、配慮という辺りをやはりしっかり押さえていただく。もちろん「学校あっての地域とともに」ということ、関係づくりの中でという意味も私が申し上げた中には当然含まれているわけでありますが。
 実は、私は、1章の部分の書き方にもう一度戻ってくるところがあるのかなと思います。そういう点では、この1章は、もう1回リファインした方がよろしいのかなと思っております。
 以上です。

【加治佐主査】 
 どういうふうにやればそうなるのかということは難しいと思います。私も、学生に話をしても、世の中がこう変わるからとか、政策がこう変わったから、おまえら、こうしなければいけないよと、こう言ってもほとんど響きません。「あんた、幸せになるよ」と言うと変わるわけです。だから、これは楽しいよとか、これをやると楽しくなるよとか、人生が豊かになるよとか、子供もよくなる。このような、何か書いてあるのでしょうが、やはりどうしても上から目線のような感じはします。ただ、おっしゃるのは、何となく私も分からなくはない。やりたくないものがこれで動くかというと、なかなか気持ちは、論理のレベルでは分かっても、感情レベルではなかなか伝わらないというのは、私も何となく思います。ただ、難しいですよね、そう言われても。
 どうぞ。

【宗岡委員】 
 いつ言おうかなと思っていたのですが、記録があるとなかなか言いにくい部分もあるのですが、私は行政出身の校長で現場を預かっています。3年間、ずっと校長をしながら教員を見て、あるいは周りの校長を見ているときに少し思うことがあるのですが、教員は当然、専門職なのですが、職人かたぎなところがやはりあって、自分で教材研究をして、自分で授業を積み上げてきた人、あるいはそういう力がある人こそ、周りの意見を聞かないし、聞きたがらない。
 つまり、そういう形で校長、あるいは教育長をしている人は、地域の人と関わることを非常に面倒くさがるというところが本質的にあるなと思っています。それは、全員とは言いませんが、そういう部分が非常に強く感じられて、私の周りの校長も、うちがコミュニティ・スクールをしていると、「あなた、地域の人と関わって、非常に忙しくて面倒くさいでしょう。」ということを耳によくするのです。「そうじゃないですよ。」と、役割分担しながら、生徒指導に翻弄するよりもよほど学校がよく、地域と、みんなが楽になっていますよという話もするのですが、その辺りを払拭するには、これをやりなさいという、上からも当然、ある意味必要だし、あるいは、この中にはないのですが、子供、あるいは家庭が、コミュニティ・スクールを入れたことでどう変わったかという、子供が変わった視点というか、成果というか、この中には方策とか現状はあるのですが、成果がないので、その辺りも文科省を通じていろいろなパンフで宣伝しているのですが、もう少し落とし込む必要が、あの職人かたぎの教員には必要ではないかと思っているところです。

【加治佐主査】 
 子供がよくなるとかいうところをもう少し最初の方で。
 山野委員、どうぞ。

【山野委員】 
 皆さんと同じような意見ですが、そういう意味で、私もどこで言おうかとずっと見ていたのですが、家庭教育という言葉がすごく少ないと思います。もちろんここではメインではないと思うのですが、この第1章のなぜコミュニティ・スクールなのかというところで、子供たちの状況とか、家庭が大変な中に置かれているということが書かれているのですが、例えば9ページには、学校教育担当部局と、学校支援地域本部とあって、何か学校と地域だけが頑張るみたいな構造に見えて、先ほど竹原委員もおっしゃったんですけど、家庭教育もあり、市長部局もあって、全体の中でみんなでやっていくのだということが、この第1章の内容だと思います。それが見える方がいいんじゃないかなと思ったのと、それと、やっぱり前にも言わせてもらったんですけど、学校と言えば、今、宗岡委員がおっしゃったように、一番課題というのがどうしても目の前の子供たちの問題行動だったり、そこに火事に一生懸命、火を消すのに大変になっておられたりするということがありますから、その辺りをどうつながるのかがわかるといい。このチーム学校のことも書かれ、先ほどもおっしゃった、上から、教育再生会議で出てきたからコミュニティ・スクールが今、話題になっているのだというような上からではなく、現状の中で、学校としてこれが必要なんだというふうな書き込みになったらいいのではないかなと思いました。
 以上です。

【加治佐主査】 
 また、その辺りも是非工夫してみてください。

【廣田参事官補佐】 
 はい。工夫させていただきます。

【藤田(裕)委員】 
 別の議論になりますが、最後の総合的な、26ページで、人材の確保とか、地域のうんぬんと書かれているので、十分かなというふうに思いつつですけれども、26ページの(2)の真ん中あたりにある、コミュニティ・スクールの文化を地域に定着させていくことが重要であるというフレーズは、非常に重い意味というのか、コミュニティ・スクールがやはり地域の文化を変えていくというような重みのある意味じゃないかなと思います。やはり地域の人材育成、あるいは地域コミュニティを持続的に発展させていくためにも、地域の核としての学校であるコミュニティ・スクールがしっかりと質的に高まっていかなければならない。そして、そのコミュニティ・スクール、もっと言えば、そこで形成されている学校運営協議会から人材が輩出されていくというこの構図というのを、やはりどこかで、今、十分書いていただいていますけれども、強調して、し過ぎることはないのではないかなと思います。
 同時に、この地域の有力者というかそういう方が、コミュニティ・スクール、学校運営協議会とか学校に物申すというパターンではなく、それはそれであってもいいのですが、むしろコミュニティ・スクールという取組を通じて、学校支援地域本部の方とか、あるいは今お話があったPTA、保護者といった方が地域デビューをしていって、新たな地域文化を創っていく装置として、このコミュニティ・スクールが果たす役割が大きいと。最初の頃には、地域コミュニティの活性化の観点で、コミュニティ・スクールの充実性ということも随分言っていただいていまして、この中にもちりばめられているのですが、やはりコミュニティ・スクールの必置というのは、そういう意味も含めて重要なんだという要素がもっと出てもいいかなというような気がしました。十分書いていただいているのですが、もっと強調していただいてもいいかなと。そこで、いわゆる知事部局、地域コミュニティ部局との連携。地域コミュニティ部局からも、教育委員会が、コミュニティ・スクールが頑張ってくれることによって、自分のところの地域のコミュニティ、行政全体が助かる、活性化するという魅力もあるのだということも出たらいいかなと思います。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【佐藤委員】 
 今の藤田委員の意見に賛成です。
 あと、コミュニティ・スクールの一つの阻害要因というのを分析上、四つぐらいに分けています。一つは不要感で、あとは不信感、不安感、不能感とか。一番大きいのは多分、不要感です。これは、今や地域連携が盛んですから、やっていますと。だけど、全然関係ないのですが、携帯電話が普及するのは今から20年ぐらい前で、当時、あんなの要らないという人がいたわけですが、今、使うと、何か紛失したら困ってしまうくらいになっています。そういう意味でいうと、実際に何か手に持って使ってみるというのも一つ大事なのかなと思います。
 今回、3節の中では、学校支援的な要素も入れていただいているので、3権限のみならず、これは学校支援その他の活動もというと、多分、不要感を変えていこうと。だけど、竹原委員などがおっしゃるように、逆転してはいけないということもあるのかなと思います。
 あと、不安感というのは、趣旨には賛成ですが、何かあったら困るよと。学校経営が混乱したらとか。この辺りは、先ほど生重委員もおっしゃられていた熟議や話合いというのが一つの方向性になるので、そのようなものもこの3節の中に読み込むこともできるわけです。
 あとは、不信感というのは、そもそもそのようなものは。この辺りも、だから熟議とか、啓発というのになるのかなと思います。
 あと、数は多くありませんが、不能感というのがあります。コミュニティ・スクールの趣旨は分かるけれど、導入したいけど、人がいない、お金がない。この辺りはおそらく、財政面のサポートや人材確保が重要になるのかなと思います。実はこの辺りも盛り込まれているので、藤田委員がおっしゃった、もう少し具体的なものが何かあるのがいいのかなと思っています。
 ただ、上から目線ではなくて、視点をちょっと変えた場合、先ほど教育委員会制度の問題を言いましたが、一部、地方公共団体の長、市長の意向と学校現場の意向が必ずしも合わないところがあるわけです。そうしたときに、学校運営協議会が学校の味方、味方という言い方は変なのですが、いわゆる学校支援活動というのではなくて、いろいろな意味でのサポート、それをしてくれる存在だというところは、もう少し前面に出てもいいのかなと思います。その意味でも教育委員会の問題というのは、3節辺りで何か入ってもよろしいかなと思いました。

【加治佐主査】 
 分かりました。
 竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】 
 加治佐主査がおっしゃった感情レベルですが、とても大事だと思います。正しくても人は動かないと思います。書いてあっても動かないし、命令があっても動かない。共感すれば動くんだと思います。小さな成功体験を重ね、やってよかったという瞬間を持ったり、そういう人に出会ったときに動くと思うのです。校長先生や教育委員会の方は、物語を語るように語ってほしいと思います。
 東山田中学校で管理職や中間管理職としてコミュニティ・スクールにかかわり、異動していった先でコミュニティ・スクールを立ち上げている方が何人かいますが、成功体験を持って広げていくことが有効だと思います。数だけ増えたけど、中身がないというコミュニティ・スクールになってしまわないよう、丁寧に推進すれば必ず広がると思っています。

【加治佐主査】 
 今のことで、方策の中には書かれていないと思うのですが、我々も、現職の先生が大学院に来るわけですね。今、教職大学院ということで力を入れていますけど。やはり一番力のあるのは、教職大学院で学んだ先生方が、地元に帰って、また大学へ行って教職大学院の先生になるとか、それがやっぱり教職大学院の本質を体現していくのです。だから、今言われたように、いろいろやられている先生方が、若いときとか中堅、管理職だけではなくて中堅とか若いときに経験する、その方が転勤されて、また管理職になられたときに、そういう人々が広めていくというのも、そういう人事のやり方というのも一つの方策としてあるのかなと思います。
 どうぞ。

【天笠副主査】 
 25ページからのこの方策についてですが、こういう観点でまたこの方策を見ていく必要があると思うのは、コミュニティ・スクールのいわゆる拡大策、これまでのプロセスの延長線上に必置化というのがあるのか、それとも、必置化というのは、局面がある意味で大きく変わっていくという捉え方をするのか、その辺りによってまたこの方策の捉え方をもう一度整理しなければいけないようなところがあると思っています。
 要するに、この各方策の連続線で行けるところと、それから、新たな事態として立て直さなければいけないところ、加えなければいけないところとか、あるいは、これまでやってきたことは、新しい局面においては余り有効性を持たなくなるということも出てくるのかもしれません。これまでの延長線上の中で捉えるということよりも、必置化を考えたときに、もう少しそのような状況や事態というのを捉えて、これらの方策というものを考えていかなければならない部分がとりわけあるのかなと思っています。
 それはどういう状況かというと、基本的にこういうことについては、これまで少なくとも距離を置きたいとかそういうスタンスをとっていく人にも、何とか受け入れてもらうとか、あるいは、必置化という意味ではそれをやってもらわなければいけないと、こういうことも出てくるわけで、そのような状況に対してどういう方策を、と考えたときに、これはもう少し深め、検討していくことが必要なのかなと思っております。
 ですから、そういう点からすると、平成23年に、「学校とともに」ということをまとめたわけですが、あそこでコミュニティ・スクールの目標3000校という設定をし、現在頑張ってここまで来ているわけですから、私はそのプロセスや、そこに関わりを持たせていただいた立場からも含めて、その歩みを大いに評価している立場であるわけです。必置化という状況は、そこから局面が変わっていくというか、新たな中に入っていくという認識を持っていまして、これまで生かせるものは生かすにしても、もう一段、今申し上げたような方策についても検討を加えておかなければいけないところがあるのではないかと思っております。
 以上です。

【加治佐主査】 
 あれですかね。

【天笠副主査】 
 要するにより説得力を持ってもらうような働き掛けと、それから、ある意味では誘引というのでしょうか。より多くの学校が、関係者が、先ほど申し上げたように、これを目指そう、受け入れていこうといった場合の誘引策をより伝えていくとか、方策というのが、ここにないとは申しませんが、それらについてより丁寧に位置付けていくとか、扱っていくことが必要ではないかと、そういうことです。

【加治佐主査】 
 5時半までの予定ですが、最初に申し上げましたように、次回、10月5日が、実質的にこの部会単独として審議を行う最後になります。もちろんこれまでの議論を踏まえ、この素案を修正して、部会としてのある程度の最終版を作ります。だから、結論が持ち越しになったようなものについても、一定の結論、方向性を出した形で提案いたします。
 ですから、まだ少し時間はありますので、心置きなく言われた方がいいかなと思います。意見を言うときも、その方がまたいろいろ都合がいいかなと思うのですが、いかがですか。全体にわたって、どこでも結構ですので。印象としては、入り口というか、導入部分から、背景から、制度論から、あるいは実体論から、全ていろいろ出て、非常に豊かな議論ができたと思いますが、いかがでしょうかね。
 どうぞ。

【藤田(裕)委員】 
 何回も済みません。25ページの学校の組織としての総合的なマネジメントの中で教職員の意識のことが出ています。これは意見というより、私、学校現場のことは直接分かりませんので、逆にお聞きします。率直なところ、新採教員から管理職まで、同じ教職員といってもその役割も違うし、認識が違うのは当然だと思います。このコミュニティ・スクールを実際にやっていく上で、仮に新採教員であっても自分の学校がコミュニティ・スクールだとか、そういうことはもちろん分かってもらわなければなりません。いろいろな授業や活動があったときに、担任の先生にも全部とにかく出させなければならないという形なのか、それは、先ほどあったようなコミュニティ・スクールの担当教員が窓口になって、あるいはPTAの担当教員がいるように、管理職等が窓口になる一定の役割分担をきちっとした上で、学校組織としての総合的なマネジメントということなんだということを、ここに研修のことも言っておられます。そのため、前提にはなっているのかなと思うのですが、それを学校現場に説明されるときに、教員の理解が得られないというのが非常に多く見られているわけですけど、そのあたりは実態ではどうなんでしょうか。それを逆にお尋ねしたいと思います。時間がありましたら。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【生重委員】 
 教員がかわいそうだから校長が代表でやりますと言っているところは、大概失敗している例が多いです。全国の状況を見せていただいていて、やはり京都にせよ、山口にせよ、がちっと四つに組むという教員の姿勢があるんです。そこに教育的価値付けをきちっと見いだすという、教育者としての専門的なプライドが入っているし、そこに分け隔てなく一般の応援者としての市民が入ってくるということに対して、きちんとお互いの立場を分かって、その中で共に作り上げていくのだというパートナーシップをしているところがうまくいく。
 私が言うことではないのですが、竹原委員のところも、私のところも、年に1回必ず学校支援地域本部とコミュニティ・スクールの学校運営協議会の委員と、それから全教員とPTAと全員で熟議をします。そのようなときに、もう1回新しい先生にも、「ああ、こんなことができるんだ。」とか、「えっ、そんなことを言ってもいいんですね。」という、先生たちとともに作り上げていこうという機運は、年に1回全員でやるよというだけでもいいんです。私のところは中・小・小という三つの合同のコミュニティ・スクールの運営委員が集まっての連携をするというワールドカフェと、それから、小学校も、PTAとか、学校支援とか、おやじの会とか、全教員で行います。夏休み最後の週は学校・地域全体でみんなで理解し合おうよみたいなことをやると、そこからまた次の半年、いろいろなことがうまく動いていくんです。
 役割分担で合理的機能を高めるという大義名分の下で、担当窓口だけがやっているところは冷たい関係で、やはりどこかで1年に1回でもいいからみんなで出会おうよ、そしてお互いに理解し合おうよ、それとフォーラムをしようとか、そういう提案が出てくるような関係性を作っていくことが、私、宗岡委員がおっしゃっていることがすごくよく分かります。別府のCSの研修に行ったときに、はなから「ふんっ」て言われたんです。しかし、4回目のときに、その先生が「分かった」と言ったんですよ。「俺がやってきていることが間違っているのか」と1回目のときに物すごく強い言葉で言われて、「僕が面倒を見るんだ」と言うから、「先生、でもね、一生面倒を見られないでしょう。」と言ったら、「一生面倒を見るのではなくて、6年間面倒を見るんだ。」、「では、次の人が3年間面倒を見るんですか。」と言って、そういう議論をしているうちに、ワークショップをやって、みんなで地域の人と話をしていく関係をだんだん作り、先生は先生のプロフェッショナルの教える意識を生かす、そこのところを高めてくれて、「先生にしかできないことをやっていただきたいんですよ。」ということで地域との連携を話していっていただいたら、「分かった。」と言っていただきました。だから、やはり話し合って胸襟を開くという関係性を、いかに研修機能や年間スケジュールに置くかというのは重要だと思います。

【藤田(裕)委員】 
 私は、特定の教員だけが関わっているというのを言うのではなくて、もちろん京都の方式もそうだし、ここに書かれているように教職員全体がとなるのですが、例えば窓口の、いわゆる教員の多忙感の解消や、体制を組むときに、先ほどの必置も含めてですけど、学校の抵抗の中で何か取り除くことができる要素があるのかなと、そういう面で何かあるんでしょうかということを申し上げただけです。

【生重委員】 
 済みません。

【藤田(裕)委員】 
 全教職員が関わるのも京都がやっていますので、特に意識を高めるのも大前提だと思っています。

【加治佐主査】 
 では、浅原委員。

【浅原委員】 
 同じような話になるかも分かりませんが、やはり担当一人が窓口ではなく、教職員全体が学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールに関わるという方向で進めることが大切だと思います。山口県の場合には、知・徳・体のそれぞれをテーマとした部会を学校運営協議会の下部組織として作っている学校がたくさんあります。生徒指導主任や教務主任、進路指導担当等が各部会のリーダー的存在として、学校の校務分掌と学校運営協議会の部会をタイアップさせて、全ての先生がどこかの部会に関わるというような仕組みを作っている学校が増えてきています。そうすると、学校運営協議会での議論は自分たち教職員の仕事に関わるんだという意識も生まれますし、継続的に学校運営協議会に関わっていくということにもつながっていきます。
 だから、是非全教職員が参画することが大切だと思いますし、そうすることで、例えば苦情が減っていく、学力も向上する、子供たちの自己肯定感も高まるっていくと思います。そのような子供たちの変容が目に見える形で表れてきたら、教職員の気持ちが前向きになり、学校運営協議会も前向きになるという好循環につながっている学校もあります。全てではありませんが、教職員の参画意識が高く、地域との良好な関係を築いている学校はそうなっています。

【黒瀬委員】 
 私はコミュニティ・スクールが3校目で、今、4月から新しい学校で立ち上げに頑張っているところです。一般の教員はまだコミュニティ・スクールを十分分かっていなくて、半信半疑というか、疑問符が大分ついている状態ですが、少しずつ理解を進めているところです。
 今までの2校は、コミュニティ・スクールも順調に立ち上がり、そこの教員は本当に分かってくれています。コミュニティ・スクールになって、教員もいろいろな面で活動がしやすくなって、要するに楽になっています。地域の方にお世話になって楽になったという面があって、それでコミュニティ・スクールに理解をしてもらっています。もちろん学校体制でやったということもありますが、前の学校は2校とも学校支援地域本部があって、地域コーディネーターが職員室の中に机があり、職員の一人として入ってもらっていて、教員以外の者が職員として地域のことを一緒に関わってくれたというのが大きいと思います。
 今の学校はまだ学校支援地域本部がないのですが、CSディレクターという制度を立ち上げようとしています。教員以外の者も入ってチーム学校として取り組むということで、学校の教員も楽になって、コミュニティ・スクールのメリットを感じられるのではないかと思います。

【加治佐主査】 
 では、山野委員。

【山野委員】 
 質問というか、この最後の32ページに推進のための方策についてです。今、皆さんがおっしゃっているように、先ほどから学校の意識を変えたり、その気にさせていったりするような方策のところで、フロー図というのでしょうか、ここにある「ビジョンの明確化」というところが、今おっしゃってくださっているいろいろなエッセンスであるとか、モデル図であるとか、どのように導入し、どのように協働を生み、熟議を生んでいくのかというようなフロー図を、推進のために作っていくようなことを、せっかくの議論なので具体化できないのかなと思いました。

【加治佐主査】 
 そのような事例みたいなものは参考で示されるんですか。

【廣田参事官補佐】 
 はい。工夫の余地はあると思います。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【宗岡委員】 
 質問というか、確認になるかもしれないのですが、20ページの市町村や学校規模との関係のところです。大分県が長期総合計画の見直しの年に入っていまして、実は御存じのとおり、大分県の場合、8割の学校が一学年一学級という、いわゆる小規模校の学校ばかりです。大分県は、コミュニティ・スクール、学校運営協議会の設置を積極的に進めている県でありまして、この総合計画の中で必置の問題が当然出てきて、ここに触れるということを今、検討しています。その中で確認ですが、ここに書いている、20ページの下二つの丸ですけど、小規模の学校、複数校における学校運営協議会の設置は有効であるということと、それから、学校間のネットワークを通じて子供をどう育てていくかという、その場合の条件が書かれているのですが、これは法的というか制度的には、単体の学校で一学校、一学校運営協議会という形だったのではないかなと思うのですが、私は2回ほど出ていませんので、この会の中で結論的にこういうことになったのかなというのを確認させていただければと思います。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。今の小規模のというところに加えて、その前段に、17ページから18ページに小中一貫教育への対応など学校種間連携の推進の観点というところが示されております。これまでの議論の中で、こういった学校種間の連携を推進していくという観点に立ったときに、18ページの上から四つ目の丸、小中一貫教育を推進する上でも、あるいは中学校区内の複数の小・中学校における一体的な協議会の設置を促進することが有効だと、学校運営協議会を学校ごとに設置することを基本としつつ、学校種間の教育の円滑な接続に資する観点から、複数校で一つの学校運営協議会を設置できる仕組みとしていく必要があるということです。現行制度上、学校ごとに設置するということが原則ですが、この部分について、複数校での設置ということを可能にしていく仕組みも含めて、その有効性ということがこの会議の中では議論されていたと考えております。
 これを受け止めてどのようにアクションをとっていくかということが、今後、文科省に課せられた課題ということですが、この観点でいったときに、20ページのところの市町村や学校の規模の関係、ここも先ほどの記述と同様でして、小規模ということを考えたときには、より人材の確保というのは困難な面があるということから、複数校における設置の有効性ということは議論されたと。ただ、そのときに、単に小規模だからという観点ではなく、やはり教育の円滑な接続ということをむしろしっかりと強調すべきだというのが、前々回の御議論の中では御指摘がありましたので、そのような観点をその下に記載しているところです。

【加治佐主査】 
 制度的に可能なのかどうかは、これから文科省で当然検討されるということですが、この方向性は出すということですね。

【廣田参事官補佐】 
 そうです。制度的な見直しというところまで発展ができるのか、あるいは現行制度上は運用という形で、複数の学校が一体的に運営していくということは事実上、可能ではありますので、その設置を促進していくということになるのか、いずれにしても、この提言を踏まえた上でしかるべき対応ということを文科省としては考えていきたいと思っております。

【宗岡委員】 
 本県においても、ここの部分が、必置に向けて非常に大きな部分になっていますので、ありがとうございました。

【加治佐主査】 
 浅原委員。

【浅原委員】 
 先ほどの議論で、何をもってコミュニティ・スクールと言うのかということについては、一応、学校運営協議会が設置されているということのような方向のように感じているのですが、もう一つ、必置ということについて結論を出さなければいけない段階にだんだん来ていると思います。そのときに、例えば地教行法を見てみた場合に、校種ごとに必置であるとか、必置でないとか、そういうふうに分けて議論する、あるいは分けたまとめをするということが可能なのかどうか。それとも学校を全て一緒にして、小・中・高、特別支援学校、幼稚園まで含めて一緒に必置なら必置、あるいは努力義務なら努力義務というような形にするのか。何かその辺りの見通しというのを教えていただけると有り難いなと思います。

【廣田参事官補佐】 
 むしろこの会議の場において、それぞれの学校種の特性に応じた在り方ということが検討されてきたと思っております。現在の記述の上では、21ページになりますが、幼稚園、高等学校、特別支援学校の特性を踏まえた在り方が示されております。ただ、この部分に関しては、必置の対象とするかしないかというところの言及は記述の中には含まれておりません。こういった特性も踏まえながら、あるいは地域の範囲が違うということを踏まえたときに、必置の対象として、学校の特性を踏まえた在り方が望ましいものなのかどうかということが、むしろこの会議の場において御意見を頂きたいと思っております。

【加治佐主査】 
 前、その御意見は言われましたね。

【浅原委員】 
 はい。

【加治佐主査】 
 そこも次回、何らかの形でもうちょっとはっきり表現されますかね。

【廣田参事官補佐】 
 頂いた意見を踏まえながら整理をしていきたいと思います。

【加治佐主査】 
 だんだん時間がなくなってまいりましたので。

【生重委員】 
 学校地域協働部会に高校の先生も委員に入っていらっしゃいます。現実、今、実際に御自身が地域再生・高校魅力化というテーマで、それが今、全国的な動きになっていっている部分に私も若干関わっているのですが、それによって地域の活性化につながっていって、進学校の子も自分の地元をどう活性化するかとか、勉強に自信がなくなっていた子が、もう一度自分を取り戻して、もう一回学び直しをしてみようというふうになっていく。そこのところで高等学校もコミュニティ・スクール化をしていきたいと言っているところが、今増えている。そこをもっとクローズアップさせて、やはり広範囲の中で応援していく、広く自分の県の子、まちの子というところで応援していくような意味では、コミュニティ・スクールになっていくことはいいことなんだと。
 そこが全校必置ということになると、高校はびっくりするけど、今回の教育課程の改革の一番初めに来るのは高校なわけだから、高校が激変する教育内容の中で、高校の教員だけではなくて、コミュニティ・スクールになって、地域とともに歩むという方向を自ら打ち出していくような、そこの後押しはしていかなくてはいけないのではないかなと思います。

【加治佐主査】 
 いかがですか。
 よろしいですか。
 それでは、どうも本当に長時間ありがとうございました。やはり同じようなことをずっと繰り返しているような感じを表面的には受けますけれども、決してそうではなくて、かなり議論が深まってきていると思います。これまで気づかなかった問題点とか、そのようなものが顕在化して、それに対して一定の方向を出さなければいけないという認識になってきております。そういう意味で非常に意味があると思います。
 次回は、先ほど申し上げましたように、一応、素案のある程度の完成版が出てくるということです。諸課題についての結論を一応出したものが出てくるということであります。
 それでは、次回以降の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。たくさんの御意見ありがとうございました。整理をしまして、次回会議に向けまして作業をさせていただきたいと思います。
 資料3ですが、今後のスケジュールです。10月5日が第9回の作業部会ということになりまして、本日の御意見も踏まえた形で案を提示させていただきます。可能であれば、10月5日の前に皆さんに御提示しまして、御意見を頂いた形のもので5日に出すことができればとは思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、9月14日、来週月曜日ですけれども、生涯学習分科会学校地域協働部会が開かれます。そちらにおきましても、本日御議論いただいた中の第1章の部分が掛けられますので、そちらの方で御意見を頂いた内容も踏まえた形での修正となるということを御理解いただければと思います。
 その後、初中分科会、パブリックコメントを経た上で、第10回以降は学校地域協働部会と合同開催を常にしていくという形で展開されることになりますので、この作業部会単独での開催は10月5日が最後になります。是非次回もよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。これで終わります。

―― 了 ――

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