地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成27年8月31日(月曜日)9時30分~12時

2.場所

文部科学省 13階 13F2~F3会議室

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、生重委員、貝ノ瀬委員、加治佐委員、黒瀬委員、貞広委員、佐藤委員、竹原委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、松浦委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、徳田大臣官房審議官、矢野財務課長、塩崎参事官、谷合社会教育課長、鍋島地域・学校支援推進室長、他

オブザーバー

全国都道府県教育委員会連合会、全国市町村教育委員会連合会、指定都市教育委員・教育長協議会、全国都市教育長協議会、全国町村教育長会、中核市教育長会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、全国特別支援学校長会、全国国公立幼稚園・こども園長会

5.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」(第7回)

平成27年8月31日(月曜日)

【加治佐主査】
 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」第7回の会議を開会いたします。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 前回の作業部会におきましては、コミュニティ・スクールの必置(ひっち)の仕組みについて、様々な御意見があったところです。
 本日は、関係団体からのヒアリングを実施した後、前回に引き続いてコミュニティ・スクールの必置の仕組みについて議論いただきたいと思います。
 それでは、議事に入る前に、配付資料の確認及び簡単な説明を事務局よりお願いいたします。

【廣田参事官補佐】
 失礼いたします。皆さん、おはようございます。
 配付資料の確認の前に、8月の人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 大臣官房審議官初等中等教育担当の藤原でございます。

【藤原大臣官房審議官】
 失礼いたします。1年ぶりに、また初中局に戻って参りました藤原です。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】
 それでは、お手元の議事次第に基づき、資料の確認をさせていただきます。
 資料1から12まで、そして、参考資料が三つございますので、束の中を御確認いただければと思います。
 あわせて、本日、教育長関係団体6団体と校長会5団体をお招きしております。参考資料2をお手元に御用意いただければと思います。
 「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」の検討事項例でございますけれども、赤く四角囲っているところですが、コミュニティ・スクールの仕組みの必置についての検討ということで、前回会議、そして今回、次回という形で御議論いただきたいと思っております。
 本日、関係団体とのヒアリングを踏まえ、御議論を進めていただければと思っておりますが、関係団体の皆様には、事前にお願いしている観点がございます。学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策について、また全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すに当たって考慮すべき点、どのようなネックを解消していくことによって、地域とともにある学校づくりを広げられるかということについて御意見を頂きたいということを事前にお伝えしているところです。
 資料の確認につきましては、以上です。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】
 ありがとうございました。資料に不備がありましたら、事務局までお申し付けください。
 本日も報道関係者から傍聴及び録音の希望があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の議事に入ります。資料2にありますように、まず、関係団体からのヒアリングの前半として、教育委員会・教育長関係の6団体から意見発表を頂きます。時間の都合上、1団体当たり6分間で発表いただきまして、6団体全ての発表が終了した後に、20分程度の質疑応答の時間とさせていただきます。
 また、各団体の意見発表の終了1分前と終了時には、事務局からアナウンスさせていただきますので、円滑な進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、まず、全国都道府県教育長協議会から、御意見をよろしくお願いいたします。

【全国都道府県教育委員会連合会】
 静岡県教育監の水元でございます。よろしくお願いいたします。
 全国都道府県教育長協議会においては、教育行政の課題について研究する第3部会の主査である、本県教育長の代理として参りました。本日は、このような意見を聞いていただける場を設けていただきまして、本当に感謝申し上げます。
 今回、コミュニティ・スクールの在り方や推進方法等について、学校と地域の連携・協働について、その必要な方策、あるいは考慮すべき点について、私から意見を述べさせていただきます。
 御案内のとおり、学校を取り巻く環境は複雑化・困難化しており、学校に求められる役割も、かつてと比べますと拡大、あるいは多様化しているところでございます。こういった中、学校と地域との連携は欠かせないものということで、本県でも昨年度、地域とともにある学校づくり、その検討委員会を立ち上げまして、今年度は磐田市、御前崎市の全小中学校、それから、富士市では小学校と高等学校の計41校をコミュニティ・スクールという形で指定しているところでございます。
 この地域とともにある学校の在り方については、今後とも実効のある取組が期待されるとともに、学校が地域の核となる。そして、地域創生を成し遂げる、それを担う重要な役割であるものと言えます。
 まず、その資料にありますように、現状認識について少し述べさせていただきます。この制度は創設から約10年が経過しまして、各地で様々な実践が進んでいます。その実践が進んでいる一方で、地域間での取組に差が生じている、あるいは学校運営協議会が形骸化、あるいは形式化という言葉で象徴されるような問題が指摘されているところでございます。
 また、文部科学省ではコミュニティ・スクールを学校運営協議会の通称としておりますけれども、これにより、学校運営協議会を設置していない学校では、地域との連携が進められていないという誤解なのですが、これが生じかねないというところかと思います。
 しかし、法で定めた学校運営協議会を設置していなくとも、類似の取組を行うなど、自主的にコミュニティ・スクールと同等の活動を展開し、地域との連携を図っている学校は少なからずあるところでございます。
 こうした中で、全ての学校に現行の学校運営協議会を必置とすることは、実現が困難であると考えます。このような状況を踏まえますと、今後、地域とともにある学校の取組として、このコミュニティ・スクールを推進するためには、従来のメリットを強調した情報発信だけでは限界があるのだろうと。学校現場からの生の声を真摯に聞き取り、顕在化している課題にしっかりと対応する。この必要性を感じます。
 次に、顕在化している問題ですけれども、その課題について申し上げます。幾つかあるわけですけれども、コミュニティ・スクールの導入は、本来は教職員と子供とが向き合う時間が増えたということになっていただきたいわけですけれども、そういった成果に必ずしもつながっていない。むしろ、このコミュニティ・スクールの導入が学校側の負担増につながっているという側面もある。それから、更に学校運営協議会が教員人事に関する意見をすることについての学校現場あるいは教育委員会の抵抗感は、コミュニティ・スクールの導入の大きな障壁になっています。
 また、学校を支える地域側においても、学校運営に積極的に参画することについては、地域、住民によって意識に大きな差があるというところです。ということで、国が定める画一的な学校運営協議会では、多様な住民の意識に対応できない状況が言えると思います。
 こうした中で、顕在化している課題を踏まえ、今後、更にコミュニティ・スクールを推進していくというところで、3にあるような提案を、大きく二つの方策でさせていただきたいと思います。
 一つ目ですけれども、情報発信の改革、それから、支援措置の拡充です。情報発信の改革ということは、つまりコミュニティ・スクールが具体的にどんな活動をしているのか。実際に、その取り組んでいる現場の生の情報の発信が必要です。特に、先ほどデメリット、メリットという話をしましたけれども、この実態こそが、まだ導入していない地域が求めている情報であるということを考えますと、メリットのみならずデメリットも正確に発信することが必要になります。それから、先ほど言いました、導入のための多忙化に対応するためには、人的措置が不可欠、あるいは十分な財政支援も求められることになります。
 二つ目は制度改正です。教員の人事に関する意見は非常にデリケートな問題です。そのために、教育委員会の尊重義務を削除する改正を行うなど、現場からの要望に対応する必要があろうかと思います。現行制度における画一的な学校運営協議会を置くか、置かないかということではなくて、弾力的な制度設計を考えたらどうだろうかということです。そういうことで、学校支援地域本部等の類似の取組も含めて、「学校の応援団」を増やすための包括的な方策についても検討すべきということになろうかと思います。
 実際に現状において、学校と地域の連携は学校支援地域本部等を活用して、各地域で既に多様に展開されています。そういうことで、このようなコミュニティ・スクールに、このような学校も含めて、これまでの地域との連携を制度として当てはめていく必要があると考えております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、全国市町村教育委員会連合会から、よろしくお願いいたします。

【全国市町村教育委員会連合会】
 全国市町村教育委員会連合会を代表して、意見を述べさせていただきます。小比類巻です。よろしくお願いいたします。
 早速ですが、学校が主体であるということを主軸として、中間まとめの項目の順で意見を述べさせていただきます。
 一つ目の「時代の変化に伴う学校と地域の在り方について」でありますが、学校が地域の文化の中心となっていた時代は既に終わっていることについては、誰もが承知しているところであります。そして、学校が保護者や地域住民からの信頼まで失われているとすれば、今回のテーマを考える価値は大いにあるのかと思われます。
 しかしながら、既に学校は変化の時代に対応すべく、また地域からも信頼を得られようと、「開かれた学校」をイメージしながら、地域社会に目を向け、学校の質的転換を図ろうと努力しているように思われます。これからの学校の在り方として、今後とも地域とともにある学校を主体的に目指すべきであり、学校経営の重要課題となるべきものであると思われます。
 学校支援地域本部を設置していたとしても、その学校の需要度の高まりのある、なしで効果が大きく変わってくるものであります。例えば、地域とともにある学校を重要課題としている学校は、学校支援地域本部のようなものがなくても、必要に応じて、現にある組織を活用し、情報発信に努めたり、さらには社会人活用に努めたりで、大きな成果を上げられるものであります。
 二つ目の「これからのコミュニティ・スクールに求められる役割・機能」についてでありますが、コミュニティ・スクールという言葉から、今まで築いてきた日本教育のよさが崩れていくのではないかと心配する向きもあります。コミュニティ・スクール化を図る上で、このことは十分留意すべきであると思います。
 学校運営協議会は、教育委員会からの指定制度をとっているわけだが、子供もその委員になり得るとしているところを見ると、設置の背景として信頼の薄い学校、あるいは閉じている学校のてこ入れとしてあるのかどうかが見え隠れしており、教育委員会としてどのような基準で指定すればよいかが明確となっていないことが心配されます。
 学校運営協議会は、学校運営全般に対しての意見や承認があったとしても、地域とともにある学校の推進に関わることに重点を置いた協議会であるべきだと思われます。よって、委員も保護者を中心とした学校ボランティア、おやじの会代表、あるいは社会教育施設関係者、商工会議所の地域起業人等がメンバーとして考えられようかと思われます。
 三つ目は、「これからのコミュニティ・スクールの在り方について」でありますが、まずは、学校運営協議会設置校がイコール、コミュニティ・スクールであるとすべきでないと思われます。コミュニティ・スクールは、その地域とともにある学校として、後戻りすることなく、学校教育の充実を伴いながら、前進する仕組みがあるかどうかが前提となるべきであると考えられます。その学校が方向性や具体的計画に関してチェック機能を持ち、場合によっては方向性や体制維持のための要望、意見が出せるような仕組みを備えていれば、また小さな市町村と各学校に組織付けの難しい場合は、教育委員会において、その機能を果たすことを義務付けること等でコミュニティ・スクールとして十分であると考えられるものであります。これまで学校に設置されてきている地域住民を取り込んだ連絡会、協議会、懇談会に加え、学校関係者評価制度、学校評議員制度、学校支援地域本部と、それぞれの機能に違いがありましょうが、学校の負担を考えると、形式的になり、形骸化が心配されるものであります。これらを整理し、見直す機会が来ているのだろうと思われます。
 学校教育法に基づく学校教育と、社会教育法に基づく社会教育は、学びの観点から生涯学習という概念でくくることはできるでしょうが、それぞれに違いがあることで連携やコラボレートする意義が生じ、それぞれのメリットが期待できるものと考えられます。これまでコミュニティ・スクールとして社会教育分野にどのように関わることがよいのか、学校側のアプローチが弱かったのではないかと思われます。まずは、教育行政内における学校教育関係部署と社会教育関係部署の連携による取組が重要となってきております。
 四つ目は、「コミュニティ・スクールの推進方策について」であります。特に小中一貫教育を進める上で、また学校運営協議会の有無に関わらず、既に地域とともにある学校を目指している学校にとっては、コミュニティ・スクールが望まれているところであります。これからの学校は、地域とともにある学校の推進は信頼される学校を目指す上で、どの学校にもその成果を期待できるものであります。
 具体策としては、例えばコミュニティ・スクールを望む学校には、地域とともにある学校を進めることを専門とする管理職扱いの職員を新たに設置するとか、コミュニティ・スクールとして成立する要件を柔軟にした制度とすることで、コミュニティ・スクール化が大いに進むことが期待できるものであります。
 五つ目、これが最後であります。「コミュニティ・スクールの仕組みを作る必要性について」であります。日本におけるコミュニティ・スクールをどう定義するかが前提になろうと思いますが、また、地域とともにある学校の基本とすべき機能が何であるかを持ち合わせた学校をどう見るか、明確にすることが重要なことと考えられます。そのことからも、柔軟に進められる制度として、何よりも学校が主体となって頑張れる仕組みとすべきであります。
 以上です。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、指定都市教育委員・教育長協議会からよろしくお願いいたします。

【指定都市教育委員・教育長協議会】
 指定都市教育委員・教育長協議会の副会長を務めております、千葉市教育委員会の教育長、志村でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 このたびは、「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」において、指定都市の意見を述べる機会を設けていただき、誠にありがとうございます。当協議会では、今回のヒアリングに向けまして、政令指定都市全20市の教育委員会に対しまして、学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策及び全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すに当たって考慮すべき点の二つの観点につきましてアンケートを行いました。
 結果といたしまして、各地から様々な御意見があったため、協議会といたしまして、意見を一つに取りまとめることはせず、主に回答の多かったものをお手元の資料5に記載いたしまして、お配りさせていただきました。この点につきまして、あらかじめ御了承いただければと思います。
 それでは、御説明に入らせていただきます。まず1点目といたしまして、「学校と地域の連携・協働の推進に当たっての必要な方策について」でございます。
 まず、総論といたしまして、私たちも学校と地域がパートナーとして連携・協働体制を築いていくことの重要性は十分に認識しており、各市におきまして、様々な取組を進めているところでございます。その中で、まず学校と地域がパートナーとして望ましい関係を構築・維持するために重要となる事項につきまして、各市にアンケートを行った結果、特に多かったのが、学校と地域が情報を共有化することでございました。また、地域の人材を積極的に登用すること、授業や行事などを積極的に公開すること、学校評価に地域の声を取り入れることも多くの市から重要であるとの回答がございました。
 次に、学校と地域がパートナーとして望ましい関係を構築・維持するための方策として有効と考える事項につきまして、4点からアンケートを行いました。その結果につきましては、資料に記載のとおりでございますが、一つとして、学校の取組のうち、校内人事(校内分掌)に地域連携担当を位置付けること。二つに、地域への情報発信のうち、学校便りやホームページ等で学校の情報を提供すること。三つに、地域との連携・交流のうち、授業や行事等に地域人材を活用することは、特に多くの市から重要であるとの回答が寄せられております。
 次に、全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すに当たって考慮すべき点についてでございます。まず、学校運営協議会の設置による効果として期待できると考える事項につきまして、各市にアンケートを行いました結果、学校と地域の情報の共有化が図れること、及び特色ある学校づくりが推進されることとの回答が多く寄せられました。
 また、地域の活動に寄与する効果といたしまして、情報が共有化され、学校の教育活動への理解が広がること、及び学校への協力を軸とした地域の輪が広がることとの回答が多く寄せられました。
 次に、コミュニティ・スクールを拡充していくために考慮すべき事項といたしまして、既存の組織等との関係の整理、及びコミュニティ・スクールを拡充していくために重要であると考える事項の2点についてアンケートを行いました。
 一つ目の学校運営協議会を学校支援地域本部や学校評議委員会などの既存の組織とどのように関係付けるのが望ましいかについてですが、資料に記載いたしましたとおり、市によって様々な考え方となっております。このため、学校運営協議会との既存の組織につきましては、学校や地域の特性に応じて柔軟に関係を整理することが必要であると考えております。
 二つ目に、全ての学校にコミュニティ・スクールを拡充するために重要であると考える事項についてですが、教職員の任命に関する意見について、学校運営の基本方針の承認について、柔軟な運用の適用、教職員の加配の促進、地域コーディネーターの充実の4点について、特に多くの回答がありました。
 最後に、全ての学校にコミュニティ・スクールを拡充していくことに対する意見についてでございますが、こちらにつきましては、多くの市から学校や地域の実情は様々であり、また、既に学校支援地域本部や学校評議委員会、又は独自の制度により、一定の成果を上げている市もあることから、一律にコミュニティ・スクールを導入するのではなく、その実情に応じた制度を選択できることが望ましいとの意見が寄せられております。
 今後のコミュニティ・スクールの導入に関する審議に当たりましては、このような地域や学校ごとの実情や、各市における既存の取組状況に十分御配慮いただきますようお願いいたします。
 以上で私からの意見発表を終わらせていただきます。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、全国都市教育長協議会からお願いいたします。

【全国都市教育長協議会】
 おはようございます。全国都市教育長協議会会長の後藤恒裕と申します。全国都市教育長協議会でありますが、全国の801の都市で構成いたします教育長の協議会でございます。
 頂いたテーマが二つございました。それで、そこには一つしか書いていないのですが、学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策という部分については、ただ一つ、多忙化解消に向けた教職員の配置の実現が最も効果的な方策である。中身として、コーディネーターをしっかりと別枠で配置をできるようにしていただきたい。それから、チーム学校構想を是非実現していただきたい。
 以上のポイントでございます。
 全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すに当たって考慮すべき点であります。
 三つの類型に分けて、そこに記載させていただいております。1枚にまとめるために、無理してまとめてしまったところもあるのですが、一つ目は、今現在、既にコミュニティ・スクールを導入している都市からの意見です。コミュニティ・スクール、学校運営協議会については、地域とつながる学校づくりに寄与するとともに、学校を核とした地域コミュニティの活性化を図り、地域創生に資することから、その重要性が高まっており、今後の拡充に必要な運営経費などの財政措置を要望する。地域との連携強化のための教職員の加配や、コーディネーターの配置等、人的措置が望まれる。
 二つ目が、現在導入を検討中の都市からの意見でございます。教職員の多忙化解消が叫ばれる中、校長や教職員の不安を解消すると同時に、保護者や地域住民への理解を図る手順に工夫が必要だと。大変だという意味合いかなと思います。学校と地域をつなぐコーディネーターの養成。これは括弧して加配と書いてあります。先ほどのものと共通しております。予算的裏付けが肝要である。限られた教員の配置換えが理想的にできるとは思えないので、人事への関与については懐疑的である。そういう意見が出てきております。
 三つ目、これから導入の是非を検討する都市からの意見といたしまして、三つございます。
 1、コミュニティ・スクールの趣旨や成果は認めつつも、学校評議員制度の下で安定感のある学校経営が行われており、今のところコミュニティ・スクール導入の必要感が感じられない。
 2、学校運営協議会の三つの機能、権限について、実際のところ、どのような課題が出てくるのか、特定の教職員の排除につながるような実態がないのか等、コミュニティ・スクール導入自治体の本音が聞きたい。この本音が聞きたいというのは、少し意味深な表現なのですが、いわゆるメリットだけを伝えていただいても余り成果、効果がないという意味合いです。
 3、全国津々浦々、都市の状況が異なるため、一律の推進ではなく、その都市の現状に即した柔軟な形態が必要である。多様性を認めつつ、時間を掛けて推進していく必要があるのではないか。
 4、全体のまとめとして、地域とともにある学校を目指すことについては、異論のないところです。そのために、コミュニティ・スクール、学校運営協議会を導入していくことについても、基本的に方向性としては妥当であると思われます。しかしながら、全国的に広めていくためには、地域性を考慮の上、柔軟な形態と多様性を認め、拙速な実施にならないよう配慮すると同時に、国として予算的な裏付けを継続的に保障すべきである。このような意見でございました。
 以上でございます。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、全国町村教育長会より発表をお願いいたします。

【全国町村教育長会】
 コミュニティ・スクールの空白地帯となっている青森県から参りました、全国町村教育町会副会長の柏谷です。よろしくお願いいたします。
 これまでにおいても、十分とは言えないとしても、かなりの時間、コミュニティ・スクールについての議論に時間を費やしてきたと思われます。これまでの作業部会における皆様の真摯な御努力に対し、心から感謝申し上げます。
 私は、全ての学校にコミュニティ・スクールの仕組みを取り入れるべきと考えてよいと思っております。ただし、町、村では、既に類似した学校支援組織や、地域に根差した応援団などがあり、「今更要るのか」という感じや、教員の間にある多忙感、ここ10年来行われてきております小さな町村における行財政改革により、少ない人数の中で、これからまた新しい仕組みづくりに時間を割かねばならないのかという「振り回され感」など、必置に対する町村教育委員会内部や、学校現場での抵抗の壁があるように思われます。都市部と町村教育委員会の人的面での質と量の差を認めざるを得ません。
 私は、町村に対し、いま一度、国からその必要性についての説明をしていただくことと、それぞれの町村における今までの取組を広く認める方向で、段階的に多様な形で取り進めていくことが重要であろうと思っています。必置化を明示し、形はいろいろあるというスタイルがよいと考えます。丸々型コミュニティ・スクール、いいではありませんか。コミュニティ・スクールは、学校と地域に様々なポジティブな影響を与える可能性が大きいと思っています。全てがいきなり「ほんま物」になるとは思われませんが、学校は地域の拠点として、地域の担い手を育成する場であるという認識づくりに大変役に立ち、核になっていくものと思われます。
 人生の中で、学校教育が果たす役割そのもの、知識、基盤、社会、生涯学習社会における学校の役割が、抜本的に質の変化を求められてきており、消費者感覚を優先する親や、地域住民が共に育ち合う、共に学び合う場になっていかねばなりません。共に学び合う地域、家庭、学校のよき連携を、今こそ作らねばなりません。教師や親や地域住民が共に育っていくこと、卒業してからも学び続け、育ち続けられる子供を育てていくことが大切であると思われます。それを進める装置がコミュニティ・スクールであると考えるものであります。
 育ち合う、学び合う、新しい学びのために、地域との連携・協働に関して、理解している教職員の養成がまず重要であり、教員養成段階や、新任教頭、校長研修の中でも、地域とともにある学校づくりを明確にカリキュラムの一部とすべきであり、また、熟議の演習なども課すべきであります。
 人口減、グローバル化の進展の中、また必置化においては、加配や何らかの補助を考えてもよいのではないでしょうか。以前から長く、各地域において学校の評議員として活躍していただいている方々には、本人の意思を確認の上、その役を終了するのではなく、学校評価委員として活躍してよしとすること、及び学校評価委員に対する手当の財源を明らかにし、人数の制限を示さず、拡大学校評議員として、学校への貴重な意見を頂けるようにしてほしいと思います。必置化を明示し、形はいろいろな形でよいと言っていただければ、私はベストであると考えます。
 以上、意見とさせていただきます。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、中核市教育長会から発表をお願いいたします。

【中核市教育長会】
 中核市教育長会の会長の麻畠と申します。
 このたびのヒアリングに際して、全中核市45市にコミュニティ・スクールの指定状況、効果、課題等について、アンケートを実施いたしました。まずは、そのアンケート結果に基づいてお話しさせていただきます。
 中核市におけるコミュニティ・スクールの指定状況は、平成27年度は全45市のうち9市。全体の20%が指定校を有しております。9市のうち2市、岐阜市と下関市は、設置している全小中学校をコミュニティ・スクールとして指定しております。中核市の全小中学校数は、3471校であり、指定校数は222校で、指定率6.4%であります。
 指定後の成果について尋ねました。コミュニティ・スクールを指定している9市にその成果について尋ねたところ、9市中7市から回答があり、その全ての市が学校と地域が情報を共有するようになった、地域が学校に協力的になったと回答しております。次いで、地域と連携した取組が組織的に行えるようになった、保護者、地域の学校進化活動が活発になったとの回答が多くございました。そのほか、特色ある学校づくりが進んだなどが続きます。
 下関市の教育長にお聞きしますと、そのほか、学力向上や生徒指導上でも効果があったと考えておりますということでありました。
 運営上の課題につきましては、熟議を行う学校運営協議会委員の人選や時代を担う地域人材の発掘、学校と地域との連絡・調整を行う教職員の負担軽減のため、円滑な連携をコーディネートする人材の確保が必要。学校と地域、保護者が教育活動について共通理解し、よりよい在り方について熟議する時間が必要。全小中学校を対象にコミュニティ・スクールの成果を普及するための研修会の開催が必要。学校運営協議会が課題解決のために活用できる予算やコミュニティ・スクール運営のための十分な予算の確保などの回答がありました。
 次に、コミュニティ・スクールを導入していない中核市に対して、その理由を尋ねました。36市のうち34市から回答がありました。ほぼ90%の市が、既に学校を支援してくれる地域の類似の組織が構築されていると回答しておりました。次いで、既に保護者や地域の意見が反映されている、人事に関する意見の申出等により、人事が混乱すると考えられると、ほぼ4割の市が回答しておりました。これらが主な回答でございました。
 導入に向けての方策を尋ねましたところ、学校運営協議会の事務や地域との連携業務等を行う教職員の加配措置、コミュニティ・スクール関連費用の予算措置、学校運営協議会委員に対する研修、先行事例の成果や課題の紹介などの回答があったところです。
 こうしたアンケートの調査結果を踏まえた上で、私見も交えて意見を述べさせていただきます。
 中核市では、コミュニティ・スクールの導入が、まだ2割と、進んでいるとは言えない状況であります。それは、学校評議員制度の活用や、青少年育成協議会、PTA、教育振興会、自治会など、既存の団体組織との連携協力により、現在既に地域と一体になった教育を推進していると考えている市が多いためだと思われます。コミュニティ・スクールを導入することは、地域連携教育に関わる現在の組織に、更に屋上屋を架するものではありません。加えて、教員に多忙化に拍車を掛けることにもなりかねないと懸念する市も多いと思われます。
 また、地域によってコミュニティ・スクール設置の必要感が違うのではないか。また、小学校と中学校など、学校種でも必要感が違うのではないかと思われます。
 地域とともにある学校に対しては、異論はないところでありますが、こうしたことを踏まえると、全国一律の形で導入するのではなく、各教育委員会の判断により、弾力的な形で実施することができるシステムづくりが望ましいと考えます。
 そのほか、依然としてコミュニティ・スクール導入の制度の中身、効果、課題などについての周知不足、理解不足もあるように思われました。
 以上でございます。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 これで6団体全ての発表が終了しましたので、質疑応答の時間に移ります。ただいまの各団体からの意見発表に対して、御質問、御意見はありませんか。
 どうぞ。

【天笠副主査】
 どうもありがとうございました。
 私からは、全国都道府県教育長協議会の御発表について御質問させていただきます。それは、コミュニティ・スクールの普及状況が都道府県によって随分違いがあるというのは、既に御承知のとおりかと思うのですが、コミュニティ・スクールと県教育委員会との関係というのでしょうか。県教育委員会の役割というのを、どう考えていったら良いのでしょうか。
 それと同時に、更に高等学校への普及というのが、小中学校のコミュニティ・スクールに比べますと、格段に少ないという現状があり、そういう中で高等学校のコミュニティ・スクール化ということについて、何か更に御意見がありましたら御説明いただけると有り難いです。小中学校の義務教育段階とは、またそれぞれ異なるというか、それぞれ違った位置付けとか、地域的な特性等々もあるかと思いますし、更に都道府県教育委員会のポリシーの違いというのでしょうか。そのようなものが高等学校の現状を規定している部分はたくさんあるのではないかと思うのですが、そのようなことを含めまして、コミュニティ・スクールと都道府県教育委員会の関係について、御意見を頂けると有り難いかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【全国都道府県教育委員会連合会】
 それでは、私から、今の御質問に対して、少し意見を述べさせていただきます。
 まず、県の教育委員会としてということですが、本県では昨年度、先ほどお話ししましたように、いろいろな形でこのことについて協議をしました。一つにはいろいろな調査研究をしているということから、今、話がありましたコミュニティ・スクールのディレクターのような、中に入っていただくような方の、人的、あるいは財政的な支援を、国、県、市の関わりの中でどのようにできるかということ。それを県が市町との調整の中で、いろいろ働き掛けているというところでございます。それがまず一つです。
 それから、実際に本県では政令市を除くと33の市町があるのですが、県の者が市町に出向き、いろいろな現状や、実際に行っているところの実態把握、学校への訪問もしているというところです。
 そのような動きの中で、県はこのように考えているのだ、あるいは、今、話があったように、国からこのような働き掛け、あるいは意見を出してくれているのだという状況が市町、あるいは学校でも掌握できる状況かと思っています。
 それから、もう一つは、県立学校です。高等学校等ですが、実は先ほど、本県では高等学校で1校ありますと申し上げたのですが、あれは市立の高等学校です。もちろん市立でできて、県立ではどうかというところは一概には議論できない部分がたくさんあると思うのですが、実際に、その重要性や認識というところでは、県立学校、あるいは高等学校もそうですし、特別支援学校等で地域とのやり取りが重要になっていて、しかもそのような関わりの中で、障害がある子供たちに、どのように学校の運営に地域の方の意見を取り入れていくかという、非常に重要な部分があろうかと思います。
 今の課題が幾つか示されたわけですけれども、そのようなところを少し横目で見ながら、県立高等学校、あるいは特別支援学校への展開というのが考えられてくると思います。
 以上です。

【天笠副主査】
 どうもありがとうございます。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【佐藤委員】
 どうもありがとうございました。
 最初に、学校評議員との関係を多くの団体が述べられたので、少し申し上げます。2年前の私たちが行った調査で、コミュニティ・スクールの校長のうち、学校評議員が形骸化しているという質問に対して、そうだという方が54.8%です。そう思わないという方が38%で、残りが分からないという回答です。従いまして、「分からない」を外すと、かなりの校長が形骸化しているという結果が出ていたということを申し添えます。
 一つ質問ですが、柏谷教育長にお聞きします。先生がおっしゃるような指摘について、もっともだと思うのですが、ある県で伺ったときに、コミュニティ・スクールを拡充するときに、特に小さな自治体では、幾つかの自治体をまとめた形でコミュニティ・スクールの担当者がいると、大分違うのではないかと言われました。複数の市町村を担当するような人的な存在がいるということについて、どうお考えでしょうか。

【全国町村教育長会】
 大変結構なことだと思います。というのは、学校の先生は、うちの町だけに固定でいるわけではなくて、郡内を回ります。あるいは、県内を回ります。ですから、担当する方が広く同地域を郡とか、あるいは三つ、四つの町村を全部見ておられるということになると、非常にそれぞれ何に力を入れているかとか、どういう方がその地域で有力な方であるかということを学校が捉えることが非常に楽になります。ですから、そういう存在があるということは、もし佐藤先生の今の御指摘があれば、大変有効な手段であると思います。
 以上です。

【佐藤委員】
 ありがとうございました。
 多分、今、学校に何か人を配置するというのは、かなり厳しいかなと。ですから、そういう形でまとめたコーディネーター役の方がいるということは、もう少し現実味を帯びるかと思い、質問させていただきました。ありがとうございました。

【全国町村教育長会】
 そのとおりです。

【藤田(裕)委員】
 各現場の実態に即した、大変前向きな御発表を頂きまして、ありがとうございました。
 私からは、人的な措置の御要望が全体的に幾つかあったと思うのですが、私もそれには賛同する立場です。その上で、片方で既にコミュニティ・スクールの実態というか、十分今の形で地域と結ばれた学校が、もうできているのだという自負もあります。既に、今の実態で十分コミュニティ・スクールの状況ができていて、そして、それを必置するという部分と、更に新たな人的措置を求めるという、ここの関係を整理する必要があるのではないかなと。つまり、人的な措置を要求するとなれば、やはり新しい取組なり、新しい制度が始まるのだということがないと、文科省もなかなか進めにくいのではないかなと思います。
 片方で、現場の実態から言えば、今のままで、もう十分地域との結び付きができていますよと。これは、私も非常によく分かる話なのですが、そこにどのような工夫というのか、こういう新たなことをするので、あるいは新たなこういう体制が取られることになるので、人的な措置が必要ですよということが、説得力ある要求として要るような気がします。その辺りで、もし御意見のある方があればお聞きしたい、お知恵を借りたいと思います。

【加治佐主査】
 では、柏谷さん。

【全国町村教育長会】
 先ほど、佐藤先生がおっしゃったようなことが、非常に私は有効であると思います。町、村においては、本当に人的な力がないところもあります。いろいろな要素をきちんと説明できる人が常にいる必要があります。そういう役割を担える人が、複数の町村にまたがっているということになると、非常に有り難いと思います。ですから、今のような、例えば国から派遣されて、しかるべき肩書のある、それから、いろいろな熟議の仕方も、ケース・バイ・ケースを身に付けた方が入ってきて、地域の方々との橋渡し役をしていくということが非常に大事になってくるだろうと思います。
 それから、児童生徒の数が減ってきています。ですから、うちはもう子供がいないという人がいて、「学校は関係ないよ」という感覚の人も多くなっています。ですから、そういうことではいけないということを、いつもきちんと説明する存在が地域には必要だと思います。

【加治佐主査】
 後藤先生、どうぞ。

【全国都市教育長協議会】
 今、全国町村教育長会代表の柏谷さんからもありましたが、都市も大小様々な都市がございまして、いわゆる3万人未満の市から、100万人を超える、それから麻畠教育長さんがいらっしゃいますけれども、中核市、30万人を超える都市と。したがって、小さなところについては、やはり町村と同じような考え方が必要かなと思っております。
 それから、もう一つは、様々な人的な要望に対して、理屈が必要だということでありますが、これはチーム学校という考え方で、一つ進めていくのが非常に大切なポイントかなと思います。今は、事務職員とか、養護教諭とか、いろいろな専門職に対して、チームとしての学校を成立させようということで、文部科学省から先般も概算要求を出していただいていたようでありますけれども、そういった形で進めていく。これは、コミュニティ・スクールをやっているから、もう実際に進めているのだから、それで十分だという意味合いでもないのだろうと思います。相当無理して頑張っているところもあるというところを御理解いただきたい。そんなふうに思っております。
 以上です。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ、小比類巻さん。

【全国市町村教育委員会連合会】
 私どもの考え方ですが、基本的には学校は自治体であるということで考えているわけです。その意味合いからいって、このコミュニティ・スクールをどこまで高めていくのかというのがポイントだろうと思います。
 地域とともにある学校が、地域と学校と環境を考えたときに、おらが学校的な存在のところでとどまるのか、あるいは今、一部にはこのような学校にしようということで、学校改革、中身の運営のところ、あるいは人事等も入れまして、学校を自分たちで作り替えていくのだといったところまでのレベルまで考えていくことによって、人事配置が換わってくるところです。
 私どもが先ほど言った、教頭、管理職理念の学校配置と申しましたのは、やはり市として、先ほど後藤さんからもお話がありましたように、学校が主として進めるべきものが大事で、コーディネーター等は必要ですが、学校が主として進めることにおいて、地域とともにある学校の在り方に非常に重要、大事なものであるだけに、そのようなところをカバーしていける。いろいろな形で学校運営に関わったり、あるいは地域とのコーディネートも含めながらやっていけたりするような、力のある管理職レベルの人を入れることによって、これは充実していくだろうと思います。どのように充実していくかというと、いわゆるコミュニティ・スクールのレベルアップにつながるという意味で、人事配置は必要だろうと考えております。

【加治佐主査】
 はい。それでは、お願いします。

【中核市教育長会】
 中核市の会長でもあります、富山市の教育長です。北陸3県、福井県、石川県、富山県というところは、本市富山市が指定校を入れるまで、市町村においてコミュニティ・スクールが全くないところです。それは、恐らくは地域と学校の連携ができている、コミュニティがしっかりしているというところだと思います。
 富山県も、市町村はみんなそのような考えですが、富山市が指定校を入れたのは、今、地域との連携をやっているのは、それぞれの係、例えば、読書の読み聞かせをやりたいといったら、読書の担当がやる。それから、校外学習をやりたいとすれば、その担当学年でやるというように、それぞれが担当で動いているわけです。それをコーディネートして一つにまとめた方が、もっと効率的にできるのではないかと。それを少し工夫してみようということで、指定したわけです。
 やってみて、今の段階で聞いてみますと、やはり学校運営協議会のセッティング、資料作りが大変だと。それから、地域の有力な方にコーディネートしていくのもなかなか大変だということであります。今、それぞれの校務分掌の中でやっていることを効果的にやるために、コーディネーターに一本化する。また、地域との窓口も一本化していくというときには、やはりそれなりの人材が要るのではないかと考えております。

【全国町村教育長会】
 もう一つ、今の人材のことで、よろしいですか。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【全国町村教育長会】
 町、村の教育委員会では、927の町村のうち、445の町村で指導主事の配置がありません。ただいまのようなことで、実際にやるとなると、ほとんど学校に負担感が行くのは当然だと思います。ですから、もし配置を県の教育委員会で必ずしなさいと、予算はちゃんと出しますよということになれば、かなりの町、村において、コミュニティ・スクールのスピードアップも図れるし、充実も図れると考えます。

【加治佐主査】
 はい、分かりました。委員の皆さん、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】
 お聞きします。水元先生に少しお尋ねしたいのですが、学校運営協議会の機能として三つある中で、三つ目の教職員の任用に関して意見を出すことができるというのがあります。それに触れて、会員の中には、非常にデリケートな問題なので、依然として、これについて懸念する声もあるので、削除するなども考えた方がいいのではないかというお話でした。
 具体的にお聞きしますけれども、静岡県の場合は、市町村で県内に指定のところがございますよね。そういうところから、任用に関して要望等が上がってきている経緯もあるかと思いますが、人事権は県教委にあるわけですので、県教委として困ったこと、懸念されたことというのは、過去にありましたか。

【全国都道府県教育委員会連合会】
 本県の場合には、そういうことで県として非常に困惑したとか、困ったという状況はございません。

【貝ノ瀬委員】
 はい。ありがとうございました。

【加治佐主査】
 いかがでしょうか。あと七、八分、時間が予定されておりますが、いかがですか。

【佐藤委員】
 では。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【佐藤委員】
 ありがとうございます。もう一度、質問させていただきます。どこのというわけではありませんが、大体共通しているような問題の指摘の一つに、地域性があるから、地域に応じたスタイルの仕組みが必要だということで、確かにそのとおりだと思うわけです。
 ところが、反面、地域的な判断に委ねてしまったときに、結果として地域の格差が生じるのではないか。熱心なところは熱心で、そうでないところはそうでないと。むしろそういった地域的なむら、格差が出てしまうことも懸念されると思うのですが、その辺りをどう考えたらよろしいか、少し教えていただければと思います。

【加治佐主査】
 どなたか、いかがですか。

【全国都市教育長協議会】
 はい。

【加治佐主査】
 はい、後藤さん、どうぞ。

【全国都市教育長協議会】
 熱心な地域と、そうでない地域との格差ということについては、現実味があろうかと思います。今現在、学校評議員制度で安定的に学校運営が行われているというところにおいても、先ほどから形骸化という言葉が出てきておりますけれども、その形骸化という部分については、常に意を用いて、その部分について考えていかないと、間違いなくふだんの風景になってしまい、結局、インパクトがないという状況になってきますと、機能がだんだん損なわれていくという部分が出てきます。
 したがって、コミュニティ・スクール、学校運営協議会の趣旨については、反対する教育委員会、あるいは立場というのが、大きい声としては聞こえてきていないわけですよね。つまり、おおむね方向性としてはその方向でいいのではないかということが一つの考え方として定着しつつある。したがって、そちらの方向に向けて、少しずつ改善を図っていく。いわゆる、学校評議委員会制度の下でやっているところについても、やはり積極的に研究を進めていく。どういうふうに改善していったらいいのかという方向性を見いだしていくということが、極めて大事かなと思っております。

【佐藤委員】
 ありがとうございました。

【加治佐主査】
 どうぞ。

【生重委員】
 麻畠さんにお伺いしたいのですが、先ほどのデータで、下関市とか岐阜市などで、積極的に全市で入れているところの効果、効能を熟知なさっていらっしゃる上で、例えばこの組織の中で、先ほどの御発言にもありましたが、メリット、デメリットを明確にし、学び合っていくことによって、CSをやることの意義が明確になるのではないかということをおっしゃっていたかと思います。
 今後、例えば、カリキュラムマネジメントとか、開かれた教育課程とか、新しいキーワードが、また出てきます。その中で、どうやら、どこを見ても、既存のところでうまく行っているという回答が多いのですが、佐藤先生のアンケートを読み込むと、そうではなくて、意外と形骸化していると思っている。安定しているところにいて、自分の町から子供を育てる学校が魅力を失ってしまえば、人口減になるというのは、もうここまで迫ってきています。
 その中で、皆様方の口からもいろいろ出ていたのですが、特に顕著な例として、発信を有効に行うためにどのようなことを行い、それから、どういう人が、どんな才能で、どこまで研修を作り込んでいらっしゃる。それぞれに求められているものが少しずつ違っていると思うのですが、その辺りの御意見を聞かせていただけたらと思います。

【中核市教育長会】
 下関市と岐阜市がやっているということの大きな原因は、教育長の理解度というか、教育長の姿勢なのです。まず教育長が、これはいいものだと、これはこういう課題もあるけれども、これはやった方がよいという考えが広まれば、私は広まると思います。
 それに、もう一つ、人的な考え方が後押しをしてくれるということになれば、もっと広まるのではないかなと思います。そのときに、教育長と同時に、校長と実際に現場で動いているのは教頭です。地域とのコーディネートをしているのは、実際的には教頭だと思います。そのようなところに、まず研修をやっていき、それから徐々に下ろしていくということが有効ではないかと思います。
 ところで、先ほどの格差の問題ですが、格差というのは何の格差なのか、少し分からなかったのですが、北陸3県にいて、これまで全国でこれだけCSが導入されてきて、では、入っていない北陸3県が格差を感じるかといったら、余り感じないというのが、正直なところです。

【天笠副主査】
 ちょっと質問。

【加治佐主査】はい。どうぞ。

【天笠副主査】
 度々済みません。市町村教育委員会連合会の資料に関わって、あるいは、先ほど御発表いただいたことについて、もう少し補足がありましたらお願いできればと思います。資料4に関わってですが、その中でコミュニティ・スクールの仕組みを作る必要性についてという5のところです。そこで、学校側でコミュニティ・スクールを希望した場合は、教育委員会はそれを認可する仕組みとすべきであるという、ここについて、学校や地域が自らコミュニティ・スクールを目指したいとか、そういう意向、希望等々を尊重して、それをコミュニティ・スクール化していくということについては、基本的に私もそういう方向性は、一つあり得るのではないかと思っています。また、私の現状認識からすると、これまでもそういう状況がありながら、逆に教育委員会がそれを阻んでいるような実態も、一方においてはあるのではないかと思いますので、そういう点からすると、この御提案ということは、基本的にそういう方向性を十分展開していったらいいのかなという聞き方をさせていただきました。この点について、もう少し御説明いただくことがありましたらお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【全国市町村教育委員会連合会】
 そのとおりです。実は、私どもが経験しているのは、例えば、直接、教育委員会の方に、うちの学校はこういう問題を抱えておりますと。ただ、地域の方々をいろいろな形で巻き込んでいくことによって、いろいろなことの解決ができる方向は見いだしていますと。そういう意味で、指定していただけませんかという話が来ますけれども、それは教育委員会としての方針が定まっていない状況や、あるいは確からしさ、それがどこまでのものなのかというものです。それは教育長レベル、首長レベルのところに関わってくるのでしょうが、そのような認識がないと、それが阻まれているという状況があります。
 逆に、そういった学校に関しては、教育委員会は積極的に指定しなさいという方向を打ち出していければ、幾らか増えてくるのかなと。かなり増えてくると思います。そういう実態があるということで、お話ししました。

【天笠副主査】
 どうもありがとうございました。

【全国市町村教育委員会連合会】
 市町村教育委員会として、各市町村の教育委員会の会議の在り方、コミュニティ・スクールに対する議論をもっと徹底していかなければ、私は駄目だと思います。もっと細かく言うと、教育委員の役割として何をするのか。ここで地教行法も変わったところですから、教育委員会が残って、教育委員さんが残ったわけです。ですから、これはまだ移行期間がありますから、教育委員の年数はあるのですが、その中で、こういう問題が、今、行われているよ。それから、ある意味、もう実践されているよ。まだやっていないところがあるよ。こういう状況なので、どうしたら特色があって、どういうふうにいくか。
 それから、今、天笠先生から御意見がありましたが、そのようなものができないのかという問題と、それから、どこまで煮詰まっているのかという問題と、それらを教育委員会の中でもっと議論しなければいけないと思います。学校から、これをしたいという希望があった。いや、それは駄目だと押さえてしまうと、そのような方向ではなくて、教育委員会の事務局に上がってきたところで押さえてしまうと、教育委員会に掛けられませんから、そういう議題を教育委員会の議題ということで、しっかりと取り上げてやっていかないといけないと、私は思います。ですから、地方の教育委員会連合会の研修会に行っても、これを今後主張していきたいと思っているところでございます。

【加治佐主査】
 はい。ありがとうございました。時間が次の校長会のヒアリングもありますので、申し訳ありません。
 それでは、どうもありがとうございました。大変有意義な御意見を伺えたと思います。
 それでは、これで前半を終了させていただきます。発表いただいた6団体の皆様におかれては、お忙しい中、貴重な御意見をありがとうございました。これで退席いただいても結構ですし、また、傍聴席に移動されて、残りの議論を傍聴されても、いずれでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、関係団体からのヒアリングの後半として、校長・園長関係の5団体から意見発表を頂きます。先ほどと同じように、時間の都合上、1団体当たり6分間で御発表いただき、5団体全ての発表が終了した後、20分程度、質疑応答の時間とさせていただいております。
 また、各団体の意見発表終了1分前と終了時には、事務局からアナウンスさせていただきますので、円滑な進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、最初に全国連合小学校長会から御意見よろしくお願いいたします。

【全国連合小学校長会】
 全国連合小学校長会の千木良と申します。どうぞよろしくお願いします。

【加治佐主査】
 座ったままで結構です。

【全国連合小学校長会】
 はい。現在、学校を取り巻く環境は、複雑化、困難化しており、いじめや暴力行為等の問題行動が発生、不登校児童数や特別支援学校、特別支援学級に在籍する児童だけでなく、通常の学級に在籍する特別に支援が必要な児童の増加など、多様な対応が必要な状況にあります。
 このように課題が山積している現在、学校の力だけでは、子供たちの学びを支えていくことは困難であり、地域住民等が学校へ参画することは、子供の教育責任を社会的に分担することにつながるという意見には賛成であり、全連小としても、コミュニティ・スクール化することで期待される成果等に着目している状況にあります。
 このことを踏まえ、学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策、全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すに当たって考慮すべき点の2点について、以下の五つの視点から出された作業部会の主な意見に対して、全連小としての考えを述べさせていただきます。
 1、時代の変化に伴う地域の在り方について。かつて東京都教育委員会では、地域は教室、地域は先生、地域は家族、地域は世界の入り口という考え方を示し、学校、家庭、地域の連携を推進してきました。掛け声やイベント的になりがちなこの連携を実効性の高いものとして、学校内外に根付かせることが大切だと考えます。
 しかし、地域住民等の学校への参画という言葉が教職員を刺激し、介入されるのではないかという抵抗感を抱かせるおそれがあることも事実であります。特に経験豊かな教員ほど、学級王国的な考えをまだ持っており、教職員以外が学校に入ることを嫌う傾向にあります。
 2、これからのコミュニティ・スクールに求められる役割・機能について。コミュニティ・スクールの本質である、地域の代表が学校の経営方針を承認し、学校とともに行動、責任を負うことが大切です。この点については、やはり学校運営協議会が最高意思決定機関になるかもしれないという懸念は、教職員に対する抵抗につながるおそれがあると思われます。
 さらに、教職員の任用については、校長の考えを十分に聞き、人事構想を後押ししていただきたいと考えます。
 また、学校運営協議会が校長自身の人事について大きな影響力を持つようになることも心配されるところであります。
 3、これからのコミュニティ・スクールの在り方について。コミュニティ・スクールを成功させるには、何と言っても人材であります。学校の教員組織や学校運営協議会の委員構成など、組織を支えていく人材をどのように確保し、育成していくのかが課題です。校長のリーダーシップの発揮については、その意義を理解し、学校運営協議会に対して明確な経営方針を示すことのできる資質、能力を有していることが前提です。校長の任用条件や、任用前後の研修の在り方を示し、資質、能力を高めていくことが重要であると考えます。
 学校運営協議会と学校評価の関係については、学校運営協議会を学校評価委員会と兼務するシステムにする必要があります。さらに、学校運営協議会が適切に運営されているかどうかを評価する仕組みを構築する必要もあります。校長と学校運営協議会の対立や、校長の孤立等の心配の声も多くありますが、教育委員会だけでなく、行政全体で支えていくことが大切であると考えます。
 学校運営協議会や学校支援地域本部など、理解が不足している教員にとって、同じような組織が複数あるのは、学校の負担になる可能性があることや、コミュニティ・スクールの導入で地域や家庭との折衝等が今まで以上に多くなるため、教職員の負担が増えるとして、導入に慎重な意見も多くあります。全ての学校のコミュニティ・スクール化への道筋を付けるためには、当面は丸々版コミュニティ・スクールのように、緩やかな連携、取組を推進していくことが重要であると考えます。
 4、コミュニティ・スクールの推進方策について。新たに取り組むに当たっては、先行研究や指定校等の状況を把握、理解するところから始める場合が多くあります。今回、文部科学省から出されたコミュニティ・スクール2015、地域とともにある学校づくりのためになどの行政資料や、コミュニティ・スクール化したことで、子供がよりよく育った、学校と地域とが互恵性のある関係となり、地域の活性化も図られたなどの前例を示すことは、極めて大切であると考えます。このことは、よい学校はよい地域に誕生し、よい学校は、よき市民、住民を育てるという理解を促進し、風土の醸成につながるからであります。
 5、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について。全校のコミュニティ・スクール化については、学校運営協議会の人材が確保でき、理解の進んでいる自治体を中心に徐々に広げていくことが望ましいと考えます。その際、自治体により財政基盤の整備や人材の確保等に違いが出て、いわゆる教育格差が生じないよう、国で配慮していただくことを強く要望いたします。
 以上で全連小の発表を終わります。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、全日本中学校長会よりお願いいたします。

【全日本中学校長会】
 失礼いたします。こんにちは。全日本中学校長会教育研究部長をしております、福井正仁と申します。よろしくお願い申し上げます。
 各都道府県の中学校長会の意見聴取をまとめたものについて、御報告を申し上げます。紙の資料はございません。
 学校、家庭、地域が連携・協働して、社会総掛かりで教育に取り組むため、地域とともにある学校づくりを推進し、子供の豊かな学びと確かな成長を一層支援していく方策として、コミュニティ・スクールの一層の拡大と充実を図るという趣旨には賛成です。
 しかしながら、様々な課題が予想されるために、課題解決のための条件整備を進める必要もあると考えます。予想される課題について、大きく3点申し上げます。
 1点目、人材の確保、育成でございます。地域によっては、全体的な視野に立って学校を見つめる地域コーディネーターにふさわしい人材を確保することが難しいと思われます。地域の中心となる、例えば町会長のような人材が固定化、高齢化し、輪番制での会長職が増えているなどの現状がある中、地域を活性化させ、きずなを深めようとする次世代育成が課題であると考えます。また、PTA活動に参加しない、あるいは参加できない保護者、地域行事に参加しない、あるいは参加できない教職員も増えている実態がある中で、その解決を図らなければいけないと考えております。
 2番目、類似する取組との関連です。CS、つまり学校運営協議会制度、そして学校支援地域本部、更に学校評議員制度など、学校を支える制度が複数ありますが、自治体や学校独自の取組が行われている現状があります。全ての学校でのCS化を目指すためには、それぞれの制度の役割や意義を整理し、これまでの仕組みを生かしていく方策が必要であると考えます。
 3点目、地域の活動とPTA活動の連携がうまくいかない場合も報告されています。また、小中学生の保護者の地域活動への参加が必ずしも多くない現状もあります。地域活動に若い世代の保護者をどのように巻き込んでいくか、一体的な推進の方策が必要でございます。学校を核としてという視点や考え方が、学校への過度な依存に陥ることが懸念されるところです。学校が地域に対して何をすることができるかという点では、学校の存在そのものも地域への貢献であるという考え方も理解していただき、学校と地域はパートナーであり、何かを与える分、何かを求めるものではないと考えています。
 次に、必要とされる条件整備について、大きく6点について申し上げます。
 1点目、趣旨の徹底と学校支援です。コミュニティ・スクールの推進がなぜ必要なのか、どのように推進していくのか。その趣旨を教職員、家庭や社会に広く理解、啓発を図ることが必要です。CS推進委員等によるコミュニティ・スクールの導入や運営に関しての学校支援も必要です。
 2番目、研修の充実ですが、教職員については、教員養成段階における研修や現職研修において、地域との連携や協働についての十分な理解と啓発が必要です。特に管理職には、地域とともにある学校について、十分な理解が必要です。学校運営協議会の委員、保護者、地域住民については、CSについての理解を図る研修が必要です。
 3点目、類似する取組との関連の明確化です。CS、学校評議員制度、学校支援地域本部の役割や意義、法令上の位置付けなどについて、理解と啓発が必要であると考えます。学校運営協議会制度の機能の、法律上の規定の理解を深めることも必要です。特に主な役割のうち、学校運営に関する教育委員会、又は校長に対する意見、あるいは教職員の任用に関する教育委員会に対する意見が任意であるという理解が十分ではないところもございます。
 次に、学校評価については、学校関係者評価と学校運営協議会における評価を一体的に運用できるようにすることが必要です。学校支援地域本部やPTAの活動など、学校を支援する様々な活動が実施され、多様な形での学校、家庭、地域の協働体制が構築されている現状を踏まえた上でのCSの実施が必要であると考えます。学校支援地域本部とCSは、共に学校、家庭、地域の連携や協働のように、それぞれ重要な役割を担っているため、自治体や学校の既存の取組や特性を生かしながら、段階的にCS化が図られるようにすることが必要です。
 4点目、人材育成及び人材の確保です。CSの委員会の委員等人材の確保や育成が必要です。また、定期的な研修制度の構築も望まれるところです。
 5番目、財政上の措置についてですが、活動費や委員謝金等の財政上の措置、またコミュニティ・スクールの取組の充実を図るため、学校裁量で支出できる運用費の手立ても必要と考えています。
 その他、学校と地域の在り方、社会における学校の位置付けや学校に対する評価等は、時代の流れにより変化しているところです。学校への期待や要求が強くなりつつあり、それが助長されない形での理念や制度の構築が必要であると考えてございます。全ての学校がコミュニティ・スクールとなることにより、組織づくりや運営のために管理職を始め、教職員が今以上に多忙となるようなことがないよう、配慮を頂きたいと思います。
 特に中学校の教員の多忙な現状については、様々な調査等でも明らかにされておりますけれども、この実態を踏まえて推進することが必要であると考えます。
 以上です。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、全国高等学校長会よりお願いいたします。

【全国高等学校長協会】
 座ったままで失礼させていただきます。全国高等学校長協会、教育課題検討委員会副委員長の都立昭和高校校長の萩原といいます。よろしくお願いいたします。
 全国高等学校長協会としましては、この件に関しては、現在のところ、明確な形で何かを打ち出しているということではありません。ただ、私ども、教育課題検討委員会では、毎年、全国の高等学校にアンケート調査を行っておりまして、その報告会を行っております。
 その中で、毎年、よく出てくる話の中に、地方の高等学校の存続問題があります。生徒数の減少とともに、都道府県の教育委員会の施策では、統廃合化を進めていきたいということで、その波がある。ただ、地元、我が町の教育水準を維持するために、町内の高等学校の存続が死活問題であるという話が出てきています。県立の高校ではあるが、町の教育委員会が学校運営に対しての補助を行う。例えば、学校行事をやるにしても、地場産業の活性化に取り組むとか、そういう部分で補助を行っているということで、地域との連携を図りながら、学校経営を行っているという報告は受けております。今回のコミュニティ・スクールの機能をかなり持ち合わせながらやっているという学校があるという話は、毎年いろいろな県の先生方とお話しすると出てきます。
 その一方で、私ども東京都では、学区制がなくなっておりまして、学校の特色化を推進していくという立場で、希望する都立高校ならば、全都から受験ができるということになっております。本校は昭島市に所在していますが、そこに在住する生徒は、約1割しかおりません。あとは他区市から来ている生徒という状況になっており、地元地域との関わりという部分では、かなり薄いといえます。地域にある高等学校であるということで、地域の教育を支えているという状況では、間違いないのですが、とはいいつつも、実際に通ってきている生徒はということで、そのあたりの難しさがあると思っております。
 都道府県単位を地域と見れば、教育の一端を支えているという点では間違いはないと思いますが、小中学校のように地元地域に根差した地元地域の意見を取り入れた教育活動を推進していくという点では、現在、東京都のような形ではなかなか難しいと考えております。必ずしも、都教委や地元保護者のニーズに応えるという状況にはならないという難しさがあるということです。
 高等学校長という立場からすると、コミュニティ・スクールの考え方を否定しません。高等学校においては、その地域、地域により事情があり、全国一律でこうしろということではなく、基本線をお示しいただきながら、高等学校長の裁量で取り組んでいけるような施策にしていただければとお願いいたしまして、私の意見とさせていただきます。
 以上です。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、全国特別支援学校長会からの御意見をお願いいたします。

【全国特別支援学校長会】
 はい。全国特別支援学校発表会からお話をさせていただきます。私、全国特別支援学校長会事務局長の大井と申します。よろしくお願いします。では、座ったままでお話しさせていただきます。
 昨日と一昨日の2日間ですが、全国特別支援学校の知的障害教育校PTA連合会の第34回研究大会の岐阜大会が行われました。私も全特長として参加しましたが、テーマは「地域社会で豊かに生きるための『自立と支援』」ということで、900名もの参加がありました。活発な情報交換が行われました。分科会のテーマも、全て「地域」というキーワードが必ず入っておりました。障害のある方が自立して生活していくために、地域の果たす役割をより一層感じた次第であります。
 では、配付資料の10をごらんください。共生社会とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者が、積極的に参加・貢献していくことができる社会です。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会です。障害のある子供が、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し社会参加することができるよう、医療、保健、福祉、労働との連携を強化し、社会全体の様々な機能を活用して、十分な教育が受けられるよう、地域住民との連携・協働により、障害のある子供の教育の充実を図ることが重要です。障害者理解を推進することにより、周囲の人々が障害のある人や子供とともに学び合い生きる中で、公平性を確保しつつ、社会の構成員としての基礎を作っていくことが重要です。コミュニティ・スクールを通して、次代を担う子供に対して、学校において、これを率先して進めていくことは、共生社会の構築につながると考えています。
 地域の活性化と安全な学校づくりについてです。コミュニティ・スクールは、地域に開かれた学校をまちづくりの核として、地域活動を活性化させ、それを通じて、住民の顔見知りの関係、学校・地域への関心・理解、課題を共有する関係を深めていくことができると考えます。
 また、まちづくりへの関心を高めながら、地域の安全・安心を支えるコミュニティを育て、学校の安全・安心に結び付けることによって、地域に開かれた安全・安心な学校が実現していくことと考えます。
 しかし、一般的に学区域が広域な特別支援学校においては、地域住民が必ずしもその学校の卒業生ではないということもあり、私たちの学校となるためには、より一層の努力が必要となると考えます。
 そのために、学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策は、特別支援学校に通う一人一人の児童生徒の居住地における学校とのお互いに顔が見える交流及び共同学習を進め、そのための担当の専任コーディネーターを置き、受入先である地域の小中学校教職員、児童生徒の障害者理解を進めることが重要と考えます。一人一人の取組が共生社会へつながる障害の理解、一人一人を大切にする気持ちを育てることができ、障害のある児童生徒一人一人が地域とのつながりを深めるきずなとなることができると考えます。
 地域防災についてです。3.11東日本大震災以降、より一層の地域防災の必要性が高まっており、コミュニティ・スクールを通して、地域と学校が連携・協働していくことにより、学校としては一人一人の児童生徒の生命を守る力強い応援団になり得ることとなり、地域としては、万一の際、安心して避難できる防災の拠点の一つともなり得ると考えます。
 学校と地域の連携・協働の推進に当たっては、地域の消防、市町村防災担当、自治会長等で組織する防災教育推進委員会等を組織して、学校と地域が合同で行う防災訓練等を実施することも考えられます。
 裏面です。高齢者・障害者スポーツの拠点としてです。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、障害者スポーツが大きく広がりを見せている現在、健常者と障害者が一緒に楽しむことができる多様な場を創出するためには、各地域において教育、スポーツ、福祉等の分野の関係者の連携による取組が重要と考えます。
 コミュニティ・スクールを通して、例えば、特別支援学校施設を障害者スポーツの拠点とし、地域の子供たちが早い時期から障害者スポーツに親しみ、障害があってもなくても、スポーツを楽しむことができるということを理解させていく。また、アダプテットスポーツの観点からすれば、地域の高齢者にとっても、誰もが楽しむことができるレクリエーションスポーツの創造の拠点ともなり得ると考えます。
 そのために、学校と地域の連携・協働の推進に当たっては、チーム学校として障害者スポーツの導入、アダプテットスポーツの研修会等、教員以外のマンパワーも必要であると考えます。
 また、キャリア教育の推進に当たりましては、障害のある人の雇用につきまして、10年連続で過去最高を更新しておりますが、地域で自立した生活を送るための就労の実現のためには、より一層の障害理解を進めていくことが肝要と考えます。
 その方策としては、地場産業への就労を目指す教育課程の工夫等、雇用促進につなげていければと考えます。
 最後に、全ての特別支援学校で考慮すべき点につきましては、特別支援学校は学区域が広いことにより、広範囲となります。学校運営協議会委員をどのように選出するかが課題と考えます。
 また2番目として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されますが、より一層、障害についての理解を深めることが必要と考えます。
 最後に、チーム学校としての充実が必要と考えます。
 以上です。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、全国国公立幼稚園・こども園長会からよろしくお願いいたします。

【全国国公立幼稚園・こども園長会】
 はい。全国国公立幼稚園・こども園長会の会長の岩城でございます。本日は、こういった機会を頂きありがとうございます。
 資料11に沿ってお話をさせていただきます。まず、1点目の学校と地域の連携・協働の推進に当たってというところで、全地域ではないのですが、一応、国公幼の事務局に意見を求めて集約したものをこちらに掲載させていただきました。
 まず、子供と地域との関わりをつなぐという視点です。幼児期に家庭や地域の方々、様々な人々との関わりを持つこと、愛情を持って接してもらうことというのは、幼児期の豊かな体験となりますし、地域への愛着や誇りを持つ基盤となると考えております。そのため、子供が地域で活躍する場や活動の場を作ることは、自己肯定感を育てることになるとも考えております。幼稚園が仲立ちとなって、地域や子供たち、あるいは家庭をつないでいくということは、大変意味のあることだと思っております。
 また、その実施に当たってですが、コーディネーター、人材づくりということが必要かと思います。それぞれが園、家庭、地域の役割と責任を持って、子供たちの健やかな成長に当たるということは、もちろん大事なことなのですが、それぞれの役割をつないでいくというコーディネーターの存在というものが必要であると思います。
 これは、二つ目の丸ですが、新潟では、コミュニティ・スクールを実施しているという観点から、市内の小中学校にはコーディネーターが配置されているそうですが、幼稚園には配置がされていないということでございます。そういった窓口があるということが、推進していくためには必要なのではないかという御意見を頂戴いたしました。
 それから、三つ目、四つ目ですが、やはり地域と学校が同じような教育ビジョンを持っていくということが必要ですので、園長と管理職はもちろんですが、学校や園の教育内容や方針をしっかり情報発信するということが大事ですし、また地域の方々に、そこを御理解いただくということが大事なのではないかということです。
 そして、五つ目、2枚目になりますが、今、特別支援学校も地域が広いというお話がありました。幼稚園も学区域が特に設置されておりません。大変広範囲から通ってきておりますので、なかなかその地域と密着したという関係は作りにくいということはあるのですが、例えば、学区域の中にある小中学校を核としたコミュニティという、少し広いコミュニティの中に位置付けてもらうということが可能なのではないかという意見や、それから通園している期間は保護者が一緒に通園していますので、幼稚園のある地域に子供と一緒に育てていこうという共通認識を図るということも具体的に可能ではないかという意見もございました。
 それから、組織や仕組みがたくさんあるということは、なかなか運営するのに難しいですので、例えばPTA組織とか、いろいろな既存の組織をうまく活用するのも一つの手ではないかという御意見もありました。
 二つ目のコミュニティ・スクールを全ての学校にという方向を目指すに当たってですが、やはり実態としては、地域のコミュニティにいろいろな課題の差があるのではないかということです。是非、地域の特色に合わせた推進の仕方をしていただければということが一つありました。
 それから、先ほどと少し重なるのですが、コーディネーターという人材です。やはり家庭の個人情報などの取扱いをするという観点からも、しっかりした人材の育成ということが大事なのではないかと考えます。
 それから、少し飛ばしまして、五つ目の推進体制のところでございます。神戸市からこんな御意見を頂きました。神戸市では、中学校区を中心として、区域別地域の組織というものがあるそうです。学校評議員制度も定着していて、教育フォーラムのようなものも開催されているという実践があるそうです。こういった地域住民の方に教育現場の様子を伝える機会を作り、既にあるこうした体制を生かした取組をすると、進めていけるのではないかという意見がありました。是非、地域のいい実践、国の中で、そのような研究拠点を示していただいて、研究実践を示していただくと広がっていくのではないかということでございます。
 以上です。

【加治佐主査】
 どうもありがとうございました。
 これで5団体全ての発表が終了しましたので、質疑応答の時間に移ります。ただいまの各団体からの意見発表に対して、御意見、御質問をお願いしたいと思います。どうぞ。

【藤田(大)委員】
 それでは、最初に、ただいま御発表いただいた小中高、特別支援、それから幼稚園・こども園のそれぞれの学校において、コミュニティ・スクールの活動を推進していくために、公務分掌的に校内体制を作るということについて、各校長の先生方の中での御意見はまとめておられるのでしょうか。いかがでしょうか。

【全国連合小学校長会】
 それでは、小学校ですが、コミュニティ・スクールとして、もう活動している学校については、当然、組織的に位置付けられている。ただ、それ以外の学校というのは、地域とのつながりを構築していくのが教頭、副校長の役割で、地域との特別な分掌は設けていないのが実情だと思います。

【藤田(大)委員】
 はい。分かりました。

【全日本中学校長会】
 中学校も同様でございます。

【全国高等学校長協会】
 高等学校の方も同様です。

【全国特別支援学校長会】
 特別支援学校につきましては、地域の学校に対しましては、今どの学校も、学級には約6%は障害のあるお子さんがいらっしゃるということで、特別支援教育コーディネーターが、地域の学校に対して支援を行ったり、またつながりをそこで深めたりはしておりますが、それ以外につきましては、小中高と同様でございます。

【全国国公立幼稚園・こども園長会】
 幼稚園も大変規模の小さい組織でございますので、そういった特別な配置はしておりません。

【藤田(大)委員】
 ありがとうございました。

【加治佐主査】
 はい。では、黒瀬さん、どうぞ。

【黒瀬委員】
 私は小学校・中学校の校長をしておりますので、そういった観点で質問させていただきます。全国連合小学校長会からコミュニティ・スクールに対しての懸念の声が上がっておられるということですが、私も同僚の校長と話している中で、コミュニティ・スクールに対する誤解があると感じることがあります。何か全国的なアンケート等で懸念の声が上がっているなど、数字として挙げられているものがあれば参考にさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【全国連合小学校長会】
 全連小の調査の項目にそれが挙がっている事例はございません。東京都規模でも、経年の調査はしていませんが、コミュニティ・スクールをやっている地区や、またそうでない、例えば区の校長会の中で、CS化に向けての意見集約等はしたことがありますが、全国的な規模という観点ではありません。

【加治佐主査】
 小学校だけでよろしいですか。

【黒瀬委員】
 構わなかったら、中学校、高校など他の校種からも頂けたらと思います。

【全日本中学校長会】
 全日中としては、全国調査を今年度予定しておりますが、これから実施する予定でして、今年度末、来年2月あたりには、その状況がまとまる予定で進行しています。

【全国高等学校長協会】
 高等学校は、そのような形での調査はやっておりません。

【全国特別支援学校長会】
 特別支援学校も、特に全国特別支援学校の調査の中にはありません。
 個人的なことですが、10年ほど前に、京都の特別支援学校でコミュニティ・スクールの研究会に参加したことがございますが、それ以降はそういう研究会にも私は参加したことがないので、そういう状況です。

【全国国公立幼稚園・こども園長会】
 コミュニティ・スクールは、まだ幼稚園は実施が低いと思いますので、ありませんが、学校評価委員の設置率は、まだ国公幼でもそれほど高くないのが実情です。

【加治佐主査】
 竹原さん、はい。

【竹原委員】
 いろいろ教えていただきありがとうございました。
 地域の立場で高校についてお尋ねしたいのですが、高校生の存在は地域ではとても大きいですね。通学路で見掛けたり、駅やショッピングセンターで見掛けたりして、ああ、若い人がいると元気でいいなと思う反面、各地でいろいろな課題もあります。地域と高校生の関係というのは、そこに住んでいなくても、毎日あると思います。
 またカリキュラムでは、キャリア教育やボランティア活動などで、地域の協力を得て、一緒に学ぶ場を作っていただいて、推進しているのではないかと思うのです。
 更に防災ということでは、高校がそこにあり、高校生がいるということで、力強いものがあると思いますが、地域と連携する場合の高校としての課題や、ヒント、ポイントを教えていただきたいと思います。

【全国高等学校長協会】
 今、防災というお話も出ました。私ども、東京都では1泊2日の宿泊防災訓練を行っており、地域の方々にも御協力を頂いてやっていますが、地域の方からは、例えば町会で避難訓練をやるときに生徒に手伝ってもらえないかというお話もあります。その日限りで生徒を手伝わせることはできますが、例えば夜に震災が起こったときに、必ず高校生、対応した生徒が来てくれるかと言われると、実際には無理があり、学校にいる間にもし何かあれば、誰々さんがそこの担当だよと割り振ることはできますが、現実的には、なかなか難しい部分があると思います。
 ボランティアを含めて、地域にある学校だから、地域の方々と、というところでは、子供たちともいろいろな話はしておりますが、教育課程上、地域の教育課題を取り入れたような教育課程を組んでいくという話になってくると、またちょっと違うと思います。ですから、関わりをどの部分で持たせるかということはあると思いますが、それが今のコミュニティ・スクールとの関わりの中で、どこまで位置付けていくのか。地域と関わりを持ってやっていくことは、当然必要な部分だと思いますが、どこまでをその中で位置付ければいいのかという問題はあると思っています。

【加治佐主査】
 はい。

【松浦委員】
 失礼いたします。とても素朴な質問ですが、先ほどから方向性としてはよいというお言葉もたくさん聞かせていただいて、管理職の先生方の理解や研修、スキルアップということも、お言葉としてたくさんあったと思います。実際、少し前に私はある研修会に出させていただきまして、コミュニティ・スクールについての研修会だったのですが、知っている校長先生がいらっしゃって、お話ししていると、校長先生が「きょうは校長が少ないな。教頭少ないな」というお言葉がありました。「では、先生は何で来られたんですか」とお伺いしたら、「自分のところの市の教育長から行ってこいという指令があったから来た」というお言葉があったんです。
 そうした研修会での出来事の後の、今のお話の中で、実際、先生方は本当にお忙しい中で、研修会やスキルアップが必要ということですが、その辺の保護者からしても、先生方のリーダーシップがないと、保護者も地域もなかなか動いていかないのかなという中で、先生方の研修会など、本当にできるものなのかなというか、進んでいくのでしょうか。
 言葉が難しいですが、校長先生方の理解やスキルアップをしていただくために、そこにはどういうふうにしていくのが一番でしょうか。言葉が難しくてごめんなさい。伝わりますか。

【全国連合小学校長会】
 小学校長会ですが、研修は外に出ていく研修が中心ではありましたけれども、やはり小学校で言えば、ほとんどの教員が担任を持っていますので、授業時間中に外に出ていく研修というのは、なかなか出づらい現状があります。それは、子供を置いていく。置いてきた学級の子を誰かが代わりに見なければいけないという、玉突きの補強体制を組まなければいけないので、近年は学校の中にいて、先輩教員等も含めて研修をしていく、オン・ザ・ジョブ・トレーニングという形でも進んでいます。
 我々校長とすれば、オン・ザ・ジョブ・トレーニングも大切ですけれども、外に出て、新たな風に触れるだとか、専門性をより高めるという研修は推進したいと思っています。ですから、お互いにそれぞれ出ていけば、誰かが見ていただけるという体制で、偏った人間ではなく、満遍なくきちんと研修には出させたいと思っていますし、私たち管理職が研修に出られるような学校体制をきちんと築いていきたいと思っています。

【加治佐主査】
 どうぞ、はい。

【全日本中学校長会】
 CSの取組自体が、子供の成長をトータルに様々な社会の機能を複合的に絡ませながらやっていただくということで、それは非常に結構なことだと思うのですが、今おっしゃるように、学校の規模にもよりますが、例えば、私どもの中学校は、各学年が2学級で合計6学級プラス特別支援学級がございます。全校170人という規模の学校です。そうしますと、教科の教員が一人で、一人で3学年の授業を展開するということで、必ず行かなければいけない研修自体をこなすことも、なかなかままならないこともあり、プラスいろいろなところに出ていくということが、現実的には厳しい状況がございます。
 今、学校が狭い意味での教育の領域だけではなくて、福祉の領域であるとか、医療の領域が入り込んでおりまして、それはトータルに子供の成長に関わるという、非常に日本の教育の特徴、メリットであろうと思うのですが、それが全て学校なり、特に学校の教員に期待されるというと、なかなか実際には動きにくいと。特に中学校の場合には、土日の部活動等々もあって、実際、通常の勤務時間を超えて、随分やっている姿を見ると、管理職としては、いろいろな地域との交流もして、週末になれば、必ず地域行事に出てくれる教員の姿を見ると非常に有り難いですが、逆に言えば、健康上の心配をせざるを得ないような状況にもなってきて、一番大事な授業の改善がどうしても優先順位から下がっていくような、本末転倒の状況もあります。そのようなことはしないように、この制度をより広く運用できるような制度にしていきたいと思います。
 長くなって恐縮ですが、先ほど前半の意見聴取の中で、全国町村教育長会ですかね。幾つかの学校が連携してということもございましたが、小さな学校の場合、例えば地域の自治体の学校が連携して、その区や市、町村の大きなくくりがあり、更にその中に各学校があるような、そういう仕組みも工夫はできるかなと思いました。
 以上です。

【加治佐主査】
 はい。では、生重さん、どうぞ。

【生重委員】
 高校の萩原先生に伺いたいのですが、先生は東京都立なので、大分状況が全国から比べると違うと思います。先ほどの御発言の中にも、やはり道や県から町にすくわれて、町から資金援助を得ながら、そうでないと、もう若い人たちが住み着いてくれない現状が全国には起こっているので、必然的にそうなっていく。少し答えづらい質問かもしれませんが、東京都としては、そんなにコミュニティ・スクールを推していらっしゃらないですよね。

【全国高等学校長協会】
 現状で言うと、学校運営連絡協議会を必置ということでやっているというところではやっていますけれども、コミュニティ・スクールではありません。

【生重委員】
 先ほどの東京都だと、先生の学校でも、10%しか地元がいない。ただ、高校の場合は、もう少しエリアを広げて考えるべきだし、これから大学受験の変革とか、様々な面で、特に高校に求められる力でカリキュラムマネジメント、開かれた教育課程、中小にもいずれ行きますが、最初に求められるのは高校ですよね。
 そういうものを考えても、トップ進学校の同窓会の応援のすごさと、それから、商業科や工業など、そういう専門分野における特筆した支援体制と別に、中堅以下の普通科に課せられたこれからの課題は、座して統廃合を待つのかというぐらいひどい状況に、私は子供の減少によって、都立も置かれると思うのですが、今の段階から、自分から手を挙げて、地域特色を出すとか、うちの学校の特色はこういうことをするのだという話合いを持たれる場というのはあるものでしょうか。

【全国高等学校長協会】
 うちで言うと、学校運営協議会なんかは、要するに昭島市の教育関係の方に入っていただいたり、あとは地域の町会の方が入っていただいたりということで、特に町会の方は、長年ずっと学校を見ていてというところがあるので、大分学校は変わってきましたねとか、いろいろな話はあります。ただ、教育内容とか何かの部分までになってくると、なかなか踏み込めないというところになっているのが現実です。ですから、先ほどもお話も出ましたけれども、生徒がふだん接していて、今までは挨拶してくれなかったのが挨拶してくれるようになったねとか、そういう話は確かに出てきます。ですから、その辺りをもってよしとするのかどうかだろうなと思っています。

【加治佐主査】
 よろしいですか。では、貞広さん、どうぞ。

【貞広委員】
 ありがとうございます。時間の関係もあるので、2点あるんですが、とりあえず1点申し上げます。
 全連小さんから、大変率直なペーパーを出していただいて、とても状況がよく分かったんですが、人事に関するところで、教職員の方はいろいろいらっしゃるので、「校長の考えを十分に聞く必要がある」の後に、「学校運営協議会が校長自身の人事について大きな影響力を持つようになることも心配される」ということを特出しされて書いていらっしゃるんです。これは、制度設計として、少し段階的なやりようがあるのではないかという御提言でしょうか。というのは、校長と学校運営協議会がイコールパートナーになるには、人事の首根っこをつかまれていると、なかなかなれないと。だから、教職員の任用に関する意見を教育委員会に言うということは覚悟しながらも、そこから校長の人事だけ例外とするということをイメージされて、特出しされて書かれているのかということを伺いたいなと。あえてそういう制度をイメージして書いていなかったとしても、今のような制度設計について、何か御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

【全国連合小学校長会】
 私が今回のこのお役目を頂いて、その後にコミュニティ・スクールとしてやっている学校の先生方、校長に意見を聞いたり、行政資料等で出ているものの成果と課題を読ませていただいたりしても、校長の人事に学校運営協議会が触れて、それがうまくいかなかったという事例は全くないんですが、やっていないところの学校の方が、我々の人事権も握られているのではないかという懸念を示す声が多くあったので、今回反映させていただいたということです。
 現実とすれば、多分、もっといい関係で、教員の人事まで入り込んでというのは、ないという成果と課題が出ていますけれども、やっていないところについては、やはりそこが心配だという声が非常に多く聞かれました。ということで、システムをどうこうするということではなく、率直な意見を反映させていただいたということです。

【加治佐主査】
 2点目はよろしいですか。

【貞広委員】
 2点目は、御質問ですが、どの方も、やはりコミュニティ・スクールの意義を理解し、学校運営協議会に対して明確な経営方針を示すことができる校長の資質能力が大変必要であるとおっしゃっているのですが、もう少しこれを具体的に教えていただきたい。又は、それをどのように、どういう段階で身に付けることができるのかという御意見がありましたら教えていただきたいと思います。

【全国連合小学校長会】
 はい。どうしても相互に互恵性のある関係を築かないと、間違いなくうまくいかないだろうというのは予想されることですし、成果と課題等からも出ていることですが、校長自身が、例えばコミュニティ・スクール化するとなったときに、課題はあるかという、区内校長の研究で行ったときに、うちはまだ生活指導上問題が多い学校だから、無理ですねという考えがある。
 むしろ、そういう学校だからこそ応援してもらって、正常化を目指すというラインで動かなければいけないんですが、まだ、そういう意識の校長も多くいる中で、校長の研修は、なる前の研修もそうですし、なった後の研修もそうです。必要だと思いますが、私自身は、コミュニティ・スクールを経験して、校長なり、副校長なり、主幹教員なりが経験して、これはよかった。子供がよく育ったという方を広域人事で出していただいて、その方が中心になって、新たなコミュニティ・スクールの成功例を出して広げていく。
 どうしても、非常に言いにくいかもしれませんが、やはり抱え込み人事が地区にあって、絶対出てきません。新たに地域連携を進めるには、そういう方々が欲しいのですが、出てこない。そういう方が核になって、その地区をリードしていくという人事なり、研修、それこそ本当に連携になりますけれども、地区内へのOJTを進めていきたいと思っています。

【貞広委員】
 なるほど。

【加治佐主査】
 よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。ヒアリングの後半を終了させていただきます。5団体の皆様、本当にどうもありがとうございました。
 これで退席いただいても、また傍聴席に移動されて、残りの議論を傍聴されても結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、前回に引き続きまして、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について、今のヒアリングの御意見も参考にしながら、残りの時間を議論していただきたいと思います。
 自由討議に入ります前に、参考資料3として、佐藤委員から実態調査の結果について、追加分析の報告がありますので、佐藤委員、よろしくお願いいたします。

【佐藤委員】
 では、少しお時間を頂きます。参考資料3、カラー刷りになっております。これは、何でかというと、前回はこういう分析をということでリクエストがありましたので、お答えする形になります。
 まず、Q34。これは、自治体規模別の校長先生の指定の意向の有無に関してクロス集計してあります。見やすくしようとして、余計に見にくくなったかもしれませんが、済みません。左側が大規模の市で、県庁所在地と指定市のグループです。ちょっと見ていただきますと、下の方が指定の意向が強い。青っぽいところです。是非指定を受けたい1.4%、教育委員会からの働き掛けがあれば指定を受けたいが15.9%、気が進まないが教育委員会から働き掛けがあれば指定を受ける9.2%ということで、30%弱。要するに、26.5%が指定の意向がある。
 次に大きい区、これもほぼ同様で、27%が指定の意向がある。
 中核市、これは県庁所在地も入っていますが、一応除いてあります。これが33.7%。少し規模が小さくなると、この数字が上がってきます。
 市の方が34.8%、ほぼ同じです。
 町が38.9%。少し数字が上がってきます。
 村になりますと47.5%ということで、おおむね四角で囲った数字だけ見ていただきますと、右上がりになりまして、自治体が規模が小さくなると、指定を受けようという校長先生の割合が高くなるということが分かります。合計は33.8%。
 裏のページ、これは立体図になっているのですが、赤が指定の意思がある。気が進まないというのも含めています。前回報告しましたのは、気が進まないを含まない数字だったので、それよりも数字が少し高くなります。奥の方からずっと手前の方に来ると、自治体規模は小さくなりますが、赤いラインが右上がり。これに対して青の方が、指定の意思なしで、奥の方から手前に向かってでこぼこはありますが、数字は下がっていて、これもやはり自治体規模が小さいと指定の意向があるということで、ビジュアルに示しました。
 あと、下の方、Q32-BとQ34、これは前々回に分析をということで、リクエストがあったものですが、これは教育委員会の意向と、指定の意向と、校長先生の意向の有無をクロスしたものです。縦軸上が教育委員会に導入の意向があるかどうかで、ある。右の方が校長先生が指定を受けるかどうかで、教育委員会に導入の意向があって、校長先生に指定を受ける意向があるという数字が、全体の33.4%。全体は1093校です。
 あと、右下を見ていただくと、教育委員会に意向はないけれども、指定を受けると校長先生が思っている割合20.3%。この上と下を合計すると、53.7%が校長先生に意向がある。指定を受けたい、あるいは受けてもいいという数字になります。半分以上ということになります。
 左上、第2象限ですが、教育委員会に導入の意向があるが、校長先生が指定を受けないというお考えの方が11.3%。数字は低くなります。
 あと、左下、第4象限が、教育委員会に導入の意向もなし、校長先生に指定を受ける考えもない。これが35.0%、全体の3分の1という数字。併せると5割を切って、46.3%ということで、校長先生の指定を受けようという数字の方が少し高くなっているということです。こんな感じになっているということで、ちょっとお示しいたしました。
 以上です。

【加治佐主査】
 はい。ありがとうございました。また後の議論の参考にしていただきたいと思います。
 御意見を伺っていきたいと思うのですが、事務局から、その前提として資料の説明があります。

【廣田参事官補佐】
 失礼いたします。お手元の資料1を御用意いただければと思います。
 ただいま、各団体から意見発表を頂きましたが、本日御議論いただく論点については、前回と同様、示させていただいているところです。
 1ページ、検討の視点ということで、全般的な事項、全ての学校におけるコミュニティ・スクール化を検討するに当たって、制度上の権限の在り方をどのように整理するか。あるいは学校や地域の状況ということで、本日も御意見がありましたけれども、それらを踏まえた導入促進の在り方をどのように考えるかと。多数、御意見を頂いております。
 3ページに、市町村や学校規模との関係ということで、学校規模を踏まえたコミュニティ・スクールの導入促進の在り方をどのように考えるかということなども論点と考えております。
 続いて、4ページ、幼稚園、高校、特別支援学校の特性を踏まえた在り方ということで、本日の各団体の御意見も踏まえながら、御意見を頂きたいと思います。
 5ページ、小規模自治体における教育委員会と学校運営協議会との関係の取扱い。この点については、これまで特段御意見を頂いておりませんので、本日、是非御意見を頂ければと考えております。
 最後の6ページ、学校運営協議会の制度上の見直しの方向性ということで、学校運営協議会を必置とすることの是非について、どのように考えるか。前回も御意見を頂きましたけれども、こういった視点も踏まえながら、本日、残りの時間、御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】
 今、これまでの議論を確認いただきました。先ほどのヒアリングでいろいろ意見が出たと思います。是非、そこも考慮していただきたいと思います。
 また、今も事務局の説明にありましたように、5ページの小規模自治体における教育委員会と学校運営協議会との関係の取扱い。ここはほとんど意見がないということですので、そこも意識していただければと思います。
 いかがでしょうか。では、黒瀬さん。

【黒瀬委員】
 小規模自治体における関係の取扱いについて意見を述べます。実は、私は3月まで全国一小さい村におりまして、学校が統廃合して小中一貫校のみになったので、その村に校長は一人しかいないという自治体におりました。村の中では、様々な子供に関する会議があるわけですが、校長は絶対呼ばれるので、全部の会に私は参加していることになります。会議のメンバーを見ますと、ほとんど一緒なのです。教育委員会関係、学校教育関係も、社会教育関係も、子育て関係とか、防災とか、いろいろな関係の会に行っても、大体メンバーは一緒です。小さな村は、どうしてもそうなってしまいます。そのような中で、私が提案したことは、できるだけ大きなくくりの会議にして、そこで一緒に考えられるようにすれば、いろいろなことが集約できるのではないかということです。そのようなこともあって、学校運営協議会を立ち上げました。
 要するに、学校運営協議会を立ち上げることで、少なくとも学校から発信するようなことは、全部一つに集約できるわけです。学校評価の問題もそうですし、学校支援の問題、それから最近でしたら、登下校の安全の問題とか、いじめの問題とか、学校運営協議会である程度集約できたのではないかと思っています。
 次に教育委員会との関係です。学校は1校しかないので校長は一人、教育長も一人ですが、役割分担ができていたと自分は思っています。頻繁に教育長とも意見交換をしていましたし、学校運営協議会には事務局のトップである教育次長が入っています。学校運営協議会の様子は、毎回教育長に伝わっています。
 学校は、校長がリーダーシップを発揮して学校を経営しておりますし、教育長は、その村の教育をどうしていくかという広い視点で考えていますので、役割分担ができていたと思います。人事の問題については、小さな自治体なので、教育長が十分把握して動いていただいています。人事に関することは教育委員会に責任を持っていただき、日々の学校のことについては、学校でやるという役割分担ができていたように思います。また、特に小さな自治体だから、学校運営協議会の委員のなり手がないといったことはありませんでした。

【加治佐主査】
 はい。小規模自治体をいろいろ経験された実例の御報告ということですね。
 いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【貞広委員】
 今の点にも関連するのですが、小規模自治体に関しては、学校運営協議会の委員をイコール教育委員さんにするということの御提案があったと思うんです。小さな自治体だと、本当に人材の確保が大変なので、そういう御提案なんだと思うんです。ただ、どうやって理解したらいいのか、ちょっと分からないんですね。制度として、校長と教育委員会の責任と管理の下に行われる、経営される学校であるにも関わらず、学校運営協議会の委員が教育委員というのは、どう理解していいのか。全く違うものなので、一部、例えば教育委員会の事務局の方が一人入られるとか、教育委員さんが一人入られるとか、そういうのはいいと思うんですけれども、制度の成り立ちと、イコールパートナーのチェック・アンド・バランスということを考えても、教育委員がそのまま横滑りというのは、ちょっとあり得ないのではないかと思うんですが、何か理解する理屈は成り立つのでしょうか。

【加治佐主査】
 どうなんですか。

【廣田参事官補佐】
 恐れ入ります。この論点をあえて提示させていただいたのは、我々としても、教育委員会の地教行法に定める教育委員会の職務権限と、学校運営協議会における権限というのは、明確に区分できると思っております。ただ一方で、小規模な自治体であればあるほど、教育委員会と学校運営協議会というのはシンクロしてくるのではないかという御指摘を、幾つかの自治体の関係者から頂いたものですから、その点の役割分担の明確化ということについて、いま一度ここでも議論しておいた方がいいのではないかなと思っております。
 ただ、おっしゃるように、教育委員会の下部組織として設置する学校運営協議会ということの位置付けでございますので、それがイコール教育委員会となることは決してないのかなと思っております。この点については、現行制度の成り立ちからしても、整理することは可能だと理解しております。

【加治佐主査】
 分かりました。

【貞広委員】
 よろしいですか。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【貞広委員】
 関連しまして、やはり今いろいろな組織で人が重なっているとおっしゃっていたんですけれども、一時的に重なっていても、どんどん世代的に入れ替えていかなければいけないですよね。かつ同じ組織が同じメンバーでずっと長いことというのは、どんなに小さくて良好なコミュニティでも、長期的にいい成果を生みやすいとは思えませんので、やはりそこは踏ん張って、あえて次世代を育てるという意味でも、人を入れ替えていく。そういうシステムの一つとしても活用するという意味で、やはり重ねていくということを避けるような方向性の方が望ましいのではないかと思います。

【加治佐主査】
 いかがでしょうか。熱心な方は思い入れが非常に強いと思うんですよね。そういう本当に熱意のある人々が支える。そういう人々は、当然その自治体のいろいろな役員をするということになりますね。長く関わると年齢も高くなっていくと。ただ、そうすると、今の御意見のように、次の世代が育成されないということですね。
 うちの大学院の同窓会で極めて強く感じていますので、本当にそう思いますね。次が出てこないですね。確かにそれはよく分かります。だから、そういう機能を果たすためにも、若手も含めて、いろいろな人がやった方がいいということですね。それは分かりますね。
 はい、どうぞ。

【藤田(裕)委員】
 これは小規模自治体に関わることだけではないと思いますが、前も発言しましたが、ここには教育委員会と学校運営協議会ということに書かれているんですけれども、教育委員会制度だけではなくて、特に自治体が小さい場合には、その自治体全体の中で学校運営協議会が果たす役割とか、地域コミュニティなり、地域創生という意味で果たしている役割、あるいは人材育成という位置付けが非常に大きいと思いますので、教育委員会だけではない、自治体行政と学校運営協議会、あるいは地域コミュニティの所管部局と学校運営協議会の関わりということがもう少し重視されると、今おっしゃったように、次の地域コミュニティの担い手を学校運営協議会から育てていく。あるいは、もっと言えば、中学生ぐらいでしたら、5年、10年たてば、地域の担い手として若者で登場してくるわけですから、そういう予備軍も再生産されていくという観点が出てくるのではないかなという気がします。

【天笠副主査】
 よろしいですか。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【天笠副主査】
 そういう点からすると、この小規模自治体におけるうんぬんという、小規模自治体という特別なケースを、あるいは例外的にそれを検討して位置付けようとすればするほど、小規模自治体が取っ払われて、恐らく教育委員会と学校運営協議会との関係を踏み込まざるを得ないようなことになっていく可能性が高いテーマなのではないかなと思います。
 要するに、小規模自治体における特別な事例、少数の事例をここにうまくなじませようとしても、恐らく教育委員会と学校運営協議会の関係を、ある意味で言うと、しっかりと押さえないといけない。そういうテーマ性を持ったところに、ある意味で足を踏み込んでしまったと言うべきなのか、あるいはそういうところを取り上げざるを得なくなってきているということなのかなと、まずここのところでは捉えざるを得ないのかなと理解しております。
 そうしますと、言うならば、教育委員会制度の改革うんぬんということは、御承知のようにやったわけですので、その後に、またこれをということになると、それはそれで別の意味で大変なことになってしまうということもあるわけです。このあたりは、この会としてどういうスタンスで扱っていくのか、どうなのかという検討判断も求められるところかなと思います。
 それと、もう一つ、三つ目の高等学校の点についてなんですけれども、仕組みの必置ということについてですが、もう少し時間があったら、高等学校の関係の方と少しやり取りさせていただきたかったことです。私は、必置化の最大の対象は、高等学校ではないかなと認識しております。むしろ、高等学校こそですけれども、当事者としては、一番そこのところから距離を置いたような認識を持っている固まりも、その集団なのかなと思っていて、現実に求められる課題性と当事者の距離の間が典型的に物すごくあるというのが、高等学校のそれであります。そのあたりのところで、そういう意味では、小学校、中学校と高等学校と、少し縦分けというべきなのか、ある意味で分けて、そのあたりの必置化うんぬんというものを検討していかなければいけないのではないかと思います。
 その場合の分けてという場合に、小中、高等学校をこれまでのような扱い方にするのではなくて、まさに高等学校こそコミュニティ・スクールになってもらうという、そこのところを目指してもらうというのでしょうか。そういうことを、この中でしっかりと検討して位置付けるべきではないか。当然、特別支援学校とかも、そこに入って位置付くわけですが、そのあたりのところがこの議論の中にしっかりと位置付けられて方向性を出すということが必要なのかなと思います。
 以上です。

【加治佐主査】
 二つおっしゃって、先ほどもお答えになりましたが、この小規模自治体における学校運営協議会の問題から、教育委員会制度の改編とか、そういうところまで踏み込まないということですよね。

【廣田参事官補佐】
 はい。恐れ入ります。大変失礼いたしました。当初の課題意識というのは、教育委員会の職務権限と学校運営協議会の職務権限にシンクロする部分があるのではないかという問題提起を自治体から頂いたことによるものですが、教育委員会制度改革が進んでいるこの状況において、今、教育委員会の職務権限そのものを見直すということについては、全く考えておりません。
 そうではなくて、ここの論点の設定の仕方が、少し見え方が悪かったかもしれないのですが、この協議会で議論していただく発展の方向性としては、学校運営協議会の設置の促進、学校と地域の協働を進めるという状況において、教育委員会としての役割をどう考えるかと読み替えていただいてもいいのかなと思っております。その職務権限の分担をどう整理するかというところは、小規模自治体に限ったことではないですし、今のような課題もはらんでいるということでございますので、この点については、協議会の設置促進に向けて、教育委員会の役割を考えていくかということでお考えいただければいいかなと思っております。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ、貝ノ瀬さん。

【貝ノ瀬委員】
 今の廣田補佐の話に尽きているわけですけれども、教育委員会制度を検討する段階で、教育再生実行会議の段階でも、議論の中では教育委員の任用に当たっては、地域活動に熱心な方。例えば学校運営協議会を経験された方とか、学校支援地域本部事業で活躍された方を代表でお一人ぐらいは入っていただいた方がいいのではないかという議論があったことは事実であります。ただ、職務権限は、おっしゃるように全然違いますので、そこは全てイコールになるという話ではないということです。ただ、そういう活躍した御経験というのは十分生かされるべきだということは言えるだろうと思います。
 ヒアリングを伺っていて、率直に言って大変勉強になったといいますか、明らかになったということが幾つかあったと思います。
 一つは、学校運営協議会の三つの機能の中の、三つ目の教職員の任用に関して意見が出せるというところに、特に学校運営協議会が指定されていないところは、なおそらそういう意味の不安や疑念があるということがよく分かりました。同時に、法律が作られたときに、多分そのときの方々はいろいろ考えられたと思うのですが、よくできているなと、私は思っています。つまりどういうことかというと、教職員の人事に関して意見を出せると言っていないですよね。教職員の任用に関して意見が出せると。人事異動とは言っても、任用異動と言わないですよね。それから、任用審査と言っても、人事審査と言わないですよね。違いがあるのだということですよね。
 ですから、一つ目の学校長の経営方針や学校の教育活動について意見交換をして承認をしなければならないということと、大きく関連しているという話だと理解した方がいいと思うのです。つまりどういうことかというと、学校の経営方針、教育活動というのは、やはり地域の実情を無視しては作れないということですから、その地域の方々、又は地域のいろいろな実情。例えば子供たちが荒れている、地域もいろいろ課題があるという中では、生活指導上、健全育成上のことを大きくテーマにして、学校運営をしていきましょうというふうに校長先生が考えたときには、学校を見渡したときに、その健全育成について堪能な先生が十分そろっていないと。ですから、そういう意味で、健全育成に堪能な先生を、是非配置してもらいたいということを意見として出してくることはあり得ると思います。
 これは、例えば隣のA先生がどうであるから、こちらに来てほしいとか、うちにいる何とか先生はこうだから出ていってほしいとか、そういう話を想定しているのではないと思った方がいいと思います。ですから、多分そういうことで任用という言い方をしているんだと理解して、それを明確にしていくということです。
 それをまとめに出していくということですとか、もう一つは、やはり都道府県によっては、もう十分地域と連携がなされている。信頼関係もあるし、学校支援もされているということで、特にこのまま特別なことをしなくてもいいんだというところが結構多くあって、そのような地域、県の名前も出されました。そういう意味では、協働や開かれた学校づくり、学校支援活動がなされているというレベルの地域や学校ということはもちろんあると思うのですが、そこにとどまっている教育委員会や学校が結構多いと。つまり、今の時代状況の中では、危機的な状況の中で、協働は引き続き重要ですけれども、開かれた学校づくりから、今は地域とともにある学校づくり。つまり参画なんだということです。
 つまり、地域の皆さんがただ学校を支援して、そして先生方とコラボレーションして教育活動をやっていって、予定調和的にうまくいくという状況から、今はむしろいろいろな地方の問題、それから過疎化の問題とか、人口減少の問題、少子高齢化、グローバル化の問題、様々な問題を考えたときに、やはりこれからは学校だけではなくて、地域社会の人がただ応援するのではなくて、地域社会の人たちが学校の先生方も含めて、地域みんなでもって当事者意識を持って、自立して自分たちに何ができるかということをそれぞれの立場で考えてもらう。学校は学校、家庭は家庭でも、しっかりとやるべきことがあるでしょう。地域もやることがあるでしょう。それを、ただ学校が何とかしてほしいとか、行政が何とかしてほしいというくれない症候群ではなくて、自分たちに何ができるのかということをしっかりと具体化して、お互いに連携して、まさに協働して、実現していくということが、結局参画だと思うのです。
 ですから、そういう意味では、承認するということの意味の背景には、その地域の人たち、家庭の親たちにとっても、重い責任があるんだと。自分たちの責任や役割を再度自覚するために、あえて承認という硬い言葉を使って、そしてお互いにしっかりと当事者意識を持って、ある意味では契約的なニュアンスになりますけれども、そういうことで協力をしていきましょう、協働していきましょうという意味だと、私は理解しています。
 ですから、今日的な意味から言って、協働、開かれた学校づくりのレベルにとどまっていないで、もう一歩踏み込んで、お互いに責任を自覚して実現していくと。そして、それぞれが自分たちのやることを責任を持って、家庭は家庭、地域は地域でやることを明らかにしながら、その問題解決に当たっていくということですので、やはり政策的に積極的な必置ということを考えていかなければ、これは自然現象としてうまくいっているから、やれるところはやればいいということでは、100年たっても変わらないと思います。
 以上です。

【加治佐主査】
 ありがとうございました。非常に明解な論を展開していただいたと思います。
 本日、結論を出す必要もないし、次回はこの必置の部分を除いた素案が出ます。それを踏まえて、最終的に必置についての結論といいますか、表現の仕方を工夫することになると思います。
 私の捉え方としては、特に教育委員会の団体の方々からは、もちろんコミュニティ・スクールの意義は認め、これを拡充する方向は大歓迎であると。これは一致しているわけですね。ところが、場合によっては必置ということでも構わないのかもしれないけれども、必置の際の裁量を校長や自治体に認めてくれということもあったと思います。こうなると、またここはどのようにするかは難しいことにもなるかもしれません。要するに、必置というのは一律の制度設計なのか、一応制度設計を必置として、その上でどこまでの裁量を認めるのかなということに落ち着いていくのかなという気がしました。
 私の率直な意見だと、画一的な必置にすると、かなり反発が出るし、形骸化するのではないかなという印象は持ったところです。貝ノ瀬先生が言われることは、実によく分かります。確かに経験者として、あるいは成功者として、よく分かるのですが、ただ自治体の中には、なかなかそういうことが分かっていても、そこに踏み切れないとか、そういうことも感じたような次第なんですね。
 もう時間がないんですが、何か一言。はい。

【天笠副主査】
 今の主査の言葉に関わりまして、私もそれぞれの発表の中にあった、裁量ですね。学校の裁量ということを言われた関係の団体の方もいらっしゃった。このあたりのことについての位置付けとか、文脈の中にどう受け止めていくのかということ。そのあたりをしっかりとこの会で検討していく必要がある点の一つかなと受け止めさせていただきました。
 以上です。

【加治佐主査】
 はい、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】
 私もその点は大賛成です。
 以上です。

【加治佐主査】
 はい。分かりました。
 それでは、よろしいでしょうか。

【藤田(裕)委員】
 済みません。

【加治佐主査】
 手短にお願いします。

【藤田(裕)委員】
 高等学校と総合支援学校の関係で、一つだけ確認ですが、この部会は「地域とともに」となっているですが、やはり高等学校、総合支援学校というと、地域という概念と、それから実際のコミュニティ・スクールのコミュニティという言葉の直訳的な関係がどうなっているのかということがあると思うのです。
 やはりコミュニティというのは、社会全体を指す言葉としては、高等学校も総合支援学校もコミュニティ・スクールなんだけれども、地域とともにとか、狭い学校のある地域ということになってしまうと、無関係で辺が遠いという認識になるような気がします。そのあたりは何かコミュニティ・スクールという概念を高等学校と総合支援学校については、もう少し広げるようなことが可能なのかどうかということを、先ほどの議論を聞いていて少し思いましたので、意見だけ言わせていただきます。

【加治佐主査】
 この地域という意味、範囲は、一律ではないということは、最初から言われております。その辺りは。

【廣田参事官補佐】
 いわゆる地域というのは、学区だけを想定したものではないというのは、はっきり言うことができるかと思います。したがって、高校、特別支援学校の場合の地域の捉え方というのは広範囲になるということは、前提条件として押さえておく必要があるかなと思います。

【加治佐主査】
 ですから、そういうことをはっきり書かれるべきだということですよね。

【藤田(裕)委員】
 はい。

【加治佐主査】
 分かりました。
 それでは、よろしいでしょうか。時間が参りましたので、このあたりにしたいと思います。
 次回は、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について、引き続く議論を行います。必置の部分以外につきましては、審議のまとめ、文章化したものを素案としてお示しする予定です。
 それでは、次回以降の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】
 失礼いたします。資料12に今後のスケジュールがございます。今、座長からお話がありましたように、次回、3回目の仕組みの必置の議論に加えて、これから審議のまとめを10月に向けて取りまとめていくことになりますので、その素案を次回に出させていただいて、御議論いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】
 それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。御苦労さまでした。

――了――

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