資料3 浜田氏 提出資料

中教審初等中等教育分科会 チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会
2015年4月28日

 学校組織およびスクールリーダー育成の諸課題について

浜田博文(筑波大学人間系教授)

1. 「“チームとしての学校”表現に内包される学校組織課題」の多様性

(1) 教育課題の多様化・複雑化と「教員」単独対応の困難化
(2) 学校スタッフの多様化(文献4,5)
  ・業務内容を専門分化・特殊化された(specialized)スタッフ・人員の配置
  ・雇用形態・勤務態様の異なるスタッフの混在
  ・学校スタッフにおける正規教員(教諭・養護教諭・事務職員等;profession)の割合低下
(3) 学校と外部者(地域・保護者等)の連携・協力関係の必要
  ・「開かれた学校」の提唱・拡大(臨教審以降)
  ・学校支援ボランティアの拡充
  ・学校評議員,学校運営協議会,学校支援地域本部,etc.

2. 学校・教職員の実態

(1) 依然として続く長時間勤務(文献1,2など)
(2) 新たに生じつつある課題
  ・情報共有と共同研修の困難化,勤務管理の複雑化など(文献5)
  ・外部との連携・協力に関わる業務の増大(特に校長・教頭)(文献3)
  ・いろいろな「専門家」と「“教育専門職”としての教員」の位置関係は?・・・
   学校組織をリードするのは誰?(文献7)

3. ミドルによるリーダーシップの重要性と困難さ

(1) 学校組織にとって不可欠の「ミドル」・・・多方向コミュニケーションの触媒(文献8)
  ・管理職と管理職以外の職員の間
  ・一般教職員どうしの間
  ・教員と教員以外の多様なスタッフの間
(2) 主幹教諭制度の多面性と扱いづらさ・・・大規模校,大規模自治体向けではあるが
  ・主任機能の強化,教頭機能の補完
  ・管理職候補者のストックとステップ
(3) 小規模学校の人的リソースの貧困さ
  ・職員数,年齢偏在,地域人材,教員免許所持人材など
  ・スクールリーダー育成の難しさ 

 4. スクールリーダー育成の課題

(1) 重要性を増すミドル,と同時に重要な校長のリーダーシップ
  ・「校長・教頭の資格要件緩和」&「組織マネジメント」のみからの脱却の必要
  ・「教育の専門性」を核としたリーダーシップの必要性(校内,対外)・・・進まないスクールリーダーの専門的育成
(2) スクールリーダー育成の必要条件
  ・職能向上を捉える枠組みの必要性・・・例)「テクニカル・スキル」-「ヒューマン・スキル」-「コンセプチュアル・スキル」の「コンセプチュアル・スキル」をいかに育成するか?(文献6)
  ・教諭-主幹教諭-教頭・副校長-校長の在職期間を通じた職能向上
  ・多様な教育系大学院での学び保障


【参考文献】

  1. 国立教育政策所編『教員環境の国際比較-OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2013年調査結果報告書』明石書店, 2014年
  2. 国立大学法人東京大学『教員勤務実態調査(小・中学校)報告書』(平成18年度文部科学省委託調査研究報告書),2007年3月
  3. 全国公立学校教頭会『全国公立学校教頭会の調査―平成26年度―』,2014年12月
  4. 浜田博文代表『小・中学校における学校教職員の多様化の進展と協働の実態に関する基礎的研究』(平成19年度財団法人文教協会研究助成報告書),2008年3月
  5. 浜田博文代表『小・中学校の課題多様化に対応した学校組織の協働のあり方に関する調査研究』(平成20年度財団法人文教協会研究助成報告書),2009年3月
  6. 浜田博文「総括:大学院におけるスクールリーダー教育の課題―『大学院によるスクールリーダー教育』の展開へ―」『学校経営研究』第34巻,大塚学校経営研究会,2009年4月,pp.33-44
  7. 浜田博文「『学校ガバナンス』改革の現状と課題―教師の専門性をどう位置づけるべきか?―」『日本教育経営学会紀要』第54号,第一法規,2012年5月,pp.23-34
  8. 浜田博文「ミドルリーダーを核とする組織論―ウェブ(クモの巣)型組織としての学校―」,『(第14 回スクールリーダー・フォーラム)ミドルリーダーの実践と育成支援―大学・学校・教育委員会のコラボレーション―』(大阪教育大学スクールリーダー・フォーラム事務局編集,大阪教育大学・大阪府教育委員会・大阪市教育委員会合同プロジェクト),2014年11月,pp.27-34

など

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