教員養成部会 教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成26年7月9日(水曜日)13時00分~14時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 共用108会議室

3.議題

  1. 課程認定制度の見直しの方向性について
  2. 養成・採用・研修を通じた学校・教育委員会等の連携の在り方の方向性について
  3. その他

4.議事録

【髙岡主査】
 それでは、定刻になりましたので、ただ今から、「教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ」第3回を開催いたします。
 御多忙の中、しかも、足元のお悪い中、御出席いただきましてどうもありがとうございました。
 本日は、細谷委員から欠席という連絡を頂いております。
 それでは、最初に事務局の方から、本日の配付資料について確認をお願いいたします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元にございます資料、まず、議事次第でございます。
 次に、資料1といたしまして、「課程認定制度の見直しの方向性について~論点メモ~」、1枚物でございます。
 資料2-1としまして、カラーのA4横の資料でございます。資料2-2としまして、これもA4横の1枚物、「課程認定制度の見直しの方向性について」でございます。
 資料3-1としまして、こちらも論点メモということで、右上をとじたものでございます。資料3-2と3-3、いずれもカラーのA3になりますけれども、3-2が「教育課程の見直しの考え方」というものでございます。3-3が、文字が若干細かい資料になっておりますが、「養成・採用・研修を通じた大学と学校・教育委員会等の連携の在り方の方向性について」という資料でございます。
 資料4-1としまして、教員の養成・採用・研修における、ワーキンググループ(第1回)の主な意見でございます。資料4-2、ワーキンググループ(第2回)の主な意見になっております。
 資料5、ワーキンググループ(第2回)の議事録になっております。
 資料6、1枚物で、今後のスケジュールとして、次回のワーキンググループの日程を示したものでございます。
 次に、参考資料としまして、参考資料1、「今後の学制等の在り方について」、教育再生実行会議の第五次提言でございます。
 参考資料2-1としまして、カラーの1枚物で、「我が国の教員の現状と課題」、調査結果をまとめたものになっております。参考資料2-2としまして、「OECD国際教員指導環境調査のポイント」、こちらもカラーの資料でございます。
 それ以外に、委員の先生方には、お手元に机上資料として幾つか配付をさせていただいております。 以上でございます。落丁乱丁等ございましたら、事務局までお知らせください。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 今日は、先般、OECDのTALISのデータが出て、公表されたということもあるので、このワーキングの議論にも非常に密接な関連があるということで、資料も作っていただきましたので、議事に入ります前に、TALISと、さらに、先般出されました再生実行会議の第五次提言、こちらも既に新聞報道等で御存じかと思いますが、これについて事務局から説明をしていただいて、改めて議論に入っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、事務局、よろしくお願いします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 それでは、まず最初に、参考資料1の「今後の学制等の在り方について(第五次提言)」を御覧いただければと思います。
 時間の都合上もございますので、できるだけ、このワーキンググループの審議に関連するところを中心に、ポイントのみ御紹介をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 1枚めくっていただきまして、「はじめに」ということで、今後の学制等の在り方についてということの提言でございます。
 このような検討がなされる背景といたしまして、二つ目の段落にございますけれども、日本を支える人材は、戦後約70年にわたり、6-3-3-4制の学制の下で育成されてきましたが、子供や社会の状況は大きく変化ということで、現在の学制の原型が導入された当時と比べて発達の早期化が見られるほか、自己肯定感の低さ、小1プロブレム、中1ギャップなどの課題が指摘、また、グローバル化への対応やイノベーションの創出を活性化する観点から、英語教育の抜本的充実や理数教育の強化、ICT教育の充実が求められている。さらに、産業構造の変化や技術革新が進む中、質の高い職業人の養成が求められている、こういった背景がございます。
 その中で、2ページを御覧いただければと思いますが、提言は今回、三つの柱になっておりまして、そのうちの一つが、まさにメインになる学制の構築ということでございます。
 1といたしまして、子供の発達に応じた教育の充実、様々な挑戦を可能にする制度の柔軟化など、新しい時代にふさわしい学制を構築するということで、そのうち一つ目の(1)、全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため、無償教育、義務教育の期間を見直すということが提言されております。
 具体的には、資料の3ページを御覧いただければと思います。一番上の丸になりますけれども、3~5歳児の幼児教育について、財源を確保しつつ、無償化を段階的に推進し、希望する全ての子供に幼児教育の機会を保障する体制を整えるとした上で、次の丸のところで、3行目になりますが、設置主体等の多様性も踏まえ、より柔軟な新たな枠組みによる義務教育化を検討するということも言われているところでございます。
 また一方で、その下へ行きまして、(高等学校教育、修学支援の充実)ということで、高等学校教育の特色化、あるいは、高等学校段階における教育機会の保障や奨学金等々のお話も出ているところでございます。
 次に、3ページ目の下の(2)、こちらは特にこのワーキングに関わる部分ですが、小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進するというところでございます。
 具体的には、4ページの四角の枠囲いの中を御覧いただければと思います。
 一つ目の丸にございますけれども、学校段階間の移行を円滑にする観点から、幼稚園等と小学校、小学校と中学校などの学校間の連携が一層推進されるよう、国は、教育内容等を見直すとともに、地方公共団体及び学校は、教員交流や相互乗り入れ授業等を推進する。また、次の行にございますが、小学校における専科指導の推進を図るとされております。
 次の丸でございますが、国は、小学校段階から中学校段階までの教育を一貫して行うことができる小中一貫教育学校(仮称)を制度化し、9年間の中で教育課程の区分を4-3-2や5-4のように弾力的に設定するなど柔軟かつ効果的な教育を行うことができるようにするということでございます。
 その次の丸の3行目からになりますけれども、5-4-3、5-3-4、4-4-4などの新たな学校段階の区切りの在り方について、引き続き検討を行うとされているところでございます。
 次に、(3)でございますが、実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する。また、高等教育機関における編入学等の柔軟化を図るということで、高校の早期卒業等も盛り込まれておりますが、ここでは説明を割愛させていただきます。
 次に、6ページを御覧いただければと思います。こちらは教員の在り方ということで、教員免許制度を改革するとともに、社会から尊敬され学び続ける質の高い教師を確保するため、養成や採用、研修等の在り方を見直すというところでございます。
 子供一人一人の可能性を引き出し、能力を伸ばしていく教師の存在が不可欠、その資質・能力の向上や配置の充実を一体のものとして行わなければなりません。教師が自らの人間性や専門性を発揮して子供を教え導くことができるよう、学制改革の機会を捉え、免許、養成、採用、研修、配置、処遇などの制度全般の在り方を考える必要がありますとされております。
 具体的な事項といたしましては、7ページの枠囲いの中を見ていただければと思います。
 一つ目の丸ですけれども、国は、教師が教科等の専門性に応じ、小学校と中学校、中学校と高等学校などの複数の学校種において指導可能な教科ごとの免許状の創設や、複数学校種の免許状の取得を促進するための要件の見直しなど教員免許制度の改革を行う。地方公共団体は、複数学校種の免許状保有者の採用や、現職の教師による他校種免許状の取得の促進を図るとされております。
 次の丸は職員配置に係る部分ですが、2行目、小学校における専科指導のための教職員配置を充実する。また、最後の行になりますが、文化・芸術・スポーツの指導者など多様な人材の積極的な登用を図るとされております。
 三つ目の丸は、特別支援教育に係る部分になりますけれども、発達障害児を含む特別支援教育を必要とする児童生徒への対応ということで、国及び地方公共団体は、教師の専門的指導力向上とともに、教職員配置や専門スタッフの充実を図る。また、特別支援学校の教師は必須化も視野に入れ、特別支援学校免許状の取得を促進するとされております。
 その次は、養成、採用、研修等の在り方というところですが、実践的な力を備えた教師を養成し採用することができるよう、国は、大学において、インターンシップやボランティア活動など学生に学校現場を経験させる取組を推進するとともに、採用前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じて適性を厳格に評価する仕組み(教師インターン制度(仮称))の導入を検討する。こうした仕組みの導入に際しては、教育実習の内容や期間、地方公共団体や学校による採用選考の時期や期間、初任者研修の内容や研修期間中の教職員定数の在り方等も含め、総合的な検討を行うとしております。
 また、その次、大学に関するところとしまして、大学は、質の高い教師を養成するため、実践型のカリキュラムへの転換、組織編成の抜本的な見直し・強化など、教員養成を担う学部や教職大学院の質的充実を図る。地方公共団体と教職大学院などの大学が連携して、管理職を養成する研修も含め、教師の研修を充実し、自ら学び続ける強い意志、リーダーシップや創造性なども含めて資質向上を図るとされてございます。
 その次の丸でございますが、教職員配置、あるいはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門家の配置、制度面・財政面での整備の話。
 一番最後の丸は、処遇の話という形になっております。
 三つ目の柱といたしましては、8ページにございます、教育を「未来への投資」として重視し、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支えるということで、教育に関する財源措置を含む条件整備についての話でございます。この点については、説明を省略させていただきます。
 教育再生実行会議の提言は以上でございますけれども、次に、先般、取りまとめられましたOECDの国際教員指導環境調査の結果について、御説明をさせていただきます。資料は、参考資料2-1の1枚物と、資料2-2のポイント資料を見ていただければと思います。
 まず、調査の概要ですけれども、資料2-2の1ページ目にございますとおり、調査の目的としては、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査ということで、調査自体は2回目になりますが、今回、日本は初参加ということになります。
 調査対象は、中学校及び中等教育学校前期課程の校長及び教員ということで、1か国につき約200校程度、1校につき教員20名を抽出するという形になります。この場合の教員というのは、非正規教員も含めてランダムで抽出されております。
 日本の参加状況としましては、全国192校、各校約20名の教員が質問紙に対する回答を行うという形で、また、この調査は私学も対象になっておりますので、国公立が90%、私立が10%というものになっております。
 調査時期としては、昨年2月から3月中旬に掛けまして、質問紙調査を行ったということでございます。
 結果の概要でございますけれども、資料2-1の1枚物を御覧いただければと思います。
 まず、今回の調査の中で、一つは、日本の教育実践につきまして明らかになってきたこととしましては、日本においては、校内研修等で教員が日頃から共に学び合い、指導改善や意欲の向上につながっているという状況が明らかになってきたところでございます。
 具体的には、一つ目に示しておりますが、日本におきましては、組織内指導者による支援を受けている教員の割合、あるいは、教員やその他の教員から自分の指導についてフィードバックを受けているという教員の割合が非常に高いという結果が出ております。また、教員間の授業見学や自己評価、生徒対象の授業アンケートなど多様な取組の実施割合が高かったということでございます。
 「他の教員の授業を見学、感想を述べる」ということについて行っている割合は、日本がオレンジになりますけれども、93.9%と、参加国平均を大きく上回る状況でございました。また、「研修で他校の授業を見学」するというところも、非常に割合が高いという結果が出てございます。
 一方で、様々な課題も明らかになってきたところでございます。右上にございますが、研修への参加意欲は高いが、業務多忙や費用、支援不足が課題となっているということでございます。
 日本の教員ですけれども、公式の初任者研修に参加している割合が高い。また、校内研修も盛んに行われている。また、教員のアンケート調査の中では、様々な分野の研修について、非常に高いニーズを示しているというデータもございますが、一方で、参加への障壁として業務スケジュールと合わないことを挙げる教員が特に多いということで、多忙であるために参加が困難になっている状況があるのではないかというところでございます。
 また、左下に参りますけれども、教員は、主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低く、ICTの活用等の実施割合も低いということでございます。
 こちらについては、ポイント資料の9ページを御覧いただければと思います。表12.1から12.3まで、合計で12個の項目がございます。「学級運営について」、「教科指導について」、「生徒の主体的学習参加の促進について」ということでございます。
 今回、自己効力感というものにつきましては、ここに書いてある、例えば、「学級内の秩序を乱す行動を抑える」とか「生徒のために発問を工夫する」といった各事項につきまして、教員は、「非常に良くできている」、「かなりできている」、「ある程度できている」、「全くできていない」の4段階で、自己評価をするという形になってございます。このうち、「非常に良くできている」及び「かなりできている」と回答した教員について、高い自己効力感を示している教員の割合という形で整理をしております。
 その中で見てまいりますと、実は、表12.1から12.3までで、学級運営につきましても、例えば「学級内の秩序を乱す行動を抑える」が、参加国平均では、「非常に良くできている」、「かなりできている」が87%に対して、52.7%という形になってございます。その他の項目につきましても、押しなべて日本の教員は、自己効力感の部分が低い数字になっているというところがございます。
 このような結果が出た背景といたしましては、一つは、先ほど、4段階で評価をしていると申し上げましたけれども、今回、日本の教員の回答としては、「非常に良く」と「かなり」という回答が少なくて、「ある程度できている」という回答が多かったということは言えます。
 また、日本の教員が他国の教員に比べて、指導において高い水準を目指しているからこそ自己評価が低いですとか、あるいは、実際の達成度にかかわらず謙虚な自己評価を下しているという可能性もあるのではないかと思います。
 しかしながら、この三つの表を見ていただきますと、特に一番下の「生徒の主体的学習参加の促進について」は、確かに国際平均よりも低いんですが、低さが極めて際立っている。ほかのところでは40%から50%ぐらいあるところが、例えば、「生徒に勉強ができると自信を持たせる」は17.6%、また、「生徒が学習の価値を見いだせるよう手助けする」26.0%、「勉強にあまり関心を示さない生徒に動機付けをする」21.9%、「生徒の批判的思考を促す」が15.6%ということで、これは謙虚に評価しているという面もあろうかと思いますが、それにしても突出して低い数字になっているということで、ここは日本の、これは中学校段階の教員になりますけれども、自己評価としてこういう形になっているということで、非常に課題ではないかというところでございます。
 また、1枚物の資料に戻っていただきまして、各指導実践を頻繁に行っている教員の割合につきまして幾つか拾いましたけれども、「少なくとも一週間を要する課題を与える」という取組を行っている割合が14.1%、あるいは、「進度に応じて異なる課題を与える」、「少人数グループで共同の解決策を考え出す」といった取組も参加国平均より低い。また、「生徒が課題や学級の活動にICTを用いる」が9.9%で、こちらも、参加国34か国・地域中で一番低い数字であったということがございます。
 最後に、1枚物の資料の右下の部分になりますけれども、やはり教員の勤務時間は参加国中で断とつに長い。人員の不足感も大きいということで、1週間当たりの勤務時間の合計が約54時間ということで、これも参加国中、最も長かった。何が長いかという内訳を見ると、特に長いのが課外活動、文化・スポーツというところ、あるいは事務作業、学校運営業務といったところが長くなってきているということでございます。授業に関する部分としては、授業時間と授業計画・準備時間を合わせると大体、参加国程度という形になっておりますので、どういうところで日本の教員の多忙感が出ているかということも分かっているということでございます。
 文部科学省としましては、こういった取組を踏まえまして、今後、正にここで御議論を頂くような教員の資質向上ですとか、あるいは、ICT教育の推進、教職員等の指導体制の充実といったところを取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 あと10分程度、時間があります。二つの大分方向の違う話ではございますが、どこからでも結構です。どなたか、御質問なり、御意見なり、おありになればどうぞ。いかがでしょうか。
 TALISですが、私もこの冊子を読ませていただいて、幾つか考えることがありました。今、柿澤さんから説明いただいたような感想も持つんですが、日本の学校の先生方の自己認識というのは、かなり実態に近いというのか、あるいは実態よりも小さいというのか、遠慮がちな回答が多いんだろうなという感じがします。それは、日本の教育の持っている文化的な風土みたいなものとの関わりが大きいだろうと思いますから、そういう見方と、それから、専門職だというふうに社会的には一定程度、持ち上げられるんだけれども、何かあると学校の先生ということが絶えず言われるという環境の中で、自己効力感が低いというよりは、何か自信がないというんですか、ある意味で、自己満足度がそれほど高くないというようなことなのかなと思ったりもしました。
 それと、これは理屈があって申し上げているわけではありませんけれども、中学校の先生方というのは、今、学校の現場の中で、いろいろな課題が集中的に現れるところで、特に自己効力感なんていう項目で言うと、高等学校や小学校の先生よりも、ひょっとすると落ち込むかもしれないなという印象もありました。
 それで、TALISは今後ずっと参加するということでしょうか。あるいは日本独自の調査ということも、国研さんあたりにお願いをして、やっていただくと、もうちょっと掘り込んだ研究ができるかもしれないなと思ったりするんですが。
【柿澤教職員課課長補佐】
 TALIS自体は、5年に1回という形でございまして、まだ次回の参加について、特に決めているわけではございませんが、今回、様々な有益な示唆も得られましたので、それも踏まえて考えていきたいと思っております。
 また、今回、調査の中で、こういう項目も聞いた方がいいのではないか、あるいは、こういう聞き方をした方が、もうちょっと数字も出てくるのではないかというようなところについては、今後、次回の調査内容の改善に向けてはしっかり意見を言っていきたいと思っております。
【髙岡主査】
 学力調査と同じように、教員調査もやってみたらどうかなと思うんですけどね、恒常的に、日本でも独自に。
 どなたか、ございませんか。第五次提言も出ておりますので。どうぞ。
【若月委員】
 本当に認証評価みたいで申し訳ないけれども、それでもいいでしょうか。
 今、髙岡先生がおっしゃったんですけれども、自己有用感が低いとか自分に自信がないというのは、私は、これは根拠はないんですけれども、ほかの国は学校教育の目的は何なのか、日本における学校教育の目的は何なのか、その辺の違いが底流に流れているんじゃないだろうかという気がするんです。
 私の知っている本当に狭い範囲ですけれども、例えば、アメリカならアメリカの場合も、徳性の涵養(かんよう)なんていうことよりも、具体的に、PISAの調査が該当するかどうか分かりませんけれども、そうした定量的なものを学校にはっきりと要求したり、教員の使命として与えられているので、ところが日本の場合には、学力が落ちてPISAの成績が悪いと、学力はどうなっているという話になる。その一方で、子供たちのいろいろな問題行動があれば、もっと徳性を上げなければいけないというようなことで、非常に学校教育に与えられるミッションというものが広がり過ぎている。
 そんな状況が多忙化も引き起こしているし、教員の気持ちの中で、何となく自分に自信が持てないという、そんなものが横たわっているのかなという、印象で申し訳ありません。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいらっしゃいませんか。堀竹先生。
【堀竹委員】
 現場を預かっている校長という立場からですが、今の若月先生の御発言の内容、私たちもそういう感覚を持っています。とにかく事が起こると、何でも教育でやってほしい、学校への課題として示されるわけです。そしてそれが、解決には一定の時間が掛かるにもかかわらず、次に大きな課題がまた来てしまい、結局、一つ一つをやり遂げたという実感が学校現場の中で十分感じられないままに過ぎてしまっているのが現状です。そして、また様々な課題への取組を求められるというところに、教員の自己効力感、自分でやり遂げた、自分は精一杯やったといった気持ちが持てないことが背景にはあると、根拠は明確ではございませんけれども、思っております。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 どうぞ。
【岸田主査代理】
 私も印象めいた話ですけれども、髙岡先生がおっしゃった、中学校固有の課題というところも関係していると思っているんです。
 教員が抽出で20名ですので、一定の規模がある学校だと思うんです。こういう一定の規模のある学校が、生徒指導の問題であるとか様々な課題を他の校種に比べて抱え持っているというのは、全国的な状況として、あるだろう。
 その中で、なかなか自己効力感というものを教員が持ちにくいという現状が、とりわけ中学校において起こっているのではないかなという感じはいたします。
【髙岡主査】
 ほかに。八尾坂先生。
【八尾坂委員】
 関連して、自己効力感というキーワードがございますけれども、一応、日本の先生は、ほとんど全ての先生が一生懸命やっていると思うんです。ただ、学校文化というか、風土の中で、やったことが認められるかというか、自分がやったことが組織の中で、そういう風土もあると思うんですが、ひょっとしたらそういう状況もあるのかなということを考えます。
 また、教育委員会なんか今、学校支援室とかそういう名称を、支援するような部屋を設けつつあると思うんですが、それだけでも、学校で解決できない課題等を、いろいろな意味でサポートしていくという積極的な姿勢は、条件整備も含めて、ますます必要になってきているのではないかなと思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。どうぞ。
【大坪委員】
 今、初めて見たので、目に付いたところを2点、気になっているので、今後、分析を期待したいんですけれども、本紙の方の52ページを見ますと、参加している国の中で、女性の割合が日本だけ極めて低いんですね。ほかの国の半分ぐらいで、女性が39%、ほかの国は六、七十%、八十%という感じの中で、日本だけ、集団がほかの国と違う感じがすること。
 それから、62ページに、現在の在籍校での勤務年数、これはやはり諸外国に比べて、多くの方が知っておられるように、日本は四、五年という感じになっていて、韓国あるいはキプロスはそのぐらいですけれども、ほかの国がほとんど10年を超えるという勤務年数から考えると、自己効力感その他の分析のときに、こういうことも含めた分析が今後必要なんじゃないかなという気がしています。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 TALISに御意見、御質問が集中いたしましたけれども、時間も迫ってまいりましたので、次の議題も、本格的にやらなければいけないものもございますので、これぐらいにさせていただきたいと思います。
 教育再生実行会議の第五次提言の中で、学制改革の問題とそれに対応する教員の養成・採用・研修の改善を促すということが強く謳(うた)われているということを踏まえて、元から分かっていたことであるといえばそのとおりなんですけれども、このワーキングでどういう方向性を出していくかということは大きな課題であろうと思いますので、次へ行って、議事に入らせていただきたいと思います。また、TALISについて何かあれば、事務局にも御質問なり、御意見なりをお寄せいただければと思います。
 それでは、今日は議題が大きく二つということですが、まず、事務局から、課程認定制度の見直しの方向性ということについて、資料に基づいて御説明を頂きたいと思います。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、資料1を御覧ください。「課程認定制度の見直しの方向性について~論点メモ~」というものでございます。
 課程認定制度につきましては、教員養成を行う課程を文部科学大臣が認定するという制度でございますけれども、これについて見直す必要性がないかということで、三つの観点を掲げさせていただいております。
 一つ目が、大学ごとの認定の仕組みの導入でございます。
 (現状)は、まず、教員養成課程というものですが、これは学部・学科等の学位課程に置くこととされておりまして、したがいまして、その学位課程ごとに認定が行われてきておりますけれども、このために、同一大学内に同種の教員免許に係る教員養成課程が複数存在し得る状態でございます。そして、授業内容が異なるなど、大学としての教員養成の質の担保・保証には課題が見受けられる例がございます。
 このような中で、昨今、教員養成課程を統括する組織、教職センター等と呼ばれておりますが、こういうものの自主的な設置によって大学全体を統括するという仕組みが進んできているものの、依然として、各学位課程で教員養成の取組が行われているという実情が多くございます。
 これを踏まえまして、(見直しの方向性)として、全学的な責任体制の下に教員養成課程が設置・運営されるよう、認定を大学ごととすることをどう考えるかということがございます。これにより、原則として、一大学に同種の教員免許に係る教員養成課程を複数置くことはできないこととするということになってまいります。
 かつ、全学的に教員養成課程を統括し、ファカルティーディベロップメントなどの教員養成の質を高める取組を主導的に行う組織の設置を求めてはどうかというものが、一つでございます。
 次に二つ目でございますが、学位課程共同型教員養成課程の導入という観点です。
 (現状)は、1と同様のものがございまして、さらに、もう一つございます。現在、大学においては、学位課程横断型の科目開設とか学際的な学位課程の設置が非常に拡大しております。このような中で、教員養成課程といいますのは学位課程ごとに置き、その学位課程ごとに必要な授業科目を開設するようにということをお願いしてまいりましたが、このような仕組みが大学の実情に合わずに、無理な調整をされたり、理解不足によって基準違反を起こすという例が増えてきております。
 このような中で、教員養成課程は、免許の専門性と相応性を有する同一大学内の複数の学位課程が共同して置くことができることとしてはどうかという点。
 そして、この共同する学位課程は、ただ共同で設置したものに任せればいいということではなくて、学生の履修の適正化を図る観点から、学位課程と教員養成課程の総履修量が適正な範囲となるように、課程の編成や学生の指導に責任を持つということではどうかというものでございます。
 これにつきましては、資料2-1を御覧いただければと思います。今、御説明した1と2の観点を併せまして、イメージとしてどういうことになるかというのを図で示しております。
 まず、資料2-1の一番左側に、現行の学位課程がございますけれども、一つ一つの小さな四角は科目をイメージしておりまして、白いものが教員養成課程共通科目、ストライプのものが免許(ア)を取るために必要な科目、そして、薄いグレーになっておりますけれども、免許(イ)に必要な科目を示しておりまして、教員養成課程(ア)、つまり、(ア)という免許を取ることを目的とする課程というのは、教員養成課程共通科目と免許(ア)に必要な科目から構成され、同様に、教員養成課程(イ)も、それに必要な科目で構成されてくるということで表示しておりますが、現行の部分、例えば教育学系学位課程、これは教育学部などが想定されますが、こういうところで出す免許というものもございますが、一方で、その下の教育学系以外の学位課程(A)、そして(B)、ここでも免許を出せるということでございまして、実は、(A)と(B)は同じ科目を置いているということでございます。法令上は、同じ科目をそれぞれが置くことによって、それぞれが同じ免許を出すというようなことが今、行われております。
 これをどう変えていき得るかということで、右側の三つがございまして、例えば、教育学系学位課程と教育学系以外の学位課程が、免許に関する教職課程を置きたいというときに、全学共通の科目というのもあるんですが、教育学系学位課程が教員養成センターとしての機能を持ちまして、ここに複数の免許を出す場合には、それに係る科目の多くが置かれてまいります。そして、それ以外の学位課程(A)、(B)、(C)などは、教育学系学位課程に対して専門性を発揮して、幾つかの単位を取れるような科目を提供する形で、共同で設置をしていくというようなスタイルになってまいります。
 その隣、右側の方のものは、教育学系学位課程を持っていない大学のパターンでございまして、教育学部がないような場合には、例えば理学部ですとか、文学部ですとか、そういう学部同士でお互いに専門的な科目をある程度持ち合いつつも、教員養成センターという全学組織を置きまして、そこに各学位課程で賄い切れないものを置いて、それぞれ免許を取れるような課程を構成していくということになります。
 一番右側にありますのは、教育学系学位課程のみで教員養成課程を開設するという場合で、ほかの学部は単位に関する科目を提供することもせず、教育学部のみで教員養成を行うというようなパターンでございます。
 いずれのパターンにしましても、いろいろなパターンがあるんですが、何らか統括するような組織がありまして、それにほかの学位課程が協力するような形で、免許の課程が置かれてくるというイメージでございます。
 2ページ目につきましては、そのイメージを簡単に図示したものでございますが、教育学部があるような場合には、左側ですが、教員養成センターが、ここは機能を持ちまして、ほかの学部が協力をしていくということですが、教育学部のようなものがない場合は、右側になりまして、各学部がそれぞれの免許に必要な単位をある程度開設しつつ、しかし、教員養成センターというものが、それ以外の部分も担って全体を統括していくというようなイメージでございます。こういう考え方について、どうかということで御議論いただければと思っております。
 先ほどの資料1にお戻りいただきまして、もう一つが、3としまして評価の仕組みの導入でございます。
 (現状)は、認定をいたしますと、その後につきましては特段、評価の仕組みなどがないということで、長期間経過し、法令や基準に違反している課程が確認されております。
 また、認定後の事後チェック機能として課程認定委員会により実地視察を行っていただいておりますが、現在、認定課程数が全国で2万4,000を超えておりまして、年間30から50大学の視察をするということでは、全体的な質の確保・向上が難しいということがございます。
 このようなことから、認定時のみならず、認定後も教員養成の質の確保・向上が図られるように、認定という仕組みと連動して、あるいは別に、定期的な評価の仕組みを導入することについて、どう考えるかという観点でございます。
 資料2-2をごらんいただければと思います。案としまして、三つお示ししているものでございますが、現行が一番左側でございます。
 (現行)は、認定のみということで、法令等で定められている最低基準を満たしていれば、文部科学大臣が認定を行います。このまま一切何らの評価等もないというものでございます。
 それに対して、(案1)は、認定制度を基盤とするんですが、そこに有効期間を付けまして、有効期間を超えて新たに認定を受けたいという場合には、過去の取組についても審査対象としまして、そういったものを一定の評価をすることも含み、法令等の基準を満たしているかということと併せて認定を行っていくというような認定と評価の連動型でございます。
 (案2)は、評価のみでございまして、一定期間ごとに評価を行うということのみで、文部科学大臣の認定はやめてしまうという案でございます。したがいまして、評価の仕組みの中で、法令等の基準を満たしているかということと過去の実情・実績がどうだったかということ、両方を見ていただくということになります。初めて設置するときも、この評価の仕組みを通過していただくことが不可欠になるであろうと思われます。
 一番右が(案3)でございますけれども、これは、認定はするものの、その後については一定期間ごとに評価を行っていくというもので、認定と評価を一応、仕組みとしては切り離したものとしておくという案でございます。
 このような考え方がとり得るかと思われますが、御意見を頂ければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 それでは、課程認定制度、かなり踏み込んでいる話でございますが、私の理解するところでは大きく言えば、学部・学科単位の課程の認定、教職課程の認定を大学が責任を持つという、大学全体の責任において、大学全体として認定する、あるいは申請をするということ。2番目もその変形だろうと思いますけれども、それから、課程の認定というのを、入り口管理だけではなくて、事後の認証制度も導入する。この2点が大きな論点かと思います。
 どちらからでも構いません、議論の皮切りをやっていただければと思います。どなたかいらっしゃいませんか。どうぞ。
【渋谷委員】
 大きな3点とも、方向性として、私は賛成でございますが、本当に純粋な質問なんですが、最後の課程認定制度の見直しのところで、(案2)というのを私は初めて拝見したんですが、「認定無し」とありますけれども、全く認定なしで、いきなりスタートできちゃうということでしょうか、大学ごとであれ、学部であれ。あとは評価だけということでしょうか。
 ちょっとここのイメージが湧かなかったものですから、お願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 そこは考え方が二つあると思っておりまして、例えば一番最初のときに、何もチェック機能がないということが不安である、不適切であるということであれば、第三者評価機関に、法令等を満たしているかという評価をしていただいて、オーケーであるとなったら教職課程を設置していくというようなことがあり得ると思います。
 ただ、もう一方で、始まるときには一切見ないで、法令等はどうせ大学は満たしているだろうという信頼の下に始めて、一定期間たったら評価をするという方法もあるかと思っております。
【渋谷委員】
 今の後者の想定について、私は非常に危惧がございまして、(案3)、やっぱり認定はまずやって、その後、一定期間ごとに評価、これが妥当ではないかと個人的には思ったりします。
【髙岡主査】
 規制緩和の動きの中で、大学設置そのものも、かなりそれに近くなっていますね。届出と言うと怒られますから、そんなことは言いませんけれども、かなりそれに近い。その代わり評価を入れるというようなことだろうと思いますので、(案2)というのは、ある意味で、どうでしょうか、これも考え方としてはあり得るという意味では、極端な議論ということかもしれませんけどね。
 ほかに、どうぞ。大坪先生から。
【大坪委員】
 今の渋谷先生の御意見に賛成です。教員免許が国家資格として機能している以上、国家試験の導入をしないのであれば、(案2)のような形で国家資格である教員免許が付与されるというのは、ちょっとまずいのではないかなというふうに。これは国家試験を導入するんだったら、(案2)みたいなこともあり得るかもしれないんですけれども、そこの部分が、今回議論しないのであれば、(案2)は最初からないだろうと思います。
 私自身は、やはり(案3)のような形でやらざるを得ないのかなという気がしています。
【髙岡主査】
 八尾坂先生、どうぞ。
【八尾坂委員】  関連しますが、私たち実地視察とかへ行きますと、この表にも認定・評価内容のところに書いてありますが、少なくとも、共通に出ていますけれども、実情とか実績ということで、免許取得者が専攻によってはゼロに近いとか、あとは教員採用、非常勤も臨時教員も含めて、そういう状況などはブラックボックスみたいに、聞かない限り、まず言いません。
 お聞きすると、そういう状況が、まれにゼロに近いようなところがあるということは、本来の認定の、何のために教職課程を開設しているのかという意義は問われてくるんだと思います。
 ですから、(案1)から(案3)がありますけれども、少なくとも、一定以上という実情・実績というのはこれから問われてくるんじゃないかなということは、共通認識すべきかなと思っております。
【髙岡主査】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【岸田主査代理】
 私もほぼ同様の考えを持っているんですけれども、いわゆる開放制のどこに課題があって、これまでどう検討してきたかということなんですね。一番大きな問題は、認定するときにハードルを幾ら高くしても、そのハードルを越えてしまうと、その後はそれほどチェックされない。そこが一番の問題であって、なかなか質的な向上というところの担保がしにくかったということが、開放制という制度の課題としてある。
 したがって第三者評価というものを入れていかないと、開放制が持っている本来的な課題を解決する方向にはならないのではないか。そういう意味からすると、やはり第三者評価ということを入れていく必要があるんじゃないかと思います。
 それから、(案2)は、私も同様で、やはり一定の認定をしないといけないだろうと思います。
【髙岡主査】
 課程の認定の後の実地視察というのも、実際のところは、最低基準をクリアしているかどうかという視点でやっていますから、案外、最終的に養成部会に実地視察の報告をして、それが公開をされるという中でも、しっかりここはやっていますねというプラス評価のところはほとんどできないんですね、ある意味で。
 基準を満たしています、あるいは、それはちゃんとできていますかという視点で見に行くというあたり、だから、平均値というよりは、法令遵守がちゃんとできているかどうかということを見ている側面が非常に強いので、それはできていますねということを、一定の是正指導をやった上で、調整がしっかり利いたら、そのような評価をしましょうというようなことになるので、そういう意味では、実地視察も含めて、入り口認定と入り口管理の一つの変形がそこに存在するということですから、認証評価ということとは違うんですね、今の状況は。
 だから、そこを一歩踏み込んで、開放制の教員養成制度というものを、もっと実質的に国民に対して、あるいは社会全体に対して、これが正しいんだということをしっかり制度論的に言い続けるためには、出来上がった姿というもの、あるいは実際の大学の努力というものを正当に評価し、できていないところについては低い評価を与えるということが、やっぱりどこかで行われないと、開放制というのは、手を挙げたところはいつまでも手を挙げ続けられるということで、世の中もそう見ていますね、今。だから、そこは一歩踏み込まないことには、質の向上ということにはつながっていかないんじゃないか。
 そのことで、例えば今、20万枚ぐらいの免許を出していて、実際の採用数は10分の1に満たない程度であって、そこに教員の、ある種、専門性を齟齬(そご)する要因もあるんじゃないかという議論もありますけれども、免許を取得する人の数が多いか、少ないかということが問題であるよりも、いつでも先生になる資格と準備ができていますよという人が国民の中に多数いることは大きいことだろうと思いますから、そういう意味で、しっかりこういう制度を作って、いい取組をやっている大学については、逆に、いい評価を付けていく、そのことでますます質の向上につながる、そういう取組をそろそろやった方がいいかなと。
 今、大学の周りは、だから、評価疲れということもありますけれども、やっぱり評価ですよね。事後の評価ですよ。何をやったかということをちゃんと表明してください、あるいは第三者機関が見ますよということですから、教職課程だけは、いまだに入り口認定だけで済ませているということの制度的な齟齬(そご)を調整するということだろうと思いますけどね。
 どうぞ、無藤先生。
【無藤部会長代理】
 質問があります。(案3)だとして、評価のところで、最低限の基準を満たしていなければ、日程の問題に関わって、取消しもあり得るというのは当然だと思うんですけれども、それ以外の実情・実績とか積極的取組のあたりは、3段階、5段階で、要するにA、B、Cみたいになったときに、それを情報公開するという範囲なんですか。
 つまり、非常に低いときに、何かしなさいとか、文科省が再検討させますよとか改善計画を出しなさいということまで考えているのか、そうじゃなくて、世間にA、B、Cランクみたいなものを公開して、受験生なり何なりが、教育委員会なりが、考慮しなさいという話の程度なのかというイメージはどうなんでしょうか。
【髙岡主査】
 大分踏み込んだ話になりますが、ありますか。
【小谷教員免許企画室長】
 そこまで具体的にイメージが完全に固まっているわけではないんですが、(案3)は、評価をする機関が別になってまいりますので、基本的には、その機関が3段階から5段階の評価結果を出して公表することによって、社会がその結果を見て判断をしていくというようなものになってくると思います。
 一方で、(案1)のように、認定制度と評価的な機能を絡めておきますと、文科大臣の方の認定という許認可行為の範囲内に評価が入ってきますので、場合によっては、実はこちらの方が厳しめになり得るということがございます。
【髙岡主査】
 今、大学評価は、国立で言うと中期目標期間、私学で言うと認証評価をやりますね。あれは、一定の評価が出た後、これは文科省がやっているわけじゃないから、何か罰則があるとかそういうことではないですね。
 それに近いものかなと。とりあえず評価のレベルはそういうことかなという感じはしますけれども、確かに、一人一人の先生の話ですけれども、免許更新制は、更新できなければ免許?奪ですから、教員をやれないわけですけれども、今、無藤先生おっしゃった御意見は大事だと思いますけれども、いわゆる大学認証評価という考え方の枠の中でこれを導入していくのか、それとも、免許更新制に近い形で、許認可という枠組みの中で、何年かごとにしっかり中身を見させていただきますよ、駄目だったら辞めていただきますよという、権限行使ということが入るのかどうかですね。
 そこら辺が次の論点になっていくんじゃないかと。今、事務局に、どっちでいくのということでもないだろうと思いますから、極端に言えば、その両端があるだろうということですね。
 それと、実際に大学の評価というのは日本中で常識化されているわけですが、そのための機関もたくさんありますね。だから、そういうところでの認証評価の現状というんでしょうか、教職課程について、例えば特段に取り出して、それをやるということは、評価機関のありようというか、考え方の中には存在しないと考えていいですか。それとも、やってもらえればやってもらえるという話でしょうか。その辺はいかがでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 今あります認証評価の仕組みでございますが、これは、文科大臣が評価する機関を認証するということによって、その機関が認証評価機関になるわけですが、認証評価機関がどういう単位で評価をするかということは、その評価機関の判断の範囲内でございますので、やろうと思えば、既存の機関が教職課程の評価ができないわけではないと思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 1番目はどうですか、大学ごとの認定の仕組み。どうぞ。
【岸田主査代理】
 1と2についてはセットのものだと思うんですけれども、二つ観点があるかなと思っています。一つは、制度としてシンプルにしていく、これは当然そうだろうと思っています。もう一つは、これをすることによる質的向上という観点があると思うんです。
 実は今、現行でも教職課程センターを設置してやっていますけれども、実質的には、余り質的向上のために、本来はそこを狙いにしているんだけれども、その点で有効に働いているとはどう見ても思えない。実際はとりまとめ役として、例えば教育実習の段取りを事務的にやっているとかそういうぐらいのレベルでしか教職センターが働いていないところが多いんですよ、今、実態としてね。
 それが大学として一括して、カリキュラムをどういうふうな形で構築するかという質的な向上につながるところまで、新たに教員養成センターと仮称するものに、働きを持たすことができるかというところに大きなポイントがあって、制度的なシンプルさの部分と、そして、その質を上げるためにこれをどう有効に働かせていくかという視点と、この二つの視点で考えていく必要があるんじゃないかと思っています。
【髙岡主査】
 正にそうですね。大坪委員。
【大坪委員】
 実際に今、2万を超えるような形の学位課程の免許認定が行われているという、非常に煩瑣(はんさ)な部分をシンプルにするということでの大学ごとにというのは、意図はよく分かるんですけれども、教職センターを作ることによって、果たして全てのそれぞれの学位課程が教員養成に対して、ある意味で、自分の手を離れたという感じで、責任性が薄くなってしまうということも一方ではあり得るかもしれない。
 だから、このあたりは、今、岸田先生がおっしゃられたことは私自身も同感なんです。果たして教員養成センターというのが作られれば本当に教員養成の質の担保になるかというと、そのまま直結というふうにはいかない部分もあるか、逆に言えば、それぞれの学部単位においては、特に、資料2-1で言えば一番右の枠囲いで、それぞれの学部から全く免許に関わるものが、一見ないかのような感じになったときに、特に教科の専門の単位に相当する授業をやっていらっしゃる方々が、免許に自分のものが使われているという教科専門としての意識というのが、今以上に薄くなる可能性もあるのではないかという気もするんです。
 それともう一つは、従来、その学部におけるディプロマポリシーとの関係の中で相当性の議論をしてきた部分に対して、大学一つで、ある免許については一本化といったときに、そのあたりの学部のメジャーとしての専門性との相当性というのは、どういう形で担保できるんだろうか。学生が頑張っていろいろ取りに行けば免許を取れますよということを、いろいろな形で許してしまうことになりやしないか。
 現実に多くの大学で、免許に関する単位を、開放制学部ではキャップ制から外しているところが多いんですね。そうすると、免許に対する科目をそれぞれの学部において、学生がどのぐらい取っているかというのもよく分からない形も起きてしまって、無責任性を生むような部分もあって、このあたりは慎重な議論が必要ではないかなと私は思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 そこですよね。これは極端に言えば、大学性善説に立つか、性悪説に立つかというぐらいの話なので、今だって、学部・学科を母体にして免許というのは成立していますよと口が酸っぱくなるほど言っても、普通の大学教員はそうだとは思っていないですよね。
 だから、その枠組みを大学全体として、免許課程というのは、例えば理学部、工学部、いろいろなところに分かれている理科の免許というのを一本にして、大学一本で免許を出しますよと。具体的には、2-1の表のように、要は、いろいろなところで出している専門科目というものを教職課程の教科専門の認定として全部使って、非常に長い帯みたいなものを作っておいて、どこか取っていきなさいということになるんだろうと思いますから、そういう仕組みを導入することによって、決定的に教職課程の質が上がるかどうかという議論は、余り期待できないという感じもするんです。
 ただ問題は、その逆の目もあって、学部・学科単位で免許を出しているんだから、例えば平成18年答申で言われた、全学教員養成カリキュラム委員会というのを作れと。それはありますよね、どこにもね。今度は教職センターという、もっと姿のあるものを作ってやってくださいといっても、学部・学科が免許の主体だったら、てこでも動かない。つまり、専門教育の方が大事なんだから、免許のことは関係ありませんから、余計な単位を増やすのはやめてくれという議論も、実は現状ではできているわけですよ。
 だから、そこを大学全体として管理するということの意味は大きいと思う。それは今、大学改革で議論されている、学長のリーダーシップの問題なんだと思うんですよ。何も教授会を押しのけて学長が何でも決めてしまうというのがあの趣旨だと僕は思っていないので、正当なリーダーシップというものの中に、教職課程を管理運営して質の高い教員を世の中に出していくんだということを、大学全体のポリシーとして公表する。そのことは学部・学科が勝手にやるんじゃなくて、大学がやるんだというふうになっていけば、すぐに変わるとは思いませんが、相当時間経過すると、教職課程というものをうちはちゃんと持っていて、しっかりやっていますよという大学に、その考え方が定着するんじゃないかという期待感はありますね。
 教員養成カリキュラム委員会でも弱かった部分だと思うんですよね。そこが、今、大坪先生が最後におっしゃった、もうちょっと慎重に議論をという、私も結論はそれに近いんですけどね。でも、追求してみる課題ではあると思います。
 最近は、特に課程の認定について、教養系の学部であるとか、いろいろな専門がないまぜになった学部で、それぞれの専門だけ抽出してきて免許を出したいというところがありますね。そのことを認めるかどうかというのは、相当議論の余地が今でもあるところですから、そういうところを今の状態で突き詰めていった方がいいのか、それとも、大学全体でしっかり管理するという、いわば言質をしっかりとることで、あるいは制度的にもそれを保障することで、大学に責任の範囲をちゃんと自覚するように促すということは可能かなという感じがしますね。
 もちろん、専門相当性というのはなくてもいいんだと。理学部へ入って国語の免許という、そんなばかなことは認めませんよということは当たり前のことだろうと思いますけれども。
 済みません、長くなりました。どうぞ、若月先生。
【若月委員】
 大学の養成のことについては、私、よく分かりませんので、岡目八目(おかめはちもく)になるかもしれませんけれども、例えば、教職センターについて、教育委員会というような外部から大学を見ていた場合に、同じ免許状なのにもかかわらず別のところから出ていて、授業内容も異なってという、これが、ある意味では不自然な形だなということはすごく感じます。
 それから、大坪先生がおっしゃった、例えばそれを作ったからといって、ファカルティーディベロップメントや、あるいは教職の講義の内容の質が変わるか、これは性善説か、性悪説かということになるんだろうと思うんですけれども、ここら辺はやはり大学に努力をしていただくしかないだろうし、もう一つは、養成課程において、ここでも話題になったことがありますけれども、教育委員会等と連携をするという窓口も、確かあったわけですね。そういったところから、まずは今の、不整合とは言わないけれども、いろいろなところが出ている。それはきちんと整理をしてもらえると有り難いなと。
 あとは、教育委員会なら教育委員会は、できるだけファカルティーディベロップメントなんかでも、何か力になれるところは方策として考えていけばいいだろうなという感想を持ちました。
 それから、もう一ついいですか。これは本当に私、大学のことをよく分からないんですけれども、今日頂いた資料のペーパーの1の一番最後のところなんですけれども、見直しの方向性で、2行書いてありますね。これは結局、資料2-2で言うと、要するに第3案を暗示しているということじゃないんですか。
【小谷教員免許企画室長】
 「認定と連動して又は別に」と書きましたのは、連動するのが(案1)、別にというのが(案3)で、そして、認定がそもそもなくて、別にというのが、(案2)ということでございます。
【若月委員】 分かりました。
 これも岡目八目(おかめはちもく)の質問なんですけれども、先ほど無藤先生がちょっとおっしゃっていましたけれども、例えば、(案3)の「課題等」という一番下のところにいろいろ書いています。(案1)のところには、実情・実績が伴わない場合には廃止ということが書いてありますね。
 要するに、この項目は(案3)には適用というか、このことが視野に収まっているのか、収まっていないのかということで、私、無藤先生の先ほどの発言をお伺いしたんですけれども、それでいいんですか。そこら辺がよく分からないんです。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、事務局からお答えいたします。
 多分、若月委員が思っていらっしゃる点は、先ほど無藤委員から御発言のあった点と関連していると思います。(案1)の「課題等」に書きました、実情・実績を伴わない場合には廃止、実はこれは、一定期間ごとに認定をするものですから、ある期間に来ると認定を受けなければいけないんですが、そこに評価の仕組みも入っているものですから、一定のレベルを超えてこないと、その後、更新できませんと言い渡されてしまうということです。
 そうすると、実情・実績が伴わないと自分が分かってしまうと、あらかじめ受けないで、一回教職課程を廃止しますと文部科学大臣に届け出て、そして新しく設置するというようなことがあるのではないかということで、それへの対応は必要ですねと書いたんですが、ただ、裏を返しますと、実はこれには、更新できないといって文部科学大臣から申し渡されるという厳しさがあるのが、(案1)です。
 (案3)は、認定を一回した限り、あとは申し渡しがありませんので、よほどのことがない限り認定取消しには至らず、評価だけが行われていくという感じです。
【若月委員】
 分かりました。済みません。
【髙岡主査】
 取消しというのはなかなか大変だと思うのは、例えば取消しというのは、計画に対して駄目だと言うんじゃなくて、手前の話ですよね。おたくは5年頑張ってやりましたけれども、これは駄目ですよと言って認定取消しということは、過去5年間の教員免許を取って、もし現職の教員でいたりすると、あんたたちも駄目ですよということになる可能性があるんだけれども、そこはどうですか。
【小谷教員免許企画室長】
 取消しというのは2種類の考え方がございまして、こういう許認可行為のような場合にいう取消しというのは、法学的には撤回というんですけれども、未来の部分ができなくなるだけで、過去行った行為は有効なまま保たれますので、過去に取った人が免許を取れないということはないんですけれども、要は、取り消すというよりも、(案1)の場合には更新ができないということで、自動的に終わってしまうんですが……。
【髙岡主査】
 だから、過去5年を見て更新ができないと判断するんだから、そこでの養成の質は相当低かったということになるんですね。
【小谷教員免許企画室長】
 はい。そこに、法令をクリアしていないだけではなくて、実情・実績の部分で、何かクリアできないものがあったということですね。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【無藤部会長代理】
 もちろん慎重に十分、教員養成センターの在り方を議論するのはいいんですけれども、私などは、こういう方向が不可避だと、はっきり言えば、思います。
 結局、開放制を維持する限りにおいて、各学部で教員養成に十分責任を持つ体制を作るということは、現状のやり方では難しい場合が多い。それに対して、大学として責任を持たせるということと、いわば、少し違うんですけれども、ダブルメジャーのような考え方に近いところもあって、それは一つの大学の方向でもあるし、それから、先ほどの評価の仕組みとつながっていけば、大学としては、これは責任を持ってきちっとやらないと評価に関わるわけですので、一連のことを絡めれば意味のある方向なので、別に、きょう決めなさいと言っているわけではなくて、十分検討していただきたいと思います。
【髙岡主査】
 分かりました。
 今の無藤先生にまとめていただいた内容で、皆さんよろしゅうございますか。もちろん細かいところをもうちょっと詰めますが、基本的には、1、2、3というところはこの方向で詰めていくという議論ですね。
 それでは、そのように今後、取り扱いたいと思います。
 では、次の議題、養成・採用・研修を通じた大学と学校・教育委員会の連携の在り方について、事務局から説明をお願いいたします。
【小谷教員免許企画室長】
 資料3-1を御覧ください。養成・採用・研修を通じて大学と学校・教育委員会等の連携をどうしていくかという点でございまして、まず一つ目、養成と研修の関係をどう考えるかということで書かせていただいております。
 具体的に、養成段階はどういうもので、それに接続していく研修に係ってくる部分はどういう考え方で整理することが妥当かということでございます。(例)を書かせていただいておりますが、御覧いただきつつ、いろいろ御意見を頂ければと思います。
 次に、2.養成と採用の接続ということで、そのうちの一つ目が、学校・教育委員会等と連携した体験的・実践的な活動をどう充実していくかということでございます。これは、充実できることに越したことはないんですが、履修の量の全体量を考えますと、ただ単に充実するというわけにもいかないので、精選、重点化する中で、法令で求めるものとそうでないものをどう整理していくかという部分、あわせて、介護等体験特例法に基づきまして7日間の体験が求められておりますので、これをどうしていくべきかという点でございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。例えばということで、(例)を書いておりますが、法令で定める内容として位置付けるものとしては、大学が地域の学校や教育委員会等と組織的に連携し、学生が1年次から学校に赴いて、教育活動の見学、学習支援等々を得ながら、教育実習へ段階的に至っていくというような内容にしてはどうかということを、一つ目に書いております。
 二つ目が、大学が独自に取り組む内容ということなんですが、法令で定める内容以外はやらなくていいというわけではなくて、あとは大学独自に学生に推奨していっていただくというような方向で、やはり積極的に取組を頂くのがいいのではないかという考え方でございます。
 丸3、介護等体験特例法に基づく体験活動ですが、体験的・実践的な活動を充実するという観点から、介護等体験特例法においては、介護等体験ということで介護、それから特別支援学校などでの体験ということが主な内容になっておりますが、さらに、幼児・児童・生徒に関わる施設や教員としての人格陶冶・指導力向上に役立つ体験活動を広く含むものとしまして、法令の内外いずれかに位置付けてはどうかというものでございます。
 次に、3ページを御覧ください。(2)採用選考における養成段階での学修成果の活用ということでございます。教員の採用といいますのは、地域や学校の実情・特色に応じて任命権者・雇用者が主体的に判断し行うものではありますが、社会全体としては、優秀な方が教員に応募し登用されることを強く期待しているということから、養成段階で真剣に学んだ方々が、その成果を採用段階できちんと評価していただけるような方法をとることはどうかということでございます。
 具体的には、教員養成課程における学修状況、それから、教育実習を含む体験的・実践的な活動への参加状況、また、それらを通じた適性判断といったようなものが、採用時の評価材料の一つとして積極的に活用されるのはいかがかというものでございます。
 次に、4ページを御覧ください。(3)教職大学院進学者・修了者を対象とした取組の促進ということでございます。これは、教職大学院に進学・在学する方、あるいは修了した方については、採用選考において、その教職大学院における履修を評価した取組を行ったり、あるいは、教職大学院に進学しやすい環境作りを促進してはどうかというものでございます。
 例としまして、今、行われているものを幾つか書いておりますが、例えば、特別選考枠といったようなものを設けているところもございます。
 次に、大きな3の採用・任用と研修の接続ということでございます。先ほどは養成と採用でございましたが、今度は採用・任用と研修でございまして、(1)として、教職大学院を活用した取組の促進ということで、教職大学院を活用して、初任時の研修をはじめ様々な研修プログラムを実施してはどうかというもので、具体的には、教職大学院と教育委員会等が共同で開発した研修プログラムに基づいて、大学院が授業科目を開設しまして、そこに教員を派遣していくという形でございます。かつ、その研修を終えた成果が教員免許につながっていくような仕組みはどうであろうかというものでございます。
 最後に、5ページでございますが、(2)としまして、現職教員の新たな教員免許状の取得に向けた取組の促進ということでございます。研修ということも現職教員にとっては大事なものでございますが、それを客観的かつ容易に認識できる形で社会に示そうとした場合には、免許状を持っているということが、実は分かりやすい一つの方法であろうということで、免許取得を促進していくための環境作りというものを充実していってはどうかという点でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 次は、学校・教育委員会と大学の連携ということを軸において、養成・採用・研修、この三つの軸をどう位置付けし直すかという議論でございますが、これもどこからでも結構です、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【渋谷委員】
 時間もないようですので、1点だけ。3ページの(2)なんですけれども、これは大きくは養成と採用の接続の中の話だと思いますが、是非、積極的に推進していただきたいというか、工夫をしていただきたいと思うんです。
 他方で、ずっと公平性と平等性という原則で、特に公務員の採用試験、私学はちょっと別ですけれども、客観性を担保してきたんですけれども、そこにも限界があるというのかな、せっかく資質に恵まれた学生がなかなか採用されていかないという実例が現実にあるんですよ。
 そういう意味で言うと、養成段階での学修成果をきちっと教育委員会が見て、それを可能な限り客観性を保ちながら、推薦制度とか、どこかで、こいつは大丈夫だよという評価を頂きながら採用されていくという道を拡大していただきたいなと、前から思っております。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。どうぞ。
【若月委員】
 今、渋谷先生が御指摘になったところなんですけれども、これは東京と地方とでは違うのかもしれないんですけれども、今回ここに書かれていることは、少なくとも、私は教育委員会にいるときに、これでやってきているんですね。もう既にやっているんです。ですから、需要と供給のバランスが都市部と地方とでは違うので、一概には言えないかもしれないんですけれども、ちょっと弱いなという印象を持つんです。
 もう一つは、教員養成課程における学修状況だとかということになると、さっきの認定評価との関係が出てきて、大学の方の、要するに教職課程の免許状を出す、出さないの単位取得の問題ですね。
 そういったことを考えていくと、十分これは見ているんだけれども、果たしてその大学の評価はどれぐらい客観性があるのかなという疑問もある。そんなことも含めますと、ちょっとここは、私は、今までやってきたことを具体的にどうしたらいいんだろうか、少し弱いな、もっと具体的な何かがあった方がという印象です。
【髙岡主査】
 もっと強化すべきだということですね。
【若月委員】
 そうですね。私はそう思うんですけどね。
【髙岡主査】
 八尾坂先生。
【八尾坂委員】
 今、若月先生がおっしゃいましたように、3ページのところの、現実は、教育委員会関係の方もいらっしゃいますけれども、こういう書類を求めている場合、あるいは履歴に書いていると思うんですが、現実は参考程度で、ずばりこれで決まるということはまずないと思う。むしろ参考にしないというような、大学に不信感を持っていればですね。
 それ以外に、適性検査なんかは必ずやっているところもあると思うんです。案外当たる場合があるんですってね、先生の資質能力がずばり、何でこの人が落ちているかというと、そういう意味で、検査するとあるということもありますけれども、それ以外に、模擬授業等みたいな実践授業をやっていますけれども、そういうところで人柄とか、教師としての、今まで体験活動をやったことなどがにじみ出てきて、それが評価というようなものに、いい意味で伝わるというやり方もあっていいのかなと。
 書類だけだったら、大学入試もそうですけれども、ほとんど参考レベルかなと私は思ったりするんですけれども、大学にもよりますけれども、そんなことで、ちょっとパンチが効かないな、提出書類だけではと思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。確かにそうですね。いろいろな才能、多面的な能力を見るということをやって、やって、やった挙げ句に、今、大丈夫ですかと問われたら、余り変わっていないという現状があるわけですからね。なかなか人を採用するというのは難しいことではあるんだと思いますが。
 それで、例えば採用業務というのも、東京都なんかはどれぐらいの労力を掛けて、何人ぐらい関わっておられるか分かりませんが、物すごい労力ですよね。さっきのTALISで言うと、そういうところへ引っ張り出される学校の先生というのもたくさんいて、それが多忙感の原因だなんていう話も起こらないとは限らない。だから、じっくり人を見て採用したいという思いと、それができているかという、まさに有効感という観点で言うと、やっぱり採用側ももうちょっと見足りていないとか聞き足りていないということが起こる。
 でも、年間1万5,000から、どうかすると2万人ぐらいの採用数があって、全国いろいろな数字はあるとしても、それぐらいの採用をしなければいけないという現実の中で、外すという考え方があってもいいんじゃないかと思うんです。外すというのは変だけれども、例えば、教職大学院の修了者は黙って採用したらどうか。今は初任研までやっているじゃないですか。教職大学院の卒業生で、2年間で鍛えに鍛えた挙げ句に、また入ったら初任研、もうこの無駄はやめたらどうですか。
 そういう意味では、今の状態のものがいいとは言いませんけれども、例えば、現行の専修免許状の改善も一方でやりながら、専修免許の取得者というのが、別枠で別の試験をやるなり、何か1次試験の、また中学校卒業、高校1、2年生程度の教養試験まで受けさせる、そんな必要があるのかなと。試験大好きですから、どうしても試験をやって振り落として、客観化したと言いたがるところはあるんだろうと思うけれども、そこを抜本的に変えられるような仕組みというのは必要じゃないかと思うんです。
 特に教職大学院については、850人程度の定員が、これで四、五年後に10倍、20倍になればいいんだけれども、どうもそうもならない。それは、出口管理がちゃんとできていないから、保証されないものを大学が定員を付けて、一生懸命養成しましょうとはなかなかなりにくいところがある。
 そういうシステムの問題を前へ転がしていくという意味でも、次の3番目あたりですね。ここには別に一括採用しろとは言っていないので、原案としては、進学者・修了者を対象とした取組というのをもっと前へ持っていけないかということが書いてあるだけですけれども、そのあたりのことをもう少し強化していくことで、さっき若月先生がおっしゃった、もう少しパンチの効いたという話ができるような気もするんですけどね。
 いかがでしょうか。どうぞ。
【八尾坂委員】
 やはり教職大学院、これからは教員養成系の大学が増えると思うんですけれども、教職大は私学ももちろんあるわけですが、特別選考というのをはっきり全県で打ち出す、そのぐらいしないと動機付けにはならないんじゃないかなと。公平性とかから考えると、特別選考で必ず合格させるというのは、ちょっと不公平感は出てくると思いますけれども、それがあってもいいかなと。
【岸田主査代理】
 私も関連して、2点申し上げます。
 今の学修成果に関しては、例えば和歌山県でも、小学校の外国語が導入されたということに歩調を合わせるような形で、いわゆるTOEICとか、TOEFLとか、高い点を取った者については、小学校の採用試験で一部免除するようなことをやっているんですね。ですから、その程度のことであるなら今でも相当程度されていると思うので、今のパンチうんぬんというのは、それ以上の内容でどう考えていくかというような問題だろうと思います。
 一方で、ボランティア活動とか、いろいろな学修をどう評価していくかということもあるんですが、その裏返しとして、私は今年、学校現場に久しぶりに戻って、教育実習を見たんですが、どうも子供たちと、高校生と仲間意識が抜けきらないまま授業が行われているような部分が見られて、学校を預かる校長とすると、余り長くいてほしくないんです。という思いはやっぱりあるんですよ。それは正直あるんですね。
 ですから、そういう意味からすると、学校現場にいろいろなことで入ってくる。つまり、教員に本当になりたい者だけならいいんですが、まさに開放制の中で、十何万人というような者が学校現場に入ってくるということからすると、ここのところは、やはり現場を預かる者からすると、何かちょっと煮え切らないものを持つということはあろうかと思います。
 それから、教職大学院の件については、今、教職大学院をできるだけ、特に地方の教員養成系の大学については、これは佐藤室長のところの絡みだと思うんですけれども、これを促進していこうという中で、ここの間口を広げる取組というのは、あるいはインセンティブを与える取組というのは、必ず必要だろうと思っているんです。それはなぜかというと、教員養成系の大学も、今、一番悩んでいるのは、現行の研究科と新しい教職大学院とのすみ分けというか、移行というか、そこをどう考えたらいいかというところで悩んでいる。
 そういう中で、教職大学院をより拡大していこうと思うと、このようないろいろな形の活用の仕方があるよとか、インセンティブはこんなに大きくなっていくんですよとか、そういうものを付加していかないと、教職大学院が拡大していったり、充実していったりということがないと思っているので、その観点での推進は意図的にしていくべきだろうと思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 これで時間がいっぱいになったんですが、こちらの議題の方のまとめを、とりあえずやらせていただきますけれども、養成に採用・研修、これを一つの連続した視点で再構成し直す、システムを構築し直すという考え方、これは、学び続ける教員像という理念を実現するためにという前振りをすれば、総論としては、基本的に反対される方はいらっしゃらないと思います。
 そういう意味で、養成と採用、採用と研修というような関係付けを論点として取り込むということは大事なことなので、そのためには、養成は大学、任用、研修は行政という役割分担意識というものを、どこかで変えなければいけない。しかも、それは変えてくださいと言い張ることを幾ら続けていても変わらないので、仕組みとして変わるような構造を作っていく必要がある。この点についても是非、追求したい課題だと思います。
 その意味で、養成段階での基礎基本の問題と、それから、特に初任研の問題ですね。初任研と養成をどうつなぐかという論点も、どこかで一回しっかり議論をする必要はあるでしょうし、養成から研修の最初の段階に動かしていく中身は何なのかと。哲学はあれかもしれませんけれども、そのあたりを制度論として考えていく必要がある。そこに教職大学院という新しい仕組みがあるわけですから、それをどう活用するか。
 そういう論点整理の方向性ということについては、いかがでしょうか。今後更に検討するということを前提に、事務局とも協議をしながら、前回、第1回と第2回で議論していただいた教職課程の、いわゆる免許制度の在り方とか免許科目の在り方、そういうものと併せて、全体として最終的なまとめに入っていくということだろうと思いますが、とりあえずはそういう論点で、きょうのところは取りまとめましたよということでよろしゅうございますでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 追加で御説明させていただいてよろしいですか。
 資料3-3でございますが、本日、時間の関係上、はしょらせていただいたんですけれども、今、主査からお話がありました、養成と研修というもの、特に初任者段階を挟んでどう考えていくかということの参考で、資料3-3を入れさせていただいております。
 これは、前回御議論いただきました教職課程の枠組みの部分の(例3)をとりつつ、内容を並べた上で、右側にあります大きな表は、公立学校の教員のみを対象とする初任者研修について、文部科学省が示している項目例でございまして、これを、御議論いただいた教育課程の枠組みに沿って入替えをしてみたものでございます。
 ぱっと見ていただくと、どこが厚くてどこが薄いかというのはすぐ見てとっていただけると思いますが、例えば、下から5個目の「学級活動の理論及び方法」と書いてあるあたりは、実は初任時においても相当に学ばれているということと、それから、縦に見ていただくと、「基礎的素養」という大きな表の一番左側にあるところはずっと埋まっておりまして、実は養成段階でやるものと研修段階でやるものが、内容がかぶっているのは事実でございます。
 ただし、養成段階というのは国公私通じて、教員になる候補人材を育てていくということから、基盤的・基礎的な内容はある程度、満遍なくやらざるを得ない一方で、初任者研修というのはそれぞれ、特にここに書いてありますのは公立学校だけということもあるもので、国公私含めたときに、この考え方をどう整理していくべきかということを次回、お願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。どうぞ。
【岸田主査代理】
 今、表で見るとこうですけれども、実際、初任研が、これは平成19年か何かに出た文科省の表だと思うんですけれども、そのとおりに行われるとは限りませんので、この中でかなりピックアップして、必要だと思うところだけやっているので、この表に落とし込んで厚い、薄いという、単にその部分だけでは見られることはできないと思っています。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。一応、予定された議事はこなすことができました。あと論点整理を更に加えて、次回につなげていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 次回でございますけれども、先ほど配付資料の方でも確認させていただきましたが、資料6に記載のとおり、7月24日の10時半から12時ということで、次回は文部科学省3階の会議室という形になります。よろしくお願いします。
【髙岡主査】
 どうもありがとうございました。
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