教員養成部会 教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成26年6月9日(月曜日)15時30分~17時00分

2.場所

一橋講堂 特別会議室

3.議題

  1. 教員免許制度・教員養成の改善の方向性について
  2. 教員免許制度の見直しの方向性について
  3. 教職課程の見直しの方向性について
  4. その他

4.議事録

【髙岡主査】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第2回教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ」を開催いたします。
 本日は、御多忙の中、また足元のお悪い中を御出席いただきまして、委員の先生方、ありがとうございます。
 今日は、堀竹委員、無藤委員から欠席という連絡を頂いております。
 それでは、事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 よろしくお願いいたします。本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、本日のワーキンググループの議事次第、1枚物でございます。
 次に、資料は1から5までございますけれども、資料1といたしまして、「教員免許制度・教員養成の改善の方向性について」でございます。
 資料2につきましては、2-1から2-4まで、いずれもA3のカラー版の資料を折り込んでいるものでございます。教員免許制度の見直しの方向性ということで資料2-1、2-2、2-3、2-4、それぞれがA3のカラー版で資料番号を付させていただいております。
 資料3-1といたしまして、A4縦の1枚物、「教職課程の見直しの方向性について」でございます。資料3-2といたしまして、A3のカラー版のもの、「教職課程の見直しの考え方」でございます。
 資料4といたしまして、前回ワーキンググループ(第1回)における主な意見をまとめたものでございます。
 最後に、資料5として、今後のスケジュールでございます。
 次に、参考資料でございますけれども、参考資料1といたしまして、こちらのワーキンググループの設置についてというものでございます。裏面に委員名簿が載ってございます。
 参考資料2といたしまして、第1回ワーキンググループの議事録でございます。
 参考資料3といたしまして、「普通免許状の種類について」という1枚物でございます。
 参考資料4-1としまして、A4の1枚物、横の「教師としての資質能力」という、鹿児島大学教育学部の資料でございます。参考資料4-2といたしまして、横浜市教育委員会の資料ですが、「教職員のキャリアステージにおける人材育成指標」というものでございます。
 参考資料5-1としまして、A4横の「初任者研修制度について」という資料でございます。最後に、参考資料5-2といたしまして、初任者研修の年間計画の実際の例というものでございます。
 参考資料は以上でございますが、落丁、乱丁等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
【髙岡主査】
 では、資料を確認いただいたということで、早速議事に入りたいと思います。
 まず、本日の第1議題でございますが、教員免許制度・養成の改善の方向性について、資料に基づいて、事務局の方から御説明をお願いいたします。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、資料1に基づきまして、御説明申し上げます。
 前回のワーキングにおきましては、養成・採用・研修全般につきまして御意見を頂きましたが、本日はそのうち教員免許制度・教員養成の改善の方向性についてということで、養成と免許制度の部分に焦点を当てた資料を御用意させていただいております。
 前回のワーキングにおきまして、部会長から、今後の議論においては複数案を提示いただきたいというお話がございましたので、基本的に事務局では複数案をお示しする形で用意をさせていただいております。これらにつきまして、メリット、デメリット、あるいは留意点などを御議論いただければと考えております。
 本日は特に、論点メモとして御用意させていただいたもの、まず、法律事項に関するものを掲げておりまして、具体的な御議論に入っていただく前に、制度の基盤となる考え方について、具体的な検討の前に御確認ないし検討をお願いできればと思っております。
 制度の基盤となる考え方についてということで、四つございます。
 一つ目が、教員養成の原則についてということで、教員養成は、「大学における教員養成」及び「開放制の教員養成」を原則とするとの考え方でまいりましたが、これを維持することでよいか。新たに又は改めて、明らかにすべきことがあるかということでございます。
 二つ目は、教員免許の性質についてということですが、免許といいますのは、法的な免許というのは行政庁が行う行為でございまして、教員免許は、教員として最小限必要な資質能力を有することを公証する、公に証明する制度でございます。そして、各教員免許は、教員として指導可能な校種、あるいは教科種に係る資質能力範囲を特定いたしまして、これを有することを公に証明するものという位置付けになりますが、このような考え方の下でよろしいかどうかという点でございます。
 三つ目でございますが、こちらから先は普通免許に限らせていただいておりますが、免許といいますのは、注書きにございますが、このほかに「特別免許」と「臨時免許」がございますけれども、本日は普通免許のみにさせていただいております。普通免許につきましては、授与できる対象者が2種類ございます。1者は、学位等の基礎資格を有し、かつ、認定課程等で所要単位を修得した者、もう1者は、教育職員検定に合格した者ということで、この教育職員検定は都道府県が実施をいたしますが、こちらにおいて授与される方は、既に特定の免許を持っていらっしゃったり、一定の教職経験を有する方であるということの下の制度になっております。このような対象者の考え方でよいかという点でございます。
 四つ目、次のページでございますけれども、このような普通免許を得るための所要資格としまして、考え方は、今、御説明いたしました2者の方、それぞれ資格等が必要でございますが、さらに、大学において所要単位を修得するというのが、基礎資格(学位等)を有している場合、あるいは教育職員検定を受ける場合、いずれにおいても、必ず大学における単位修得ということが要件とされております。この単位修得が各教員免許に係る資質能力を備えさせる上で重要な機能を果たしてきたという事実がございますが、この仕組みを維持することでよいかということでございます。
 この四つを通貫する考え方として、少し御説明を申し上げますと、我が国の教員養成ないし免許制度という仕組みは、ほかの仕組みがとれないというわけではございませんで、例えば考え方としましては、一定の大学を指定いたしまして、その大学を卒業することをもって教員資格と認めるような方法もございます。これは戦前行われていた方法に近いような仕組みでございます。
 しかしながら、現在におきましては、そのような方法ではなく、どのような大学においても、教職課程と呼ばれます教員養成に必要な単位を修得させる課程を置くことができまして、免許を取得したいと思われる方は、どこの課程でも結構ですので、単位を修得していただき、一定の単位を集めますと免許が取得できるということでございます。
 その際、行政庁が行っております免許という仕組み、この機能を考えますと、結局のところ、単位累積型の制度をとっておりますので、様々なところで取ってきた単位というものが正確に取得されているかどうかを確認し、それが大丈夫であるということである場合に免許を授与する、そういう確認機能を免許の機能が持っているという部分がございます。
 また、単位累積型をとっておりますので、たとえ大学にいた時代に全ての単位を取れなくても、あるいは卒業後、新しい免許を取りたいといった場合にも、単位を新たに集めまして行政庁の方に持っていけば、都道府県教育委員会において具体的には免許を授与していただける、そういう仕組みをとっているのが現行制度の特徴でございます。
 そのようなものを今後も前提としていくことでよろしいかどうかという御検討をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 ということは、資料1の1ページと2ページの上数行、ローマ数字で言うと1の原則、免許の性質、対象者、それから四つ目、所要資格、その4点について、まず御議論いただきたいということですが、いかがでしょうか。
【若月委員】
 すごく基本的なことを確認しておきたいと思うんですけれども、1番の教員養成の原則で、「大学における教員養成」というのがまず出てきますね。これは当然だろうと思うんですが、この場合、例えば学位を持っていれば、日本の大学でなくてもいいわけですね、学位さえ取っていれば。
 というのは、これから国際化がどんどん進んでいきますね。そうすると、向こうの大学で学位を取って、こちらに来て、場合によっては教職課程だけを取られるような方も大勢出てくるし、むしろそれは望ましいことだろうと思うわけですね。
 そうした場合、この「大学における教員養成」の大学という範囲なんですけれども、この辺はどんなふうに考えたらいいでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 この学位という考え方におきましては、あくまでも日本国における法律が適用される範囲内という考え方の前提に立っておりますので、日本で授与された学位が前提になっております。
 ただし、教育職員免許法の中には、外国で教職課程に相当するような大学を卒業されて学位を持っているという場合ですとか、教職課程に相当するような課程で履修した単位があるといった場合に、それを勘案して、日本の普通免許を授与できるという仕組みがございますので、現行においては、その仕組みを使っている状態になります。
【若月委員】 やっぱり一定の条件はあるわけですね。
【小谷教員免許企画室長】
 はい。日本に相当するような学位ないし教職課程での学びがあれば、日本の免許を授与できる仕組みになっております。
【若月委員】
 なるほど。その考え方というのは当面、維持する方向なんでしょうか。それとも、多彩な人材がこれから日本でも育ってくると思うので、ここら辺はどんなふうに考えたらいいんでしょうね。
 例えば、教員になりたいんだけれども、外国に行って勉強して、日本の通信なり何なりで取りたいんだと。そういう場合、私は日本の学校の教員になれるんでしょうかという相談を受けたことがあるんですね。
 そうした場合、今おっしゃったような、あなたが向こうでやってきた内容がこちらで合致すればいいけれども、そうでない場合は無理だよという対応にならざるを得ないわけですけれども、この対応は今後も維持されていくんでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 絶対に制度を変えられないというわけではございませんが、実は学位というものの国際的な共通性というものを確認するというのは、かなり難しい手段ではございますが、しかし、できる限りの範囲で、そういうものは国際的共通性を持って見ていっているという実情がございます。簡単にいいますと、ディグリーミルといいまして、学位もどきのようなものが出回っているという事実もございます。
 なものですから、今の制度においては、外国で授与された正式な学位であるということが一定の範囲で確認ができれば、それにプラスして、今、若月委員から御質問のあったような、日本の教職課程で必要単位を修得している場合には、普通免許の授与は可能であると思います。
【若月委員】
 そうですか。どうもありがとうございました。
【髙岡主査】
 では、岸田先生。
【岸田主査代理】
 今の方向性の中で1点だけ。
 「教員免許の性質について」の部分で、免許の位置付けということになるとこうなるかなということを思いながら、教員免許というのは教員としての最小限必要な資質能力を有するとあります。「最小限必要な」とあるんですね。これまで教員というのは、高度専門職としての位置付けということをずっと議論してまいりました。そのことと、免許ということになると最小限必要なということになるのだろうと思うんですが、そこのところの整理が、私はまだ明確にできないんですが、ずっと議論してきた高度専門職としての位置付けとこの表現との整合性というか、そこをどう整理して考えるかということは少し感じたところです。
【小谷教員免許企画室長】
 今、お尋ねのありました点、2の教員免許の性質のところに書いております、「教員として最小限必要な資質能力」といいますのは、教員として職務を遂行していく上で、最小限度必要なものを身に付けているという程度のものでございまして、ただ一方で、教員として教職生活を生涯送っていく上で、あるいは学校で子供たちを指導していく上で、更に必要な資質能力というのは当然に向上をしていくという関係にございます。
 したがいまして、免許というのは、最低レベルの免許を付与するために必要な単位をきちんと修得してきているかという確認程度の意味でしかなく、これを持っているから、すなわち教員として絶対やっていけるというほどでもなく、日本の場合には、国家試験という仕組みではなくて、採用の段階でそれを見ていただくという仕組みをとっております。
【髙岡主査】
 これはいきなり最初から本質的な問題が、若月先生、岸田先生、両方から出されましたが、皆さんの議論のテーブルにいずれまたのせていただこうという論点だと思います。特に岸田先生のお話ですね。開放制の下での免許の授与者が大体、毎年十六、七万人いる。実際の教員になる数は1万五、六千から2万弱と。ここのギャップが、いわゆる免許状乱発という見方になってみたり、教員免許って誰でも取れるんじゃないかという、つまり高度専門職という観点からいうと、免許授与制度というものとのギャップが大き過ぎる、ここの議論だと思いますので、これはちょっと温めておいて、また後で議論していただければと思います。
 ほぼこの4点については、よろしいでしょうかという話でもなさそうですけれども、一応、目線をそろえるという意味では、改めて。
 では、お願いします。
【渋谷委員】
 「制度の基盤となる考え方について」ということで、4点お示しいただきましたけれども、その前提というか、このワーキングが発足した経緯等を振り返ってみますと、今、座長もおっしゃったように、現状でいろいろ問題がある。岸田先生もおっしゃったように、教員として最小限必要な資質能力というのがなかなか定まらないし、それから、全ての教員免許状取得者が本当にそうなのかという現状がある。
 それを再検討するのがこのワーキングだとすると、私、この4点について、基本的にはこれは最初に確認しておいてよろしいのかなと思うんですけれども、もっといろいろ根底から議論してもよいということであるならば、例えば開放制の教員養成という点について、問題点をいろいろ検討したり、見直しを図るというようなところまで議論を踏み込んでよろしいんでしょうか。これは座長さんにお伺いしたいと思うんですが。
【髙岡主査】
 大学における教員養成という論点と開放制の堅持、この2点について、いつも、24年答申のときの中教審の特別部会の議論でもありましたが、「まずこのことは確認します」というところから出発するんですね。
 今、渋谷先生がお話しいただいた中身というのは、恐らく今、20万人近い免許と、実際には1万五、六千人しか教員になっていないという現実の間の10分の1ギャップというものを、このまま見逃していいのか、そこのところだけ論点に取り上げれば、開放制がいいのかどうかという議論になるんだろうと思います。
 では、教員養成の開放制とは何ぞやというふうに考えると、まさに、(参考)に書いてあるとおり、国・公・私立のいずれの大学でも、一定の課程を作り、国の課程認定を受けることによって、どの大学でも教職課程を立ち上げる権利がある、それが開放制の原則ということでしょうから、そのことと、開放制の結果、本当にちゃんと粒がそろっているのかという議論とは、少しスタンス、議論のレベルが違うんだろうと思います。
 したがって、問題は開放制にあるのだという論点はちょっと言い過ぎで、むしろ、もっと開放制の原則を突き詰めていくと、いわば大学が権利として持っている課程の立ち上げというものが、本当の意味でちゃんとした教員を育てているかどうかの責任もまたその権利の反対側にある、ちゃんと育てるんだという大学の義務という側面ですね。それを満足できて初めて、今の日本の教職課程認定制度の下で教職課程を提示することができる、そういう理念も含めて、開放制の教員養成を原則とするという考え方は当然、堅持すべきということではないかなと思います。
【渋谷委員】
 よく分かりました。
【髙岡主査】
 今日、読ませていただいた感じでは、私はそういうふうに解釈するんですが、ほかの先生方、この議論が始まると結構大変かもしれませんが、どなたか、何かございますでしょうか。
 では、ほかにございましたら、どうぞ。
【大坪委員】
 今の時点では、やはりこの4点の確認の上で議論を始めざるを得ないんじゃないかと思いますし、また、先ほど岸田先生もおっしゃられたような内容については、恐らく具体的な議論の中で、その考え方の確認というのが、再度ここに戻ってくることもあるかと思うんですけれども、今の時点では、これを出発点にするということで賛成いたします。
【髙岡主査】
 いかがでしょうか。八尾坂先生。
【八尾坂委員】
 大学における教員養成は確かなんですが、前もちょっと申し上げましたが、教育委員会と大学の連携によって、教師養成塾みたいなものを作っているところは結構ありますね、政令市、大都市部で。それは当然、大学における教員養成の一つに入るということを考えていいわけですね。東京都なんかもやっていますし。
【髙岡主査】
 免許を実際に単位として認定して、これだけそろったよというのは大学が出す成績証明書で、実際の認定は都道府県教委が行政事務として行っているということですね。ですから、養成は、大学における養成ということですが、免許を出しているのは都道府県教委だというふうに考えれば、本来的にはそこは連携しなければいけなかったはずのものが、十分できているかどうかという問題意識は、八尾坂先生の今のお話の根底にあるんだろうと思います。
 どうぞ。
【岸田主査代理】
 今の八尾坂先生の話は、いわゆる大学での教員養成ということとはちょっと違うんじゃないかなと思うんですね。つまり、大学での教員養成は教員養成として、生涯にわたる職能成長をずっとこれから系統的に議論していくことになろうかと思うんですけれども、その一つの入り口の部分として、都道府県がやっているようなものもあるということなんじゃないかなと私は整理するんですけれども。例えば、初任者研修の在り方であるとか、生涯にわたって職能成長を支えるためのいろんな仕組み作りがありますね。そのうちの一つとしてあるのではないかと。
 今ここで議論になっているのは、大学における教員養成というようなことなんじゃないかなと思いますけれども。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【若月委員】
 よく言われるように、養成・採用・研修という三つのステップがあって、八尾坂先生がおっしゃる意味はよく分かるんですけれども、現実に教育委員会にいた人間として、今、岸田先生がおっしゃったように、大学における教員養成というのは、その中身の問題になるわけでして、教育委員会は確かに連携しなければいけないだろうけれども、現実には、大学でやったことを認定すると言ったらいいんでしょうかね、その中身までは問わない。なかなか問えないものもあるし、それは証明済みだろうという前提でやってきましたので、私もこの場合、ここでの大学における教員養成というのは、教育委員会との連携は確かに大事だけれども、今の議論のレベルでは、大学の、要するに養成の中身、仕組みに絞って議論をしていくんだろうなと考えていたんですけどね。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 この議論は深めていくと、先ほど八尾坂先生からもちょっと出ました、教師塾というのはどう位置付くのか、免許の問題ではないですけどね。だから、一つ一つの論点が案外、深掘りしていくと別の様相を帯びてくるような感じもします。
 ただ、今日は、免許制度、それから、教員養成の改善の方向性ということですので、若月先生に今、おっしゃっていただいたように、基本的には、養成主体というのは大学であるということ、そして、その大学は、いずれの大学でも要件を満たしさえすれば課程を持つことができる、開放制の原則ということを踏まえた上で、どうしましょうかという議論だろうと思っています。
 そこで私、ちょっと質問なんですけれども、3番の普通免許対象者について、今、多様な人材を教員へという、ある種、政策的な動きもありますね。その場合、免許を持っている人なら、例えば、過去10年以上前に免許を持っている。それは、ちょっと話がややこしいですけれども、免許更新をして、その免許は復活しさえすれば採用試験を受けることができるし、別途採用も可能だということがありますね。
 免許を持っていない人まで教員にするということは、今の制度だと特別免許状でやるんですか。
【小谷教員免許企画室長】
 はい、そうです。
【髙岡主査】
 そのことについては、例えば、文科省と言うと語弊があるかも分かりませんけれども、考え方として、そういう人たちも免許をもっと取りやすくできないかとか、そういう論点は幾らかあるんですか。
【小谷教員免許企画室長】
 お尋ねは、普通免許を取得しやすくという意味でしょうか。
【髙岡主査】
 そうですね。普通免許への道を開くのか、それは特別免許状という制度があるんだから、それを多様に展開すればいいというふうに考えるのか、免許制度の根幹というふうに考えるのか、いかがでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 実は、これはなかなか難しい点でございますが、文部科学省としては両方を促進したいという考え方でございます。
 特別免許状というのは、一定の社会経験を持った方のすぐれた知識、技能等を評価いたしまして、都道府県がその都道府県内でのみ有効なものとして授与するものでございますが、一方で、普通免許状というのは日本国内共通に使用できるという、性格の違いもございまして、いずれであっても、それぞれの免許の良さを生かして、多様な人材が学校に入っていっていただくということが重要ではないかと考えております。
【髙岡主査】
 そうやって特別免許状で、本来、普通免許を持っていない社会人を教員に採用したときに、その人はこれから25年、教員生活を送れますという年齢であった場合、ずっと特別免許状でいくんですか。それは制度的に変えようとしているのか、そこはまあいいと考えるのか。
【小谷教員免許企画室長】
 特別免許状も普通免許状と同じように、更新制でございまして、10年ごとに更新講習を受けていただければ……。
【髙岡主査】
 特別免許状で続けられる。
【小谷教員免許企画室長】
 はい。
【八尾坂委員】
 数としては少ないんでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 数としては、現行では年間当たり40件から50件ぐらいという状況でございます。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 また最後に改めて、まとめて時間がとれればとりたいと思いますので、今の大きな4点については、先ほど御発言がありましたように、おおむねこの方向を堅持するということで、これからも議論を進めたいというふうに了解をさせていただきたいと思います。
 それでは、次の2のところです。小谷室長、御説明をお願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、資料1の2ページにございます、「具体的な制度の在り方について」のところから御説明いたします。
 本日、法律に係る事項として3点、御用意させていただいております。
 一つ目が、5の普通免許の種類の構成についてということで、現行の学校種・教科種別の免許というものを、今後どうしていくべきかという論点がございます。
 次が、4ページを御覧いただければと思いますが、6としまして、大学において修得する所要単位の枠組みについてということで、免許取得に必要な要件となっている、大学において修得する所要単位の枠組みの考え方をどうしていくべきかということがございます。
 もう一つが、7でございまして、所要資格を得させるために適当と認める課程は、現在、文部科学大臣が認定をしておりますが、この認定の仕組みについて改善を図っていく必要性はないかといった論点でございます。
 まず初めに、2ページの5について、詳しく御説明申し上げます。こちらにつきましては、課題認識ということで1から4まで書かせていただいておりますが、資料2-1から御説明する中で、併せて御説明をさせていただきます。
 資料2-1、A3の資料を御覧いただければと思います。本日、免許の種類に関しましては、4枚の資料を御用意しておりまして、1枚目が、複数校種の免許取得パターンの考え方でございます。これは整理のために、このペーパーは学部・学科教育段階、すなわち大学・短期大学段階での取得の部分に限らせていただいております。
 御覧いただきまして、左側上の方に現行制度がございます。現行の制度は、幼稚園、小学校、中学校、高校という学校種ごと、中学、高校については教科別に免許が授与されます。最低修得単位数、一種、二種別に掲げておりますが、一種ですと67単位というのが小、中、高でございます。隣に認定課程数を書いておりますが、ここに特徴が一つ出ておりまして、上から、高校ですと日本全国に7,482課程、設置されておりますが、中学校ですと、一種の場合は4,299、小学校、幼稚園になりますと非常に小さくなりまして、小学校が262、幼稚園が292、この中で教員養成が行われております。
 こういったものを前提にしつつ、今後、免許の取得というものをどう進めていくかということなんですが、論点としまして、先ほどの論点ペーパーの2ページのところをもう一度御覧いただければと思いますが、今後、御議論を頂く方向性としてございますのは、まず、校種間の連携ですとか、一貫教育、あるいは小学校の専科指導を含む教科教育の充実、そして、教科横断的な総合的な学習等を促進していくという考え方の中では、複数校種や複数教科種の指導を行うことができる免許保有者が増加することが望まれてまいります。
 このために、免許に係る所要単位数、現在、一種ですと67単位というのが上限でございますが、これを少し減じた上で、現行免許種を基本に、複数の免許取得を目的とした大学の課程の設置を促進するという方法が一つございます。
 もう一つある方法は、新しく複数校種や複数教科種にわたる資質能力範囲を公証する免許というものを作っていくという考え方でございます。これを新しく導入する場合には、現行のものと置き換えてしまう方法と、更に追加をしていくという方法がございます。
 併せて、先ほどごらんいただいたように、一種、二種がございますし、更に大学院段階で単位を修得することで専修免許というものを取得できるというのが我が国の制度でございまして、これらについてどう考えていくべきかということで、御議論いただければと思います。
 2-1の資料にお戻りいただきますと、今のような考え方に立って、今後の複数校種の免許取得パターンを整理いたしますと、大きく三つに分かれてまいります。
 一つ目が、右上にございます、現行免許を基本としつつ、複数免許取得を目的とする課程を置いていただきまして、それによって併有を促進していくという考え方でございます。
 このときに、一つ御勘案を頂きたいことが、実は高校の免許と中学校の免許で特に顕著に出ていることなんですが、現在、法律上におきましては、この全ての免許については、異なる単位を修得することで違う資質能力範囲を公証することになっておりますが、運用上、大学において授業科目の共通開設をしてよいということになってきたために、実は高校と中学につきましては、中学校に必要な単位を修得すると、高校の免許も自動的に取れるような現状になっておりまして、資質能力範囲がほぼ一緒ということでございます。
 違いが出てまいりますのは、例えば中学校の方で道徳に関するものを取らなければいけないですとか、あるいは高校につきましては、右肩の方に書いておりますが、国語、社会・地理・公民、理科、美術、家庭、これらについては中学と高校の単位が少し異なっております。これ以外については事実上、一元化しているという現実がある中で、今後どう考えていくべきかということがございます。
 このようなものを、本来の法令上の考え方に基づいて、高校と中学を改めて分けて、二つ取っていただくというような課程の置き方もできますし、そもそも一つであると考えるような方法もございます。また、そのような考え方を前提として、小学校と中学校を組み合わせるということもございます。あるいは、幼稚園と小学校を組み合わせるというような課程の置き方もできてまいります。
 これらの組合せを機械的に計算いたしますと、下の方に書いてありますが、最大パターンで116パターン出てまいります。
 次に、二つ目の考え方でございますが、左下でございます。これは現行免許の考え方は残したままで、複数校種の免許というものを新たに導入し、併存させるというものでございます。
 御覧をいただきますと、例えば小学校は全教科担任でございますので、その部分と、中学校は教科担任であるということで、それを図式的に表しておりますが、小、中を足したような免許というものが考えられます。同じように幼稚園と小学校もございますし、中学校と高校というものもございます。
 ただし、中学校と高校の包含型の免許、あるいは、小中、幼小といった包含型の免許を作る場合には、制度的には、この二つ、左側を見ていただきますと、高、中、小、幼という別々の免許と異なる資質能力範囲を有するものとして構成をしないと、制度としての併置は難しかろうと思われます。それは冒頭に御説明いたしました、現行の制度というものが新たに免許を取っていく、更に取っていくということを前提とした制度になっているものですから、高校の免許を取っていた方が、次に中学校の免許を取ったというときに、中、高の併せた免許を取った方と資質能力範囲が同じであるにもかかわらず免許が違うといったようなことは、制度的にはできないと思われまして、そのために違う免許として構成する必要があるのではないかということが、(2)の案についての大きな論点になってまいります。
 次に、右側の(3)でございますが、これは現行免許種を全てやめまして、複数学校種の免許のみにするというものでございます。この特徴として一つ出てまいりますのは、左側のものでも同じでございますが、幼稚園と小学校につきましては、これを両方取得していただくとなると、現行の単位を見ていただくと、例えば一種ですと67と59で、併せて取れる部分もあるとしましても、相当な量になってきているというのが現行でございます。さらに、幼稚園につきましては、保育士の資格を併せて大学で取られる方もおられまして、その場合に、その三つを取ろうとしますと、大学での履修単位が非常に膨大になるという問題がございます。そのような中で、この免許についてはどう考えていくかということがございます。
 パターンにつきまして申し上げますと、二つの種類の免許を取るときのパターンとしましては、(3)につきましては41パターンになってまいりますが、左側の現行制度と併存させた場合は259パターンという、非常に多くのパターンになってまいります。
 以上が複数学校種の免許の取得のパターンでございます。
 次に、資料2-2を御覧いただければと思います。こちらは複数の教科を取得する場合のパターンでございます。
 左上にありますのが、現行免許を基本に併有をする場合、例えば高校の理科と高校の数学、中学校の理科と中学校の数学といったような方法が現在行われております。
 これを、先ほど御覧いただいた現行免許と複数校種を包含した免許と併存させた場合に、二つの免許種を取るといったことを模擬的に図示いたしますと、このような形になりまして、非常に複雑なパターンになってまいります。このような複雑なパターンの場合には、どの単位を取得しなければならないのか、あるいは取得しなくていいのかといった制度的な整理を緻密にしなければならないということが起こってまいります。
 同じように左下、(3)をごらんいただければと思いますが、これは複数校種の免許のみを導入したときでございますが、この場合でも、3パターンの考え方が出てまいります。
 (4)、右下でございますが、これはそもそも複数の教科を担当可能な免許を創設するかどうかという考え方でございまして、例えば、高校の数学と理科というものがそもそもセットになっている、あるいは小学校と中学校の数学、理科というものがセットになっているというような考え方も、パターンとしてはございます。これらについてどう考えていくかということが一つございます。
 御覧いただいたとおり、非常に複雑になってくるというのが資料2-2の問題点でございます。
 次が、資料2-3でございます。こちらは、小学校に教科専門性の高い先生方に入っていただくための方策としての案でございますが、小学校において、1つの教科のみ指導可能な免許を構成できないかというものでございます。
 単純に考えますと、一番左側にある小学校の教科に限定した免許を作るという考え方がございます。ただ、これだけでは、配置される学校などに限りが出てくるということを考えますと、例えば中学校部分まで延ばすということ、これは考え方としては、実際には上から下におりてくるような構成でございまして、中学校を基点としつつ、小学校部分も教えられるといった考え方になります。
 同じように、中、高も教えられて、小学校まで教えられるというのが丸3でございますが、先ほど御説明したとおり、中、高はほとんど今、同じ単位で両方が取れるということを考えますと、実は丸2と丸3には余り差がないというのが現実でございます。
 この免許につきましては、特徴は、一番下に字で書いておりますが、イにございますけれども、今は中学校の免許をお持ちの方が小学校で指導いただくことはできるんですが、教科のみ指導できるということで、担任等はできないというのが現行でございます。それに対して、この免許につきましては、小学校において、一つの教科にプラスして学級担任ができるということで、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動の指導ができるというような構成の免許になってまいります。
 次に、資料2-4を御覧いただければと思います。今御覧いただきましたような免許を前提にした上で、二種あるいは専修免許、高度専門免許といったものをどう考えていくかというものでございます。
 現行は、左上にあるものでございますが、基本的には、どの免許種も二種、一種、専修免許がございまして、高校だけが二種がないというのが現在の作りでございます。
 これに対して、下に目を転じていただきまして、(1)現行免許と高度専門免許を併存させる考え方を御覧いただきますと、グレーで塗っております、例えば中+高、小+中などというのが、先ほど御覧いただいた複数校種包含型の免許を入れた場合でございます。このような場合に、高校と並びをとって、例えば中+高の包含免許のときには、二種免許を設けないこととするかどうかといったことがございます。
 それから、高度専門免許という考え方がございまして、基本的には一種の免許をお取りいただくことになってまいりますが、それにプラスして付加的に取るような免許ということで、緑色のものを構成しております。
 実は、現在の専修免許といいますのは、教科あるいは教職に関する科目を一定量とれば、取得することができる免許ということで、一種免許に比較しまして、一定量の学びを保証するものの、その内容に共通性がないということがございます。
 それに対しまして、高度専門免許といいますのは、例えば、右側にA、B、Cで書いておりますが、学校経営・管理、高度学習指導、高度生徒指導・教育相談といったような一定の専門的な単位を修得していただくことで授与される免許というような新しい仕組みを、専修免許相当という大学院段階の免許として作ることも考え得るのではないかというものでございます。
 さらに、右側にa、b、cで書いている免許でございますが、これは接続部分に焦点を当てた免許でございまして、例えば幼小、小中、中高といった接続部分に、重点的に履修をしていただくような単位の構成で、免許を特別に作るという考え方がございます。
 これは、右側の留意点に書いておりますが、接続部分のみに集中特化した形で、数単位で構成する方法もございますし、あるいは、例えば小学校を基点としつつ、中学校に必要な内容を少し学んでいただくというような形で構成をすることによって、両学校種を教えられるというような形で構成することもできます。これを取った場合には、冒頭に御覧いただいた複数包含型の免許と同様の機能を持ってくるというものになってまいります。
 上の方に(2)で書いておりますが、(1)との違いは、専修免許を現存どおり残すか、あるいはなくしてしまって、高度専門免許に替えていくかという相違を示したものでございます。
 以上が本日御用意させていただいた資料でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 全部、A3の横書きの資料になりましたけれども、2-1から4まで、極めて枠組みをしっかり整理していただいて、学校種ごと、更にそこで、例示としては教科、教科種ごとというような免許のこれからの在り方を、ほぼ現行も合わせると4パターンずつぐらい出していただいて、更に加えて、これも一つの新しい考え方だと思いますが、中高の教科の教員に対して、小学校も教えられるような仕組みを免許法上、確保するという論点、さらに、専修免許状の問題まで視野に入っています。
 御意見を頂ければと思いますが、最初は質問ですかね。
 もうちょっと聞かないと分からないというのが正直なところかと思います。いかがですか。
 どうぞ、お願いします。
【岸田主査代理】
 今はまだ、4枚の資料を全部消化して、発言できる力を持ち合わせていませんけれども、お聞きして、特に資料2-1の現行のものと、そして、幾つかのパターンですね。これを聞いていて感じたことをまず申し上げます。
 ここに(1)、(2)、(3)と三つのパターンがあるんですけれども、(1)と、それから、(2)と(3)とはやっぱり性質が違うだろうと。(1)というのはどちらかというと、免許制度を変えるというよりも、政策上の水の流れを向けることによって、ある面では可能な要素を持っていますね。
 例えば、採用試験で複数免許を持たないと採用しませんよというふうなことが、これを促進するというふうなことが起こってくる。これは別に制度的なものを変えなくたって、そのことはできますよね。
 あるいは、大学に対して、文科省の方から、そうした内容の促進を何らかの形で水を向けていくというようなことも考えられます。ですから、ここのところは、制度的なものとしてどうするかというものとは、少し性質的に違うんじゃないかということが1点です。
 それから、(2)と(3)なんですけれども、室長が図らずもおっしゃられたんですけれども、免許の制度上からいうと、この緑色等のものは、異なる資質能力を持っているという、免許制度からいうとね、ということをおっしゃられました。まさにそこなんだろうと。
 つまり、これらを導入していくということは、いわゆる制度として異なる資質を理念として求めるのかどうかという問題があって、つまり接続の部分というのが、私も感じていることですけれども、校種間の接続の部分をどう教育していくかという点は、やはり弱い。それぞれの校種で単独で教えるということだけでなく、もう少し俯瞰的な目で接続の部分も視野に入れて教育してもらいたいということを狙いとするならば、まさに新しい免許でそのような資質を求めていくということになってこようかと思います。そこらを制度として、そういう資質がこれから求められるから新しい免許が必要なんだ、そういう位置付けというか、根拠をきちっと持つかどうかということに関わってくる問題であると感じました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。いかがでしょうか。どうぞ。
【渋谷委員】
 三つのパターンの違いはある程度は理解したつもりなんですけれども、現状の幼小のところの接続とか、小中一貫とか中高一貫校も既にあちこちでできていますけれども、その現状に合った形で、すぐれた教員を養成するということであるならば、ある意味で、理想は(3)になると思うんですね。新しい免許法をどーんと作っちゃって、現在のものは、室長もおっしゃっていましたけれども、全部やめちゃおうと。
 ただ、これは相当難しかろうなというふうに、ちょっと私も冷静になって考えると、思うんですね。そうすると、(1)に注目するんですけれども、これはこれで、現状をほとんど何もいじらなくてよろしいということになって、そもそもこのワーキンググループは何のためにあるのかというところまでいっちゃうんですが、そこで室長に、もしアイデアがあればお聞きしたいんですけれども、例えば幼小で言うと、赤い四角で囲っているところがある。
 このときに、単に現行のように、一方で小学校の免許状はこういう単位を取りなさい、他方で幼稚園の免許はこっちの方を取ればいいんですよというだけで済ませて、二つの免許を別個に取って、合わせたら一人が二つ取っていたという。そうではなくて、現状が、幼小の接続のところでいろいろ課題が出ていますので、その課題についてのある種の単位というか、授業を作って、そこを接続、接着剤としてこれを取りなさいというふうなところまで、ほんの少しだと思いますけれども、加味することができるのかどうか。小中の場合でも同じですし、中高の場合も同じ発想ができると思うんですけれども、そういう宛てがいはお考えなんでしょうか。
【髙岡主査】
 どうでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 (1)につきましては、今、御指摘がございましたとおり、あるいは、岸田委員からさっき御指摘がございましたとおり、免許制度そのものをいじるわけではないということがございますが、例えば、幼稚園、あるいは小学校の免許を取得するために必要な教職課程での履修単位の構成を変えまして、幼稚園だったら小学校に関する内容、小学校だったら幼稚園に関する内容というものを含むことによって、接続部分に対応するという方法はございます。
【渋谷委員】
 なるほどね。ありがとうございました。
【髙岡主査】
 ただ、そうはいっても、例えば幼稚園のレベルの保育内容の環境という科目を取って、小学校の生活科とか理科を取れば、それで小学校のことも分かるよねという予定調和は、実はないですよね。
 したがって、接続というところをテーマにしないと、幼児期の発達の問題、小学校低学年までの発達、学習の過程というようなところが実は大事で、環境も教えられるけれども理科も教えられますという話では、どうも違うような気がする。
 そういう意味では、中高はそうは違わないかな。そこもやっぱり違わないはずはないですね。
【細谷委員】
 違いますね。
 今の関連も含めてなんですけれども、特に接続部分を中心としたカリキュラム、免許状というのは確かに必要かと思います。今、私は中学校ですけれども、かつて都の教職員研修センターにいたときに、今、都立の中高一貫校がたくさんできたんですけれども、それを発足するときに、いわゆる教員研修の部分でどういうものを入れたらいいかということで、カリキュラムを作ったことがありますが、中と高、問題視されたのが、特に高校の先生が中学校で教える場合、一番、実際に問題になったのが中学校1年生なんですよ。
 1年生を高校の先生方が初めて目にしたときに、ある意味では、変な言い方ですが、宇宙人みたいな存在なんですね。中学校2年生、3年生と、ましてや高校生と全然、発達といいましょうか、物の考え方も違いますから、そういった意味で、カリキュラムの中に、小学校から中学校に掛けての生徒理解というようなものをあえて入れて、あとは実際にやってもらってという形を入れました。
 それは大変、高校の先生方にとって好評でしたけれども、今、主査がおっしゃられたように、発達段階の理解というんですか、それは免許のカリキュラムの中に入れるのか、あるいは教員になってからの研修の中に入れるのか、それはちょっと分からないんですけれども、必要であるなという気はいたします。
【髙岡主査】
 今、細谷委員からお話のあった中身が、論点としてはどん詰まりまで行ったかなという感じがしますね。
 この問題は研修の問題、つまり教員として基礎的な資格を取らせる養成課程と、その先の正に応用問題、そこをしっかり勉強してもらう研修の問題と考えるかという論点が一つありますね。
 と同時に、例えば資料2-3の横書きの資料で言うと、幼、小というところとか、丸2の小、中、あるいは小、中、高という縦に通貫する、これは出来上がった姿を見ると、どの学校でも教えられますよという22歳を社会が信用するかどうかという問題はあるんですが、しかし、免許としてどこでもできるということ、その中身は、やはり接続という問題を勉強しておく、あるいは、したという証明をしっかり求めるということでしょうか。
 そういう意味では、黄色で縦にすとんと伸びているので、こういうスーパーマンを想定して大丈夫かいという感じもしないではないですけれども、実際は、研修も含めて養成段階で基礎のところはしっかりやらせる免許状というのはあり得るだろうという感じがしますね。
 そうすると、接続期の問題というのは、今すぐどうこうという議論ではありませんけれども、現行制度で出している免許状や、あるいは学校種別に研修を実施されている研修内容からいうと、ちょうどすき間になっている部分、不足している部分が一つ浮き彫りにされているということかもしれませんね。
 その点では、例えば中高一貫教育学校というのがある、それが制度化された。今度は小中一貫校も、場合によっては学校教育法の中で制度化されるかもしれない。これはまだ分かりませんが、学校制度を変えていこうとする政策的な動きの背景にあるのは、ぶつ切りの学校ではまずいぞとか、区切り目が今のままでは違うんじゃないかという問題意識があることは間違いないですから、その動向を見ながら、免許も考える必要があるだろうということだと思いますので、当然、考慮しなければいけない大事な点だと思います。
 いかがでしょうか、では、八尾坂先生。
【八尾坂委員】
 関連して、資料2-1の右側の(1)のところでは、例えば赤枠で、高校の英語と中学校の英語を併有できるわけですけれども、あるいは小学校と中学校の数学が出ていますが、特に小中の接続ということを考えた場合、中1ギャップとかという言葉があるように、そこでの発達段階の理解についての研修なのか、それとも、自動的に免許状を上げるんじゃなくて、何かそこで養成の段階でも、内容上、そういうものを入れてはどうかというのは、私は考えていいんじゃないかと思いますけれどもね。
【髙岡主査】
 そうですね。ありがとうございます。今の御意見、何かあれば。では、大坪先生。
【大坪委員】
 お示しの資料2-1で言えば、(2)とか(3)のような小中を一貫した、あるいは中高を一貫した免許の創設というのは、私は賛成です。
 ただ、それが(2)のような形になるか、(3)のような形になるかというのは、今後の議論だと思うんですけれども、今、接続のところでの御意見が出ていましたけれども、接続ということになると、現行の6・3・3という区切りを前提にした話になるので、必ずしもこの免許制度が、大学での学びを基本にして考えるならば、研修で補えることというのはまた別途であって、大学の段階でということになると、今後、免許を手にした方々が、多様な学校制度の変革に対してもある程度対応できるということを保証していかないといけない。
 そうなると、中1ギャップの問題だけであれば、中学校の免許に対して、そうしたものの科目を必修化するというようなことで切り抜けられる部分はあるかもしれないですけれども、そうではいけない部分というのも当然、視野に置かなければいけない。そうすると、小中、それから、中高という形の免許というのは必要になってくるだろうなという気がいたします。
 ただ、幼小にあっては、幼児教育の免許、あるいは資格の議論が別途あるので、このあたりはなかなか難しい問題があろうかなと思いますけれども、小学校と中学校、中学校と小学校、それは現行であっても、小学校でどんな学びがあり得て、そして現在、中学生になっているか、そういうことを理解するためにも非常に必要なことだと思うので、中1ギャップだけの問題ではないような気がいたしますので、新しい校種をまたぐ免許の設定というのは賛成です。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。では、若月先生。
【若月委員】
 今日、事務局から頂いたこれを見て、またちょっと迷っちゃうんですけれども、それぞれいい案だし、私は、2-1の(3)なんかはいいなと思うんです。先ほど渋谷先生もおっしゃっていましたけれども、ただ、いろいろ考え方が出てきたときに、もう一回、現場の立場で立ち返って考えたとき、様々な免許を作る、現場から見て、一番切実なニーズのあるのは一体何だろうということをさっきから考えているんですね。
 だから、様々な免許の制度の取得のパターンというのが考えられるんだけれども、それが現場で生きて働くようなものでなければならない。そうなったときに、今、現場で一番切実なニーズというのは、確かに学校間をまたがって教えられる免許を持った先生、これはどうしても欲しい。これはどの先生もおっしゃるとおりなんですね。だから、それはそれでいいだろう。
 更に一歩踏み込んで、ただ校種間を越える免許を持っているというと、現場はそのとき、そのときで便利に使うし、小回りも利くような指導はできるでしょうが、その一方で、これは学生の話になるんですけれども、今、大坪先生もおっしゃいましたけれども、6・3制を前提になんだけれども、どうも、私が品川区という一つの自治体でお仕事をさせていただいたときに、6・3制そのものに、子供の実態がちょっとずれ始めているなということは感じていたわけです。
 そうすると今度は、ただ単に、そのとき、その場、学校が便利に指導ができるために学校間をまたぐ免許状というよりも、小学校の高学年は間違いなく、教科担任制で指導をしていかないと、教科の内容だとか、量だとか程度からいったところで、全ての小学校免許状だけでは賄い切れない部分が現実に出てきているというのには、何度も立ち会ったわけです。とりわけ理数系、体育系、ここら辺は、小学校の高学年は、小学校全教科の免許状だけでは指導し切れない部分も出てきている。
 そう考えると、ただ単に校種をまたがるということはいいんだけれども、もう一歩進んで、ある程度、小学校高学年あたりは、中学校の免許状を持った教科の先生が入り込める、教えられるような仕組みといったようなものを作っていくことが一番、今の現場がニーズとして感じていることではないのかなという気がするんですね。
 だから、例えば(1)、中学校の数学の先生が小学校に来る、これだって、確かにそれは今でもできることなんですけれども、どう言ったらいいんでしょうか、その場、その場で使うことはできるようになるんだけれども、小学校の各教科の指導そのものの仕組みといったようなものをもうちょっとしっかり作るためには、少なくとも主要教科、国、算、社、理ぐらいは中学校の専門の免許状を持った人たちが入ってこれるような仕組みにしていく必要が、現場には起きているんじゃないかなという印象を持つんですね。そんなことを考えながら、免許の制度というものを考える必要があるんじゃないかなと。
 これはどちらでもいいんですけれども、案としては、義務教育免許というのが9年間であったとしたならば、前期義務教育免許状と後期義務教育免許状という二つの種類を作るのも一つの手だろうと。前期義務教育というのは、全教科、小学校で教えることができる。後期義務教育免許状というのは、小学校はもちろん全部教えられるけれども、その中でも、中学校と共有のある一つの教科をきちんと教えられる。そういう制度もあってもいいのかなという気がしました。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 今の若月先生の御意見は、資料1、それと、資料2-1と2-3あたりの絵の描き方の読み込みだと思うんですね。つまり、資料2-1の(3)複数校種の免許を基本とするといったときの、この例示で言うと、小学校プラス中学校の音楽が教えられますよというパターンですね。
 これだけ見せられると、私なんか、もちろん小、中、両方の免許を、基本的には今、取らせているという傾向の強い大学学部等、これは教員養成目的大学学部であれば、ほぼそうやっていますね。
 しかし、逆に、例えば幼、小でパッケージを作っているところ、それから、小学校に特化した課程を置いているところ、ここに中学校が取れるかという、具体的な課程の認定に乗り込んでいく際の大学の立場というものが大分厳しくなるだろうなというふうに見えたりするんですね。
 資料2-3の丸2と丸3です。これは似たようなものだろうと思うんですけれども、丸2の設計の仕方によっては、中学校から小学校の特定の教科と学級担任がどうもできるというパターンになると思うので、そこが接続期と先ほどから出ているお話かなと思います。
 ですから、パターン化されて資料2-1、2、3と並べられると、1と3の間には相当、色も違うし、開きがあるように見えるんですけれども、ある側面を表示しているような感じもしますので、そのあたりを少し整理を、また改めて事務局にもしていただいて、ここへ落とし込んでいただくということかなと思うんですが、そんなにパターンが山ほどありそうな気はしないんですが、ただ、図面にされますと、小、中、高から縦にすとんと全部教えられる先生がいたり、小学校と幼稚園を教えられる先生がいたりという、場合分けになるんですけれども、それを具体的に単位の修得課程と考えるとどうなるかという問題が次に控えておりまして、いかがでしょうか。
 更に御意見を頂いて、次へ行きたいというところもあるんですが、今、御発言があれば伺います。先ほどの大坪先生の御意見も全部含めて、非常に大きな論点がもう既に全部出ているという感じがします。
 どうぞ、お願いします。
【小原部会長】
 学校制度と免許は切っても切れない関係だと思います。もし、6・3・3制で今後もいくのであれば、現状の免許制度で何ら問題はありません。ただ、小中一貫校と中高一貫校が増えてくると、何らかの対応をしなければなりません。その辺の見極めが難しいと思います。加えて、この場で制度のことはやらないので、制度改正の情報も得ながら、よく検討していく必要があると思います。
 品川は、もう既に小中一貫をやっている。それでも、9年分を一人の教員が担当するには物理的にも厳しいと思う。当然、先ほど言った教科型と全教科型に分かれると思います。それから、中高一貫においても、上4年と最初の2年というのは、おのずと分かれてくるのではないでしょうか。
 そのあたりを整理していくと、例えば3種類の免許があれば対応できるのではないかなという気がします。小中の場合は義務教育の前半を全教科型と呼び、後半を教科型。それから中等教育は1本化で、まとまるのではないでしょうか。これである程度現行の6・3・3でもカバーできるし、5・4・3、4・4・4、5・3・4への対応もできるでしょう。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 今の部会長先生の御指摘は、この図面に載っていないものですよね。つまり、小学校低学年というか、中学年ぐらいまでの全教科型、それを上まで延ばすかどうかということはまた議論する。それから、小の高学年と中学校のところの小中の教科型の免許、もちろん担任もできるという想定だろうと思います。さらに、中等を1本にする。
 その3種類あれば、その免許を持っている御本人が得意とする分野、さらには校長先生なり教育委員会、あるいは私立学校の経営陣が、最もいい適性のところへ配置をする、そういうことは可能だと。
 今は、それが小、中、高の免許になっているから、中、高をちゃんと持っているとか、小学校は大丈夫と聞かないとできないという問題があるので、そこを調整すべきだと。それが結構大きな課題だということだろうと思うんですね。私が解説をする必要もなかったかも分かりませんが、大事な論点だと思います。
 それでは、最後の論点です。教職課程、つまり大学の所要単位の枠組みという論点ですが、事務局より説明をお願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、資料3-1を御覧ください。「教職課程の見直しの方向性について」ということで、論点メモを御用意しております。こちらは、免許取得に必要な要件として単位を修得するわけですが、その単位を修得する課程であるところの教職課程というものを、今後どのように見直していくべきかということでございます。
 基本的な視点としまして、例を幾つか掲げております。
 一つ目が、校種間連携・一貫教育に対応するための接続的内容、先ほど御議論いただきました内容の位置付けをどう考えていくかということ。
 それから、複数学校種で指導可能な履修を実現するために、可能な限り科目を精選し重点化していく必要があるのではないかということ。
 研修との分担・接続の観点から、養成段階で対応すべき内容を明確にすること。
 現下の教育課題への対応を行うこと。
 現職教員の教職生活全体を通じた学びに十分に配慮して、新たな免許の取得を促進する内容としていくことなどを、例として掲げております。
 二つ目、個別の論点でございますけれども、一つ目は、現在、「教科に関する科目」と「教職に関する科目」がございますが、専門性や実践性にすぐれた教員を養成するために、これらを融合することについてどう考えるか。
 二つ目としまして、「教職の意義及び教員の役割」や「教員の職務内容」について学ぶという内容がございますが、例えば「教育実習」や「教職実践演習」のような実践的かつ総合的な履修内容とともに総合的に位置付けることをどう考えるか。また、教育委員会や学校との組織的連携の位置付けをどう考えるかがございます。
 (3)個別課題でございますが、例えば、特別な支援を必要とする児童生徒の指導法、それから道徳、特別活動、情報機器及び教材の活用、総合的な学習の指導法、そして昨今、バカロレアなどの推進ということを文部科学省としても打ち出しておりますが、思考力・判断力・表現力、課題を発見し解決する力など、新しい力を育成していくということは、学習指導要領においても書いてあることでございまして、このような力を養成していくための指導力というのを、教職課程の中でどのように構成していくかということがございます。それから、社会的・職業的自立のための指導(キャリア教育)がございます。
 最後に、(4)でございますが、可能な限り科目を精選し重点化しようとした場合に、例えば「教科又は教職に関する科目」というものが現在ございますが、これを廃止するか、あるいは、教職課程外で大学のいずれかの単位として修得すればよいものとして8単位、教養的な科目がございますが、これも最低限に絞り込むかといったことがございます。
 具体的には、資料3-2を御覧いただければと思います。A3の資料でございます。
 資料3-2の左側に、現行制度を書いております。現行制度の特徴といたしましては、緑部分の「教科に関する科目」という、教科の専門性を裏付けるような科目、それから、「教職に関する科目」という、教員の職務に関わるような内容というものの科目が分断的に分かれて配置されております。さらに、このいずれかを取るということで、「教科又は教職に関する科目」という区分もございまして、更に一番下に、「その他特に修得を要する科目」ということで、教養的な科目として日本国憲法、体育、外国語コミュニケーション、情報機器の操作というものがございます。
 これらを新しく構成していくことができないかという案で、例1から例3をお示ししております。
 特徴としましては、教科の専門性ということを背景にしつつも、きちんとした指導法の部分に結び付けていくような在り方というものが考えられないかということで、一番上にブルーの部分で書いておりますが、「教科の内容及びその構成、教科の指導法」という形で、教科に関する科目と指導法に関する科目を融合したようなものが作れないかという内容でございます。
 二つ目、赤字で書いておりますが、「教職の意義・職務内容の理解及び実践・実習」ということで、現在は分かれて学ばれているものを、実習とか実践演習と一緒にすることで教職の意義等を学んでいただくような総合的な位置付けというものもあり得るのではないかといった考え方。
 あるいは、例3を見ていただきますと、「学級活動の理論及び方法」の下に、「特別支援教育等」ということで、現在は、こちらは教育の基礎理論に関する部分で、幼児、児童及び生徒の心身の発達等の部分の中の一部として構成されておりますが、特別支援については、発達障害を抱えたお子さんなどが普通学級にも存在することが通常となってまいりましたので、特に特別支援を手厚く学んでいただくという考え方もあるのではないかということで切り出した案でございます。
 それから、「社会的・職業的自立のための指導」ということで、キャリア教育に関するものを入れまして、最後に、一番下でございますが、教育実習などを今のまま残すという方法もございますが、例えばこれを例3のように、教職の意義等と融合させた場合においては、「現代的課題、地域的課題」ということで、大学が設定する科目という枠を設けるような考え方もあるのではないかと思っております。これは、現在は教科又は教職に関する科目ということで、大学が自由に設定したり、学生が自由に選択したりすることができる科目群がございますけれども、それに代わるものとして、新しく設定する方法もあるのではないかということでございます。
 具体的に学んでいただく内容の例は、事務局のもので現行のものを踏襲しつつ、更に少し加えたようなものとして、あくまでも一例としてお示しをしたものでございます。また、これらの内容をお考えいただくための参考資料といたしまして4-1、あるいは4-2以降の資料を用意しておりますので、簡単に御覧いただければと思います。
 参考資料4-1は、鹿児島大学教育学部がお示しになられている「教師としての資質能力」というものでございます。これは養成段階に限らず、教員として生涯生活していく上でどのような力が必要かというものを、大学として整理をされたものでございます。
 参考資料4-2は、横浜市教育委員会が定められているものでございますが、特徴といたしましては、左側の方に「横浜市が求める着任時の姿」というものがあった上で、着任した後の第1、第2、第3というステージごとに必要な資質能力の整理をしていらっしゃいます。これが養成段階と研修段階等で必要なものを考えていく上での一つの参考になるのではないかと考えておりまして、御用意いたしました。
 参考資料5-1以降は、初任者研修に関わる資料でございまして、5-1は全体的な資料ですが、5-2を御覧いただければと思います。
 参考資料5-2、秋田県の例でございまして、小学校の初任者研修で、具体的にどのような項目を学んでいらっしゃるかというものをお示しさせていただいております。御覧いただくと、非常に細かく様々な内容を研修されているのが見てとっていただけるかと思います。
 また、3ページ目になりますが、松山市の研修内容項目例についても、同じように御用意しております。
 これらも参考にしていただきつつ、教職課程の枠組みや内容についてどのような改善があり得るか、御審議いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 これも、どうぞ、どなたからでも、どこからでも、質問なり御意見をお願いします。最後は科目区分までレジュメがありますので、ここまで全部というわけにはいかないかもしれません。
 お考えいただいている間に、先ほど出た議論、校種間連携、一貫教育、複数校可能とか、基本的な視点で、学び続ける教員像を理念とした研修と養成の分担や接続というようなテーマ、さらに、免許という点に絞れば、個別の具体的に現れた課題が2の(3)で並んでおります。これらをどう取り込むかという問題と同時に、もう一方で、複数校種ということがありますから、単位のスリム化ということも図っていかなければいけないだろうという、隠れたテーマもあります。
 そういうことを念頭に置いて出来上がっているのが資料3-2ということになるんだろうと思いますが、どうぞ、どなたからでも。
【細谷委員】
 先ほどの免許状の関係もあるんでしょうけれども、こちらの教職課程の中身につきまして、今、中学校なんかで大変課題になっているのが、学力の問題が一つありますが、その中でも、教科で言うと理科というのが非常に課題でありまして、余り小学校のせいにしてはいけないかもしれませんけれども、小学校の理科って、小学校自身も課題だと思っているんですね。
 つまり専門性が、ほかの教科よりも非常に多岐にわたっているんですね、理科の場合は。ですから当然、大学の小学校の教職課程だけでは、恐らく小学校理科といえども、先生自身が追い付けていない、教材研究に。
 そういう意味で、先ほどの小学校の教科免許状というのは非常に意義があることだなと思いますけれども、特に系統性と専門性というのを併せ持ったカリキュラムというのは必要なんだなということですね。
 そうしますと、資料3-2でいきますと、最初の教科に関する科目の中に、そういうものが随分織り込んでありますので、私自身は、これは大変いい中身だなと思います。
 それから、また別な話なんですけれども、中学校の先生方の授業を見ていて、あれと思うのは、指導法なんですね。特に今、言語活動というのが学習指導要領にはっきり載って、どの教科でもかなりの時間を掛けてやらなければいけない。
 ところが、中学校の先生というのは、専門性には長けている。それは知識の部分で長けているんですけれども、指導法の部分ですね。例えば、思考力を育てていく、あるいは表現力を育てていく、そういう指導法というのは、小学校の先生と比べるとちょっと稚拙かなと。
 そういう意味では、私は、資料3-2の真ん中の教職に関する科目の中に、各教科の指導法というのは入っていますが、各教科というよりも、総合的な学習の時間の指導法というのを入れていただけると、私も指導主事のときに総合の担当になりましたけれども、これを先生方が研修するだけでも、かなり授業力がアップしましたものですから、それを少し加味していただきたい。
 もう一つは、先ほどの話にありました、特別支援教育の中身をもっと増やしていただきたい。特別支援学校、あるいは特別支援学級に来る子供を教える先生だけじゃなくて、普通学級に今、たくさん発達障害のお子さんが入ってきています。ところが、教員が、特別支援に関する、特に発達障害に関する勉強というのは、大学時代はもちろんですけれども、教員になってからもなかなかできない。
 ですから、教職課程の段階でこういうものを、もう少し単位数を増やすなり何なりしていただけると、非常に有り難いという気がいたしました。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。岸田先生。
【岸田主査代理】
 感じたことを箇条書的に申し上げたいと思います。
 一つは、全体的なことですけれども、単位数が入っていないので、単位数によって考え方も若干違ってくるという意味もあるのかなと思っているんですが、基本的に、大きな枠組みとして、私は、よくできたといいますか、バランスよく考えられた枠組みの提示じゃないかなと思っています。
 特に、各教科の指導方法を、教職から教科専門の方に移す。これは大学の教員にとっても、この意味は大きいと思っているんです。つまり、教職の中でやるものではなくて、今まで教科専門の先生方は教科専門のところへ、こう言ったら語弊があるかもしれませんが、逃げ込んでいった部分があるんですよ。そこへ逃げ込んでいけない、教科専門の中にきちっと指導法ということが入っている、これの持つ意味というのは大きいのではないかなと思います。
 それから、大きな枠組みで、教科又は教職に関する科目をなくすというのは、私も賛成です。前回も申し上げましたように、これは狙いが達成されていないという意味からしても、なくしていいんじゃないかと。
 それから、教育実習と教職実践演習を複合的にというようなことだと思うんですが、これもこれでいいんじゃないかなと思うんですね。教職実践演習の本来の18年答申の趣旨からいうと、このような形にすると若干、性質が違うものになっていくと思うんですけれども、しかし、それよりも、教育実習との絡みをより大きくする方が教職実践演習が生かされるという感じはしますので、これはこれでいいのかなというのは、私はしています。
 それから、特別支援教育については、先ほどもありましたけれども、私は、こういうふうに枠組みとして別建てにした方が、何かの中の履修を要する内容の一つとして入れ込むのではなくて、例3にあるように、一つの枠組みとして置いた方がいいのではないかなと思います。理由は先ほど言っていただいたことと同様です。
 以上です。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。では大坪先生。
【大坪委員】
 資料3-2を拝見すると、よく考えられた案ではないかなと思うんです。現行の免許制度の枠組みというのは、何となく大学の教員の専門性との関係で並んでいるということだったのを、教員免許あるいは教職課程において、どういう力を付けることが必要かという発想に立ち返って枠組みを決めるという発想かなと思えて、大賛成なんです。
 特に、教育実習を別建てにしているがために、今まで、中教審答申でも、いわゆる出身校実習の弊害であるとか、いろんな形で、ややもすれば実習校に丸投げのような形で、大学がそこに対して余りコミットしていない、あるいは責任性を持たないかのようなやり方に対して、これはこういう部分にきちんと位置付けられるんですよということを示すためにも、重要かなと思います。
 ただ、そのことが教育実習を軽視するということではないかなと思いますので、このあたりは、先ほど岸田先生もおっしゃったような、どういう単位数の割り振りになるかということとの絡みでも、色々出てくるかなと思います。
 それから、特別支援教育に関しては、両先生がおっしゃったように、私自身も心理学を担当していますので、今までは教育心理学の中で数時間、これを話す形になっていますけれども、これでは到底足りないと思いますし、また、もちろんニーズとしては、通常学級における発達障害の子供たちのことがありますけれども、発達障害に限らず、特別支援教育全体にわたってきちんと理解すること、このことは人権の問題とも関わって非常に重要なことになると思いますから、別建てで出すことの意義というのは非常に大きいと思います。
 それから、例3であるように、現代的課題、あるいは地域的課題ということ、例えば、私自身は鹿児島大学ですので、鹿児島のような離島、僻地(へきち)がたくさんあるところでは、どうしてもこれは、附属学校にも複式学級を置いていますけれども、そうしたニーズに応えるために、それぞれの大学が地理的課題に対応した単位を必修化するということも、こういう枠組みの設定の中で、大学の力量も問われるかと思いますけれども、今までの教科又は教職という形の枠組みだと、何となくどっち付かずのものが並んでいるという感じになっていましたから、その意味では、そこにはどういうものを置くべきかということで言えば、例3のような提案の仕方の方が、私にはスムーズに入ってきやすいです。
 以上です。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。では、若月先生。
【若月委員】
 今日頂いた資料3-1、資料3-2は、私は、大変上手にまとめて論点がはっきりしているなということで、感謝を申し上げます。
 感想とお願いなんですけれども、1点目は、資料3-1の2番の(3)の一番最後の丸で、「社会的・職業的自立のための指導(キャリア教育)」と書いてありますが、これは個別課題という扱いになっているんですけれども、私は、個別課題というよりも、それこそ大学の教育課程の中でしっかりと位置付けるべき、本来、性格のものであるし、ここに力を入れていっていただきたいなということを感じました。
 それから、これは大学の中身のことで、よく分かりませんが、2の(4)「教科又は教職に関する科目」を基本的に廃止するというのは、私も、この方向でいいんじゃないだろうかと思います。
 それから、2番の(3)、また個別課題に入りますが、これこそ、先ほど八尾坂先生がおっしゃっていましたけれども、教育委員会が負うべきところはかなりあるなという気がいたします。そういう意味では、(2)の表現のように、ここで教育委員会と学校の組織的連携と書いてありますが、これこそ、教育委員会と大学との視点からどう対応するかぐらいのことをはっきり書いておいてもいいんじゃないだろうかという感想を持ちました。
 以上です。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。どなたか。渋谷先生。
【渋谷委員】
 よくできた御提案というか、資料だと思いました。私は教科に関する科目のところについて、ちょっと申し上げますが、単位のことがまだ論じられていないので、不確かなことしか言えないんですけれども、例えば、「又は科目」を廃止するというアイデアがございます。そうするとそれに連動して、「教科に関する科目」が単位として増えるのかなと思っているんですが、そうすると、教科専門の先生が単位が元通りに増えると言って喜ぶだろうということは容易に想像できるんですね。
 だけれども、そこに二つの違いがあると思うんですよ。一つは、本当に小、中、高の現場に合わせた形での教科専門をきちっと学生に伝えるという積極的な受け止め方、もう一つは、古いタイプと言うとなんですけれども、自分が文学部や理学部で教わってきたことをそのまま学生に伝える、そのための時間が増えたのかなということで喜ぶ先生方、この二つの違いはきちっと見分けないといけないと思うんです。
 その点で、ちょっとした危惧と言うと言い過ぎかもしれませんが、一番右側の欄で、要するに「教科専門」に関わるのは一番上の黒い字のところと、その次のところぐらいなんですね。あとのところが、「教科教育」の課題が全部ここに入ってくるんですけれども、これの積極的な意味は私、理解しますので、賛成です。
 他方、1枚物で頂いた資料で申し上げますと、下の方の(3)の個別課題の下から2番目の丸なんですけれども、ここが行数から言っても一番充実して書かれておりますけれども、「思考力・判断力」、「発見する力」、「論理的に考察する力」、これらは教科専門のところで厳しく学生を指導しないと、多分、力が上がらないんですよ。
 その意味で、特に思考力とか論理的に考える力というところに関して言えば、旧来の教科専門、これについてのきちっとした理解というものは、是非この作業の中で見据えていただきたいなと。教科専門出身はこの場では私一人ですので、こういうことを申し上げるのは私だけということで申し上げました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 若干時間も過ぎてまいりました。今日は中身が豊富過ぎて、これで10分で済んでいれば結構だろうと思います。特にまとめるということもございませんし、まだ御意見を言い足りないという方がいらっしゃると思いますし、せっかく今日は局長にも、それから両審議官も、時間の許す限り来ていただいていたりしました。
 御意見を伺う時間はございませんが、一応、論点として事務局で準備していただいた三つの点、まず、大きな制度、それから、養成の改善の方向性ということについて、免許制度の見直し、つまり接続部分をどうするかということに象徴される免許制度そのものをどう動かしていくのかという論点、最後には、教職課程の、これもかなり思い切った案が提示されておりますし、それらを改めて議論の中心に置きながら、このワーキングを進めていく。
 その合間に、養成部会への報告ということもございます。次回の養成部会ではそんなに、これを決めました、あれを決めましたという話ではないと思いますから、それはいいとして、このワーキンググループの今後の論点がほぼ出そろって、検討すべき中身というのは整理がついてきたんじゃないかなと思っております。
 更に今の資料を、今日の議論を踏まえて事務局の方で再整理をしていただいて、次のワーキングでまた提示をしていただく。まだやり足りていない、例えば課程の認定をどうするのかという問題であるとか、研修とのつなぎの問題、この辺はまだ議論をしておりませんので、そのあたりも視野に入っているということを前提に、事務局の方でも再整理をしていただくということになろうかと思います。
 最後にもう一言という方がいらっしゃれば。では、この程度のまとめでどうでしょうか。
【柿澤教職員課課長補佐】
 ありがとうございました。日程ですけれども、資料5にございますとおり、このワーキンググループといたしましては、7月9日に第3回、7月24日に第4回を予定しているところでございます。
 また、教員養成部会につきましても、決まり次第、御連絡を差し上げたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。

── 了 ──

 

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