幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関する合同の検討会議(第5回) 議事録

幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関する合同の検討会議(中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会認定こども園教育専門部会と社会保障審議会児童部会認定こども園保育専門委員会の合同の検討会議)第5回の議事録を掲載します。

1.日時

平成26年1月16日(木曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館3F1特別会議室(文部科学省3階)
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定について
  2. その他

4.出席者

委員

秋田座長、無藤座長、阿部委員、網野委員、岩田委員、岡上委員、岡村委員、柏女委員、神長委員、河邉委員、吉川委員、小枝委員、酒井委員、汐見委員、志民委員、柴崎委員、杉原委員、民秋委員、寺田委員、野本委員、帆足委員、増田委員、矢藤委員、渡邉英則委員

文部科学省

(文部科学省)
前川初等中等教育局長、義本大臣官房審議官、蝦名幼児教育課長、林幼児教育企画官、津金教科調査官、湯川幼児教育調査官、冨森子育て支援指導官

(厚生労働省) 
鈴木大臣官房審議官、橋本保育課長、南幼保連携推進室長、馬場保育指導専門官 

5.議事録

【無藤座長】  
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会認定こども園教育専門部会と、社会保障審議会児童部会認定こども園保育専門委員会の合同の検討会議、第5回目でございますが開会いたしたいと存じます。本日は御多忙の中、御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 まず初めに本日の委員の御出欠、配布資料の確認を事務局にお願いいたします。

【林幼児教育企画官】  
 おはようございます。初めに、今日の委員の御出欠状況について御報告申し上げます。榎沢委員、上林委員、田中委員、渡邊郁美委員が御欠席ということです。汐見先生が遅れて来られるという御連絡を頂いております。いずれにしても今日は定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。
 続きまして、今日の配布資料を御確認いただければと思います。議事次第を御覧いただければと思いますが、記載していますとおり資料1の報告書の案、資料2の委員提出資料を配布させていただいております。そのほか参考資料、あるいはこれまでの合同検討会議の配布資料については、机上のファイルにとじておりますので御参照いただければと思います。不足等がございましたら事務局にお申しつけください。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと存じます。本日ですけれども、前回が11月15日でございましたけれども、それまで皆様方の御議論、また関係団体の御意見等を踏まえまして、合同の検討会議におけるこれまでの意見のまとめというものをお出しし、皆様方に御審議いただいたわけでございます。本日は、その前回の審議を踏まえまして、改めて必要な修正を加えました報告案をお手元に用意してございます。今後でございますけれども、この会議の第1回目に御説明申し上げてございますけれども、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)でありますが、本年度中の策定が予定されております。つまり3月中に告示に進めたいということでありますが、その予定の中で本日、合同の検討会議としての議論を集約したいというふうに考えてございます。
 今回の報告案は、子ども・子育て新制度の下で平成27年度からの実施が予定されてございます。幼保連携型認定こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容の基準の策定の方向性を示すものであります。そして、本日の合同会議としてまとめを行うことになりますので、全体を振り返っての御意見、御感想等を含めまして御議論を頂きたいと存じます。改めて第1回目に御説明したことを確認いたしますと、この合同会議全体でありますけれど、保育要領(仮称)の基本的な在り方、方向を御議論いただいて、いわばその方針、あるいはその構成、必要な盛り込むべき事柄などを整理していただくということになってございます。最後に改めて事務局よりお知らせいただけると思いますけれども、3月末までの告示の予定ということで、逆算いたしますと今日がぎりぎりぐらいだろうと思うのですが、方針を明確にしていただく。パブリックコメントを行うということになっていると思いますので、通常その前の1か月ぐらいを要するわけですので、2月のどこかでパブリックコメントをとる。パブリックコメントの場合には、今日のまとめよりはもう少し具体的な、告示案にしていくということになろうと思います。
 本日の方向性を踏まえて、具体的な告示にする文案までの執筆、あるいは整理については最終的には事務局の方で行わせていただくということになってございますので、そういう意味で細かい文言というよりは、今日は是非、基本的な方向性のところで御議論いただき、また例えばこういうことは入れるべきである、こういう表現では分かりにくいというようなことを踏まえて御議論を頂戴できればと存じております。
 それではまず、前回の審議を踏まえて作成されました報告案、お手元のものですけれども、修正箇所を中心に事務局から御説明をお願いいたします。

【林幼児教育企画官】  
 では御説明させていただきます。資料1をお手元に御用意いただければと思います。先ほど座長からも御説明いただきましたように、前回の会議資料では合同の検討会議におけるこれまでの意見のまとめという形でお示しをさせていただきまして、その場でも、あるいはその後文書等々で御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。そういった御意見を踏まえてまとめましたのが今回、資料1として配らせていただいております「幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定について(案)」ということでございます。そういう意味で、このタイトルも修正になっているということでございます。以下、前回からの修正点について御説明をさせていただきたいと考えておりますが、主な修正点ということで細かいところは少し省略しながら、ポイントを押さえて説明させていただければと思っております。
 お開きいただきまして、目次は少し、後で御説明いたしますけれども構成を変えているところがございます。1ページ目の「これまでの経緯」については特に変更しておりません。この制度ができるまでの経緯を書いているところでございます。2ページも基本的には経緯ということでございますので、変えておりません。ちなみに最後の方に前回の会議のことについて追記をしているということでございます。一応、報告がまとまる前提で、「『幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)』の策定について報告することとした」ということを書かせていただいております。
 3ページ目から5ページ目にかけて、まず構成を少し入れ替えたところでございます。前回の会議資料では、「幼保連携型認定こども園の教育及び保育の目的」の次に、「子どもの育ちに関する理念」という順番になっていたわけでございますが、やはり理念は先にきちんと押さえた方がいい、説明した方がいいのではないかという御意見を頂きましたので、(1)にありますが、「子どもの育ちに関する理念」を前にもってきまして、もともと前にありました、次の4ページの見出しにございますが、「幼保連携型認定こども園の教育及び保育の目的」を後にもっていくような形で整理させていただきまして、二つを1.ということで一つの章にくくらせていただくという構成の変更をさせていただいております。それに伴いまして1.の「幼保連携型認定こども園の教育及び保育の目的等」の「等」を加えております。また、1.の下の3行の文章を追記させていただいております。この要領については、子ども・子育て支援法に示す基本理念を踏まえつつ、教育基本法、児童福祉法に示す教育、保育の目的等の達成を目指し策定されるべきものであるという文章を追加させていただいております。(1)は、中身については特段変更しておりません。
 4ページをおめくりいただければと思いますが、「目的等」ということでございます。ここについては注のところを加えさせていただいております。前回も教育や保育の定義について、いろいろ御意見を頂きました。その場で無藤座長からも一定の御説明を頂きましたが、改めましてこの教育、保育の定義、用語の問題については法律に一定の整理をされております。この要領も当然、告示でございますが、上位法である法律の定義、整理というのを踏まえて策定する必要は当然ございますので、脚注3と脚注4というのを追加させていただいております。脚注3については、認定こども園法第2条8項で教育の定義が書いてございます。ここでの教育の定義というのは、教育基本法第6条1項に規定する法律に定める学校、この法律では学校と定義しておりますけれども、学校において行われる教育をいうと規定されております。この定義にしたがって、この報告書において教育とは、この学校教育を指す語として用いるという整理をさせていただければと思っております。
 保育については脚注の4で書いておりますが、同じく認定こども園法の第2条9項で、保育の定義については児童福祉法第6条の3第7項に規定する保育をいうというふうに定めております。この児童福祉法第6条の3第7項というところをみますと、保育というのは従来、保育所において行われてきました養護及び教育、この教育は、先ほど申し上げた学校教育を除くということが出されておりますが、養護及び教育を指す言葉として児童福祉法で定義されておりまして、正確に言えば改正後の児童福祉法第6条の3第7項でございますが、この保育の定義というのを認定こども園法の法体系、改正後の、議論させていただいている認定こども園法の法体系では定義させていただいているということでございますので、基本的にこれらの用語の定義というものを踏まえて、この報告書での語というのは一定、整理をさせていただいているということで、脚注でございますが明記させていただき、そういった語の整理を行って報告書を整理させていただいているということでございます。
 5ページでございますが、これも脚注の1、2を追加しております。前回の御議論の中で、教育及び保育の目指すべき目標や目的といったことについて幾つか御意見を頂いたかと思います。そういったことを踏まえまして、これは先ほど御説明申し上げたように法律に基づく要領ということでございますので、幼保連携型認定こども園がどういったことを目標として教育、保育を行うかということを定めております第9条の規定を引用させていただいております。ここが変更点でございます。
 報告書の6ページをおめくりいただければと思います。6ページの2.の基本的な考え方、(1)の四つ目の丸ということになりますが、この表現でございますが、3行目に「幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項を考慮することとして」という部分でございます。これは前回の資料では、「幼保連携型認定こども園の固有の事情に配慮」と書いておりました。ここの記載部分については必ずしも幼保連携型認定こども園に固有の事情ということも言い切れないのではないかという御意見を頂いたところでございます。そういう意味で固有のというのではなくて、幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項と表現を改めさせていただいております。以下、前回幾つか、固有の事情に配慮という表現が入っておりますけれども、そこを改めさせていただいております。
 その下の丸でございますけれども、これは追記をさせていただいております。幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)という形でずっと、この検討会議の名称もそうでございますが、御議論させていただいております。一応、仮称という形で今日の報告のまとめはさせていただければと我々としては考えておりますけれども、最終的には先ほど座長からも御説明いただきましたように、告示という形で法制化する必要がございます。そういう意味で名称、あるいはそのほかの部分ももちろん、細かい文言も含めて、当然この報告書の内容をできるだけ踏まえて、尊重して作成させていただくわけでございますが、名称につきましても法制的な観点、法制審査の過程で検討をもう一度する必要があるということでございますので、この2行の文章を追加させていただいております。なお、この告示につきましては3府省ということで、内閣府と厚生労働省と文部科学省の共同告示という形になりますので、それぞれのところの文書審査も必要になるということを併せて申し上げたいと思います。ここを追加させていただいております。
 7ページでございますが、上から3番目の丸、ここは全体としては幼稚園教育要領や保育所保育指針との整合性を書いているところでございますが、3番目の丸の「保育の内容に関しては」というパラグラフについて、「家庭との緊密な連携の下」という部分を追加させていただいております。前回、家庭との連携が重要であるという御意見を踏まえて追加をさせていただいております。
 おめくりいただいて8ページ目でございます。(4)のタイトルは、先ほど申し上げたように「特に配慮すべき事項」ということで修正をしております。(4)の中の上から三つ目の丸で、2行目でございますけれども、利用時間の長短でありますとか入園、登園日数の相違等に配慮を行うことが、前回は「必要」と書いていたのですが、非常に重要なことであるという御意見をいろいろ頂いたと思いますので、「重要」というふうに、より強い意味にさせていただいております。その下の丸、4行は追加をさせていただいております。入園から卒業、修了までを見通した計画の編成というのが重要であるという御意見がございましたので、追加させていただいております。ここにありますように、「教育及び保育を一体的に提供するために、幼保連携型認定こども園における生活を見通した教育及び保育に関する全体的な計画を編成するとともに、一人一人の発達の過程を理解し、幼保連携型認定こども園での生活の経験や利用時間の長短等に配慮した具体的な指導計画を作成する必要がある」という文章を追加させていただいております。
 9ページ目でございますが、見出しは「内容等」ということで「等」を追加する追記をしております。下から数えますと三つ目の丸の4行の文章を追加させていただいております。小学校との接続というものを意識した記述がもっと盛り込まれるべきであるという御意見がございましたので、その部分の記述を追加させていただいております。この中で、子どもの発達や学びの連続性の確保ということと、この時期の子どもにふさわしい教育及び保育の工夫、小学校との連携を通じて互いの教育及び保育の内容、指導方法の違いや共通点について理解を深めるという趣旨のことを記載させていただいております。
 10ページは大きな修正はございません。
 11ページでございますが、一つ目の丸でございますが、ここは一部修正をさせていただいております。前回は、障害のある子どもと障害のない子どもが活動を共にする機会を設けるという表現になっておりましたが、3行目でございます、「活動を共にすることができるよう配慮する」ということで、かつその前に「日常の生活を通じて」という言葉を付け加えさせていただいております。単に機会を設けるということではなくて、きちんと活動が共にできるような配慮をする必要があるということで修正をさせていただいております。一番下の丸でございますけれども、この1行目の「公共施設等も活用しながら」ということで、児童館も含めて様々な地域との連携の重要性について御意見を頂きましたので、この「公共施設等も活用しながら」と追加しております。
 最後、12ページ目でございますが、最後から2番目の丸でございます。この幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)ができた際に周知を図る対象者として幼稚園、保育所、認定こども園だけではなくて、小学校の教職員も重要だという御意見がございましたので、小学校の教職員を対象者として追加をさせていただいてございます。
 以上が前回からの主な修正点でございます。私からの説明は以上でございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。以上のようなことなんですけれども、改めて言葉を足させていただくと、途中で御説明がありましたように児童福祉法や学校教育法や認定こども園法、そのほか親法律というんでしょうか、その枠組みのもとで当然ながらこの保育要領(仮称)を作るわけでございますので、この会議としては親法律を改定するという話までは当然いくはずはないわけですので、やはり法律の趣旨、用語を踏まえていただくということが一つあります。それからもう一つ、当然なのですけれども、幼稚園教育要領や保育所保育指針をここで改訂するわけではないので、当然それは現行のものなわけです。そういう意味ではそこと矛盾しては困りますので、やはりほぼ共通の部分は共通のままにさせていただきたい。いろいろ制約が入っているということですね。
 そういう意味ではこれまでの御議論の中でかなり基本、もっと根本にかかわる部分の御意見も頂いているわけですけれども、それらについては十分反映してはいない部分があります。しかしながら、この保育要領(仮称)に盛り込むべき事柄についてできる限り事務局で工夫をしていただきまして、今御説明いただいたような形で修正をしたわけであります。そういうわけで、逐一全てについて御意見を入れ、修正したということでもないですけれども、少なくとも御意見の趣旨、あるいは御心配な点、誤解を招きやすい点については直したというふうに考えてございます。
 というわけで本日、この文書につきまして改めて御意見、御感想、お気付きの点があればお出しいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構ですが、挙手をよろしくお願いいたします。特にここからということではなくて、どの部分、あるいは全体、あるいは今後のこと、何でも結構です。
 お願いします、帆足委員。

【帆足委員】  
 10ページの健康及び安全に関することについてでありますけれども、下から2番目、それから一番下、「疾病への抵抗力が弱く」というような形から始まっている文章で、「健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと」と。この文章はちょっと不足し過ぎているかなと思いますのは、誰が適切な判断を行い、誰が保健的な対応を行うかと、そこのところが既存の幼稚園教諭ではそういう法的な根拠、専門性を含めた法的な根拠がないわけですね。適切な判断というのは医療の方で言えば診断ということに踏み込む形になります。保健的な対応は保健職の専門領域になっているわけです。
 その辺のところを含めて何か一つ、やはり専門的な体制、その中には教育もありますし、そこのところをもう少ししないと通常の幼稚園等においては3歳以上、2歳児のプレ保育というようなこともありますでしょうけど、0歳、1歳、2歳という年齢のところでの保健、安心安全、そしてそれを支える体制ということが保育所保育指針のところでもかなり細かく規定されているわけですね。ですけれども、初回の会議のときに述べさせていただきましたが、これまでの幼稚園教育要領にはそういうことは、一切に近いぐらい含まれていない。そういう教育風土の中で一挙にここに、健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行う、あるいは医療機関等との連携を図る、連携の窓口はそれだけの能力をもっている人でなければ連携は図れない。その辺のところ、前々回でしたか、陣容というか、専門職の構成についてはまだ論議のところまでいっていない、未定というような御回答があったと思うのですけれども、そのことを含めてこの文章だけが空文化されないように担保していくことを是非お考えいただきたいということでございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。事務局からもちょっとコメントいただきたいと思いますが、その前に私の理解を申し上げると、まず一つは幼保連携型認定こども園で保育に携わる保育者は、これは保育教諭でありますので、幼稚園教諭と保育士、両方の免許資格をもつ。経過措置はありますけれども、これが一つ。もう一つは、3歳未満児については基本的には保育士資格をもつという要件でございます。しかし、そうであってもこの記述では不足ということは理解してございます。ちなみに幼稚園の場合にはそういった健康、安全面について無視しているわけではなくて、幼稚園を含めた学校は学校保健安全法で担保されておりますけれども、保育要領(仮称)の場合にそれが伴うということが明示されないところがありますので、そこら辺をどう考えるかということで、事務局から少しコメントを下さい。

【林幼児教育企画官】  
 まず全体構造として、座長からも御説明いただきましたように、これは幼保連携型認定こども園でございますので、対応する保育教諭は保育士の資格も併せもっているという前提でございます。そういう意味では今の認可保育所でも乳児保育等でやっておる対応は、求められる対応はそれなりにできる、おっしゃるような医療機関あるいは嘱託医等がいるわけですけれども、そういったところの連携は適切に、それなりにできる知識等をもっておられる方が現場にいるという前提であるということでございます。その上でこの記述の部分につきましては、お手元の保育所保育指針の現行のところを踏まえて策定、記述をしております。ちなみにこの冊子をお手元に配らせていただいていますが、233ページの(2)乳児保育にかかわる配慮事項のアの中に、「一人一人の発育及び発達状態や健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと」、この主体は当然、基本的には現場の保育士等になると思いますし、看護師がもし配置されていれば看護師もそこに加わるということになろうかと思います。
 ということでございまして、現場の保育教諭等を中心に、もちろん看護師等がいれば相談し、また嘱託の医療機関等にももちろん必要に応じて相談をしながら、保育所の現場で実践されていることを念頭に、幼保連携型認定こども園でも適切に健康、安全に関することが行われる。もちろん、さっき座長もおっしゃったように幼稚園も、学校保健安全法に基づいて、学校医もおりますのでそういったところの協力を得ながらやっているわけですけれども、この記述部分は今申し上げたように、保育所の保育指針の記述を借りております。御意見を踏まえて更に、記載の工夫ができるかどうかというのは検討したいと思っています。

【無藤座長】  
 どうぞ。

【帆足委員】  
 認定こども園では、0歳児、1歳、2歳児の場合にはそうしますと看護師を配置することも視野に入っていると。全園に配置するという意味ではなくて、というふうに理解していいでしょうか。この保育所保育指針のそこの部分に対してというわけではなかったですけれども、その部分を含めてアクションプランという形で制定されてから5年間、看護師の導入促進事業ということが行われて、看護師の導入率は少し上がってきているわけですね。そういう意味で保育所保育指針と同様な文言を入れるというのは、ある意味では適切であると思うのですけれども、同時にそこの視野の中には認定こども園、特に乳幼児、低年齢児を受け止める場合には看護師配置をも視野に一応入れているという理解、前の会議のときにはまだそういうことについては、陣容については全然考えておられないというか、まだそこまで論議がいっていないというお話だったのですが、そんなふうに理解してよろしいということですね。

【無藤座長】  
 私の方から一言だけ。職員配置につきましては内閣府の子ども・子育て会議で議論しております。かなりまとまってきてはおりますが、最終決定にまだ至っていないところだと思います。その場合には当然、幼稚園、保育所、認定こども園それぞれ、あるいは共通にどうするかということでありまして、今までのところで言えば、例えば幼稚園で言えば養護教諭になりますし、保育所の場合に看護師等ですけれども、例えば看護師も今現在、保育所で努力義務なのかと思いますが、それを例えば義務化するのはどうかという御意見は委員からも出ておりますけれども、そういう方向で決定できるかどうかはちょっと分からない。率直に言えば努力義務を外して義務化するということに一気にいくのはなかなか難しそうな感触です。という状況だと思います。
 何かあれば。はい、どうぞ。

【橋本保育課長】  
 保育所の方の状況を少し補足して申し上げさせていただきますと、保育所の場合には必置となっております職員が保育士、それから調理師、調理員という形になっておりまして、更に保健的な対応を指導する立場として嘱託医が必ず置かれるという形になっているわけでございます。それで、看護師の配置についても先生御承知のとおり、保育の質の向上を図っていく一環として進めてきているわけでございますが、法令上の今の取扱いからいきますと、0歳児の受入れ人数が一定数以上の場合に限りまして、1名に限って保育士に代えて看護師ということで、それを保育士の人数にみなすことができるという特例が設けられております。法令上の対応としてはそういった形になっているわけでございます。
 全体として質を改善していくという新制度のコンセプトのもとで様々、質の改善ということが要請され、子ども・子育て会議の方で御議論いただいているわけでございますけれども、そういう中で子どもの健康管理といった側面も重要な質の改善の中の一つの検討事項ということで、そういったところについて正に今、今後の公定価格についてどういうふうに定めていくかという議論の中で、そこのところも議論されている最中というのが現状でございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。ということなので、職員配置について決定した上で書き込むというのはちょっとしにくいところがありますが、でも御指摘の御趣旨は十分理解しております。ありがとうございました。
 お願いいたします。

【柏女委員】  
 別のことでもよろしいでしょうか。淑徳大学の柏女と申します。
 大きく2点、意見を申し上げたいと思います。最初に9ページですが、(1)基本的な枠組みの二つ目の丸に関連してなのですけれども、ここに、総則において理念や目標を示すということになっておりますけれども、理念と目標だけでは不十分なので、ここにいわば特性ですね、幼保連携型認定こども園における教育、保育の特性についてしっかりと入れていってほしいというふうに思います。例えば家庭との緊密な連携のもとに子どもの状況や発達過程を踏まえ、幼保連携型認定こども園における環境を通して教育と保育を一体的に行うことを特性とするといったような文言をしっかりと書き込んでいくということが大事なのではないかというふうに思います。
 それと同時にそれを担保する保育教諭に求められる資質、保育所保育指針では知識、技術、倫理、そして判断という四つを規定しておりますけれども、そうしたこともしっかりと明記していくことが大事なのではないかと思います。さらに、幼保連携型認定こども園が学校かつ児童福祉施設であるということの意味、つまり社会的な責任ということについても、これは大きく3点ぐらいあるかというふうに思っておりますけれども、そうしたこともしっかり書き込んでいくことも大事ではないかと思います。
 続いて11ページです。子育ての支援に関することというところですけれども、ここに書かれていることは、保護者に対する子育て支援を行う施設ということが一番上の丸に書いてありますけれども、ここでは地域の子育て家庭のための支援ということが想定されているように思われます。それも大事なことですけれども、幼保連携型認定こども園に子どもを通わせている保護者の支援、これが実はとても大事なことではないかというふうに思っています。したがって、ここの括弧の中を子育ての支援に関することだけではなく、保護者支援・子育ての支援に関することというふうに少し書き分けていくことが大事かと思います。そして、保護者については園に子どもを通わせている保護者の支援、これが大事だということを明確にうたっていくことが必要かなというふうに思っています。それは連絡帳だとか、あるいは送迎時の対応とか、そうしたところで具体的には行われているわけでありますし、今回、幼稚園教諭の資格をもっている者で保育士資格をもっていない者が、保育士に固有の科目を8単位受講することに、経過措置としてなりましたけれども、その中に保育士の専門性を生かした保護者支援である保育相談支援という科目を幼稚園教諭は学ばなければならないというふうに整理がされています。そういう意味ではしっかりと、幼保連携型認定こども園に子どもを通わせている親をどう支援していくのか、どんなツールを使って、どんな教材を使って支援をしていくのか、それらについてはっきりと書き込んでいくことが大事だろうというふうに思います。
 あわせて、それに関連して脚注で保育教諭の業務というものをしっかりと明記していただきたい。幼保連携型認定こども園の中での保育教諭の業務というのは、認定こども園法の中に書かれておりますけれども、基礎資格である保育士と幼稚園教諭、それぞれの資格の中での業務、つまり児童福祉法の第18条の4には、保育士は二つのことを行うというふうに書いてあります。一つは児童です。児童に対する保育、そして児童の保護者に対する保育に関する指導を行う、この二つの業務が保育士の業務ということになります。それを基礎資格にもつ保育教諭は、保護者を支援するということ、指導という言葉は法律用語ですので余り適切ではないと思いますが、保育士、保育教諭の専門性を生かして保護者を支援していく、その業務が本来業務だということを明確に示すためにも、脚注として保育士の法律上の業務を書いておくことが必要ではないかというふうに思っています。
 さらにそれに関連してですけれども、幼保連携型認定こども園で虐待や不適切な養育等について気付いていく、早期に発見する義務があるわけですので、そこに気付いた場合の対応、保育というのは幼保連携型認定こども園の中だけで行われるわけではなく、関係機関と適切に連絡、連携をすることによって初めて完結するというふうに考えられます。そう考えますと虐待やネグレクト、不適切な養育のおそれがある場合、疑いで構わないわけですので関係機関としっかりと連絡をとる、通告をするということも明記をしていくことが大事なのではないかと思います。そうした点についてここのところをしっかりと書き込んでいくことをお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。どの点も非常に大事な点なので、検討したいと思います。
 じゃ、柴崎委員。

【柴崎委員】  
 大妻女子大学の柴崎です。
 同じ11ページのことなのですけれども、特別支援教育や障害児保育に関することというところで、ちょっともう少し中身を足した方がいいんじゃないかという意見を述べさせていただきます。今、二つの丸で細かな方向性を示してありますけれども、これを読んでみると、障害をもった子どもについては方針、方向が見えるのですけれども、いわゆる特別な支援の必要な子ども、その中には気になる子ども、具体的には家庭の状況、片親で非常に経験が乏しいだとか、それから外国でずっと生活経験をしてきて日本に戻ってきている子ども、それから外国籍の子ども、それから先ほど柏女先生も触れていました虐待を疑われる子ども、こういった子どもが具体的にいるわけですよね。これをどこまで明確に書くかは別としても、やっぱり気になる子どもというのが実際にいて、障害かどうかはまだ分からないというところがとても現場では大事なことになっておりますので、そういう子どもの多様化、それからその背景にある保護者の多様化、そういったものにまず目を向けようというのが一つ、必要だと思います。
 二つ目には、どういうふうに支援していくかというのが、これを読んだだけでは具体的な流れがいま一つ明確ではない。地域との連携というのは分かるのですけれども、そうしますとそこには少なくとも二つ、大事なことがあると思います。一つはやっぱり園の中にそういう子ども、特別な支援を必要とする子どもがいた場合には、その子を支援していく支援体制作りというものを何らかの形でしていかなきゃいけないと。そういう支援体制作りでうまく対応できない場合は、今度は地域ですよね。地域の専門機関とも連携しながらそういう体制作りをより深めていかなきゃいけないと。こういった中身と方向性がもう少し分かるように、例えばこの二つのほかに、あるいはこの二つの間ぐらいにもう一つぐらいあってもいいのではないかということを思いました。よろしくお願いいたします。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。ただいまの御指摘の部分、大事なことだし当然のことだと思います。完全に整理するというのはなかなか難しい面もなくはなくて、何が難しいかと言うとその部分の表題にも、特別支援教育や障害児保育と併記してありますが、これは親法律が二つあるものですから、その間の、完全な重なりにはなっていない部分があります。そういう意味では柴崎委員の御指摘のような形の整理と書き込み、特に特別支援教育という場合には、狭義の障害のあるお子さん以外と言いますか、周辺部分と言いますか、それを含むことができるわけですので、そういうことや、あるいは特別支援教育で御存じのように、個別の指導計画、支援計画の作成ということもありますから、それが見えるような形にしていきたいと思います。ただ、非常に詳しい部分については、これも前から御説明しているように解説書を作る予定でもありますので、より具体的なことはそちらに委ねるというところもあろうと思います。よろしくお願いいたします。

【野本委員】  
 野本でございます。よろしくお願いいたします。
 今の柴崎委員の発言に関連してですが、ただいまの11ページのところですが、ここに記載されていることで最初の、特別支援教育に関する一番上の丸のところなのですが、最近の動向を踏まえて考えると、この表現が多少、曖昧過ぎるかなという気がちょっとするところがございます。「障害の状況などに応じた適切な支援」という書き方がされているのですけれども、この書き方をすると、何か障害が個人のものというだけのようなイメージが強くなるかなという気がするのですね。様々に環境や社会的な問題が障害を形成しているということが考えられるので、であればここは、障害の状況にむしろ配慮した適切な支援という言葉をこちらで使ったらどうかということと、それから同じところの2行目の最後の方からなのですが、「子どもが日常の生活を通じて、活動を共にすることができるよう配慮する」という、この文なのですが、これはむしろ日常の生活を共にし、活動ができるよう適切な支援をするというふうに踏み込んだ書き方の方が文意としては通るのではないかなというふうに考えますが、いかがかなと思います。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。その点もちょっと、親法律と矛盾のないように整理して、なるべくそういう方向で検討いたします。
 増田委員、お願いします。

【増田委員】  
 東京家政大学の増田でございます。随分といろいろな今までの検討事項を盛り込んでいただいて、私どもが言ってきたことが表現されたかなというふうには思うのですが、私は3点、確認をしたいなというふうに思います。
 まず第1点は、先ほどの御説明で、6ページのところで仮称について検討が必要であると書かれておりますが、前回、私、最後のときに質問させていただいたと思いますけれども、この場で検討ということはないのでしょうか。この検討会で保育要領(仮称)ということについて検討する必要はないのでしょうか。そして、この保育ということで決定するのかどうかによって、随分とこれからの内容についていろいろと深く関連するところがあるというふうに思いますので、限られた時間ではございますが是非、この検討会で名称そのものについて確定をしていただければというふうに思います。
 そして、そのことに関連いたしまして2ページのところに、教育課程という言葉が使われております。そして8ページの(4)の四つ目の丸のところで、教育及び保育を一体的に提供するため、全体的な計画を編成することと書かれております。つまり、保育所保育指針では保育課程という言葉が今の指針から使われるようになり、このあたりがどのように、全体的な計画を編成するというときに使われていくのか、これも大変重要な観点ではないかなというふうに思いまして、これを事務局がどういうふうな意図をもってお書きになっているかも確認をさせていただきたいと思います。
 二つ目は、教育と保育という言葉がかなり整理され、そして欄外ではあっても養護と教育が一体となってということが入ったことはとても良かったなとは思いますけれども、しかし養護についてというふうな別枠で説明するような、養護に対する考え方がそれでいいのだろうか。これは恐らく保育要領と、それから保育という言葉を使うかどうかということにもかかわってくることですが、これも今までかなり言われてきたことですが、0歳児から6歳に至るまで一貫して養護と教育の一体性が重要であるという観点からしたときに、もう少し養護と教育の一体性が強調されると言いますか、理解ができるような形で示すことが大事かなというふうに思いました。そのあたりももしかしたら事務局の方のいろいろお考えがあるかもしれませんので、お聞きしたいなと思います。
 3点目は、これも今まで多くの委員の方々からも出ていたと思いますけれども、特に3歳未満児、低年齢児の保育について、やはり幼保連携型認定こども園の中で大変重要な要素であり、さらに今もお話が出ましたように保護者支援、地域の子育て支援にかかわる場合に、3歳未満の子どもの育ち、保育ということの理解なしには十分に対応することができ得ないということを考えますときに、やはりまだ乳児、3歳未満ということについて、もちろんここに書かれてはおりますけれども不十分さを感じます。それらは当然、先ほど座長がおっしゃいましたように解説書の方でより詳しくということはあるかと思いますが、やはり0歳からの子どもの育ちの一貫性、継続性ということを考えて、どこかにやはり子どもの、0歳から就学までの発達の筋道と言いますか、基本的な考え方をこの要領の中に盛り込んでいくことが是非、必要ではないかというふうに思います。発達についての示し方にはいろいろ課題があるとは思いますけれども、現場の混乱した状況が今、既に私はあると思います。どことは言いませんけれども、本当に具体的なメディアの中で、誰もがみえるような状況の中で、こういう保育が行われていていいのだろうかというようなことが、既に教育ということの中で実際にあるということを考えますときに、やはり保育に携わる者も、またそのことを利用する保護者の方たちにもしっかりと理解できるような形を是非、示していけたらいいなと思います。
 以上、3点です。長くなりました。

【無藤座長】  
 少し説明を加えてほしいという要望で、事務局の方からお願いします。

【林幼児教育企画官】  
 名称については御意見も分かりますが、繰り返しになりますがやはり法制的な面で、一方で法律は脚注で御紹介したような定義になっている中で、この場でなかなか決めるというのも難しいということでございまして、この会議での御意見をまた踏まえながら、法制的な審査の中で整理させていただければ有り難いというふうに思っております。
 教育課程のところは必ずしも私、御質問の趣旨を十分理解しているかどうか分かりませんが、2ページの上から4行目に書いてある「教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項」という、この表現は今回に関しては認定こども園法第10条に、幼保連携型認定こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項を定めるということで、いわばこの要領の根拠条文ということでございますが、こういった表現が使われております。そういう意味でここに保育課程という言葉は入っていないというのが、事実としてそういう状況でございます。8ページの追加した記述の記載の経緯、言葉につきましては、計画という言葉を使わせていただいておりますけれども、現行の認定こども園の設備及び運営基準の中で、幼稚園における教育課程及び保育所における保育計画という言葉がございましたので、そこを踏まえて事務局としては書かせていただいております。ここはひょっとしたら課程の方がいいということかもしれませんが、我々の原案の作成としてはその辺をみて、計画という表現を使わせていただいているということでございます。
 あと、養護と教育の一体につきましては、保育の定義のところで書かせていただいておりますけれども、これまで保育所でやってこられた実践というものを踏まえてまたやられるものだというふうに考えております。3歳未満児の関係につきましては、繰り返しになりますが10ページのところに、とりわけ乳児期と3歳未満児の保育ということで書かせていただいております。もちろん、5領域のねらいとか内容というのは既存の幼稚園教育要領や保育所保育指針を踏まえて、記載は最終的にさせていただくわけですけれども、それに加えてここに書かせていただいているような部分については、この会議の御意見でもありますので特に留意が必要だということで、とりわけ注意をして記載させていただくということでございますが、なお具体的に、こういったところが更に足りないということであれば、また御意見いただければと思います。

【無藤座長】  
 念のために申し上げますけれども、前回も出たと思いますが、おみせしている方針というのはこれがそのまま保育要領になるという意味では当然なくて、現行の幼稚園教育要領、保育所保育指針の特に5領域とか、教育課程の作成にかかわる事項とかいろいろ、それは盛り込まれる上でこういうことを加えるという、あるいは全体的方針という意味ですので、そこは御理解ください。
 それから名称のことは、私なども事務局と話し合いながら、私も思い付きをいろいろ言うのですけど、それはこういう理由で難しいとか、法律用語上の矛盾がないようにするというのは難しいようで、非常に悩んでいる最中だということなのです。
 秋田座長。

【秋田座長】  
 今の名称に関して、増田委員の御意見のお気持ちは大変よく分かります。これまでの会議では個々の意見として出されてきて、名称をここで確定することは法令上も全く難しく、できないことなのですが、ここに参加している委員が名称を、総意としては幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)というものを多くの方が賛同しているということは、議事録に明確に残していただければと存じます。あとは法制上のことは私どもはここでは決められないので、ただ可能であれば、総意であるというようなところで保育要領、これが教育要領の方がいいとか、いろいろな御意見があればここで出していただければと思います。もしそうでなければ、これまで仮称で議論されてきたこの名称についてはここで同意が得られて、総意であるというようなことは議事録に残していただけたら有り難いのではないかと思います。

【無藤座長】  
 総意と議決するわけにいかないので、でも皆様方の、多分御異論のないところだと思いますので、そういう理解でおさめたいと存じます。
 それから発達の筋道について細かく、例えば保育所保育指針並みに書き入れるかどうかについてはもう少し検討させていただきたいと思っております。
 それでは岩田委員、お願いいたします。

【岩田委員】  
 やっぱり出発点のところで、教育と保育の関係が分からない。最初の出発点なのでここは大事なところですが、幼稚園での教育とは学校教育を指す語として用いています。他方、従来保育所において行われてきた保育とは「養護及び教育(学校教育を除く)」とあります。しかし、保育所は幼稚園教育要領に準拠して行われてきたわけです。そうすると、ここで言う教育は、幼稚園での学校教育と違う教育とはどういうものを指すのか。どう考えてもちょっと現場は混乱するように思うわけです。今、幼保連携型認定こども園保育要領という仮称の下に議論していますが、僕は基本的には保育というのは養護と教育が核になっていて、かつ養護と教育というのは分かち難いというか、一体的なものであるというふうに考えるわけです。そうすると、配布された資料の4ページの脚注にある保育所における学校教育を除く教育というのと、幼稚園教育要領で言う学校教育というのは、実質どこがどう違うのかと。現場の人はこれを読んで混乱するのではないかという感を強く抱きます。法令上のいろんな難しい問題があるとは思うのですけれども、「小学校教育との円滑な接続」という論点とも関連してきますので、難しいとは思うのだけれども、やっぱり保育と教育ということをもう少し整理して書く必要があるのではないかと思います。

【無藤座長】  
 私も前回ですか、説明もしましたけれども、なかなか具体的に明確に述べるのは難しいのですが、法令上で言えば認定こども園法でもそうですけれども、学校教育としての教育という言い方で幼稚園教育を指しているんですね。認定こども園でもその部分も担うと言っているわけです。ただその場合に、学校としてのという形容が入らない場合には、教育というのは教育基本法第11条そのほか、児童福祉法もそうですけれども、広い意味で使っているわけで、緩やかに言えば子どもの発達への支援といった感じの意味合いだろうと思いますし、必ずしも幼稚園、保育所だけに限られていない広い意味での教育になっているだろうと思います。その区別は、教育ということに常に学校としてのとか、学校教育としてのと付ければ区別できる、法令的にはそうなのですけれども、なかなか実際問題としては常に気を付けて使うというのは煩わしいので、略語として教育を使っている場合があるということが混乱を招いている部分は確かにあると思います。
 その一方では、保育という言葉も同様でありますけれども、保育所の保育というのは、保育を必要とする子どもの保育ということでありますので、あるいは児童福祉施設における保育ということでありますけれども、そういう形容を付ければ常にそういうものとして指せるわけですが、保育という言葉を単独で使う場合には、例えば幼稚園の目的においても学校教育法でも、幼稚園が子どもを保育すると明記されているわけですし、家庭においても保育するということがあるわけですので、そういう二重の使い方が混乱を招いているようには思います。そういう意味で更に事務方と相談いたしまして、そこのところの意味合いをはっきりさせるようには努力したいと存じます。
 民秋委員。

【民秋委員】  
 今の話の続きなのですが、私も同じようなことを思います。恐らく、教育と保育の使い方についてはかなり混乱を招くんじゃないか。したがいまして、私も保育所保育指針の改訂の作業に2回、かかわらせていただきましたので、そのあたりで保育所保育で言うところの、養護と教育が一体となってという教育と、学校教育というか幼稚園教育と、私は本質的には違わないものだと、ただそれを幼稚園でやっているか、保育所でやっているかだけの違いというふうに捉えています。というのは、同じように6歳の3月にはそこを終えて小学校に上がるわけですから、いずれも例えば学校教育法第22条、あるいは保育所保育指針にしても義務教育の基礎を培うというふうな表現を異口同音に使っているわけですので、やっぱり必要なものは同じように子どもに施していかなきゃいけないと思います。
 したがいまして、ちょっと気になるのは4ページの脚注のところで、確かにこういうふうに定義をしていただいてはいるけど、4ページの一番下の2行だけ、確認なんですが本報告書というのはこのことでいいんですか。このことでいいんですね。法令ではというのではないわけですね。もちろんそれに基づいているのでしょうけれども、そこに、最後のところに「養護及び教育(学校教育を除く)」という、ここだけ付いているんですね。これは必要なのでしょうか。私は、外せばもうちょっとすんなりいくのかなというふうに思います。というのは、学校教育と言ったら、幼稚園でやっている幼児教育を保育所でやっていないのかと言うと、私はそうじゃないというふうに思うものですから、これが外せないものかどうか。外すと混乱を余計に起こすのかどうかということが一つです。
 それから、非常に細かい話ですけれども、教育並びに保育というのと、教育及び保育というのは違うんでしょうか、同じでしょうか。この報告書独自の文章としては及びというのを使っているけれども、例えば今の4ページの三つ目の丸の2行目のところには、これは法律ではということでしょうね、認定こども園法第2条第7項では教育並びに保育と、法律用語ですからよく分かりませんけれども、同じか違うのか、ついでに教えてください。
 もう一つ、これはお願いです。先ほど増田さんからもありました、7ページの六つ目、ちょうど真ん中のちょっと下のところの、「教育及び保育のねらいや内容等については」うんぬんというところで、「を構成するものとする」と、これはこれで私も大賛成なのですが、そこに、それを支えるものとして養護があるというふうな、養護というものをどこかで、教育との関係の中で養護というものを是非、位置付けていただきたいというふうに思います。御検討いただければ幸いです。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。御指摘の点、特に最後の点、大事なことだと思いますが、最初の点については保育というものをどういう用語としてここで使うかということで、より明確になるようにはしたいと存じますけれども、それを含めて少し事務局から御説明をお願いいたします。

【橋本保育課長】  
 4ページの脚注のところに、保育の定義を「児童福祉法第6条の3第7項に規定する保育をいう」というところを引用してございます。実際に児童福祉法第6条の3第7項にはどう書いてあるかと申しますと、保育ということで括弧書きで、「養護及び教育(第39条の2第1項に規定する満3歳以上の幼児に対する教育を除く)」というふうに書いてございます。今申し上げた括弧の中の第39条の2第1項に規定する教育の部分というのは、第39条の2にはどう書いてあるかと申しますと、「教育基本法第6条第1項に規定する法律に定める学校において行われる教育をいう。」というふうに書いてございます。したがいまして、つまり学校教育というものがこの指している部分でございまして、児童福祉法の中での保育の定義というのは、養護及び教育(学校教育を除く)という、脚注に書いてあるこの考え方が児童福祉法の中で規定されている保育についての考え方でございます。それをこの中で書いてございまして、この報告書の中で用いている文意もそれと変わらない、つまり児童福祉法という、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)を考えるに当たっての親になる法律の一つでございますが、そういったものとの整合性を図った考え方ということでございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。という、法令的に正確なお答えなのですけれども、誤解を招きやすい部分というのは分かりますので、更にちょっと、理解を進めるような工夫をしますが。
 網野委員。

【網野委員】  
 実は、委員の先生方の御発言、私も非常に気になって聞いておりまして、いろいろ整備する上では今回の提案は私は反対の立場ではないのですが、少なくともこの定義に基づいた場合、言葉として本当に、この全体像の中で養護という言葉と教育という言葉をより深めたかたちで保育要領の中で示される必要があるというふうに思います。
 つまり、保育要領という仮称の、この保育という言葉を使った場合に出てくる様々な課題と、もう一つは言葉だけの問題ではなくて、保育教諭という同じ統合されたアイデンティティをもって、幼保連携型認定こども園の保育者が職務に励むと思うのですね。正に保育そのものに励むときに、どうしてもこの言葉そのものと実態としての保育とがずれる心配があります。私は教育ですよ、私は保育ですよということがまず起こること自体が、本当の一体化という問題を含めて考えますと、避けたいところです。少なくともこの案の中で、教育というものが一つは学校教育、3歳以上の子どもの学校教育を意味しています。3歳未満の子どもも含めて、更にはひょっとしたら就学前、全部の子どもを含めて、どう言ったらいいのでしょうね、制度上明確には言えないかもしれませんが、家庭教育とか地域教育とか、あるいは人間教育、そのような趣旨もここで非常に深くかかわっているというようなことが、少なくともこの案の中ではみえてこないと思うのですね。
 とりわけ今後、保育所は保育所で、幼稚園は幼稚園で幼保連携型認定こども園はこども園で、3本の体制で進みますから、それぞれは従来どおりということであればそれはそれでいいのですけれども、少なくとも保育学の学会や、あるいは広く保育界全体の方々にとって、やはり保育と教育という言葉をここでもうちょっと深めておかないと、混乱どころか私はアイデンティティを形成するのが難しくなる心配を感じます。具体的には、養護という言葉は9ページのところでしっかりと示されていますね。そうすると、ここで言う養護というのは、国際的によく使うケア・アンド・エデュケーションかと言うと、どうも今回の保育要領(仮称)のケア・アンド・エデュケーションというのはひょっとしたら、ケアは保育でエデュケーションが教育という解釈が十分に成り立ちますので、ケアで言う養護について、もしこれを9ページで説明したとしたら、やっぱりエデュケーションの部分はどこかでもうちょっときちんと書き込んでおいていただきたいと思うんですね。それはむしろ、保育所からみれば養護と教育の一体性というのは、さんざんそのことで努力もしていますので、そこで言う教育とは何かということがもっと逆にみえてくるかもしれませんし、幼保連携型認定こども園を進める場合の教育というのはこのような趣旨、もちろん学校教育という言葉が一つ定義されていますが、それ以外の様相を、もし可能なら委員でももうちょっと検討して、最終的な案までに少し示した方がよろしいのではないかというふうに思いました。

【無藤座長】  
 大事な点をありがとうございました。ちょっと考えたいと思いますが、岡上委員、お願いします。

【岡上委員】  
 十文字学園女子大学の岡上でございます。今まで聞いていて、私はずっとこの論議の中で、教育と保育のことを法律的に整理したりすることはすごく論議しやすかったと思いますし、自分の中ではすごく整理されていて、そんなに混乱していないんじゃないのと思いながら参加していたのですけれども、今日の4ページの論議を伺っていて、急にこの最後のところで、「『保育』とは、従来保育所において行われてきた」というところから「指す語として用いている」と、この報告書の中にこう書かれたときに、この報告書によって最終に出てきたものが仮に保育要領という名前になったときに、その名前はここの定義の中に入るのか、つまりこの検討会議の中で用語の使い方をこう整理してきました、だけどその結果、出たものは保育要領ですといったときに、仮称は分かりませんけれども結果としてもしなったときには、この保育という意味はどこで使われる、この報告書の中で使われる中身なのか、それとは違うカテゴリーなのかということが急に不安になってきてしまいました。

【無藤座長】  
 御指摘、言われてはっきりしましたけれども、例えば保育要領という言い方だとして、その場合の保育と、4ページの脚注にある「『保育』とは、従来保育所において行われてきた『養護及び教育(学校教育を除く)』を指す」とイコールだとすると、話がおかしくなりますね。

【岡上委員】  
 ええ、それで急に不安になって。

【無藤座長】  
 そこをちょっと考える必要がありますね。要するに略語として使っている部分と、本来の言い方ということだと思いますが。
 岡村委員。

【岡村委員】  
 私の意見を言う前に、話合いの進め方で少し提案をさせていただきたいなと思うんですが、教育と養護、あるいは保育と教育というふうなことで前回も随分、時間を割いて話合いをしたのですが、内容そのものへの意見がまだまだあるのだろうと思います。是非、無藤先生にお願いなのですが、これからしばらく、例えば15分とか、教育と保育について、文言について意見を出し合いましょう、あとは内容についてとか、最後の何分かを教育と保育についてとか、とっていただいた方が、このまま教育と保育でずっと終わってしまうんじゃないかと思うんですが、その上でどっちの意見を言うか決めたいと思うんですが。

【無藤座長】  とりあえず流れなので、教育、保育、養護のあたりをどうぞおっしゃってください。

【岡村委員】  
 前回、また最初の会議から私も主張しているとおりなのですが、法律というのは現場そのものを明確に言い表すことはできないものだと私は思います。ただ一方で、法律によって現場が規定されている、あるいは支えられているということもそうなんだと思います。今回の幼稚園、保育所の機能を一つにして幼保一体の機能にして、幼保連携型認定こども園と言う場合に、そこで生活する子どもたちの生活や保育者、保育教諭や保育士という人たちが保育をする中での意図、子どもたちとのかかわりということの中で考えたときに、私はやはり、ここは教育か、ここは保育かとか、そういうことを現場で分けて考えながらということはとても難しいことだというふうに思います。むしろ、就学前の教育、保育というふうなことがある整合性をもって今は保育所保育指針と幼稚園教育要領の中で規定されている、そして、同じ国の中で育つ子どもたちが違う基準の中に置かれているのではなくて、整合性が保たれているからこそ今、保育も教育も大丈夫ですねという共通理解をみんなもっているとすれば、ここまで正確に教育と保育の法的な使い方を明確にしてくださったのであれば、最初のところでこのことを、私たちの国の教育、保育というのは法律上、こういうふうに整理されていますと。けれども、それを確認した上で現場で子どもの生活や、それを支える保育者の営みというふうなことの中では、保育という言葉で全体を表すというふうなことで最初に規定することは可能なのじゃないかと私はずっと思い続けているのですが、いかがなんでしょうか。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。
 お願いします。

【秋田座長】  
 今のところに関連してですけれども、私がこのタイトルは保育要領でいきたいと、できればというふうに申し上げたところは、まずこの4ページについては、本報告書においてと書かれているところを、本報告書本文においてというふうにそれぞれに明記していただき、ここについてはやはり基本的な目標、考え方を法令に沿って書かざるを得ないので、報告書本文ではやはり保育と教育がそれぞれの法令上、どうなっているかという説明を書く必要はあると思っています。しかし、この幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の保育が、じゃ児童福祉法なのか、学校教育法なのかというところについて言えば、この前の子ども・子育てのワーキングのときからずっと保育と言い続けてきたのは、学校教育法第22条においても、それから保育所保育においても保育という実践、行っている営みにおいてはやはり保育としか表現できない、養護と教育の一体的なものを行っているという意味で、この保育要領というものが誰に宛てて告示されるかと言えば、やはり行政もそうですけれども、実践者が使うものであるので、実践の営みを表現するものを付けるということで、名称は保育要領である。ただし報告書本文においては、法制上の規定に沿った説明がなされるということが必要であるので、この注記が付けられる。ただし、この仮称の保育要領においては、今それぞれの委員が言われたような精神を極めてできるだけ解説書で詳しく先生たちに、養護というものが何であり、乳幼児期の保育の中での養護と一体になった教育とは何かが書き込めるようにするというような方向性なのではないかと考えます。名称は、ここでは最後の法令上の、法規上は3省の担当のところでどういう審査が出るか分かりませんが、委員会としては保育要領という言葉が望ましいのではないかと考えております。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。
 河邉委員、お願いします。

【河邉委員】  
 聖心女子大学の河邉です。今、秋田先生が言ってくださったことが保育要領(仮称)の中で出されればクリアになるのかなとも思いますけれども、そのもととしてやはりこの報告書の中に必要かなというふうに私は感じています。先ほど網野先生がおっしゃったように、私は9ページの主な内容のところに養護に関することというのがあるならば、やはり保育、教育に関することというのも必要だろうというふうに思います。最も大切な、乳幼児期の子どもにふさわしい、遊びを中心とした豊かな生活が展開されることがとても大事だということはこの報告書の中にも押さえられていますけれども、押さえられている箇所が幼稚園教育要領、保育所保育指針との整合性のところに押さえられているだけですので、ダイレクトに内容としてそれが重要だということを、この9ページの主な内容のところに押さえる必要があるんじゃないかというふうに思います。幼児期にふさわしい生活という文言も、よく読んでみますと小学校との連続性の中でという文脈の中では語られているけれども、ダイレクトに子どもにとってそれが大事だというふうには押さえられていないので、それをやはり主な内容に押さえるべきだろうと。
 それからもう1点、単純にこれを読んでいくと、これは前回も申し上げたのですけれども、3歳以上の子どもについては何も配慮しなくていいのかというふうに読めませんでしょうか。養護に関することがあって、乳児にあって、満3歳にあって、健康にあってというふうに来たときに、3歳以上の子どもの保育にどんな配慮が必要かということもやっぱり必要なのではないかというふうに思います。初めてこれを読んだ方が、あっ抜けているというふうに思うのではないかなと。そのときに何を押さえるべきかなのですけれども、満3歳児を、3歳から就学前の子どもはやはり協力して、協同して仲間関係を築きながら活動を進めていく重要な時期ですので、そのときに恐らく利用時間の長短が大きな影響を及ぼすと思います。認定こども園だからこそその時期に押さえるべき内容というのがあるはずなので、そのことは是非押さえていただきたいなというふうに思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 非常に大事な点、なるべく盛り込む方向でと思いますが。
 
【神長委員】  
 國學院大學の神長です。二つで、一つは今、河邉先生のおっしゃったところに関連してなのですけれども、これは、3歳児以上がないというよりは、いわゆる幼稚園教育要領と保育所保育指針があるということを前提にしたときに、プラスどういう考え方ないし具体的な内容が必要かという議論をここに書き込んでいるので、結果的にできてくる保育要領(仮称)は、それがないということではないのではないかという解釈です。ただ、それにしても強調すべきところがあるという御意見だと思うのです。
 そこに関連してですけれども、先ほどの8ページのところでやはり長短のこと、いわゆる利用時間ですか、利用時間というのも何か、教育なのかなと思いながら利用時間なんですけれども、ここを書いてございます。(4)の3番目の丸なのですけれども、ここに会議の意見を踏まえて「各年度の当初は」ということを入れてくださったということは大変良いことだとは思うのですけれども、もちろん年度当初は一番混乱するときだと思うのですけれども、やはり今、河邉委員がおっしゃった人間関係が深まってくると、むしろいろいろな子どもがいるというところで育ち合う関係を作っていくということが保育者に求められてくることなんだと思うので、是非、何か書くことによって限定されてしまうので、もちろん年度当初はということは限定されても必要な言葉だと思うのですけれども、同時に積極的な意味で人間関係が深まるとともに、共に育ち合えるような環境を作ることが保育教諭には求められているんだという、そこまで踏み込んだ書き方をしていただけると、やはり幼保連携型認定こども園の保育、教育の、先ほどアイデンティティという話がありましたけれども、保育、教育を一体的に行うということの意味が具体的に少しずつ出てくると思うのですね。「固有に配慮すべき事項」ということを「特に配慮すべき事項」としていただいたことはとても良いなということを思うと同時に、もっと積極的な意味で、ここでこういうふうにするといいよということを具体的に、入れられるところは入れていただきたいなというふうに思いました。先ほどの利用時間の長短のある子どもに対する配慮ということについては是非、入れていただきたいなということが1点です。
 それともう一つ、議論が戻ってしまうのでもういいのかなとは思いながらも、先ほどの現場の先生の混乱が、保育教諭には混乱がないのかという話と非常に関連して、岡上委員の、いわゆるここへ来て初めて不安になったという、保育という言葉のもつ意味が不安になったというお話がありましたけれども、私もそれに近い感覚をもっているのだと思うのですけれども、実際、幼稚園教育要領を作る場合に、解説などを読みますともちろん教育要領上の中には教育という言葉と指導という言葉が並ぶわけですけれども、解説の中には環境の構成と保育の展開という言葉が非常に象徴しているなというふうに思って、私はいつもそこの解説を、保育という言葉を話すときに使うのですけれども、やはり学校教育ですから意図的、組織的な計画をもって教育に当たるということはとても大事なことなのですけれども、具体的な指導の場面の中ではやはり一人一人に寄り添うほかないわけで、そこの場で必要な教育を行うということが保育で大事なことだと思うのですね。ですから、解説の中には是非、意図的な教育的な計画も行うのだけれども、具体的な指導は本当に、いわゆる指導計画は仮説であるという説明もしておりますけれども、保育の展開という言葉をしっかり使っていただいて、そこで言う保育というのはこういう意味があるのだということを、解説の中に是非書き込んでいただきたいなというふうに思いました。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 それでは渡邉委員、お願いします。

【渡邉(英)委員】  
 神長先生が言われたこともちょっと触れたいのですけれども、一つは僕は教育と養護という話の中で、10ページの「乳児期の子どもの保育に関すること」の2番目の丸、「一人一人の生活リズムを重視し、保育者とのあたたかい継続的かつ応答的なかかわりを通して」と書いてあるのは、これはわざわざ入れてくれたのかどうか分からないですけれども、「保育者とのあたたかい継続的かつ応答的なかかわり」というような言葉は、やはり養護だろうという気がしているのです。乳児がここに入ることがいいことか分かりませんけれども、ただ午睡だから寝なさいとか、給食だから食べなさいとかというような世話をするわけではありません。一人一人が午睡に来るときに寝たくなかったり、おもちゃをもっていたりとかいろんな仕草をしながらというのも認められたり、その丁寧さというのは家庭でも本当は必要だったりする、そういうものというのは本当は幼児期でも必要です。
 そういうことがきちっとできてきながら周囲の環境に目を向けていき、人との関係を深めていきながら、ある意味では系統的なという言い方がどうか、言葉としては適当かどうか分かりませんが、幼稚園教育要領みたいな形で教育が行われるのであれば、養護というものが教育の根底にあるというのがどうしても必要で、それはどういう言葉で表すかは分からないのだけれども、基本的には乳児期とか、満3歳の子どもにも必要です。3歳、4歳、5歳、特に3歳なんかは神長先生が言われたみたいに、2歳から3歳になって幼稚園の子が一緒に入ってきたりとすると、集団の中から例えば保育園的な子が残ってきて、そこでまた集団の質が変わったり、いろんな表情をみせる。そのいろんな表情をみせたり、集団の質が変わったり生活の仕方が変わったりというところに、丁寧にかかわるような保育者の対応が必要であって、決して集団を集団で動かすようなやり方ではないということがきちんと現場に伝わるということの方が、法律がどうなっているかということよりはすごく大事なことだったりする。現状ではどちらかと言ったら、集団を集団でしてという形で子どもを動かすというような保育が、幼稚園、保育所関係なく行われている。そういうことでは、子どもが育たないんだということをきちんと、それをはっきりさせるということは必要なことではないかなと思います。さらに、それがきちんと保護者にも伝わっていくように、一人一人の子どものことがきちんと大事にされるということがどういうことか、自分の子どもが大事にされるとか、人の子どもも大事にするってどういうことかということが、ある意味では子育ての支援につながっていくだろうと思いますし、本当はそれが小学校にもつながっていく。もうちょっと、一人一人の子どもの意思だったりとか思いを大事にするような教育に、日本の教育が変わっていくともっといいんだろうなと思いますけど、そこまでは僕が言うことではないかもしれません。
 それからもう一つ、その関連的な補足になると、今、神長先生が言われたように、8ページのところの「幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項」のどこに入れるか分からないのですけど、一番下の丸だと思うのですけど、ここが体制作り、それから連携という言葉で、どういうシステムで情報を伝達するかというのはすごく難しいのですけど、でももうちょっと言ってしまうと、あの子はこうだよね、こちょこちょこちょというような、何と言うんですかね、先生同士があの子はすごく面白いねとかというような、体制プラス連携。本当は子どものことをお互いに見合うとか話し合うみたいな、そういうのがうまくいかないと認定こども園というのは基本的には幼保別々の形でしか進まなかったり、子どもの見方が統一していくという形にならないかなと思ったりする。せめて連携という言葉が、一番下に入るかどうか分かりませんけど、保育者同士が一人の子どもをいろんな角度から見合いながら、その子にとってどういう保育がいいかというのを話し合う時間はなかなかないんですけど、でもそういうことをしていくことが大事だということがきちんと明示されると有り難いかなと思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 御指摘の点、十分理解したいと思います。
 小枝委員。

【小枝委員】  
 保育、教育という非常に重要な言葉の議論が続いているわけですが、私、拝見していて母子保健という観点からのかかわりについて少しお話ししたいと思うのですね。11ページに「特別支援教育や障害児保育に関すること」の2番目の丸のところに、「乳幼児期からの教育相談」ということで始まっているわけですけれども、いきなり教育相談に行くわけではなくて、その前に乳幼児健診を通して保健師等がかかわって、母子保健の観点からいろんな相談が行われていますので、こういったあたりに母子保健の保健相談みたいな文言が入っていくといいのかなということを思います。
 それから「子育ての支援に関すること」も二つあるわけですけれども、特に子育て支援が必要な御家庭というのがあるのだと思うんですね。ひとり親家庭でありますとか、それから今後どんどん増えてくると思うのですけれども外国人の御家庭、両方とも外国人だったりどちらか一方だったりというケースもございます。そういったような家庭の把握に努めて保護者の孤立を防ぐというような、そういう子育て支援に関するものがもう一つここに必要かなと思うんですね。そうすると、そういったものの把握なんかも、実は母子保健分野が非常に情報の収集などに機能していますので、認定こども園は特に乳児期からかかわっていきますので、母子保健分野とのかかわりといったものがどこかに入っていくといいのかなということを思いました。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。
 吉川委員、お願いします。

【吉川委員】  
 小奴可保育所の吉川と申します。資料2-1でペーパーを出させていただいております。これまで述べてきたこと、あるいは議論され尽くしていること等についても再度、確認という意味で出させていただいておりますが、今日資料を出させていただいたものの中から2、3点ほどお話をさせていただければと思っております。
 まず、今御意見もありましたけれども、8ページの一番下の丸の中で、「子どもを支える体制作り」というふうに出されているところです。これは園の中で職員間でどのような体制を組んでおくことが必要なのかという意味合いであろうかなというふうに思っておりますけれども、子どもの保育を行っていく上で保育所でも今、保護者の相談とかいろいろな悩み、あるいは保育所における子育て支援というような役割は非常に重要なものになってきていて、そのことが子どもの育ちと非常に大きく関連している事項でございますので、子どもを支える体制作りのみならず、保護者を支える、あるいは地域の子育てを支える体制作りというふうに加えて、本来の認定こども園の役割の明確化に合わせておく必要があるのかなというふうに思っております。
 それから同じく8ページの下から3番目の丸のところに、計画について触れられております。全体的な計画と指導計画を立てるというふうになってございますけれども、保育所の方は特に0歳、1歳、2歳については一人一人の発達の状況や家庭の状況、保護者の状況等を踏まえて個別的な計画を立てて、本当に一人一人の育ちを長期的な観点に立って立てていく、あるいは特に保育所で重要視しているのは、育ちの節目であるとか、保護者が家庭で悩んでいること等を含めながら、この個別計画の中で考えていくというスタイルをとっております。保育者が勝手に、子どもがこうであるからこのような計画で保育を進めていくということだけでは、これからの保育、教育は語れないのじゃないかなというふうに思っておりますので、是非この個別計画というものが、保護者と一緒に考えられるシステムであると同時に、0歳、1歳、2歳だけではなくて5歳まで、6歳就学前までの計画がきちんと立てられるということが一つの、継続的な生活と発達を支える基盤になるのかなという意味合いで、個別計画の大切さを考えているところでございます。そのことについてもう一度、御協議を頂ければいいなというふうにも思っているところです。
 それと9ページから10ページについて、「養護に関すること」ということで出されておりますけれども、この二つ目の丸のところに健康及び情緒の安定に努めることというふうに書かれておりますが、ここは安定を図るというふうに、努めるのではなくてこのことが図られないと子どもの発達の基盤作りにもならないので、強めた表現にしていただきたいと思っております。それと同時に、先ほど御意見が出されておりますように、3歳以上児の養護的な機能もとても重要であるということがこの中に示されておかないと、あたかも教育は3歳からであるといったような捉えになってしまうのかなというふうに危惧しておりますので、このことについてももう一度考えていただければというふうに思っております。
 それから冒頭に柏女先生の方から、保育教諭の役割や業務についての明確化をというような御意見がございましたけれども、私もこのペーパーの中でも出させていただいたように、本来の保育教諭としての役割というものと、保育士も幼稚園教育の免許と保育士の資格と、両資格もっている者もたくさん保育所で業務をしている中で、この保育教諭の業務と何が違うのかということがある程度書き分けられていないと、なかなかやっていることの明確性が、保育所の中でも認定こども園の中でも明確にならないのかなと思っております。多分、書いてみると同じようなことが書かれ出していくのではないかなというふうに想定はしておるのですけれども、この本体の中に書き入れておいていただきたいと思っております。
 それから、前回の会議でも申し上げましたけれども、職員の資質向上のための研修の義務であるとか、自己評価等々についても本体の中に書き入れて、本当に全体で保育の質を高めていくんだというものが明確に示されるといいなというふうに思っております。そうしたことを通して教育と養護、養護と教育、あるいは乳幼児期における学校教育というものが整理されていくのかなというふうにも思ったりしております。
 それから最後に、解説書が作られるという話でこのことは進んでおるわけですが、解説書はどのような形でどういったところで出来上がっていくのか、いつ頃をめどにというふうに思っておられるのか、質問をさせていただければと思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。大体のことは組み入れたいと思います。最後の解説書のことはいかがですか。

【林幼児教育企画官】  
 御質問いただきました解説の関係でございます。この保育要領(仮称)が出来上がりましたら、その趣旨の徹底のために当然、解説が必要だと思っております。解説を作成しましたら、保育者や現場の行政担当者向けの説明会を行うという段取りを考えております。具体的には今年の、できれば年度末ぐらいまでに告示をしたいわけですけれども、夏ぐらいに説明会をしたいと思っておりますので、そこで説明会資料という形で解説をまず一旦、公表したいと思っております。そこでの質問なども踏まえて更に編集を進めまして、最終的には来年度、26年度中に発行できればというふうに考えております。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。要するにこの夏ぐらいまでに、いわゆる白表紙と言ったりしますけれども、正規のものではないものを作った上で直してということです。
 矢藤さん。

【矢藤委員】  
岡崎女子大学の矢藤と申します。最後の12ページの三つ目の丸に関連してですが、先ほど増田委員が少し触れられて御懸念なさるような、例えば不適切な程度に偏った、幼稚園教育要領や保育所保育指針を踏まえない保育があり、それを支持する保護者等もいる中で、あるいはそこまで極端でなくても、例えば子ども主体の保育に転換しようとしたら、保護者に先生たちが楽をしたいんでしょうと言われたといったようなことが現実にある中で、自己評価やその公表の義務付けもなされるわけですけれども、それだけでなく保育要領(仮称)及びそれが目指す内容について、行政や園が保護者への周知にも努めるべきということを、本文又は解説書に明示してはいかがかと思います。幼稚園教育要領について保護者と共有する取組を行って、効果を上げた幼稚園の事例を最近拝見したものですから申し上げました。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。
 岡村委員。

【岡村委員】  
 先ほど内容のことをお話ししなかったので、改めて。具体的に言いますと11ページの「家庭や地域社会との連携に関すること」ということの中で、この20年来、家庭、親の教育力、育児力が低下している、地域の教育力が低下しているというふうなことの中で、今回の新しい制度や保育要領(仮称)の中でもそのことがより意識されるために、是非、家庭との連携ということの中に親の育児力の向上というふうな言葉、教育力の向上という言葉を入れていただけるといいんじゃないかということと、それからもう一つの園が頑張ってということではなくて、今回はいろんな園が連携しながら、地域を丸ごと抱えながら高めていこうということの中で、地域の教育力を向上させるというふうなことも意識としてもつべきではないかということの中では、地域の教育力の向上というふうな言葉も入ればいいのではないかと思います。
 それから全体のこととして、教育基本法等を引用しながら「国家及び社会の」というふうな記述があったと思うんですけれども、日本の国におさまるものではなくて、法律はそうなのですけれども、子どもたちはもうグローバルな社会の中で生きていくというふうなことを考えたときに、例えば国際平和であるとか、人と人とが共に生きることへの意欲であるとか、そんなことが意識された保育が必要なんだというふうに私は思っています。例えばそこで、今いじめの問題であるとか、様々な課題が私たちの前にはあるわけですけれども、違っていることというのが大切なことであって、先ほどの吉川委員の個別の計画というふうなことにもかかわってくると思いますが、その子その子の在り方、個性というものが尊重されて、そしてその子の人権というものが保障される、あるいは保育者はそれを守るというふうな意識がそこに息づいていて、その中で違っているということは難しいけれども大切なことなんだということで、個と集団ということの重要性というものを、ここにはどこかでみせていただきたい。そういうものが現場の空気になっていくような、そんなものが必要なんじゃないかなと思います。命への畏敬であるとか個の尊厳、あるいは自己の自立と他者との共生であるとか、そういう言葉がどこかに散りばめられていることが、実は現場を豊かにしていくことなんじゃないかというふうに思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 志民委員。

【志民委員】   
 静岡大学の志民です。大変細かいことで恐縮なのですが、2点述べさせていただきます。
 9ページの下から三つ目の丸ですが、最後の2行、「互いの教育及び保育の内容や指導方法の違いや共通点について」と書いてあるのですが、こうみると、お互い違うよね、それでいいかなという感じにもニュアンスとしてはとれなくはないので、もっと根本的なことと言いますか、もっと子どもの育ちについての共通理解と言うんですか、学びの連続性、発達の連続性ということの共通理解が必要だというような、もっと根本的な書き方にしていただいた方がいいのではないかなという印象をちょっと受けました。
 それからもう1点ですが、10ページの1個目の丸と2個目の丸なんですが、1個目が主に環境について、それから2個目が保育者のかかわりということについて書いていただいていると思うのですが、もちろんそれを含んでだと思うのですが、どちらにもやはり、1個目にも保育者のかかわりということが重要だと思いますし、それから2個目にも環境への配慮ということがどうしても不可欠だと思いますので、ここのところを分けて書いていただいているのですが、ちょっと書き方の工夫をしていただけるといいのではないかなと感じました。よろしくお願いいたします。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 杉原委員。

【杉原委員】  
 杉原でございます。私、幼稚園教育要領や保育所保育指針を読ませていただいて、実際の、私は幼稚園が多いのですけれども、幼稚園や保育所をみせていただくと非常に大きなギャップを感ずることが多いのですね。それは実際の保育活動として幼稚園、保育所で行われる遊びということについて、幼稚園教育要領や保育所保育指針で言っている遊びというのと違った解釈が、非常に広く行われているという感じを受けます。
 そういうことで2点、一つは幼児教育で言う遊び、今日頂いた資料では7ページの4番目のところに「環境を通して行う教育」とか、その次の5番目の2行目に「遊びを中心とした豊かな生活」というような形で書かれてはいるのですけれども、ほかの委員の先生方からもちょっと指摘があったと思いますけれども、大部分の保護者とか、あるいは保育関係の中の人たちにも、教育というのは指導者が中心になって何か課題を与えて、教えていくんだという考え方がものすごく根強くあって、要するにそういう形の、教師主導の一方的な活動が広がっているというのが、ヒアリングのときにも指摘されていたと思うのですね。そういう意味でやはり、幼稚園教育要領や保育所保育指針で言っている、環境を通して行う教育、これもなかなか言葉としては難しいと思うのですね、現場の先生方、具体的にどういうことなのか。あるいは遊びを中心とした保育といったことがどういうことなのかということを、もう少し分かりやすく示していくということが大事なのではないかと思います。それがきちんとできないと、先ほどの保護者の支援で、幼稚園の保育を保護者に説明して理解していただくと言っても、現場の先生はなかなか難しいのではないかと思います。
 それから、遊びが保育所あるいは幼稚園での保育の中心的な活動として位置付いている理由は、やっぱり遊びというのが養護と教育を具体的に一体化した活動じゃないかというふうに私は考えているんですね。特に3歳以下の保育を考えると非常に分かりやすいと思うんですけれども、例えば保育者と一緒になって子どもが遊ぶということは、教育であるだけじゃなくて同時に養護でもあると思うんです。そういうことを明確に、やはりどこかに入れていただくということが大事なのではないかと思います。具体的に言いますと、例えば親や保護者が赤ちゃんと高い高いをしたり、お馬さんごっこをしたり、あるいはもっと大きくなっていったらじゃれ合いごっこをしたりするということは、そういった体を通しての触れ合い、触れ合って遊ぶということはやはり保護者、保育者との心の交流と言いますか、保護者、保育者から自分が受け入れられているという愛着関係というものを通して情緒を安定させていくわけで、そういう意味では遊びというのは養護の働きなんですね。それと同時に、それだけではなくて遊ぶという活動をする中で子どもは、体とか運動面だけではなくて人とかかわる力だとか、あるいは人を信頼する能力であるとか意欲であるとか、あるいは知的能力、そういった能力を総合的に発達させていると思うんです。そういったことをやはりどこかにきちんと、養護と教育の関係ということと関連させて触れていただくといいのではないかというふうに感じております。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 寺田委員。

【寺田委員】  
 東京成徳短期大学の寺田でございます。十分に事務方の皆様、いろいろ御検討いただいてこのように報告書を作成していただいたことに感謝したいと思います。その中で幾つか気付いたこと、それから御提案申し上げたいことをお話しさせていただきたいと思います。
 まず8ページなのですけれども、(4)番の丸の一番最後で、幼稚園が学校教育機関であり、保育所が児童福祉施設であるということの違いをここでおっしゃりたいので、こういう文章の流れになったと思うのですが、ただ最初に読んでみたときに、「幼稚園と保育所という学校と児童福祉施設における実践を踏まえながら」、その後うんぬんなんですが、あえてここに「という学校と児童福祉施設」という言葉が入ることが望ましいのかということを感じたときに、むしろここはなくて、「幼稚園と保育所における実践を踏まえながら」で、後のくだりの文章は十分に理解できる内容ではないかなと。かえって、先ほど秋田先生や網野先生、そして岡上先生もおっしゃっていた4ページのところの、ちょっと混乱を招きかねないような、むしろ解説書のところで詳しく書いていく方がスムーズに流れるかなというふうに感じたところです。
 あともう1点は、神長委員もおっしゃっていましたけれども8ページの(4)の上から三つ目でございます。ここの利用時間なのですが、確かに利用時間なのかもしれませんけれども、保育を重んじている者としてはここは保育時間でもよろしいのではないかなという気がいたします。それは(4)の、その後の四つ目の丸のところの「生活の経験や利用時間の長短」、ここにもかかわってくるかと思うんですが、ここも保育時間の長短で理解ができるのではないかなというところを感じましたので、御検討いただきたいというふうに思います。
 それから小学校との連携のことですね。次の9ページの(2)の4番の丸、ここのところも、先ほど志民委員もおっしゃっていましたけれども、連携のところ、せっかく認定こども園だからこそいろいろな機関と、そして小学校や中学校とも連携が期待できるような施設であると思いますので、ここは分けて、教育、保育の工夫の文面と、それから子どもの育ち、発達の連続性、教育の連続性のところを踏まえることと、互いの教育、保育の内容や指導方法の違い、共通点の理解、ここは文章を分けて書いていただいた方が分かりやすいのではないかなと思いました。
 最後にもう1点、10ページでございます。「乳児期の子どもの保育に関すること」、三つ挙げていただきましたけれども、二つ目のところですね、愛着関係という言葉がなくなりましたよね。「一人一人の生活のリズムを重視し」、恐らくここの部分なんだろうなと思うんですが、「保育者とのあたたかい継続的かつ応答的なかかわり」、先ほど渡邉委員も御指摘されていましたけれど、恐らくここにその言葉が含まれたのかなと思うんですが、解説書の中で十分に、一定の保育者と十分な応答的な関係があり、そして信頼関係が生まれるからこそ乳児が、0歳児が自らのやりたいこと、意思、行動を主体的に発することができるんだということ、そのあたりのことを解説の中で丁寧に書く必要があるかなというふうに感じております。それと、「1日の生活リズムを重視し」というところは、これは2002年度の保育所保育指針の中にも書かれておりますけれども、1日の24時間が、家庭と保育所とが分断されることのないように、連続性をもって保育が行われる、ここが正に0歳児保育の特有のことでございますね、一人一人の子どもを十分に、家庭で何時に飲んだかによって保育所でのミルクの時間が何時か決まってくる、3か月と4か月以降が違ってくるというところの、ここの専門的なところも解説の中で加えていただく必要があるかなというふうに感じます。
 以上でございます。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 増田委員、お願いします。

【増田委員】  
 恐らく本体には書かれるということを確信しながらも、この報告書に是非入れていただきたいなと思ったことが、8ページの(4)番の4番目のところの計画のこと、「指導計画を作成する必要がある」というのは書かれております。しかし、先ほどいろいろな委員がおっしゃいましたように、保育の振り返りをし、評価をし、そして質を高めるところにつなげるという、その文脈がこの報告書の中では感じ取れないのです。やはりこの部分を報告書のところで入れていただくことによって、そのことがまた最後の方に出てくる職員の研修であるとか、そこにもつながっていくというふうに思いますので、是非保育の計画とともに振り返り、そして評価、改善というところを、この報告書に入れていただくことをお願いしたいと思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 はい、分かりました。
 それでは時間になりましたけれども、汐見委員、酒井委員、そして阿部委員にもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 汐見委員から。

【汐見委員】  
 大変よく工夫された文章だと思って読んでいたのですけれども、一言だけです。幼保連携型認定こども園というのは、私は歴史的にみたら戦後の教育改革のときから、幼保は一元化すべきだという議論がずっとあった中で、ようやく本格的な形をとるものですよね。そういう意味ではこれからの幼児教育の一つのモデルになるもので、大きなミッションを背負っているんだということはどこかで一言、書いていただきたいと言いますか、それがあります。
 それから幼稚園教育要領、保育所保育指針はかなりよくできた文章だと私は思っているのですね。ですから、認定こども園になった場合に例えば0歳、1歳、2歳は保育所保育指針を是非参照いただきたい、3歳、4歳、5歳になった場合には午前中はこの幼稚園教育要領を是非参考にしていただきたいということが本当は前提だと思うんです。その上で、こども園になった場合にそれだけでは済まない問題が出てくるところについては、ここで詳しく書くということが基本だと思うんですね。そうすると、今「特に配慮すべき事項」というところに出ていますけれども、幼稚園が認定こども園になった場合は0歳、1歳、2歳の経験はありませんから、0歳、1歳、2歳のところの保育についてはこれが大事な原則だということはきっちり書いていただきたい。逆に保育所がやる場合には3歳、4歳、5歳の午前中の保育について、教育についてはこれが大事だということを、さっき河邉委員が言ったことと同じなのですけれども、遊びを中心としてどういうふうにやるのかということについてしっかり書いていただきたい。それから、認定こども園の子育て支援ですよね。そこについては既に保育所保育指針の第6章に書いていますけれども、あそこを踏まえた上で書いて、結局、今の幼稚園教育要領、保育所保育指針の中で十分理解されていないことを、ある意味では埋めるような形の役割を果たすと私は思っているので、そのあたりのことを念頭に置いた文章を作っていただきたいということを一言、書いていただきたいということです。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。
 酒井委員、お願いします。

【酒井委員】  
 2点ほどですが、一つは今の本文についての中で、保育者という言葉が数多く出てきます。保育者とは誰をさすのでしょうか。今の保育と教育の論議の中で、特に保育の内容についてディスカッションがあったわけですけれども、保育者という名称自体は法律の中に書かれていると思うのですが、園長が含めて保育者と言うのか、それから先ほどの人的な配置との関係の中で、調理員等の職員も入ってくるものですから、明確にしていただければと思います。保育所保育指針は保育士等として保育所職員全体を指す言葉を使っていますので、保育者と言ったときにどこまでを指すのかというのか、現場の中では看護師がいたり、実際には栄養士もいたり、調理員もいたりということがあると思いますので、その辺のところの書き分けを、もう少し解説を加えていただければというふうに思います。
 もう一つは10ページのところで、下から三つ目のところに食事の提供についてというか、食育のことについて書かれています。運営に関する配慮、設置基準との関係で調理室の配置のことですとか食事提供のことがまだ不明瞭なので、そうした内容が入っていないということが前提だと思いますけれども、是非解説の中ではもう少し明瞭にしていただきたいと思います。この10ページの文面については、「家庭と連携を図り」というふうな表現があるのですが、何か特別な教育的な教材だけが動き出していくということではいけないと思いますので、その後、日常の生活の中でとか、日常の生活、遊びを踏まえてとか、そういった普通の、毎日のお昼とかおやつといったようなことをもう少し重視していただける形で、文面の整理をお願いしたいと思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。最初の部分の保育者という用語というのは多分、保育要領(仮称)としては使いにくい言い方だと思いますので、ちょっと検討したいと思います。
阿部委員、お願いします。

【阿部委員】  
 今までの論議をまとめていただいたかと思っております。一つ、7ページのところにあります、健康で安全な情緒の安定したもとで生活することが前提ということでしたので、遊びとか情操の育成というのをより積極的に、文言に盛り込めないのかなというのを話を聞きながら思っていたところです。より幼稚園や保育所、こういった幼児教育の大切さを更に主張できるようなものが盛り込まれていいのかなと思います。それから12ページの小学校との接続のことですが、この趣旨を小学校の教員までも含めて周知していくということについてはとてもいいことだと思っていますので、幼児期の趣旨が小学校の方にも伝わっていくような周知の方法も工夫していただきたいと思います。また、保育要領(仮称)の解説を作るというようなことも書かれていますので、就学指導だけでなく、様々な取組を更に盛り込んでいただければと、切に望んでおります。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。
 
【野本委員】  
 一言だけ。國學院大學の野本でございます。先ほど岡村委員の話に私もとても共感するところがあるんですけれども、やはり幼保連携型認定こども園はある意味、違いを大切にした保育というものがあるのかなと思うんですね。つまり、整合性と言っているだけのときに、何かそぎ落とされていくような不安を皆さんがもっていて、いろいろ出ている部分、そういう言葉を整えることでここがなくなるんじゃないかというような不安を感じているような気がどうしてもするんですね。そうではなくて、むしろこども園の場合にはいろんなもの、子どもも保護者も多様な人たちを包含して受け止めていく保育の支援かなというふうに思いますので、どこかで違いを大切にしているということを入れていただけるような考えが入るとうれしいなと思います。
 以上です。

【無藤座長】  
 ありがとうございます。非常に大きく言えば、認定こども園もインクルーシブな方向の中にあるだろうと思いますので、配慮したいと思います。
 時間が過ぎましたのでここまでにさせていただくことでよろしいでしょうか。さて、昨年6月よりこの合同の検討会議において御審議いただいたわけでございます。先生方の御協力をもちまして本日、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)策定の方向性がみえてきたと存じます。本日、いろいろな意見を頂戴いたしましたので、それを整理し、できる限りこの策定案の中に組み込む形で、策定の方向性としては大体、このような形で良いということで御了解いただければと存じますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【無藤座長】  
 ありがとうございます。そのようなことで大体の方向性はこれで良いということでございます。本日頂きました御意見を踏まえまして、報告書の文面を更に整理したいと存じます。それにつきましては私、無藤と秋田座長に御一任いただくということで御了解をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 なお、今日いろいろ発言いただいたわけでございますけれども、更により詳しく伝えたいということがあれば、極めて早急に事務局に文書等でお伝えください。極めて早急というのは後で事務方からも申し上げますけれども、来週ですか、文部科学省は中央教育審議会、厚生労働省は社会保障審議会の方で報告をし、議論していただきますので、そこに全部、間に合わなければならないということでは必ずしもないかと思いますが、できれば間に合わせていただければと存じます。
 ということで、ありがとうございました。今後でございますが、今申し上げたようなことで本日頂きました御意見を踏まえて整理いたします。その上で認定こども園教育専門部会といたしまして、中央教育審議会教育課程部会に報告をいたします。また、認定こども園保育専門委員会としては、社会保障審議会児童部会に報告をいたします。ということでこの合同検討会議は、昨年6月より5回にわたって検討を進めてまいりました。本日の会合が最終ということでございます。これまで委員各位の御協力、また活発な御意見、御議論を頂戴いたしまして秋田座長と共に改めて御礼を申し上げたいと存じます。また、事務局から御礼申し上げたいということですので、よろしくお願いいたします。

【義本審議官】  
 冒頭お話がございましたように、昨年6月以来、5回にわたりまして精力的な御審議いただきましたこと、事務局を代表いたしまして心から御礼申し上げたいと存じます。
 この会合におきましては、関係団体のヒアリングも含めて活発な議論を頂きましたし、本日も教育と保育の関係、あるいは養護の在り方、あるいは細かいところについてまで含めて広範な御審議を頂きましたことをこの場で改めて感謝申し上げたいと存じます。無藤座長からお話がございましたように、今後、中央教育審議会、それから社会保障審議会並びに子ども・子育て会議に御報告いたしますとともに、今度は内閣府、文部科学省、厚生労働省の3府省にわたりまして3大臣の共同という形で告示に向けての作業を進めたいと思っているところでございます。恐らくは2月中ぐらいをめどにしておりますけれども、パブリックコメントをさせていただきまして、3月中に何とか告示の公示に向けて進めたいと考えているところでございます。また、告示においては基本的なところ、本日の御議論も踏まえて折り込んでいくとともに、内容をあるいは丁寧に説明しなくてはいけないところにつきましては、解説書の中でしっかり書き込むということが必要だと思っているところでございます。
 その作業を進めたいとともに、また先ほどお話しさせていただきましたように、保育者あるいは自治体の職員をはじめとする関係者の皆様方、保護者についても視野に置く必要があるかと思いますけれども、その趣旨をしっかり説明させていただくための説明会の実施ということも含めて進めていきたいと思っているところでございます。幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)を踏まえた教育、保育が各園で着実に実施されますように、また汐見先生からお話ございましたように、ある意味においては社会的使命を担った施設でございますので、その取組がしっかりなされるように、この合同会議で頂きました御意見を踏まえまして、私どもとしてもしっかり取り組んでまいりたいと思っているところでございます。また、委員の先生方におかれましては、合同会議としましては本日が最終回ということでございますが、それぞれのお立場から今後とも引き続きよろしく御指導賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますけれどもお礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【無藤座長】  
 ありがとうございました。最後に今後の日程等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

【林幼児教育企画官】  
 確認になりますが、中教審の教育課程部会は1月23日、社保審の児童部会は1月22日という予定をしております。今日の御審議を踏まえてこの教育課程部会児童部会にかける資料につきましては、両座長と御相談しまして整理をしたいと思います。時間がございません、恐縮ですがそちらにつきましてはまとまり次第、各委員に郵送させていただくということで御了解いただければと思っております。
 また、再来週になりますが1月29日には子ども・子育て会議においてもこの件について御報告をするという予定にしております。頂きました報告を踏まえて告示案を作っていくわけでございますけれども、こちらにつきましても先ほど義本から申し上げたように、2月のできるだけ早い時期にパブリックコメントをした上で、最終的な告示という形にもっていきたいと思いますので、そういうスケジュールになっているということで御了解いただければと思います。
 以上でございます。

【無藤座長】  
 ということでございます。それでは長い間、ありがとうございました。本日はこれで閉会させていただきます。

── 了 ──

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局幼児教育課指導係

(文部科学省初等中等教育局幼児教育課指導係)