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高等学校教育部会(第21回) 議事録

1.日時

平成25年9月10日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 孔雀

3.議題

  1. 総合学科について
  2. 専門学科について
  3. その他

4.議事録

【小川部会長】
 定刻になりましたので,第21回高等学校教育部会を開催したいと思います。
 前回が7月1日ですので,2か月ぶりということで,少し時間を置いた会となりましたが,お忙しい中,御出席いただきましてありがとうございます。
 今日,議題に入る前に,前回,7月1日の部会以降,文部科学省の方で人事異動があったということですので,まず事務局からその件について御報告をお願いいたします。

【西尾専門官】
 それでは,文部科学省の人事異動について御報告を申し上げます。新たに就任した者についてのみ御紹介させていただきます。到着が遅れておりますが,7月8日付で初等中等教育局長に前川が着任いたしました。また,同日付で大臣官房審議官初等中等教育局担当に義本が着任いたしました。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,今日の審議に関係する配付資料について,事務局からお願いいたします。

【西尾専門官】
 本日の配付資料は議事次第のとおりです。具体的には,資料1-1,1-2,1-3,2,3-1,3-2,3-3について事務局からお配りしております。
 また,参考資料2としまして,前回の第20回の高等学校教育部会の資料のうち総合学科に係る部分につきまして,また委員の皆様に対しましては,机上資料といたしまして第5回の高等学校教育部会資料のうち専門学科に係る部分を配付してございます。机上の配付資料に専門学科に係る資料(第6回)となっておりますが,誤植でございまして,第5回の間違いでございます。第5回に一度専門学科について御議論いただいております。
 不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。

【小川部会長】
 ありがとうございます。資料の件,よろしいでしょうか。
 では,これから議事に入りたいと思います。今日の議題は議事次第にありますとおり,総合学科について,そして専門学科について議論していきたいと思います。
 まず,最初の議題である総合学科については前回から引き続きということです。今日の配付資料として前回の委員からの発言の意見と,総合学科の特色ある取組事例について,事務局の方で資料1としてまとめていただいております。
 まず,資料1をベースに事務局の方から総合学科について御説明を頂いた後,審議に入っていきたいと思います。よろしくお願いします。では,事務局の方からお願いします。

【西尾専門官】
 失礼いたします。事務局より説明させていただきます。前回に引き続きまして,総合学科の現状について御説明させていただきます。前回総合学科についての審議時間が短いものとなってしまいましたので,参考資料2として配付させていただいている前回の資料も踏まえて御審議いただければと思います。前回のおさらいとなりますが,総合学科は将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習を重視すること,また,生徒の個性を生かした主体的な学習を通じて,学ぶことの楽しさや成就感を体験させる学習を可能にすることを期待され,設立されております。学校数は352校で高等学校全体の約7%,生徒数は約17万人で高等学校全体の5.2%となってございます。
 資料2を御確認ください。資料2は,前回の高等学校教育部会における総合学科に係る各委員の主な意見をまとめたものでございます。荒瀬委員等から,総合学科といってもいろいろな中身があるとの御指摘があったことを踏まえまして,総合学科の実践事例を用意させていただきました。
 恐縮でございますが,資料1-1に戻っていただければと思います。総合学科の特色といたしまして,第1に挙げられるのは,「産業社会と人間」と「課題研究」についてであります。「産業社会と人間」の狙いについては,資料にも記載してございますが,自己の生き方を探求させるという観点から,自己啓発的な体験学習や討論などを通して,職業の選択決定に必要な能力・態度,将来の職業生活に必要な態度やコミュニケーション能力を養うとともに,自己の充実や生きがいを目指し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度の育成を図ること,また,現実の産業社会や,その中での自己の在り方,生き方について認識させ,豊かな社会を築くために積極的に寄与する意欲や態度の育成を図ることとすることです。
 また,「課題研究」の狙いとしましては,多様な教科・科目の選択履修によって深められた知的好奇心等に基づいて自ら課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,問題解決能力や自発力,創造的な学習態度を育てるとともに,自己の将来の進路選択を含め,人間としての在り方,生き方について考察させることです。
 この「産業社会と人間」と「課題研究」又は「総合的な学習の時間」を一体として捉えまして,自己の進路への自覚を深めさせる学習を実践している例を二つ御紹介させていただきます。資料1-2を御覧いただければと思います。
 一つ目につきましては,大分県立日田三隈高等学校について紹介させていただきます。日田三隈高等学校は総合学科としては平成8年に創設されました。前身の学校は普通科及び商業学科を設置していた学校でございます。生徒数は465名でございます。現在5系列設置しており,開設科目は約120科目となってございます。
 この学校の「産業社会と人間」及び「総合的な学習の時間」の取組についてですが,1年次には,例えば一つの学習内容なのですが,調べる力を育成するため,なりたい職業に就くにはどういった資格が必要なのか,どのような勉強をやればいいのか,やりがいや仕事をする上での心構え等,社会人の方に電話や手紙,又は直接訪問するなどの活動を通して報告書をまとめていきます。そして,学校の中で発表,評価を頂くというサイクルを,一つの例を挙げさせていただきましたけれども,いろいろな体験活動を通して,自分で調べる力,発表する力,聞く力,計画する力を育成する活動をしてございます。
 2年次になりますと,夏季休業中に全員がインターンシップを実施いたします。平成19年度からは可能な限り,生徒自身が自分のインターンシップ先との調整から最後まで行うセルフプロデュース・インターンシップへと移行してございまして,このため生徒には事前に電話対応方法やビジネスマナーを身に付けさせる活動や,生徒にインターンシップの目的を十分理解させた上で,夏季休業中に生徒全員に対してインターンシップを実施してございます。
 3年次には,これまでの授業で培った能力を生かしまして,自ら課題を設定し,調査・研究・作品制作などを通して課題の解決を図ってございます。また,この学校の特徴的な取組といたしましては,卒業生が30歳になったときに記載してもらう「30歳のレポート」というものがございます。この目的は,まず学校の教育活動が適切であったかどうかの検証を,高校3年間,高校生が卒業していく中で,実際総合学科が持ち続けてきた目的,もしくは教育活動が適切であったかどうかというのが分かりにくいという実情から,30歳になったときに改めて卒業生に対して自分の人生を振り返っていただき,その検証を行っているというものでございます。
 また,そのレポートの内容から,これまで卒業生の人生がうまくいっている者に対しては,状況や要請に応じて支援を行うこととしておりまして,また,支援を必要とする者がいれば,担当者やチームを決めて,面談や手紙,電話等で支援を行って,卒業生にエールを送っているというものでございます。なお,現在第1期生のレポートの提出状況の割合が分かっているのですが,30歳になって第1期生がレポートを提出していた割合が19.2%。アンケートも同時にやっているのですが,アンケートの回収率は34.2%という数字になっております。
 1枚おめくりいただきまして,二つ目の事例として,東京都葛飾総合高等学校について御紹介させていただきます。こちらは比較的新しくて平成19年度に創設されたものでございまして,前身は普通科及び工業科でございます。生徒数は720名で6系列あり,約150の科目が設定されている学校でございます。
 この葛飾総合高校も,先ほどの日田三隈高校と同じように1年生に「産業社会と人間」の授業を行いますが,特徴といたしましては,入学後すぐに2泊3日の宿泊行事を行います。この中でたとえ希望進路が,決まっていなくても,将来自分が働くことを考えたときに,この高等学校の3年間で何をすべきかということを考えさせる。
 例えば,働くに当たっては,高等学校教育部会のコアの中の議論でもございましたが,例えばコミュニケーション能力を伸ばすべきだとか,組織の中で働くということを学ぶために部活を頑張る等の目標を決めまして,研修の中でグループセッションを行い,3年間でどういったことを身に付けるべきかということを議論させまして,その後,研修の中で実際に職業,働いている方のインタビューを行い,自分たちの仮説が正しかったのかどうかということを検証し,学校に戻って発表を行うというサイクルを繰り返す。1学期の前に大学・学部・学科調べや,夏期休業中には職業インタビューを実施することなどにより,1年生のうちに将来に対するイメージを持たせるようにし,2年次以降から分かれる系列のための科目討論の役目としております。
 2・3年次におきましては「総合的な学習の時間」で,2年生のときからもう既に「課題研究」を始めておりまして,夏休みには「課題研究」に対する実地調査――具体的にはデータの収集,職業インタビュー等を課してございます。「課題研究」でございますので,やっている取組については生徒それぞれになっております。一つは,実地調査をやっている者もあれば,そのほか自分の関係する,興味がある分野について調べているという,本当に内容は多岐にわたっているものでございます。
 実地調査は夏休みにやっておりまして,2年生で行われる修学旅行中には,その実地調査,夏休み中にとったデータは,恐らく高校生ですので,自分の地元の近くでしかとれていないデータですが,修学旅行中に渡航先で1日間は「課題研究」に対する実地調査を充てることとしておりまして,別の遠い場所でもさらに実地調査をして,比較調査ができるような形で指導を行ってございます。
 2年生次にはこの「課題研究」に対して6,000字程度の論文を書くことを目標とさせており,3年生の夏休みまでには2万字程度の論文にするように指導してございます。3年次の夏休みまでとなっているのは,高校生の大学受験等も加味されてこのように設定されているようでございます。
 次に,資料1-1に記載しております,いわゆる系列についてでございますけれども,現在総合学科を設置している学校には系列が用意されております。統計的なデータがあるわけではございませんが,系列を設けながらも,系列ごとに履修する科目の縛りを設けずに,学校で開設している科目は自由に選択できるという学校が多いように感じます。この系列につきましては,平成5年3月の文部省初等中等教育局長通知の中で,地域の生徒の実態を考慮しつつ,設置者及び学校が定めるとされております。定めた系列に対応する多様な教科・科目が総合的に設けられてございます。
 資料1-3を御覧ください。これは特色ある取組をしている総合学科の学校を各都道府県教育委員会が選出したものでございますが,この中で幾つか簡単に御紹介させていただきます。ページ番号を振っていなくて恐縮なのでございますが,一つ目は,例えば総合学科といいますと大体普通科と専門学科が統合したというイメージを持たれている方が多いように思いますが,例えば群馬県の伊勢崎興陽高校は,もともと農業高校から総合学科に変わったという例でございまして,前身が普通科というものが入っていないものでございますが,中でも福祉系列とかを新たに作っている例でございます。
 また,お隣の埼玉県や,よく御存じの東京都につきましては,定時制でございまして,埼玉県は誠和福祉高校,東京都は桐ヶ丘につきましては定時制であっても総合学科を開設しているというような例でございます。
 また,資料のページが飛んで恐縮ですが,沖縄県の沖縄水産高校,これも総合学科ですが,これにつきましては水産に関する科目の設置を中心としながらも,系列は9つ用意してございまして,非常に多い系列を持っている例でございます。
 ほかにも資料には付けてございませんが,総合学科につきまして全国で約352校ありますが,そのうち私学が34校いう状況でございます。事務局からの説明は以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,前回も少し時間を取って総合学科に関わる御意見を伺ったのですけれども,もう2か月ぐらい前なので,どのような議論,御意見があったかというのは資料2に,前回の高等学校教育部会での総合学科に関わる意見を少し要約して記載しております。そういうことも少し参考にしながら,今日の文部科学省からの資料も参考にしつつ,また総合学科について何か御意見を伺えればと思います。
 あとの専門学科の方の時間もありますので,大体30分ぐらいのお時間を取って皆さんから御意見を伺えればと思います。どなたからでも,御質問を含めてあれば,どうぞ。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では,金子委員からよろしくお願いいたします。

【金子委員】
 二つだけ伺いたいのですけれども。この総合学科は数として少なくて,一時はかなり,時代の展望を開くのではないかと言われていたわけですが,ある程度以上は増えないですが,これはどうしてなのでしょうか。それが一つ。
 もう一つ,生徒一人当たりのコストですが,普通高校は多分80万少しぐらいではなかったかと覚えているのですが,間違えているかもしれませんが,コストは幾らぐらい掛かっているのでしょうか。

【小川部会長】
 文部科学省の方,今の2点,総合学科の推移ですね。最近,特にあまり増えていないような感じもするのだけれども,その辺の要因は何かいうこと。あと,コストのデータをお持ちであれば。

【望月主任視学官】
 失礼いたします。まず1点目でございますけれども,総合学科につきましては,これは最近,総合学科の設置が横ばいになってきていると。つまりあまり都道府県で増えていないという状況は確かにございますが,総合学科を設置してからの平成6年以降,各都道府県ではそれぞれの都道府県の事情に応じまして,高等学校を少子化の中で再編したり,あるいは地域性を踏まえた新しい学校を作るという中で設置を続けてきたりしたわけでございます。
 そうした中で,総合学科については設置の段階が,今まではずっと高校の再編の中で総合学科を作ってきた段階から,その再編が一段落して,それぞれの高等学校がそれぞれの教育の充実という方向に向かおうとしているときであろうかと思っております。つまり,高等学校の新しい学科を作るということだけではなくて,教育の充実の方に重きを置いて一つの再編が一段落をしてきたときではないかと思っています。
 ただ,そうは言いましても,都道府県におきましては,まだ県の状況によりまして新しい総合学科がこれからも作られていくでしょうし,多様な高等学校の中で総合学科の在り方というのが県の中で位置付けられていくものというふうに考えております。
 一人当たり幾らぐらいかという質問でございますが,今手持ちのデータがございませんので,調べて御回答をしたいと思っております。

【小川部会長】
 では,金子委員,もう一回よろしく。

【金子委員】
 今のではお答えになっていないのではないでしょうか。もちろん各県で努力はしておられるだろうと思いますが,明らかにもう七,八年くらい数が変わっていないというのは何か理由があるはずで,これからやるつもりですというのは,少し私は行政側の答えとしては納得できません。何か理由があるならば,あるというふうに言うべきであって,これからできますというのでは,この議論をしている意味があまりないのではないかと思います。
 もう一つ,コストは非常に重要な問題で,ある意味では総合学科は非常にいい,おもしろい取組で,いろいろな刺激を与えるという点では私はよい試みだと思いますが,しかし,これはものすごくお金が掛かることです。それに対してどの程度の対応ができるかどうかということが問われているわけで,ある意味では普通高校でもいろいろな,様々なカリキュラムの可能性を入れることも可能なわけですけれども,今財政的な制約の中でそれができないということが問題なので,そこら辺を総合的に議論しないと,議論が成り立たないように私は思いますが。

【小川部会長】
 ありがとうございます。文部科学省の方でまた何かあれば,追加の御説明,後でも構いませんのでよろしくお願いします。
 では,上野委員。

【上野委員】
 質問なのですけれども,前回出席できなくて,既に説明されていれば申し訳ないと思いますけれども,総合学科というのは非常にバラエティーに富んだ教育内容を抱えているわけですね。そのときに教員の異動とか採用というのはどのようにされているのでしょうね。

【小川部会長】
 今のは質問でいいですか。

【上野委員】
 はい。

【小川部会長】
 これは文部科学省の方にお答えいただくのと,もう一つ,あと都道府県で総合学科のそういう御経験がある方があれば。
 では,松野下委員。

【松野下委員】
 私は総合学科に勤めておりますけれども,教員の異動に関しましては普通科目を教える教員はそのように配置されます。それから,本校では普通科目に加えて工業が2名,商業の教員が1名,福祉の教員もいます。あるいは,そういった専門科目のようにははっきり見えないところがありますけれども,例えば体育で専門的なことをやったり,あるいは情報でやったりとか,いろいろなやり方をしています。専門学科の教員としては,普通科の教員に加えてそういった工業や商業の教員がいます。その人たちが異動したら,また新たに同様の人を配置してもらいます。答えになったでしょうか。

【上野委員】
 私,そのとおりだと思うのですけれども,要はある科目を専門的に教える方が必要であるから,そういう人を連れてくるし,それで異動するときもそういうところへ行くと。どう言えばいいでしょう,お送りいただいたデータを見てみると,結構生徒さんは意欲を持ってやっているというデータが出ておりますね。
 総合学科の場合に,多分,先生方はいろいろ苦労されているというのを伺っているのですけれども,そのうちの一つは,例えば「課題研究」というのをやったとしますね。それは,全ての生徒さんにやらせるわけですね。私は高校生の自由研究等に随分携わることがあって,その経験から,恐らく先生方には,普通の科目を普通高校で教えるという労力よりはかなりの労力が必要であろうし,かつ,かなり幅広い経験と知識がないと教えられないと思うのです。
 多分そういうことをやっておられるから,生徒さんの満足感が高いという側面も出ているのだと思うのです。そのときに,先生方はそこで教えたいという意欲というのでしょうか,そういうのがどのくらいあるのかなというのを伺いたかったのです。少し言葉が悪くなるかもしれませんが,分かりやすい質問の仕方に変えますと,いろいろ耳学問で伺っていますと,先生方は多くの場合,例えば普通高校で教えたいとか,いろいろ御希望が多いように思うのですけれども,そのようなときの人事異動で,例えばそういう場所でより教えたいという力のある先生をどうされているのだろうかとか。そういう先生がそこにいないと,枠組みが出来ていても,その中で実質的な有効な教育というのはなかなか難しいわけですね。そこをどうされているのだろうかと。
 もう一度ポイントを繰り返しますと,既にお送りいただいているデータを見る限り,比較的生徒さんの満足感というのは高いのです。ところが,耳学問から来る私の感覚でいきますと,先生方はどちらかというと別な高等学校へ配属されたがっている。そこのギャップはどうなっているのでしょうか。ギャップと言わないのかもしれないですけれども,どのようにうまくやられているのだろうかというのが質問です。

【小川部会長】
 お答えというか,何か,お願いいたします。

【松野下委員】
 例えば「総合的な学習の時間」,あるいは「課題研究」で教員が付きます。例えば1年生は「産業社会と人間」,2・3年生の「総合的な学習の時間」でしたら,学年の担任,プラス副担任,プラスアルファぐらいです。ですから,教員が2年生の「総合的な学習の時間」に全部付くわけではなくて,例えば14人であったり,12人であったり,そのぐらいです。その人たちが全ての生徒の多様な関心に対応できるかというと,それはそうとは限りませんので,生徒たちがそれぞれのテーマを作って研究を始めたときに,研究の仕方とか,あるいは調査の仕方,こういったことをアドバイスするということで,教員が直接それぞれの課題研究を教えるということは少し違うかなというふうに思います。生徒の多様な関心に全ては応えられませんので,研究の仕方とか,そういったことを指導しています。
 それから,二つ目ですけれども,総合学科というのは大変分かりにくいところがあります。私の学校でも4月になると普通科から教員がやって来たり,あるいは新規採用が来たりしますけれども,その際に総合学科研修というのを行います。そういった研修の中で総合学科の理念を理解してもらうということをやっています。普通科の教員が普通科高校でやりたいという声は当然ありますけれども,総合学科の理念ということを理解してくれて,生徒の総合学科教育に指導に当たってくれるという人もたくさんいます。

【上野委員】
 もう一つだけいいですか。

【小川部会長】
 はい,どうぞ。

【上野委員】
 少し関連して,いろいろなアンケートを生徒からとったときに,よりポジティブな答えというのが,えてして甘く教えたとか,分かりやすく言うと,生徒の好みに合わせてしまったとかいう場合に多いですね。そういうことがあって,今日の1番目の例,御紹介していただいたので,30歳になってから調査したというのがございますね。例えばその具体的な内容というのは,ここで御紹介いただくことはできるのでしょうか。

【小川部会長】
 文部科学省の方,そういう関係するデータ,お持ちですか。

【西尾専門官】
 失礼します。調査において課していること二つございまして,レポートにつきましては,その者のこれまでの人生を振り返って,総合学科でやったことを踏まえて,どういう人生を歩んできたのかということ,それに加えて別途アンケートというものをとってございます。
 アンケート調査の中で,そのような項目があると思われるのですが,今少し手元に物がないので,改めてデータとして示させていただければと思います。

【小川部会長】
 松野下委員,どうぞ。

【松野下委員】
 実は日田三隈高校の30歳のレポートは総合学科でも大変すばらしい取組として見られているのですけれども,ここに30歳のレポートの現物があります。この取組は,30歳になった卒業生のレポート報告の会を行って,高校生の前で,第3回は3人の卒業生でしたが,卒業してから現在の職業に就くまでにいろいろな体験をし,あるいは高校時代考えていた職業をやめて,また次に行ったりとか,そういったことを報告したりしています。高校生は相当いろいろな良い刺激を受けているようです。
 それ以外にも,多くの卒業生がレポートを書いてきてくれています。それがこの冊子にまとまっているのですけれども,レポートの回収率は1期生は20%だったということです。学校としては今後もっと多くしたいと思っているように認識していますが,これはなかなかすばらしい取組で,東京都でもこういったことができるといいなと,今,東京都の総合学科では話をしております。

【小川部会長】
 もしも可能であれば,事務局の方で是非委員の方に配っていただければと思いますけれども,後でも。
 上野委員,よろしいでしょうか。

【上野委員】
 どうもありがとうございました。

【小川部会長】
 あと,松野下委員に少しまたお尋ねなのですけれども,先ほど金子委員からの質問の中でも,特に1番目の質問で,前回のこの高等学校教育部会においても総合学科というのはやはりいろいろな試みをやっていて,高校生の学習や成長にとって非常にプラスの教育効果を生み出しているということで,総合学科のそういう意義は普及させていく方向で少し議論を進めるということをしてきたわけですけれども,この部会でも総合学科についてはかなり肯定的な評価です。
 ただ,現実は,先ほど金子委員もおっしゃったように,ある一定年限で増設がストップして,近年は横ばい状態になっていると。その原因とか背景をどう考えたらいいのか。一つは,恐らく高校再編の流れの中で総合学科が作られて,再編自体がある意味ではストップしたということも原因でしょうけれども。しかし,もう一方では,再編の手段として総合学科が使われただけというのはあまりにも寂しいというか,総合学科を推進していくという立場であれば,再編の時期は終わったかもしれないけれども,さらに次のステップ,総合学科の在り方をさらに進めていくということを考えていく必要があると思うのです。
 再編が終わったという以外に,総合学科が各県でなかなかプラスの方向で増えていかないというのは,ほかに何か理由というのか,考えられるのでしょうか。コスト面も確かにあるかもしれませんけれども,ほかに何か考えられるようなことはあるのでしょうか。

【松野下委員】
 そうですね,ここ何年間も総合学科の創設というか,開校が止まったという認識はあまりないのですけれども,数字が手元になくて分からないのですけれども。最初の頃はどっと行ったと思うのですけれども,その後伸びが緩やかになったかなというふうに思っています。特に総合学科がどうだから創設が止まったということはないのではないかなと思います。
 やはり,普通科目,専門科目と,いろいろな科目を開設しなくてはいけないので,教員の数も多く要ります。720人規模の学校であれば,総合学科加配というのは11名で,普通科よりも多い教員が必要になってきます。こういったことも関係するのは事実ではないかなというように思います。
 ただ,総合学科というのは,新しい学校だけに「産業社会と人間」であったり,キャリア教育であったり,あるいは科目選択であったり単位制と,いろいろな特色がありますけれども,いろいろな特色があるから分かりにくいということがあるかなとは思うのですけれども,私は総合学科を理解する一番いいキーワードは選択ができる,選択をさせる,これかなと思っています。
 選択をさせるのは生徒の主体的な学習を導くため。やはり人間は何事も好きなこと,関心のあることであれば一生懸命取り組むであろうと思いますし,実際にそ生徒たちは自分の関心のある科目に一生懸命取り組んでいます。当然ながら,何でも好きなものだけをやればいいということではなくて,将来を見据えさせて学ばせるためにキャリア教育が出てくる。そういった形で選択を重視しているということがほかの学校との大きな違いかなと思いますけれども,この辺りが生徒たちが肯定的な評価をしてくれるという理由ではないかなと思っています。
 もちろん,選択ができるということは,選択をしないという科目ができるわけですから,この辺りも総合学科としては当然意識して学力向上等を進めていかなくてはいけないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。

【安彦副部会長】
 金子委員の御質問ですけれども,私もたくさん知っているわけではありませんけれども,知っている限りでは,一つは,やはり保護者が普通科を求めるのです。そういう意味では,大学進学がこれだけ進んでくると,総合学科よりは普通科を作ってほしいという保護者の声,これはかなり根強く,しかもだんだん強くなっている。それが1点。
 もう一つ,正に今,金子委員がおっしゃったお金です。とにかくお金が掛かりますから,簡単に作れない。この不景気の間,この何年間か本当に不景気でしたから,教育委員会はお金がないので,今のような選択科目を増やして,例えば一人の先生にたった二人しか受講生がいないということが認められているような,非常に,ある意味でゆとりのあるというか,豊かな条件を享受している子供たちがいるので,それをいつまでもやれるかという考えがかなり教育委員会内部にもあって。ですから,とにかく予算が掛かるので,とても作れませんよという声は非常に強いです。
 昨日,実は横須賀の総合学科の高校へ行って3年生の総合的な学習の時間の発表を見てきたのですけれども,非常に意欲的で,私は正直言って子供の方の育ちは非常にいいなと思いました。むしろ先生の,先ほどの委員からありましたけれども,先生の方の指導力が不十分といいますか,やはりそれだけ非常勤の先生もたくさんそろえてやっていますけれども,総合学科の場合には一人の先生が10人ぐらいの生徒を指導しなくてはならない立場になっていると。そうすると,かなりいろいろな範囲の専門的な力を先生がお持ちでないと対応できないという状況がある。
 そういうことが要求されるのがつらいと思う先生は,やはり外へ出たという気持ちがかなり強くあるようですし,逆に,私たちから見ると,子供の姿を見ていると,もう少し先生に勉強をしてほしいなというような思いにもなる。そういう状況が今の状況ではないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。野上委員。

【野上委員】
 産業界が総合学科を有する学校に強い関心を持つ理由は次のようなことからであります。企業は人なりですから人材の確保・採用に当たっては人,物,金といった資源はもとより多くの時間をかけ取り組んで参りました。しかし,そうした努力にもかかわらず現実は世間でいわれるところの7・5・3現象が起きている。高校卒に限って言えば入社後3年間で実に5割が退社するというのですから企業の痛手は大いなる悩みとなっております。ちょうどそうした時期にキャリア教育に重点を置いた総合学科が創設されたのですから産業界の期待には大きなものがございますしその動向に強い関心を持っております。
 そこでお伺いしたいのですが,総合学科をお持ちの学校における7・5・3現象の実態について教えていただきたいと思います。そして今一点東京都にございます葛飾高校では資料によれば2年次に六千字ならびに二万字に及ぶ論文を提出させているとのことですがその取組趣旨と提出された論文をどのように評価し活用されておられるのかお伺いしたいと思います。
 なぜこのようなことをお伺いしたかと言いますと企業では自身の考えをA4用紙一枚に簡潔にまとめて提出させることが求められているのですが,現実は採用時点でそうしたことにたけた人材の存在はが極めて少ないように思います。そこで葛飾高校では長文も書けるが,それを要約した短文も書けるような訓練指導をされておられるのか教えていただきたいと思います。

【松野下委員】
 そうですね,確かに1枚で簡潔にまとめるということも,これはとても大事だと思います。ただ,高校生の段階では,やはり調べる,まとめる,こういった場を提供してやってもらうことも,とても重要と思いますと。ですので,2万字というのは大変多くて,何をやっているのというふうに思われるかもしれませんけれども,これも一つの経験になるのではないかなと思います。
 あと,前段の七五三現象に関しましては,まだ卒業生が多くは出ておらず,本校でも一番上の年齢が27歳という状況で,今1期生,2期生あたりにアンケートをとり始めたぐらいの状態です。総合学科は若いですので,この辺りは今後の課題になるかなというふうに思います。

【小川部会長】
 文部科学省の方で何かデータはありますか。

【望月主任視学官】
 離職率に関する総合学科,ほかの学科と比べた場合のデータは,申し訳ございませんがありません。

【小川部会長】
 今の状況はそういうことのようですので。

【野上委員】
 そういう期待が産業界にあるということです。

【小川部会長】
 分かりました。
 和田委員,お願いします。

【和田委員】
 失礼します。ひょっとしたら,御出席の委員の皆さん,御存じであって発言がなかったのかと思うのですけれども,当たり前のことなのですけれども,学校再編の中で総合学科が出来ていくのが一段落した以上,総合学科がこれから増えていくためには,やはり普通科が総合学科に移行したということがあるかと思うのです。一番問題点は,総合学科は単位制であるということに対して,普通科は学年制であるということではないかなと思います。
 学年制というのはもちろん,単位制ではあるのですけれども,1年間である程度の単位を取れない場合には留年があって,留年した場合には,原則ゼロ,振り出しでもう一度,例えば1年だったら1年をやり直すという制度であります。総合学科の単位制に踏み出せば,1年生で取れた単位は,それは当然単位制ですから持ち越していくという形になっていきます。そうすると,いわゆる学年制が崩壊するというところで,普通科はなかなか総合学科へ踏み出せない。
 この留年制度がおかしいという考え方もあるかもしれませんけれども,逆に,それを何とか免れようというような形で,一生懸命その学年の授業を受けて単位を取っていくわけですし,ある種の生徒のモチベーションにもなっているところもありますし,教員も,何とか進級をするような形で指導ということが,普通科では普通に行われているわけです。これを,何単位でも取れたらいいよというような形にはなかなかしにくいというのが現状かなと思います。
 というのは,私もこの総合学科が出来たとき,本校もある意味で,例えば進学を目的とした総合学科なんかも単位制であり得るのではないかということを検討はしたのですけれども,結果的には学年制を崩してというのがなかなか踏み切れなかった原因だったと思います。だから,やはり新しい学校が出来るときには,そういう制度でやればそれはいいと思うのですけれども,なかなかそこの異動が難しいということがある。
 逆に言えば,普通科も総合学科的に,一般的な普通科というのは単位が取れたら,その単位は次に持ち越せるよというような形になっていければ,もっともっと普通科と総合学科の融合みたいなものも可能になってくるかと思いますけれども。現実,今までの学校制度の在り方としては,これ以上なかなか総合学科に,にわかに移っていくということは難しいかなというのは感じているところです。
 一番初めの金子先生の御質問の答えになるかなと思って少し発言させていただきました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 服部委員どうぞ。

【服部委員】
 私は岐阜県で総合学科を4校作ったときの担当課長だったので,総合学科というのはどういう理念で作ったかということですけれども,普通科高校と専門高校,多くの総合学科が大体普通科高校と専門高校を合わせて,そして二つを統合するような形で作るという形になっています。普通科というのは,御承知のように大学進学を中心とした普通科目を中心に学ぶのです。そして,専門高校というのは,農業にしても,工業にしても,専門高校は全ての単位に専門科目,例えば工業なら工業に関する科目が30単位以上履修することによって,専門高校,専門学科としての位置付けがあると,そういう縛りがあります。今はその単位数は多少変わっているかもしれませんが,当時はそうでした。
 普通科高校と専門高校を合わせて作るというのは,その中間になるような形で,例えば総合学科になったときに,多くの先生,それから中学校からの進路を選ぶときの関係者とか,いろいろな人たちが,例えば進学を希望する者はそれで大丈夫かというようなこと,普通科の科目が少なくなると。逆に専門高校の人たちは,専門科はただでさえ専門高校,例えば工業高校だったら機械の科目が今でも足りないくらいなのに,これ以上減らされて本当に大丈夫かと。要は中途半端になってくるのではないかというような懸念があったのですね。
 そういった話は学習内容というか,単位が減るというようなことで議論が出てくるのです。学習内容がどうのこうのということになってくるのですけれども,総合学科は,先ほどの委員の意見にもありましたが単位制総合学科。要は,学習内容ではなくて学習方法が変わる学校づくりだということで,自ら好きなことを選んで,自ら選び,自ら学ぶ,そういう主体的な学びを促す。日本の若者にとかく欠けている,何となく受け身的な学びではなくて,自分から積極的に選んで,そして,そのいいところをどんどん伸ばしていく,そういう主体性を伸ばすような学校づくりだということで,学習方法が変わっていくのだということが一番大きな特色だと言いました。
 例えば総合学科を作ったときに,いろいろなところから問い合わせがあったとき,例えば大学の関係者とか,企業の方からもいろいろな質問があったときには,私はこれから総合学科で3年間学んだ学生はもっと主体的,積極的に学ぶ,そういう姿勢が備わってくる。3年間でそういう学び方をしてきて卒業するわけだから,今までとは違った生徒が育成される。そういう学校ですから,見ていてくださいという話をしました。要は,繰り返しますと,学習内容がどうのこうのということではなくて,学習方法が変わるということで,総合学科の特色があると。
 しかし,学習方法が変わるということは,これは金子委員さん,なかなかその結果というのは,学習方法が変わったから,本当に人がどのくらい変わったかということは評価の仕方がなかなか難しいわけですから,それが検証されるということは難しいと思います。今後というか,これまでの中で,これから総合学科のよさというのをある意味では評価するならば,要するに今までの学び方の,普通科とか,あるいは専門高校で学んだ生徒とはどこがどう違ったかと。学び方の違い,学習方法の違いによって,どういう若者が出てきたかといったようなことで評価されるべきだと思います。
 ちなみに岐阜はそのときに4校作りました。その後,また10年後,大きく成果が上がったときに,さらに4校総合学科を作って。やはりこれは期待するところがあったのは,学習方法の違いによって,大きく言えば,これからの日本を支える,主体的に学ぶ,あるいは積極的に自らが課題を見付けて解決していくような,そういう学びを通して人間形成ができるような学校づくりというようなことで進めたということであります。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,ほかにどうですか。
 では,金子委員,そして及川委員,荒瀬委員,阿部委員という順でお願いいたします。

【金子委員】
 一つ,今おっしゃっていたことに関わって確認しておきたいのですけれども。やはり単位制と学年制というのはどう違うのかというのを,やはりきちんと考えておいた方がいいと思うのですね。もともと単位制というのは,アメリカで19世紀の終わりくらいにできた制度でありまして,非常に生徒が地域的に移動することが多かったので,単位というものを共通通貨みたいに作ったところから始まったものなのですが。学年制というのは,基本的にそれぞれ一定の学年で学習したことを確認しつつ進めていくという考え方なのです。
 達成度を常に確認しつつ,1年生,2年生,3年生。これはイギリスなんかの大学ではかなりそうなのです。学年制というのは,そういう意味で達成度を確認しつつすることができる。単位制は,先ほどおっしゃっていましたように,もともとできたのは違った経緯なのですが,ただ,いいところは,様々な主体的な選択ができますから,ある意味では生徒の主体性を重んじることができる。そういう意味でもいいところなのですが,逆に,どこまで達成しているかを確認することが非常に難しいわけです。
 アメリカの高等学校なんかは,かなり共通テストを卒業試験みたいに導入しているところはあるのです。それは,やはり選択があまりに行き過ぎて,あまりに学力が不ぞろい過ぎてしまったという弊害が出てきているわけです。私は,今の総合制の高等学校の話だけにかかわらず,選択を認める,主体的な学習を許すということは非常に重要なことだとは思いますが,それと同時に,一定の学力をどのように保証するのかということはセットでないと,やはり将来,問題を起こすだろうと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,及川委員。

【及川委員】
 質問が二つです。1点目は,前回のときの資料で,今回は参考資料2なのですけれども,その中でスライドの25と27のことについてです。スライドの25は,「産業社会と人間」を学ぶ意義についての回答なのですけれども,そこに下の方が平成11年で,上の方が平成19年ということになっています。「産業社会と人間」については,平成19年の方が11年に比べて肯定的内容の回答の割合が高くなっているというふうになっています。
 ところが,右側の「課題研究」の方,スライド27,28を見ますと,そこにも注釈が出ているのですが,「課題研究」については,平成19年度の方が11年度に比べて二つの項目で肯定的回答が低くなっている。つまり,平成11年度の方が二つの項目,肯定的回答が高かったというふうに出ているのですけれども,こういう意識の違いは,どうしてこのような結果が出るのかということについての何か見方みたいなことがあったら,教えていただければと思います。
 「産業社会と人間」の方は,先ほどの服部委員のお話で何となくそういうことなのかなというふうに感じました。「課題研究」は3年次が多いわけですから,考えてみればそうなのかなという気もしますけれども,この辺について,もし何か見方みたいなものがあったら教えていただければと思います。
 2点目は,同じく参考資料のスライドの36でしょうか,総合学科における進路別卒業状況ということで,前の方に少し解説が出ていたのですが,大学等の進学が平成12年,18年,24年と増えているわけですね。就職の方については,一度増えて,また同じような数字に戻っていると。この大学進学が増えているという状況について,どのように捉えたらいいのかということ。
 それから,そもそも総合学科を卒業した生徒たちの進路状況の割合を,これ設置者によっても考え方が違うのだろうと思うのですけれども,例えば大学進学がどれぐらい,それから就職がどれぐらいといったような,総合学科を設置するに当たって卒業後の進路状況についてのイメージというか,そういうものは想定されていたというのは何かあるのでしょうかということです。

【小川部会長】
 これは文部科学省の方にお答えを求めても難しいですかね。これはどなたにお答えしていただければいいのですかね。松野下委員に,またお答えできる範囲で。これ,服部委員も,何か二つの質問,「課題研究」のこのデータと進学率。総合学科からの大学進学等々に関わって何か,総合学科に関わられている松野下委員,ないしは阿部委員の方で何かあれば。

【松野下委員】
 そうですね,この資料ではないかもしれませんけれども,平成23年度文部科学省の高等学校教育改革の推進に関する調査研究というのを,総合学科関係の服部先生という方が行いました。その方が昨年度,全国総合学科教育研究大会で発表してくださったのですけれども,この資料はそれとは違うのですが,その際に別の資料で,総合学科を理解して入学してきた生徒の方が,理解度が低く入学してきた生徒よりも総合学科に対する満足度が非常に高いということを発表していました。
 この「産業社会と人間」の数値が上がっているのも,これは私の勝手な推測ですが,総合学科がだんだん浸透してきて,そして「産業社会と人間」というのが少しずつ浸透しつつ,また,先生方がこれまでの「産業社会と人間」をやる中で磨かれてきた,ブラッシュアップしてきたということがあるのかもしれません。
 それから,「課題研究」に関しましては,当初はやはり主体的な研究ということで非常に関心,興味を持って行われたと思うのですが,研究の仕上げと受験が日程的に重なり,双方の両立が課題であるということが先ほどの服部先生の全国大会のレポートで発表されていました。この数値と関わるかどうか分かりませんけれども,そのような発表がありました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。服部委員,何かございますか。

【服部委員】
 後半の大学進学ということで,大学進学,高校生が3年間学ぶ,例えば普通科高校から大学を選ぶというのは,やはりその年代でも自分の将来を見据えて本当に大学をきちんと選べるまでの能力ができているかというと,なかなかそうではなくて,大体パターン的に,あるいは高等学校の進路指導の先生の指導を受けて選んでいくということが多いのですが,今でもそうだと思います。
 明らかに違うのは,総合学科へ入った学生は,やはりこれは一つの大きな効果だと思いますが,自分で選んでいくという選択。要は大学の選択の幅がかなり変わってきて,いろいろなことをやって挑戦していくうちに――この前の東京都のある総合学科を見たときもそうだったのですが,本当にこれまでは,ここの高等学校からこういうところへ行くということはあまり考えられなかったようなところまで,高校生の間にやはりここへ行きたいということを思い出して,そして自ら選んでいくということで,大学進学が増えた中には多様な選択を選んでいく生徒が増えてきたこともあるのではないかと思っています。
 ワンパターン化したというか,理科系なら工学部,理学部とかということではなくて,いろいろな選び方を,細かいところまで選んで,研究して自分の進路を考えていくような生徒になってきているということはあると思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,もう一度お願いします。

【松野下委員】
 及川先生のお話なのですけれども,本校でもやはり大学に進学するのは50%ぐらいです。専門学校は25%ぐらいです。就職はこういう御時世ですので六,七人という状況なのですが,毎年変わらないです。
 私も普通科勤務がずっと長かったですので,総合学科に行った当初はもう少し大学進学率が上がってもいいかなと思ったのですが,今思っていることは,これはこれでいいのだと。要は生徒の志望を大事にしながら,将来を考えさせながら進路決定をさせることが大切と思います。例えば,昨年度卒業した生徒で学年トップクラスの子がいました。この子は,担任は大学に行ったらどうだということを言ったのですけれども,自分はこういうところに就きたい,そのためには専門学校に行った方が就けるのだと。大学には行けるのだけれども,専門学校の方が就けるのだということで,その子は専門学校に行きました。これもありかと思います。総合学科というのはそういうものかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。及川委員,よろしいですね。

【及川委員】
 はい。

【小川部会長】
 荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。いろいろお話を聞いていまして,どうして総合学科が増えないのかという,また最初の話に戻るのですけれども,こういう話を聞くと,私としましては一体どこに原因があるのかというのが本当に気になって仕方がない。教育委員会がお金の関係で作らないのか,それとも教員の指導ということが十分に行き渡らない可能性もあって,よって作ることにややためらいがあるのか,あるいは保護者が大学進学ということを考えて普通科志向が強いので,よって総合学科が伸びないのか。
 この単純な三つの切り口だけではなくて,もっといろいろ複雑に絡み合っているのだろうと思うのですけれども。ただ,議論の中で選択の幅が広がるといったようなお話とかもありましたが,私は普通科の中でも選択の幅というのはむしろ広げるべきであると思いますし,現に広げている学校というのは全国を見てもどんどん増えています。
 だから,制度によってこういう生徒が育てられるというのであれば,それはやはり,文部科学省,お作りになったところが,こういった成果があるということをむしろはっきりとしていただかなければならないのではないかなと思います。
 そうでなくて,教員の指導によってであるならば,教員側が大いにいろいろ考えなければならないだろうし,あるいはまた教育行政によるということでるならば,教育委員会が考えないといけないだろうと思うのです。だから,これは失礼な言い方になるかもしれませんが,トップクラスの生徒が必ずしも大学に行かないということは,私は,その子が行かないと言うのであれば,あってしかるべきだと思います。
 また,逆に,これは少し話が飛躍しますけれども,一旦就職した後大学に行こうと思えば行けるような制度を,それこそ国を挙げて作る方がよっぽど私は健全だと思うのですけれども。否定的に言っているわけではなくて,何をもって総合学科が大変良いとするのかというのをはっきりしていかないといけないのではないでしょうか。
 評価できるところは,これは教育の問題はよく言われるのですが,10年,20年たたないと分からないとよく言われますけれども,私は3年以内に分かることだって幾らでもあると思うのですね。現に「総合的な学習の時間」を進めていった結果,生徒が必ずメモ用紙を持つようになったとか,ささいなことですけれども,このささいなことに気付くような取組をしていくということが私はとても大切だと思います。
 10年後,20年後でないと分からないといったら,そうしたら,では,今何したらいいのかというのが出てこなくなってしまうので,必ず総合学科のこういった点は大変制度としてすぐれている,あるいは総合学科に行くことによって教員がこういった教育観を持つようになるということがきっとあると思うのです。それは,是非しっかりとアピールをしていただきたいですし,我々も共有しておかなければいけないのではないかなということを思いました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。かなり時間を使ってしまっているので,総合学科については最後の発言にさせてください。
 阿部委員,どうぞ。

【阿部委員】
 発言というよりも,岩手県の総合学科についての御紹介ということでお話しさせていただきたいと思います。岩手県では平成16年に4校総合学科が出来て,あとは21年に最後,1校が出来て,合わせて6校ということで,その途中で1校もできたわけですが,今6校,県立では総合学科があるわけです。県では,高校再編の関係で平成21年9月17日に,今後の県立高等学校の在り方についてということで,第2次県立高等学校長期構想検討委員会のところでまとめた報告がなされております。その中の総合学科の現状と課題ということでまとめているのを御紹介したいと思います。
 その中の抜粋でありますけれども,岩手県は総合学科高校を6校設置していると。1年次に履修する「産業社会と人間」を通してのキャリア教育や,6校それぞれ特色ある系列を設定して生徒のニーズに応じた教育を進めており,生徒の70%以上が進学するような学校や,生徒の60%が就職する学校があるなど,地域の実情に応じた人材を育成している。
 また,幅広い選択科目から生徒が自由に選択するという総合学科のシステムにより,生徒の学習意欲の向上や進路意識の高揚が見られるなど,設置に伴う効果が認められていると。ただ,一方で,科目選択に当たっての人数制限や主体的に選択できない生徒の存在,また学級数の減などによる人的――これは教職員のことですけれども,そういった人的制約が生じることなど,総合学科の理念を十分に果たすことができないという課題もあるというふうにまとめてある。
 岩手県の総合学科についての現状と課題ということでまとめた部分でありますが,御紹介しておきました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。まだまだ尽きないのですけれども,この後専門学科についても少し時間を取って皆さんの御意見を伺いたいですので,すみませんけれども,総合学科についてはこれくらいにさせてください。いろいろな委員の方から,やはり検証等々についての宿題が出ましたので,事務局の方,その辺よろしくお願いいたします。
 では,次に専門学科の現状や課題について議論を進めていきたいと思います。これについても,事務局の方で資料を整理していただいていますので,最初に事務局の方から資料の説明をいただいた後,皆さんから御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【西尾専門官】
 失礼します。資料3-2に専門学科における現状のデータ等,最近の取組事例を掲載させていただいてございますけれども,基礎的な統計データ,細かい統計データにつきましては,机上配付資料として配付しております第5回の高等学校部会資料に記載してございますので御参照いただければと思います。
 では,資料3-1を御覧ください。高等学校の職業教育は,経済社会の進展に適切に対応するための多様な教育内容を用意するとともに,基礎教育の重要性にも配慮して,変化に柔軟に対応できる能力や態度の育成にも努めてきており,特に中堅技術者の養成を中心に我が国産業経済の発展に寄与してきました。
 しかしながら,近年は少子化の影響により,生徒の減少や都道府県の行う高等学校の再編整備,普通科への偏重傾向の影響等によりまして,普通科と比べまして生徒数や学科数は減少傾向にございますし,総合学科の生徒数や学科数は増加傾向となってございます。
 また,次のページでございますけれども,社会の変化や産業構造の変化,労働市場の流動化などによりまして,地域の産業・社会において求められる人材の把握と育成が求められるようになっております。また,普通科でも同じ現象が起きているのでございますが,職業学科では就職率が近年だと5割程度まで減少している一方,大学進学や専修学校への進学まで合わせると,4割5分ぐらいまで高等教育機関相当に進学しているということからも分かりますように,職業人として求められる知識・技能の高度化への対応や,また専門的な能力を高めるとともに,社会人に必要な基礎的な知識・技能の習得なども一層求められるようになってきてございます。
 また,一方,専門高校に対する評価でございますけれども,これは3ページの方に東京大学院大学の本田由紀先生がベネッセコーポレーションと一緒に行った調査でございますけれども,前提としまして中学時代に同じぐらいの学力だった生徒を対象に,それぞれ普通科高校と専門高校に進学した者にそれぞれ調査を行った結果でございます。その結果,専門高校に進学した方が積極的に進学した割合が多いとか,実践的な授業もございますので,きめ細かく実践的な授業が多い,勉強への積極性が高いという調査結果も得られてございまして,職業教育に関する実践学習や取得する資格等の学習成果を積極的に評価する方策も必要と考えられます。
 このような課題に対応するために,国又は地方公共団体で対応した方策について簡単に御紹介させていただきます。5ページに移らせていただきますが,まずは地域の産業社会において求められる人材を把握し,地域の様々な産業社会を担う専門的職業人を育成するため,例えば国の方としましては,資料3-2の7ページ,8ページ,9ページに具体的なポンチ絵も記載させていただいておりますけれども,全国産業教育フェアを通しまして,専門高校等の教育内容について理解,関心を高めるために,全国的な規模で学習成果を総合的に発表し,一般市民や企業関係者に対して専門高校の魅力を伝えるとともに,地域産業との橋渡しの役割も担ってございます。
 また,次の東日本大震災からの復興を担う専門的人材育成支援事業につきましては,復興の即戦力となる専門人材等の育成のために,専門高校におけるカリキュラム開発や実証,また具体的には産学官連携による推進協議会も立ち上げまして,地域の実情に応じた人材の育成を図ってございます。また,26年度の概算要求で出しているものでございますが,スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールといたしまして,高度な知識・技能を身に付けた第一線で活躍できる専門職業人を育成するために,大学,高専,研究機関,企業等と連携して協力しながら行う事業を要求してございます。
 また,地方の取組といたしまして,みやぎクラフトマン21を例として挙げさせていただいていますが,コーディネーターが地元企業と専門高校をつないで地域産業を支えるものづくり人材を育成するという事業をやってございます。
 また,職業に就くに当たっての必要な基礎的・汎用的能力の育成につきましては,25年度,本年度から実施されております学習指導要領の中で専門分野に関する知識・技能の定着を図る観点から科目数を増にしていることや,就業体験,学習活動を積極的に取り入れたり,社会人講師を活用したりすることについて更に明記をしてございますし,各教科ごとに情報関連科目,共通的な能力につきましては,情報モラル,情報セキュリティーに関する共通的な各情報関連科目に内容を充実させてございます。
 また,職業教育の質の向上と学習成果の評価についてでございますが,職業学科で実施される教育を高等教育や就業へより円滑に接続する観点から,地域や産業界等の連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業活動,在学期間中に取得する各種技能検定等を積極的に評価するために,高等学校教育部会の第6期の中でもおまとめいただきました審議経過報告にも書いてあるように,多様な能力の評価ということに関連しまして,25年度の予算として,多様な学習成果の評価手法に関する調査研究というのを行っております。
 これにつきましては,社会,職業人への移行に必要な資質・能力の評価や,専門的職業人に必要な資質・能力の評価に関して,現在調査研究を行っているところでございます。そのほか,高等学校教育部会でもよく取り上げられてございますが,ジュニアマイスター顕彰制度などもあるところでございます。
 また,求められる知識・技能の高度化への対応や高等教育機関との接続に関連して,高校専門学科について御紹介させていただきます。参考資料1に専門学科及び専攻科に関する関係規定を掲載してございますが,高等学校に置かれる専攻科は「精深な程度において,特別の事項を教授し,その研究を指導すること」という目的を有し,高等学校もしくはこれに準ずる学校等を卒業した者が入学資格を有しますが,高等学校設置基準に定める基準以外の定めはございません。
 専攻科の歴史を見てみますと,過去から主に職業に関する資格を取得する場として活用されてきました。取得している主な資格につきましては,資料3-3の2ページ,少しページ数が見づらくて恐縮なのですが,右下にうっすらと灰色の字でページ数が振ってございます。2ページの一番下を御覧いただければ,それぞれ主な,どのような資格を取得しているのかということを掲載してございます。
 専攻科を設けている学科が多いのは主に看護学科や水産学科ですが,資格取得のために,例えば看護であれば看護師になるための実習期間が必要であり,また水産につきましても取得資格のために必要な乗船期間が設定されております。学習指導要領に基づいた教育を行う3年間の高校生活だけでは受験資格が得られないために,このように専攻科が活用されていると考えられております。
 一方で,高等学校の専攻科につきましては,指導内容の定めがあるわけではなく,そのカリキュラムは非常に多様となっているため,高等学校の専攻科の修了者は制度上大学に編入学することはできませんが,とりわけ看護科の専攻科については看護師養成課程の一つとして設定されている,高校看護科卒業者から大学への編入学を望む意見が多いため,本年度専攻科についての実態調査を実施いたしました。
 まず,専攻科の基本的なデータについてですが,生徒数は約1万人でございまして,設置されている学校は約138校ございます。高校卒業生のうち専攻科への進学をしている割合は0.37%と,非常に少ない数にはなってございます。また,定められている修業年限といたしましては1年以上であることという規定がございます。
 また,参考でございますけれども,現行制度上,大学への編入学が可能な者は短期大学を卒業した者,高等専門学校を卒業した者,一定の条件を満たした専修学校専門課程を修了した者となってございます。
 資料3-3を御覧ください。簡単に調査結果について御説明させていただきます。3ページでございますが,専攻科について具体的にイメージしやすいように看護師養成課程の図を掲載してございます。看護師を受験するためにはいろいろなルートでの受験が可能ですが,先ほども御説明させていただいたとおり,高等学校に専攻科を2年間の課程を設け,5年一貫教育という形で行うことにより,国家試験の看護師を20歳で受けることが現在できるようになってございます。
 また,授業時数についてでございますけれども,11ページ,12ページに総授業時数,修業年限が大体の専攻科が約2年――1年のものもあるのですが,大体が2年で行われております。2年間で行う総授業時数を見ていただければ,多いものでは2,200単位時間以上やっているものもあれば,少ないところであれば1,200単位時間未満と。年間の授業時数に換算しましても,1年間で1,050単位以上やっているところもあれば,600単位時間未満というところもあり,非常に多様となってございます。
 また,13ページについてですが,修了要件につきましても単位数についてそれぞれ取得している単位,同じ学科の中でもかなりばらつきもあるような状態となってございます。
 また,14ページには,それぞれの専攻科におけるそれぞれの学科の進路別割合を記載してございます。
 また,次に15ページに編入学のニーズについてでございますが,青色と赤色のものが大いにある,また,ややあるというものでございまして,一部の学科ごとによっては非常にニーズがあるというような結果になってございます。
 あと,参考までに最後,専修学校設置基準,専修学校は現在,御説明させていただいたとおり大学への編入学が認められてございますが,それとの教員の数を比較したデータも御参考までに載せてございます。事務局からは以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今専門学科に関する説明で,なおかつ専攻科のデータは,これは初めての方も多いと思いますので,質問も含めて皆さんからの御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 相川委員,どうぞ。

【相川委員】
 少し分からないので教えてほしいのですが,よく私の方に届く保護者の声として,看護学科の保護者の方から,専攻科を修了して大学への編入がなかなか認められないというような声があって,今も説明,この資料の中にもありましたけれども,専攻科の修了は制度上大学に編入することはできないと。この制度上というところは,どういうことが問題になっているのかということと,看護師養成課程の一つとして,看護学校の卒業者から大学への編入を望む声が多いと。多分,全国の看護の保護者の声も,生徒の声も,現場の声もそうなのかなという,多いというのは意味なのかなと思うのですが,私もよくそれを聞かれるのですが,それに対して今後どうしていこうということなのかというところも含めて,もしあるのであれば教えていただければと思っております。

【小川部会長】
 一応,質問,2点ということでよろしいですか。事務局の方,よろしいですか。

【西尾専門官】
 すみません,お答えいたします。制度上ということにつきましては,資料3-1の6ページの一番下の方に,先ほど御紹介させていただいた編入学が可能なものというものを出しております。ここに記載されている者につきましては,法制度上,大学への編入学が可能という規定が設けられているものでございまして,専攻科の修了課程の者については,現在法制度上,大学への編入学が認められていないということでございます。

【小川部会長】
 それはどういう理由かという質問なのですけれども。

【西尾専門官】
 すみません,失礼しました。認められていない理由としましては,先ほども御説明させていただいたとおり,専攻科につきましては現在カリキュラムの基準につきまして何か明確な規定があるということではございません。データ的にも,それぞれ取得している単位が異なっていたり,授業時数にかなりばらつきがあったりするため,その内容自体が,その専攻科を修了した全てをもって大学への編入学が認められると,高等教育相当だというものが現在認められていないという状況でございます。

【小川部会長】
 もう一点は,国とすると,この専攻科の扱い,今後どのような方向で検討する予定なのかという質問があったかと思うのですが,答えられる範囲で。局長,そうですか,すみません。

【前川初等中等教育局長】
 私はかなり前から,この高等学校専攻科修了者の大学編入学を認めるべきだと文部科学省の中で主張してきているのですが,なかなか調整がつかずに今日に至っているということであります。特に看護につきましては5年一貫教育がかなり前から始まっておりまして,この5年一貫課程を修了した者が数か年にわたって出ているという状態でございます。この修了者については,現在,今西尾から申し上げましたとおり,制度上大学への編入学は認められていないと。
 この大学への編入学を認めるためには学校教育法の改正が必要であります。その学校教育法の改正が行われていない状態のまま推移しているということであります。特に矛盾が多く出てきているのは,この看護であります。この看護につきましては,高等学校も正看護師の養成をするという方向に踏み切って,その5年一貫課程を,本科と専攻科をつなげた5年間の課程というものを設けるようになってきているわけです。そうしますと,20歳ぐらいのところで正看護師の資格が取れるということになるわけですけれども,この生徒たちが大学に入ろうとしますと,仮に大学の看護学部,看護大学に入ろうとすると,編入学ができませんので1年生から入らなければならない。
 ということで,看護学部の1年生に入る生徒というのは,看護進学課程から来ているという生徒も少数はいますけれども,大概はほかの学科から,特に普通科から来ているわけです。看護の勉強を一からするという学生ですね。その学生と一緒に学べという話になっているわけですから,事実上,これは看護大学へ行く道が塞がれているのと同じであります。要するに看護の勉強は一応してきているのに,もう一度,初めからやり直しなさいという話ですから,これは不合理極まりないとずっと思っているわけです。
 どうしても大学へ行かなければ取れない資格というものがございます。例えば看護の教員になりたい,あるいは養護教諭になりたい,そういった希望を持っている場合には,看護高校の専攻科を出た後,やはり大学へ行かないとそういう資格が取れないわけですけれども,そういう道が事実上塞がれている。事実上というよりも,制度上塞がれているというのが現状であります。
 ですから,私どもとしては何とか省内での調整をしながら,早い機会に法律改正によりまして,特に看護の専攻科修了者の大学編入学の道を開きたいと思っております。専攻科を一律に扱うことはなかなか難しいわけです。専攻科というのは非常に緩い基準で作られていますので,様々なものが存在しているので,その中で編入学が認められるような専攻科はどういうものかということを特定できるようにしなければいけないということは言えると思います。
 ちなみに看護高校を3年で修了して,専門学校へ行って正看護師になるというケースもあるわけですけれども,専門学校の2年間を修了して正看護師になった者については大学への編入学の道は開かれております。ですから,専門学校で正看護師になった者との公平性という観点からいっても,専攻科修了者の編入学資格を早く認めるべきではないかというふうに,問題意識としては非常に強く持っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。相川委員,よろしいですか。

【相川委員】
 すみません,局長にお答えいただきまして,ありがとうございます。やはり今お話にあったように,5年間やって,更に上に行くという,自分で基礎を学んだ子供たち,そして普通科から大学に行った子供たちの学んだものを更にというところで,自分たちが学んできたもの,そこが何となく認められないみたいな不公平感みたいなものがあるのかなと。生徒にも保護者にもあるのかなということで,なぜ看護科で5年間という修業の基礎の中で学んだ子供たちが大学へ行けないのだろうと,本当にそういう声は看護科のほかの保護者の方からもありますので,是非今の局長のお話を一歩でも進めていただけるように是非お願いしたいと思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかに。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 これは,本来は文部科学省の人が言うべきことだろうとは思いますが,今の編入学の問題ですけれども,高等教育の側から見れば,やはり最大の問題は専攻科の質についてどこがどう保証するのかというところがよく分からないということです。専門高校について今30単位,換算が認められていますが,これはある意味では少し行き過ぎたという声が非常に強くて,専門高校についても一定の質保証をできるところを改めて認定しようという動きが今ちょうど出ているところです。
 私は,原則として専攻科で勉強したことを生かすことは賛成ですけれども,基本的に私は,前から言っていることですけれども,高校教育に質的な保証のメカニズムがほとんど何も,どこにもないというのは,やはりそれがいろいろなところで問題が生じていると私は思います。文部科学省は直接手を出さないのであれば,何らかの形で自主的な団体を作るとか,何かそういうものを考えなければ,このままの形でただ認めろというのはなかなか難しいのではないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今の専攻科の問題も含めて,専門学科に関わって何か皆さんの方から御意見,いかがでしょうか。
 長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 先ほどの総合学科のときは,私は私学のことを考えていたのですが,非常に少ないのですね。総合学科350校ぐらいある中の1割ぐらいということで,コストの問題などでなかなかできないということなのですが,それでも増加傾向は大分弱まってきたという中でも,できてはいたわけです。
 一方で,この専門学科の方は明らかに減少していて,専門学科からこの総合学科の学校に変わってきたということがあるのだろうと思うのですが,それ以上に職業学科,専門学科の学校が少なくなっています。ただ,そういう中で看護系の今お話のような学校は,私学だけでいいますと少し増えているのですね。しかし,工業系だけで見ますと,この15年間で130校から100校に減っておりまして,この工業系の専門学科を併せ持っている普通科の学校が東京などでは,ほとんどないような状態になりつつあります。
 ということで,専門学科に対するニーズは非常に減少してきているという構造的な変化がある中で,高等学校教育全体の中での位置付けをどうするのかというような論議が必要なのではないかなと思うわけです。この傾向は今後もますますそういう方向に行くのではないかなと思います。
 とは言いましても,専門学科というのは,戦後は経済復興とか産業構造が変わってきたことに伴って,一時は随分脚光を浴びていた時代もあったと思うのです。その頃は普通科の学校に行っても,専門学科の学校に行っても,どちらでも格差を感じないような,いい意味での選択,等価性があったと思うのです。しかし,徐々に普通科志向になってきて,いわば今は普通科の学校に行けないから総合学科,そこに行けないから専門学科というような、学科別のキャパシティ上での順番が決まっているわけですので,その中で生徒が学校選択をしていると言えます。
 必ずしも本意があって,専門学科に行ったり,総合学科に行ったりするということは,私は実態としてはかなり崩れているのではないかなという気がするのです。そういう格差構造,序列構造の中で実は専門学科の実態があるのではないかと思います。
 そこで、等価性の中で学校選択が行われているのではなくて,入学者選抜という中で序列構造が出来てしまっているという,その辺を前提にして,しかし,それでいいのかという問題意識を私は非常に強く感じております。学習の方法を変えるという,先ほどの服部先生からの御意見,総合学科で非常に心強いこれからの在り方をおやりになったなということを感じたのですが,習得的な,体系的な学習方法と,いわば総合学習のような探究的な学習,両方が大事だと言われている中で,普通科の大学進学に向かう習得的な学習方法だけではなくて,探究的な学習を重視していくのだというような,総合的な学習を重視するような方向性というのは非常に重要だと思うのです。
 最近IBというインターナショナルバカロレアを今度文部科学省が音頭を取って日本語バージョンで作るのだという話があります。このIBの世界標準で世界共通のカリキュラムというのは,少ない教科をやるわけで,多くのいろいろな,多様な専門学科みたいなことはやらない。そして,コアにはTOKとか,CASといわれているような学び方を考えるとか,学習者像を非常に重視するということがあって,それが世界的に認められているわけです。
 ですから,いわばグローバル化の中で求められているのは普遍的な思考力とか,発表力とか,探究性を重視するような教育であり,そういう教育をもっとやっていくべきだと思うのです。というのは,このIBをやっているインターナショナルスクールというのは決して選ばれている生徒だけを受け入れているのではなくて,入学者選抜で選ばれるのではなくて,普通の生徒が希望すれば入って,普通の生徒が思考力とか探究力とかを育てるようなカリキュラムとして提供されているわけです。そこが違うのだと思うのです。
 ですから,序列構造の中で,もしトップ層の学校でないとIBをできないというような発想でもしIB,バカロレアの日本語バージョンをやろうとすると,これは間違った方向になるのだろうと思うのです。そういう意味では,同じ視点を持って専門学科の学校の生徒が,そういう探究性を非常に重視されていく,格差を感じないでやっていけるようなカリキュラム構造に変えていくのが私は大事なのではないかと考えています。
 つまり、あまり専門学科という専門性を深追いするような方向をやるべきではないのではないかなと思うわけです。世の中の動きが非常に激しくて,例えばデューク大学のキャシー・デビッドソンという方が2011年に,小学校に入った生徒は大学を卒業して仕事をする頃には65%の生徒が今存在しない仕事に就くようになるなんていうことを言って,少し話題になったのです。アメリカの事情と日本の事情は違うかもしれませんけれども,多かれ少なかれ,子供たちが仕事に就く頃は,今、専門学科で学んでいるような仕事ではない仕事がどんどん増えてくる。ですから普遍性のあるような,社会構造が変化しても対応できるような力を付けていくようなことはできないのだろうかと考えます。
 ましてや日本社会が少子化で子供の数が減っていくわけですから,序列化の中で一部の生徒は職業を前提にするような教育というのを従来型でやっていくよりは,どの子供も,生徒も,普遍的な力を付けさせるような,ある意味そういう専門教育,専門学科としての教育というのがあるのではないか。少し理想論かもしれませんが,そんなことをあえて感じるものですから述べさせていただきました。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかにいかがですか。阿部委員もどうですか,専門学校の校長として。阿部委員,そしてアキレス委員ということで。

【阿部委員】
 岩手県の状況しかよく分からないわけですけれども,本県でありますと,やはり職業学科の専門高校に対する要望というか,期待度は高いわけです。県としても,県の地域の産業,人材育成をいかにやろうかということでいろいろと取り組んでいるところでありますし,逆に,私,個人的に思うのは,問題になっているのは普通高校に目的もなく,希望はしているのだけれども,何をやるために入るのかというところで,目的をしっかり持っていなくて,そして大学に行くわけでもない。
 そういった生徒たちが卒業後に進路をどのようにしていくのか,そして,卒業した後の人生をどのように生きていくのかというところが,かえって心配な感じがいたします。そういうことで,多分このような審議会というのでしょうか,会議が持たれているとは思っているわけですが,本県の職業学科のことについて,少しまた御紹介といいますか。
 本県は,専攻科のことも含めてお話しいたしますと,農業と水産にも専攻科があります。以前からあって,それは実習が主で農業経営者の養成とか,水産でありますと,上級の航海士の資格取得のために洋上実習ですか,そういったことを主にやるということなのですが。
 工業の専攻科も,やはり県内の要望がありまして,県の岩手産業人材育成会議というのが平成17年に持たれまして,そして,その中でやはり本県の技術,技能を継承し,ものづくり産業を支えるスペシャリストの育成を目的として,専攻科を作らなければいけないということで,平成19年の4月に黒沢尻工業に工業の専攻科が出来たわけです。工業の専攻科ということでは,中身は特徴としては地域の大学とか,高専とか,あとは企業の支援による実践的な教育を行うこと,そして北上川流域ものづくりネットワークという,企業と県と学校が一つになったネットワークがあるわけですが,それらのネットワークと一体となった人材育成をすると。
 あとは,2年課程なのですけれども,1年次は10社程度の企業訪問,そして10日間のインターンシップを実施。2年次は内定先も,高校卒業していますので,会社には1年次に入社を決めて,そして2年次には内定先に4週間の企業実習を実施しているというようなこと。そして,さらには,その中でいろいろな種類の,資格取得を含めて,資格取得をしながらも実践的な教育を実施するということで取り組んでいるということです。
 この専攻科を作ることによって,県全体のほかの工業高校の,又は職業学科の生徒たちの資格取得への取組もかなり積極的になりまして,資格取得の取組も多くなっているというようなところですね。あとは,いろいろな意味で,コンクールに,技能五輪などの全国大会に出場し,いろいろと活躍していますので,そういったことでは専門高校の生徒たちの自信になっているというのでしょうか,良い刺激になっているということで,今取り組まれているというようなところです。
 ただ,課題としては,先ほどから話題になっていますが,待遇では専攻科を出た後,就職先にはお願いして,このネットワークを通じての関係がありますので,給料面では短大卒相当で是非お願いしたいということでなっているのでいいわけですけれども,やはり保護者は学歴もかなり気にしますので,短大卒としての資格がないと,ということで,最近志願する生徒が減ってきていると。
 また,保護者を説得するときにも,やはりそこがかなり弱いところというような感じで見ております。そういったことで,やはり工業の部分,看護もそうですけれども,専攻科があるいろいろな職種というか,いろいろな学科,全てやはり資格ですね。短大相当の資格を取れるような専攻科であれば,更にいいのではないかなと思っているところです。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 アキレス委員,どうぞ,お願いします。

【アキレス委員】
 ありがとうございます。前半と,それから後半のディスカッションを聞きながら一つ感じたのは,今日のトピックというのは専門学科と総合学科ということなのですが, 7割以上の普通科というのはどういう在り方を求められているのかというところに行くのかなと。資料の3-1にありますデータ,例えば学科別生徒数の構成割合で見ると,平成2年と24年を比べると,職業学科から総合学科に移って,併せて同じぐらいの割合になっているような数字に見えるのですね。
 そうすると,先ほど出た言葉では序列ではないのですけれども,普通学科に行くのがベストで,そこに行けなかったら,ほかの選択肢となる。おっしゃられていた総合学科のいいところの一つというのは,本人が選択するというところです。ただ,選択という意味では,入学前から7割以上が普通科ということになると,保護者も含めて選択肢がほかにあるということになかなか気が付かないというか,理解できないということもあるのではと思います。
 次のページのベネッセさんも関わったのデータでと,普通科の入学の動機を見ますと,約44%の生徒さんがこの学校に入学するつもりではなかったとか,特にどの学校に入学したいということはなかったというような,あまりはっきりしない理由で普通科を選んでいらっしゃる。ほかの学科に比べて,それは特徴としてなっています。
 幾つか設問が次のページにけれども,やはり専門学科の方が,積極性があり,自分で選んでいます。実質的な授業とか,勉強への姿勢を見ても,「学校での勉強は嫌いだ」が,専門学科では64.0%,普通学科では72.2%という結果になっています。どちらにしても,入学の前に,一つは,本人と保護者の方にどう違うのか,どんな特徴があるのかを理解していただき,どうして普通科なのかを考えていただき,よく働き掛けていくことが重要かなと思います。
 この委員会でも,参加させていただいた当初,私はまず普通科という名前がよく分からないと申し上げました。進学を目指していくのが目的ということが大きいのであれば,かえってそのように言っていただいた方が親も生徒も選びやすいのですが,普通科と言われますと,「何となく多くの人が選んでいるから無難そうで,とりあえずそっちに入ってみたら」,という心理になってしまう傾向があるのかなと思います。今のところこの3分類で学科を分けていますけれども,本当にこれがいいのかどうかも含めて議論した方がよろしいのではないかと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 たびたびすみません。岐阜という特殊な事情かもしれませんが,岐阜県では高等学校は普通科と専門校の割合が6対4ぐらいです。全国的にも専門高校を大事にしているところだと思っております。これは,伝統的にそういう傾向になるのですが,私も商業高校,工業高校の校長をしたのですけれども,まず気付くことは,専門高校は,この資料にも出てきましたが,体全体で学ぶ学習の方法をとっているので,この3年間の間に非常に高校生の顔つきが変わってくるのです。
 1年生で入ったときは,やはり普通科は,先ほどアキレス委員さんがおっしゃったように,とりあえず圧倒的に普通科の方が希望は多いのですけれども,専門高校へ入るのは何となく引け目に思って入ってくる生徒が多いのですけれども,1年から2年,2年から3年に行くにしたがって,本当に学習の成果がどんどん顔つきに出てくると。高校3年間の学びの習得状況を示す指標があるならば,圧倒的に専門高校の方がはるかに高い数値が出るだろうと私は思っています。岐阜の場合,そういう状況であるということが一つ。
 まず専門高校の中で一番初めに改革に努めたのは,岐阜県の場合は農業高校でした。昭和50年代頃から改革を始めたのです。岐阜県は農業高校が8校ありましたが,もともとは農業後継者を育成するという目的で農業高校というのは設置があったのですけれども,当然どんどん高等学校への進学率が高くなったときに,圧倒的にサラリーマンの子供が農業高校に入るようになったときに,農業の関係者がいち早く考えたことは,生き物を通して,生き物と関わることによって人間教育をするのだと。
 これは,動物であれ,植物であれ,生き物と本当にずっと365日関わらなければ生きられないと,そういうものと付き合うということで,本当に子供たちが変わってくる。人間教育のためには,これは農業,生き物に関わる,それを通して若者を育てる,そういう仕組みを作ろうということで,いち早く農業高校が変わりました。その後,商業高校が変わり,工業高校が変わる。
 工業は,先ほど阿部委員さんがおっしゃったように,やはりものづくりですね。私が岐阜工業にいたときの校訓は,礼儀正しく,勤労を尊び,創意工夫に努めよと。日本はやはりものづくりを大切にしなければいけないというようなことで,やはりこれは1年から2年,2年から3年へ行くにしたがって,実習というか,体験的に学ぶ学習内容が多く,それで生徒がどんどん育っていくと。
 そんなことから,やはり専門高校のよさというのは,それぞれの学科が農業であれ,家庭科であれ,商業であれ,工業であれ,目的意識を非常に明確にしている。普通科というのは何となく進学という漠然としたところがあるのですけれども,そうではなくて,専門高校というのは目的が明確であり,そして学ぶスタイルが,先ほど言った体全体で学ぶということと,ステップというか,細かい目標をどんどん積み上げていく。資格取得もそうですけれども,一つ一つ細かい目標をどんどん決めていって,これをクリアしたら次のところと,そういう学びを通してどんどんと成長するという,そういう意味での専門高校の在り方というのは大切にしなければいけないと思っております。以上です。

【小川部会長】
 そろそろ今日の予定の時間,迫っていますけれども,いかがでしょうか。一,二あればお伺いしますけれども。では,長塚委員,そして伊藤委員ですね。では,長塚委員,伊藤委員ということで,お願いします。

【長塚委員】
 先ほどいろいろ申し上げたのですが,少し言い忘れたなと思っているのですが,今体験的な学びが専門学科の非常に特殊で良いところだと,そのとおりだと思うのです。しかし,一方では,実はこれは普通科というのははっきりしないということがありましたけれども,普通科においてもそういう経験主義的なというのでしょうか,ラーニング・バイ・ドゥーイングというような,そういう経験によって学ぶという方法は非常に重要だと。
 専門学科だからそれをやるというよりも,本当は高校全体に必要な教育の一つであり,重要なのではないかなと。それを専門学科だけに特筆化させるところがどうなのかなというのが,実は私の意見であります。専門学科と専修学校の違いとか,専門学科を出た後,専修学科に行くなんていう,何か二重に学ばなければならない,先ほどの看護学科みたいな,専攻科みたいな話が起きているわけです。また,大学に行ってもまた同じことが起きている。
 やはりここは専修学校制度があるのですから,その専修学校の専門的な学びを生かすとか,あるいは大学も機能分化というのがいよいよ言われているわけですので,大学での専門的な学びというのを高等学校の後につなげるというような。そういうような,もっと高等学校は全体がその前段になるような学び方をしていく必要があるのではないかと。ここが質の保証とか,もう少し共通するコアを大事にした方がいいのではないかとかいうところとつながるのかもしれませんが,そんな思いがしております。以上でございます。

【小川部会長】
 では,伊藤委員。

【伊藤委員】
 中学校と専門学科の高等学校との関わりということで言えば,まず保護者,生徒はやはりしっかりとした大学進学志向の生徒,保護者から,漠然としてではありますけれども,将来大学には行きたいというような者まで含めると相当数います。一つは,保護者自身が,普通科卒業が多いというのも含めてなのですけれども。
 あと,中学と専門学科の高等学校との関わりということでいえば,専門学科で学習する教科との関連性のあるような深い教科の中学校で教える授業時数が非常に少ない。どちらかというと,そのまま普通科で生かせるような教科時数が非常に多いというところもあるのかなと思います。それで,専門学科,高等学校に入ると,いきなり単位数としては相当数の授業を受ける形になり,そこでの学習に非常に難しさを感じる生徒もいるのかなというふうに思います。しかしながら,都立高校の白書を見ますと,例えば農業に関する学科においては,非常に学ぶ目的意識も高く,中途退学率も低く,大学進学率も高いといったような白書の結果も出ているわけです。
 そういったことを考えますと,まず中学校としても従来やっているキャリア教育をより一層推進して,体験的なことも含めて今後取り組んでいく必要があるなということ。それから,専門学科に関する理解をより深めて,中学生や保護者への情報提供をより一層推進していく必要があるのかなということ。
 あと,3点目,技術家庭などを,例えばこういった専門学科の高等学校との連携,カリキュラムなどを含めてより一層充実させていくことが必要なのかなと思います。それから,専門学科のある高校への要望としては,総合学科のときもお話ししましたけれども,情報発信として,生徒が見に行ったり体験したりすると,この高等学校に是非入りたいという声に変わっていきます。私たちも進めたいと思いますけれども,是非情報発信として,よりPRに努めていただければありがたいと思います。
 それから,漠然としてでも大学進学志向が非常に強い状況で高等学校へ入りますと,たとえ専門学科に入るにしても,そういったどの科においても大学進学に向けての例えば学力向上や,工業なら工業,商業なら商業等,工業系の大学,それを生かせる,商業で学んだことが生かせる高大連携をより進めていただいて,専門学科へ行っても大学進学を目指していけるというようなものがあればいいのかなと思います。長くなってすみません。失礼します。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,時間がありませんので,野上委員で,最後に安彦委員ということでよろしいでしょうか。ほかにございますか。
 では,なければお二人でということで。野上委員からどうぞ。

【野上委員】
 中堅・中小企業が圧倒的に多い地方では専門学科を持つ高校に強い関心を持っております。なぜならものづくりや商売,そして会計処理に関する知識と共に実践に不可欠な技能・技術を身に付けた人材を輩出してきた実績が専門学科設置校にあったからであります。今日の日本,そして日本企業の強みはこのような技能面にもたけ,かつ専門的技術の双方の能力を持つ人材の存在があればこそ成しえたものでありますが,最近その強みに赤信号が灯るような状況があるのではと懸念しております。
どのようなことかと言いますと専門高校志望者が年々減少しているからであります。約8割が普通高校志望と言うのですから考えさせられます。世界の国々が羨望した技能・技術双方の能力を持つ人材の排出に陰りが出,影響があるとするならば一大事であります。
 このような状況を生み出した原因には諸々あると思いますが最大の原因は余りにも世の中の実情に疎い保護者の存在だと思っております。
 そこで保護者に対する指導は勿論のこと,キヤリア教育の強化に社会を挙げて組むことが一層肝要ではないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,安彦委員,よろしくお願いします。

【安彦副部会長】
 では,一言。今,野上委員からもありましたが,高等学校の専攻科,専門学科の,特に商業学科の不人気というのは,やはりその後の社会での処遇というか,待遇の悪さを考えざるを得ないからだと思うのですね。この点は,ですから産業界もやはり今もっている一定の見方というか,高校生への見方に対して少し目を変えていただきたい。
 これは,この間もあるシンポジウムで,今,高等学校の先生をやっているJAXAに元いた研究者だった人が高等学校の先生になったら,ある高校生が,どうして先生なんかになったと,このように聞いたと言うのですね。御本人は,そういう質問は全く予期していなかった。それを聞いて私も確かに何か,高校生のそういう問い,つまり学校の先生は社会的に一段下で,JAXAの研究者の方が上だという見方というのはかなり一般的にあるのではないかと。
 私の子供の頃は「職業に貴賎はない」とかなりはっきり言われて,どんなに給料とか,いろいろな条件に上下・高低があっても,仕事そのものに貴賎はないのだということをかなりはっきり言われたのですけれども,今やもう,例えば大学の学部もそうですけれども,医学部は一番上で,次がどこそこの学部などと,こうやって序列がつく。そういう意味では貴賎が全部入っていて,決められ,作られてしまっていて,その枠の中でしか保護者も子供も見なくなってきている。これはやはり随分昔と変わってきてしまったと思います。
 そこで,その枠の中で教育をしている限りはちっとも変わりようがない。この点,もっと大きな社会構造的なことも含めて,我々は発言をしていかなければならないなということが1点です。
 もう一点は,専門学科なり,あるいは総合学科もそうなのですけれども,子供たちが一言でいえば,正直言って普通科の子供より自立しています。自立性は高いです。これは,やはり職業に関わっているとか,いろいろな人と接している。職業関係の人とも接しているし,インターンシップなり,職場体験もあったりして,先を見ながら自分が今いる位置,何をしなければいけないかということを考えることができるからで,普通科の特に進学校の場合などは,もちろん余裕のある,力のある進学校の子供はある程度視野が広いですけれども,そうでないところの場合には,本当に大学入試に合格することだけにしか頭がないです。そこにしか自分をセットしていませんので,私から言わせれば,教える側も,前から皮肉を言っていますけれども,それさえすればいいわけですから,一言でいえば教育ではなくてトレーニングですよ。トレーニングさえすればクリアできるわけですから。
 そこまであえて強く言いたいところがあるのですけれども,それをどうも今や教育という言葉で表し,全部それでいいのだみたいな風潮になっているというのは,やはり非常に今,問題だと思います。この間も新聞に出ていたように,親が就職先まで息子や娘に口を出していかなければ,子供は決められないでいるという,そういう「自立」していない子供を育てたりしていても,一向に気にしていないように見える。
 これは,正直言って産業界から見れば,あるいは大学の人間もそうですけれども,そんな自立していない,自分でものが決められないような青年を採用したくないですね。そういう意味では,いくら学力があっても,自立もできていない,信用できないような,そういう人間性の方で問題があるような若者に育ててしまうなんていうことを,どうしてこれでいいのだみたいに,保護者も一般社会も思っているのかということが分からない。
 そういう意味では,おっしゃったように専門学科や職業学科の方の体験とか,自立性をしっかり見通した教育というものを普通科の中に入れてきて,普通科は英語でいうとエンリッチメントなのですけれども,その教育課程の中身を豊富化して多様な教育の場を作っていかないといけないのではないか。はっきり,そういうことで「自立」ということに対して意識を持っていただくようなことを視点としてはっきり入れていかないと,これから本当に困るのではないかなと思います。まずは一番,子供自身がいずれ困ってしまうわけですから,自立性というのが育たない場合には。その辺,ある意味では,こういう専門学科の方の実績を生かせるような形で進めていけたらと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今日の予定,10分近くオーバーしてすみませんでした。これで今日の審議は終わりたいのですが,今後の予定について,事務局にお願いを含めて御連絡をしてほしいのですけれども。この高等学校教育部会は,たしか2011年の11月にスタートして,もう2年近く審議を重ねてきました。高等学校の質の保証から始まって,想定していた部会の主要なテーマについては,ある意味では一巡してきていますので,そろそろこの部会の審議のまとめも見据えながら,これから部会の審議の計画をしていかなければだめだと思うのですけれども。
 少し今の段階が分かる範囲で構いませんけれども,今後どういうスケジュールでこの部会を進めていくのかということも,少し多くのメンバーの方も,その辺の見通しは明らかにしてほしいと思っていると思うので,その辺も含めて今後の予定について御連絡いただければと思うのですが。

【望月主任視学官】
 この部会も21回となりまして,総合学科,専門学科,その前は通信制のことと,高等学校の多様化の中で生じてきた課題や現状について,現場の状況も踏まえて多様な御意見をいただいてきたところでございます。1月に審議のまとめをしていただきまして,高等学校教育の質の向上,確保という観点から中間まとめに出たものにつきまして,今年度,新しい予算で調査研究も進めているところですけれども,この審議の深めをしなければいけないかなというふうに考えてございます。
 専門学科,総合学科,あるいは通信制のことといったことについても議論を,この4回,集中的にしていただき,年末にかけて少しまとめの方向でこれまでの議論を集約させていただきたいと考えてございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では,次回の予定もございましたら,お願いいたします。

【西尾専門官】
 次回の日程につきましては,後日委員と調整させていただければと思います。正式には,また改めて事務局で御案内させていただきます。

【小川部会長】
 よろしいでしょうか。それでは,今日の部会を終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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-- 登録:平成26年09月 --